穂乃果「ラブライブ!」海未「パーフェクトアンサー」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:32:15.08 ID:Is9rxdeVO
以前ラブライブとGANTZのクロスssを立て、自らの構成力不足と推敲不足からエタらせてしまった者です。
大まかな流れは変えないまま、新たにプロットを作成して書き直させて頂きます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493011935
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:39:54.02 ID:Is9rxdeVO
・GANTZに関しては原作、アニメ、実写、CG映画全要素あり
・当然グロ有り
・オリ星人多数、またオリ設定有り
・GANTZモブ総動員
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:40:54.83 ID:Is9rxdeVO

『御覧くださいッ!渋谷スクランブル交差点付近では、多くの車両が炎上しているのが見えます!
街が破壊され、まるで戦場のようです!』


深夜、炎上する渋谷の上空を飛ぶ報道ヘリでナレーターが叫ぶ。

逃げ惑う人々が車両の爆発に巻き込まれ、火達磨になる様がはっきりと見えた。


『あッ、警察の特殊部隊の車両が現れました!
巨大不明生物の処理を図る模様です!』


けたたましくサイレンを鳴らし現れた黒塗りの車両から、頭にはヘルメットとバイザー、胴には防弾ベストを装備した者達が飛び出した。言うまでもなく、その肩からは特殊部隊仕様の短機関銃を提げている。彼らは、即座に爆煙の中心部へその銃口を向ける。


「撃てッ!!」


隊長らしき男が叫ぶと、一斉に全隊員の銃口が火を吹いた。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:41:36.54 ID:Is9rxdeVO

パラララララッ、というタイプライターのような発砲音が木霊するが、高レートの短機関銃がそのマガジンを撃ち尽くすまでは5秒もかからなかった。


「やッたか!?」

「油断するなッ!総員マガジンを交か------」


隊長がそう声を張り上げた瞬間だった。
黒い煙の中から、ヒトの胴ほどのサイズはあるであろう頭蓋骨が飛び出してきた。頭蓋骨、と形容するしかないソレは、かなりヒトの物とは異なっていた。下顎はクワガタよろしく左右に裂け、眼窩が二対あり、その奥は妖しく輝いている。

隊員達は、「巨大不明生物」と呼称される異形の全貌を遂に目の当たりにした。頭蓋骨に続いて飛び出したのは、腕のような形をとる骨の先に接続された、2メートル近いふた振りの巨大な鎌。さらに異常な程長い背骨からは、カシャカシャと蠢動する無数の肋骨がムカデの脚の如く伸びている。

唖然とする隊員達は、自らに向かって振るわれるその大鎌の前に、ただ立ち尽くしている事しか出来なかった。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:42:22.16 ID:Is9rxdeVO

胴体を一瞬で両断される警官隊から50メートルほど離れた所に、漆黒のラバースーツを纏った金髪の少女、絢瀬絵里は居た。


絵里「あッ…、あぁ……」


警官隊を一撃で屠った『骨ムカデ』は、もう片方の鎌を振るって彼らの乗ってきた車両を邪魔だとばかりに両断、炎上させる。

そして、絵里の元へと無数の脚を蠢かして進んできた。


絢瀬「いッ、嫌ぁぁぁぁッ!!」


彼女は反射的にその手に持った円柱状の銃身をもち、青白く発光する銃口の無い拳銃を骨ムカデに向けた。

まともに狙いもつけず引き金を引く。
すると、ギョーンという間延びしたサウンドとともに本来銃口のあるべき箇所が青白く発光した。

そのまま何度も乱射するが、3回発射したところで青白い光が赤いものに変化し、エネルギー切れを示す低いサウンドが鳴った。


------お願い、当たって!


絵里の願いが通じたのか、骨ムカデの頭部に2ヶ所、右側の鎌に1ヶ所小さな爆発が起こる。

しかし。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:43:18.55 ID:Is9rxdeVO

骨ムカデの体を構成する骨格は、青白い爆発を受けたところでビクともしなかった。

いや、その表現すら適切でない。
正確には爆発が通ってもいなかった。


絵里「そんな……」


モデル顔負けの美貌を誇る端整な顔が絶望に歪む。
両足がガタガタと恐怖に震え、逃げ出す事も叶わなかった。

骨ムカデは、警官隊同様彼女も両断すべく、自慢の鎌を振りかぶる。


絵里「いやッ…わた、しッ、死にたくな……」


丁度首元へと振るわれたその鎌が彼女の命を刈り取る寸前、黒い人影が飛び出して絵里を突き飛ばし、鎌の軌道から助け出した。

絵里とその人物はゴロゴロと転がり、アスファルトの上に折り重なって倒れた。

絵里を救ったのは、襟足の長いオールバックの若者だった。
彼も絵里同様のスーツを身につけている。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:43:54.47 ID:Is9rxdeVO

「絢瀬さん無事かッ!?」


若者の叫びに、茫然自失としていた絵里の顔がパッと明るくなる。


絵里「加藤くん!」


加藤と呼ばれた若者は起き上がると、スーツのホルスターに吊り下げたサーベルの柄のような物を手に取り、振り下ろした。すると一体どこに収納されていたのか、先端から日本刀のような刀身が滑り出る。


加藤「あいつに銃は効かない…、別の方法を使う」

絢瀬「接近戦をする気!?危険すぎるわ!」

加藤「いや、まだ他に手はあるよ」


そういうと彼は、刀の刀身を20メートル近くまで伸ばし、しっかり両手に保持して頭上に掲げた。


加藤「おおぉぉォォッ!!」


そしてそれを、雄叫びと共に眼前の骨ムカデへと振り下ろす。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:44:30.60 ID:Is9rxdeVO

骨ムカデは両腕の鎌を交差させ、その一撃を受け止める。


加藤「グッ……!」


骨ムカデの巨体に鍔迫り合いで勝てる道理は無かった。
しかし加藤はニヤリと笑い、叫ぶ。


加藤「今だッ、河内さん!岸本さん!」


すると、骨ムカデの左右両側から三角形の光るワイヤーのような物が飛び出し、その長い背骨に命中した。
2つのワイヤーはクルクルと骨ムカデの巨体に巻き付き、完全に拘束する。

火花を散らしながら骨ムカデの右側からは精悍な顔つきの男性が、左側からはショートカットの少女が出現した。
2人も加藤達同様のスーツを着用している。


「加藤くんッ!大丈夫?怪我は…!」

加藤「平気だよ、この通り無キズさ。岸本さん」


岸本と呼ばれた少女は真っ先に加藤の元へ駆け寄った。

続いてもう一方、河内もやってくる。


河内「良かった。Yガンは効いてくれるみたいだな」

加藤「流石にこれがダメだったら危ないところでしたね」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:45:13.78 ID:Is9rxdeVO

4人は拘束から逃れようともがく骨ムカデを見上げた。
いつの間にか、ワイヤーは赤く変色している。


絵里「Yガンの転送はまだなの…?」

加藤「しっかり捕まえてるし…大丈夫なハズだけど……」


バキッ!!


