【まほいく安価】プフレ「魔王は倒さなければならない」【魔法少女育成計画restart】

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335 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:13:46.22 ID:9yGHt41Vo

ペチカ「な、那子さん……!」

那子「ペチカ!」


少し離れた場所でペチカがぽつんと姿を現す。メルヴィルの姿は無い


那子「ペチカ、すぐ……!」

ジェノサイ子「ちょ、それ罠――」


 那子の数値……>>↓1コンマ二桁
 メルヴィルの数値……>>↓2コンマ二桁
 
 那子の数値が勝っていた場合……メルヴィルの罠を迎撃する
 メルヴィルの数値が勝っていた場合……那子撃破
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 22:15:07.81 ID:Y115L7OO0
えーえええーえ え
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 22:17:07.72 ID:eA0Rbjsjo
338 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:27:50.49 ID:9yGHt41Vo

 那子の数値……81
 メルヴィルの数値……72
 

ペチカに走り寄る那子の横から何かが飛来する。銛だ


那子「そう来ると思ったデース!」


那子が急停止してバックジャンプ。難なく銛を避けると同時に着地時に地面に右手を突っ込み何かをガッと掴んだ


那子「その辺、デスね!」


バッと地面を掴んだ握りこぶしを広げ、地面を抉り握りつぶして出来た無数の小さな石を撒く


那子「姿は消せても!」
 

砂ほど細かくない重みを持ったつぶてが魔法少女の肩で遠くへと飛んでいく
339 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:31:33.72 ID:9yGHt41Vo

だがつぶては何に当たるわけでもなく地面にぽてぽてと落ちた


那子「(この方向にはいない……)」

ジェノサイ子「今の内にペチカを……って、またいない!?」

那子「What!? ええい!」


恐らくメルヴィルは那子に銛を撃った次の瞬間に既に移動してペチカを回収していたのだろう


ジェノサイ子「2対1……けど、不利っぽいね」

那子「ぐぐぐ……!」


 那子&ジェノサイ子の数値……>>↓1コンマ二桁
 メルヴィルの数値……>>↓2コンマ二桁
 
 那子達の数値が勝っていた場合……ユウキが来る時間を稼いだ
 メルヴィルの数値が勝っていた場合……那子戦闘不能
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 22:35:08.85 ID:1jMtwUxDO
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 22:35:21.54 ID:eA0Rbjsjo
342 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:45:30.91 ID:9yGHt41Vo

 那子達の数値……85
 メルヴィルの数値……54


ジェノサイ子「出てきなよ卑怯モン!」

那子「正々堂々勝負しなサーイ!」


返事は無い。が、若干の気配はある


那子「ペチカ! どこにいるんデスか!」


2人が見えないところで、だが2人を見れるところでペチカがもがく


メルヴィル「声上げら殺す」

ペチカ「…………っ……!」
343 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:50:47.44 ID:9yGHt41Vo

ペチカ「(那子さん……夢ノ島、ジェノサイ子さん……ここ……!)」

ペチカ「(気付いて! …………いや)」


組み敷かれたまま、拳を握る


ペチカ「あなたは……クラムベリーにはなれない」

メルヴィル「なに?」

ペチカ「こんなの、魔法少女の戦い方じゃない。正々堂々戦えば、那子さんは、皆は……あなたには負けない」

メルヴィル「そりゃあクラムベリーだ違わな、おれざ。勝てばええびょん。いっとう最後ざ立っでだやづがあいっとうえれえざ」

ペチカ「……そう」

メルヴィル「ああ。お前だ違う」
344 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:54:48.24 ID:9yGHt41Vo

ペチカ「…………確かに、私は、強くないし……弱いけど…………」

メルヴィル「だがら死ぬ」

ペチカ「だけど、守ってもらうばかりじゃ……私は、顔向けできない!」


メルヴィルが何かアクションをすると踏んだペチカの動きを封じようとするが、1歩遅かった


ペチカ「みんなああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


2人の足もとが、ボフンと崩れ、ペチカとメルヴィルは何か液体の中へと落ちる


メルヴィル「なっ……!」

那子「今の、ペチカ!」

ジェノサイ子「な、なんだアレ!?」
345 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 22:59:38.35 ID:9yGHt41Vo

南瓜と海老の冷静スープ。ペチカが魔法で地面を材料に作り出した巨大なクレーターを満たすスープの中で2人がもがく


メルヴィル「(これぁ、ペチカの……!)」


突如生まれた空間に囚われ、ペチカを手放したが見失っていない。メルヴィルのすぐ下にまだペチカはいる

水中は水の流れで光の屈折がすぐに目まぐるしく変わるため、色を変えるだけのメルヴィルの魔法ですら完全な擬態とはならない。メルヴィルは魔法を解き、銛を握りしめた

スープの中でも目は開く。下にいるペチカが見える。こちらを睨んでいる


メルヴィル「(一突きで死なぜぇやる!)」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→メルヴィルに絶剣を当てる
 失敗→避けられる
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:05:46.99 ID:HVSvHq15O
とう
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:07:21.91 ID:Y115L7OO0
ファンブル?
348 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:13:39.31 ID:9yGHt41Vo

