(⌒,_ゝ⌒)「ニコ生聖杯戦争?」

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1 : ◆CfSZdmBik2 [sage]:2017/06/14(水) 19:09:35.27 ID:zNaKHgGbO
諸注意

・生主中心に書き殴った短編ですので、Zeroのような駆け引きや心理戦は存在しません
・staynight及びZeroのキャラは一切出てきません
・恋愛要素は一切ありませんが、人によっては不愉快になる表現があるかもしれません
・扱う人物が人物ですが、全ての配信を網羅しているわけではありませんので、人物像が異なる場合があります
 その場合は元も子もない言い方ですが、「この作品でのコイツはこう」と認識頂けると助かります


※この物語はフィクションです。実際の人物・団体とは一切関係がありません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497434975
2 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:10:31.04 ID:zNaKHgGbO
     ニコ生聖杯戦争
【副題】―Fate/Streaming actor―

 聖杯戦争。
 それはあらゆる“奇跡”を叶える「聖杯」の力を巡って、七人の魔術師が七人の英霊を召喚して覇を競いあう究極の決闘劇。
 今宵語られるのは、その中の一つ。混濁した時代の中で紡がれた、砂中の粒が如き可能性の一つ。
 ――では語るとしよう。今回の主役は、この男だ。
3 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:11:36.75 ID:zNaKHgGbO
*「それじゃ今日はね、一時くらいから……えぇ〜まぁ、やろうと思いますわドラクエ5。それでは、乞うご期待下さい」
 (配信終了)
*「ふぃぃ〜……何が妖怪小銭稼ぎじゃゴミ共が! こちとら会社やめてから稼ぐのに必死なんじゃボケェ!」
 ピロンッ! 
*「おーん? なんやこのメール……運営からやんゴミが。なになに……? 賞金一億円……? 胡散臭いけどこれが本当なら、願ってもないチャンスや……」
 詳細
 ・放送用の新企画 ・有名配信者が多数参加予定 ・状況は常にニコ生で生中継 ・危険が伴います ・優勝者は賞金一億円
豊「やってやろうじゃねぇの…… (⌒,_ゝ⌒)」
 彼の名は馬場豊。またの名を実況界の王、もこう。
 ニコニコ運営からの招待状に、『参加する』の返事をするまでに、二秒と迷わなかった。
4 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:14:14.43 ID:zNaKHgGbO
 (数日後)
豊「…………ふぁ〜。ん? えぁ? なに!? どこココ!? えっ、ちょ、ま……ホンマ勘弁してぇこーゆーの! なぁオイ!」
*「やっと起きましたか! あぁ〜、良かったです!」
豊「え? ちょっ誰!? ほんっ、ゃもう何なん? 昨日いきなり黒服の男に車に乗せられたと思ったらこんなプレハブ小屋みたいな部屋に拉致されて……」
*「い、一旦落ち着いて下さい! 頭に血が上るのはわかりますがコフッ!」
豊「いやそういうキミ血ィ吐いてるやん! ちょっ救急車救急車……ってアレ?」
 もこうは咄嗟に119に電話を入れたが、即座にコールが解除された。
*「無理ですよ! マスターの携帯の機能は制限されてますし!」
豊「あぁ〜もうわかったわ! 病み上がりなトコ悪いけどなんやもう説明してや!」
*「えっとですね……」

?「■■■■■■■――――――――――!!!!」
 その時、突如部屋の壁を突き破って巨漢の男が現れた!
5 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:16:41.05 ID:zNaKHgGbO
豊「えぇっ!? ちょま、なんなん次から次へと!? えっ、もう、勘弁してぇ……」
*「敵サーヴァントですっ!(抜刀) 私が引き止めるので、マスターは逃げてグフッ!?」
豊「頼れるかボケェ! 血ィ吐いとるやん! えっと……」
セ「セイバーでいいです! 私は大丈夫ですから、早く!」
?「■■■■■――――!」
豊「いや相手バケモノやんどう見ても無理やんこれェ!」
 ガキンッ!
