【安価】世莉架「安価でタクを楽しませちゃうよ」【CHAOS;CHILD】

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203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/12(日) 21:07:14.19 ID:Q/VBKqUd0
拓留(僕の出した結論は――)


――宮代拓留に幼馴染はいない――


拓留(――だった)

拓留(第一に、僕は尾上の家に行ったことがない)

拓留(僕の記憶では尾上本人とはかなり深い付き合いがあったはずだが、僕はあいつの家のことを一切知らない)

拓留(だけど知らないと記憶に齟齬が生じる。家庭環境の不和を理解しあって共感したからこその絆――のはずだったから。よってこの記憶は嘘)

拓留(そして、これはあのあと橋田さんにお願いして(有料)調べたことだが……)

拓留(僕の知る尾上世莉架と言う人間は、データとしてこの世界には存在していなかった)

拓留(碧朋学園への登録を除いて、だが)

拓留(AH東京総合病院にすらなかった。そういえば渋谷地震は存在していないからか)

拓留(一緒に、病院に向かったはずだったんだけどな)

拓留(その記憶も嘘か)

拓留(結局、尾上世莉架とはなんだったんだろう)

拓留(僕は確かに、彼女と日々を過ごした)

拓留(でも彼女は確かに存在しない)

拓留(それどころか不確かすぎる)

拓留「はぁ……」

拓留「こんなこと、誰に相談すれば――」

拓留「――そうだ! あの人がいるじゃないか」

相談する人>>204

久野里澪 OR 蒼井セナ
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 21:08:45.05 ID:RZyzzMVYo
セナ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 22:40:20.67 ID:TZQr7unFO
ニュージェネ事件が起こったけど渋谷地震が起こってないってことはサードメルトが発生する前(2009年11月4日〜11月6日の間)に解決したの?
地震が起こってないなら何で拓留達は青葉寮に住んでいるの?
この世界線の来栖は乃々と泉里のどっちなの?
カオスチャイルド症候群が存在しないなら碧朋学園は何故つくられたの?
ニュージェネの再来やカオスチャイルド症候群が存在しないのなら久野里は何故日本に来た?
ぱっと思い付くだけでもこれだけの疑問が出てきた。
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/12(日) 23:58:43.78 ID:J1erNbmbO
>>205
それ今箇条書きで回答なんかされても萎えるだけなんだけど……なに考えて書き込んでるんだ?
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 01:30:57.50 ID:/Y5A3trOO
>>206
>>205書き込んだの自分ですけど言葉が足りませんでした
それらに明確な回答が今ほしい訳じゃなくて渋谷地震が発生しなかったことで
>>205のような元の世界との違いが出来るはずだけどそれらがなさそうってことは
何らかの辻褄合わせが発生してるはずだけど>>1がそれを考えてやっているのかが知りたかっただけです
言葉が足らず、すいません
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 17:17:48.36 ID:A3f0Hv940
〜渋谷区内某所〜

拓留「すみません、遅れてしまって」

セナ「5分か……まあいい」

拓留(僕はあの後、今巻き込まれている状況に対して相談すべく、蒼井さんと待ち合わせしたのだ)

拓留(事前に用件はメールで伝えてある)

拓留(自分の記憶と周囲の記憶との間に齟齬が生じていること)

拓留(尾上が行方不明になっていること)

拓留(視線を――感じること)

拓留(全部、だ)


セナ「……」

セナ「まず、お前の言うニュージェネ狂気の再来事件についてだが」

セナ「お前の記憶では、6年前の事件の模倣と思しき事件が確かに起こっていたんだな?」

拓留「はい。でもその言い方からすると、蒼井さんの記憶にも今年の事件はないんですね」

セナ「ああ、すまないがそうだ」

拓留「渋谷地震――も」

セナ「そちらについても、発生した事実はないといっていい」

拓留「ふと気になったんですけど、6年前の事件の真相って一体なんだったんでしょうか」

拓留「僕の記憶だと、

猟奇的殺人事件→渋谷地震

という流れで――」

拓留(ええと、少なくとも僕の記憶で久野里さんの放送を生で聞いたときには……)

拓留「一連の事件の犯人は西條拓巳という高校生である――と話題になって、でもそれは後で冤罪だと発覚して……」

拓留「それと同時に、彼の通う翠明学園は希グループという大企業の傘下にあったという事実もあって」

拓留「渋谷地震にはある大企業がかかわっている……一説ではそれが希グループであるとも言われている……」

拓留「という話がありました。まとまりがなくてすみません」

セナ「……いいや、そんなことは、……ない」

拓留(蒼井さんはなにやら深く考え込んでいるようだ)

セナ「……宮代」

拓留「は、はい……」

セナ「お前は、ギガロマニアックスというものを知っているか」

拓留「いえ、知りません」

セナ「ギガロマニアックスとは、妄想を具現化できる能力を持つ人間のことだ。ディラックの海に干渉し、粒子と反粒子を形成し、その粒子を妄想として周囲の人間に認識させる。周囲共通認識となった妄想は現実として成立する――原理はこうだが、要するに」

――妄想を具現化させる。

セナ「これがギガロマニアックスだ。世の中にはそういう人間が存在する」

拓留「な、なるほど……」

セナ「ところで、だ」

セナ「そういった能力と同等の機械があれば――と考えるやつが、当然出てきてもおかしくはないと思わないか?」

拓留「それは――思います」

セナ「それを作ろうとしたのが希グループだ」

拓留「!!」

セナ「翠明学園は、希グループのギガロマニアックスを集めようという思惑のもとに成り立っていた」

拓留(徐々に、何かが繋がっていく気がした)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 17:55:35.91 ID:A3f0Hv940
セナ「だが、希グループもとい希テクノロジーの開発した機械――ノアUの最終実験は行われることはなかった」

拓留「なんでですか?」

セナ「消滅したからだ」

拓留「なっ……」

セナ「西條拓巳を、お前は知っていたな」

セナ「私も知っている。だがそれはテレビに出て話題になったからではない」

セナ「私と西條拓巳は――……いわば知り合いだ」

拓留「そうだったんですか?!」

セナ「西條拓巳は強力な力を持ったギガロマニアックスだった」

セナ「あいつは、ニュージェネ事件の最後――DQNパズルのあとに、すべての力を使って希グループとプロジェクトの一切を虚構へと押し込んでしまった」

セナ(覚醒は思ったより早かった……オリジナルの力までも使って巨大な周囲共通認識を生み出すとはな)

セナ「西條拓巳は急速に事故崩壊し、ノアUなどとともに消滅した」

セナ「希テクノロジーの所業は他の記憶から完全に消せてはいないが、少なくともその存在自体は確かに消えたよ」

かつてあったがもうない。

セナ(私が西條を記憶できているのは……あいつなりになにか施したからだったりするのだろうか)

セナ(何でもは……知らないな、私は)

セナ「災厄は事前に防がれたといっていいだろう」

拓留「それじゃあ、僕の記憶にある渋谷地震って言うのは、ノアUがなんらかの形で動いた――と考えていいと」

セナ「そう考えるのが妥当だな」

拓留「……」

セナ「碧朋学園にいるんだったな、お前は」

拓留「あ、はい。そうです」

セナ「そうか……」

セナ「お前には――伝えておこう」

セナ「碧朋学園はギガロマニアックスの収容所のようなものだ」

拓留「なっ……!」

拓留(収容所、だって?)

セナ「さっき、希テクノロジーとその思惑の一切は、存在は消えても記憶からは完全に消えてはいないといっただろう」

セナ「おそらくは記憶している人間が、……ふたたびギガロマニアックスに関する計画を立ち上げた可能性がある」

セナ「私も研究の傍ら探ってはいるが……それでも限度があって知っていることは多くはないがな」

拓留「それじゃあ僕も、妄想を具現化できるということですか?」

セナ「そのはずだ。最も覚醒していれば、だが」

拓留「覚醒?」

セナ「ああ。これは推測だが……ギガロマニアックスを意図的に覚醒させる施設が碧朋学園なのではないだろうか」

セナ「より純度と能力の高いギガロマニアックスの育成――それが行えれば貴重なデータが多く取れる」

セナ「噂ではアメリカのヴィクトルコンドリア大学も関与しているとも聞いている」

拓留(まさか、……あの人か!?)
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 18:20:23.43 ID:A3f0Hv940
セナ「少々私が語りすぎてしまったな。今日は宮代の相談だと言うのに」

セナ「だがこれで記憶の齟齬はかなり片付いたな」

拓留(僕の過去については――自分で調べるほかないよな……)