 99……ファンブル
 
 
ユウキ「はぁぁぁぁ!」


ユウキが到着した時、突如として目の前の地面がスープになった。浮かぶ南瓜と海老がこれはスープだと物語っている

透き通ったスープが具材の中にメルヴィルとペチカの姿を見せる。ユウキはすぐさまジャンプし、飛び込んだ


メルヴィル「ッ!?」

ユウキ「(これで……!)」


水中での絶剣は初めてだったが、いけるはずだ。魔法少女なら

しかしメルヴィルの反応もまた速かった。ペチカに向けていた体をクルリと回転させ、銛でユウキの絶剣を受ける
349 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:19:21.53 ID:9yGHt41Vo

絶剣を受け銛は真っ二つになったが、そんなものはただの飛び道具の消耗品に過ぎない。メルヴィルはすぐさま次の銛を取り出し、ユウキに突き立てた


ユウキ「ッ、ゴポッ……!」


じんわりと赤いものがスープに混じる

ユウキの下腹部に突き刺さった銛をメルヴィルがグリグリと動かし、組み付こうとするユウキの手を鈍らせる


ユウキ「(ぐっ……じゃが……!)」


これなら絶剣を放てば確実に当たるはずだ


 身体能力(87-30=57)ロール……>>直下コンマ二桁
 (銛が突き刺さり力が入らない -30)
 
 成功→メルヴィルの左肩を貫く
 失敗→集中できずメルヴィルを逃がす
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:19:34.51 ID:eA0Rbjsjo
351 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:24:12.62 ID:9yGHt41Vo

 51……成功!
 
 
水中で叫ぶ。銛が刺さっている間は血がドバッと出ることはないはずだ。腹筋でなんとか銛をキュウと締め、ユウキはメルヴィルの顔を目がけ絶剣を繰り出した


メルヴィル「ッ!」


だがやはり狙いは狂う。メルヴィルの左肩に指先が突き刺さり、さらにスープの中に赤い染みがにじんでいく

両者、歯を食いしばって互いの目を睨みつける


ユウキ「(コイツを、殺せば……!)」

メルヴィル「(いっとうつええのは、おれだ!)」
352 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:30:10.02 ID:9yGHt41Vo

取っ組み合い、グリグリと肩を引き千切るつもりで手を深く突き出す。だが、突き刺さった場所が違う

銛の返しが更に内側から体内を抉り、ユウキはとうとう手をメルヴィルの肩から抜いてしまった


メルヴィル「……」ニィ

ユウキ「(クッ……!)」


恐らく左腕を上がらなくはさせただろうが、メルヴィルには右腕がある

パッと突き刺さった銛から手を離したメルヴィルはさらに次の銛を取り出した


ユウキ「(ッッ……!)」


 アカネの信頼度(07)ロール……>>直下コンマ一桁
 
 成功→上からアカネが飛び込んでくる
 失敗→アカネ疾走中
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:32:36.44 ID:1jMtwUxDO
354 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:36:48.41 ID:9yGHt41Vo

 04……成功!
 
 
そろそろ息も限界だ。ペチカのことも心配だが、そのペチカがどこにいるかも分からないほどに消耗した 

だがそれはメルヴィルも同じのはずだ。次の銛さえ凌げば、だが意識が薄まって来て力が思うように入らない

それでもユウキはメルヴィルを睨み続けた

睨み合っていたメルヴィルの目線が逸れる。それは気圧されたからではなく、また別の存在を視界内に入れたからだった


ユウキ「(なんじゃ……?)」


ユウキがスープに飛び込んで今に至るまで僅か30秒ほど。その30秒の間に2つの水柱が地上では上がっていた
355 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:43:49.61 ID:9yGHt41Vo

1つは那子。ペチカを助けるために声を上げて飛び込んだ

もう1つはアカネ。飛び込み、メルヴィルの右腕をユウキ越しにガシリと掴んだ


メルヴィル「ッ……!」

アカネ「…………!」


那子はペチカを探しながらスープの中に違和感を感じていた


那子「(なんか、底に流され……)」


存在しないはずの水流があったのだ

荒野エリア、草原エリアといった平地の下には地下に空洞がある。丁度その空洞の天井すらペチカの魔法はブチ抜き、スープへと変えたのだろう。地上から見ればスープの水位が目に見えて下がっているはずだが、魔法少女達がそんなマップ設定を知る由もない

飛び込んだ魔法少女達はどうにかして泳がなければ地下空洞に落ちてしまう


 アカネは……>>直下コンマ一桁

 奇数→水流を厭わずメルヴィルを刀で突き刺そうとした
 偶数→メルヴィルを引き剥がしユウキを担いで水面へと向かった
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:48:53.01 ID:Y115L7OO0
SAD
357 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/05(土) 23:55:38.85 ID:9yGHt41Vo

アカネは既に刀を抜いていた。右手で逆手に持ち、抵抗のできないメルヴィルを貫こうと突き出す


メルヴィル「ッ……!」


既にメルヴィルの肺の中の空気はほとんど無い。下手をすれば溺死だ

一番強い者が一番偉い。信条に身を任せてきたメルヴィルは最後まで諦めない


 アカネの数値……>>↓1コンマ二桁
 メルヴィルの数値……>>↓2コンマ二桁-40
 (メルヴィルの圧倒的不利 -40)
 
 アカネの数値が勝っていた場合……メルヴィル撃破
 メルヴィルの数値が勝っていた場合……一命をとりとめる
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:56:43.09 ID:Y115L7OO0
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/05(土) 23:56:51.20 ID:DmLsaCUxo
360 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/06(日) 00:02:18.20 ID:X0RMY699o

