【艦これ】特技研映像資料「艦娘建造」

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19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/04(水) 00:32:07.96 ID:ZxKTgdMwo


>>18
JKコン詰め事件とかググって脳内保管しなよ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 08:42:02.30 ID:MSwVITgYo
ーーー

私は、旧特技研のロビーで自販機のコーヒーを一杯飲んだ。いつからか、ストレスを感じたときにはコーヒーを飲むのが習慣になっていた。理由はよくわかっている。あの人がそうだったからだ。
憧れの人の習慣を真似しているうちに、自分の習慣になる…それだけ聞くとなんだか青臭い話だが、その憧れの感情すらも人工物だと考えると、乾いた笑いが出るだけだった。
私は覚悟を決め、カップをぐしゃりと握りつぶしゴミ箱へ放り込んだ。続きを見なくては。私は重い足取りで、再び"特別資料閲覧認可室-18号"へ向かった。

映像を再生すると、また【翌日】のテロップが表示されていた。場所は先程と同じ、大きな窓で隔たれた部屋だった。相変わらず少女はベッドに横たわっており、点滴と、頭には数本の管が刺さっていた。

ーーー

『思いの外、魂舶の定着に時間がかかったため、翌日の作業となります。これから艦娘建造の仕上げとなる"条件付け"を行います。"条件付け"は、最も重要な工程と言っても差し支えないでしょう。』

映像は、窓の向こうの彼女を捉える。今回は拘束帯がついていない。

『"条件付け"では再び彼女の脳に直接働きかけ、ちょっとした情報操作を行います。それは、彼女がこれから配属され、忠誠を誓うべき上官…今回の場合はある鎮守府の提督に当たりますが、その人物に対する特別な感情を植え付けるのです。それは、未だうまく言語化されていないとても曖昧なものではありますが、敢えて言うならば《親に対する絶対的な信頼》と《世界で最も大切な人への愛情》、そして《崇拝に近い憧れ》の3つに近いと言われています。この3つの感情を艦娘の脳の奥深くに刻み込むことで、単なる兵士では及ぶべくもない、絶対的な忠誠心を生じさせることができるのです。』
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 21:54:37.38 ID:MSwVITgYo
私は思わず画面を叩き割ってしまいそうだった。"条件付け"。この忌々しい感情操作のせいで、何人もの艦娘が思考を放棄し…あるいは真実を悟っていながらも、『提督のために』という言葉とともに苦しみながら戦っていたのだ。私を含めて…。

艦娘はみな、最後には自分の提督が掲げる正義や大義にすがるしかなかった。
結局、私たちは本当の正義や大義とは程遠いところで、ただ使役され、もがいていただけに過ぎないというのに…。


ーーー

いつの間にか映像は、場面が変わっていた。先程の窓の部屋ではなく、少し広い個室の病室のような場所が映し出されていた。正面のベッドには建造されたばかりの【時雨】が虚ろな目で横になっていた。

『これから、建造された彼女の最終確認をして、この映像資料を終えたいと思います。最終確認の方法は簡単です。いくつかの質問をして、正しく応えられれば合格。そうでなければ解体処分になります。』

そういって、映像の撮影者は彼女にいくつか質問を始めた。

『あなたの名前は?』

『僕は…白露型駆逐艦…二番艦の時雨』

『あなたの最期を教えて』

『…1945年、1月24日…マレー半島で雷撃を…』

『あなたの最も大切な人は、誰?』

『それは…横須賀鎮守府所属 ***提督です。』

答えながら、彼女は涙を流していた。それが、時雨の涙なのか、それとも【時雨】になってしまった彼女の別れの涙だったのか、それを知ることはもうできない。

『よろしい、合格ですね。これで【時雨】の建造は完了です。彼女がいわゆる"最初の時雨"として、これから建造される【時雨】のプロトタイプとなります。今後はいくつかの微調整と艤装の開発に取り組むこととなりますが、それについては別資料に分けたいと思います。ご視聴ありがとうございました。』
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 21:55:06.68 ID:MSwVITgYo


<停止>


***

こうして、映像は終わった。
私は言い表せない、苦々しい感情に沈んでいた。
この"最初の時雨"はこのあと紆余曲折あり、最終的に私のいた鎮守府に来て、それなりの期間を共に戦うことになった。

懐かしくもあり、つい最近のようにも感じる。
「艦娘の建造」…。人を兵器に作り替える魔の研究。
その産物としての私、副産物としての「深海棲艦」たち。

あの戦争の真実は炎と共に海底に葬られ、私たちはこうした戦時中の資料にその真実の断片を探している。むろん、私を含めて一部のものは真実を知っているが、それを真実足らしめる証拠が必要なのだ。政府にも、軍にも、民衆にも、そして私たちにも…

私は端末から映像ディスクを取りだし、ケースに入れて【鎮守府行】の箱にいれた。
確かに戦争は終わった。しかし、戦いの中にいた者には、戦いの後も当時の記憶と責任がつきまとう。

いつか私が【夕張】の名を捨て、ひとりの少女として生きられる日が来たならば、その日こそが私にとっての終戦日になるだろう。
そんな日がくる予定は、今のところないが…。

ポケットの中で携帯端末がなる。ディスプレイに映し出された文字を見て私は溜め息をつく。
私の終戦日は、当分先らしい。


おわり
(つづく?)
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/10/04(水) 21:56:03.14 ID:MSwVITgYo
終わりです。
妄想の垂れ流しですが、読んでいただいた方、ありがとうございました。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/05(木) 08:43:13.73 ID:0NBUwfJ3o
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