男「幼馴染って負けフラグだよな」 幼馴染「え!?」

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1 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/11(月) 05:24:20.37 ID:STxLpu7D0
〜〜
今日最後の授業は自習だった。当然殆どの人は真面目に自習などせず、適当に集まって駄弁っていた。男と友は、親友同士な上、隣席でもあったため、二人で話していた。今日は最近のアニメについて盛り上がっていた。

男「幼馴染って負けフラグだよな」

友「あー、分かる分かる。なんか幼馴染ってよく負けるよな」

男「まあ俺(視聴者)達にしてみれば幼馴染とくっついても(意外性なくて)つまんないもんなあ」

男「刺激が足りないって言うか、俺(視聴者)達が幼馴染に飽きたってのもあるだろうな」

友「そうだな。もう幼馴染の時代は終わったのかもな」

〜〜〜〜


男と友から離れた位置で真面目な幼馴染は黙々と勉強をしていた。そう、ついさっきまでは。

――幼馴染って負けフラグだよな――
幼馴染(男くんの幼馴染の女の子と言えば私だよね。それにしても、『まけふらぐ』ってなんだろう、ふらぐ、flag、旗……。負けの象徴ってこと!?)

――刺激が足りないって言うか、俺(視聴者)達が幼馴染に飽きたってのもあるだろうな――
幼馴染(男君が私に飽きた!?どうしよう、男くんに嫌われたら、私……)アタマカカエ


友「それで、最近幼馴染ちゃんとはどうなんだよ、男?」

男「え? どうって、特に変わりないけど。相変わらず真面目で、口うるさいんだよなあ。お前は俺の母親かっての」

幼馴染(そっか……男くんは私が口うるさいから私のことが嫌いに……今日からは優しくしてあげよう。)

友人「はいはいそーですか(さっさとくっつけばいいのに)」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505075060
2 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/11(月) 05:27:11.68 ID:STxLpu7D0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン!

男「お、授業おわったな。それじゃ俺、帰るから。テニス部がんばれよ、友」

友「おー。じゃあな」

男(それじゃ、いつも通り幼馴染と帰りますかね)スタスタ

幼馴染(どうしよう!? もう男くんこっち来ちゃう! とりあえず優しく、優しく……)

男「幼馴染、帰るぞー」

幼馴染「う、うん! 帰ろう!」

男「……?(おかしいな、自習の時間友と喋ってたこと、真っ先に注意されると思ったんだけどな)」

幼馴染「え、えっと。今日1日お疲れ様だね、男くん。今日の体育のバレーボールじゃ大活躍だったもんね。え、偉いぞー!」

男「」ゾワワワー

男(ナニコレ!?この幼馴染、キモチワルっ! 俺コイツになんかしたか!?)

男「や、やめろよ。お前にそういうこと言われると気持ち悪いわ!」

幼馴染「気持ち悪い!?」ガーン

男(やべえ、つい口走った。間違いなく殴られる!)

幼馴染「そ、そっかー気持ち悪いかー」プルプル

男(ヤバイ! 怒りに震えてる!)

男「ご、ごめん! 今のは間違いだ! だから殴らないでくれ!」

幼馴染(うう……男くんにとっての私って……)

幼馴染「ご、ごめんね男くん。私用事思い出したから一回学校帰るね。男くんは先帰ってて」ダッシュ

男「お、おう。また明日―……」


男(何だったんだあいつ……)



3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/09/11(月) 10:49:06.94 ID:fJ1wl4uFo
期待
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 02:24:54.26 ID:MzaHrUXuo
幼馴染報われてほしい
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 11:33:48.07 ID:Se40TV6L0
幼馴染はいつも馬鹿の一つ覚えの如くNTRてるもんなぁ
6 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 16:20:46.53 ID:2oZ5Uupr0
男「ただいまー」

妹(中三)「おかえりなさいです! 兄さん!」

男「ただいま、妹。聞いてくれよ、今日幼馴染がさー」

妹「むっ、また幼馴染さんの話ですか?」タメイキ

男「いや、今日は本当に変だったんだって。実はかくかくしかじかで……」

…………………

妹「そ、それは変ですね。いくら幼馴染さんと言えど心配になります」

男「だろ? おかしいよな、幼馴染が俺のこと注意しないなんて。それに、気持ち悪いって言われた程度気にするようなやつじゃないし……」

妹「高校でなにかあったんでしょうか?」

男「少なくとも昼休み喋ってた感じじゃなにもなかったけどなあ」

妹(確かに気になりますが、まあ幼馴染さんなら心配ないでしょう。それよりも私は、お兄様と二人きりのこの時間を――)

