【まほいく安価】プフレ「魔王は倒さなければならない」【魔法少女育成計画restart】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:39:41.32 ID:XdELY4L80
スノーホワイト
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:40:16.77 ID:XdELY4L80
リップル
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/17(木) 21:40:43.74 ID:XdELY4L80
ラ・ピュセル
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/30(水) 22:35:26.16 ID:CdiLaIi00
トップスピード
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/30(水) 22:35:56.28 ID:CdiLaIi00
ルーラ
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/08/31(木) 22:11:51.80 ID:bUFjDntf0
スイムスイム
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 17:20:14.89 ID:cJwsAWS60
ユナエル
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/02(土) 17:20:56.85 ID:cJwsAWS60
ミナエル
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 17:44:30.36 ID:ddS/LPl5o
おお、復活してたのか、うれしいな
379 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:57:21.58 ID:aiWxrVm1o

・・・・・・


ユウキが意識を失っている間

アカネはユウキを抱えたまま地下の空間に出た。スープと共にゴツゴツとした岩場に打ち付けられ、ダメージを負う


アカネ「ッ……」


少し擦りむいたが特に問題はない。庇うように落ちたため、ユウキは無事なようだ

いや、無事ではないだろう。メルヴィルに刺された銛が下腹部から生えている。これを治療しなければならない


アカネ「ぁ……どう、する…………」


とりあえず傷口を見るために服を脱がせようとする。だがゴスロリ服など触ったことの無かったアカネに手際を求めるのは酷だ

ビリビリと布が破ける音が洞窟に響く

露わになった白い腹は未だに赤い血を流しているようだった
380 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:57:49.52 ID:aiWxrVm1o

那子「Wow、ペチカー! ユウキとアカネがいマース!」

アカネ「っ……!」


そういえば一緒に落ちてきたスープでびしょ濡れの那子がペチカと共に現れた


ペチカ「い、生きてますよね……?」

アカネ「……」コクッ

那子「でも息してないみたいデスけど?」

アカネ「!?」


アカネが急いでユウキの胸に耳をつける。ドクンドクンと心臓は鳴っていた
381 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 21:58:17.28 ID:aiWxrVm1o

アカネ「……」ホッ

那子「いやホッとしてる場合じゃないデスよ。回復薬使いまシタ?」

アカネ「……」フルフル

ペチカ「は、早く使わないと!」


ペチカが急いで端末を操作し、フルポーションをユウキに使う。ゲーム上はこれで大丈夫なハズだが、ユウキは目を覚まさない


那子「……というか、こんなの刺さってたら治るものも治らないんじゃ」

アカネ「…………抜く……」

ペチカ「ヒッ……!」


アカネが銛に手をかける。貫通しなかった銛はかえしのために非常に抜きにくい


 銛は……>>直下コンマ一桁
 
 奇数→上手いこと抜けてくれる
 偶数→なかなか抜けず余りの痛みにユウキが目を覚ます
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 21:58:58.42 ID:mri2/4jno
はい
383 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:10:40.39 ID:aiWxrVm1o

アカネ「……」グッ


手に力を込め、銛を動かす。腹の皮膚が引っ張られ、血がブシュッと出た

缶詰を開ける時に漏れる液体のようで、ペチカは思わず目を逸らす


那子「Oh……」

アカネ「……!」ググッ


更に血が出る。那子は万が一のために回復薬をいつでも使えるようにスタンバイ

ユウキの体がピクリと動くが、それはあくまで体だけが反射的に、電気信号のように動いているに過ぎない

ズズ、ズズと少しずつ銛を抜いていく。天井に空いた穴からの光以外に頼れる光源は端末のライトしかないため、非常に手元は曖昧だ
384 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:14:12.57 ID:aiWxrVm1o

どれくらいの時間が経ったか、もしかしたら少ししか経っていないかもしれない

そんな中ようやく銛の先端が見えた。赤い何かと一緒に


ペチカ・那子「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!」

アカネ「ッ!!」


思わずアカネがユウキに覆いかぶさりズンッと銛を戻す。抜いたらまずい物が出てきてしまっていた

のしかかった場所が胸だったからか、アカネの体重で圧迫された肺は上手いこと中のスープを出せていた


ユウキ「い、ったああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

アカネ「!!」
385 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:16:26.81 ID:aiWxrVm1o

ユウキ「な、何がどうなっ、ぐあああぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

ペチカ「ユウキさん!」

那子「ハ、ハロー……」


意識が戻って良かったのか悪かったのか、なんともいえない表情の2人とは裏腹にアカネはパァッと明るい表情になる


アカネ「よかった……!」

ユウキ「お、おう……! なにが、よかった……! ぐぅぅぅぅぅぅ……!!」

那子「あ、あんまり動かない方がいいネー。ソーセージがコンニチハしてるからネー……」

ユウキ「はぁ? ちょっと、アカネちゃんどいてくれ。腹の下あたりが、すごく……!」

アカネ「駄目……」
386 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:20:29.38 ID:aiWxrVm1o

銛のかえし部分に引っかかってしまったのだろう。内臓まで巻き込んでズルズル引き出してしまったら回復薬を使っても本当に死ぬかもしれない

那子が回復薬を使ってくれるものの、痛みが引いては寄せ引いては寄せを繰り返す状況だ

ユウキは意識を失うまでを思い出しながら、アカネの手術まがいな「銛からソーセージを外す作業」が早く終わってくれと願った


那子「これ、塞がるんですかネ?」

ペチカ「ううっ……どうなんでしょう……」

アカネ「もう…………すぐ………………」カリカリ

ユウキ「ぁ……! っ……ぁ……!」パクパク

那子「Oh! ユウキ、今死んじゃダメデース!!」
387 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:24:47.38 ID:aiWxrVm1o