セ「余所見をしないで下さい! あなたの相手は私ですっ!」
?「■■■……!」
豊「互角につばりっ、鍔迫り合っとる……何者やあいつ……とりあえず離れとこ」
 (屋外)
豊「ここまで来りゃ安心やろ……あの吐血女はどうしとるんや一体……外は夜やし、もうワケわからんわホンッマ……」
 離れた場所から先程までいたプレハブ小屋を見ると、女は巨漢の男と斬り合いをしていた。
 女は細身で軽装で、武器は刀一本。対する男は筋骨隆々とした肉体に丸太のような腕で槍を振るっている。力の差は火を見るより明らかだ。
 だというのに女は涼しい顔で、たまに吐血しながら青白い顔で、まともに相対している。
豊「いやっ、ホンッ……ホンマ何なんアレ?」
*「あの、ちょっと」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/14(水) 19:17:16.81 ID:pO6dGxp/O
このサベージ様とやろうってのか?
7 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:18:48.75 ID:zNaKHgGbO
豊「緑さん!? 何でこんな場所に……というかどこなんすかここ!?」
緑「いやね、いつの間にかいたんだけどさここに。裁判の帰りにメールチェックしてたらこう、いつの間にかね」
豊「実は俺もそうなんすよォ……良かったぁ〜知ってる人いてぇ! それでですね緑さん…………緑さん?」
 ゴロ……ベシャッ!
豊「………………え?」
?「は〜い一人脱落〜お疲れ様〜」
豊「ちょあっ!? な、えっ……!」
 足元には倒れた小太りな身体と、黒いマスクを被った顔。それらは豊の見知ったものだ。しかし、今それらは二つに分かたれている。
 遠くで繰り広げられている戦いを見ている時は、現実感のないファンタジーを見ている気分だった。しかし今は違う。
 見知った顔が目の前で肉塊に変えられて、ようやく湧いてきた。
豊「あぁ……ああぁ……ああああああああああああああああああああ!!」
 とんでもないことに巻き込まれている、という実感が。
*「それじゃちょお〜っと息抜きでもしましょうか〜って感じでぇ〜♪」
 歌いながら、刃渡り二十センチ以上のナイフを手にじりじりと歩み寄ってくる謎の男。
豊「ちょ、嫌! 嫌ぁぁぁマジで! やめてもう!!」
8 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:20:47.39 ID:zNaKHgGbO
セ「しまった! マスター! 今行きますッ!」
?「■■■■■■■―――――!!」
セ「邪魔、ですっ!」
 キンッ!
――――シュタッ!
セ「ご無事ですかマスター!?」
豊「たた、助けて! ホンマ無理こういうのォ!」
セ「ひとまず逃げましょう! こっちですマスター!」
*「ダメダメ! ホラ追ってバーサーカー!」
?「■■■■〜〜?」
*「いやだから追えってホラはやくゥ!」
?「■■……」
*「だッ……え、ナマヌッ、何で何で何で何で? 何で言うこと聞かんの?」
?「■■■■■――――――!!!」
9 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:21:59.04 ID:zNaKHgGbO
(ファミレス)
セ「……ここまで来れば、ひとまず安心でしょう。敵マスターもサーヴァントを御しきれてなかったようですし」
豊「な、なにっ……何が……」
セ「とりあえず、深呼吸でもして落ち着いて下さい……」
豊「スーハースーハーヒッヒッフー」
10 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:22:39.98 ID:zNaKHgGbO
(五分後)
セ「今度こそ、きちんと説明できますね。では改めて……私のことは、ひとまずセイバーとお呼び下さい」
豊「えーあー、はい。ババユッ……ワワ、ワイはゲーム実況者のもこうや! 動画再生数は平均十万超えや!」
セ「なぜそこで虚勢をっ!?」
豊「あとマスターって堅苦しいのは止そうや」
セ「では、ユタカさんで」
豊「もこうや! お前馬場豊は本名やないからな! 飽くまでワイの数ある名前の一つで、そう名義や名義!」
セ「何でムキになるんですか……ではもこうさんで」
