【ラブライブ】凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」【仮面ライダーW】

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91 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 18:58:14.70 ID:Ev9QIuxO0
え?
だって、昨日にこちゃんがドーパント倒したよね!?



『コックローチのことね。確かに倒したわよ。犯人も警察に引き渡したしね』

凛「じゃあーー」

『今、そのコックローチを4体倒したところよ……』

凛「う、うそ!?」

『嘘言ってどーすんのよ』



よく聞けば、確かににこちゃんはかなり息切れしてた。
それを聞いて、ほんとに戦ったあとなんだって理解した。



凛「で、でも、倒したんだよね?」

『えぇ……かなり無理したけど……』

凛「……それじゃあ、事件は……」



『…………コックローチには人を昏睡させる能力はないのよ』



凛「え?」

『だから、昏睡事件の犯人は別にいるわっ』



別に、いる?
じゃあ、また……ドーパントに……っ!



『安心しなさい! 今から合流するわよ』

凛「え、あっ……うんっ」

『今、どこ?』

凛「更衣室だよ……」

『…………そこ離れて観客席に集合』

凛「な、なんで?」



こういうときって動かない方が安全なんじゃないの?
そんなことを聞いたことがある。
だから、にこちゃんにもそう言ったんだけど……。



『にこが倒したドーパント、全部警備員だったわ』

凛「え? そんなことって……」

『まず有り得ないでしょうね。理事長にも話したんだけど……言ってたわ』




『犯人は運営に関われる人間』

『しかも、他の役員からうるさく言われないようなーー』




『ーー立場が上の人間よ』



92 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 19:04:49.35 ID:Ev9QIuxO0
ぞわり、と。

嫌な感じがした。
にこちゃんの言葉を聞いて真っ先によぎったのがーー




凛「ーー風、ちゃんっ」




気のせいならそれでいい。
でも、もし凛のこの嫌な予感が当たってたとしたら……。



『とにかく、役員室とかには近づかないように観客席に上がってきなさい!』

凛「……にこちゃん」

『なに!?』

凛「……凛、役員室行かなきゃ……」

『はぁぁっ!? なに言ってんのよ!? さっきまでの話聞いてたわよね!?』

凛「うん」

『だったらーー』




凛「友達が連れてかれたんだっ!!」




『!!』

凛「…………このレースに懸けてるって言ってたにゃ」

『っ、そ、それでも危険よ!! にこが言ってからでもーー』




ーー ブツンッ ーー




気づけば電話を切ってた。



凛「っ」



そして、駆け出す。
間に合えっ!!



ーーーーーー
93 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 19:35:32.53 ID:Ev9QIuxO0
一旦ここまで。
レス感謝です。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/23(木) 20:57:05.33 ID:Wy5RwJYPo
いい所で終わりやがる
95 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:15:49.64 ID:Ev9QIuxO0
ーーーーーー



会長さんの後に続いて役員室に入る。
元々一部屋のところを簡単なしきりで二部屋に分けられているような作りの部屋だ。



会長「その椅子にかけていてくれるかな」

風「あ、はい」

会長「お茶を準備してこよう」

風「あ、いえ! 私はーー」

会長「いいからいいから」



会長さんは隣の部屋へ。
会長さんに気を使わせるなんて……うぅぅ、胃が痛くなってきたよぉ……。



風「………………」



ポツンと、部屋に一人。
だから、かな?
さっきは実感が湧かなかったけど……。



風「っ」



鳥肌。

そ、そっか。
私、やったんだ。
私の走り認めてもらえたんだ……。

高校三年間。
ううん、中学校から陸上続けて。
中学校はまだ走れたんだけど、ここ最近全然結果が出なくて。
けど、少しずつ残りの時間が無くなっていった。
だから、この高校最後の大会で!

そう思ってた。
だけど、そっか。



風「えへへ、私、認めてもらえてる」



こんなに嬉しいことはない!
96 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:26:12.78 ID:Ev9QIuxO0


会長「お待たせしたね」

風「あ! いえ! こちらこそすみません!」



お茶を持ってきてくださった会長さんに頭を下げる。
勿論、椅子に座ってなどいられない。
飛び上がるみたいに、椅子から立った。



会長「そんなにかしこまらないで」



ほら、座りなさい。

そう言う会長さんの言葉に頷き、今度は静かに椅子に座る。
自然と会長さんと向き合う形。



会長「さて」

風「!」



会長さんの言葉に体が跳ねる。
って、びびりすぎ! 私!
平常心、平常心。



会長「斉木さん、予選での君の走り見せてもらったよ」

風「あ、はい! ありがとうございます!」

会長「いや、実にいい走りだった」

風「っ」

会長「しかし、不思議だね。調べたところ、去年まで……言っては悪いが、決してよい成績とは言えなかったようだが」



なにかあったのかな?

会長さんに聞かれる。

……うん。
その通りで、確かに私は去年までは成績は振るわなかった。
だけど、




風「努力、しました」




それだけだ。
ひたすら走って、走って、走った。
誰よりも走ったんだ。


…………一年半前。
中学時代のライバルが、違うステージで輝く姿を見た。
それを見て、私もやらなきゃってなってた。

負けたくないって思った。
97 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:34:06.00 ID:Ev9QIuxO0


会長「…………なるほどね」

風「はい!」

会長「…………実にーー」





会長「ーー困った」




風「……え?」



今、なんて?



会長「いやぁ、君の実力は本物だ。きっとそれは余程のことでは崩れないだろうねぇ」

風「あ、あの……」

会長「だから、困ってしまうねぇ。今まで無名に等しい選手が大会で優勝されたのでは、困る」



え?
え??
会長さんは……なにを言ってるの……?



会長「あぁ、すまないね。置いてきぼりにしてしまったかな」

会長「実は私はこの大会を使って、賭博をしていてねぇ」

会長「君に優勝されてしまったら大損なのだよ」

風「………………え」

会長「最近派手に動きすぎて、警察もどうやら嗅ぎ回っていたようだから私自ら動くのは不本意なんだが……」





『マネー』




会長「致し方無い」




マネー『私の目的のために眠ってもらおう』ニタァァ



98 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:43:37.71 ID:Ev9QIuxO0
目の前で会長さんが姿を変えた。
全身が金色の金属みたいな体。
でっぷりと太ったフォルムと、ギラギラと気味が悪いくらいに光る金色が、否が応でも目に入ってくる。

意味が、分からなかった。
目の前の怪物のことも。
私がここに呼ばれた意味も。

でも、ひとつだけわかったのは、



風「私…………認めてもらえてなかったんだ……」

マネー『いやいや、認めているよ』




マネー『だから、ここで摘むんだよ』

マネー『君は私の目的には邪魔者でしかないからねぇ』



風「っ」



化物がなにかを取り出した。
コイン、のようなもの。

それが、



ーー カチャッ ーー



私の額に押し当てられる。
ひんやりとした感触。
それと同時に意識が遠退いていく。

あぁ、そっか。
私、ここでーー





ーー バァァァンッ ーー



凛「風ちゃんっ!!!」





最後に、目に写ったのは凛ちゃんの姿。
逃げて、凛ちゃん……。
私はーー




風「ダメだった……よ……」




ーーーーーー
99 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:50:05.73 ID:Ev9QIuxO0
ーーーーーー




