【安価】男「俺はこの能力で成し遂げてみせる!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 17:21:52.97 ID:W8ug/7xjo
男「俺はこの能力で成し遂げてみせる!」

男が持ってる能力>>2 >>3 >>4

男の目的 >>5 >>6 >>7

募集の中から書けそうなのを一つずつ採用します。
エロ、グロ、版権物は無しで行きます。
無効の場合は安価下です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1510734112
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:24:29.97 ID:afMS+VSGO
他の能力が不発になるパッシブスキル
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:24:37.22 ID:PtJBoRra0
どんな鍵(電子ロック含む)も突破する能力
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:24:47.08 ID:ubYFEBix0
サーモグラフィーにも写らない完璧な透明化
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:24:52.82 ID:vlX/QJp4O
爆発
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:25:31.70 ID:jOSaZWRYO
彼女を作る
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:25:57.82 ID:NRQRMMxQO
暇つぶし
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/11/15(水) 17:27:23.97 ID:SrtHo1B00
ハーレムをつくる
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/15(水) 17:36:43.51 ID:W8ug/7xjo
了解しました。話考えてくるのでしばらく時間をください。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 17:44:36.16 ID:3thNauj80
はたして、能力として書いただろう>>5はそのまま採用するのか、それともずれて>>8も入るのか……
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 18:37:03.57 ID:mk1c+I67O
何にせよこいつは>>2のせいで自分を能力者だと思ってるただの一般人だ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/15(水) 18:44:20.20 ID:i1v2j9aSO
>>2はイマジンブレイカー的な何かじゃないの?>>2-4から一つ選ぶんだし
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/16(木) 09:52:19.49 ID:aBSYijor0
まあ、始まるわけもなく
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:38:11.12 ID:tsnVp0RT0
えらく時間がかかってしまいました……。
>>3の鍵を開ける能力と>>6の彼女を作る目的で話を作ってきました。

投下ー。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:38:44.57 ID:tsnVp0RT0
男(どんな鍵でも開けることが出来る、それが俺が生まれついて持った能力『解錠(アンロック)』)

男(鍵穴、ダイヤル式、電子的なロック……触れさえすれば何でも開けられる俺の能力だが――)



<高校・教室>

男「おはよう、女さん」

女「………………おはようございます」

男「今日もいい天気だね」

女「………………そうですね」

男「えっと……今日は何か調子が悪かったり……?」

女「………………別にこれが私の普通です。ところで何か用があるんですか? 無いなら読書の邪魔なので話しかけないでください」



男(そんな俺でも他人の心に触れることはできない)

男(だから――俺は彼女の心の鍵を開けられないでいる)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:39:11.68 ID:tsnVp0RT0
<授業中>

男「あっ、やべ。教科書忘れた。女さん見せてくれない?」

女「………………反対側に見せてもらったらどうですか?」



<休み時間>

男「そういえば女さんって何読んでるの?」

女「………………本です」



<昼休み>

男「あ、そうだ。女さん、一緒にご飯食べない……って、いない!?」



17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:39:47.29 ID:tsnVp0RT0
男「何が悪いんだ……?」

男(一人弁当を食べながら考える)

男(俺が今一目惚れしている女さん)

男(今までに玉砕した男は星の数。男だけじゃなく女の友達もいない孤高の存在。いつも淡々としていて感情を表に出すこともほとんどない)

男(故に付いたあだ名が心を閉ざした女)

男(それが知れ渡った今でもアタックをかけるのも俺くらいだ)

男「うーん……だからこそ女さんにとって俺が貴重に見えてくるって展開になるはずだったのに……もう三ヶ月は避けられている……何が悪いのか……」

男(14回目の一目惚れ……今までのように今回も玉砕するのか……)

男「いやでも、ビビッと来たんだ! 本気なんだ!」

男(…………というセリフはもう14回目なのだが)



男「しかし流石にアタックをかけすぎか? 俺も自制心を持った方がいいんだろうか……?」

男「…………」

男「それが出来ればこんなことになってねえか……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:40:30.10 ID:tsnVp0RT0
<放課後>

男「…………駄目だ」

男(自分の机に突っ伏して落ち込む俺)

男(結局こりもせずにアプローチをかけているのだが、女さんには取り付く島がない)

男(くっそぉ……何が悪いんだ……?)