豊「なんや君にハンドルネーム連呼されんのもちゃうねんな……大事な場面でも感情移入できなそうっちゅうか……」
セ「はぁ……ではこれまで通りマスターで」
豊「それでええわ。とにかく、俺は一体何に巻き込まれてるん?」
セ「はい、それは聖杯せコフッ! ゲホッ! ゴホッゴホッゴホッ!」
豊「またか! も〜お前こそ落ち着いてから話せやコラァ!」
セ「すみませッ……ハァ……ハァ……」
11 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:23:19.74 ID:zNaKHgGbO
(五分後)
豊「ほーん……七人の魔術師が歴史上の偉人を使役して聖杯を奪い合う戦いねぇ……何でそんなん巻き込まれてるん? 俺ェ」
セ「ユタカさん達が参加希望の声を審判役に届けたと聞き及んでます。私達サーヴァントもそれに応じて擬似召喚されたはずなんです」
豊「んな覚えないわ! ……いや待てよ。まさかあのメールか!?」
 豊がセイバーに先日もらったメールのことを伝えると、多分それですと言われて頭を抱える豊。
豊「えええええぇ〜……んな、ちょ待ってもぉ〜〜〜〜!! クソやんそんなの! 緑さん無駄死にやんけ! てか犯罪やんこれ訴えよ!」
セ「落ち着いて下さいマスター!」
豊「落ち着いてられんわ!(退店) 辞退するわこんなんブベラ!?」
セ「この街一帯は空間ごと切り離されてますから!」
豊「先に言わんかぃ! 鼻折れそうなったわコラ! てかなんや切り離すってェ!?」
セ「細かい原理はともかく、聖杯戦争を勝ち抜かないと出れないことになってます」
豊「なァァァァつのォォォォォオオオ!!!」
12 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:25:13.50 ID:zNaKHgGbO
豊「とりあえず、最後の一人になるまで引き篭もってりゃええんちゃうの?」
十分の議論を終えた末に出た答えは、籠城であった。
豊「ほらあのクソデカいホテルとか、あれに罠仕掛けて最上階で待ってりゃ安全やん」
セ「それは現代兵器とかで外から爆破されそうなので却下で!」
豊「じゃあどっかの民宿とか?」
セ「あまり派手でなければいいと思いますが……」
*「あなた達、宿を探しているの?」
豊「えぇまぁ……ってえっ誰ェ?」
*「だったらいらっしゃい♪ 寝心地は保証するわよ」
豊「それじゃあ……」
セ「ちょっと待って下さいよ! 明らかにハニートラップじゃないですか! 少しは警戒して下さいよマスター!」
豊「えぇ!? いやでも、こんな優しそうな女性の方がそんな……」
セ「あちゃー……完全に引っかかってますねこれは……失礼」
 ペチン
豊「痛ッ!?」
セ「目が覚めましたか!? じゃ宿探しますよマスター!」
豊「えぇ〜ちょっと待ってってェ〜! もう歩きたくないんやけども!」
セ「はぁ……」
13 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:26:39.82 ID:zNaKHgGbO
*「ねぇ、やっぱり私に付いてこない?」
豊「行きます行きます! もホンットに足がァ、も棒でェ……」
セ「仕方ありません……何が目的なんですか、あなた」
*「目的? 何のことかしら?」
セ「とぼけないでくださいよ! こんな町中にあなたみたいな乳丸出しの女が普通に夜道歩いてる時点で不自然なんですよ!」
*「うーん……おかしいわね。服装はこの時代の好みに合わせたつもりなのに……まあいいわ!(バッ!)」
 謎の美女は薄手のワンピースを脱ぎ捨て、一瞬で扇情的なドレスに装いを変えた。
*「本当のところを言うと私、野良なのよ。マスターがあの大男にやられてしまったから」
セ「やはりあなたは……」
ア「私、アサシンのサーヴァントよ! このままじゃいつか魔力切れで消えてしまうし、どうせならあなた達のこと、手伝わせてほしいわ!」
豊「魔力切れ……それなら仕方ないわなァ。じゃセイバー! 俺ァこのアサシンちゃんについてくで! アレやぞお前ェ……決して、誘惑されたとかそーゆーんちゃうからなお前ェ!」
セ「胸ガン見ながら言われても説得力に欠けますよ。あーあ、男ってみーんなこうなんですかね……」
豊「だからちゃうゆーてるやん! もう探すの疲れるし嫌やもう! 付いていこうや!」
