島村卯月「ご注文は?」

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102 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:50:51.17 ID:Rq+CpuVh0

 *


加蓮「いらっしゃいませ」


いきなり加蓮ちゃん出てきた!

なんだか新鮮です、ウェイトレス姿の加蓮ちゃん。


加蓮「……ん?」


しかし加蓮ちゃんはすぐに営業スマイルを崩し、訝しむような目へと。


加蓮「…………」


まずいです。加蓮ちゃん、じーっと私たちのことを見てます。

これはもうバレたんじゃ……と思いきや、加蓮ちゃんが笑顔に戻りました。


加蓮「お客様、5名様でお間違いないですか?」

奈緒「アッハイ(裏声)」

加蓮「では、席へとご案内いたします」


良かった、バレてなかった。

他のお客さんと同じように案内してもらえるみたいです。


加蓮「テラスの立ち食い席でよろしいですか?」


そう言って、加蓮ちゃんが店の外を指差しました。


『(立ち食い……席……?)』


私たちの頭に疑問符が浮かびます。

それもそのはず。私にはそんな席があるようには見えず、ただの道端にしか見えません。おそらく他のみんなもそうでしょう。

そもそも立ち食いなのに、席とはいかに。


加蓮「お飲み物は道路の自動販売機でお買い求めください♪」

奈緒「遠回しに入店拒否するな!」


奈緒ちゃんがその天性のツッコミ体質に逆らえず、素でツッコミを入れてしまいました。

103 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:52:20.64 ID:Rq+CpuVh0

奈緒「はっ!? しまった!?」


自らの過ちに気付くも、時すでに遅く。

加蓮ちゃんの営業スマイルが次元の彼方へと消え去り、氷河期を想起させるほどの冷たい瞳に変わりました。


加蓮「……奈緒、何しに来たの?」

奈緒「べ、別に〜? テキトーにぶらついてたら疲れたから、ちょっと喫茶店入ろうかと思って……えっ、もしかしてここ、加蓮のバイト先だったのか!? し、知らなかったぁー!」


