【安価】世莉架「安価でタクを楽しませちゃうよ」【CHAOS;CHILD】

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284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/30(木) 22:01:52.04 ID:GVVTGdxBO
甘い
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 11:32:48.95 ID:3AhcaWhK0
拓留「あれ……」

拓留(机の下の奥に引き出しがあるな)

ガチャッ ガチャッ

拓留「開かない……」

拓留(開いてくれ、頼む!)

ガチャン ガラララ

拓留「あ、開いた」

拓留(これも、ギガロマニアックスの力なのか?)

拓留(いや、待てよ)

拓留(そもそもこの能力って第三者がいないと発動できないよな)

拓留「……」


妄想トリガー発動>>286

ポジティブ OR ネガティブ
286 :全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様 [二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]:2017/04/04(火) 11:40:57.55 ID:TFexvPJf0
ボジティブ西條拓巳×岸本あやせ編開始
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/04(火) 14:22:45.35 ID:rJYUQZKvO
ネガティブ
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:32:30.84 ID:3AhcaWhK0
>>287採用していきますね。
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:45:30.19 ID:3AhcaWhK0
トリガー ネガティブ

/////////TRIGGER ON/////////

拓留(誰かが、いる……?)



<●><●>



拓留「ひぃっ!!」

ガツンッ

拓留(あ、足をかけられた……!? まずい、倒れる)

拓留「くぅっ」バタッ

拓留「一体何が――」

??? ガシッ

拓留(く、首絞めかっ)

拓留「かはぁっ!」

??? ググググ

拓留(眼鏡がどっかいったせいで、相手の顔がわからない!)

拓留(目が慣れるのを待つしかないのか!)

拓留「だ……れ、だ」

???「……クの、せ……だ」

拓留「ぇ?」

拓留(意識が――)




???「タクが全部悪いんだ」<●><●>



拓留(もう、だめだ……)

拓留(そうして僕は深く永い眠りへとつくのだった)


――ブチンッ
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/04(火) 23:50:48.98 ID:3AhcaWhK0
拓留(お、尾上がいたりするのか?)

拓留(後ろに誰か――)

???「こんなとこでなにしてんの?」

拓留「うわああああああああああああああああっ!!」

???「ひぇっ!? た、拓留兄ちゃん!?」ビクッ

拓留「え? あれ?」

拓留「な、なんだ結人か。脅かすなよ」

結人「拓留兄ちゃんこそ。というか僕怖かったんだからね。家に帰ってきたらお父さんの部屋から物音がするから泥棒かと思ったんだよ?」

拓留「そ……そうだったのか」

拓留(というより、もうそんな時間だったんだな)

拓留(能力は結人がいることで発動したのか)

結人「こんなとこで、何か探しもの?」

拓留「え? あ、いや、その……」

拓留(誤魔化すしかないよな)

拓留「そうなんだよ。父さんに探すよう言われた書類があってさ。それで」

結人「ふーん。そうなんだ」

結人「それじゃあ僕は部屋に戻るね」

拓留「ああ」


拓留「死ぬかと思った……」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:07:12.02 ID:cogeM6L90
拓留(そもそもあの視線の正体は一体なんだろう)

拓留(尾上が正体だって言うのは、実は僕の勝手な思い込みだったりするんだよな)

拓留(本当、どこいったんだよあいつは)


拓留「さて、結衣たちまで帰ってくるとやっかいだから物色を急ごう」

拓留(はは、なんて日本語だよ)


拓留「さっき開いた引き出しの中に資料らしき書類がたくさんあったな」ガサゴソ

拓留(父さんはなんで僕たちのことを気にかけてくれたんだろう。他にも実験の被験者はたくさんいるはずなのに)

拓留「鍵をかけてあるくらいだからもしかしたらとは思ったけど……、これって大学の講義とかで配られる紙なんじゃないのか? 変色がすごいし、父さんの学生時代のものかな」

拓留「こんなものを取っておくなんて、父さんにもそういう面があるのか」ハハ

拓留「まあ、やっぱり怪しい資料なんて、ない――」

拓留(いや)

拓留(いま資料の間を掻き分けて、僕の視界が何かを捉えた)

拓留「……」ガサゴソ

拓留「これは……」

拓留(明らかにおかしいほどホチキス――本来はステープラーというのが正しい――で封、というより封印されたようなファイルがある……)

拓留(なんだこれ。ホチキスってこういう使い方はしないだろう)

拓留「くっ……!」

拓留(これを開いてはいけないと、脳が訴えている気がする)

拓留(でも、僕は――)


バリバリ


『<極秘> ギガロマニアックス研究 研究者手引』


拓留「……」

拓留(一見ふざけているのかと思うようなタイトルではあるが、それを<極秘>という妙にインクのにじんだ印字が奇妙なものへと変貌させている)

拓留「……」ペラッ

拓留(冒頭は研究の概要について書かれているな。この辺は橋田さんと見た内容と同じみたいだ)

拓留(すくなくともこれで、父さんはこの研究になんらかのかたちで関与していたということになる)

拓留(……)

拓留(なんだよ、なんなんだよ、これ。僕にもよくわからないけど、何か胸騒ぎがする)


『〜研究者一覧〜』


……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
……………………
…………佐久間恒
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:15:10.69 ID:cogeM6L90
拓留「……くそっ!!」ダンッ

拓留(どうして!! どうしてこうもひどい現実が僕を待ち構えているんだ!!)

拓留(父さんはギガロマニアックスの研究にたずさわっている人物だった)

拓留(それだけでなく、どのような実験を行い、どれほどの人間を壊してきたかまで僕は知った)

拓留(知りたくなかった)

拓留(父さんは、恐らく僕たちを助けるために研究から引き離したんじゃない……)

拓留(この青葉寮の人間は父さん以外全員ギガロマニアックスじゃないか)

拓留(結論付けたくない。最早家族として機能しない、いや、最初から機能なんてしてなかったことを知った今、父さんの真の目的なんて考えたくない)

拓留(この部屋を片付けなきゃ)

拓留(父さんの部屋を物色して真実を知った僕は殺されるのか?)

拓留(いやだ、死にたくない)

拓留(――なんで死にたくないんだ? 僕は)

拓留(いっそここで――)

拓留(……)


拓留(僕は取り出した資料等を戻すだけの復元をし、父さんの部屋を出た)

拓留(気づけば自分の部屋に戻っていた)

拓留「もう、寝よう」バタッ

拓留「おやすみなさい」

拓留(僕がふたたび目覚めることはあるのか?)

拓留(もう考えたくもないや)

拓留「……zzzZZZ」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:17:00.59 ID:cogeM6L90
「……きて! ……お……て!」

――なんだよ、うるさいな。

「……おき……く……」

――もう少し、いや、ずっと寝かせてくれよ。

「……起きて! 起きなさい拓留!」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:19:33.60 ID:cogeM6L90
拓留「……なんだよ」

来栖「やっと起きたわね、拓留。さっきから何回起こしたかわかってるの?」

拓留「……知らないよ。大体、僕を無理やり起こす理由なんてないだろ」

来栖「落ち着いて聞いてちょうだい……」

拓留(僕の言うことはスルーか)

拓留(それになんだよ、急に。乃々らしくもない)



来栖「父さんが……死んだわ」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/05(水) 00:26:46.35 ID:cogeM6L90
拓留(乃々はただ、父さんが死んだという事実を僕に聞かせた)

拓留(結衣たちも相当なショックを受けていて、詳しく聞こうとしてもなにもわからなかった)

拓留(乃々にしつこく聞いたら――)


来栖「事件、らしいの」


拓留(――そうボソッと言ったっきりふらふらと結衣たちのもとへ歩いていってしまった)

拓留(……)

拓留(一体僕の周りで何が起きている?)

拓留(世界が再構成されてから、僕は平和な世界を生きていけるもんだとどこかで思っていた)

拓留(でも現実は結局誰かを殺さなきゃ気がすまないらしい)

拓留(青葉寮は長い時間、沈黙が守られた)

拓留(そんな状況を打破したのは久野里さんからの電話だった。僕のスマホにだ)


拓留「もしもし」

久野里「私だ。事件についてはもう聞いているか?」

拓留「いえ、なにも。乃々は話してくれませんし」

久野里「そうか。お前は動揺していないように感じられるが?」

拓留「そうですかね」

久野里「……まあいい。じきに神成さんがそちらに着く。そこで詳しく聞いてくれ」

拓留「わかりました」


ブツッ プーッ プーッ


拓留「……」
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/05(水) 03:41:36.05 ID:zYHdLiKbo
LCCでもシリアスを避けられずスレでもシリアスを避けられない拓留さんカワイソス
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/06(木) 00:02:28.13 ID:su1zWHn20
神成「その……身近な――いや、ご家族のことで詳細を伝えられるのは辛いかもしれないが、聞いてくれるね?」

拓留「はい」

拓留(父さんが死んだ――殺されたっていうのに、僕は全然悲しんでいない。父さんの残酷な真実を知ったからだろうか)

拓留(それでも、家族として過ごした時間は確かにあったはず……)

拓留(今となっては父さんの真意を知ることはできない)

神成「青葉医院の佐久間恒医師は、今日の昼過ぎに遺体として発見された。場所は渋谷駅からすこしはなれた路地だ」

神成「死亡推定時刻は今日の午前十時から十一時の間だ。そして、肝心な遺体の状態なんだが……」

拓留「神成さん……」

神成「死因は失血死だ。結論を言えば佐久間医師は殺された。その方法が、――」

神成「腹を裂かれるというものだったんだ……」

拓留「……!」

神成「そして、もう一つ、事件の残虐性を知らしめる事実がある」

神成「佐久間医師の裂かれた腹の中には、胎児が入れられていたんだ」

拓留(まさか?!)

拓留「それって、もしかして6年前のニュージェネの妊娠男のようなものですか?」

神成「あ、ああ。不謹慎だが似ていると言えるかもしれないな。もっとも、今回は丁寧に縫合なんてされていないし、我々警察から見ると、雑な殺し方のように感じられる」

神成「恐らく初犯なのではと思う。力もそこまでない、人間なんてものを刃物でどうこうするなんて本来できもしないような人間が起こしたのでは、と勝手な推測は立てている」

神成「警察は今全力で捜査を進めてはいるんだが……なにせ証拠といえるものが全然ないんだ」

拓留「荒々しい手口にもかかわらず、ですか?」

神成「ああ、そうだ。まるで現場の証拠を綺麗さっぱり持ち去ったか、あるいは――」

神成「――消し去ってしまった、とか。僕の単純な脳ではそうとしか考えられなくてな」

拓留「そうですか……」

拓留(証拠隠滅を現場に接触しないで消す方法なんてあるのだろうか)

拓留(どうにもひっかかるものがあるような、そんな気分だ)

神成「そろそろ僕は戻ることにする。また詳細がわかれば、君には伝えよう」

拓留「わかりました」

神成「佐久間医師のご冥福をお祈りするよ」

拓留「……」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/06(木) 01:00:41.51 ID:M5+z/J/2O
尾上の動向がわからんすぎてアレ
見なさすぎて空気感
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 00:44:31.99 ID:Wmk/ZlWL0
拓留(父さん……いや、佐久間の葬儀は青葉寮の面子だけでひそかに行った)

拓留(来栖はひたすら泣きじゃくっていて、結人も一緒だった)

拓留(結衣は悲しそうな顔はしていたものの、泣いてはいなかった。いつの間にか強くなっていたらしい)

拓留(うきは今にも泣きそうなのを必死でこらえていた)

拓留(そして僕は……無感情にそのときを過ごした)
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 00:55:13.93 ID:Wmk/ZlWL0
後日

〜新聞部部室〜

拓留「……」

有村「あ〜あ、ここ最近新聞部って新聞だしてなくないっすか? これじゃあただのたまり場ですよ、宮代先輩」

拓留「そうはいってもな……」

有村「いえ、ごめんなさい。宮代先輩の家は今大変でしたね」

拓留「気にしないでくれ。まあ、新聞部に関しては、もう僕ら3年生の役目は終わりってことでいいとも思ってるんだよな」

伊藤「俺らも引退かー。でも宮代、引き継ぐ後輩なんているのか?」

伊藤「香月はまだ1年生だし、出来ればそういうのって2年生にしたいよな」

香月「ん」

拓留「新聞部の2年生、ね」

拓留(本来なら尾上の役割なんだ、それは)

伊藤「って、そうか。尾上は、今いないんだもんな。悪い」

有村「なんかこう、どよーんとした感じで嫌です、最近は。誰も悪くないのに」

拓留(誰も悪くない、か)

伊藤「しっかし、尾上のやつ、そろそろでてこいよなー。案外あるとき突然ひょっこり顔だしたりしてな」

有村「そしたら思いっきり飛びついてスリスリしてやろっと」

拓留「はは……」

コンコン

拓留「ん? 誰だろう」

拓留「どうぞ」

ガチャ

神成「宮代君。先日の事件のことで話があるんだ、ちょっといいかい?」

拓留「それでしたら、青葉寮でゆっくり話を聞かせてください」

神成「わかった。車で送ろう」

拓留「みんな、今日は解散ということにしてくれ」

有村「おっすー」

伊藤「りょーかい」

香月「ん」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:02:29.24 ID:Wmk/ZlWL0
〜青葉寮〜

神成「遺体に胎児が入れられていたことはこの前話しただろう? その件で妙なことがあるんだ」

拓留「どういうことですか?」

神成「胎児の身元を、出来る限り手を尽くして見つけようとしたんだが」

神成「DNA鑑定を用いることになってな、両親として考えうる遺伝子を探せないかと考えたんだ」

神成「最初、我々はだめもとで警察の把握するデータと照合した。すると、だ」

神成「なんと一致するデータが見つかったんだ」

拓留「それじゃあ、その胎児の親が見つかるかもしれないんですね」

神成「あ、ああ……」

拓留(その話をなぜ僕にするんだろう)

拓留(胸騒ぎがする。神成さんはなんでこんなに苦虫を噛み潰したような顔をしているんだ)

神成「その、胎児の親と思しきDNAなんだが――」





















神成「父親は宮代拓留君、君なんだ」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:11:11.14 ID:Wmk/ZlWL0
神成「最初は目を疑ったが、どう考えても科学的には君以外ありえないのだそうだ」

神成「母親のDNAについては未だわからずじまいだ。一致するデータが見つかっていなくてな」

神成「だが君は違った。宮代君は渋谷地震の際になくなった両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」

神成「そして、その情報と胎児のものが重なったということなんだ」

拓留「……」

拓留(僕に……子どもだって? そんなバカな)

拓留「ありえませんよ。僕は誰かと子どもをもうけたりしてません」

神成「そういうと思っていたよ。だから我々も理解できないんだ」

神成「いるはずのない君の子どもが実際に存在していた。ということになる」

神成「僕としても、どうしたらいいのか……」

拓留(子作りをしていないのに生み出すなんて不可能だ。生物学的にも)

拓留(そう、原因なしに結果は存在しないから)

拓留(もし神成さんたちが調べた結果が事実なら、必ず原因があるはずだ)

拓留(考えろ……宮代拓留)

神成「今日君に伝えたかったのはこの件だけだ。あまり思い出させても辛いだろうし、僕は帰るとするよ」

拓留(できるはずのない赤ん坊を生み出す……。くそっ、想像つかないぞそんなこと!)

拓留(いくら思い描いたって――)


拓留(――!)


