山城「シティーハンター?」 五月雨「誰ですか?その人?」

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55 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/04/30(日) 02:27:04.30 ID:ToxAAAtS0
提督「憲兵隊ですね。その件はありがとうございました」

リョウ「いいってこと」

提督「…憲兵隊の捜査と聴取は一昨日に受けたばかりでしたので…まさか今日も来るとは、さすが大本営直轄の憲兵だけあって仕事熱心だことで」

リョウ「…ただの仕事真面目な奴だったらいいんだけどな」

提督「…どういうことです?」

56 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/04/30(日) 02:37:03.25 ID:ToxAAAtS0
提督「まさか、青柳中尉が?…確かにあの人はいけ好かない感じの人ですが……いやっ、でも大本営直轄の憲兵隊ならどの鎮守府にもフリーパスで出入りは出来る…ですが、憲兵じゃ艤装に細工はさすがに…」

リョウ「…憲兵だけなら無理だろうね。だけど、捜査を理由にすれば技術者を連れ込むぐらい簡単だと思うがね」

提督「…まさか、秩序をいじる憲兵隊が」

リョウ「…取り締まる側だからって安易に信用はしない方がいいと思うがね。特にああいう組織は偉い奴ほど腐ってるもんだぜ」

「…その通りね」

提督「誰だ!?」
57 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/04/30(日) 02:42:50.36 ID:ToxAAAtS0
憲兵「…こんにちは、提督さん」

提督「…なっ、憲兵!?」

五月雨「…あっ…」

憲兵「…ふふっ、なかなか面白いお話をされていたようだけれど?」

提督「くそっ、聞かれていた…」

五月雨「…提督さん…」

山城「…聞かれていただんて…やっぱり不幸だわ…」


58 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/04/30(日) 02:47:21.20 ID:ToxAAAtS0
提督「…くそっ、こうなったらかくなる上は…」

リョウ「ま、待て…」

提督「…冴羽さん?」

リョウ「…その声まさか…」

冴子(憲兵)「…久しぶりね、リョウ」

リョウ「さ、冴子?!」
59 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/04/30(日) 02:48:36.34 ID:ToxAAAtS0
その頃 大本営

「…そうか、発見できなかったか」

青柳「申し訳ありません」

「まぁ、簡単に見つけられるとは思ってはいないがね。あそこに逃げ込んだのはわかっているんだ。焦らず追い詰めれば良い」

青柳「はい」

「…しかし、シティーハンターを雇ったというのは本当かね?」

青柳「直接見たわけではないですが、一緒にいる女が提督の隣におりましたので、おそらくは…」

「シティーハンターか…厄介なやつだな」
60 : ◆62IWBozqOg [sage]:2017/04/30(日) 02:54:32.95 ID:ZhJUzqnPO
今回はここまで
61 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/01(月) 00:30:26.42 ID:tB0mCGBQ0
リョウ「冴子、なんでこんな所に?」

冴子「ふふっ、どうしてかしらね?」

リョウ「…まーた、何か企んでやがるな…」

冴子「…企んでるだなんて、人聞きが悪いわね」

リョウ「そうやって、また俺を利用する魂胆だろう」

冴子「利用するだんて、いつもちゃんと…へっ?」

リョウ「今度こそ、報酬は先にもらうからな、冴子」

冴子「ちょ、ちょっと…」

ドッカーン!
62 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/01(月) 00:54:57.75 ID:tB0mCGBQ0
香「何をやっとんじゃー」

リョウ「アハハハ…」

冴子「残念だったわね、リョウ」

香「冴子?!なんで、こんな所にいるのよ!?それに、何その恰好?」

冴子「…似合ってるかしら?」
63 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/01(月) 01:36:56.54 ID:tB0mCGBQ0
提督「あのー、これは一体…」

香「あら、ごめんなさい。彼女は野上冴子、警視庁の刑事よ」

冴子「始めまして、提督さん。警視庁特捜部の野上冴子です」

提督「は、はいっ。よろしくお願いします。しかし、なんでまた、刑事さんが憲兵の恰好など…」

冴子「…詳しくは、話せないけれど。ある事件についての捜査の為に潜入させてもらっているの」

リョウ「…艦娘の失踪の件と関係してるんじゃないか?」
64 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/01(月) 02:21:43.18 ID:tB0mCGBQ0
冴子「失踪事件の方は私も詳しくはまだわからないけれど、恐らく関係は深いと思うわ。実は、最近、密売組織が存在するっていう情報を入手したの」

香「密売組織なんて、今まで五万といたのに今更珍しいことでも」

冴子「今までならそうだったかもしれないわね。だけど、今は状況が違う」

提督「今は深海棲艦のせいで海洋ルートも空も寸断されているほぼ状況です。艦娘たちの活躍もあって限定的には航路は確保されてはいますが、通れるのは生活に必要な物資の輸送時のみ。それも海軍の監視下で、厳重に積み荷をチェックされた上で、港まで軍が厳重に護衛しています。とてもじゃないが非合法な品なんて持ち込みは不可能です。仮に海軍の目を盗んで船を出そうにも軍の護衛なしで海に出るなんて自殺行為もいいところです」

冴子「えぇ。だから、私たちも最初はガセ情報だと思っていたのだけれど…」

リョウ「…軍が裏で手を引いていたって訳か」
65 : ◆qpBl.gJsqo :2017/05/02(火) 00:58:29.47 ID:V80XnPnC0
冴子「…まだ、確証は無いのだけれど、恐らくね」

