提督「安価で元帥にパナイ質問をするだって?」

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262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 21:39:09.27 ID:3OkYw84SO
>>261
惜しいなあ
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:16:06.89 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「はじめまして。自分は揚陸艦のあきつ丸であります!」

陽炎「揚陸? ってことは」

あきつ丸「はい。自分は陸の人間であります」

陽炎「噂には聞いていたけど、陸軍の艦娘ってほんとにいたのね。はじめてみた」

あきつ丸「自分も海軍の艦娘ははじめてみたのであります。ははは」

提督(毎日見てるだろうが。なんで早速適当なこと言うの)

陽炎「ねえねえ、陸軍ってどんなところなの?」

あきつ丸「ああ、今日はいい天気でありますな」

陽炎「え? そ、そうね」

あきつ丸「……」

提督「……」

陽炎「で、陸軍って」

あきつ丸「まわりの仲間より優れていることは、特に立派なことではない。本当の気高さとは、過去の自分より優れていることだ 」

提督「は?」

あきつ丸「ヘミングウェイの言葉であります」

陽炎「はあ」

あきつ丸「……」

提督「……」

陽炎「陸軍ってさ」

あきつ丸「……」

陽炎「あの」

あきつ丸「くぅ……。はっ! 自分落ちてたのでありますか? で、なんの話でありますか?」

提督(この子話そらすのめっちゃ下手!)
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:17:03.63 ID:zjYNbbAb0
陽炎「そ、そんなに陸軍の話をするのが嫌なの?」

あきつ丸「嫌というわけではありませんが、別段面白い話でもないのであります」

提督「そうなのか? まあ無理して話さなくてもいいが」

あきつ丸「あ、面白い陸軍式ジョークならいくつかあるのでありますが」

提督「いや、それは別にいい」

あきつ丸「ではくだらない話をひとつ」コホン

提督「だからいいって! まじで!」

あきつ丸「自分最近車買ったのであります。もちろんいっぱい荷物が入るやつであります」

陽炎「は?」

あきつ丸「『DAIHATSU』はははは! なーんちゃって! 陸軍式ジョーク! であります!」

提督「うわあああ! 本当にくだらねえ!」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:18:13.03 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「どうです? 陽炎さん。すこしは陸軍のことがわかっていただけたでありますか?」

提督「いままでのやつ、プレゼンテーションのつもりだったのか……」

陽炎「いや、もう、どうしたらいいのか」

あきつ丸「ふっ。気付かなかったでありますか? 先ほどの他愛ない会話の中に、陸軍の心得が含まれていたことに!」

陽炎「え?」

提督「まじか」

あきつ丸「ひとつ! 陸軍たるもの常に天候を確認せよ! であります!」

提督「天候が悪ければ地面がぬかるむ。かといって良ければ日差しに体力が奪われる。天候に応じた行軍が必要だ。ということをいいたいんだな」

あきつ丸「ひとつ! 常に昨日の自分より強くあれ! であります!」

提督「陸軍の訓練はハードだと聞く。時に挫けそうなこともあるかもしれない。しかし自分を破壊するに至らないすべてのことが自分をさらに強くする。常に気高くあれ、ということだろう」

陽炎「一理あるかも」

あきつ丸「ひとつ! 睡眠は、えーっと、大事であります!」

提督「あー、不眠は、パフォーマンスを8割も落とすらしい。どんな状況でも眠れる技術がプロフェッショナルには必要だ。ということです」

あきつ丸「ひとつ! ユーモアは、えーっと、大事であります!」

提督「えー、うん。あれだ。リラックスすることも大切だということでしょう」

陽炎「……」

あきつ丸「……」

提督「……」

陽炎「あ、ありがと。なんとなーくわかったわ」

提督(気を遣われている! こんな小さい子に! 俺が!)

あきつ丸「いえいえであります。未来の同僚に陸軍のことを知ってもらうのも仕事のうちであります」

提督「未来の同僚?」

あきつ丸「ええ、陽炎殿。そろそろ陸のほうに来るという話のご決断をば」

陽炎「え? 何の話?」
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:18:47.34 ID:zjYNbbAb0
陽炎「そんな話あったっけ?」

