加賀さんが瑞鶴を赤面させるだけ

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1 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:16:36.28 ID:HI+2pUS/0


☆甘口の一


瑞鶴(すぅ――ふぅ。よし!)


瑞鶴「失礼します! 着任の挨拶に伺いました!」

「――どうぞ」


瑞鶴「本日着任いたします、翔鶴型航空母艦、2番艦の瑞鶴です!」

加賀「鎮守府へようこそ。秘書艦の加賀です」

瑞鶴「よろしくお願いします!」

加賀「ええ――久しぶりね、瑞鶴。それなりに期待はしているわ」

瑞鶴「……えっ?」

加賀「――? 何か変なことを言ったかしら」


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2 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:21:47.21 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「あのー、質問してもいい――いいですか?」

加賀「いいけれど」

瑞鶴「あの、建造ドックで言われたんですが。だいたい加賀さんは瑞鶴にきつい性格だから気を付けてって」

加賀「他のところがどうかは詳しく知りませんが……なんだか悪意を感じるわね」

瑞鶴「せめて第一印象が悪くならないように、と思ったんですが」

加賀「そんなに気にしなくて大丈夫よ。そもそも私は先輩だけれど、上官ではないし」

瑞鶴「そういえば、ここの提督さんはどこに?」

加賀「主力を連れて、南方海域へ出撃中。一応、私が留守を任されているわ」
3 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:24:04.37 ID:HI+2pUS/0

加賀「貴女の指導と教育も、しばらくは私が見ることになるわね」

瑞鶴「あ、はい。よろしくお願いします」

加賀「そうね。きついのがお望みなら、それもやぶさかでないけれど」

瑞鶴「い、いえ! そんなことないです!」

加賀「まあ、せっかくまた会えたのだから仲良くしたいしね――ふふっ」

瑞鶴「っ!」


加賀「今日は鎮守府の案内で終わりの予定よ。荷物を置いていらっしゃい」

瑞鶴「は、はい! 失礼します!」
4 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:25:18.49 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「――ふぅ。良かったぁ、何とかうまくやっていけそうで」

瑞鶴「加賀さんも優しそうなひとだし。それに」


瑞鶴「加賀さんの笑った顔……綺麗だったな」


瑞鶴「…………」

瑞鶴「何言ってんだろ私……」
5 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:25:59.65 ID:HI+2pUS/0

(特に理由なく仲が良い)だけです。

いがみ合わないずいかがに違和感ある方はご注意願います。
6 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:27:18.84 ID:HI+2pUS/0


☆甘口の二


加賀「桟橋とドックはもう見たわね? あっちに食堂、酒保、娯楽室と運動場」

瑞鶴「ずいぶん広いですね」

加賀「生活に必要な施設は一通り揃っているわ」

瑞鶴「あっちの建物は?」

加賀「あれはおか――鳳翔さんのお店よ。昼は割烹、夜は飲み屋さん」

瑞鶴「お母さんがいるの!?」

加賀「ええ、あとで挨拶すればいいわ。優しい方だから大丈夫よ」

瑞鶴「うわあ、楽しみだなあ――あれ?」

加賀「どうかした?」
7 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:28:35.42 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「昼も夜もお店って……出撃とか演習は?」

加賀「ああ、鳳翔さんはね――」

鳳翔「呼びましたか?」

瑞鶴「わぁ、お母さんだ! 久しぶり!」

鳳翔「会えるのを楽しみにしていましたよ。これからよろしくね、瑞鶴ちゃん」

加賀「買い出しは終わったのですか?」

鳳翔「ええ。お留守番ありがとうね、加賀ちゃん」

加賀「お、おるすばん……ちゃんとできます、子供ではないのですから」
8 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:32:09.57 ID:HI+2pUS/0

鳳翔「大事なことですよ、加賀ちゃん。ましてや提督の代理として――」

加賀「いえ、ですからその呼び方は……」

瑞鶴「……? なんか加賀さんが食い気味に」

鳳翔「ああ、それはね」

加賀「ちょっと鳳翔さん」

鳳翔「瑞鶴ちゃんの前でちゃん付けされて、子供っぽく見られたくなかったのよ」

加賀「わ、わかってるならやめてほしいのですが」

鳳翔「ふふ、ごめんなさいね。頑張ってるのを見てるとつい」

瑞鶴(わあ、赤くなってる加賀さんかわいい)


加賀「もう行くわよ、瑞鶴。――それでは」

瑞鶴「あ、はい。それじゃ失礼します」

鳳翔「あとでお店にも寄ってくださいねー」
9 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:36:56.71 ID:HI+2pUS/0


☆甘口の三


加賀「さて、気を取り直して――ある程度練度が上がるまで、演習を繰り返してもらいます」

瑞鶴「出撃はまだ先ってこと?」

加賀「ここの方針でね。戦況に余裕があれば、改造まで視野に入れられるわ」

瑞鶴「そうなんだ、かなり慎重な提督さんじゃない」

加賀「堅実な方よ。未熟なまま損傷して、余計な資材も使わないで済むし」

瑞鶴「あ、そっか。正規空母の修復ってかなり資材使うのよね」

加賀「かなり時間もかかるわ。建造されたばかりでわからないかもしれないけれど」
10 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:38:42.92 ID:HI+2pUS/0

加賀「そういうわけで、護衛の子たちを紹介します」

秋雲「横須賀生まれ横須賀育ちの秋雲さんだよ! また会えてうれしいよ、瑞鶴!」

朧「綾波型駆逐艦、7番艦の朧です。――今度はもっとお供したい、です」

瑞鶴「わぁっ、ほんと久しぶりね! こちらこそよろしくお願いするわ!」

加賀「偶然、五航戦の護衛の子たちが残っていたの。よかったわね」

朧「そう、ですね。偶然ですね」
11 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:40:24.71 ID:HI+2pUS/0

