貴方「奴隷たちに救済を」【安価スレ】【2スレ目】

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397 : ◆rOVqyGu.Qw [saga]:2017/10/23(月) 23:37:53.26 ID:kt2bqzem0
部屋に入って、荷物を纏める。

グラウスは既に、ベッドに入って寝息を立てている。

貴女は書置きを残して、屋敷へと向かう。

少しでも助けになれれば、という思いを胸に秘めて。

屋敷では、先ほどとは比べ物にならない惨状が広がっていた。

腕や脚を喪った人や、腹部から内臓が零れだしている人さえいる。

医師一人では、到底処置できる量ではなかった。

「私も手伝います…!」

怪我人に近づくと、悪臭が漂ってくる。

傷口が化膿して、腐敗を始めているのだ。

「きっと治るはず…」

手に魔力を集中させる。

右手は治癒魔法、左手は火炎魔法をそれぞれ詠唱させ、傷口を軽く炙って消毒。

その後、治癒魔法で消毒処置を施した部分を修復させる。

両手を傷口から離すと、綺麗になった体がそこに。

成功したことに安堵し、続けて別の怪我人の治療に向かう。

貴女が来たことで、怪我人は全員が完治。

後遺症を残すことなく、復帰できた。

「はぁ…。はぁ…」

怪我人全員の、それも、殆どが重篤だったため、魔力の消費が激しい。

貴女の体への負担も、相当なものだった。

「お嬢様、こちらをどうぞ」

医師が、紅い液体を手渡してきた。

それを受け取り飲む貴女だが、独特の風味が貴女には美味に感じた。

「美味しい…です…」

「これが美味しいとは…珍味好きのようで」

否定できなかった貴女は、頭に手を置いて微笑する。

「この液体はアイアンタートルという魔物の血です。魔力の回復を促進するのですよ」

今飲んでいたものが血だということに驚いている貴女に、医師は頭を下げる。

「改めて、感謝を申し上げます。貴女がいなければ、犠牲者の数が増えていたでしょう」

貴女は慌てて首を振り、答える。

「わ、私はするべきだと思ったことをしただけですから…」

それに、と付け加え、言葉を続ける。

「命が助かったっていうのは、嬉しいですから…」

元気になった人たちを見て、貴女は微笑む。

それを見た医師は、小さく呟く。

「優しいお方だ。貴女は」

その声は、喧騒に掻き消されて聞こえることは無かった。
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