発明家「新型のゲーム機を作ったから、家に遊びに来い」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 05:23:00.04 ID:fe/OwF620
前スレ
発明家「お、やっと来たか被検体。遅いぞ全く」
ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511641047/


幼馴染「嘘こけてめえ。そうやってまたあたしを何かの実験台にする気だろ」

発明家「本当だ。米国のとあるゲーム会社が俺に新型ゲーム機の開発を依頼してきてな。その試作機が昨日完成したのだ」

幼馴染「へー。新型ゲーム機って言うとあれか……? 今流行りのVRとかか? それならちょっと興味あるぞ」

発明家「そんな時代遅れの代物なんかではない。俺の創った『ゆめごこち』はゲームの世界をもっとリアルに体感できる」

幼馴染「そりゃすげえな。でももうちょっとマシな名前考えてやれよ。マッサージ機みたいな名前つけやがって」

発明家「どうせ供給会社が最終的に名称を決定するんだから気にするな。とにかく部活が終わったらすぐに来い」

幼馴染「オッケー。楽しみにしてる」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512332579
2 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 05:49:56.34 ID:fe/OwF620

***

研究室

幼馴染「……」

発明家「どうした? 早くその椅子に座れ」

幼馴染「……ちょっと待て。お前の言ってたゲーム機って、もしかしてこれか? このぶっとい注射器みたいなのがたくさんついてるこの椅子のことなのか?」

発明家「そうだ。そのプラグを体の10か所に差し込むだけで、今までに味わったことの無いようなゲーム体験が……ってこらこら、どこに行く気だ」

幼馴染「帰るんだよ! んなヤバそうなもん、体にぶっ刺されてたまるか!」スタスタスタ

発明家「安心しろ、痛いのは最初だけだ。直に慣れる……はず」

幼馴染「はずってなんだ! あんたやっぱりあたしを実験台にする気だったな?!」

発明家「何事も最初は勇気がいるものだ。それ」ブスッ

幼馴染「いったああああああああああああああああ!」ジタバタ

発明家「10本差し終わったら意識が混濁するはずだ。そして精神だけがゲーム世界へと旅立つ。そこではドキドキワクワクの冒険がお前を待っているぞ」ブスッ

幼馴染「痛い痛い! てめえ、マジで覚えてやがれ!」ギヤアアアアアアアア
3 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 06:23:58.24 ID:fe/OwF620

***

ゲーム世界

幼馴染「……。こ、ここは……?」ハッ

幼馴染「まるで中世の城下町のようだ……。これ、ホントにゲームの世界なのか……?」ワイワイガヤガヤ

幼馴染「匂いも風も感じる……。ほっぺをつねったらちゃんと痛いし……」ギュウウ

発明家「……」ビュイイイイン

幼馴染「!」

発明家「ふう、俺もログインに成功したようだな。上手くいくか半信半疑ではあったが……ぎ痛たたたたたたたた! 折れる折れる!」

幼馴染「人をモルモットにしやがって……痛かったぞこの野郎……」ギュイイイイイイイイイ

発明家「ま、まさかあんなに痛いとは思わなかったんだ! 俺なんか自分で差してきたんだぞ? あまりの痛さに5本目で失禁してしまったほどだ!」

幼馴染「何情けないことを自慢げに語ってやがる!」ギュイイイイイイイイイ
4 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 06:52:39.45 ID:fe/OwF620

***

発明家「……で、どうだ? このゲームの感想は?」

幼馴染「売れるかどうかは別として、あんたノーベル賞貰えるよ」

発明家「だろう?」ククク

幼馴染「現実とゲームの境が分からなくなるってのはこのことなんだろうな。リアルどころの話じゃねえよコレ」

発明家「この世界ではすべての感覚が現実と変わらない。もちろん脳が錯覚しているだけなんだがな」

幼馴染「……ただよう」プルプル

発明家「どうした? 何か不満でもあるのか?」

幼馴染「何であたしら下着なんだよ! しかも街のど真ん中で! ///」

発明家「まだなんの装備も買ってないんだから仕方ないだろう」

幼馴染「仕方なくねえよ! せめて初期装備で衣服くらい着せろ! さっきから通行人の視線が痛いんだよ! ///」ハズカシイ

発明家「文句ならこのソフトを作った奴に言ってくれ」

幼馴染「え? これ作ったのあんたじゃないの?」

発明家「俺はゲームの世界に飛び込む機械を作っただけで、ソフト自体は既存のゲーム機のものだ。さっき買ったばかりだからこの世界のことは全然知らん」

幼馴染「てことは何か? 他のソフトにも対応してくれるのか?」

発明家「もちろんだ」

幼馴染「すごいなあんた!」
5 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 07:33:45.83 ID:fe/OwF620
発明家「このゲーム機がすごいのはそれだけではない。例えば長い夢を見たと思っても、実際には5分くらいしか経ってなかったって経験はないか?」

幼馴染「うん」

発明家「これも似たような現象が起こる。この世界で1日を過ごしても、現実世界では1秒しか経過していない」

幼馴染「遊び放題じゃねーか!」

発明家「そうだ。おまけに消費のペースが早くなり、ゲーム会社側にとっても様々なソフトを買ってもらいやすいという算段だ」
6 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 07:55:40.61 ID:fe/OwF620
幼馴染「あんたにしてはよく考えてあるじゃないの。よし、早速ゲームを始めよう!」ワクワク

発明家「そうだな。とりあえず衣服でも買うか」

幼馴染「お金なんかもってないぞ?」

発明家「街中を探索してたらお金くらい見つかるだろう」

幼馴染「この姿でうろつくのか……」

発明家「ちょっとした変態だな。ほら行くぞ」テクテク

幼馴染「ちょっとどころじゃねえって……」テクテク
7 : ◆zJYORZSm4M [saga]:2017/12/04(月) 08:13:59.39 ID:fe/OwF620

***

2時間後

発明家「おかしい……。どれだけ探し回ってもお金が落ちていない……」フウ

幼馴染「ま、まあそれが普通なんだろうけどな……。他人の家探索しようとしても、見つかったらすごい剣幕で怒鳴られたし……」

発明家「……何かしら働いて稼ぐしかないのかもしれんな」

幼馴染「なんか早期購入特典とかでいくら貰えるとかないのか……?」

発明家「あ、そう言えばパッケージにそんな感じのことが書いてあったような……」

幼馴染「もうそれに頼ろう……。流石に歩き疲れた」ドッコイセ

発明家「そうだな……。一度セーブしてログアウトするか。システム! セーブ!」

――セーブしました。

発明家「ゲームを終了する!」

――エラー。

発明家「ゲームを終了する!!」

――エラー。

発明家「ゲームを終了する!!!」

――エラー。

発明家「」

幼馴染「ど、どうした……? 青ざめた顔して……」

発明家「……。あの、怒らないで聞いてほしいんだが……」

幼馴染「怒らないから言ってみな」

発明家「……ゲームから出られなくなったみたいだ」

幼馴染「」
38.40 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)