男「んー、心配だなあ」

妹「に、兄さん! 私、今日学校が早帰りで、兄さんのためにクッキー焼いてたんです!」クッキーサシダシ

男「お、マジか! 食う食う! ありがとう!」ナデナデ

妹「はぅ……。えへへ、兄さんに喜んでもらえて、私嬉しいです!」
7 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 16:22:06.79 ID:2oZ5Uupr0
男「うーん、やっぱり妹の焼いたクッキーはうまいなあ」モグモグ

妹「えへへ、他の料理じゃ兄さんに全く敵わないので、お菓子作りは必死に練習しましたからね」エッヘン

男「いやほんと、この道で食ってけるんじゃないか?」

妹「それもありかも知れませんねえ。……そうですね、大人になったら兄さんと私の二人でお菓子屋さんを開くとかどうです?」チラッ

男「んー、そうだなあ。特にやりたいこともないし、そういうのもいいかもなあ」

妹「本当ですか!?」パアア

妹(もしそうなったら、ずっとお兄様と一緒に……。えへへへ、夢のようです)ニヤニヤ

妹(これはもう、プロポーズと言っていいのでは? 私達は兄妹ですから結婚はできませんけど、二人でお店を切り盛りだなんて、もう実質夫婦ではないですか!)

妹「(ニヤニヤ)」ポケー

男「おーい、妹―?」

妹「(返事がない、ただの屍のようだ)」

男(また妹がトリップしてる。なんか最近多いなあ。そう、中学生入ったぐらいから急に……。なんでだ?)

男「それじゃ俺、幼馴染の家行ってくるからな。やっぱり今日の幼馴染の様子は気になるし」

妹「」ポケー

男(ダメだこりゃ)
8 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 16:25:10.64 ID:2oZ5Uupr0
妹ちゃん、思考内では「お兄様」呼びで口にだすのは「兄さん」って設定になってますけど、お兄様で統一しようか迷ってます。
みなさんどっちがお好きですかね?
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 16:28:54.51 ID:DTeAOXKVo
俺は兄さん派
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 17:26:57.98 ID:gmEFJe5To
素晴らしい設定だと思います
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/12(火) 18:54:22.08 ID:rJ2CC0Ev0
兄さん....凄くいい!!
12 : ◆bOIdeHuXhE [sage saga]:2017/09/12(火) 21:35:06.52 ID:2oZ5Uupr0
まだキャラ設定が固まりきっていないため更新あたりの文量が少ないです。ご承知ください。
設定固まってないと迂闊に情報盛れなくて書くのにすごく時間がかかりますね。
あと、妹ちゃんの兄呼称問題は従来通りの設定でいくことにします。意見くださった方ありがとうございました。

13 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 22:18:20.90 ID:2oZ5Uupr0

ピンポーン

男(インターホン鳴らしたけど、誰も出ないな……。幼馴染はまだ帰ってないのか)

男(あいつがなんで落ち込んでるのか、いや、情報が少なすぎて落ち込んでるのかすらよくわからないが、とりあえず機嫌がよくないことは確か)

男(ちょうどいい、時間もできたことだし、差し入れにケーキでも買っていくかな)

14 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 22:19:02.66 ID:2oZ5Uupr0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
男と幼馴染が別れてから一時間後。幼馴染は学校の図書室でシャーペンを握り、本日の課題に取り組んでいた。
もっとも、幼馴染の握るシャーペンには芯が入っておらず、彼女はそれに気付きすらしていなかったのだが。
幼馴染(男くんから逃げてきてしまった……)モンモン