あきつ丸「ええ、陸軍はいまかいまかと首を長くして待っているであります」

提督「……」

陽炎「え、えー? 忘れてたのかな。いやでも、うーん」

提督「あー、すまん。その話だが俺のところで止まってた」

あきつ丸「え?」

提督「俺のミスだ。陽炎さんに話すつもりがすっかり忘れていた。悪い」

陽炎「……ふーん」

提督「陽炎さんにその気もないみたいだし、上には俺から断っておくよ。あきつ丸もそれでいいか?」

あきつ丸「ふむ。しょうがないでありますな。なぜ提督殿が陸の上層部とつながってるかという話は置いといて」

陽炎「……あれ? そういえば確かに。もしかして陸のスパイ?」

提督(なんでこの鎮守府の艦娘共は嬉々として俺をはめようとしてくるんだろう……)
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:19:55.71 ID:zjYNbbAb0
陽炎「ごめんね? 陸軍が嫌ってわけじゃなくて私は駆逐艦だから」

あきつ丸「いえ、無理なお願いをした自分も悪いのであります」

提督「あんまり勧誘とかはしないでくれよ。みんな大事な戦力だからな。あとおれはスパイじゃない」

あきつ丸「え? スパッツ?」

提督「聞く気あんのか」

あきつ丸「失敬な! ちゃんと聞いてたであります! 提督殿が、その、スパッツを履いてみた、と」

提督「俺が!? なんでだよ! 履かねえよ!」

あきつ丸「え? スパッツじゃないとしたら下は何を?」

提督「下着だよ」

あきつ丸「……? つまり?」

提督「あれだよ。パンツだよ」

あきつ丸「え? スパッツ? 履くのでありますか?」

提督「だから履かねえっつってんだろ!」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:20:50.07 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「申し訳ないであります。自分スパッツが好きなので、そうだったらいいのになと」

提督(だからって何で俺だよ。なりふり構わなすぎだろ)

あきつ丸「ふー。残念であります。なかなかスパッツにめぐり合えないものですなあ」

提督「そういえば、最近スパッツ履いている娘も見なくなったな。昔は結構いたんだけどなあ」シミジミ

大淀「引くわ」

提督「なぜだ」

陽炎「あ、私履いてるわよ」

あきつ丸「おお!」

提督(おお、じゃねーよ)

あきつ丸「し、下は? 下はどうなのでありますか?」

陽炎「下?」

あきつ丸「スパッツの下は履いているのでありますか? 自分は履いてないほうがいいであります!」

陽炎「は?」

提督(何てこと聞いてんの!?)
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:22:23.31 ID:zjYNbbAb0
陽炎「下はまあ、履いてるけど普通に」

あきつ丸「そうでありますか。残念であります」

提督「あきつ丸。気持ちはわかるが、陽炎さんが困っているだろう。その辺にしてくれ」

あきつ丸「申し訳ないのであります」シュン

陽炎「いや、謝るほどじゃ」

あきつ丸「……ふぅ」

提督「……? どうした? あきつ丸」

あきつ丸「……だめでありますな。自分は」

陽炎「え?」

あきつ丸「今日の自分、少しおかしいのであります」

提督「……? 何を」

あきつ丸「申し訳ありません。好きな人の前ではどうしても張り切りすぎて、我を忘れてしまうであります」

提督「好きな人……?」

提督「……!」

『陽炎さん。そろそろ陸のほうに来るという話の決断を』

『スパッツは好きなのであります』

提督(あきつ丸……。お前まさか)

あきつ丸「こんなことしてもどうしようもないってわかっているのに、本当に駄目であります。アンポンタンであります」

あきつ丸「アンポンタンの艦娘がいるとしたら、誰でありましょう? それはきっと、自分のことであります」

陽炎「あきつ丸さん……」

提督「あきつ丸……」
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:23:45.94 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「それでも知っておいてほしいのであります。あなたの想っている人間がここにいると」

提督「……。陽炎さん、こいつは不器用かもしれないが決して悪いやつじゃない。私が保証します。だから少し話をきいてやってほしい」

陽炎「……? え、ええ」

提督(俺にしてやれるのはここまでだ。あとはお前次第だ。がんばれあきつ丸)

あきつ丸「……」スーハー

あきつ丸「で、では」

陽炎「……はい」

あきつ丸「はじめてあったときからずっと、慕っておりました」

あきつ丸「提督殿」

提督「俺のことかい!!!」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:24:35.33 ID:zjYNbbAb0
提督「え? あきつ丸の好きな人って俺?」

