地球最後の日にシフトが入ったバイトくん

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 18:13:54.78 ID:s6R+a49Y0
バイト「くそう、何で俺はこんな日にラーメン屋でバイトなんかしてんだ!」

店長「仕方ないよ、きみ。この前お盆のときに丸々休んでんだから」

バイト「そういう問題じゃないでしょう?! 今日で地球最後なんすよ?!」

先輩「地球最後の日とあって、客入りも上々っすね!」ニヤッ

店長「ああ! 稼ぎ時だ!」ニヤッ

バイト「だから稼いでも意味ないっての!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1501319634
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 18:41:48.50 ID:s6R+a49Y0
先輩「今日は大盛り全増しのお客さんばっかっすよ!」

店長「どうせ死ぬんだ。今更体に気を遣っても仕方ないもんな」ハハハ

バイト「どうせ死ぬんならもっと有意義に時間使いましょうよ! 家族や恋人と最期の時を過ごさなくていいんすか!」

店長「俺の奥さん、結構ドライだからね。最期くらい、一人でのんびりしたいってさ」ワッハッハ

バイト「結構どころじゃないすよそれ! 地球崩壊する前に店長の家庭が崩壊してるじゃないすか!」

先輩「本人が満足してるならそれでいいじゃないか。それにテレビ局が仕事放棄してるんだから、家にいてもやることなんかないだろう?」

バイト「ありますよ! シフトが入ってなけりゃ、彼女と会ってますよ!」

店長「彼女は何て?」

バイトは「ブチ切れてましたよ! 何て言い訳したらいいんすか!」

先輩「なーに、どうせすぐに言い訳する必要はなくなるさ!」ハハハ

店長「皆死ぬもんね!」ハハハ

バイト「あんたら自分の命をなんだと思ってんだ!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 18:56:00.68 ID:s6R+a49Y0
先輩「でもこんなにお客さんが来てるんだぜ? ここまで僕らが必要とされることなんて他にあるかい?」

バイト「地球最後の日にやってるアホな店がここだけだからでしょ!」

常連「おーい! 喋ってねえで俺の注文した3倍豚骨、さっさと持ってこいよ!」

バイト「うるせえ! 黙って待ってろボケ!」

常連「なんだその口の利き方は! 俺は常連だぞ!」

バイト「このあと地球滅びるんだから関係ねえだろ! 食わせてもらえるだけ、ありがたいと思えハゲ! 死ね!」

店長「こらこら、大切なお客様にそんな……」

先輩「いらっしゃいませー!」カランカラン

彼女「……一名で」

バイト「」

先輩「一名様っすね! カウンター席にどーぞ!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 19:09:52.86 ID:s6R+a49Y0
彼女「……」

バイト「こ、こちらお冷です……」カタカタ

彼女「……」

バイト「ご注文お決まりのころ、またお伺いに……」カタカタ

彼女「……」ガシッ

バイト「ひぃっ?! な、なんでしょうか……?」

彼女「……まさか本当にバイトしてたとはな」

バイト「だからそれはさっき電話で……」

彼女「てっきり他の女がいて、その言い訳にバイトのシフトを使ってんのかと思ったけどよぉ……」

バイト「く、口調がいつもと違うんだけど……」

彼女「まだこれなら浮気されてた方がマシだったな……。もう少しで地球が滅ぶってのにバイトだと……?」ギリギリ

バイト「痛い痛い! 思う! 俺だって頭おかしいと思うよ!」

店長「お取込み中悪いんだけど、これ5番の席に運んじゃって!」

バイト「で、では仕事があるのでこれで……」

彼女「手が空いたら隣に座れ……。人生最期のお説教タイムが待ってるからな……」パッ

バイト(散々だよ!)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 19:32:34.12 ID:s6R+a49Y0
大学生A「最後の晩餐か……」

