敏恵「今度こそ、ストライクウィッチーズ!」

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87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/04(日) 00:44:07.31 ID:p9oHqiHT0
まだ観ている人いたらすみません。正直書きあぐねてます
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 11:14:23.66 ID:fOfHWhfXO
見てるぞ頑張れ
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/07(水) 20:28:37.94 ID:xBzgk1qwo
読んでるぞ
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/10(土) 15:58:43.33 ID:c9N9YcUr0
 
エイラ「〜…そんなことより、あの日の後にこの基地でナニかあったのか? 隊のウィッチが一気にいなくなって、オマエも扶桑に戻っちゃったんだろ?」

敏恵「あー、まあね。結局ウィトゲンシュタインさんの言ってた人達が来てさ、厄介なネウロイの撃墜任務を受けて――」ポリポリ

敏恵「それであたしは負傷して送還されちゃったんだ。その後で他の皆も離れた事情は詳しくないけどね?」

エイラ「ほーん…。よく分かンないけど大変だったってコトか」

敏恵「そんな感じ」ウンウン

シャーリー「どんな感じだっての」

サーニャ「……」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/10(土) 15:58:56.63 ID:Quv+X38Eo
来たな!まってたぞ!
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:04:48.81 ID:c9N9YcUr0
 
エイラ「マ、とりあえずよろしくなー。ハイデマリー少佐やオマエはこの辺詳しいと思うからアテにさせてもらうぞ?」

敏恵「うん。ワッフルとか美味しいお店は任せて!」

ルッキーニ「やたー♪ いこいこー!」

エイラ「イヤそういうコトじゃないんだけど、…まあソッチも興味あるな(サーニャと2人で行きたい…)」

シャーリー「あはは、そういや工藤大尉はここにいたんだもんな? じゃあ基地の案内はいらないか」

敏恵「まあね。…あ、でも部屋割り知らない! というか結構人多いけど、宿舎とか今どうなってるの?」

シャーリー「2人ずつで相部屋だけど?」

敏恵「ぅ…やっぱりか。とほほ」ガク

エイラ「贅沢言うなよなー」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:17:04.05 ID:c9N9YcUr0
 

敏恵&???の部屋


敏恵「ん〜、懐かしいなぁ」ドサ

敏恵(ここは確か……前は誰のだったかな? あたしが居た部屋と殆ど変わらないや)ウロウロ


敏恵「…はは、タンスも同じ! この足がほっそいやつで――」ガコ


敏恵「!」



敏恵「わぉ、これは…――」ゴソ


敏恵「真っ白……おズボンかな?」ピラリ

敏恵(やっぱりズボン、…私と相部屋する人のか。これは失敬)
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:31:14.55 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「……。でも待って? この洒落っ気控えめな純白ズボン、見覚えあるような…?」ミョイーン ミョイーーン


――ガチャコ


ハイデマリー「…?」


敏恵「!?」バッ

ハイデマリー「あ、工藤さん」

敏恵(お、おぅふ…。そっか、マリのだったか…!)

ハイデマリー「…荷解きでしたら手伝いますよ? 私も出戻りの荷物整理がありますので」

敏恵「や、あのこれは何というか…。ごめん、不可抗力なの!」

ハイデマリー「?」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:35:37.62 ID:c9N9YcUr0
 
――



敏恵「それにしてもマリと相部屋だなんて、これまた凄い偶然だね?(ズボン漁ったことは内緒にしておこう…)」

ハイデマリー「そうでもないですよ。私も工藤さんもナイトウィッチですから、共通の居住環境で括られるのは合理的です」

敏恵「…そっか。エイラもサーニャさんと同じ部屋だとか言ってたし」

ハイデマリー「はい。ユーティライネン中尉は厳密に専従員ではないそうですけど、501ではずっとリトヴャク中尉と夜間任務に従事されていますから」

敏恵「へぇ、なるほど。…やっぱりお熱なのかな?」

ハイデマリー「“お熱”、ですか?」

敏恵「うん。なんかルーツィアさんにくっ付いて行く時のエステルちゃんに似てる感じしない? あの2人も相部屋だったし」

ハイデマリー「…ふふ、そうかもしれませんね?」クス
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:41:26.59 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「ん、よし…と! 取り敢えず整理は出来たかな。こっちの棚、本当に全部使ってもいいの?」

ハイデマリー「はい、私の物は十分しまえていますから」

敏恵「分かった、ありがと! んー、それじゃあ後は…――」キョロキョロ


敏恵「――? ああ、寝床が無いじゃん。布団用意しなきゃ」

ハイデマリー「! ぁ、それは…」

敏恵「ねえマリ? 敷布団って――…いや待った、ここって土足だよ。床に布団なんて敷けなくない…?」モヤモヤ

ハイデマリー「…工藤さん。それなんですけど、実は二段ベッドの供給がまだ足りていないそうなんです」

敏恵「? あ、そうなの??」

ハイデマリー「はい。それについて先程ミーナ中佐にお伺いしたんですけど、何かの事情で施設改修予算がひっ迫しているからと…」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 16:56:30.94 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「えぇ…? そんなに変わった風に感じないけどなぁ?」

ハイデマリー「そ、そうですね。私も今日戻ったばかりですが、正直今の所はあまり…」

敏恵「501って意外と貧乏なのかな?」

ハイデマリー「それはないと思いますけど…。ミーナ中佐の政治手腕なら限られた予算内でも適切に運用できる筈です」

敏恵「……でも実際に今寝床が1人分間に合ってない、と」

ハイデマリー「ぅ…! は、はい。信じられませんが」


敏恵「まあ、無いものは仕方ないか。大人の事情はどうにもできないし、現実を見るとしよう」

ハイデマリー「ですがどうしましょうか、工藤さん?」

敏恵「それはもう、ひとつしかないよ? あたしもマリも立ったまま寝る程器用なわけないし――」スタスタ

ハイデマリー「…?」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 17:19:54.40 ID:c9N9YcUr0
 
敏恵「ちょっとベッド〈そこ〉、横になってみてくれない?」

ハイデマリー「ぇ? あ、はい」



ハイデマリー「……こう、ですか?」

敏恵「うん、もう少し端に寄れる?」チョイチョイ

ハイデマリー「? …この位ですか?」ヨジ

敏恵「そうそういい感じ! …よし、それじゃあたしも――」

ハイデマリー「!?」


敏恵「いしょ…っと! どう、やっぱり狭いかな?」

ハイデマリー「ぁ、あの!? これはつまり… //」

敏恵「ん? うん。無理矢理だけどこんな感じで、一緒に使うしかないよね?」

ハイデマリー「……」

敏恵「……。やっぱり嫌だ?」

ハイデマリー「………… //」

敏恵「マリ? ねえ、聞いてる?」



――――かくして工藤敏恵と彼女を加えた501部隊、その新たな幕が開くのであった。
 
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/10(土) 17:22:06.64 ID:c9N9YcUr0
 

第三話:不一致 に続く

 
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/11(日) 00:47:55.87 ID:m9kRQVtwo
とつです
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:24:34.77 ID:DnRGhLZn0
 
【幕間小譚 〜阿吽の安寧〜】


―ある日の早朝―


敏恵&ハイデマリー部屋



ハイデマリー「……」パタン



ハイデマリー「……」ソロソロリ


敏恵「zz…」スヤスヤ

ハイデマリー「……」

敏恵「むん…〜……zz」

ハイデマリー(あと2時間…)チラ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:26:58.91 ID:DnRGhLZn0
 
――――

――





敏恵「zz…」

ハイデマリー(あと1時間)
 
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 19:51:44.22 ID:DnRGhLZn0
 
――




敏恵「んん……たまごゃき…〜zz…」ムニャムニャ

ハイデマリー(…10分前。そろそろ――)ス


ハイデマリー「工藤さん、朝です」ポンポン

敏恵「んみゃぅ……むぁだ食べててもぃいんじゃ…?」

ハイデマリー「ぃぇ、あの…。それは夢ですから、起きましょう工藤さん」ユサユサ

敏恵「〜〜……、ん〜…?」ノソリ

ハイデマリー「おはようございます」

敏恵「…………。ん……おはよぅ…」ボヤァ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 21:38:53.59 ID:DnRGhLZn0
 