あきつ丸「そ、そうであります。多分」

提督「え。えー……。陸軍に来てほしい云々は?」

あきつ丸「……だから我を忘れて変なことを口走ってしまったと」

提督「スパッツが好きってのは?」

あきつ丸「て、提督殿が好きなものを自分も理解しようと思いまして」

提督「……別に俺スパッツ好きじゃないけど」

あきつ丸「え? でも提督殿は艦娘のつけているものに興味津々だと伺って」

提督「そうだった。忘れてたけど俺、艦娘のつけてるものに興味津々だった」

あきつ丸「いや、そもそも何でこの流れで陽炎殿だと思うのでありますか? 女同士なのに」

提督「……。完全にそのとおりだわ。さっき似たような流れがあったから、それが普通だと思ってた」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:26:21.73 ID:zjYNbbAb0
提督「え、えー。まじか」

陽炎「あーあ、こりゃ責任取らないといけないわね。なにせさっき悪いやつじゃないって言ってたし」

提督「いや、でも、俺は」

あきつ丸「提督殿、自分は、そ、その……」

提督「……」

あきつ丸「……」

提督「……」

あきつ丸「な、なーんちゃって! 陸軍式ジョーク! であります! ははは」

提督「……」

あきつ丸「はは」

提督「……」

あきつ丸「あ、あの何かしゃべってほしいのであります……」

提督「え、えーっと」

あきつ丸「……」ドキドキ

提督「ほ、保留で」

あきつ丸「は?」

陽炎「はあああ!?」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:33:22.07 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「ど、どういうことでありますか?」

陽炎「ひっどー。せっかく女の子が勇気を出して告白したのに。答えがそれって」

大淀「さいてーだ! さいてーとくだ!」

提督(なんで俺こんなに責められてるんだろう……)

提督「その、ちゃんとした答えを出したいのは山々ですが、今日はいろいろなことがありましていまだちょっと混乱してて」

あきつ丸「……?」

提督「その、自分が嬉しがってるのかうんざりしてるのか。それすらよくわかってない状態でありまして」

提督「こんな状態で答えを出すのはフェアじゃないし、何より相手に対して失礼だ。と思いまして」

提督「……」

提督「だから、その、少し時間をくださいということで」

陽炎「うわー」

大淀「ないわー」

提督「ごめんなさい」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 23:34:47.21 ID:54fWN9iDO
この提督まじひくわー
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:35:05.33 ID:zjYNbbAb0
陽炎「で? いつ答え出すの? 今?」

提督「できればもうちょっと時間をください」

あきつ丸「一週間くらいでありますか? まあ気長に待っているのであります」

提督(こいつはこいつで何で急に余裕綽々だよ)

あきつ丸「まあ、それはそれとして、そろそろでありますか?」

提督「……?」

陽炎「そうね。時間的にはちょうどいいんじゃない?」

大淀「はい、もういい頃合ですね」

提督「……は? それってどういう?」

大淀「では……」スッ

パーン

「「「提督! いつもお疲れ様ー!」」」

提督「……」

提督「は?」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:35:50.41 ID:zjYNbbAb0
提督「え? え? 何だこれ。どういうことだ大淀。場合によってはしばくぞ」

大淀「提督。今日、何かおかしいなと思いませんでしたか?」

提督「思ったよ。おかしいことだらけだよ」

大淀「例えば、最初のお客さんが大鳳さん、次は蒼龍さん、伊58さん。この順番に何か意味があるなとは思いませんでしたか?」

提督「秋津州さん、大和さん、飢狼さん、葛城さん、陽炎さん……。まさか! 三の倍数の艦娘は!」

大淀「そう! 何の意味もありません!」

提督「じゃあ何で言ったの!?」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:36:59.32 ID:zjYNbbAb0
大淀「つまりは今日のことはすべて、仕込だったというわけですよ。この提督お疲れサプライズパーティのための」

提督「サプライズパーティ?」

大淀「はい。だから今日は提督を部屋の外に出すわけにはいかなかったんですよ」

提督「じゃあまさか休む暇なく艦娘がきたのも!」

大淀「ええ、提督を外に出さぬよう予め用意しておきました」

提督「大淀が外に出ようとしなかったのも!」

大淀「はい。タイミングを外に知らせるためにここにいる必要があったのです」

提督「じゃお客さんが元帥の部下ってのも嘘なんだな!?」

大淀「いや、そこはリアルですが」

提督「なにしてくれてんの!?」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:37:42.79 ID:zjYNbbAb0
大淀「大丈夫です。今日呼んだ方はすべて私と青葉さんの友人ですし」

