姫川友紀「その手に掴むもの」

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102 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:34:24.93 ID:A4BQZlQT0

涼「…友紀さん!」クル

友紀「お?」

涼「聞いてください、友紀さん! 私……ううん、」



涼「僕は! これからも、僕の夢を追い続けますっ!」

友紀「!」

103 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:35:10.36 ID:A4BQZlQT0

涼「何があっても負けません!」

涼「今よりも、もっともっとカッコよくなりたいからっ」

友紀「…うんっ」

涼「夢を諦めた人、見失いかけてる人……そんな、誰かの力になりたいから!」

友紀「うん、うん!」

涼「絶対にあきらめない! 必ず、トップになってみせます!!」

友紀「よく言った!」

涼「だから、見ててください!」
104 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:36:12.05 ID:A4BQZlQT0
涼「今度は、もっとカッコいい僕として! いつかまた友紀さんに会いに来ます!」

友紀「うんっ!」

涼「その時は! 一緒にキャッチボール、してくれますかーっ?!」

友紀「もっちろん! いつでもおいでー!」

涼「ありがとうございます!」

友紀「待ってるからねー!」ブンブン

涼「それじゃあ!」

友紀「ファイトー! 涼ーーッ!!」



タタタ…


105 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:36:46.99 ID:A4BQZlQT0

友紀「強い子だな、本当に」

友紀「…」

友紀「手、か」


友紀「良いなあ……」



…pipipipi

106 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:37:29.28 ID:A4BQZlQT0

pipipi…


友紀「…電話」

友紀「プロデューサーから」

友紀「………」



ピッ

友紀「もしもーし。あ、プロデューサー! お疲れさま」

友紀「そろそろ戻って良いの? ちょうど良かった、今行こうと…」

友紀「…ぅえ、迎えに来る? ……う、うん。そっか…。えっとね、今公園で……」



――


107 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:40:47.75 ID:A4BQZlQT0

《Side Y》


P「…あ、いた」

友紀「おそーい」

P「悪い悪い、ちょっとちひろさんに捕まってな」

友紀「ちひろさん? なんで?」

P「領収書出せって。少しぐらいなら、経費で落とせるかもしれないんだと」

友紀「…なるほど」
108 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:41:54.97 ID:A4BQZlQT0
友紀「何を買ってたのかなぁ? うん?」

P「いや何って……食べ物とか、飲み物とか」

友紀「ケーキもある?」

P「それは、これから取りに…。もしかして、秋月さんから聞いた?」

友紀「うん! 準備終わるまで帰って来るなって」

P「良かった。ちゃんと会えてたんだな」


友紀「で、ビールはあるの?」

P「お前なぁ…」

友紀「どうなの? ねえねえ!」

P「……500を1本。今日だけな」

友紀「うわーい! やったー!!」

P「どんだけ喜ぶんだよ」
109 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:42:30.36 ID:A4BQZlQT0

友紀「それを聞いちゃ、うかうかしてられないね! 早く事務所に戻らなきゃ!」タッ

P「あっおい、待てって」

友紀「はやくはやくぅー!」タタタ

P「走ってもビールは逃げないぞー」


P「…って、足はえー……」


110 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:43:20.84 ID:A4BQZlQT0
――


友紀「ケーキだぁ!」

P「ちょっと小さかったか…? 人数分大丈夫かな」

友紀「大丈夫だって! ほら、後は帰るだけだよ!」

P「待て待て、ケーキ持ってるんだから。流石に歩いてだろ」

友紀「……ん、そっか」

P「焦らなくて良いんだよ、ゆっくりで」

友紀「はーい」
111 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:44:20.31 ID:A4BQZlQT0
P「…げ、もう薄暗い」

友紀「日が暮れるの、早くなったよね」

P「だな。この時間、こないだまではまだ明るかった気がするのに」

友紀「秋だねえ………っくしゅっ」

P「寒い? 上着いるか」

友紀「ううん、平気!」

P「なら良いけど」

友紀「きっと誰かがあたしのウワサしてるんだね。ほら、誕生日だし!」

P「なんだそりゃ」
112 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:45:15.30 ID:A4BQZlQT0