提督「そんなバカな。この状況をいいことに、悪事の片棒を担ぐなんて。そんなの憲兵隊が許しすはずが…はっ、まさか青柳中尉も」

リョウ「戦争で金儲けしようって奴はどの時代にもいるもんだ」

香「海を守れるのは海軍しか居ないからって汚いわね」

提督「…しかし、いくら直轄の憲兵とはいえ、青柳中尉の権限だけでそんな事は出来るはずがない…おそらく、もっと上が居るはずです」

冴子「えぇ。こちらも黒幕の連中を洗ってはいるのだけれど、上手くいっていないわ。かなりの上役が絡んでいると思うわ」
66 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:16:43.53 ID:V80XnPnC0
提督「くそっ、この事件についてなんとなく分かってはきたが、憲兵隊が関わってるとなると、下手な行動をするとこっちが逮捕され兼ねない…厄介だな」

リョウ「…そのためにお宅は俺を雇ったんだろ?」

提督「冴羽さん…ありがとうございます」

冴子「こっちの事は任せたわよ、リョウ」

提督「…この状況を打開するには、連中の証拠をつかむしかない。あいつの託してくれたこいつがきっと道を開いてくれるはずだ」

五月雨「提督さんの為にも、私もお手伝いします!」

提督「五月雨…よろしく頼むぞ」

五月雨「はいっ!」
67 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:28:05.80 ID:V80XnPnC0
翌朝

♪〜♫〜(起床ラッパ)

リョウ「ふあぁ〜。軍隊の朝ってのは早いね〜」

ガヤガヤ

リョウ「…しっかし、朝からこうもっこり美女ばかりだと色々と体に悪いぜ…」 (もっこり)

香「何が悪いですって?」

リョウ「…おう、香おはよう。今日もいい天…ドッカーン(10t)」

香「朝から何をやっとんじゃー!?」

リョウ「……」ピクピク

「……那珂ちゃんでーす!」

リョウ「ん?」

中庭

那珂「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」

リョウ「……」
68 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:31:15.65 ID:V80XnPnC0
リョウ「朝から元気だな」

那珂「あっ、おっはよー!えっと、あれ?」

リョウ「提督の補佐してる冴羽リョウだ」

香「同じく、槇村香よ」

那珂「そうななんだ。艦隊のアイドル那珂ちゃんだよ、よろしくね〜」

リョウ「あぁ。よろしく。しかし、こんな朝っぱらからなにしてるんだ?」

那珂「那珂ちゃんのライブの練習だよ」

香「ライブ?さすがアイドルっていうだけあるわね」
69 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:41:03.47 ID:V80XnPnC0
リョウ「…アイドルって言っても、さっきから周りの奴らはあんまり騒いでないみたいだが?」

那珂「……」

香「ちょっと、リョウ」

那珂「…今はまだだけど、いつかきっとみんなが振り向いてくれるアイドルになるんだから…だから、今はまだ…」

リョウ「…そうやって諦めないで夢を追い続けるならきっといいアイドルになれるさ」

那珂「えっ?」

リョウ「俺も仕事柄アイドル達と関わった事があるが、誰だって最初から表舞台に立てた訳じゃない。努力をして、いろんな苦しみを乗り越えて表舞台に立つことができた娘ばかりだったぜ」

那珂「……」

リョウ「それに、アイドルとして表舞台に立つことができても、ずっと立ち続ける為にはさらにいろんな事と戦わなきゃいけない。今の君みたいにね」
70 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:45:50.30 ID:V80XnPnC0
那珂「私みたいに?」

リョウ「あぁ、艦娘として深海棲艦と命を掛けて戦いながら、周りに振り向いてもらえなくても、諦めないでアイドルという自分の夢を目指ざしてこうやって頑張ってる、君のようにね」

那珂「……」

リョウ「あの世界で生き残るのは深海棲艦と戦うより大変かもしれない。だけど、きっと君ならできるさ。今の強い気持ちを忘れず頑張る限りね」

那珂「…あ、ありがとう///」

リョウ「頑張れよ、那珂ちゃん。応援してるぜ」

那珂「///」
71 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:46:51.49 ID:V80XnPnC0
那珂「よーし、那珂ちゃんもっと頑張るから、リョウちゃん見ててねー!」

リョウ「おう」

香「朝から、お熱い事で」

リョウ「おい待てよ。俺はアイドルとか興味ねぇよ。むしろ、好かれるのは懲り懲りだぜ」

香「そう言いえば、そんな事もあったわね」
72 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:55:07.91 ID:V80XnPnC0
五月雨「あっ、いた。冴羽さーん」

リョウ「おはよう、どうしたんだ?」

「……」(チャキッ)

五月雨「提督さんが、探していました、執務室に来てほしい…キャッ」(コケっ)

香「だ、大丈…」

リョウ「…那珂、伏せろー!」

那珂「えっ」

ダーン

那珂「きゃあっ」
73 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:56:44.62 ID:V80XnPnC0
リョウ「…そこか」

ガァァン

「くっ…」

リョウ「逃げたか」

五月雨「きゃぁぁぁ」

香「那珂ちゃん、しっかり!」

リョウ「…気絶してるだけみたいだが…香、工廠へ連れて行ってやれ」

香「わかったわ」
74 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 01:58:07.20 ID:V80XnPnC0
工廠

提督「はぁ、はぁ…那珂が襲われたってのは、本当か!?」

香「落ち着いて、提督さん。那珂ちゃんは無事よ」

明石「気を失ってるだけです。外傷とかはありません」

提督「…そうか、よかった」

五月雨「…ごめんなさい、提督さん、私のせいで…那珂さんが…」
75 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 02:01:47.04 ID:V80XnPnC0
提督「…五月雨」

