【モバマス】龍崎薫「せんせぇはやさしいのに……」

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137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 14:20:05.56 ID:esCiUhQLO

薫「はーい!」


スタイリスト「じゃっ、行きましょうか」


あい「(先程から気になってはいたが、やけに元気な人だ。元気というか、機嫌が良いのか?)」


スタイリスト「あいさん? どうしました?」


あい「いえ、何でもありません。行きましょう。薫、また後でね」

薫「あいお姉ちゃん!」

あい「ん?」クルッ

薫「およめさんなったら、すぐ来てね!」

あい「フフッ、分かった。これからお嫁さんにしてもらうから、少しばかり待っていてくれ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 14:23:14.43 ID:esCiUhQLO

薫「はーい!」


スタイリスト「じゃっ、行きましょうか!」


あい「(先程から気になってはいたが元気な人だな。元気というか機嫌が良いのか?)」


スタイリスト「あいさん? どうしました?」


あい「いえ、何でもありません。行きましょう。薫、また後でね」


薫「あいお姉ちゃん!」


あい「ん?」クルッ


薫「およめさんなったら、すぐ来てね!」


あい「フフッ、分かった。これからお嫁さんにしてもらうから、少しばかり待っていてくれ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 15:27:22.72 ID:esCiUhQLO

>>>>>

スタイリスト「どうですか?」


あい「……言葉も出ないよ。自分がこんな恰好をするなんて夢にも思っていなかった」


あい「これがウエディングドレス。確か、マーメイドラインだったか」


あい「こんなに細かなところまで……服飾の技術とは凄いものだな……」


スタイリスト「ふふっ」


あい「あ、申し訳ない。あまりに綺麗なものだから、つい」


スタイリスト「あいさんも綺麗ですよ? ドレスに負けないくらい、綺麗です」
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 15:28:55.56 ID:esCiUhQLO

あい「……そうだろうか」


あい「正直なところ、あまり自信がないよ。満足の行く写真が出来るかどうか」


あい「何より、彼の期待に応えられるかどうか、不安でならないんだ」


スタイリスト「プロデューサーさんは自信満々でしたよ?」ニコッ


あい「フフッ、彼らしいな」


スタイリスト「……プロデューサーさんのような人と一緒に仕事が出来るなんて、正直羨ましいです」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 15:29:57.34 ID:esCiUhQLO

あい「?」


スタイリスト「プロデューサーさん、さっき、スタッフ全員の前で頭を下げたんです」


スタイリスト「先日は申し訳なかったって……あの時は、明らかに担当者さんの対応が悪かったのに」


あい「!?」


スタイリスト「でも、スタッフの中には怒っている人もいました。撮影は重労働ですから……」


スタイリスト「だから、彼はしっかり謝って、スタッフ一人一人にお礼を言ったんです」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 15:31:10.96 ID:esCiUhQLO

あい「(だから遅れたのか……)」


スタイリスト「誠実だなって、そう思いました」


スタイリスト「当たり前を当たり前に出来る人って、中々いないですから……」


あい「あれは彼の責任じゃない。私が堪えていれば、ああはならなかった」


スタイリスト「ふふっ、プロデューサーさんも同じことを言ってました」


あい「えっ?」


スタイリスト「アイドルには何の責任もない。全ては私の責任だ。って……」


あい「…………」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 15:37:41.77 ID:esCiUhQLO

スタイリスト「あいさん、自信持って下さい」


スタイリスト「私達がどんなに一生懸命メイクをしても、それを生かすも殺すも、あいさん次第です」


あい「!!」


スタイリスト「私達は私達の仕事をしました。この先は、あいさんの仕事です。だから、頑張って下さい」


あい「……ありがとう。お陰で気合いが入ったよ」


あい「こんなに綺麗なメイクをして貰ったんだ。思い切り、精一杯やってみるよ」


スタイリスト「お力になれたようで良かったです」ニコッ


スタイリスト「さあ、そろそろ薫ちゃんの所に行きましょう? きっと楽しみに待ってますよ?」
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:13:01.18 ID:jEXquGDcO

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薫「せんせぇ」


P「ん?」


薫「あいお姉ちゃんのところには行かないの?」


P「薫を一人には出来ないからね」


P「それに、そろそろ来る頃だろう。迎えは必要ないよ」


薫「せんせぇは見たくないの? かおるは早く見たいなー」


P「あいお姉ちゃんのことかい?」


薫「うんっ、およめさんのあいお姉ちゃんが見たい! きらきらかなー?」ニコニコ
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:15:58.76 ID:jEXquGDcO

