LiPPSとアインフェリアが生存本能ヴァルキュリアの世界を生き抜いたようです

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76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 19:50:32.91 ID:KSBX8iRJO
奏たちがダイオウカーの世界に行ってるからそれは無くならないんじゃ?
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 16:17:33.29 ID:TrJeYTsyo
>>69
一人当たりの負担が減るから人数増やしますねってしんどさ変わってない……
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 19:04:09.83 ID:hyD8eX9ao
ありすの両親の職業って出てたっけ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:26:29.82 ID:77dB1cBt0
>>75
奈緒編の4スレ目の一番最後にちらっとやった奈緒がいなくなった後のおまけです。

80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:30:14.40 ID:77dB1cBt0
――フレイヤU(ブリッジ)

ありす「北条少尉、フィールドジェネレーターを起動、次元振動情報を再取得してください」

加蓮「はい、観測データを更新……指定宙域ポイントで次元振動の発生を確認しています。次元断層まで残り30です」

ありす「ビー側からの情報と事前観測から、白蜂の可能性が高いです。フレイヤは戦闘準備を行います」

ありす「複合ミサイル発射管1番から20番にアルヴァルディを装填。高エネルギー単装砲レーヴァテイン1番を準備」

加蓮「ミサイル装填準備完了。次元断層まで20、10……次元断層発生しました。レベルは2……空間転移です!」

ありす「レーダー情報の再取得! 対象は!」

加蓮「予測通り極小規模の蜂の巣、GS型が3匹です!」

ありす「敵性と判断、コンディションレッド! 戦闘行動に移行します。アルファ小隊はGS型の迎撃、フレイヤの弾幕支援後に行動してください!」

加蓮「索敵結果をNGF各機に転送します。ポイントに向けてアルヴァルディ、発射!」

……
…………
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:31:41.77 ID:77dB1cBt0
――戦闘宙域

GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!! 

GS型「!!」ブブゥゥゥゥンッ!!

GS型「……!」ブブゥゥゥゥンッ!!

ズドドドドドドドドォンッ!!


ナオ『アルヴァルディ着弾確認、戦闘開始だ。コンビネーションマニューバはH05、速水少尉、城ヶ崎少尉、あたしと前に出る。塩見少尉は支援だ』

奏「了解」

周子『はいはーい。頑張ってね』

美嘉『行くよ!!』ギュオオオオオッ!!

ナオ『おい、動くのが早いっての! 速水少尉、行くぞ!』

奏「張り切ってるんだから……了解!」ギュオオオオオッ!!

ナオ『塩見少尉、左の1匹に追加の弾幕で牽制!』

周子『ほーれ、ミョルニル!』ボシュシュシュッ!

GS型「!」ギュンッ!!
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:37:42.61 ID:77dB1cBt0
美嘉『分断出来た……このっ!』ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

GS型「!?」ドガァァァンッ!

GS型「!!」ギュンッ!

ナオ『1匹止めた、速水少尉!』

奏「抑えるわ! そっちはお願い!」ガションッ!

奏「CG形態……立体機動戦闘で遅れを取るつもりはないわ、そこよ! ドラウプニル!」

ドガガガガガガッ!!

GS型「!」ヒュカカカッ!

奏「チッ……!」

ナオ『HCW-211ロングソードを展開する!』ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

GS型「……!」ギュオオオオオッ!

ナオ『セカンドドライバーじゃないが、近接戦闘で逃がすわけには! はあああああっ!』ブォンッ!

シュパアアアアアンッ!!

GS型「……」ブ……ブブ……

ドガアアアアアアンッ!!

ナオ『1匹!』
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:38:44.75 ID:77dB1cBt0
周子『うえっ、こっちで引っ張ったのが……!』

ナオ『速度上げろ!』ボシュシュッ!!

ドガガガガガッ!

GS型「!?」ギュンッ!!

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

奏「巣からGS型が……!」

ありす『各機、追加のGS型が3匹です! レーヴァテインで牽制します、現在戦闘中の奴らの対応を急いでください!』

ナオ「追加のお出ましか……!」

美嘉『まだこっちが終わってないのに……このっ、いい加減落ちろ!!』ドシュゥンッ!

GS型「……!」ヒュカカカッ!

ドシュシュシュッ!

美嘉『針……ぐぅっ!』ギュオオオオッ!

奏「美嘉!」ギュオオオオオッ!

ドガガガガガガッ!!

美嘉『奏……っ!?』
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:41:03.31 ID:77dB1cBt0

奏「無理していいコトなんて無いわよ。早いところ――」

GS型「!!」ギュンッ!

奏「こっちにも……!」

周子『後ろだって! ダインスレイヴ!』ズドォンッ!

ドガアアアアアアアンッ!!

奏「周子……!」ギュンッ!

周子『そっちが美嘉ちゃんフォローするなら、こっちだってフォローするからね』

奏「……」

周子『なーに、以外やった?』

奏「……いえ、そうね。チームってそういうものだものね」

周子『そうそう、美嘉ちゃんもしっかりやりなって』

美嘉『……ゴメン、ありがと』
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:43:31.44 ID:77dB1cBt0
ナオ『各機、コンビネーションマニューバをH02に、残りの2人もCG形態に切り替えて立体起動戦闘に移るぞ!』

周子『追加分も手っ取り早くすませないとね』

奏「了解。アレ、使っていいかしら?」


キィィィィン……


ナオ『……』

奏「ナオ! このタイミングでいいかしら?」

ナオ『ん……ああ、今のうちにシステムに慣れておいたほうがいい。急いでくれよ!』

美嘉『オッケー、行くよ! ヴァルキュリアシステム、起動!』ピシィッ!

パシュウンッ!!

奏「この感覚……! 視界が広くなって……いけるわ!」ドクンッ!

周子『残り4匹、さっさと終わらせよっか』

奏「ええ……!」ギュオオオオオッ!!

……
…………
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:47:51.42 ID:77dB1cBt0
――フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「VS23SXの3機、ヴァルキュリアシステムを起動しました」カタカタカタッ!

ありす「バイタルデータを取得。システムログの採取は忘れずにお願いします」

ピピッ!

ありす「GS型の増援に伴い、艦を前進させます。ティルウィング発射準備、巣の破壊を試みます』

加蓮「陽電子砲は?」

ありす「ティルウィングで十分です。ティルウィング1番2番準備! 前進に合わせて再度アルヴァルディを射出します」

加蓮「弾幕支援を行いつつ前進します。射線データを各機に転送、艦速度上げます」カタカタカタッ!

ありす「アルファ隊の支援後、艦の――」ピクッ!


キィィィィンッ!


ありす「……」

加蓮「……大尉?」


キィィィィンッ!


ありす「……いえ、艦の正面にイージスの展開準備を。白蜂の砲撃に備えます」

ありす「この感覚は……」


……
…………
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:51:05.45 ID:77dB1cBt0
――同時刻、木星圏宙域、夕方、ナシヤマ、オート・クレール社工場(オフィス)

晶葉「すまんな、新型のテストデータの分析に付き合わせて」

P「いや、これくらいは構わん。今日は楓さんも一日中現場に行ってるし、それに自分が乗る機体だ。時間があればこれくらいはやる」

晶葉「テスターと合わせてやると、お前の稼働時間がな……とりあえず、後は私のほうで処理しとくから上がっていいぞ」

P「いいのか? 出力比の見直しも時間掛かるだろう」

晶葉「天才に向かって何を言っている。これくらい大した手間じゃない」

P「ならいいが……それじゃあ、すまないが今日は失礼する」

晶葉「ああ、しっかり休めよ。前からリハビリプログラムでこちらに来ていたとはいえ、退院したばかりなんだからな」

P「もう、だいぶ調子もいいんだがな……では博士、明日な」

……
…………
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:54:03.39 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ、ショッピングモール(広場前)

P「今日は楓さんに車出してもらっていたのを忘れてたな……美波たちはまだ本部だし、運動がてらに歩くか」

P「……」


『宇宙統一アイドルオーディション!! 期間登録受付中!』

『次期予定されているビー居住区画の改修計画、区画拡大については現状の受入体制の見直しと合わせ、増設予定のコロニーへの移住者の募集を開始しました』

『それにしても今年のシティホール、例年以上に賑わいましたね!』

『今年一番のアイドルユニット参加数ということですから当然! 軍の広報部にも依頼して例年以上にアイドルを参加させて頂きましたからね!』


P「……」


「次のライブどうする? チケット応募したんだけどさー」

「うちの会社なんだけど、この前ビーの勤務内容変わってね。採掘場に行くって話になって」

「今日はパパ、おうち帰ってくるからね。一緒にご飯作って待ってよっか」


P(……平和だな。人も、ビーも……誰もが……)

P(共に生きていく中で、決して小さくない問題もある。だが……皆で辿り着いた、価値のある平和)

P(そうだろう……黒井大佐、麗奈、奈緒……)


……
…………
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 00:58:30.04 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ(緑地公園)

P「晩飯、何か用意しようとしているもの、あったんだろうか」ガサッ

P「皆帰ってくるだろうし、鍋もいいかと思ったが……」

P「スーパー寄る前に聞いておけば――」



キィィィィン……


P「……?」ピクッ!

P(……なんだ?)



キィィィィン……


P(なんだ……何か、違和感が……)

P「この感覚は……」




ピピピピピッ! ピピピピピッ!

P「端末から緊急速報……?」ピッ!

P「木星圏宙域……ナシヤマ防衛圏外に、蜂の巣……!?」

P「そんな、まさか……観測していた予測時期よりも随分と早い……いや、今はそれより……くそっ!」

タタタタタタッ!

……
…………
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:01:56.22 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ、オート・クレール社工場(オフィス)

晶葉「楓、現場に出ているスタッフも全員まとめてすぐにオフィスに戻ってこい! この宙域で次元断層が発生した!」

楓『そんな! それじゃあ、やっぱり……』

晶葉「認めたくないが、やはり観測データの推移通りだったということだ……とにかく来い!」カタカタカタカタッ!!

ピピピッ!

晶葉「おい大佐、さっさと通信に出ろ! 録音聞いたら掛けなおせ!」

ガタッ!

晶葉「くそっ! 木星圏宙域から内部、いや端末1台じゃ無理か。土星圏と火星圏の分は他の端末で取るとして……」

晶葉「対象宙域の空間構成情報の採取と次元振動、断層状況を……!」


ピピピッ!


晶葉「なんだ!」ピッ!

P『博士、俺だ!』

晶葉「助手か! 今どこにいる!?」

P『港にいる! 管理センターからの緊急速報を見た、どこの倉庫だ!』

晶葉「B7-2だ! だがまだ、こちらに空間転移後の情報が来ていないぞ!」

P『緊急時だ、悠長にしていられん。愛梨と蘭子には楓さんから連絡させてくれ、アインフェリアもだ!』

晶葉「分かった。後でこちらの測定状況は送りつけておく。頼むぞ!」

P『当然だ!』

……
…………
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:05:05.34 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ(戦闘宙域)

「隊長! 空間転移地点から蜂の巣の出現を確認! 中規模の巣が1つです!」

「迎撃部隊の編成が足りん。管制塔から本部に連絡させて待機部隊も出させろ!」

「レーダー照合、表に出ているのはGS型10、G型3です!」

「中規模ならばG型まで出てくるか……3Nのパイロットは支援、残りは前に出る! コンビネーションマニューバだ!」

GS型「!」ギュンッ!

G型「!!」ギュオオオオオオオッ!!

「迎撃行動に入る。待機部隊の出撃まで無理はするなよ!」

「了解!」


……
…………
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:08:21.05 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ、軍本部


キィィィィンッ!!

美波「この声は……あの時と同じ、みんなの……いえ、でもそれだけじゃあ……!?」



キィィィィンッ!!

「ダメだよ! アンタたちはみんな食べるつもりなんでしょ!? ヒトだって、私たちだっているんだから!!」

夕美「どうして!? 前にお話ししたときより……ずっと、ずっと怒っている声……」


キィィィィンッ!!

