乃々「心の声が聞こえるんですけど……」

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32 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:24:54.30 ID:pnTtT7GF0
>>31 ちょっと訂正


泰葉「乃々ちゃん!」

乃々「あ、泰葉さん……それにみなさんも」

乃々「……あうぅ……みんなでじっと見られるのはやめてほしいんですけど……」

泰葉「そんなことより!」

泰葉「大丈夫、乃々ちゃん!?」

乃々「あうぅ……そんなにがっつり肩つかまないでほしいんですけど……」

乃々「そもそも、大丈夫って何がですか……?」

泰葉「えっ……?」

小梅「……心の声、聞こえないの……?」

乃々「え……いえ、聞こえますけど……」

乃々「たとえば……」

乃々「……」

乃々「……小梅さんが……うぅ」

乃々「も、もりくぼのことを……」

乃々「大切な仲間だって思ってるって……考えてるのもわかりますけど……」

小梅「!」

乃々「あうぅ……は、恥ずかしい……」

乃々「なんで、こんなタイミングでそんなこと考えてるんですか……」

泰葉「……こんなタイミング?」

乃々「はい……」

乃々「……いえ、確かに収録前なら思ってもおかしくないのかもしれませんけど……」

乃々「でも……は、恥ずかしいんですけど……」

聖「……これってもしかして」

茄子「ちょっと前の乃々ちゃんに戻ったって事ですよね……?」

茄子「元通りって、やっぱりそういう……」

乃々「な、なんですかそれ……?」

小梅「……あのね、さっき乃々ちゃんは――」

モバP「――すまん、遅くなった! 大丈夫か!?」

茄子「あら、プロデューサー……ちょうどいいタイミングでしたね」

モバP「?」

泰葉「そうですね……お二人に、さっきまで何があったかを話します――」
33 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:27:21.16 ID:pnTtT7GF0
モバP「――なるほど、乃々の中にいた妖怪が暴走していたのか」

茄子「そうみたいです」

茄子「それで、乃々ちゃんは何もしなくても他人の心の声が常に聞こえるようになっちゃったみたいで」

モバP「……それは大変だっただろうな」

乃々「正直にわかに信じがたいですし……」

乃々「そもそも覚えてないので、なんとも……」

小梅「……でも、辛そうだったよ、乃々ちゃん」

モバP「そうだろうな」

モバP「何せ、その妖怪は聞こえる声を全て悪口に変えていたんだろうから」

泰葉「そうなんですか……!?」

モバP「ああ」

モバP「……その妖怪は、はじめは心を読む力だけを与えるんだ」

モバP「そして、時間かけて、読んだ心は正しいものである……と宿主に認識させる」

モバP「完全に力を信じきった後、その妖怪は動き出すんだ」

モバP「力を暴走させ……かつ、届く声にフィルタをかけるんだ」

モバP「宿主が傷つくように言葉声を変えるんだ」

モバP「褒めるような言葉でさえも、けなすような言葉に変えてな」

モバP「宿主は届く言葉が全て真実だと信じきっている……それまでが全て正しかったからな」

モバP「そうして弱った心を捕食するのがこの妖怪だ」

乃々「えぇ……そんな危ないのなんですか」

モバP「今はまだ大きな影響はないがな」

モバP「……」

モバP「……いや、待てよ」

モバP「さっき暴走してたって言ったよな?」

モバP「じゃあどうしてまた潜伏しているんだ……?」

聖「……きっと、こずえちゃんが……」

モバP「こずえが?」

こずえ「おねがいをかなえたのー……」
34 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:31:08.85 ID:pnTtT7GF0
モバP「誰の……いや、乃々のか」