P「風邪ひくなよ? 涼しくなってきたのは良いけど、薄着じゃもう肌寒いくらいなんだから」

友紀「涼しい…」


友紀「秋の月に涼しい、か。ふふ、この時期にぴったりだね」

P「ん? 月はまだ出てないぞ」

友紀「なんでもなーいよっ」

P「ああそう」
113 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:46:08.31 ID:A4BQZlQT0

P「…で、ユッキは今日何してたのさ」

友紀「うん、涼と遊びに行ってたんだ!」

P「りょう? ……あぁ、秋月さんか」

友紀「涼もね、明日誕生日なんだって。知ってた?」

P「へぇ。いや、知らなかった」

友紀「2人でプレゼント選んだりしたの!」

P「どうせだったら、うちに寄ってケーキでも食べていけば良かったのに」

友紀「…ううん。明日から、ちょっと忙しいみたいだし」

P「そっか」
114 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:47:24.77 ID:A4BQZlQT0
友紀「これね、涼から貰ったプレゼント!」

P「おー、リストバンドだ」

友紀「かっこいいでしょ? タオルも貰ったし、早速使っちゃった」

P「似合う似合う。その袋も?」

友紀「これは……自分にプレゼント!」

P「欲張りなやつめ」

友紀「へへへ。プロデューサーは、何をくれるのかなぁ」


P「……あげないって言ったら?」

友紀「FA移籍してやる」

P「大袈裟…」

友紀「誠意は言葉じゃなくってね…」

P「冗談だよ。一応用意してるから、後でな」

友紀「わーい!」
115 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:48:16.96 ID:A4BQZlQT0

P「それにしても、珍しいね」

友紀「なにが?」

P「名前。呼び捨てにしてるの、初めて聞いた」

友紀「あぁー、そうだねぇ…」

P「秋月さんと何かあったの?」

友紀「……ふふっ。それは、プロデューサーにもナイショ」

P「ふーん?」

友紀「女の子には、秘密があるものなんだよ♪」
116 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:50:49.39 ID:A4BQZlQT0

P「……何か変なモンでも食ったか」

友紀「どういう意味?!」

P「だって、そんな女子力に溢れた言葉、普段は使わないでしょ」

友紀「あ、ひっどーい! あたしだって正真正銘、花も恥じらう乙女座の女なんだよ?」

P「いや、それは知ってるけど…」

友紀「……ふんっ。今日はいつもより、女の子の気分なだけだし」

P「女の子の気分、ねぇ」

友紀「ふーんだ」
117 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:51:25.11 ID:A4BQZlQT0

P「なに、少しは女の子扱いした方が良い感じ?」

友紀「…普段はしてないような言い方だね」

P「そんなつもりでもないけどさ」

友紀「良いもん、どうせあたしなんか」

P「なんなら、手ぇぐらい繋いでやろうかなって」

友紀「……っ」

118 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:51:57.39 ID:A4BQZlQT0

P「ははは、なんちゃっ…



キュッ


P「……て?」

119 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:52:29.21 ID:A4BQZlQT0
友紀「…」

P「あの、ユッキさん?」

友紀「左手、空いてたから」

P「お、おう」

友紀「今日くらい良いでしょ」

P「……別に良いけど」
120 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:53:10.10 ID:A4BQZlQT0


友紀「…」ニギ

P「…」

友紀「……良いなぁ、男の人の手」ボソ


友紀「あたしも欲しかったなぁ」

友紀「…なーんて」

121 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:53:48.74 ID:A4BQZlQT0
P「……ほんと、大丈夫かお前」