ーー バァァァンッ ーー



凛「風ちゃんっ!!」



役員室のドアを壊す勢いで乱暴に開け、中へ飛び込む。
そこで目にしたのは金色の怪物と、




風「ダメだった……よ……」

凛「っ!?」




涙を流しながら、倒れる風ちゃん。



凛「風ちゃんっ!!」



駆け寄って、倒れる風ちゃんを抱き止める。
怪我とかはない。
けど、



凛「風ちゃんっ、風ちゃん!!」

風「……………………」

凛「なんで、返事しないにゃ!? ねぇ!」




マネー『無駄だよ。もうその子供は目を覚まさない』




凛「っ、お前っ!! 何したっ!!」



目の前の怪物に叫ぶ。



マネー『……このライフコインで、魂を吸った』

凛「魂っ!?」

マネー『そう。そして……』

凛「な!?」



ーー ゴクンッ ーー



ライフコインと呼ばれたもの。
それを飲み込んだ。
100 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 21:59:58.80 ID:Ev9QIuxO0

凛「おまえっ!!」

マネー『ふぅ、これでこの子供は用済みだ』

凛「っ」

マネー『おっと、まさか人間の君がドーパントに勝てるとでも?』

凛「そんなのーー」



関係ない!
凛がぶっ飛ばす!

そう言おうとして、



ーー グイッ ーー



凛「っ!?」



凛は誰かに引っ張られた。
後ろを振り返る。
そこには、




にこ「待たせたわねっ」




ゼェゼェと肩で息をするにこちゃんがいた。
101 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 22:03:33.06 ID:Ev9QIuxO0

凛「にこちゃんっ!」

にこ「ったく、先走るんじゃないわよっ!」

凛「ごめんっ、でも…………」



風ちゃん、助けられなかった。

目の前で襲われて。
それで……。
腕の中の風ちゃんは、まるで死んでしまったみたいに動かない。



凛「っ」



唇を噛み締める。
きつく、きつく。
鉄の味がしても、構わない。

凛は……。



にこ「凛、離れてなさい」

凛「……っ、でも」

にこ「あんたがその娘を守るのよ」

凛「にこちゃん……っ、うんっ」




にこ「あんたの分まで…………にこが戦うから」



102 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 22:12:51.68 ID:Ev9QIuxO0

にこ「………………」

マネー『さて、三文にもならないようなお涙ちょうだいの芝居は終わったかな』

にこ「……あんた、なんでこんなことしてるんよ」

マネー『んん? 金のためだが?』

にこ「そのために何人も昏睡状態にさせたのね」

マネー『…………あぁ、なにか問題があるかね』

にこ「全員が夢を追いかけて、全力で走ろうとしていたのよ」

マネー『……なにか問題が?』

にこ「…………」スッ




『ジョーカー』




にこ「いえ、ないわ」

にこ「なんの問題もなく」

にこ「あんたをぶっ倒せる!!」



にこ「変身!!」





『ジョーカー!!』




ジョーカー『さぁ、お前の罪を数えろ!!』



103 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/23(木) 22:13:54.87 ID:Ev9QIuxO0
本日はここまで。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/24(金) 20:36:03.19 ID:FXardWIsO
マネー中々のクズ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/26(日) 21:21:27.60 ID:i06RDQzyO
つまんね書くのやめろよ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 17:26:28.59 ID:ubhXqULxo
追いついた
W良く知らんけどにこがライダーってのがいいね
2年組が謎多くて期待
107 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 17:58:23.46 ID:d4Up+DIWO
本日更新予定。
108 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 18:22:41.66 ID:wr82tVGw0



ジョーカー『はぁぁっ!!』グッ

マネー『……ふむ』ヒョイッ



ーー ブンッ ーー



にこちゃんの一撃目。
ドーパントは軽くそれを避けてみせる。



ジョーカー『くっ』

マネー『ゴキブリたちとの戦いは見ているよ。君の攻撃は実に単調だね』

ジョーカー『っ、ならーー』



ーー ブンッ ーー



ぐっと力を溜めた後に跳んだ。
ほぼノーモーションの跳び蹴りだ。

けど、



ーー スカッ ーー



ジョーカー『っ!?』

マネー『だから、見えていると……言っているだろう?』グッ



ーー バキッ ーー



ジョーカー『が……っ』

凛「にこちゃんっ!」



今度はドーパントの拳がにこちゃんのお腹に……っ。
にこちゃんはそのまま部屋を逃げるように出る。
109 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 18:29:23.17 ID:wr82tVGw0

マネー『…………』

凛「っ」



チラリと、ドーパントが凛の方を見た。
反射的に身構えて……。



マネー『……今はいい』



そのまま部屋を出ていくドーパント。

っ!
凛も……!

少し呆けていた凛は震える体を無理矢理奮い起こす。
追わなきゃ!
でも……。



凛「…………風、ちゃん」

風「…………」



腕の中の風ちゃんは動かない。
……息は、してるけど……。



凛「…………凛は……」




ーー ガチャッ ーー



凛「っ!?」



扉の開く音。
ドーパントが出ていったその扉から入ってきた人物。
それはーー



ーーーーーー
110 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 18:35:52.11 ID:wr82tVGw0
ーーーーーー



マネー『さぁ、追いついた』

ジョーカー『……っ』



後を追ってきたマネードーパント。
さっき、あいつにやられたお腹がジンジンと痛む。
ひどい傷ではない。
……戦える。



ジョーカー『……ふっ』



構える。



マネー『……来なさい』

ジョーカー『ーーーーっ!!』ダッ



一気に距離を詰める。
そして、



ーー ガシッ ーー



ジョーカー『捕まえたわよっ!!』

マネー『ほう』



この距離なら、かわせないでしょ!!




『ジョーカーマキシマムドライブ』




マネーを掴んだと同時に、メモリをマキシマムスロットへ差し込む。
脚にエネルギーが溜まっていくのが分かる。



ジョーカー『これで!!』



終わり。
そう言おうとして、



マネー『ほっ!』ゲシッ

ジョーカー『か、はっ……!?』

111 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 18:40:41.70 ID:wr82tVGw0
再びお腹に衝撃が走る。
今度はかなり強い衝撃。

それが鳩尾への蹴りだって理解したのは、膝をついた後で。



ジョーカー『っ、くっ、は……』

マネー『……仮面ライダーと言えど、人間の弱点は変わらないねぇ』

ジョーカー『おま、え……』



見下すように、マネーはにこを上から見てくる。



マネー『やはり……人はこうやって見下すのが落ち着くねぇ』

マネー『特に、私に楯突く愚か者はーーねっ!!』



ーー ゲシッ ーー



ジョーカー『っ』



また、蹴り。
今度は顔を蹴られ、その衝撃で少し吹き飛ばされた。
112 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2017/11/27(月) 18:45:18.19 ID:wr82tVGw0


ジョーカー『はっ、は……』

マネー『ふっ、これが仮面ライダーか。少し拍子抜けだねぇ』

ジョーカー『っ…………』



ったく!
アイドルの顔蹴るとか、こいつほんと頭どーかしてるわ。

本当だったら、にこがぶっ飛ばしてやりたいけど……。





『ボムマキシマムドライブ』




「そこまでよ」




今回は、




理事長「観念しなさい」




見せ場は譲るわ。
理事長に、ね。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 18:47:48.51 ID:c7fy41wC0
内容がなんつーか
114 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 18:53:14.48 ID:wr82tVGw0
理事長は赤色の銃をマネーの後頭部に突き付けていた。
その銃には、『ボム』のメモリ。

