【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】

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369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/04(日) 09:45:00.28 ID:FfXhEXaJ0
時間経ちすぎていつか次投稿する時コメントで埋まってそう
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/26(月) 18:21:32.56 ID:EuLnhtAU0
保守
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/18(水) 14:46:37.29 ID:6Z2an0L/0
保守
372 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:14:14.56 ID:WAM6fwFIo
続きです。
373 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:15:02.33 ID:WAM6fwFIo

 * 島の内部 丘の上 *

ベリアナ「すっご〜い……!」

ベリアナ「海までの道が開けちゃった……!!」

女神「これでみんなを沖まで運べるね」

ベリアナ「良く見たら、艦娘のみんなの傷も消えてるし!」

ベリアナ「ほぉら、起きて起きて! みんな早く逃げようよ!」ユサユサ

女神「あ、ごめん。みんなの目を覚ますまでの力は確保できなかったんだ」

ベリアナ「えぇ〜っ!? ちょっとぉ、あたしみたいなか弱いオンナノコに、オトナのオトコのひとなんて運べないよ〜!?」

女神「ブラックホールは作れないの?」

ベリアナ「もう魔力ないもん……魔法石、全部割れちゃったし……」

女神「……うーん、ごめんね?」

ベリアナ「っていうか、このままじゃあたしも蒸し焼きになっちゃうよう……やだぁぁ、こんなところで死にたくなぁい!」

ベリアナ「死ぬときはベッドの上でマスターに跨って、って決めてるのぉ〜!」

女神「それ、如月が聞いたらただじゃすまないよ?」
374 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:15:49.76 ID:WAM6fwFIo

 * 島の海岸 *

不知火「ここから陸地……!」ダッ

霞「……なんて熱さなの」

朝潮「こんな熱気の中にいては、司令官が危険です!」

潮「い、急ぎましょう……!」

 ドドドドドド…

敷波「!?」

白露「いっちばーーーん!」ドドドドドド

島風「はっやぁーーーい!」ドドドドドド

不知火「……」

霞「この時ばかりは頼もしいわね……」



 * 丘の上 *

 ドドドドドド…

ベリアナ「なにこの音……!?」

白露「いっちばーーーん!」キキーッ

島風「とうちゃーーーく!」キキーッ
375 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:16:32.00 ID:WAM6fwFIo

女神「きみたちは……!」

ベリアナ「やったあ、助けに来てくれたのね!?」パァッ

島風「島風のほうが速かった!」

白露「あたしのほうが一番でした!」

ベリアナ「ちょっとぉ!? 話を聞いてよぉ!!」ガーン

女神「ふたりとも、時間がないんだ。急げばみんなを助けられる、みんなを連れて島を離れて」

島風「ええ!? みんなって、6人もいるの!?」

女神「この悪魔ちゃんも含めて7人だね」

白露「私たちだけでみんなを運ぶのは無理だね……」ウーン

島風「とにかく助けを呼ぼう!」ダッ

 バユーン

島風「!」

白露「あれは……龍驤さんの彩雲だ! おーい!」ズババババ

女神「えっ、なにその不思議な踊り」

島風「手旗信号だよ?」

ベリアナ「そんなので通じるの!?」
376 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:17:18.00 ID:WAM6fwFIo

 * 海岸付近の海上 *

龍驤「うん? 彩雲が映像送ってきてるなあ……」

雲龍「え?」

大淀「なんですか、この不思議な踊り……もしかして」

龍驤「……キュウエンモトム、テイトク、クチクカンゴ、メディウムイチ、やて」

大淀「早っ!?」

雲龍「提督、生きてるの?」

龍驤「メディウムイガイイシキナシ、て言うてるから、ちょっち危ないかもなあ……雲龍、通信準備」

雲龍「はい」

龍驤「あーあー、巡洋艦のみんな、目的地に提督がおるで!」

龍驤「駆逐艦の子たちとメディウムもひとりおるから、連携して連れてってや!」

通信『了解!』

大淀「あのハンドサイン、ちゃんと解読できたんですか」タラリ

龍驤「ちょろいで」ビシッ

雲龍「素敵」
377 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:18:16.80 ID:WAM6fwFIo

 * 丘の上 *

白露「よし、龍驤さんには連絡届いたみたい!」

島風「みんな来たよ! こっちこっち!!」

 タッタッタッ

不知火「はぁ、はぁ……」

朝潮「司令官……!」

霞「……まだ、生きてるのよね?」

不知火「司令、失礼します」スッ

 (手袋を外して提督の額に手を当てる不知火)

不知火「こんなに熱いのに、汗をかいていない……脱水症状を起こしているのかもしれません」

不知火「朝潮、霞、お二人に司令をお願いしたいのですが」

朝潮「ええ、任せて! 霞!」

霞「とにかくここから離れるわよ!」ヨイショ

 タッタッタッ

敷波「司令官!!」

潮「提督……生きてるんですか!?」
378 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:19:02.24 ID:WAM6fwFIo

不知火「二人はこちらを手伝ってください。不知火は如月を連れて行きます」

女神「みんなを早くドックに入れてあげて。わたしの力も、いつまで持ちこたえられるかわからないからね」

潮「妖精さん……!」

敷波「……それじゃあ、電はあたしが連れてくよ!」グッ

潮「お、朧ちゃんは、私が連れて行きます!」

白露「よし、それじゃ、初春は私が運ぶね!」

島風「私が吹雪ちゃんかあ」ヨイショ

不知火「皆さん、重巡や戦艦の皆さんと合流出来たら、そちらに引き渡してください」

不知火「ここに来るまで、熱気や坂道で私たちも消耗しました、くれぐれも焦らず慎重にお願いします……!」

潮「わ、わかりました!」

敷波「了解っ!」

白露「島風、競争はなしだからね?」

島風「わかってるってば!」

不知火「……妖精さんは、どうするおつもりで」

女神「わたしはここでお別れかな。力を使ってる間は動けないからね」
379 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:19:47.39 ID:WAM6fwFIo

女神「でも、死ぬわけじゃないから大丈夫。力を使った後はしばらくこの世界から消えちゃうだけだから」

ベリアナ「ああ、もしかして、異世界に逃げちゃう感じ?」

女神「んー……多分、そんな感じかな。私たちの力が回復すれば、また戻ってこられるから、心配しないで」

ベリアナ「それで私が持ってきた魔法石が消えちゃったのね……」

女神「それより、きみも早く逃げないと。死ぬときは提督の上でなんでしょう?」

不知火「!?」

ベリアナ「んもう、わかってるったら! 行きましょ、えーと……シラナイ?」

不知火「不知火です」

ベリアナ「うん、シラヌイちゃん、イこっ!」タッ

不知火「……は、はあ」ポ

不知火「それでは……妖精さん。行ってまいります」ケイレイ

女神「うん。みんなと、提督をよろしくね」

不知火「……」コク

 クルッ スタスタ…

女神「……さあ、みんなが脱出するまで、もうひと頑張りだ」
380 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:20:31.98 ID:WAM6fwFIo