五月雨「…私が、不用意に外に出なければこんな事に…グズッ」

那珂「……泣かないで」

五月雨「那珂さん!?」

提督「那珂、気が付いたか…大丈夫か?」
76 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 02:15:49.94 ID:V80XnPnC0
五月雨「…那珂さん、ごめんなさい」

那珂「…五月雨ちゃんは何にも悪くないよ。だから泣かないで」

五月雨「…だけど、私が外に出たせいで、那珂さんにけがさせちゃって…」

那珂「大丈夫、那珂ちゃんはこの通り元気だから。アイドルはね、こんな事ぐらいじゃへこたれないんだから。だから、泣かないでね」

五月雨「…那珂さん」
77 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 02:29:56.60 ID:V80XnPnC0
リョウ「…気が付いたかい?」

那珂「あっ、リョウちゃん。うん、那珂ちゃんはこの通り元気だよ」

リョウ「…無事でよかったよ」

那珂「ありがとう///」

提督「…何かわかりましたか?」

リョウ「…現場にこいつが落ちてたんだが。艦娘に対して銃器類は効くのか?」
78 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 02:53:44.26 ID:V80XnPnC0
提督「彼女たちは見た目は普通の人間のようですが、軍艦の魂を持った兵器…人の形をした軍艦のようなものですからね。例え銃機関銃を使ったとしても、効果は期待できないでしょう」

リョウ「銃でどうにかしようってのは不可能って訳だ。それじゃあ、こいつに心当たりは?現場に落ちていたんだ」

提督「薬莢ですか?ふむ……これは、麻酔弾のような特殊な弾に使う薬莢ですね。自分も実物は初めて見ました」

リョウ「麻酔なんかは効くもんか?」

明石「…艦娘用の薬品なら効果はありますけど、ライフル用の麻酔の1発ぐらいじゃ、効果はほとんどないと思います」
79 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 03:07:50.61 ID:V80XnPnC0
明石「…もし、寝かしつけてどうにかしようっていうなら、映画とかでよくあるような飲みものに混ぜるとかする方がよっぽど成功すると思いますよ」

提督「妙だな。内部の人間ならこんな量なら艦娘には効果が無いなんてわかりきってるはずから、一発撃てばばれる可能性がある上、何発か命中させなきゃいけない狙撃なんて方法を取るとは思えませんし…警告にしても、少し不自然」

明石「一発で仕留めるなら相当強い奴でないといけませんけど、そんな強力な薬なんてありませんよ」

提督「…艦娘を一発でノックアウト出来る薬なんてあったら、人にとっては悪魔みたいな薬だな」

リョウ(悪魔みたいな薬か……まさか)
80 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/02(火) 03:08:18.31 ID:V80XnPnC0
今回はここまで
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 08:29:52.25 ID:h0kbqLOLO
冴子も出てきたし海坊主も出てくるのかな?期待
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 10:56:33.46 ID:mrru94AEo
シティハンターの艦これ出張版なのね、コレ。


艦これへのシティハンター出演じゃないと気付くまで時間かかったわ(自嘲)
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/02(火) 11:48:11.42 ID:v9MIQLwh0
>リョウ(悪魔みたいな薬か……まさか)

ここにかぶるようにゲットワイルド流れるんだよな?
84 : ◆62IWBozqOg :2017/05/03(水) 00:28:45.65 ID:VlGQ9Oq70
大本営

青柳「失敗しただと?」

憲兵「申し訳ありません」

青柳「せっかくのチャンスだったいうのに…。五月雨を捕える事さえできれば…かくまっていたという事で介入する口実を得ることができたというのに」

憲兵「…ですが、かくまっているのがわかったのですから、今から逮捕に」

青柳「馬鹿者。どうやってかくまっていたという事を証明するのだ!…憲兵隊全部が我々の手中にあるわけではないのだぞ。強引な逮捕は、こちらの首を絞めかねんのだ」

憲兵「すいません」

青柳「…長官にお伺いをたてるか」
85 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 00:38:57.01 ID:VlGQ9Oq70
PRRR

「…青柳か?…どうだったのだ?…何っ、失敗しただと?」

青柳「…申し訳ありません。いらぬ邪魔が入りまして」

「…例の、シティーハンターか?えぇい、面倒な奴だ…だが、例の五月雨の居場所はこれではっきりしたのだな?」

青柳「はいっ。ですが、現状こちらは下手に動く事が…」

「まぁ、待て。まだ、手はある…そうだな、例の摩耶を使うか。テストするにはちょうどいいかもしれんしな。1時間後に落ち合おう」

青柳「…了解しました。長官」
86 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 00:44:18.54 ID:VlGQ9Oq70
大本営 憲兵隊本部 地下

ガチャっ

憲兵「…よしっ、出てこい」

摩耶「……」

「どうだ?」

憲兵「あっ、辻田副参謀長!ご苦労様です」

辻田「ばか者、ワシの名を気安く呼ぶな!」

憲兵「申し訳ありません」

辻田「それで、摩耶のほうはどうだ?」

青柳「はっ、丁度よい頃合かと」
87 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 00:54:06.67 ID:VlGQ9Oq70
辻田「ほう、だいぶ薬の効果が出てきたような」

青柳「えぇ。次でおそらく、完全に手中に収められるでしょう」

辻田「…ふむ。重巡クラスではやはり、この程度は必要か…戦艦程ではないとはいえ、このままではストックが追いつかんな」

憲兵「ほら、しっかり歩け!」

友提督「畜生、離せ!」

辻田「…おやおや相変わらず威勢がいいな。どうかな?そろそろ、口を割る気にはなったか?」
88 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:03:28.95 ID:VlGQ9Oq70
友提督「黙れ!この海軍の面汚しめ!」