なるほど。
あれが理事長が渡された専用のメモリってやつなわけね。



理事長「遅くなってごめんなさい、にこさん」

ジョーカー『いえ…………助かりました』



実は、マネーを捕まえた辺りで、理事長の姿は見えていた。
だから、わざと攻撃を受けた。
……まぁ、本当はあれで決められたらベストだったんだけど。

とにかく、理事長が突き付けた銃が普通の物じゃないのは、マネーも分かってるみたいで、



マネー『…………参ったねぇ』



両手を挙げて、そう呟いた。
至近距離でマキシマムを食らったら、メモリブレイクは確実だっていうのは分かってるようね。
相手が仮面ライダーではなくても、その関係者だってことも察した様子だし。

つまり、これでーー





マネー『残念ながら、終わりではない』




ジョーカー『っ』


115 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:00:25.03 ID:wr82tVGw0

マネー『そう、思っただろう?』

ジョーカー『……あんた、この状況でそんなハッタリ……』



マネー『ハッタリ、ではない』



声が、笑ってる。
こいつ、まだなにかーー



理事長「……私が引き金を引けば、あなたのメモリは壊れます。抵抗しても無駄よ」

マネー『…………引ければ、の話だ』

理事長「っ、なにを……」



マネー『今! 私を倒してしまったら』



理事長の言葉に被せるように、マネーは声をあげる。
得意気な、勝ち誇った調子の声で、やつはーー




マネー『ライフコインは戻らない!』

マネー『つまり!』




マネー『夢を追う少年少女は、永遠に夢を見続けたまま』

マネー『彼女たちの夢は、私のメモリと共に砕かれる!!』





ーーそう告げた。




ーーーーーー
116 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:06:06.52 ID:wr82tVGw0
ーーーーーー




凛「っ、にこちゃん!!」




風ちゃんを救護室に預けて、にこちゃんたちが向かった方へ向かう。
そこには、にこちゃんと理事長がいた。



にこ「……凛」

凛「にこちゃん! あいつは!!」

にこ「………………」



倒したんだよね!

そう尋ねる、けど……。
にこちゃんは俯いて……え?



凛「逃げられたの……?」

にこ「…………逃がした」

凛「逃が、した……? わざと……?」

にこ「…………えぇ、そうよ」




凛「っ!!」グッ




気付いたら、にこちゃんの胸ぐらを掴んでいた。



凛「なんで、にがしたのっ!! あいつは、風ちゃんにーー!!」

にこ「っ、ごめん」

凛「っ、ごめんじゃないにゃっ!!」



さらに、掴む手が強くなる。
頭に血が登るのが分かる。
さっき噛んだ唇がじんわりと熱い。





理事長「凛さん、止めなさい」



117 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:14:18.62 ID:wr82tVGw0
凛を止めたのは、理事長。



凛「っ、理事長もっ!!」



倒すって!
さっき、そう言ったのに!!

理事長を睨みながら、責める。
なんで!!

熱くなる凛に、理事長は冷静に、続けた。



理事長「……聞いてくれるかしら」

凛「なにをっ!」

理事長「彼をあのまま倒していたらーー」



理事長「ーー斉木さんはあのままになってしまっていた」




凛「…………え?」

にこ「っ、けほっ」

凛「あっ……」



理事長の言葉で、ふと頭が冷えた凛。
慌ててにこちゃんから手を離した。



凛「っ、にこちゃん、ご、ごめん……」

にこ「……ダイジョブよ……それより……」

凛「う、うん。あいつを倒したら、風ちゃんがあのままって……いったいどういうことなんですか……」

理事長「……えぇ、それは……」



118 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:20:18.43 ID:wr82tVGw0
凛は、理事長から説明を受けた。

マネードーパントに命を吸われた状態で、メモリブレイクされたら、そのライフコインの主の意識は戻らないということ。
その真偽は分からないが、可能性があるうちはメモリブレイクできないこと。

そして、最後に、あいつが口にした言葉。



凛「…………私が負けだと思わない限り、負けではない」

理事長「…………そう言ったわ」

にこ「……………………」

凛「っ」



負け?
人の夢を踏みにじっておいて、ゲーム気分……っ。

また唇を噛む。
痛みよりもこの悔しさのほうが辛い。




にこ「…………あいつから」

凛「え……?」

理事長「……にこさん?」



ポツリ、と。
黙って聞いていたにこちゃんが口を開いた。




にこ「あいつからライフコインを奪うには…………」

にこ「あいつが負けだと思えばいいのよね」



凛「にこちゃん……?」
119 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:27:57.99 ID:wr82tVGw0

理事長「…………可能性はあります。『マネー』のメモリはかなり特殊なメモリだと、禅空寺からは情報をもらっているわ」



可能性。
メモリブレイクしても被害者の意識は戻らない。
ただ使用者が敗北を感じることで、能力が解除される。



理事長「……詳しく聞いてみましょうか?」

にこ「……はい」

理事長「…………もし、その通りだとしたら、どうするつもりですか?」



にこ「………………あいつを倒すのよ」



凛「た、倒すって……」



それができなかったんじゃないの!

そう言おうとして、止める。
なぜなら、にこちゃんがこっちを見てたから。
じっと、凛の方を。



凛「にこちゃん……?」

にこ「凛、今から無茶なこと言うわ。黙って聞いて」

凛「……っ」





にこ「凛」

にこ「あんたがあいつを倒しなさい」

にこ「仮面ライダーの力を使わずに、あんただけで!!」




ーーーーーー
120 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:28:28.50 ID:wr82tVGw0
ーーーーーー
121 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/11/27(月) 19:29:40.91 ID:wr82tVGw0
一旦ここまで。
レス感謝。
読んでいただけているようでありがたいです。
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/27(月) 21:35:42.54 ID:PDkSubwW0

理事長シュラウドポジか
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/28(火) 21:10:13.26 ID:PG/9R0oR0

弾空寺ってなに?
ラブライブの用語じゃないよな
Wにも出てきてないんだけど>>1のオリジナル?
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/30(木) 23:45:50.42 ID:32jKtvNoO
>>123小説読むといい
125 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/01(金) 19:40:54.18 ID:JyFzc+o60
本日更新予定。
レス感謝です。
禅空寺は小説「Zを継ぐ者」参考にしてください。
126 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 14:23:42.54 ID:gnF+XSpW0
寝落ちました。
すみません。
更新いたします。
127 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 14:30:12.41 ID:gnF+XSpW0
ーーーーーー




ーー カツン ーー



ーー カツン ーー



選手の待機場所として開放されているはずのサブアリーナに、足音が響く。
それなりに広い観客席のある体育館なのに、誰一人いない。

…………ううん。
一人だけ、いた。
凛の目の前に……。




会長「…………君だけかな」

凛「……そうにゃ」



そいつの言葉に頷く。




会長「よろしい」

凛「…………風ちゃんのライフコインを返してくれるんでしょ」

会長「あぁ、そういう約束だからね」


128 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 14:38:55.54 ID:gnF+XSpW0
警備員を通じて、凛に呼び出しがかかったのが、競技が始まる30分前のこと。