 * *

朝潮「……はぁ、はぁ……」

霞「朝潮姉、大丈夫?」

朝潮「こ、このくらいでへこたれたりは……」

ベリアナ「本当に大丈夫? 汗びっしょりで、息も荒いし、まるでセ」

不知火「おやめください」ガシッ

ベリアナ「んもう、冗談だってばぁ」

敷波「そういう疲れる冗談言ってる場合じゃないよ……」ゼーゼー

潮「……」ハーハー

島風「もー、あっつーい!」

白露「叫んじゃ体力消費するってば……」

オリヴィア「やれやれ、そろそろアタイの出番かい?」ポンッ

潮「!?」

ベリアナ「オリヴィア!? どこに潜んでたの!?」
381 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:21:32.10 ID:WAM6fwFIo

オリヴィア「アタイかい? ウシオの艦内にこっそり紛れて入ってたんだよ」

潮「ぜ、全然気づきませんでした……」

オリヴィア「どんくさい子だねえ」

潮「どんくさい……」ズーン

オリヴィア「それはさておいて、ほら、そこの二人。アミーゴを背負うのはアタイがやるよ」ノッシノッシ

朝潮「……」ゼーゼー

霞「あ、あんた……」ハーハー

オリヴィア「成人男性担いで歩くにゃあ、あんたたちじゃガタイが足りないよ」ヒョイ

霞「あ……」

オリヴィア「陸の上ではこのアタイに任せて、海についたら交代だ。いいね?」テイトクカツギアゲ

朝潮「……わ、わかりました、お願いいたします……!」ペコリ

 タタタッ

黒潮「不知火! ……良かった、みんなおるんやな!?」

朝雲「山雲、みんなを運ぶの手伝うわよ!」

山雲「は〜い」

初雪「……熱い、死にそう……早く海に行こう」ダラー

朝雲「いま、軽巡や重巡のみんながこっちに向かってるわ」

黒潮「うちらが運ぶより、重巡や戦艦のみんなに運んでもらったほうがええやろしな!」

不知火「……少し、急ぎましょう」コク
382 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/09/05(日) 13:23:02.71 ID:WAM6fwFIo
今回はここまで。


こちらのお話は、外伝的な「墓場島鎮守府?」のお話で発生した
フラグを回収するルートになっていますので、もうしばらくお時間戴きたく。
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 03:26:23.92 ID:vZmqntzU0
更新乙。
ええんや、全然待たせてくれてもええんやで。
俺らは必ず待ってるから。
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/10(水) 02:28:38.73 ID:itL1GlDs0
保守
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/01(水) 12:31:50.01 ID:VWJq7oee0
保守
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/13(月) 00:34:28.44 ID:8hWR+MEa0
こりゃ更新は来年かな
387 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2021/12/26(日) 20:05:55.25 ID:TSQ7cZ5Qo
申し訳ありませんが、こちらの更新はまた来年に。

保守のついでに、ル級のアイデア元のネタはこちらです。
 https://www.pixiv.net/artworks/49459721
 https://www.pixiv.net/artworks/49607618
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/10(月) 00:55:07.16 ID:Me/MyNbK0
保守
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/22(土) 00:34:53.14 ID:NEJF5c6b0
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 14:48:57.88 ID:TtZib6N80
保守
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/02(水) 14:27:27.75 ID:VIfHK7f30
保守
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/04/10(日) 12:51:18.49 ID:/bd7d8EL0
保守。いつまでも待ってやる
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 17:58:00.57 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
394 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:50:22.90 ID:dPdn6WLgo
長らく長らくお待たせしました。
ようやく整いましたので、続きです。
395 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:51:30.87 ID:dPdn6WLgo

 * 島の南東岸 *

神通「この上ですね……!」

川内「うひゃあ、熱気がすごい!」

五十鈴「駆逐艦のみんなはもうあそこにまで行ってるのね……!」

由良「急ぎましょ!」ダッ

軽巡棲姫「……グ……!」ガクッ

那珂「! け、軽巡ちゃん大丈夫!?」ガシッ

川内「もしかして、さっきふっ飛ばされたときのダメージが残ってるんじゃない?」

那珂「みんなは先に行ってて! 私が軽巡ちゃんを看るから!」

川内「わかった!」ダッ

神通「お願いします!」ダッ

 ザザザァッ

那智「む……何があった!?」

那珂「軽巡ちゃんのダメージがひどいみたいなの! 私が看てるから、先に行ってて!」
396 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:52:16.14 ID:dPdn6WLgo

那智「あ、ああ、わかった。具合がひどいときは引き返せよ!」ダッ

古鷹「私たちは行きましょう!」ダッ

利根「よおし筑摩、吾輩たちも突入するぞ!」ダッ

筑摩「はい、姉さ……ん!?」

利根「ん? どうしたん……うおっ!?」ガクッ

??「ど、どうしたんじゃ!?」

利根「い、いや、急に力が……って……」フリムキ

筑摩「……」

利根「……」

??→利根の幽霊「む?」

筑摩「……」

利根「……」
397 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:53:04.83 ID:dPdn6WLgo

利根の幽霊「利根? 筑摩も……なんじゃ? もしかして、吾輩が見えるのか!?」

利根「吾輩がいるううううう!?」ヒョェェェ!?

筑摩「利根姉さんが幽体離脱してるうううう!?」キャアアアア!?

那珂「うーん」フラッ パタリ

軽巡棲姫「チョッ!? シッカリシナサイ!?」

利根の幽霊「い、いや、吾輩たちは別に幽体離脱しておるわけでは……」

筑摩「はやく! 早く利根姉さんの体に戻ってください!」オロオロ

利根「う、うむ! 早く戻ってこい!」ダッ

 スカッ

筑摩「体をすり抜けた!?」

利根「モノホンの幽霊じゃああ!?」

利根の幽霊「いや確かに幽霊だけれども!?」

利根「き、き、貴様、何者じゃ!?」

利根の幽霊「な、何者と言われても……吾輩たちも利根である!」

軽巡棲姫「……アナタ、幽霊ノ『レギオン』ネ?」

利根の幽霊「うむ……集合体である」

筑摩「集合体?」
398 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:53:46.22 ID:dPdn6WLgo

利根の幽霊「利根よ、貴様は覚えているか? あの地下室に並べられた利根の標本を」

利根「……!」

利根の幽霊「吾輩たちは、あの地下室で殺された利根の集合体である!」

利根「な、なんじゃとおお!?」

筑摩「……あ、あの写真の……!?」

利根の幽霊「まさか貴様たちと話ができるとは夢にも思わなんだが……」

軽巡棲姫「コノ光ノセイヨ……」

利根「む?」

軽巡棲姫「コノ忌々シイ光ガ、私ノカラダヲ拒ミ、オマエヲ呼ビ起コシタ……海底トハ、真逆ノコノ光ノセイデ」

利根の幽霊「……そ、そうか、この光は女神妖精の光であったな……!」

筑摩「轟沈から救うための力が、幽霊になった利根姉さんたちに力を与えたってことですか……!」

利根「なるほど、軽巡棲姫が光に包まれたこの島に近づけないのは、その身に深海の力を宿すからということか……?」

軽巡棲姫「多分、ネ……島全体ヲ覆ウホドノ光ダ、オマエノ復活モ、光ノチカラガ強スギルセイデ起コッタハズヨ」

筑摩「そ、それはわかりましたが、利根姉さんの体に幽霊の利根姉さんたちが戻らないと、生身の姉さんの力が戻らないのでは?」

利根の幽霊「戻ろうとして戻れなかったのが、ついぞさっきじゃぞ?」

利根「今はそれはどちらでも構わぬ。まずは動けるものが動いて提督を助けるのが先である!」
399 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:54:31.16 ID:dPdn6WLgo

