モバマス『言の葉の記憶』

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1 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:05:44.14 ID:1oure80i0
これはモバマスSSです

基本的になおかれです
かなり気合い入れて書きました

前前作 佐久間まゆ「遠く届かなかったあなたへ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497804271/

前作  春香「先輩後輩と感謝の気持ち」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499527557/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1501668343
2 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:06:17.92 ID:1oure80i0
「今度の福岡公演楽しみだなぁ!」

この梅雨の季節のせいでいつもに増してふわふわした髪の毛の奈緒が
うれしそうに何回も同じ話をしている

「もー、な〜お?その話何回目?」

アタシはそんな奈緒にあきれた風にそんなことを言ってみる

「何回言っても足りないだろ〜?」

奈緒は至極当然のような顔をしてこう言葉を続ける
3 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:06:43.45 ID:1oure80i0
「今回は加蓮も一緒に福岡行くんだから楽しみに決まってるじゃん!」

奈緒はにこっとアタシに微笑みかける
ほんと…この表情はずるいと思う…

「でも今回は何の曲を歌うんだろうな?」

「アタシたちが並んでるならトラパルとかじゃない?」

「でも凛がいないだろ?」

「前にアタシ抜きで歌ってるの知ってるんだからね?」

「うっ…覚えてたのかよ…」
4 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:07:13.58 ID:1oure80i0
このやりとりも、もう何回目になるのだろうか?
実際アタシの方も今回の福岡公演は心の奥では楽しみにしている

「セットリストはまだ渡されていないんだよなぁ」

「奏もいるしモノクローム・リリィもそろってるんだよねぇ」

「奏と合わせて三人でトランシングパルスとか無いかな?」

「あはは、そんなことしたら凛が拗ねちゃう」

「ははっ、確かに」
5 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:07:58.68 ID:1oure80i0
そんな話をしていると同じ福岡のメンバーのうち何人かが部屋に入ってくる

「あれ?奈緒ちゃんに加蓮ちゃんじゃん、早かったんだね」

「夕美さんじゃん、なんでここに?」

「あれ?奈緒ちゃんスマホ見てないの?」

「スマホ?」

そう言って奈緒は自分のスマホを確認する
アタシも自分のスマホを確認する
そこにはプロデューサーからここの部屋で待ってるようにと言う連絡が入っていることに気がつく
6 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:08:25.25 ID:1oure80i0
「あれ、プロデューサーから連絡入ってるじゃん」

「ほんとだ、何の用なんだろ?」

「アレじゃ無いか!?セットリスト!」

「そうかも!」

そんなことをやいやい言っている間にプロデューサーが入ってくる

「まだ全員は来ていないみたいだな」

「あっ、プロデューサーさんおつかれさまでーす」

「おう、お疲れ」
7 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:08:51.71 ID:1oure80i0
プロデューサーさんは夏で暑いからかジャケットを脱ぎ
シャツ一枚でファイルをぱたぱたしている

「今日は何の為に集めたの?」

「おぅ、今日は今度の公演の詳しいことが決まったから、その話をしようと思ってな」

「おぉ!ついに決まったのか!」

「私たち今度のライブ何歌えるの!?」

「おぉ、奈緒も加蓮も元気だなぁ」

プロデューサーさんは私たちの問いつめを軽くあしらうと
鞄の中から紙の入ったクリアファイルを出し、それを一つ一つ手渡していく
8 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:09:18.35 ID:1oure80i0
「なんだこれ?」

「今度のライブの詳細の資料だ、セットリストも…」

「えっ!?セットリストもあるの!?奈緒!早く見よーよ!!」

アタシはプロデューサーさんが最後まで言い切るより先に資料を机の上に広げる

「あー、説明しながらにしようと思ってたのに…」

「まぁまぁいいじゃんいいじゃん!」

アタシたちはセットリストの書いてある紙を見つけ、自分の名前が書いてある部分を探す
9 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:11:15.15 ID:1oure80i0
「うーん、アタシ始めの方はそんなに無いんだね」

「おい!加蓮!!後ろの方見てみろよ!!」

奈緒は興奮しながら下の方にある自分の名前を指している

「この曲って…」

奈緒が今回ソロで歌う曲はライブでは初めて歌う曲である「Neo Beautiful Pain」で
なんともかっこいいクール感溢れる曲が歌えるのがかなりうれしいらしく、かなり良い笑顔をしている
でもそんな顔するから、いろんな所で奈緒はキュートだって言われるんだよ?
10 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:11:51.24 ID:1oure80i0
「加蓮の曲もあたしの前にあるぞ!加蓮も新曲のやつじゃ無いか?」

