角谷杏「西住ちゃーん、サンタクロースあてに手紙書いた?」西住みほ「はい?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 18:36:36.60 ID:djCWebdSo
大洗女子学園 生徒会室

桃「これで完成だな」

柚子「お疲れさまー、桃ちゃん」

杏「12月だけど、サマーってことだねぇ。座布団いちまぁい」

桃「何も言っていません」

華「生徒会室がクリスマス仕様になりましたね」

杏「これだけは譲れないからなぁ」

沙織「広報としてクリスマスも何か活動したほうがいいですか?」

桃「今年までは会長……いや、元会長の杏に任せてあげてほしい」

杏「いやぁ、わるいねぇ」

沙織「いえいえ、そんな。もう好きにしちゃってください」

優花里「今年は何をするんですか?」

麻子「ケーキ食べたい」

杏「まぁまぁ、それはあとで、だ。それよりも、西住ちゃーん、サンタクロースあてに手紙書いた?」

みほ「はい? いえ、まだですけど」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514108196
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 18:40:35.92 ID:djCWebdSo
杏「ありゃ、そうなの。なら急いで書いてねぇ。締め切り迫ってるし」

みほ「えっと、書けばサンタクロースがプレゼントしてくれるんですか?」

杏「そだよ」

みほ「あ、角谷先輩がプレゼントを配るんですか?」

杏「ん? なんで私が?」

みほ「え?」

杏「プレゼントを配るのはサンタクロースじゃん」

みほ「ええと、そのサンタクロース役が誰かって――」

桃「柚子!!」

柚子「うんっ!」ダダッ

みほ「わぁ!?」ササッ

柚子「避けられた!? だれかー!!」

沙織「みぽりん!! ごめん!!」

華「そのお口を封じさせていただきます!!」

みほ「えぇー!? むぐぅ!?」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 18:44:21.80 ID:djCWebdSo
優花里「か、角谷殿! サンタクロースにはどんなお願い事をされたのですか?」

杏「それは内緒。サンタさんへの手紙は秘密にしないとダメだからなぁ」

優花里「あぁー、そうですよね。うっかりしていました」

杏「秋山ちゃんももらえなくなったら困るでしょ」

優花里「困りますねー」

麻子「……」


みほ「あ、あの、一体なにを……」

桃「西住。お前はサンタクロースの存在を信じていないのか」

みほ「はい? いないと思いますけど」

柚子「西住さんは信じていないんだね。でもね、いるの」

みほ「いないと思うんですけど……」

桃「お前だって朝起きたときに枕元にプレゼントがあったりしただろう」

みほ「いえ、一度もありませんでした」

沙織「うっ……みぽりん……」

華「お気の毒に……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 18:51:10.60 ID:djCWebdSo
みほ「深夜にお母さんかお姉ちゃんがこっそり部屋に入ってきてプレゼントを置いていったことはありましたけど、気が付いたらそこにあったことはないです」

柚子「西住さん……」

桃「もういい、西住。ともかくだ、杏の中ではサンタクロースは存在していることになっている」

沙織「うんうん」

華「わたくしたちも去年の大洗クリスマスパーティー時に知ったのですが……」

みほ「学園のみんなが角谷先輩はサンタを信じていることを知ってるの?」

桃「当たり前だ。むしろ知っておいてもらわなくては困る」

沙織「この時期はみんなピリピリしてるもんね」

華「サンタクロースの存在について、角谷先輩の耳だけには入らないようにしなければなりませんから仕方ありませんわ」

みほ「た、大変なんだね」

桃「西住は転校生だから知らせるタイミングがなかったな」

柚子「うん。そういうわけだから、西住さん。協力して欲しいの。杏の純心を守るために」

みほ「わ、わかりました」


杏「サンタさん、いつごろくるかねぇ」

優花里「やっぱり深夜でしょうねー」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 18:57:28.13 ID:djCWebdSo
麻子「サンタさんか……」