利根「筑摩、おぬし一人でも行ってくれるか? 皆の力になって欲しい……!」

筑摩「! ……わかりました。ここも危ないですから、利根姉さんは避難しててください!」タッ

利根「筑摩! 必ず戻ってくるのじゃぞ!!」

筑摩「はいっ!」バッ

利根「……吾輩の体が重いのは、やはり、おぬしが離れてしまったせいなのか……?」

利根の幽霊「ふむ……ずっと、一緒におったからな。吾輩たちは、いつの間にか、おぬしの一部になってしまっていたのかもしれぬ」

利根「そうか……おぬしは、吾輩とずっと一緒におったのだな」フフッ

利根「頼みがある。できるのであれば、吾輩の代わりに筑摩を守ってほしい……筑摩に危険を知らせてやってくれまいか」

利根の幽霊「……ああ、任せよ!」ニッ

利根の幽霊「可愛い妹のため! そして、外の世界を……海を教えてくれたおぬしのため!」

利根の幽霊「その願いに報いようではないか!!」ゴォッ!

利根「……頼むぞ……!」

軽巡棲姫「幽霊ニ支援ヲ頼ムナンテ、非現実的ネ……」

利根「……ふふ、深海棲艦のおぬしでも、そんなことを言うのだな」ヨロッ

利根「さあ、吾輩たちは避難するとしよう。気絶した那珂も連れて行かねばな」
400 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:55:15.85 ID:dPdn6WLgo

 * 丘から海への道 *

不知火「はぁ、はぁ……っ」

朝潮「なんて、熱さ……」

潮「……」

朝雲「み、みんな大丈夫……?」

黒潮「……朝雲こそ、足元、やばいんちゃう……?」

山雲「……」

初雪「……早く、海に出たい……」

白露「あたしが、一番に出る……!!」

島風「負けない……!」

霞「ったく、もう……!」

オリヴィア「こりゃあまずいね……みんなへばっちまってる」ホッソリ

ベリアナ「オリヴィアも細くなってるんだけど……」

オリヴィア「ああ、せっかく肉を付けたのに、この暑さで強制的にダイエットさせられちまったよ」

オリヴィア「ベリアナ、悪いんだけどあたしのレスリングウェア、余ってる分を後ろで縛っとくれ。ゆるゆるだ」
401 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:56:16.05 ID:dPdn6WLgo

ベリアナ「毎回不思議なんだけど、なんでオリヴィアは胸だけ脂肪が落ちないの?」ムスビムスビ

オリヴィア「知らないよそんなの。それよりべリアナも運ぶの手伝いな」

ベリアナ「無理よぅ、私が非力なの知ってるでしょ? だれか担いだら飛べないし!」

 ドーン!

不知火「……!」クルッ

オリヴィア「なんだい!?」クルッ

 溶岩<ドパァァン!

オリヴィア「げっ! 溶岩が壁を乗り越えてきたのかい!?」

ベリアナ「やっばいじゃない! みんな逃げて!?」

オリヴィア「逃げるったって、逃げられるわけないよ!!」

霞「……そんな……!」

 溶岩<ゴォォオ!!

ベリアナ「嫌ァァ!! こっちに流れてきたああ!!」

黒潮「こんな、ところで……」

 ゴォッ!

島風「な、なに!? 今の速い気配!!」
402 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:57:00.68 ID:dPdn6WLgo

利根の幽霊「やらせはせんぞ!! どりゃあああ!!」

 ドガァァンン!!

ベリアナ「きゃああ!? なに今の!!」

オリヴィア「……地面が盛り上がって壁ができてるよ。おかげで助かったけど、こりゃいったいどういうことだい」

朝潮「今の声は……利根さん……?」

 タッタッタッ…

不知火「あれは……」

由良「や、やっと追いつけた……」ハァハァ

敷波「由良さん……!」

大淀「皆さん無事ですか!?」

川内「滅茶苦茶暑いね……ほら、肩を貸すよ!」

五十鈴「みんなよく頑張ったわ!」

朝雲「良かった……山雲! しっかりして! みんなが来てくれたわ!」

山雲「あ……良かったぁ……」

神通「すぐに重巡の皆さんも来ます、それまで少しでも歩きましょう!」

那智「おおーーーい!!」
403 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:57:45.98 ID:dPdn6WLgo

古鷹「みんな大丈夫!?」

ベリアナ「古鷹!? ふるたかぁぁぁぁ!!!」ピューン!

古鷹「ふえっ!? ベ、ベリアナさん、どうしてここに!?」

ベリアナ「ニコちゃんの指示で、ブラックホールを通してみんな逃げさせられないかって頼まれたのぉ!!」ヒシッ

古鷹「そ、そうだったんですか……無事で良かったです!」ニコッ

ベリアナ「んもう、古鷹が助けに来てくれるなんて、これってきっと運命なのね……?」テヲニギリ

古鷹「へっ」

ベリアナ「私、もう汗でベトベトなの……戻って二人でお風呂で洗いっこしましょ……?」ピトッ

古鷹「あ、あのっ」アセアセ

ベリアナ「やぁん、照れちゃってぇ、古鷹ったらカワイィ」

 ゴチーン

ベリアナ「……いったあああい! 何するのよお、オリヴィア!!」

オリヴィア「ふざけてないで避難しな。悪いね、アタイもそろそろ体力の限界だ、誰かに乗せてってもらえると助かるよ」

古鷹「そ、それじゃあ、私の艤装に乗ってください。ベリアナさんも一緒に」

ベリアナ「ああん、古鷹ダイスキぃぃ!!」ダキツキー
404 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:58:45.74 ID:dPdn6WLgo

加古「とりあえず、みんないるかい?」

朝潮「あ、あの、利根さんの姿が見えないのですが……」

霞「さっき、声が聞こえたような気がしたんだけど……」

利根の幽霊「うむ! 吾輩のことは構わず、早く逃げるのじゃ!!」

朝潮「!?」

黒潮「透けてるーー!?」ガビーン!