提督「そ、それならまあよかったのか?」

大鳳「でもあんな質問されるなんて聞いてませんでしたけどね」

提督「うわっ! か、帰ったのでは?」

大鳳「帰りませんよ! パーティーのために来たんですから!」

提督「……ほかの方も?」

蒼龍「もちろん! いますよ!」

提督「そっか。ほんとに、全部、仕込みだったのか。よかった」

大和「ふふ、安心しました?」

提督「大和さん。ええ、本当に。しかし、失礼なことをしたのには違いありません。お詫びとして今日は存分に飲み食いしていってください」

大和「え? いいんですか?」

提督「え? まあ、はい」

大和「ほんとに? ほんとにですか? やったー! うふふ、ありがとうございます!」ペコリ

提督(たかがパーティの料理くらいで……。変な人だな)
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 23:38:08.68 ID:vxW8VP9h0
二番目に来たの飛龍じゃない?
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:38:19.54 ID:zjYNbbAb0
青葉「司令官! どうでしたか? 青葉のサプライズ!」

提督「青葉か。いや、忘れてたよ。お前らは基本ポンコツだけど、こんなくだらないことには懸命に取り組むやつらだったな」

青葉「む、褒めてます? それ」

提督「いや、すごいうれしいよ。ありがとな」

青葉「ま、司令官にはいつもご迷惑をお掛けしてますから! その恩返しですよ!」

提督「自覚はあったのか……。あ、そうそう青葉、一つ聞いていいか?」

青葉「……? なんですか?」

提督「このパーティーの費用と集めた人の交通費。どこから工面するんだ?」

青葉「は?」

提督「……え?」

終わり
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:41:51.18 ID:zjYNbbAb0
エピローグ

提督「ここにいたのか。あきつ丸」

あきつ丸「提督殿。お早い起床ですね」

提督「なぜか目が冴えちまってな。酒を飲んだ次の日はいつもこうだ」

あきつ丸「では自分が子守唄でも歌いますか? 今なら膝枕もオプションで付けますが」

提督「勘弁してくれ」

あきつ丸「冗談であります」

提督「あきつ丸は? 眠れなかったのか?」

あきつ丸「自分も提督殿と同じであります」

提督「……?」

あきつ丸「お酒を飲んだ日はいつも、眠りが浅くなるのであります」

提督「あー、たまに寝言いってるもんな」

あきつ丸「え? な、何と……?」

提督「『提督殿、大好きであります』」

あきつ丸「〜〜っ!! 不覚でありますっ! もう死ぬしかないであります!」

提督「い、いや、冗談だ。陸軍式ジョークだ」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:42:36.67 ID:zjYNbbAb0
あきつ丸「提督殿は意地悪であります」

提督「はっはっは」

あきつ丸「……はぁ、もう」

提督「……」

あきつ丸「提督殿パーティは楽しかったでありますか?」

提督「ああ。楽しかったよ。なんだいきなり」

あきつ丸「いえ、昨日はその、サプライズのためとはいえ、上官に対して失礼な言動をしてしまったのであります」

提督「……。うわ、そういやそうだわ。上官だったわ俺。あいつらがあまりにアレだから麻痺してた」

あきつ丸「申し訳ないのであります。自分最近の艦隊の雰囲気に呑まれているであります。反省」

提督「別にいいよ。それだけあきつ丸が艦隊に馴染んできたってことだしな」

あきつ丸「……」

提督「何だ? まだ何かあるのか?」

あきつ丸「提督殿は、その、嫌ではないのでありますか?」

提督「何が?」

あきつ丸「昨日のフォローのことであります。身内がへまをして、それでそのためのフォローに時間をとられて。それでも自分の評価が上がるわけではない。そんなことをしていて嫌にはならないのでありますか?」

提督「嫌なこと聞くなあ」

あきつ丸「……」

提督「たしかにまあ、嫌になるときはあるな。この野郎と思うときもある」

あきつ丸「やはり……」

提督「でもその分、報われているよ。俺は」

あきつ丸「そうでありますか?」

提督「ああ。みんながお疲れ様って言ってくれて、いつもありがとうって言ってくれて。ああしてサプライズパーティまでしてくれる」

提督「普段はポンコツで手を焼かせるくせに、ああいうことは全力でやるんだ。あいつら」

提督「……だから報われている」

提督「あきつ丸が思っている以上に、俺は、報われている」

あきつ丸「……」

提督「納得したか?」

あきつ丸「ふむ。彼氏のたまに見せる優しさに騙されて、なかなか別れを切り出せない都合のいい女みたいでありますな」

提督「ほっとけ」
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:44:09.26 ID:zjYNbbAb0
提督「お、そろそろ明るくなってきたな」