数分後、なんとか外し終わった

銛がポイと投げ捨てられ岩肌にカランコロンと音を立てて転がる。ようやく痛みの地獄から解放されたユウキにとってこの音はかつてないほど安心させてくれるものとなった


ペチカ「あ、傷が塞がって……」

那子「回復薬のコンボが聞いたようデース」

ユウキ「かなり違和感じゃが……まぁ、うん。動けるようにはなっとるの」


リアルさをウリにしたゲームだが、回復薬での回復は曖昧な表現だった。傷の再生速度がバカみたいに速いと覚えればいいのか、とにかくもう二度とこんな傷は御免である


ユウキ「ここは何処じゃ? 地底王国か? 猿の惑星か?」

ペチカ「私が、多分地面に穴を開けちゃったから……落ちてきたんだと思います」
388 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:27:21.08 ID:aiWxrVm1o

かなり広い空間のようで、上の穴にはジャンプして届くような高さには無い


那子「隠しステージとかですかネー」

ユウキ「ううむ……あ、そうじゃ! メルヴィルは……!」

那子「……あっちに」


那子が指差した先には手足を投げ出して横になっているものがあった

胸と頭に刃が突き刺さったまま、動かない


ユウキ「ああ、あれか……アカネちゃんよくやったの」

アカネ「……」コクッ


ユウキに頭を撫でられ、アカネは嬉しそうにうなずいた
389 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:32:03.88 ID:aiWxrVm1o

「おーい! 大丈夫か!」


上から声が聞こえてきた。この声はクランテイルだろう

那子が元気な声で返事をする。病み上がりには少々耳がキンキンと堪えた


那子「はしごとか無いデスかー!? ロープとかー!」

クランテイル「なんだってー!」

那子「はーしーごー!!」

クランテイル「すまん、無い!!」

那子「ショップ行って来いデース!!」
390 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:37:54.50 ID:aiWxrVm1o

メルヴィルの死体の傍に寄り、ユウキはひとりごちた


ユウキ「これで、終わり……なんじゃろ?」


刀を服で拭き、鞘を納めたアカネは首を振らない

ペチカもそのはずですと答えるが、いまいち自信なさげだ


那子「確かに、ファンファーレとか鳴ってもいいはずですよネー」

ユウキ「うむ、演出があるはずじゃ」


 知力(14)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→メルヴィルは魔王ではない可能性に気付く
 失敗→不思議に思いながら何も分からない
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 22:38:55.69 ID:zRhkuEeoo
392 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:51:13.30 ID:aiWxrVm1o

 69……失敗
 
 
ユウキ「まぁ、これでゲームは終わりじゃろう」

ペチカ「です、よね」


そこに上から再び声


クランテイル「すまん! ロープもはしごも売っていない!」

那子「えー!」

ユウキ「なんで端末に送らず大声の会話なんじゃ?」

ペチカ「同じパーティーじゃないからでは?」

ユウキ「え? あ、そうか。今あやつはプフレ達と同じパーティーか。そういえば今回あの2人を見てないのぉ」
393 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 22:56:26.93 ID:aiWxrVm1o

上にのぼる手段が無いとどうすればいいか、やることはひとつだ。ただ待つことだけ

この暗い中、魔法の端末をポチポチいじって暇をつぶすくらいしかできない

痺れを切らした那子が洞窟内を探検していたが、一通り見終わって何もなかったようで、口をとがらせて戻って来た


ユウキ「おうおかえり〜長かったの」

那子「結構広かったデスけど、なーんにも無かったデース」

ペチカ「丸一日探検してた?」

那子「Wow! 本当デース! 2日目になってマース!」

ユウキ「うげっ、もうそんなにか!?」

アカネ「……」

ユウキ「はぁ〜暇じゃのー」
394 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:03:04.31 ID:aiWxrVm1o

あまりに暇なので色々とデータを漁るほどになっていた


ユウキ「あのゴブリン達、一応群れで社会があったんじゃな」

那子「ドラゴンは色ごとに好物が違うって……意外と細かいですネ」

ペチカ「みなさーん、ご飯ですよー」

ユウキ「おお! 待っておったぞ!」


この空間で楽しみはペチカの料理くらいだ。材料はそこら中にあるのだから


ユウキ「そういえばアイテム欄は全部埋まったか?」

ペチカ「いえ……あ、でもRを引く前にファルからレアアイテム一覧みたいなのは見せてもらいましたよ」

ユウキ「なに、そんなサービスがあるのか!?」


 知力(14)ロール……>>直下コンマ二桁

 成功→今の状況をファルに説明してもらう
 失敗→なーんだとご飯を食べる
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 23:06:03.75 ID:7LEelTF4o
396 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:17:15.82 ID:aiWxrVm1o

 75……失敗
 
 
ユウキ「まぁでも何が当たるか分からない方が面白いと思うがな。分かってるとそれが当たらなかった時に悔しさ倍増じゃ」

ペチカ「それもそうですね。あ、そういえばメルヴィルみたいなアイテムもありました」

ユウキ「なんじゃそれ」

ペチカ「透明なんとかって、周りの風景と同化できるとか」

ユウキ「それは怖いな。奇襲し放題じゃないか」

ペチカ「ええ。でも誰かがそれを当てたのかは分からないですね……」


と、頭上から何かが振ってきた


ユウキ「どわぁぁ!? って、お前……クランテイル!?」

クランテイル「……丁度飯時か」

ペチカ「え、どうして……?」
397 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:23:21.72 ID:aiWxrVm1o

那子「いきなりなんデスか!? あ! まさかペチカのご飯食べたさに……」

クランテイル「そうじゃない。いやそれもあるが……いや違う! プフレとシャドウゲールと連絡が取れないんだ」

那子「What?」

ペチカ「え、同じパーティーなのに?」

クランテイル「ああ……メッセージは送ることができるんだが、返信がまったく無い」

ユウキ「2人の場所は?」

クランテイル「魔王城だ」

ユウキ「ううむ……会いには行ったのか?」

クランテイル「……行けなかった」

ユウキ「なに?」

クランテイル「通行証はあったんだが、図書館エリアと魔王城を繋ぐ道に壁が出来ていてな……どれだけ壊そうとしても無駄だった」

ユウキ「……それって、どういうことじゃ?」
398 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/03(日) 23:23:47.48 ID:aiWxrVm1o

短いけど今日はここまで
また明日に
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 06:42:39.89 ID:mmEUhyI/o
乙です
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 07:26:23.98 ID:FIHPrfqZo
乙 更新待ってた
401 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:06:36.65 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「このゲームの仕様かどうか分からないが、今になって魔王城への道が塞がれるのはどういうことなんだ……」

ユウキ「魔王はもう倒したのにな」

クランテイル「やはりメルヴィルは倒していたか。ペチカが無事でよかった」

ペチカ「え、いやぁ」

那子「まぁ落ちてくるときにペチカがケガをしないよう上手く着地したのは私ですけどネ!」

クランテイル「それは当たり前だ」


 共通の敵を倒したことによりペチカ達の信頼度が上がった!