友紀「…大丈夫だよ」

P「つらいなら、少し休んでいこうか?」

友紀「平気。遊びすぎて、ちょっと疲れちゃっただけだから」

P「疲れてるなら尚更、」

友紀「大丈夫だってば」

P「…そ」

友紀「うん」

122 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:54:36.91 ID:A4BQZlQT0

P「……まぁ、何があったのかは聞かないけどさ」

友紀「そこは聞いてよぉ」

P「あ、聞いても良いなら聞くぞ」

友紀「あー…やっぱりダメ。ナイショ」

P「どっちだ…」
123 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:55:48.21 ID:A4BQZlQT0

P「…その、」

友紀「?」

P「何て言うか…アレだ。えーっと」

P「…んん〜〜…」

友紀「な、なに唸ってるの」

P「……よしっ」
124 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:56:46.96 ID:A4BQZlQT0
P「俺は今から、超恥ずかしい独り言を言います」

友紀「う、うん」

P「できれば、耳を塞いでもらえると助かる」

友紀(手繋いでて塞げないんだけどな)



P「…なんでセンチになってんのかは知らないけど」

P「友紀が女の子で良かったって。俺はずっと思ってるから」

友紀「…へ」
125 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:57:39.35 ID:A4BQZlQT0
P「男だったら、野球の道に進んでたのかもしれない。もしかしたら今頃、プロで活躍してたりして」

P「でももしそうだったら、今のお前とは会えてなかったし、こうして誕生日祝うなんてこともなかったと思う」

P「俺は今こうして横にいてくれる、女の子の友紀が好きだから。この出会いには感謝してるわけ…」

P「…で、だな……」

友紀「…」


P「……っだぁぁあ恥ずかしい!」

友紀「な、なな…っ、」
126 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/14(木) 23:59:21.98 ID:A4BQZlQT0
P「何だコレめっちゃ恥ずかし……」

友紀「す すすっ、すきって…」

P「…待て、もしかしたら今の超キモかったんじゃないか?」

友紀「あうぅぅぅ……っ」

P「落ち着け俺…。深呼吸、深呼吸」フー

友紀「あ、あたしも。吸ってー……」


P「…なんか、すまん。急に変なこと言って」

友紀「う、ううん…」

P「聞かなかったことにしてくれても、構わないから」

友紀「…」
127 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:00:21.66 ID:DFI7p8B60
友紀「……ふ、ふーん、そっかそっかぁ」

友紀「プロデューサー、あた、あたしが…す、すきなんだ」

P「いや、ちがっ、お前がってそういうことじゃなくて、」

友紀「…きらい?」

P「…嫌いじゃない」

友紀「じゃあ好きってことだね」

P「いやほら、好きっていうのはだな、お前が男じゃなく女だからというところに係ってるのであって」

友紀「へえ〜、ふーん」

P「話をちゃんと…っ」

友紀「好きかぁ、へぇ…」


P「……もういいやそれで」ハァ

128 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:00:56.36 ID:DFI7p8B60
P「だから耳塞げって言ったんだ…」

友紀「いやぁ〜聞いちゃったものはねぇ」

友紀(女の子で良かった、だって)

友紀「ふふ。そっかぁ」


友紀「……うん、ありがと。えへへっ」

P「…おう」

129 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:01:31.77 ID:DFI7p8B60
P「……なあ」

友紀「んー?」

P「もう手離して良いか」

友紀「なんで?」

P「すげー恥ずかしいから」

友紀「んー…」


友紀「ダメー♪」ダキッ

P「ちょっ」
130 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:02:03.03 ID:DFI7p8B60

友紀「あたしも、プロデューサーのこと好きだよっ!」

P「だから、そういう意味じゃ」

友紀「あたしのはそういう意味だから!」グイ

P「どういう……っておい引っ張んな、危ないから!」

友紀「ぎゅーっ」

P「力強すぎだろ! 放せっ」
131 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:02:42.64 ID:DFI7p8B60

友紀(……公園で待っている間、ずっと考えていたことがある)