ア「じゃあついてきて! ほら早く!」
14 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:28:19.32 ID:zNaKHgGbO
豊「おー……ええやんこれ。ベッドついてるやん。ふっかふかやわ」
ア「どうやら私達は初期配置が“当たり”だったみたい。部屋も立派だし、立地も良かったわ♪」
セ「でも、肝心のマスターさんはもう……」
豊「緑さん…………うぷっ、オエッ!」
セ「マスター! あ、あまり思い出さない方がよろしいかと! でないと私もゴフゥ!?」
ア「大丈夫? ほーら、怖くない怖くない……」
 アサシンに背中を擦られた豊が、予想外の美女との触れ合いで変な呼吸をする。
豊「スッ……フゥー……アー……」
ア「あらあら……相当怖い思いをしたのね。でも、もう大丈夫よ。お姉さんが側にいるから」
豊「」
ア「それじゃ仮契約を済ませちゃいましょう♪ えいっ!」
豊「あぁ〜……なんか気持ちええわこれ」
セ「鼻の下伸びてますよ」
豊「ちゃ、ちゃうがな! いやお前……こんなん誰だってこうなるやん!」
セ「はいはい……では私は別の部屋で寝ますんで。襲撃とかあったら起こして下さいね」
豊「ほーいお疲れさん」
ア「ばいばーい♪」
セ「あなたも別室ですよ!?」
15 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:30:29.82 ID:zNaKHgGbO
豊「今日は色々ありすぎて……よーわからんわぁ」
 寝室で一人になり、落ち着いて思考できる時間ができた途端、豊は恐ろしくなった。
 偉人の力を使って行う殺し合いに、一介の配信者でしかない自分が参加させられたことが。そんな状況で、一人の空間にいる今が。
 しかも話を聞く限り、参加はニコニコ運営からのメール経由なので、全員賞金目当ての配信者だ。その中には当然積極的に敵を排除する人間もいる。
 あの時、横山緑を殺した男のように。
豊「誰やったんやろアイツ……」
 小太りで茶髪で甲高い声で歌っていて、悪い意味で日本人離れしていた。恐らくあの男がバーサーカーとかいうサーヴァントのマスターなのだろう。
 見覚えはあるのだが、今ひとつピンと来ない。
豊「まええわ。ただのモブやろあんなん」
 まだセイバーに問い質したいことは多いが全て飲み込み、豊は殺害現場のことを思い出さないように努力しながら眠った。
16 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:33:53.95 ID:zNaKHgGbO
ア「おはよう、もこうちゃん♪」
豊「おはようさん(⌒,_ゝ⌒)」
セ「おはようございますマスター! 早速探索に出かけますよ!」
豊「えっ!? いや、ここにとどまるんちゃう?」
セ「いや流石にそれはやめましょうよ! 腐っても知りませんよ!?」
豊「いやぁ〜腐ってもいいからもう逃げたいねんもう……嫌やわぁ殺すとか殺されるとかぁ」
ア「同感ね。私も血生臭いのは苦手よ? でももこうちゃん、何も知らないまま終わったら、きっともどかしさだけが残るんじゃないかしら?」
豊「えぇ〜……いやでもホンマ無理やねんなもう〜」
ア「大丈夫♪ お姉さんがついてるわっ(ギュッ)」
豊「いくぞお前らァ! 準備ええか!?」
セ「わかりやすっ!?」
17 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:35:44.03 ID:zNaKHgGbO
豊「随分遠くまで来たはいいが……何もないやんけ。なんやこの街ィ! なんもないやん……ゴミやんけ」
セ「風情があっていいではありませんか。アサシンさんもそう思いますよね?」
ア「えぇ、なんだか新鮮な気分♪」
セ「新鮮……ですか」
豊「ちゅーか探索って言っても、何すりゃええん? 他のマスターとか見に行けばええんか?」
セ「本来の聖杯戦争なら色々とやることがあるんですが……参加者が全員配信者とか素人まみれですし、正直微妙ですよね……」
豊「やっぱ籠城した方がええんちゃう?」
セ「周りに気配もないですし……ひとまず戻りましょうか」
ア「私はもうちょっと観光したいわ♪」
セ「遊びにきてるんじゃありませんよ!」
豊「そんじゃ帰り……」
 その時! 豊達が昨夜泊まった家の方向から凄まじい爆音が轟いた!
