永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」

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245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/12(金) 19:50:22.79 ID:scudlLjvo


(そんな獣同然の暮らしぶりに、なんか知らないけど、隠居暮らし的な憧れ持っちゃってたんじゃないの?)


(キャッハッハ! ほんと、バッカじゃないの〜〜〜〜!)


 当時の情勢も手伝ってか、レイセンが語る地上の話は、月の都でも大ウケでした。
 ただでさえ穢れた地と禁忌扱いされる地上。
 さらにはあの永琳が、月を裏切ってまで逃れたあの場所は――――「一体どのような所なのか」。
 
 皆、内心興味があったのです。
 だから皆、アッサリ信じました。
 何を隠そうレイセンは、その地上を監視する「月の番人」の一人だったのですから。


(え〜まじぃ? こいつらみんな、あたしの客?)

(キャッハッハ、ウケる! 揃いも揃って、暇人すぎぃ〜〜〜〜ッ!)


 いつしかレイセンの足は、呑む為ではく、語る為に運ぶようになりました。
 最初こそ口だけの単純な喋りでした。
 それが段々と小道具を扱うようになり、場所を選ぶようになり、告知のビラを刷る程になり――――
 いつの間にか本人ですら収集が付かないほど、その人気は膨れ上がっていたのです。


(じゃあ明日はぁ〜〜……穢れた民の使う遅れた道具の御話!)


(わかりやすいように人形劇にしてあげる! じゃあ明日、この時間、同じ場所ね!)


 そんな流行の真っ只中にいたレイセンでしたが、それでもお金は取りませんでした。
 代わりに、お酒を要求しました。
 高いお酒じゃなくても構いません。何でもいいからお酒さえ持ってくれば、レイセンは誰でも受け入れました。

 気づけばそこには、レイセンが望む以上のお酒が並んでました。
 たかが酒の一本や二本。それでも寄ってくる人数が増えれば、その数は倍々的に増加します。
 人々は知っていたのです。この兎は、呑めば呑むほど面白くなると。
 人々は知らなかったのです。自分達が持ってきたお酒は、全部その場で飲み干されていた事を。



(ウェェェェ〜〜〜〜イッ!)



 毎日毎日浴びるように呑み、まるでお祭りのように騒ぎ立てるレイセン
 そんなレイセンを好意的に見る人。心配そうに見る人。羨む目で見る人。妬む目で見る人……
 レイセンの生活は、またしても元の鞘に戻りました。
 皆の関心を一手に受ける、都の人気兎の地位に、見事なまでに返り咲いたのです。


ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1246578.jpg


 そうしてまたも数多の注目を集めたレイセンでしたが……
 ですがみんな、”今度は”肝心な事が見えてませんでした。


(絵もやった。人形劇もやった。じゃあ後は…………)



(…………そうだ! 次は紙芝居にしよう!)



 レイセンが、”何の為にこんな事をやっているか”です。


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