大学生B「人の命って儚いよな……」グスッ

大学生C「今まで死ぬ気で勉強したのに、社会に出る前に死んじまうんだもんな……」ポロポロ

大学生D「……。泣くなお前ら! 最期にこうやってみんなで集まってラーメンが食えるんだ! それでいいじゃないか!」ガシッ

大学生A「……そうだよな。俺、お前らと大学で出会えて本当に良かったよ」

大学生B「やめろよそういうこと言うの……。反則だろ……」ポロポロ

大学生C「うぅ……俺もお前らに会えて良かった……」ポロポロ

大学生D「へへ……最期くらい、ビールでも飲むか!」グスッ

大学生A「そうだな! すいませーん!」

先輩「はい!」

大学生A「ビール4本お願いします!」

先輩「ええと……皆さんハタチ超えてますか?」

大学生B「いえ……全員19ですけど……」

先輩「すみません、未成年の方にはお売り出来ないんですよ……」

大学生C「で、でもどうせこの後、みんな死ぬんですよ?」

先輩「法律で決まってるもんで……他のご注文ございましたら、お伺いしますが」

大学生D「や、やっぱいいです……」

常連「まだかよ俺の3倍豚骨! いつまで待たせんだオイ!」

先輩「はーい、ただいま!」

大学生A「……」

大学生B「……」

大学生C「……」

大学生D「……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 19:33:42.12 ID:eKcrdM5M0
わろたw支援www
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 19:36:45.55 ID:reN4BnmMo
これは期待
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 19:38:01.69 ID:6KrusNMgo
ギャグマンガ日和の終末思い出した
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 20:31:32.20 ID:s6R+a49Y0
父「うまいか……皆?」

息子「うん、すっごくうまいよ父さん」

娘「あたしここのラーメン大好き!」

母「まさか今日も開いてるなんて思わなかったけどね」フフフ

父「……こうやって揃って食べるのも久しぶりだな」

息子「いつも父さんは遅くまで仕事してるからね」

父「ああ……。いつも仕事ばかりでお前たちに構ってやれなくて、すまなかった……」

母「謝らないで。あなたは父として、立派に私たちを守ってくれたわ」ソッ

父「でも……でも……こうなると分かってたら毎日残業なんかしなかった……! もっとお前たちの近くにいた……!」ポロポロ

息子「父さん……」

娘「……。お父さん、あのね? 私、死んじゃうのは怖いけど、少しだけ今日が地球最後の日で良かったなって思ってるの」

父「……? どうしてだ?」グスッ

娘「だってお父さんがこうして仕事を休んで、一緒にいられるんだもん」ニコッ

父「……こんな日に仕事なんか行くもんか。愛するお前たちがいるのに……」ボロボロ


彼女「」ビキビキ

バイト(絶対俺のこと睨んでるよ……。あの家族と俺を比べて今にも憤死しそうになってるよ……)ビクビク
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 20:46:15.96 ID:TlI5OCyc0
店長、先輩、常連客の平常運転っぷりは何なのだ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 21:07:31.68 ID:s6R+a49Y0
店長「いやーこんなに一生懸命鍋振るのも何年振りかな?」フウフウ

先輩「いつもはこの店、閑古鳥が鳴いてますもんね」ワッセワッセ

店長「昔はここも連日こんな感じだったんだけどね。親父が死んで俺がこの店を継いだときから、徐々に客足が遠のいちゃって……」

先輩「……。俺は店長の作るラーメン、好きっすけどね」

店長「ありがとう。でもこの味が出せるようになるまで、すごく時間かかったんだよ」

先輩「そうなんすか……」

店長「ああ。ちゃんと親父の言う通り、真面目に修業してればこんなことにはならなかったんだろうけどね。客が一人減るたびに、自分の無能さを思い知らされたよ……」

先輩「……。でも今はこうして、皆店長のラーメンを美味しい美味しいって食べてくれてますよ」

店長「どうかな? 地球最後の日でも開いてるのがウチだけだからかもよ?」ハハハ

常連「おい! いつまで待たせんだ! こっちは腹ペコなんだよ!」ダンダン

先輩「はーい、ただいま!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 21:10:05.95 ID:yUUkzT/g0
>>10
一周回って冷静になってるんだよ(小並感
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 21:18:21.76 ID:s6R+a49Y0
彼女「おいそこのバイト……。そろそろ手は空きそうか?」

バイト「いえ……まだ皿洗いが残ってますので……」ビクビク

彼女「そうか……。なら注文するからこっちに来い……!」ビキビキ

バイト「ひぃッ! せ、先輩! カウンター様のオーダーお願いします!」

先輩「ごめん、俺ピッチャーに水入れてるから無理」ジャー

常連「おい、いい加減にしろ! そんなもん後でいいだろ! 早く俺のラーメン持ってこい!」

先輩「はーい、ただいま!」ジャー

彼女「ほら、先輩は忙しいってよ……」ビキビキ

バイト「うぅ……」ガタガタ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/29(土) 21:49:31.74 ID:s6R+a49Y0
バイト「ご、ご注文は……?」