ハイデマリー「そろそろ、7時ですよ?」

敏恵「ん、ん〜〜…っと! はぁー、起きなきゃ」

ハイデマリー「お水は要りますか?」

敏恵「あ、うん。有難うマリ、布団直したら飲むから置いといて?」ノソノソ

ハイデマリー「…工藤さん、気遣いをしなくても私は平気ですから」

敏恵「え、駄目だよ。だってあたしの後で寝るんじゃ、シーツくらい代えないと嫌でしょ?」

ハイデマリー「! いえ、その…」

敏恵「ちょっと待ってね? さっと直して着替えたらすぐ出て行くから」イソイソ

ハイデマリー「……」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/13(火) 22:44:03.60 ID:DnRGhLZn0
 

―その夜―


ベルギガ上空


サーニャ「――じゃあ、工藤大尉の起床時間を待ってから寝ているんですか?」ブゥゥン

ハイデマリー「はい。多段ベッドもそのうちに来ると思いますので、工藤さんが昼型で待機中の間はどうにか…」

サーニャ「…眠くなりませんか?」

ハイデマリー「ぃぇそのっ…2人で使う訳にもいきませんし、大分早目に起こしてしまうというのも――」

サーニャ「……」

ハイデマリー「私が邪魔に入ってしまうのは工藤さんも、やっぱり窮屈でしょうし… //」フィンフィン

サーニャ「それは…、どうなんだろう?」ボソ

ハイデマリー「ぇ?」

サーニャ「ぁ、ごめんなさい…! 今のはちょっと、独り言のつもりだったんですけど――」アセ

サーニャ「…でも、私も基地に戻って眠いまま偶にエイラのベッドに入ってしまう時があるんです。それで迷惑かけてるって前に謝ったら――」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

エイラ「いやホントに気にすンなって?」

サーニャ「でもエイラ寝てるのに、私が入って来たら邪魔でしょ?」

エイラ「!! ッ……違うンだサーニャ」ショボン…

サーニャ「ぇ?」

エイラ「サーニャが優しいのは解ってるけど、そ…そんな風に思わないでくれよォ…」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



サーニャ「――という感じで、反って悲しませてしまった事があります」

ハイデマリー「……」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 17:56:49.49 ID:zoz7/C/Y0
 
サーニャ「だから私は、なんというか……信じるようにしています」

ハイデマリー「信じる、ですか…?」

サーニャ「エイラや仲間の皆さんがしてくれるのと同じ様に、私も家族みたいに想っていいんだと。その関係というか……そういう答え方を教わった気がします」

ハイデマリー「!」

サーニャ「…優しくされるのは、きっと我慢させてしまう事だと思っていました。でも、そうじゃない場合も有るみたいすよ?」

ハイデマリー「……」

サーニャ「ぁ…す、すみません。なんだか偉そうな事言って私…」

ハイデマリー「!? いぃえ、そんな事ありません! …とても参考になりました、有難うございます」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 18:14:31.01 ID:zoz7/C/Y0
 

敏恵&ハイデマリー部屋


ハイデマリー「……」

敏恵「zz…」スヤスヤ


ハイデマリー(前から工藤さんには力をもらってばかりで、せめて私も返せる様に振る舞うつもりだった)

ハイデマリー(こんな事でも、こうする方が工藤さんだって助かる筈だと思ってたけど…)ジー

敏恵「〜……zz」モゾ

ハイデマリー(何も言わないのに、昨日もその前も、端に寄ったまま寝てる…)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――マリはもうちょっと我儘になって平気だよ。あたしはほら…その、友達じゃん!』


『――きっと我慢させてしまう事だと思っていましたけど、そうじゃない場合も有るみたいすよ?』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「……。ん…分かりました」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/14(水) 18:26:17.01 ID:zoz7/C/Y0
 
――



ハイデマリー「……」←着替えた


敏恵「zz…」

ハイデマリー(では、失礼します)ソーット


ハイデマリー「ん、と…」モゾゾ

敏恵「〜にゃむ……まだたべるぅ…zz」

ハイデマリー「クス…。おやすみなさい、工藤さん」










―数時間後―


美緒「数日目でもう遅刻とは大した度胸だな、私の訓練はそんなにも緩いか…?」ニヤリ

敏恵「えっとそのー……ごめんなさい。むしろその逆というか、起きられなくて…」

美緒「弁解不要!! 2人で走ってこい、今日は倍だ!」バシィッ

静夏「えっ!? 自分もですか!??」ガーン

敏恵(あぁ……マリに頼りきってたから、完全に寝坊してしまった…)


【阿吽の安寧、終】
109 :>>1 [sage]:2017/06/15(木) 00:49:05.10 ID:MlP4zSL20
また用語メモを付けるか少し悩む… φ(-×-;)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/15(木) 19:06:53.64 ID:cX2Q+S9hO
つけれるならつけてほしいかも
111 :3話書き溜め中…… [sage]:2017/06/16(金) 01:41:43.12 ID:5UpRP5XC0
>>110
そうですよね。
独自の解釈や語彙もありますし、そもそも公式資料群の中にも齟齬があるので、どの設定を引用しているかを示す意味でも必要かもしれません。
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/29(木) 21:18:05.53 ID:Fj6xjE5Do
つづきまだー
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:09:41.20 ID:UJAmlFUS0
 
[ざっくり!工藤敏恵メモ]

 其の一:概要なぐり書


扶桑皇国海軍のナイトウィッチ。かつての戦果は欧州で「Herrin der Nacht(夜の女王)」、母国海軍で「鎌鼬」の噂を生んだ。

小園里葉当時中佐が特設した「夜間航空審査部独立派遣飛行隊」唯一の現役ウィッチとして原隊所属。大陸東端の扶桑領にて約5年間の夜間単独専従を経験。


愛機は夜間戦闘脚“月光”シリーズ。試造型から縁があり、小園の元でテストウィッチ役も兼ねて履き続けている。

固有魔法は暗所視限定で発動する通称“超夜間視力”。赤外線波長を捉える独自感覚によって明確な夜間視やネウロイのコアを判別することができるが、明るい環境下では無理。


数か月前までカールスラント空軍への援戦武官としてハイデマリーの指揮する夜間飛行部隊に参加していた(前作:月影の構え太刀)。

もうすぐ18歳のわがままボディ。お水とお米が大好き!



……などなど、他にもありますが是非>>1記載の前スレやwiki等を読んでください。長いけど是非に!
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:41:27.23 ID:UJAmlFUS0
 
 其の二:ハイデマリーとの関係


サン・トロン基地で共に幾カ月を過ごした仲。

敏恵から誘い友達宣言。“マリ”とあだ名して呼び、敏恵にとって欧州で一番の友人となっている。

ナイトウィッチとして特段内向的だったハイデマリーにとっても、ただ同年代の友として寄り添われ苦楽を打ち明け合えた相手として、敏恵を大事に思っている(前作参照)。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:45:44.43 ID:UJAmlFUS0
 

母国で療養を行っていた扶桑海軍の工藤敏恵は、第三次“ストライクウィッチーズ”に新参するため再びベルギガ領サン・トロン基地へと渡ってきた。


かつてを共に過ごした友人ハイデマリー・W・シュナウファー少佐との再会も叶い、ウィッチとしての再出発に発揮揚々と意気込む敏恵。

しかし、それは今の彼女にとって想像以上に困難な道となるのであった――――
 
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 03:54:54.50 ID:UJAmlFUS0
 
【第三話 不一致】


サン・トロン基地

ハンガー


『北東襲来のネウロイ群殲滅が確認されました、スクランブル解除。出撃したウィッチの帰投に備えて整備班は――』


敏恵「…うそぉ、もう倒しちゃったの!? 全部??」

小園「実績ある連中だからな、それぐらいやるだろ」カチャカチャ

敏恵「でも中型3機もいたんでしょ? こっちもえーっと…4人くらいしか出撃てないのに!」

小園「……」カチャカチャ

敏恵「というか速過ぎない?? あの辺まで普通に飛んでも今着けばいいくらいだし!」

小園「っ… #」イラ


敏恵「あ、でも向こうも近づいて来てたんだよね? いやそれにしたって凄い、3機も――」

小園「ええい燥ぐな阿呆!!」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:07:34.83 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「ちょ、何怒ってるんですか園さん?」