彼らの立つアスファルトに無数のヒビが入った。



------丁度、拘束された骨ムカデを中心として。



河内「不味いッ!ワイヤーから脱出する気かッ!?」

加藤「もう一回撃つ!」


加藤が傍らの岸本からYガンと呼ばれた銃身が3つに割かれた銃をひったくり撃つが、手遅れだった。

骨ムカデは自らを捕らえていたワイヤーを引き千切ると、先ず右の鎌で新たに放たれたワイヤーを切断。そして流れるように左の鎌も加藤へと振るった。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:45:53.05 ID:Is9rxdeVO



岸本「駄目ッ------!」


岸本は叫び、加藤の前に躍り出ると、彼に覆い被さるようにして押し倒した。




岸本「あッ……」




加藤にも、河内にも、そして絵里にも、その光景はスローモーションのように見えた。

岸本の左脇腹に鎌の先端がスルリと入り込み、そのまま滑らかに刃が彼女の体を通過していく。

加藤に抱きついていた上半身を置いて、その下半身が血飛沫を上げながら飛んでいった。


加藤「あ、あぁぁ…」


掠れるような声を上げる加藤の両目から涙が零れる。

まだ辛うじて機能を残した岸本の口が動いた。



岸本「か、とう…く、ん、…好、き……、かとう、くん……」


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:46:42.94 ID:Is9rxdeVO

その言葉を最後に、岸本の身体は完全に沈黙した。

加藤は彼女の上半身を静かに降ろすと、再び刀を手にする。


河内「お、おい…、逃げるぞ……このままじゃ全員……」

絵里「無理よ!こんなの倒せないッ!」


骨ムカデは無力な彼らを嘲笑うように、裂けた下顎をカチカチと鳴らした。


加藤「だからこそ、誰かがやんなきゃならない……、逃げたところで、追いつかれて殺されるだけだ…」


加藤はそう言うと、雄叫びを上げながら骨ムカデの懐へと飛び込んだ。


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12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:47:25.34 ID:Is9rxdeVO

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「あーあ、早速死ンでやがんの」


ビルの屋上から加藤達の戦闘を見下ろしながら、ジャケットを着込んだ少年、西は冷ややかに呟く。
ジャケットの襟元からは彼らと同様のラバースーツの一部が覗いていた。


「おッ、おいヤバいぞ茨木!俺達も早く行こう!」

「わかッた、だが慎重にいくぞ南!」


茨木、南と互いに呼び合ったラバースーツ姿の2人の男性が屋上から飛び出す。

一方で、西にはわざわざ加勢してやる気など無かった。


西「スーツ無視か、久し振りだな…。
つーか、不可視モードとタイマーまで解除ッてのはどういう事だ?」


もともと不条理な状況がさらに不条理になったところで、どうする事も出来ない。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:48:14.63 ID:Is9rxdeVO

戦闘に視線を戻す。

懐に潜り込んだ加藤の斬撃が胴に叩き込まれるが、骨ムカデはものともせずに加藤を飛び越え、援護に入ろうとした河内に接近。その右腕を容易く斬り飛ばした。


加藤「河内さんッ!」

河内「俺はいいッ!攻撃しろ!」


そこに茨木と南が加勢に現れた。
南が牽制としてYガンを撃ち、その隙に大柄な茨木が負傷した河内の元に急行し保護する。

骨ムカデは飛来するワイヤーを今度も切断し、撃ってきた南を標的と定めた。


南「俺を狙ッてる!走り回ッて逃げるから側面か背後から攻撃してくれ!」

加藤「わかッた!」


道路の中央を全力疾走し出した南を、骨ムカデが餌を見つけた蛇よろしく体躯を左右に揺らしながら追跡する。

加藤と、河内を離脱させた茨木が刀を構え、さらにその後を追う。

西はひとり戦闘に参加せず、荒い息をする河内の腕を止血している絵里に視線を移し、鼻で嗤った。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:49:01.65 ID:Is9rxdeVO

西「手当とかいーからとッとと戦えよな」


傍観している自分を棚に上げているように受け取れる発言だが、誰が聞いている訳でもない。


加藤「茨木さんッ、斬り込むぞ!」

茨木「こッちは右をやる、反対頼む!」


2人が距離を詰め、攻撃を加えようとした時だった。

南を一目散に追いかけていた骨ムカデが唐突に体を捻り、鎌を突き出しながらその場で車輪の如く高速で回転した。


茨木「なッ…!?」


振り下ろした茨木の刀は回転する巨体に弾き飛ばされ、彼は姿勢を崩される。
そこに敵の鎌が迫った。


南「茨木ッ!」


回避は叶わず、右肩から左脇腹を斜めに一閃され、茨木は呆気なく絶命した。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:49:40.00 ID:Is9rxdeVO

南「このぉッ!!」


激昂した南が刀を持って死角から突撃する。

だがそこで、骨ムカデは予想もつかなかった動きに出た。

両方の鎌をアスファルトに勢いよく突き刺すと、それを軸にして長い胴体をしならせて地面に打ちつけ跳び上がり、宙返りのようなコトをやってのけたのだ。

一瞬で方向転換した骨ムカデの二対の眼光が南を射抜く。

彼を正面に据えた次の瞬間には、左右の鎌を大きく振りかぶり、南へと飛び掛った。


南「があぁぁァッ!?」


南の首と腹部が同時に切断される。
3つに分割された肉塊はバラバラの方向へ飛んで行った。


西「おいおい、マジかよ…」


流石の西もこれには動揺した。
歴戦の猛者が2人も、あっという間に殺されたのだ。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 14:50:28.46 ID:Is9rxdeVO



------気が変わった。俺がやる。



西は足下に置いていたストックのついた長柄の銃を右手に持ち、さらに左手を宙にかざした。


西「『ガンツ』。俺にZガンを転送しろ」


すると彼の左手の辺りに、黒い機械のような物が少しづつ出現していく。

完全に姿を現したそれは、人の片腕を丸ごと覆うような大型の銃だった。

そもそも銃という分類自体正確ではないのだろうが、その『Zガン』は、武器としてこの上なく強力な物ではあった。


西「銃が直接効かないからッて…、じゃあ使いませんッてのは流石にアタマわりーだろ」


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17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:50:43.03 ID:hk8JprQ0O

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加藤「畜生……?だろ、あの2人まで……!」


未だに決定打を与えられず無傷の骨ムカデが遂に加藤へ標的を移した。

逃げ出したいという思いを押し殺し、加藤は己を奮い立たせる。


加藤「俺は死なないッ!俺は生きて帰るンだッ!」


ここで自分が死ねば、自らを庇って死んだ岸本の挺身はどうなる?