憲兵「えぇい、おとなしくしろ!」

友提督「ごはっ…」

辻田「…優しくしているうちにしゃべった方が君のためだと思うがね?」

友提督「…ペッ、口を割らせたかったら、拷問でもなんでもしてみろ。だがな、俺は死んでも口は割らんぞ。俺が死んでもきっとお前らの悪事は明るみの元にさらされるだろう」

辻田「…残念だなぁ。素直に口を割ればこんな手段を取らなくてもよかったものを。おい」

青柳「はっ、よーし、こっちへ来い」

友提督「ま、摩耶…。おい、お前ら何をする気だ!?」

辻田「喋りたくないのであれば構わんよ。彼女に直接聞いてきてもらうまでだ」
89 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:06:48.54 ID:VlGQ9Oq70
友提督「おい、やめろ!摩耶には手を出すな!」

青柳「よーし、大人しくしてろ」(手の先で輝く注射針)

友提督「な、何をする気だ!?ヤメロー!」

チクッ

青柳「…重巡洋艦摩耶、君は今から私たちの忠実なる部下だ。私たちの命令は絶対だ、いいな摩耶…。この提督と駆逐艦五月雨を消してくるのだ」

摩耶「…わかりました」
90 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:08:46.75 ID:VlGQ9Oq70
鎮守府

カタカタ

提督「……」

香「提督さん、頼まれた資料ってこれでいいのよね?」

提督「はい、ありがとうございます」

山城「…大淀から資料が届いたわ」

提督「よし、そこに置いておいてくれ」

リョウ「どうだい?少しはわかってきたか?」
91 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:11:09.69 ID:VlGQ9Oq70
提督「…すいません。こんな時間まで皆さんを手伝わせてしまって」

香「いいのよ。これも仕事のうちだから」

五月雨「……」(ウトウト)

提督「…五月雨、大丈夫かい?」

五月雨「はっ、五月雨は大丈夫です。寝てなんか…きゃっ」

ドサァ(崩れる書類の山)

五月雨「…あぁ。すいません」
92 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:14:32.57 ID:VlGQ9Oq70
提督「大丈夫だ。五月雨、今日はもう休んでもいいぞ?」

五月雨「いえっ、皆さんが頑張っているのに、私だけ…」

リョウ「今日は、朝からあんな事があったんだ、心身共に結構な負担になっているはずだ。休んだ方がいい」

香「そうよ。それに、夜更かしは体に毒よ?」

提督「私たちは大丈夫だから、ゆっくり休め。君が無理をして倒れたりしたら、あいつに合わす顔がない」

五月雨「…皆さん」
93 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:17:38.00 ID:VlGQ9Oq70
提督「だから、今日はもう休もう。な?」

五月雨「…はいっ」

提督「香さん、まだ連中が来るとも限らない。申し訳ないが、駆逐艦寮まで送ってくれませんか?」

香「えぇ。分かったわ」

廊下

五月雨「…すいません。お仕事の最中なのに」

香「…いいのよ。この位…」

ガタっ
94 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:21:43.13 ID:VlGQ9Oq70
五月雨「…きゃっ、だ、誰!?」

香「そこに誰か居るの!?出てきなさい!」(チャキッ)

「…そ、その声…五月雨か?」

香「…艦娘?」

五月雨「…ま、摩耶さん!?」

香「…摩耶って、あのさらわれたっていう?」

五月雨「ま、摩耶さん!無事だったんですね!?」
95 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:28:06.73 ID:VlGQ9Oq70
摩耶「あぁ…。奴らにとっ捕まってたんだが、隙を見て…何とか逃げて来たんだ」

香「…ひどい傷じゃない。早く手当しないと。えっと、こういう場合は…」

五月雨「入渠させないと、ドックはあっちです」

摩耶「…私の事はいいんだ。それよか、提督が危ない」

五月雨「えぇー!?提督さんが?」

香「ちょっと、どういう事?!」

摩耶「このままじゃ、危ねぇんだ…早く助けにいかねぇと…頼む、ここの提督の所へ連れってくれ…連中の居場所を、今ならまだ間に合うかもしんねぇ」

五月雨「はい、こっちです」

香「大丈夫?ほら、つかまって」

摩耶「すまねぇ……」(ニヤリ)
96 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:30:29.99 ID:VlGQ9Oq70
執務室

五月雨「提督さん!」

提督「うおっ、びっくりした。五月雨!?寝たんじゃなったのか?」

五月雨「ま、摩耶さんが、摩耶さんが!」

香「ほら、もうすぐよ、しっかり」

摩耶「…はぁ、はぁ。久しぶりだなぁ、提督さん」

提督「摩耶!」
97 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:35:03.45 ID:VlGQ9Oq70
提督「無事だったんだな!?」

摩耶「…とっ捕まてたんだが、何とか逃げてきたんだ。それより提督が…」

提督「あいつが!?あいつがどうしたんだ?」

摩耶「提督があぶねぇんだ…早く助けて…」

提督「ま、摩耶!?」

五月雨「摩耶さん!」
98 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:37:59.25 ID:VlGQ9Oq70
香「大丈夫、しっかりして!」

提督「おい、摩耶!しっかりしろ!」(体をゆする)

摩耶「……」(ニヤッ)

リョウ「!そいつから離れろ!」

提督「えっ!?」

ガチャっ(艤装展開)

摩耶「…死ねぇ!」

ドォーン!
99 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:40:45.80 ID:VlGQ9Oq70
リョウ「ごほっ。香、提督、無事か!?」

香「…えぇ」

提督「ま、摩耶!?一体どうしたんだ!?ぐはっ」

山城「提督!?」

摩耶「……」

五月雨「…そ、そんな…摩耶さん。どうして…」

摩耶「……沈め」

リョウ「…っ」
100 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:42:37.03 ID:VlGQ9Oq70
ドカァン!