拓留「神成さん!!」

神成「お、ああ、宮代君か。どうしたんだい」

拓留「すみません、久野里さんに会わせてください!」
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 01:14:14.69 ID:7ArEh62/o
ハッ!?
これはもしやおっけいさんによる拓留眠姦という可能性……!
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:21:56.69 ID:Wmk/ZlWL0
〜フリージア〜

拓留(ふたたび神成さんに車を出してもらってここにきた)

拓留(ある仮説を検証するために)

拓留(それにはどうしても久野里さんの頭脳が必要なんだ)

久野里「どうした、お前から私を訪ねてくるなんてな」

拓留「ええ、久野里さんに検証してもらいたいことがあるんです」

久野里「ほう……なかなか面白い提案じゃないか。ここ最近身の回りで事件が起こっているというのに、頭は錯乱せずにいるみたいだな」

拓留「おかげさまで」

拓留「検証してもらう前に、一つ導入なんですが、先日青葉医院の――佐久間恒が殺害された事件をご存知ですか」

久野里「ああ、知っている。渋谷における情報を欠かすわけにはいかないのでな」

久野里「ましてやあれほどの猟奇的な事件であれば、私にとって知らないでいろと言うほうが難しい」

拓留「それなら話は早いです。その事件において、佐久間の遺体には第三者の胎児が入れられていたのですが」

拓留「その胎児についてDNAをもとに調査したところ、父親は特定できたそうなんです」

久野里「ほう、そうなのか。それほどの警察の内部情報はまだ入っていないな。もっとも、時間の問題だろうが」

拓留(神成さんは真っ先に僕に教えてくれたというわけか)

拓留「それで、その胎児の父親なのですが」

拓留「それが僕だったんです」

久野里「……それは冗談か?」

拓留「真実です。さっき神成さんに教えてもらったんですよ」

久野里「……」

久野里「わかった、それについては信じよう」

拓留「ありがとうございます」

久野里「お前がいつのまにか女と子作りをしていたとはな、意外というかなんというか」

拓留「それに関してもおいおいわかります。それで、ここからが本題なんですが」



拓留「胎児をリアルブートすることは可能ですか?」

305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/07(金) 01:27:06.73 ID:Wmk/ZlWL0
ちょっと寝ぼけてて設定が頭から抜けてた。

世界は再構成されているので、

>>302

神成「だが君は違った。宮代君は渋谷地震の際になくなった両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」



神成「だが君は違った。宮代君はかつて殺害された両親の身元特定のために警察にDNA情報を登録していたんだ」

に変更でお願いします。
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/07(金) 01:31:22.94 ID:7ArEh62/o
おk
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 19:25:33.88 ID:hP8h8ZYF0
久野里「胎児をリアルブート、……だと?」

拓留「はい」

久野里「……」

拓留「……」

久野里「つまりこう言いたいわけか」

久野里「先の事件で佐久間の腹に入れられていた胎児は、ギガロマニアックスによる仕業で――」

久野里「――リアルブートされたものが使われた、と」

拓留「……そういうことになります」

久野里「ふむ……」

久野里「結論から言えば、リアルブートするという点においては可能であるといえる」

拓留「!」

久野里「理論上は、ギガロマニアックスは人間をリアルブートすることができる」

久野里「ただし、それを行えば当事者にかなりの負荷がかかることになる。それに、人一人を生み出してしまうほどの周囲共通認識というと」

久野里「そいつは相当心が壊れているといっていいだろうな」

拓留「なるほど。わかりました。とにかく、ギガロマニアックスであれば可能ということですね」

久野里「簡単なことではないがな。まあそういうことになる」

久野里「……で? いきなりそんなことを私に尋ねるということは、事件に関して仮説があるということなのだろう?」

拓留「仮説と言えるほどのものでは……ないですが」

拓留「漠然と考えているのは、ギガロマニアックスとしての能力をもつ何者かが、佐久間恒殺害に関与しているということです」

久野里「まあ、その胎児の父親がお前というんだから、それにお前がそういう関係をどっかの女と持っていないのなら、まあそういうことになるだろうな」

拓留「……。今日はもう帰ります。ありがとうございました」

久野里「そうか。帰り道には気をつけることだな」

拓留「もしかして……心配してくれているんですか?」

久野里「なっ、……そうではない。身の回りで事件が多発しているようだから気になっただけだ」

拓留(そういうのを心配するっていうんじゃないだろうか)

久野里「これは私の勝手な考えだが、どうにもお前は事件に付きまとわれているような気がするな」

拓留「そうですかね?」

久野里「気にするな。私の戯言だ」

久野里「それと、宮代」

拓留「……?」

久野里「尾上は、いったいどうしているんだ?」

拓留「……」






拓留「僕が知りたいくらいですよ」
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 19:38:59.49 ID:hP8h8ZYF0
〜青葉寮〜

拓留「ただいま」

…………。

拓留(静か、だな)

拓留(そりゃそうか。父さん――いや、佐久間が死んだんだから)

拓留(乃々は立ち直れるだろうか)

拓留(結衣も、結人も、うきも)

拓留(真相は僕だけが知っている)

拓留(情報強者としてじゃなく、この情報は僕が独占しなければいけない)

拓留(そう思う)

結衣「あ、拓留兄ぃ帰ってたんだ」トテトテ

拓留「結衣、ただいま」

結衣「おかえりなさい。って拓留兄ぃ大丈夫? なんだかとても疲れてるみたい」

拓留「え? あ、ああ。大丈夫だって。いつもこんな感じだろ?」ハハハ

結衣「――違うもん」ボソッ

拓留「?」

結衣「いや、ううん。なんでもない。とにかく拓留兄ぃは疲れてるの! だから休まなきゃダメ」

拓留「いいって、勉強もあるしさ。休まなくても平気だから」

結衣「そんなこといって〜もう、知らないんだから」

拓留「はは、まあ、心配してくれてありがとうな」ナデナデ

結衣「そんなことしたって……ダメだもん//」

拓留「夕飯はもうできてるのか?」

結衣「うん。今日は私が作ったんだ。うきちゃんと一緒にね」

結衣「乃々姉はまだ塞ぎこんでて……ぜんぜん何も食べないの」

拓留「なんだよそれ……まずいじゃないか」

結衣「うん、でも私のいうことに聞く耳持たないんだ」

結衣「結人はね、だいぶ落ち着いてきてるよ。乃々姉より早く回復するなんて、乃々姉も子どもみたい」

拓留「そういってやるなって。佐久間――いや、父さんが死んだのは、みんな悲しいだろ?」

結衣「…………うん」

拓留「まあ、こればかりは時間が解決することを願うしかないだろ。とりあえず夕飯をいただこうかな」

結衣「わかった! 準備するから待っててね」

拓留「ああ」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 19:53:15.88 ID:hP8h8ZYF0
〜拓留の部屋〜

拓留「ふぅ……今日はここまでにするか」

拓留(なんだろう、ここ最近勉強がはかどらない)

拓留(事件のことや尾上のこともあるけど、それ以上に何か、重大なことがあるような気がする)

拓留(何かを忘れてないか? 僕)

拓留(……)

拓留「ここ最近、いろんなことが起きすぎて……」

拓留(突然の世界の再構成)

拓留(結衣の急接近)

拓留(ギガロマニアックスの真相)

拓留(何者かの視線)

拓留(佐久間の所業、と殺害……)

拓留(僕の遺伝子を持つ胎児、妊娠男の模倣)

拓留(これらに共通して関与していることなんてあるのだろうか)

拓留(久野里さん……教えてくださいよ)

拓留(なんてな)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久野里「これは私の勝手な考えだが、どうにもお前は事件に付きまとわれているような気がするな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

拓留(事件に付きまとわれている、か)

拓留(情報強者とリア充を自称していた以前の僕なら、きっと飛びついていたんだろうな)

拓留(……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久野里「理論上は、ギガロマニアックスは人間をリアルブートすることができる」

久野里「ただし、それを行えば当事者にかなりの負荷がかかることになる。それに、人一人を生み出してしまうほどの周囲共通認識というと」

久野里「そいつは相当心が壊れているといっていいだろうな」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

拓留(胎児のリアルブート――ギガロマニアックスによる所業……)

拓留(碧朋学園に犯人がいるのか? その可能性はあるよな)

拓留(なんたって収容所だから)

拓留(伊藤か? 有村か? 香月か? ……いいや、ありえない。確証があるわけじゃないけど)

拓留(まさか、尾上?)

拓留(尾上なのか?)

拓留(でも僕は尾上と肉体関係はもっていない……)

拓留(いやまて、リアルブートならそういう生物学上の考えはスルーできるじゃないか)

拓留(尾上が僕との子どもをリアルブートして事件で見せしめにすることへのメリットなんてあるのか?)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「タクが全部悪いんだ」<●><●>

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

拓留(ま、まさか、現実にそんなことが?!)

拓留(あれは僕の妄想だったはずだろ!)

拓留(……なにがなんだか、わからない)
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/13(木) 20:53:31.30 ID:hP8h8ZYF0
だれかが拓留の部屋を訪ねる

だれが来た?(青葉寮の住人限定)>311
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/13(木) 20:55:36.95 ID:MOTaXXFHO
来栖
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/14(金) 06:35:21.09 ID:qAXtXaWdo
なんかもうLCCかと思ったら本編だったレベルのホラー……行くぞ尾上してた頃が懐かしい
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:11:56.89 ID:8A1K5Ugh0
何回か
来栖「(セリフ)」
って書いちゃってたけど、前半では
乃々「(セリフ)」
になってるので、乃々で統一することにしました。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:19:32.46 ID:8A1K5Ugh0
コンコン

乃々「拓留? 入っていいかしら」

拓留「ん? あ、ああ、いいよ」

ガチャッ

乃々「……」

拓留「……どうしたんだよ、こんな時間に」

乃々「ご、ごめんなさい、寝るところ、だったわよね」

拓留「まあ、大丈夫だけどさ」

拓留「それよりも、乃々は大丈夫なのか? その……父さんがあんなことになって、結衣はお前がふさぎ込んでるって僕に教えてくれたぞ」

乃々「それについては心配いらないわ。もう、大丈夫だから」

拓留(本当にそうなのかな。泣きはらしたあとが顔に残ってるけど)

拓留「でも何の用もなく僕の部屋に来たりはしないだろ。乃々らしくもない」

乃々「……いいえ、特に理由があってきたわけではないの」

拓留「?」

乃々「あなたの顔が……見たかったから」ボソッ

拓留「何言ってるのかよく聞こえないんだけど……」

乃々「っ、な、なんでもないわ」

拓留(様子がおかしいな)

拓留(しかし、乃々といえばかねてより気になっていたことがある)

拓留(橋田さんとみた資料には、来栖乃々という人間はすでに死んでいると書かれていた)

拓留(顔写真があったから、同姓同名の人間ということはないといえる)

拓留(それに南沢泉理という少女の存在もチラついている)

拓留(もう今聞いてしまうしかないんじゃないか?)
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:33:29.92 ID:8A1K5Ugh0
拓留「なあ、乃々」

乃々「な、なに?」

拓留「AH東京総合病院、覚えてるか?」

乃々「っ!? お、覚えているって、そ、そりゃあ有名な病院だもの。知っているわ」

拓留「乃々。僕は知っているか、じゃなくて、覚えているかって聞いたんだ」

乃々「……あなたが何を言っているのか私にはわからないわ」

拓留「説明不足すぎたかも。AH東京総合病院の“地下”って言えばいいか?」

乃々「……」

拓留「乃々。これは父さんも関与していた重大な事実なんだ。どうか本当のことを教えてくれ。知っているなら」

拓留「まず、乃々は“南沢泉理”っていう女の子を知ってるか?」

乃々「――、知っているわ」

乃々「泉理は、私の小学生時代の友達よ」

拓留「どんな人だった?」

乃々「暗くて、運動が苦手で、周囲になじめていない感じだったかしら」

拓留「それでも、乃々はその南沢泉理と仲良くしていたのか」

乃々「そうよ。私たち仲良しだったもの」

乃々「泉理はよく、私みたいになりたいって言ってくれていたわ」

乃々「私はそんな彼女のことが――」

乃々「……」

拓留「も、もういい。わかった」

拓留「それじゃあ話を病院に戻すんだけど、あの病院の地下では6年ほど前まである実験が行われていたらしい」

拓留「それも人体実験。かなり大規模なものだったみたいだ」

拓留(すくなくともこの世界線ではそういう事実が残っている。僕の記憶にはないけど、僕も実験の被験者だったと資料にはあった)

拓留「それで、南沢泉理はその実験の中でもいろんな実験に使われた被験者だったみたいなんだ」

乃々「……」

拓留「もしかしたら、さっき乃々が言った南沢泉理の体の不自由は、そういったところからきているのかもしれない」

拓留「もっとも、乃々は南沢泉理が実験を理由に体を壊していることは知らないはずだ。なぜなら被験者としての位置づけが少し違ったから」

拓留「僕や結衣たち、それに乃々はそれほどショックの大きな実験にはまわされずにいた」

拓留「そうだよな」

乃々「……ええ。もっとも、私たちはみな天涯孤独だったから、世間一般の小学生とはどこか違っていたかもしれないけど」

拓留「そう、かもな」

拓留(そろそろ、だろうか)

拓留「……」

拓留「――単刀直入に聞くよ」


拓留「お前、来栖乃々じゃないな?」
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/14(金) 23:43:30.77 ID:8A1K5Ugh0
乃々「た、く……る?」

乃々「いきなり何を言い出すのよ。私は来栖乃々よ。父さんがあの地下から連れ帰ったあなたと結衣と結人の世話をしてきた来栖乃々よ!」

拓留「そう。僕たちは父さんに連れ出されてここにきた」

拓留「それじゃあさ、乃々――いや、君はどうしてここにきたの?」

乃々「!?」

拓留「僕はこう考えてる。父さんがAH東京総合病院から直接拉致したのは僕と、結衣と、結人の3人だと」

拓留「なぜそう考えるのかというと」


拓留「その時点ですでに来栖乃々はこの世にいないから」


乃々「ッ!」

乃々「はぅっ……ううっ……」ポロポロ

拓留「その代わり、別の人間が今度は自力であの地下を抜け出しているんだ」

拓留「それが南沢泉理、その人だ」

拓留「これは本物の資料をみたから間違いのない情報だよ」

乃々「もぅ……もう言わないで! やめて……ちょう、だい――」

拓留(ごめんな)

拓留(僕は自分の仮説を証明したい)

拓留「南沢泉理には地下の人体実験で実験を行う側の人間にしか解くことの出来ない暗示がかかっていたんだ」

拓留「機密保持のために」

拓留「でもそれを解ける人物を僕は一人知っている」

拓留「ギガロマニアックスがすがりついてくれば飛び上がって喜ぶような、そんなやつを」

拓留「青葉寮で僕たちの親代わりをしてくれていた、そんな人間を」

乃々「ぅぅ……」

拓留「まさか、佐久間と共謀だったなんてな」

拓留「“南沢泉理”」
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 00:02:33.50 ID:IURmo9U90
拓留「来栖乃々は何者かによって撲殺されている」

拓留「天涯孤独だった来栖乃々にとって、戸籍ある子どもとして国から目をつけられないように通わされていた学校で見かけた南沢泉理という子は、みていてどこか放っておけない存在だったんだと思う」

拓留「さっき、二人は仲が良かったと言ったけど、それについては僕は信じている」

拓留「南沢泉理の側からすれば、来栖乃々は自分に優しくて、見た目もよくて、輝いている存在に映ったにちがいない」

拓留「でも来栖乃々は南沢泉理が地下の実験の被害者であることを知りはしない」

拓留「地下では、二人の間には隔たりがあるから」

拓留「だから二人が通じるのは、外の世界だけ」

拓留「しかし、もし南沢泉理が少しひねくれていて、こう考えたらどうなるのかと僕は思ったんだ」

拓留「――実は来栖乃々は自分を憐れんでいる、心の中では蔑んでいるのではないか、と」

乃々「っ」

拓留「南沢泉理は君が言ったとおり、明るい子ではなかった。そして、そのような子どもはひねくれた思考をもつようになるといっても過言ではない」

拓留(僕もその一員だけど、な)

拓留「子どもなりにいろいろ考えたんじゃないか? でもついには憎くて憎くて仕方がなくなってもしょうがないかもしれないよな」

拓留「それが、ましてや来栖乃々が同じ地下の実験の被験者だと知れた日には」

拓留「いつも自分より明るくて、可愛くて、実験もたいしたことはされていないのに、その陰で自分はいつも辛い思いをしている」

拓留「そう考えたら苦しくてたまらないかもしれないな」

乃々「……なにが、いいたいのよ……」

拓留「……」

拓留「来栖乃々を殺したのは南沢泉理だ」

乃々「……」

拓留「否定は、しないんだな」

乃々「……しても、仕方がないもの」

拓留「それじゃあ肯定と受け取る」

拓留「南沢泉理は来栖乃々を殺害した後、地下を脱出した」

拓留(もしかしたら、殺人のショックでギガロマニアックスとして覚醒したのかもしれないな)