競技が始まった後にサブアリーナまで一人でくること。
そうすれば、斉木風のライフコインを渡そう。

そう、伝言を受けた。
だから、凛は一人で来たんだ。



会長「…………ふむ」



やつは自分の腕時計を確認した。



会長「もう決勝は始まっている……彼女を返しても構わないだろうからねぇ」

凛「…………」



アリーナの時計を見ると、確かにもうレース開始の時間は過ぎていた。

と、奴が懐から何かを取り出す。
コイン……ライフコインだ。



会長「……それでは、ここに」



やつはそれを自分の足元に置いた。
そして、三歩下がる。



凛「…………」



近付く。

一歩、二歩、三歩。

そして、




ーー チャリッ ーー




足元のコインをーー




『マネー』



凛「っ!!」
129 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 14:46:52.15 ID:gnF+XSpW0



マネー『ふっ!』



ーー ヂャリンヂャリンッ ーー




ドーパントに変身したやつの手の平から放出されるコイン型のエネルギー弾。
たくさんのコインが凛に襲い掛かってくるーー




凛「っ」バッ



ーーのをギリギリで避けた。

けど……。



凛「風ちゃんっ!」



ライフコインから遠ざかる。



マネー『どうかしたかな?』

凛「っ、ひきょうもの!!」

マネー『卑怯で結構だよ。私はそうやって生きてきたのだからね』

凛「…………返す気なかったんだ!」

マネー『勿論。これは君を誘き寄せる餌にすぎない』



私がドーパントであるという目撃者には消えてもらわないとね。
マネーは笑いながら、風ちゃんのライフコインを拾いそう言った。
130 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 14:55:16.71 ID:gnF+XSpW0

マネー『私は稼がなくてはいけないんだよ。特に、このレースは金になる』

凛「…………風ちゃんはこのレースに懸けてた」

マネー『……それが?』



……知ってるよ。
こいつには風ちゃんがどれだけの思いを持ってたか、なんて理解できないってこと。

人の痛みが分からない。
そんなやつには、





凛「……………………レースはなくなったよ」




マネー『は?』



こいつの目的を潰す。
それしかない。



マネー『なにを言っている……』

凛「………………レースは中止になった」

マネー『っ、なにを馬鹿なことを!?』

凛「嘘だと思うなら…………電話でもしてみたらいいよ」

マネー『っ』



凛「…………」


131 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:01:13.18 ID:gnF+XSpW0
やつがどこかに電話をして、その事実を確認するのに5分もかからなかった。



マネー『な、な……』

凛「ぷぷっ」



ぷるぷると震え、手に持っていた携帯を握り潰すマネー。




マネー『なにがおかしいっ!!』




今までの紳士然とした透かしたような余裕はない。
言葉も態度も荒々しかった。

それに、笑っちゃってた。



マネー『私のレースをっ……よくもっ!!』

凛「私のレース……? なに言ってるにゃ」

マネー『私のレースだ!! 私が金を手にするための、大事なーー』




凛「違う!!」

凛「あのレースはーー」




凛「風ちゃんたちの、選手のためのレースだ!!」




132 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:10:33.85 ID:gnF+XSpW0
叫ぶ。

あの、風ちゃんの不安そうな表情やピリピリするようなプレッシャー。
それに、人懐っこい笑顔が頭に浮かぶ。



真剣に打ち込んでるんだよ。


不安も。
緊張も。
全部抱えながら、それでも全力で走る。

凛たちにとってのスクールアイドルと同じだ。
凛も気持ちだけは分かるから。



邪魔してほしくない……よね。




凛「…………ふぅ」



一度、目を閉じて。
深呼吸……。
そして、もう一度、やつを見て、言う。




凛「凛みたいな中途半端な人も」

凛「お前みたいなレースを金儲けのためにしか見てないような人も」

凛「関わっちゃいけないんだよ」

凛「だからーー」



だから、部外者は部外者同士でーー





凛「凛がお前を倒すっ!!」




133 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:14:32.84 ID:gnF+XSpW0

マネー『黙って……聞いていればっ!!』

マネー『お前のようなゴキブリ共に怯えていたただの小娘がっ!』

マネー『私を倒すなど!!』



マネー『身の程をわきまえろォォォ!!』



やっぱり、というか。
予想以上にキレている様子で、マネーは叫んでくる。
その声が、アリーナ中に反響してて。



凛「……うー、うっさいにゃぁ」

マネー『その、減らず口も、すぐにきけなくしてやるゥゥ!』



凛「…………ふぅ」



もうひとつ、深呼吸。

うん。
分かってるよ。
ここからが勝負、だよね。
134 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:15:58.37 ID:gnF+XSpW0
ーーーーーー
135 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:47:10.11 ID:gnF+XSpW0



にこ「まずは、あいつから冷静さを奪いなさい!」



凛がドーパントを倒す!?
どうやって!?

という質問の答えがにこちゃんのその言葉だった。



にこ「マネードーパント自体は大して強くないわ」

凛「え、でも、にこちゃん結構やられてたよね」

にこ「えぇ、それはあいつがかなり頭がいいからでしょうね」

凛「あー、にこちゃんよりは……」

にこ「あんたが言うな!」グニィッ

凛「い、いひゃいにゃーー!」


バタバタと軽く暴れると、にこちゃんは指を凛のほっぺからなはした。
って、痛いよぉ……。



にこ「それで、冷静さを奪う方法だけど……」チラッ

理事長「……? なにかしら?」

にこ「理事長、この大会自体を中止にさせるとかできませんか?」

理事長「…………それはなぜ?」

にこ「はい。それは……」



にこちゃんの考えによると。

あいつはたぶん選手や警備員を自分の金儲けの道具くらいにしか考えてない。
その代わり、金への執着が人一倍強い。

今回、風ちゃんを襲ったのだって、自分の損失が大きいと判断したから。
役員室なんて人が入ってくる可能性もある場所で風ちゃんを襲ったのも、危機感があったんだ。
このままでは損失額が……って。



凛「凛には、理解できないにゃ」

にこ「にこもよ。お金は確かに大事だけど、それだけのために人を食い物にしたりできる神経は理解不能よ」
136 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:54:42.75 ID:gnF+XSpW0


理事長「とにかく……大会自体を中止にすれば、彼は平静さを失うと?」

にこ「……はい」



理事長の疑問に頷くにこちゃん。
さらに、続ける。



にこ「この大会で賭博を行っている、しかも、自分の損失額を気にするほどの賭博なら……」

にこ「もし、それを中止にできれば……」



理事長「……彼が支払う額は大きい、と?」

にこ「はい」



なるほど。
可能性はあるわね。

理事長も、なんだかにこちゃんの考えに賛成みたい。
まぁ、凛はよくわかんないけど……。

でも、ひとつだけ心配なことがある。
それは、



凛「ねぇ、にこちゃん」

にこ「なに?」

凛「大会中止になったら……風ちゃんは……」



そう。
それは風ちゃんのこと。
風ちゃんはこの大会に懸けてるんだ。
だから、助けた後、大会がなくなったって知ったら……。



にこ「そ、それは……」

凛「にこちゃん……凛は……」



賛成できないよ。

そう言おうとして、




理事長「残念だけど、大会自体を中止にさせることはできません」




理事長に遮られた。
137 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 15:59:40.53 ID:gnF+XSpW0

凛「え?」

にこ「……っと、まぁ、そうよね」



ふぅ、と息を吐くにこちゃん。



にこ「まぁ、というわけであり得ない話だから、あんたの友達のことは気にしなくていいわよ」

凛「う、うん」

にこ「でも、まぁ…………他に考え付くような頭は……にこにはないわ」



勿論、凛にもない。

う、うーん?
一体どうしたら……?