藍子「ダメです、ここにはみなさんがいるんです! あの時、分かってもらえたんじゃなかったんですか……!?」



キィィィィンッ!!

文香「いけません……全てを、衝動に変えてしまっては……これ以上は、命ある者として……二度と、戻れなくなります……」



……
…………
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:09:40.15 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ(戦闘宙域)

G型「!!」ヒュカカカッ!

ドシュシュシュッ!

「うわあああああああっ!?」

ドガアアアアアアアンッ!!

「迎撃部隊稼働率低下! GN-003、006、007の反応がありません!」

「巣もナシヤマに向けて接近しています! このままでは部隊が持ちません!」

「3NX、4Nについては全機GNブーストの使用を許可する! 巣の対応を行うヴェールの出撃はまだか!!」

「間に合いません! このままでは防衛ラインを突破されます……ああっ!?」

GS型「……!」ブゥゥゥンッ!!

「しまった、1匹抜かれた!?」

「このままでは――」

ピピピピピッ!!
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:10:58.51 ID:77dB1cBt0
ズドォォォォンッ!!!!

GS型「!?」ドガアアアアアアアンッ!!


「防衛ラインを抜けたGS型の反応が消滅! 管制塔側よりコロニー周辺に積層イージスの展開が行われます!」

「今のは……今の砲撃はどこから来た!?」


ピピピピピッ! ピピピピピッ!


「宙域に接近するNGFが1機……い、いえ、NGFではありません、グレイプニールです!」

「この時代に戦闘機だと!? 機体コードは!」

「機体コード……VILS-01R……未登録のコードです」

「なんだ、なんだあの機体は……!?」





P『VILS-01Rヴァルキュリア、出るぞ!』ギュオオオオオオオッ!!





……
…………
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:15:52.75 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ、管制塔(管制室)

「積層イージスの展開完了。コロニー内で避難完了済の連絡がある一般住居区画の機能を順次停止させます」

「避難誘導、各シェルター点灯しています。工業区画にいる住民の一部は軍用地下施設へ誘導しています」

「何だあの機体は!? 海賊がこちらまで出張ってきたのか?」

美優「十時愛梨大尉、神崎蘭子中尉より……出撃申請が来ています。迎撃部隊出撃用のカタパルトへ、NGFを移動させます」

「あの戦闘機は! ミーミルで過去の戦闘記録から類似機種を探せ!」

ピピッ!

「アルヴィス内の対話の日の戦闘記録で、同一機種と思われる機体の戦闘データが存在しています」

「VILS-01、プロジェクト・ヴァルキュリアが保有していたグレイプニールの派生機です」カタカタカタッ!

「プランVのところか!?」

ピピピッ!

美優「管制室への直接通信です。回線開きます」カタカタカタッ!
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:17:40.63 ID:77dB1cBt0
P『こちらオート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。古い機体だが戦線に参加したい。ローカル識別コードをもらえるか』

美優「え、Pさん……!?」

「P、P……P少佐か! 何故オート・クレールの立場で……」

P『2年前までは嘱託扱いで軍に戻っていたが、またしばらく離脱していたのでそちらに機体を置いていなかったんだ。頼めるか?』

「いや構わん、すまないが迎撃部隊に手を貸してやってくれ。間もなくシンデレラガールズも出撃するところだ」

P『2人も出るか……美優、すまんが管制室で測定している宙域データとレーダー状況をウチの開発室に転送しておいてくれ。後で報告書は出す』

美優「は、はいっ……識別コードについても振り分けます……」

P『では行ってくる。機体が機体だ、あまり無理はしないさ』

ピッ!

……
…………
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:22:24.93 ID:77dB1cBt0
――ナシヤマ、軍管区施設、カタパルト(機体内)

蘭子『愛梨ちゃん、準備は大丈夫?』

愛梨「はいっ、整備点検も終わっていたみたいだからバッチリです!」カタカタカタッ!

蘭子『Pさん、VILS-01で出るなんて無茶苦茶なんだもん……もう……』

愛梨「Pさんなら大丈夫ですよ。私たちも頑張りましょうね」パチッ、パチッ!

蘭子『……うむ! 宵闇の中、我が堕天の翼を羽ばたかせ眷属の元へ!!』

愛梨「戦闘中は標準語、ですよ♪」

蘭子『はーい』

『出撃準備完了。発進お願いします』

愛梨「わかりました。十時愛梨、NGF-VSTG4-FWでいきまーす!」

蘭子『漆黒の翼、ブリュンヒルデ……NGF-VS02CS、出撃します!』


……
…………
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:29:48.26 ID:77dB1cBt0
――戦闘宙域

P「貴様たち……グラム発射!」ズドォンッ!!

GS型「!?」ドガアアアアアンッ!!

P(干渉装置の効果はあるはずだ……だが、それを抜けてきたということはやはり……このままでは持たないのか!)

G型「……!!」ブブゥゥゥゥンッ!!

P「……それでも、貴様たちにコロニーをやらせるわけにはいかん!」ピッ!

『―Super Maneuver Mode Migration―』

G型「!!」ヒュカカカッ!

ドシュシュシュッ!!

P「……!」ギュンッ!

キィィィィン……

P「……っ!?」ピクッ!

P(また、この感覚は……違和感が……いや、今はそれより……!)

P「貴様等の動きは……見える。針になぞ当たらん!」ギュオオオオオオオッ!!

ガションッ!!

P「ダインスレイヴ!」ズドォンッ! ズドォンッ! ズドォンッ!

G型「……!」ドガァンッ!!

P「そこだ!」ズドォンッ!

G型「……」ブブ……

ドガアアアアアアアンッ!!
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:37:31.20 ID:77dB1cBt0
ピピピピピッ! ピピピピピッ!

P「巣から追加の奴らが来たか……G型2、GS型8……!」

ピピピッ!


愛梨『蘭子ちゃん!』

蘭子『はい、ウイングバインダー展開、バルムンク照準!』

愛梨『指定区域内のスティングにターゲット……フルウェポン、バーストします!』ピピピピッ!!

ズドドドドドドドドッ!!!!

P「十時大尉、神崎中尉か!」

愛梨『はーい♪ Pさん、大丈夫ですかぁ?』

蘭子『うむ! 眷属を守護するのは当然のこと!』

P「戦闘中は少佐と呼べ。後お前は標準語だ」

蘭子『はぃぃ……』

P「来てくれて助かるが、流石にこの機体でお前たちとマニューバを組むのは……」

愛梨『いけると思いますよ〜? グレイプニールとNGFの混成マニューバって初めてですけど』

蘭子『Pさんだからあんまり心配してないから……』

P「あ、そう……それならコンビネーションマニューバはY03で行う。中尉、前を頼む」

蘭子『了解です!』

愛梨『私、この装備じゃGN形態になるの大変ですし支援しますね』

P「よし、では行くぞ。コロニーを背にしてG型を相手するのは、迎撃部隊では荷が重い。なるべくこちらで片付ける」

愛梨『頑張りまーす!』

……
…………
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:40:46.04 ID:77dB1cBt0
――同時刻、土星圏、戦闘宙域

奏「これで最後よ! 美嘉!」

美嘉『オッケー! 足止め任せたよ!』

周子『りょうかーい。16連装誘導ミサイルランチャー、ミストルティン発射!』

ボシュシュシュシュシュッ!!

GS型「……!」ギュンッ!

奏「そこよ!」ドシュゥンッ!

美嘉『サーベル! これでええええええ!!』ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

GS型「……」ブ、ブブブブ……

ドガアアアアアアアンッ!!

美嘉『やった……!』

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:41:43.78 ID:77dB1cBt0
奏「巣のほうは!」


ズドドドドドドドドッ!!!!


ナオ『ティルウィングが……フレイヤも巣の破壊は終わったか』

ピピピッ!

ありす『はい。こちらも完了しました。コンディショングリーンです』

加蓮『みんな、お疲れ様』

奏「ふぅ……終わったわね」

周子『あー疲れた。よかったよかった』

美嘉『大尉、もう大丈夫?』

ありす『はい。レーダー情報からもこの宙域にこれ以上白蜂はいません。また、次元振動についても停止しているので、これで作戦終了です』

ナオ『了解……それじゃ帰艦するか』


……
…………
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:42:44.11 ID:77dB1cBt0
――フレイヤU(格納庫)

パシュンッ!

奏「ふぅ……良い機体ね。システムも……確かに、S-02で戦闘をしていた時よりも、随分と視界がクリアだったわ」

奏(これが、新型……これなら、何があっても……)


周子「奏ちゃーん。よしよし、元気そうやね」

奏「どうしたの? 別に、被弾は無かったじゃない」

周子「いやいや、ほら、あのシステム使ったしさ……何ともないかなって思って」

奏「そう、ね……少し、興奮しているかもしれないけれど、これくらいなら……あら?」ピクッ!


美嘉「……」


奏「美嘉、どうしたの?」フワッ

美嘉「あ……う、ううん。なんでも……」

奏「……まったく、最初に前に出られたときは少し焦ったわ。だけど……上手くやれてよかった」

美嘉「奏ちゃん……」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:44:24.81 ID:77dB1cBt0
奏「こっちも、美嘉のマニューバにも、周子の支援にも助けてもらったもの、ね」

周子「そりゃそうでしょ。あたしたち、チームなんだからさ」

美嘉「……そーそー、これくらい、お互いフォローし合うのは当然でしょ★」

奏「……そう、そうね。そうよね……ありがとう」

奏(そう、チームなのよね……私たちは……)




ナオ「……なんだ、結構仲いいじゃん」

整備長「同じ時期に来たんだし、仲良くなるだろうよ。嬢ちゃんたちには上手くやってもらわねぇとな」


周子「んー? おっ、整備長が迎えにきてくれてる」

奏「ナオも、ありがとう。戦闘中は助けられっぱなしだったわね」フワッ

ナオ「これくらいなら問題ないよ。3人も、シミュレーターで見た以上に動けていたからビックリしたよ」

周子「いやーでもさ、剣振り回して突っ込んで帰って来るなんて真似、あたしには出来ないかなー」

美嘉「ナオだから出来るんでしょ。アタシたちはアタシたちで、一緒にやっていこうよ★」

奏「そうね。しばらくはこのメンバーで組むんだもの……よろしく、お願いするわね」

……
…………
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 01:47:09.36 ID:77dB1cBt0
というわけで今日はこれで終わります。
明日からデレステも4倍期間に入るので頑張りましょう。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 02:12:56.38 ID:VnF6j3K4o
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 03:54:36.94 ID:Yow6dZw9o

G型とか細かく覚えてないから読み直さないとな
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 18:44:13.90 ID:E0UcN+C4O
冒頭見るに多数の犠牲を払っての生還ENDなのかな?
セカンドドライバーさんはまた合体しにくるんだろうか
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:01:46.12 ID:WDvFwgF60
――木星圏、ナシヤマ(入港口)

パシュンッ!