P「きっときらきらしてるよ。これまでの何倍も、きらきらしてるはずだ」


P「だから待つんだ。楽しみは後に取って置いた方が良いからね」


薫「……そっかー。ねえ、せんせぇ」


P「何だい?」


薫「このワンピース、せんせぇが選んでくれたんだよね?」


P「そうだよ? それは僕が選んだんだ。薫に似合うと思ってね。駄目だったかな……」


薫「ううん!すっごくすっごくうれしいよ! 色んなの着たけど、一番好き!」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:17:41.76 ID:jEXquGDcO

P「一番? 本当に?」


薫「ほんとだよ?」


P「………そうか」


薫「どうしたの?」


P「えっ、いや……薫は優しいと思ってね」


薫「?」


P「……薫、今日は僕も精一杯頑張る。だから、あいお姉ちゃんを助けて欲しい」
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:19:35.76 ID:jEXquGDcO

薫「たすける? なにすればいいの?」


P「きっと緊張するだろうから、あいお姉ちゃんの傍にいて欲しいんだ」


P「お話ししたり、手を繋いだり……それが、あいお姉ちゃんの力になる」


薫「いつもしてるよ?」


P「あははっ、そうか。じゃあ、何も心配は要らないな。薫がいれば大丈夫だ」


コンコンッ


P「あ、はい。どうぞ」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:22:10.92 ID:jEXquGDcO

薫「どうぞー!」


ガチャ


あい「………」


P「…………」


薫「うわー!ほんとにおよめさんだー! せんせぇ、あいお姉ちゃんきれいだね!」


あい「………な、何か言ってくれないか」


P「…………」


薫「せんせぇ?」


P「あ、ああ、綺麗だね。凄く、綺麗だ」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 18:38:45.70 ID:jEXquGDcO

あい「そ、そうかい?」


P「ええ、とても綺麗です。それしか言葉が出ません。思った通り、似合いますね」


あい「あ、ありがとう……衣装が衣装なだけに、少々恥ずかしいな……」


P「……っ、準備が出来たようなのでカメラマンを呼んできます。ソファに座って待っていて下さい」ガタッ


あい「えっ? そ、そうか……じゃあ、頼むよ」


ガチャ パタン


薫「あいお姉ちゃん、おひめさまみたいだね!」


あい「お姫様か……そんなことを言われたのは初めてだよ。ありがとう、薫」


ナデナデ


薫「えへへ」


あい「(しかし、彼はどうしたんだ?)」


あい「(ほんの一瞬だが、明らかに表情が曇った。一体何故?まさか……)」


あい「(いや、邪推はするな。今は何も考えるべきじゃない。これから撮影なんだ、集中しよう)」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:04:05.31 ID:2os6s9XXO

>>>>>

カメラマン「二人並んで歩いてみて下さい。あのベンチまでお願いします」


カメラマン「これは感覚を掴む予行演習のようなものなので、リラックスしてお願いします」


あい「はい、分かりました。薫、行こう」


薫「歩くだけ?」


あい「そう、歩くだけ。あのベンチまでだね」


コツ コツ


薫「なんか、お散歩みたいだね」


あい「フフッ、そうだね。天気も良いし、気温も丁度良い」


カメラマン「…………(うん、やはり良い)」カシャッ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:06:44.81 ID:2os6s9XXO

薫「あっ、お花がさいてる!」トテテ


あい「か、薫、ちょっと待ってくれ。この恰好だと上手く走れないんだ」コツコツ


カメラマン「…………」カシャッ


薫「ほら、これ見てー!」


あい「うん、確かに綺麗だ。見覚えはあるんだが、名前が出て来ないな……」


カメラマン「………」カシャッ


あい「さ、寄り道はここまでしによう」


薫「うん。あっ、そうだった!」


あい「ん?」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:08:12.20 ID:2os6s9XXO

薫「あいお姉ちゃん、おててつなごー?」


あい「フフッ、いいよ」ギュッ


カメラマン「!!」カシャッカシャッ


薫「えへへ、楽しいねー」


あい「そうだね。撮影とは思えないよ」


薫「かおるも。こーんなポーズとったりするのかと思ってた」


あい「フフフッ、そうだね。いつもとは違って、新鮮な気分だよ……」


カメラマン「(この表情も良いな)」カシャッ
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:09:50.35 ID:2os6s9XXO

あい「ほら、到着したよ。座ろうか」


薫「うん。でも、きょうかいって広いんだねー」


あい「薫はまだ小さいからね。余計にそう感じるんだよ」


薫「へー、大人になったら小さくなるの?」


あい「いや、そういうわけじゃ……」


カメラマン「(うん、あいさん一人でも行ける)」カシャッ


カメラマン「(当初は薫ちゃんが引き出しているのかと思っていたけど、どうやら違うみたいだ)」カシャッ


カメラマン「(あいさん自身が世間のイメージに引っ張られている可能性が高い。蓋をしてるような感じだ)」カシャッ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:11:23.94 ID:2os6s9XXO