初雪「……は、はらったま、きよったま……!」ガタガタ

筑摩「と、利根姉さん! そんなに急いで、何があったんですか!」ハァハァ

大淀「そうですよ! 利根さんにいったいなにがあったんですか!!」

利根の幽霊「幽体離脱したようなものじゃ! 簡単に言えば!」

五十鈴「簡単すぎよ!!」

利根の幽霊「それより丘の上の光の柱を見よ!」

利根の幽霊「この島に埋葬された艦娘の魂がこの奇跡を起こしたわけじゃが、それを呼び起こした女神妖精の光の力が衰えつつある!」

利根の幽霊「吾輩が新たに壁を作ったが、吾輩たちの力も長くはもたん! 我らが活動できる間に、島を離れ海に出るのじゃ!! 急げ!!」

足柄「そ、そういうことね……!」

不知火「……早く脱出しましょう、司令のためにも」ググッ

三隈「軽巡のみなさんは意識のある駆逐艦のみなさんに肩を貸してあげてください」

最上「提督と、気を失った駆逐艦のみんなは、僕たちが運ぶよ!」

大淀「急ぎましょう!!」
405 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 21:59:30.93 ID:dPdn6WLgo

 * 島の南東岸近く *

金剛「テートクゥゥゥ!!!」ダダッ

比叡「金剛お姉様! みんなすぐそこまで来てます!」

那智「おお、金剛型の到着か! 助かる!」

霧島「お姉様、私たちは疲弊している駆逐艦娘を優先して運びましょう!」ヒョイヒョイッ

霞「き、霧島さん……!」カツギ

朝潮「あ、ありがとうございます……!」アゲラレ

比叡「よーし、みんな連れていくよーー!」ヒョイヒョイ

敷波「ふいー、助かったぁ……」コワキニ

潮「お、お世話に、なります……」カカエラレ

榛名「さあ、行きましょう!」ヒョイヒョイッ

朝雲「あ、ありがとうございます……!」セナカニ

山雲「たすかったわ〜……」セオワレ
406 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:00:15.95 ID:dPdn6WLgo

金剛「急いで引き上げるデース!」ヒョイヒョイッ

白露「金剛さんありがと……!」リョウテニ

島風「もう、あっつーい……!」ダキカカエ

武蔵「我々も来たぞ!」

大和「さあ、急いで引き上げましょう!」

三隈「最上さん、提督は大和さんにお任せしましょう!」

最上「そ、そうだね、その方が早いかも!」

大和「わかりました、お任せください!」ダキカカエ

足柄「武蔵は陽炎型の二人をお願い!」

武蔵「よし、しっかりつかまれ!」ヒョイヒョイ

黒潮「お、おおきにな……!」ギソウニ

不知火「助かります……」ノセラレ

 ドドーン

筑摩「火山の噴火が……!」
407 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:01:00.41 ID:dPdn6WLgo

 * 沖合 *

ヲ級「……マズイナ」

ルミナ「なにがあったんだヲ級君!?」

ヲ級「丘ノ上ノ光ガ弱マッテイル。溶岩ヲ押シトメテイタ壁ガ、乗リ越エラレソウダ」

ル級「……!」

泊地棲姫「ナニゴトダ」ザザァ…ッ

中将「!!」

X中佐「は、泊地棲姫……!」

ビスマルク「大丈夫よ。私たちがいるわ」スッ

泊地棲姫「……」ジロリ

長門「それより、ルミナの反応を見るに、なにかあったのか?」

ヲ級「取リ残サレタ人間ヲ助ケニ陸ニ上ガッタハイイガ、溶岩ノ流レガ速イ」

長門「……!!」

泊地棲姫「ナルホド……艦ガ、陸ノ上デハ遅クナルノモ当然ダ」
408 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:01:45.98 ID:dPdn6WLgo

泊地棲姫「手ヲ貸ソウ……!」

 ザザザザァァァ

プリンツ「な、なななっ、なんですか!? この音!!」

扶桑「これは……」

カ級たち「「……」」ズラッ

ヨ級たち「「……」」ズララッ

泊地棲姫「潜水艦隊、単横陣ノママ、海面下ヲ島ニ向カッテ直進。陸地ノ手前デ潜航シ、引キ返セ」

深海潜水艦たち「」ザザァッ!

ローマ「なにをするつもり……?」

泊地棲姫「水ノ上ナラ速度ガ出セルダロウ。ダカラ、波ヲ起コシテ陸地ニ水ヲ送リコム」

ビスマルク「……津波の原理ね。引き潮に乗れば、島からの離脱も早まる……か」

泊地棲姫「アトハ……」

長門「あとは?」

泊地棲姫「コノ島ノ艦娘ト、メディウムノチカラヲ借リル。ヲ級」

ヲ級「……了解」

 深海艦載機< ヒュオァァッ シュパアァァァ…!
409 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:02:30.96 ID:dPdn6WLgo

 * 島内部、南東岸近く *

 溶岩< ドドドド…!

金剛「Hurry! Hurry!! Hurryyyyy!!」

那智「もうすぐ海だ! 気を抜くな!!」

加古「ひぃ、へぇ、はぁ……海が、遠い……」

那智「諦めるな! 生きたまま溶鉱炉もどきに入りたくないだろう!」

加古「わ、わかってるよぉ……!」

摩耶「喋ってないで、走れ!!」

 溶岩< ドドドド…!

足柄「迫ってきてるううううう!」ヒィィ!

武蔵「後ろを見るな! 前を見ろ!!」

 ザパァァァン!!

霧島「! 波が強い……!?」

榛名「あの波に乗れれば、間に合うのでは!?」

 溶岩< ドドドド…!

足柄「音が近づいてきてるわあああ! 嫌ああああ!!」

五十鈴「足柄さんそういうこと言わないで!!」
410 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:03:15.90 ID:dPdn6WLgo

由良「ま、間に合うのかしら……!?」

古鷹「! あれは……前を見てください!」

海上に浮かぶ浮遊砲台×5「」フヨッ

摩耶「ありゃあ、泊地棲姫の浮遊砲台と……五月雨!?」

神通「利根さんと軽巡棲姫も……!」

三隈「五月雨さん、いないと思ったら、あんなところに!?」


軽巡棲姫「……コレガ、ヲ級カラノ距離情報ダ」

利根「ふむ……であれば、このタイミングじゃな」

五月雨「わ、私にできるんでしょうか……!?」

利根「大丈夫、吾輩たちがサポートしておるんじゃ」

軽巡棲姫「今、浮遊砲台ノ制御ガデキルノハ、オマエダケ……シッカリナサイ」

ミリーエル「こちらも準備できました!」

グローディス「外すなよぉ、責任重大だぜ」ニヒヒ

ディニエイル「そうやってプレッシャーをかけて遊ぶのはやめてもらえますか」

浮遊砲台「ギュエ……」

ディニエイル「大丈夫です。狙って打つだけ。我々の仕事はそれだけです」

利根「さあ、参ろうか! 五月雨、頼むぞ!」
411 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:04:00.90 ID:dPdn6WLgo

五月雨「……はいっ! 行きます、観測着弾射撃!」

 ヲ級の深海艦載機< ギュォォォオ…!

軽巡棲姫「今ヨ!」

五月雨「撃てええええ!!」

泊地棲姫の浮遊砲台たち「」ドガドガドガァン!


加古「な、なんだなんだあ!? 撃ってきた!?」

那智「着弾地点が近いぞ!?」

 砲弾< ドガドガドガァン!

 バキッ

 (着弾した地点から乾いた音が響いて)

 氷の壁< バキバキバキバキーッ

メアリーアン「おらだずの魔力の結晶だあ!」

ヒサメ「そうやすやすと溶けたりはせぬぞ!!」


加古「うおっさぶっ!?」ヒンヤリ

白露「うわあ、氷の壁が溶岩を遮ってる……!」

金剛「今のうちデース!!」

武蔵「次の波が来るぞ! 飛び込めええええ!!」

 ザパァァァン!!