 アカネの数値……09
 メルヴィルの数値……20-40=0
 
 
ズブリ、と切っ先がメルヴィルの胸に沈んだ。心臓を一突きだ


メルヴィル「カ…………ッ!」

アカネ「……!」


アカネが刀から手を放したかと思えば続けざまに脇差を抜き、メルヴィルの額を突き刺す

赤い染みがいよいよ広がり、メルヴィルはアカネを睨みながら瞳孔を開いた
361 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/06(日) 00:06:56.08 ID:X0RMY699o

動かなくなったメルヴィルが水流に任せ底へと沈んでいく

そのメルヴィルに組み付いていたユウキもまた

アカネはユウキを担いで上がろうとするが、底に行けば行くほど強くなる水流に逆らえず下へと落ちていった



 幸運(46)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→なんとか溺れずに済んだ
 失敗→溺れて意識を手放した
 
 ペチカと那子は……>>↓2コンマ一桁
 
 奇数→那子がペチカを担いで上がっていた
 偶数→2人もまた落ちていった
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 00:10:35.71 ID:F67On847o
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 00:11:38.56 ID:mFqStdCDO
364 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/06(日) 00:15:24.73 ID:X0RMY699o

 71……失敗
 
 
ユウキ「(……ア、カネ……ちゃん…………)」


アカネが必死に水をかく。だが間に合わない

薄れゆく意識で下を見た。底には穴が空き、ちょうど誰か2人が吸い込まれるのも見えた

だがそれきり、ユウキは意識を手放した
365 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/08/06(日) 00:16:13.69 ID:X0RMY699o

今日はここまで
そうちゃんも近いうちに終わりますどっちも長時間空いてスマナイトオモッテイル
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 00:20:06.17 ID:F67On847o
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 06:31:45.31 ID:RzcLux6Ao

コンマが奮ってると思ったら最期に……
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/06(日) 14:43:27.90 ID:deSSFo6K0
メルヴィルとの死闘で倒れた絶剣のユウキ。頼む。死なないでくれ! もし前回と同じように主人公を失ってしまったら……
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/16(水) 20:55:59.91 ID:v3b+VWjq0
つづきは
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:39:41.32 ID:XdELY4L80
スノーホワイト
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:40:16.77 ID:XdELY4L80
リップル
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:40:43.74 ID:XdELY4L80
ラ・ピュセル
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/30(水) 22:35:26.16 ID:CdiLaIi00
トップスピード
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/30(水) 22:35:56.28 ID:CdiLaIi00
ルーラ
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/31(木) 22:11:51.80 ID:bUFjDntf0
スイムスイム
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 17:20:14.89 ID:cJwsAWS60
ユナエル
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 17:20:56.85 ID:cJwsAWS60
ミナエル
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 17:44:30.36 ID:ddS/LPl5o
おお、復活してたのか、うれしいな
379 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:57:21.58 ID:aiWxrVm1o

・・・・・・


ユウキが意識を失っている間

アカネはユウキを抱えたまま地下の空間に出た。スープと共にゴツゴツとした岩場に打ち付けられ、ダメージを負う


アカネ「ッ……」


少し擦りむいたが特に問題はない。庇うように落ちたため、ユウキは無事なようだ

いや、無事ではないだろう。メルヴィルに刺された銛が下腹部から生えている。これを治療しなければならない


アカネ「ぁ……どう、する…………」


とりあえず傷口を見るために服を脱がせようとする。だがゴスロリ服など触ったことの無かったアカネに手際を求めるのは酷だ

ビリビリと布が破ける音が洞窟に響く

露わになった白い腹は未だに赤い血を流しているようだった
380 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:57:49.52 ID:aiWxrVm1o

那子「Wow、ペチカー! ユウキとアカネがいマース!」

アカネ「っ……!」


そういえば一緒に落ちてきたスープでびしょ濡れの那子がペチカと共に現れた


ペチカ「い、生きてますよね……?」

アカネ「……」コクッ

那子「でも息してないみたいデスけど?」

アカネ「!?」


アカネが急いでユウキの胸に耳をつける。ドクンドクンと心臓は鳴っていた
381 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:58:17.28 ID:aiWxrVm1o

アカネ「……」ホッ

那子「いやホッとしてる場合じゃないデスよ。回復薬使いまシタ?」

アカネ「……」フルフル

ペチカ「は、早く使わないと!」


ペチカが急いで端末を操作し、フルポーションをユウキに使う。ゲーム上はこれで大丈夫なハズだが、ユウキは目を覚まさない


那子「……というか、こんなの刺さってたら治るものも治らないんじゃ」

アカネ「…………抜く……」

ペチカ「ヒッ……!」


アカネが銛に手をかける。貫通しなかった銛はかえしのために非常に抜きにくい


 銛は……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→上手いこと抜けてくれる
 偶数→なかなか抜けず余りの痛みにユウキが目を覚ます
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 21:58:58.42 ID:mri2/4jno
はい
383 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:10:40.39 ID:aiWxrVm1o

アカネ「……」グッ


手に力を込め、銛を動かす。腹の皮膚が引っ張られ、血がブシュッと出た

缶詰を開ける時に漏れる液体のようで、ペチカは思わず目を逸らす


那子「Oh……」

アカネ「……!」ググッ


更に血が出る。那子は万が一のために回復薬をいつでも使えるようにスタンバイ

ユウキの体がピクリと動くが、それはあくまで体だけが反射的に、電気信号のように動いているに過ぎない

ズズ、ズズと少しずつ銛を抜いていく。天井に空いた穴からの光以外に頼れる光源は端末のライトしかないため、非常に手元は曖昧だ
384 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:14:12.57 ID:aiWxrVm1o