香「五月雨ちゃん!」

五月雨「ごほっ、ごほっ…」

リョウ「…けがはないか?」

五月雨「冴羽さん…」

摩耶「ちっ、邪魔しやがって。まとめて沈みやがれ!」

香「リョウ!」

リョウ「……」

ガァン!
101 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:45:30.08 ID:VlGQ9Oq70
ドカァァァン

摩耶「うわぁぁぁ」

ドサッ

五月雨「摩耶さん!」

摩耶「……」

リョウ「…たぶん、爆発のショックで気絶してるだけだよ」

香「…急に背中の武装が爆発するだんて…リョウ?」

リョウ「あぁ、砲身に撃ち込んで中の弾を誘爆させたのさ。こうでもしないと止められそうになかったんでね」 (手にパイソン)

五月雨「…摩耶さん、そんな…なんで…」
102 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:52:57.43 ID:VlGQ9Oq70
提督「…‥ごほっ」

山城「…提督、大丈夫ですか?」

提督「…あぁ、なんとかな…はっ、摩耶は!?」

摩耶「……」

リョウ「……」

香「さっきから、腕をじっと眺めて何してるの?…まさか、変な事考えてないでしょうね?」

リョウ「…提督さんよ。艦娘を縛れるぐらい強い鎖をすぐに持って来てくれ」

提督「…えっ?鎖ですか!?」

香「鎖って、彼女は怪我してるの。まさか、動けないのをいいこのに、この変態…」

リョウ「時間が無い!死にたくなきゃ急ぐんだ」
103 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 01:55:45.47 ID:VlGQ9Oq70
明石「…失礼します。提督、ご要望の品をお持ちしましたが…」

提督「…すまない」

リョウ「来たか。彼女を縛ってくれ」

明石「ま、摩耶さんをですか!?そんな事できませんよ!第一、なんですかこの傷は。すぐに入渠させないと…」

リョウ「…入渠は後だ。ともかく今は、言われたとおりにしろ。このままじゃ彼女も危険なんだ」

提督「…明石、言われたとおりに頼む」
104 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:12:32.05 ID:/+JVl7T70
明石「…終わりました」

リョウ「…提督、トラックを1台貸してくれないか?彼女を運びたいんだ」

明石「何を言ってるんですか!?傷ついてる艦娘を拘束した上に入渠もさせずにつれだすだなんて!」

提督「……摩耶が錯乱した原因と関係があるんですね」

リョウ「あぁ…確証はないがね。俺のカンだが、海軍の連中は悪魔を呼び起こしたかもしれんな」

提督「えっ?」
105 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:15:19.05 ID:/+JVl7T70
ブロロロ

提督「…大分走りましたけど、一体どこへ行く気ですか?」

リョウ「そこを左に入ってくれ」

……

リョウ「さて、着いたぞ」

提督「…ここは一体?」

香「…ここって」

教授「…来たか、待っとたぞ」
106 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:21:48.35 ID:/+JVl7T70
リョウ「すいません。また、厄介になります」

教授「それで、その担架に縛られてるのがそうか?」

リョウ「はいっ」

提督「…一体誰なんですか?」

香「私たちは教授って呼んでいるわ…私たちの本名は知らないの。だけど、医者として素晴らしい知識を持ってる人よ。きっと摩耶さんの役に立つと思うわ」

提督「…はぁ。ですが、彼女は艦娘ですから、普通の人とは…第一艦娘は軍事機密で…」

教授「ほう…しかし、見れば見るほど不思議なもんだな。こんな可憐な少女が深海棲艦なんて化物と戦ったかとるなんて」
107 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:26:27.58 ID:/+JVl7T70
提督「なっ…どうしてそれを」

香「…教授は世界の裏情勢にも詳しいのよ。リョウもどちらかというとそっちでお世話になる方が多いわ」

提督「は、はぁ」

教授の部屋

提督「…大丈夫なんでしょうか?医者とは言っていましたが、彼女は艦娘ですから…」

ガラっ

教授「…検査が終わったぞ」

提督「なっ…」

リョウ「それで、どうでしたか?」

教授「…お前さんの予想通りの反応が出たよ…PCPのな」

108 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:32:56.10 ID:/+JVl7T70
提督「PCP?」

リョウ「…やはり、エンジェルダストか」

香「エンジェルダスト!?リョウ、それって…」

リョウ「あぁ、そうさ。俺たちから槇村を奪ったあの悪魔だよ」

香「そんな、ユニオンテオーペは壊滅したはずでしょ?」

リョウ「確かに組織は潰されたが…データがあれば連中でなくても製造は出来るだろう」
109 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:37:01.86 ID:/+JVl7T70
教授「…5年前に軍隊で使われたという話があったが、眉唾ではなかったようだな」

提督「5年前…。ちょうど深海棲艦が出現して大騒ぎになった時だ」

リョウ「……」

槇村「…香を頼む…」

海原「…息子よ、ありがとう」

リョウ「…くっ、悪魔め」
110 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/03(水) 02:37:30.67 ID:/+JVl7T70
今回はここまで
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/03(水) 08:58:59.79 ID:z/UiJH8no
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/03(水) 14:41:26.28 ID:gThlr1rCO
「そしてリョウのスケベの先生よ」は割と笑える
113 : ◆62IWBozqOg :2017/05/04(木) 20:29:41.45 ID:Vpz8oPie0
教授「…PCPを使えば死をも恐れない兵隊を簡単に増産できるからのぉ。化け物相手にはちょうどいいのかもしれんんな」