412 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:04:46.72 ID:dPdn6WLgo

 * 沖合 *

千歳「龍驤さんから、全員の無事が確認できました!! 全員海上に出たようです!」

ヲ級「……潜水艦隊モ、海域カラ離脱完了シタ」

長門「提督と駆逐艦たちはどうなったんだ……!?」

ヲ級「イマ、コチラニ向カッテキテイルナ」

隼鷹「逃げ遅れの艦もいないみたいだね! あとは海軍の人が海に放り出されてる!」

X中佐「祥鳳! 僕たちは一旦、本船に戻る! 深海のみんなとは今後も連絡を取りたい、連絡先の交換を頼む!」

祥鳳「わ、わかりました!」

X中佐「僕たちは提督少尉の受け入れ準備だ! それから叔父さんと、WとH大将の怪我も診てもらいます!」

X中佐「それから生き残った海兵の救助を! 中将閣下、救助隊の指揮をお願いできませんか!?」

中将「……うむ、承知した」

 大型ゴムボート< バウゥゥ…!

ル級「……提督ハ、助ケラレルノカ……?」

ビスマルク「それは保証できないけれど、医療船のスタッフは全力を尽くしてくれるわよ」

泊地棲姫「助ケテモラワナイト、ココマデ手ヲ貸シタ意味ガナイワ」

ニーナ「その通りです。魔神様の無事のお帰りこそ、私たちの望み!」

ケイティー「旦那様のいない世界なんて、存在しなくていいのよ……!?」ユラリ

ローマ「過激派がいるわね……」タラリ

ニコ「でも、ぼくたちメディウムの望みは概ねその通りだよ。僕たちはそれこそ、数百年待っていたんだ」
413 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:06:00.82 ID:dPdn6WLgo

伊勢「やったよ! みんなが戻って来たよ!」ザァァッ

祥鳳「ローマさんとリベッチオさんは、墓場島の艦隊の皆さんの、医療船への誘導をお願いします!」

リベッチオ「わかったー!」

ローマ「了解」

 ドドーン…

ヴェールヌイ「! 島が……!」

長門「……」

扶桑「全部、燃えてしまったわね……鎮守府の建物も、丘の上の艤装も……なにもかも」

陸奥「……」ウツムキ

扶桑「私たちは、これからどこへ行けばよいのかしら……」

山城「……お姉様……」

祥鳳「……」

泊地棲姫「……」

ル級「……」


 * * *

 * *

 *
414 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/08(水) 22:06:55.42 ID:dPdn6WLgo
今回はここまで。

これから提督の出生の秘密や、
まき散らしたフラグの回収をしていきます。
415 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:43:27.17 ID:r0JdSGTYo
続きです。
416 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:44:16.33 ID:r0JdSGTYo

 * ??? *

(提督らしき人影が花畑の中に大の字で倒れている)

提督「……」

提督「……」

提督「ん……」

提督「んん……?」パチ

提督「……」ムクッ

提督「……なんだここ?」キョロキョロ

提督「俺は確か……如月や吹雪たちを抱きかかえて、島にいたよな」

提督「島が燃えてて、熱くて頭が朦朧としてて、その後……」

提督「……ちっ、俺らしくもねえ」

提督「つうか、あいつらどこいったんだ。そもそもここどこだ? 夢でも見てんのか……?」

提督「服も燃えたり汚れたりしてねえし……ん? 俺、こんなに色白だったか?」ソデマクリ

提督「……まあいいや、どうせ夢なら寝直すか。誰もいねえんじゃしょうがねえ」ゴロン
417 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:45:01.26 ID:r0JdSGTYo

提督「……」スー

時雨「……」ザッ

提督「……」スー

時雨「ねえ、提督」

提督「……」

時雨「寝てる場合じゃないよ。ほら、起きて」ユサ

提督「……んん?」パチ

時雨「おはよう、提督。僕のこと、覚えてるかな?」

提督「……」プイ

時雨「? 提督、いきなりそっぽを向くなんてひどいんじゃないかな?」

提督「そうじゃねえ、近付きすぎだってんだよ。お前、俺にスカートの中を見せたいのか」ムクッ

時雨「!」バッ

時雨「……見た?」セキメン

提督「ああ、見ちまったよ。黒か」

 ベシッ

提督「いてっ」
418 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:45:46.44 ID:r0JdSGTYo

時雨「信じられないよ、僕の名前より先に履いてるパンツの色を口にするなんて」

提督「見えたもんはしょうがねえだろうが。それよりお前……俺と面識ねえよな? 見覚えはあるんだが……」

時雨「そういえばそうだね。でも、僕はずっとみんなを見てたから、良く知ってるよ」

提督「見てた?」

時雨「うん。僕は、白露型駆逐艦、時雨。よろしくね」

提督「時雨? ……扶桑たちを追いかけてきた奴の同型か?」

時雨「同型じゃなくてその本人だよ。あの時轟沈してあの島に埋葬されたのが、この僕さ」

提督「なに? ……足はついてやがるな」

時雨「下着の次は脚を見るなんて、提督はいやらしいね。けだものだ」

提督「興味ねえよ」

時雨「そう言って油断させて僕を食べる気なんだね?」

提督「……」

時雨「その、相手にするのが面倒臭そうな顔をするの、やめてくれないかな」

提督「その手のネタは俺の趣味じゃねえ。つうか、お前ってそういうキャラだったのか?」

時雨「冗談も言えない状態だったんだもの。少しくらい付き合ってくれてもいいじゃないか」
419 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:46:32.15 ID:r0JdSGTYo

提督「だったらもう少し上品な冗談にしてくれ。それより、お前がいるってことは、ここはあの世か?」

時雨「うーん……あの世とこの世の境目、かな? 賽の河原みたいなものだね」

提督「つまり、俺も死んだのか」

時雨「死にかけている、と言うのが正しいかな。提督の肉体は無事みたいだからね」

提督「そうなのか……? でも俺がここにいるってことは、ほぼ死んでるのと同じじゃねえのか? お前もここにいるわけだし……」

時雨「うーん、それにはもうちょっと複雑な事情があるんだけど……」

提督「そうだ、如月たちもここに来てるのか?」キョロ

時雨「みんなは来てないと思うなあ」

提督「あいつらは無事だって言えるのか?」

時雨「うん、おそらくね。とにかく、提督がなぜここに来たか、その理由は提督の顔を見ればわかるよ」

提督「どういう意味だ?」

時雨「丁度良くそこに池があるから、そこで自分の顔を見てみなよ」

提督「……?」

 (提督が池を覗き込むと水面には、陶器のような真っ白な顔にひびが入ってオレンジ色に発光している顔が映る)

提督「なんだこりゃ……!?」
420 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:47:16.16 ID:r0JdSGTYo

時雨「肉体から引き剥がされて魂だけになった姿だから、よくわかるでしょ?」

提督「魂……!?」

時雨「そう。提督、あなたは、深海棲艦の魂と人間の魂が混ざりあった魂を持つ人間だよ」

提督「混ざっ……深海棲艦と!? 俺が!? なんでだ!?」

時雨「提督のお母さんが、学生の時に海難事故に遭ったことは知っているかい?」

提督「……いいや、知らねえ。初めて聞いた。母親が海の近くに行きたがらないのはそのせいか?」

時雨「だと思うよ。提督のお母さんは君が生まれる前、その事故で、深海棲艦に接触していたんだ」

提督「……」

時雨「数年前、海に突然現れた深海棲艦。そのもととなっている魂そのものは、海に姿を現す以前から存在していたんだ」

時雨「その眠っていた魂が、生きている人間……つまり、海難事故によって海に放り出された人間を感知し、接触した」

時雨「そこにいた人たちは体を奪われたり、彼らの持つ怨嗟によって精神を蝕まれ狂わされたり……たくさんの人が『人』ではなくなった」

時雨「提督のお母さんも、深海棲艦の魂に襲われた一人なんだよ」

提督「……」

時雨「本当なら、提督のお母さんも狂人になるはずだったんだけど、そうならなかった理由がふたつ」

時雨「ひとつは、乗り移った深海棲艦の魂が弱っていたせい。もうひとつはに救助されてから海から離れたこと」

時雨「そのおかげで、提督のお母さんは狂うことなく生き延びたと思うんだ」
421 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:48:02.10 ID:r0JdSGTYo