茨木と南の奮戦、負傷した河内は?


そして、自分の帰りを待っている弟、歩は……。



ズドンッッ!!!



加藤が特攻を仕掛けようとした寸前、轟音と共に骨ムカデの居るアスファルトが円形に沈み込んだ。

それは圧倒的な重力の一撃、しかし骨ムカデ自体はビクともしない。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:51:18.54 ID:hk8JprQ0O



ズドンッ!

ズドンッ!

ズドンッ!



しかしそれが何度も続き足場が破壊されると、流石の骨ムカデも姿勢を乱され、動きがとれなくなった。

それに加え、骨ムカデの真下のアスファルトが次々と爆発していく。
無数の破片が飛び、大きなダメージこそ無いものの骨ムカデの行動に対し確実な妨害となる。


加藤「あれは……西かッ!」


付近のビルの屋上に、両腕に黒い装備を構えた西を見つけた。

それは骨ムカデの方も同じで、足場への妨害にも慣れてしまったのか構わずに彼の居るビルへと突撃する。
コンクリートの外壁に、鎌を突き刺し、巨体に見合わぬスピードで屋上目指して登り始めた。


加藤「西ッ!逃げろ!!」


加藤が叫ぶ。
屋上の西が、ニヤリと嗤ったように見えた。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:51:56.71 ID:hk8JprQ0O

骨ムカデの頭部が屋上へと飛び出すと同時に西の姿が消失し、そして------




------円形の重力波が、骨ムカデの接していたビルの外壁を丸ごと吹き飛ばした。




ズドドドドドドドッッッ!!!!




足場を失い宙に投げ出された骨ムカデが、地球の引力には逆らう事は叶わず墜落する。
地面に叩きつけられたところを、続けて落下してきたいくつもの大きなコンクリート片が追い打ちをかけた。

この好機を逃す手はない。

加藤は刀を伸ばして突撃する。


加藤「弱点は何処だッ!?一撃で決める!」


------頭だ。首を叩き落とす。



直感でそう判断した。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:52:44.25 ID:hk8JprQ0O

だが落下の衝撃と質量によるダメージを受けてなお、敵はまだ健在だった。

加藤が刀を頭部の付け根へと突き出すのとほぼ同時に、骨ムカデも自身の鎌を振るう。


加藤「うおおォォッ!!」


加藤の剣先が骨ムカデの頭部を斬り飛ばさんとする丁度その瞬間、骨ムカデは鎌を薙ぎ、彼の刀をへし折った。


加藤「ガッ……!」


さらにその衝撃で加藤の体躯が宙を舞い、乗用車のフロントガラスへ叩きつけられる。


絵里「加藤くんッ!?」


そこに河内の手当を終えた絵里が駆け寄ってきた。


加藤「駄目だ…ッ、強すぎる!
他に何か手は無いのかッ!?」


絵里に手伝われ身を起こし、折れた刀を伸ばし直す加藤。

眼前の骨ムカデが、哄笑するように下顎を鳴らした。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:53:25.59 ID:hk8JprQ0O

加藤「西がやッたヤツも多分もう効かない…、学習したハズだ。
どうすりゃいいッ?」


焦りが加藤の思考を支配する。


絵里「一度引きましょう!
このままやッてもジリ貧だわ!」

加藤「駄目だッ!コイツを放ッておいたらまだまだ被害が拡大するッ!
------俺達でやるしか無いンだ!」


そういうと、加藤はスーツの左手首に取り付けられた小さなデバイスを起動した。


加藤「透明化を見破る能力は持っていないと思う……連携が取れなくなるのは避けたかッたけど、もう他に手はない。
…俺が懐に潜り込んで撹乱するから、絢瀬さんは出来るだけ遠くから狙ッてくれ。でも無理はするな」

絵里「無茶よ!危険すぎる!」


絵里の制止を聞かずに出現した立体映像のディスプレイを操作すると、加藤の姿が消失した。

頼んだとばかりに、見えない何かが絵里の肩をポンと叩く。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:54:13.72 ID:hk8JprQ0O

数秒後、見えない斬撃が骨ムカデを襲う。

骨ムカデは自らに取り付く何かを振りほどこうと身をよじった。


絵里「ああもうッ!」


絵里は透明化を使わず、河内から回収したYガンを骨ムカデに向け、2発続けて撃った。

敵は即座に反応し、右の鎌で2つのワイヤーを同時に切断する。

そして次の瞬間、その鎌が根元から斬り飛ばされた。

だが。



加藤「がはッ……!?」


片方の鎌が切断されると同時に、骨ムカデは残った方の鎌を躊躇なく振るう。

その一閃は、加藤の右腕を綺麗に飛ばしていた。火花を散らして透明化の効果が消えた。

刀が宙を舞う。


加藤「まだッ…、まだだァッ!!」


加藤は右腕の切断面から鮮血を迸らせながらも、残った左腕を伸ばし刀を掴み取った。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:54:53.44 ID:hk8JprQ0O



加藤「おおおぉぉォォッ!!!」



ダンッ!と地面に叩きつけられた刀身の軌道は、骨ムカデの残された鎌の付け根を、確かに捉えていた。


『グルルルォォォォッッッ!!』


双方の鎌を切断され、今まで余裕すら見せて加藤達を痛ぶっていた骨ムカデが狂ったように咆哮する。


加藤「もう少しッ…」


追撃を加えようと振りかぶった加藤だったが、そこに巨大な頭蓋骨が迫る。

左右に裂けた下顎が、彼の頭を捕らえた。


加藤「くッ、負けるかよッ!!」


加藤も負けじと刀を逆手に持ち替え、4ある発光する眼窩、その右下のものに突き刺した。

同時に、骨ムカデは加藤を咥えたまま頭部を振り下ろし、彼の体躯を硬いアスファルトに叩きつける。

加藤のスーツの所々に付属した円形のパーツから、ジェルのような物質が溢れた。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:55:30.02 ID:hk8JprQ0O