杏「冷泉ちゃんも手紙書かないと、プレゼントもらえないよぉ」

麻子「私はいい。願っても、もう戻ってこない」

杏「うん?」

麻子「私が欲しいのは、戻ってこないものだ」

沙織「麻子っ」

麻子「すまん。この時期はつい言いたくなる」

沙織「分かってる。分かってるけど、言うのは私だけにしてっていつも言ってるでしょ」

麻子「……」

優花里「冷泉殿、思うところがあるんでしょうね」

華「事情が事情、ですから」

杏「サンタさんなら大抵のモノはプレゼントしてくれるはずだけど、冷泉ちゃんが欲しいモノはどうしても無理ってわけか」

麻子「無理だな」

杏「そっか……」

みほ「あのー、お手紙はどれに書けば……?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:01:29.73 ID:djCWebdSo
杏「これだよー、西住ちゃん。ほい」

みほ「ありがとうございます」

杏「誰にも見られないように書かなきゃダメだからなぁ」

みほ「はい。注意します」

麻子「今日は、帰っていいか?」

沙織「私も一緒に帰るわよ。ごめん、みんな。また明日ね」

優花里「はいっ。お疲れさまでした」

華「ごきげんよう」

麻子「……すまん、沙織」

沙織「いいの。今日は、私の家にくる?」

麻子「……うん」

優花里「冷泉殿、少し心配ですね」

華「沙織さんがいるので大丈夫ですわ」

杏「……」

みほ「ええと……うーんと……やっぱり、ボコのクリスマス限定バージョンがほしい……です……っと」カキカキ
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:07:02.62 ID:djCWebdSo
桃「書けたらこちらで預かる」

みほ「よろしくお願いします」

柚子「それじゃあ今日はもう終わりましょう」

華「はい。では、整理をしてから戸締りいたしますので、先輩方はお先にどうぞ」

桃「悪いな。では、行こう」

柚子「うん」

杏「んー」

柚子「杏ー、かえろー」

杏「ほーい。んじゃねぇ」

優花里「はい!!」

みほ「はぁ……。角谷先輩、サンタクロースのこと信じてるんだぁ。少し意外かも」

華「きっと大切に育てられてきたのでしょうね」

優花里「角谷殿のご両親がとても気になりますよねぇ」

みほ「でも、誰も教えなかったってありえるのかなぁ」

華「実家ではご両親が、学園艦内では小山先輩と河嶋先輩がサンタクロースについてはずっと秘匿されていたのではないでしょうか」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:14:06.13 ID:djCWebdSo
廊下

柚子「今年は新生徒会と旧生徒会、それから戦車道受講者メンバーとならクリスマス会できそうだね」

桃「ああ。予算的に大洗全域でのクリスマスパーティーはできないからな」

柚子「今年の予算、殆ど戦車道で使っちゃったもんねぇ」

杏「こやまぁ、かわしまぁ」

桃「はい」

柚子「なぁに?」

杏「ちょっと調べてほしいことがあるんだけど」

桃「なんでも言ってください」

杏「んじゃ、お願いしちゃおっかなぁ」

柚子「それで何を調べればいいの?」

杏「サンタクロースの存在を信じていない生徒が大洗に何人くらいいるのか」

桃「は……?」

柚子「それは……」

杏「よろしくぅ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:46:36.74 ID:djCWebdSo
柚子「ちょっとまって、杏――」

桃「行ってしまった……」

柚子「桃ちゃん……どうしよう……」

桃「言われたからには調査するしかないが……」

柚子「けど、サンタクロースを信じさせ続けてほしいっていうのが杏のご両親から唯一お願いされていたことなのに」

桃「分かっている!!」

柚子「もし、サンタクロースはいないって結論に行き付いたら……」

桃「信じてきた年数が年数だからな。杏のショックは計り知れないぞ」

柚子「ど、どうするのぉ?」

桃「決まっている。アンケート時に元・会長直々のアンケートだと告げればいい。そうすれば多くの者は察するはずだ」

柚子「それって一種の情報操作じゃあ……」

桃「やるしかないだろ!」

柚子「うぅん……」

桃「私は寮に戻ってアンケート用紙を作成する」

柚子「私は生徒会のホームページにアンケートコーナーを作ろうかなぁ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:51:33.99 ID:djCWebdSo
通学路