P「では、やはり火星圏から土星圏まで、度重なる次元振動の影響で空間が安定していないのか」

晶葉『そういうことだ。干渉装置の稼働データや各宙域の情報も定期的に採取して分析していたが……予測よりも随分と早まっている』

P「予測データが出ていたとはいえ、こうも事態が前倒しになると対応も困難か。次元崩壊……大佐にこのことは?」

晶葉『今日中には連絡する。それに、奴らが再び空間転移でここまで来たんだ。気にして向こうから開発室に顔を出しに来るだろう』

晶葉『恐らく、土星圏外で確認されていた白蜂共の他にも、こちらの宙域に気付いて空間転移を試みようとしていた奴らも相当数いるんだろう』

晶葉『奴らの空間転移による次元振動、及び次元断層によって発生するエネルギーに対し、干渉装置が同量のエネルギーを与えて相殺している』

晶葉『だがそれも、あくまで応急処置として行っていた対応……もっと早くにクイーンとの相互理解を図ることが出来たら、ここまでにはならなかったが』

P「しかし、こちらの準備が出来ていなかった。アインフェリアも、俺たちも……こればかりは、どうしようもない」

晶葉『そうだな……そちらはどうなった?』

P「巣は出撃したヴェールが破壊した。コンディショングリーンになったから戻ってきたが……これから俺も会社に戻る」

晶葉『いや、お前は今日はもう帰れ。それなりに健康体に戻っているのは分かっているが、先日退院したばかりの病み上がりだ』

P「そうも言ってられないだろう。こうなってしまった以上、ここだけではなく他の宙域にも奴らが再び空間転移してくることになる」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:03:47.63 ID:WDvFwgF60
晶葉『馬鹿者、だからといってお前1人でどうにかなる話ではない。少し休め……上司からの命令だ』

P「……分かった」

晶葉『しかし、このままでは……だが、この状態が続けば高い断層レベルの発生がなくとも、他の次元との境界が曖昧になる。そうなれば、また――』

P「晶葉」

晶葉『……そうだったな。もう、アイツは帰ったものな』

P「奈緒は自分のいるべき世界に帰った。もう、何があってもこちらの世界に戻ってくるべきではない」

P「この世界で、奈緒は俺たち共に戦ってくれた。だから……あんな物も、必要ない」

晶葉『……ああ。だがな、私は開発者として……1人の人間として最善を尽くすだけだ。少しでもその可能性があるなら、未来に繋がるのならば』

P「……」

晶葉『お前の気持ちは分かる。私たちは奈緒に助けられた、アイツの戦う意思と、願いに……私たちが、応えてやらないとな』

P「ああ」


……
…………
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:08:56.25 ID:WDvFwgF60
――ナシヤマ(港前)

P「……俺たちが、応えなければな」



「Pさん!」



P「美波……どうした?」

美波「どうしたじゃありません! 美優さんから聞いて……愛梨ちゃんたちも出撃したって」ギュッ!

P「そうか。皆は大丈夫だったか?」

美波「みんな、今日はI@LPの前に本部に来ていましたから……でも、私たちよりPさんが! 退院したばかりなのに……」

P「心配掛けたか。すまなかった」

美波「Pさんに何かあったら……私たちが行かないと……」

P「アインフェリアの……美波のやることは別にある。俺のやることは、お前を守ることだ」

美波「……もう」チュッ

P「ん……どうした。外でこういうことは……」

美波「昔から、無茶ばかりして……貴方は、いつも私たちに……」

P「ああ、もう無茶はしない。それより、帰る前に軍本部に行こう。愛梨も蘭子も、そっちに戻ったはずだ。みんなも迎えに行かないとな」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:14:47.25 ID:WDvFwgF60
美波「はい……でも、その前に……んっ……んふっ……」チュッ

P「……だから、やるならここじゃなくて」

美波「はぁ……ダメ、我慢出来ない……はぁっ、はぁ……」

P「待てまて、こんなところでやめてくれ。公道で堂々とセックスするのは流石にマズイ」

美波「セックスって……私、セックスなんて一言も言ってないのに。もう、エッチなんですからっ」

P「お前にだけは言われたくない……これまでの経験からそう思わざるを得ないだろ……」

美波「ふふっ、でもその気になってくれているなら……今晩、楽しみにしていますね」

P「……とにかく、軍本部に戻るか」

美波「はい……あ、Pさん。戻りながらでいいんですけど、1つお話が」

P「なんだ。あまり変態的なプレイは……」

美波「違います! その……私だけじゃなくて、文香さんたちも……聞こえたんです、声が」

P「声?」

美波「怒りの声が……恨みの声が……悲しんでいる。ずっと、ずっと……とても長い間、私たちと、みんなが出会う前から……」

P「……それは、クイーンのことか?」

美波「そう、かもしれません。だけど、声が聞こえたのに、ちゃんと聞くことが出来なくて……私たちの言葉も……」

P「お前こそ無理をするな。必ず、そのときが来る。俺たちがクイーンに会いに行くときに」ギュッ!

美波「……はい」


……
…………
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:20:46.38 ID:WDvFwgF60
――土星圏宙域、フレイヤU(食堂)

周子「おばちゃん、火星丼ね」

おばちゃん「あいよ、残すんじゃないよ」



整備長「それにしても、お前らも大したこと無くてよかったよ」

奏「なあに、整備長。もしかして……私たちがそんなことになるの、期待していたのかしら?」

美嘉「ばっ!? ばばばばば……ばかっ、バッ……」

ありす「整備長も、心配しているんですよ。ヴァルキュリアシステムを動かして、私たちだけじゃなくて、ニュージェネレーション隊も同じ目に遭っていますから」ガタッ!

奏「あら大尉。そうなの……てっきり、整備長も男の人だからそういうことに期待していたのかと思って」

ありす「フレイヤの他の乗員が、私たちに興奮するようなことになっているなら、ここは魔窟になっていますよ」

整備長「まあ、稼働当初は俺たちのほうも、そうならないようにメンタル調整されたけどよ……いやまあ、あの惨状を見てたから結局エロい気にはならなかったっていうか……」

ありす「そこら辺は、良識のある方々が集まってくださって私たちも助かりました。大佐も、色々と考慮して人選したのでしょうね」

周子「ご飯ごはーんっと……ま、いいんじゃない? 変な目で見られないなら、そのほうがいいし」

ありす「変な目で見られていることには変わりないと思います」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:24:21.90 ID:WDvFwgF60

美嘉「いいいいやいやいやいや! アタシたち、ア、アイドルなんだから、そういうのって……」

ありす「それが正常な反応ですけれど……貴方、見た目によらず初心ですね。I@LPではギャル売りをしていらっしゃるのに」

周子「いやいや、あたしたちからすれば、ありすちゃん大尉がそんなにふつーにしてるのがねー」

ありす「ちゃんを付けるか大尉を付けるか、どちらかにしてください。まあ、私はここに来て5年以上経っていますからね。もう慣れています」

奏「……大尉、凛たちとあまり変わらないくらいに見えるけれど」

ありす「それは、私の外見が子供だと言いたいんですか?」

奏「あ、いえ、そういうわけじゃないわ……」

ありす「まあ外見に関してはあまり否定はしません。私の体、一部はビーたちに適用している肉体生成技術と同じ物で移植されていますから」

ありす「それでも2年程前に再調整と、成長促進はさせましたのでそれなりに成長してますけどね」

奏「あら……まあ、深い話は聞かないでおくわ」

整備長「そういや結構、背伸びたなぁ。成長期だな」

ありす「この年齢になって、ずいぶん遅い成長期ですけどね。私ならそのうち、Pさんの好みの体になるでしょう」

整備長「その自信はどっから来るんだ……少佐の好みねぇ」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:26:00.57 ID:WDvFwgF60
美嘉「……そ、そういえばさ、その、P少佐……だっけ、その人って……どんな人?」

整備長「旦那か? そうだなぁ……気は良くて、無茶苦茶なパイロットで……苦労人か」

ありす「良い人ですよ。ここに来ても腐らずに私たちのお世話をしてくれました」

ありす「指揮官としては少し、いや結構思うところもありますが……能力もあり、人柄も良く優秀な方です」

加蓮「Pさん、他所と融通も利くしね」ガタッ

ありす「おや加蓮さん。ブリッジはどうしましたか?」

加蓮「オートメーション機能に移行させたし、ナオが見ておくから今のうちにご飯食べてこいって」

加蓮「それでPさんのことだけど……優しい人だよ。私、Pさんがいなかったらここじゃやっていけなかったかも」

周子「へー、そうなんだ」

加蓮「うん。Pさんからたくさん勇気もらって……だからここで頑張ることが出来たのかなって」

美嘉「良い人か……よかった。あ、セ、セ、セセセック……スゥ……とか、そういうのっ、するとかは別にして、ね!?」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:28:00.16 ID:WDvFwgF60
ありす「……まあ、今回の新型のヴァルキュリアシステムは、ゾーニング現象の後遺症に対しても大幅に抑制が効いているみたいですし、問題ないかと思います」

加蓮「あ、そうそう。みんなどうだった? 戦闘終わった後」

奏「……浴場にバイブやらディルドーやらが置いてあった理由は分かったけど、今回は使わなかったわ」

周子「お風呂入りながら少し悩んでなかった?」

奏「……ほんの少しだけよ」

加蓮「それならよかった。戦闘終わるたびにオナニーするのも結構大変だし……ナオも、万が一システム使うことがあっても、大丈夫そうかな……」

ありす「ナオさんは私たちと違って、システムそのものに適性がありませんからね。今起動させるなら、システムとPさん側の補助もあってようやく、でしょうか」

加蓮「使うことがないといいけど……ま、こんな話しても、仕方ないよね。ごはん食べよ」

美嘉「こんな話で済むんだ……」


……
…………
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:33:21.26 ID:WDvFwgF60
――フレイヤU(ブリッジ)

パシュンッ!

ありす「お疲れ様です」

ナオ「ん、もう戻ってきたんだ。早かったな」

ありす「あまり食堂で時間を潰しても仕方がありませんからね。加蓮さんたちはまだ休憩していますが」

ナオ「そっか。こっちも航路変更はなさそうだし、このまま予定通りに帰れると思う」

ありす「そうですか……おや?」カタカタカタッ!

ナオ「ん?」

ありす「いえ、私のほうに通知が……重要展開項目?」

ナオ「……なんだ、どうした?」

ありす「ミーミルを使います。アルヴィスの更新履歴……公開範囲が4層までの情報で緊急公開されている……これは……ナオさん!」

ピピッ!

ナオ「なんだ? モニターに……これ……木星圏で、巣が出たのか!?」

ありす「空間転移による中規模の巣の出現、ナシヤマの迎撃部隊による対応……宙域の次元振動情報は、まだありませんね」カタカタカタッ!

ナオ「そんな……いや、ここも今回の戦闘で次元断層からの空間転移で巣が出てきた。木星圏でも出てくるのは、おかしい話じゃないけど……」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:34:42.23 ID:WDvFwgF60
ありす「やはり干渉装置が効いていない……2年前の設置以前も、各宙域に空間転移はされていましたから、昔に戻ってしまったと言えば、それまでですが……」

ありす「それにしても、私たちのほうも今回の作戦で次元振動の初期観測から断層発生まで、短い期間で対応しましたが……向こうは迎撃部隊の緊急出撃ということですし」

ナオ「……次元振動の発生から断層まで、猶予時間が無いのか。これじゃあ対応が後手に回るだけじゃないか」

ありす「宙域の状況を確認後、干渉装置の見直しと各コロニーの迎撃部隊の再編成ですが……そうするしかないですね」カタカタカタッ!

ピピピッ!

