奈緒「もうこんな時間か……晶葉から借りたゲームでもやるか」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:08:18.69 ID:Wk+1dvXp0
■前スレ
奈緒「さーて、晶葉から借りたゲームでもやるか……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491146376/

【安価】奈緒「そろそろ今日も晶葉から借りたゲームやるかぁ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1491487007/

奈緒「よし、今日も晶葉から借りたゲームでもやるか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494423792/


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1501074498
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:08:40.63 ID:Wk+1dvXp0
――夜、奈緒の部屋

奈緒「22時……よし、今日もやるか」

奈緒「前回のセーブデータをロード、と」カチッ

奈緒「そういえば、昨日寝る前にパソコン落としたときやたらと重かったんだよなぁ……」

奈緒「んー……まあ普通に動くか。今は何ともないし」

奈緒「えーっと、昨日は珠美がPさんと致して終わったんだったかな」


奈緒「よし、ロードが終わった。さてと……やるか」


――――
――
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:10:52.24 ID:Wk+1dvXp0
――戦闘区域

珠美『あやめ殿、敵がツクヨミヒメとキャリアーに気を取られている間に珠美たちのほうで援護を!』

あやめ『強襲しましょう、ブロッサムミサイル!』ボシュシュシュッ!

P『歌鈴、紗枝、2人の援護でトールの動きが止まったら距離を取るんだ。ダイオウカーじゃないと対処しきれんぞ』

歌鈴「は、はいっ! う、うううう……力比べ……!」


トール「……!!」ググググッ!


紗枝『あきまへん、月読命姫のぱわーだけやと、破壊者のほうが……』

あやめ『くっ! 破壊者トール……奴め、ミサイルとドリルだけでは……!』


ズドォォォンッ!!

トール「!?」ドガァァァンッ!



???『でしてー』
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:13:08.96 ID:Wk+1dvXp0


歌鈴「ブロッサムウイング!」

紗枝『お、おおきに……今のうちに……』

珠美『歌鈴殿、紗枝殿! こちらまで下がってください!』

P『まーたウイングはいつの間にか来てたのか。まったく奴はどこのアニメのお助けキャラなんだよ』

あやめ『……』


あやめ(ブロッサムウイング……また、わたくしたちを……)



……
…………
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:13:48.64 ID:Wk+1dvXp0
――数分後、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(指令室)

ピピッ!

楓「……トールの反応、レーダー上から消えました」

美優「周囲の索敵状況更新……ダメです、反応が……ありません」

翠「破壊者は……逃げたのでしょうか?」

千秋「状況から見て恐らくは……ダイオウカーの合体完了を見て、消えたように見えたけれど」

周子「……なーんか、あっけなかったねぇ」

麗奈「破壊者が撤退する……今までに無い状況ね。そして今回は……」

ピピピッ!

晶葉『胴体部分に強い法術反応を持つ破壊者、ブロッサムディーヴァの攻撃によるダメージがほとんどなかったな』

楓「結局、敵の力は法術で間違いないんですか?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:15:45.73 ID:Wk+1dvXp0
晶葉『あくまで近似した力ということが分かっているだけで、厳密には異なるだろうが……』

晶葉『まあ継続して調べる必要はあるが、現状は法術の一種であると仮定しておくことにした』

周子「ふーん……案外テキトーだね」

晶葉『そりゃこっちにも分からないことくらいはある』

美優「それにしても……今回の敵、法術の力の高さが……」

翠「はい、最初は頭、次は手、足と……そして今回の破壊者は体」

千秋「……今までの破壊者には無かった今回の行動、破壊者もこちらに対応してきている可能性があるわね」


パシュンッ!


美優「あ、あら? 麗奈ちゃんが……」

周子「およよー? どっかいっちゃたねー。それじゃあたしも」

パシュンッ!

……
…………
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:16:14.65 ID:Wk+1dvXp0
――ブラックパール城(通路)

麗奈「……」

周子「おばーちゃんおばーちゃん」

麗奈「何よ」

周子「みんなの話、最後まで付き合ってなくてええの?」

麗奈「別に、あの話なら分かってたことだし」

周子「へー、そうなんだ」

麗奈「宇宙にいる奴らは、遠く離れた同族に対して互いに意思疎通をするための、何かしらの手段を持っている」

麗奈「双方向での思考共有を通して、目的を達成する……宇宙に出ている奴らなんて、そういうものよ。そうじゃない奴らもいるケド」

周子「へぇー……詳しいじゃん。さすがおばーちゃん」

麗奈「ばーちゃんばーちゃんって……そりゃ年寄りだけど、アンタより長生きしてないわよ」

周子「あたし生まれてからあんまり時間経ってないんだけどー?」

麗奈「あっそう……まあ、戦うのはアイツらなんだから、どうすればいいのかは自分たちで考えさせるわよ」

周子「スパルタ」

麗奈「当然でしょ。レイナサマが無駄に出張って解決してやっても意味ないんだから」

……
…………
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:17:31.11 ID:Wk+1dvXp0
――ブラックパール城(格納庫)