 ペチカ:04
 那子:04
 クランテイル:04
 アカネ:08
402 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:07:10.25 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「……ところで、皆は使ったか? 記憶回復装置」


その言葉に全員がピクッと反応し、うつむいた。それだけで十分答えになる

クランテイルがそうかと息を吐くと、ペチカが漏らす


ペチカ「メルヴィル……って人、似てましたよね」

那子「そうですネー、ストロベリーに」

クランテイル「クラムベリーだ。森の音楽家……」

アカネ「ッ……」

ユウキ「アイツがクラムベリーとどう関係があったのか、それはもう分からん。死人に口なしじゃからな」

クランテイル「だが、私達皆、いや……このゲームに参加している魔法少女全員がクラムベリーを知っている」

ペチカ「それって、あの人が教官だった魔法少女が集められてるってこと……?」

那子「Hum……その可能性はありそうですネー」
403 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:08:18.42 ID:/FyhK3O+o

クランテイル「ここにいる全員が、あの殺し合いを生き残った……か……」

ペチカ「っ……」コクッ

アカネ「音楽家……」

クランテイル「アカネが音楽家と連呼する理由も分かった。謎は全て解けた……のか?」

那子「でもペチカみたいなタイプがクラムベリーの試験に合格するなんて、すごいですネー!」

ペチカ「へっ!? い、いや……」

クランテイル「やめないか。思い出したくない……はずだ。私だって忘れたままの方が良かったと思っている」

那子「……そうですネ、Sorryペチカ。自分でもファッキンな思い出デース」


ペチカ達がクラムベリーの話をしている

ユウキもまた思い出す。クラムベリーのことを

丁寧な口調と物腰。その中にある野性


ユウキ「チッ……」


小さな舌打ちのつもりだったが、聞こえていたようでペチカなんかは分かりやすく遠慮がちな態度になった
404 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:08:57.56 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ああスマン、なんでもないぞ」

クランテイル「ユウキの強さにも納得がいった。それだけ強ければ奴にも認められたんだろう」

ユウキ「そんなんじゃ無いわい。ワシは負けたわ」

那子「それを言ったら私もクラムベリーに勝ってないデース」

ペチカ「私も……何もできなかった…………」

ユウキ「……ふむ、暇じゃしワシの話に付き合うか」

那子「これ知ってマース! 隙あらば自分なんちゃらってやつデース」

ユウキ「そんな年頃じゃ。年寄りは若者に色々話したくなるんじゃよ」

クランテイル「何歳なんだ……」


 ユウキはクラムベリーの試験のことを……>>405
 
 1.思い出しながら話す
 2.かいつまんで話す
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:09:37.65 ID:MMVqJy8vo
406 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:22:50.76 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「時間はある。長くはしないつもりじゃが、まぁ聞け」


全員が傾注する。アカネも興味津々といった顔で覗き込んで来た


ユウキ「ぶっちゃけワシが魔法少女なんぞになった時は何かの間違いじゃと、これは夢じゃと思ったわ。まぁ同じ思いだった奴もいるじゃろうが」


ゴスロリの美少女など、ジジイの自分にはどう考えても合わない。というより合う想定でこの世界は回っていない

それは3日もすれば慣れた。適当に人助けをして過ごせとファヴを名乗る電子妖精には言われた

慶市の住んでいる町は郊外とも言うべき町の、さらに田舎ともいえる所だった。人口はそれほど多くなく、別に全員が顔見知りというわけではないがコミュニティは分かりやすい

担当地域と呼ばれる区域は結構広く、数週間かけて人助けをして回った

老後の楽しみが映画と筋トレと孫以外に出来たことを喜んだ。だがそれはあくまで最初だけだった
407 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:27:20.76 ID:/FyhK3O+o

・・・・・・


ユウキ「よし、今日はこのくらいにしとくか。あまり長く開けすぎるとばあさんも心配するしな」

ユウキ「しかしファヴと言ったか……魔法少女になった時以来てんで姿を見せんで……いいかげん飽きてきたぞ」


その日の夜も、人助けをしていた。ただ魔法少女になり、何の目的も無く闇雲に人助け。魔法少女になってから数週間でそろそろモチベーションも下がって来ていた

そんなタイミングを見計らってか、魔法の端末にあるメールが送られてくる


ユウキ「ん? 魔法少女選手権……?」


この町にはユウキの他にも数人の魔法少女が居ることは教えられていた。魔法少女選手権とは隣町とさらに隣町を含めた3つの町の魔法少女が何かを競い合うらしい

しかも参加は強制ときた
408 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:33:27.01 ID:/FyhK3O+o

クラムベリー「ようこそ魔法少女選手権へ。私は魔法の国より遣わされた司会兼審査員の、森の音楽家クラムベリーと申します」


選手権の会場である山奥に行ってみると、そこには数十人の魔法少女と、簡易に作られた台座の上に音楽家と名乗る魔法少女が居た


クラムベリー「それでは、皆さんにはこの首飾りを配ります。これを取られたら脱落となります」

クラムベリー「ルールは簡単です。脱落せずに最後まで首飾りを守り抜いた魔法少女が、魔法の国公認の正式な魔法少女になれます」

クラムベリー「皆さんが初めて会ったファヴというマスコットから説明が無かった方にはこの場を借りてお詫び申し上げます」


誰もが不満を漏らしながらも首飾りを受け取っていく。ユウキも何が何だか状況がよく分からなかったがとりあえず受け取った


クラムベリー「選手権といいつつ試験のようですがお気になさらず。では始めてください」
409 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:36:35.21 ID:/FyhK3O+o