小園「…怒ってなどいない。お前だって大陸ネウロイの1機や2機など、朝飯前に討ってきただろうが。大袈裟に感心するな」

敏恵「でも欧州〈こっち〉の飛行型は結構強いんですよ? ライン川越えて偶に変なのも来るし」

小園「だからどうした、お前も負けていない。…ほらいいぞ、さっさとエンジン回してみろ」

敏恵「(“負け”って園さん…)…ん、じゃいきまーす」フィィン


ゴォォオォオ――


小園「もう少し回転上がるか? 無理はするな」

敏恵「あいあい」フィィィン


小園「ふむ…。よし止めろ」


――オォォ…
 
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:14:49.23 ID:UJAmlFUS0
 
小園「問題ないな。月光改の最適化は完了だ」

敏恵「なんか変わったんですかこれ?」

小園「以前にホルテン姉妹がこのストライカーを弄ったのだろう? 悔しいが有益な個所は残して改修してやった」カチャカチャ

敏恵「へぇ…? そういえば確かに、お尻にはビリッとこない」

小園「魔法力の増幅比は調整してある。まったく、安全制御まで除外してフルマッピングするなど正気ではない。お前をユニット諸共壊す気だったのか?」バチムッ

敏恵「あの人かなり危ないですもん、姉の方。あたし苦手です」

小園「…あれが得意な奴などいない。気に病むだけ損だ」ヨッコラセ


小園「――よし、もう脱いでいいぞ?」

敏恵「ん〜…、もうちょっと早く済んでればあたしも出撃れたのにー」

小園「阿呆、誰が許可した。さっさと降りろ」

敏恵「……はぁい」シュルル
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:27:48.64 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「もう、本当納得いかないですよ? 人の事呼んでおいて“待機”なんて!」トタッ

小園「…ここへ着いてまだ宮藤芳佳の治癒を受け始めた矢先だ。少なくとも今日の所ならば流石に私も止めるぞ?」

敏恵「違いますよ! だってなんか、哨戒にも行けないで、今更新米の子と訓練受けろって言うんですよ!?」

小園「気持ちは解るが急くな、いたち。連中も本番までには必ずお前を使う筈だ。…早々にこの地の哨戒など出来た所で、大した変わりもないぞ?」

敏恵「そんなことっ…!? 誰かの為に戦えるなら警邏だからとか関係ない!!」ズイ

小園「……」


敏恵「だってあたし、その為に来たのに! 今度こそ本当のウィッチにならなくちゃ!?」

小園「はぁ……分かった落ち着け。確かにそうだな、すまなかった」ポン

敏恵「んむぅ…」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:35:31.00 ID:UJAmlFUS0
 
小園「なら私からもお前の希望はよく言い伝えておく。だがそのうえで定められた事には従え、いいな?」

敏恵「……」ムスー

小園「おい腐るな、私の目を見ろ。真面目な話だ――」ペチペチ


小園「ここの奴らは決して馬鹿でも無能でもない。ちゃんと意味がある、信じろ」ジ

敏恵「……」

小園「私はお前の我儘を聞いてやれるが、しかし軍組織とは本来こういうものだ。…私や、あの菊井だってその中で折り合いをつけていたんだぞ?」

敏恵(! 菊さん…)ザワ

小園「お前もウィッチとして自立するんだろう? であれば、解るな?」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:51:20.46 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「……はぁい」

小園「ん、よしよし。賢明だ」カイグリ

敏恵「ちょ…園さん! あたしもう子供じゃないんですけど?」

小園「フッ、まあそう言うな。ちゃんと聞き分けの駄賃もやる」ゴソ

敏恵「む! だから――」


小園「ほら、受け取れ」ス

敏恵「!」


敏恵「…これって??」

小園「お前の太刀だ。一応は回収されていて私が預かっていた」

敏恵「え、これ……まさか“飯綱権現”!?」

小園「ああ。打ち直しても最早脇差だがな」

敏恵「うわぁ〜! なにこれ可愛い!!」マジマジ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 04:58:15.56 ID:UJAmlFUS0
 
小園「立派に拵えてあるから今度は部屋にでも飾っておくといい。恩賜の宝刀を二度もネウロイに食わせたとなればいよいよ恥晒しだ」

敏恵「あ、まさか御上様にバレてる…?」ギク

小園「口外できる訳ないだろ、預けた人間にも言っていない。…鍛冶師と刀工には銘を読まれているだろうが」

敏恵「ぅ……飯綱巫女の祟りがあるかも」

小園「阿呆。そんなもの迷信だ」

敏恵(だ、大丈夫かな?)ゴクリ


小園「まあ綺麗に拵えてやったんだ、巫女の使い魔とやらも精々安らかだろう」フッ

敏恵「ごめんなさい御飯綱様、後で“ポンポンするやつ”沢山やってあげますから…」ナデナデ

小園「やめろ阿呆」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 05:04:08.63 ID:UJAmlFUS0
 
小園「……さて、ここでの役は終えた。私ほもう発つぞ」

敏恵「へ? なんで、園さん居てくれないんですか?」ポカン

小園「ああ、それはもう私の領分ではない。次の予定もあるんでな」

敏恵「えぇ〜〜!? 冷たいっ!」

小園「ふん、甘ったれが。さっさと自立しろ」クル

敏恵「むぅ〜…」

小園「……。気張れ工藤」

敏恵「!」


小園「お前ならやれる。…やってみせろ」スタスタ



敏恵「……はいっ! あたし頑張りますからー!! ありがとう園さーん!」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 06:13:59.08 ID:UJAmlFUS0
 
[ざっくり!解説メモ]


 扶桑刀“飯綱権現”

5年前のカールスラント撤退戦下の働きによって敏恵に与えられた恩賜の刀。中世前期の戦巫女“飯綱使い”由来の一振りらしい。
拵もせず独自で補強した白鞘のまま愛用していたが、特異型某ネウロイとの決戦で切っ先の半分は“取り砕かれ”てしまった。(前作参照)

小園の伝手によって残った刀身を小太刀(と短刀の間くらい)として打ち直し、ついに拵も施された!


 刀にポンポンするやつ

打粉〈うちこ〉をかける作業のこと。手入れ手順のひとつ
下拭いを行った後に白くて丸いあれでポンポンしてから上拭い――……詳しくは割愛するのでググろう!

ただ、間違っても徒に“ポンポン”をすればそれで良い訳ではない。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 06:27:05.39 ID:UJAmlFUS0
 
滑走路


小園「……坂本か」スタスタ


美緒「御疲れ様です」ペコ

小園「…ふん、私の去り際にお前とはな?」ジロ

美緒「中佐は別件で見送り出来ませんので、私が引き受けました」

小園「そんな物を頼んだ覚えはない」プイ

美緒「!」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 06:37:18.82 ID:UJAmlFUS0
 
小園「…察しているか知らんが、私意あって私はお前が特段に好かない。勝手無礼は承知しているからさっさと出て行く」

美緒「……」

小園「ではな」スタスタ




美緒「――…舞鶴にいた頃」

小園「…?」ピタ


美緒「北郷先生から聞いた事を憶えています。かつて共に飛び、我々後続にも倣って欲しいと仰っていた、扶桑ウィッチの話です」

小園「!」

美緒「私は先生が語ったその者を、今でも尊敬しております」


小園「……」


美緒「……」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 06:47:41.00 ID:UJAmlFUS0
 
小園「…お前は船でも漕いでいたのか?」

美緒「は?」

小園「1人ではない、2人だ。そのウィッチを語るには外せない相棒がいるのだよ、阿呆め」

美緒「し、失礼しました…」

小園「ふん、だがしかしそんな世辞はどうでもいいさ。どう語った所でお前の言う“其奴”はもはや敬える人間でもない」

美緒「……」

小園「…………。工藤の面倒を見るなら、宜しく頼む」ボソ

美緒「はい」



小園「――…ぃゃ、やはり心配だな」クル

美緒「?」

小園「本当はお前にまで頼りたくなどないんだが……一応、必要十分な情報は与えておくか」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/30(金) 19:43:09.11 ID:+gjqq0mjO
お疲れ様
メモあると分かりやすくていいねやっぱり
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:17:34.17 ID:UJAmlFUS0
 