楓『はい。こちらオート・クレールですけど、私のところに直通してくるってことはありすちゃんですね?』

ありす「お疲れ様です。そちらの様子は?」

楓『軍のほうから展開があったんですね。出ちゃいましたよ、白いの。びゅびゅびゅーってたくさん飛び出してきました』

ありす「みなさんは無事ですか? まさかとは思いますが、Pさんは……」

楓『張り切って飛び出していきましたよ。帰ったらお説教する予定です。私はPさんの白いのを出させようと思っていますけど』

ありす「程々にしてくださいよ……いや、まあそんなことだろうと思っていましたけど……」

楓『機体、こっちで持っていませんでしたから、改修して倉庫に隠してたVILS-01を使ったんですよ』

ありす「……わかりました。ぶっ飛ばしておいてください」

楓『ありすちゃんの了解を得たから心置きなくやれますね。あ、他のみんなも無事でしたよ。本部にいたから別対応でしたけれど』
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:35:45.37 ID:WDvFwgF60
ナオ「なあ楓さん、晶葉は何て言ってるんだ?」

楓『まだ会議中です。今日お話しするのは難しいと思いますし、私も帰れません……でもPさんは帰ったんですよ。酷いですよね』

ありす「それ、晶葉さんが帰したんじゃないんですか? あの人なら黙っていれば職場に戻ってくるでしょうに……」

楓『……システムは使わなかったにしても、いつまたフラッシュバックが起きるか、分かりませんから』

ナオ「そう、だな……あたしとPさん、しばらく酷い目に遭ったからな。あたしは起動回数も少なかったから、すぐに復帰できたけど」

ありす「そうです楓さん、アインフェリアのみなさんとお会いしましたか?」

楓『軍本部の状況を聞くのに通信はしていましたけど、どうかしましたか?』

ありす「いえ……何か、言ってませんでしたか?」

楓『……女王様の声が、聞こえたって言ってました』

ありす「やっぱり……こちらも、先程まで任務で戦闘を行ってましたが、そのときに私も何かの声が聞こえました。やはりクイーンでしたか」

楓『やっぱり?』
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:36:27.17 ID:WDvFwgF60
ありす「……以前も、同じだったんです。多分、どういう理由であれ私たちが彼らを……クイーンの子を殺していること、そんな私たちとビーたちが共にいること」

ありす「色んな感情が混ざって、クイーン自身も変質しているのかもしれない……そう思うんです」

楓『私は、よく分からないけれど……晶葉ちゃんとPさんには、伝えておくわ』

ありす「お願いします。こちらも何か新しい情報が入ったらご連絡します……と思いましたけど、貴方達なら大佐から直接お話が行きますね」

楓『こういうときは、軍のほうに復帰してよかったって思いますね』

ありす「もう嘱託扱いでもなく正規復帰で戻っているのに、常勤はオート・クレールですからね……随分都合のいいポジションに収まりましたよね」

楓『これも、昔の実績と伝手のおかげです。麗奈ちゃんに感謝しませんとね。それじゃあ、何かあったら連絡しますね』

ありす「すみません、よろしくお願いします」

ピッ!

ナオ「……面倒なことになったな。これで、予定していた編成の見直しも入るんだろうか」

ありす「恐らくそうなりますね。各宙域の防衛のことを考えると、手薄にするのは避けたいと思います」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:37:23.48 ID:WDvFwgF60
ナオ「とはいえ、あたしたちが考えても仕方がないか……編成は本部のほうで決めてるし……」

ありす「そうですね……あ、ナオさん。1つお願いしてもいいですか?」

ナオ「なんだ?」

ありす「今回の任務で出撃した3人、ヴァルキュリアシステムの初回起動なのでメディカルチェックをやってもらいたいんです」

ナオ「医療班の仕事じゃないのか?」

ありす「システムに対して考慮するポイントは帰還後に医療班のほうで実施していますから、ナオさんのほうは小隊運用の観点で実施して頂きたいのですが……」

ナオ「まあ……それなら別にいいけど。マニュアルか何かある?」

ありす「前に私がニュージェネの3人に実施したときに使ったテンプレートがあるので、それを使ってください。端末に送っておきますので」カタカタカタッ

ナオ「了解。それじゃさっさと済ませるか……飯も食べ終わって休憩してるだろうし」

ありす「すみません、本当は私のほうで実施しようと思っていたんですが……」

ナオ「別にいいよ。あたしは前線任務くらいしかやれないし。ちょっと行ってくる」フワッ

ありす「志希さんたちが来たら、こちらの作業も少しは楽になるんですけどね……よろしくお願いします」

……
…………
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:38:15.14 ID:WDvFwgF60
――フレイヤU(通路)

ナオ「えーっと、最初は誰にしようか……んー……」ピッ、ピッ……

ナオ「……美嘉だな。周子はなんか適当に答えそうだし、奏は落ち着いてきた蘭子って感じで難易度高そうだし……うん、一番無難だ」

ナオ「とりあえず飯も食べ終わってるだろうし、部屋にいるかな……まあ、いなかったら奏のところに行こう」


……
…………
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:39:55.03 ID:WDvFwgF60
――フレイヤU(美嘉の部屋前)

ナオ「さーて1人目だ。おーい美嘉、いるか?」ピピピッ!

ナオ「……」

ナオ「んー……いないか?」

ピピッ!

ナオ「あ、でもロックしてないってことはいるのか。まさか寝てるのか? おーい、入るぞー」ピッ!

パシュンッ!



『だからアタシもお願いして、ナシヤマのオーディション受けにいくから! そっちに行くときは、お姉ちゃんのトコに泊まっていーい?』

美嘉「もー、アンタってばいつも勝手に決めようとするんだから、アタシだって仕事あるんだからさぁ」

『あとね、この間チョーイケてる新しいお店が出来たんだけど、おかーさんお小遣いくれなくてさー、まだ行けてないんだよねー』

美嘉「アンタ、そうやって何でも無駄遣いしようとして、お小遣いだって遊びにばかり使わないで、ちゃんと残しておきなさいよ」

『それでね、この前お姉ちゃんが話してくれた雑誌、おかーさんが買ってきてくれたんだけどさ。お姉ちゃんメッチャキマッてたもんね!』

美嘉「そりゃあそうでしょ。こっちだって一応カリスマギャルで売ってるんだから」


ナオ「……おーい」


美嘉「……ん?」ピッ!
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:41:05.97 ID:WDvFwgF60
ナオ「通話してるのはいいけど、部屋のチャイムくらいは気づいてくれよ」

美嘉「あっ、ご、ゴメン! 全然気づかなかった……どうしたの?」

ナオ「まあいいけど。ちょっと医療班とは違うメディカルチェックやろうと思ってな」

美嘉「あれ、そうなの? 戻ってきた後に受けてるけど」

ナオ「ありすから渡されてる観点でチェックもしたいって言われてさ。部隊運用に絡んでる内容だと思うけど……あたしもやるの初めてだから」

美嘉「ふーん……ま、あのシステム、色々あるもんね。た、確かに……ち、ち、ちょっと、興奮したけど……」

ナオ「抑制剤入れたなら大丈夫だろうけどな。んーと、どれからやればいいんだー……?」ピッピッ……

ナオ「そういえば、さっき話してたのって家族か?」

美嘉「うん、妹の莉嘉。話してると長くなっちゃって」

ナオ「いいじゃん。この仕事してると、普段は顔合わせる機会もないし」

美嘉「まあねー。アタシがいなくてもちゃんとやってればいいんだけど」

ナオ「それはいいとして、部屋のチャイムに気づかないのはダメだな」

美嘉「うぐっ……ゴメンってば……」

ナオ「あった、これか。えーっと、システム起動後の僚機連携時の……長いな。まあやるかぁ……」

……
…………
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:42:50.28 ID:WDvFwgF60
――数時間後、フレイヤU(休憩所)

奏「……」


ありす『出現した蜂の巣は、ナシヤマの迎撃部隊により処理されましたが……長距離航行プランに何かしらの影響は出るでしょう』

ありす『プラン実行に際しての動員を減らし、各宙域の防衛の割り振りを増やすか……そうなると、プラン遂行も苦しくなりますね』

ありす『もしくはプランの実行が多少早まるか、ですね。こちらに被害が出る前にプランV3を成功させる……そうなればまた状況も変わります』



加蓮「コーラ……っと、ん?」フワッ

奏「……」

加蓮「どうしたの奏、休憩?」ピッ!

ガコンッ!

奏「……ええ」

加蓮「ま、ここにいるからそうだよね。私も、もう少しでありすと交代しないとなぁ」ピッ!

ガコンッ!

奏「……ねえ、1つ聞いていいかしら?」

加蓮「なに? はい、コーラ飲む?」

奏「ありがと……いえ、貴方、大尉のことを呼び捨てにするのね。仲が良いのね」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:43:53.19 ID:WDvFwgF60
加蓮「え? あー……まあ呼び捨てっていうか、戦闘中はちゃんとするけど……まあ、ね」

奏「そう」

加蓮「……どうしたの。何かあるんでしょ?」

奏「そう、見えるかしら?」

加蓮「私に構わないでってオーラと、構ってほしいってオーラが両方見える」

奏「……イヤだわ、そんなつもりじゃなかったけれど」

加蓮「私も結構面倒くさかった時期あったし、何となくわかるんだよね。で、どうしたの?」

奏「……木星圏のこと、私たちの今後の作戦にどう影響するのかと思って。こっちの人員が減らされたら、プラン……上手くいくのかしら」

加蓮「ふーん……奏ってそういうこと考えるんだ。あ、茶化してるわけじゃないんだけどね」

奏「別に、私でも気になることくらいあるわよ」

加蓮「そうだよね。長距離航行プランのメンバーが減ったら作戦の内容も変わってくるし、かといってコロニーの防衛も手薄にしたら、巣が出てきたら対処できないもんね」

加蓮「どっちも手は抜けないから、どっちを選べばいいか……だけど、私たちはどっちも選ばなきゃダメなんだよね」

奏「それが出来ないから、難しい話なんでしょう? 大尉も、悩んでいたわ」

加蓮「ううん、難しくなんてないよ。私たちは、どっちも選ばなきゃダメ。片方だけを選ぶのは、ダメだから」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:44:37.91 ID:WDvFwgF60
加蓮「コロニーを守らないと、いま大勢の人たちが死ぬかもしれない。クイーンを何とかしないと、いつか大勢の人たちが死ぬかもしれない」

加蓮「私たちは、どっちかを選ぶんじゃなくて、どっちも選ばなきゃならない……そうじゃなきゃ、大切な人たちを守れない。それが、私たちが戦っている意味だから」

奏「それが、軍人としてのやるべきこと……かしらね」

加蓮「私はそれだけでいいんだけどね。奏はもっと大変でしょ? みんなを守って、元気付けてあげないと……アイドルなんだから」

奏「そう、アイドル……そうね、やることが多すぎて、目が回りそう」

加蓮「ま、それがアイドルの仕事でしょ」

奏「……加蓮は、それが出来ると思っているの? どちらも選ぶ、どちらも、守り抜くこと」

加蓮「昔の私なら……奏と同じように悩んだかも。だけど、今の私なら……どっちも選ぶよ。どっちも選んで、守らないと……きっと後悔するから」



『加蓮だから……あたしが傍で、守ってやらなきゃって……みんなの分まで、あたしが戦わなきゃって……!』

『あたしが、守ってやるよ。今度は……嘘じゃない』



加蓮「私のことを、命懸けで守ってくれた人たちがいるんだ。本当に命を懸けて、自分のことを投げ出そうとして……」

加蓮「私は、その思いに応えたい。私を命懸けで守ってくれた人たちの為に、今度は私がその人たちを守りたい」

加蓮「今でも傍にいてくれる人の為に……平和な世界に、帰ることが出来た人の為に……」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:45:04.72 ID:WDvFwgF60
奏「……強いのね、加蓮は」

加蓮「そうでもないけどね……それに、私たちがそうする為に、アインフェリアのみんながいるんだから」

奏「……そう、ね。アインフェリア隊……プランV、プランV2の最重要部隊……ありす大尉たちは、私たちだけじゃなくて、ビーたちも守ろうとしているのよね」

加蓮「そうだね。アインフェリアはビーたちも……あ、そうだ」

奏「なに?」

加蓮「思い出した。ちょっと気になってたんだけど……奏、美嘉と一緒に戦闘して、どうだった?」

奏「どうって……悪くない腕だったわ。私もマニューバは合わせやすかったし……少し突っ込み過ぎなところはあったけれど」

加蓮「そっか……」

奏「何かあったの?」

加蓮「ちょっとね。ホロスクリーンで確認してたけど、何だか前に出過ぎてるなって思ったから」

奏「まだコンビネーションが上手く出来ていないからだと思うけれど……わかったわ。訓練のときに、それとなく話しておくわ」

加蓮「あ、ごめんね。私から言ってもいいんだけど」

奏「構わないわ。もしかしたらナオも気にしているかもしれないし、次の戦闘までには直しておくわ」

……
…………
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:50:22.22 ID:WDvFwgF60
というわけで今日はこれで終わります。