アタシのソロ曲は奈緒の二つ上にあった
「Frozen Tears」はアタシの中で2曲目のソロ曲で
この曲もライブでやるのは初めてになる

「あっほんとだ〜、奈緒のために舞台暖めておくね」

「おう!頼むぞ!!」

「アタシの歌う曲は全員曲とアンコール合わせて7曲かぁ」

全部で24曲中7曲ということで3曲に1曲で歌うということなっている
三時間という短い時間の中で密度の濃いライブになるんだろうなぁ
11 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:13:08.64 ID:1oure80i0
そんなことを考えていたら奈緒が何かを見つけたらしくプロデューサーさんに聞いているようだ

「なぁプロデューサー、ここのMemoriesって誰が歌うんだ?」

奈緒が見つけたのはアタシと奈緒の曲の間にある曲だったが
確かに歌手の欄は空白になっている

「もしかしてサプライズゲストってやつか!?」

「それをここに書いていたらサプライズにならないだろ…?」

Memoriesといえば、シンデレラガールズでの先輩ユニット「LOVE LAIKA」の曲で
クールの二人ユニットの代表的な存在と言っても過言では無い
12 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:13:53.95 ID:1oure80i0
「でも今回福岡にはLOVE LAIKA来ないよね?」

アタシは奈緒とプロデューサーさんの会話に混ざりに行く

今回のライブは346プロ全体でのライブツアーの一つで
各地方ごとに出演するアイドルが違うということで
LOVE LAIKAの二人は今回は福岡では無いところで参加すると言うことは聞いている

「おう、この曲はLOVE LAIKAじゃない人に歌ってもらうぞ」
13 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:15:29.95 ID:1oure80i0
「LOVE LAIKAじゃない人に?」

「それってだれに?」

アタシと奈緒の頭に?マークが浮かんでいるところに
遅れてきた他のメンバーも入ってきた

「あのー私の『おかしな国のおかし屋さん』の横に王子役って書いてあるんですけど今回は誰なんですか?」

他の人のところにも空白の欄はあるみたいで
みんな口々にプロデューサーさんに質問していく
14 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:16:00.27 ID:1oure80i0
「あ〜もうわかったから、説明するから待てって!」

プロデューサーさんは一人一人に説明していき空白の欄が埋まるごとに歓声が上がったりしている

「んで、最後はMemoriesの話だな」

プロデューサーさんはアタシたちを見ながら話を進める

「この曲は神谷奈緒、北条加蓮の二人で歌ってもらう」

「「はぁ!?!?」」
15 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:16:27.08 ID:1oure80i0
アタシと奈緒の声が重なる

「だってMemoriesだろ!?」

「そんな先輩の曲をアタシたちが歌っても良いの!?」

「歌っても良いの?って言われてもな」

「あのあの…著作権とか…いろいろあるだろ!?」

「何言ってんだ、この曲についてはLOVE LAIKAの曲である前に346プロの曲だし」
16 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:16:55.97 ID:1oure80i0
プロデューサーさんは一呼吸入れて

「LOVE LAIKAの二人にもちゃんと許可貰ってるぞ」

「あの二人が…」

「アタシたちに歌ってもいいって言ってくれてるのか…?」

「あぁ、二人とも楽しみにしてるってさ」

プロデューサーさんは軽く笑うと全体の説明に戻っていった
17 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:17:25.70 ID:1oure80i0
「ねぇ…奈緒?」

「なんだ…加蓮…」

「これは大変なことになっちゃったね…」

「そうだな…」

アタシたちはその後なんにも話が耳に入らなかった
福岡公演はまだ先なのに期待に胸が高まっているのか不安に押しつぶされそうになっているのかわからなくなってしまっていた
18 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:17:52.18 ID:1oure80i0
「あぁぁぁあ!!!!!」

レッスン室に響き渡る絶叫にも似た悲鳴

「奈緒?どうしたの?」

「加蓮…Memoriesってこんなに踊るの難しいんだな…」

セットリストの発表からしばらく経ってライブに向けたレッスンが始まっていた
しかしそのレッスンの時間を全部使っても奈緒にとってはMemoriesのダンスは難しいみたいで、ずっと同じミスを繰り返している
19 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:20:58.86 ID:1oure80i0
「普段とは違う向きで踊ったりしなやかに踊ったりさぁ…」

奈緒はスポーツドリンクを飲みながら自分が何でできないかの分析を始めていた
本人の顔は少し疲れている顔をしてはいるけど
顔色も良い…と思う

「これ…ほんとに間に合うかぁ?」

奈緒の口からは弱音が出るようになってきていた
基本的に前向きな奈緒が弱音を吐くのは珍しいような気がする
20 : ◆9YfKA67h5g [saga]:2017/08/02(水) 19:23:42.59 ID:1oure80i0
「ほーら、アタシだってしんどいんだから。もうちょっとがんばろ?」

アタシは奈緒に手を差し伸べる
しかし奈緒はアタシの言葉を聞いて少し顔が曇る

「加蓮…ごめんな」

「どうしたの?」

奈緒は曇っていた顔がいきなり泣きそうな顔になる
そしてアタシに謝罪の言葉を告げる
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