どれくらいの時間が経ったか、もしかしたら少ししか経っていないかもしれない

そんな中ようやく銛の先端が見えた。赤い何かと一緒に


ペチカ・那子「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!」

アカネ「ッ!!」


思わずアカネがユウキに覆いかぶさりズンッと銛を戻す。抜いたらまずい物が出てきてしまっていた

のしかかった場所が胸だったからか、アカネの体重で圧迫された肺は上手いこと中のスープを出せていた


ユウキ「い、ったああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

アカネ「!!」
385 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:16:26.81 ID:aiWxrVm1o

ユウキ「な、何がどうなっ、ぐあああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

ペチカ「ユウキさん!」

那子「ハ、ハロー……」


意識が戻って良かったのか悪かったのか、なんともいえない表情の2人とは裏腹にアカネはパァッと明るい表情になる


アカネ「よかった……!」

ユウキ「お、おう……! なにが、よかった……! ぐぅぅぅぅぅぅ……!!」

那子「あ、あんまり動かない方がいいネー。ソーセージがコンニチハしてるからネー……」

ユウキ「はぁ? ちょっと、アカネちゃんどいてくれ。腹の下あたりが、すごく……!」

アカネ「駄目……」
386 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:20:29.38 ID:aiWxrVm1o

銛のかえし部分に引っかかってしまったのだろう。内臓まで巻き込んでズルズル引き出してしまったら回復薬を使っても本当に死ぬかもしれない

那子が回復薬を使ってくれるものの、痛みが引いては寄せ引いては寄せを繰り返す状況だ

ユウキは意識を失うまでを思い出しながら、アカネの手術まがいな「銛からソーセージを外す作業」が早く終わってくれと願った


那子「これ、塞がるんですかネ?」

ペチカ「ううっ……どうなんでしょう……」

アカネ「もう…………すぐ………………」カリカリ

ユウキ「ぁ……! っ……ぁ……!」パクパク

那子「Oh! ユウキ、今死んじゃダメデース!!」
387 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:24:47.38 ID:aiWxrVm1o

数分後、なんとか外し終わった

銛がポイと投げ捨てられ岩肌にカランコロンと音を立てて転がる。ようやく痛みの地獄から解放されたユウキにとってこの音はかつてないほど安心させてくれるものとなった


ペチカ「あ、傷が塞がって……」

那子「回復薬のコンボが聞いたようデース」

ユウキ「かなり違和感じゃが……まぁ、うん。動けるようにはなっとるの」


リアルさをウリにしたゲームだが、回復薬での回復は曖昧な表現だった。傷の再生速度がバカみたいに速いと覚えればいいのか、とにかくもう二度とこんな傷は御免である


ユウキ「ここは何処じゃ? 地底王国か? 猿の惑星か?」

ペチカ「私が、多分地面に穴を開けちゃったから……落ちてきたんだと思います」
388 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:27:21.08 ID:aiWxrVm1o

かなり広い空間のようで、上の穴にはジャンプして届くような高さには無い


那子「隠しステージとかですかネー」

ユウキ「ううむ……あ、そうじゃ! メルヴィルは……!」

那子「……あっちに」


那子が指差した先には手足を投げ出して横になっているものがあった

胸と頭に刃が突き刺さったまま、動かない


ユウキ「ああ、あれか……アカネちゃんよくやったの」

アカネ「……」コクッ


ユウキに頭を撫でられ、アカネは嬉しそうにうなずいた
389 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:32:03.88 ID:aiWxrVm1o

「おーい! 大丈夫か!」


上から声が聞こえてきた。この声はクランテイルだろう

那子が元気な声で返事をする。病み上がりには少々耳がキンキンと堪えた


那子「はしごとか無いデスかー!? ロープとかー!」

クランテイル「なんだってー!」

那子「はーしーごー!!」

クランテイル「すまん、無い!!」

那子「ショップ行って来いデース!!」
390 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:37:54.50 ID:aiWxrVm1o

メルヴィルの死体の傍に寄り、ユウキはひとりごちた


ユウキ「これで、終わり……なんじゃろ?」


刀を服で拭き、鞘を納めたアカネは首を振らない

ペチカもそのはずですと答えるが、いまいち自信なさげだ


那子「確かに、ファンファーレとか鳴ってもいいはずですよネー」

ユウキ「うむ、演出があるはずじゃ」


 知力(14)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→メルヴィルは魔王ではない可能性に気付く
 失敗→不思議に思いながら何も分からない
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 22:38:55.69 ID:zRhkuEeoo
392 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:51:13.30 ID:aiWxrVm1o

 69……失敗
 
 
ユウキ「まぁ、これでゲームは終わりじゃろう」

ペチカ「です、よね」


そこに上から再び声


クランテイル「すまん! ロープもはしごも売っていない!」

那子「えー!」

ユウキ「なんで端末に送らず大声の会話なんじゃ?」

ペチカ「同じパーティーじゃないからでは?」

ユウキ「え? あ、そうか。今あやつはプフレ達と同じパーティーか。そういえば今回あの2人を見てないのぉ」
393 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:56:26.93 ID:aiWxrVm1o