セナ「尾上世莉架――というお前の知人についてだが」

セナ「碧朋学園にいたということは、そいつもギガロマニアックスである可能性がかなり高い――というより確信を持ってもいいだろう」

セナ「行方をくらました理由については推測するしかないが……」

セナ「記憶の齟齬の内容はこれまでだが、その原因を考えてみよう」

セナ「推測――もっといえば考察であるという前提で聞いてくれ」

セナ「世界線という考え方を知っているか?」

拓留「零次元幾何をもつ点粒子の時空上の軌跡のことを意味する場合と」

拓留「架空かもしれませんが、ジョン・タイターの概念を意味する場合があります」

セナ「……驚いたな。それなら説明は早い。これからする話は後者の解釈で頼む」

セナ「世界は、パラレルワールドのように無数の可能性としての世界が存在し、そのうちの一つを私たちは生きている」

セナ「それらを各々世界線と呼ぶこととする」

セナ「例えば、今私たちが生きている世界をε世界線としよう」

セナ「仮に、私が過去へタイムスリップして大きな事件を起こしたとする」

セナ「その事件がその後の世界全体の未来を変えうるものであれば、世界線はもとのε世界線からさらに別の世界線へと変動するといえる」

セナ「そしてその影響の大きさによって、世界の変わりようは左右される。これを便宜的に世界線変動率と呼ぶこととする」

セナ「バタフライエフェクトという言葉を知っているか?」

拓留「はい。北京で蝶が羽ばたけば、ニューヨークをハリケーンが襲う――のような」

セナ「その解釈で十分だ」

セナ「ほんの少しの過去改変でも、どれほど世界を変えうるかは想像がつかない。世界線変動率は単純な関数としては定義できないんだ」

セナ「そしてここからが本題なのだが……」

セナ「もし仮に、世界線が変動したことを認知し記憶を継承できる人間がいて、さらにそれが宮代拓留だったとしたら……」

セナ「お前は、世界線変動に巻き込まれたのかもしれない」

拓留「っ!」

拓留「でも、僕はタイムスリップで過去改変だなんて、していませんが……」

セナ「ああ。この命題を成立させるには必要な条件が多すぎる。しかもそのすべてが推測の域を出ない」

セナ「しかし、私にはある仮説がある」

セナ「ここまでに仮定した多くの無謀な条件は――」

――ギガロマニアックスとしての能力としてつじつまを合わせることができるのではないか。

セナ「世界の変動そのものはエラーや負のエネルギー、ましてや反粒子などが直接的にかかわっているとは考えづらい」

セナ「世界を人間の意識の集合として考えれば、ギガロマニアックスによる意識への干渉を自分の記憶のバックアップとして応用できないかと、私は考えている。」

拓留「ちょっと待ってください! 蒼井さんの話を聞いている限りだと、……ギガロマニアックスは他者の存在ありきの能力じゃないですか」

拓留「僕の記憶は誰とも一致しない……。ましてや蒼井さんの仮説は僕が僕に能力を働きかけて自分のなかにバックアップをとる必要がある! それは矛盾すると思いますが……」

セナ「誰とも、か……本当にそうか?」

拓留「ど、どういうことですか」

拓留「あ、確かにこの世の全員とコンタクトを取ったわけじゃないですよ、はは……。でもネットにも一切ないですし。だから確かにだれかの記憶と意識に干渉してバックアップだなんて――」

拓留「――」

セナ「いるじゃないか」





セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 18:29:30.22 ID:A3f0Hv940
〜青葉寮〜

拓留「……」

拓留(今日は勉強を一切出来ていない……受験生なんだけどな、一応)

拓留(そもそも僕は卒業できるのか? あそこがそんな施設だなんて)


拓留(蒼井さんとの話で多くの謎は解決したが、それと同等の難易度の悩みがふたたび浮上した)

拓留(もちろん尾上のことだ)

拓留(尾上もギガロマニアックスだとすれば、――僕が尾上の記憶に自分の記憶を維持させるよう働きかけてバックアップとして使う、という相互作用的なこともできるのだろうか)

拓留(蒼井さんの仮説には疑問点が多くある。だが、一つ彼女に断られたのは……)


セナ「解明されていることがすべてではない。無責任なことをいうようだが、私は私の仮説を証明できる自信はない。自分から言い出したバックアップの原理にだって疑問点は山ほどある。だがもしそれが成功していれば……」


拓留(すべての辻褄は、合う)

拓留(そういうことなんだよな)

拓留(原理もそうだが、僕はそれ以上に僕の置かれている状況が気になって仕方がなかった)

拓留(それに僕の過去も、だ)


拓留「視線のことは……わからずじまいか」

拓留(蒼井さんが推測するには、ギガロマニアックスから干渉されている可能性がある――とのことだった)

拓留(もしそれが尾上なら――という可能性について僕は口を開けなかった)

拓留(今日は疲れた……もう休みたい)

結衣「拓留兄ぃ……」ガチャ

拓留(相変わらずタイミングが良い)

結衣「ねえ、拓留兄ぃ……>>212
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 19:12:08.34 ID:V5KYgBcEO
最近私が誰かに殺される夢を見るの
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:03:17.02 ID:A3f0Hv940
>>210

ちょっと日本語がおかしいんで

×→セナ「お前が今探している少女がそうでない可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」

○→セナ「お前が今探している少女がそうだという可能性を捨てるのは早計だと思わないか?」

に修正してください。
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:04:20.81 ID:A3f0Hv940
ではつづき
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:11:30.13 ID:A3f0Hv940
結衣「最近私が誰かに殺される夢を見るの」

拓留「何ッ?!」

結衣「あ、そんなに怖い顔しないでよぉ。……でも、確かにちょっとやだなとは思うよ」

拓留「僕と一緒に寝てるのはそれが理由なのか?」

結衣「えっ? あっ、う――うん。まあ、そうかな?」

拓留「それは……つらかったよな」

結衣「うん。一人で寝るのは心細いよ」

結衣「でもいいの。拓留兄ぃが一緒に寝てくれればそれで」

結衣「うん、それで……いいの……」ボロボロ

拓留「な、なんで泣いてるんだよ……大丈夫か?」

結衣「だ、大丈夫だよ。あれ、おかしいな……涙が止まらない」ボロボロ

拓留「結衣っ」ギュッ

結衣「あ―― 拓留兄ぃ//」

拓留「お前には僕がついてるから。安心して、いいから」

結衣「ありがと。嬉しいな拓留兄ぃ」

結衣「私ね、悩んでたんだ」

結衣「この前……拓留兄ぃに抱いてもらったときのこと」

結衣「私の勝手であんなことして、ひょっとしたら嫌われちゃったんじゃないかって……」

結衣「拓留兄ぃはその場の気分でそんなことする人じゃないのに、私ったら……」

拓留「もう気にするなって! いやなんかじゃないよ、僕は。結衣だったら――むしろ嬉しいくらいだよ」

結衣「ほ、本当?」

拓留「ああ」ギュッ

結衣「嬉しい……嬉しいよ拓留兄ぃ」ボロボロ

拓留「とりあえず涙と鼻水ふけよ」ハハ

結衣「あっ――もう、恥ずかしいから見ないでっ」

拓留「ティッシュはそこにあるからさ」

結衣「うん。ちょっと待っててね」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/13(月) 21:16:28.37 ID:A3f0Hv940
結衣「……はい。お騒がせしました」ペコッ

拓留「ははは、本当だよ」

結衣「もー」プクーッ

結衣「あのさ、拓留兄ぃ」

拓留「?」

結衣「拓留兄ぃも、何か悩み事あるんじゃないの?」

拓留「っ……どうしてそう思うんだ?」

結衣「見ればわかるもん。拓留兄ぃ何かに怯えてるみたい」

結衣「本当に大丈夫?」

拓留「……ああ」

結衣「私に出来ることなら力になるからね」

拓留「ありがとうな、結衣」

結衣「うんっ」

結衣「それで、さ……」

結衣「私、>>217してほしいなあ」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/13(月) 21:17:17.79 ID:ykSWvDpgO
頭撫でてほしい
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 15:50:56.73 ID:rzpJqq4Y0
結衣「頭、撫でて欲しいなあ」

拓留「そんなことでいいのか?」

結衣「そんなことじゃないもん……お願い」

拓留「あ、ああ……」ナデナデ

結衣「えへへ///」

拓留(可愛い)

拓留(愛おしいともいえるのかもしれない)

拓留(結衣の体は暖かかった)
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 16:09:12.65 ID:rzpJqq4Y0
翌日

拓留(僕は僕とその周囲の変遷を調べることにした)

拓留(僕の記憶の世界では、渋谷地震のせいで僕や来栖、そして結衣たちが青葉寮に引き取られ)

拓留(今年になって、ニュージェネ狂気の再来事件を追う中で、AH東京総合病院の地下から保護した山添うきも青葉寮で引き取ることになった――)

拓留(――ということになっていた)

拓留(この世界ではどうなんだろう)

拓留(それを検証しなければ)


佐久間「ああ? お前たちを引き取った理由?」

拓留「ふと思ってさ。自分の過去について」

佐久間「なんだか妙な思いつきだな。まあいいけどよ。あんなことを忘れちまったなんてなあ」

拓留「あんなこと?」

佐久間「って、覚えてないって言うのが前提の話だったな。お前たちは、その――大きな声では言えないんだけどな」

佐久間「他言無用ってやつだ」


佐久間「都内某所の地下で行われていた人体実験の被験者だったんだよ


拓留「なんだって……!」

佐久間「俺は医者という立場上、そいつらのやっていることを見過ごせなくなってな」

佐久間「まあその、拉致ったわけよ。って言い方が悪ぃな」

佐久間「でもまああいつらも非合法的な実験をやってたわけだから、追ってきたりはしなかったみたいだけどな」

佐久間「そんで、俺の病院で預かることにした」

佐久間「それがちょうど6年前くらいだったはずだ」

拓留「……」

拓留(地下の人体実験……もしかしてAH東京総合病院か?)