絵里「加藤くんッ!」


今ならやれる。

そう確信してYガンを何発も撃ち込む絵里だったが、ワイヤーが骨ムカデを捕らえるより僅かに早く、再び加藤が叩きつけられた。

次々とワイヤーが巻きつき、骨ムカデの巨体を拘束していく。
西による攻撃のおかげか、今度は強引に振りほどかれる事も無かった。

それを確認すると、絵里は横たわる加藤の元へ一目散に駆け寄った。

彼の両足はおかしな方向に曲がり、腹部からは黒いスーツを突き破って肋骨が見えている。


絵里「倒したよ加藤くん!これで無事に帰れる!
しッかりしてッ!」

加藤「あや、せさん…。有難う…、よかッ、た……」


加藤は口を開くのもやっとのようだった。

その時、どこからともなく間の抜けた明るい電子音が響く。

天から伸びた光線が、赤く発光するワイヤーに拘束された骨ムカデを頭頂から消していった。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sapa]:2017/04/24(月) 16:56:18.18 ID:hk8JprQ0O

絵里「ガンツ!早く加藤くんを転送しなさいッ!
早くッ!!」


叫ぶ絵里だったが、加藤の体に変化はなかった。
逆に彼女の方が、足の先から消えていく。


絵里「そんな……!?」

加藤「絢瀬、さん…」


加藤が消え入りそうな声で絵里に呼びかける。


加藤「これでッ…、自由に……なッ、て……」

絵里「馬鹿な事言わないでッ!
貴方を再生するに決まッてるじゃない!」

加藤「そンな…、こと、しなくていい……でも、歩の事だけは…忘れ、ないで……」


反論しようとした絵里だったが、言葉を発する事は叶わなかった。口まで転送が至ったのだ。

続けて視界も消失する寸前、絵里は確かに、加藤が息を引き取る瞬間を目にした。


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ーー
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/24(月) 16:57:03.26 ID:hk8JprQ0O
ここまでがプロローグという感じで、本日の投下は終了です
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 02:59:24.77 ID:Ns9QD19to
つまらない
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:01:15.74 ID:yuYncZClO
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:01:23.83 ID:3uXZoitiO
真姫「さっきのハンバーグの肉汁を無駄なく利用するためね」

曜「フライパンにトマト缶、水、コンソメを加え、煮立てる」

真姫「このために深めのフライパンを使うのね」

曜「煮立ったらハンバーグ、エリンギを加え、再び煮立たせる」

曜「煮立ったら弱火だよ」

曜「このとき砂糖、ソースを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えておこう」

曜「アクを取りながら弱火で約20分煮込む」
http://imgur.com/6IvFaq1

真姫「20分…。暇ね」

曜「煮込み時間は長くすると濃厚になるけど、煮込みすぎるとハンバーグがカチカチになるから様子を見ながら気を付けてね」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:01:31.95 ID:aPn0MkdOO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:01:41.32 ID:BHgOvfOqO
(数分後)

曜「粘りが出てきたね。それくらいでいいかな?」

曜「それを4等分にして、空気を抜き小判型に丸め、真ん中を少しへこませておいて」

真姫「…うん」コネコネ

曜「ハンバーグ(タネ!)完成」
http://imgur.com/C3GvPwb.jpg

曜「その間にフライパンに油を少しひいて暖めるね」

曜「このときフライパンは深めなのを使うとあとあとの処理が捗るよ」

曜「充分に暖まったら、並べ強火で焦げ目が付くまで焼く」ジュー
http://imgur.com/QusePK0.jpg

真姫「ふむふむ」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:01:51.78 ID:U/vFQi1lO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:03.78 ID:m48JpJB6O
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:10.63 ID:JOzFrlryO
スレ汚し失礼します

★★★自治スレより重要なお知らせ★★★
>>2
ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:26.32 ID:g/VHmd3cO
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:34.79 ID:xIlWGyJyO
真姫「さっきのハンバーグの肉汁を無駄なく利用するためね」

曜「フライパンにトマト缶、水、コンソメを加え、煮立てる」

真姫「このために深めのフライパンを使うのね」

曜「煮立ったらハンバーグ、エリンギを加え、再び煮立たせる」

曜「煮立ったら弱火だよ」

曜「このとき砂糖、ソースを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えておこう」

曜「アクを取りながら弱火で約20分煮込む」
http://imgur.com/6IvFaq1

真姫「20分…。暇ね」

曜「煮込み時間は長くすると濃厚になるけど、煮込みすぎるとハンバーグがカチカチになるから様子を見ながら気を付けてね」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:47.21 ID:J/YOY5l+O
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:02:57.92 ID:jO40pfg4O
(数分後)

曜「粘りが出てきたね。それくらいでいいかな?」

曜「それを4等分にして、空気を抜き小判型に丸め、真ん中を少しへこませておいて」

真姫「…うん」コネコネ

曜「ハンバーグ(タネ!)完成」
http://imgur.com/C3GvPwb.jpg

曜「その間にフライパンに油を少しひいて暖めるね」

曜「このときフライパンは深めなのを使うとあとあとの処理が捗るよ」

曜「充分に暖まったら、並べ強火で焦げ目が付くまで焼く」ジュー
http://imgur.com/QusePK0.jpg

真姫「ふむふむ」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:06.86 ID:nmoGPd0bO
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:16.70 ID:wPtKRWfMO
スレ汚し失礼します

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>>2
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41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:26.14 ID:EsCIIvPUO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:35.83 ID:F/eeMXrGO
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:49.43 ID:7q0lqIyjO
真姫「さっきのハンバーグの肉汁を無駄なく利用するためね」

曜「フライパンにトマト缶、水、コンソメを加え、煮立てる」

真姫「このために深めのフライパンを使うのね」

曜「煮立ったらハンバーグ、エリンギを加え、再び煮立たせる」

曜「煮立ったら弱火だよ」

曜「このとき砂糖、ソースを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えておこう」

曜「アクを取りながら弱火で約20分煮込む」
http://imgur.com/6IvFaq1

真姫「20分…。暇ね」

曜「煮込み時間は長くすると濃厚になるけど、煮込みすぎるとハンバーグがカチカチになるから様子を見ながら気を付けてね」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:03:58.73 ID:88gMIdSIO
 包装を破いて、お二人の口に突っ込みます。

「んん〜! 甘い! うまい!」

「なにこれ! あまーいっ! すごーいっ!!!!」

 二人の顔がほころぶのをみると、こちらも差し上げた甲斐があるというものです。

「だいぶ回復されましたね? ではもう一度トロッコを漕いでください」

「え?」

 二人の顔が固まります。

「で、でもこの先って……」

「谷だよねー?」

「ええ、谷です。安心してください、飛びますから」

「はぁ!?」

「え!」

 ジャガーさんは驚愕、カワウソさんは期待の表情を浮かべました。

「と、飛ぶって!? あんた鳥のフレンズなの!?」

「いいえ、違います」

「じゃあ無理だよ!」

「大丈夫です。ここからスピードをつけてれば、谷を飛び越せるかもしれません」

「飛び越せなかったら?」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:04:07.72 ID:Z2ow0QYkO
(数分後)