あきつ丸「そうでありますな。そろそろみんなを起こさなければ。であります」

提督「……なあ、あきつ丸」

あきつ丸「なんでありますか?」

提督「俺は、出世コースから外れている。出世はたぶんもう望めない。こんな僻地に飛ばされているしな」

あきつ丸「知っているのであります」

提督「おまけに部下の管理も満足に出来ない。勝手に色々やりやがるからなあ、あいつら」

あきつ丸「知っているでのあります」

提督「あと優柔不断で、よく雰囲気に流される。昨日もなかなか格好悪いところみせちまった」

あきつ丸「それも、知っているのであります」

提督「だから」

あきつ丸「だから?」

提督「今日は仕事をほっぽってこのままデートに行くというのはどうだろう?」

あきつ丸「お仕事は、いいのでありますか?」

提督「昨日は散々苦労させられたんだ。今日くらい優秀な秘書艦様に任せるよ」

あきつ丸「元帥殿の部下もまだいるというのに」

提督「そこは後で何とかするさ。何を隠そう。俺はフォローが得意なんだ」

あきつ丸「ふむ。それは、知らなかったでありますな」クス
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:45:06.53 ID:zjYNbbAb0
「だからこのままデートに行こう」

もう一度誘った。口説き文句はこれしか知らない。

彼女はしょうがないなあという顔をして笑って。つられて俺も笑った。

それから彼女の手を引いて、堂々と正門から外に出た。

もしかしたら誰かに見られていたかもしれない。でも、なぜだかそれでもいいと思った。

たった二人の、一日限りの、逃避行。きっとみんなは許してくれると思ったから。

少し歩いて、鎮守府のほうを振り返って、二人で顔を見合わせて、もう一度笑った。

とある潜水艦の占いは当たっていて、本日の天気は晴朗なれども波高し。

つまりは、絶好のデート日和である。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:46:20.80 ID:zjYNbbAb0
(……)

大淀「ふー、会費を集めて、みんなからカンパしてもらって、それでもまだ赤字ですか。というか大和さんどんだけ食べてるんですか。ほんとに」

バーン

鬼怒「た、大変だよ! 大淀さん!」

大淀「どうしたんですか? そんなに慌てて」

鬼怒「ほらこれ! 元帥からお手紙が来たの!」

大淀「へ?」

鬼怒「ちょっと見てよ!」ペラ

大淀「……ふむふむ」

鬼怒「もしかしたら、この前のパナイ質問のこと? さすがに怒らせちゃったかなあ」

大淀「んー、どうもそんなことではないようですよ」

鬼怒「へ? そうなの?」

大淀「うだうだ書いてますけど、要するにこっちの提督もあっちに挨拶に来いってことですね。もちろん艦娘を連れて」

鬼怒「つまり?」

大淀「やられたらやり返す、と」

鬼怒「あー」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 23:48:42.89 ID:zjYNbbAb0
とある鎮守府は僻地にありまして、お偉いさんの目に付かないのをいいことに、いつも誰かが悪巧み。

誰かが何かをやらかして、提督に大目玉をくらって、挙句の果てには外を走らされるのです。

今日も海はひたすら波高く、陸ではもっぱら重巡洋艦が走らされ、空はただただ一人の軽空母のものでした。

いつも通りの光景ですが、いつもと少しだけ違うのは、提督と一人の艦娘がいないこと。

「でもさ、黙ってやり返される私たちじゃないよね?」

「当然です。さて、提督のいないうちに作戦会議といきましょう」

「よしきたっ! 今回こそは鬼怒もやるんだから!」

いつも誰かが悪巧み。はてさて今回は一体どうなることやら。

これはとある鎮守府のポンコツな艦娘たちと、そのフォローをする提督のお話です。

287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/01(日) 23:49:47.59 ID:zjYNbbAb0
>>279

ほんまや二番目にきたの飛龍でしたごめんなさい
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/01(日) 23:50:50.36 ID:zjYNbbAb0
更新遅れて申し訳ない魔人退治してました

安価とってくれたみんなありがとうございました

289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 23:55:37.25 ID:54fWN9iDO
お疲れ様でした
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 00:04:22.83 ID:GBWANRnvO

まさかあきつ丸がヒロインだったとは…ヒロインは遅れてやってくるんやな
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 00:10:53.53 ID:1BjLcQYgo
おつ
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 00:32:09.62 ID:eX4ZjR5io
やり返し編も期待
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 02:27:38.74 ID:bqkTtBHs0
ネタばらしが丁度4月1日に終わったのも良かった
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 10:38:49.21 ID:iWq3Nv6+0
おつおつ
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