提督「…なるほど、深海棲艦のような化け物を相手にするには、普通の精神状態の兵隊じゃ役に立たない…だから薬でか」

リョウ「…化け物を相手にするために、悪魔に魂を売ったって訳か」

香「…ひどい」

提督「…戦争中という事態では、そんなものはしばしば軽視される。自軍が不利な場合は特に」
114 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/04(木) 20:41:53.36 ID:Vpz8oPie0
提督「…しかし、だからといって艦娘にも投与するなんて。深海棲艦相手に恐怖を感じるわけでもないのにどうして」

香「…確かに変ね。彼女たちって深海棲艦と戦う為に居るんでしょ?」

リョウ「…その件で、何か情報はありませんか?」

教授「…別に深海棲艦など出現しなくとも、戦争なんぞどこでも起きとる…特に今は連中によって海と空が分断され世界中不安定だ」

リョウ「…どこの国も兵隊が欲しいって訳か」

提督「…まさか、そのために艦娘を!?」
115 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/04(木) 20:54:35.16 ID:Vpz8oPie0
リョウ「…彼女たちは生身でもアスリート以上の身体能力を持ってるんだろ?そんな高い身体能力の上、通常武器が効かない兵隊。軍事関係者からしたら魅力的な条件だと思うがね」

提督「馬鹿な。彼女たちの意思は……そうか、そのための薬か」

リョウ「…だろうな。エンジェルダストには一種の洗脳的な効果もある…命令だけを遂行する人形にするなんて簡単だ」

提督「……その上、彼女たちは外見は人間でも扱いは兵器…名目だけも対深海棲艦用支援武器とでもしてしまえば、輸出の検査を通るのは簡単、その上検査はあの青柳中尉の息のかかった憲兵隊…」

香「…ひどいわね。駆逐艦なんてまだ子供じゃない」
116 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/04(木) 21:09:25.39 ID:Vpz8oPie0
提督「……補給もなしに、薬で洗脳して戦わすとなんて…それも本来の敵とではなく本来は守るべき人と…外道が」

教授「まだ、戦場で使われたなんて話は聞いとらんが、あの娘の状態を見るにもうそろそろ使うにはいい頃あいだろうな」

提督「……摩耶は元に戻せるんでしょうか?」

教授「…彼女に使われたのは艦娘ように強化されてるみたいじゃ。それも普通の人とは違って艦娘…わしもやれるだけやってみるが何とも言えん」

提督「…お願いします…彼女を」
117 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/04(木) 21:16:19.37 ID:Vpz8oPie0
リョウ「これから、どうする気だ?」

提督「…大本営に乗り込んで、連中を…」

リョウ「…どこに居るのかもわからないのに、連中の懐に飛び込もうってのか?…最悪連中が始末しちまったらどうするんだ?」

提督「そ、それは…」

リョウ「…まずは、艦娘が囚われてる場所を見つけないとな。少し手荒な方法になるかも知れないが…」
118 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/04(木) 21:16:51.88 ID:Vpz8oPie0
今回はここまで
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 22:05:29.86 ID:fVb7NOi7O
おつおつ
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/04(木) 23:34:29.26 ID:AFVz4SUho
乙なのです。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/05(金) 01:01:27.56 ID:6ENgnSJJo
おつつ
期待
122 : ◆62IWBozqOg :2017/05/05(金) 01:49:59.91 ID:x5rE/0bh0
鎮守府

提督「……なんですって!?」

リョウ「…手荒な真似かもしれないが、相手は上層部の連中なんだろ?普通の連中じゃ立ち入れない場所に潜んでるかもしれないんだ。場所をはっきりさせるにはこうした方が一番だ」

提督「…だからって、山城を囮にするだんて。俺は納得できません!」

リョウ「…大丈夫だ。俺はプロだぜ、直ぐに助けだしてやるさ」

提督「…万が一って場合もあります!山城にもしもの事があったらどうするんですか!」

リョウ「…仲間を大切に思う気持ちはわかるがね…」

提督「…山城に…もしもの事があったら…俺は…もう…」

リョウ「……やっぱりな」


123 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 02:14:19.53 ID:x5rE/0bh0
リョウ「…君はあの山城に惚れてるだろ?」

提督「……っ」

リョウ「…図星だな」

提督「…彼女は…私にとって最初の戦艦でした…彼女は見ての通り、あのような性格で姉に依存してるのが強い艦娘なんですが、残念ながら私の所に姉の扶桑は…お恥ずかしながら、今まで着任しておりません……そんな訳もあって最初は少しでも支えになってやろうかと思っていたんですが…親身に接してやっているうちにいつしか…残念ながら私の思いには気づいてないようですがね」

リョウ「……」

提督「…もっとも、私は提督、彼女は艦娘。生きている世界が違う…どう頑張っても強化のためのケッコンカッコカリが精一杯…どうしようもないんですがね」

リョウ「…なら、直の事、彼女を囮として使うんだな」

124 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 02:26:30.62 ID:x5rE/0bh0
提督「…なんですって?」

リョウ「立場が違うとか、そんな理由で簡単に諦めるなら、彼女に万が一の事があっても諦めがつくんじゃないか?」

提督「……っ」

リョウ「…例え自分の命を懸けても守り抜く覚悟が無いようなら、守るなんて無理な話だ。惚れた女を守るってのはいつだって命がけなんだぜ…」

……

香「……」
125 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 02:40:48.17 ID:x5rE/0bh0
提督「………」