まず、血の気の多そうな魔法少女が乱暴に隣に居た魔法少女から首飾りをちぎり取った


「ハハッ、ノロマだなぁ。まぁ今回はアタシの勝ちってことで早く帰んなよ」


どうやら2人は友達同士らしい。取った魔法少女が片割れの肩をポンポンと叩く

そのまま首飾りを取られた魔法少女は倒れた


「は?」


遠目から見ていたユウキだったが、倒れた魔法少女の変身が解けているのが見えた。あれはユウキの担当地区にある学校の制服だ


「え? ちょっと悪かったって。そんな脅かさないでよ」


その数秒後、悲鳴とどよめきが山奥を包む
410 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:38:27.51 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!」


分かったことが3つある

まず、この首飾りを取られると死ぬ

自分で取っても死ぬ。つまり棄権=死だ

そして、こうして逃げなければ誰かが自分の首飾りを奪いにくる


「もらった!」

ユウキ「ッ!」

「チッ、避けるのか……」
411 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:42:57.20 ID:/FyhK3O+o

背後から攻撃。槍だ

最初の1人が脱落してから、魔法少女は大きく2つに分かれた

他の首飾りを取ろうとする者と、なすすべなく逃げる者だ

ユウキは後者だった。いくら戦場帰りといっても、急な殺し合いに対応できるほど壊れてなければそういう空気に対してのブランクなんて数十年


「大人しく首飾り渡すか、私の目の前で外しな。そうすりゃ見逃してやる」

ユウキ「な、なぁお嬢ちゃん。それってワシ一択しか残されてない気がするんじゃが」

「……私だって、好きで奪うわけじゃない」


死にたくないから。そう言いながら必至に槍を振るう魔法少女

ユウキの身体能力は高い。特に槍に扱いなれているわけでもない小娘に遅れはとらないが、状況を飲み込み切れていない分反撃が遅れる
412 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:45:02.34 ID:/FyhK3O+o

だが、そういつまでも避けられるものではない

槍の穂先が肩口を傷付け、血が服を汚す


「これで!」

ユウキ「ッッ!」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍を奪い取り、反撃
 失敗→今度は脚を突かれる
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:45:41.87 ID:OD3SV8lDO
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:50:18.89 ID:zlT6lIS7o
過去編でもコンマはあるのか
ジャストはどっちだろう?
415 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:51:06.48 ID:/FyhK3O+o

 87……成功!
 
 
痛みと共に長らく忘れていた死の実感が込み上げてきた

同時に走馬灯。ばあさんの顔と娘夫婦の顔、孫の可愛い顔が浮かんでくる


ユウキ「ッ、ああああ……!!」


突き出された槍を避け、ガシリと柄を掴む


「なっ……!」

ユウキ「ワシも、まだ……死ねんわ!」


腹に力加減を完全に無視した渾身の蹴りを一発入れる。体をくの字に曲げた魔法少女が吹っ飛び、木に叩きつけられた
416 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 22:54:07.39 ID:/FyhK3O+o

「ガッ……! う、ぐ……!」


槍を捨て、その魔法少女に歩み寄る


「あ、や……助け……て……!」

ユウキ「…………」


先程までとは打って変わって、怯えた小動物のような目で懇願してくる。容姿の可愛らしさも相まって、思わず頬ずりしたくなるほどの可憐さだった


ユウキ「…………」


 目の前の魔法少女に対し……>>417
 
 1.見逃す
 2.首飾りを取る
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 22:55:04.20 ID:uKW21Otbo
418 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:00:32.90 ID:/FyhK3O+o

浅はかだとは思わない。生き残りたいのは皆同じだ

ましてや相手は確実に自分よりは年下の娘。手をかけるなど


ユウキ「……もう、ワシを狙うな。なんとかして皆が生き残る方法を探すんじゃ」

「は、はい……だから、殺さないで……」

ユウキ「分かった。だから殺すな」


背を向け、立ち去る。追撃の気配は無かった

が、悲鳴が聞こえてきた


ユウキ「ッ!?」


振り返ると先程まで自分が見下ろしていた魔法少女の変身が解けて、地面に突っ伏していた
419 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:06:31.32 ID:/FyhK3O+o

「そんな甘い考えならいっそアタシにそれ寄越せよぉ!」


また別の魔法少女だった。まるで虎のような模様の毛が全身に生え、巨大な爪を振りかざし突進してくる


ユウキ「お前、その子を!」

「どうせなら互いにやり合って漁夫狙いたかったんだけど、まぁ今となっちゃお前を殺すだけだねぇ!」


大振りな爪を避ける。ゴスロリとはいえ動きにくいということが無いのが救いだ


「ほらほらぁ、アタシを殺さないとお前が死ぬよぉ!」

ユウキ「くっ……!」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍を拾い突き刺す
 失敗→爪で左腕に深く食いこむ
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:07:29.29 ID:zlT6lIS7o
01
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:07:53.17 ID:mmEUhyI/o
422 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:12:16.18 ID:/FyhK3O+o

 29……成功!
 