上にのぼる手段が無いとどうすればいいか、やることはひとつだ。ただ待つことだけ

この暗い中、魔法の端末をポチポチいじって暇をつぶすくらいしかできない

痺れを切らした那子が洞窟内を探検していたが、一通り見終わって何もなかったようで、口をとがらせて戻って来た


ユウキ「おうおかえり〜長かったの」

那子「結構広かったデスけど、なーんにも無かったデース」

ペチカ「丸一日探検してた?」

那子「Wow! 本当デース! 2日目になってマース!」

ユウキ「うげっ、もうそんなにか!?」

アカネ「……」

ユウキ「はぁ〜暇じゃのー」
394 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:03:04.31 ID:aiWxrVm1o

あまりに暇なので色々とデータを漁るほどになっていた


ユウキ「あのゴブリン達、一応群れで社会があったんじゃな」

那子「ドラゴンは色ごとに好物が違うって……意外と細かいですネ」

ペチカ「みなさーん、ご飯ですよー」

ユウキ「おお! 待っておったぞ!」


この空間で楽しみはペチカの料理くらいだ。材料はそこら中にあるのだから


ユウキ「そういえばアイテム欄は全部埋まったか?」

ペチカ「いえ……あ、でもRを引く前にファルからレアアイテム一覧みたいなのは見せてもらいましたよ」

ユウキ「なに、そんなサービスがあるのか!?」


 知力(14)ロール……>>直下コンマ二桁

 成功→今の状況をファルに説明してもらう
 失敗→なーんだとご飯を食べる
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 23:06:03.75 ID:7LEelTF4o
396 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:17:15.82 ID:aiWxrVm1o

 75……失敗
 
 
ユウキ「まぁでも何が当たるか分からない方が面白いと思うがな。分かってるとそれが当たらなかった時に悔しさ倍増じゃ」

ペチカ「それもそうですね。あ、そういえばメルヴィルみたいなアイテムもありました」

ユウキ「なんじゃそれ」

ペチカ「透明なんとかって、周りの風景と同化できるとか」

ユウキ「それは怖いな。奇襲し放題じゃないか」

ペチカ「ええ。でも誰かがそれを当てたのかは分からないですね……」


と、頭上から何かが振ってきた


ユウキ「どわぁぁ!? って、お前……クランテイル!?」

クランテイル「……丁度飯時か」

ペチカ「え、どうして……?」
397 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:23:21.72 ID:aiWxrVm1o

那子「いきなりなんデスか!? あ! まさかペチカのご飯食べたさに……」

クランテイル「そうじゃない。いやそれもあるが……いや違う! プフレとシャドウゲールと連絡が取れないんだ」

那子「What?」

ペチカ「え、同じパーティーなのに?」

クランテイル「ああ……メッセージは送ることができるんだが、返信がまったく無い」

ユウキ「2人の場所は?」

クランテイル「魔王城だ」

ユウキ「ううむ……会いには行ったのか?」

クランテイル「……行けなかった」

ユウキ「なに?」

クランテイル「通行証はあったんだが、図書館エリアと魔王城を繋ぐ道に壁が出来ていてな……どれだけ壊そうとしても無駄だった」

ユウキ「……それって、どういうことじゃ?」
398 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:23:47.48 ID:aiWxrVm1o

短いけど今日はここまで
また明日に
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 06:42:39.89 ID:mmEUhyI/o
乙です
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 07:26:23.98 ID:FIHPrfqZo
乙 更新待ってた
401 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:06:36.65 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「このゲームの仕様かどうか分からないが、今になって魔王城への道が塞がれるのはどういうことなんだ……」

ユウキ「魔王はもう倒したのにな」

クランテイル「やはりメルヴィルは倒していたか。ペチカが無事でよかった」

ペチカ「え、いやぁ」

那子「まぁ落ちてくるときにペチカがケガをしないよう上手く着地したのは私ですけどネ!」

クランテイル「それは当たり前だ」


 共通の敵を倒したことによりペチカ達の信頼度が上がった!

 ペチカ:04
 那子:04
 クランテイル:04
 アカネ:08
402 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:07:10.25 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「……ところで、皆は使ったか? 記憶回復装置」


その言葉に全員がピクッと反応し、うつむいた。それだけで十分答えになる

クランテイルがそうかと息を吐くと、ペチカが漏らす


ペチカ「メルヴィル……って人、似てましたよね」

那子「そうですネー、ストロベリーに」

クランテイル「クラムベリーだ。森の音楽家……」

アカネ「ッ……」

ユウキ「アイツがクラムベリーとどう関係があったのか、それはもう分からん。死人に口なしじゃからな」

クランテイル「だが、私達皆、いや……このゲームに参加している魔法少女全員がクラムベリーを知っている」

ペチカ「それって、あの人が教官だった魔法少女が集められてるってこと……?」

那子「Hum……その可能性はありそうですネー」
403 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:08:18.42 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「ここにいる全員が、あの殺し合いを生き残った……か……」

ペチカ「っ……」コクッ

アカネ「音楽家……」

クランテイル「アカネが音楽家と連呼する理由も分かった。謎は全て解けた……のか?」

那子「でもペチカみたいなタイプがクラムベリーの試験に合格するなんて、すごいですネー!」

ペチカ「へっ!? い、いや……」

クランテイル「やめないか。思い出したくない……はずだ。私だって忘れたままの方が良かったと思っている」

那子「……そうですネ、Sorryペチカ。自分でもファッキンな思い出デース」


ペチカ達がクラムベリーの話をしている

ユウキもまた思い出す。クラムベリーのことを

丁寧な口調と物腰。その中にある野性


ユウキ「チッ……」


小さな舌打ちのつもりだったが、聞こえていたようでペチカなんかは分かりやすく遠慮がちな態度になった
404 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:08:57.56 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ああスマン、なんでもないぞ」