拓留(父さんの医者という立場なら、関連はありそうだ)

拓留(そうか……父さんはそのために僕たちを)

佐久間「これでいいか?」

拓留「あと一つ……山添のこと」

佐久間「それはお前のほうが詳しいはずだろ? おいおい、痴呆は勘弁してくれよな。高校生なんだからよ」

佐久間「あの子はお前たちが家出少女を引きとってもいいか〜なんて俺に頼んできたんじゃないか」

佐久間「まあ、家族が増えるのはいいことだしな。部屋も余ってたし」

佐久間「家族にまた一人加わったら面白ぇじゃねえか」ハッハ

拓留「山添が……家出……」

拓留(本当に家出なのだろうか。家出とは名ばかりのもっと違った理由があるとか……)

佐久間「あと、これはお前の問題だが――」

佐久間「――あの子のこと、名前で呼んでやったらどうだ?」

佐久間「家族、だろ?」

拓留「あ、ああ。そうだな。そうするよ」

佐久間「よしっ。そんじゃ勉強がんばれよ。俺はちょっくら出かけてくる」

拓留「いってらっしゃい、父さん」

拓留(そうして父さんを見送った)
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 16:18:57.95 ID:rzpJqq4Y0
拓留(蒼井さんにメールしてみるか)

拓留(AH東京総合病院の内情もまた、僕の記憶と違っている部分があるかもしれないし)

拓留(『AH東京総合病院の地下で人体実験などが行われていた過去はありましたか? もしあれば出来る限り詳しく教えてください』)

拓留「送信、っと」ポチッ


ピロンッ


拓留「早っ」

セナ
『なぜお前がその事実を知っているのか疑問だが、そこについて問いただす必要はないので本題に入る。確かにAH東京総合病院の地下でそのような実験が行われていたという話がある。ギガロマニアックスに関するものらしい。だが私も詳細を知っているわけではない。すまない。ギガロマニアックスに関連する組織のデータベースをハッキングないしはクラッキングでもすれば情報が手に入る可能性はある』

拓留「ハッキング、か」

拓留「あの人しかいないじゃないか」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 17:47:58.99 ID:0t0Wfl7vO
面白ぇさんがいい人になってるだと……
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:08:03.40 ID:rzpJqq4Y0
〜未来ガジェット研究所〜

拓留「橋田さんにしか頼めない仕事なんです」

ダル「うーん、どれほどのセキュリティかわからんけど、難易度によるから成功報酬ってことでおk?」

拓留「あ、はい」

ダル「まあ宮代氏にはすこしまけておくお。身内のよしみってやつなのだぜ」グッ

拓留「ありがとうございます!」

ダル「えっへん。なんたって僕はあのSERNをもクラッキングしたスーパーハッカーだからね」

拓留(あのSERNをだって? さすがに、いつもの冗談だろ)

拓留(でも橋田さんの力はすごい。きっとやってくれるはずだ)

ダル「とりあえず明後日までには終わらせるから、そんときにまたラボに来て欲しいお」

拓留「わかりました。お願いします」


拓留「良い人たちばかりだな……ここは」ガラッ

綯「……」

拓留(ブラウン管工房の前に立ち尽くしているのは……たしか天王寺さんの娘)

綯「……」ジーッ

拓留(もしかして僕のことを見ている?)

拓留(な、なんだろう。妙なプレッシャーがあるな)

拓留(碧朋学園にいてもおかしくない年齢だよな。まあ違う学校なんだろうけど)

拓留(まあ、帰るか)スタスタ


綯「……」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:33:36.55 ID:rzpJqq4Y0
〜青葉寮〜

拓留「ただいま」

うき「あっ、おかえりなさい」

拓留「あれ、今は山z……うき一人だけか」

うき「! はいっ」

うき「……」

拓留「どうかしたのか?」

うき「いえ、拓留さん、初めて私のこと名前で呼んでくれましたから」

うき「私のこと、家族だと思ってくれたんだなって」

拓留「ああ、なんていうか、家族だと思ってなかったんじゃなくて、単に照れくさかったんだよ」

うき「拓留さんにもそういうとこがあるんですね」クスクス

うき「優しい人です、拓留さんは」

拓留「よしてくれよ。この前までリア充を気取ってた痛いやつなんだからさ」ハハ

うき「拓留さんは、その……十分リア充だと思いますよ」

拓留「えっ、何を根拠にそんなことを」

うき「一昨日の夜中、目が覚めちゃってトイレにいったんですけど」

うき「拓留さんの部屋から変な声が聞こえてきて」

うき「ドアがちゃんと閉まってなかったので覗いちゃって……」

拓留「なっ!」

うき「ごめんなさい/// 盗み見るかたちになっちゃいましたよね」

うき「でもああいうことしてる拓留さんは、結衣ちゃんとまとめてリア充ですっ」

拓留「もうこの話は終わりにしないか……」

うき「ふふふっ、ごめんなさい」

うき「あ、夕飯なんですけど、もう少しで結衣ちゃんも帰ってくるので、待っててくださいね」

拓留「そうか……」

拓留(そういえば、これまでうきとはあまり接点がなかったよな)

拓留(うきと時間を過ごしてみよう)

拓留「僕が手伝うよ」

うき「えっ!? そ、そんな。拓留さんに手伝ってもらうなんて」

拓留「早いほうがいいだろ? 僕じゃだめか?」

うき「はぅぅ、だめってことは全然ないですけど、申し訳なくて……」

拓留「家族なんだから、助け合わないと、だろ?」

うき「そっ、そうですよね///」

うき「それじゃあ、お願いします、拓留さん」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/14(火) 23:35:09.84 ID:rzpJqq4Y0
うき「拓留さんって器用なんですね」

拓留「まあ、人並みにはな」

うき「手伝ってくれてありがとうございますっ」ニコッ

拓留「どういたしまして」

拓留(さて、どんな話題ならうきは楽しんでくれるんだろう)

拓留「なあ、うき。>>225
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/14(火) 23:39:57.09 ID:ggw7xFVDO
うきは僕にしてほしいこととかないか?
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 00:48:12.63 ID:Fj+iMgFp0
うき「えっ、して欲しいこと――ですか?」

拓留「ああ。僕はうきの兄だから、なんでもいってくれよ」

うき「それじゃあ……>>227
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 00:49:49.66 ID:R5LeN5h0o
甘えさせてください
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 08:40:47.12 ID:pHX7AuVso
ロリコンかよ宮代拓留最低だな
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 17:27:36.95 ID:p2WlfqISO
ロリコンなら尾上も永遠のロリっ娘で妄想されてるやん?
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 17:57:39.77 ID:Fj+iMgFp0
うき「それじゃあ……甘えさせてくださいっ」ピョコ

うき「ここに――青葉寮に来てから家族というものに触れて、兄弟というものを知って……」

うき「乃々さんは優しいお姉さんで……でもあの人を見ていると自分もしっかりしなきゃって意気込んじゃうんです」

うき「だから、年上で甘えられる家族に憧れてて」

うき「最近の拓留さんは優しいですし、私にとって優しいお兄ちゃんだったらって思うんです//」

拓留「うき……」

拓留「わかったよ。僕には、思い切り甘えていいよ、うき」

うき「ほ、本当ですかっ?!」

拓留「ああ。僕に出来ることなら力になるよ」ギュゥ

うき「あっ// だ、だめです拓留さんっ。私のこと抱きしめたら結衣ちゃんに怒られちゃいますよ」グイッ

拓留「あ……」

拓留(というより無意識にうきを抱きしめようとしてた)

拓留(どうかしてるんじゃないか、僕)

拓留(家族に優しく……ちょっと間違った方向に進みかけてるのかな)

うき「まあでも……今は結衣ちゃんいないですよね」ボソッ

拓留「?」

うき「いえっ、なんでもありません。でも、拓留さんがせっかく甘えていいって言ってくれたのに、どう甘えたらいいのか……」

拓留「そんな考え込むことでもないんじゃないか? 寂しくなったり、辛いことがあったら、僕に相談するなりしてくれればいいよ」ハハハ

うき「わかりました。そうしますね」

拓留(そのときに僕は思った)

拓留(今まで毛嫌いしていたこういう家族の関係が、今では心地いいと思えている)

拓留(世界が変わったあの日から――僕は幸せな生活へとシフトしているんじゃないだろうか)

拓留(情強だのリア充だのと神経を張っているのよりはるかに楽じゃないか)

拓留(僕はずっと、こうしていたかったのかもしれないな……)



















<●><●>
   X ふふっ
















拓留「?!?!?!?!?!」
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:06:13.32 ID:Fj+iMgFp0
拓留「ど、どこだ!?」クワッ

うき「ひっ! ……た、拓留さん?」

拓留「あ、あれ……」

拓留(今確かに、視線を感じた!)

拓留(一体なんなんだ……)

うき「あの……大丈夫ですか?」

拓留「あ、ああ。ごめんな、うき。ちょっと疲れてるみたいだ」

うき「受験勉強もがんばってるんですよね。疲れてるなら部屋で休んでてください」

拓留「悪い、手伝おうとしたのに」

うき「いいんですよ、そんな怖い顔されてたら私甘えるのも怖くなっちゃいます」

拓留「はは、そうだな。じゃあ後はよろしくな」

うき「はいっ」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:08:30.41 ID:Fj+iMgFp0
〜拓留の部屋(青葉寮)〜

拓留(またあの視線……)

拓留(原因は一体なんなんだ)

拓留「……」

拓留(僕はその正体が尾上なんじゃないかと思っていた)

拓留(でも証拠がない……)

拓留(尾上がギガロマニアックスでそういうプレッシャーを与える力があるとすれば、合点がいく)

拓留「それなら僕は、どうしたらいいんだろうな」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:29:11.99 ID:Fj+iMgFp0
後日

〜未来ガジェット研究所〜

ダル「お、宮代氏、オッスオッス」

拓留「こんにちは。今日は橋田さんだけなんですね」

ダル「まあね」

ダル「早速だけど、宮代氏の依頼してくれた仕事について結果報告といくお」

拓留「おねがいします」

ダル「まず碧朋学園なんだけど、それはひょっとしてギャグで言ってるのか? てくらいにびっくりな内容だったお」

拓留「どういうことですか?」

ダル「ええと、なんかギガロマニアックスとかいう超能力者的な? 人たちの収容施設だって」

ダル「まあ収容施設っていっても、家には帰しているから完全な収容ではないわけだが」

拓留(蒼井さんの言うとおりだ)