拓留「ここから先は詳しくはわからないんだけど、南沢泉理は紆余曲折あった末に佐久間の下にたどりついた」

拓留「佐久間にこういわれたんじゃないのか? “人殺しだってことをばらされたくなきゃあ、ちょいとばかし俺の考えに力を貸してくれねぇか”とか」

乃々「……思考盗撮でもしたの?」

拓留「ああ、ごめん」

拓留(この世界じゃ、碧朋に通う人間は覚醒していればまごうことなきギガロマニアックスだから)

拓留「思考誘導で、佐久間と家族同然のようにすごしてこれたんじゃないのか?」

乃々「答えたくないわ」

拓留「そう、か。まあ、なんにせよ、佐久間と共謀して僕たちに家族としての絆をもたせ、いつかそれを壊してギガロマニアックスとしての実験をひそかに進めようとしていたんだろ」

乃々「まあ、そんなところかしら、ね」

拓留「もう隠そうとはしないんだな」

乃々「さっきもいったでしょ。そんなことしても無駄なの」

乃々「もう私は、ダメなのよ。なにをしても」

乃々「この姿も、やめるしかないわね」
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 00:08:15.23 ID:IURmo9U90
泉理「……」

拓留「……っ」

泉理「これで満足? これが私の本当のすがた」

泉理「がっかりしたでしょ。貧相な体で、根暗そうな見た目で」

拓留「いや、それは……」

泉理「……」

拓留(乃々……この世界ではこんなにも悲しい運命のなかで生きているのか)

拓留(もしかしたら、再構成される前の世界のほうが、乃々にとっては幸せだったのかもしれないな)

泉理「……フフッ」

拓留「な、なんだよ」

泉理「もう、どうしていいかわからなくって、とたんに笑いがこみ上げてきたわ。それに私の道化っぷりにも」

泉理「本当、私の人生ってなんだったのかしら」

泉理「なにもかもバカみたい――」つディソード

拓留「っ!?」

泉理「さよなら、拓留」

泉理「私は、あなたのことが――」

拓留「よ、よせっ!!!!」



泉理 バタッ



拓留「乃々ッ!!!」



???「死んでないよ」

拓留「……え?」

???「気絶しただけ。私が、気絶させただけ」


拓留「お、お前は……」

拓留「なんで――」




















結衣「それ以上はお口をチャック♪ だよっ」
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 07:51:12.88 ID:B3DS+khVo
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/15(土) 10:20:44.82 ID:Jgr+YEl6O
アイエエ!?結衣!?結衣ナンデ!?
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/15(土) 20:03:20.43 ID:IURmo9U90
まだ終わってないです。まだつづきます。
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/21(金) 21:58:46.31 ID:D6W6f47J0
最近忙しいのでもうすこし待ってください(by>>1
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/21(金) 22:42:47.01 ID:TBd9c4FIO
おっけい
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 00:30:25.16 ID:zz7XKoDN0
結衣「本当、自殺って無責任だと思わない? 悲劇のヒロインだなんて笑っちゃうよ。ねえ? 拓留兄ぃ」

拓留「結衣……お前、なんで?!」

結衣「それは何に対する“なんで?”なのかな」

拓留「そ、それは……」

拓留(なんだろう……僕は結衣に聞きたいことがあるような気がする)

拓留(突然のことでうまく考えがまとまらないぞ……どうする、僕)

結衣「ふふっ、拓留兄ぃったら慌てちゃって――かわいいなぁ」

結衣「でもそんなとこも……」ゴニョゴニョ

拓留「なんだよ……」

結衣「う、ううん、なんでもないっ」

拓留「乃々の……あ、いや、泉理が死のうとしていたのを止めてくれたのは、感謝するよ」

結衣「別にそんなことで感謝されても私は嬉しくないけど」

結衣「ただこの無責任で自分勝手な女に対してもどかしい気持ちになっただけ」

拓留「女って――たとえ正体がなんであれ姉に対してそんな言い方は」

結衣「知ってるもん」

拓留「え?」

結衣「私、知ってるんだからね」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 00:43:11.62 ID:zz7XKoDN0
結衣「いまここで倒れてるこの女は、劣等感に苛まれたあげくに人を殺して、私たちのことをずっとだまし続けて生きてきたってこと」

拓留「!!」

結衣「かなしいなあ。でも大丈夫。私には拓留兄ぃがいるから」

結衣「“お姉ちゃん”なんていなくたって、何よりも大切なお兄ちゃんがいてくれれば、それで」

拓留「結衣……」

結衣「えへへ、拓留兄ぃは私のこと愛してくれたもんね」

結衣「何度も」

結衣「何度も何度も何度も何度も」

結衣「……」

結衣「私ね、乃々姉の真実しってから心が壊れちゃったみたいで」

結衣「もう誰に頼っていいかわからなくなっちゃったの」

結衣「でもね、ちょうど拓留兄ぃが帰ってきてくれたから」

結衣「私は救われてるんだよ」

結衣「ありがと、拓留兄ぃ」

拓留「あ、ああ……」

拓留(結衣はさっきから何を言っているんだろう。結衣は僕に何を伝えようとしているのか――)

結衣「そういえばさ」

結衣「死んじゃったよね、お父さん」

拓留「っ……ああ、そうだな」

結衣「拓留兄ぃは、悲しくなんてなかったでしょ」

結衣「だってお父さん悪い人だったもんね」

拓留「お前っ、なんでそれを――」

結衣「嘘泣き、結構難しいんだね。悲しそうな顔くらいで終わっちゃった。えへ」

拓留「……」

結衣「私は悲しくもなんともなかったよ」

結衣「もう拓留兄ぃのことしか考えてないから」

結衣「拓留兄ぃ拓留兄ぃ拓留兄ぃ……」

結衣「また、結衣を愛してくれるよね」スルッ

拓留「お前、何脱いで……」

結衣「……」







結衣「私、欲しいなあ」
















結衣「二人目の赤ちゃんが」<●><●>
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 00:59:37.25 ID:zz7XKoDN0
拓留「ふ、二人目……」

拓留「二人目って一人目は――」

拓留(――まさか!)

結衣「一人目の子はね、残念ながら死んじゃったんだ」

結衣「だからお父さんにプレゼントしてあげたんだ」

結衣「……」

拓留(佐久間の腹にあった胎児は僕と結衣のこどもだったのか……)

拓留(でもおかしい。確かに僕と結衣との間には肉体関係があったけど)

拓留(まだ数ヶ月くらいしかたっていないぞ)

拓留(すくなくとも産んだってことはないだろう)

拓留(どういうことだ?)

結衣「中学の保健体育で赤ちゃんの作り方を教わって、拓留兄ぃとしてみようと思ったの」

結衣「それでね、実際に何回かしたでしょ」

結衣「そしたら、ときどき体調が悪くなったりして、絶対つわりだなって思った」

結衣「でも誰にも相談できないから、しばらく我慢してた」

結衣「同時に嬉しかったんだけどね。だって拓留兄ぃが私を愛してくれた証拠だから」

結衣「……けど、おかしかったの」

結衣「お腹が大きくならなくて」

結衣「どうしてどうして、って思って。目をつぶってお祈りしてみるとね」

結衣「気づいたら目の前に赤ちゃんがいたんだよ」

結衣「不思議だよね」

拓留「……」

拓留(それは恐らくリアルブートだ)

拓留(結衣はさっき心を壊したと言っていた。恐らくそのときにギガロマニアックスとして覚醒したんだ)

拓留(だから、その胎児も結衣がリアルブートしたものに違いない)

拓留(それと、これは僕の予想だが――)

拓留(結衣の妊娠は、たぶん想像妊娠に過ぎなかったんじゃないだろうか)

拓留(僕に愛して欲しいという強い欲求と、好奇心で)

拓留(それがさらにリアルブートにつながったと、そういうことなのだろうか)

拓留「結衣、聞いてもいいか」

結衣「なあに? 拓留兄ぃ」

拓留「佐久間を殺したのはお前か?」

結衣「うん、だって悪い人だもん。乃々姉だって悪い人。どいつもこいつも――」

拓留「結衣……?」

結衣「お父さんが悪いんだ! だって私たちにうそついてたから! あれ、嘘ついてたのは乃々姉――」

結衣「乃々姉、そうだ、この女だ。こいつが悪いんだよ! 拓留兄ぃ!」

拓留(まずいかもしれない。様子がおかしいぞ)

結衣「うううっ!!!!??」グラッ

拓留「結衣ッ!」

結衣「痛い! 痛いよお、拓留兄ぃ……。痛い……」

結衣「頭が、いたいの……!」

拓留「結衣、しっかりしろ! 結衣!」

結衣「がぁあぁっ、いたい、いたいいたいいたいよぉ!」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 01:01:36.32 ID:zz7XKoDN0
結衣「拓留兄ぃ、ねえ拓留兄ぃ、……」ビクッ

拓留「なんだ、結衣!?」

結衣「拓留兄ぃ、は……私の、こと、――」

結衣 クタッ

拓留「結衣ッ!!!!」
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/23(日) 01:07:58.50 ID:zz7XKoDN0
数日後


拓留(結衣はあのあと救急で病院に搬送された。今は入院している。命に別状はないようだ)

拓留(乃々――いや、泉理はあのあと来栖乃々の姿に戻って、普段どおり結人やうきと接している)

拓留(それでも僕に対してはどこかよそよそしい)

拓留(僕は結局、かつて住んでいたトレーラーハウスに戻っていた)

拓留(すくなくとも今の青葉寮は、僕にとって居心地がいいわけじゃなかったから)

拓留(埃とカビが充満していたトレーラーハウスを一日かけて清掃し、僕はかつてのような暮らしを始めた)


拓留「結衣……」

拓留(結衣はいったいどうしたのだろう)

拓留(真実をかなり晒してくれてはいたが、最後の症状が気になる)

拓留(激しい頭痛に苦しんでいるようだったな……)

拓留「……」

拓留「さて、これからどうしようか」


安価 >>329

とりあえず誰と何をするか
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 01:26:23.82 ID:cauZt4vMO
久野里さんと尾上を探す
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/23(日) 12:14:44.03 ID:5oNoM9Wto
明らかに思考誘導かけられてる……
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/11(木) 20:08:59.39 ID:beEAU3k/0
ここ最近忙しくて更新できてませんが、そろそろです(by>>1
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/11(木) 22:15:51.30 ID:Z90q7HwuO
まってる
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/17(水) 23:37:24.30 ID:6+ofQ8+k0
拓留「そうだ、久野里さんと尾上を探そう」

拓留(はっきりとした確証はない。けど、尾上が真相に関わっていると、なぜかそう思えて仕方がない)

拓留(それに僕ひとりの知恵では無理だ。ここは久野里さんの力を借りよう)

拓留「尾上……」

拓留(世界が再構成されて尾上はどこかへ行ってしまった……)

拓留(久野里さんに話さなければ……すべてを)
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/20(土) 22:01:46.46 ID:V/dGcdRY0
期待
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/06/18(日) 23:48:48.90 ID:fNY0htRn0
申し訳ない、ここのところ忙しさが半端ないが、かならず完結させるのでしばしお待ちを……。(by>>1)
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 22:12:46.70 ID:DTR78Qppo
まってる
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/09(日) 19:29:48.90 ID:6JCS7XU+0
8月かなあ、更新は、、、
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 22:12:11.16 ID:qk/8AmRpo
つい先ほどsilentsky終わった俺氏
期待して待っとるよ
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/04(金) 15:01:08.72 ID:QT2ZgMyX0
拓留(僕は久野里さんにすべてを話した)

久野里「……」

拓留「その、信じられないとは思いますが」

久野里「いや、私が信じる信じないは今関係ない。事実として起こったことに目を向けるだけだ」

拓留「はい……」

久野里「それで? 尾上を探したいのか」

拓留「はい。僕が平凡な日常――終わりなき日常に戻ると決めたときに世界は再構成され、尾上はどこかへ行ってしまいました」

拓留「僕の保護者は殺され、殺した義理の妹は脳へのショックで入院中です」

拓留「僕はこのまま現状を受け入れるだけで終わりなき日常を生きつづけたいとは思いません」

拓留「かならず、決着をつけたいと、そう思います」

久野里「なるほどな」

久野里(橘結衣の倒れる寸前の挙動――なにかがあるとしか思えないのも事実だ)

久野里「今回の件、私はギガロマニアックスの存在がすべてを掌握していると主張しよう」

久野里「そして、私の研究としてもこの件には決着をつけなければならないと感じた」

久野里「だから宮代、私はお前に協力しよう」

拓留「……ありがとうございます」
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/04(金) 15:05:17.14 ID:QT2ZgMyX0
久野里「まず、記録として“尾上世莉架”が存在しないという事実の意味を考えるべきだろうな」

拓留「僕と新聞部の連中の記憶の中には確かに存在していました」

久野里「それが気がかりだ……。お前が蒼井セナから聴いた記憶のバックアップの仮説が、しいて言えば有力、か」

拓留「ギガロマニアックスの能力としては、僕としてもアリなんじゃないかと思います」

久野里「ふむ――」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/10(木) 19:39:23.24 ID:roKNiyqJO
追いついた
>>335応援してるぜ
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/22(火) 21:02:31.70 ID:H0g+Cq6po
乙!
続きはまだかな
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:32:24.11 ID:2suJJMH00
拓留(なにか……、なにか手がかりはないのか!?)

拓留(状況を整理することはそこまで難しいことじゃない。大事なのは、そして難しいのは、そこに埋もれたヒントを見つけ出すことなんだ)

拓留(思い出せ……。一連の流れをもう一度整理しよう)

拓留(来栖乃々の死――南沢泉理、そして僕ら兄弟のルーツ……)

拓留(それを知ったのは、確か――)
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:33:48.43 ID:2suJJMH00
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
拓留「これは……『実験・調査レポート』」ゴクリ

拓留「ひ、開くぞ……」カチッ

拓留「『第1回レポート。碧朋学園の新入生として多くのギガロマニアックス予備軍の子供たちを向かいいれてから三ヶ月が経過した。

彼らは今のところ、何の変哲もない少年少女のようにみえる。身体能力も学習能力も一般的なそれである』」

拓留「第1回から第7回レポートまでは同じような内容だ……」

拓留「うまくいってなかったのか?」

ダル「そう願うお」

拓留「『第8回レポート。ついに強硬手段を決行した。

進路相談などでチェックした精神的に不安定な生徒数名を地下に連れて行き、精神の崩壊を試みた。

予想通り彼らはディソードを発現し、覚醒した。実験は成功だ。

これからは同様の手段をもって強制的に覚醒させることができると考えられるため、今回覚醒した彼らは廃棄前提として複数の実験を試みた。

感覚の遮断およびブースト。リアルブートの強制。これらを行った結果、覚醒して間もない彼らは老人のような姿へと変貌してしまった。

委員会の想定したカオスチャイルド症候群者に類似している。以降は経過を見守るため、AH東京総合病院のデッドスポットにある部屋に

収容する。』」

拓留「」

ダル「」

拓留「ん? レポートの右下、そういえばすべて同じ署名がされているな……すごく小さいけど何か書いてある」

ダル「あ、ちょいまち。いま解析して拡大するお」


ダル「ええと、署名には――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


拓留「……そうだ」













拓留「和久井だ」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:39:52.33 ID:2suJJMH00
拓留「ギガロマニアックスについていろいろ調べていて……、橋田さんに仕事を依頼して一緒に機密書類を見ていたときだ」

拓留「実験レポートと称された書類には同じ署名があった」

拓留「それが、――それが和久井修一だったんだ」

久野里「……そうか、アイツがか」

拓留「碧朋学園の生徒を使ったギガロマニアックスの覚醒実験――それを担当していたのは和久井だ!」

拓留「そうだ、確か最近のレポートにはこんなことも……!」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『第11回レポート。すでに三年生は五分の一が覚醒を終えている。彼らには特別な進学先として

ヴィクトルコンドリア大学のファウンデーションコースを設けた。これで、向こうには留学という形で

サンプルを送ることが出来る。そして、現時点でまだ覚醒していない生徒の中に面白い被験者を見つけた。

第9回レポートにおいて私が報告したとおり、ギガロマニアックスには各々ことなる波動のパターンを

持っており、それが一致することはないと、独自の調査で結論付けた。今では委員会の認証待ちであるが。

さて、件の面白い被験者だが、ありえないことに、各々で異なるはずの波動パターンが一致する二者を発見した。

私の打ち出した仮説では、このようなことは、一方が他方をリアルブートした場合でないと起こりえないといえる。

ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートしたとなれば、これ以上のサンプルはない。この二人が卒業

するまでにはアクションを起こさねばならないだろう』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

拓留「和久井はアクションを起こすと言及していたんです! まさか、一連の流れすべては――」

拓留「――僕たちは手のひらで踊らされていたのか……?」

久野里「ちっ。だとしたら不愉快極まりない話だな」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:50:45.31 ID:2suJJMH00
拓留「クソっ! なぜ僕は――なにか、なにかできたかもしれないのに!」

拓留「乃々の正体を暴いて突きつけてる暇なんてなかったんだ!」

拓留「結衣がああなったことも未然に防げたかも知れなかったのか……?!」

拓留「僕は……僕は……」




拓留「そういえばこのネタを発案してくれたのは尾上だったな」

世莉架「えへへ〜そうだよ」

拓留「尾上のおかげでいい記事になりそうだ」

拓留「ありがとうな」

世莉架「そ、そんなお礼なんていいよ/// タクのためだもん」

世莉架「楽しかった?」

拓留「もちろんだ」

世莉架「良かった///」




世莉架「タクを楽しませることが、私の存在意義――」

世莉架「――それ以外には、なにもないの」




拓留「うっ、うぅっ……」ポロポロ

拓留(そうだよ、はじめからわかってたことじゃないか)

拓留(尾上が――世莉架が何よりも、僕にとっては大切で)

拓留(世界が再構成されたとき――それは僕が尾上を見限ったときなんじゃないか?)