こずえ「そうだよー……」

乃々「もりくぼの願い……」

乃々「……あの、もりくぼはどんなことを願っていたんですか……?」

こずえ「もとどおりー……」

乃々「……元通り?」

茄子「さっき、こずえちゃんが光を発して、乃々ちゃんを包みました」

茄子「そうしたら……収録前の乃々ちゃんになっていたんです」

茄子「今までの反応を見る限り、記憶も含めてなにもかもが収録前の……」

モバP「……それで元通りってことか」

こずえ「うん……」

こずえ「おねがいだったからー……」

モバP「そうか……ありがとな、こずえ」

こずえ「えへー……」

乃々「……と、突拍子もない話すぎて……やっぱり信じがたいんですけど」

小梅「でも、本当だよ……? ほら、時間も……」

乃々「あ、本当……」

乃々「じゃあ、もりくぼはどうして……そんな……」

泰葉「……」

モバP「……さて、それじゃあまた暴走しないうちにさっさと除霊を――」

泰葉「――あっ、ちょっとだけ待ってください!」

モバP「ん?」

泰葉「今は……私たちの心の声、そのまま届いているんですよね」

モバP「ああ」

泰葉「それなら……ちょっとだけ、時間をください」

モバP「?」

小梅「あ、うん……私も欲しい……」

小梅「ダメ……?」

モバP「……」

聖「……あの、プロデューサーさん。私からも」

茄子「そうですね、少しだけ時間を」

茄子「みなさんが、ハッピーに終わるためにも」

モバP「……ああ、わかった」

小梅「!」

モバP「ただ、暴走しそうになったらすぐに除霊するからな」

泰葉「あ、ありがとうございますっ!」
35 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:35:13.66 ID:pnTtT7GF0
泰葉「それじゃあ……こほん」

泰葉「……乃々ちゃん」

乃々「あ、はい……」

泰葉「……あのね」

泰葉「私……ううん、私たちは、乃々ちゃんのことを本当に大切な仲間だと思ってるの」

泰葉「かけがえのない……大切な……」

乃々「……」

泰葉「ね、小梅ちゃん」

小梅「うん……」

小梅「乃々ちゃんがいなきゃダメだし……」

小梅「乃々ちゃんがいなきゃ嫌……」

乃々「……あの、どうしたんですか、急に」

乃々「その……もりくぼ、恥ずかしくって、破裂しそうなんですけど……」

泰葉「……さっきまで、乃々ちゃんはね」

泰葉「私たちが『乃々ちゃんなんていなくなってしまえばいい』って考えているように聞こえてたんだって」

乃々「!」

泰葉「それで、その時はずっとそれを信じてて……私たちを信じたかったって、とっても辛そうにしてた」

乃々(……だからもりくぼは、元通りを願ったんですね)

乃々(お二人を信じれなくなったら、もりくぼは……)

小梅「だからね……ズルかもしれないけど……でも、聞いて欲しかったの」

小梅「私たちは心の底から、乃々ちゃんが大切な仲間だと思ってることを……知って欲しかったの」

小梅「心が読めなくなっちゃう前に……どうしても伝えたかったの」

小梅「乃々ちゃんがそのときのことを覚えていなくても、どうしても伝えたかったの……」

小梅「私も……」

泰葉「私もね」

乃々「……そうですか」

乃々「……」

乃々「……」

乃々「あの……」

乃々「……」

乃々「……あ、ありがとうございます……」

乃々「すっごくうれしい……うれしすぎて、顔が見れないんですけど……」

小梅「……伝わった?」

乃々「バッチリと……」

泰葉「……よかった」
36 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:37:24.11 ID:pnTtT7GF0
泰葉「……もう大丈夫です。ありがとうございました」

モバP「いえいえ」

モバP「それじゃあ……除霊するぞ」

乃々「あ、はい……」

モバP「破ぁ!!!」

乃々「!」

モバP「……ふぅ」

茄子「大丈夫でしたか?」

モバP「ああ」

モバP「……乃々の中にいた奴は、妖怪としての力がそんなに強いわけじゃないからな」

聖「そうなんだ……」

乃々「……」

泰葉「……乃々ちゃん、大丈夫?」

乃々「あ、はい……」

乃々「……今ので終わりなんですか?」

モバP「ああ。もういない」

乃々「そうですか……もっといろいろやるのかと……」

小梅「……ねぇ、乃々ちゃん」

小梅「私が何考えてるかわかる……?」

乃々「……」

乃々「……わかりますけど」

小梅「えっ……!?」

聖「プロデューサーさん……?」

モバP「いや、確かに成功したはずなんだが……」

茄子「副産物が残ったんでしょうか……?」
37 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga]:2017/09/02(土) 10:48:30.61 ID:pnTtT7GF0
乃々「ああ、いえ、そんな大げさにしないでください……」