時雨「そして提督のお父さんと結婚し、新たな命を宿したときに、その命が持ってきた『人間』の魂と結合した」

時雨「そうして生まれたのが、提督……君なんだ」

提督「……」

時雨「……」

提督「あいつが……母親が、俺に異常なくらい怯えていたのは、そういうことか?」

時雨「多分ね。そして、その君の出生に目を付けたのが魔神の手先だね」

提督「ニコのことか?」

時雨「ううん、魔神のために作られた自動人形(オートマタ)……エフェメラって名前なんだけど」

時雨「彼女が君のお父さんに接触して、不幸を君に押し付けるように仕組んだ、って聞いてるよ」

提督「じゃあ何か。俺は生まれる前から魔神に目を付けられてたってことか」

時雨「そういうことだね」

提督「冗談きついぜ……最初っから俺の人生ハードモードだったんじゃねえか」

時雨「でも、結果的に魔神に食べられたりしなかったんだ。妖精に感謝しないとね」

提督「食べる!? なんだそりゃ!?」

時雨「魔神の目的は、邪悪な魂を食らうこと。本当なら提督は、魔神に捧げられる生贄となるはずだったんだよ?」

時雨「ハードモードどころか、最初からバッドエンド直行が既定路線だったんだ」

提督「……」
422 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:48:46.26 ID:r0JdSGTYo

時雨「君があらゆる人間から忌み嫌われ、謂れのない恨みや悪意を一身に浴びれば……」

時雨「いずれはすべての人間を憎み、世界そのものを憎むような、凶悪極まりない人間になるはず」

時雨「ましてや魂の半分は深海棲艦。そうなっていたら人間ですらなくなってたかもしれない」

提督「……俺は魔神の餌になるためにこんな目に遭ったってことか」

時雨「深海棲艦が混ざった君の魂が、御馳走に見えたんだろうね」

時雨「その目論見を狂わせたのが、妖精との出会いさ。あんなに早く、提督が妖精と出会うなんて、彼らも予想外だったみたいなんだ」

提督「それだけでそんなに変わるのか?」

時雨「ねえ、提督は、妖精から何を教えてもらった?」

提督「……」

時雨「本当なら、周囲の人間から教えてもらうはずのいろんなことを、妖精たちから教えてもらったんじゃないかな」

提督「……ああ、そうだ。俺に『常識』を教えてくれたのはあいつらだ」

提督「人の世に絶望しても、あいつらは俺を励ましてくれた。よく声をかけてくれたし、俺を見捨てたりもしなかった」

時雨「提督は人間に失望していたんだよね? でも、妖精には良い感情を持っていた」

提督「……」コク

時雨「妖精たちの干渉を想定してなかったエフェメラは、君を邪悪に染めるため、それ以降も君のお父さんに何度も接触してる」
423 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:49:31.26 ID:r0JdSGTYo

時雨「あることないことを焚きつけて君の立場を悪くしつつ、彼の政治活動を裏から支援して」

時雨「君のお父さんの信頼を得ながら、結果的に君が人間を憎むように仕向けていたんだよ」

提督「……だからあいつは、ぽんぽんと調子よく出世していたのか」

時雨「弟さんがいたのもそれに拍車をかけた感じだね。父親と弟の評価が高ければ高いほど……」

提督「俺に対する風当たりは強くなる、ってか。まさしくその通りだな、その時点でそのエフェメラとかいう奴の術中にはまってたわけか」

時雨「その結果があの島への左遷だね。でも、それで結果的に人間社会から離れることができたのは、ある意味一番の幸運だったと思うよ?」

提督「……もしかして、お前もあいつらに巻き込まれたのか?」

時雨「さあ、どうだろう? わからないけど、僕がいた鎮守府はエフェメラの存在に関係なく、もともとそうだったんだと思うよ?」

時雨「その人の場所から君のいる鎮守府に流れ着いて……そこでみんなを見守っている中で、君を守りたいという人と出会った」

提督「俺を……?」

時雨「エフェメラは、実は一体だけじゃなく、数体いるらしいんだ。それこそ僕たち艦娘みたいに。そのエフェメラもそれぞれに思いがあって……」

時雨「魔神のために君を魔神の贄にしたがっている個体もいれば、魔神となりうる君の力になりたいって個体もいる」

時雨「僕は、その君の力になりたいっていうエフェメラに、協力してほしいと言われているんだよ」

時雨「今の話も、そのエフェメラから聞いて知ったんだ」

時雨「まさか、ここでこうやって君と話ができるなんて、思ってもいなかったけど、ね?」

提督「……」
424 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:51:01.32 ID:r0JdSGTYo

時雨「それから、君がここに来たのは、君と一緒にいた女神妖精のおかげだよ」

提督「妖精の……!? あいつは、消えたんじゃないのか」

時雨「そう。君と一緒にいた女神妖精は、深海棲艦で作った弾丸によって、この世界から消滅した」

時雨「でも、それは死ではなく、現世に存在し続ける力を失っただけ。ようは、世界から一時的に追い出されちゃったんだ」

時雨「君が気を失った後、ブラックホールのメディウムが君を助けに来てくれて……」

時雨「その時に彼女が持っていた、魔力の元である魔法石の力で、妖精が戻って来ることができたんだ」

時雨「本当は、そういう用途で魔法石を持ってきたわけじゃないみたいだけどね」

提督「……」

時雨「その後、提督や如月たちを島から脱出させるため、女神妖精の力が島を包み込んで君たちの肉体を守り……」

時雨「それと一緒に、これまでに島に埋葬された艦娘の魂が力を得て、君たちを炎や溶岩から逃がす手伝いをしてくれた」

時雨「だから、さっきの如月たちがこっちに来ているか、と言う質問には、こっちには来てないと思う、って答えられると思うんだ」

時雨「女神妖精の力が発揮されたということは、如月たちの傷は治って、魂は自分の体に戻っているはずだから」

提督「そうなのか!? ……生きて、いるんだな……!?」

時雨「おそらくね?」

提督「でも、そういう見込みなんだな? それなら……良かった」
425 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:51:46.61 ID:r0JdSGTYo

時雨「ただ、君たちを救助するために島に近づこうとした軽巡棲姫は、女神妖精の光に近づいたときに苦しんでいたんだ」

時雨「女神妖精のあの光は、深海を棲み処とする深海棲艦にとって毒なんだと思う。要は、轟沈から艦娘を救うための力だからね」

提督「……じゃあ、俺は……」

時雨「君は、半分深海棲艦だからね。肉体から追い出されたっていうか、強制的に成仏させられたんじゃないかな?」

提督「成仏……」チーン

時雨「だからこんなところにいるんだと思うよ」

提督「……いや、まあ、そうかもしれねえが」

提督「それよりも、よく俺とあいつが何十年も一緒にいられたな!? 俺とあいつって相反する属性持ちじゃねえか」

時雨「だからこそ出会ったのかもしれないね。君みたいな沈みかけの魂を救えるのが、女神妖精なんだから」

提督「……もしかしなくても、俺が妖精たちと話ができたのも、俺が半分深海棲艦だからってことだよな?」

時雨「うん、きっとそうだね」

提督「……ああ、くそ。俺の今の見た目からして信じられねえが、いろいろ納得できる辺りどうしようもねえな……!」

時雨「ねえ、提督? 君がなぜそんな姿なのか、ここにいるのか……僕の言いたいことを理解はしてもらえたと思うんだけど」

提督「……」

時雨「今度は、僕の質問に答えて欲しいんだ」

提督「……なんだ?」
426 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:52:32.29 ID:r0JdSGTYo
.