男「…………ん?」

女「…………」 チラッ

男(突っ伏したまま女さんの方を見ると、いつも通り独り無表情で帰る準備をしているが)

男(珍しく時計を気にしている……この後何かあるのか?)

男(何にせよいつもと違う女さんの様子)

男「確かめるしかないな」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:41:07.52 ID:tsnVp0RT0
男「っ……どこまで歩くつもりなんだ女さんは」

男(女さんを追って歩くこと約二時間。やってきたのは……)

男「町外れの森……?」

男(どうしてこんなところに……アウトドアな趣味を持っているとも思えないし……)

男(この森……自然が深く残っているが、観光資源になるような華やかさはなく、ただ放置されたからそうなっているだけだ)

男(なのに女さんは何か確固たる目的があるかのように足を運んでいる)

男「この森に何か気になるスポットでもあるのか……?」

男(心当たりがあるとすれば……一つだけこの奥に立ち入り禁止の場所があったはずだが……)

男「そこだろうか……?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:41:35.45 ID:tsnVp0RT0
女「………………」



男「やっぱり……」

男(女さんが足を止めたのは背丈の倍以上の高さはあるだろうフェンスの前)

男(そこでもう十分以上立ち尽くしていた)



男「ここに何の用があったんだ?」

女「誰? …………って、男?」

女「どうしてこんなところに……まさか付いてきたの?」

男「女さんの様子がちょっと気になって」

女「…………ストーカー?」

男「そ、それは……否定できないか」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:42:53.33 ID:tsnVp0RT0
男「改めて聞くけど、どうしてこんなところに来たんだ?」

女「………………」

男「確かこの先は昔事故があって危険だから封鎖された村があるんだよな」

男「何か関係があるのか?」

女「………………関係があったとして」

女「あなたに話す義務があるの?」

男「義務は無いけど……わざわざこんなところまで来たんだし、聞く権利くらいは無いか?」

女「そっちが勝手に付いてきただけでしょ」

男「これは手厳しい」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:43:19.76 ID:tsnVp0RT0
男「………………」

女「………………」

男「………………」

女「………………」

男「………………」

女「………………はぁ、もう分かったわよ。話すわ」

男「本当か!?」



女「ここに来た理由は……今日はお母さんの、お父さんの……みんなの命日だから」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:43:47.76 ID:tsnVp0RT0
女「想像は付いてるだろうけど、私はこの先の村の出身」

女「今でこそ立ち入り禁止になっているけど、昔は普通な村だった」

男「だったら……どうして?」

女「十年前、未曾有の豪雨がこの地域を襲ったわ。その結果起きたのが大規模な土砂崩れ」

女「私が住んでいた小さな村一帯を軽く飲み込むほどだった」

男「それは……」

女「大勢の人が死んで……唯一生き残ったのが私」

女「話によるとお母さんが自分の命を投げ出してかばったおかげで助かったらしい」

男「…………」

女「そんな美談、マスコミが放っておくわけないでしょ?」

女「元々その事故は行政主導の無理な開発が原因で地盤が緩んでいたから起きたみたいで世間から注目も高かった」

女「近くに住んでた祖父母の家に引き取られた私の元にはひっきりなしに取材を申し込む記者がやってきた」

女「『行政の怠慢、残された少女の胸中やいかに』『母親の愛……託された少女の思い』『もう戻らない日々、少女が語る村の様子』」

女「その結果出来た記事がそんな感じだったっけ。あんたも見たことあるんじゃない?」

女「それが私ってこと。分かった?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:44:15.91 ID:tsnVp0RT0
男「話してくれてありがとう」

女「…………別にあんたのためじゃない」

男(過去を語ってくれた女さんだが、別に俺に対する態度が変わったわけじゃない)

男(つきまとう俺が面倒で仕方なくといったところなのだろう、相変わらずこちらに対して心を閉ざしている)

男(……これは女さんの自衛手段だったのだろう)

男(不躾な好奇心に晒された女さんが心を守るために取った手段)



女「そういうわけで村の近くのここまで来たんだけど……やっぱり、ここから先は無理そうね」

男「立ち入り禁止のフェンスか。……でも、どうしてこんなものが?」

女「さあ、行政側が事件を隠蔽しようとしたその名残……って聞いたことがあるわ」

女「昔は監視の人が立ってたりしたけど、風化した今じゃそんなのもいないし」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:44:41.49 ID:tsnVp0RT0
女「本当は……村があった場所まで行きたいけど……」