理事長「にこさん?」

にこ「……なんですか? 他に案は……」




理事長「中止に出来なくても、中止に『みせる』ことはできるじゃないかしら?」



凛「え?」

にこ「っ!」



そう言った理事長を見ると、赤いガイアメモリを手にしていて。
138 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 16:04:38.07 ID:gnF+XSpW0

にこ「……なるほど」

凛「? え、えっと?」



一体どういうこと?
そう聞いても、理事長は笑ってごまかすだけで……。



にこ「……とりあえず、あいつから冷静さを奪う作戦はOKよ。凛は気にしないでいいわ」



にこと理事長がどうにかするわ。

そんなにこちゃんの言葉に、理解が追いついてないまま頷いた。
……えっと、じゃあ……。



凛「あとは、凛があいつを倒せば……?」

にこ「まぁ、普通にやったんじゃ無理よ」

凛「……え」




にこ「だから、これ……」



ーー ガチャッ ーー




にこちゃんが取り出したもの。
それは……。




凛「これ、にこちゃんが使ってる……」

にこ「そ。『ロストドライバー』」


139 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 16:11:35.79 ID:gnF+XSpW0
正確には理事長が持ってるドライバーだけどね。
にこのはここにあるわ。

そう言って、自分用のドライバーを見せるにこちゃん。

これを、凛が……って、あれ?



凛「仮面ライダーの力は使わないんじゃ……?」

にこ「そ。だから、これは見えないように着けときなさい」

凛「…………?」

にこ「着けるだけでも少しは力が上がるらしいわ」

凛「あ、なるほど」



服の下に着けておけば、ちょっとは戦えるってことかな?



にこ「そういうこと!」

凛「…………でも、倒せるかな?」

にこ「メモリブレイクまでは出来なくてもいいわ。というか無理よ」


それは、近くににこが待機してるから、にこがすればいいから。
って、それじゃあーー



凛「じゃあ、凛は…………」



凛の疑問に、にこちゃんは笑う。
笑って、こう言った。




にこ「あいつを一発ぶん殴りなさい!」

にこ「ただの女子高生にドーパントがぶん殴られれば、負けだと思うわよ」


140 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 16:12:39.02 ID:gnF+XSpW0
ーーーーーー
141 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 17:44:55.22 ID:KhXAIFiWO


マネー『ハァァっ!!』ブンッ

凛「っ」



マネーの拳をギリギリで、っ!
ちょっとかすった!

ほっぺがズキリと痛む。



マネー『ふ、ははっ!』

凛「やっと、当たって……嬉しそうだね」

マネー『ア?』

凛「『ただの人間』相手に、ぷぷっ」

マネー『アぁぁ?』

凛「…………」



心のなかでガッツポーズをする。

よし!
ちょーはつ成功にゃ!
これでさらに、動きやすく……



マネー『舐めるな、小娘ェェ!!』ググッ


凛「なっ!?」



この至近距離で、さっきのエネルギー弾!?
ヤバイにゃ!?

必死に、跳ぶ。



凛「っ、にゃぁぁっ!!」バッ




ーー ヂャリンヂャリンッ ーー




間一髪。
どうにか避けた、けど……。



凛「……はっ、はぁ……あぶな……」



ーー ズキッ ーー



凛「痛っ……」



いや。
避けれてなかったぽかった。
左足に鈍い痛み。
見れば、血が出ていた。
142 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 17:52:11.00 ID:KhXAIFiWO

マネー『ふ、ははははっ、足を、捉えた!』

凛「うっ……」



走れない、わけじゃない。
だけど……。



マネー『さっきまでの動きは出来ないだろう?』

凛「……っ」



たしかに、そうだ。
手ならまだしも足に当たったのは、辛い。
でも、



凛「……このくらい余裕……ううん、ハンデかにゃー?」



なんて。
ハッタリもハッタリだけど。



マネー『ハッ! いくら虚勢を張ったところで!!』

マネー『この攻撃からはっ!!』ググッ




マネー『逃げられまい!!』



ーー ヂャリンヂャリンッ ーー



凛「ま、だっ!!」バッ



マネーのエネルギー弾が目の前に迫ってくる。
ここなら、避わせる!
143 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 17:57:57.13 ID:KhXAIFiWO

マネー『甘いわァァ!!』ググッ

凛「なっ!?」




ーー ヂャリン ーー




もう一発。
凛が避けられないような、追撃。
当たる……よね。



凛「っ」


目を閉じ、体を丸める。
ドライバーを着けて、少しは強化された凛なら耐えられるかもしれない。

足掻くよ。


だって、凛はまだーー




凛「あいつを殴らなきゃ」

凛「風ちゃんの夢を踏みにじったあいつをーーっ」




頭の中には、涙を流しながら目の前で倒れた風ちゃんの姿が浮かぶ。
それから、凛に向かって笑みを浮かべた風ちゃんの姿も。

あぁ、やっぱり耐えなきゃ……。
凛は、




凛「あいつを倒したいっ!!」




体を丸めてて直接見なくても分かるエネルギー弾の光に、凛は包まれてーー
144 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2017/12/02(土) 18:06:06.06 ID:KhXAIFiWO



目の前に煙が広がる。
派手な攻撃で広がった煙だ。



マネー『ふ、ははははっ!!』



誰もいないアリーナに笑い声だけが響く。



マネー『ざまぁないねぇ!!』

マネー『結局、ただの人間であるあの小娘は死に、私は生きている』

マネー『……当たり前のことだがね』



そう。
それが普通。
人間がドーパントに勝てるはずがない。
生身で戦うとかただのバカだ。



マネー『…………あそこまでコケにされたのは初めてだったが……いや、だからこそ、死体を見ておこうか』

マネー『四肢がズタズタになった小娘の姿を見れば、少しはこのウサも晴れるだろう』

マネー『金にはならんがね』




目の前の煙が晴れていく。
目の前にはーー






「…………やっと」



ーーーー ガシッ ーーーー



マネー『なっ!?』





ーーそのドーパントの姿があった。



凛は、生きてる。


145 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 18:09:47.36 ID:KhXAIFiWO



凛「やっと捕まえた……」

マネー『な、なぜ生きている!?』

凛「……そんなの……」



凛の方が知りたいよ。

凛に攻撃が当たる直前に、目の前でなにかが爆発する音がした。
その勢いのせいで、吹っ飛ばされたけど、結果的にはエネルギー弾は当たらなかった。

そして、




凛「覚悟、いいかにゃ……?」グッ




拳を握る。
思いっきり、



マネー『ぐっ、離ーー』

凛「ーーすわけないじゃん!!」



ぶんーー



凛「らぁぁぁっ!!!」




ーー バキッ ーー




ーー殴った。
146 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 18:15:21.89 ID:KhXAIFiWO


凛「痛っ」

マネー『は、はは……焦って損をしたよ。それはそうなるだろう』



ドーパントを殴った凛の手から血が流れる。
いくら掴んだからって、こっちは生身なんだから、まぁ、そうなるよね。



マネー『ふっ、それで、どうするつもりかね?』

凛「……っ、まぁ」




そうだよね。

………………。

うん。
決まってるよ。



凛「にこちゃんはさ……」

マネー『……は? にこ?』

凛「……一発ぶん殴りなさいって言ったけど、凛は反対だった」

マネー『……それはそうだろうね。ただの人間がドーパントを殴ってはそちらが怪我をするだけだ』



殴ろうなんて考えは馬鹿の考えだ。

ドーパントはそう言った。

うん。
そうだよ、だから、凛はバカなんだ。



凛「凛はね、決めてたんだ」
147 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 18:16:18.03 ID:KhXAIFiWO