時雨「提督。君は、死にたいのかな? それとも、生きたいのかな?」

提督「……」



.
427 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:53:17.08 ID:r0JdSGTYo

時雨「……」

提督「はぁぁ……」

時雨「ため息ついてないで答えて欲しいんだけどな」

提督「急かすなよ。まさかここで、俺がその質問をされる側に回るなんてなあ……」

時雨「……」

提督「……正直、俺の出番はここまでだと思ってたんだ」

提督「如月たちを巻き込んじまった。だから俺も、嫌な奴らを焼き払って、一緒に燃えてしまおうと思ってた」

提督「でも、あいつらは……如月たちは、無事なんだよな?」

時雨「多分ね?」

提督「ル級たちはどうしてんだ? 海軍の連中に捕まってないだろうな?」

時雨「さあ?」

提督「ニコたちも……あっちで待ってんだろうなあ。わざわざ別の世界から訪ねてくるくらいだし」

時雨「……」

提督「……戻るか」アタマガリガリ

時雨「!」
428 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:54:01.62 ID:r0JdSGTYo

提督「どの面下げて、って気もするが……このままじゃあ、如月たちにも、ル級たちにも、ニコたちにも迷惑かけちまう。未練が残っちまう」

提督「つけられる始末はきっちりつけとかねえとな。死ぬのはそれからだ」

時雨「……素直じゃないね?」

提督「そうか?」

時雨「まあ、いいか。早く帰って、みんなを安心させてあげよう」

提督「そうだな。そうと決まれば……」

提督「……」

提督「どこ行ったらいいんだ?」

時雨「……」

提督「どこ行くと戻れるんだ? 時雨、知ってるか?」

時雨「……」メソラシ

提督「視線が泳いでるぞ。俺を焚きつけておいて、それはねえだろ」

時雨「僕が知るわけないじゃないか……僕は、エフェメラが行けって言った通りに行かざると得なかっただけなんだから」ムー

提督「時雨も丸投げされたのかよ……んじゃ仕方ねえ、とりあえず手掛かり探すか?」

時雨「そうだね、そうして欲しいな」
429 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:54:46.52 ID:r0JdSGTYo

提督「とはいえ……どこに行くかだな」ウーム

時雨「……」

提督「なあ時雨? ありきたりな発想だけどよ、仮にここが天国だとしたら、下は下界っつーか、人間界、って認識してもいいよな?」

時雨「うーん、そうかも……ね?」

提督「……」

時雨「なにか気になることでもあったの?」

提督「さっき、鏡代わりに見たその池の水。綺麗すぎて、水面というより薄い膜みたいなんだよな」

時雨「……確かにそうだね?」

提督「もしかして、あの池の底がもといた世界につながってたりはしないか……って思ったんだ」

時雨「そう……だね。可能性はあるかも」

提督「ちょっとあの池の中を覗いてみるから、俺が落ちないように足を抑えててくれ」ネソベリ

時雨「うん、わかった」ツカミ

提督「よ……っと」チャプン

 ゴォォォォ…

提督「おお……」チャパッ

時雨「どうだった?」
430 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:55:31.37 ID:r0JdSGTYo

提督「この下は地獄だった。地獄の天井につながってるぞ、ここ」

時雨「」

提督「あちこち燃えてるわ血生臭えわ、燃えた人間やら人骨やらが転がってるわ悲鳴上げてるわでマジ地獄だった」

時雨「えええ……」

提督「洞窟っつうか、ただっ広い洞穴に篝火がたくさん置いてあって、筋骨隆々の獄卒もいて、これが地獄絵図かーって感じですごかったぞ!」ワクワク

時雨「……なんでそんなにテンション高いの?」

提督「もうちょっと見てていいか」チャプン

時雨「提督!?」


提督「おお、マジすげえ……獄卒もちゃんと牛頭馬頭(ごず・めず)じゃねえか、すげえな」キラキラ

提督「うん? なんだありゃ。女の鬼か? 体にツギハギ模様があるな……」


女の鬼?1「貴様なぞこうじゃ!」

女の鬼?2「我等の痛み、思い知れ!」

燃えている亡者「ぎゃあああ!」


提督「あの鬼……もしかして」

 グイグイ

提督「ん? どうした時雨」ザパッ
431 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:56:16.43 ID:r0JdSGTYo

時雨「提督、こんなところで油を売ってないで、早く現世に戻る手がかりを探しに行こうよ」

提督「まあ待てよ。ちょっと見覚えのある顔が地獄にいるんだ。利根っぽかったんだが」

時雨「ええ?」

提督「お前もちょっと見てみろよ、少しでいいから」

時雨「う、うん……あ、ちゃんと足を掴んでてね?」

提督「おう」

時雨「……それじゃ、いくよ」チャプ…

時雨「……」

時雨「……」

時雨「……ふう」ザパッ

提督「どうだった?」

時雨「本当に地獄だったね……びっくりだよ」

時雨「それから、あの亡者を滅多刺しにしてた女の人たち、確かに利根さんに見えるね?」

提督「だったよなあ? ちょっとあいつらと話してみてもいいか?」

時雨「え?」
432 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:57:01.80 ID:r0JdSGTYo

提督「どうやったら元の世界に戻れるか、聞けるかもしれねえし」

時雨「……」ウーン

時雨「……」ウーーン

時雨「……わかった。いいけど危なかったらすぐに引き上げてね」

提督「おうよ」

 チャプッ…

提督「こんな薄い膜一枚で地獄と隔たってるってのも、すげえな……」

提督「おーい! 利根ーーー!!」

 ザワッ!!