整備士「スペース空けてくださーい。ブロッサムディーヴァのメンテ作業入りますよー」

「最初はどれからですか?」

整備士「ツクヨミヒメのメンテは時間掛かるから後回しで、キャリアーからやりましょっか」



P「いやしかし敵さんも逃げるとは思わんかったね」

珠美「はい、破壊者の強さもさることながら、今までにない行動を取りましたね……」

P「接近戦ではツクヨミヒメだけじゃ手も足も出なかったし、援護に回ったキャリアーの足もまとめて止めるのはなぁ」

紗枝「……」ムッ

P「そうだ紗枝、今回の戦闘は大丈夫だったか? 敵が硬くて俺たちも上手く動きを止められなかったけど……」

紗枝「なぁんもありまへん。だいおうかーに転身しても、破壊者はすぐに逃げて刻印もあまり燃やさへんままやったし」フイッ

P「さいですか……まあ、怪我が無くて安心したよ」

紗枝「……」

珠美「あっ、紗枝殿、どちらに……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:18:11.03 ID:Wk+1dvXp0

P「なんだ紗枝、先に戻って行っちゃったよ……最近の若い子は難しいねホント……あれ、そういえば歌鈴は?」

珠美「おや、そういえば……あ、いまツクヨミヒメのコックピットから出てきましたね」



歌鈴「み、みんな待ってくださあああああああああっ!?」ベチャッ!!



P「おいコックピットから足滑らせて顔面から落ちたぞ……」

珠美「ま、まあ歌鈴殿は転んでも何故か怪我をしませんから」

あやめ「……」

P「ん、どうしたあやめ、何見てるんだ?」

あやめ「……」

P「あれは……ブロッサムウイングか。いつの間に戻ってきてたんだ? ていうかパイロットはもういないのか」

あやめ「……一体、何者が機体に」

珠美「わかりませんね……しかし、見事な空戦、的確な射撃、援護……相当な強者が乗っているのではないかと」

P「そうだな。ウイングには何度か助けてもらっているし、それにダイオウカーの合体にはウイングが必要不可欠だしな」

あやめ「これまで、一度も姿を現さない者……果たして一体……」


……
…………
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:20:57.24 ID:Wk+1dvXp0
――数時間後、夜、ブラックパール城(Pの部屋)

P「ふぃー……ようやくメディカルチェックも終わったぁ……」

P「シャワー浴びて少し休憩してから後処理やるか……にしても今日は疲れた」

P「朝から皆を学校に送って、戻ってきてそのまま整備班の廃棄作業手伝って、んで破壊者が出てきたから送った皆を迎えに行って……」

P「あっちこっち動いてばっかりでさすがになぁ」

ピピッ!

P「ん、はい」


翠「失礼します。Pさん、今日の戦闘で採取した観測データを持ってきました」

P「ん……ああゴメン、俺が博士のところからもらって来るつもりだったけど、すっかり忘れてた」

翠「いえ、今日はPさんは別件もありましたし、データチェックのほうは私たちのほうでやっておきましたよ」

P「すまんなぁ……チビッ子たちの送迎やって掃除のおばちゃんの仕事みたいなことやってから戦闘機飛ばしたもんだから、今日1日デスクワークは何もやれなかった気がする」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:22:41.63 ID:Wk+1dvXp0
翠「そういう日もあります。Pさんにはこちらに来て頂いて間もありませんが、私たちの仕事もいくつか引き取ってもらっていますし……」

P「ほら、働かないとね、給料がね。仕事クビになった直後だからホラ、ちゃんとアピールしておいて仕事できますって見せておかないと」

翠「い、いえ……そこまで気にしなくても……」

ピピッ!