クランテイル「ユウキの強さにも納得がいった。それだけ強ければ奴にも認められたんだろう」

ユウキ「そんなんじゃ無いわい。ワシは負けたわ」

那子「それを言ったら私もクラムベリーに勝ってないデース」

ペチカ「私も……何もできなかった…………」

ユウキ「……ふむ、暇じゃしワシの話に付き合うか」

那子「これ知ってマース! 隙あらば自分なんちゃらってやつデース」

ユウキ「そんな年頃じゃ。年寄りは若者に色々話したくなるんじゃよ」

クランテイル「何歳なんだ……」


 ユウキはクラムベリーの試験のことを……>>405
 
 1.思い出しながら話す
 2.かいつまんで話す
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:09:37.65 ID:MMVqJy8vo
406 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:22:50.76 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「時間はある。長くはしないつもりじゃが、まぁ聞け」


全員が傾注する。アカネも興味津々といった顔で覗き込んで来た


ユウキ「ぶっちゃけワシが魔法少女なんぞになった時は何かの間違いじゃと、これは夢じゃと思ったわ。まぁ同じ思いだった奴もいるじゃろうが」


ゴスロリの美少女など、ジジイの自分にはどう考えても合わない。というより合う想定でこの世界は回っていない

それは3日もすれば慣れた。適当に人助けをして過ごせとファヴを名乗る電子妖精には言われた

慶市の住んでいる町は郊外とも言うべき町の、さらに田舎ともいえる所だった。人口はそれほど多くなく、別に全員が顔見知りというわけではないがコミュニティは分かりやすい

担当地域と呼ばれる区域は結構広く、数週間かけて人助けをして回った

老後の楽しみが映画と筋トレと孫以外に出来たことを喜んだ。だがそれはあくまで最初だけだった
407 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:27:20.76 ID:/FyhK3O+o

・・・・・・


ユウキ「よし、今日はこのくらいにしとくか。あまり長く開けすぎるとばあさんも心配するしな」

ユウキ「しかしファヴと言ったか……魔法少女になった時以来てんで姿を見せんで……いいかげん飽きてきたぞ」


その日の夜も、人助けをしていた。ただ魔法少女になり、何の目的も無く闇雲に人助け。魔法少女になってから数週間でそろそろモチベーションも下がって来ていた

そんなタイミングを見計らってか、魔法の端末にあるメールが送られてくる


ユウキ「ん? 魔法少女選手権……?」


この町にはユウキの他にも数人の魔法少女が居ることは教えられていた。魔法少女選手権とは隣町とさらに隣町を含めた3つの町の魔法少女が何かを競い合うらしい

しかも参加は強制ときた
408 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:33:27.01 ID:/FyhK3O+o

クラムベリー「ようこそ魔法少女選手権へ。私は魔法の国より遣わされた司会兼審査員の、森の音楽家クラムベリーと申します」


選手権の会場である山奥に行ってみると、そこには数十人の魔法少女と、簡易に作られた台座の上に音楽家と名乗る魔法少女が居た


クラムベリー「それでは、皆さんにはこの首飾りを配ります。これを取られたら脱落となります」

クラムベリー「ルールは簡単です。脱落せずに最後まで首飾りを守り抜いた魔法少女が、魔法の国公認の正式な魔法少女になれます」

クラムベリー「皆さんが初めて会ったファヴというマスコットから説明が無かった方にはこの場を借りてお詫び申し上げます」


誰もが不満を漏らしながらも首飾りを受け取っていく。ユウキも何が何だか状況がよく分からなかったがとりあえず受け取った


クラムベリー「選手権といいつつ試験のようですがお気になさらず。では始めてください」
409 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:36:35.21 ID:/FyhK3O+o

まず、血の気の多そうな魔法少女が乱暴に隣に居た魔法少女から首飾りをちぎり取った


「ハハッ、ノロマだなぁ。まぁ今回はアタシの勝ちってことで早く帰んなよ」


どうやら2人は友達同士らしい。取った魔法少女が片割れの肩をポンポンと叩く

そのまま首飾りを取られた魔法少女は倒れた


「は?」


遠目から見ていたユウキだったが、倒れた魔法少女の変身が解けているのが見えた。あれはユウキの担当地区にある学校の制服だ


「え? ちょっと悪かったって。そんな脅かさないでよ」


その数秒後、悲鳴とどよめきが山奥を包む
410 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:38:27.51 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!」


分かったことが3つある

まず、この首飾りを取られると死ぬ

自分で取っても死ぬ。つまり棄権=死だ

そして、こうして逃げなければ誰かが自分の首飾りを奪いにくる


「もらった!」

ユウキ「ッ!」

「チッ、避けるのか……」
411 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:42:57.20 ID:/FyhK3O+o