拓留(すくなくともそう観測されたはずだ)

拓留「ぉっ、……おのぇぇ」


ギュッ


拓留「っ?!」

久野里「らしくないことをするからだ」

久野里「お前は、情報強者でリア充なんだろ?」

久野里「なのに平凡な生徒に戻るって、それ自体おかしな話だ」

久野里「まだ勝機はあるはずだ。科学でも、取り返しのつかないようにみえることはアプローチのしがいがあるってものなのだぞ」

久野里「尾上を、みつけよう」

久野里「お前だって決着をつけずにはいられないだろう?」

拓留「くの、さと、さん……」
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:55:21.99 ID:2suJJMH00
拓留「……ありがとうございます」

拓留「決着を、つけましょう」

拓留「この世界は間違っている」

拓留「不合理でも尾上世莉架と過ごす世界を取り戻します……!」

久野里「ああ、それでこそ、だ」

拓留「はい」























拓留「ところで久野里さん」

久野里「ん? なんだ?」











































拓留「久野里さんは包容力のある人なんですね」ムギュ

久野里「」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 15:57:49.56 ID:2suJJMH00
拓留「知っていますか久野里さん」

久野里「なにがだ」

拓留「ビンタって最悪鼓膜が破れるそうですよ」

久野里「私をナメているのか? それぐらい知っている」

拓留「まだ痛いんだけど……」ボソッ

久野里「何か言ったか?」ギロッ

拓留「なんでもありません」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 16:03:34.42 ID:2suJJMH00
久野里「こうなった以上、こちらから和久井にアプローチを仕掛けるのが賢明かと思う」

拓留「レポートの内容から察するに、研究の拠点になっているのはやはり碧朋学園ですかね」

久野里「そう考えるのが妥当だろうな。だが、一筋縄ではいかないだろう。きっと研究室にたどり着くにはなんらかの細工を突破しなければならないはずだ」

久野里「ノーガードだとは考えにくいしな」

拓留「しかし、細工といってもどのような……」

拓留「あ」

久野里「ああ」

久野里「やつがギガロマニアックスならば、おおよそ答えは見えたようなものだ」
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/29(火) 16:08:09.21 ID:2suJJMH00
久野里「和久井はおそらくギガロマニアックスの能力を駆使して入り口を隠しているはずだ」

久野里「我々のデッドスポットに恐らく突破口がある」

拓留「ディソードを使うしかないか」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/30(水) 09:13:47.81 ID:923qFbnrO
ついに決戦か
……勝ち目が見えねぇ真ギガロマこわい
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/01(日) 22:45:37.15 ID:tUZ6l1UK0
>>1です。しばらくお待ちください。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 01:10:40.46 ID:1Yyze+RW0
期待
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/10/22(日) 18:53:16.20 ID:qeaLQv5M0
別にやっている執筆のほうで全然更新できていませんが、物語は大体できているので、完結します。安心してください。
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/22(日) 23:32:42.56 ID:jdnmdIy/0
のんびり待ってるでー
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 11:47:25.65 ID:8PRW6qsGo
まってる
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 18:47:26.14 ID:GqF2TV/w0
拓留「僕たちの盲点に、入り口があるはずだ……」つディソード

久野里「……デッドスポット、か」ボソッ

拓留「壁にディソードを這わせてみます。それで感触がなくなったところが、きっと」ツー

拓留「……」

ガコッ

拓留(来たッ)コツコツ

拓留「ここには入り口がある、という妄想をリアルブートできれば」カッ カッ

拓留 スタスタ

拓留(そして、妄想シンクロだ。久野里さんに)

久野里「……入り口が、見えた」
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 18:49:59.79 ID:GqF2TV/w0
拓留「ここから降りていきましょう。この先は、何があるかわかりません。正直、ここで引き返したほうが身のためかもしれない。……やっぱり、久野里さんは、帰ってもいいですよ」

久野里「何をバカなことを言っている。ここまできて引き返すわけがないだろう」

久野里「さっさと進め。こうしている間にも和久井が何かよからぬことを推し進めているかもしれないんだぞ」

拓留「はは、そうですね。すみません。じゃあ、行きましょうか」

久野里「ああ」

久野里(大丈夫だ……大丈夫)
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 18:57:21.17 ID:GqF2TV/w0
〜地下、研究室〜

拓留「誰も……いない?」

久野里「そのようだな。まあ、いつアイツが戻ってくるかもわからん。とりあえず調べられることは調べよう」

拓留「そうですね」

拓留(はぁ、心臓が張り裂けるかと思った。冷や汗をかいたぞ)

久野里(別に緊張していたわけじゃない……そうだろ)

久野里「今すべてのPCを起動させた。ここからわかる情報を引っ張り出そう」カタカタ

拓留「僕は何をすればいいですか?」

久野里「お前が、か」

久野里「……」

久野里「ディソードを構えておいてくれ。和久井が戻ってきたら穏便に済むとは考えないほうがいいだろう」

拓留「ッ、そうですね、わかりました」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 19:08:50.63 ID:GqF2TV/w0
拓留「……」つディソード

久野里「……」カタカタ

久野里「……これは」

拓留「何か、見つかりました?」

久野里「いいや、そうじゃない。強いて言えば、何も見つからない」

拓留「何……も?」

久野里「脳科学に関する論文やレポートなど、いわゆる研究者のデータベースであることは、同じ立場である私からすればわかる。だが、この中にはそれ以外のものは何もない。ギガロマニアックスに関する記述なんて一ミリもない……」

拓留「そんな……和久井の研究は、この碧朋学園の地下で行われているはずです! 何もないなんて、そんなことがあるの……か?」

久野里「まだ全データの100%をハックしたわけではない。もう少し探してみる」

拓留(僕らは何のためにここに来たんだ?)
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 19:37:08.28 ID:KPITE86aO
キター!
ギガロマ相手だともう既に敵の術中とかあり得るから怖い
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 20:06:05.85 ID:GqF2TV/w0
久野里「……クソッ! 全然見つからない!!」

拓留「そんな……」

久野里「くっ、これが最後のフォルダだ。これを開けても何もなければ、無駄足だったということになる」

久野里 カタカタ

拓留(頼む……!)
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 22:24:21.93 ID:GqF2TV/w0
久野里「……」

拓留「……」

拓留(だ、ダメだったか?!)


久野里「ふっ、ようやく見つかった」

久野里「あったよ、宮代」


久野里「ギガロマニアックス実験の資料だ」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/14(火) 22:26:18.33 ID:GqF2TV/w0
>>1です。気づけばあと何ヶ月かでスレ立ててから1年経ってしまいますが、どうぞ長い目で見守ってくれればと思います。本業のほうが忙しく、更新が遅いことをご了承いただけるとありがたいです。また、時間を見つけたら更新しますので、お待ちください……。

世莉架はどこへ行ったのか……?
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 22:33:43.75 ID:QFvcCGXPo

完結してくれるなら待つよ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 06:41:24.59 ID:BPv/Y2dAO
ほす
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:15:26.54 ID:ZqNbyB5y0
久野里「これは、第11回レポートと書いてあるな。和久井の署名がある」

久野里「本来異なるはずのギガロマニアックスの波動が一致するケースを発見、だと?」

拓留(それって、この前橋田さんと見たやつ、だよな……)

拓留「久野里さんはそれ、どのように考えますか」

久野里「普通に考えれば、ありえないことだ。ここで和久井が書いているようにな」

久野里「だが、今お前と話しながら、私の脳内にはある仮説が思い浮かんでいる」
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:18:11.11 ID:ZqNbyB5y0
久野里「前に、橘結衣が胎児をリアルブートしたことがあっただろう?」

拓留「……ありましたね」

拓留(とたんに、結衣の顔が思い浮かぶ)

拓留(佐久間を殺した僕の「妹」は、明らかに異常だった)

拓留(なんらかの外的要因があって、行動を起こしていたような、そんな感じだ)
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:22:07.52 ID:ZqNbyB5y0
久野里「仮説を述べよう」

久野里「あるギガロマニアックスがいて、そのギガロマニアックスがリアルブートした人間もまたギガロマニアックスであるとき、両者は同じ波動パターンを示す。これは事実だ。証明をしている時間は、今はないがな」

久野里「これをもとに考えると、碧朋学園にいる生徒がリアルブートしたギガロマニアックスがいて、そいつもまた碧朋学園の生徒として生活しているとすれば」

久野里「和久井が発見したのはそれであるとほぼ断定していい」

拓留「リアルブートしたのが人間ってだけでなくて、ギガロマニアックスですか? そんなことがありえるんでしょうか」

久野里「だから仮説だと言っている。だが、碧朋学園のようなギガロマニアックスの収容施設であれば、ありえないと断定するほうが野暮だ」
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:30:08.19 ID:ZqNbyB5y0
久野里「まずいな……和久井はこの件に関して本腰を入れて研究に着手しようとしているらしい。もし対象が高3生なら、もう和久井が動いていてもおかしくないぞ……!」

拓留「そうでない可能性に、かけるしかないですね」

久野里「くっ……」カタカタ

久野里「これは……11番目のロールシャッハだと?」

久野里「AH東京総合病院の地下で行われていた実験か」

久野里「およそ人道的とはいえない内容、か」

久野里「他には……」

拓留(なんだろう、こののんびりとした感じ)

拓留(なんで、危機感が薄れてきているんだ?)

拓留(確かに僕らはシリアスな状況にあるし、何が待ち受けているかわからないから怖くて仕方ない)

拓留(なのに、妙に落ち着いた気分だ)
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:34:39.62 ID:ZqNbyB5y0
久野里「うむ……、ターミナルを開いてファイルを解析していくか」

久野里「鍵となる情報を知る最短ルートがわかればいいんだがな」

拓留「鍵……ですか?」

久野里「私たちの目標は、尾上世莉架の探索だろう? まあ、個人的には碧朋学園や委員会の研究を暴くという目標もあるが、尾上の件はそれに内包されている」

久野里「ま、まあ、私を頼ってくれれば、いいってこと、だ」

拓留「ハハ……ありがとうございます」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/18(月) 21:36:58.65 ID:ZqNbyB5y0
久野里「ん?」カタカタ

久野里(これは、無名のファイルだ……)

久野里(開くべきだろうか)

安価>>373

開く OR 開かない

373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 21:38:20.37 ID:I3zPwLOP0
開く
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/18(月) 23:01:58.79 ID:+YWItZiio
更新来てた
ファイルの中からは鬼が出るか蛇が出るか……
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 19:17:38.37 ID:t+EuIJD90
久野里(開こう)

久野里(このまま放置しても後味が悪いからな……)カタカタッ


『HEKIHO Lab』


久野里「これは……」

拓留「何かあったんですか?」

久野里「無名のファイルがあって、気になったから開いてみたんだ」

久野里「工夫しないと開けられないような特殊な細工がほどこされていてな。まあ、それ自体に手こずることはなかったんだが」

久野里「開いたら新しいウィンドウが出てきた。この碧朋学園があたかも実験施設だと言わんばかりのな」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 19:20:22.82 ID:t+EuIJD90
拓留「ギガロマニアックスの研究、ですよね」

久野里「そう思ってまず間違いないだろう」

久野里(いくつか項目があるな……)

・担当者について
・現段階までの研究報告
・今後の展望

久野里(不思議だ……)

久野里(個人サイトのような見た目で、フェイクやダミーの可能性も示唆できるが……)

安価>>377

どの項目を開く? 一つ選択。
・担当者について
・現段階までの研究報告
・今後の展望
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 20:20:51.88 ID:y6S0T3AA0
現段階までの研究報告
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 21:48:48.09 ID:t+EuIJD90
久野里「現段階までの研究報告、か」

久野里「最新の情報が見られるというわけだな」

拓留「そこに、和久井の真意が見つかるんですかね」

久野里「……いずれにせよ、いやな予感がするけどな」
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 22:05:09.40 ID:t+EuIJD90
―研究報告(The Latest)―

まずは近況をお伝えしよう。過去に、AH東京総合病院の地下にあった研究施設でギガロマニアックスの研究にたずさわっていた研究員のうちの一人が死亡した。より詳細に言えば、殺害された。ここまでの内容だけでは報告することはない殺人事件のように思えるが、より詳細をお伝えすれば私の真意を汲み取っていただけるだろう。

まず、その殺害された研究員の死に様は異常である。殺害の方法は恐らく鈍器などによる暴行だが、その後、腹を裂かれて胎児をねじ込まれ縫合されていた。すなわち、猟奇的殺人事件である。このような異常なケースは、実はこの件が初ではなく、2009年のニュージェネレーションの狂気と呼ばれる一連の事件でも同様のパターンが見受けられる。私は、ふと、今回の事件にはギガロマニアックスがかかわっているのではないかという興味本位で、少々調べてみたところ、驚くべき事実を知った。

被害者研究員の腹部に入れられていた胎児からは、微弱ながらギガロマニアックスの波動が検出されたのである。それだけではなく、それと同様の波動パターンが渋谷近辺で検出されたのだ。これは本来ありえないことだ。しかし、次の仮説を認めれば、ありえる。「ギガロマニアックスがギガロマニアックスをリアルブートした場合」という話である。もしこれが本当ならば、第11回レポートに記述した件を裏付けることにもなる。

早急に調査・研究に取り掛かる。次の報告では結果がお伝えできるだろう。
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 22:08:55.74 ID:t+EuIJD90
久野里「研究報告、というよりは事実の確認と報告のような内容だな」

拓留「それだけ、和久井の研究は行き詰っていたということですか」

久野里「そうかもしれない……が、事態はあまりいい方向には進んでいないかもしれないな」

拓留「?」

久野里「和久井は自分の大きな研究テーマ、私も思いついた例の仮説を裏付けようと、ついに研究のための重要な一歩を踏み出している」

久野里「加えて、この報告が更新された日付を確認すると、しばらく間が空いている」

久野里「くそっ、手遅れになっていなければいいが……!」

拓留「手遅れって、何がですか」

久野里「わからない……しかし、私にはわかる。非常にまずい状況に置かれているであろうことは」
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/19(火) 22:10:12.74 ID:t+EuIJD90
久野里(どうする……いやな予感はより強く訴えかけてくる)

安価>>382

項目を開く?開かない? 開くならば一つ選択。
・担当者について
・今後の展望
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 22:17:23.02 ID:g1EzsYPXO
今後の展望
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:09:51.11 ID:Ke9vrW4i0
―今後の展望―

尾上世莉架を分解する。









久野里「……、は?」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:12:13.45 ID:Ke9vrW4i0
久野里(なんだ……なんなんだ! それだけ、か?)