薫「おひさま、ぽかぽかしてるね」


あい「眠っちゃ駄目だよ?」ニコッ


薫「だいじょうぶ、お仕事だから」


あい「フフッ、薫は偉いね」


カメラマン「そのままお願いします。次は近くから撮りますね」


あい「あ、はい」


薫「……かおるもほしかったなー」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:12:38.36 ID:2os6s9XXO

あい「欲しい? 何をだい?」


薫「あいお姉ちゃんがつけてる、おひめさまみたいなやつ」


あい「この、ティアラかい?」


薫「うん……」


あい「付けてあげようか。ほら」スッ


薫「えへへ、やった。かおる、おひめさま?」


あい「フフッ、うん。薫はお姫様だよ」


カメラマン「(どれも良いな。何枚でも撮りたくなる。やはり、彼の提案は間違っていない)」チラッ


P「………」コクンッ
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:14:12.95 ID:2os6s9XXO

P「撮影は上手く行ってるみたいだね」


薫「あっ、せんせぇ!」


P「どいだい薫、撮影は楽しい?」


薫「うんっ、とっても楽しいよ!」


P「そうか、何かあったらすぐに言うんだよ? 東郷さんはどうですか?」


あい「あ、ああ。もっと緊張するものと思っていたけれど大丈夫そうだ」


P「そうですか。では、引き続きお願いします」


あい「(いつも通りだ……)」


あい「(さっきのは思い過ごしだったか? 少々意識し過ぎていたのかもしれないな)」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:15:35.51 ID:2os6s9XXO

P「………」チラッ


カメラマン「………」コクンッ


カメラマン「ちょっと休憩しましょう」


カメラマン「次は中で撮影しますので、お二人は中に移動していて下さい」


あい「分かりました」


薫「はーい」


ーーー
ーー



P「どうですか? このまま行けますか」


カメラマン「はい、行けると思います。次はあいさん一人の絵を撮ってみようかと。ですが……」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/14(火) 21:17:18.17 ID:2os6s9XXO

P「一人だと固い、ですか?」


カメラマン「はい、その通りです。自身のイメージに引っ張られている感じが否めない」


P「……なる程」


カメラマン「薫ちゃんがいると、良い意味で自分に意識が集中していない。そこを撮りたいですね」


カメラマン「応急的処置と言うと妙ですが、薫ちゃんと一緒に傍にいて頂けますか?」


P「構いませんが、どの辺りがいいでしょう?」


カメラマン「……私の後ろにいて下さい」


カメラマン「出来れば、何と言いますか……こう、ふわりとした表情が欲しいので」


P「分かりました。そうしてみます」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/14(火) 22:27:14.43 ID:8/EwfPXX0
自身の結婚式を思い出したのかねぇ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:03:33.90 ID:+AIcdb8QO

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あい「一人で?」


P「ええ、二人の絵は撮れたので。次からは東郷さん一人の絵が欲しいそうです」


あい「二人の絵は撮れた? あれは予行演習じゃなかったのかい?」


P「いえ、あれが本番です」


あい「は?」


P「緊張するかと思ったので、そう言うように頼んでおきました」シレッ


あい「……なる程、まんまとやられたわけだ」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:04:46.16 ID:+AIcdb8QO

P「使い古された手ですけどね」


P「一発勝負。賭けのようなものでしたが、意外と簡単に騙されてくれたので助かりました」


あい「悪かったね、単純で……」プイッ


P「いえ、そんなことは……気分を害したのなら謝ります」


あい「…………フッ、フフッ、冗談だよ」


P「仕返しですか?」


あい「お返しだよ。本音を言うと、騙されて良かったと思っているんだ」


あい「君の言う通り、あのままでは緊張していただろうし、ああしてくれて助かったよ」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:06:25.97 ID:+AIcdb8QO

P「それは良かったです。ですが、次はそうも行きません」


あい「……ああ、分かっているよ」


P「カメラマンは、自分のイメージに囚われない東郷さんを撮りたいそうです」


P「薫といた時のような、自分を意識しない姿。ふわりとした表情が欲しいと言っていました」


あい「中々に酷なことを言ってくれるね。言われて出来るくらいなら苦労しないよ?」


あい「私は私だ。私を辞めることは出来ない。意識するなと言われても、それは無理だ……」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:08:08.48 ID:+AIcdb8QO

P「そこで、一つ提案があります」


あい「?」


P「僕と薫はカメラマンの背後にいます。レンズではなく、僕を見て下さい」


あい「(よくもまあ、さらりと言えるものだ。こっちの身にもなって欲しいね)」


P「僕で駄目なら薫を抱っこして目線の高さにすることも出来ますが、どうします?」


あい「いや、いいよ。それでは薫も大変だろう。そこで、私からも一つ、お願いがある」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:09:18.78 ID:+AIcdb8QO