麻子「悪いな」

沙織「いいって」

麻子「……沙織は信じていたのか?」

沙織「まぁ、10歳ぐらいまではね」

麻子「そうか。どうして気が付いたんだ?」

沙織「うちのリビングでサンタクロースがお母さんと仲良くしているのをみちゃって」

麻子「そうか……」

沙織「うん……」

麻子「角谷さんにはサンタはいないと告げたほうがいいのかもしれないな」

沙織「よくないわよ!!」

麻子「大学生になっても社会人になってもサンタクロースの存在を信じ続けていれば、いつか悲しい目にあうと思うが」

沙織「そりゃあ、そうかもしれないけどさぁ」

麻子「夢を見続けるのも、辛いことだ」

沙織「麻子……。今日は麻子の好きな物つくってあげるっ。なんでもいってよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 19:58:46.83 ID:djCWebdSo
みほの部屋

みほ「サンタクロースかぁ……」

みほ「そもそも信じたことすらなかったから、角谷先輩の気持ちがよくわからないけど……」

ピロリンッ

みほ「メール……? 誰からだろう」ピッ

ケイ:イヤッホー!! ミホー!! 元気してるー? え? してるの!? それはよかったわ!!

みほ「ケイさんからだ」

ケイ:クリスマスイヴとクリスマス、私の家でホームパーティーしようと思ってるの! まあ、ホームパーティーは毎週してるんだけどね(スマイル)

ケイ:クリスマス、私の家にこない?

みほ「……」ピッ

みほ:すみません。クリスマスは大洗でもパーティーがあって、私はそれに参加しようと思っています。

ケイ:そっかー。それなら仕方ないわね。ソーリー、ミホー。また連絡するわ

みほ「悪いことしちゃったな……」

みほ「ケイさんってどんなパーティーするんだろう……ちょっと見てみたい気も……」

みほ「やっぱりアメリカっぽいのかな?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 20:26:47.78 ID:djCWebdSo
翌日 大洗女子学園

みどり子「はい、これ」ペラッ

カエサル「これは……」

エルヴィン「元会長角谷杏発案、緊急アンケート。あなたはサンタクロースを信じていますか?」

おりょう「いきなりぜよ」

左衛門佐「ふむ。して、なんと答えるのが正解なんだ?」

みどり子「よく考えなさい。元・会長が発案しているんだから」

カエサル「それでは答えは決まっているようなものではないか」

エルヴィン「箝口令ということか」

おりょう「大洗の闇は深いぜよ」

左衛門佐「伊達家のようだ」

カエサル「中世ヨーロッパでは古代ローマの文化が著しく低下した暗黒時代というのもあったな。あれも闇が深い」

おりょう「闇の深さでいえば江藤新平」

エルヴィン「ふっ。闇の深さならば、ドイツ軍――」

左衛門佐・カエサル・おりょう「「やめろ!!」」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 20:32:11.92 ID:djCWebdSo
エルヴィン「最後まで言わせてくれてもいいだろう……」

カエサル「直接聞くに聞けなかったが、やはり会長がサンタを信仰しているのは事実なのか」

みどり子「そーよ。いつもこの時期はワクワクしてるわね」

おりょう「ほっこりするぜよ」

みどり子「傍から見ている分にはいいんだけど、近くにいる人ほど気が機じゃないんだから」

左衛門佐「確かに。何気ない一言で角谷先輩が落ち武者と化すこともあり得るわけか」

桂利奈「ねえねえ、優季ちゃんはサンタさんに何お願いするのー?」

優季「えぇ〜? サンタクロースじゃなくてお父さんにお願いするけどぉ?」

桂利奈「え……」

優季「どうしたの、桂利奈ちゃぁん?」

桂利奈「……」

あゆみ「桂利奈?」

梓「まさか……桂利奈……」

あや「あーあ」

エルヴィン「なるほど、危険だな」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 20:37:59.43 ID:djCWebdSo
戦車倉庫内