リョウ「…彼女の気持ちを知るのが怖くて、そうやって立場がどうとか理由をつけてる奴には守ってやることなんて出来やしないぜ」

提督「……俺は…」

リョウ「まぁ、彼女の事は俺に任せてな…グフフ、あんなもっこり美女と一緒に居られるら、ぼくちゃん…」

グッ

提督「…俺は彼女を愛している…いくら冴羽さんとはいえ、山城に手を出すというのなら俺は許さない!」

リョウ「……ふっ。本心が出たな」
126 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 03:18:12.23 ID:x5rE/0bh0
提督「…えぇ、俺は彼女が好きです、上司と部下としてではなく…一人の女性として愛してる…彼女を幸せにしてやりたいんだ…」

コンコン

山城「……提督…」

提督「や、山城!?」

リョウ「やぁ、山城くん。どうしたのかな?」

山城「…どうしたって、冴羽さんが呼んだんじゃないですか…」

リョウ「…そうだったね。実は君に…」

提督「冴羽さん!」
127 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 03:36:49.39 ID:x5rE/0bh0
山城「…私が囮になるという話ですか」

提督「なっ…聞いていたのか」

山城「…廊下を歩いてきたらそのようなお話が聞こえてきて…」

提督(き、聞かれてた…)

リョウ「その事だけど…」

山城「…構いませんけど…」

提督「…なっ」
128 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/05(金) 03:37:20.31 ID:x5rE/0bh0
ここまで
129 : ◆62IWBozqOg :2017/05/07(日) 00:22:26.63 ID:j0FExUEY0
リョウ「…いいのかい?」

山城「……私は不幸戦艦ですもの…私の不幸もこういう時なら役立つかも」

提督「駄目だ!君にそんな危ない橋を渡らせる訳にはいかない!」

山城「…私も提督の秘書艦です。提督ばかりに危険な所に行かせる訳にはいきません」

提督「山城…」

山城「…それに、冴羽さんも言ってたじゃないですか…私もいずれ狙われる運命なのなら…自分の運命から逃げるなんてことはしたくありません」
130 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 00:44:42.59 ID:j0FExUEY0
翌日 鎮守府

山城「…提督…山城、出撃します」

提督「…あぁ、頼むぞ山城」

山城「…はいっ」

……

提督「あぁ、山城単独で本当に大丈夫だろうか」
131 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 01:27:37.27 ID:j0FExUEY0
リョウ「…彼女は運命と戦おうと決めたのさ。その覚悟を無駄にする気かい?」

提督「いやっ…ですが、危険すぎる」

リョウ「…確かに危険かもしれないが。彼女は連中にとって君とこのデータを手に入れるための切り札だ。捕まえたからと言って、そう簡単には手は出さないはずさ。そうなる前に助けだせばいい。違うかい?」

提督「…はいっ」



「きゃぁぁー!」

提督「あ、あの声は!?」
132 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 01:57:01.59 ID:j0FExUEY0
リョウ「…現れたな」

香「リョウ、山城さんが!」

提督「…明石!」

明石「はい。ここに」

提督「ちゃんと仕掛けてあるだろうな?」

明石「入渠してるうちに、ちゃんと艦橋かざりに仕込んでおきました。今は、ここですよ」
133 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 02:02:31.51 ID:j0FExUEY0
提督「…この道…やはり大本営の方向か」

リョウ「…ほう、最近の発信機ってのは精度いいねぇ」

明石「当然ですよ。なんたって、私の特製ですから」

……

提督「…止まったな。ここは、憲兵隊本部か…あらっ?おい、反応が消えたぞ」

明石「そ、そんな馬鹿なぁ」

提督「ばれたんじゃないだろな?」

134 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 02:51:10.08 ID:j0FExUEY0
明石「まさか……いや、多分地下に潜ったんじゃないですかね…本部の地下ともなるとあんな厳重な所、流石に探知は無理です」

提督「地下か…あそこの地下は憲兵隊の牢屋…噂じゃ非道な事も行われる部屋もあると聞く…憲兵隊か罪人じゃなきゃ出入り不可能な場所だ…確かに可能性としてはありえるな」

リョウ「…決まりだな」

提督「大本営が絡んでいるとはわかってはいたが、まさか本部の地下とはな…あんな所連中の息のかかった連中ばかりだ…戦車でも無きゃ無理…」

「…私も行きます!」
135 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 03:17:06.83 ID:j0FExUEY0
提督「五月雨」

五月雨「…私も連れて行ってください」

提督「…駄目だ。いくらなんでも危険すぎる。君にもしもの事があったらどうするんだ」

五月雨「…私も提督を助けたいんです。お願いします!」

提督「……」

五月雨「提督さん。お願いします!」

提督「……わかった」
136 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 03:32:27.84 ID:j0FExUEY0
五月雨「ありがとうございます」

提督「ただし、無茶はするなよ。君はドジっ子なんだから。なんかあったら、俺はあいつに申し訳がたたん」

五月雨「…ひどいです。提督さん」

提督「うっ、すまない…改めて頼むぞ五月雨」

五月雨「はいっ、護衛はお任せください」
137 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 04:10:28.62 ID:j0FExUEY0
大本営