幼馴染「何やってるんだろ、私」

友「あれ、幼馴染ちゃん? なんでこんなところにいんの?」

幼馴染「うひゃ!? と、友くん!? べ、勉強だよほら! ……あれ、書けない!?」

友「ははは、勉強ねえ。そのノート、一文字も書いてないし、シャーペンに芯入ってないじゃん」

幼馴染「うぐっ! ……う、うるさいなぁ。これから、これから始めるとこだったの!」

友「ふーん。ま、そういうことにしておこうか。」

幼馴染「……それより友くんこそなんでこんなとこにいるのさ?」

友「外見てみ?」

雨音「ザーーーーーーーーーーーーーーー」

幼馴染「うわあ、すっごい雨……!」

友「この雨でテニスコートは潰れて、いつもなら基礎トレがっつりやるんだが、テスト間際ってのもあって、監督が今日はもう帰れって。それで、図書室に勉強しに来たんだよ。」
15 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 22:41:04.17 ID:2oZ5Uupr0
幼馴染「なるほど」

友「それで、どうしたの?」

幼馴染「えっ!? な、何が!?」

友「いや、明らかに様子がおかしいというか。幼馴染ちゃんがそこまで勉強に集中できないなんてよっぽどだよね?」

幼馴染「う……。(これだけ状況が整ってると、言い逃れられない……!)」

友「その顔、図星って感じかな。それで、何があったのさ?」

幼馴染「えっと……。私、男くんに嫌われたかもしれない。」

友「は?(いや何いってんだこの子)」
16 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 22:53:55.72 ID:2oZ5Uupr0
幼馴染「男くんが私のこと飽きたって、それに男くんに気持ち悪いって言われちゃったの。」

友「ええ!? なんであの野郎そんなことを!?」

幼馴染「分かんない」

友(あいつはたしかに何考えてるか分からないやつではあるが、少なくとも幼馴染ちゃんを嫌ってるってことはないはずだ)

友「だ、大丈夫! あいつに限って幼馴染ちゃんが嫌いとかありえないから! ほら、今だってきっと自分の言動に反省してケーキでも買いに行ってるんじゃないか?」

幼馴染「……そっか、そうだよね! ありがとう、ちょっと元気出たよ。前向きなのが私の取り柄! もう吹っ切れた!」

友「うん、それでこそ幼馴染ちゃんだ。ところで……」

幼馴染「何かな? 友くん」

友「幼馴染ちゃんって、男のこと好きだよね?」

幼馴染「ごふっゲフンゲフン! きゅ、急に何を……!?」

友「いや、なんとなくだけど、まあ、その反応で確信したけど」

幼馴染「う……!」

幼馴染(友くんは信頼できる人。話しても大丈夫、だよね。)

幼馴染「えっと、その……///」

友「うん」

幼馴染「だ、大好き……です!///」カァァ

友「可愛いなあ」

幼馴染「う、うるさい!」

友「うん、それが聞けてよかった。幼馴染ちゃん、俺は君を応援するから。今回みたいに、何かあったら俺に相談しなよ」

幼馴染「あ、ありがと……」
17 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/12(火) 22:56:36.06 ID:2oZ5Uupr0
今日はここまでです
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/13(水) 00:06:01.57 ID:PoAX38C2o
寝とり寝取られがないことを祈る
おつ
19 : ◆bOIdeHuXhE [sage saga]:2017/09/13(水) 01:46:03.72 ID:p6gB+bia0
>>18
安心してください。友がNTRテンプレになってるのは意図的です。
その上で断言します。NTR展開はないです。
20 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/15(金) 07:16:35.46 ID:NaMMQVK30
今日、ある程度まとめて投稿します。少々お待ちください
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 08:50:50.71 ID:E9ST0s6so
よしきた
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 09:53:01.98 ID:HkJKjCako
期待
23 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/15(金) 11:43:54.00 ID:Oplf5EP7O
取り敢えずキャラ設定固まったんでキャラ設定書きます。
作中で描写してもいいんですけど、今から全部書くと、くどくなるうえに、違和感あるのでこういう形で書かせてもらいます。最初からキャラ固めとけよって話なんですが
24 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/15(金) 12:18:29.34 ID:Oplf5EP7O
作中時刻:1学期始業式から1週間
男達の学年:高校2年生


・やりたいことが無い。

幼馴染み
・本作のメインヒロインであり、主人公でもある。(意味おんなじだろってツッコミはしないで)
・男とは幼少期からの付き合いで、物心ついた頃から男の事が好き。
・最近になって、なかなか男と恋人同士になれないことに焦り始める。
・真面目で成績優秀だが本人いわく、決して地頭がいい訳では無いらしい。
・根性には自信があり、周囲からも努力の人だと認められている。立ち直りが早く、楽観的な思考の持ち主。
・表情がコロコロ変わる。嘘をつくのはあまり得意ではない。