女「まあ……ここからでも祈りは届くだろうし」

女「みんな……そんなに心の狭い人たちじゃなかったから……」

女「………………」



男「何悩んでんだ。じゃあ入ればいいだろ」

女「……え?」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:45:14.09 ID:tsnVp0RT0
男「別に立ち入り禁止といっても、この先が危険な訳じゃないんだろ? 事故も十年前なわけだし」

女「それでも……ルールなわけだし」

男「管轄している人がいないルールになんて従う必要ないって」

女「でも……フェンスを登るなんて無理だよ」

男「そんなのご丁寧に付けられた扉を使えばいいじゃねえか」

女「扉……って、鍵をかけられたまま放置されてるし無理……」



男「無理じゃない」



ガチャン!!

女「……え?」

男(俺が扉に触れると、鍵は自然と開いた)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:45:47.08 ID:tsnVp0RT0
女「い、今……一体何が……」

男「俺が生まれつき持ってる能力でな、触れた物の鍵を開けることが出来るんだ」

女「能力って……何言ってるの? そんなの理屈が……」

男「理屈なんてどうだっていいだろ。それより今、おまえの目の前を阻んでいた物がなくなったんだ」

女「あ……」

男(女さんが開いた扉に気づく)



男「どうしたいのか……女さんの心は何て言っている?」

女「私は……」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:46:16.00 ID:tsnVp0RT0
<数分後>

女「……付いてこなくていいのに」

男「いやいや、あそこでお別れってそっちの方が無しだろ」

男(立ち入り禁止のフェンスの先に進む女さんを追いかける俺)

男(どうやら村まで少し距離があるらしい)



女「……本当変な人なのね」

女「学校での飽きもしないアプローチといい……あなたに自制心ってものは存在しないの?」

男「あ、俺のアプローチ気づいてたんだ。無視されてるからひょっとしたら気づかれてないんじゃないかって心配してたよ」

女「あそこまでひっきりなしに絡んできてよく言うわね」



男「ははっ……でもそうだな。女さんとは反対に……俺は昔っから落ち着きがない子だって言われていて」

男「まあ、それも当然なんだよ。自分の心に鍵をかけられないんだから」

女「……え?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:46:42.27 ID:tsnVp0RT0
男「触れた物の鍵を開く能力は……言い換えると触れたものの鍵を開いてしまう能力」

男「だから四六時中触れている自分自身の心の鍵も開いてしまうんだ」

男「そんな能力を生まれつき持ってしまった俺はどうなったか」

男「それはもう壮絶だったらしい」

男「思ったら即行動。我慢なんて一秒たりとも出来ない」

男「さらにタチが悪いことに、触れた物の鍵を開けてしまう能力まである」

男「幼い頃はそれが顕著に現れて、電車の運転席に、遊園地の立ち入り禁止の区域に、女子の更衣室に侵入して……」

男「その度にこっぴどく叱られたよ」



男「学校に行き始めてからもそれは変わらない」

男「思ったことを何でも口にする俺は敵をたくさん作った」

男「女さんも俺の悪名については知っているんじゃない?」

女「…………別に私は噂話とかしたこともないし」

男「したことがない……まあ同じ教室だし、聞こえるのは当然か」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/20(月) 23:47:08.02 ID:tsnVp0RT0
女「………………」

男「………………」

女「………………」

男「………………」

女「思ったら一直線……ね。私とは真逆だけど……それはそれで苦労しているのね」

男「え、女さん。今俺のことを心配して……」

女「着いたわ。ここが私が住んでた村よ」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:03:43.86 ID:Xtrt43nA0
<村の跡地>

男「………………」

男(女さんが示した場所は……何も残っていなかった)

男(十年前、生命が破壊された痕跡すら残っていない)

男(年月が風化させたのか、行政側の隠蔽工作の一環なのかは分からないが……)

男(『無』……と表現するしかない)



女「やっと帰って来れた」

女「この場所、空気、雰囲気、におい……ああ、何もかもが鮮明に思い出せる」

女「村の姿が……鮮明に見える」

男「女さん……?」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:04:19.08 ID:Xtrt43nA0
女「そうね、せっかく来たんだし案内するわよ」