大根役者の素養を存分に見せつける奈緒ちゃん。この演技を見た観客はきっとあくびを隠せないことでしょう。

しかし加蓮ちゃんからはあくびではなく、深いため息が。


加蓮「はぁ……それにみんなまで来てるし」


加蓮ちゃんの視線を受けておとなしく変装を解くと、私たちはここに来た理由を白状しました。


凛「あの状態の奈緒はほっとけなくて」

卯月「加蓮ちゃんがどんなお店で働いてるのか、見てみたかったから」

未央「なんか面白そうだったから来てみたよ」

ありす「巻き添えです」


気のせいか、後半になるほど理由が酷くなっていった気がします。


加蓮「うん、事情は大体分かった。もうとりあえず席に案内するから、ついてきて」

奈緒「立ち食い席じゃないよな?」

加蓮「奈緒だけホントにそうしてもいいけど?」

奈緒「普通の席でお願いします」

104 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:53:39.33 ID:Rq+CpuVh0

私たちは立ち食い席ではなく、きちんとしたテーブル席に案内されました。

席に座ると、加蓮ちゃんが呆れたような表情で奈緒ちゃんに問いかけます。


加蓮「ホントさあ……奈緒はそんなに私のこと気になるわけ?」

奈緒「だ、だからあたしは偶然この店に来ただけだし! 加蓮のことなんてこれっぽっちも、考えてすらいなかったんだからな!」


むしろ脳内が加蓮ちゃんオンリーだったことは想像に難くないのに、よくああも無理のある供述が出来るものです。

そんな耳まで真っ赤になりながら言い訳を続ける奈緒ちゃんを、未央ちゃんが指差して。


未央「見てごらん、ありすちゃん。あれがツンデレってやつだよ」

ありす「なるほど、あれがそうなんですか」

凛「確かにいい見本だね」


奈緒ちゃん、ありすちゃんの社会勉強の教材にされてる……。

不憫に思い、私は奈緒ちゃんをフォローすることにしました。


卯月「加蓮ちゃん、今はそれくらいにしてあげない?」

奈緒「ナイス卯月!」

加蓮「そだね、仕事中だし。……帰ったらこってり絞ればいいだけだし」

卯月「うん、そうして」

奈緒「卯月。お前、味方に見えるけど実はあたしの敵だろ」


心外なことを言われました。せっかくフォローしたのに、あんまりです。

105 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:54:19.38 ID:Rq+CpuVh0

未央「それにしてもここ、随分お洒落なお店だよね」

ありす「中々の素敵空間です」


言われてみると、お店の中はブルームよりも広く余裕があり、インテリアは洋風で凝ったものになっています。

ありすちゃんの言うように、素敵な空間です。

……しかしなぜでしょう、それを素直に認めるのには抵抗が。


卯月「ま、まあ、うん……そこそこ、いい感じだよね。……ブルームも負けてないけどねっ」

凛「卯月……」


心なしか、最近、凛ちゃんに憐れみの視線を向けられることが多い気がする。……きっと気のせいですね。

106 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:55:12.68 ID:Rq+CpuVh0

何か注文をしようとお店のメニューを見てみると、よく分からない単語ばかりが並んでいました。

エスプレッソやキリマンジャロなどの、見覚えのある単語が見つかりません。


卯月「? 加蓮ちゃん。ここ、喫茶店じゃないの?」

加蓮「喫茶店だよ。コーヒーがメインのブルームと違って、ハーブティーがメインのね」

卯月「あ、そうだったんだ。どうりで」


コーヒーに『カモミール』なんてあったっけ? と疑問に思いましたが、ハーブティーのことだったんですね。

私の横では、未央ちゃんがメニューを見て頷いています。


未央「ふむふむ……なるほどね」

ありす「未央さん、ハーブティーのこと分かるんですか?」

未央「いやさ……カルダモンって、デ○モンっぽくない?」

ありす「はい?」

奈緒「確かに。でも『カ』に濁点が付けばもっといいよな」

未央「だよね!」

ありす「……聞いて損しました」


そういえば以前奈緒ちゃんに聞きましたが、今年で20周年らしいですね。

107 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:55:53.68 ID:Rq+CpuVh0

どうやら私たち全員、ハーブティーには詳しくなかったようです。


凛「加蓮に注文任せていい?」

加蓮「りょーかい。じゃあ、それぞれにオススメなのを―――」



「あら……? 橘さん?」



ふいに、ありすちゃんを呼ぶ声が聞こえました。


ありす「はい、私こそ橘ですが―――」


念を押すように自ら橘と名乗りながら、ありすちゃんが声のした方に振り向きます。

私もそちらを見てみると、そこにはありすちゃんと同じくらいの歳に見える女の子がいました。


「やはり、橘さんでしたのね」

ありす「―――櫻井さん?」

108 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:56:31.72 ID:Rq+CpuVh0

声をかけてきた彼女は、櫻井桃華ちゃん。ありすちゃんのクラスメイトだそうです。


ありす「それにしても、こんな所で会うとは奇遇ですね」


ありすちゃんが、隣の席に座ってもらった桃華ちゃんに話しかけました。