・男の親友。なかなかのお節介焼きでお人好し。成績は普通。
・ゲームやアニメ、漫画などが大好き。
・男とは高校からの付き合いなので、男について知らないことは意外に多い。


・中学3年生。男のいる高校に進学することを固く決意している。兄である男の一番の理解者。
・誰に対しても敬語で話す。以前は男のことを「お兄様」と呼んでいたが、あることをきっかけに「兄さん」と呼ぶようになった。
・重度のブラコン。誰に対しても男への好意を隠す気が全くない。なにやら最近焦っている様子の幼馴染みの目の前で、兄にベタベタして見せつけるのが最近のマイブーム。悪意はない。
・妄想癖がある。
・思考のリソースを殆ど兄のために使っているためアホの子に見られがちだが意外と成績優秀。というか天才。才能の無駄遣い。
25 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/15(金) 23:59:07.21 ID:NaMMQVK30
今から投稿します!
今日中とはなんだったのか
26 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 00:10:16.57 ID:5jp5rrtj0
男は商店街に幼馴染のためのケーキを買いにでていた。行動自体は友の想像通りであったが、動機は友の言うところとは別のところにあった。
男は別に、自分の行動に反省して詫びのケーキを買いに来たのではない。
ただ単純に、幼馴染の元気のなさそうな様子を心配してのことである。

それはそうとして、男は先程の妹との会話が引っかかっていた。

男(妹と二人でお菓子屋、か……わりと本気でありかもな)

男は案外真面目に妹の誘いを考えていた。
自分には特にやりたいことなどないし、妹のお菓子作りの技量はお世辞抜きに一線級。少なくとも二人で慎ましく生きる分にはなんら不自由のない額の収入は得られるだろう、と。
男(でも、別にお菓子作りは俺の『やりたいこと』じゃない)

そんなことを考えていた男の思考は、中断を余儀なくされた。
強烈な雨が降り始めたからである。
27 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 00:23:03.21 ID:5jp5rrtj0
男(くそー、急に降ってきたな……。まあ、これならすぐ止むだろ。とりあえず雨宿りを……)

 男は商店街に軒を連ねる八百屋の中にとっさに入った。
あのまま雨ざらしに突っ立っていたらすぐに湖にでも飛び込んだかのような状態になるのは明白。そう言い切れるほどの豪雨だった。

男(雨宿りさせてもらっておいて何も買わないのも申し訳ないな)

男は八百屋の中の様子をあらためた。

男(八百屋……っていうよりちょっとした市場みたいだ。中のスペースは案外広いな)

男(うおっどの野菜も新鮮で安いな!? この店今まで来たことなかったけど、これは大発見かも。あとで妹と一緒に来よう。)

???「サンビャクジュウハチ!サンビャクジュウキュウ!サンビャクニジュウ!」

男(……ん? 何だこの声、一定のリズムで数えてる……? それにこの声……女?)

女の声は店の奥、半開きのドアを隔てて聞こえてくる。

男(なんでだか気になる……。でも店の裏覗くのはマナー違反だよな……)

だが、男はどうしてもその扉の向こうが気になった。その中を見なければいけないような気すらした。だから、男が中の様子を覗き込んでしまうのにたいして時間はかからなかった。

???「428! 429!…………!」ブンッ

男(やっぱり女の子だ、いや、それよりも……)

男がみた光景、それは、不思議なものだった。
男の目の前にいる少女は、よく通る声で数を数えながら素振りをしている。その手に握るのはバットでもなく、ゴルフクラブでも、テニスラケットでもない。
そう、それらのどれよりも太いグリップを持つ棒状の――




大根だった。
28 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 01:11:21.20 ID:5jp5rrtj0
しかしながら、はじめ男の興味は大根にはなかった。
そう、男という人間にとっては、大根の違和感に思考のリソースを割くより重要なことがあったのだ。

男(テニスのスイング……400回以上も振っていて微塵のブレも見受けられない。美しい、完璧なスイング。女子選手にしてはインパクトの瞬間のヘッドが高いな。あれは本人の天性の才能ってやつだろう。それに、毎回振り方が違うし、降る前に毎回数歩歩いている。おそらくこの素振りは試合をイメージしてのものだろう。浅いボールや深いボールを打たれたときの打ち方の違いも考えて、仮想敵と戦っている、といったところか。おそらくこの人のプレイスタイルは……(長ったるいので以下略))ブツブツ

