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久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」

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50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/03(日) 02:53:39.64 ID:VyDXX1gA0
>>49
うるせーsageろハゲ
51 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:08:55.01 ID:5VwQDD3K0
おひさー

もう少ししたら始めます
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 00:23:22.15 ID:F+EEAuddO
待ってる
53 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:35:50.79 ID:5VwQDD3K0
んじゃあ、スタートします
54 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:37:57.37 ID:5VwQDD3K0


久「番号あったー?」

京太郎「ちょっと待て……って人多くて全然近寄れねーなぁ!」

久「だから早く行こうって言ったのに」

京太郎「布団の魔力が俺を離さなかったんだ……」

久「はいはい、とりあえずちょっと離れるわよ」

55 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:41:24.32 ID:5VwQDD3K0


久「ここらへんでいいかな?」

京太郎「こんなとこじゃなおさら見えないだろ」

久「じゃーん、双眼鏡」

京太郎「おお! って、それじゃ下の方が見えなくないか?」

久「とりあえず屈んで」

京太郎「……踏まれるのはやだからな?」

久「踏まないから、ほら」

京太郎「わかったよ」

久「それじゃ、失礼しますっと」

京太郎「うぐっ」

久「こら、苦しそうな声出すな!」

京太郎「んなこと言われたってさ……」

久「いいから立つ。スタンダップ」

京太郎「あーもう」

56 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:44:37.65 ID:5VwQDD3K0


京太郎「……見えたか?」

久「ちょっと待ってよ。まだ右の方見てないから」

京太郎「わかった。もうちょっと太ももの感触を楽しんでる」

久「……もしスカートだったら絞め殺してたわね」

京太郎「それだったらそもそも、肩車なんてしようとしてないだろ」

久「まったくね……あ、あった」

京太郎「マジか、あっさり見つかったなぁ」


ゆみ「……なにをしてるんだ」

57 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:48:32.97 ID:5VwQDD3K0


久「あら、ゆみも合格発表見に来たの?」

ゆみ「私も一般受験だからな」

京太郎「掲示板の周りすごいぞ。すごいというかヤバイ」

ゆみ「心配には及ばない。もう確認し終わったよ」

久「咲いた?」

ゆみ「咲いたな」

京太郎「俺も咲いたらしい」

ゆみ「そうか、おめでとう」

京太郎「こっちこそな」

久「おめでと」

ゆみ「ところで、いつまでそうしているんだ?」

久「あ、そうね。用は済ませたから……よいしょっと」

京太郎「ふぅ、急に首周りが寒くなったな」

58 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:53:21.48 ID:5VwQDD3K0


智美「わはは、迎えに来たぞー」


ゆみ「蒲原、どうしてここに」

智美「ユミちんの合格を祝うために決まってるじゃないか」

ゆみ「まったく、もし不合格だったら……いや、ありがとう」

智美「わはは、礼には及ばないぞ」


京太郎「せっかくだし、一緒に昼飯どうだ?」

久「そうね、無事合格決めたことだし」

ゆみ「ああ、構わない」

智美「それじゃ、車回してくるからちょっと待ってて――」


「「ちょっと待てっ!」」

59 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 00:57:00.69 ID:5VwQDD3K0


智美「なんだなんだ、ちょっと待っててほしいのはこっちだぞ」

京太郎「お前、今なんつった?」

智美「だからちょっと待っててって」

ゆみ「その前だ、その前!」

智美「礼には及ばない?」

京太郎「戻りすぎだ!」

ゆみ「ふざけているのか!」

智美「二人とも元気良すぎだぞ。ここはドライブで気分を――」


「「それだっ!!」」

60 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:02:40.64 ID:5VwQDD3K0


久「ちょっとちょっと何事?」

智美「わはは、さっぱりだぞ」

京太郎「わかれよっ、むしろお前がわかってなきゃダメだろ!」

ゆみ「とりあえず近場で済ませよう。蒲原、車は?」

智美「もうあったまってるぞ」

ゆみ「できれば凍結させといて欲しいな……徒歩で向かうからどこかに駐車しておいてくれ」

智美「なるほど、それで食後のドライブに備えるんだな」

京太郎「お前は車内を頭文字Gで台無しにしたいのか……」

久「よくわかんないけど、集合場所は駅前ね。美穂子もこっち来てるみたいだし」

智美「わはは、了解」


61 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:09:24.31 ID:5VwQDD3K0



智美「えーっと、それじゃあ二人の合格を祝して――乾杯っ!」


美穂子「おめでとうございます、二人とも」

ゆみ「ありがとう。受かっていて正直ホッとしたよ」

京太郎「俺みたいのが合格して、なんか申し訳ない気もするけどな」

久「もし落ちてたら私の苦労に見合わないでしょ」

京太郎「主に苦しんでたのは俺だから……」

智美「わはは、巻き添えで簀巻きにされたぞ」

ゆみ「簀巻きにされたのはちゃんと勉強しないからだな」

京太郎「むしろ簀巻きに関しては俺が巻き込まれた感ある」

久「結託して逃げ出そうとするからでしょ」

ゆみ「結局は足の引っ張り合いで自滅していたが」

美穂子「まぁまぁ、お料理も来ましたし、冷める前にいただきませんか?」


62 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:12:47.13 ID:5VwQDD3K0



久「そういえば、卒業の方は大丈夫なの?」

京太郎「なに言ってるんだよ。そこまでヤバいことはしてないっての」

智美「わはは、女性関係はヤバイことになってたり」

京太郎「それと卒業は関係ないから!」

久「もはや否定すらしない……というより、できないってところね」

美穂子「……」

京太郎「うっ、非難がましい目と悲しい目……」

智美「モテる男は辛いなー」

ゆみ「いい加減にしておけ、蒲原。そもそも卒業が心配されてるのはお前だぞ」

智美「わはは、耳に痛い」

久「簀巻きにされるほど頑張ってたんだから、ねぇ?」

智美「頑張らされていたとも言う」

京太郎「まったくだよ……」


京太郎(てか、簀巻きにした側が言う事じゃねぇよ)