>>106
前にも(エロゲ編や奈緒編)でもたまに聞いていたんですが、そういうこっちで勝手に作ってる用語とか何か、纏まってたほうがいいのかなと思うときあるんですけどね。取っ散らかってるし
纏まってると黒歴史公開ノートみたいな感じになるのがアレなんですけど
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/26(火) 21:03:46.89 ID:frGzR8CEO
美嘉から不穏な空気が……
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/27(水) 12:40:35.90 ID:fnjgCcmgO
>>128
話の進行に支障がないなら見たいな

今回も乙
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:27:40.07 ID:wUrzlQcA0
>>131
んじゃ何かしら載せますかね
どこら辺あればいいものか……
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:28:13.32 ID:wUrzlQcA0
――数日後、ナシヤマ、ショッピングモール、パチスロ店『ジュピターパラダイス』

P「それで、プランも防衛体制も再編成されるってことですか」

大佐「うむ……今朝方、軍本部を設置している各コロニーに緊急での再編成指示が出た。民間委託しているところについても急がせているがねえ」

P「管轄外のコロニーに被害が出たら、それはそれで軍のほうも後々の立ち回りで困ることになります。プラン実行前に手は打っておきませんと」

大佐「そうだなぁ……ああそうだ、キミの件、時子君に通しておいたよ。時期が良いと言うべきか悪いと言うべきか、即決されたみたいだね」

P「人手が足りない状況でしょう。フレイヤも遊ばせておくわけにはいかないし、時子も長距離航行プランの準備で手が回っていないと聞いています」

大佐「どうしてこう、上手くいかないものかねぇ……」

P「そういうものです。上手くいくなら……皆も、今頃はもっと……」

大佐「……そうだったな。機体については、晶葉君から聞いている。まだ新型の準備は出来ていないと聞いているから、代替機として3Nを用意させている」

P「十分です。GNブースト対応機は他所に回したほうがいいでしょう」

大佐「頼んだよ。あの2人も、少し前にギチトーからこちらに向かっていると聞いた。フレイヤUに合流したら、ありす君と頑張ってくれたまえ」

P「はい……ところで」

大佐「なんだね」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:29:55.54 ID:wUrzlQcA0

P「ここで時間を潰してる暇はあるんですか」

大佐「いやだってねぇ……本部でキミと話していると彼女たちに見つかりそうで……この前だってほら、キミがフレイヤUに戻るか検討していたときの話で……」

P「ああ……俺も、あの時は昼間から縄で縛られて磔にされている人間は初めて見たな……」

大佐「キミからも何とか言ってくれないかね。彼女たちの私への暴力は……なんというか、最近ますます激しくなっているというか……」



美波『は? Pさんに何させる気ですか? まだ入院中なのに、ふざけているんですか?』

文香『今なら、足の爪程度で済ませてあげますが……』

藍子『このまま、みなさんの前に引きずり出してもいいんですよ? どうなんですか?』

夕美『それより車に括りつけて町中で引きずり回したほうがいいんじゃないかな』



P「あいつら……仮にも大佐相手に……まあ、仕方がないか」

大佐「し、仕方がないとはどういうことだね! そういえばキミ、以前千秋君が私に同じようなことをしたときも見捨てたが……!」

P「いや、ありすも翠も一緒にいたし、気の済むまでやらせていいかと思って……」

大佐「勘弁してほしいんだがねぇ……キミとも隙を見てこういったところじゃないと話しにくいんだが……」

P「はぁ……まあ、適性として選ばれた皆にとっては、堪ったものではないからな。諦めてください」


……
…………
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:32:14.30 ID:wUrzlQcA0
――夜、ナシヤマ、P家(居間)

美波「ええっ!? Pさん、先にありすちゃんのところに行くんですか!?」

P「ああ。状況が変わった。ここでのことは、楓さんと美波に任せる。近いうちにここを出る」

美優「そんな……せっかく、退院できたばかりなのに……」

P「戦闘に関しては問題ない。今回の緊急出撃でも、ある程度やれるのは確認できた」

藍子「でも私たちのほうが、まだ……」

文香「はい……I@LPより提示されている、プランV3の為の準備が……」

P「大丈夫だ。ここにいて、I@LPの進捗は俺も見ていた。皆なら間に合わせられる。それに、戻る予定だったフレイヤUに向かうのが少し早まっただけだ」

P「再編成と長距離航行プランの前倒しになれば、皆の負担も増す。外に出ているありすのフォローもしなければならないだろう」

楓「今朝決定になりましたけど、長距離航行プランの動員予定だった部隊の一部は各コロニーの防衛に割り当てられます。プランについては艦隊の航行期間も合わせて短くなりますけど」

夕美「ビーたちの星に行くのも、凄く遠いのに……期間も短縮になるなんて……」

美波「でも、仕方がないわね。部隊の消耗や確保する資源を考えると、そうしないと……次元跳躍が十分に使えればよかったけれど」

P「それでも大幅な期間短縮が出来ている。光波推進システムと合わせて2ヶ月の移動で済む想定となっているんだ」

ピピピッ!

美優「はい……どなたですか?」ピッ!

菜々『あ、美優さんですか? ナナでーっす♪』
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:37:30.17 ID:wUrzlQcA0
美優「菜々さん……どうしたんですか? こちらにご連絡なんて……」

菜々『いえいえ、ニュージェネのみなさんがこっちに来てから一度連絡しようと思っていたんですけど、中々時間が取れなくて……』

楓「あら、お疲れ様です。3人とも、どうですか?」

菜々『頑張ってますよ。いま智絵里ちゃんと格納庫に行ってて、ナナは部屋でお留守番してますけど』

P「シミュレーターか? 一緒に行かなかったんですか」

菜々『いえ、実は書類が溜まってて……それはそうと、何やってましたか? 晩ご飯ですか?』

楓「はい。それと、長距離航行プランのお話と」

菜々『あー、前倒しになるって時子さんから聞きましたよ。それにしても、アウズブラが試験航行していたときにビーの星を見つけたときは、ずいぶん掛かったんですけどねぇ。時代は変わったもんです』

P「自称JKが懐かしむことかよ……それはそうと、俺も前倒しで復帰することになりました。近いうちに土星圏に戻ります」

菜々『あら……大丈夫ですか? また、倒れたりしませんか?』

P「もう大丈夫ですよ。リハビリプログラムもほとんど終わっていますし」

菜々『まさか、木星圏に一時配属されたときに、Pさんがあんなことになっていたとは……ナナは最近の若い子たちにはついていけませんよ……』

楓「私も初めて聞いたときは信じられませんでしたよ。まさかPさんが、若い子たちと爛れた関係になっていたなんて……」

P「人聞きの悪いことを……」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:43:54.87 ID:wUrzlQcA0
美波「そうです! 楓さんだってPさんとセックスする日はおちんぽ大好きって言いながら動いてるじゃないですか!」

楓「覗き見してたんですか? それはちょっと……」

美波「違います、Pさんの病室に設置したカメラで見ていただけです」

P「ええええ……」

夕美「じ、実は最近、盗撮モノのAVが流行ってて……自分たちでもやってみたいなってお話してたから……」

P「だからお前たち最近、病室でセックスしてるときに変な体位で動いていたときがあったのか……」

夕美「カメラ映りを考えて、ね……」

文香「食事が終わったら……編集した動画を一緒に見ませんか……? よく、出来ていると思いますが……」

P「いらん。捨てろ」

美波「美優さんが病室に来てセックスしていた時の映像も編集していますけど」

美優「え、えええっ!?」

P「……いらん」

藍子「今、さっきと反応違いましたよね? どういうことですか?」

菜々『あっ……な、ナナはちょっとお邪魔みたいですから、これで失礼しますねっ! キャハッ☆』

ピッ!

美優「あ……切れちゃいました」

美波「Pさん? お話の続きは……」

P「話が脱線しすぎだ。ひとまず俺は先行して土星圏に戻り、長距離航行プラン前の防衛任務にあたる。フレイヤUも恐らくはシステムのテストだけではなく、圏外防衛に出ることになるだろう」

P「皆の準備が早く終われば、それだけ防衛部隊の維持期間も短くなる。頼むぞ」

……
…………

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:47:18.04 ID:wUrzlQcA0
――数日後、ホクドウ、入港口、フレイヤU(ブリッジ)

周子「んー……はぁ、終わったぁ」

美嘉「送られてきてる艦チェック作業終わりっと。整備班、下部外装交換は明日終わるって」カタカタカタッ!

奏「そう。それなら私たちは待機ね……シミュレーターでも回す?」

ありす「作業が終わったのであれば、今日はもう待機でいいですよ。迎撃部隊の出撃編成にも入っていませんし」

美嘉「んーまだ午後になったばかりだけど、半日休みになるし……何かちょっと、気が引けるっていうか」

ありす「いいじゃないですか。休めるときに休んでください。そのうち、休むのも難しくなります」

奏「そうね。上官がそう言ってくれるんだから、休んでおきましょう」

周子「さんせー。そういえば今日はナオちゃんも加蓮ちゃんも見てないねー」

奏「そういえば……朝からいないわね。どこにいるのかしら?」

ピピピッ!

ありす「あっ、あの2人は……」

加蓮『……はい、どうしたの?』

奏「加蓮? 貴方何をやっているのかしら? 部屋にいるの?」

加蓮『ん……ちょっとベッドにいたけど』
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:48:40.21 ID:wUrzlQcA0
奏「もしかして休憩時間? 服くらい着て寝なさい……まあいいわ。私たち、今日の作業はもう終わりになったから、外に出ようと思うの。貴方もどう?」

加蓮『外か……ナオ、奏たち外出るって。動ける? 一緒に行く……ナオも行くって。今そっち行くから』

美嘉「え……」

周子「お?」

奏「……そう。それじゃあ待っているわ。ゆっくり来てくれて構わないから」

加蓮『了解。それじゃちょっと待ってて』

ピッ!

奏「……」

周子「部屋に若者が2人きり。1人は裸、ベッドの上……この符号が意味するものとは……」

美嘉「はっ、はっ、はっ……ぴぴぴはははははわわわわ……」ガタガタガタガタ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:49:17.55 ID:wUrzlQcA0
ありす「お2人であれば、ナオさんが今朝方ゾーニング現象の後遺症が出たそうで、フラッシュバックを抑えるのに加蓮さんが性行為を手伝ってあげていましたよ」

美嘉「ぶぶぷぅっ!?!?」

周子「うわちょっ!? 汚いって!」

奏「……そう」

ありす「なんですか貴方達のその反応は。ナオさんは元々ヴァルキュリアシステムに対して適性はありませんでしたが、過去の戦闘でやむを得ずシステムを起動することがありました」

ありす「その為、稼働時期とシステム使用頻度は低いですが、私たちよりも後遺症による影響が大きいんです。笑いごとではありませんよ」

奏「いえ、確かに笑えないけれど……」

ありす「どちらかと言えばナオさんは私と同じく常識的な方なので、こうなってしまったのは非常に心苦しいですが……」

奏「……まあ、それはいいわ。大尉はどうするの?」

ありす「私は作業があります。みなさんは自由にしていて構いませんが、通信には出てくださいね」

周子「はいはーい。それじゃ出かける準備しよっか」

……
…………
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:51:34.88 ID:wUrzlQcA0
――数時間後、フレイヤU(格納庫)

整備長「……」

ピピッ!

パシュンッ!!

ありす「……」ハァ、ハァ……

整備長「お疲れさん。シミュレーター、大丈夫か?」

ありす「……問題ありません。今回の事態で、悠長にテストデータの採取も出来なくなる戦闘が増えるはずです」

ありす「耐性持ちとはいえ、バイタル状態をレッドゾーン付近まで上げておけば、私の稼働データでもある程度の検証が出来ます」

ありす「あの人の為に……あの人の枷を、1つでも取り除いておかないと……」

整備長「でもよぅ、それで嬢ちゃんがダウンしたら元も子もねぇだろ。少佐だって心配するしよ」

ありす「……」

ピピピッ! ピピピッ!