大根を振りし者「488! 489! 490!………………………500!!!……ふう。一旦休憩かな……あれ?」

大根を振りし者「お客さんですかー? ごめんなさい、集中しちゃってて気付きませんでした!」ペコリ

男「へ!? あ、ああ……。いや、奥の方から声がしたもので……。すみません、覗いてしまって」ペコリ

大根を振りし者「いえ、それは別にいいですよ。……と、いうかその制服、私の高校のじゃないですか! 何年生なんです?」

男「ああ、学校同じだったんですね。えっと、2−Aの男です」

大根を振りし者「なーんだ学年一緒だったんだあ。えっと……私は同じく2−Aのメインヒロインだよ」

男「ああ、メインさんは始業式からずっとインフルエンザで休んでたんだっけ。というか、そんな素振りしてて大丈夫なのか?」

メイン「もう大丈夫だよ。ほら、インフルエンザって一週間くらい強制的に休まされるけど、最後の方はもう元気じゃん? でも部活には参加させてもらえないから、体力持て余しちゃってさ。明日からは学校にも行くし。」

男「新学期早々大変だったな……」

29 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 01:13:41.90 ID:5jp5rrtj0
メイン「あはは……。タイミングが良くないよねぇ。というか、大分濡れちゃってるね。制服乾かしたげるからちょっと脱ぎなよ」

男「ん……ああ、ありがとう」ヌギヌギ

男は制服のブラウスとシャツを脱いで渡した。初対面の女子の前で半裸になるのに抵抗がなかったわけではないが、なぜか男は素直に従ってしまった。

メイン「はい、受け取りました! それじゃ私タオル取ってくるね」トテトテ

男(ハツラツとした女の子だ……。言葉に力があるというか、言われるがまま上を脱いでしまった。前のクラスじゃ人気者だったんだろうな……)

プルルルルル

着信『妹』

男(妹から電話か……)ガチャ

妹『お兄様!? 大丈夫ですか!? 濡れてませんか!? 冷えてませんか!? 寒くありませんか!?』ゼエゼエ

男「あー、妹? ちょっと落ち着け」
30 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 02:19:44.19 ID:5jp5rrtj0
男「ほら、ゆっくり深呼吸だ。吸ってー、はいてー」

妹『すーっ…………はー……』

男「よし、落ち着いたな。まず、大丈夫だ。冷えてない。寒くもない。今商店街の八百屋で雨宿りさせてもらってる。心配ないから安心してくれ」

妹『分かりました! 待っていてくださいね兄さん! 今カサと雨がっぱもって迎えに行きますから!』

男「え!? 雨強いし危ないからいいよこなくて!……電話きれてる……」ズーン

メイン「あはは。兄思いで可愛らしい妹さんだね。はい、タオル」タオルサシダシ

男「危なっかしくて兄として心配だ」カミノケフキフキ
31 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 02:21:46.51 ID:5jp5rrtj0
メイン「私一人っ子だからそういうの羨ましいなぁ。……ところで、男くんは何かスポーツやってんの?」ジロジロ

男「いや、何もやってないよ。」

メイン「でも、ちょっとやそっとじゃ付かないよ?そんな筋肉。」

男「……別に普通だよ。ほら、年頃の男子なんてモテたくて筋トレするもんなんだよ」

メイン「そんなことないと思うけどなあ? だってその筋肉、『見せる筋肉』じゃないよね? その筋肉をつけるの、女の子が喜ぶ筋肉をつけるよりずうっと大変だと思うけど?」

男(くっ……流石によく知ってるな)

男「へぇ、そうなのか。それは知らなかったな。随分効率の悪いことをしてたんだな、俺」

メイン「ふ〜ん、まだとぼけるんだ」スタスタ

男(なんか近づいてきた!?)