63 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:19:07.91 ID:5VwQDD3K0


美穂子「でも、こうしてこの場を設けられたわけですし」

久「まあ、全滅したらしたで名目が慰める会になってただけなんだけど」

美穂子「もう、久ったら」

京太郎「気にすんな、みほっちゃん。久ちゃんの鬼畜っぷりはいつものことだから」

久「ほう?」

智美「ついでにユミちんの非道っぷりも」

ゆみ「……聞くに堪えないな」

久「じゃあ、あれね。この怒りは雀卓にぶつけましょう」

京太郎「雀卓は友達じゃないのかよ」

久「サッカーボール一色の部屋に住んでる人と一緒にしないでよ」

美穂子「なら、そろそろ出ます?」

久「いつものとこに行きますか」

京太郎「久ちゃんの暴れっぷりが見られるわけだ」

智美「わはは、応援してるから頑張れ」

久「なに言ってるの?」

ゆみ「お前たちもやるんだ」


64 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:25:27.56 ID:5VwQDD3K0



京太郎「もう、もう麻雀は勘弁してください……」

智美「わはは……死ぬ……」

美穂子「だ、大丈夫ですか?」

久「なに言ってるのよ」

ゆみ「まだまだこれからじゃないか」


京太郎「……やばい」

智美「あれは相当根に持ってる……」

京太郎「ここはどうする?」

智美「素直に頭を下げよう」

京太郎「待て、ちょっと想像してみろ」


久『ダメ』

ゆみ『ダメだな』


智美「……殺られる」

京太郎「……殺られるな」

智美「もう逃げたいぞ……」

京太郎「よく見ろ、加治木がさりげなく退路を塞いでる」

智美「わはは、ノーフューチャー……」


65 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:31:12.11 ID:5VwQDD3K0



まこ「……」


久「あ、まこおかえり」

ゆみ「お邪魔している」

美穂子「ごめんなさい、ちょっと騒がしくしちゃってるけれど」

まこ「まぁ、お客さんが増えるのは悪いことじゃあないがの……」


京太郎「」

智美「」


まこ「こがぁなとこに死体転がしとくのは迷惑じゃけぇ、はよ片付けんかい」

久「そうね」

ゆみ「ほら起きろ、蒲原」

智美「うぅ……」

美穂子「京太郎さん、起きてください」

京太郎「うっ……天使がいる……天国か」

久「まだ寝ぼけてるなら、もう半荘いっとく?」

京太郎「間違った……地獄だ……」


66 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:35:30.83 ID:5VwQDD3K0



ゆみ「それじゃあ」

美穂子「また今度、呼んでください」

智美「したらなー」

久「まだ雪あるし気をつけてね」

美穂子「ええ、久たちも」

智美「わはは、帰りはドライブだなー」

ゆみ「それだけは絶対にない」

京太郎「……お前らホントに気をつけろよ」


久「さ、私たちも帰る?」

京太郎「だな」


67 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:38:26.43 ID:5VwQDD3K0



久「送ってくれてありがと」

京太郎「いつものことだろ」

久「いつものこと、ね……そのいつもって、まだ続くの?」

京太郎「あん?」

久「その……大学、行く気あるのかなって」

京太郎「……まだ、どうしようか迷ってる」

久「そ、なら早めにね」

京太郎「ああ、そうだな」

久「明日はバイト?」

京太郎「まぁな。今度東京行かないといけないし」

久「……」


68 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:41:19.75 ID:5VwQDD3K0



久「はぁ……」

まこ「部室まで来てため息かい」

咲「あの、京ちゃんは?」

久「さぁね。今頃東京じゃないの?」

咲「東京……」


優希「優希ちゃんのおかえりだじぇ!」


まこ「おかえり。買い物はバッチリかの」

優希「おう!」

和「私がいなかったら、お金を全部タコスに使ってましたよね?」

優希「た、タコスには私のコンディション維持という重要な役目が……」