P「んで話は変わるけど……今回の破壊者、どう思う?」

翠「……戦闘、というお話であれば、ダイオウカーに転身してからであれば、対処できるかと。ツクヨミヒメとブロッサムキャリアーだけでは押し切れないほどの力はありますが」

翠「胴体以外の部位については、法術の力はそこまで……であれば、四肢を狙い動きを止めた後に畳みかけるよう戦うことができれば良いと思います」

P「まあ、そうだな。俺も大体同じこと考えてた。ただ……」

翠「ただ?」

P「多分、今回は敵さんも同じことを考えたんだと思う」

翠「破壊者が……ですか? 確かに考えられなくはありませんが……」

P「今回の敵も、確かに強い。ダイオウカーじゃなければ対応できないし……だけど、今回敵が逃げたのはダイオウカーが出たからって考えると」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:23:10.68 ID:Wk+1dvXp0
翠「ですが、そうであるならば破壊者の次の動きが気になります。次に対峙こちらも準備を怠らなければ……」

翠「……」

P「どうした?」

翠「……いえ、破壊者が、戦闘では不利と見て撤退という行動を選んだのであれば……また別の方法を取る可能性もあります」

P「また別の方法?」

翠「それは……分かりませんが……」

P「そっかぁ……まあ、分からないこと考えても仕方ないし……いてて」

翠「どうかなされましたか?」

P「いや、今日の朝に皆を学校に送る前、珠美とあやめの稽古に付き合ってさ……アイツ等容赦なくて竹刀やらでボコスカ叩いてくるもんだから……」

翠「Pさんが……ですか? ですが、あの時……」



翠『P様ですね。丁度良かった……貴方もいらっしゃるとは、こちらも探す手間が省けました』

P『なにすんだ! お前……抜いてないとはいえ刀の鞘って……!』



P「ん? ああ……いや、まあ」

翠「……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:24:28.81 ID:Wk+1dvXp0
P「……1つ聞いていい?」

翠「なんでしょうか?」

P「俺のこと、どこまで調べたの?」

翠「私は……千秋さんに指示を頂いて調査をした範囲までで……」

P「ま、初めて会った相手に刀向けるくらいは調べたのか……」

翠「そ、それは……緊急時ということもあって、申し訳なく思っていましたが……」

P「いやまあ、もう先月の話だけどね」

翠「お体のほうは?」

P「今のところは何とも。こういうやり方なら、何とかなるんだなぁって」

翠「そうですか……それなら、良いのですが……」

P「この仕事が終わるまでは何ともなきゃいいけど。それじゃ、データ後で見ておくよ。俺ちょっと風呂入ってくるから」ガチャッ……

パタンッ!


翠「……」


ガチャッ……


[4-1]


……
…………
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:25:50.89 ID:Wk+1dvXp0
――深夜、ブラックパール城(書斎)

シュッ!

あやめ「……」

あやめ「流石にこの時間であれば、千秋殿もおりませんね」

あやめ(何度かここを調べる機会を伺っておりましたが……これでようやく……)

あやめ(わたくしたちの情報、この部屋にあるのは間違いない……その中に、ブロッサムウイングのパイロットの情報も……)

あやめ「……しかし、難解な資料が多いようで」

あやめ「次元振動……空間歪曲現象による、次元断層……修復の為の……キラー……むむむ、わたくしには何がなんだか……」

あやめ「こちらの資料……これも違いますな。いえ、この資料は、ブロッサムディーヴァの……」

あやめ(太陽の光を受け、その力……絶大な……魔……? 古い資料で、文字が消えて……)

あやめ「ん? この資料は……表紙が新しい……」

あやめ「これは! P殿の資料……」

あやめ(ウイングのパイロットの物ではない……いえ、ですがこれは……たか――)ピクッ!

シュッ!

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 22:26:33.68 ID:2xwmhb5S0
前スレ残ってたけど新しく立てたのか
今回はあやめ回かな?
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:27:14.08 ID:Wk+1dvXp0

ガチャッ!!

千秋「ふう……まったく、ヨーロッパ連合も自分たちの要求ばかり……こちらの技術提供に見合ったものを、もう少し渡してほしいものね」


あやめ(千秋殿……まだ部屋に戻っていなかったのですか。ここには仮眠用のベッドもありますし、ここに居座られたらこれ以上は……)


千秋「それにしても今日は疲れたわね……そういえば最近、彼とはあまり……そうね、たまには彼を呼び付けて……」

千秋「……いえ、さすがにこの時間から呼び付けるのは、品がないわね。とはいえ、この昂ぶり……」

あやめ(P殿のお話……? 千秋殿、何を……?)