整備長「ん……嬢ちゃん、ホレ」

ありす「私の端末ですか……はい、橘です」

P『俺だ。そっちは変わりないか?』

ありす「Pさん? いえ、こちらは特に……この前の作戦が終わって、数日ホクドウに滞在していますが」

P『それならよかった。こっちは今、高速シャトルの中にいる。1週間程度で合流できる予定だ』

ありす「……は? みなさんはどうしたんですか?」

P『俺だけ先行して来ることになった。皆は楓さんに任せている』
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:53:46.73 ID:wUrzlQcA0
ありす「あなた……あなた、どうしてそんな……まだみなさんは、I@LPだって消化が終わってないんですよ? それなのに……」

P『それを言うなら、お前も同じだ。そっちに行きながら同じ仕事をしている分、負担は多いだろう。少しでも、お前の業務を減らせたらと思ってな』

ありす「ですが……」

P『なんだ、俺がそっちに来るのが嫌か?』

ありす「いえ、そういうわけではありません……はぁ、私は、みなさんのこともそうですが……あなたの身体を心配しているんです」

ありす「耐性があったはずのあなたですら、2年も離脱しなければならない程の後遺症を受けて、退院したばかりでこちらに来るなんて……誰だって心配するに決まっています」

P『そうか。だが、俺はお前のことが心配だ。それに……どうだ整備長、俺が戻ってくるのは?』

整備長「少佐の旦那なら、どうせ無理言っても来るんじゃねえですか? 俺は、そこら辺は心配しても仕方ないっていうか、諦めてるっていうか……そういうもんでしょ」

P『どうだ、整備長のほうが余程、理解が良くて話を分かってくれているぞ』

ありす「整備長と比べないでください。もう……こちらは忙しいので、もう切ります。それでは」

P『ああ、もう少し待っていてくれ』

ありす「知りません」

ピッ!
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:54:55.46 ID:wUrzlQcA0
整備長「おいおい……嬢ちゃんが怒るのも分からなくねえけど、んなこと言わなくてもよ……」

ありす「……だって、仕方ないじゃないですか。あの人が……あの人が、あんなことになるなんて……あんな姿を見たら」


『あ……ぐ、お……だ、誰か……』

『俺は、お前たちの……お前たちの、声を……聞いて、いない……俺じゃあ、ない……』



ありす「全員の負荷を受けるなんて無茶をして、おかしくなったあの人を見て……どこかで、あの人なら大丈夫と思っていた自分が、心底嫌になるんです」

ありす「あの人だって人間なんだって。ずっとずっと、戦い続けてきて……その果ての末路が、私たちと同じことになって……」

ありす「私たちが上手く出来なかったから、あの時、クイーンとちゃんと話すことが出来ていれば……私たちのせいで、Pさんが……」

整備長「……はぁ、上司が上司なら、部下も部下ってことだな、ホント」

ありす「整備長……」

整備長「昔、少佐も同じこと言ってたよ。お前らが離脱してた頃、少佐と2人でフレイとS-02を転々としながら戦って……たまに酒でも飲んだ時は、いっつも同じこと言っててよ」



『俺の力が足りないばかりに、皆をあんな目に遭わせてしまった。俺がついていながら……』

『もう少しで退役出来る。そうなれば、今よりももっと皆の傍にいることが出来る。皆が俺を恨んでいようとも……せめて、皆が回復して、元気になるまでは……』



整備長「ま、少佐の愚痴を聞くのも、俺の仕事だからな。少佐の出撃を見送るのと、それくらいしか出来ねえし」

整備長「だからよ、頼れるときは少佐を頼ってやれ。少佐だって、そのほうが嬉しいんだろうからよ。嬢ちゃんなら、分かるだろ?」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:55:57.50 ID:wUrzlQcA0

ありす「……バカですね。そんなふうに言われたら……わかりますって言うしか、ないじゃないですか」

整備長「ああ、いいじゃねえか……それで」

ありす「……シミュレーターを続けます。それならばPさんがこちらに来るまでの1週間、可能な限りテストデータの採取します」

ありす「オート・クレール社から追加予定のシステム検証項目もすべてもらいます。私の体が耐えられるところまで続けて……それで、あの人がこちらに来たら、甘えます」

整備長「おーおー、それじゃあ避妊治療やっておかねえとな。しばらく離れてたから、やってねえんだろ?」

ありす「べ、別にセックスが目的ではありません。あくまでテストを続けた結果、ヴァルキュリアシステムによるゾーニング状態による後遺症を解消する為に、Pさんにセックスをして頂くだけです」

整備長「言い訳使って誤魔化すのは、どこぞの嬢ちゃんたちと同じだぜ?」

ありす「ばっ……あの人たちと一緒にしないでください! 私はPさんとセックスをするときはもっと素直です!」

整備長「わ、わかったわかった……んな怒るなよもう……」

ありす「まったく……もう少し付き合ってもらいますよ。私では今のシステムを使う分には耐性が高すぎるので、少しでも多く起動しておきませんと」


……
…………
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 16:59:47.78 ID:wUrzlQcA0
――夕方、ホクドウ、ショッピングモール(広場)

美嘉「はー……買った。疲れた」ドサッ!

ナオ「よくまぁ、そんなに買う物あったな……」

美嘉「えー? これくらい買うでしょ?」

加蓮「ナオはあんまり化粧しないもん。私だって爪弄るくらいで後は程々だし……いやよく買ったねこれ」ガサゴソ

奏「ま、私たちも仕事あるもの。本番のメイクはやってもらったり、映像通信なら加工されているけれどね」

ナオ「……もしかして、奈緒も仕事じゃこんなギラギラした物で顔を」ハッ!

加蓮「あっ、それありそう。ちょっと面白いかも」

ナオ「んなこと言ったら加蓮だってそうだからな……」

周子「それにしてもさー、また宙域で白蜂が出るようになって、少し町の雰囲気も変わったよね」

ナオ「そうか? まあ……昔に戻ったって感じはするけど」

加蓮「まだビーたちと戦ってた頃は、屋外スクリーンも圏内戦闘の報告ばっかりで、一般のメディア報道なんて全然少なかったもんね」

ナオ「そうそう、ネットで他所の宙域の記事探さないとアニメの記事とか全然見れなかったしさ」

奏「ふうん……まあ、私はその後に軍に入ってから、こっちに来たけれど……」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:00:35.25 ID:wUrzlQcA0
周子「どうだったかなー。前にハマヨコにいた頃は、ビーの受入れがしっかりし始めたときにはもう、普通の報道ばっかりだったような気がするけど」

ナオ(対話の日の前後からのこっちの記憶ってほとんどないからよくわかんないな……戻って来てからなら分かるけど)

加蓮(私が入院してた頃か……)

美嘉「……ま、そんなのいいじゃん。今はまた奴らが来て、アタシたちが倒さないとまた戦いも終わらないんだから」

ナオ「そうだな。プランが始まってからどうなるか――」

ピピピッ!

ナオ「ん、はい」ピッ!

ありす『お休み中のところすみません。少し前に本部から作戦指示の連絡がありました。ホクドウからリトット間の宙域で次元振動が発生しているようです』

ピピッ!

ナオ「……木星圏寄りか。戦闘範囲の想定は、安全航路圏に掛かってるな」

ありす『はい。これに合わせて安全航路圏の封鎖、及び一般のエイルの航行は休止となります。リトットへは現在、再編成された防衛部隊が移動中ですので、コロニー側までの影響は無いとは思います』

奏「ナオ、見せて……断層の予測レベルは4、中規模ね」
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:02:44.62 ID:wUrzlQcA0
ありす『はい。定期哨戒任務に当たっているノルンS-13のほうで対応が予定されています。ですが、予備部隊なので……』

ナオ「S-01からS-10までは圏外防衛とプラン実施の準備に入ってるし、難しいか……増援でこっちも出るんだな。コロニー防衛があるから移動している防衛部隊の足を止めさせるってわけにはいかないか」

ありす『はい。前回と同じく断層発生までの猶予が短い期間となっています。これから対応についてブリーフィングを行いますので戻ってきてください』

加蓮「了解。それじゃ戻りますか」

周子「また戦闘かー……圏外防衛じゃないのに、大変やね」

ありす『すみませんね。あと、1つ良いお話があります。P少佐がこちらに先行して合流するとのことです』

加蓮「Pさん、もうこっちに来るの!? 聞いてたよりもずいぶん早いけど……」

ありす『木星圏での戦闘から、早めにこちらに合流したほうがいいと判断したそうです。あと、フレデリカさんと一ノ瀬博士もこちらに向かっているとのことです』

ナオ「ようやくか……何やってたんだか」

ありす『とりあえず続きは会議室でします。詳しい話はその時に』

ナオ「ああ、すぐ戻る」

ピッ!

……
…………
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:04:08.69 ID:wUrzlQcA0

――数日後、フレイヤU(食堂)

ありす「リトットは国連ではなく黒川重工をはじめ複数の民間企業にコロニー運営を委託している場所の1つです」

ありす「防衛部隊の再編制に伴い常駐部隊を増やしますが、もしコロニーに被害が出ればバッシングを受けることになりますし、今回の次元振動に対して念には念を、ということですね」

ナオ「海賊がいるっていっても、戦力として役に立つわけじゃないし……まあ場所が場所なだけに仕方がないか」

ありす「今回の戦闘予定宙域を見ても、とりあえずコロニー側まで被害が出ることはまず無いポイントですが……現状では何が起きるかわかりませんからね」

ナオ「白蜂の増援が空間転移してきたら厄介だもんな……中規模の巣1つだけなら、ノルン1隻あれば十分だけど」モグモグ

ありす「逆に避難だけを考えるなら、リトットやネシマは採掘場がありますからそちらに逃げればいいんですけどね。電磁場フィールドが採用されている分、白蜂には特定されませんし」

ナオ「コロニー側もそれ、導入すればいいのにな」

ありす「仕方がありません。工業作業区域と違って、軍や民間船の出入りの多いコロニーで頻繁にフィールドの開閉なんてやってられませんし、他所との連絡もしにくくなるじゃないですか」

ナオ「もうちょっと上手いことやればいいのに……ま、愚痴言っても仕方がないか」

ありす「そういうことです……おや?」


美嘉「おばちゃん、週替わり定食ね」

おばちゃん「はいよ、残すんじゃないよ」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:04:35.58 ID:wUrzlQcA0

ナオ「休憩か?」

美嘉「うん。周子もブリッジに戻ってきたし、加蓮と奏はシミュレーターやってたから、先にご飯食べようかなって」ガタッ!