曜「粘りが出てきたね。それくらいでいいかな?」

曜「それを4等分にして、空気を抜き小判型に丸め、真ん中を少しへこませておいて」

真姫「…うん」コネコネ

曜「ハンバーグ(タネ!)完成」
http://imgur.com/C3GvPwb.jpg

曜「その間にフライパンに油を少しひいて暖めるね」

曜「このときフライパンは深めなのを使うとあとあとの処理が捗るよ」

曜「充分に暖まったら、並べ強火で焦げ目が付くまで焼く」ジュー
http://imgur.com/QusePK0.jpg

真姫「ふむふむ」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:04:15.76 ID:D6SvAAVZO
Aqoursの好感度スレまとめ

善子 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1482032895/

曜 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487678425/

ルビィ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487668185/

千歌 →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487693644/
>>2
ダイヤ →http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1487770928/

花丸 → http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1487777497/

梨子→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488373777/

果南→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488454481/

鞠莉→ http://karma.2ch.net//test/read.cgi/lovelive/1488464531/
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:04:24.92 ID:oB10G8e6O
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ラブライブ!板で違反スレの乱立、スクリプトによる保守を目的とした板荒らしに対策するため板設定の変更に関する投票を行います
賛成/反対の投票ですので投票お願いします。


投票日:2017年3月12日


詳しくは
自治スレ、荒らし報告相談 Part.5
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1489154599/
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:04:34.09 ID:ysGgI1WQO
1 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:24:27.16 ID:DV9Bek1G
アニメ本編とは別時空です
>>2
梨子「はぁ…転校して来た途端変な人に絡まれるし付いてないな…私…」

曜「ん?あっ、転校生の子だ♪」

梨子「あ、どうも」ペコリ

曜「千歌ちゃんに追いかけられてばっかりで大変そうだね」アハハ

梨子「千歌ちゃん…あぁ、うん…そうですね…」

曜「んーと…同い年だからタメ口でいいよ?」

梨子「そっか、じゃあそうするね
えーっと…」

曜「あっ、私?私は渡辺曜!曜でも曜ちゃんでも好きに呼んでね♪」

梨子「ふふっ、じゃあ曜ちゃんて呼ぼうかしら」

曜「了解♪じゃあ私は梨子ちゃんって呼ぶね!」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 03:04:42.34 ID:C/+PgqcWO
9 名前:名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@無断転載は禁止 [sage] :2017/03/11(土) 00:32:29.95 ID:DV9Bek1G
曜「梨子ちゃん♪行こ?」
>>2
梨子「え、ええ…」

曜「どう?学校には慣れた?」

梨子「うーん…まだ、かな…
曜ちゃん以外に喋る子あんまりいないし…」

曜「そうなの?そっかぁ…」

梨子「うん…」

曜「さ、着替えよっか」

梨子「そ、そうね」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 10:05:19.13 ID:GksIZ+770
見てるよ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/25(火) 13:14:54.18 ID:yVd7o7YYo
埋め茸か
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/25(火) 18:06:27.60 ID:GxNVBKzb0
>>1
消えろアンチ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:09:43.91 ID:/PQkikLFO





Chapter:1
出られない迷宮はないんだ





54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:10:41.89 ID:/PQkikLFO

ーーーーー

「なぁ北条、なんでお前芸能科辞めたの?」


最近は友人知人に会う度に、北条政信はこんな質問をされる。

すると、


北条「提携してる事務所が合わなかったんだよ」


と毎回答えている。


「そうか?けっこーいいカンジのとこだと思うけどな」

「ばーッか。あそこの所長モーホだぜ?」

「マジ?北条ダイジョブだった?
手ェ出されてない?」


勝手な事を言い合う友人連中だったが、すでに北条の注意は別の所に向いていた。

秋葉原のビルのスクリーンに、彼の通うUTX高校の誇るスクールアイドルグループ、『A-RISE』のライブ映像が流れている。
友人の1人が北条に問い掛けた。


「なぁ、綺羅ツバサ先輩と付き合ってたってウワサ、マジ?」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:11:30.62 ID:/PQkikLFO

北条「誤解だっての。
------つーかそれより、後ろの電柱見ろ」

「は?」


急に神妙な顔つきになった北条を訝しむ彼らだったが、その人影を認めるとその訳を悟った。


「…ゲッ、サダコじゃん」

「まだあのストーカーに付きまとわれてんのかよ!」


白いワンピースを纏い、異常に長い髪で顔が覆い隠された女がそこにいた。
『サダコ』と例えられるのも頷ける。


北条「……振り切る。バイク貸してくれ」

「お、おう。明日返せよ?」

北条「すまん」


鍵を受け取り友人が押していたバイクに跨ると、ヘルメットをつけた北条はエンジンを掛けた。

走り出そうとしたその瞬間。


「「あ」」


猛スピードで駆け寄ってきたサダコが、北条の後ろに跨った。
あまりにも自然な、流れる様な動作に友人達も唖然とする。

北条は、それに気づかない。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:12:35.02 ID:/PQkikLFO

ーーーーー

「…ちょっと西君!聞いてる!?」


秋葉原。
電気屋の立ち並ぶ地区の路上で、高坂雪穂は目の前にいる少年、西へ叫んだ。


西「あ?なんだよ」


やはり彼女の話など何処吹く風だったようだ。


雪穂「西君も選ぶの手伝ってよ。
こういうのそっちの方が詳しいんだし」


2人は、2学期の始めに控えた学校祭の買い出しに来ていた。


西「知らねぇっての。学校祭とか興味ねーし。
勝手にやってろ」

雪穂「…いやちょっと西君っ!?」


そそくさと立ち去ろうとする西に、雪穂は前方に回り込んで対抗する。


雪穂「折角ここまで来たんだからさ?
ほんとお願いだって。私こういうの全っ然わからないから!」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:13:18.69 ID:/PQkikLFO