桂利奈「あぁぁ……」

紗希「……」ナデナデ


沙織「桂利奈ちゃん、放心しちゃってるけど、どうしたの?」

優季「私がわるいんですぅ」

梓「桂利奈、サンタを信じていたんですけど優季の一言で……」

沙織「えぇ!?」

みほ「信じてた人が真実を知るとああなるんだ」

華「痛々しいですわ」

優花里「うぅ……まさか、ここで脱落者がでてしまうとは……」

麻子「ダメージが計り知れないな」

優季「どうしよぉ……」

あゆみ「桂利奈も大人になれたってことでいいんじゃない?」

優季「かりなちゃぁん、ごめんねぇ……」

みほ「気を付けないと」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 20:48:38.26 ID:djCWebdSo
ねこにゃー「アンケートにはなんて答えた?」

ももがー「信じてるにマルしておいたぞな」

ぴよたん「そのほうが無難だしぃ」

ねこにゃー「じゃあ、ボクも……」

ナカジマ「うーん。サンタクロースかぁ」

ホシノ「私はいると思ってる派」

スズキ「意外だなぁ。ホシノってそういうの信じるんだ」

ホシノ「否定するよりはいいかなって」

ツチヤ「確かにいてくれたら、いいよなぁ。それじゃあ私もいるにマルしとこっと」

ナカジマ「そういう意味で信じてるってのはいいかもねぇ」

スズキ「ホシノは宇宙人も信じてる派?」

ホシノ「宇宙人はいないんじゃない? あれは未来人だと思うけど」

お銀「サンタクロースぅ? ふん、愚問だ」

カトラス「信じてるの?」

お銀「いるに決まっている!! 大洗にきてからいつも枕元にプレゼントがあるからね!! 会ったことないけど」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 20:54:15.39 ID:djCWebdSo
モヨ子「船底ではクリスマスになるとよく生徒会の広報をみたと報告があったような」

希美「それね」

みどり子「河嶋さんは苦労してるのよね」

お銀「少なくとも大洗の学園艦にはサンタクロースは住んでいる」

みほ「そうですか」

優花里「河嶋殿、立派でありますな」

華「がんばってくださいね、沙織さん」

沙織「わたしがあの人たちにプレゼント配らないといけないのー!?」

麻子「サメさんチームの純心を守れ、沙織」

沙織「やだもー……」

お銀「去年はマフラーだったから、今年は手袋に期待したい」

沙織「分かりやすくていいけどさぁ」

桂利奈「サンタクロース……いるのかな……いないのかな……」

紗希「それは、自分次第」

桂利奈「どういう意味?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:18:26.54 ID:djCWebdSo
華「戦車道受講者のみなさんは信じるにマルをつけたようですわ」

優花里「わざわざ真実を語るまでもありませんからね」

麻子「いいのか……」

沙織「いいんだって、これで」

麻子「まぁ、私は文句をいう立場でもないが」

みほ「学園の生徒も殆ど信じるにマルをつけてくれるよね、きっと」

華「角谷先輩の人望次第でしょうけど」

麻子「めちゃくちゃな人ではあるが、今でも人気があるし、その点の心配は必要ないだろうな」

みほ「そうだよね」

優花里「しかし、アンケートをとった意図がわかりませんよね」

みほ「麻子さんの発言で少しだけ疑ったのかな」

麻子「……私の所為か?」

沙織「けど、これで信じてる人が多数派ってことで解決するんじゃない」

華「ええ。そうなるでしょうね」

麻子「……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:23:52.73 ID:djCWebdSo
生徒会室