ダル「あれ、あんまり驚いてないかんじ?」

拓留「すみません、実はその情報は噂としてですけど聞いていました」

拓留「でもそれが確証となったので、ダルさんの仕事はありがたいです」

ダル「了解だお。そんじゃギガロマニアックスについての説明は省略するお」

ダル「まず、この碧朋学園を立ち上げたやつらってのが、6年前に消滅した希テクノロジーのプロジェクトの生き残りらしくて」

ダル「それまで行っていたギガロマニアックスに関する研究を陰で続行するための施設として碧朋学園が作られたんだってさ」

ダル「学校という形でギガロマニアックスを集めることで、さまざまな能力値を集計して、プロジェクトを進行させてる」

ダル「ただ、気になるのが、この碧朋学園を取り巻く組織は希テクノロジーだけじゃないってとこ」

拓留「他にも?」

ダル「それが……アメリカのヴィクトルコンドリア大学だお」

拓留(やっぱり! これも蒼井さんのいってたとおりだ)

拓留(僕の懸念は……久野里さんの存在だけど)

拓留「そういえば……牧瀬さんもそこで研究をしていますよね」

ダル「そうだお。でもこのことはまだ牧瀬氏には言ってない。できれば黙ってて欲しいお」

ダル「牧瀬氏の所属グループにも近いとこだし、情報がいきわたってることがばれたらみんなの身があぶなくなるかもしれんからさ」

拓留「わかりました。他言無用ということで」

ダル「おk。ここまでで質問はある?」

拓留「調べていくなかで、ギガロマニアックスの覚醒について言及しているデータはありましたか?」

ダル「ギガロマニアックスの覚醒……ちょっと漁ってみるお。あ、データはあとでまとめてUSBメモリで渡すお。いざと言うときのための自動消去プログラムつき」

拓留「はは、さすがです」

ダル「まあね」


ダル「さすが宮代氏だお……いっぱい文書がでてきた」

ダル「とりま足がつかないようにしてダウンロードっと」カタッ

ダル「よし、そんじゃ、いくつか重要印が押されてるやつを開いてみるから、一緒に読んでみて」

拓留「はい」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 18:55:49.52 ID:Fj+iMgFp0
拓留「これは……『ギガロマニアックス予備軍者の覚醒について』だって……?」カチッ

ダル「やばそうな香りがプンプンだお」

拓留「ええと、『ギガロマニアックス予備軍者新設研究室東京支部――以下、碧朋学園とよぶ』」

拓留(なんて呼び名なんだ……学校とは名ばかりなのか?)

拓留「『碧朋学園では、ギガロマニアックスとして覚醒する可能性があり、

かつ精神の崩壊によって覚醒しやすい思春期の子どもたちを管理し、中等教育学校という体で調査を行うこととする。

なお、当施設は旧希テクノロジーのノアUに携わり消滅を免れた幹部数名と、ヴィクトルコンドリア大学脳科学研究所ならびに

精神生理学研究所とが共同で立ち上げたものである』」

拓留「『300人委員会が極秘裏に想定したサードメルト時の影響では、

ノアUのある渋谷において不完全な状態のギガロマニアックス――委員会はカオスチャイルド症候群者という仮称を設定していた

――が生まれることが懸念されていたが、ノアUが起動しなかったことは不幸中の幸いか、そのような子供たちはうまれなかった。

また、ギガロマニアックスであるか否かの判定は、末端組織とAH東京総合病院との共同研究による基礎データを用いた』」

拓留「AH東京総合病院だって?!」

拓留(蒼井さんと父さんが言ってた人体実験のことか?!)

ダル「あ……そこに書いてあるならAH東京総合病院についても説明したほうがよかったかも」

拓留「とりあえず他のも読んでからにします」

ダル「おk」

ダル(なかなかやばい領域に足を踏み入れてるよな僕ら)

拓留(もう引き返せない……)

拓留「これは……『実験・調査レポート』」ゴクリ

拓留「ひ、開くぞ……」カチッ

拓留「『第1回レポート。碧朋学園の新入生として多くのギガロマニアックス予備軍の子供たちを向かいいれてから三ヶ月が経過した。

彼らは今のところ、何の変哲もない少年少女のようにみえる。身体能力も学習能力も一般的なそれである』」

拓留「第1回から第7回レポートまでは同じような内容だ……」

拓留「うまくいってなかったのか?」

ダル「そう願うお」

拓留「『第8回レポート。ついに強硬手段を決行した。

進路相談などでチェックした精神的に不安定な生徒数名を地下に連れて行き、精神の崩壊を試みた。

予想通り彼らはディソードを発現し、覚醒した。実験は成功だ。

これからは同様の手段をもって強制的に覚醒させることができると考えられるため、今回覚醒した彼らは廃棄前提として複数の実験を試みた。

感覚の遮断およびブースト。リアルブートの強制。これらを行った結果、覚醒して間もない彼らは老人のような姿へと変貌してしまった。

委員会の想定したカオスチャイルド症候群者に類似している。以降は経過を見守るため、AH東京総合病院のデッドスポットにある部屋に

収容する。』」

拓留「」

ダル「」

拓留「ん? レポートの右下、そういえばすべて同じ署名がされているな……すごく小さいけど何か書いてある」

ダル「あ、ちょいまち。いま解析して拡大するお」


ダル「ええと、署名には――」






『――実験担当:和久井修一』

235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 18:58:12.29 ID:R5LeN5h0o
うわーお……死ぬわこれ
というか死んだわこれ
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 20:07:03.93 ID:Fj+iMgFp0
拓留「和久井修一って……!」

ダル「え、何。宮代氏の知り合い?」

拓留「知り合いも何も、この人は僕の部活の顧問です……」

ダル「な、なんだってー」

ダル「あ、いや、僕は至って真面目だお」

ダル「そういやさ、宮代氏も碧朋学園に通ってるってことは、こうなる可能性があったってことかお?」

拓留「そう、なりますね」

ダル「」

拓留(和久井先生……あなたは陰でこんなに非人道的なことを……)

拓留「レポートは、先月にアップロードされてる第11回が最後みたいですね」カチッ

拓留「『第11回レポート。すでに三年生は五分の一が覚醒を終えている。彼らには特別な進学先として

ヴィクトルコンドリア大学のファウンデーションコースを設けた。これで、向こうには留学という形で

サンプルを送ることが出来る。そして、現時点でまだ覚醒していない生徒の中に面白い被験者を見つけた。

第9回レポートにおいて私が報告したとおり、ギガロマニアックスには各々ことなる波動のパターンを

持っており、それが一致することはないと、独自の調査で結論付けた。今では委員会の認証待ちであるが。

さて、件の面白い被験者だが、ありえないことに、各々で異なるはずの波動パターンが一致する二者を発見した。

私の打ち出した仮説では、このようなことは、一方が他方をリアルブートした場合でないと起こりえないといえる。

ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートしたとなれば、これ以上のサンプルはない。この二人が卒業

するまでにはアクションを起こさねばならないだろう』」

拓留「ギガロマニアックスがギガロマニアックスを生み出す、てことか?」

ダル「そのギガロマニアックスの原理についてはお手上げなんだけど、妄想を現実にできるってことはわかったお」

ダル「妄想が現実になれば……それはそれは気持ちのいいことなのよ? 碇君」

拓留「はあ、自重してください」

ダル「サーセン」

拓留「和久井はこのレポートを出してから近いうちに行動を起こすってことか」

拓留「もう行動に移っている可能性もあるな……」

拓留「橋田さん、ありがとうございました。碧朋学園に関する残りのデータは持ち帰ることにします」

ダル「了解だお。そんじゃ、次は例のAH東京総合病院についてだお」

拓留「……」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 20:52:30.15 ID:Fj+iMgFp0
ダル「ほい。古いデータが多かったから、変換には骨が折れたけど、容量はたかがしれてたんで全部ダウンロードしておいたお」

拓留「ありがとうございます」

ダル「そんじゃ、好きなだけ見るといいお」スッ

拓留「……」カチッ

拓留「『本件は秘密裏に行われるものであり、一切の情報の漏洩は許されない』」

拓留「『この文書では、2009年9月現在までに行われた実験についてまとめている』」

拓留「『概要:ギガロマニアックス研究をAH東京総合病院の地下において行う。…』」

拓留「『…かねてより宗教団体を通じて被験者を集めていたが、長い間期待通りの結果は得られなかった。…』」

拓留「『…およそ人道的とはいえない内容のため、その詳細は別紙を参照のこと。…』」

拓留「『…あるとき、独自に描いたロールシャッハテスト用の画像を被験者に見せたところ、通常の人間では得られない反応を得た。…』」

拓留「『…精神的嫌悪感をその画像に対して抱くというものだ。…』」

拓留「『…これを11番目のロールシャッハとし、以降の実験でもたびたび用いた。…』」

拓留「『…外部でも使用できるよう加工が出来ればよかったのだが、モデルが見つからないため断念した。…』」

拓留「もしかして……力士シールのことか?」

拓留「この世界には力士シールがないんだったな」

ダル「なんだかオカリンみたいなこと言うのな宮代氏」

拓留「岡部さんみたいなこと?」

ダル「オカリンも時々世界がどうたらこうたらとか言ってるお。いつもの厨二病とは違う雰囲気で」

拓留「そうなんですか」

拓留(岡部さんにも世界変動と同時に記憶を維持する能力があるのだろうか)

拓留(……まさかな。いつもあんな調子の人だし)

拓留「一応、AH東京総合病院が地下で人体実験を行っていることはわかった」

拓留「それがギガロマニアックスに関することだということも」

拓留「まだ続きがあるな……」

拓留「『被験者の一覧は以下の通りである』」

拓留「これだけの人が実験されていたのか……」

拓留(そうだ、僕の名前もあるはずだ)


5102番:宮代拓留

5103番:橘結衣

5104番:橘結人


拓留「これか……」

拓留「あ、乃々の名前だ……」







5172番:来栖乃々(死去)






拓留「」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:03:14.74 ID:i+1ncdWcO
ジェットコースターに乗ってるかのような急展開
そりゃまあ本気になった委員会なら把握しててもおかしくはないだろうが
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:07:19.75 ID:Fj+iMgFp0
拓留(どういうことだどういうことだ)

拓留(乃々が死んだだって? しかも日付が2009年だ……)

拓留(そんなはずはない。乃々は今でも青葉寮で生活しているのに)

拓留(何かの間違いだ)

ダル「だ、大丈夫? 顔色悪いお」

拓留「大丈夫です……」

拓留(乃々についてリンク先がある……先のページに進むのか)

拓留(……押すぞ)カチッ


実験における逝去者

……

5172番:来栖乃々

はじめに、5172番に関しては、死因と実験は無関係であることを断っておく。

5172番は実験によって両親(3021番および3022番)を亡くしているため天涯孤独であった。

そのため、AH東京総合病院の地下に住んでいた。

ところが、第97回目の実験を前にして、何者かに頭部を殴打され死亡しているところを発見された。

凶器は発見されておらず、またこの研究は完全極秘であるため、捜査はされず、遺体は秘密裏に火葬され、共同墓地に埋葬された。

……


拓留「……」

拓留(何がなんだかわからなかった)

拓留(乃々が死んだのに生きている。僕は青葉寮で亡霊にでも会っているというのか?)