久野里(分解、だと? どういう意味なんだそれは!)

久野里「くっ……」

拓留「ど、どうしたんですか久野里さん」スッ

久野里「来るな!」

拓留 ビクッ

久野里「いいから、そこに立っていろ……」

久野里「……」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:33:45.63 ID:Ke9vrW4i0
久野里(正直、何がなんだかさっぱりだ)

久野里(研究報告のページだってそうだ。報告だぞ? あまりに短くなかったか)

久野里(特に、今後の展望は短いなんてものではない)

久野里(既に和久井が手を染めていることは尋常ではないということはわかっている)

久野里(だからと言って、なんで尾上が、しかも分解とは……)
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:35:36.32 ID:Ke9vrW4i0
久野里(くそっ! 結局ここに来てもまともに得られたものなんて全然ないじゃないか!)

久野里(残されたリンクは一つ)


・担当者について


久野里「これを押すしかないということか」
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:38:00.00 ID:Ke9vrW4i0
久野里 カチッ


ターミナル『』


久野里「なぜターミナルが起動するんだ?」

388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:43:50.56 ID:Ke9vrW4i0
ターミナル『私は委員会の一員だ』

ターミナル『来るべき次の世界でよい人生を送るために、委員会へ献身している』

ターミナル『特に、私の行っていることは、ギガロマニアックスの研究だ』

ターミナル『ギガロマニアックスというのは稀有で特殊な存在だ。妄想を具現化し、世界を変えることができる』

ターミナル『私もそのギガロマニアックスの一人だ』
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:50:10.94 ID:Ke9vrW4i0
ターミナル『なぜ、私がギガロマニアックスの研究をしているのか』

ターミナル『その答えとしては、「自分自身を理解する」というものがあると思っている』

ターミナル『世界を変えうる我々ギガロマニアックスこそが、次の世界で生きるにふさわしいと考えれば、それを曖昧にしておくことはリスクが大きい』

ターミナル『傲慢だと思うかな。傲慢なのだ。私は』

ターミナル『そう、ギガロマニアックスこそ次の世界にふさわしい進化した人類だ』

ターミナル『だが、どうだろう。そうすると、ある問題が浮上する』


ターミナル『誰が統制するのか、だ』
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 22:53:10.68 ID:Ke9vrW4i0
ターミナル『もちろん、委員会には他にもギガロマニアックスの人間はいる。しかし、ギガロマニアックスに最も精通している人間は一人しか存在し得ない』

ターミナル『ここまで私の無駄話を聞けば理解しただろうか。そうだ』

ターミナル『私が最もギガロマニアックスについて理解していれば、私は次の世界の頂点に立てる』

ターミナル『そのためにも、今の研究があるのだ』

ターミナル『そう、思うよね』







































和久井「お二人さん」
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 22:56:00.52 ID:Lo63i4CuO
きやがった……!
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 22:58:20.94 ID:e2ACj2nOo
ついにわくわくさん登場か
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 23:10:05.21 ID:Ke9vrW4i0
久野里「なっ、いつの間に!」

和久井「おいおいいやだなぁ、その台詞は少々間抜けじゃないかな久野里君」

和久井「僕がギガロマニアックスだって知っていただろう?」

拓留「僕だって、ギガロマニアックスですよ」

和久井「……はぁ」

和久井「かなしいなぁ。いや、かなしいよ。僕は教師として十分な教育を施せていなかったんだね」

和久井「僕は教師で、君は生徒だ」

和久井「僕は大人で、君は子どもだ」

和久井「どちらが上位かは言うまでもないだろう」

和久井「おっと、安直な論理展開だという文句は却下させてもらおう。なんたって、二人がギガロマニアックスであるという前提の議論だからね」

和久井「僕よりもギガロマニアックスというものに精通していると豪語するのであれば、ぜひ一度語り明かしたいものだがね」
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 23:15:11.67 ID:Ke9vrW4i0
和久井「さてと、だ」

和久井「君たち随分と人のテリトリー……ラボを嗅ぎまわってくれたみたいだが」

和久井「何か進展はあったかな?」ニコッ

久野里「くっ……!」

拓留「僕らは真相を追っているんです。尾上だってその真相のうちの一つだ。何も言わずに消えるようなやつじゃない」

和久井「ふむ……なんだか以前の君を見ているようで感慨深いね」

拓留「そういうのはいいです」

和久井「おっと、これは手厳しい」

久野里「答えろ」

和久井「こっちもきついね」

久野里「分解、とはどういう意味だ」

和久井「んー?」

久野里「とぼけるな! この無名のファイルを開いたところにある、「今後の展望」に書いてあることだ!」

久野里(宮代に説明する時間がなかったが、こうなってしまってはその余裕はない!)

和久井「ああ、それのことね」
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 23:21:48.24 ID:Ke9vrW4i0
和久井「文字通りの意味さ」

和久井「君たちは第11回レポートを既に読んでしまっているね? おっと、言い訳は無用だ。僕はすべて知っているからね」

和久井「まあ、それは問題ではない」

和久井「同じ波動を生み出すギガロマニアックスが二人いるんだよ。本来ありえないことだが」

和久井「それは、誰だと思うかい? 宮代君」

拓留「……」



拓留「……尾上」

和久井「ビンゴだ。やはり君は優秀だね」

和久井「そう。碧朋学園にいるとある生徒と彼女は同じ波動を発している」

和久井「君たちも知ってのとおり、ここ碧朋学園はギガロマニアックスを研究するための収容施設のようなものだ。もちろん、学校としての機能も有しているがね」

和久井「だがね。僕とて、自分のすべての研究をおおっぴらにしたくはないんだよ」

和久井「独占したいものだってあるんだ」

和久井「とりわけ、尾上世莉架の事例の詳細はね」

和久井「だから、消したんだよ」

和久井「尾上世莉架という存在を、認識上ね。それが僕にはできる」

和久井「僕はギガロマニアックスだから。自分で言うのはなんだが、これでもかなり強いんだよ? 僕は」

和久井「これが、「尾上世莉架が存在しない」という君たちの認識に対する真相だ」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/26(火) 23:23:22.28 ID:Ke9vrW4i0
和久井「ここまでで、何か、僕に聞きたいことはあるかな?」

安価>>387 聞きたい内容を入力
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 00:29:39.21 ID:t/V97tlio
世莉架は今どこにいて無事なのか
……って安価過去に行ってるけどいいよね?
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 19:47:14.64 ID:YnTk2GqL0
拓留「尾上は……今どこにいるんだ。無事、なんだろうな」

和久井「なんだ、そんなことでいいのかい?」

和久井「ああ、彼女なら無事だ。何事もないよ」

和久井「そうそう、今どこにいるのか、だったっけ」

和久井「よし、こっちに来てもらおう。ほら」

拓留「……」

久野里「宮代、とりあえず、ここは行くしかないと思うぞ」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 19:53:53.58 ID:YnTk2GqL0
拓留(和久井に連れて行かれた先は、まるで手術室と宇宙船を足して2で割ったかのような、そんな場所だった)

拓留(なぜ宇宙船なのかと言うと、室内の見た目は基本的に手術室なのだが、ところどころSF映画で見るようなカプセルや椅子が設置されているからだ)

久野里「ここは一体……」

和久井「僕が実際に実験している場所さ。まあ、僕は頭脳を使うことのほうが多いんだが、実験だってもちろんやる」

和久井「特に、対象がギガロマニアックスとあっては、実験は避けては通れないだろう」

和久井「僕の実験レポートは、もう既に読んでいるのだろう?」

拓留「……」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 19:58:47.43 ID:YnTk2GqL0
和久井「さて、君たちが探している尾上世莉架だが」

和久井「まあ、君たちは彼女の友人であるわけだし、感動の再会くらいは容認してあげようか」カタカタ ポチッ


ウィーン


拓留「……ッ!」

久野里「これは……」

和久井「ご対面だ。彼女の麗しき姿を是非ともごらんあれ」


世莉架「」


和久井「まあ、もう頭部と脊椎と心臓、あと最低限の内臓が残っているだけだがね!」
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 20:03:10.86 ID:YnTk2GqL0
和久井「彼女は生きている。ほら、無事と言えば無事だろう?」

拓留「……貴様ッ、何をふざけたことを!!」

和久井「おやおや、その口の利き方はいただけないね」ブンッ

拓留「!」

拓留「ぐぁっ! いてぇぇぇぇ」

和久井「ちょっとディソートで切り傷をつけさせてもらったよ。次は腕ごともらう」

久野里「お前、何をしたかわかっているのか?」

和久井「何をしたか? そんなことわかっている。わかりすぎるほどにわかっているとも」

和久井「僕は次の世界で最上位の存在として生きるために、この少ない犠牲を払っているんだよ」

和久井「おっと、もしかして、僕が彼女を扱う上で卑猥なことをしたと思っているのかな?」

和久井「安心したまえ。あくまでも、死ぬ直前まで眠らせた上で、体のパーツを機械的に一つずついただいているだけだ」

和久井「性的な目的なんてないよ」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 20:08:02.16 ID:YnTk2GqL0
和久井「彼女は僕の研究の柱ともいえる存在だ!」

和久井「彼女の体中のありとあらゆるデータを元に、ギガロマニアックスのクローン化さえも可能にするほどのデータを収集する!」

和久井「そうすることで僕はギガロマニアックスを支配するさらに上の存在へと成り上がることができるんだ」

和久井「君たちは非常にタイミングがいいね。ちょうど今日に彼女の脳を取り出して最終段階へと移行しようと思っていたところなんだ」

和久井「歴史の目撃者になれるんだよ」

拓留「ぐぅっ!! 許さない……僕はお前を、絶ッ対に許さない!!」

和久井「許す許さないの話じゃないんだよ。するかしないか、それだけなんだ」

拓留「くっ」ディソードリアルブート

和久井「僕と戦うつもりかね?」

拓留「僕は死んでも構わない。……けどお前は殺す! 絶対にだ!」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 20:13:50.94 ID:YnTk2GqL0
拓留「うぁぁぁぁっ!!」ブンッ

和久井「おぉっと」キィン


バチバチバチ


和久井「力任せにディソードを振って僕に勝てると思っているのかい? だとしたら、随分と僕も舐められたものだね」

拓留「くぅぅっ」

和久井「……僕にはわからないね」ドンッ

拓留「うぁっ」

和久井「なぜ、もう原型をとどめていない彼女に対してそこまでするのかが」

和久井「君が僕を殺したとして、彼女が元に戻るとでも?」

和久井「確かに君はギガロマニアックスだ。その力がないわけではないのだろう」

和久井「だがね、世の中には残酷な真実と言うものがあるんだ」

和久井「さっき、僕は、尾上世莉架はあるギガロマニアックスと同じ波動を生み出していると言ったね」

和久井「その、「あるギガロマニアックス」っていうのはね」


和久井「宮代君、君なんだよ」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/29(金) 20:17:25.66 ID:YnTk2GqL0
拓留「えっ……?」

和久井「僕も正直最初は驚いたんだ。なぜ、宮代君と尾上君がギガロマニアックスとして同じ波動を生み出すのか」

和久井「解せなかったよ」

和久井「でも、ある仮説があった。君と尾上君はとても仲が良かっただろう? それも、ただの友人同士という関係以上には」

和久井「そうすると、だ。一つ思い浮かんだのは、バカらしいとは思ったが……」

和久井「ひょっとしたら、君が尾上君をリアルブートしたんじゃないか、ってね」
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/30(土) 00:13:46.93 ID:xYdalFB0o
わくわくさんエグい、エグすぎる……こんなんどうしたらいいんだ……
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:51:25.78 ID:7Bu4pZZh0
和久井「ただ、僕も何の裏づけもなしにこんなこと言っているんじゃあないさ」

和久井「AH東京総合病院、そこに君はいたよね。宮代君」

和久井「君に関するカルテや報告書を見せてもらった。宮代君、君はイマジナリーフレンドって知っているかい?」

拓留「空想の友人ってやつだろ、それがどうしたって言うんだ」

和久井「鈍いなぁ、新聞部ならもう少し頭を働かせて推理してみせたまえよ」

和久井「宮代君はさ、幼い頃イマジナリーフレンドをその頭の中に有していたんだよ」

拓留「……な、なんだって?」

和久井「きっと両親からの愛を感じずに成長してしまったんだろう。かなり強固なイメージとして君の中に存在していたみたいだ」


和久井「彼女、は」


拓留「彼女……だって?」

拓留(なんだこの胸騒ぎ)

和久井「そうそう、その子はあくまでも想像上の人物だったらしいが」

拓留「……やめろ」

和久井「名前があったそうだよ? 知りたいかい?」

拓留「やめろぉっ! 言うな!」

和久井「いや、厳密には、君が知らないわけはないんだがね。恐らく認識のうちでは、「イマジナリーフレンドとしては」忘れてしまっているだろう」

和久井「教えてあげよう、その友人とやらの名前をね」

拓留「……やめろぉぉぉっ!!!!」キィンッ!!

和久井「その子は……」ギギギギギ


和久井「尾上、世莉架、と言った名前らしいよ」
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 00:59:52.41 ID:7Bu4pZZh0
和久井「ここまで言えば宮代君もすべてを理解してくれるよね!」バッ

拓留「ぐぁあっ」バタッ

和久井「もっとも……そこのお嬢さんは早々に真相を推理して当てていたみたいだがね」

久野里「くっ……」

和久井「なにがトリガーになったんだろうねぇ。人一人リアルブートしてしまうほどのショックだからね。まあ、そういうわけで僕はだいぶ前から君たちに目をつけていたのだよ」

拓留(じゃあ、今までのは……踊らされていただけだっていうのか!)

拓留「くぅ」

拓留(ん……本当にそれだけか?)

拓留(何かを忘れているような……)

拓留(でも……)

拓留(もう、助からない……)

拓留(久野里さんだってさっきから意気消沈気味だ。きっと打つ手がないんだろう)

拓留(尾上、ごめん……)

拓留(お前を見つけたけど、それだけで終わってしまう)

和久井「さて、と。せっかく実験の被検体と優秀な研究者様が自ら来てくれているんだから、僕も自分の研究を進めないとね」

和久井「おおっと、久野里君、逃げるのかい?」

久野里「……」

和久井「まあ、君には眠っていてもらおう。騒がれては困るが、君は使える」パチン

久野里 バタン

和久井「宮代君は……そこにいる、君の大切な友人と同じようにまずは分析しないとね」ジャキッ

和久井「おやすみ、宮代君」バッ
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:01:32.37 ID:7Bu4pZZh0
――――タク?




――――タクってば! 寝ぼけてるの?