凛「お前を100発ぶん殴るって!!」




148 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 18:19:41.12 ID:KhXAIFiWO

マネー『は、は!? なにを!?』

凛「2発目!!」




ーー バキッ ーー




マネー『!?』

凛「っ、痛く……ない!!」グッ




ーー バキッ ーー




凛「っ、まだまだ!!」




ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー

ーー バキッ ーー



殴る。
殴る殴る殴る。
殴る殴る殴る殴る殴る。

殴り続ける。
勿論、ドーパントも抵抗するけど、絶対に離さない!
149 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 18:24:33.37 ID:KhXAIFiWO

マネー『お、お前は、馬鹿なのか!?』

凛「そうだよ。凛は、バカだ!」



だけど、バカでもーー




凛「風ちゃんの思いを踏みにじったやつを殴ることはできる!」

マネー『手が裂けてるんだ……なぜーー』




凛「関係ない!!」

凛「足に怪我しても、手が裂けても」




凛「絶対に、凛がお前を倒すんだ!!」




マネー『な、なんなんだ、お前は…………』

凛「凛は、ただのっ、人間…………でもっ!」





凛「風ちゃんの友達だッ!!」





ーー ドクンッ ーー

150 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:11:40.12 ID:zv/H86dj0


マネー『あ、ぐっ……』

凛「!?」



何発目かのパンチで、さっきまで平気そうだったドーパントが急に苦しみ出す。
驚いてつい放したけど……。



マネー『が……アぁァァ……ァァ……』



な、なに?
なにが……!?



と、



ーー チャリン ーー



凛「え……?」



凛の足元に現れたもの。
それは、



凛「……これ、ライフコイン……?」



よく見てみると、コインには名前が刻まれている。
その文字が、凛の目の前で、



凛「……消えた……?」


151 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:18:14.83 ID:zv/H86dj0


マネー『や、止めろ!! 私は、私はまだ負けていないっ』



ーー チャリン ーー

ーー チャリン ーー



マネードーパントは苦しみながら、ライフコインを吐き出していく。
次々と現れるライフコイン。
その一枚一枚から、名前が消えていく。



マネー『あ、ぐ……ハァ……』

凛「これって!!」



ドーパントが苦しんでる隙に、さっきのライフコインの元へ駆け寄った。
刻まれた名前を確認する。
そこには『斉木風』の文字があって。



ーー スゥゥゥ ーー

ーー チャリン ーー



たった今、消えた。



凛「!!」

凛「これ、もしかして……ううん」



振り返る。
さっきまでぼってりと太っていたマネードーパントは、



マネー『はぁ……はぁ……』



やせ細っていた。
ガリガリで……見る影もない。
152 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:26:20.48 ID:zv/H86dj0


凛「それが……お前の正体」

マネー『は……ぁぁ……』



ガリガリに痩せ細って、気味が悪いほどの金色の体もくすんだ銅色になってる。
肩で息をしているその姿は……。



マネー『お、まえ……』

凛「…………もう終わりにゃ」



そう告げる。
たぶんもう戦える状態じゃないはず。

けど、




マネー『な、舐めるなァァァァ』バンッ




ーー ジリリリリリリリリリ ーー



凛「っ」



耳がおかしくなるほどの音。
マネードーパントがアリーナの非常ベルを鳴らしていた。




マネー『ゴキブリ共!!』

マネー『私を守れェェェェ!!!』



凛「な!?」
153 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:32:40.24 ID:zv/H86dj0
アリーナの入り口を見る。
そこには、



コックローチ1「…………」

コックローチ2「…………」

コックローチ3「…………」



3体の、コックローチ……ううん。



コックローチ4「…………」

コックローチ5「…………」



凛「まだ、増えるの…………?」



音を聞いて、集まってくるコックローチドーパント。
もう、入り口には7体もいる。



マネー『は、はは……そうだぁ』

マネー『私には、まだ力がある……』

マネー『このマネーのメモリの力が衰えても……金がある……!』

マネー『金があれば、ゴキブリ共は私を守る……』

マネー『は、はははっ! はははっ!!』



凛「っ、追いつめたのに……っ!!」



高笑いがアリーナに響く。
そして、コックローチの羽音も聞こえてくる。

ここまでかにゃ……。




マネー『そうだ、私はまだ戦えーー』



154 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:35:29.64 ID:zv/H86dj0




『ジョーカーマキシマムドライブ』



ジョーカー『ライダーキックっ!!』




ーーーーーー バキィィィ ーーーーーー



コックローチ6『グォ……!?』

コックローチ7『……ガ!?』



ーー バリンッ ーー

ーー バリンッ ーー




凛「え……!?」
155 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:41:18.68 ID:zv/H86dj0
アリーナの外から聞こえる爆発音。
そして、あの声!
間違いないにゃ!!




凛「っ、にこちゃん!!」



大声で叫ぶ。
凛の声に答えるように、



ジョーカー『凛!!』



声が聞こえてくる。
姿は見えない、だけど!!



凛「来てくれたんだねっ」

ジョーカー『ったりまえ……よっ!!』

凛「っ」



ゴキブリ退治は任せなさい!
ただ数が多すぎるから……。

中の成金ドーパントはあんたに任せたわ!

そう言うにこちゃん。
……ほんと。



凛「頼りになるにゃ」




にこちゃんには聞こえないように、ボソッと呟く。
にこちゃんの声聞いてホッとしたとか、後でバレたらからかわれそうだしね。
156 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:47:48.08 ID:zv/H86dj0


凛「…………ふぅ」



息を吐く。
そして、黒い影がうごめく入り口に背中を向ける。
後ろは……大丈夫。



凛「…………」

マネー『う、ぁぁぁ……仮面っ、ライダーァァァァ!!』



銅色の怪物と向かい合う。

弱ってるとは言え、ドーパントはドーパント。
凛だけじゃメモリブレイクは出来ない。



マネー『おまえ、だけでも…………!!』

凛「っ、えぇ!?」



考えている途中で、ドーパントが向かってくる。

って!?
は、速い!?
痩せたから!?



ーー ガシッ ーー



凛「にゃ!?」

マネー『つか、まえたぞォォ……』



さっきとは逆。
今度は凛がドーパントに掴まれて……って!?



凛「ま、まずいにゃ!?」



ジタバタともがいても放してくれない。
って、このままじゃーー

思わず目をつぶる。
157 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:48:26.71 ID:zv/H86dj0






ーーーーーー カツンッ ーーーーーー








158 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 22:54:29.37 ID:zv/H86dj0
何かが当たる音。
…………攻撃が、来ない?

そっと目を開ける。




マネー『……っ、な、なんだ!?』



目の前の状況は変わんない。
でも、ドーパントの意識が凛から外れていた。



マネー『誰だ!!』

マネー『出てこい!!』



たぶん、何かがギャラリーから飛んできたんだろう。
ドーパントは必死にギャラリーの方を警戒していた。

!!
チャンス!!