桃華「いえ、奇遇ではないですわね」

ありす「? それはどういう……」

加蓮「ありすちゃん、店長のクラスメイトだったんだね」

『……店長?』


声を揃えてそのまま返す私たち。みんな一様に目が点になっています。


ありす「店長って……え、まさか……」


そして困惑するありすちゃんを前に―――桃華ちゃんは驚きの事実を告げました。


桃華「改めまして……当店、ラヴィアンローズの店長を務めている、櫻井桃華ですわ」


『えぇええええええええええええええっ!?』


桃華ちゃんは、まさかのこども店長だったのです。

109 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:57:09.72 ID:Rq+CpuVh0

桃華ちゃんの話によると、実際の仕事はほぼ全て副店長さんがやっているらしいです。

ラヴィアンローズは桃華ちゃんのパパが経営しているお店の一つで、溺愛している愛娘の桃華ちゃんを可愛さのあまり店長に据えたそうな。……親ばか、ここに極まれりですね。


桃華「そういうわけで、ほとんど名前ばかりの店長ですわ」

未央「それでもすごいよ!」

ありす「全然知りませんでした……」

桃華「あえて喧伝することでもありませんので」


そう言って、ティーカップに口をつける桃華ちゃん。

その優雅な所作からは育ちの良さがうかがえ、見ていると思わずため息がこぼれます。


卯月「凛ちゃん、本物のお嬢様だよ! 麗しいねっ!」

凛「恥ずかしいから騒ぐのやめて!」


怒られました。

110 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:58:08.93 ID:Rq+CpuVh0

加蓮「店長。実は卯月も喫茶店の一人娘なんですよ」

桃華「あら、そうでしたの?」


桃華ちゃんの視線が私へと向けられます。

ここは私も、さっきの桃華ちゃんのように。


卯月「改めまして……喫茶店フルブルーム・スマイリィ、次期マスター(予定)の島村卯月です」

凛「張り合おうとしなくていいよ」

未央「バイトの本田未央です」

凛「未央も続かなくていいから。自己紹介ならさっきしたよね?」

未央「そしてもう一人!」

卯月「頼れるバイトの渋谷凛ちゃんです♪」

凛「私まで巻き込まないで!」


そして、私と未央ちゃんは凛ちゃんの横に並び―――締めのポーズを決めました。


卯月・未央『私たち、ブルーム3人娘☆』

凛「ポーズとかやめてったら! 恥ずかしいにもほどがあるよ!」


そんなこと言いつつも一緒にポーズをとってくれた凛ちゃんが、私は大好きです。

私たちを見た桃華ちゃんからは、くすくすと上品な笑みがこぼれています。


桃華「面白い方たちですわね」

ありす「……他人の振りしたいです」

奈緒「その気持ち分かる」

111 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:59:01.04 ID:Rq+CpuVh0

 *


あまり長居してもあれなので、そろそろ私たちはおいとますることに。


卯月「桃華ちゃん、今度ぜひうちの店に来てね」

桃華「ええ。機会があれば、ぜひ伺わせていただきますわ」


お店を出る前に、私はそんな約束を桃華ちゃんと。

ブルームに来てくれたら、とびきりのコーヒーでおもてなししてあげようっと。


奈緒「さて、じゃあ帰るとするか」

未央「だね」

加蓮「あ、待って奈緒」

奈緒「ん?」


お店を出ようとした奈緒ちゃんを、加蓮ちゃんが呼び止めました。そして、そのまま奈緒ちゃんに近寄ります。

きっと、なんだかんだ言って加蓮ちゃん、奈緒ちゃんが来てくれて嬉しかったんですね。お礼でも言うのかな?

そして加蓮ちゃんは、奈緒ちゃんの耳元に口を寄せました。


加蓮「バイト上がったら、奈緒の部屋行くから。……覚悟しといて」

奈緒「……」


どうして奈緒ちゃん、まるで死刑宣告を食らったかのような表情をしてるんだろう……。


その後、やけに口数が少なくなった奈緒ちゃんと共に、私たちはラヴィアンローズを後にしました。

112 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/07/09(日) 23:59:45.91 ID:Rq+CpuVh0

 *


その日の夜、奈緒の部屋にて。

加蓮は底冷えするほどの冷たい表情で、正座する奈緒を見下ろしていた。


加蓮「―――大体、店に来るなら普通に客として来ればいいでしょ? なにあの小賢しい変装。こそこそと見守る気満々じゃん。ストーカーじゃないんだからさ。それとも何? 奈緒は私のストーカーなの? 警察呼んだ方がいい?」

奈緒「あたしが悪かったから、もう勘弁してくれよぉ……!」

加蓮「ダメ」


涙目の懇願は即座に却下。

加蓮が勘弁するまで、奈緒は1時間こってり絞られたのだった。

113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/10(月) 01:02:48.26 ID:3ypJxIqo0
ゆったりした雰囲気良い…乙
喫茶店=ウサミンってイメージ固定がされてしまうがもし出るならばきっと歴戦のベテラ…ミミミン♪ミミミン♪ウーサミン★ミ
114 : ◆mqlRkew9nI/5 [sage saga]:2017/08/02(水) 21:10:40.66 ID:P/qh5XhU0