乃々「別に、今までみたいに声が聞こえたり……」

乃々「……」チラッ

乃々「……心が見えたりするわけじゃなくて」

乃々「ただ……その……」

乃々「……た、大切な仲間だから……わかる、みたいな感じですから……」

小梅「乃々ちゃん……!」

乃々「……小梅さん、泰葉さん……」

乃々「もりくぼを心配してくれて、ありがとうございました……」

乃々「お二人が今……喜んでいるのが伝わって、もりくぼも……とても嬉しいです」

小梅「わぁ……本当に伝わってるんだね……♪」

乃々「……だって、その、お二人は……」

乃々「……」

乃々「……やっぱり、恥ずかしいから言いません」

泰葉「……大丈夫」

泰葉「私たちにも、乃々ちゃんの心は伝わってるよ?」

小梅「うん……バッチリと……♪」

乃々「あうぅ……それはそれで恥ずかしいんですけど……」

小梅「ふふ……これからも一緒にがんばろうね……?」

乃々「は、はい……」

乃々「……でも、心が読めないのは……やっぱり不安なので……」

乃々「今まで以上にもりくぼを守ってください……」

泰葉「うん。任せて、乃々ちゃん」

茄子「……ふふっ、一見落着ですね♪」

茄子「みんな幸せに終わりましたねー♪」

こずえ「ねー……」

モバP「……じゃあ、落ち着いたら収録しなおしだな」

聖「あ、そっか……忘れてた……」

茄子「んー……じゃ、始まるまでの間に、宇宙人についてもうちょっと考えましょうか」

聖「うん……歌声、届けたいから……」

こずえ「やっぱりよぶー……?」

聖「いえ、それは……」

乃々「……」

乃々(もりくぼはそのときのことをぜんぜん覚えてませんけど……もしも、元通りになってなかったら)

乃々(もしも、今日みなさんに会えなかったら……もりくぼはどうなっていたんでしょう)

乃々(小梅さんも泰葉さんも信じれず、ずっと独りで……つぶれちゃって……」

乃々(そんなことになったら、もりくぼは……)

乃々(……)

乃々(……寺生まれってすごいし)

乃々(寺生まれのいる事務所ってすごい)

乃々(はじめてもりくぼはそう思ったんですけど……)



おしまい
38 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/09/02(土) 10:51:22.35 ID:pnTtT7GF0
心が読めるくぼとか、神様こずえちゃんとか、茄子聖こずえの心とか、書きたかったのを混ぜました

ちょっと前の番外編で出したネタはこれで全部回収

誤字脱字、コレジャナイ感はすいません。読んでくださった方ありがとうございました。
39 : ◆6QdCQg5S.DlH [saga sage]:2017/09/02(土) 10:52:32.18 ID:pnTtT7GF0
最近書いたの
茄子「ど根性ほたる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1502459311/

クラリス「教会生まれのCさん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501868659/

菜々「はっ! ここは……つきのみや駅?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500108240/

モバP「依田は芳乃と海へ」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499348191/

よかったらこちらもよろしくお願いします
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 12:56:59.77 ID:dAHzefIyo
懐かしい・・・おつ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 16:45:22.05 ID:ovNZbsHDO
寺の人って色んなの書いてるんだ……


42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/02(土) 17:08:05.96 ID:/6Cw5LEQ0
某指揮者を思い出した
話が綺麗に纏まってて面白かった乙
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/03(日) 23:19:30.52 ID:UKewLrs7o
おつおつ
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