彼女「この超激辛担々麺をいただこうか……」

バイト「いいのか……? これ、ケツの穴が痛くなるくらい辛いぞ……。お前甘党だろ……?」ビクビク

彼女「甘党じゃねーよ。かわいく見えると思って今までパンケーキとかで騒いできただけで、本当は超のつく辛党なんだよ」

バイト「なぜ今になって……」

彼女「何故かって?」ギロッ

バイト「ひ、ひいっ! オーダー入ります!」ビクビク

彼女「今まで散々可愛く見せようと思ってきた相手が……地球最後の日に彼女よりもバイトをとるからだろうなあ!」ギチギチ

バイト「超激辛担々麺一丁!」ガタガタ

店長「はい、超激辛担々麺一丁!」

彼女「唐辛子増し増し!」

バイト「唐辛子増し増し!」ブルブル

彼女「ラー油増し増し!」

バイト「ラー油増し増し!」ポロポロ

店長「はい、かしこまりましたぁ!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 21:53:19.65 ID:uBMTCZPK0
家族より彼氏を優先するいい彼女だな
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/07/29(土) 21:54:40.62 ID:QPExd3wy0
ヤバイwww面白すぎるwwww
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 22:38:34.44 ID:t4zwMsHlo
かわいい
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 10:18:53.43 ID:VgZXoytPo
はよ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/30(日) 18:10:13.87 ID:v0PfDjSK0
女性「お勘定……」

先輩「ありがとうございま……あれ、ほとんど残されてますけど……。お口に合いませんでした?」

女性「いえ、本当に美味しかったけど……なんだか喉を通らなかったわ」

先輩「そうすか……」

女性「美味しいもの食べても、結局独りで死んでいくのには変わりないから……」グスッ

先輩「……詳しくお聞かせ願えますか?」

常連「おい! そんな女の身の上話聞いてねーで3倍豚骨持って来いつってんだろ! 俺が注文してからどれだけ経ったと思ってんだ!」ダンダンダンダン

先輩「はーい、ただいま! ……話せば少しは楽になるかもしれないすよ?」

女性「ありがとう。私、これまで勝ち組になるために全てを犠牲にしてきたわ……。一流の大学に入って、一流の企業に勤めるために、友達も、恋人も何も作らなかった……」

先輩「……」

女性「これで仕事にやりがいを感じられたら少しはマシだったんだろうけど……月収と見栄で選んだようなものだからね……」

先輩「……。……続けてください」

女性「結婚だって周りにはいい人なんていくらでもいたはずなのに……相手の年収で妥協できなくて……」

先輩「……」

女性「お金がいくらあっても……高級マンションに住んでいても……私には心から語り合える人がいない……! 今日で死ぬというのに……! 私には……!」ポロポロ

先輩「……。お客さん、ラーメンは好きっすか?」

女性「……? ええ……。人生の最後の食事に選ぶくらいだもの……」ポロポロ

先輩「店長! 休憩入ります!」

店長「はーい」

女性「……?」

先輩「お客さん、俺ね? ラーメンが好きで好きでたまらないから、こうして死の間際になってもラーメン屋でバイトしてるんすよ」

女性「……ふふ、変な人」グスッ

先輩「初めてお会いするお客さんと俺じゃ、長年連れ添った恋人や友人のようには語れないっすけど……」ドッコイセ

常連「おい! ラーメン!」ダンダン

先輩「趣味友達とラーメン談義に花を咲かせて死んでいくのも悪くないと思うんすよ」ニコッ

女性「……。私、ラーメンはかなりうるさいわよ?」ニコッ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/30(日) 18:24:00.38 ID:v0PfDjSK0
バイト「お待たせしました……超激辛担々麺、唐辛子、ラー油増し増しです……」ビクビク

常連「おい! 俺の方がそいつより先に注文したろうが!」ダンダン

彼女「そこに置け……」

バイト「はい……」ゴトッ

彼女「座れ……」

バイト「で、でも皿洗いが……」フルフル

店長「あー、どうせ洗っても意味ないから今日はいいよ。休憩入っちゃって」

バイト「で、でも店長!」

店長「 ( *• ̀ω•́ )b」グッ

バイト(グッ……じゃねーよ! 何、ナイスアシストしたみたいな顔してんだ!)ウワアアアアアアア
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