まこ「ま、一個ぐらいなら大丈夫じゃけぇ」

久「もう部費の中からタコス代は分けといたほうがいいんじゃない?」

咲「今までも部費を使ってたんじゃないんですか?」

久「半分はね。あとはほとんどあいつの自腹よ」

咲「うわぁ……」

69 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:44:52.13 ID:5VwQDD3K0


和「竹井先輩、お久しぶりです」

久「そんなにかしこまらないでよ。その方がこっちも楽だし」

優希「じゃあタコス代ちょーだい」

久「私にたかるんじゃないの」

優希「こうなったら頼みの綱は先輩! ……ってあれ、いないじぇ」

久「あいつは東京よ」

和「卒業旅行でしょうか?」

久「さぁ、むこうでやることがあるみたいだけど」

まこ「ほうか……で、半荘どうじゃ?」

久「そうね、せっかくここまで来たんだし」

優希「はいはーい! 私も打つじぇ」

咲「えっと、和ちゃんはどうするの?」

和「私は買ってきたものをしまいますから、咲さんが打ってください」

咲「うん、わかったよ」

久「いっちょ揉んでやりますか」


70 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:49:55.99 ID:5VwQDD3K0



咲「それじゃ、また明日」

和「お先に失礼します」

優希「お疲れだじぇー」


まこ「で、あんたは?」

久「えー? もうちょっといちゃダメ?」

まこ「戸締りせんと帰れんじゃろが」

久「じゃあ鍵だけ置いてってよ。私がしとくから」

まこ「……まぁ、あんたなら大丈夫かの」

久「まだまだ顔利くしね」

まこ「悪用しないように」

久「わかってるってば」


71 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:54:07.07 ID:5VwQDD3K0



久「……」


『……全国、行けるかな?』

『俺が、つれていくよ』


久「約束、守ってくれたのよね。それも二回も」


『知ったことじゃないな。俺は俺の好きなようにやるさ』

『バカみたい。強引でこっちの気持ちは考えないってわけ?』

『だけど、久ちゃんの隣にいる』


久「とか言ってたくせに、この前のインハイが終わってからは好き勝手しちゃって」

久「……そっか、その時にはもう、ちゃんと約束は果たしてたのよね」

久「だから私、受験勉強なんてさせてたんだ」

久「やだな、束縛ってやつだ」

久「……今頃、東京でなにしてるのやらね」

久「やっぱり、宮永照と……」

72 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 01:57:28.43 ID:5VwQDD3K0


京太郎「ちわーっす」


久「……」

京太郎「なんだよ、微妙な顔して」

久「別に、東京にいると思ってたから」

京太郎「日帰りだよ、日帰り。さっきこっちに帰ってきたんだ」

久「やることってのは済ませてきたわけ?」

京太郎「まぁな」

73 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:02:19.12 ID:5VwQDD3K0


照『……そっか、やな予感はしてたけど』

京太郎『照ちゃんには、最初に言わなきゃって』

照『それはそれで特別、なのかな』

京太郎『……一番キツいだろうから、後に回すとさ』

照『私が最初ってことは……そういうことだよね』

京太郎『ああ、多分それで正解だ』

照『よりにもよってあの女なんだ……』

京太郎『叩かれても殴られても……最悪刺されてもかまわないと思ってる』

照『そんなこと、しないよ。京ちゃんには幸せになってほしいから』

京太郎『照ちゃん……』

照『あ、でもあの女がイヤになったら、いつでも私のとこに来てもいいから』

京太郎『そうならないように気をつける』

照『私はいつでも待ってるから』

74 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:06:36.61 ID:5VwQDD3K0


京太郎「……さすがにキツかったけどな」

久「なにやってきたかは、察するけど」


久(……向こうの気持ちがわかるってのも問題よね)

久(なんか、自分のことみたい)