華「では、結果発表をいたします」

杏「よっ。待ってましたぁ」

華「河嶋先輩、お願いいたします」

桃「ああ。サンタクロースの存在を信じている者、99%。分からないと回答した者が1%だけいました」

柚子「つまり……」

桃「サンタクロースはいる、それが世論の答えということになる」

柚子「やったね、杏!」

杏「……」

沙織「どうかしたんですか?」

杏「小山がつくった生徒会のホームページ上にあるアンケート結果も込み?」

柚子「もちろんっ」

杏「てことは、大洗の学園艦にだけいるってことになるね」

みほ「え?」

杏「河嶋と小山にはここでの調査を頼んだから、私は他の地域ではどうなのか調べてみたんだ」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:34:09.31 ID:djCWebdSo
柚子「ど、どうして!?」

杏「大洗とこの学園艦だけだと信憑性が得られないと思ったからねぇ」

桃「あぁ……もうおしまいだぁ……」

優花里「角谷殿は行動力ありますもんね」

麻子「負けたな」

みほ「どう調べたんですか」

杏「知り合いに電話をしただけー。ダージリン、ケイ、チョビ、カチューシャ、逸見ちゃん、西ちゃん、あとミカ」

みほ「な……」

沙織「そ、その人たちはなんて言ってたんですか?」

杏「ええと――」

ダージリン『サンタクロース? 生憎と見たことのない人物を信じる気にはなれないの。こんな格言を知ってる? 真実は特定の時などない。真実はどんな時代にも真実である』

ケイ『……いるわね。めちゃくちゃいるわよ』

アンチョビ『ハッハッハッハ!! 今年は私がサンタクロース役をすることになっている!!』

カチューシャ『はぁ? 居るに決まってるじゃない。バッカじゃないの?』

エリカ『いるわけないでしょ?』
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:40:37.18 ID:djCWebdSo
絹代『さんたくろーすとはいかなる存在なのでしょうか!!』

ミカ『さぁて、どうだろうね。サンタクロースの存在なんて無価値なものだから、気にしてないかな』

杏「――ってところだ」

みほ「はい!」

桃「なんだ、西住」

みほ「サンダースとプラウダにはいるかもしれません」

杏「その可能性はあるなぁ」

みほ「だったら、いるってことでいいんじゃあ……」

杏「けど、三か所にだけサンタクロースがいるってのも、変な話じゃない? サンタは世界中を飛び回っているはずなのにさ」

みほ「うっ……」

優花里「はい!」

桃「秋山」

優花里「サンタクロースは良い子にしている場所にしか来ないといいます。つまり、ケイ殿とカチューシャ殿は良い子である証明になるのではないでしょうか!!」

杏「今はサンタクロースの存在についてが問題なんだよねぇ。ケイとカチューシャが良い子だってのは調べなくてもわかってるし」

優花里「ぐっ……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:48:57.27 ID:djCWebdSo
麻子「はい」

桃「冷泉っ」

麻子「まあ、あれだ、私みたいな人間が他にもいたというだけだ」

杏「……」

麻子「うぅ……なんて悲しそうな目だ……」

沙織「はいはいはい!!」

桃「武部!!」

沙織「信じないとサンタクロースは来ないと思います!!」

杏「そうだな……」

沙織「あぁ……」

華「はい」

桃「五十鈴……頼むぞ……! 現生徒会長……!! 起死回生の一言を……!!」

華「――サンタクロースは、います。いるはずです。ですから、今年のクリスマス会はみなさんで徹夜をしましょう。夜通し起きていればサンタクロースも目撃できるはずです。だって、いるのですから」

柚子「えぇ!?」

杏「やっぱりそれしかないよな。でも、夜更かししている子のところには絶対に来ないって言われて育ってきたからねぇ。それをしても目撃はできないんじゃない?」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 21:55:41.53 ID:djCWebdSo
華「角谷先輩へのプレゼントは諦めるとして、他の人宛のプレゼントを配る場面ならみることができるかもしれません」