豊「えぇ……」
セ「嫌な予感がします! 急ぎましょう!」
18 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:40:35.81 ID:zNaKHgGbO
 豊の拠点だった場所は既に焼け崩れ、そこには槍を持った一人の男性が佇んでいた。
?「敵の拠点は壊したし、オジサンはそろそろ退散するとしますかねぇ……おっと」
 ピッと彼の頬を掠めたのは、一筋の弾丸。
*「チッ……拙者の不意打ちを躱すとは、中々の名手と見た! 純一殿、次の指示を!」
純「不意打ちが外れたらそりゃお前、やることは一つだろうが! もうまともにやり合うしかねぇよなぁ!?」
*「相手は槍使いですぞ! 正面からまともにやり合うのは得策じゃないってそれ一番言われてるから!」
純「じゃあどうやって勝つんだよお前よ!? こっちはワケわかんない状態でお前使って勝てって言われてんだぞふざぁけんなよマジでぇ!?」
*「とにかくここは撤退! 戦略的撤退でござるよ純一殿!」
純「仕方ねぇ……勝負は明日に預けてやる。首洗って待ってろな!」
*「相変わらず口だけは一人前でござるな……ま、我輩そういうの嫌いじゃないでござるよ」
19 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 19:42:13.81 ID:zNaKHgGbO
豊「嘘やん……全部燃えてるわ」
ア「この感じ……サーヴァントね」
セ「ここまで派手にやられるとは……恐らく宝具でしょう」
豊「宝具って、なんやあの必殺技的なヤツか?」
セ「はい。家がこうなったのもそのせいかと」
豊「まーた探さなきゃいかんのか拠点を」
 傍から見ればグラサンをかけた男になぜか袴姿の女剣士と痴女が付き添っている妙な状態なのだ。
 しかし切り離された街故か、一般市民の姿も少ないのであまり問題はない。尤も、豊がそれを意識しているかは疑問だが。
 浮浪者同然の身の上となった馬場豊は、再び寝床を探すことにした。
20 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:04:37.79 ID:zNaKHgGbO
 同刻、郊外。
*「あった! パソコンだ……これで外側と連絡が取れる!」
?「よくってよ。いい着眼点だわ。ネットカフェならパソコンもあるし、籠城にも最適ね」
*「この聖杯戦争ってさ、ニコ生で配信されてるんですよね? だったらまあ、全くネットが繋がらないなんてことないはずやろ?」
?「あたしが見張っているから、あなたは早く用を済ませなさい」
*「あっはい……どれどれ。ニコ生には繋がるんだねこれ」
コメント『羨ましい!』『キャスターちゃんかわいい!』『最高です』『純一最強!』『さかたんあまり他の女の子と絡まないでほしいなぁ…』『がんばれー』
『さかたんなんか遠くに行っちゃった感じする…』『↑わかる…昔のほうが好きだった』『うっわきも』『さかたん絶対無事で帰ってきてね!』
*「おっふ……わーあったかーい……」
21 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:05:10.20 ID:zNaKHgGbO
?「どうだったサカタ? 何か新しい情報は得られたかしら?」
*「どうやら、ニコ生以外のサイトには繋がらないみたいです。あとなんかやっぱ……あぁぁ〜恥ずかしいわぁ〜こういうの見られるのぉ! 意識しちゃうやーん!」
?「衆目を気にするのは悪いことじゃないけれど、今は自分を守ることに集中しなさいサカタ。他には?」
*「今他の番組を見ようとしたんですが接続できなくて……多分、意図的にこうなってるんですかね。あとこの番組、僕らを映してるのは確かなんですが映像が真っ暗で……」
 ふと思いついた彼は、その場で大声で叫んだ。
坂「みんなー! オレオレ、浦島坂田船の坂田だよ! みってるー!?」
 『みてるううううううううううううううううううううううううううう!!!』(弾幕)
坂「繋がってるみたいです……これを利用すれば、もしかしたら敵の動きもわかるんじゃないですか!?」
キ「よくってよ。それじゃあじっとしててねサカタ」
22 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:08:14.00 ID:zNaKHgGbO