拓留(全身の力が抜ける感覚に陥った)

ダル「お、おい! しっかりしろ!」

拓留「あ、あれ……」

ダル「もう今日はやめといたほうが……」

拓留「せめてこの文書を読み終わるまでは……帰りたくありません……」

ダル「……無理はすんなお」ポンポン

拓留「はい」

拓留(僕たちに関するデータについてもう少し掘り下げられないかな……)

拓留(名前で検索してみよう)


検索結果:3件

・5102番 宮代拓留

・未覚醒リスト ……5102番宮代拓留

・脱走(?) ※権限者以外読み込めません。


拓留「脱走……父さんの言ってたことか」

拓留「橋田さん、このデータ、ロックがかかってるんですけど、解除できますか?」

ダル「んーちょいまち」


ダル「うん、これならいけそうだお。まったく僕の手にかかればお茶の子さいさいなんだから」

拓留「頼りになります」

ダル「一応ロックは解除したお。ほれ」

拓留「はい……」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:21:24.77 ID:Fj+iMgFp0
脱走(?)

※このファイルは権限コードによって開かれています。

2009年10月某日

5102番宮代拓留、5103番橘結衣、5104番橘結人の3名が何者かによって拉致された。

外部に情報が漏れることは許されないため、捜索に踏み切ることが打診されたが、委員会の通達により捜索は断念した。

彼らには簡易的な実験しか行っていなかったため、情報漏洩の可能性が低いと判断されたものと思われる。

また、特被験者6711番南沢泉理が外部の研究員と接触中に逃走したが、特被験者に関しては、催眠によって実験に関する一切を外部の人間に打ち明けることができなくなっている。これは内部のものでなければ解くことができない。

よって、6711番に関しては放置しても支障はないとした。


拓留「父さん……僕たちを助けてくれたんだな」

拓留「……」

ダル「もうやめるお。これ以上読み進めたら宮代氏が壊れるだけだって」

ダル「データはあげるから、おとなしく僕の言うことに従ったほうがいいお」

拓留「はい……もうかえって休みます」

ダル「気をつけてな」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:25:48.79 ID:Fj+iMgFp0
〜青葉寮〜

拓留「……」

拓留(もう何も考えたくない)

拓留(今日一日で得た情報は、一日の許容限界をはるかに上回っていた)

拓留「以前の僕なら……情強を気取って舞い上がっていたのかもしれないな」

拓留(もう寝よう)

拓留(疲れた)


拓留「zzzzzz」















































<●><●>おやすみなさい。




















242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 21:32:36.84 ID:Fj+iMgFp0
翌日

拓留(僕は体調不良を理由に学校を休むことにした)

拓留(もっとも、昨日の一件以来あの学園の正体を知ってしまって怖気づいているというのもある)

うき「拓留さん、入りますね」ガラッ

うき「朝ごはん作ってきました。私も学校行っちゃうので、一人になってしまいますがごめんなさい」

拓留「いや、いいんだ。そもそも今日休むのだって僕のわがままだし」

うき「体調、大丈夫ですか?」

拓留「あ、ああ……まあまあかな」

うき「結衣ちゃん心配してましたよ」

拓留「ここには来てくれてないけどな……」ハハ

うき「照れてるんですよ、きっと」

うき「それじゃ、私も行ってきますね」

拓留「ああ、いってらっしゃい」



……

…………

……………………




拓留「暇だ」


なにをする?

選択肢 >>243

@受験勉強をする
Aエンスー2であそぶ
B他の人の部屋を漁る

ポジティブ OR ネガティブ >>244
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:35:15.70 ID:ODgWKf/A0
3
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 21:36:58.49 ID:VButCz3DO
ポジティブ
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/16(木) 22:10:03.84 ID:Fj+iMgFp0
拓留「誰もいない家って、なんだか何でも出来る気がしてくるよな」

拓留「……ゴクリ」

拓留「よし、>>246の部屋に行こう」

>>246は複数指定してもいいですよ
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:12:59.48 ID:pHX7AuVso
結衣、うき、佐久間
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/16(木) 22:38:33.46 ID:R5LeN5h0o
この拓留さんはロリコンの鑑
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:34:56.25 ID:JRGvKWKe0
拓留「よし、結衣とうきと父さんの部屋にでも行ってみるか」


〜結衣の部屋〜

拓留「そういえば結衣の部屋に入るなんていままでなかったかもな」

拓留「……」

拓留「いい匂いがする」

拓留「結衣の匂いだ」

拓留「……ってなんだか僕が変態みたいじゃないか」

拓留(でも、今この部屋でなにをしても咎められないんだよな)


トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留「はあ」

結衣「拓留兄ぃ?」

拓留「うわぁあっ!!」ドタッ

結衣「だ、大丈夫?」

拓留「ななな、なんでここに?!」

結衣「それは私の台詞だよ、拓留兄ぃ」

拓留(あ、そっか)

拓留(いや、つーかお前学校は)

結衣「そ・れ・で、拓留兄ぃは私の部屋で何してたのかな?」

拓留「えっ、なにも……してないよ」

結衣「怪しいな〜」

拓留「ほ、本当だって!」

結衣「ふふっ、慌てちゃって、可愛い♪」

拓留「な、なんだよ……」

結衣「ねえ拓留兄ぃ」

結衣「ここは私の部屋なわけじゃん?」

結衣「だから私のほうが偉いの。質問に答えてね?」

結衣「『いい匂いがするなあ』とか思った?」

拓留「ぐっ……!?」

拓留(なんてことだ!)

拓留(図星じゃないか!)

結衣「ここには私がいつもはいてる下着とかお洋服があるからね〜。拓留兄ぃてばホントスケベなんだから」

拓留「もうやめてくれ……」

結衣「いいよ、別に拓留兄ぃをいじめたいわけじゃないし」

結衣「むしろプレゼントをあげようかなっ」

拓留「なん……だと……」

結衣「ちょっと目つぶってて」

拓留「わ、わかった」

拓留「……」


結衣「もういいよ〜」パサッ

拓留「ん? なんかいま僕の頭に乗せただろ」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:37:35.40 ID:JRGvKWKe0
結衣「それはね……」
































結衣「私が今脱いだぱんつなのでした!」






























拓留「な、なんだってーー!!!!」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:38:42.94 ID:JRGvKWKe0
――ブチンッ














拓留「……はっ……!」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/17(金) 20:41:32.93 ID:JRGvKWKe0
拓留(なにを考えてるんだ僕は!)

拓留(だいたい結衣は学校に行ってるだろ……)

拓留(結衣がそんなことするわけないよな)

拓留「……」

拓留(……僕はがっかりなんてしてないからな)


拓留「さすがに衣装箪笥は触らないでおこう……」

拓留「これは、写真か」

拓留(特に特筆すべき点はないよな)

拓留(結衣の部屋は、あえて言うなら普通の女の子の部屋だった)

拓留(あとは……>>252を確認して次に行こう)
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/17(金) 20:49:58.99 ID:MxmNLay3O
ベッドの下
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:44:51.07 ID:b+dEzb130
拓留(女の子はベッドの下になにを隠すんだろう)

拓留(そういえば最近ゲンさんにも会ってないし、クールキャットプレスも読んでないな)

拓留(とりあえず結衣のベッドのしたは――っと)ノゾキ

拓留「なんだこれ……ノート?」

拓留(しかも味気ない大学ノートだ。結衣がこんなもの使うなんてな)

拓留「ひ、開いてもいいのか……」

拓留「開けるぞっ」ペラッ

拓留「……これは――漫画?」

拓留(しかも手書きだな、これ)

拓留(でも漫画にしてはおかしい。台詞がない)

拓留(イラスト、だろうか)

拓留「それになんだか――」ペラッ

拓留(――いかがわしいシーンが多い気がする)

拓留(純愛モノの同人誌みたいな)

拓留(でも普通の絵もあるんだよな)ペラッ

拓留(これは……ボートに乗ってる男の子と女の子、かな?)