西「ならなンで買い出し係やってんだよ。
よりによって俺も巻き込んで。
つーかあのハラショー言ってる金髪はどうした」

雪穂「亜・里・沙!いい加減名前覚えてよ。
あの子は家の用事って言わなかったっけ?」

西「聞いてねー……ん?」


西が不意に話を止め、首筋に手を当てた。


雪穂「どしたの?」

西「……用事思い出した。帰る」

雪穂「えっ?ちょっと何それ!
急すぎだってば!」


回れ右する西を雪穂が引き止めようとする。

西は溜息を吐くと、雪穂にメモの切れ端を渡した。


西「必要っぽいのは書いといた。
あとは1人でやれ」


返事も待たずに西は歩き出す。

雪穂は渡されたメモと小さくなっていく彼の後ろ姿を見比べながら、誰にともなく呟いた。


雪穂「相変わらず…、素直じゃないなぁ……」

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:14:24.80 ID:/PQkikLFO

ーーーーー


「あったーらしーい、あーさがっきたっ」


音ノ木坂学院2年の少女、高坂穂乃果と園田海未がラジオ体操の歌を歌う少年の声を聴いたのは、帰宅途中に路地裏へ差し掛かったところだった。


穂乃果「…この声、路地裏から聴こえてるよね?」

海未「ええ。こんな薄暗い所で、一体誰が……」


不可解な歌声に2人が訝しみ、足を止めた時だった。


「やめッ…やめてくれッ!殺さッ、ないでッ!?」


やや高齢であろう男性の悲鳴が、路地裏から響く。
歌声は止まない。


穂乃果「…!海未ちゃん、これって…」

海未「誰かが襲われているんですか!?」


通報すべく携帯を取り出す海未。
一方穂乃果は、意を決したように深呼吸すると、路地裏へと歩を進めた。
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:15:01.15 ID:/PQkikLFO


海未「ちょっと……穂乃果っ!?」

穂乃果「海未ちゃんは警察呼んで!
…すぐ行かないと、きっと手遅れになっちゃう」


一人で行かせる訳にもいかず、海未もその後を追った。

同時に。


グシャッ…


気味の悪い、何かの潰れる音が微かに聴こえてきた。


穂乃果「…ッ!」


彼女の目の前に、ボロ切れのような洋服を纏い、白髪混じりの頭髪がボサボサと伸びた初老の男性が倒れこむ。

その頭蓋は陥没し、赤黒い何かがはみ出していた。

あまりの光景に絶句する穂乃果。
それは続いてやってきた海未も同じだった。


海未「この人……し、死んで…!」

穂乃果「あっ……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:15:41.20 ID:/PQkikLFO

同時に2人は気づく。

死体と化した男性の向こう側に、1人の少年が立っていた。
穂乃果と海未よりやや幼いだろう。
歌声の主は彼だったのだろうか?

その手には、真っ赤に汚れた金属バットが握られている。


「ちっ、違うんですよ!」


2人に気づいた途端、色素の薄い髪を振り乱しながら叫んだ。


「この人がっ、急にバットで襲ってきてっ!
それで僕怖くてっ…バット奪って抵抗したら、当たっちゃって」


声を聴いて2人は悟る。
先ほどの歌は、彼から発せられたのだ。


海未「……なら何故、歌っていたのですか?」


震える声で海未が答える。
その手にはしっかりと携帯が握られていた。


「う、歌ってなんか……いないですって!
だって僕は襲われてて、ほんと危なくて、怖くてっ!それで…」


彼の言葉は嘘に聞こえなかった。
初めて見る凄惨な光景に恐怖しながらも、穂乃果はなるべく、冷静に言葉を発する。
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:16:41.36 ID:/PQkikLFO

穂乃果「わかった。君の事は信じるよ。
でも正当防衛でも、警察に話すべきだと思う。だから私達も一緒に行くから警察に連絡…」


海未に通報を促そうと振り返る。
そして、警察の画面を操作する彼女の背後に、見知らぬ別の男性の姿を認めた。

彼は少年と同じような金属バットを、しっかりと保持していた。

そして。


穂乃果「…えっ?」


次の瞬間には、彼は金属バットを振りかぶり、海未の後頭部に振り下ろしていた。

穂乃果は、一体何が起こったのか判断する事ができなかった。

血を流してうつ伏せに倒れていく海未の姿がスローモーションのように見え、彼女の体が地面に衝突すると同時に、自分の頭に激しい衝撃が走る。


穂乃果「あ……」


ハメラレタ。

そう理解するのは、あまりにも遅過ぎた。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:17:17.53 ID:/PQkikLFO

ぼやけていく視界の端に、自分の事を笑って見下ろす少年の姿を捉えた。


「お芝居楽しかったよ。ありがとね、お姉さん」


少年はそう言うと、金属バットを上に振りかぶり、


「さよならーっ」


穂乃果の胸部、腹部に何度も打ちつけた。


「ははっ!はははっ、あはははは!」


穂乃果は叫ぶ事すら叶わず、打撃を加えられる度に口から血反吐を吐くだけだった。

薄れる意識の中で、彼女は少年の笑い声と自らの体が陵辱する鈍い打撃音を、ただ聴いていた。

留めとばかりに顔面にバットが振り下ろされ、彼女の意識は、生命は、完全に消失した。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:18:14.03 ID:/PQkikLFO

ーーーーー



同時刻。



ある所で、スクーターと通行者が衝突した。


ある所で、暴力団員とその部下が敵対する組織に襲われた。


ある所で、難病に冒された元政治家の容態が突然悪化した。


ある所で、居眠り運転のトラックに高校生とそのストーカーの乗ったバイクが追突された。



黒い球体は、その全てを見逃さない。



ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:19:23.48 ID:/PQkikLFO

ーーーーー


まず穂乃果の視界に飛び込んできたのは、フローリングの上に鎮座する漆黒の球体だった。


穂乃果「…痛く、ない…」


自分は確かに、あの少年に金属バットで殴られ、死んだ筈だった。
気絶で済むとも思えない。

何より不可解な事に、体には傷ひとつ、どころか僅かな血痕や汚れすら付いていなかった。

辺りを見回すと、球体を中心に金髪の青年、眼鏡をかけた男性、柄の悪い風貌をした2人の男性、白髪頭の病衣を着た老人、ジャケットを羽織った少年------そして舌を出して荒く息をする犬が居た。

そして彼女の隣には、たった今共に襲われた親友、海未の姿。


穂乃果「海未ちゃん…ここって…」

海未「まさか、天国って訳ではないでしょうね…」


シンプルなマンションの一室。そうとしか言いようのない場所だった。
困惑する2人に、眼鏡の男性が声を掛けてきた。


「君達も、死んだのかい?」

海未「死んだ、ですか?」


確かに、あの状況では間違いなく殺されていただろう。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:20:08.60 ID:/PQkikLFO