ありす「この時期にリトット方面に向かうことになるとは思いませんでしたが、これも仕方がありませんね」

美嘉「圏外宙域の移動の話も出てるのに、行ったり来たりで大変だよ……フレイヤっていつもこんなことしてるの?」

ナオ「あたしは他の場所に行ったりするけど……ま、試作兵装のテスト運用部隊だから雑用くらいはな」

ありす「大規模戦闘になれば参加する機会は多いですが、それ以外はテスト実施の為に極小規模級の巣の破壊に行くばかりですからね」

美嘉「ふーん……」

ナオ「そういえば、Pさんって今回の作戦のタイミングで合流するのか? ホクドウに戻ってからか?」

ありす「高速シャトルで移動していたみたいですけど、ついでにお2人も拾ったみたいでブースターパックを使って追いつくそうですよ」

ナオ「こっちまで来るのか……まあ、それならアテにするけどさ。よく宙域移動するのにNGFで行こうとするな……」

美嘉「P、P少佐、来るんだ……NGFで移動して来るって、結構キツイと思うけど……」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:06:16.16 ID:wUrzlQcA0

ありす「ま、普通やりませんからね。そこまでの長距離航行は想定されていませんし。そんなことする物好きはPさんと小関中佐とセカンドドライバーくらいしかいません」

美嘉「小関中佐と、セカンドドライバーか……直截見たことはないけど、どっちも凄いパイロットだったって聞くけど……もう……」

ナオ「そうか……うん、凄いパイロットだったよ」

美嘉「でもセカンドドライバーのヘンな仮面の話は聞いたことあるよ。メッチャセンス無いって評判だったし……」

ナオ「そ、そうか? あたしはカッコいいと思うけど……」

ありす「……まあ、それは置いといて、合流が間に合うなら戦力としてカウントできます。ノルンも1隻いて、中規模の巣ですからそこまで変わるわけではありませんが」

ナオ「アタシも頑張るかぁ。新しい機体が来るときにマニューバで追いつけるようにしておかないと……」

ありす「はい。本当は加蓮さんも合わせて出撃出来たらよかったのですが、すみませんけれどお願いします」

……
…………


150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:09:37.75 ID:wUrzlQcA0
――数日後、戦闘宙域、フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「次元振動観測ポイントに到着しました。ノルンS-13、強襲艦とNGF小隊の展開を始めています」カタカタカタッ!

ありす「S-13に通信して識別コードの連携を。アルファ小隊とナオさんは出撃準備をお願いします」

奏「了解。みんな、行くわよ」

美嘉「オッケー! さっさとやるよ……!」

周子「そういえば、P少佐って結局間に合わなかったねー」

ナオ「そういやそうだな……ま、どうせ戦ってる間に来るんだろうけど」

ありす「あの人、ギリギリ遅れて到着することが多いですからね」

ピピッ!

加蓮「大尉、識別コードを受信しました。フレイヤUについてはVN-02を連携。アルファ小隊はGNS-12で登録されています」カタカタカタッ!

ありす「了解、次元断層発生まで間もなくですね。これより作戦行動に移ります。各機、G型及びGS型が空間転移された場合はよろしくお願いします」

加蓮「ナオ、気を付けてね」

ナオ「ああ、行ってくる」

……
…………
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 17:10:50.68 ID:wUrzlQcA0
――フレイヤU、カタパルト(機体内)

美嘉「……」ピッ、ピッ

ありす『今回の作戦ですが、ノルン側で保持しているビー部隊からも仲間が来る感覚が無いとのことなので、恐らく戦闘になるかと思います』

奏『ビーの受入れで済めばよかったけれど……仕方がないわね』

ナオ『この時期になってくると、圏外宙域で確認できるのも白蜂だけだから……もう、無事なビーたちのほとんどはここまで来れたのか……』

周子『ま、仕方がないよね。あたしたちじゃどうにもできひんし』

ありす『ビーとして、私たちのところまで来られるなら……生きることだって出来たとは思いますが』

美嘉「……」カタカタカタッ!

奏『美嘉? 準備は大丈夫かしら?』

美嘉「えっ? うん、大丈夫」

加蓮『ハッチ開放完了。それじゃあみんな、頑張ってね』


美嘉「……城ヶ崎美嘉、NGF-VS23SX、NGFヴァルキュリアで行くよ!」


……
…………
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/29(金) 18:09:39.24 ID:wUrzlQcA0
というわけで今日はこれで終わります。
年末年始を挟むのでデレステ副業込みで投下時間が確保できないので速度が少し落ちます。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 10:52:45.20 ID:mO63KLT8o

来年も期待
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:13:39.14 ID:6pOung1U0
――フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「次元断層の発生を確認しました。空間転移……GS型とG型です。巣は中規模級になります。前線のヴェール、NGF小隊が戦闘行動に移ります」

ありす「コンディションレッド。これよりフレイヤを戦闘態勢に移行します。レーヴァテイン1番2番装填、複合ミサイル発射管には対空迎撃用のマグニを装填します」

加蓮「了解です。レーダー索敵結果、GS型が15、G型が3です。ノルンよりミサイルの弾幕支援が行われます」

ありす「準備完了後、前線のヴェールに合わせてフレイヤも前に出します。アルファ小隊はミサイルの着弾確認後に戦闘を開始してください」

ピピピッ!

加蓮「S-13より通信です」ピッ!

S-13艦長『フレイヤはある程度後方でも構いません。プランV3前に何かあればこちらとしても困りますので』

ありす「お気遣いありがとうございます。ですがこちらも、新しい部隊の運用訓練がありますのでお気遣いなく。優先するべきは巣の破壊です」

S-13艦長『そういうことであれば了解。基本行動は強襲艦隊と同様にお願いします』

ありす「了解です。それでは」ピッ!
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:14:21.77 ID:6pOung1U0

加蓮「ま、そりゃ気にするよねー……」ピピピッ!

加蓮「また通信……はい、こちらフレイヤ」

P『こちらオート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。戦闘は始まったか?』

加蓮「Pさん! もう始まってるよ!」

ありす「相変わらず遅れてきますね。つい先ほど、空間転移を確認しました。中規模の巣が1つです」

P『了解した。戦力的には問題ないと判断しているが、間もなく戦闘宙域に到着する。うるさいのも一緒だ』

ピピピッ!

フレデリカ『コラー! うるさいとはなんだー!!』

志希『そうだそうだー人権侵害だー! 軍はあたしを解放しろー! こっちは一般人なんだぞー!』

ありす「うるさい」

加蓮「うるさい」

P『博士の場合は自業自得だ。北条少尉、そちらのコードを転送してくれ。到着後はそのまま戦闘に参加する』

加蓮「分かりました。P少佐と一ノ瀬博士、フレデリカのNGFに識別コードを転送します」カタカタカタッ!

ありす「前線に出ているこちらの部隊はアルファ小隊です。よろしくお願いします」

P『了解』

……
…………
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:14:51.93 ID:6pOung1U0
――戦闘宙域

ナオ『少し数が多いか……各機止まるなよ。G型も混ざっているからGN形態で高機動戦闘に入るぞ』

美嘉「了解! こいつら……!」

奏『こっちに向かっている先頭の奴らの足を止めるわよ、周子』

周子『はいはーい。3連装誘導ミサイルランチャー、ニフルヘイム発射!』

ボシュシュシュッ!!

GS型「!」ギュンッ!

ナオ『よし、コンビネーションマニューバはH02だ。全員遅れるなよ!』

美嘉「このっ……!!」ガションッ!

G型「……!!」ブブゥゥゥゥンッ!

奏『抜けてくるのが早い……さすがG型……!』
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:15:42.14 ID:6pOung1U0
美嘉「ええい!!」ズドォンッ!

奏『ちょっと美嘉、マニューバは合わせて!』

G型「!!」ヒュカカカッ!

ドシュシュシュッ!!

美嘉「針……ああっ!?」ドガァンッ!

奏『美嘉!』

ナオ『機体は大丈夫か!』

美嘉「だ、大丈夫……姿勢制御の確認、まだやれるから!」

ナオ『G型相手はこっちもキツイから無理はするなよ! 距離を取るぞ!』

周子『仕方ないかー……』


……
…………
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:17:09.09 ID:6pOung1U0
――戦闘宙域後方

P「宙域データをスキャン。これよりブースターパックの切り離しを行う。2人とも、増加燃料タンクから離れろ」カタカタカタッ!

フレデリカ『離脱!』

志希『これに捕まって移動するの楽だったんだけどなー』

P「お前ら途中で寝てただろ……これより戦闘行動に入る。俺は前線の先頭に出る。フレデリカは博士を頼む」

志希『こっち素人なんだぞー! あたしが死なないようにちゃんと守ってよー』

フレデリカ『守る……よーし、アタシが志希ちゃんをバッチリ守ってあげよう!』

志希『いやホントね、あたしまともに動けないからね?』

P「分かっている。何だったらフレイヤに先に入って構わん」

志希『いやぁ、これで仕事しなかったらもう行き場がなくなるっていうか、牢獄に入っちゃうっていうかね、とりあえずやるだけやるけどさ』

P「それならいい。行くぞ!」ギュオオオオオオッ!

……
…………
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:18:06.67 ID:6pOung1U0
――戦闘宙域

ピピピピピッ!

奏「ローカル識別コードの追加?」

ナオ『来たのか!』

美嘉『え、何!?』

P『こちらオート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。アルファ小隊、これよりこちらも戦闘に参加する』

ナオ『遅いよPさん!』

奏「この人が……」

P『すまんな。だが作戦中だ、少佐と呼べ』

フレデリカ『フンフンフフーンフンフフーン♪ アタシたちもいるよー!』

志希『硝煙の匂いに咽ることもない戦場……あたしがここに来る意味はあるのかなー……誰か助けて―』

周子『おー、来た来たー』

P『ナオはアルファ小隊とマニューバを組んでいるか……フレデリカと一ノ瀬博士を頼めるか?』
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:19:27.00 ID:6pOung1U0
ナオ『こっちにG型が2匹流れてきたからこれ以上抱えるのは……そっちで何とかしてくれると助かる』

P『それなら今回は分かれて戦闘を行う。博士、自分の身はある程度自分で守ってくれ』

志希『補助AI起動っと。フィールド発振機展開して、イージスフィールド起動。宙域のデータ収集やるねー』

フレデリカ『プロデューサー、アイツらギッタンギッタンにしてきていいよー。アタシ、志希ちゃんと一緒にいるから』

P『すまん、博士のことは頼む。アルファ小隊、G型は1匹こちらで受け持つ。残りはやれるな?』

美嘉『当然! やれるに決まってるでしょ!』

ナオ『こっちに来ている分はG型2、GS型2か……残りはヴェール側で対処できる数だ、Pさん!』

P『ロングライフル、ガラティーンを展開する。1匹は……こちらに来い!』ドシュウウウウンッ!

G型『!?』ギュンッ!

P『よし、分断出来た。そちらは任せたぞ』ギュンッ!!

ナオ『了解!!』

……
…………
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:19:54.82 ID:6pOung1U0
――フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「Pさ……P少佐、戦闘を開始しました。一ノ瀬博士から宙域データの解析情報が転送されます」カタカタカタッ!

ありす「艦の戦闘記録はアルヴィスに自動転送されます。オート・クレールには別途転送お願いします。晶葉さんにはこちらから通信を送ります」

ピピピッ!

志希『リアルタイムの観測情報はやっぱりいいね〜。計測機増設してもらってよかったよかった♪』

フレデリカ『でもお仕事クビになったもんねー』

志希『いやー、仕事放り出してあっち行ったりこっち行ったりしたらね? まー軍に売られたしその分は働かないとねー』

ありす「そんな話はいいですから、前線に出てるなら少しは真剣にやってください!」

志希『イージス壊れる前に助けて欲しいなーって』

ありす「もうっ……北条少尉、砲撃支援です。一ノ瀬博士とフレデリカさんの援護を」

加蓮「はい。ナオごめん、そっちの援護が遅くなりそう、大丈夫?」

ピピピッ!

ナオ『こっちは上手くやる。気にしなくていいぞ』

加蓮「気を付けてね。一ノ瀬博士の前方に来ているGS型にレーヴァテイン発射します」カタカタカタッ!

ありす「フレイヤは更に前進、マグニの射程圏内で一ノ瀬博士とフレデリカさんを援護します」

……
…………
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:20:38.74 ID:6pOung1U0
――戦闘宙域

P『落ちろ!』ズドォンッ!!

G型「!?」ドガアアアアアンッ!!

ナオ『ロングソードを展開する……うおおおおお!』ギュオオオオオオッ!!

G型「……!」ズドォンッ!

ナオ『粒子砲に当たるか! このっ!!』ブォンッ!

シュパアアアアアンッ!!

G型「!!」ドガアアアアアンッ!!

奏『あの2人、単機でG型を……』

周子『うへー……』

美嘉「アタシだって……この!」ピピッ!