――――もう、しょうがないなぁ。




――――タクを楽しませるために何でもしてきたつもりなのに、こうなっちゃさすがに、ね。
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:02:23.83 ID:7Bu4pZZh0
拓留「…………尾上?」























世莉架「そうだよっ。久しぶりだね、タク」
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:08:13.25 ID:7Bu4pZZh0
拓留「なんだよ。お前、和久井のやつに捕まって変なカプセルに入れられて眠ってたんじゃなかったのかよ」

世莉架「あっ、もしかしてタク、私の裸見たの?!」

拓留「なんでそうなるんだよ」

世莉架「うーん、カプセルの中で眠らされてる女の子っていったら、まあそういうもんかなって」

拓留「なんだそりゃ。というか、和久井に閉じ込められてるお前は、なんというか、人体模型みたいだったぞ」

世莉架「うげぇ! なにそれショック! 私が目を覚ましたらタダじゃおかないんだから!」

拓留「はは……」

拓留(懐かしい、で合ってるのかな。尾上とこうして話すのはどれくらいぶりなんだろう)

拓留(本当に色々なことがあった)

拓留(尾上には再開できたし、これでも十分ハッピーエンド、なのだろうか)

世莉架「ちょっとタク? 何ぼーっとしてんのさ」

世莉架「ていうか、泣いてる!?」

拓留「え?」ツー

拓留「あはっ、はははは……おかしい、涙が止まらないよ、尾上」ポロポロ

世莉架「もう、タクはしょうがないなぁ」ギュッ

拓留「っ!」
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:12:04.97 ID:7Bu4pZZh0
世莉架「今回ばかりは、私が悪いよ」

世莉架「タク、全然楽しめてなかった。ううん、それどころか、辛い目にあってばかり」

世莉架「ごめんね。ごめんね。タク」ナデナデ

拓留「う……あ……」ポロポロ

世莉架「でもね、こうしてあげられる時間は限られてるんだ」

世莉架「まずは、タクの生きたい世界を取り戻さなきゃ」

世莉架「私は私の指名を果たすために、和久井修一にこのままやられてしまう宮代拓留を、看過することはできないから」

世莉架「だからお願い。立ち上がって、タク」




世莉架「今度こそ、タクが楽しめるように……」




世莉架 チュッ
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:17:35.43 ID:7Bu4pZZh0
拓留 バッ


和久井「ん?」キィィィンッ


拓留「はぁ……はぁ……」


和久井「おおっと。まだ僕に立ち向かう気かな? 無謀なことはしないほうがいいと思うんだがね。どうだい」

拓留「僕は、このまま実験台になってやってもいいなんて思わない」

拓留「僕は、僕が生きたい世界を生きる」

和久井「はっ! 言ってることだけなら僕の主張となんら変わらないだろうね! もっとも、実現する確率は雲泥の差だが」

和久井「いいだろう。来い。宮代君。僕は穏便に済ませればいいと思っているが、勝つことが嫌なわけじゃないんだよ」

拓留(このまま正面から斬りあってもいつかは負ける。打開策を考えなければ)

拓留(尾上……あんな見るも無残な姿に……)

拓留(……あれ?)




拓留(尾上が動いている?)
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 01:19:32.31 ID:7Bu4pZZh0
世莉架「」モゾモゾ

拓留(四肢こそないが、何かをしようともがいているように見える)

世莉架「」モゾモゾ















<●><○> タクぅ?
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 01:24:02.43 ID:7Bu4pZZh0
拓留「うっ!」

拓留(尾上に……にらまれた!?)

拓留(なんだか……頭痛がっ)

和久井「あれあれ、自ら立ち上がって立ち向かおうとしていたのに、もう力尽きたのかい?」

和久井「せめて勝ち応えのある戦いにしたいんだが、まあ、仕方ないか」

拓留(なんだ、これ……)

拓留(頭が割れるように痛い!!)

拓留(別の人間の脳が自分の脳内に入り込んできているような、そんな感覚だ……!)

拓留「ぐっ……これは?」

拓留(気づけば、僕は、いつの間にか)



拓留「ディソードが……2つ?!」



拓留(自分のと、もう一つ見たこともないような、流線型の緋色に輝くディソードを手にしていた)
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 01:29:45.43 ID:7Bu4pZZh0
和久井「そんな……馬鹿な! ありえない!」

和久井「尾上世莉架が宮代君にリアルブートについて干渉を……?! そんなことがっ」

和久井「これは……ははっ、これは大きな発見だ! 今すぐにでも書き留めたいくらいの!」

拓留(和久井が何かを言っているが、既に僕の体の制御は僕の支配下になかった)

拓留(勝手に体が動いて、両手にこさえた別々のディソードを構えている)

和久井「面白い!! 面白いよ宮代君!!!! 君は最高だ!」

和久井「僕は!! 次の世界で……ぐうっ!!?!?」

和久井「ぐっ……こ、これは……」

拓留(な、なんだ? って、体が!)バッ


バサッ


和久井 ドタッ

拓留(あ……あ)

拓留(和久井は既に息絶えていた……僕は一部始終を見ていたが)

拓留(和久井は勝手に動き出した僕によって斬られ、息絶えていた)

拓留(何が起こったのかわからぬまま……)



僕は意識を失った。



世莉架「……」
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/05(金) 01:30:20.63 ID:7Bu4pZZh0
>>1です。ここから完結に向かいます。よろしくお願いします。
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 01:33:03.39 ID:6/eIu5/gO
乙待ってる
世莉架さんつおいかわいい
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 00:13:12.80 ID:l8zlVuwu0
〜拓留のキャンピングカー内〜

ピピピピッピピピピッ

拓留「ん……」

拓留「うるさいな……」ポチッ

拓留「……」

拓留 スクッ

拓留「顔洗わなきゃ……蛇口は……」

拓留 バシャッ

拓留「朝食は、いいか。着替えよう」

拓留「制服、どこにしまったかな」

世莉架「今日は祝日だよっ。タク」

拓留「そうだったのか? ありがとう尾上、ここ最近曜日の感覚がなくて――」



拓留「――尾上?」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 00:17:35.91 ID:l8zlVuwu0
世莉架「う? どうしたの、タク、変な顔〜」

拓留「い、いや、なんでもない」

拓留「……ってなんでもないわけあるか!」

世莉架「おお、ノリツッコミ」

拓留「お前どうしてここに?! 和久井に連れ去られてたんじゃなかったのか?! それも、あんな姿になって……」

世莉架「あ〜う〜、肩ゆすらないでぇ」ユサユサ

拓留「あ、悪い……」

拓留(目の前には尾上がいる。五体満足だ)

拓留(碧朋学園の和久井のラボのカプセルにいたときのように、体がそぎ落とされていることもない)

拓留(そういえば……和久井は)

拓留「……」

拓留(あの時、何が起こったんだ)
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/08(月) 00:21:57.82 ID:l8zlVuwu0
世莉架「もう、なんだか今日のタクってば変だよ? 悪い夢でも見たの?」

拓留「はは……夢、ならいいんだけどな」

世莉架「う?」

拓留「そういえば、尾上はなんでここにいるんだ?」

世莉架「べっつにー、タクの顔が見たかったから、なんてね」

拓留「そ、そうか……」

世莉架「あ、もしかして照れてたり?」

拓留「そんなわけ……」

拓留(……ある)

トリガー発生>>421

ポジティブ OR ネガティブ
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 00:45:14.16 ID:snZ5+AJXO
ポジティブ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 18:46:01.79 ID:txPfpF000
トリガー ポジティブ

/////////TRIGGER ON///////////


拓留「ぼぼぼ、僕の顔が見たくてわざわざここに来たってことは、さ……」

拓留「お、尾上は、僕のことが……」

拓留(何を言っているんだ僕は)

拓留(これじゃあまるで自分に対する好意があると思ってる自意識過剰なヤツみたいじゃないか)

世莉架「そうだよっ」

拓留「ごめん尾上、やっぱ忘れt……」

拓留「えっ?」

世莉架「私は、タクのことが、好きだもん」

世莉架「いままでもさ、タクと一緒にいようと色々なことしてきたんだよ?」

世莉架「タクは、それには気づいてないかもしれないけど」

拓留「尾上……」
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 18:50:39.44 ID:txPfpF000
世莉架「今日は祝日だし、学校もないんだよ? だからさ、タク」

世莉架「私は、今日一日タクとずっと一緒にいたいな……」

拓留「尾上っ……!」

世莉架「ねえ、ギュってして?」

拓留「それって」

世莉架「はやく、ねっ?」

拓留 ギュッ

世莉架「嬉しいな……」スリスリ

世莉架「タク、なんだかいい匂いするね」

拓留「尾上こそ、いい匂いだ」

世莉架「照れちゃうなあ」

世莉架「ねえ、もっと強く抱きしめて」

拓留 ギュゥッ

世莉架「はあっ///」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 18:53:40.67 ID:txPfpF000
世莉架「じゃあさ、次はねっ」

世莉架「キス、しよ」

拓留「き、キスだと?!」

世莉架「だめ?」ウワメヅカイ

拓留「だめな、わけ、ない」

世莉架「私、初めてで、ちゃんとできるかわからないけどっ」

世莉架「好きな人と、キスしたいから」

世莉架「お願い、タク」ンー

拓留(これはもういくしかない)


チュッ


世莉架「ぷぁっ///」

世莉架「キス、しちゃったね」

世莉架「ちゃんと責任、とってね? タク」

世莉架「あ、そうだ」


世莉架「子どもは何人欲しい?」

拓留「いやそのりくつはおかしい」

――ブチンッ
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 18:57:36.06 ID:txPfpF000
拓留(キスで妊娠すると思ってるとかどんだけピュアなんだ)

拓留(まあ、本物の尾上がそう思ってるのかは知らないけど)

拓留(和久井との対決のとき、イメージで尾上に会ったな)

拓留(そのときも、き、キス、したな)

拓留(というかいまさらなにを戸惑っているんだ僕は)

拓留(結衣と、そういうこと、もっとすごいことも、一応してるだろ……)

拓留(結衣……大丈夫かな)

世莉架「タク、どうしたの?」

拓留「うぁぁっ」

世莉架「だ、大丈夫?」

拓留「大丈夫だ」

拓留(尾上が僕の前にいまいること――それは妄想なんかじゃない)

拓留(はっきりと、存在している)
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 19:06:42.30 ID:txPfpF000
拓留(尾上は、和久井の能力によって存在しないことにされていた)

拓留(和久井が死んだ今、尾上の存在を封じるものはいないってことか)

拓留(あれ? それじゃあ僕の目的はもう果たされたのか?)

拓留(本当に?)

拓留(何かを忘れている気がして、変な汗が出る)

世莉架「う〜、タク、顔色悪いよ? もしかして、せっかくの休日に私がお邪魔したからかなぁ?」

拓留「い、いや、尾上は悪くない、ぞ……」

拓留(これからどうしていこう)

拓留(結衣は大丈夫なのかな)

拓留(尾上には悪いけど、個人的に考えたい時間が欲しい)

拓留「今日は、さ」

拓留「どうしたんだ? いきなりここに来たりして」

世莉架「う? なんでタクのとこに来たかってこと?」

拓留「あ、ああ……」

世莉架「それはね」






























世莉架「なんでだと思う?」<●><●>
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 19:14:58.50 ID:txPfpF000
拓留「ひっ……」

拓留(こ、この目……!!)

拓留(何度か記憶にある……。僕にプレッシャーをかけるように現れてきた目……)

拓留(逃げなきゃ……)

拓留(なぜかそうしなきゃいけない気がする!)

世莉架「ねえねえ、どうしちゃったの? タク」

世莉架「そんな顔されて後ずさりされたら、さすがにショックかなぁ」

拓留(こいつはひょっとしたら尾上じゃない何かなのかもしれないし)

拓留(今はとりあえずそう思って逃げよう)

拓留(出口に近いのは尾上のほうだ)

拓留(どうすれば突破できるんだ……)

拓留(……)

拓留(そうだ、僕だってギガロマニアックスだ)

拓留(相手の脳内にイメージを流し込んで混乱させることだって、不可能じゃないはず……だ)

拓留(やるしかない!)

拓留 ディソード

拓留(尾上、お前が見ているのは僕じゃない、ただの壁だ。ただの壁を僕だと思い込んでいるだけだ……)

拓留「今のうちに!」ダッ

世莉架「何が今のうちなの……って」

世莉架「ぐっ」

世莉架「あれぇ、いない」

拓留(やった!)トビラツカム


ガラララ


拓留(ここから全力疾走……)


















ガシッ

世莉架「タクぅ、逃げちゃやだぁ」<●><●>
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 19:20:39.86 ID:txPfpF000
拓留(う、腕をつかまれた?!)

拓留(しかもやたら強い!)グイグイ

拓留「くそぉ……っ、いまは放してくれ尾上……!」

世莉架「やだもん!」グイッ

拓留「ぐぁっ」ドタッ

拓留(まずい。バランスを崩して倒れてしまった)

世莉架「もう……」ギギギギ

拓留「ぐっ!」

拓留(く、組み伏せてきた?!)

拓留(尾上はこんなことするような子じゃないだろ)

拓留(今、何が起こってるんだ?)

世莉架「えっへへ、確保っ」<●><●>

世莉架「もう、だめだよ、タク。私だって女の子だもん。女の子を悲しませちゃ、だめ」

世莉架「そんなタクにはおしおきだね」

世莉架「ん、モゴモゴ……」

世莉架「だぁ……」ヨダレダラー

拓留「ひぃ!」

拓留(尾上の唾液が耳に注がれてる!!)

拓留(だんだん耳が遠くなって……)

拓留 ズキッ

拓留「ぐぁぁぁぁぁ」

拓留(ず、頭痛が!!)
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 19:21:52.18 ID:nH0sMgpnO
どうすればこの悪夢から目覚められるんだ……
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 19:24:44.41 ID:txPfpF000
拓留(イメージが頭の中に流れ込んでくるみたいだ……!)

楽しかった? 楽し楽しか楽しかった?  楽楽しカッタ? たのシかっタ?

世莉架「耳って脳みそに近いところにあるよねっ♪」

拓留(もう尾上が何を言ってるのかもわからない)

拓留(僕は、死ぬのか?)

拓留(これが、結末なのか?)

拓留「……」


久野里「宮代っ!」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 20:48:04.10 ID:txPfpF000
拓留(く、久野……里、さん?)