[4-2]


……
…………
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:31:54.94 ID:Wk+1dvXp0
――翌日、早朝、ブラックパール城、屋敷(居間)

P「珠美、サラダ置いといたからテーブルに皿と一緒に並べといて」

珠美「わかりました!」

歌鈴「P、Pしゃ……わ、私も何かお手伝いを……」

珠美「いえ、珠美殿は座って待っていてください」

P「食器運ぶときに転んだら大変だからな。それにほら、豆腐もあるし」

歌鈴「こ、転びませんよぉ!」

P「いやお前、昨日コックピットから真っ逆さまに地面に落ちていった光景を見た後だと、その言葉は信用できないっていうか……」

歌鈴「そんなぁ……」


ガラッ!


紗枝「おはようさんどす……」ハァ……

歌鈴「あ、紗枝ちゃんおはようございます」

珠美「おはようございます! 紗枝殿、今日も良い天気ですね」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:32:58.71 ID:Wk+1dvXp0
P「おはよ。どうした? 元気ないみたいだけど」

紗枝「……あんさん、何してはるん?」

P「朝飯の準備。今朝はトーストに目玉焼き、サラダと、冷奴と……」

紗枝「……うち、朝ご飯は食堂で食べてきます」

P「すみません、もしかしてそれは私が作った朝ご飯は食べる価値すらないということでしょうか……」

紗枝「言わへんと分からんやろか?」

P「そうですか、涙が出てきそうなんですけど……まあ、学校行く時間までには戻ってきてくれよ」

紗枝「……」ガラッ!

P「無視ですか……」

ガタッ、ガタッ!

P「ん?」

歌鈴「どうしました紗枝ちゃん?」

P「なんだ、襖の建付でも悪くなったのか?」

紗枝「……何もありまへん」

パタンッ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:34:30.46 ID:Wk+1dvXp0

歌鈴「紗枝ちゃん、どうしたんでしょうね?」

P「今の彼女はどうかしている状態であってくれたほうが個人的には嬉しいよ」

珠美「紗枝殿はあまりP殿を好ましく思っていないようですからね……」

シュッ!

あやめ「おはようございます」ニンッ

P「ああ、おはようあやめ。もうご飯だから座っててな」

あやめ「……」

P「ん、どうした?」

あやめ「……いえ、何も」

P「ご飯、早めに食べてくれよ。いつもより少し朝遅くなったし、早く出ないと学校に間に合わなくなりそうだ」

あやめ「む、それは急いだほうが良いですね」


……
…………
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:37:20.89 ID:Wk+1dvXp0
――東京(渋谷)

P「……渋滞、長いな」

あやめ「そうですね。わたくしはこの時間ですと1限目には間に合いませんね」

P「歌鈴と珠美を降ろしたときはまだ混んでなかったんだけどなぁ」

紗枝「うち、ここからやと歩けば間に合うんやけど……」

P「それじゃ、あやめの学校には連絡入れるか……紗枝、悪いけどここからは車降りて歩いてくれないか?」

紗枝「あまりあんさんと同じ場所にいるのも、体に毒やしなぁ……そうさせてもらいまひょ」

P「はい……すみません……」

あやめ「では紗枝殿、お気をつけて」

紗枝「あやめはんも気ぃつけて……ほなら失礼します」



P「はぁ……悪いなあやめ。最初の授業には間に合わなさそうだ」

あやめ「いえ、わたくしは特に……それにしても、今日は本当に混んでますね」

P「そうだな……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:38:01.98 ID:Wk+1dvXp0

あやめ「……P殿、1つご相談があるのですが、よろしいでしょうか?」

P「何? 渋滞って眠くなるし聞くだけ聞くぞ」

あやめ「ブロッサムウイングの件です」

P「パイロットのことか?」

あやめ「はい。P殿は何かご存知でしょうか?」

P「いや……俺も紹介されてないし、知らないんだよな」

あやめ「なるほど……実は、ウイングのパイロットについて気になっているのです」

P「俺も気になってるんだよな……前に、黒川千秋にそれとなく聞いたら……」


千秋『ブロッサムウイングのパイロット……そうね、ダイオウカーとなるには必要不可欠な存在。いずれ詳しく話すわ』


P「なんて言われて誤魔化されたんだよなぁ」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:38:43.08 ID:Wk+1dvXp0
あやめ「そうですか……わたくしと同じですね」