杏「ああ、いいねぇ」

麻子「監視カメラで捉えることはできないのか」

沙織「サンタは鏡にもカメラにも絶対に映らないんだよ」

みほ「そんな設定あるんだ。吸血鬼みたい」

杏「んじゃ、徹夜でクリスマス会、やろっか」

華「はい!」

桃「で、プレゼントを受け取る者は誰にするつもりだ」

華「無論、純粋にサンタクロースを信じている人でなければいけません」

柚子「戦車道受講者の中に、いたかなぁ」

麻子「いるな。チーム単位で」

桃「誰だ?」

沙織「サメさんチームの人たちです」

桃「あいつらか……。よし、頼んでみよう」

みほ「いえ、頼む必要はありません。その日、早めに就寝してもらうだけでいいはずです」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:02:11.76 ID:djCWebdSo
桃「それもそうか。では、そのように事を運ぶか」

みほ「はい」

杏「なんの相談?」

優花里「いえ、配られる場面を見るためには誰か適任かと思いまして」

桃「サメさんチームの面々が最適かと」

杏「あと、冷泉ちゃんもアリじゃない?」

麻子「え……」

杏「にひぃ。何を驚いてるの?」

麻子「言ったはずだ。私の欲しいものはもう手に入らない」

杏「サンタクロースの存在は信じてる?」

麻子「……」

杏「冷泉ちゃんが書いたアンケートには信じるにマルがついてるけど」

みほ「麻子さんは……」

杏「西住ちゃんは黙ってて」

麻子「……信じている、一応」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:11:10.26 ID:djCWebdSo
杏「ならいいじゃん。当日、冷泉ちゃんとサメさんチームにプレゼントが配られる瞬間をこの目でみないとねぇ」

麻子「むぅ……」

杏「たのしみだねぇ」

みほ「よかったの、麻子さん?」

麻子「信じていないとはいえない」

沙織「そうだけどさ」

麻子「それに……」

みほ「はい?」

麻子「角谷さんが本当にサンタクロースを信じようとしているのかも、気になる」

優花里「まさか、実はもう存在については諦めているとか?」

華「それは悲しすぎます」

麻子「それか、元々信じてなんていなかったのか」

沙織「信じてなかったってことはないんじゃない? 河嶋先輩も小山先輩も必死に隠してきたところだし」

麻子「どうだろうな」

みほ「うーん……」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:25:35.20 ID:djCWebdSo
戦車倉庫内

ナカジマ「徹夜でクリスマスパーティーですか」

あや「たのしそー!!」

優季「わぁい、じょしかぁい」

桂利奈「でも、サンタさんはいない」

あゆみ「桂利奈、ちょっと休んでよう」ギュッ

桂利奈「うぅ……」

優季「ごめんねぇ……」

みほ「あの!! 桂利奈さん!!」

桂利奈「はぁい……?」

みほ「当日はサンタクロースをみるためのイベントでもあるの。桂利奈さんは見たいですか? それともプレゼントを受け取りたいですか?」

桂利奈「え……」

みほ「プレゼントを受け取るなら、サンタクロースを肉眼で確認することは叶いません。けれど、起きていれば見ることもできます」

みほ「サンタクロースはいますから」

お銀「サンタクロースを見たい? 酔狂なことをするみたいだねぇ。エドワード・ロー船長みたいじゃないか。ロー船長について詳しく調べたわけじゃないけどね」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:33:13.48 ID:djCWebdSo
カトラス「見ていいものじゃないはず」

ラム「親分、サンタを信じてないやつらのことなんてほっときましょうよぉ」

ムラカミ「ふん。罪深い女だ」

フリント「まっかなおっはなのぉ〜トナカイさんはぁ〜いっつもみんなのぉ〜わらいものぉ〜」

フリント「――今のあなたのように」

みほ「えぇ……」

お銀「まぁ、トナカイはその短所をサンタさんに長所だと褒められるわけだけどね。そんな聖人の仕事をのぞき見するなんて、アンタ、隊長の風上にも置けないね」

みほ「すみません……」

桃「お前たちは寝ていて構わない」

お銀「そうさせてもらいます。桃さん」

桃「阪口はどうする?」

桂利奈「……寝ます!!」

優季「いいのぉ?」

桂利奈「サンタさんをみるより、サンタさんからのプレゼントが何か楽しみだから」

優花里「ちゃんとサンタさんにお願いはしたの?」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:38:08.36 ID:djCWebdSo
桂利奈「しました! でも、それ以外でもいいんです!」