 ***


前川みくは、未央の所属するクラスの委員長を務めている少女である。
眼鏡をかけ、いかにもマジメそうな雰囲気の漂う少女だ。

今は放課後の掃除の時間。
みくは教室の掃除当番なのだが―――。



みく「いい加減にしなさぁーーーーーーいっ!」



あらん限りの大声で、みくは叫んだ。


未央「わ、びっくりした!? ど、どしたの、みくちゃん」

みく「どうしたもこうしたもないでしょ!? 今は掃除の時間なんだよ!? なんで……なんで未央ちゃんたち、空のペットボトル並べてボウリングとかしてるの!?」


みくが怒った理由は単純明快。
未央たちが掃除をサボり、あろうことか教室でボウリングに興じていたからである。

115 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:12:09.90 ID:P/qh5XhU0

未央「あ、みくちゃんもやる? えっとね、今スコアが最高で―――」

みく「スコアまでつけてるの!? やらないよ! 掃除してよ!」

未央「いや、後でちゃんとやるつもりだったよ? ね、みんな?」


未央の問いかけに、ボウリングに興じていたクラスメイトたちがこくこくと頷く。

一見不真面目な未央たちだが、やるべきことはきちんとやるのだ。
ボウリングが終わった後は、ちゃんと全員で掃除をする心づもりだった。

みくも、それは分かっている。
このクラスメイトたちは悪い連中じゃない。むしろ良い連中と言える。
ただ、明るさと楽しさとやかましさが度を過ぎているだけなのだ。

だがそれを理解していても、今日はもう、みくの我慢の限界だった。


みく「あのさ、この際だから言わせてもらうけど……このクラスなんなの!? 毎日毎日馬鹿騒ぎして! 毎日が学園祭のノリじゃん! いやクラスの雰囲気が明るいのは良いことだと思うよ!? でも明るすぎだから! ピッカピカすぎだから! もうついていけないよ!」


このクラスになってから約1ヶ月半。
心の中に溜まっていたものを、みくは余すことなく吐き出した。

116 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:13:04.12 ID:P/qh5XhU0

みく「このクラスをまとめるのなんて、私には無理! 委員長なんてやめる!」

未央「みくちゃん!? ち、ちょっと落ち着いて! ね!?」

みく「シャラップ! 私もう帰るけど、ボウリング終わったら、ちゃんと教室掃除しといてよね! 明日来たらチェックするからね!」

未央「怒ってるのにマジメ!」


みくは教科書諸々を乱暴に鞄に詰め込み、帰る準備を終わらせた。


みく「じゃあね、さようなら! また明日!」

『ま、また明日〜……』


丁寧にクラスメイトたちに別れの挨拶を告げ、みくは教室から出て行った。

117 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:13:47.81 ID:P/qh5XhU0

未央「みくちゃん、大分怒ってたなぁ……」

藍子「私たち、ふざけすぎたのかもしれませんね……」

未央「いや、あーちゃんはそこまででもないでしょ」


未央は藍子にフォローを入れた。

未央のクラスメイトで、親友でもある高森藍子という少女は、おっとりゆるふわした性格だ。
そんな性格なので、クラスで何かする時は率先して先頭に立つわけでもなく、愉快なクラスメイトたちをのほほんと暖かい目で見ていることが多い。