P「何でしょう?」


あい「君も、私を見ていてくれないか」


P「そのつもりです。撮影が終わるまでは、目を離す気はありません」


カメラマン「撮影再開しまーす!」


あい「……頼んだよ」


P「ええ、任せて下さい」


カメラマン「良い感じに日が差してますね。あいさん、そこの窓辺に立ってみて下さい」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:11:37.56 ID:+AIcdb8QO

あい「はい」


コツコツ


P「薫、おいで。あいお姉ちゃんの撮影が始まるから、こっちで一緒に見よう」


薫「はーい」トテトテ


あい「(ちひろさんも言っていたが、本当の親子のようだ。父親、夫か……)」


カメラマン「右手を耳の辺りに、髪をかき上げるようにして下さい」


あい「こんな感じ、かな?」


カメラマン「そうです。そのまま、ちょっと照れたような、はにかんだ感じで……」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:12:56.57 ID:+AIcdb8QO

あい「………」


P「………」


カメラマン「(凄い。まるで別人だ)」カシャッカシャッ


あい「………」


P「………」


カメラマン「良いですよ。次は少し変えてみましょうか。ちょっと左に、光を背にして」


あい「はい」


カメラマン「もう少し左……はい、そこです。胸に手を当てて下さい。両手を重ねるように」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:14:38.82 ID:+AIcdb8QO

あい「こうかな?」


カメラマン「はい。祈るような感じで目を伏せて……はい、そうです」カシャッ


あい「(彼と薫の姿は見えないが、視線は感じる。悪い気はしない。寧ろ心地良い)」


カメラマン「そのまま、目を閉じて下さい」カシャッ


あい「……はい」


カメラマン「少し、見上げるように」


あい「(……私はどう見える? 君の望む姿を見せられているかい?)」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 00:16:24.76 ID:+AIcdb8QO

薫「……あいお姉ちゃん、きれいだね」


P「うん、そうだね。とっても綺麗だ。でも、もっと綺麗になるよ……ほら」


あい「(……最近になって随分と印象が変わったけれど、私はまだ、君を知らない)」


カメラマン「ブーケ、お願いします。両手で、そうです。ちょっと横を向いて、視線を落として……」


あい「(もっと知りたいと、そう思うのは、我が儘だろうか?)」


カシャッ カシャッカシャッ


カメラマン「(撮るたびに変わっていく、資料で見た姿とはまるで違う。引き受けて良かった)」


カシャッ カシャッカシャッ


カメラマン「……はい、お疲れ様でした。今日はここまでにしましょう」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 00:19:00.95 ID:fmVDW9q1O
担当者(ふふ、計算通りだ)
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 00:34:28.81 ID:a6iwGZ9JO
どんだけ担当者有能なんだよw
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 01:40:05.22 ID:Co2+Pwzb0
担当者は最初からあいさん自身も気づいていなかった可能性、魅力を見出していたのか。そしてPのことも同時に試していた訳だな…
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:46:37.19 ID:+AIcdb8QO

夜 事務所

ガチャ

P「戻りました」


あい「ちひろさん、ただいま」


ちひろ「あ、プロデューサーさん、あいさん、お帰りなさい。撮影はどうでしたか?」


P「今日の撮影は無事に終わりました。撮影はまだありますので、ここからが本番ですね」


ちひろ「大変そうですね……あれ、薫ちゃんは?」


P「これ以上遅くなると体に悪いので送りました。はしゃいでいたので、疲れもあるでしょう」


P「東郷さんにお風呂と着替えはして貰ったので大丈夫だとは思います」


あい「布団に入ったらすぐに眠ってしまったよ。体調を壊さなければいいが……」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:48:22.68 ID:+AIcdb8QO

ちひろ「(二人共、保護者と言うか守護者ね)」


ちひろ「薫ちゃんはどうでした?」


P「長時間の撮影でしたが最後まで頑張ってくれました。薫がいなければ、これは出来なかったでしょう」


ちひろ「えっ!? もう現像してきたんですか?」


P「ええ、全て良かったですが、その中でも評価の高いものを現像して貰いました」


ちひろ「あの、見ても良いですか?」


P「ええ、構いませんよ」スッ
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:49:31.57 ID:+AIcdb8QO

ちひろ「……うわぁ、これは凄いですね」


ちひろ「得に、この祈ってるような写真。これは綺麗とかなんてものではなく、神秘的ですよ」


ちひろ「写真には詳しくないですけど、これなら納得せざるを得ないんじゃないですか?」


P「その為の写真でもありますからね」


ちひろ「えっ?」


あい「どういうことだい?」


P「実は撮影中に担当者から電話がありまして、これから会いに行かなければなりません」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:52:19.79 ID:+AIcdb8QO