[ざっくり!人物メモ]


 小園里葉

海軍大佐の元ウィッチ、25歳。工藤の新米時代からの上司
扶桑初の夜間戦闘脚“月光”シリーズの開発を推進、監督する人物。

現役最盛期の頃は使命感と自信に溢れる優秀なウィッチであったが、舞鶴在籍時に慕っていた北郷章香に左遷されたという誤解とその後扶桑海事変での北郷部隊の活躍によって、激しい挫折を感じると伴に歪んだ向上心を持ってしまう。
皮肉にも同じ階級まで上り詰めた後で北郷との誤解は解けたが、その成果の為に工藤敏恵を“魔導麻薬症”に貶める結果となった。(前作:幕間余話)

尊敬する先輩と関係修復はしているものの、世間で脚光を浴びたり天才・スーパーエースなどと呼称されるウィッチには嫉妬混じりの嫌悪感を示すもよう。
敏恵はそれを「園さんの英雄〈ヒーロー〉コンプレックス」と呼ぶが、超怒られるので本人には絶対言わない。
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:26:19.60 ID:UJAmlFUS0
 

芳佳&静夏の部屋


芳佳「わぁ、綺麗な色ですね!」ポワァァ

敏恵「んっふふ〜♪ そうでしょ?」

静夏「合口拵ですね? とても凝ったつくりで青漆〈せいしつ:緑色〉塗りが凄く素敵です」

敏恵「そうそう! 竹筒みたいで可愛いでしょ?」

芳佳「あ、私知ってます。“たけみつ”って言うんですよね?」

静夏「…いえ、それは全然違います(鈍らを模した拵なんて縁起悪過ぎる…)」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:34:09.69 ID:UJAmlFUS0
 
敏恵「えへへ、月光履いたあたしは差し詰め“かぐや姫”ってことかな? 園さん珍しく良いセンスじゃ〜ん」ニヤニヤ

静夏(“園さん”? )ピク



静夏(ぞの……? 月光…――)モヤモヤモヤ



静夏「――…!! まさか、海軍の小園里葉大佐ですか!?」ガガーン

敏恵「ふぃ!? な、何が…?」ビク

静夏「そ、それ…つい先ほど頂いた物だと仰っていましたが、小園大佐に!?」

敏恵「? うん、そうだけど」

芳佳「静夏ちゃん? その小園さんって人がどうかしたの?」ポァァ

静夏「どうかしたって、“救国世代”の大物ですよ!?」

芳佳「??」

静夏「扶桑海事変の本当北方防衛では凄くすごい活躍をして、この欧州でも恩賜の実績を残されている! そして扶桑初の夜間戦闘脚開発を推進し、実現した方ですよ!? 知らないんですか!?」アセアセ

芳佳「ぅ、うん。ごめんなさい」

敏恵「はは、それ園さんが聞いたら喜びそう(欧州のは殆どあたしだけど)」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:39:00.69 ID:UJAmlFUS0
>>131誤字訂正

本当北方防衛 → 本島北方防衛
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:44:52.25 ID:UJAmlFUS0
 
静夏「こうしてはいられません! 父上の名を汚さぬよう、私も海軍ウィッチの端くれとして、恐れ多いですが御挨拶申し上げないと!」スクッ

敏恵「あ、でも園さんもう行っちゃったよー?」

静夏「な…!?」ズコ

芳佳「扶桑に戻ったんですか?」ポワァァ

敏恵「と思うけどー……わかんない。なんか用事があるみたいなこと言ってたかな」


静夏「――…ん、コホン! 仕方がありません。御挨拶はまた次にします //」イソイソ

敏恵「あたしから何か言っておこうか?」

静夏「い、いえそれは…。機会が有れば自分でやりますので」

敏恵「遠慮しなくてもいんだけどなぁ」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/06/30(金) 20:47:20.26 ID:UJAmlFUS0
 
静夏「…それよりも工藤大尉、そろそろ向かわなくては坂本少佐の訓練に遅れそうです」

敏恵「ありゃ、もうそんななの! …芳佳ちゃん?」チラ

芳佳「ぁはい、そうですね。今日の治癒魔法はこのくらいで十分だと思います」シュルル

敏恵「ありがとね。んし…っとぉ!」ノソリ

芳佳「お腹の傷跡の方はまた夜に診ますね?」

敏恵「うん、よろしく! じゃあ行きたくないけど、行こうか服部ちゃん?」

静夏「了解であります」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 05:17:41.19 ID:EDldUG2a0
 
[ざっくり!解説メモ]


 救国世代のウィッチ

扶桑海事変が起きた1937〜38年に最盛期を迎えたウィッチのこと。
当時の二十歳から下は十五歳、と結構に幅が広くてあやふやである。

実際には“軍神”北郷章香や“扶桑海の巴御前”こと穴拭智子など戦時を代表したヒーロー達を基準に、いつしか世間の女子学生達が括って呼んでいるだけのこと。
一応、該当するウィッチとして江藤敏子、黒江綾香、加藤武子、加東圭子など。
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 05:23:55.77 ID:EDldUG2a0
 
基地野外


美緒「さて、今日は工藤が新たに加わったという事でお前達の練度を測った訳だが――」

敏恵「……(まさか落水試験までさせられるとは…)」ビッショリ

美緒「先ず服部、満点はやれんが概ね良く出来ていたぞ? 任務参加へ移る前段階としてこれからは演習を詰めていく」

静夏「はいっ! 有難うございます!」キビッ

敏恵(おぉ服部ちゃん……もっさんに褒められてる! 海兵校の選良生って本当だったんだ)


美緒「…そして、工藤」チラ

敏恵「――! へぃ!?」ギクッ


美緒「お前も申し分ない。体力面にやや不安は残るが、基礎を含めた必要技能は高い水準で習得済みだな」

敏恵「(ぉ…? おおっ!!)ぇ、えっへへ〜、どうもー //」

静夏(流石、小園大佐の子飼いと噂だった“海軍の鎌鼬”…!)チラ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 05:35:45.86 ID:EDldUG2a0
 
美緒「…少し魔法力を使ったが麻薬症〈ちょうし〉はどうだ? 飛べそうか?」

敏恵「はい! すこぶるオッケー、異常ないです!」ブイ

美緒「そうか」

敏恵(ふふん♪ これならあたしも直ぐ任務に出撃られるね! とりあえず夜間哨戒かな?)ワクワク

美緒「……。よし、では今日の残りは2人で模擬演習だ。明日からも後半は実践的な訓練を中心にやっていくぞ?」

敏恵「えっ」

静夏「了解!」

美緒「ではハンガーへ移る、駆け足!!」

静夏「はい!!」ダッ


敏恵「…? ちょ……??」

美緒「どうした大尉、後輩に遅れるな。さあ走れ」

敏恵「いやあのっ…ま、待ってくださいもっさん!?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 05:48:36.80 ID:EDldUG2a0
 
美緒「何だ? やはり飛ぶのは無理か?」

敏恵「そんな事ないですし!! あたし訓練なんか必要ないですよッ!?」ズイ

美緒「……」

敏恵「さっきの試験でもう分かったんでしょ!? 素人じゃないんだし、501のウィッチとして働けますってば!」

美緒「…本当にそうか?」

敏恵「は!? な、なん…??」


美緒「お前を実戦に出して、本当に平気なんだな? 工藤大尉」

敏恵「ッ…!! ば、馬鹿にしてます? これでもあたし5年間単機で戦ってたし、最近はこの辺のネウロイも倒しましたけど…? #」

美緒「知っている」

敏恵「それじゃあなんで?? まさか部下の訓練相手させる為に呼んだんですか!?」

美緒「勿論違う。落ち着け」

敏恵「だったら坂本さんこそ落ち着いて考えてくださいよ!? あたしはウィッチとして、今度こそ、守るためにここへ来てるんです!! #」クワ


美緒「……」

敏恵「っ〜〜!」グヌヌー


美緒「…はぁ。よし分かった、そこまで言うなら示してみろ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/01(土) 22:23:18.65 ID:EDldUG2a0
 