友紀(涼の手が、夢を掴む手なら。あたしの手は何のためにあるんだろう、って)


友紀「ね、プロデューサー。聞いて?」

P「聞くけど…これ、歩き辛くない?」

友紀「つらくない!」


友紀(今ちょっとだけ、その答えが分かった気がするよ)

132 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:03:59.61 ID:DFI7p8B60

友紀「あたしさ、野球が好き」

P「お、おう。知ってるけど」


友紀(あたしの手では、どうしても届かなかった夢があって)


友紀「でね? 今はアイドルも好き!」

P「……何だ突然」

友紀「プロデューサーのことも好きだし、ファンも仲間も、みんなまとめて全部大好きだよ!」


友紀(でもだからこそ、今この瞬間がある。だったら…っ)


友紀(だったら。きっとこの手は、好きなものを掴むための手なんじゃないかって。そう思った!)
133 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:04:50.57 ID:DFI7p8B60
友紀「こうして好きがどんどん増えてくのって、すっごく幸せなことだなって思うんだ」

友紀「プロデューサーに会えて、ほんとに良かったよ! 好きをいっぱいくれて、ありがとね」

P「わかった、分かったから。一旦離れて…」

友紀「放さないっ」ギュ

P「いっだだだっ! 腕もげる!」


友紀(バットにマイク、ビールでもプロデューサーでも、何でもバッチ来いだよ)

友紀(1度掴んだ"好き"……あたしはもう、手放すつもりはないからね)


友紀「覚悟しててよ? 絶対、ぜーったい離さないから」

友紀「離れたくないってそっちからも言わせるぐらい、あたしのこと、もっと好きになってもらうからさ!」

友紀「これからもこうしてずーっと、あたしとバッテリー組んでいてほしいなっ! プロデューサー!」
134 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:05:28.17 ID:DFI7p8B60
P「……よくもまぁ、恥ずかしげもなく言えるなお前」

友紀「恥ずかしくなんかないよ? だって本音だもん」

P「さいですか」

友紀「うんっ」


友紀「…なんでこっち見ないの?」

P「見れるかバカ」

友紀「あ、もしかして、照れてる?」

P「うるさい。照れてない」

友紀「やーい照れてるー! 珍しいー♪」

P「しょ、小学生かお前は…」
135 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:05:59.22 ID:DFI7p8B60

P「……そっちこそ、覚えとけよ」

友紀「んー?」

P「さっき移籍するとかなんとか言ってたけど、そんなの知らん」

P「FAだろうがポスティングだろうが、お前には絶対させてやらないから。いいな」

友紀「…」
136 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:07:24.71 ID:DFI7p8B60

友紀「え、ちょ、今何て言ったの…?」

P「は?」

友紀「ごめん、周りの音でよく聞こえなくって」



P「……知らん!」スタスタ

友紀「うぁっ、ちょっとー!」

P「くっそぉ…。バカ、あほ、野球脳、たらし、ガサツ、バカ、声でかい、それから……、」

友紀「なんか悪口言われてる気がする!?」

P「うっさい! 帰るぞ、ほら」

友紀「待ってよぉ……とりゃっ」

P「ええい引っ付くな!」

友紀「良いじゃん、くっついてた方があったかいし!」

P「さっき寒くないって言ってたろ」

友紀「急に冷えてきたのっ」

P「嘘つけ」

友紀「あーさむいさむい! 今日は寒いなー♪」

P「やれやれ…」


P「……まぁ、寒いなら仕方ないか。うん」





おしまい

137 : ◆uMEAzbBMSc [saga]:2017/09/15(金) 00:10:31.66 ID:DFI7p8B60
おわり

ユッキも涼ちんも誕生日おめでとう


重大発表する直前ぐらいの時間軸を想定……という補足だけ、最後にさせてください

ディアリースターズと876コラボイベントに思いを馳せつつ

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/15(金) 02:40:03.81 ID:WPzA9Czpo

乙女なユッキはええのぅ
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