あい「もう、気付かれたのか……」


P「いずれは発覚することです。こうなることは分かっていました」


P「あの担当者がいれば撮影など出来なかったので、こればかりは仕方がありません」


あい「……大丈夫なのかい?」


P「撮影したこと自体に憤慨している様子でしたが、これを見せれば黙るでしょう」


P「依頼してきたのは向こうです。アイドルは任せると言ったのも向こうです」


P「何より、このウエディングモデルの企画を潰すわけにもいかないでしょう」


あい「しかし、相手は感情が昂ぶっているんだよ? どうなるかなんて分からないじゃないか」


P「そうですね。相手が、あまり軽率な行動に出ないことを祈るばかりです」
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:54:44.02 ID:+AIcdb8QO

ちひろ「(冷静だなぁ)」


P「では、時間もないので行ってきます。千川さん、東郷さんをお願いします」


ちひろ「は、はい。気を付けて」


あい「………」


P「……では、失礼します」


ガチャ パタン


あい「……きっと無理だ。話になるかも分からない」


ちひろ「えっ?」

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 01:57:36.15 ID:+AIcdb8QO

あい「前にも話したが、あの担当者は私を毛嫌いしているようなんだ」


あい「男のような奴には任せられない。そんなことを何度も言われたよ」


あい「お前がウエディングドレスを着るのかと嗤われもした」


あい「何があろうと、私を起用する気はないと言っていたんだ。そんな相手に……」


ちひろ「で、でも、あの写真があれば大丈夫ですよ」


あい「私だってそう願いたいさ! でも、どうにもならないことだってあるんだ!」


ちひろ「……あいさん」


あい「彼が私の為に持ってきてくれた仕事だ。精一杯やった。あれを見た時、自分でも良い出来だと思ったよ」


あい「……だけど、不安なんだ。どうしようもなく、不安なんだ……」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 02:01:36.92 ID:+AIcdb8QO
明日書きます。ありがとうございました。
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 02:02:20.46 ID:9myC5DwE0

楽しみにしてる
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 02:40:49.73 ID:fmVDW9q1O
明日も担当者の活躍に期待
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:12:48.54 ID:EaH1VZzwO

>>>>

担当者「随分とふざけた真似をしてくれた」


担当者「まさか、私が別の撮影現場にいる日を狙って撮影するとはな。馬鹿にしているのか?」


P「いえ、そんなつもりはありません」


P「実に優秀なスタッフなので、貴方が不在でも撮影は可能だと判断したまでです」


P「それに、貴方のような有能な人間の貴重な時間を無駄にさせるわけには行きませんから」


担当者「……バーテンダー、ビールをくれ」


バーテンダー「どうぞ」コトッ


担当者「ふーっ。お前は、自分が置かれている立場を分かっているのか?」


P「ええ、分かってるつもりです」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:14:44.07 ID:EaH1VZzwO

担当者「だったら、今からでも違うアイドルに変更しろ。あんな奴は女と認めない」


担当者「男装するような奴にウエディングモデルなど任せられるか」


P「今の発言は差別ですよ」


担当者「いい加減にしろ」


担当者「この企画を任されているのは私だ。子供じゃないんだ、意味は分かるな?」


P「変更は有り得ません。予定通り、東郷あいのままで進めます」


担当者「何故そこまで東郷あいに執心する」


担当者「君の所属している事務所には掃いて捨てるほどいるだろう。アイドルという奴が」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:17:42.28 ID:EaH1VZzwO

P「彼女達は一人一人が違った魅力を持っています。そんな言い方は止めて下さい」


担当者「最近は何処を見てもアイドルだ」


担当者「765プロに始まり、そこへ大人が群がり、量産が始まった」


担当者「それこそ、区別も付かないほどにな……」


担当者「どいつもこいつも媚びを売り、作り笑いを浮かべ、歌わされ踊らされ。正に人形だな」


P「それは貴方の考えでしょう」


P「彼女達は人形などではありません。夢を持ち、志を持つ、立派な人間です」


担当者「それは、お前の考えだ」


P「ええ、そうですね」


担当者「………………東郷あいは、死んだ妻に似ているか?」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:19:54.12 ID:EaH1VZzwO

P「………質問の意味が分かりません」


担当者「聞いたよ? 君は妻を亡くしているそうじゃないか」


P「…………」


担当者「東郷あいに執心するのは亡き妻の面影を見ているからではないか。そう言っているんだよ」


P「妻は、関係ありません」


担当者「アイドル事務所のプロデューサーになったのも、実は新しい嫁を探す為じゃないのか?」


P「違います」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:32:45.29 ID:EaH1VZzwO

担当者「違う?」


担当者「そんなことはないだろう。あれだけの女達がいるんだ。より取り見取りのはずだ」


P「…………」


担当者「だというのに、口を開けば東郷あい東郷あいだ……」


担当者「まるで、取り憑かれているかようにも見える」


担当者「妻を喪った男のうわごとのようで、正直言って気味が悪い」


P「………」


担当者「まさかとは思うが、色目を使われたから東郷あいを起用したのか?」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 03:48:57.58 ID:EaH1VZzwO