 彼の小柄なサーヴァント、キャスターが魔導書を浮遊させて、そこからレーザーを発射した。
坂「ああああああああああああああああ!!? ルーターは切らないでェェェ――――――!!」
 レーザーはネットカフェのカウンターにある機器類に直撃し、施設内の全てのパソコンをネットワークから孤立させた。
 店員や他の客からクレームでも来そうなものなのだが、なぜかこの
キ「これでよし、と」
坂「ちょっとー!? え? え、ええ? なに、何やってるん!? これじゃネットが全部……」
キ「サカタ、あなた今、コメントに敵の動きを聞いてから行動しようと考えてたでしょう?」
坂「えぇまあ……」
キ「敵がここに近づいてきたら、どうするつもりだったの?」
坂「そりゃあ、先に迎え撃って有利に」
キ「敵が予想以上に強かったら?」
坂「まあ……逃げますねぇ」
キ「その時、ここはどうなる?」
坂「強い敵がニコ生を見て…………あっ」
キ「そう。結局は一番地力のあるサーヴァントが有利になってしまうの。襲われる直前に壊そう、なんて考えてもダメよ。きっとそんな余裕も無くなるんだから」
坂「そっかー……まあ、仕方ないわなー」
キ「情報は得られたんだからいいじゃない。さ、早く次の場所に向かうわよ。マハトマを求めて!」
坂「えぇ、はい……ところで」
キ「なにかしら?」
坂「その、マハトマって何なんです?」
23 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:09:45.40 ID:zNaKHgGbO
キ「それは…………
  ッ! その前にサカタ、早くここを離れるわよ!」
坂「えっ、いきなりどうしたんすかキャスターさん!?」
キ「いいから!」
 二人がネットカフェを出た途端、そこが何者かの攻撃によって倒壊した。
バ「■■■■■■■■――――!!」
*「お前どこ行くんだよオイ! 泊まる予定だったネカフェも壊しやがっていい加減にしろモー!」
バ「■■■■――!」
*「……あぁ、敵の気配でも感じてたんかな」
24 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:11:16.70 ID:zNaKHgGbO
坂「なんだいきな……んむぅ!?」
キ「静かに! 幸い敵はバーサーカー……理性がない獣のようなものだから、見つかりさえしなければ大丈夫……」
坂「ぶはっ……で、でも逃げたほうが……」
キ「無理よ。あなたが類まれなる走者の才能を持っていたとしても、ただの人間がアレからまともに逃げるのは不可能だわ。サーヴァントであるあたしも含めてね」

*「ハイハイハイハイハーイ! みんなー! 演奏してみた好きですかぁ!?」
バ「■■■■■―――――!!」
*「ほら出てこいよ雑魚! 隠れてないでさぁ! 俺の金の生贄になれってマジで!」
 敵は令呪を誇らしげに見せつけるように手を掲げている。あと小太りで甲高い声をしていた。坂田にはその男が誰か、一目でわかってしまった。
25 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:13:08.86 ID:zNaKHgGbO
坂「鋼兵さん!? 何やってんだあの人……」
キ「知ってる人なの? あなた、友達は選んだ方がいいわよ?」
坂「いや友達とかじゃなくて全然……一度見たことあるくらいで……」
キ「まあいいわ。とにかく、隠れながら少しずつ移動して。やり過ごすわよ。あたしから離れないでね」
坂「あ、はい」
鋼「敵は多分そこの物陰だろ! ホラいけ!」
バ「■■■■――――!」
鋼「いやそっちだって! 言うこと聞けコラ!」
バ「■■■■……?」
キ「あのマスターは無能だけど、バーサーカーの方は的確に私達がいた場所を狙ってきてるわね……もうすぐこっちに来る」
坂「ひっ!? た、助けて……!」
キ「落ち着いてサカタ。確かに状況は切迫しているけれど、相手のマスターはただ闇雲に叫んでるだけだし、バーサーカーは理性がないからそれを正すこともできないわ」
坂「……つまり、どういうことなん?」
キ「まだ諦めるには早いってことよ」
26 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:16:21.45 ID:zNaKHgGbO
鋼「なぁ、やっぱ敵とかいないんじゃねーん?」
バ「■■■■――!」
鋼「じゃもうここはいいから! はよ次行こう次!」