ハンガー



――ガション


敏恵「へへ、久々の飛行だ!」フィィン ピョコ


静夏(あれが夜間特化型戦闘脚、月光…)チラ チラ

美緒「準備は良いかお前達?」

敏恵「この機銃って13ミリですよね? あたしの九十九式と十八試三号は?」

美緒「模擬弾すら無い物を使えるか。塗料弾丸の用意があるのはその模擬戦銃だけだ」

敏恵「そっか…了解。じゃあこれ、もう一丁使っちゃおう」ハシ

静夏「えっ! 片手で扱うつもりですか!?」

敏恵「? うん、あたし放出〈シールド〉の魔法制御は下手だけど循環〈こういうの〉は得意なんだよね」ジャッ

敏恵「身体強くしたり、反動制御なら負けないよー? 昼間でだってナイトウィッチのお姉さんは強いんだから!」ニヘヘ

静夏「は、はあ…?」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 22:34:04.84 ID:EDldUG2a0
 
敏恵「…で、坂本さーん! 服部ちゃん倒したら認めてくれるんですよね?」

静夏「!? えぇっ……わ、私と工藤大尉で一騎打ちですか!?」ガビンッ

美緒「違う、そんな訳ない。服部はお前の味方だ」

敏恵「…? 味方って、じゃあ誰と模擬戦するの??」

美緒「待っていろ、お前を測るに相応しい相手がもう直ぐ来る」


――スタスタスタ


バルクホルン「すまない、待たせたか少佐?」

敏恵「…!」

静夏「!!?」


美緒「いや平気だ。急に呼んですまないな」

バルクホルン「私は構わないがミーナはぼやいていたぞ? また勝手に何か始めるのか、と」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 22:43:54.00 ID:EDldUG2a0
 
美緒「わっはっはっ! 施設予算を使い込んだ件ですっかり信用を失ってしまったな」

バルクホルン「…いや少佐、私も笑い事ではないと思う。大浴場は確かに有難いが――」

美緒「まあそれについては後で聞く。こちらの準備は出来ているからお前もストライカーを履いてくれ」

バルクホルン「ああ、まあ……そうだな(誤魔化された?)」


敏恵「あのー、もっさん? まさかあたしの相手は…」

美緒「うむ、そいつだ。手強いぞ?」

バルクホルン「ハイデマリー少佐から実力は聞いている。よろしく工藤大尉」トタ

敏恵「おぉー…501の戦闘隊長さんと模擬戦…!」

静夏(む、無茶だっ!! あのハルトマン中尉に次ぐ世界トップエースの一人ですよ!?)ゴクリ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 22:56:51.09 ID:EDldUG2a0
 
バルクホルン「さてと…。ハルトマン以外とやるのは久々だな」フィィィン ピョコ


バルクホルン「――…ん? 私の機銃が一つ足りないようだが」

美緒「ああ、それはさっき“隣の奴”に取られたぞ?」

バルクホルン「なに?」チラ

敏恵「え?? …あ! これ戦闘隊長さんの分だったんですか!? 横にあったからつい…!」アタフタ

バルクホルン「……なるほどそうか。ナイトウィッチは重火力が好ましいからな、お前も両手持ちをするのか?」

敏恵「えぇと、まあ…はい。でもこれ返します、ごめんなさい」

美緒「いやそいつはくれてやれバルクホルン。ハンデも必要だ」

敏恵(…っ! は??)カチン

バルクホルン「いいだろう、私は構わない」

敏恵(な、なにくそぉ〜!? こうなったら絶対に勝ってやるっ!!)

美緒「よし、では始めるぞ? 両陣営出撃!」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:02:23.64 ID:EDldUG2a0
 
――――
――




基地上空



――ブゥゥウンッ


敏恵「くっ…!! いまいち上手くいかない、もうずっと攻めてるのに…!」ダダダッ

静夏「工藤大尉、やはりバルクホルン隊長はわざと追われているのでは? 逃げに徹しられては普通に追い込むのは難しいかと思います!」゙

敏恵「違う! そんなのじゃなくてっ……出来る筈なの! あたしに任せて!!」

静夏「す、すみません…」






バルクホルン「――……少佐の言った通りだな。“ちぐはぐ”というか、確かに酷い」ブゥゥン

バルクホルン(だが実際それでも油断できない腕だ。…いったい“夜の女王”とやらはどれだけ高いレベルだったのか――)


美緒『大尉、聞こえるか?』ガザ


バルクホルン「…! ああ、聞こえてる。この調子なら向こうの弾切れまでやれるがどうする?」

美緒『いやもう十分だ。終わらせていい』

バルクホルン「そうか。……了解した」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:12:26.49 ID:EDldUG2a0
 
――



静夏「――…進言します工藤大尉!! 二手になりましょう!」ブゥゥン

敏恵「えっ!? や、でも服部ちゃんは…!」

静夏「大尉達の戦いに私如きが出しゃばる気はありません! しかし囮くらいはやらせてください、出来ます!」

敏恵「……わ、分かった。気を遣わせてごめん!」

静夏「とんでもありません! 自分がこのまま追いますから、大尉は――」


敏恵「――…!? 服部ちゃん、マニューバッ!!」クワッ


静夏「ぇ? …えっ、戦闘隊長が消えた!?」




ダダダダンッ



静夏「!?」ベシャシャ

敏恵「服部ちゃ――」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『あかんっっ! 皆逃げぇ!!』

『菊井ぃいーーッ!!!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「――っ゛…!!」ゾクッ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:24:12.89 ID:EDldUG2a0
 
静夏「な…?? これは!」



――ビュゥウォン


バルクホルン「すまないな軍曹」ブゥゥン


静夏「ぅ、後ろに!? そんな…! まさかマニューバ機動をしながら、狙い撃つなんて!?」

美緒『服部軍曹被弾確認。速やかに戻れ』ガザザ

静夏「っ……申し訳ありません大尉。離脱します…」ブゥゥン

敏恵「服部ちゃん…!」


バルクホルン「さて。そろそろこちらも攻めるぞ工藤大尉、覚悟はいいか?」


敏恵「くぅっ…! な、なにくそぉー!!」


――――
――
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:27:42.53 ID:EDldUG2a0
 

ハンガー


敏恵「…………」ベッチョリ

静夏「ぁ、あの工藤大尉…」


バルクホルン「――用事は済んだことだし、私はもう戻るぞ少佐」トタ

美緒「ああ、助かった。せっかくだから所見でも話してくれるか?」

バルクホルン「…いや、私から言うことは何もない」スタスタ


敏恵「……」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:45:24.62 ID:EDldUG2a0
 
美緒「どうだ、気は済んだか?」

敏恵「納得いかない。さっきのは何ていうか、偶々調子が出せなかっただけだし」

美緒「……成る程、そう取るか」

敏恵「療養で離れてて、数カ月ぶりでいきなりだったからそれで。…あんまり思ったように出来なくて」

美緒「だから苛立つと?」

敏恵「それは……まあ、他にも色々…」モゴ

美緒(やれやれ、これは師弟揃いに嫌われてしまったか?)

敏恵「……」


美緒「服部」チラ

静夏「は、はい! 何でありましょうか!?」ビク

美緒「すまんが先に外せ。今日はもう休んでいい」

静夏「はあ…? はい、了解しました」ソソクサ
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/01(土) 23:52:05.75 ID:EDldUG2a0
 
美緒「ふむ、まあしかしこういう結果だ工藤大尉。まだお前を出撃すわけにはいかない」

敏恵「でも…」

美緒「悔しいだろうが今直ぐは無理だ、許可できん。お前も自身が万全でない事は実感したんだろ?」スタスタ

敏恵「ぅ…」ギク

美緒「お前の言う通り、最終的には501の戦力として加わるさ。その為に中佐はお前を呼んだんだ――」ツン


美緒「…だが逸るな? 部隊の本格的な動きまではまだ時間がある。その間にお前は“お前”に追いつかねばならん」


敏恵「えっ、あたしが……あたしに??」

美緒「そうだ」

敏恵「そ、それってどういう…?」

美緒「具体的な話は短くないからまた今度だ。…取り敢えず、体中の塗料が乾ききる前に洗い流しておけ」

敏恵「……」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 23:55:36.65 ID:EDldUG2a0
一旦ここまで
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/03(月) 22:44:16.70 ID:jIaeIlfOo
乙でしたー
更新頻度上がってうれしい
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/14(金) 06:43:16.60 ID:BKlv/Tcf0
ぼちぼち……ぼちぼち… φ(-×-;)
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/14(金) 06:46:30.98 ID:BKlv/Tcf0
 

廊下


敏恵「はぁもう、やるせない…」テクテク


敏恵(そりゃあ確かに負けは負けだし、いい所も全然なかった。ハンデまであって、2対1なのに――)

敏恵(よりにもよって“また”あたしは、あんなっ……あんなにあっさり!!)