「ああ、まずは自己紹介をしないとね。
僕は山田雅史。スクーターに乗ってて事故っちゃって……気づいたらここに居た」


彼も、穂乃果、海未と似たような目に遭ったらしい。


山田「君達もここに来る前何があったか、教えてくれるかな」

穂乃果「えっと、ホームレスみたいな人が殺されてて、その現場を見たら犯人に…」

山田「なるほど、やっぱり2人も死んでしまったか、重症か…」

海未「ここは病院…なんかではありませんよね?」


金髪の青年も会話に加わってきた。


「天国じゃねーの?マンションっぽいけどさ。俺、全然死んだもん。
コンビニの帰りになんかに轢かれちまったみたいでさ」

山田「いや、まだ死んだとは限らないじゃないですか」


そう主張する山田だったが、そこで病衣姿の老人が青年の意見に賛同した。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:21:06.93 ID:/PQkikLFO

「いや、少なくとも私は間違いなく死んだよ」

海未「どういう事ですか?」

「私は難病に冒されていてね…。さっき急に容態が悪化したと思ったら、ポックリ逝ってしまった。
でも今はこの通りピンピンしている。死んだから病気なんか関係ないって事さ」


確かにその通りだった。

穂乃果と海未は互いの体に視線を向ける。
明らかにバットで殴られていた箇所にも、痕跡は残っていなかった。


海未「私達が……」

穂乃果「死んだ…?」


受け入れ難い事だった。

つい先程までμ'sの仲間と練習をし、他愛もない話をしながら家路についていたというのに。


穂乃果「と、とりあえずここから出よう!」


そう言って窓の外に目を向ける穂乃果。
ビル群の中心に屹立する赤い塔、東京タワーを認め、ここが東京だと理解する。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:21:48.69 ID:/PQkikLFO

穂乃果「ちょっと玄関見てきます!」


穂乃果に続き、海未も玄関に向かおうとする。
その様子を、山田達は苦笑しながら見ていた。



玄関に着いた穂乃果は、ドアノブに手を掛け回そうとする。

しかし接触しようとした瞬間、彼女の手は見えない何かに遮られたように滑り、宙を掻く。


穂乃果「え?嘘……」

海未「変わってください」


続けて海未も試すが、同じだった。

部屋の方に戻ると、山田が説明する。


山田「僕達も出ようとしたに決まってるじゃないか。どういう訳だか、玄関のドアも窓も、触れないんだ」

「ほんとワケわかんねーよ」


金髪の青年が吐き捨てるように続けた。

ちょうどその瞬間、一瞬球体が発光したかと思うと、二筋の光線が部屋に伸びた。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:22:35.89 ID:/PQkikLFO

海未「えっ…?一体なにが…」

山田「まだ出てくるのか…」


それらの光線が下方にスライドする。
すると、片方からはヘルメットを被った頭が、もう片方からは長い黒髪の女性の顔が出現する。


穂乃果「ひ、人!?」


あっという間に、少年と女性の全身が部屋に形作られた。


山田「君達もこうやって出てきたんだ」


山田が説明する。

少年は周囲を見渡し女性の姿を認めると、「うおッ!?」叫び声を上げて仰け反った。


穂乃果「こんな技術、日本にありませんよね?」

山田「うん。というかどの国でも作れっこないよ、こんなの」

「な、なぁ。ここ何処なんだ?」


ヘルメットを外し、おずおずと少年が口を開く。

誰も満足な解答など持ってはいなかった。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/26(水) 00:23:01.97 ID:4Vz4He5io
大仏の星人と戦ってたとこでエタったやつなら知ってる
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:23:33.37 ID:/PQkikLFO

海未「わかりません…。私達も気づいたら此処にいたんです」

「俺もバイク乗ってて追突されたと思ったら------つーかサダコ!
なんでお前が後ろに乗ってたんだよ!?」


いつの間にか廊下に出て頭だけこちらに出していた女性に少年が怒鳴る。
2人の関係は気になるところだが、とにかく彼らも『死んだ』か、それに近い目に遭ったのは間違いないようだ。


穂乃果「えっと、君も高校生だよね?
とりあえず自己紹介しない?」


ここで黙っていても埒があかないので、穂乃果はそう提案する。


海未「そうですね…では私から。
私は園田海未、秋葉原にある音ノ木坂学院高校の2年生です」

穂乃果「私は高坂穂乃果!海未ちゃんとはクラスメイトなんだ」


少年は若干驚いたような顔をした。


「秋葉原?近いな。俺は北条政信、
UTX高校の2年だ」

穂乃果「えっ、嘘!A-RISEの高校!?」


よく見れば彼の着ている服は白を基調としたブレザー。
A-RISEで見慣れたUTX高校の女子用制服を、そのまま男子用にすればこんな感じだろう。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:24:20.47 ID:/PQkikLFO

穂乃果「北条君、ひょっとしてA-RISEと知り合いだったりするの?」

北条「一応芸能科いた時に関わった事はあるけど、そんな親しくはないぞ?」

海未「北条政信……、前にことりが言っていたような…」


彼女曰く、雑誌か何かでモデルをしている人物の筈だった。
UTX高校の生徒とは知らなかったが。

ともかく、秋葉原民という接点を持った者を見つけ安心感を得る3人。


その時唐突に、球体から一瞬雑音が漏れた。


「なんだ、何か始まんのか?」


金髪の青年が球体を覗き込む。

球体から、耳慣れた前奏が流れてきた。


海未「これは…」

北条「ラジオ体操の歌、か?」


音質は悪かったが、それは紛れもなく小さい頃の夏休みなどで嫌という程耳にする、あの歌だった。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:24:58.50 ID:/PQkikLFO



『あ〜た〜らし〜い、あ〜さがきたっ。
き〜ぼ〜うの、あ〜さ〜だ』



薄気味悪いモノだった。


特に、先程この歌を歌っていた少年と仲間の男に襲撃された穂乃果と海未にとっては。


「ンだよこれはよぉ?」


柄の悪い男の若い方が訝しむ。

音楽が止むと、続けて球体の表面に文章が浮かび上がった。


『てめぇ達の命はなくなりました。

新しい命をどう使おうと、私の勝手です。という理屈な訳だす。』


北条「はぁ?どういう事だよ」

山田「やっぱり僕達は死んだのかなぁ」


誰ひとりとして、状況を掴めない。
当然だろう。

ジャケットの少年だけが、何の反応もせずにじっとしていた。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:25:33.72 ID:/PQkikLFO

表示された文章が消え、今度は画質の荒いイラストが浮かび、その後に新しい文章が続いた。


『てめぇ達はこれから、この方をヤッつけに行ってくだちい。

ねぎ星人

とくちょう
・くちい・つよい

好きなもの
・ねぎ

口ぐせ
・ねぎだけで充分ですよ』


『ねぎ星人』は、奇妙に歪んだ頭蓋と緑色の皮膚を持つ生物だった。
なるほど、ねぎらしくはあるかもしれない。


「はあ?狩りでもしろってのかよ」


金髪の青年が呆れたように言った。


「ふざけやがって------よォッ!!」


柄の悪い若い男が球体を蹴飛ばすが、ビクともしない。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:26:17.04 ID:/PQkikLFO

「やめておけ、畑中」


彼の上司らしい男が諌める。


畑中「…腹立つじゃねーですかよ吉岡サン」


畑中と呼ばれた男は反論する。

それに吉岡がさらに何か言おうとした時だった。


ガシャンッ!!