久「それで、帰って来るなり学校に来てどうしたのよ」

京太郎「さっきまこっちゃんに会ってさ。久ちゃんがため息ついてるからなんとかしろって」

久「はぁ……そこ座って」

京太郎「なんだよ、いきなり」

久「いいからいいから」


75 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:09:40.75 ID:5VwQDD3K0



久「重くない?」

京太郎「問答無用で座ってきて言うことかよ」

久「別にいいでしょ。いつだったかもこうしてたし」

京太郎「二年前だな。部長がいなくなったあとだっけ」

久「……あの時は二人だけだったのにね」

京太郎「幽霊部員はいたけどな」

久「いないも同然だから問題なし」

京太郎「つーか、俺たちもう麻雀部じゃないだろ」

久「あ、そういう寂しいこと言っちゃう?」

京太郎「寂しいことでも、前に進まなきゃな」

久「そうね、なら私も言っておかないと」

京太郎「このまんまでか?」

久「この状態なら顔見えないでしょ? 見られてたら恥ずかしいし」

京太郎「つまり恥ずかしいことを言うと」

久「いいから黙って聞く」

76 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:12:53.87 ID:5VwQDD3K0


久「……一年の最初は、ずっとウザったく思ってた。でも、ちゃんとこっちに引き戻してくれて」

久「二年のときはまこが来てくれたけど、あんたがいなかったら個人戦にも出てなかったと思う」

久「それで、三年生になって、一年生が三人も来てくれて……」

久「……あんたが三年生で良かった」

久「だって、私一人だったら、あんなとこまで行けなかった」

久「京太郎がいなかったら、インハイで優勝なんて……」

久「だから、今までありがと」


京太郎「……きっと、俺が三年じゃなくても同じだったよ」

京太郎「仮に、俺が咲たちと同じ新入生で久ちゃんと面識がなくても、きっと麻雀部に入ってた」

京太郎「そんでもって、久ちゃんを支えてた」


久「……なんでそう言い切れるのよ」

京太郎「さぁ、そういう運命なんじゃないか?」

久「根拠ないし、適当なこと言ってるでしょ」

京太郎「たらればの話なんてみんな似たようなもんだろ。起こりようがないんだし」

久「夢ないこと言っちゃってさ」

京太郎「それに、俺はこれからもって言葉が聞きたいな。だから――」

77 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:15:42.89 ID:5VwQDD3K0


京太郎「好きだよ、久ちゃん」


久「……遅い」

京太郎「ごめん」

久「信用できない」

京太郎「厳しいな」

久「でも……私も好き」

京太郎「久ちゃん……」

久「京太郎……」


「なんだ、まだ残ってた……ってお前ら!」


京太郎「げっ」

久「あーあ……」


78 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:19:45.98 ID:5VwQDD3K0



久「すっごい怒られちゃったわね」

京太郎「当たり前だろ。あれでもまだ手加減されてた方だぞ」

久「顧問の先生で良かった」

京太郎「まったくだ」


久「……それでさ、これからどうするの?」

京太郎「そうだな……とりあえず大学に入るよ」

久「とりあえず?」

京太郎「そうしたら傍にいられるだろ」

久「動機が不純ね」

京太郎「入る理由なんてどうでもいいんだよ。問題はその後だろ」

久「そうかも。けど、聞きたかったのはそれじゃないのよね」

京太郎「つーと?」

久「さっきの続き、しないの?」

京太郎「ああ、それな……久ちゃん」

久「んっ……」

79 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:27:38.71 ID:5VwQDD3K0


久「よろしくね、これからも」

京太郎「もちろん、こっちこそな」


久「ね、家にお邪魔してもいい?」

京太郎「うちの母さんのうざったさに我慢できるならな」

久「そんなのいつものことでしょ」

京太郎「それもそうか……そうだ、ついでに墓参りでもしてやってくれ」

久「そうね」

京太郎「あいつも久ちゃんと付き合い長いし、きっと喜ぶよ」

久「また泣きそうになったら胸貸してあげる」

京太郎「ああ、そうしてくれ」




『エンディング――今までと、これからも』
80 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:28:31.04 ID:5VwQDD3K0
というわけで終了

安価取りたいけど、人いますかね?
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:29:39.40 ID:WoNh26+Go
はい
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:30:14.15 ID:loxOgs0DO
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:30:18.96 ID:F+EEAuddO
いるよー
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:30:35.32 ID:NzXeTg0GO
いるけどー
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:31:18.71 ID:s/IqVZIjO
のよー
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:31:50.77 ID:jrGPuxDgO
はい
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:33:55.74 ID:cFDpIcQuO
いるぜー
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:34:30.27 ID:nwAXjg1tO
はいよ
89 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:36:09.01 ID:5VwQDD3K0
それじゃ、この中からお好きなのをどうぞ
済がついてるのは選べません


個別

大星淡 済
天江衣 済
桧森誓子 済
姉帯豊音 済
三尋木咏 済
神代小蒔 済
ネリー・ヴィルサラーゼ 済
宮永照  済
エイスリン・ウィッシュアート 済
白水哩 済
竹井久 済
福路美穂子 済
松実玄 済
薄墨初美 済
滝見春 済
石戸霞
園城寺怜 済
真屋由暉子 済
清水谷竜華 済
鶴田姫子 済


特殊

久照
久美穂子
小蒔霞
哩姫
怜竜


39分まで
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:36:18.39 ID:s/IqVZIjO
怜竜
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:36:22.23 ID:NzXeTg0GO
カスミン
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:36:46.62 ID:cFDpIcQuO
哩姫
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:36:55.90 ID:nwAXjg1tO
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:37:05.63 ID:jrGPuxDgO
哩姫
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:37:22.74 ID:WoNh26+Go
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:37:35.61 ID:F+EEAuddO
霞さん
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:37:43.88 ID:loxOgs0DO
哩姫
98 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:39:11.42 ID:5VwQDD3K0
締切
割ってきます
99 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:40:55.36 ID:5VwQDD3K0
コンマ判定

怜竜:1-13
霞:14-63
哩姫:64-00


直下
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:41:01.84 ID:jrGPuxDgO
101 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/10(日) 02:44:00.17 ID:5VwQDD3K0
リザべコンビで了解
……哩姫かぁ

というわけで、朝一映画なんで寝ます
おやすみなさい
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:44:29.55 ID:nwAXjg1tO
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:44:47.42 ID:jrGPuxDgO
乙です
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:45:10.79 ID:s/IqVZIjO
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:45:23.01 ID:F+EEAuddO
おつおつ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:45:33.39 ID:WoNh26+Go
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:45:42.15 ID:NzXeTg0GO
おつー
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:46:12.57 ID:loxOgs0DO
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 02:52:23.18 ID:cFDpIcQuO
乙です
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/10(日) 19:30:06.56 ID:PS2eDG5R0
良かった!!
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 23:24:36.95 ID:WupmM7Ev0
まだか?待ってるぜ
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/15(金) 01:06:58.59 ID:hhPwCVHz0
まとめ更新されてて有難い
113 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/27(水) 23:50:39.17 ID:pCLvSWrMO