バ「■■■■■■■■――――――!!!」
キ「にしても可哀想になってきたわねあのバーサーカー……サカタ、次はあそこの路地よ! 走って!」
 坂田達は、敵の攻撃で土煙が上がっている間に物陰から物陰へ、全力失踪しつつ移動していく。
 普通の聖杯戦争なら、歴戦の魔術師のマスターとサーヴァントが徒党を組んで襲ってくるのでとっくに見つかっている。
 しかし今は素人のマスターに理性のないサーヴァント。見つかりやすい気配でも、二人の意識が互いに足を引っ張り合いまともな索敵を困難にしているのだ。
坂「は、はい! ところでこれ、いつまで続くんですか!?」
キ「相手が諦めるまでよ!」
バ「■■■■――――!!」
鋼「ったく腹減ってきたし……勝手にやってろよ」
バ「…………」
27 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:18:05.35 ID:zNaKHgGbO
坂「行ったか……」
キ「運が良かったわね。でも、次はきっとこうはいかないわ」
坂「そうなん? なんか大丈夫そうな気がしたけど」
キ「少々浮かれすぎてよ、サカタ。あなたは勝ちたいの?」
坂「いや……今となってはもう、生きることで精一杯ですよ」
キ「よくってよ! 生きてさえいればきっといつか、あなたもマハトマを感じることができるわ!」
坂「だからその、マハトマってのは」
キ「ちょっと待って! まだサーヴァントの気配が残ってる……これはきっと、もう一人いたのね。あたしとしたことが……」
28 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:19:47.89 ID:zNaKHgGbO
?「はっはっは! いい食いっぷりだ順平! ほれ、お代わりだ!」
浜「クッチャクッチャクッチャ……ウマッ、ウマッ……」
 そこでは、二人の男が鍋を中心にして箸をつついていた。

キ「お食事中のようね。見るからにあの二人も参加者でしょうけど、どうする?」
坂「syamuさん!? あの人ニコ生主じゃないじゃん……」
?「おぉそこの御仁に夫人! 今は昼餉の時間なのだが、腹は空いていないか!?」
坂「えっ……いやそれは(グゥゥゥゥ)」
?「ほれ、そんなところに隠れてないで! 飯は賑やかな方が美味いぞ!」
浜「イヤッ、その、ちょっと……」
キ「はぁ……仕方ないわね。その人からは邪気を感じないし……いいわサカタ。ここであなたに倒れられるのも困るしね」
29 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:21:32.84 ID:zNaKHgGbO
坂「うんまぁぁぁぁぁぁ!! いやぁ〜やっぱり日本人はお米だわぁ!」
キ「よくってよ! 日本食というのも新鮮だけど、ここまで美味しいなんて!」
?「そうであろうそうであろう! ではもう一度始めよう! いただきます!」
浜「イタダキャス……」
?「俺はアーチャーのサーヴァント! 俵藤太だ! ウチのマスターは奥手なのでな、真名がバレる心配がなくていいわ! はっはっはっはっは!」
浜「ソソソソ……」
俵「さて、次はお前の番だ順平!」
浜「何で俺が敵に名前言わなきゃあかんねん……」
俵「ほーらどうしたどうした! はよう!(バンバン!!)」
浜「アデッ……ど、どうも〜syamuで〜す……」
坂「…………」
30 : ◆CfSZdmBik2 [saga]:2017/06/14(水) 20:24:10.74 ID:zNaKHgGbO
キ「その様子……サカタ、何か知っているの?」
坂「い、いやぁ!? かなり有名人らしいですが、僕は何も……」
キ「有名人? 全然そんなオーラは感じないのだけれど……人生は何があるかわからないものね」
俵「俺も真名を明かしたのだ! お前も真名を言わぬか順平!」
浜「は、ハミャ……浜崎順平……デス」
坂「浦島坂田船の坂田でーす」
キ「キャスターよ。ご馳走になったところ悪いけれど、完全にあなた達を信用できたわけじゃないの。ごめんなさい」
俵「構わん構わん! 俺達がおかしいだけだ! なっ!?(バンッ)」
浜「イデッ……そ、それは君がそう思ってるだけやで」
坂「と、とにかく美味しかったです! ご馳走様でした!」
俵「おう! 次に会ったらまた共に食おうではないか! さらばだ坂田殿!」
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