背後から攻撃。槍だ

最初の1人が脱落してから、魔法少女は大きく2つに分かれた

他の首飾りを取ろうとする者と、なすすべなく逃げる者だ

ユウキは後者だった。いくら戦場帰りといっても、急な殺し合いに対応できるほど壊れてなければそういう空気に対してのブランクなんて数十年


「大人しく首飾り渡すか、私の目の前で外しな。そうすりゃ見逃してやる」

ユウキ「な、なぁお嬢ちゃん。それってワシ一択しか残されてない気がするんじゃが」

「……私だって、好きで奪うわけじゃない」


死にたくないから。そう言いながら必至に槍を振るう魔法少女

ユウキの身体能力は高い。特に槍に扱いなれているわけでもない小娘に遅れはとらないが、状況を飲み込み切れていない分反撃が遅れる
412 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:45:02.34 ID:/FyhK3O+o

だが、そういつまでも避けられるものではない

槍の穂先が肩口を傷付け、血が服を汚す


「これで!」

ユウキ「ッッ!」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍を奪い取り、反撃
 失敗→今度は脚を突かれる
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:45:41.87 ID:OD3SV8lDO
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:50:18.89 ID:zlT6lIS7o
過去編でもコンマはあるのか
ジャストはどっちだろう?
415 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:51:06.48 ID:/FyhK3O+o

 87……成功!
 
 
痛みと共に長らく忘れていた死の実感が込み上げてきた

同時に走馬灯。ばあさんの顔と娘夫婦の顔、孫の可愛い顔が浮かんでくる


ユウキ「ッ、ああああ……!!」


突き出された槍を避け、ガシリと柄を掴む


「なっ……!」

ユウキ「ワシも、まだ……死ねんわ!」


腹に力加減を完全に無視した渾身の蹴りを一発入れる。体をくの字に曲げた魔法少女が吹っ飛び、木に叩きつけられた
416 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:54:07.39 ID:/FyhK3O+o

「ガッ……! う、ぐ……!」


槍を捨て、その魔法少女に歩み寄る


「あ、や……助け……て……!」

ユウキ「…………」


先程までとは打って変わって、怯えた小動物のような目で懇願してくる。容姿の可愛らしさも相まって、思わず頬ずりしたくなるほどの可憐さだった


ユウキ「…………」


 目の前の魔法少女に対し……>>417
 
 1.見逃す
 2.首飾りを取る
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:55:04.20 ID:uKW21Otbo
418 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:00:32.90 ID:/FyhK3O+o

浅はかだとは思わない。生き残りたいのは皆同じだ

ましてや相手は確実に自分よりは年下の娘。手をかけるなど


ユウキ「……もう、ワシを狙うな。なんとかして皆が生き残る方法を探すんじゃ」

「は、はい……だから、殺さないで……」

ユウキ「分かった。だから殺すな」


背を向け、立ち去る。追撃の気配は無かった

が、悲鳴が聞こえてきた


ユウキ「ッ!?」


振り返ると先程まで自分が見下ろしていた魔法少女の変身が解けて、地面に突っ伏していた
419 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:06:31.32 ID:/FyhK3O+o

「そんな甘い考えならいっそアタシにそれ寄越せよぉ!」


また別の魔法少女だった。まるで虎のような模様の毛が全身に生え、巨大な爪を振りかざし突進してくる


ユウキ「お前、その子を!」

「どうせなら互いにやり合って漁夫狙いたかったんだけど、まぁ今となっちゃお前を殺すだけだねぇ!」


大振りな爪を避ける。ゴスロリとはいえ動きにくいということが無いのが救いだ


「ほらほらぁ、アタシを殺さないとお前が死ぬよぉ!」

ユウキ「くっ……!」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍を拾い突き刺す
 失敗→爪で左腕に深く食いこむ
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:07:29.29 ID:zlT6lIS7o
01
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:07:53.17 ID:mmEUhyI/o
422 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:12:16.18 ID:/FyhK3O+o

 29……成功!
 
 
横に薙ぎ払うように振るわれた爪を屈んで避け、すれ違うように前に跳ぶ

跳んだ先には先ほどの魔法少女の槍があった


ユウキ「…………!」


死んでも何故槍が残っているのかは分からないが、無我夢中だ

背後に強い殺気。ユウキは槍を掴み、振り返りざまに突き出した


「な……ッ、あ、が……!?」

ユウキ「ハァッ、ハァッ……!」


槍は見事に胸を貫いていた
423 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:16:41.40 ID:/FyhK3O+o

虎の魔法少女の変身が解け、女子高生らしき女の子が地面に血を流しながら倒れこむ

数秒間はパクパクと息をしていたが、ユウキが彼女に駆け寄った時には既に止まっていた


ユウキ「……ぁ、ワシは…………なにを……!」


その場にしゃがみ込んだ

ここは日本だ。満州でも中国でもないはずだ


ユウキ「まるで、戦場じゃないか……」


だが命の奪い合いがこの場にはあった

そして自分も1つ奪ってしまった

殺されそうだったから、と言い訳はできるだろう。だが殺した相手はまだ成人もしていない若者だ

自分の行いの罪深さを呪った
424 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:20:31.25 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「……や、やめさせねば」


ヨロヨロと立ち上がる。こんなバカげた状況を作り出したのは魔法少女選手権などと皆を集めた者だ


ユウキ「確か、森の音楽家といったか……」


これ以上人死にが出る前にクラムベリーを探し、やめさせる。ユウキはしっかりと合掌した後、槍を持ち森を駆け出した


ユウキ「(周りに気配……動物ではないな)」


横にユウキと同じスピードで移動する気配がある。尾行しているつもりだろうが、バレバレだ


ユウキ「(危害を加えてこないのなら、こちらから仕掛ける必要は無いな)」
425 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:23:26.44 ID:/FyhK3O+o