ボシュシュシュシュッ!!

GS型「……!」ヒュカカカッ!

奏『私たちも仕事しないわけにはいかないわね……周子!』
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:21:06.59 ID:6pOung1U0
周子『はいはーい!』ズドォンッ!

美嘉「まだ巣だって残ってるのに……ヴァルキュリアシステム!」ピシィッ!

パシュゥンッ!

美嘉「やあああああっ!!」ギュオオオオオオッ!!

GS型「!」ブブゥゥゥンッ!!

美嘉「死ね!!」ガションッ!

ドガガガガガガガッ!!

GS型「……」ブ、ブブブ……

ドガアアアアアンッ!!

奏『こっちも片付けたわ! この後は!』

P『よくやった。巣はヴェールとノルンに任せて、こちらは他小隊の援護に回るぞ』

ピピピピピッ!

ナオ『巣から白蜂の増援か……早めに処理しないと』

美嘉「まだ蜂がこんなに……了解!」

……
…………
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:21:33.68 ID:6pOung1U0
――フレイヤU(ブリッジ)

ありす「アルファ小隊もいい動きですね。これならば今後の戦闘も十分に期待できます」

加蓮「P少佐とナオ、アルファ小隊、他小隊の援護に向かいます」

ありす「こちらは博士たちの援護があります。巣の破壊は他ヴェールとノルンに任せましょう」

志希『んー……空間転移後の断層修復速度が遅い……2年前の観測データと並べても、これじゃ全く断層修復される気配がないっていうか……』

ありす「どういうことですか?」

志希『次元断層が起きた後って、振動が収まるにつれて断層自体も元に戻っていくんだよね、昔は。だけど今はそうじゃないねー』

志希『これじゃ空間構成情報が壊れたままだし、また同じポイントで次元振動が起きたら断層どころか穴が開くんじゃないかな』

ありす「断層レベル4でそれほどの事態に……それなら更に上位の次元振動が発生した場合は……」


加蓮「……もしかして」ピクッ!

ありす「北条少尉?」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:22:04.82 ID:6pOung1U0
加蓮「もし、今までは高いレベルの断層で空間に穴が開いていたって話なら……奈緒が、こっちの世界に来たのも……」

志希『かもねー。クイーンがこっちに来た時に観測した次元振動のレベルと、過去にあった対話の日の次元振動……当時はレベルの測定は正確じゃなかったけど』

ピピピッ!

ナオ『昔、あたしが奈緒の世界にいったときにも、大規模の巣との戦闘があった……2回、どっちも夢を見ていたくらいの短い間だったけれど、最後は……』

ありす「ナオさんがあちらの世界に転移したままになったときの戦闘は、対話の日でコロニー級の巣が出ていた時でしたね。その後、白蜂たちの巣も来ていましたが」

志希『今は中規模の巣の転移でも断層修復がこれだけ遅いなら、次に大規模の巣でも来られたらヤバイかもね。まだ干渉装置がある程度効いているうちに、なんとかできればいいけど……』

加蓮「奈緒……」

ありす「とりあえず、そのお話はまた後で。今は戦闘中ですので」

……
…………
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:23:04.94 ID:6pOung1U0
――戦闘宙域

P『アルファ小隊、巣から増援が来ている。G型がもう2匹いるな』

ナオ『まだ増援はいるか……ヴェールの進行はどうなってる?』

ピピピッ!

志希『ついでにレーダー情報展開しとこっか。陽電子砲射程距離まで後700ってとこだね』

美嘉「もう少し……!」

P『この状況ならそれほど時間はかからないか……それなら』ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!

ナオ『どうした?』

P『この装備だと中規模の巣は破壊できないが、残りの奴らが巣から出てくる前に入口くらいは潰しておく』

美嘉「ちょ、ちょっと待って! それならアタシたちも……」ガションッ!

GS型「!!」ギュンッ!

ピピピピピッ!

美嘉「しまっ――」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:23:32.56 ID:6pOung1U0
フレデリカ『とーう! フレデリカビーム!』ガションッ!

バシュゥンッ!

GS型「!?」ドガァァァンッ!!

美嘉「あっ……」

フレデリカ『だーいじょうぶー? そこのお嬢さん、フレちゃんがいないと蜂の巣にされてたんじゃない?』

美嘉「あ、ありがと……」

奏『悪いわね。うちの子がやんちゃして』

フレデリカ『おや、奥様の子ですか?』

美嘉「ちーがーうー!!」

周子『何漫才しとんねん』

ありす『あなたたち! 真面目にやってください!!』

ナオ『あたしたちは現状維持だぞー。他部隊の援護だぞー、聞いてるかー?』


……
…………
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:24:01.95 ID:6pOung1U0
――数分後、フレイヤU(ブリッジ)

加蓮「陽電子砲、蜂の巣に直撃……蜂の巣の破壊、確認できました」

ありす「ふぅ……終わりましたか。みなさん、お疲れ様です。コンディショングリーンです」

ナオ『それじゃ帰艦するか。戻るぞー』

フレデリカ『志希ちゃん大丈夫?』

志希『へーきへーき。死ぬときは一瞬でしょ?』

P『そういう問題じゃないだろ……』

奏『それにしても……中規模の巣だけどあっけなかったわね』

ありす「ま、この人が来たらそうなりますよ」

ナオ『アインフェリアがいないと生き生きしてるよな』

P『別にそういうわけじゃないぞ』

ありす「……今のは聞かなかったことにしておきます」

P『おい待てありす、誤解だ。おいナオ、お前も変なことを言うな』
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:24:37.66 ID:6pOung1U0
フレデリカ「アハハハハー……お?」

美嘉『……』

フレデリカ「おじょーさん♪ 元気?」ピピピッ!

美嘉『へっ?』

フレデリカ「ハイ! そこのアナタ!」

美嘉『……う、うん。ありが、と』

フレデリカ「……んふー♪」

美嘉『なっ、何笑ってんのよ!』

フレデリカ「なんでもなーい。ベリーベリーグッドでアタシもハッピー♪」

志希『にゃはははっ、よかったねーフレちゃん』

美嘉『……もうっ』


……
…………
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:25:57.51 ID:6pOung1U0
――フレイヤU(格納庫)

パシュンッ!

P「ふぅ……どうだナオ、体のほうは」

ナオ「今のところはまだ何とも……なっ、何考えてるんだよ!」

P「いや、そりゃ聞くだろ」

ナオ「はっ!? ま、まさかこの後風呂に入ってあたしとセックスしたいとか言い出すんじゃないのか!? ダ、ダメだぞ! まだ何ともないんだから……」

加蓮「あーあ、またナオはエッチなこと言っちゃって」フワッ

ナオ「加蓮!? あ、あたしは別に変態じゃないだろ!」

P「加蓮も、問題はないか?」

加蓮「うん、こっちは大丈夫だよ。あ、それより聞いてよPさん。ナオってばこの作戦が始まる直前までエロゲーやってたんだよ?」

P「えええええ……お前……」

ナオ「し、仕方ないだろ! 最近通販で買ったばかりのヤツだから、まだ全然クリアしてないし……」

加蓮「しかもね、調教モノなんだよ? 昨日もさー、エロゲーやりながら『あーいいなこれ……Pさんにやってもらったり……』とか言いながら画面見てたし」

ナオ「うわあああああああああああ何で知ってるんだよおおおおおお!!」

加蓮「時間になっても打ち合わせに来ないからわざわざ私が呼びに来たからでしょ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:26:49.44 ID:6pOung1U0


周子「うわー……」

美嘉「あ……う……」

奏「ナオ……貴方……」


ナオ「お前ら聞いてたのかよ!!」



P「……ま、ほどほどにな。とりあえず全員、整列しろ。ブリッジに戻る前に挨拶くらいは済ませておく」

周子「ん? はーい」フワッ

P「既に橘大尉から話があったと思うが、オート・クレール社ナシヤマ支部技術開発部門所属技師、Pだ。プロジェクト・ヴァルキュリアの実働部隊の指揮を取っていた」

奏「取っていた?」

P「しばらく前に、訳があって一度退役をしてから嘱託扱いで少佐待遇で復帰している。そこから色々あったが、現在は軍とオート・クレールの両方を兼任している」

P「その為、立場上ある程度自由に立ち回れるように特殊部隊の配属となっている。フレイヤの運用についてもそれなりに口は出すが、実質的には橘大尉が艦長であることに変わりはない」

P「アルファ小隊については戦闘補助と、広報のアイドル業務についてのプロデューサーの仕事を任されている。よろしく頼む」

美嘉「よっ、よろしくお願いします」

加蓮「セックスの話しないの?」

美嘉「ぶっ! ぷぷぅっ!?」

周子「うわきったなっ!?」ビクッ!
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:27:21.70 ID:6pOung1U0
P「……まあ、北条少尉が言った通り、皆のゾーニング現象の解消についても担当することになる。命令権については通知を参照してくれ」

P「最初は……抵抗があるかもしれない。だが、皆の身体を万全な状態にする為に俺がいる。ゾーニング現象については、決して無理はするな」

奏「……ええ」

P「この話は以上だ、あとは……」


フレデリカ「志希ちゃーん、まだー?」

志希「待ってー。はい整備長、これ整備マニュアル」

整備長「新しい装備が来るなんて聞いてなかったんだがよぉ……ま、やっとくよ」



P「一ノ瀬博士、フレデリカ! こっちに来てくれ」


志希「今いくー」


美嘉「あ、さっきの――」ピクッ!


フレデリカ「呼んだー?」フワフワ

P「フレイヤに合流したんだ。現行稼働中の部隊メンバーに挨拶をしてくれ」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:28:51.07 ID:6pOung1U0
フレデリカ「はっ、そうだった! アー、アー、みなさん、はじめまして。ワタクシ宮本フレデリカといいます」

奏「フレデリカ……貴方、その制服のライン」

フレデリカ「ビー隊からメッセンジャーたちの助っ人なんだよ。どう? カッコいい?」

P「フレデリカは縁があってプロジェクト・ヴァルキュリアに参加することになったビーだ。また、同伴している一ノ瀬博士がフレデリカの体のメンテナンスも行う」

志希「よろしくー。ホントはあたし、オート・クレールで働いてたんだけど、失踪しまくって仕事サボりまくってたらクビにされちゃってさー」

P「……まあ、ナシヤマの技術開発部門移って軍に出向することになった。現在問題となっている次元断層についての現地調査が主な仕事になる」

志希「戦闘だと役に立たないから、よろしく」

周子「そりゃそうだね」

フレデリカ「ねーねー、さっきの子って誰?」

奏「さっきの子?」

フレデリカ「あ、この子? 大丈夫? 怪我してない? 元気? メッセンジャーになる? 名前は? しるぶぷれ?」

美嘉「……城ヶ崎、美嘉」

フレデリカ「美嘉、美嘉ちゃんかー。アタシね、メッセンジャーとおんなじでアイドルだから、よろしくね」

美嘉「えっ」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 00:29:22.45 ID:6pOung1U0
P「速水少尉、城ヶ崎少尉、塩見少尉、フレデリカ……それと一ノ瀬博士の5人については、これからはユニットとして広報のアイドル業務も行うことになっている」

志希「いやね、この前まで試験管投げてたあたしもこの流れにはビックリだよ?」

奏「この2人だったのね……分かったわ。ユニット申請については、こちらから申請しておくわ」

P「頼むぞ。俺も、未熟だがプロデューサーとして出来る限りのことはするつもりだ。何かあれば遠慮なく話してくれ」

美嘉「……」


フレデリカ「アタシね、コッコ隊以外のユニットでお仕事するの初めてー♪」

周子「コッコ隊って何?」

フレデリカ「智絵里ちゃんのトコ☆」

周子「あー、あの部隊か……」

……
…………
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 00:30:42.84 ID:WyMp3dAI0
智絵里それなりに有名なのか
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