凛「にゃっ!!」ベキッ

マネー『ぐっ!?』



ドーパントが少しよろめいた瞬間に、距離をとる。
脱出成功にゃ!

…………でも、なにが?

凛もキョロキョロと周りを見渡す。

あの音。
何かが当たるような音だったけど……。




凛「あ、あれ……?」


159 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:00:29.55 ID:zv/H86dj0
そこで、凛は見つけた。
あいつの後ろ側に落ちている『それ』を。



凛「っ!!」ダッ



あいつの意識がギャラリーに向いている今がチャンス!
凛は、飛び付くみたいに蹴り出して、



凛「っ、よしっ!!」バッ



『それ』を拾った。



凛「…………」

凛「………………これって……『ガイアメモリ』……?」




そうだ。
『ガイアメモリ』だ。
しかも、ドーパントになるやつじゃない。
にこちゃんと同じ……『仮面ライダー』になるためのメモリだった。

けれど、にこちゃんとは違う色。



凛「みどり…………」



それで、『メモリ』の名前はーー



凛「C……Y…………???」

凛「……え、えっと……??」


160 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:01:20.58 ID:zv/H86dj0







「cyclone…………」

「『サイクロン』だよ!!」








161 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:09:46.19 ID:zv/H86dj0



「………………」



凛「……え?」

マネー『! やはりそこにいたかァ……』

凛「!!」



突然聞こえた声。
その声の主は、ギャラリーにいた。

凛の声でも。
にこちゃんの声でも。
理事長の声でも。
マネードーパントの声でもないその声の主。

それは聞き覚えがある声だった。



凛「な、なんで……!?」

「いいから! 今はそれを使って!!」

凛「でもっ!!」

「っ、お願い!」




「信じてっ! 凛ちゃん!!」




彼女は言った。
信じてって。

……………………うん。
分かった。

コクリと。
ギャラリーにいる彼女を見て、頷く。




凛「信じるよ」

凛「…………穂乃果ちゃん」




穂乃果「ありがとう、凛ちゃん」



162 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:15:37.41 ID:zv/H86dj0

凛「すぅ…………はぁぁ……」

凛「…………よし!」カチッ




『サイクロン』




凛「…………変、身っ!!」





『サイクロン!!』





風が、凛の周りを包む。
他の音は何も聞こえないくらい、強い風の音。





『……………………』




やがて。
その風が止み始めて。

凛はそこに立っていた。
いや、凛じゃないよね。

今の凛はーー




マネー『おま、え…………』

『…………にこちゃんがジョーカーなら、『サイクロン』メモリで変身した凛はーー』





サイクロン『ーー仮面ライダーサイクロンだよ!』



163 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:18:09.00 ID:zv/H86dj0



サイクロン『多くの人の夢を、頑張りを嘲笑って、踏みにじった罪』

サイクロン『凛の友達を傷つけた罪』

サイクロン『ちゃんと償ってもらうよ』





サイクロン『さぁ!』

サイクロン『お前の罪を数えろ!!』




164 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/02(土) 23:19:12.29 ID:zv/H86dj0
本日はここまで。
お付き合いくださり感謝です。
もう少しお付き合いいただけると幸いです。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 09:23:59.16 ID:FG3YFLmDO

ここで穂乃果か
166 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 19:44:54.00 ID:/X5zeacB0
更新します。
167 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 19:52:27.52 ID:/X5zeacB0


マネー『また、仮面ライダー……だと……』



2、3歩後退るマネー。
それを横目に見ながら、考える。
というか、



サイクロン『……なるほど』

サイクロン『こんな感じなんだね……』



頭に勝手に情報が入ってくる感じだ。

闘い方とかこのメモリの能力とか。
わーっといろんなことが来てーー



サイクロン『うっ…………酔いそう……』



思わずふらつく。

うー。
凛、ゲームとかも説明書読まないで始めるタイプだし、こんなに一気に教え込まれても……。



マネー『! はぁぁっ!!』ググッ



ーー ヂャリンヂャリン ーー



サイクロン『!』



と、情報に酔ってる凛の隙をついてくるドーパント。
エネルギー弾が迫ってくる。

…………けど!



サイクロン『っ、は!!』ブンッ




ーー ビュゥゥゥゥゥゥゥゥ ーー




風が吹く。
凛の手に合わせて吹いたその風で、エネルギー弾が消えていった。
168 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 19:56:05.55 ID:/X5zeacB0


サイクロン『お、おぉ……!』



やった自分が一番驚いたよ。
さっきまであんなに怖かった攻撃が手で払っただけで消えちゃったから。



マネー『わ、私の攻撃が……』

サイクロン『……うん。効かないみたい!』

マネー『ぐっ!?』



ニカッと笑う。
って、見えないんだった。

まぁ、いいにゃ!



サイクロン『…………じゃあ』



じゃあ、今度は!




サイクロン『こっちの番!!』ダッ



169 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:00:14.41 ID:/X5zeacB0
一気に距離を詰める。



マネー『な!?』



気付いたときには、もう目の前にドーパントの姿があって。



サイクロン『っ』ググッ

マネー『やめーー』




サイクロン『らぁぁぁっ!!!』



ーー バキィィィィィィッ ーー



マネー『ご、があっ!?!?』




一撃。
蹴り飛ばす。



サイクロン『って、おぉ……すごいにゃ……』



アリーナの壁に叩きつけられるドーパントを見ながらそう思う。
蹴り一発でこんな威力が……。

ガイアメモリ……おそろしーにゃ……!
170 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:05:28.63 ID:/X5zeacB0



穂乃果「凛ちゃん!!」

サイクロン『!』



声はギャラリーの方から。
見上げると、穂乃果ちゃんが身を乗り出してこっちを見てた。



穂乃果「メモリブレイクだよ!!」

サイクロン『……あ、そっか!』



凛も仮面ライダーなんだから、できるんだよね!

えっと、たしか……。
メモリをドライバーから抜いて、それから……。



マネー『ふ、あ…………』ヨロッ

サイクロン『!』



あいつ、立ち上がった!
流石に一発じゃ倒せないよね。
でも、マキシマムドライブなら!




サイクロン『決める!』ガシャ




『サイクロンマキシマムドライブ』



ドライバーから音が鳴る。
それと同時に、風が集まってくるのが分かった。

風は、足に。
まとわりついていく。




サイクロン『これでーー』



171 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:10:36.72 ID:/X5zeacB0



マネー『う、ゥォォオォ!!!』

サイクロン『!?』



技を決めようとした、その瞬間。
ドーパントが跳んだ。

あいつは、そのままギャラリーまで……って!!