P「そんなことは有り得ません」


担当者「アイドルには特殊な営業があるようだが、君の所はどうなんだ?」


P「そんなものはない」


担当者「東郷あいには営業させているのか? 他のアイドルは? 抱いたのか?」


P「…………」ギリッ


担当者「あんなことを言っておいて何だが、実は三船美優のファンなんだ」


担当者「あくまで外見だけだが。良かったら、一晩貸してくれないか?」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 04:05:18.31 ID:Co2+Pwzb0
凄い試してくるなぁ担当者さん
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 04:15:59.37 ID:TmdBe30cO

担当者「何なら、川島瑞樹や高垣楓でも構わない。どうだ?」


P「…………」


担当者「チッ、まあいい。ところで、そのファイルは何だ?」


P「もう、貴方には必要のないものですよ」


P「貴方のような人間に、これを見せる気はない。せっかくの写真が穢れてしまうからな」


担当者「何だと?」


P「私を挑発して何とかするつもりだったようですが、当てが外れましたね」


担当者「…………だったら何だ」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 04:19:14.44 ID:TmdBe30cO

P「貴方は、喋り過ぎる」


担当者「……何を言っている」


P「貴方は自分の発言には責任を持つべきだ」


担当者「だから何をーーー」


P「依頼の際の電話は録音してあります」


P「当事務所のアイドル、東郷あいへの暴言の数々も、余すことなく録音してある」


P「そして、この場での会話も……」


P「これら全てを公にした場合、貴方の所属する出版社はどうするでしょうね」


担当者「ま、待っーーー」


P「吐いた言葉は、戻りませんよ」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 05:06:50.35 ID:1eQIhRAA0
悲しいなあ
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 06:43:56.24 ID:5cYndDWHo
今の時代は一言が重くなる
いい時代になったものだ
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 07:38:12.78 ID:6RSnqeMQO
Pかっこよすぎるだろ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 08:54:29.85 ID:mt9+Ty3Ao
訴えて終わりだよな
これで許したらまたこいつ同じことするぞ
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 09:27:14.59 ID:fqaewEXSO
できる男
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 09:41:50.00 ID:1ZXSRtjZ0
でも実際訴えたりなんかしたら業界に面倒な会社だと思われて仕事減りそう
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 10:09:48.73 ID:d/pd+DjfO
実際訴えこそしなくても担当を引きずり降ろすには有効な手段やろ
多分会社とは無関係で好き勝手にしてそうだし
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 10:43:12.87 ID:E6nml6sVO
担当者(これでいい…この男なら大丈夫だ。この人なら業界の更なる巨悪と戦っていける…)
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 11:08:27.27 ID:wWE6UsdhO
その担当いいやつ風にするの面白いの?
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 11:47:09.76 ID:Co2+Pwzb0
担当さん、いくらなんでも露骨に悪役すぎるからなぁ・・・Pとあいさんを試しているとしか思えないんだよ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 12:09:17.71 ID:TL5dib/DO
いや、ここまで来たらさすがに担当ネタはしつこいわ
馬鹿は引き際がわからないから、これからも
「見て見て、俺の担当ネタ面白いっしょ?」とやり続けるんだろうけどな
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 12:18:10.22 ID:HgRTtKh+O
これで試してると思えるのか、そんだけポジティブに解釈出来るのは羨ましいわ
面白いと思って同じネタ繰り返すのはガキの思考だな
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 12:22:22.14 ID:z6KPdq+GO
僻むなよ
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 12:33:38.53 ID:HgRTtKh+O
>>202 僻むは間違い。妬むが正しい。使い方はきちんと勉強しような?
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 13:11:13.92 ID:CFBAgTB4O
薫「あくしゅ!」

お前ら「えっ?」

薫「あくしゅすると、仲直り出来るよ?」ニコッ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2017/11/15(水) 13:16:25.57 ID:P86OtJ52O
かおるせんせぇ……
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 13:40:34.97 ID:z6KPdq+GO
色んなものでネバついてそうな手と握手はちょっと……
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:33:43.19 ID:alGE/sUXO

P「貴方は、喋り過ぎた」


担当者「……何を言っている」


P「自分の発言には責任を持つべきだ」


担当者「だから何をーーー」


P「依頼の際の電話は録音してあります」


P「当事務所のアイドル、東郷あいへの暴言の数々も、余すことなく録音してある」


P「そして、この場での会話も……」


P「これら全てを公にした場合、貴方の所属する出版社はどうするでしょうね」


担当者「ま、待っーーー」


P「吐いた言葉は、戻りませんよ」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:35:16.21 ID:alGE/sUXO