敏恵「ッ……違う! あんなのじゃないんだ、あたしは! もっとこう…上手くやれるのに…」グヌ


敏恵「…………。はぁ…」

敏恵(こんなんじゃエステルちゃんに笑われちゃうな。明日もう一回頼み込んで、なんとか本領発揮しないと――)



『えー! じゃあそのネウロイをやっつけないとずっとコノ調子なのかー!?』



敏恵「…! ネウロイ?」ピク
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/14(金) 06:50:54.20 ID:BKlv/Tcf0
 
『やけに嫌そうだなエイラ、何か不満があるのか?』


敏恵(この部屋…? マリの執務室だったけど、今は501の隊長さんが使ってるのかな?)

敏恵(何の話してるんだろ? ちょっと気になる…)ソー




執務室


エイラ「不満っていうか、つまりソイツをワタシ達に“丸投げ”するってコトなんだろー?」

バルクホルン「夜間に出没しているという情報なんだから当然だろ。お前は今何を聞いていた?」

シャーリー「いや、まあ何となく意味はわかるけどさ。エイラ言い方がね…」チラ

ミーナ「うふふ、こっちを見なくても心配ないわよシャーリーさん?」ニコ

シャーリー「えぁ、はい。すみません」アハハ…

ハイデマリー「……」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/14(金) 06:58:00.67 ID:BKlv/Tcf0
 
ミーナ「エイラさんの主張は理解してるわ。サーニャさんの負担を気遣ってくれているのよね?」

バルクホルン「…ああ、そういう意味だったのか。まったく相変わらずなんだな?」

エイラ「な、なンだよ大尉… //」タジ

ミーナ「確かに標的が決まっているならたとえ夜でも専門外の人員を割くわ。今までもそうだったわね?」

シャーリー「ですね」

ミーナ「だけど今回は貴方達だけで先ず対応してみて欲しいの。2人にハイデマリー少佐まで加われば相当な危険もない筈だし、今後の為に“夜間チーム”の運用目処は確かめないといけないわ」


ハイデマリー(ミーナ中佐はやっぱり、工藤さんの固有魔法について把握してる。きっとその為に――)モヤモヤ

ミーナ「だから今夜は3人揃って情報にあった空域を哨戒して頂戴。諸々を考慮して現場指揮は少佐に任せるから」

ハイデマリー「……」

ミーナ「頼むわねハイデマリーさん?」チラ

ハイデマリー「ぇ? ぁ、はい。…了解しました」コク

エイラ「んん…。しょうがナイなー」





廊下


敏恵「――ほうほう、今夜の哨戒でネウロイを…?(というかマリ起きてるし)」

敏恵(でもこれはちょっと、チャンスかも! いいこと聞いた!)


敏恵「…よし。となったら、どうにかしてあたしも出撃ないと!」トタタ
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/15(土) 01:44:56.31 ID:bUUD6w+7o
待ってた!
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:04:42.32 ID:dxocCx4D0
 
―その夜―

ハンガー


ハイデマリー「……」ガション

エイラ「ちゃんと眠れたかサーニャ?」

サーニャ「うん、大丈夫。エイラも無理しないでね?」

エイラ「ワタシは平気だって!サーニャがいるのに調子悪くなんてならないさ」

サーニャ「…ハイデマリーさんも、よろしくお願いします」

ハイデマリー「ぁ、はい。こちらこそ」

サーニャ「ふふ…♪ サン・トロン基地コントロール、夜間発進路の確認をお願いします」

『了解! 滑走進路および上昇空域クリア、風は――』ガザ

エイラ(ネウロイ撃墜任務だっていうのにナンか、やけに上機嫌じゃないかサーニャ? …まさかハイデマリー少佐がいるからか!?)モヤモヤモヤ
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:09:20.53 ID:dxocCx4D0
 
ハイデマリー(ミーナ中佐の仰った意味。これから敵地を攻める局面で“工藤さんの夜間視”に頼る戦略も想定しているという事…)

ハイデマリー(そして私が“その時”の指揮を執るかもしれない)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

小園『今度こそあいつは己の意思で戦いに来た。…但しそれ故にどうにも危うい』

小園『…私が抱くその懸念を、君にも共有させておく』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ハイデマリー「……」



ウィィ… ガゴォン


ハイデマリー「?」ピク


整備兵「13番、発進ユニットオーケー! ウェポン重いが下げ過ぎるなよ?」

ハイデマリー「…あの、すみません?」

整備兵「え? あっ失礼しました少佐殿、お邪魔でありましたか」

ハイデマリー「あ、ぃぇ! それはいいんですけど、どうして工藤大尉のユニットを…?」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:14:48.41 ID:dxocCx4D0
 
整備兵「はっ! これは訓練飛行用に点検と準備をしておくよう、坂本少佐の御指示との連絡を受けまして」

ハイデマリー「…こんな時間に、ですか??」

整備兵「明日の早朝にお使いになるそうで、弾薬装填も済ませて今のうちに出しておけと」

ハイデマリー「……。その連絡、誰から聞い――」


ガザザ

エイラ『アレ、いないぞ? …オーイ、ハイデマリー少佐! まだ発進してないのかー?』


ハイデマリー「!」

エイラ『どうしたんだ? ナンかトラブルかー?』

サーニャ『あの、大丈夫ですか…?』
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:26:52.12 ID:dxocCx4D0
 
ハイデマリー「ぃ、いえすみません! 問題ありませんので、今から出ます…!」ガシャコ


ゴォォォ――

ブゥゥウン――…




整備兵「……よし。後は夜番に任せて、もう寝るか」


整備兵(しかしあの大尉殿にまたお会いするとは、俺も運が良いのか悪いのか……つい下心でこんな時間まで働いてしまった。明日早朝当番なのに)ムッツリ



――タッタッタッ


敏恵「お疲れ整備兵さん!」ポン

整備兵「ん? えっ…!」


敏恵「そい!」ダッ スポ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/07/16(日) 11:35:21.80 ID:dxocCx4D0
 
整備兵「大尉殿!?」

敏恵「よし、今マリが出たばっかだからまだ発進路安全だよね」フィィン ピョコ

整備兵「…いやあの、ちょっと? 何をしてるんですか大尉??」

敏恵「ぇ? あ、あー……ごめんなさい。坂本さんの命令っていうの、実は嘘です」テキパキ

整備兵「は?」

敏恵「騙して本当すみません。でもあたし、どうしても行かなきゃいけないの!!」ジャギンッ

整備兵「……ぁいえ、はい。お気をつけて…」タジ


敏恵「うん、どうもありがとう」ジッ

整備兵(――! //)ドキィ



敏恵「〜うしっ! さあ行くよ月光、ネウロイを倒さなきゃ」


敏恵「…発進!!」


ガジャンッ


ブゥゥウウン――
 
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/14(月) 22:31:30.61 ID:hU78NFIy0
 

ベルギガ領上空


エイラ「取り敢えずライン川まで直行する感じなのか?」

ハイデマリー「はい、サン・トロン周辺の警戒は基地に任せて先ずは急ぎましょう。なるべく余力を保った状態で敵を探します」

サーニャ「了解」



「おぉーーい、待って〜〜!」



ハイデマリー「…!」

サーニャ「?」


――ブゥゥウン


敏恵「ふぃ〜よかった! 見失ったかと思った」

ハイデマリー「工藤さん!?」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:35:15.39 ID:hU78NFIy0
 