・どこかの未来、美女(メイド水着)と野獣


京太郎 「うわぁ、中間死んだー!」

久「こら、人の部屋来て騒がない」

京太郎「だってさ、スコアがレッドだったんだぞ」

久「赤点ね、赤点。また戒能プロみたいな言い方して」

京太郎「やばいって。なんか赤点だったらレポート提出とかいう恐ろしい噂があるんだよ」

久「それぐらいぱっぱとやっちゃえばいいじゃない」

京太郎「けっ、出来るやつはみんなそういうんだよ!」

久「なんかめんどくさい方向にシフトしてきたわねぇ」

京太郎「もうゴーストライターがやってくれないかな」

久「内木くんとか?」

京太郎「一太か……小学生の写真一枚でいけるか?」

久「やめなさい。先に事案であんたが捕まりかねないし」

京太郎「じゃあどうするんだよ! もう幼女の写真をエサにするしかないだろ!」

久「自分でやれ」

京太郎「ぐはっ」

久「私もちょっとは手伝ってあげるから」

京太郎「マジでか、久ちゃん!」

久「本当にちょっとだけだからね」

京太郎「それでも助かるって」

久「報酬は先払いね」

京太郎「金取るのかよ!」

久「ちょっとこっちも手伝ってもらいたいことがあるの。ちょっと待ってて、着替えてくるから」


114 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/27(水) 23:53:10.01 ID:pCLvSWrMO



久「お待たせ」

京太郎「……なにそのフリフリの水着」

久「メイド風の水着だって。まこが夏限定でこれで接客したらどうだろうかって」

京太郎「なんかもう、本当になりふり構わなくなってきたな……」

久「それよりもどうなのよ。グッとくる?」

京太郎「グッとくるっていうか……ムラっとしてきた」

久「ちょっと、マジメにやってよ。レポート手伝ってあげるんだから」

京太郎「悪い、無理っ」ガバッ

久「きゃっ」


京太郎「久ちゃん……いいよな?」

久「好きにしなさいよ、バカ……」


115 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/27(水) 23:55:15.62 ID:pCLvSWrMO



まこ「で、どうじゃった?」

久「どうもこうも、夏限定とはいえアレはまずいかもね。風営法に引っかかりかねないし」

まこ「ふぅむ、過激すぎたと」

久「まったくね……おかげでしばらく動けなかったし」

まこ「動けなかった?」

久「あ、それは聞き流して。男は大体野獣だって話だから」

まこ「つまり、一晩中サカってたと」

久「それプラス一日中ね。あー、酷い目にあった」

まこ「やれやれ……ほいじゃあアレはやるけぇ、よろしくどーぞ」

久「なに言うのよ、あんなのしょっちゅうやってたら身がもたないわよ」

まこ「ならうちで処分してーー」

久「ちょっと待って、いらないとは言ってないから」

まこ「はぁ?」

久「もらえるものはもらっておくにこしたことはないし……」


久「ああいうのもたまになら……ね?」



116 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/27(水) 23:58:16.37 ID:pCLvSWrMO
というわけでメイド水着実装記念
エンディング後の一幕でした

哩姫は明日か明後日になると思われます

したらば
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 00:08:48.80 ID:z91xrXPOO
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 00:23:05.20 ID:ZjR0CaqHO
乙です
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/28(木) 23:10:05.96 ID:eJHwlPbD0
>>116
乙でした!
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/28(木) 23:38:45.48 ID:uFwczJ5A0
age荒らしかよ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 01:45:40.99 ID:UL1SlvR20
申し訳ない
sageが消えてるのに気付かなかった
122 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/29(金) 23:51:00.09 ID:3Czur1pM0
こんばんはー

もう少ししたらやろうかと
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/30(土) 00:06:29.21 ID:q/mfahJAo
あい
124 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 00:29:44.64 ID:Iw+vyAO+0
んじゃあ始めます
125 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 00:38:04.15 ID:Iw+vyAO+0


姫子「次、こっち来っていつですか!」

京太郎『いきなりなんだよ。なんかいいことでもあったのか?』

姫子「先輩があっちこっちで女の子ばたぶらかしとーと思い出しました」

京太郎『言い方っ!』


京太郎『そりゃ、事実の一端を含んでないことも無きにしも非ずだけどな?』

姫子「大半真実やないですか。私とも哩先輩ともキスしたくせに」

京太郎『あ、やめて。それ持ち出されたら反論できなくなる』

姫子「ほら、やっぱし」

京太郎『……まぁ、自分でもそういうのはいい加減なんとかしようとは思ってるんだよ』

姫子「そいって、本命ば決めるってこつですか?」

京太郎『うわぁ、その言い方やだなぁ』

姫子「そがん言うても事実やないですか」

京太郎『うぐっ』

姫子「なら、今ここで返事を――あ、やっぱいいです」

京太郎『頼まれても言わねーよ。電話口でなんて失礼だしな』

姫子「――もしダメでも最悪鎖で縛って既成事実を……」ブツブツ

京太郎『うおーい、なんか不穏当な言葉が聞こえるんですけどっ』

姫子「とにかく、いつ来っかちゃんと教えてください」

126 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 00:44:08.43 ID:Iw+vyAO+0


姫子(きっとそん時、先輩は私に……)


京太郎『そうだな……ゴールデンウィークあたりにはそっちに行けそうだ』

姫子「なんですか、はっきいしませんね」

京太郎『無茶言うな、まだ一ヶ月以上先の話だろうが』

姫子「しょんなかですねぇ……とりあえずりょーかいです」

京太郎『お前の予定は?』

姫子「んー、前半は家で、後半は学校ですかね?」

京太郎『ん、それじゃあ佐賀だな』

姫子「うち来ます?」

京太郎『そっちが迷惑じゃなければな。そういや、あいつも帰ってくるんだよな?』

姫子「哩先輩ですか?」

京太郎『ああ、まあな』

姫子「……」

127 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 00:50:27.01 ID:Iw+vyAO+0