優花里「なんでもいいってこと?」

桂利奈「あいっ!!」

梓「桂利奈……」

優季「すごい罪悪感だよぉ……」

華「桂利奈さんの心も守りましょう」

麻子「プレゼントを置くだけで大丈夫そうだが」

みほ「麻子さん」

麻子「なんだ」

みほ「麻子さんも寝る側ですから、その……」

麻子「朝起きたときに枕元にプレゼントがあれば、サンタクロースはいる。そういうことか」

みほ「そうなります……」

麻子「これを渡しておこう」ペラッ

みほ「これは?」

麻子「サンタクロースへの手紙だ。一応、書いてみた。多分、叶うことのないプレゼントだろうがな」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:45:04.47 ID:djCWebdSo
沙織「ちょっと、麻子」

麻子「サンタクロースなら、プレゼントしてくれるはずだ」

沙織「いい加減に……」

みほ「沙織さん。いいから」

沙織「いや、けどさ、きっと書いたのは……その……」

みほ「家族……だったりするのかな……」

沙織「小学生のとき、ずっと言ってたの。今年こそはサンタクロースにお母さんとお父さんを連れてきてもらうんだって」

華「……」

優花里「それは……」

沙織「だから、麻子はここにいる誰よりもサンタクロースの存在は信じていないと思うし、むしろ嫌いなんじゃないかな」

みほ「そっか」

優花里「どうするでありますか」

みほ「……私、サンタクロースを信じたことがないから、信じている人の気持ちは絶対に分からない。けど、もう桂利奈さんみたいな犠牲者は出したくないから、がんばります」

梓「犠牲者扱いはやめてあげてください!」

あや「でも、まあ、犠牲者じゃん?」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:52:19.73 ID:djCWebdSo
生徒会室

優花里「クリスマス会当日に、何かを仕掛けるのですね」

みほ「それしかありせん。桂利奈さんとサメさんチームの皆さんはプレゼントさえあれば信じてくれると思います」

みほ「問題は麻子さんと配る瞬間を見る角谷先輩ということになります」

華「麻子さんはきっと夜通し起きていると思ったほうがよさそうですね」

沙織「そうだよねぇ。夜だけは強いから」

優花里「その日はたっぷりとお昼寝をしてきそうです」

みほ「それどころか、1800時に寝てしまう可能性もあります」

沙織「そんな中途半端な時間に寝たら……!!」

みほ「サメさんチームが就寝する前に起床する可能性もあります」

優花里「サメさんチームの人たちも18時に寝てくれないでしょうか」

沙織「どっちかというとすっごい夜型だと思うんだけど」

華「それにプレゼントは0時から4時の間に配られるという設定もあるみたいですわ」

みほ「そんな設定もあるの!?」

桃「おい!! 設定というのはいい加減やめろ!!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 22:58:39.10 ID:djCWebdSo
柚子「サンタクロースの設定はいいとして」

桃「柚子までいうのか!?」

柚子「杏は今、半信半疑なのかどうなのかも気になるよね」

みほ「はい。私もそこが気になっています」

桃「何が問題なんだ?」

柚子「例えばサンタクロースの存在を完全に信じてない状態だとしたら、当日にプレゼントを配るシーンを見せても意味がないというか……」

みほ「むしろ、その場で取り押さえようとして大騒ぎなるかもしれません」

優花里「それはまずいです! サメさんチームがそこで目を覚ますようなことがあれば……!!」

華「最悪の展開ですね」

沙織「そこには桂利奈ちゃんだっているんだよぉ?」

柚子「トラウマ確定よねぇ」

桃「では、どうするんだ」

みほ「最良の手段は、サンタクロース役にその日、絶対に大洗にはいないであろう人物を用意する」

優花里「そのような人が存在するのですか」

みほ「心当たりは数名います」
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