エイラ「オイオイ、なんで大尉まで? 聞いてないぞー」

サーニャ「…えっと、管制に確認してみます。随行指示が出ていたのかも」ス

敏恵「あっ!! 駄目、待って!?」

サーニャ「ぇ?」

エイラ「なんだよ? 基地に連絡させると都合が悪いのかー?」

敏恵「その、それは〜…えぇー……なんというか、あのぉ…――」

ハイデマリー「…自己判断で出撃したんですね? 恐らくどこかで今夜の任務を知ったから」

サーニャ「それって、つまり…」

エイラ「まあ命令違反だな。工藤大尉はまだ待機指示だって中佐も言ってたぞ」

敏恵「ぅ…!!」ギク
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:37:01.20 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「……」

敏恵「だ、大丈夫! 芳佳ちゃんのおかげで身体は平気だから、心配ないよ!?」

ハイデマリー「ですが…」


エイラ「――まあ、しょうがないな」ヤレヤレ

サーニャ「エイラ?」

エイラ「べつにイイんじゃないか? 戦力多いなら楽だし、クドー大尉は夜間専門のキャリアもあるから足手まといにはなんないだろ」

敏恵「お…! うんうん、その通り!」

エイラ「どうするハイデマリー少佐? 一応指揮官の判断に任せるけど、ワタシ達が一緒なら平気だと思うし、さっさと任務終わらせた方がイイんじゃないか?」

サーニャ(エイラってば、まさか引き返すのが面倒だとか思ってないよね…?)ジー
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:39:22.56 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「…………分かりました。ではとにかく哨戒はこのまま、続けましょう」

敏恵「本当に!? やった!」


ハイデマリー(小園大佐やミーナ中佐達が危惧している工藤さんの“何か”…――)

敏恵「ありがとうマリ!」ニッ

ハイデマリー「は、はい(――こうなったらいっそ、直接確かめた方がいいのかもしれない。ただ闇雲な不安を思うよりは…)」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/14(月) 22:43:46.20 ID:R1Cyu1aTo
来たっ!待ってたよ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:45:31.39 ID:hU78NFIy0
 
――――
――



敏恵「――じゃあ巣じゃなくて、ライン川の近くで何かが…?」

ハイデマリー「はい。506のウィトゲンシュタイン少佐が不審なネウロイの痕跡を確認しています」

ハイデマリー「…恐らくここ最近昼間に頻出していた飛行型らしき群はそのネウロイが要になっていると、ミーナ中佐はそう考えているようです」

敏恵「“らしき”って?」

エイラ「足の生えてるヤツがいたんだ。ワタシも昨日出撃して何体か見たぞ?」

敏恵「えっなにそれ、飛んでるのに脚付いてるの?」

サーニャ「……。つまり地上型のネウロイだったという事ですか?」

ハイデマリー「可能性はあると思います。実際に形だけでなく変質をも実現するネウロイがいる話は“聞いた”ことがあります」


敏恵(…マリが言ってるの、前に戦ったネウロイ・リーパーのことかな? やっぱり緘口令で――)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ――ズブリッ

『ッごぎゅ!? ゥぅ゛…!!』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「!?」ゾワッッ


敏恵「…? ……??」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:51:38.41 ID:hU78NFIy0
 
エイラ「まーとにかく、ソイツをなんとかしないとダメなんだってコトらしい」

ハイデマリー「はい。セダン基地からの情報によると、ガリアでも国境対岸の森林倒木が北〈ベルギガ〉側を中心に発見されたそうです」

サーニャ「…地上型のネウロイが進行した跡ですよね?」

エイラ「ソー言われてみると確かに、この辺の沿岸も向こう側だけやけに荒れてたよなー? 侵略地だからそんなモンだと思ってたけど」

ハイデマリー「いえ、501の皆さんが来る最近までは繁茂したままでした。占領地内で最も外れの沿岸部は地上荒廃もまだ消極的な筈なんです」

エイラ「てことは中佐の読み通り、やっぱナンかいるのか? メンドクサイナー」

サーニャ「エイラ、大事なことだから」

エイラ「ウン、わかってるけどさァ。夜にコソコソ企むなんて手のかかる敵だよな〜マッタク」


敏恵「…………」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 22:56:10.66 ID:hU78NFIy0
 
ハイデマリー「……工藤さん?」

敏恵「…! ん、なに?」

ハイデマリー「大丈夫ですか?」

敏恵「え? 何が?」

ハイデマリー「いえその、急に黙っていたので」

敏恵「ぁ…うん、ごめん。久しぶりだからちょっと緊張してきちゃって」

ハイデマリー「……」

敏恵「でも大丈夫、あたしが絶対そのネウロイやっつけるから。任せて」

ハイデマリー「ぃ、いえ。べつにそういう心配では…」

敏恵「……」

ハイデマリー「(工藤さん…?)ぁ、あの――」



ハイデマリー「!」フィン フィン

 
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/14(月) 23:04:52.76 ID:hU78NFIy0
 
サーニャ「…! 飛行体の反応です」フィィン

敏恵「!?」

エイラ「お、ホントにでた! ネウロイか?」

サーニャ「うん、周辺空域で他のフライトプランは特にないわ」

ハイデマリー「方向およそ1時。…距離から推測してほぼライン川の上空かその先ですから、間違いありません」

敏恵「マリ、上下はどっち!?」

ハイデマリー「ぇ…? あ、高度はかなり低い位置です。ただ――」

敏恵「下だね? ありがとう!!」バッ

ハイデマリー「あっ、駄目です工藤さん! 待ってください!?」


ブゥゥウンッ――



エイラ「…オイなんだよクドー大尉、突然はりきり出したぞ? 結構好戦的なヤツなんだな」

ハイデマリー「……ぃ、ぃぇ。“もう”そんな事ない筈ですが…」

エイラ「ヘ?」

サーニャ「――! この反応…!」フィィン

エイラ「ン?」

サーニャ「ハイデマリーさん、私達も」チラ

ハイデマリー「…はい、そうですね。直ぐ追いましょう!」


ブゥゥウン――



エイラ「あ、ナンだよオイ! 待ってくれよサーニャ〜!?」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:19:44.04 ID:uqGYSXL70
 

ベルギガ=カールスラント国境

ライン川上空



――ブゥウウン


敏恵「はぁ……ふぅ…。見えた、あれだ」~フワ






ネウロイ「……」ゴゥン ゴゥン






敏恵「結構遠いなぁ。これ以上行くと敵地侵入〈ごはっと〉か…」ジー

敏恵(でも超夜間視力は冴えてる。相変わらずはっきり見えるし、小さいけどコアも――)


敏恵「――…! ちょ、えっ!? なにあれ下に沢山いる…!!」
 
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:25:40.65 ID:uqGYSXL70
 

「「「…………」」」ゾロゾロゾロ


ネウロイ「…〜〜」ペカー


「ッ…!?」ズズズ


ネウロイ「〜〜〜〜」


「…ー! ~~!」フヨフヨ






敏恵「むぉ、おお…! 一個浮いた!? 昇ってる!」ガーンッ

敏恵(なるほど、ああやって“夜なべ”された兵隊達が日中に突破して来てたんだ)


敏恵「…よし! だったら先ずあいつのコアを撃ち抜けばいいよね!?」グィ

敏恵「この十八試三号機銃の特性30ミリ魔導徹甲弾なら届く。遠くてもこれ位なら、余裕で狙える!」ガジョンッ





ネウロイ「〜〜〜〜」





敏恵「…すぅ……はぁー…、すぅ……」ドキドキ
 
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:30:47.08 ID:uqGYSXL70
 


ネウロイ「〜〜〜〜」





敏恵「はぁ………すぅ、はぁ…。んっ…」ゴクリ

敏恵(…食らえネウロイ、あたしが絶対退治する!)グッ


敏恵(――今度こそ、先にッ…!!)ガチィ



ドォォウンッッ



ヒュゥゥゥンッ――



敏恵「…! 外れた!?」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:38:20.99 ID:uqGYSXL70
 