担当者「っ、脅すつもりか?」


P「私の望みは、一つだけです」


担当者「望み?それは何だ? 撮影なら許可する。東郷あいの起用も許可しよう。謝罪もーーー」


P「許可も謝罪も結構です」


P「貴方は一切の信頼を失った。貴方の言葉など、今や何の意味も持たない」


担当者「!?」


P「貴方には仕事に対する誠意がない。これまでの発言からして、誠実な人間ではないと断言出来る」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:36:37.74 ID:alGE/sUXO

P「挙げ句、依頼相手と所属事務所のアイドルを差別、侮辱。全てのアイドルをも侮辱した」


P「そんな人間に望むものはありません。然るべき責任を取って貰うこと、それが私の望みです」


担当者「こ、この通りだ。許してくれっ……」


P「残念ですが、もうお話しすることはありません。後日、事務所を通して連絡します」


担当者「そんな………」


P「先に出て頂けますか?」


P「貴方に背を向けて逃げるように店を出ては格好が付かない。それに、私はまだ何も頼んでいないので」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:42:58.14 ID:alGE/sUXO

担当者「………」ガタッ


P「………待って下さい。一つだけ要求があります」


担当者「な、何だ!? 私に出来ることなら何でもしよう!」


P「故人を、妻のことを持ち出して私を侮辱たことは、一個人として非常に不愉快で腹立たしい」


P「これは仕事とは無関係だ」


P「私は貴方に対し、今此処で、速やかに謝罪することを要求する」


担当者「………申し訳ありませんでした」


P「私だけではない!妻にもだ!!」ダンッ


担当者「ひっ!? も、申し訳ありませんでした!!」


P「……………声を荒げて申し訳なかった。もう結構です。お疲れ様でした」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:44:53.59 ID:alGE/sUXO

担当者「は、はい。失礼します」トボトボ


ガチャ パタン


P「…………はぁ」


バーテンダー「大丈夫ですか?」


P「ええ、大丈夫です。お見苦しいものを見せてしまって、誠に申し訳ない」ペコリ


バーテンダー「いえ、謝罪は結構ですよ。貴方はよく耐えた。立派ですよ」ニコリ


P「そんなことはありませんよ。最後の最後で堪えきれなかった。僕など、まだまだです」


バーテンダー「……つらかったでしょう。聞いていて胸が痛みましたよ」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:47:01.89 ID:alGE/sUXO

P「……何故ですか?」


バーテンダー「?」


P「あの男は常連だったのではないのですか? 僕は大事な客をーーー」


バーテンダー「こう言っては何ですが、あの方はこの店に相応しいお客様ではなかった」


P「店に相応しくない? 高級なお酒を扱っているのですか?」


バーテンダー「いえいえ、そういう意味ではありませんよ。此処は寛げる場所として存在しています」


バーテンダー「お酒を出し、カクテルを作り、時には悩みを聞き、心を癒す。そういう場所なのです」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:48:33.78 ID:alGE/sUXO

P「心を癒す、ですか。素敵ですね」


バーテンダー「ありがとうございます」


バーテンダー「私としては、貴方が常連になって下さると非常に嬉しい」


P「僕が?」


バーテンダー「先程のお客様ですが、あの様子では此処へは二度と現れないでしょう」


バーテンダー「なので、新しいお客様がいないと少々困ります。商売ですから」ニコリ


P「………僕で良ければ、喜んで」
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:51:44.98 ID:alGE/sUXO

バーテンダー「それは良かった。何か飲まれますか?」


P「あまり飲めないので、弱いものを……」


バーテンダー「畏まりました。では、これを」コトッ


P「……あ、美味しいです。お酒ってこんな味も出せるんですね。知らなかった」


バーテンダー「お口に合ったようで何よりです」


P「…………」コトッ


バーテンダー「何やら悩んでいらっしゃるようですな。私で良ければ相談に乗りますよ?」


P「…………先程の男はある企画の担当者で、僕はその企画を受け、所属アイドルを起用しました」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:52:44.74 ID:alGE/sUXO

バーテンダー「東郷あいさん、でしたか?」


P「ええ、そうです。単純な話、彼女を起用するかしないかで揉めていたんですよ」


バーテンダー「もう終わったのでは?」


P「いえ、ここからが問題です」


P「彼の責任問題を出版社に問うとなれば、企画にも影響するでしょう」


P「ああなってしまった以上、事によっては企画自体が消えてしまう可能性がある」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:54:01.75 ID:alGE/sUXO

バーテンダー「……皮肉なことですな」


P「ええ、責任は取らせたいが企画は成功させたい。しかし、どちらもは無理でしょう」


バーテンダー「その企画とはどういったものですか? もし宜しければ教えて下さい」


P「ブライダルモデルです」


バーテンダー「ああ、花嫁の……」


P「そうです。担当者はともかく、撮影自体は上手く行っていたんですが……」


バーテンダー「……ふむ。その写真、拝見しても宜しいですかな?」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:55:06.23 ID:alGE/sUXO