男「……え?」

女「ほら、あそこに見えるのが村長の家で……あ、そっちいっちゃ駄目。降りていくといつも私に吠えてくる犬がいるから」

女「そことそこの家は折り合いが悪くていがみ合って……まあでも普段は優しい人だけどね」

女「あ、そうそう。ここが村唯一の商店。小さい頃はよく親にねだってお菓子を買ってもらったんだ」



男「………………」

男(俺に説明をしながら歩く女さん)

男(あれとかそれとか言われても……困惑するしかない。そこには何も無いのだから……)

男(……いや、俺が見えてないだけなんだろう。その村はもう女さんの閉じた心の中にしかないのだから)

男(心の中……つまりあれが女さんの素の様子。あんなにいきいきしているなんて)

男「………………」

男(だから……俺もそれに近づいてみたくて)



男「女さんがねだってたお菓子ってもしかしてあれ?」

女「……へえ、なかなか鋭いじゃない」

男「まあ、俺も昔はよくねだっていたから」

女「なるほど……あ、そうだあっちに行ってみようよ!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:04:47.58 ID:Xtrt43nA0
女「それでここが近所のお兄さんが住んでた家。いつも遊んでくれてたなあ」

男「むっ、それは嫉妬するな」

女「で、その二件隣が……私の家」

男「……ようやく着いたな」

女「うん……ただいま」



男(もちろんそこにだって何もない)

男(何も無いのに……何かがあった)



女「………………」

男「………………」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:05:15.76 ID:Xtrt43nA0
男(それから数分は経っただろうか)

男「女さん、そろそろ……いてっ」

男(日が暮れだしたため、声をかけようと歩み寄った際に何かに躓いて俺は転ぶ)

女「……大丈夫?」

男「ああ……何に躓いたんだ?」

男(転んだところの地面を見ると……出っ張っている。石かと思ったがそうでもないようだ)

男「これは……何かの容器?」

男(明らかに人工物である。おそらくは……土砂崩れで埋まってしまったもの……?)



女「え、それは……!」

男(同じ物に注目した女さんが驚く)

男「見覚えがあるんだな」

女「ええ、それは……私の宝物を入れておいた……」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:05:41.53 ID:Xtrt43nA0
男「なら話は早い。掘り出すぞ」

女「……うん!」



男(二人がかりで出っ張った物の周囲を掘っていく)

男(道具も無いため作業効率は悪く、手は土まみれになったが)

男(それでも休み無しで掘り続けた)



男「……ふう、ようやく出たか」

男(掘り出したのは……金庫。手に抱えられる大きさではあるが、作りがしっかりしていて……だから土砂崩れに飲み込まれても無事だったのだろう)

女「お父さんがね……仕事先で使わなくなった金庫を持って帰って来て……幼い私にはそれがかっこよく見えたんだ。強引にねだった結果渋々譲ってくれて、私はそれに宝物を入れて大事に保管して……」

女「まさか……無事だったとは思わなかった」

男「良かったな」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:06:08.08 ID:Xtrt43nA0
男「さて、せっかくだし中身を見ないか?」

女「駄目。……これ開けるのに鍵が必要なの。いつも勉強机の引き出しの奥に締まっていて……もう見つからないと思う」

女「それでも……あなたには関係ないのでしょう?」

男「……ああ」

女「お願いするね」

男(俺は女さんが差し出した金庫の鍵の部分に触れる)



ガチャッ!



男「開いたぞ」

女「……うん」

男(女さんは一息おいて……それを開いた)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:06:39.48 ID:Xtrt43nA0
竹トンボ。

小さな貝殻。

紙飛行機。

泥だんご。

お菓子の包み紙。

手作りのメダル。

そして他にも色々な傍目からすれば価値が無さそうな、しかし歴とした宝物が納められていた。



男「………………」

男(十年前……となると女さんも小学校に上がったぐらいの頃か)

男(幼い女さんにとって、これは宝物であり思い出)

男(そして幼いころの体験がその人の心を形作るから……)

男(つまりこれは女さんが閉ざしてしまった心の奥底そのものだ)
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:07:07.48 ID:Xtrt43nA0
女「懐かしい……」

男(一つ一つ手に取って浸っている女さん)