P「あやめも話したことがあるのか。どうして気になるんだ?」

あやめ「破壊者との戦が始まり、わたくしたち桜霞はダイオウカーとなり奴らを打倒してきました」

あやめ「しかし、奴らの脅威は収まらず、ダイオウカーも苦戦を強いられる場面もあり……」

あやめ「特に前回の戦闘では、破壊者には逃げられてしまいました。わたくしたちは刻印の消耗により連続で戦闘を行うのが困難です」

あやめ「ここは全員の力を合わせて、奴らに対応するべきではないかと」

P「そうだな。確かに皆のことを考慮しても、一度ブロッサムウイングのパイロットとはしっかりと話をする機会も必要だろうな」

P「それなら今日、もう一度黒川千秋に……」

あやめ「いえ、恐らく千秋殿はこれまでと変わらず、詳しいことを話して頂けないかと」

P「じゃあどうする? こっそり調べてみるか?」

あやめ「はい、そのつもりです」

P「……」

あやめ「……」

P「……頑張って」

あやめ「P殿にもご協力をと思いまして」

P「……そう、うん……まあ、犯罪にならない程度ならいいけど」

……
…………
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:40:18.68 ID:Wk+1dvXp0
――数時間後、昼、ブラックパールガーデン、ブラックパール城(開発室)

晶葉「タケミカヅチのスペック表は読んだか?」

P「関節部に使用している装甲材の変更、機体表面に耐熱、衝撃吸収用コーティング処理の追加」

晶葉「うむ、それでしばらくは頑張ってくれ」

P「コックピットの中で俺がミンチになる対策は?」

晶葉「……」

P「目を逸らすなよ……一番何とかしてほしいの、そこなんだけどなぁ」

晶葉「むぅ、コックピット周りの仕様変更なんて機体構造の仕様検討も入るから難しいんだよ」

麗奈「ワガママな奴ねぇ。それくらい我慢しなさいよ」

P「んな無茶な……」

麗奈「ていうか晶葉、アンタそんなことより逃げた破壊者の居場所、見つけたの?」

晶葉「広域レーダーで探しているが、まだ発見できていないな。宇宙ではないから、ヤタノカガミも使えんし」

麗奈「あっそ。仕方ないわねぇ」

晶葉「一応政府軍のデータベースも覗いてみているが、そっちも変わらずだな。状況が変わったら知らせるよ」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:41:02.24 ID:Wk+1dvXp0
P「上手いこと行かず、か……あ、そうだ」

晶葉「なんだ?」

P「2人とも、聞いていいか? ブロッサムウイングのパイロットについてなんだけど」

麗奈「……」ピクッ

P「前回の破壊者からは逃げられるし、俺たちもちゃんと戦闘メンバー全員で連携を取って戦う必要があると思うんだよ」

P「だから、ブロッサムウイングのパイロットとも一度話しておいたほうがいいかと思っているんだが」

晶葉「ふーむ……どうだ、麗奈?」

麗奈「レイナサマに振らないでよ……千秋から聞けば?」

P「いや、聞いたことはあるんだけど教えてくれなくて……ていうか、もしかして2人とも知らないのか?」

晶葉「私は……まあ、知らないと言えば知らないな。ブロッサムウイングの整備はここでやっているが、終わったら他の機体とは別の場所に移してるし」

P「なんでそんなことやってるんだ?」

晶葉「千秋の指示だよ。ツクヨミヒメを含むウイング以外の機体はここの格納庫に保管しているが、ウイングだけは整備が終わった後に別のカタパルトに移している」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:41:53.57 ID:Wk+1dvXp0
晶葉「だから出撃するときは当人もマニュアルで出ているから顔を見ていないし、戻ってきたときもいつの間にかいなくなってる」

P「ふうん……麗奈は?」

麗奈「そりゃレイナサマは知ってるわよ」

P「じゃあ教えて」

麗奈「ダメ」

P「そうですか……」

麗奈「別に、教えて減るようなもんもないからいいんだけどね。ま、千秋が話すなって言うから話さないケド」

P「ふーん……まあ、麗奈がそう言うなら……」

晶葉「黙ってても、破壊者はやってくるしいつかは話が出ると思うがな」

P(こっちで調べろってことか……仕方がない。夕方にあやめと話してみるか)

……
…………
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:49:17.23 ID:Wk+1dvXp0
――夕方、ブラックパール城(Pの部屋)

あやめ「成程、開発室でもそのようなお話があったのですね」カタカタカタッ!

P「麗奈は知ってるけど教えてやらないっていう意地の悪さだったけどな」

あやめ「仕方がありません。麗奈殿にもそれなりの事情があるのでしょう」カタカタカタッ!