サイクロン『穂乃果ちゃんっ!!』



172 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:12:49.94 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー
173 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:17:28.95 ID:/X5zeacB0


マネー『はぁ……は……』

穂乃果「…………っ」



目の前に怪物。
凛ちゃんがマキシマムを使う直前に、ここまで上がってきたんだ……。
下からここまで、一飛びで……。

これが……ドーパントかぁ。



マネー『お前を、使えば…………あの小娘は……』



使えば……?
そっか。



穂乃果「穂乃果を人質にする気?」

マネー『あ? あ、あ……そうだ……私は負けていない、私はーー』



うわ言のように、目の前の怪物は繰り返す。

……メモリに飲まれかけてる。
ガイアメモリの副作用。
人の心の闇を増幅させる、だっけ。



穂乃果「っ」



頭をよぎる。
あの娘のこと……。

穂乃果はーー



穂乃果「………………うん」

マネー『……なにをーー』



ドーパントがさらに一歩近づいてくる。
けど、怖くない。

だって、




穂乃果「終わらせて、凛ちゃん」




サイクロン『うん!』




緑色の仮面ライダーがそこにいたから。
174 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:25:19.66 ID:/X5zeacB0



サイクロン『ほっ!』グッ

マネー『なにを……!?』



ーー ドンッ ーー



凛ちゃんは、ドーパントを後ろから掴んで下へ突き飛ばす。
なるほどね!
これなら、逃げられない。



サイクロン『決めてくる!』グッ



それだけを言うと、凛ちゃんも一緒に飛び降りた。
そして、回る。

高飛び込み、だっけ。
あれみたいに、回ってーー




『サイクロンマキシマムドライブ』




サイクロン『はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』




ーーーーーー バキィィィィィィィィィッ ーーーーーー




マネー『ーーーーーーーーーっ!?!?』




ーーカカト落としを決めた。
175 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:27:52.06 ID:/X5zeacB0
聞こえてきたのは、怪物の声にならない断末魔の叫びだけ。
爆発音は少しも聞こえず、その代わり、




ーー パキッ ーー




弱々しい音。
何かが壊れるような音が鳴ったような……気がした。



穂乃果「……えっと……」



ギャラリーからもう一回下を覗き込んだ時。
その時にはもう、




凛「……ってて……」

穂乃果「凛ちゃん!」

凛「!」




凛「ぶい! にゃ!!」




全部が終わっていた。




ーーーーーー
176 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:29:41.33 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー
177 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:46:24.82 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー



File.2
陸上部員連続昏睡事件。



『マネーメモリ』使用者による連続昏睡事件。
陸上競技の大会に出場する予定だった選手7名を『ライフコイン』を使用し、昏睡状態にさせた。


『仮面ライダーサイクロン』が撃破。
メモリも破壊した。


メモリ使用者は、陸上協会会長の男。
事件後、駆け付けた警察に現行犯逮捕され、そのメモリの出処を証言させるべく、風都署超常犯罪対策課に連行された。
また、共犯として、『コックローチメモリ』を使用し、大会関係者を襲撃した警備員計15名は『仮面ライダージョーカー』に撃破された。
同じく、逮捕、連行された。



この事件で、昏睡状態にさせられた選手は、事件後全員が意識を取り戻しており、後遺症などもないようである。
そしてーー



ーーーーーー
178 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:47:09.65 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー
179 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:52:15.05 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー





ーーーーーー パァァァァン ーーーーーー




音が競技場に響き渡る。
同時に、凛は掲示板を見ていた。

結果は!!




凛「っ!!」




掲示板の一番上。
そこには、凛が応援していた娘の名前があった。

や、やった!!




凛「〜〜〜〜〜っ」




思いっきり、息を吸い込んで。
それを掴みとった彼女の名前を呼んだ。





凛「風ちゃんっ!!!」




それに気づいた彼女は、観客席の凛の方を見て





風「ーーーーーーーーー」ニカッ




ーー笑った。

あの人懐っこい笑顔でーー。




ーーーーーー
180 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:53:40.11 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー
181 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 20:58:06.54 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー



アイドル研究部部室。
日曜日ということもあって、本来の部員はほとんどいない。

ただ、



にこ「…………」

理事長「…………」



花陽「あの、えっと……」

凛「ふわぁぁ……眠いにゃ……」

真姫「……凛、空気読みなさい」



凛たち1年……じゃなかったわね。
現3年生と、OGであるにこ。
理事長。

そして、




穂乃果「あ、あの〜、なんだか空気が重いような……」




高坂穂乃果がいた。
182 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 21:02:37.24 ID:/X5zeacB0


にこ「当然でしょうが!」バンッ



穂乃果の煮え切らない態度に、つい机を叩いた。



にこ「あんた、一体!」

理事長「まぁまぁ、にこさん。少し落ち着いて」

にこ「っ……」



理事長の制止で、勢いを削がれる。
って、あぁ……。


にこ「悪いわね、花陽」

花陽「う、ううん。ちょっとビックリしただけ」

にこ「……こいつが空気読まないから、ついね」

凛「え?」



違う違う。
凛も空気は読めてないけど、それよりも穂乃果よ。



穂乃果「あ、あはは……」



誤魔化すように笑う穂乃果に、またカチンとくる。
ったく、こいつは……!
183 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 21:07:35.40 ID:/X5zeacB0



真姫「…………穂乃果」




にこがキレそうなのを察したのか、口火を切ったのは真姫ちゃん。

静かに。
でも、言い逃れが出来ないような雰囲気で、真姫ちゃんはこう聞いた。





真姫「あなた、一体なにをしてるのよ」



穂乃果「………………」




穂乃果は真姫ちゃんを、じっと見つめ返している。



穂乃果「……………………」

真姫「………………」

穂乃果「…………」

真姫「………………」



数秒、見つめあった後、




穂乃果「……ふぅ、そうだね」




穂乃果が息を吐く。
根負けしたみたいに。
184 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 21:12:41.39 ID:/X5zeacB0


真姫「……ん」



ここからはにこの出番。
そう言う代わりに、穂乃果の正面をにこに譲る真姫ちゃん。

ありがと。
それだけを返して、穂乃果の前へ。

そして、尋ねる。



にこ「穂乃果」

穂乃果「うん。なに、にこちゃん?」

にこ「このドライバーはあんたから貰ったものよ」コトッ

穂乃果「うん」

にこ「ドーパントに関わる色んなこともあんたから聞いたわ」

穂乃果「……うん」

にこ「そして、今回の事件でも、あんたは凛に『メモリ』を渡した」

穂乃果「そう、だね」




にこ「ねぇ、穂乃果」

にこ「あんた、一体なにをしてるのよ……?」




今度は冷静に。
にこは穂乃果の目を見ながら、聞く。

それに、穂乃果は……。



穂乃果「うん」



ひとつ頷いてから、こう答えた。
185 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 21:15:36.54 ID:/X5zeacB0
ーーーーーー





穂乃果「穂乃果はーー」




穂乃果「ーー海未ちゃんを止めなくちゃいけないんだ」






ーーーーーー To be continued ーーーーーー
186 : ◆6cZRMaO/G6 :2017/12/03(日) 21:24:51.53 ID:/X5zeacB0
以上で
『凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」』完結になります。

レスをくださった方
読んでくださった方
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。

以下過去作等です。
よろしければどうぞ。

前作(荒らされております。すみません)
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/

過去作(百合もの)
曜「私とあの娘のアイスな関係」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507542150/
花陽「雨、絵里ちゃんと一緒の土曜日」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443178719/


続きの構想はありますので、気が向いたら書く予定でいます。
その時はまたぜひお付き合いください。

恐らく次作は百合ものとなります。
では、また。
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 21:38:50.65 ID:pNLuS7+XO

次は誰が主役に...?
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 22:44:01.88 ID:pxC1FVeYO

まさかの海未ちゃんメモリー使う…?
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/04(月) 20:05:40.05 ID:j3dF9LSb0
おつです!
おもしろかった!
速く次書いて
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/05(火) 10:46:51.14 ID:Y5RdjPRiO
乙乙
ここで終わらせちゃダメやで!はよ続き
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