拓留(でも――)


拓留(――なんで女の子の顔に×印がつけられてるんだ……)


拓留(結衣はああ見えても脆い精神のはずだ)

拓留(僕の知らないところで病んでしまっているのかも)

拓留(そこからページを捲っていくと、いくつか×印のつけられた女の子の絵が見受けられた)

拓留(もっと結衣にやさしくしてあげなきゃな……)

拓留(ノートは元の場所に戻しておこう)サッ


拓留「さて、次はうきの部屋に行くか」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:47:44.81 ID:b+dEzb130
〜うきの部屋〜

拓留(乃々とか結衣が飾りつけたのか、ずいぶんと可愛らしい部屋だな)

拓留(ここでうきが生活してるんだよな……)


トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留「さて、どこから見て回ろうか――」

ゴンッ

拓留「え?」

拓留(あれ、意識が――)


拓留 ドタッ
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:48:54.93 ID:b+dEzb130
すみません

>>248>>254のトリガーがネガティブになっていたので、

トリガー ポジティブ

/////////TRIGGER ON/////////

に変更でお願いします。
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:53:08.15 ID:b+dEzb130
拓留 ウーン

拓留「あれ……僕、なにしてたんだっけ」

拓留「そうだ、うきの部屋で――」


うき「――探索、ですか?」


拓留「うわあっ!」

拓留「どどどど、どうしてうきが?!」

うき「いえ、それは私の台詞ですっ」

拓留(それもそうだな――ってデジャブな気がする)

うき「もう、女の子の部屋を探索なんてダメなんですよ? 拓留さん」

拓留「ううっ、ごめん……」

うき「ふふっ、素直な拓留さんは許してあげますっ」

拓留「悪気はなかったんだって。ただ、その……」

うき「言い訳ですか?」

拓留「なんでもありません」

拓留「ところで、さ」


拓留「どうして僕は手錠でベッドにつながれているんだ?」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:57:47.50 ID:b+dEzb130
うき「ふしんしゃだと思ったからです」

拓留「うっ」グサッ

拓留(いやいや、普通か弱い女の子は不審者をスタンさせて拘束しないだろ)

うき「そ・れ・で」

うき「私の部屋にわざわざくるなんて、拓留さんは欲求不満なんですか? ロリコンさんなんですか?」

拓留「ろりっ……そんなわけないだろ!」

うき「結衣ちゃんとあんなことしてたのに?」

拓留「いや、それは……」

うき「素直にロリコンだと認めたら、拓留さんにイイコトしてあげますよ」

拓留「なん……だと……」

拓留(待て待て、ここで認めたらいろいろ終わってしまう気がするぞ)

拓留(でもイイコトってなんだろう、気になるな……)

うき「拓留さんのためなら……私一肌脱いじゃうかも……」

拓留「僕はロリコンです!!!!」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 18:58:34.75 ID:b+dEzb130
うき「素直でよろしい、ですっ。それじゃあ拓留さんのして欲しいことしてあげますよ」

拓留「>>259してくれ全力で!!!」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 19:23:41.99 ID:xy/aqOSTO
お風呂
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 19:26:03.53 ID:U7AGgxbao
拓留さん……今のアンタは輝いてるぜ……!
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 20:25:37.88 ID:b+dEzb130
申し訳ない。お風呂でどうするのか安価出させてくれ

お風呂で>>262する
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 20:27:08.87 ID:lu7C4cs3O
洗いっこ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 20:32:15.88 ID:b+dEzb130
拓留「お風呂で洗いっこを……!」

うき「きゃー拓留さんエッチです///」

うき「でも約束だし守らなきゃ、ですよね」

うき「い、行きましょ? 拓留さん……」

拓留(もう引き返せないぞうき!)
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 20:39:11.99 ID:U7AGgxbao
行くぞ山添!やるぞ山添!もう戻れないぞ山添!
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 20:42:09.31 ID:b+dEzb130
〜風呂場(青葉寮)〜

うき「そ、それじゃっ、最初は私が……」

拓留「おおおおおおおおおお願いします」

うき「背中、流しますね」ザバーッ

うき「んしょ、っんしょ」ゴシゴシ

拓留(くっ……うきの声しか聞こえないがなんていい空間なんだ!)

うき「きもちっ、いいっ、ですかっ?」ゴシゴシ

拓留「! ……あ、ああ、気持ちいいよ」

拓留(へ、変な気を起こしそうだ)

うき「そそ、そうでした、洗いっこだから……拓留さんもしてくれなきゃだめですっ」

拓留「え?」

うき「私の背中も洗ってください」

拓留「」


拓留 ゴシゴシ

うき「っ、ちょっと痛いです、拓留さん」

拓留「あ、ああ、ごめん」

拓留(なんだこれ)

拓留(うきの背中――なんて小さいんだ)

拓留(後ろを向いてるから前は――見えないよな)

拓留(……)

拓留(……いけるか? 触っちゃうか?)

拓留(ええい、ままよ! 行くんだ宮代拓留!)バッ

うき「えっ?」

拓留 フニッ

うき「は、はわわわわわ……!」

拓留「ふっ」





















拓留「宮代、最高――――ッ!!!」ドッカーン










イメージ:https://www.youtube.com/watch?v=huOVgE5Q5tM
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/18(土) 20:43:51.20 ID:b+dEzb130
イメージ動画はhttp://www.youtube.com/watch?v=ExTfvBBsEPgでもいいです。

>>264それ使えばよかったorz
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/18(土) 22:13:34.48 ID:b+dEzb130
個人的な都合で明日から5日くらいネットが使えません。お待ちください。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 22:41:02.50 ID:U7AGgxbao
まってる
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:00:33.67 ID:m0SVL0iu0
再開します。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:01:28.20 ID:m0SVL0iu0
――ブチンッ














拓留「……はっ……!」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:06:24.88 ID:m0SVL0iu0
拓留「……」

拓留(今のは――犯罪だな)

拓留(さて、部屋を見て回ろう)


拓留「……これは、写真だな」

拓留「結衣と結人に、それからうきか」

拓留「仲良く、やってるんだな」

拓留(もう僕たちは家族になれてると考えていいのだろうか)

拓留「うーん、見た感じ表面上は特に変なものとかはないよな……」

拓留「とりあえず>>272でも見てみるか」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/24(金) 18:25:39.88 ID:gNWUbGdMO
本棚
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 00:03:43.31 ID:I2HHqhvq0
拓留(本棚があるな……結衣たちが買ってきたのか)

拓留(少女マンガがあるな)

拓留(あとは問題集、か)

拓留(もう少し良く見てみよう)ゴソゴソ

拓留(あ、何冊かノートがあるな)

拓留(結衣の部屋にあったノートは――なんだか病んでいるようなオーラを纏っていたけど)

拓留(……あけてみるか)ゴクリ

パサッ

『日記帳 山添うき』

1日目:
今日から日記をつけようと思います。青葉寮で家族に囲まれて私は幸せです。

2日目:
今日は新しい料理に挑戦してみました。口に合うかわからなくて不安だったけど、みんなおいしいと言ってくれたのでうれしかったです。

3日目:
昨日は怖い夢を見てしまいました(><)小さい頃いた病院みたいなところで、お父さんと一緒にいました。あ、お父さんって言うのは、いま青葉寮でお世話になってる熊みたいなおじさんのことです。あー怖かった。夢でよかったなあ。

4日目:
どうしましょう。私は今慌てています。心臓がドキドキしてます。夜中にトイレに行ったら、拓留さんのお部屋から変な声が聞こえて、悪いことだと思ったけど覗いちゃいました。そこでは結衣ちゃんと拓留さんが――って、恥ずかしくて日記にはかけません。結衣ちゃんと拓留さんは付き合っているのかな。でも血がつながっていないとはいえ兄弟です。いいのかな。私にはよくわかりません。今日は眠れなさそう……。


拓留(見た感じ普通の日記だよな……)

拓留(結衣とのこともばれてるけど)

拓留(もう少し読み進めてみるか)
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/25(土) 00:17:02.92 ID:I2HHqhvq0
19日目:
拓留さんが顔色を悪くして帰ってきました。すごく心配です。これから受験なのに変なストレスをかけないように私も気をつけなくっちゃ。拓留さんは頭がいいんだと思います。私の知らないことをいっぱい知ってるし。それに最近は優しいお兄さんって感じで、一緒にいると安心します。私が拓留さんのためにできることってなんだろう。

20日目:


拓留(今日の分は、まだみたいだな。そりゃそうか)

拓留(僕のことを気遣っていてくれてるんだな)

拓留(結衣といいうきといい、僕は幸せ者だ)

拓留(……そういえば、うきはギガロマニアックスだったりするのだろうか)

拓留(でも確かめる手段はないよな)

拓留(――いや、碧朋の中等部かどうかを聞けばいいんだ)

拓留(あいつが帰ってきたら聞いてみよう)

拓留(もしうきがギガロマニアックスなら、この家は父さん以外全員じゃないか)

拓留「……」


安価選択肢>>275

うきの部屋の物色を続ける OR 次に行く
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 00:25:05.51 ID:S9xkgm4cO
続ける
276 :全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様 [二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]:2017/03/25(土) 07:26:28.58 ID:0sbE9dhi0
ようこそ恋ヶ崎女子で艦これ修復液で1000隻拡張コラボイベント始まる
277 :全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様 [二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]:2017/03/25(土) 07:30:26.68 ID:0sbE9dhi0
之深く考えると野呂瀬がチャット仲間なの?
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 11:24:32.61 ID:I2HHqhvq0
拓留「もう少し続けてみよう」

拓留(本棚を入念に……)ガサゴソ

拓留(ん? なんだこれ)ゴソゴソ


『南沢泉理』


拓留「ID……カード?」

拓留「南沢泉理――どこかで見た名前な気がする」

拓留「南沢……泉理……」

拓留「……!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

――南沢泉理が外部の研究員と接触中に逃走したが、特被験者に関しては、催眠によって実験に関する一切を外部の人間に打ち明けることができなくなっている。これは内部のものでなければ解くことができない。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


拓留「この前の資料にあった名前だ……!」

拓留「で、でも、なんでこんなところに……」

拓留「このカードは恐らくうきのものじゃない。だとすると――」

拓留「だれかがここに置いた、もしくは忘れていった――」

拓留「でもそんな……」

拓留(それじゃあこの家に第三者が侵入したってことじゃないか!)