メイン「うん、ほんといい筋肉。君のは、力強くて、たくましい、実用性のある筋肉だよ。間違いない」ペタペタ
32 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 02:37:27.94 ID:5jp5rrtj0
男(なんかめっちゃ触ってくるんですけど!?)ドキドキ

メイン「――男くん」

男「な、なんだよ」ドキドキ

メイン「私と一緒に、テニスやろうよ!」

男「……やらない。」

メイン「なんで!? やろうよ! なんとなくだけど、君と一緒なら、もっと高いところに行けそうな気がするんだ!」ペカー

男(相変わらず、言葉に力がある。思わずうなずきたくなってしまうような、不思議な力。なんというか、まぶしい奴だ。)アトズサリ

メイン「やろうよ! 絶対楽しいよ? 後悔なんてさせないからさ!」グイグイ

メインの言葉の持つ力に圧倒された男は無意識にあとずさり、ほどなくして壁に背をつけてしまう。

男「……ごめん。俺は、テニスは……」

メイン「うるせえ! やろう!」ドン!

男(ル○ィかお前は!)

メイン「……ごめん、なんか言いたくなっちゃって」カアア

男(やっぱりル○ィかよ。そしてそこは恥ずかしがるのか……)

男(てかこの状況、傍目から見たら相当アレだな。半裸の男に壁ドンする少女。見られたら絶対誤解され――)

妹「お、お兄様から離れてください! 不潔、不潔です!!! ぜっっっっっっったいに許しません! 万死に値します!!!」

男(見られてたあああああああああああああああああああ)
33 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 03:23:19.50 ID:5jp5rrtj0
〜〜〜〜〜〜〜
妹視点

妹「ぜえ、ぜえ……つ、着きました」

妹(ふふふ。お兄様の為に傘を持ってきました。そう、一つだけ!)

妹(これで堂々とお兄様と相合傘ができます。この機会を逃すわけにはいかないのです)

妹(まあ、お兄様が濡れてしまっては意味が無いのでカッパも持ってきてますが)

妹は八百屋の中に入った。

妹「着きましたよー?兄さーん?」ボソリ

???「ふ〜ん。まだとぼけるんだ?」

妹(あれ、なんか奥の方から女の人の声が聞こえますね。あっちでしょうか)スタスタ

謎の女「うん、ほんといい筋肉。君のは、力強くて、たくましい、実用性のある筋肉だよ。間違いない」ペタペタ

妹「」

妹(えっ……えっ!? な、おに、お兄様はだ、裸で!? あ、良かった下は着てますね。ってよくないですよ!?)

謎のビッチ「男くん、私と一緒に――やろうよ」

妹(今、なんて!? 何を、何をやろうというのです!?)

兄さん「……やらない」

妹(ほっ。なんだお兄様嫌がってるじゃないですか。あんな奴吹き飛ばしてしまいましょう、お兄様)

クソビッチ「なんで!? やろうよ! なんとなくだけど、君と一緒なら、もっと高いところにイケそうな気がするんだ」

妹「」

妹(高いところまでって、いったいどこですか!? お兄様と一緒ならナニが絶頂なんですかねえ!? 私は純粋なのでわかりませんが。分かりませんが!)

かわいそうな兄さん「ごめん、俺は――」

クソビッチ「うるせえ! やろう!」ドン!

妹(ついに本性あらわしやがりました! 許せません。お兄様を無理やりだなんて!)

妹(というかお兄様はなぜあのクソビッチを突き飛ばさないのでしょうか。あんなやつお兄様なら簡単に……)

クソビッチ「……ごめん、なんか言いたくなっちゃって」カアア

妹(なるほど、ときおりみせる女らしさのせいで手が出しづらいんですね。それなら、私がこの命に代えてもお兄様を助けます!)

妹「お、お兄様から離れてください! 不潔、不潔です!!! ぜっっっっっっったいに許しません! 万死に値します!!!」
34 : ◆bOIdeHuXhE [saga]:2017/09/16(土) 03:42:54.47 ID:5jp5rrtj0
眠い。限界です。今日(昨日?)の分の更新は終わりです。
物語の構成上ご覧の通りなかなかこの物語のメインヒロインたる幼馴染ちゃんが出てこないので出て来るところまで一気に更新したかったんですけどちょっと無理でした。
テニス知識はガバガバです。突っ込んでも何も出ないので突っ込まないでください。読み飛ばしてもいいですし雰囲気だけでお楽しみください

あとSS書くの初めてなんでよくわからないんですが、今回みたいに
妹()
妹()
……
って感じなら地の文にして書いたほうが良いんですかね?地の文もかけないことはないんですがちょっと読みにくいかなって
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