加賀「少なくとも主力が戻るまでは、一緒に組むことになるから。仲良くやって頂戴」

瑞鶴「了解しました!」


秋雲「――実はね、瑞鶴。秋雲たちを置いてくよう提督に陳情したの、加賀さんなんだよ」

秋雲「昔の護衛と一緒のほうが、瑞鶴もやりやすいだろうってさ」

瑞鶴「え、そうなの!? 加賀さん優しい……」


加賀「なにか言った?」

秋雲「なななんでもありませんです! ハイ!」
12 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:41:44.21 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「あ、2人とももう改なのね……私、ついていけるかな」

加賀「心配いらないわ。誰だって最初は未熟なもの」


加賀「それに、ここにいるのは、みんな優秀な子たちだから」

「「「!!」」」

朧「……照れる」

秋雲「ほ、褒めたってなにも出ないってー!! あっはっはー!!」

瑞鶴(あ、私、この子たちと仲良くやっていけそう……)


加賀「明後日から演習を組むわ。3人で洋上機動の確認に入りなさい」

「「「了解!」」」
13 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:43:38.81 ID:HI+2pUS/0


☆甘口の四


瑞鶴「あ、加賀さんおつかれさま! 隣いい?」

加賀「いいけれど」

瑞鶴「ありがと! もー、お腹すいちゃってすいちゃって。いただきまーす」

加賀「はじめての演習はどうだった?」

瑞鶴「なんとか勝てたけど……あはは。ほとんど朧と秋雲のおかげ」

加賀「お茶、飲む?」

瑞鶴「むぐ……んぐ」コクコク

加賀「飲み込んでからでいいわよ」
14 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:47:01.01 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「――ふう。加賀さん、今日は何か嫌なことでもあったんですか?」

加賀「どうして?」

瑞鶴「なんか機嫌悪そうだなって。眉間にちょっとシワがよってますよ」

加賀「……まあ、嫌なことというか」


加賀「テレビで、他の鎮守府の一般開放を中継してたのだけれど」

瑞鶴「ああ、そういえば今日だったっけ」

加賀「向こうの加賀と瑞鶴が、公開演習後にインタビューを受けていて――」
15 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:48:43.06 ID:HI+2pUS/0

加賀『――勝因ですか? ……私の航空隊が、いち早く制空権を確保したことでしょう』

加賀『まあ、どこかの誰かが、私の援護をしっかりしていれば、もっと早く勝てたのですが』

瑞鶴『はあああ!? 私の子たちもちゃんとやってたじゃないの!!』

加賀『あら、誰とは言ってないけれど、自覚はあったのね』

瑞鶴『確かに私は大破したけど、相手も全艦撃破したし、MVPもちゃんと取ったわ!』

加賀『被害を極限まで抑えつつ、最大の戦果が戦闘の基本よ』

瑞鶴『相手の旗艦を仕留めたのはわ・た・し・の、艦攻隊なんですけど!!』

加賀『その前に、私が相手の対空艦を潰していたことを忘れないでもらいたいわ』

加賀『――どこかの誰かは、大物への攻撃に頭がいっぱいになっていたようだけれど』

瑞鶴『な、な、な……!!!!』
16 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:52:02.40 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「あ、あー」

加賀「別に、瑞鶴への態度に文句を言いたいわけじゃないの」

加賀「後輩の指導方針に差が出るのは普通のこと……別人だものね」

瑞鶴「そうですね。……問題は、国防を担う艦娘の不仲をお茶の間に届けちゃったことよね」

加賀「生中継で公共の電波に乗せることの意味を考えて欲しいわね」

加賀「向こうの加賀しかり、瑞鶴しかり、不仲な二人にインタビューの許可を出した提督しかり」

加賀「そもそも、わざわざしかめっ面の艦娘にインタビューせずともいいでしょうに。まったく」

瑞鶴「……同じ顔で言うのは説得力あるわね」
17 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 00:55:44.02 ID:HI+2pUS/0

瑞鶴「でも、大体どこの加賀さんも瑞鶴には厳しいらしいですよ」

加賀「それを知ったとき、私は不思議で仕方なかったわ」

瑞鶴「え、なにがです?」

加賀「戦果を比べれば、貴女のほうが明らかに優れているもの」

加賀「真珠湾からラバウル、珊瑚海、ソロモン、マリアナ――その他諸々」

加賀「航空隊の練度で負ける気はなかったけれども、貴女は間違いなく、日本の最殊勲艦のひとり」


加賀「たとえ冗談でも、加賀が瑞鶴につっかかるのが不思議だわ。本当に、不思議」

瑞鶴「…………」

加賀「ごちそうさま。お先に」



瑞鶴「////」プシュウウ……

朧「瑞鶴さんが真っ赤になって倒れてる」

秋雲「なかなかレアだね! スケッチしとこっと!」
18 : ◆GoPzFNH1CI [saga]:2017/12/22(金) 01:01:38.99 ID:HI+2pUS/0

新しいSSも久々になってしまいましたが、やっぱりほのぼの空母ものです。

またよろしくお願いします。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 01:44:40.41 ID:4CQ6WGn30
なんかいいね
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 03:57:47.07 ID:4iNVOHnHo
なんだオワこれの方か
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 07:39:05.02 ID:OyANXb4zo

このシリーズと言うかこの世界観好き
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