P「んで、俺の端末で何やってんの?」

あやめ「少し布石を。実は先日、わたくしのほうでウイングのパイロットの調査をしていたのですが、千秋殿がその場に来てしまいまして」

P「んでバレたのか?」

あやめ「いえ、身を潜めたのでそのようなことには……とはいえ、その日の調査は断念することになりましたので」

ピピッ!

P「え、何やってんの? メール?」

あやめ「恐らくこれで千秋殿については問題ないでしょう。さて、それではP殿、時間までわたくしたちも普段通りに過ごしていましょうか」

P「ええええ……変なことしないでくれよ」

……
…………
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:51:07.99 ID:Wk+1dvXp0
――ブラックパール城(千秋の部屋)

ピピッ!

千秋「あら、メール? 差出人は……P? 珍しいわね、彼から業務外のメールなんて」

ピッ!

千秋「……」



『突然メールをしてすまない。直接言うのが恥ずかしくてこんな形になったが、今日の夜に城の客間……一番奥の部屋まで来てくれないか?』

『戦闘の影響か分からないが、ここ最近俺の体が疼いているんだ。皆のために俺自身の刻印を消耗しているからなのか……とにかく、一度相談させてほしい。客間のベッドは綺麗にしておく』



千秋「……」

千秋「……」


千秋「……!」ガタッ!


……
…………
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/26(水) 22:51:42.84 ID:Wk+1dvXp0
今日はこれで終わります。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 23:01:53.28 ID:2xwmhb5S0
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 05:58:12.77 ID:lmJlFSrKo

珠美が珠美に座っててくださいって言ってるようになってる
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 15:41:23.68 ID:AbZ07tizo
乙です
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 03:52:28.13 ID:kkRDquk60
>>17訂正

――翌日、早朝、ブラックパール城、屋敷(居間)

P「珠美、サラダ置いといたからテーブルに皿と一緒に並べといて」

珠美「わかりました!」

歌鈴「P、Pしゃ……わ、私も何かお手伝いを……」

珠美「いえ、歌鈴殿は座って待っていてください」

P「食器運ぶときに転んだら大変だからな。それにほら、豆腐もあるし」

歌鈴「こ、転びませんよぉ!」

P「いやお前、昨日コックピットから真っ逆さまに地面に落ちていった光景を見た後だと、その言葉は信用できないっていうか……」

歌鈴「そんなぁ……」


ガラッ!


紗枝「おはようさんどす……」ハァ……

歌鈴「あ、紗枝ちゃんおはようございます」

珠美「おはようございます! 紗枝殿、今日も良い天気ですね」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 03:53:57.84 ID:kkRDquk60
――夜、ブラックパールガーデン、屋敷(居間)

ガラッ!

紗枝「さぁて……歌鈴はんも珠美はんも、翠はんのところに行っとるみたいやし、うちも今日のお風呂は……」

紗枝「……はて?」ピクッ



P「……」スー……



紗枝「なんやあん人、お仕事せんで縁側で眠りこけて……」

P「……」

紗枝「あんさんがこんなところにおると、うちもゆっくり出来へんわ」

P「……」スー……

紗枝「……」

P「……」スー……

紗枝「机の上に端末も置いて、開きっぱなしやし……」カタッ……

ピッ!
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 03:55:17.11 ID:kkRDquk60


『管理コンソール操作マニュアル』

『桜霞活動予定表』

『会合日程配布資料』

『ダイオウカー操縦訓練プランドラフト版』


紗枝「こういうんは見えへんようにせんと、お仕事もしっかりやらへんと本当に……」カタッ、カタッ

ピッ!


『着物カタログ 着物、和装小物、浴衣一覧』

『定番和食メニュー100選』

『今年の高校生は放課後や休日に何をしている?』



紗枝「なんや、お仕事に関係あらへん物まで……はぁ」パタンッ!
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/15(火) 03:56:03.03 ID:kkRDquk60

紗枝「あほらし……うちも早くお風呂に――」


ドクンッ!


紗枝「……」ガタッ!

紗枝「……」ドクンッ……ドクンッ……

紗枝「……はよ行かへんと」ガラッ!

パタンッ!





ピピピッ! ピピピッ! ピピピッ!

P「ん……んぁ……寝ちまった」

P「ふわぁ……もう夜か、時間……やべっ、あやめと待ち合わせしてた時間じゃん!」

P「ああっと端末は……とりあえず持ってくか。後は……とりあえず行かねえと」


……
…………
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