姫子(先輩ん言葉には、どっかいつもと違う響きがあって)

姫子(やけん、やな予感が頭ん中に浮かんで……)


姫子「いますよ」

京太郎『ん、そうか』

姫子「とにかくっ、デートとプレゼント楽しみにしてますから! そいぎっ」

京太郎『あ、おい――』ピッ


姫子「……うん、きっと大丈夫」


姫子(あん二人がくっつくなら、私的にもあり)

姫子(想像すっとちかっと……ホントにちかっとだけ痛いけど)

姫子(京太郎先輩にはビンタかひっかくかして、哩先輩にはおめでとうって)

姫子(ついでにしかともなかイタズラでもして……嘘泣きとか、ほっぺたにキスとか)

姫子(そいで完璧……)


姫子(――少なくともこん時は、そがん思ってた)


128 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 00:55:59.38 ID:Iw+vyAO+0



哩「京太郎……」

京太郎「哩――んっ」


姫子「あ……」


姫子(私には、大好きな先輩が二人)

姫子(深か絆で結ばれとる人と)

姫子(縛り付けてでも、つながりたい人)

姫子(ばってん、そん二人が、抱き合って、キスして……)


姫子「あ、れ……」


姫子(本当なら、二人ん前で涙でも見せて、嘘泣きですって舌出して)

姫子(女ったらしの先輩にはビンタん一つでもくらわして、不意打ちでほっぺたにキスして)

姫子(そいで、最後には二人におめでとうって……)

姫子(やけん――)

129 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:04:57.57 ID:Iw+vyAO+0


姫子「なんね、こい……」


姫子(想像してた、はずなのに……)

姫子(大丈夫って、思ったのに……)

姫子(心ん中でもこがん黒かもん、絶対ダメなのに)

姫子(どっかから際限なく溢れてきて……)


姫子「――っ」


姫子(私は、そん場からちん逃ぐった)


130 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:13:53.29 ID:Iw+vyAO+0



姫子「……」


姫子(二人は互いにすいとって……やけん抱き合って、キスして)

姫子(つまり、そいは――)


姫子「……ダメやね」


姫子(しかつか頭で考ゆっとも、いっちょんまとまらん……)

姫子(そいばってん、私ん中の黒か気持ちは澱のようにどんどん溜まって……)

姫子(口からひっと出たのは――)


姫子「――置いてかれちゃった」


姫子(そん一言は真実のように思えて)

姫子(そいがぐちゃぐちゃな心ん中にくるった答えはシンプル)


姫子「置いてかれるなら――」


131 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:22:28.73 ID:Iw+vyAO+0



京太郎「悪い、お前の気持ちに応えられなくて」

哩「……そう」


哩(そん言葉を予想してなかったとは言えん)

哩(そがんこつも十分あっと思ってた)

哩(やけん、表面上は冷静でいられた)

哩(……あくまでも、表面上は)


哩「もう顔上げてよかよ」

京太郎「……多分結構ひどい顔してるから、見せたくないんだよ」

哩「私は見たいかな」

京太郎「キツイ事言ってくれるな……」

哩「そいはこっちも同じやけん」

京太郎「まったくもってその通りだ」


哩(彼はそがん言うと、顔ば上げて――)

132 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:30:12.24 ID:Iw+vyAO+0


哩「……こすかね」

京太郎「もうなんとでも言ってくれ」

哩「そがん顔しよったらね……くらすっとも考ゆったけども」

京太郎「骨の一本ぐらいならくれてやる」

哩「やけん、よかて」


哩(そいでも、もやもやとした気持ちは残って)

哩(……後で泣こうかな)


哩「こん後は?」

京太郎「ん……あいつと会う約束してる」

哩「そう、姫子と」

京太郎「こっちに他の知り合いもいないしな」

哩「ならそん顔、どがんかすっとよかて思う」

京太郎「まじかぁ……まだ時間あるし、顔洗っとこうかな」

哩「そうやね」

133 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:35:38.45 ID:Iw+vyAO+0


哩(姫子と会う……そいはこっちに来よっけん、当然の流れ)

哩(ばってん、私は思かぶって)

哩(そいは、姫子にはどがん答えるか、ということで……)


京太郎「あいつ、今年もプレゼントよこせってうるさかったんだよな」

哩「……」

京太郎「今日渡すって言ったけど、まだなにも買ってないんだよなぁ」


哩(私にとっては、そいが答えになった)

哩(つまり、京太郎は姫子を――)


哩「――っ」


哩(心ん中にあったのは、祝福とちかっとした痛みと……)

哩(判別がつかん、黒か気持ち)


哩「……」ギュッ

134 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:41:57.77 ID:Iw+vyAO+0


哩(外側から胸ば抑えても、なんにんならんで)

哩(なんでか、姫子ん泣き顔が浮かびよって)


『まいるぜんばぁい、いがないで〜』


哩(私が卒業すって時にいつも……ああ、そっか)

哩(――今度は、私が置いてかれる番か)


京太郎「おい、大丈夫かよ」

哩「……」

京太郎「哩、哩……!」

哩「あ……京、太郎」

京太郎「……悪い、いい気分なわけないよな」

135 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:47:13.34 ID:Iw+vyAO+0


哩(本当なら、抑えなきゃならん気持ち)

哩(やけん、どーろこーろせんといけなくて)