 
横に薙ぎ払うように振るわれた爪を屈んで避け、すれ違うように前に跳ぶ

跳んだ先には先ほどの魔法少女の槍があった


ユウキ「…………!」


死んでも何故槍が残っているのかは分からないが、無我夢中だ

背後に強い殺気。ユウキは槍を掴み、振り返りざまに突き出した


「な……ッ、あ、が……!?」

ユウキ「ハァッ、ハァッ……!」


槍は見事に胸を貫いていた
423 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:16:41.40 ID:/FyhK3O+o

虎の魔法少女の変身が解け、女子高生らしき女の子が地面に血を流しながら倒れこむ

数秒間はパクパクと息をしていたが、ユウキが彼女に駆け寄った時には既に止まっていた


ユウキ「……ぁ、ワシは…………なにを……!」


その場にしゃがみ込んだ

ここは日本だ。満州でも中国でもないはずだ


ユウキ「まるで、戦場じゃないか……」


だが命の奪い合いがこの場にはあった

そして自分も1つ奪ってしまった

殺されそうだったから、と言い訳はできるだろう。だが殺した相手はまだ成人もしていない若者だ

自分の行いの罪深さを呪った
424 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:20:31.25 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「……や、やめさせねば」


ヨロヨロと立ち上がる。こんなバカげた状況を作り出したのは魔法少女選手権などと皆を集めた者だ


ユウキ「確か、森の音楽家といったか……」


これ以上人死にが出る前にクラムベリーを探し、やめさせる。ユウキはしっかりと合掌した後、槍を持ち森を駆け出した


ユウキ「(周りに気配……動物ではないな)」


横にユウキと同じスピードで移動する気配がある。尾行しているつもりだろうが、バレバレだ


ユウキ「(危害を加えてこないのなら、こちらから仕掛ける必要は無いな)」
425 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:23:26.44 ID:/FyhK3O+o

クラムベリーを見つけるのに時間はかからなかった。最初に集まっていた場所でクラムベリーは呑気に台座に腰かけていたのだ


ユウキ「おい」

クラムベリー「おや、あなたが最後の1人ですか?」

ユウキ「それは知らん。じゃがこんなバカげたことは即刻終わらせぃ!」

クラムベリー「……? 何を言っているのですか? これは選手権ですよ。皆頑張ってるのに終わらせられませんよ」

ユウキ「誰が頑張らせていると思っている!」

クラムベリー「そう怒らないでください。その槍……あなたのではないでしょう? あなたも頑張ったんじゃないですか」

ユウキ「…………」

クラムベリー「どうしてもやめさせたいのなら、私を倒してみせたら考えましょう」
426 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:27:09.50 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「言ったな?」

クラムベリー「ええ。約束します。その前にあなたの背中を狙っている鼠をなんとかしてはいかがです?」

「ひっ……!」

ユウキ「(さっきからつけて来ていた奴か……)」

ユウキ「ワシを狙おうと思うな。今から全部やめさせる。それまで待て」


後ろの魔法少女は気弱な少女だったらしく、すぐにどこかへと走り去っていった


クラムベリー「おやおや、あれでは生き残れませんね」

ユウキ「早くやるぞ。お前の目的やら色々聞きたいが、終わってからじゃ」

クラムベリー「終わってからでは聞けないのでは? あなたが死んでいるかもしれませんが」

ユウキ「死ぬかッ!」
427 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:29:08.56 ID:/FyhK3O+o

槍を持って突撃する

銃剣突撃なんて結局実戦でやることはなかったが、今は攻めねば勝てない

素早く一閃。避けられた


ユウキ「ッ……!」

クラムベリー「フフッ」


 身体能力(87)ロール……>>直下コンマ二桁
 
 成功→槍がクラムベリーを掠める
 失敗→まったく当たらない
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:29:56.63 ID:zlT6lIS7o
Hit
429 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:35:45.97 ID:/FyhK3O+o

 63……成功!
 
 
突き、払いを組み合わせるが、なかなか当たらない

穏やかな物腰とは裏腹になかなかの武闘派のようだ


ユウキ「(なら……!)」


今度は自分の足でクラムベリーに足払いを仕掛ける

思った通り、クラムベリーはそれを跳んで避けた

すかさず槍で斬り払う。手応えは無かったが、上着の襟部分を斬ることに成功したようだ


クラムベリー「おや」

ユウキ「(よし、奴も完全にすべてを避けられるわけではない!)」
430 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:39:07.76 ID:/FyhK3O+o

今度はパンチとキックも組み合わせ、クラムベリーに攻撃をしかけていく

槍が片手で扱えるほどの長さだったのも幸いして、避けられるよりも受け止められるの方が多くなってきた


クラムベリー「ふむ、なかなかやるようですね」

ユウキ「お褒めいただき光栄じゃなッ!」


その瞬間、ガサガサと背後の草むらが音を立てた


ユウキ「ッ!」


まさかこの戦いに乗じて奇襲かと思わされた。先ほども漁夫の利を狙っていた者がいるくらいだから乱入してきてもおかしくはない

だが振り返っても誰もいない。ユウキはその一瞬の隙を突かれることになる
431 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:41:54.94 ID:/FyhK3O+o

腹に重いのを一発貰った

クラムベリーの拳がミシミシと食い込んでいる


ユウキ「がっ……ぐ……!」

クラムベリー「誰かいましたか?」

ユウキ「(なんじゃ……今のは……!)」

クラムベリー「気絶させるつもりで殴りましたが、思ったよりも頑丈ですね」

ユウキ「ああ、鍛えてるから、の!」


槍を持っていない左手を握りしめ、クラムベリーの腹目がけ思い切り振りかぶった


 クラムベリーへの攻撃は……>>直下コンマ二桁
 
 成功→腹パン成功
 失敗→受け止められる
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/04(月) 23:43:10.25 ID:uKW21Otbo
433 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:47:30.67 ID:/FyhK3O+o

 25……成功!
 