むしろ、率先して先頭に立っているのは―――。


未央「ふざけすぎてたのは、どう考えても私だって」

藍子「未央ちゃん、そんなこと…………………………ごめんなさい」


藍子はとっさに否定しようとしたが、否定材料が無いことに気付いた。
そもそも今日のボウリングも、未央が提案したものなのだ。


未央「謝るくらいならフォローしようとしなくていいよ!」

藍子「あはははっ、ごめん未央ちゃん」

未央「まったくもー!」


2人のやりとりで、教室の空気が明るくなった。
このポジティブさが、このクラスの持ち味である。

118 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:14:24.05 ID:P/qh5XhU0

未央「さて、じゃあ私、みくちゃんに謝ってくるね」

藍子「あ、それなら私たちも一緒に」

未央「ううん、いいよ。まずは私だけで話してみる。みんなは明日―――」

藍子「じゃあ私だけでも一緒に行くね」

未央「いや、あの、だから明日で―――」

藍子「私も一緒に謝りに行きます」

未央「……あーちゃんには敵わないよ。分かった、一緒に来てくれる?」

藍子「はいっ♪」

未央「今から追いかけて、追いつけるといいんだけど……ん?」


そこで、未央はみくの机の下に一枚の紙が落ちているのに気付いた。
未央は近づいて、それを拾い上げる。


未央「なんだろ、これ?」

藍子「何かのお店のチラシみたいだね」

119 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:15:24.48 ID:P/qh5XhU0

 *


所変わって、とある喫茶店の店内。


菜々「みくちゃん、今日はどうかしましたか? 少し元気がないような……」

みく「あはは、ちょっと学校で色々あって……でも大丈夫! お仕事に支障はきたさないにゃ!」

菜々「無理そうなら、休んでもらっても大丈夫ですよ?」

みく「平気平気! さーて、今日も張り切っていくにゃ!」


―――カランコロン


扉のベルが鳴る。店内に客が入ってきた合図だ。

みくは、とてとてと小走りで入り口に向かい、とびきりの笑顔でお客様をお迎えした。



みく「お帰りなさいませにゃ! ご主人様♪」



未央「……」

藍子「……」

みく「……」


3人の時が止まった。


―――ここは、メイド喫茶『ウサミン☆スター』

120 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:16:22.51 ID:P/qh5XhU0

未央と藍子はフリーズしていた。

教室で2人が拾った喫茶店のチラシ。
もしかしたら、この店でみくはバイトをしているのかもしれない―――そう考えた2人は、『ウサミン☆スター』へとやってきた。

だがそうしたら唐突に目の前に、ネコ耳メイド服というキュートな装いのみくが現れたのだ(ちなみに眼鏡も外している)。

未央と藍子にとって、みくはマジメな委員長という認識だった。

それが突如メイド服を来て現れたら、フリーズくらいはする。それほど2人には衝撃的だった。

そして10秒ほど経って、ようやく2人のフリーズが解ける。
ぎこちない笑顔とともに、未央が口を開いた。


未央「……み、みくちゃん?」

みく「にゃ!?」

藍子「に、にゃ?」


未央に名前を呼ばれ、動き出すみくの思考。
今の今まで、みくもフリーズしていたのだ。

121 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:17:42.63 ID:P/qh5XhU0

みく「み、みく? だ、誰のことにゃ? みくは―――じゃなかった! 私はみ、み……ミーコ! ミーコって名前の、しがないメイドでございますが?」


脳を必死に回転させ、みくは自らの正体をひた隠しにかかる。
だが悲しいかな、あまりにも誤魔化し方がお粗末すぎた。


未央「いや、みくちゃんだよね……」

藍子「どう見ても、みくちゃんですよね……」

みく「にゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


2人に楽々と正体を見抜かれ、絶望するみくの絶叫が、店内に響き渡った。

122 : ◆mqlRkew9nI/5 [saga]:2017/08/02(水) 21:18:43.85 ID:P/qh5XhU0

 *


一方、同じ『ウサミン☆スター』店内。
身を隠すようにコソコソと動く、一つの人影があった。


菜々「……あれ? どこに行くんですか、な―――」

??「しっ! お願いだから静かに……! バレたらあたし終わる……!」

菜々「は、はあ……」

??「お願い店長……! 今日はもうあたし、キッチンで料理担当させて……!」

菜々「構いませんが……」

??「ありがとう……!」


感謝の言葉を告げ、メイド姿の謎の少女は、逃げるようにキッチンへと向かったのだった。

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 22:23:02.22 ID:xCrVyQFX0
結局バレてKちゃんにいじられてそう
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 22:55:42.34 ID:kmiTiCrJo
バレバレなので弄られそう、みくよりも素の前川さんの方が好きだな
桃華の喫茶店の副店長は誰なのか

みく、未央、凛、加連、藍子は同学年かな?年は藍子、加連が1つ上の模様
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 00:14:27.28 ID:98fw5NMOo
前川さんがウサミンとバイトしてるなんて・・・
素敵です、ファンになります
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 00:25:28.95 ID:tkqX2IuDO
むう
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/21(土) 18:01:25.01 ID:DB1l4IHDO
続く……続かない?
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