敏恵「ぐっ……何やってんのあたし!! ちゃんと狙え!」ガチ


ドフッ ドォオンッ



ヒュゥ ヒュゥウウン――



敏恵「!!? …〜〜ッ!! く、くそ! なんで!? #」ドフドフドフドフッ






ネウロイ「〜〜――」スカ スカ

ネウロイ「…? ……!」


ネウロイ「ーー! 〜ー!」ゴゥン ゴウン

 
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:50:51.39 ID:uqGYSXL70
 

敏恵「こ、こっちに来る…! 気付かれた!?」ビク





ネウロイ「…ー〜〜」ゴゴォォ…





敏恵「ッ…!?」ゾワッ


敏恵「く、来るな!! このぉ!」ドフドフドフ

敏恵「中れっ…! あたれぇえッ!!」ドフドフドフドフ




ネウロイ「〜〜、ー…」スカ スカ スカ

 
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 21:58:09.46 ID:uqGYSXL70
 

敏恵「――ぅ…! た、弾切れ!?」カシュ カシュ


敏恵「ど…ぇ、えぇと……っ! 弾帯を――」アセアセ


〜ズルッ


敏恵「あっ!」


ヒュゥ〜〜……↓


敏恵「〜ッ゛……ぅぅ、くぅ…!!(き、九十九式機銃――)」アタフタ





ネウロイ「……。ーー!」ギラ



ビイィィーーッッ



敏恵「ひゃあっ!!?」バジュゥン


敏恵(ぶ、武器が…! ネウロイのビームが、あぁ…ぁたしの横を!?)ザワザワザワ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:22:13.23 ID:uqGYSXL70
 

ネウロイ「……」ゴゴゴォ…




敏恵「――ッッ…!!!」ゾワワッ

敏恵「うっ…なんで、こんなに。あたし、こんな筈じゃ…!?」ワナワナ



『――…工藤さん!』ガザザ


ドォオンッ



ネウロイ「ッッ! …!?」バギィン




ハイデマリー「大丈夫ですか工藤さん!?」ブゥゥンッ

敏恵「……ま…、マリ…!」

エイラ「たくー、大尉が全速力で行くから追うの大変だったぞ? ていうかどういう状況だコレ?」ブゥゥン
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:33:28.24 ID:uqGYSXL70
 
サーニャ「前方、迫って来る未確認飛行型1体。他に複数の動体反応が対岸数キロ地点にいるわ」ブゥゥン

エイラ「そっちは地上型か? 川の向こうじゃ手が出せないな」

ハイデマリー「…ユーティライネン中尉は飛行型ネウロイを陽動、対岸の群から十分に孤立させて、サーニャ中尉の火力で動きを止めてください!」

サーニャ「了解。エイラ」コク

エイラ「オウ! そんじゃ、やるか〜」ブゥゥン



ハイデマリー「ふぅ…。突然先行して、どうかしたんで――」ス

ハイデマリー「!?」

敏恵「……ご、ごめんマリ。あたし…っ」ガクガク

ハイデマリー(装備が殆ど無くなって――…いやそれより、明らかに様子が変!)
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:43:17.30 ID:uqGYSXL70
 
ハイデマリー「…大丈夫ですよ工藤さん。無理はしないで、さがっていて下さい」

敏恵「!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――大丈夫やで、いたっちゃん! 心配無用や』


『あかんっっ! 皆逃げぇ!!』


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「っ……だ、だめ。……駄目だょ、マリ…?」ハシ


ハイデマリー「ぇ?」

敏恵「だっ…“大丈夫”じゃない…。 あたしは、もぅ……逃げなくて平気なの…!」ワナワナ

ハイデマリー「ですが、あの――」

敏恵「だって、もう違うんだよ!? あたしはやれるんだから!! な、何度も何体もッ……憶えてるんだから!!」

ハイデマリー「…く、工藤さん?? いったい何の話を…?」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:48:44.65 ID:uqGYSXL70
 
敏恵「ぁ、そうだ! まだ奥の手が――」ゴソソ

敏恵「銃弾は終わっちゃったけど、この小太刀があるから!」

ハイデマリー「それは…! まさかまたネウロイに突き立てて魔法力を流す気ですか!?」


敏恵「これなら外すもんか……これならッ!!」ブゥゥンッ



ハイデマリー「待って、危険過ぎます! 今の工藤さんでは――」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:55:36.31 ID:uqGYSXL70
 

――




ネウロイ「ーー!」ゴゥン ゴゥン


ビビィーーッ



エイラ「おっと! 危ないな」ヒョイ

エイラ「…そろそろイイんじゃないか? サーニャ〜!」

サーニャ『うん、離れてエイラ』ガザ



バシュシュゥウウゥウ――


ネウロイ「ーッ…ッッ゛…~!!」ドゴォォア



サーニャ『全弾命中。ネウロイが怯んだわ』

エイラ「でも意外と頑丈だな? コアは吹き飛ばなかったのか」

サーニャ『…私の残弾で残りの装甲を剥がしてみるから、エイラがコアを』

エイラ「エ? イイけど、失敗したらサーニャ危なくないか!?」

サーニャ『一発は残すから大丈夫。まだハイデマリーさん達がいるし、撃ったら直ぐ下がるわ』

エイラ「ン……分かった。じゃあ今のうちに――」


ハイデマリー『爆撃待って下さい!』ガザザ
 
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 22:57:09.26 ID:uqGYSXL70
 
エイラ「オ…? どうしたハイデマリー少佐?」

ハイデマリー『工藤大尉がその……っ…』

エイラ「??」

サーニャ『ハイデマリーさん?』

ハイデマリー『と、とにかく大尉がもう敵に向かってしまって…。私が止めるのでお二人は援護をお願いします!』


エイラ「……ナンダヨもー。やっぱり好戦的なんじゃないか、クドー大尉」ヤレヤレ

サーニャ『…でもエイラ、私達も言われた通り援護しなきゃ。もうネウロイが動き出すわ』
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/17(木) 23:01:37.34 ID:uqGYSXL70
 
――



――ビュォオオォンッ


敏恵「この為に戻って来たんだ、やらなきゃ…!!」ビュォォ





ネウロイ「…!」

ネウロイ「〜ー」ゴゥン ゴゴォ…





敏恵「!?」ゾワ


敏恵(っ…恐い筈ない、もう昔の事だ! 今まで通りネウロイを倒すだけ!!)




ネウロイ「ーー!」ギラ


ビィーーシュゥウッッ



敏恵「――!! どぅぃ゛…!!!」パァアッ


ズズンッ


敏恵「ぐッ…!」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:08:50.99 ID:uqGYSXL70
 
敏恵(ど、どうして…?? ビームが避けられない!?)~ヨロ

敏恵(…なんで? どぅしようぁたし、このまっ……このままじゃ、また!!!)ザワザワ


敏恵「――…はっ、はぁ……!!」チラ




ネウロイ「…〜」ギラリッ




敏恵「ぅぅ…!」

敏恵(守らなきゃ、まもらなきゃまもらなきゃまもらなきゃ――)グワグワ グワン




ネウロイ「ーー!!」カッ



ビビィイイーーーーッッ



敏恵「ま、まも…――」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:37:36.29 ID:uqGYSXL70
 

――ビュゥウウンッッ


ハイデマリー「工藤さん、私の後ろに!!」バッ

敏恵「…!?」


パアアァッッン


ハイデマリー(あ、危なかった…! やっぱり今の工藤さんは何かおかしい)


敏恵「……ぁ、ぁあっ…」ワナワナワナ


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『――皆逃げぇ!!』バッ



『菊井ぃいーーッ!!!』




ジ ュ オォ ン ッ ッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敏恵「ぅ゛うぅ……〜っ、ぁああぁあ゛!?!?」ガバッ

ハイデマリー「――!」

敏恵「〜ゃ、やめて!!」

ハイデマリー「ぇ…!?」

敏恵「いぃやだ、マリッ!!!」


ハイデマリー「く、工藤…さん??」ザワ
 
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/08/17(木) 23:43:59.24 ID:uqGYSXL70
 

第四話:傷の錘 に続く

 
186 :>>1 [sage]:2017/08/18(金) 21:05:36.95 ID:ethE49LG0
納得のいくものがどうしても書けないので無期限休止すると思います。
落ちたらすみません
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