 
クラムベリー「っ……」

ユウキ「な? 鍛えてるって感じのパンチじゃろ」

クラムベリー「ええ。そのようですね。久々に楽しめそうです」


ニヤリとクラムベリーが笑う。熱くなっていた頭が少し冷えるほどに、その笑みは恐ろしさを感じさせられた


クラムベリー「では、こういうのはどうでしょうか」


食いこんだままの拳から、何かが流れ込んでくる感触がある

それが何かを確認する前に、腹を襲う強烈な衝撃波でユウキは吹っ飛ぶことになった
434 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/04(月) 23:51:40.24 ID:/FyhK3O+o

ユウキ「ぐあっ、な、に……!」

クラムベリー「昔無理やり技名を考えさせられたときを思い出して嫌なのですが、やはり使えば使ったで差が出来過ぎますね」

ユウキ「(魔法か……!)」


衝撃波を巻き起こす魔法だろうか。戦闘向けだ

対してこちらが持っている魔法はなんとも貧弱極まりない


ユウキ「(……いや、使えるか? 頭の中を12年前に戻してやればもしかしたら……)」


止められるかもしれない


 ユウキは……>>435
 
 1.魔法でクラムベリーの記憶を逆行させる
 2.魔法を使っても記憶が無いんじゃ止められないのではと思い使わない
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 00:00:47.71 ID:uJV+A1k7o
1を試す
436 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:08:45.76 ID:fKhDYWhXo

ユウキ「(よし、奴に触れれば……!)」


服の上から触っても魔法が使えることは一般人で証明済みだ。あとは触れること……は簡単だろう。肉弾戦タイプならチャンスだらけだ


ユウキ「随分強力な魔法じゃな」

クラムベリー「ええ。強力すぎて使いどころが見当たらないんです」

ユウキ「そうか、じゃあ使わずに負けてくれッ!」


駆け出し、槍ではなくパンチの構えになる

触れることが目的だ。たとえカウンターをくらっても魔法は使える


ユウキ「オラッ!」

クラムベリー「その速さでは捉えきれませんよ」


クラムベリーが拳を握っているのが見えた。予定通りだ
437 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:10:34.93 ID:fKhDYWhXo

今度は思い切り頬を殴られた


ユウキ「ぐっ……!」

ユウキ「(顔はやめて! と言いたいが、これで!)」


魔法を使う意識をする。対象は、今顔に触れている拳を持った者


ユウキ「……」ニィ

クラムベリー「……?」


眉をひそめたクラムベリーだったが、その顔がすぐに変わるのをユウキは見逃さなかった


クラムベリー「………………? 誰?」
438 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:14:25.33 ID:fKhDYWhXo

ユウキ「(よぉし……作戦成功じゃ)」

ユウキ「ふぅ……お嬢ちゃん、なかなか強いパンチじゃのぉ」

クラムベリー「へ?」


いい大人の姿をした人間が子供のような表情と仕草をするのは何度見ても違和感を拭えない

だがこんな選手権などという殺し合いを早く終わらせなければ


ユウキ「よく聞いてくれ。自分の名前は分かるか?」

クラムベリー「クラムベリー……」

ユウキ「よしよし、いいか? 今クラムベリーはちょっといけないことを皆にさせてるんじゃ。それを止めさせてくれるか」

クラムベリー「…………?」
439 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:17:58.51 ID:fKhDYWhXo

クラムベリー「ねぇ」

ユウキ「なんじゃ? 質問なら一緒に殺し合いを止めさせてからじゃ」

クラムベリー「殺し合い……?」

ユウキ「そうじゃ。皆が殺し合っている。じゃがクラムベリーなら止められるんじゃ。一緒に止めに行こう」

クラムベリー「なんで?」

ユウキ「なんでって、いけないことじゃからじゃ」

クラムベリー「いけないこと? なんで?」

ユウキ「……道徳の授業なら学校でな」

クラムベリー「だって、皆殺し合ってるんでしょ?」

ユウキ「ああそうじゃ。今もワシらがそうしておった。はよぉせんと」

クラムベリー「なら止める理由は無いじゃない」

ユウキ「は?」
440 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:20:10.19 ID:fKhDYWhXo

クラムベリー「よく分からないけど、早く続きをしようよ」

ユウキ「おい、何を……」


突然、鋭い何かがユウキを襲った

服が切れ、第六感がヤバいと信号を鳴らす

次の瞬間、槍が輪切りにされていた


 身体能力(87-30=57)ロール……>>直下コンマ
 不意討ちにより-30
 
 成功→瞬時に跳び退く
 失敗→斬り刻まれる
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 00:21:48.52 ID:WdoHGcPUo
442 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:30:12.24 ID:fKhDYWhXo

 52……成功!
 
 
指まで輪切りにされる前に跳び退いた

ボトボトと槍の残骸が地面に落ちる


ユウキ「お、オイオイ……記憶は戻したはずじゃろ……」

クラムベリー「へぇ、強いんだ」

ユウキ「まさか昔からこうだったとか言わせんぞ……」

クラムベリー「魔法沢山使っちゃおう♪」

ユウキ「(……これは、本当に死ぬかもしれんな)」
443 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/05(火) 00:32:35.32 ID:fKhDYWhXo

今日はここまで
そうちゃんには戦闘狂になりたての幼クラムベリーに無邪気に搾られて男の尊厳を失ってほしい
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/05(火) 00:35:25.38 ID:uJV+A1k7o

あの世界では多分クラムベリーが居なくてもそうちゃんの尊厳は失っていたはず
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/05(火) 14:22:41.33 ID:j/+b9Y0Q0
おもしろい
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/07(木) 13:53:43.08 ID:62ODXug00
【まほいく安価】プフレ「魔王パムは倒さなければならない」【魔法少女育成計画restart】
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/07(木) 16:33:49.70 ID:pyjQ1rfo0
再開してたんだ(´・ω・`)面白い
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/08(金) 06:38:05.86 ID:qoM2wmYR0
雷田 矛平
@raida_hokohira
ネットの片隅に生息する物書き。小説家になろうやss速報に出没します。なろうでは同名義で、ssはYySYGxxFkUの酉です。Twitter初心者のため分からないことばかりです……。基本創作に関わることだけを呟いてます
mypage.syosetu.com/240189/
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/09(土) 19:57:13.06 ID:8vLxct4W0
車内意識不明の1歳女児死亡 焼津、熱中症か (2017/9/9 09:39)
 焼津市内の駐車場で車内に長時間いて意識不明の状態で病院に搬送された1歳の女児が、その後、死亡していたことが8日、関係者への取材で分かった。
 女児は6日午前から、同市の駐車場で数時間にわたり、家族が運転してきた車内に1人でいたとみられる。家族が呼吸をしていない女児に気付き、午後4時半ごろ119番した。熱中症の疑いで病院に搬送されたが、同日中に死亡が確認された。
450 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 20:48:04.32 ID:YAAlSt+zo