世莉架「う?」

久野里「そいつから離れろっ!」ドンッ

世莉架「う゛っ」ヨロッ

久野里「い、今のうちに逃げるぞ! 宮代!」

久野里「肩を貸してやるから、はやく!!」

拓留「うぅ……」


スタスタスタスタ


世莉架「逃げられちゃった……」ペロッ
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 20:58:28.25 ID:txPfpF000
拓留「ぅ……」

拓留「こ、ここは……?」スクッ

久野里「目を覚ましたか」

拓留「久野里、さん」

久野里「意識は確かか?」

拓留「え、ええ……だいぶはっきりしています」

久野里「あのままでは……最悪自我を失っていたかもしれないな」ボソッ

拓留「そ、そうだ。あのあと……和久井と対峙したあと、久野里さんはどうしたんですか?」

久野里「和久井に眠らされていて、一体お前があの後どうなったのか、詳しくは知らない」

久野里「私が目を覚ましたときには、和久井は死んでいた」

久野里「そして、気を失ったお前が倒れていた」

久野里「私は、すぐに秘密裏にと神成さんに連絡を取った」

拓留「でも……事情が事情なだけに、刑事事件にできたんですか?」

久野里「刑事事件には、まだなってはいない。だが、なんとか神成さんと話し合って、和久井の遺体を分析できないか検討した」

久野里「理想としては、解剖ができればよかったんだがな」

拓留(自分の手でやりかねないような……)

久野里「最終的に、司法解剖は実現の確率が低いだけでなく、実現したとしてもそれまでにかかる時間が長いと予想されたから」

久野里「CTスキャンにかけることになった」

久野里「私はギガロマニアックスの研究に携わっていた……その一環で、なんとか和久井を分析できたんだ」
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:06:20.49 ID:txPfpF000
久野里「もともと、ただのギガロマニアックスの分析をするつもりだった」

久野里「特に、脳について」

久野里「だが、萎縮されては困るから、急いででもCTにまわした」

久野里「その結果。驚くべきことがわかったんだ」

拓留「な、何がわかったんですか?」

久野里「脳が異常なほど肥大化していたんだよ」

拓留「の、脳が……」

久野里「ああ。それだけじゃない」

久野里「橘結衣、いるだろ」

久野里「橘結衣も、検査の過程で脳をスキャンしているが」

久野里「搬送されてすぐの彼女の脳もまた、肥大化していた」

拓留「結衣と和久井が、脳の肥大化で共通している……それは、2人ともギガロマニアックスだからですか?」

久野里「それは私も思った。だが、それだけでは何の根拠にもならないだろう?」

拓留「それは、確かに」

久野里「だが、今、私は、脳の肥大化の理由を知っている。確信を得ている」

久野里「お前だよ、宮代」

拓留「僕が?」

久野里「実は、和久井との対峙のあと、もう一人脳が肥大化した人間がいてな」

久野里「わずかではあったが」

久野里「それが宮代だった」
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:12:13.80 ID:txPfpF000
久野里「私は、目覚めてから一通りの作業ののち、和久井のラボのデータをすべてバックアップにとってから、ラボのあらゆるものを破壊した」

久野里「そして、目を覚まさなかったお前を、最終的にはキャンピングカーまで運んだ」

拓留「あ、ありがとうございます」

久野里「お前は眠りながらも終始うなされていたよ」

久野里「まあ、それだけなら夢を見ていると考えるのが妥当だが」

久野里「どうやら、お前の寝言は、私が眠っている間の出来事を丁寧に反芻していたようでな」

久野里「まるで、物語を語るがごとく、詳細をしゃべっていた」

久野里「ふと変に思ったことがあった」

久野里「自分のではないディソードを手にしていたと、お前は口にしていた」

久野里「それは、ありえるとしたら、他のギガロマニアックスの干渉を受けるほかにないんだ」

久野里「だから、その仕組みの研究と言う意味でも、お前をキャンピングカーに戻す前に、お前の脳を調べた」

久野里「結果、肥大化していたというわけだ」
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:21:29.55 ID:txPfpF000
久野里「すなわち、こういうことになる」

久野里「他のギガロマニアックスに干渉されて行動するならば、脳は肥大化する」

久野里「特に、脳に負担が大きいのは、思考誘導させられるときだろう。脳が肥大化するといっても、逆に言えば思考誘導でないならば対したことにはならない。肥大化してないと近似的に言ってもなんら問題はないくらいだ」

拓留「ということは」

拓留「結衣と和久井は、何者かに思考誘導を強いられていた?」

久野里「そう結論付けられる」

拓留(つまり、まだ終わっていない)

拓留(一連の出来事は、和久井がすべての根源だと思っていたけど)

拓留(和久井はただ操られていただけ……)
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:25:43.04 ID:txPfpF000
拓留「そういえば、尾上……尾上ですよ!」

拓留「さっきの尾上は尋常じゃなかった」

拓留「あれも、思考誘導をかけられていて……」

久野里「一つ、まだお前に言っていないことがある」

久野里「宮代拓留と尾上世莉架という2人の人物、この2人は創造した者とされた者という関係にある」

拓留「それは僕だって知っていますよ。もともとは……」

拓留「尾上は、僕のイマジナリーフレンドだったんです。想像上の人物だったんだ」

拓留「でも、僕がギガロマニアックスだから。ついに能力を使って具現化させてしまった……」

拓留「和久井から、すべてを知らされました」

久野里「ふむ」

久野里「そうだな」

久野里「宮代。お前は……思考誘導によって和久井が虚言を発していたという可能性は考えないのか?」



拓留「――えっ?」
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:34:19.11 ID:txPfpF000
久野里「思考誘導では、操る相手に嘘をつかせることだって可能だ」

久野里「和久井が思考誘導されているとわかった今、和久井の言うことをすべて鵜呑みにするのはあまり賢いとはいえないぞ」

拓留「……確かに」

久野里「お前をキャンピングカーにかえしたあと、私は自分の手でギガロマニアックス研究の過去を洗おうと思った」

久野里「真実を知りたくてな」

久野里「特に、AH東京総合病院とその地下に関することを調べた」

久野里「……」

拓留「どうしたんですか?」

久野里「い、いや」

久野里「言おう」

久野里「AH東京総合病院におけるギガロマニアックス研究の中に、『宮代拓留』という人物は一切登場しない」
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:38:14.34 ID:txPfpF000
久野里「それだけじゃない。思い出せる限り、宮代拓留の経歴をあたって名前の存在を確認しようとした」

久野里「だが、2009年以前には見つけられなかった」

久野里「なんども調べた! 秋葉原にいるハッカーに依頼してまでも宮代拓留の足跡を探った!」

久野里「……しかし、見つからなかった」

拓留「ど、どういうこと、ですか」

拓留「だって、そんな……僕がいた形跡がまるごと消された?」

拓留「これも、黒幕の仕業なんですか……?」

久野里「そう、思うのか」

久野里「代わりに見つけてしまったものもある」

久野里「宮代拓留、とあるべきデータは、特に2009年以前、すべて尾上世莉架となっていた」
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:41:33.28 ID:txPfpF000
久野里「AH東京総合病院の地下で行われていたギガロマニアックス研究――そこには、尾上世莉架という少女がいたそうだ」

久野里「IDは5102番。途中で抜け出したらしく、記録は途切れているがな」

久野里「そしてカルテには――」
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:44:55.59 ID:txPfpF000
〜翌朝、某所〜

プルルルルルルルル

世莉架「あ、電話だ」

世莉架「もしもし」

拓留『僕だ』

世莉架「タク」

拓留『尾上、お前、僕のこと好きか?』

世莉架「……」

世莉架「うん、大好き」

拓留『今日、学校あるけどさ』

拓留『学校さぼってデートしよう』

世莉架「うんっ」

拓留『じゃあ、今からシアターキューブに向かってくれ』
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:46:40.03 ID:txPfpF000
〜シアターキューブ〜

拓留「……」スタスタ

拓留「…………」

拓留「………………」





















<●><●>ふふっ



















拓留「待たせたな、尾上」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 21:56:17.71 ID:txPfpF000
世莉架「全然待ってないよ♪」

拓留「まわりに全然人がいないんだけど」

世莉架「……気にしなくていいと思うな」

拓留「そうか」

拓留「そこのカフェにでも入ろうか」

世莉架「うんっ」



拓留「新聞部、覚えてるか?」

世莉架「突然どうしちゃったのタク、忘れるわけないじゃん」

拓留「はは、それもそうだよな」

世莉架「新聞部で活躍(笑)してたときのタク、なんか色々格好つけてたよね」

拓留「(笑)とか言うなって、まあ、あのときの僕は、今の僕にとってみれば黒歴史みたいなもんだよ」

世莉架「そっか」

世莉架「私、いっぱい思い出あるよ」

世莉架「新聞部もそうだし、それ以外で、タクと一緒に過ごしたことも」

世莉架「タクにマッサージしてあげたり、華ちゃんも交えて一緒にバイオハザードで遊んだり」

世莉架「い、一緒にお風呂入ったことも、あったよね///」

拓留「あ、あったな……」

世莉架「料理作ってあげたりもした」

拓留「うまかった」

世莉架「えっへへぇ」

世莉架「あっ、あと久野里さんの家に押しかけたり!」

拓留「申し訳ないことをしたよな」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:01:21.23 ID:txPfpF000
世莉架「あ、その前に吉祥寺に行ったりも」

世莉架「結衣ちゃんと結人くんも、一緒に」

拓留「そうだ」

拓留「でも、ある日を境に世界は変わってしまった」

拓留「再構築されたがごとく」

世莉架「……」

拓留「なあ、尾上」

拓留「教えてくれよ」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:04:34.55 ID:txPfpF000
拓留「6年前、なんで僕をリアルブートしたんだ?」



世莉架「……」

世莉架「な、何を言ってるの? タク」

世莉架「タクが、私をリアルブートしたんだよ?」

世莉架「タクの、願いを、かなえるために……」

拓留「僕の記録なんて、どこにも存在しない、それが事実だ」

世莉架「っ!」
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:11:59.11 ID:txPfpF000
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久野里「尾上世莉架は、重度の統合失調症患者だ」

久野里「AH東京総合病院のカルテにはそうある」

久野里「幼馴染で1つ年上の男の子がいるとずっと主張していたそうだ」

久野里「名前はミヤシロタクルといって、彼女はタクと呼んでいたらしい」

久野里「イマジナリーフレンドで済めばよかったが、そうでもなかったようだ」

久野里「『タクの願いをかなえなきゃいけない』『タクを楽しませなきゃいけない』『本当の私は冷淡で冷たい女、タクがそう望んでる』などという強迫観念に常日頃からとらわれていたと記録されている」

久野里「また、病的なまでにその『タク』を愛していたそうだ」

久野里「『タク』を愛するために体液交換しなければと震えたり、などなど」

久野里「カルテを書いた者は、このままではいつか精神が崩壊してもおかしくないと思ったんだろう」
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:19:10.51 ID:txPfpF000
久野里「また、ギガロマニアックス研究としての側面から書かれた記録もある」

久野里「彼女は、遅くとも研究対象となったときから、小規模なレベルでのリアルブートを容易にこなしていたという」

久野里「そして、精神的に不安定かつ妄想の巨大さからして」

久野里「本格的に能力が発現した場合、いままでに存在してきたあらゆるギガロマニアックスよりも能力が高くなることが懸念された」

久野里「世界線に干渉するのではないか、という仮説を立ててレポートを書いたものもいたらしい」

久野里「いずれにせよ、尾上世莉架に関する情報は、和久井の死後に続々と発見できた。おそらく思考誘導にかけられた和久井が隠していたんだろう」

久野里「単純なことだった」

久野里「世界改変と記憶の継承」

久野里「一つの仮説として、蒼井セナのバックアップ説はあるだろうが」

久野里「もう一つ」

久野里「単純に、世界線に干渉できてしまえば、世界の改変は行える。ましてや最強のギガロマニアックスだ。科学ではお手上げな位のチート能力者なら」

久野里「特定の人物が都合よく記憶を維持する世界線、なんてもの容易なんじゃないのか」

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447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:23:08.48 ID:txPfpF000
拓留「僕の願いをかなえる、楽しませる、そういったお前の妄想が僕という存在を具現化させた」

世莉架「……」

世莉架「……ぁぁぁぁ」

世莉架「ふふふふっ」

世莉架「ははっ、ひひひひ」

世莉架「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:26:21.95 ID:txPfpF000
世莉架「最高!! 最高!!」

世莉架「タクってば、本当に!!」

世莉架「本当に……私の理想!!!」

世莉架「ああぁぁ愛おしいよタクぅっっ!!!!」

世莉架「だって!! だってだよ!!?!?!?」

世莉架「私が願ったとおりに、その通りに……」

世莉架「私の欲を満たしてくれるんだから!!!!!ぁぁぁぁはははは」
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:48:34.93 ID:txPfpF000
世莉架「そうだよ! タクの言ってることは本当」

世莉架「タクなんてもともと実際には存在しなかった」

世莉架「正確には、お医者さんにそういわれただけだけど」

世莉架「タクという存在はね、私に生きる意味を与えてくれるの」

世莉架「天涯孤独で施設にいた私にとって、誰かの役に立てるのは希望だった」

世莉架「あんまり覚えてないけど、あるときから病院の地下で実験とかいうのを手伝わされたこともあったね」

世莉架「研究してる人たちは私を見て驚いてた。昔はなんで驚いてたのかわからなかったけど」

世莉架「でも、そんなのはどうでもいいの」

世莉架「タクがいればいいの」

世莉架「タクにいて欲しかったの」

世莉架「こんな地下なんかじゃなく、もっと普通の、やさしいお家で一緒に暮らしたい」

世莉架「ずっとそう思い続けてた」

世莉架「そうしたらね。やっぱりタクはいたんだよ」

世莉架「それが6年前」

世莉架「極限まで追い込まれた私を、タクは優しく抱きしめてくれた」

世莉架「そうそう。タクも地下にいてね、一緒にいた結衣ちゃんと結人くんも、佐久間って先生が連れ出したんだよ」

世莉架「それで、私も一緒に地下から抜け出したんだ」

世莉架「そうなの」

拓留(ひょっとしたら、僕がリアルブートされたあとだから……地下から抜け出すくだりからして、尾上が作り出して現実にした世界なのか?)

拓留(今の尾上には……いや、ひょっとしたら永遠に答えはわからないかもしれない)
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:52:32.28 ID:txPfpF000
世莉架「世界は私の思い通りに形作られてく」

世莉架「神様は優しかったんだ」

世莉架「私が思えば、その通りになったんだから」

世莉架「でも」

世莉架「まさか、タクが結衣ちゃんに傾倒するとは思わなかった」

世莉架「結衣ちゃんはね、本当はタクのことが好きで、タクを好きな私のことを複雑に思ってた」

世莉架「こんなはずないって思った」

世莉架「タクが私を見限るわけないって」

世莉架「だからね、今度はタクを振り向かせなきゃって」

世莉架「今までは、私が望んだから、タクは私の望むとおりに反応してくれた」
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:55:49.24 ID:txPfpF000
世莉架「今度は……私の力で、ね」

世莉架「だから、タクが私の元に自分から来ようと、歩み寄ろうとするようにがんばったんだよ!」

世莉架「結衣ちゃんはね、きっとのんちゃんが嫌いだったんだよ」

世莉架「私はずっとそう思ってたし」

世莉架「そしたら、案の定、だったねっ」

世莉架「それからそれから、ね」

世莉架「和久井先生! 前から胡散臭いと思ってたんだぁ。悪いことしてるって、絶対」

世莉架「きっと私も和久井先生にひどいことされちゃうーって思わざるを得なかったな」

世莉架「事実そうなったし」

拓留(そうさせた……の間違いだ。すべては)
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/09(火) 22:58:09.29 ID:txPfpF000
世莉架「はぁっ。ちょっとしゃべりつかれちゃった♪ 休憩とっても、おっけい? いいよねっ。うん、わかった!」

世莉架「ふぅ」

拓留「じゃあ、僕は自分から尾上のもとに来たから、思い通りになったってことか」

世莉架「うん……っていうか、物理的にもそうだし、精神的にも、ね」

世莉架「だって学校さぼってデートだよっ! ちょっと憧れもあったから、タクとそうやって過ごせて幸せ」

拓留「そうか」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 01:41:35.82 ID:Jy2xPBJFo
なん……だと……
まさか根本のところから違ってたなんて想像だにしなかった……
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/10(水) 17:53:24.55 ID:wfWf/oGY0
拓留(この世界はきっと、尾上が願ったとおりに何度も改変されてきたんだ)

拓留(久野里さんの話から察するに、それは観測上改変されたように見えるのであって、きっと本質的には多世界解釈と考えていいのだろう)

拓留(……このままでいいのだろうか?)

拓留(リアルブートされた存在とはいえ、僕は――少なくとも今の僕は望んで尾上に従ってるわけじゃない)

拓留(尾上にとっての僕の存在意義は彼女の望むとおりの人間だろうけど)

拓留(僕にだって意思はある)

拓留(例えば、そう、尾上が消えれば――僕は)

拓留「……」


ルート分岐安価>>454

1:僕は、尾上世莉架を消して自分の意思で生きる。
2:僕は、尾上世莉架に付き従う存在として生きる。
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/10(水) 17:54:02.10 ID:wfWf/oGY0
すみません安価失敗しました

>>456
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 20:58:50.63 ID:GzdfcPvTO
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/10(土) 22:11:14.38 ID:fcCz1a/c0
拓留(……僕は、尾上のために生きよう)

拓留(こんな可愛い幼馴染に、この世界よりも大事にされて、僕は嬉しいはずだ。そうだろ?)