拓留「……」

拓留「このカードは回収しておこう」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

5172番:来栖乃々

はじめに、5172番に関しては、死因と実験は無関係であることを断っておく。

5172番は実験によって両親(3021番および3022番)を亡くしているため天涯孤独であった。

そのため、AH東京総合病院の地下に住んでいた。

ところが、第97回目の実験を前にして、何者かに頭部を殴打され死亡しているところを発見された。

凶器は発見されておらず、またこの研究は完全極秘であるため、捜査はされず、遺体は秘密裏に火葬され、共同墓地に埋葬された。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


拓留「ッ!!!」

拓留(思い出してしまった……ずっと目を逸らそうとしてたのに)

拓留(乃々が死んだって――そんなわけないじゃないか)

拓留(ここで暮らしているんだぞ?)

拓留(一体どういうことなんだろう)
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/25(土) 11:30:09.48 ID:I2HHqhvq0
〜佐久間の部屋〜

拓留(とうとう来てしまった……)

拓留(父さんの部屋――案外すんなり入れたけど中身についてはこれからだな)

拓留(興味本位で入ったけど、極秘資料とかあったりするんだろうか)

拓留「……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ダル「もうやめるお。これ以上読み進めたら宮代氏が壊れるだけだって」

ダル「データはあげるから、おとなしく僕の言うことに従ったほうがいいお」

拓留「はい……もうかえって休みます」

ダル「気をつけてな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


拓留「はは、いや、まさか、な」

妄想トリガー発動

ポジティブ OR ネガティブ >>280
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/25(土) 13:01:56.97 ID:gX9GjABH0
ネガティブ
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/30(木) 21:06:09.79 ID:3relU6wH0
トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留「と、取り合えず書類を片っ端から漁るか……」

拓留 ペラッ ペラッ

拓留(この辺は医学関連だな。大学に関するものらしいけど、もしかして父さんは大学で研究してたりしたのだろうか)

拓留(医学、か)

拓留(ギガロマニアックス研究は病院の地下で行われていた。そこには医学に従事する人間だって多くいたはずだ)

拓留(父さんはそこから僕たちを連れ出してくれたんだよな)

拓留(この段は全部医学の――といってもギガロマニアックスとは関係ない小児科か何かの資料だな)

拓留(次の段にいってみるか)ゴソゴソ

拓留「これは……タイトルがない資料? 何かのリストみたいだけど」ペラッ

被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX
被験者 ―――― 死亡 200X/XX/XX

拓留「これって……! は?」

被験者 宮代拓留 死亡 200X/XX/XX

拓留「ぼ、僕が死んだって……そんなのは嘘だ! 現に僕はこうして生きて――」

世莉架「タクは死んでるよ♪ とっくにね」

拓留「尾上?! お前いつ戻ってきたんだよ!」

世莉架「タクったらひどいんだもん。私のこと置き去りにして遠くに行っちゃうんだからさ」

拓留「何を言って……」

世莉架「そのせいで死んじゃった♪ でもタクが悪いんだよ? だからタクも死んだの。因果応報ってやつ?」

拓留「嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ! 嘘だといってくれ!!」

世莉架「もう、甘えちゃだーめ」

世莉架「タクはこれから死ぬよりも辛い地獄を味わうんだよ……」

拓留「うわああああああああああああああああああああああああ」









――ブチンッ

282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/30(木) 21:10:35.00 ID:3relU6wH0
拓留「かはあっ……。い、いつもの、か」

拓留(どうしようもない癖、だな)

拓留(あんなのはめちゃくちゃだ)

拓留「……」

拓留(乃々が死んでいるって言うのは一体どういうことだったんだろう。未だに僕はその情報で混乱しているのかもしれない)

拓留(父さんの部屋の物色を続けよう)

安価選択肢>>283

佐久間の書斎のセキュリティは
@甘い
A手ごわい
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 22:00:48.19 ID:Z8j315Feo
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 22:01:52.04 ID:GVVTGdxBO
甘い
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 11:32:48.95 ID:3AhcaWhK0
拓留「あれ……」

拓留(机の下の奥に引き出しがあるな)

ガチャッ ガチャッ

拓留「開かない……」

拓留(開いてくれ、頼む!)

ガチャン ガラララ

拓留「あ、開いた」

拓留(これも、ギガロマニアックスの力なのか?)

拓留(いや、待てよ)

拓留(そもそもこの能力って第三者がいないと発動できないよな)

拓留「……」


妄想トリガー発動>>286

ポジティブ OR ネガティブ
286 :全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様 [二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]:2017/04/04(火) 11:40:57.55 ID:TFexvPJf0
ボジティブ西條拓巳×岸本あやせ編開始
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 14:22:45.35 ID:rJYUQZKvO
ネガティブ
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:32:30.84 ID:3AhcaWhK0
>>287採用していきますね。
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:45:30.19 ID:3AhcaWhK0
トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留(誰かが、いる……?)



<●><●>



拓留「ひぃっ!!」

ガツンッ

拓留(あ、足をかけられた……!? まずい、倒れる)

拓留「くぅっ」バタッ

拓留「一体何が――」

??? ガシッ

拓留(く、首絞めかっ)

拓留「かはぁっ!」

??? ググググ

拓留(眼鏡がどっかいったせいで、相手の顔がわからない!)

拓留(目が慣れるのを待つしかないのか!)

拓留「だ……れ、だ」

???「……クの、せ……だ」

拓留「ぇ?」

拓留(意識が――)




???「タクが全部悪いんだ」<●><●>



拓留(もう、だめだ……)

拓留(そうして僕は深く永い眠りへとつくのだった)


――ブチンッ
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:50:48.98 ID:3AhcaWhK0
拓留(お、尾上がいたりするのか?)

拓留(後ろに誰か――)

???「こんなとこでなにしてんの?」

拓留「うわああああああああああああああああっ!!」

???「ひぇっ!? た、拓留兄ちゃん!?」ビクッ

拓留「え? あれ?」

拓留「な、なんだ結人か。脅かすなよ」

結人「拓留兄ちゃんこそ。というか僕怖かったんだからね。家に帰ってきたらお父さんの部屋から物音がするから泥棒かと思ったんだよ?」

拓留「そ……そうだったのか」

拓留(というより、もうそんな時間だったんだな)

拓留(能力は結人がいることで発動したのか)

結人「こんなとこで、何か探しもの?」

拓留「え? あ、いや、その……」

拓留(誤魔化すしかないよな)

拓留「そうなんだよ。父さんに探すよう言われた書類があってさ。それで」

結人「ふーん。そうなんだ」

結人「それじゃあ僕は部屋に戻るね」

拓留「ああ」


拓留「死ぬかと思った……」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:07:12.02 ID:cogeM6L90
拓留(そもそもあの視線の正体は一体なんだろう)

拓留(尾上が正体だって言うのは、実は僕の勝手な思い込みだったりするんだよな)

拓留(本当、どこいったんだよあいつは)


拓留「さて、結衣たちまで帰ってくるとやっかいだから物色を急ごう」

拓留(はは、なんて日本語だよ)


拓留「さっき開いた引き出しの中に資料らしき書類がたくさんあったな」ガサゴソ

拓留(父さんはなんで僕たちのことを気にかけてくれたんだろう。他にも実験の被験者はたくさんいるはずなのに)

拓留「鍵をかけてあるくらいだからもしかしたらとは思ったけど……、これって大学の講義とかで配られる紙なんじゃないのか? 変色がすごいし、父さんの学生時代のものかな」

拓留「こんなものを取っておくなんて、父さんにもそういう面があるのか」ハハ

拓留「まあ、やっぱり怪しい資料なんて、ない――」

拓留(いや)

拓留(いま資料の間を掻き分けて、僕の視界が何かを捉えた)

拓留「……」ガサゴソ

拓留「これは……」

拓留(明らかにおかしいほどホチキス――本来はステープラーというのが正しい――で封、というより封印されたようなファイルがある……)

拓留(なんだこれ。ホチキスってこういう使い方はしないだろう)

拓留「くっ……!」

拓留(これを開いてはいけないと、脳が訴えている気がする)

拓留(でも、僕は――)


バリバリ


『<極秘> ギガロマニアックス研究 研究者手引』


拓留「……」

拓留(一見ふざけているのかと思うようなタイトルではあるが、それを<極秘>という妙にインクのにじんだ印字が奇妙なものへと変貌させている)

拓留「……」ペラッ

拓留(冒頭は研究の概要について書かれているな。この辺は橋田さんと見た内容と同じみたいだ)

拓留(すくなくともこれで、父さんはこの研究になんらかのかたちで関与していたということになる)

拓留(……)

拓留(なんだよ、なんなんだよ、これ。僕にもよくわからないけど、何か胸騒ぎがする)


『〜研究者一覧〜』


……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
…………佐久間恒
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:15:10.69 ID:cogeM6L90
拓留「……くそっ!!」ダンッ

拓留(どうして!! どうしてこうもひどい現実が僕を待ち構えているんだ!!)

拓留(父さんはギガロマニアックスの研究にたずさわっている人物だった)

拓留(それだけでなく、どのような実験を行い、どれほどの人間を壊してきたかまで僕は知った)

拓留(知りたくなかった)

拓留(父さんは、恐らく僕たちを助けるために研究から引き離したんじゃない……)

拓留(この青葉寮の人間は父さん以外全員ギガロマニアックスじゃないか)

拓留(結論付けたくない。最早家族として機能しない、いや、最初から機能なんてしてなかったことを知った今、父さんの真の目的なんて考えたくない)

拓留(この部屋を片付けなきゃ)

拓留(父さんの部屋を物色して真実を知った僕は殺されるのか?)