クラムベリー「最近覚えたの。これ♪」


殺気。急いでその場から横っ飛び

次の瞬間には地面に深い切れ込みが入っていた


クラムベリー「避けた? それなりに速いはずなのに」

ユウキ「(真っすぐ飛んでくる見えない速い刃、と考えれば……相手が素振りを見せたら避けることもできるか)」

クラムベリー「じゃあ今度は……ッ」

ユウキ「(ッ、突っ込んで来た!)」


 ユウキは……>>451
 
 1.その場で迎撃
 2.距離をとる
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 20:48:35.23 ID:QHIQEs9qo
452 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 20:58:43.47 ID:YAAlSt+zo

速い。背を向けて逃げるには遅すぎる


ユウキ「来る……ッ!」


魔法を使っても意味が無いと知れた以上、暴走とも言えるクラムベリーを止めるのは自分の責任だ

骨の数本ブチ折ってでも止める


ユウキ「(これが映画ならただの殴り合いで済んだんじゃがな……)」

クラムベリー「シッ!」


クラムベリーが宙を舞い、鋭い蹴りが飛んできた

それを間一髪で避け、左手で掴む
453 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:04:12.13 ID:YAAlSt+zo

クラムベリー「!?」


目に見えて動揺していた

いくら記憶が12年前になったとはいえ本人からすれば体が大きくなっている。リーチや動かし方が不自然で戸惑っているのだろう

今の蹴りもそのお陰で掴めたようなものだ


ユウキ「(よし、脚を折ってやる!)」


空いた右手でクラムベリーの右膝目がけ掌底。足さえ潰せば相手は戦いを続けられないはずだ

何をされるのか察したクラムベリーが掌をこちらに向けてきた。右腕がミシミシ鳴っている。魔法を使われているのか


 身体能力(87-30=57)ロール……>>直下コンマ
 クラムベリーの抵抗-30
 
 成功→クラムベリーの右足を折る
 失敗→右腕が潰れ拘束が解ける
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/10(日) 21:06:06.66 ID:/a3yiLJDO
455 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:12:10.31 ID:YAAlSt+zo

 66……失敗
 

手が膝に届くか、右腕ごと潰れるかの速さ対決だったが、ユウキに軍配は上がらなかった


ユウキ「なっ、ぐ……ぁぁぁぁぁ……!?」

クラムベリー「音圧も最大レベルに上げるとね、プレス機みたいになるんだって!」


凄まじい重低音が右腕から鳴る。骨が、身がという音ではない

だがグシャリと生々しい音が遅れてやって来た


ユウキ「ぎあああぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっっ!!」


肘から先が無残に潰れ、膝を狙った攻撃はプランと垂れた

あまりの痛みにクラムベリーを放し、腕を抑え転げまわる
456 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:15:26.82 ID:YAAlSt+zo

クラムベリー「結構強いかもって思ったけど、こんなもんか」


涙を流しながら、クラムベリーを見上げる

彼女はせっかく買った玩具が壊れたような、がっかりした顔で見下ろしていた


ユウキ「ぁ、ハァッ、ぅ、くっ……!」


怖い


クラムベリー「立てる? 続きやれる?」


歯がガチガチと当たる音で気付いた。口が震えている

口だけではない。全身が目の前にある死の恐怖に震えていた
457 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:19:21.20 ID:YAAlSt+zo

ユウキ「(だ、駄目だ馬鹿野郎……! 今さら死を恐れてどうする!)」


忘れていた銃声と爆音がフラッシュバックしてくる

だがここに突撃を指揮する上官はいない。体が命令で動いてくれない


ユウキ「ッ、動け……動け……動け動け、動け……!」

クラムベリー「そうそう。そうやって立ち上がって」


腕をおさえながら立ち上がる。富豪の令嬢もかくやというほどの美しい服は土と草で汚れ、目も当てられない


クラムベリー「次はあなたが折ろうとした足で、あなたの足を折ってあげる」
458 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:23:33.59 ID:YAAlSt+zo

ユウキ「(やはり、若い……それに、音とは……)」


わざわざ狙いと手段を言うことも、先ほど少しだけ見せた魔法の情報も、12年前が何歳かは分からないが若さを感じさせる


ユウキ「(魔法は考えている暇は無い。今は、とにかく……)」

クラムベリー「いくよ。せーのっ」


下段の蹴りが飛んでくる。バックステップで回避

追撃、まるでコマのように回りながら2撃目が来る。今度は高く跳んで回避した


クラムベリー「ふふっ、跳んじゃ避けられない」

ユウキ「避ける必要は無いッ!」
459 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:27:23.36 ID:YAAlSt+zo

落下中、ユウキの視線の先にあるのは、クラムベリーの首

絞め殺している時間は無い。先ほどのように腕ごと潰される

ならばどうするべきか。締めるというプロセス無く殺す。それを可能にするには


ユウキ「おあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

クラムベリー「……?」


手を手刀の形にし、思い切り突き出した


クラムベリー「ッ!」


地面に血が飛ぶ
460 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:30:50.09 ID:YAAlSt+zo

手が地面に突き刺さった


ユウキ「くっ……!」

クラムベリー「っつ……!」


クラムベリーの首が僅かに切り裂かれている。あと数mmで脈を切り致命傷に出来たが、避けられた

腕を引き抜きもう一撃、とまではいかなかった。ボォンという重低音と共にユウキの体が吹っ飛ばされる


ユウキ「ぐあっ……! っぐぅ……」

ユウキ「(一瞬、一瞬じゃが……焦りが見えた)」

クラムベリー「危なかったぁ。やっぱり結構強いんだね」
461 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:37:19.41 ID:YAAlSt+zo