球体の両側面と背後が勢い良く飛び出した。


北条「うおッ?なんだコレ」

山田「何か仕舞われてますね…銃?」


球体に近づく山田。
彼は球体の内部を覗き込む。


山田「うわッ!?なんだこれ!
ちょっと見てください!」


そして素っ頓狂な声を上げた。

穂乃果達3人は言われた通りに球体の中を見る。
そこには、真っ白い肌をした全裸の人間が呼吸器に繋がれ、体を丸めて収まっていた。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:26:58.85 ID:/PQkikLFO

穂乃果「な……なにこれ…?」

海未「---人、ですか…?」


その人物には体毛が一切なく、目も完全に閉じられていた。
正気は感じられないが、呼吸器によって規則正しく息をしている。


北条「気味悪いな…。なんなんだこれ」


両側面から伸びているラックには、玩具のようなデザインをした漆黒の銃と、刀の柄のような棒がいくつも格納されていた。
銃は銃身の長い物と拳銃サイズの物、2種類ある。

背後の方にはシルバーのアタッシュケースがギッシリ詰められている。

金髪の青年が、『稲森』と刻印されたケースを手に取った。


「稲森……俺の名前、いつ彫ったんだ?」


首を傾げながら、彼はケースを開け、中身を取り出す。

それを一言で表すならば、ラバー製の全身タイツだった。ところどころに金属製のパーツが取り付けられている。


稲森「コスプレか?コレ。訳わかんねーな」


彼はケースを放り出すと、短い方の銃を手に取った。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:27:47.02 ID:/PQkikLFO

稲森「銃口が無い…タダの玩具っぽいな」

山田「でもそれにしては重いですね」


山田は長い銃を手に取る。
吉岡、畑中も続いた。

これもまた奇妙な物だった。
トリガーは上下に並んで2つあり、本来なら撃鉄のある箇所には小さな液晶が付いている。
その液晶は、銃口の前方を映し出していた。


穂乃果「なんだろこの棒?」

海未「スイッチが付いてますね」


海未はその棒を持つと、発見したスイッチを押してみる。

すると一瞬で、日本刀のような刀身が円柱形の先端から出現した。


海未「重っ…?」


同時に重量が上昇する。
海未はそれを床に置いた。


北条「この刃、本物じゃないか?
随分と物騒だな…」


刃を出現させる摩訶不思議な技術には驚かされるが、明らかに殺傷力のある道具が平然と支給されている事の方が問題だった。

恐らく銃の方にも何かがあると見ていいだろう。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:28:36.70 ID:/PQkikLFO

稲森「なあ、ちょっと撃ってみないか?」


稲森はそう言うと、空になった炭酸飲料のペットボトルを床に置いた。


稲森「トリガーどっちも引けばいいのかな」


彼は銃をペットボトルに向け、上下のトリガーを同時に引いた。


ギョーン…


間の抜けたサウンドが響く。
それだけだった。


山田「え、これだけ?」

稲森「いや、でも反動あったし」


ただの玩具だったのか、と全員の興味が冷め出した瞬間だった。


ババンッ!


撃たれたペットボトルが、粉々になって破裂した。


北条「本物…」

穂乃果「何、これ…?」


もし人に撃っていたら、取り返しのつかない事になっていた。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:29:27.00 ID:/PQkikLFO

海未「ひょっとして、このケースに入っていた服にも何か…」


『うみちゃん』と刻印されたケースを見つけると、中身を取り出す。
中身は稲森のケースと同じだった。


穂乃果「北条くんっ!?」


海未がその服を取り出そうとした時、不意に穂乃果が叫ぶ。

北条に顔を向けると、彼の頭部が先程この部屋に送られてきた時と反対に、消失していくところだった。


山田「うっ、うわッ!?僕の腕がぁ!」


山田にも同じような事が起こっていた。

そして病衣の老人、吉岡と畑中も同様に消えていく。
廊下にいた女性も、犬もだ。


穂乃果「う、海未ちゃん…」


穂乃果も足から消えていく。


海未「何処かに送られるのですか…?」


困惑する海未の前を、ずっと口を開かなかったジャケットの少年が横切り、球体のラックから銃を取り出した。

海未は気付く。
彼のジャケットの襟から、ケースに入っていた服が覗いている事に。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:30:29.82 ID:/PQkikLFO

海未「やはり、何か……」


海未とその少年の体も、足から消え出した。

彼女はケースと、ついでに床に置いた刀を手に取った。


それを見ていた少年が、口の端を歪めて呟く。


「あんた、生き残れるかもね」

海未「生き残る……?一体それはどういう---」


最後まで質問する事は出来なかった。

口が消えてしまったのだ。
続いて視界が反転する。


海未「此処は……?」


まず目に入ったのは、コンクリートの塀だった。


海未「ッ…、穂乃果っ!?」


そこら中を見渡すが、部屋にいた者は誰もいない。


ただのありきたりな、住宅街が広がっているだけだった。

ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/26(水) 00:31:30.64 ID:/PQkikLFO
終了します。
漫画版でUTXが共学という台詞があったので、その設定を採用しました
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/04/26(水) 01:14:59.60 ID:v8mxgVqWO
真姫「さっきのハンバーグの肉汁を無駄なく利用するためね」

曜「フライパンにトマト缶、水、コンソメを加え、煮立てる」

真姫「このために深めのフライパンを使うのね」

曜「煮立ったらハンバーグ、エリンギを加え、再び煮立たせる」

曜「煮立ったら弱火だよ」

曜「このとき砂糖、ソースを加え、塩、ブラックペッパーで味を調えておこう」

曜「アクを取りながら弱火で約20分煮込む」
http://imgur.com/6IvFaq1

真姫「20分…。暇ね」

曜「煮込み時間は長くすると濃厚になるけど、煮込みすぎるとハンバーグがカチカチになるから様子を見ながら気を付けてね」
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