哩(……無理、無駄、なんにんならん)


哩「もう、ダメ……」


哩(スッと、距離ば詰める)

哩(いつもと同じ匂いと、温もり)

哩(ばってん、これからはもう……)


哩「京太郎……」


哩(私ん肩に京太郎ん手)

哩(引き離そうと――そん力はばってん、あくまでも優しくて)

哩(私は、京太郎の首筋に手ば回して――)

136 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:51:17.12 ID:Iw+vyAO+0


京太郎「哩――んっ」


哩(そこでようやく自分の気持ち、そん正体に気づいた)

哩(あいは――チリっとした嫉妬と、寂しさ)


哩「……ごめん」

京太郎「いや、俺も悪い……っつーか俺が悪い」

哩「やっぱイケメンやね」

京太郎「褒めてもなんも出ないぞ……さて、俺はもう行くかな」

哩「うん、頑張って」


哩(京太郎ん背中ば見送って、そこで気づいた)

哩(あん黒か気持ちが、いつんはじゃあこまかくなっとる……)

哩(……そいがどこに行ったかも知らんで)


137 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 01:58:13.86 ID:Iw+vyAO+0



京太郎「……遅いな、もう30分過ぎてるぞ」

京太郎「今まで多少遅れることはあっても、ここまでのはなかったよな」

京太郎「寝坊か時間の勘違いか……何かトラブったか」

京太郎「……とりあえず電話だな」プルルル


姫子『せん、ぱい……?』


京太郎「思ったよりあっさり出たなぁ、おい」

姫子『どがんしたとですか?』

京太郎「こっちのセリフだっての。まさか寝起きか?」

姫子『……あがん見せられて、そいこそ無理ですよ』ボソッ

京太郎「とにかく、なんもないなら早く来いよ。なんなら迎えに行くぞ」

姫子『……なして優しくすっとですか』

京太郎「なんでって、基本お前には甘くしてると思うけど」

姫子『……』

京太郎「姫子? おーい、大丈夫かー?」


姫子「大丈夫なわけ、ないやないですか……」

138 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:05:55.24 ID:Iw+vyAO+0


京太郎「うわっ、いたのかよ」

姫子「いました。先輩が来っ十分ぐらい前から」

京太郎「新手のイタズラかよ……」

姫子「ね、先輩?」

京太郎「なんだ? プレゼントならもうちょっと待ってくれよ」

姫子「先輩は、鎖ってどがん思います?」


姫子「すいとー人をつないで、つなぎとめて」

姫子「すいとー人とつながれて、つなぎあって」

姫子「どこにも行かないで、どこにも行かせない」

姫子「そがん関係、よかて思いません?」


京太郎「お前、なに言って――」

姫子「えいっ」バチッ

京太郎「――あがっ」ドサッ


姫子「思ったんです。置いてかれるなら、どこにも行けんようにすればって」

姫子「あ、こいですか? スタンガンですけど、命に別状はなかって聞きました」

姫子「まぁ、どっか障害残っかもですけど、大丈夫ですよ」

姫子「私がずーっと一緒にいてあげますからっ」


139 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:15:00.30 ID:Iw+vyAO+0



京太郎「うっ……」


京太郎(どこだ、ここ……)

京太郎(そもそも俺、なにしてたんだ?)

京太郎(姫仔たちに会うために佐賀に来た……だよな?)

京太郎(約束の前に哩に会って、その後は……)ジャラ

京太郎(鎖……つながれてるのか?)


姫子「あ、先輩。やっと起きたとですか」

京太郎「ひめ、こ……」

姫子「はい、京太郎先輩の姫子です」

京太郎「こぇ、なん……」


京太郎(……舌が回らない)

京太郎(おまけに、足の感覚が鈍い……)

京太郎(たしか、最後にすごい痛みが走ったような)

140 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:28:29.26 ID:Iw+vyAO+0


姫子「まだダメージ残ってます?」

京太郎「おまぇ、なにしぇ……」

姫子「無理せんでも、私がしっかりお世話してあげますよぉ」


姫子「とりあえず、こい飲んでください」

京太郎「……」

姫子「やですか? しょんなかですね……んっ」

京太郎「――っ」ゴクッ

姫子「ん、心配いらんですよ。毒ってこつはありませんから」


京太郎(飲まされたけど、直ちに異常はなさそうだ)

京太郎(……そもそもなんなんだ、この状況は)

京太郎(こいつはなんで俺にこんなことを……)

京太郎(本当なら、デートしてプレゼントも買ってやって、その後――)

141 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:36:31.47 ID:Iw+vyAO+0


京太郎「くっ……!」

姫子「効いてきました?」


京太郎(なんだこれ、体が……!)