左手を見る。思い切り地面に突き刺したというのに傷一つ無い

勝機が少しだけ見えてきた


ユウキ「(……もしかして、ターミネーターみたいに手で胸を突き刺せるか?)」


試してみる価値はある

クラムベリーが起き上がると同時にユウキは一気に駆け出した


ユウキ「オラッ!」

クラムベリー「……」


槍のように突き出す。だが1度喰らった手は通じないのか、避けられた

だが残された武器はこの腕しかない。これでいくしかないのだ
462 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:42:04.49 ID:YAAlSt+zo

クラムベリー「単調じゃだめだよ。ほらっ!」


下から何かが飛んできた。蹴りだ

サマーソルトがユウキの服を掠め、縦に切る


ユウキ「ッ!」


頭の中で何かが光った

クラムベリーが着地する瞬間を狙う


クラムベリー「またその槍みたいな攻撃? それじゃ私は倒せない」

ユウキ「槍ではない」
463 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:45:11.57 ID:YAAlSt+zo

クラムベリーの蹴りは鋭い。ユウキの服をまるでカッターで切るかのように裂いた

ならば同じことができるはずだ

手刀を振りかぶる


ユウキ「剣じゃッ!」


突きが来ると予想していたクラムベリーの回避行動では薙ぎ払う攻撃を躱しきれない

袈裟がけにクラムベリーの肩から腰まで手刀を振りぬいた


クラムベリー「ッ……ぐ、はっ……!」


今度はクリーンヒットだった
464 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:48:58.87 ID:YAAlSt+zo

服を斬り、肌も斬り裂いた

血がクラムベリーの白と緑の服を染めていく


ユウキ「(やはり、若いから油断する)」


油断は命取りだ。そこを突けば格上だろうが


クラムベリー「…………キヒッ」


頭上から何かがのしかかってきた


ユウキ「ぐ……!?」


いや、何ものしかかってきてはいない。見えない何かに押し付けられている
465 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:53:49.94 ID:YAAlSt+zo

クラムベリー「面白いね、今の」


ゆっくりと、クラムベリーが近づいてくる

動こうにも動けない。両足を踏ん張らなければ立ってもいられないほどの重さが上から襲っている

ステップで避けようにも体勢を変えた瞬間地に這いつくばるだろう


クラムベリー「私もできるよ。こうやって」


甲高い音が腹をすり抜けたかと思うと、ドパッと血が噴き出した

クラムベリーは腕をこちらに振っただけだ。ユウキのそれと違い、速度がまるで無かった


ユウキ「(かまいたちを、手にまとわせた……のか……っ!)」
466 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 21:58:28.96 ID:YAAlSt+zo

幸い、中身が出るほど深くは無い。だが腹筋を総動員しなければ失血死だ


クラムベリー「槍だってこうやって」


今度は見えない槍が左肩を貫いた


ユウキ「ぐ、ううぅぅッ!」


なりふり構わず手刀を振るう。速度も威力も落ちたが、クラムベリーは無防備だ

だというのに、手刀は何かに弾かれるように、クラムベリーには届かなかった


クラムベリー「ははは、はははは!」

ユウキ「な……」

クラムベリー「私の魔法は強いんだぁ。誰にも負けない。だからもっと強い人がいないかなぁって」
467 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 22:02:48.86 ID:YAAlSt+zo

ファヴ「マスター! マスター!」

クラムベリー「ファヴ?」

ファヴ「参加者が全員死んじゃったぽん」

クラムベリー「? 参加者?」

ファヴ「ああそうだった。ユウキの魔法で記憶が戻ってるんだったぽん」

クラムベリー「??」

ファヴ「ユウキ、クラムベリーの記憶を戻してほしいぽん。この選手権は他の奴らの同士討ちでユウキの優勝ぽん」

ユウキ「ぁ……?」
468 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 22:08:11.96 ID:YAAlSt+zo

ファヴ「マスターは今記憶を操られて12年前に戻ってるぽん。早く戻すぽん」

クラムベリー「…………ああ、だからいきなり変な場所でこの人と戦ってたんだ」

ファヴ「だからユウキ、早く戻すぽん」

ユウキ「でき、るか……!」


いい加減もう戦う力が残っていない。膝をつき、左手で腹をおさえながら宙でふよふよ浮かぶ白黒金魚を睨みつけた


ファヴ「別に今でも強いけどクラムベリーもそれなりに要職につきつつあるぽん。記憶が無いのは色々困るぽん」

ユウキ「戻してどうなる、コイツを説得してやめさせてくれるか? ふざけるな!」

ファヴ「……あんまり断ると、ユウキ以外にも被害が及ぶぽん?」

ユウキ「どういう意味じゃ……」

ファヴ「2人暮らしで大変ぽん。それが1人暮らしになっちゃうのはもっと大変ぽん。介護の人雇わないとぽん」

ユウキ「ッ、貴様! 婆さんを……!」
469 : ◆IPYIJYmMYgAf [saga]:2017/09/10(日) 22:15:29.12 ID:YAAlSt+zo

ファヴ「どうするぽん? ユウキは選手権で生き残ったから五体満足でちゃーんと助けるぽん」

ユウキ「………………」


まるで悪党だ。ファヴは自分を魔法少女にしたきり現れない変な奴だと思っていたが、ロクでもなかった

ユウキは揺らいだ。今ここでクラムベリーをどうにかしないと、また同じことが起こる。だがこうなった以上勝てる見込みは薄い

記憶を戻せば見逃してもらえる上にばあさんも狙われることは無くなる


ユウキ「…………ぐ、ぐぅ……!」

ファヴ「さぁさぁ早くするぽん。もう魔法の国に合格者はユウキって報告しちゃったぽん」

ユウキ「………………………………」


 ユウキは……>>470

 1.ファヴの言うことを聞いた
 2.クラムベリーに襲い掛かった
298.38 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)