男「えっと……それぞれにどのような思い出があるかうかがってもよろしいでしょうか?」

女「それは流石に乙女の秘密に踏み込み過ぎじゃないかしら?」

男「うっ……それはおっしゃる通りで」

男(ちょっと不躾だったか)



女「そうよ、そういうのはもうちょっと仲を深めてからにしてちょうだい」

男「はい…………え?」

女「さあ、そろそろ帰るわよ。掘り出すのに時間がかかって、辺りもすっかり真っ暗だし」

男「いや、言う通りだけど……さ、さっきの言葉って……!?」

女「よし、それじゃあ――」



男(真意を問いただすが、女さんは聞く耳を持たず、しっかりと閉めた宝箱を胸に抱き)

男(そこに確かに存在する物に向かって)



女「行ってきます!」



男(そう、またの帰還を約束する言葉を笑顔で口にするのだった)
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:07:33.82 ID:Xtrt43nA0
<数日後・学校>

男「女さん、おはよう」

男(村の跡地に行ってから数日、俺と女さんの関係は変わった)



女「…………………おはよう」

男「……」

男(変わった……はず、だよな?)



男「国語の宿題やってきた?」

女「………………うん」



男「一時間目の授業って数学だけど、女さん予習とかしてるの?」

女「………………うん」



男「その読んでる本って、昨日と違うよね? 今日は何の本なの?」

女「………………うん」



男「……」

男(これは……もしや変わっていない!?)

男(……それもそうか。あの村が特別だっただけで……そこを出れば元通りにきまっているか)
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:08:11.00 ID:Xtrt43nA0
男「……はぁ」

男(俺がそんなどん底の気分でいると)

女「……ふぅ」

男(女さんは朝なのに一冊読み終えたようで、満足したように本を閉じて)



女「あ、男。おはよう、朝早いのね」

男「……へ?」

女「何よ、鳩が豆鉄砲食らったような顔をして。そんなに私が挨拶したことが意外だった?」

男「…………」

女「ちょっと聞いてるの?」

男「良かったぁ…………嫌われてなくて……」

女「……ん、どういうこと?」

男「だって女さん俺が挨拶したのに上の空な反応だったから」

女「ああ、それね。今日はちょうど大作の終盤だったのよ。私が本に集中したら周りが目に入らなくなるって事くらい知っておきなさい」

男「いや……そんな横暴な」

女「何よ、私のこと……知りたいんじゃなかったの?」

男「っ……それは……そうですが」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:08:41.99 ID:Xtrt43nA0
クラスメイト「女さん、おはよう」

女「おはよう」



男(女さんの様子はあの村を訪れてから変わった)

男(心が少しずつ開いて……今ではみんなと普通に挨拶もする仲だ)

男(それは女さんが過去と向き合ったから……なのかもしれないが)



女「……というより男は本を読まなすぎなのよね。あ、そうだ。ちょうどいい機会だし今度の休日図書館に行きましょ。私のおすすめの本を紹介するわ」

男「それは図書館デートととってよろしいのでしょうか」

女「好きにしてちょうだい」



男(俺があの場所で彼女の心に触れることが出来たから……なのだとしたら)

男(この能力を持って生まれたことを少し誇りに思う)

〜fin〜
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/21(火) 00:09:57.92 ID:Xtrt43nA0
一作目終了。

早速ですが、二作目の安価を取ります。

二作目について、一作目とは全く別の世界での話になります。
そこでの男の設定、周辺環境、その他状況、物語のジャンルなどは、男の能力と目的の安価次第で変わる予定です。
ようは安価でお題をもらって、短編集といった感じですね。こんな感じで>>1が飽きるまで続ける予定です。


では、下より安価です。
男の『能力』と『目的』先着で三つずつでるまで募集。その中から話が作れそうなのを一つずつ採用します。エロ、グロ、版権物は無しです。
よろしくお願いします。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 00:15:01.90 ID:d13oAYQKo
好きな夢を見れる能力
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 00:15:09.31 ID:FTgkdiLK0
能力と目的は同時に書いてはダメなの?無理なら能力優先で
能力なら「自分に色んな人格を作ることが出来る能力(記憶など共有)」目的なら「憧れの女の子と付き合いたい」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 00:15:16.33 ID:qQeIZeXK0
乙、よかった
能力:数秒〜数十秒先の未来を見ることができる
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/21(火) 03:56:38.62 ID:p9RZYg8B0
裏切り者の始末
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