姫子「がば元気になっ薬、飲んでもらいました」

姫子「ホントはそがん抜きでしたかったですけど、哩先輩やないと乗り気になれんと思いまして」


京太郎(こいつ、なに言ってんだ……)

京太郎(ダメだ、体が熱くてなにも考えられないっ)


姫子「あはっ、先輩もすっかりやる気やないですか」

姫子「私も、んっ……準備はオーケーです」

姫子「いっぱい、いーっぱい気持ちよかこつしましょうね、せぇんぱい♪」


142 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:45:37.56 ID:Iw+vyAO+0



姫子「んっ……もうお腹ん中、タプタプです」

京太郎「はぁ、はぁ……ひ、姫子」

姫子「なんですか? あ、まだし足りんと?」

京太郎「お前、なんでこんなこと……!」

姫子「なしてって……私が先輩んこつがばすいとーからですけど」

京太郎「お前な、それだったらちゃんと――」


姫子「哩先輩ですよね?」


京太郎「……は?」

姫子「見ました。二人がキスしとっとこ」

京太郎「お前、まさかそれで……」

姫子「だって、やじゃなかとですか? 置いてかれるの」

京太郎「そんなわけないだろ、だって俺はお前に好きだって言うためにここまで来たんだぞ!」

姫子「あはは、うれしゅうばってん、無理せんでもよかとですよ?」

京太郎「バカ野郎! 俺の話ちゃんと聞いてんのかよ!?」

姫子「はい。やけん先輩が本心からそがん言ってくれるまで、待ってます」

京太郎「だからな――」

143 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 02:55:21.42 ID:Iw+vyAO+0


哩「姫子……!」


姫子「あ、哩先輩。遅かけん、先にいただいちゃいました」

哩「自分がなんばしょっとかわかっとっと!?」

姫子「しょんなかですよ。私、二人に置いてかれたくなかとですから」

哩「もうよか……京太郎ば解放しんしゃい」

姫子「そいで、二人して私ば置いてくんですよね?」

哩「やけん――」

京太郎「ダメだ、今のこいつには全然話が通じない」

姫子「京太郎先輩がウソ言いよっけん、私ばすいとーって」

京太郎「……こんな感じなんだよ」


姫子「あん時、キスしとっ二人ば見て、思いました」

姫子「おめでとうって言わんと、おめでとうって言わんとって」

姫子「ばってん、無理でした」

姫子「心ん中に黒か気持ちがどんどん広がって」

姫子「ああ、私は二人に置いてかれるんだって」

144 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:04:35.57 ID:Iw+vyAO+0


哩「……」


哩(ああ、そっか……)

哩(私ん中にあったはずの黒か感情は、姫子んところに……)

哩(今、流れてくっこん気持ちも元は私んもんで……)


哩「……京太郎」

京太郎「悪い、情けないけどお前の力を借りなきゃ――んむっ」

哩「んっ――ごめん、ばってん私も……」


哩(もし姫子が京太郎ん気持ちば受け入れれば、今度は私が置いてかれる)

哩(なら、いっそこんまま……)

哩(……ころか女やと自分でも思う)

哩(そいばってん、京太郎と……)

145 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:14:56.86 ID:Iw+vyAO+0


姫子「えへへ、こいで哩先輩も一緒ですね」

哩「姫子はそいでもよかと?」

姫子「当然です。こん前もあがん泣きよったやないですか」

哩「……そう」


哩(私たちん心はつながっとる)

哩(そいがどがん歪なもんでも……)


京太郎「お前ら……」

哩「大丈夫、大丈夫やけん」

姫子「待っててくださいね。今元気になっ薬、飲んでもらいますから」


哩(そして、私たちは――)


146 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:23:52.67 ID:Iw+vyAO+0



姫子「ん、今動きました」

哩「しばらくはおとなしくしとっとね、よか?」

姫子「大丈夫ですよ、産休取りましたし」

哩「私生活でって意味やけん」

姫子「そいぎ先輩も一緒です。まだ目立っとらんですけど」

哩「まぁ、そいは自分でわかっとっけん、大丈夫」

姫子「とか言ってますけど、哩先輩こそなんも言わんで無茶しません?」

哩「……まいるよ」

姫子「あはは、持ちネタ出た」


『哩姫コンビ、ダブル妊娠発覚――!!』


姫子「あ、すごい。見出しにデカデカと乗ってますよ」

哩「けっこう騒がれとっとね」

姫子「IPS細胞がどうとかで、お互いの遺伝子で受精したんじゃないか……とか書いてますね」

哩「なんね、そいは」

姫子「ホントですよね。私たちにはちゃーんと愛すっ旦那様がいるのに」

哩「そうやね」

147 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:30:38.41 ID:Iw+vyAO+0


京太郎「おかえり、二人とも」


姫子「ただいまです」

哩「ただいま」

京太郎「ちょうど晩飯できたんだ。冷めないうちに食おうぜ」

姫子「そいより帰ったらなんばすっか、忘れちゃいました?」

京太郎「バカ、忘れるわけないだろ。ほら……」

姫子「――んっ」

京太郎「哩も」

哩「――んっ」

京太郎「愛してるよ、哩、姫子」

148 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:41:21.08 ID:Iw+vyAO+0


姫子「今夜もいーっぱいしましょうね」

哩「こら、妊婦は安静にせんとダメやろ」

姫子「やけん、そい哩先輩にもちかっぱブーメランですよ?」

哩「うっ……」

姫子「しかも明日は産休前の最後の試合やけん、京太郎先輩ん愛をチャージせんと」

哩「そいは……」


京太郎「冷めるぞー」


姫子「はーい」

哩「すぐ来っけん、待っとって」




『エンディング――鎖という名の絆』
149 : ◆zSdeXZwVBY [saga]:2017/12/30(土) 03:44:21.31 ID:Iw+vyAO+0
というわけで終了

言うのを忘れてましたけど
特殊エンドはものによってはかなり特殊な状況になるので注意してください
今回のは一応は姫子エンドからの分岐になります

安価は明日にぶん投げておやすみなさい
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