クラムベリーを見つけるのに時間はかからなかった。最初に集まっていた場所でクラムベリーは呑気に台座に腰かけていたのだ


ユウキ「おい」

クラムベリー「おや、あなたが最後の1人ですか?」

ユウキ「それは知らん。じゃがこんなバカげたことは即刻終わらせぃ!」

クラムベリー「……? 何を言っているのですか? これは選手権ですよ。皆頑張ってるのに終わらせられませんよ」

ユウキ「誰が頑張らせていると思っている!」

クラムベリー「そう怒らないでください。その槍……あなたのではないでしょう? あなたも頑張ったんじゃないですか」

ユウキ「…………」

クラムベリー「どうしてもやめさせたいのなら、私を倒してみせたら考えましょう」
426 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:27:09.50 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「言ったな?」

クラムベリー「ええ。約束します。その前にあなたの背中を狙っている鼠をなんとかしてはいかがです?」

「ひっ……!」

ユウキ「(さっきからつけて来ていた奴か……)」

ユウキ「ワシを狙おうと思うな。今から全部やめさせる。それまで待て」


後ろの魔法少女は気弱な少女だったらしく、すぐにどこかへと走り去っていった


クラムベリー「おやおや、あれでは生き残れませんね」

ユウキ「早くやるぞ。お前の目的やら色々聞きたいが、終わってからじゃ」

クラムベリー「終わってからでは聞けないのでは? あなたが死んでいるかもしれませんが」

ユウキ「死ぬかッ!」
427 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:29:08.56 ID:/FyhK3O+o

槍を持って突撃する

銃剣突撃なんて結局実戦でやることはなかったが、今は攻めねば勝てない

素早く一閃。避けられた


ユウキ「ッ……!」

クラムベリー「フフッ」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍がクラムベリーを掠める
 失敗→まったく当たらない
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:29:56.63 ID:zlT6lIS7o
Hit
429 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:35:45.97 ID:/FyhK3O+o

 63……成功!
 
 
突き、払いを組み合わせるが、なかなか当たらない

穏やかな物腰とは裏腹になかなかの武闘派のようだ


ユウキ「(なら……!)」


今度は自分の足でクラムベリーに足払いを仕掛ける

思った通り、クラムベリーはそれを跳んで避けた

すかさず槍で斬り払う。手応えは無かったが、上着の襟部分を斬ることに成功したようだ


クラムベリー「おや」

ユウキ「(よし、奴も完全にすべてを避けられるわけではない!)」
430 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:39:07.76 ID:/FyhK3O+o

今度はパンチとキックも組み合わせ、クラムベリーに攻撃をしかけていく

槍が片手で扱えるほどの長さだったのも幸いして、避けられるよりも受け止められるの方が多くなってきた


クラムベリー「ふむ、なかなかやるようですね」

ユウキ「お褒めいただき光栄じゃなッ!」


その瞬間、ガサガサと背後の草むらが音を立てた


ユウキ「ッ!」


まさかこの戦いに乗じて奇襲かと思わされた。先ほども漁夫の利を狙っていた者がいるくらいだから乱入してきてもおかしくはない

だが振り返っても誰もいない。ユウキはその一瞬の隙を突かれることになる
431 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:41:54.94 ID:/FyhK3O+o

腹に重いのを一発貰った

クラムベリーの拳がミシミシと食い込んでいる


ユウキ「がっ……ぐ……!」

クラムベリー「誰かいましたか?」

ユウキ「(なんじゃ……今のは……!)」

クラムベリー「気絶させるつもりで殴りましたが、思ったよりも頑丈ですね」

ユウキ「ああ、鍛えてるから、の!」


槍を持っていない左手を握りしめ、クラムベリーの腹目がけ思い切り振りかぶった


 クラムベリーへの攻撃は……>>直下コンマ二桁
 
 成功→腹パン成功
 失敗→受け止められる
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:43:10.25 ID:uKW21Otbo
433 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:47:30.67 ID:/FyhK3O+o

 25……成功!
 
 
クラムベリー「っ……」

ユウキ「な? 鍛えてるって感じのパンチじゃろ」

クラムベリー「ええ。そのようですね。久々に楽しめそうです」


ニヤリとクラムベリーが笑う。熱くなっていた頭が少し冷えるほどに、その笑みは恐ろしさを感じさせられた


クラムベリー「では、こういうのはどうでしょうか」


食いこんだままの拳から、何かが流れ込んでくる感触がある

それが何かを確認する前に、腹を襲う強烈な衝撃波でユウキは吹っ飛ぶことになった
434 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:51:40.24 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ぐあっ、な、に……!」

クラムベリー「昔無理やり技名を考えさせられたときを思い出して嫌なのですが、やはり使えば使ったで差が出来過ぎますね」

ユウキ「(魔法か……!)」


衝撃波を巻き起こす魔法だろうか。戦闘向けだ

対してこちらが持っている魔法はなんとも貧弱極まりない


ユウキ「(……いや、使えるか? 頭の中を12年前に戻してやればもしかしたら……)」


止められるかもしれない


 ユウキは……>>435
 
 1.魔法でクラムベリーの記憶を逆行させる
 2.魔法を使っても記憶が無いんじゃ止められないのではと思い使わない
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