P「ええ、どうぞ。自慢の一枚です」


バーテンダー「………これは素晴らしい」


P「ありがとうございます」


P「出来ることなら沢山の方々にそう感じて欲しかった。ですが、それも難しいかもしれません」


バーテンダー「掲載誌を変えてみては?」


P「そうしたいのは山々ですが、そう簡単には行きません」


バーテンダー「何か事情が?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 14:58:25.36 ID:alGE/sUXO

P「……以前、765プロ所属の三浦あずささんがブライダルモデルをした際は凄まじい反響を呼びました」


P「ですが、それ故に多くの他事務所が影響を受けた。一時期、ファッション誌は花嫁姿のアイドルで溢れていました」


P「今や、アイドルのブライダルモデル参入は珍しくない。ここ最近は減少傾向にあったので、この機を逃すのは痛い……」


バーテンダー「……なる程、目新しさがないと」


P「はい。ですが、東郷あいの花嫁姿。これには確かな新鮮さがある。新たな可能性に溢れてる」


P「しかし、世間ではアイドルの花嫁姿、その話題性の賞味期限は切れていると言っていい」


P「頼み込んでも「またこれか」と思われてしまう。良くて数ページ。特集を組んでくれる雑誌があるかどうか……」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 15:00:49.26 ID:alGE/sUXO

バーテンダー「…………来週の金曜、この写真を持って此処へ来て下さい」


P「えっ?」


バーテンダー「多少のつてが御座います。微力ではありますが、お力になれるかと」


バーテンダー「こうして出逢ったのも何かの縁。いや、運命やもしれません」


P「いや、運命って……今晩会ったばかりの僕に、何故そこまで?」


バーテンダー「写真に魅せられた、年寄り気紛れ。とでも言いましょうか」ニコリ


P「………考えておきます。色々とありがとうございます。会計をーー」


バーテンダー「お代は結構です。良い写真を見せて頂いた、せめてものお礼です」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 15:04:17.16 ID:alGE/sUXO

P「……では、お言葉に甘えて。失礼」ガタッ


コツコツ


バーテンダー「金曜日の今頃です。心より、お待ちしております」


P「………」


ガチャ パタン


バーテンダー「……何と悲しい目をした若者だ」

バーテンダー「まるで囚われているかのように見える。何とか救ってやりたいが……」


バーテンダー「もしもし、私だ。夜分申し訳ない、少しばかり君の力を貸して欲しい」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 16:08:47.00 ID:mt9+Ty3Ao
中学生の妄想に出てきそうなバーテンダーだ…
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 16:10:03.31 ID:JbDBYf3X0
担当者かわいそうやな
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 16:15:37.57 ID:glon8+ftO
>>1は中学生だったのか
キャラを濃くする辺り昔のアニメっぽい
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 16:24:11.62 ID:0+XFa7tRO
頭禿げてて鼻が高くてカード並べてそう
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:39:22.52 ID:z6KPdq+GO
ご都合主義すぎやしませんかねぇ……なんか一気につまらなくなったな
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:41:48.08 ID:BOtNm9z6O
ここまではよかったのに……
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 17:47:03.97 ID:6+NC0SikO
このバーってもしや…
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:47:06.10 ID:9rUFSRZa0
金払って読んでるわけじゃないんだしご都合主義も別にいいじゃないか、こまけえこと気にしてたら頭PaPになるぞ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:58:08.47 ID:z6KPdq+GO
突然俺ツエーPになったらそりゃ困惑するだろ。特定の感想しか言われたくないなら自由帳に書けよ
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 18:14:21.13 ID:XAmn1LoYo
ほんの少しご都合展開あっただけでマウント取るお前らの方がクソだわ
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 18:40:47.02 ID:JQ5UItxCo

こっからどうなるか楽しみ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 18:49:39.15 ID:lSaM+ls6o
ご都合主義もクソもアニマスに出てきた例のバーだろ
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 19:01:11.82 ID:6eCg/Rb+0
普通に考えたらアニマスのバーだよなぁ……まさかアニマスを見てない奴がいるとはおじさん驚きだわ
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 19:39:40.73 ID:z6KPdq+GO
アニメ詳しいおじさんすごーい

これでいい?
アニマスとかホモマスばりに興味無い
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 19:48:15.35 ID:mF+/KAKIO
>>229 分かりました。そうします。

自分としては、Pが理不尽に堪えて、色々な事を我慢し続けて、
それがあった上で、担当者に一矢報いる姿を書いたつもりでしたが、説明不足だったようです。

Pについては特別恰好良く書いたつもりはありません。

しかしながら、この展開が受け入れ難く、不評なようなので、以上で終了します。

ありがとうございました。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 19:51:16.31 ID:mF+/KAKIO
ID変わってますが>>1です。
では、失礼します。
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