辻田「…ふふふっ。こうも簡単に山城を手中に入れられるとはな」

青柳「はっ。しかしこうも簡単に確保できるなどとは…もしかしたら、連中の罠ということも」

辻田「そうかもしれんな。だが、ここは大本営の中枢…警備も厳重な上、下手に騒ぎを起こすわけにもいかん。取り戻しにこようなんぞ、それこそ飛んで火に入るなんとやらだ」

青柳「…そうですな。ハッハッハ」

辻田「…それより、ほかの娘たちはどうかね?」

青柳「…順調ですな。明朝には移送しようかと…いよいよですな」
138 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 04:55:48.58 ID:j0FExUEY0
提督「…大本営へは難無くは入れはしたが…流石憲兵隊本部…連中の本拠地だけはあるな」

香「…すごい数。それに装甲車まであるわ…どうんの?リョウ」

リョウ「……」

「こらっ、そこで何をやってるのかしら?」

提督「!?見つかった!?」

リョウ「…遅かったじゃないか」

香「冴子!?」

冴子「……お待たせ」
139 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/07(日) 04:59:09.23 ID:j0FExUEY0
ここまで
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 02:27:09.40 ID:7TGeEYoco
おつ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 03:30:26.95 ID:jU1pbS5To
いつの間にか前作超えてたな
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/08(月) 08:32:13.56 ID:KUij7aN9o
リョウは本気出したら東京を単独で壊滅させられるっていうけど海軍相手では・・・
いやどこぞの軍の一個師団を潰したって話だから大丈夫か
143 : ◆62IWBozqOg :2017/05/14(日) 01:28:05.50 ID:1Ab0lctg0
冴子「正面は警戒が厳重で突破は無理よ、ついてきて」

リョウ「行くぞ」

提督「……」

香「どうしたの?」

提督「…五月雨、やはり君は一緒に来るな」

五月雨「えっ!?」
144 : ◆62IWBozqOg :2017/05/14(日) 01:40:01.30 ID:1Ab0lctg0
五月雨「どうしてですか!?……やっぱり、私がドジだから…足でまといに…」

提督「そうじゃない。これを……長官のところへ届けてくれ」

五月雨「これは、提督のデータ」

提督「あぁ。先ほど解析が終わってな。摩耶の件も含めて色々と証拠になるデータが入っている。あいつを助けから、あいつと長官に直訴するつもりだったが…連中の警備が想像以上に厳重で、無事に脱出できる保証もない……もしもの時はそのデータだけが最後の希望だ…頼めるかな?」

五月雨「……」

提督「…危険な賭けであることはわかっている…だが、ここは大本営、連中も連中も下手に騒ぎは大きくできないはずだ」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 01:45:31.05 ID:V5e90MV+O
ぶっちゃけシティーハンターのリョウならエンジェルダスト試作品の影響で痛みも感じないから海軍だろうが陸軍だろうが平気で潰せる
146 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:03:34.34 ID:1Ab0lctg0
提督「…自分の提督が捕まっている君の声なら長官も耳を貸してくれるかもしれない…頼めないかな?」

五月雨「…わかりました。私やってみます」

提督「ありがとう、五月雨」

香「気をつけてね」

五月雨「はいっ」
147 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:06:31.82 ID:1Ab0lctg0
提督(頼むぞ、五月雨。あいつは必ず助けるからな)

五月雨(見つからないようにいかないと…こういう場合はそーっと、そーっと…)

……

憲兵「……」(コツコツ)

五月雨(見つかっちゃう、隠れなきゃ…)

コツン(足元のバケツにあたる)

五月雨「あっ…きゃぁ」

ドンガラガッシャーン!
148 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:10:19.36 ID:1Ab0lctg0
五月雨「あたた…また私、ドジなことを…」

提督「……コンナトコロデドジッコニナラナクテモ…」

憲兵A「なんの音だ!?」

憲兵B「向こうのほうだ」

提督「…まずい…」

冴子「…待って。今下手に動いたら私たちも見つかるわ」

提督「し、しかし…」

149 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:15:50.95 ID:1Ab0lctg0
憲兵A「誰だ!?出てこい!」

五月雨「…逃げなきゃ…」(ダッ)

五月雨「……い、行き止まり!?」

憲兵A「動くな!」

キュラキュラキュラ…

憲兵B「…抵抗しても無駄だぞ」

五月雨「…あぁ…」

150 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:18:02.21 ID:1Ab0lctg0
憲兵A「さぁ、おとなしく来い…」

五月雨「いやっ…」

憲兵A「こいつ、暴れるといくら艦娘とはいえ容赦しないぞ」

提督「くっ…五月雨!」

ドカカァァァァン!

憲兵「!?」
151 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:20:46.60 ID:1Ab0lctg0
憲兵A「そ、装甲車が…」

「…伏せろ!」

五月雨「…はっ」

憲兵A「な、何っ!?」

ガァァン

憲兵A「…ぐわっ」

五月雨「…助けてくれたの?」
152 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:27:50.21 ID:1Ab0lctg0
ズンッ…ズンッ…

五月雨「…冴羽さん?提督さん?」

「……無事か?」

五月雨「…は、はいっ…だいじょ…」

海坊主「……」(ズーン)

五月雨「ひいっ!」
153 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:40:29.89 ID:1Ab0lctg0
「なんだ!?どうした!」「侵入者だー!」

ウ〜っ!

海坊主「…あいつらは俺が引き受けてやる。行けっ」

五月雨「…あの、あなたは一体…」

海坊主「…あの薬で一儲けしようなんざ連中を見過ごせないだけだ…早く行け」

五月雨「…あ、ありがとうございました」

海坊主「…フン」(チャキッ)

ドカァーン!

リョウ「…相変わらず派手だねぇ」

冴子「…今のうちよ。さぁ、早く」
154 : ◆62IWBozqOg [sage saga]:2017/05/14(日) 02:40:58.31 ID:1Ab0lctg0
今回はここまで
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