拓留(いやだ、死にたくない)

拓留(――なんで死にたくないんだ? 僕は)

拓留(いっそここで――)

拓留(……)


拓留(僕は取り出した資料等を戻すだけの復元をし、父さんの部屋を出た)

拓留(気づけば自分の部屋に戻っていた)

拓留「もう、寝よう」バタッ

拓留「おやすみなさい」

拓留(僕がふたたび目覚めることはあるのか?)

拓留(もう考えたくもないや)

拓留「……zzzZZZ」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:17:00.59 ID:cogeM6L90
「……きて! ……お……て!」

――なんだよ、うるさいな。

「……おき……く……」

――もう少し、いや、ずっと寝かせてくれよ。

「……起きて! 起きなさい拓留!」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:19:33.60 ID:cogeM6L90
拓留「……なんだよ」

来栖「やっと起きたわね、拓留。さっきから何回起こしたかわかってるの?」

拓留「……知らないよ。大体、僕を無理やり起こす理由なんてないだろ」

来栖「落ち着いて聞いてちょうだい……」

拓留(僕の言うことはスルーか)

拓留(それになんだよ、急に。乃々らしくもない)



来栖「父さんが……死んだわ」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:26:46.35 ID:cogeM6L90
拓留(乃々はただ、父さんが死んだという事実を僕に聞かせた)

拓留(結衣たちも相当なショックを受けていて、詳しく聞こうとしてもなにもわからなかった)

拓留(乃々にしつこく聞いたら――)


来栖「事件、らしいの」


拓留(――そうボソッと言ったっきりふらふらと結衣たちのもとへ歩いていってしまった)

拓留(……)

拓留(一体僕の周りで何が起きている?)

拓留(世界が再構成されてから、僕は平和な世界を生きていけるもんだとどこかで思っていた)

拓留(でも現実は結局誰かを殺さなきゃ気がすまないらしい)

拓留(青葉寮は長い時間、沈黙が守られた)

拓留(そんな状況を打破したのは久野里さんからの電話だった。僕のスマホにだ)


拓留「もしもし」

久野里「私だ。事件についてはもう聞いているか?」

拓留「いえ、なにも。乃々は話してくれませんし」

久野里「そうか。お前は動揺していないように感じられるが?」

拓留「そうですかね」

久野里「……まあいい。じきに神成さんがそちらに着く。そこで詳しく聞いてくれ」

拓留「わかりました」


ブツッ プーッ プーッ


拓留「……」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/05(水) 03:41:36.05 ID:zYHdLiKbo
LCCでもシリアスを避けられずスレでもシリアスを避けられない拓留さんカワイソス
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/06(木) 00:02:28.13 ID:su1zWHn20
神成「その……身近な――いや、ご家族のことで詳細を伝えられるのは辛いかもしれないが、聞いてくれるね?」

拓留「はい」

拓留(父さんが死んだ――殺されたっていうのに、僕は全然悲しんでいない。父さんの残酷な真実を知ったからだろうか)

拓留(それでも、家族として過ごした時間は確かにあったはず……)

拓留(今となっては父さんの真意を知ることはできない)

神成「青葉医院の佐久間恒医師は、今日の昼過ぎに遺体として発見された。場所は渋谷駅からすこしはなれた路地だ」

神成「死亡推定時刻は今日の午前十時から十一時の間だ。そして、肝心な遺体の状態なんだが……」

拓留「神成さん……」

神成「死因は失血死だ。結論を言えば佐久間医師は殺された。その方法が、――」

神成「腹を裂かれるというものだったんだ……」

拓留「……!」

神成「そして、もう一つ、事件の残虐性を知らしめる事実がある」

神成「佐久間医師の裂かれた腹の中には、胎児が入れられていたんだ」

拓留(まさか?!)

拓留「それって、もしかして6年前のニュージェネの妊娠男のようなものですか?」

神成「あ、ああ。不謹慎だが似ていると言えるかもしれないな。もっとも、今回は丁寧に縫合なんてされていないし、我々警察から見ると、雑な殺し方のように感じられる」

神成「恐らく初犯なのではと思う。力もそこまでない、人間なんてものを刃物でどうこうするなんて本来できもしないような人間が起こしたのでは、と勝手な推測は立てている」

神成「警察は今全力で捜査を進めてはいるんだが……なにせ証拠といえるものが全然ないんだ」

拓留「荒々しい手口にもかかわらず、ですか?」

神成「ああ、そうだ。まるで現場の証拠を綺麗さっぱり持ち去ったか、あるいは――」

神成「――消し去ってしまった、とか。僕の単純な脳ではそうとしか考えられなくてな」

拓留「そうですか……」

拓留(証拠隠滅を現場に接触しないで消す方法なんてあるのだろうか)

拓留(どうにもひっかかるものがあるような、そんな気分だ)

神成「そろそろ僕は戻ることにする。また詳細がわかれば、君には伝えよう」

拓留「わかりました」

神成「佐久間医師のご冥福をお祈りするよ」

拓留「……」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/06(木) 01:00:41.51 ID:M5+z/J/2O
尾上の動向がわからんすぎてアレ
見なさすぎて空気感
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 00:44:31.99 ID:Wmk/ZlWL0
拓留(父さん……いや、佐久間の葬儀は青葉寮の面子だけでひそかに行った)

拓留(来栖はひたすら泣きじゃくっていて、結人も一緒だった)

拓留(結衣は悲しそうな顔はしていたものの、泣いてはいなかった。いつの間にか強くなっていたらしい)

拓留(うきは今にも泣きそうなのを必死でこらえていた)

拓留(そして僕は……無感情にそのときを過ごした)
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 00:55:13.93 ID:Wmk/ZlWL0
後日

〜新聞部部室〜

拓留「……」

有村「あ〜あ、ここ最近新聞部って新聞だしてなくないっすか? これじゃあただのたまり場ですよ、宮代先輩」

拓留「そうはいってもな……」

有村「いえ、ごめんなさい。宮代先輩の家は今大変でしたね」

拓留「気にしないでくれ。まあ、新聞部に関しては、もう僕ら3年生の役目は終わりってことでいいとも思ってるんだよな」

伊藤「俺らも引退かー。でも宮代、引き継ぐ後輩なんているのか?」

伊藤「香月はまだ1年生だし、出来ればそういうのって2年生にしたいよな」

香月「ん」

拓留「新聞部の2年生、ね」

拓留(本来なら尾上の役割なんだ、それは)

伊藤「って、そうか。尾上は、今いないんだもんな。悪い」

有村「なんかこう、どよーんとした感じで嫌です、最近は。誰も悪くないのに」

拓留(誰も悪くない、か)

伊藤「しっかし、尾上のやつ、そろそろでてこいよなー。案外あるとき突然ひょっこり顔だしたりしてな」

有村「そしたら思いっきり飛びついてスリスリしてやろっと」

拓留「はは……」

コンコン

拓留「ん? 誰だろう」

拓留「どうぞ」

ガチャ

神成「宮代君。先日の事件のことで話があるんだ、ちょっといいかい?」

拓留「それでしたら、青葉寮でゆっくり話を聞かせてください」

神成「わかった。車で送ろう」

拓留「みんな、今日は解散ということにしてくれ」

有村「おっすー」

伊藤「りょーかい」

香月「ん」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:02:29.24 ID:Wmk/ZlWL0
〜青葉寮〜

神成「遺体に胎児が入れられていたことはこの前話しただろう? その件で妙なことがあるんだ」

拓留「どういうことですか?」

神成「胎児の身元を、出来る限り手を尽くして見つけようとしたんだが」

神成「DNA鑑定を用いることになってな、両親として考えうる遺伝子を探せないかと考えたんだ」

神成「最初、我々はだめもとで警察の把握するデータと照合した。すると、だ」

神成「なんと一致するデータが見つかったんだ」

拓留「それじゃあ、その胎児の親が見つかるかもしれないんですね」

神成「あ、ああ……」

拓留(その話をなぜ僕にするんだろう)

拓留(胸騒ぎがする。神成さんはなんでこんなに苦虫を噛み潰したような顔をしているんだ)

神成「その、胎児の親と思しきDNAなんだが――」





















神成「父親は宮代拓留君、君なんだ」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:11:11.14 ID:Wmk/ZlWL0
神成「最初は目を疑ったが、どう考えても科学的には君以外ありえないのだそうだ」

神成「母親のDNAについては未だわからずじまいだ。一致するデータが見つかっていなくてな」

神成「だが君は違った。宮代君は渋谷地震の際になくなった両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」

神成「そして、その情報と胎児のものが重なったということなんだ」

拓留「……」

拓留(僕に……子どもだって? そんなバカな)

拓留「ありえませんよ。僕は誰かと子どもをもうけたりしてません」

神成「そういうと思っていたよ。だから我々も理解できないんだ」

神成「いるはずのない君の子どもが実際に存在していた。ということになる」

神成「僕としても、どうしたらいいのか……」

拓留(子作りをしていないのに生み出すなんて不可能だ。生物学的にも)

拓留(そう、原因なしに結果は存在しないから)

拓留(もし神成さんたちが調べた結果が事実なら、必ず原因があるはずだ)

拓留(考えろ……宮代拓留)

神成「今日君に伝えたかったのはこの件だけだ。あまり思い出させても辛いだろうし、僕は帰るとするよ」

拓留(できるはずのない赤ん坊を生み出す……。くそっ、想像つかないぞそんなこと!)

拓留(いくら思い描いたって――)


拓留(――!)


拓留「神成さん!!」

神成「お、ああ、宮代君か。どうしたんだい」

拓留「すみません、久野里さんに会わせてください!」
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