拓留(歪んだ愛情を注がれているのかもしれない。でも、だから何だって言うんだ)

拓留(僕がいいならいいじゃないか。誰にも迷惑はかけてないんだから)

拓留(僕は、尾上を満たすための存在なんだ。それ以上でも以下でもない)

世莉架「……う? タク? どうしちゃったの、そんな難しい顔して」

拓留「えっ、……ああ、なんでもないよ」

世莉架「もう、あんまり見つめられちゃうと照れちゃうんだから、ね」

拓留「悪かったって」

世莉架「別に嫌じゃないけどさ」ボソッ

拓留「ははは……」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 22:15:22.60 ID:fcCz1a/c0
拓留「なあ、尾上」

世莉架「?」

拓留「僕のこと、好きか?」

世莉架「ぶっ! ちょ、ちょっと、タク、いいい、いきなり何言い出すの///」

拓留「どうなんだ?」

世莉架「そ、それは、嫌いじゃ、ないよ? 全然」

拓留「好きじゃないってことか?」

世莉架「そんなこと! ……言ってないじゃん。もう」

拓留「直接、面と向かって言ってくれよ」

世莉架「ううう……、わかった、わかりましたよー」

世莉架「おほん」


世莉架「……私は、タクのことが大好き――




――誰よりも、何よりも愛してる。世界よりも」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/10(土) 22:25:35.72 ID:fcCz1a/c0
〜2016年のゴールデンウィーク、渋谷ハチ公前〜

世莉架 スマホポチー

世莉架「……」

世莉架「…………」

世莉架「………………」

世莉架「――――おそい」


拓留「はぁっ、はぁっ、ご、ごめん尾上。遅れちゃって」

世莉架「もうっ、遅いよタク!」プンプン

拓留「大学のレポートを夜遅くまで書いていたら寝坊しちゃったんだ。ごめん」

世莉架「デートの前に夜更かししないでよっ」

拓留「提出期限が今日だったんだ。許してくれ、尾上」

世莉架「ふん」

拓留「……?」

世莉架「……名前」

世莉架「……名前で呼んでくれなきゃ、やーだ」

拓留「――ははっ」

世莉架「もう、何がおかしいのっ」

拓留「なんでもないよ」

拓留「じゃあ行こうか、世莉架――」


拓留(僕は世莉架のために生きる人生を選択した)

拓留(なんとか東京の某私立大に受かることができた僕は、大学生になってからは特に目立つことのない普通の学生として細々と生活している)

拓留(尾上――いや、世莉架とは、今は恋人同士という関係にある。結婚するのも時間の問題かもしれない)

拓留(僕の通う大学は女子が多い学校だった。だから、世莉架はよく心配してくる。浮気をするつもりなんてないけど)

拓留(たまに仲のいい女友達ができると、その子が失踪したりすることがある。まあ、理由は考えないようにしている)

拓留(別にいいんだ。僕には世莉架がいるから)


――これが、僕の選択だから。


ANOTHER GOD'S SKY END.
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/10(土) 22:26:51.35 ID:fcCz1a/c0
次は、>>454の選択肢で1が選ばれた場合のルートを書いていきます。
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/11(日) 11:29:47.89 ID:hKfn/iseO
おつん
どっち選んでもハッピーにはなれそうにないのがカオチャの業を感じる
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/17(土) 16:39:56.09 ID:alL1U8A10
少々おまちください(by >>1)
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/17(土) 18:15:01.52 ID:MOEhaPeDo
まってる
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 11:44:47.38 ID:skdo1Oja0
拓留(……僕は、尾上を――消す)

拓留(別に彼女が嫌いだとか、憎いだとか、そういうんじゃない)

拓留(これは、僕が尾上世莉架という女の子のためにしてあげられることなんだ)

拓留(宮代拓留という人間に翻弄されなければならない人生しか歩めない尾上を、彼女が納得できる形で浄化してあげられるのは――)

拓留(――僕しかいないはずだ )

拓留「……尾上」

世莉架「う? なに?」

拓留「僕は、尾上のこと――世莉架のこと、愛してるぞ」

世莉架「ふぇぇっ?// どうしたのいきなり////」

拓留「本心を言っただけだよ」

世莉架「なんかタクがキザな男になっちゃったよ〜」

世莉架「はぅ」

世莉架「……でも、うれしい」

世莉架「タクからそういってもらえて、私、幸せだな」

世莉架「私もね――タクのこと、愛してるよ」

世莉架「好き、とか、大好き、とか、そういうんじゃ収まらないくらい」

拓留「ああ」
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 11:47:33.36 ID:skdo1Oja0
拓留「そうだ、少し二人で歩かないか? 散歩っていうかさ」

世莉架「うんっ、いいよ。そうしたい」

拓留「……って言っても、どこにいくかなんて、決めてないんだけどな」

世莉架「どこでもいいよ。タクが行きたいところ――ううん、タクがいるところに、私がいられれば」

拓留「そうか……じゃあ、代々木公園まで歩いてみるか。少しかかるけど」

世莉架「おっけい!」
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 11:51:09.48 ID:skdo1Oja0
拓留「渋谷の街って、どうしてこんなに物が密集しているんだろうな……」

世莉架「せまっくるしー感じだよね。あはは……」

世莉架「でも、私、この街嫌いじゃないよ?」

世莉架「なんだかね、複雑な気持ちを抱え続けてるんだけど、必死になって生きてる感じがして」

世莉架「自分が辛くなったら、この街のことを思うと、不思議と楽になれることって、あるんだ〜」

拓留「はは、そうかもしれないな」

拓留(尾上は、世莉架は、一体今までどれほどの苦悩を抱えてきたんだろう)

拓留(この街の複雑さをはるかにこえる、複雑怪奇なものを抱えてきたのだろうか)

拓留(それも、僕が終わらせてあげるからな)
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 12:09:19.69 ID:skdo1Oja0
拓留「お、原宿が見えてきたかな」

世莉架「竹下通りだねっ。ねえ、タク。私いろいろ見て回りたいなぁ」

拓留「じゃあ、そうしようか」

世莉架「うんっ」


世莉架「ねえみてみて、このクレープすごくおいしそう!」

拓留(なんだか吉祥寺に行ったときを思い出すな)

拓留「よし、じゃあ二人分買おう」

拓留「僕のおごりだ」

世莉架「タクったら男前〜」

拓留「か、からかうなよ……」
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 12:19:08.41 ID:skdo1Oja0
世莉架「あっ、見てみて、これめっちゃ変な色〜」

拓留「これは、食べ物、なんだよな……?」

拓留「食べたいのか?」

世莉架「うーん、いいかな、別に」

拓留「そうか(助かった)」
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 12:23:55.96 ID:skdo1Oja0
拓留(その後も、しばらくは尾上と原宿を散策した)

拓留(ようはデートなのだが、これはデート以上の意味がこめられた二人の時間だ)

拓留(尾上世莉架という世界を捻じ曲げることのできる存在の終局へ向かう道のりだ)
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 12:32:42.49 ID:skdo1Oja0
拓留「それじゃあ、そろそろ代々木公園に行こうか」

世莉架「おっけい。れっつごー」


〜代々木公園〜

世莉架「うわ〜広いねぇ、タク。こんなにたくさんの自然に囲まれたの、私はじめてかも」

拓留「すごいよな。大都会の中にこんな場所があるなんてさ」

拓留(世莉架は世界の広さを知らない。知る由もなかったというほうが正しい。それだけ、彼女の人生は悲劇的だ)

拓留(普段は明るく振舞っているけれども、実際は深い闇を抱えている。ただ、それを隠しているだけだ)

拓留(その闇は、まるで大都会東京23区に存在するこの森林のような)

世莉架「なんだかね、さっきまでの原宿もわーわーって感じでそれはそれで楽しかったんだけど、こういう自然に囲まれるのってなにもしなくても心地いいんだって、思った」

拓留「ああ。人が集まる場所には、それぞれ良さがあって、けれど相容れないところがあるな」
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 14:02:43.74 ID:skdo1Oja0
拓留「この辺に座ろうか、さっきレジャーシート買っておいたんだ」

世莉架「うんっ」

拓留「よいしょ」

世莉架「ふう」

拓留「……」

世莉架「――」


風を感じる。その風は、どこか悪戯心の感じられるもので――

頬を撫でておちょくってきているんじゃないかと思えた。


世莉架――。


拓留(僕は、尾上世莉架を、消す)

拓留(この世界から消すんだ)

拓留(それは、彼女のため、僕のため、そして世界のため)

拓留(終局に向かわせることができるのは、彼女を除けば僕一人だから)
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 21:30:47.16 ID:7awTjXYio
終活デートか……
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:21:52.38 ID:4LHMXDiJ0
拓留「なあ、もうちょっと……こっちに来いよ」

世莉架「……! う、うんっ」

ススッ

世莉架「こう、かな」

拓留「……もう、ちょっと」

世莉架「……こう?」スススッ

拓留「あ、ああ」

拓留(片方の肩が当たるくらい僕たちは近くで座っている。世莉架が僕に寄り添うような形だ)
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:27:51.06 ID:4LHMXDiJ0
拓留「――いい匂いがする」

世莉架「ふぇぇっ?! た、タクぅ。言ってることが変態さんみたいだよぉ」

拓留「ご、ごめん。いや、こんなに近くに世莉架を感じたの、久しぶr――はじめてだったからさ」

世莉架「そっか……そうだよね」

世莉架「私は、タクのそばにこうしていられて、結構嬉しい気持ちになってたり」

拓留「僕も、世莉架がこうしてそばにいると安心する」

拓留「なあ、世莉架――」

世莉架「う? って――」

拓留(僕は世莉架の肩をつかんで押し倒した。抵抗はない。僕が彼女に跨る形になる)

拓留(彼女は頬を紅潮させながらも僕のことをじっと見つめていて……)

拓留(鼓動がわかるんじゃないかっていうくらいに胸を上下させている)
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:34:02.69 ID:4LHMXDiJ0
世莉架「――ハァッ、わ、私……こんなお外でタクに襲われちゃうのかな?」

世莉架「タクも男の子だもんね……」

拓留「世莉架、僕の目を見てくれ」

拓留(世莉架と目が合う。そのとき、僕はまるで自分自身の目とにらみ合っているかのような錯覚に陥った)

拓留(これは世莉架の目なのか? 本当に?)

拓留(その目……だれの目?)

世莉架「神の目、じゃないかな」

拓留「!」

世莉架「私は神様なんていないと思ってた。でもね、それはちょっと違っていて……」

世莉架「私には力があるから、私が神様になればいいやって、そう思ったの」

世莉架「だから今タクが見てるのは、神様の目かもね、って……」

拓留「……世莉架は、世莉架だ。僕の幼馴染の、僕の好きな……世莉架だ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:36:48.15 ID:4LHMXDiJ0
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:42:47.42 ID:4LHMXDiJ0
拓留「世莉架、世界は君のエゴで何度も大きく改変させられている。世莉架は僕を好きといっても、なにをしようとも、究極的には君の行動は自己愛にすぎないんだ」

拓留「僕は世莉架が好きだ、愛している。だからこそ、終わらせないといけない」

拓留「全能である苦しみから、解放したい」

世莉架「それがタクの選択?」

拓留「ああ、もう、決めたことだから」

世莉架「そっか」

拓留(これから僕たちはどのように対峙するのか。殺し合いだろうか)

拓留(いまはこうして僕が馬乗りになっているが、対した効果はない。ただ、このような体勢でいることが許容されているに過ぎない)

世莉架「おっけい。タク……」ズイッ

拓留(レジャーシートに仰向けになっていた世莉架が上半身を起こしてくる。逃げるべきだろうか? そう思った瞬間――)

世莉架「っちゅ」

拓留(僕は世莉架にキスされた)
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:50:04.52 ID:4LHMXDiJ0
世莉架「んちゅ、んっ、れろっ」

拓留(舌を絡ませるようなキス。世莉架が唾液を注いでくる)

拓留(あれ、なんだか頭が……)

拓留(……駄目だ! 前にも世莉架に唾液を入れられておかしくなりそうになったことがあったじゃないか!)

拓留(仕返すしかないっ)モミッ

世莉架「っ!」

拓留(意識が朦朧とする中、僕は世莉架の胸を愛撫するように揉みしだいた)

世莉架「んあっ、た、タクのすけべっ」パッ

拓留「やられてばかりじゃ、ないからな」

世莉架「も、もうっ。あーあ、私のキスでふらふらーってなったところを殺してあげようと思ったのに」

世莉架「逆らっちゃ、めっ、だよ」

世莉架「タクが私を消す気なら、私が先にタクを殺して、身体が腐ってグズグズになるまでずーっと愛してあげるよ」

拓留「それじゃ駄目なんだ。僕は君のわがままを永久にできなくしなきゃいけないんだから」
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:59:03.46 ID:4LHMXDiJ0
世莉架「うぅ、タクのいじわるぅ」

世莉架「……」

世莉架「なーんてね」

世莉架「私ね、気づいてたんだ。タクを楽しませるってこと、それは世界線を越えようと何があろうと変わらないんだけど、結局は私の自己満足で楽しませた気になってたのかもって」

世莉架「もちろん、タクも楽しんでくれたことはあるだろうけど、結局楽しんでたのは私」

世莉架「そう思うとね、タクに愛されながら、タクに殺されるのって、悪くないんじゃないかなって思ったんだ」

世莉架「タクの愛以外、私にはいらないってことに、気づいちゃった」

拓留「僕は世莉架を愛しているよ」

拓留「それは変わらない。今までも、そうだ」

世莉架「そっか、そうだったんだ。私、いろんな迷惑かけちゃったなぁ」

世莉架「いーっぱい改竄して、いーっぱい殺しちゃった」

世莉架「それでも、タクは愛してくれてるんだもん」

世莉架「もう、することってないや」

世莉架「でもまたタクが取られると私が思えば、私はきっと同じ事を繰り返しちゃう。使える力があるなら、人間の本性として欲にしたがっちゃうもん」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 21:15:35.86 ID:4LHMXDiJ0
拓留(世莉架は静かに涙を流している。その涙にはきっと、数え切れない感情と記憶と思いがこめられているんだろう)

世莉架「ぐすっ、えへへ、せっかくタクとこうして幸せな時間を過ごせてるのに、ないてたら顔くしゃくしゃになっちゃったかも」

世莉架「ねえ、タク」


世莉架「私を抱きしめて」


世莉架「私はタクに愛されてるんだって、実感させて」

拓留「世莉架」

拓留(僕は世莉架を抱きしめた。強く、痛いんじゃないかってくらいに強く)

拓留(世莉架の体温と鼓動が伝わってくる。それが妙に心地よく感じる)

拓留(世莉架を抱きしめながら、僕は頭にイメージを思い浮かべる。妄想をする)

拓留(ディソードが……、リアルブートされる。世莉架を背後から一突きで殺すように刃が向いている)

拓留(世莉架と抱き合ってる僕も間違いなく死ぬだろう。もしかしたら、こうなることも彼女の力による必然だったのかもしれない)

拓留(でもいいんだ。これですべて終わる)



宮代拓留と尾上世莉架は、互いに愛し合いながら世界を捻じ曲げる力を封印する。


ディソードが尾上世莉架と宮代拓留の身体を貫く。二つの命が散る。


抱き合いながら幸せそうに赤い花を咲かせる姿があるのみである。







??「やばい、遅刻だ! 昨日夜更かししてまで事件を追うんじゃなかった! くそっ」タタタタッ

???「ひゃっ」ドカッ

??「うわっ!」


??「いててて……あ、すみません! 怪我とか、してないですか?」

???「だ、だいじょうぶれす〜」フラフラ

??「いやいや大丈夫そうじゃないだろ」

???「う? あの、あなた、どこかであったことがあるような?」

??「――!」

??「……」

??「……ははっ」



??「きっと知らないですよ、お互いに」


GENERATING SKY END
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 21:17:58.66 ID:4LHMXDiJ0
以上になります。1年以上も長々とお付き合いいただきありがとうございました。カオチャのアニメと同時進行くらいだったのに、気づけばシュタゲゼロの放送に追いついてしまいました。

安価で協力してくれた方々、更新を待っていてくれた方々、感謝いたします。
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 22:38:08.95 ID:/4RakTbSO

気が向いたらまたなんか書いて欲しい
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 23:47:57.83 ID:GvIx9vxzo

シュタゲゼロか……カオチャアニメの二の轍は踏まないでもらいたいな
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/05(土) 02:33:38.81 ID:kgQDuiRi0
>>482

デレマススレですが、新作を書き始めました。完結するまでには例によって時間がかかってしまうと思うのですが、よろしければ。

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1525454820/
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/28(日) 01:02:45.36 ID:JMgDDefJ0
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