【モバマス】ほたる「わたしの不幸と、幸せと、不幸」

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1 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:10:35.54 ID:HTroEYa0o
もしほたるの不幸が治せたら、という想定のもとで書いたssです。
ほたるの性格が少し違うかもしれません。ご容赦ください。

シリアス。少し鬱。書き留めあり。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1498900235
2 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:12:01.42 ID:HTroEYa0o
 わたしは不幸を憎んでいました。

 わたしの不幸はわたしにとって全てを遠ざけわたしを一人ぼっちにする。そういうものでした。

 でも、プロデューサーさんと会ってからは違う。

 いろんなことがあって、いろんな不幸に打ち勝ってわたしは「灰かぶり」かられっきとした「お姫様」になれました。


 けれどわたしは決して自惚れたりしない。誤解なんてしない。


 わたしを今のわたしたらしめるものは紛れもない不幸そのもので、不幸でない白菊ほたるは「白菊ほたる」ではない。皆が見てくれているのは不幸なわたしなんだって。


 だから――
3 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:13:40.03 ID:HTroEYa0o
 わたしに毎日ニュースを見る習慣があればわたしは驚きのあまりにお茶を溢すことはなかったのだろうか。でもそれも含めて私の不幸なのだろう。

 仕事が始まる前の朝。わたしは一枚の紙と向き合っていた。わたしはまだ呆然としてる。

「別に今決めなくてもいいんだ。ただ早めに決めた方が問題も少ないし、上の方も枠を抑える期間には限界があるし……、な?」

 優しいプロデューサーさんの言葉にわたしは震え声ではい、と溢す。心の余裕を持てるほどわたしは気が大きくなかった。
4 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:15:08.80 ID:HTroEYa0o
 突拍子もない話だと、自分でも思う。だけど今日は四月一日ではないらしい。


わたしがここで頷くだけで、わたしを長年苦しめてきた不幸は医学の前に消えてなくなる。


 この技術が発表されたのは最近のことらしい。

ネットでの不幸は取り返しがつかないことが多いので、わたしはネットに触れない。そのせいでその技術については知らなかったが、かなり話題になっていた――内容が内容なだけに当たり前かもしれないが――そうだ。
5 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:16:21.66 ID:HTroEYa0o
 相変わらず、こんな機会に決まって損をしてしまう私の不幸にはうんざりだ。

不幸なんてあったって百害あって一利なしなのだから多くの人のこのニュースへの関心の高さには頷ける。


 …………本当にそうだろうか。


 私にとって、私の不幸は……本当に百害?一利も失わないなんて断言できるのだろうか?

 …………。

 ………。

 ……。
6 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:17:35.64 ID:HTroEYa0o
「お断りします」

 わたしは悩んだ末に自らの不幸体質を治す機会をふいにした。不思議と後悔の念は、ない。

「……本当にいいのか?費用は事務所側で持ってくれるんだぞ?」

「……ありがとうございます。でも……今のわたしは不幸なんかじゃないんです。……ファンの皆さんの前で笑っていられて……わたし、とても幸せです。プロデューサーさん」

「……そうか。そうだよな」

 プロデューサーさんは納得したように頷くとシリアスな空気を振り払うように背伸びをした。
7 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 18:19:02.96 ID:HTroEYa0o
「お前はもうその不幸を幸せの種に変えられるんだから。強くなったもんな」

「……はい。……もうあの時のわたしとは違います。プロデューサーさんのおかげです」

「俺はプロデューサーとして背中を押しただけだよ。変わったのはお前だ。もっと誇っていいんだぞ」

「……はい!ありがとうございます……!」

 プロデューサーさんに褒められると幸せを感じる。

ほら。もうわたしは幸せを知っている。
不幸をわたしの生来的なものとして受け入れられる。
それに立ち向かえる。
8 : ◆7PpQF0yG66 [sage]:2017/07/01(土) 18:27:10.90 ID:HTroEYa0o
少し席をはずします
今日中に再開します
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 21:05:17.12 ID:yftz54LTo
おつ、こっからどう持っていくか期待
10 : ◆7PpQF0yG66 [sage]:2017/07/01(土) 21:40:57.14 ID:HTroEYa0o
再開します
11 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 21:42:12.42 ID:HTroEYa0o
 プロデューサーさんは胸ポケットから革の手帳を取り出すとそこに軽くメモ書きして、少し頷いた。

「じゃあこの件は上に伝えとく。朝から随分と悩ませて悪かったな」

「いえ……。わたしの問題ですから……」

「それもそうだな。……んじゃ、通常通り仕事に励むとするか!」 

「はい!」

 こうしてわたしの朝の苦悩は終わった。
わたしは気を取り直してこれからのスケジュールをプロデューサーさんに聞く。
12 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 21:43:14.29 ID:HTroEYa0o
 わたしは不幸を手放さなかった。もう不幸の連鎖に縛られていた灰かぶりはいない。

わたしは強くなったのだ。

不幸から逃げたりなんかしない正真正銘のヒロイン。そうなれたのは――。


「――プロデューサーさん。あなたのおかげです」


 そっと、ぽつりと、呟いた。



 その日の仕事はびっくりするくらいうまくいった。
13 : ◆7PpQF0yG66 [saga]:2017/07/01(土) 21:43:48.20 ID:HTroEYa0o




 今思えばそれはこの後の不幸の予兆だったのかもしれない。




14 : ◆7PpQF0yG66 [sage]:2017/07/01(土) 21:46:03.62 ID:HTroEYa0o
すいません。今日の分の投下はこれで終わらせていただきます。
続きはまた明日に投下させていただきます。
それでは。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/01(土) 22:15:32.83 ID:yftz54LTo
おっつおっつ
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