獄卒たち「な、なんだなんだあ!?」

女の鬼?1→利根1「だ、誰じゃ! 吾輩を呼ぶのは!」キョロキョロ

提督「おう、やっぱり利根だったか。上だ、上!」

利根2「上?」ミアゲ

利根3「うお!? なんじゃ貴様! 深海棲艦か!?」

利根4「いや待て、あやつは……おぬし、もしや墓場島の准尉か!?」
433 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:57:46.13 ID:r0JdSGTYo

提督「おう、よくわかったな! お前らここで何してんだ!?」

利根1「知れたこと! 吾輩たちを切り刻んだこの男に仕返しをしておるのだ!」

提督「は!? まさかそいつ……」

利根2「これはかつてのM提督の慣れの果てよ!」

利根3「おぬしも聞いたであろう! 吾輩たちが受けた仕打ちを!」

提督「だからその体の傷かよ。それはそうと、なんで服が腰巻だけなんだよ!?」

利根4「これが地獄のスタイルじゃからな! 郷に入らば郷に従えというだろう!」

提督「なんでそういうところは馬鹿正直なんだよ……胸隠せ、胸」セキメン

牛頭「おーーい、そこの天井の、多分人間の兄ちゃん!!」

提督「!」

馬頭「あんた、こいつらの知り合いか!?」

提督「一応なー!」

馬頭「だったら、こいつらをここから出ていくように説得してくんねーか!?」

提督「ああ? どういうことだ!?」
434 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:58:31.34 ID:r0JdSGTYo

牛頭「この嬢ちゃんたちは、本当ならここで働く必要はねえんだよ!」

牛頭「この野郎がいるってんで、わざわざこっちに訪ねてきて、俺たちの仕事をやらせて欲しいって言ってきてんだ!」

馬頭「おかげで俺たちゃあ暇で暇で! 筋肉がなまって仕方ねーんだよ!」ムキッ

提督「あー……」

牛頭「頼むぜ兄ちゃん! こっちに来た時ゃあ少し手加減してやっからよ! ちょっと助けてくれよー!」

提督「……」ウーン

利根1「あの男は地獄に来るかのう……?」

牛頭「そうなのか?」

利根2「艦娘に対してだけは激甘じゃからのう。助けて、と言えば誰でも助けてくれるんじゃないか?」

馬頭「本当かよ。そういえば、お前もさっき助けてっつったよな」

牛頭「ああ……」

提督「しゃあねえな……うまくいかなくても文句言うなよ!」

利根3「助ける気になったみたいじゃのう……」

馬頭「あー、ありゃ地獄に来ねえや。来ても俺たちと同じになりそうだぜ」

利根4「そうなのか! ならばなおのこと、ここを離れるわけにはいかんな!」ワクワク

提督「いや、俺はそういうの御免だぞ!? 面倒臭えのは嫌だからな!」

利根1「なぬぅ!?」
435 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 22:59:16.32 ID:r0JdSGTYo

牛頭「……怠惰の罪で向こうに堕とされそうだな」

馬頭「ああ、あっちのハーデスの叔父貴あたりの区画のほうか」

提督「それに俺はまだそっちに行く気はねえぞー!」

馬頭「だよなあ。あそこから顔出してるってことは、まだあいつ三途の川を渡ってねーし……」

提督「それより利根! お前らのやってることは逆効果だぞ、そこの獄卒たちの言う通り、とっとと帰ってこい!」

利根2「な、なにを言うか! それでは吾輩たちの無念を晴らせぬではないか!」

提督「何言ってんだ、むしろ、お前らがかまってやってるから、そいつが喜んでんだろうが」

利根3「なんじゃと?」

提督「そいつがお前らを殺して飾ってたのは、ずっと自分の手元に置いておきたかったからじゃねえのかー?」

提督「確かそいつの望みは、笑ったり怒ったりするお前らのいろんな姿が見たかったって話だったよな?」

提督「お前らがそんな恰好でそいつを取り囲んで、怒ったり罵ったりしてるのも、同じ状況じゃねえのかよ!」

利根4「……!」

提督「大勢の利根に注目されてることを嬉しがってんだよ、そいつは!」

提督「今お前らがやってることは、ある意味そいつの望みをかなえてやってるのと同じなんだよ!」

利根1「そ、そうなのか……!?」
436 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 23:00:03.40 ID:r0JdSGTYo

牛頭「そうだよ! あの兄ちゃんの言う通りだ!」

牛頭「俺も長いこと亡者を痛めつけてるが、そいつの悲鳴は苦痛って感じじゃねえんだ! 全然こいつへの戒めになってねえ!」

利根2「だ、だとしたら、吾輩たちはどうすればいいんじゃ……!?」

提督「そうだな……そいつのことは忘れて、全然違うところで幸せになりゃあいいんじゃねえの?」

提督「そいつが寝取られ趣味でなけりゃあ、お前らに見向きもされなくなった方がつらいと思うぞ?」

馬頭「あ、俺それわかる。カミさんに無視されんの、すげえ勘えるわ」

馬頭「うちのカミさんに愛想尽かされたら、寂しくて死ぬかもしれねえ」

利根3「なんと……おぬし、妻帯者であったか」

馬頭「そこ驚くとこかよ!?」

提督「そういうわけだから、どんな形になってても利根が好きな奴なら、お前らに二度と会えないようにした方が拷問になると思うぞ!?」

利根たち「「……」」カオヲミアワセ

提督「そんな奴のために、お前らが時間を使ってやる必要はねえ! 忘れちまえ、そんな奴!」

利根4「そのほうが、良さそうじゃのう……!」

牛頭「!!」
437 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 23:01:01.15 ID:r0JdSGTYo

亡者「えっ、ちょっと待っ」

利根1「……こやつがあからさまに焦ってる辺り、まさしくそういった思惑があったのじゃろうなあ」ジロリ

利根2「うむ、そのようだ……二人とも、吾輩たちの我儘のために、おぬしたちの仕事を奪ってしまって、申し訳なかった」ペコリ

馬頭「お、おう。まあ、嬢ちゃんたちが恨みを晴らしたい気持ちもわかるからな」

牛頭「あんなに鬼気迫る感じで責めてたんじゃあ、余程の恨みがあったんだろうしなあ……ま、とにかくわかってもらえたんならありがてえ」

牛頭「ここから向こうの針山の左側の道を一里ほど行くと、図体のでかい髭面の親父がいるからよ。帰り道はそいつに訊いてくれ」

利根3「承知した。何から何まですまんな」ペコリ

利根4「では参ろうか。提督よ! おぬしにも礼を言うぞ!!」ブンブン

亡者「待ってくれ! 利根! 利根えええ!!」

牛頭「おー、やっと悲鳴が悲鳴らしくなったぜ。兄ちゃん、あんがとな!」

提督「おう! ところで知ってたら教えてくれ!」

牛頭「なんだあ!?」

提督「元の世界に戻りたいんだが、どこ行きゃいいんだ!?」

馬頭「なんだお前、現世に行きたいのか!?」
438 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 23:01:46.26 ID:r0JdSGTYo

牛頭「だったら適当に歩いて行け! お前が行きたい方向に、花が避けて道ができるはずだ!」

提督「マジか……わかった!! ありがとうな!!」

馬頭「こっちこそありがとなー!」

 トプン

馬頭「ふー……やっと俺たちも仕事ができるぜ」

牛頭「お前、カミさんに無視されたとかあったのかよ」

馬頭「最近まともに仕事できなかったからなあ。筋肉が落ちたもんで、あんたみたいな駄馬は知らないって言われてよ〜」ハハハ

馬頭「ま、これで俺の運動不足も解消できるし……」

牛頭「そうだな。張り切っていくかあ!!」

亡者「あ、ああ……」ガックリ

牛頭「がっかりしてないで、お前は自分の罪を悔いてろっての……よっ!」ドスゥ

亡者「ぎゃあああああ!」

馬頭「おお、いい悲鳴だねえ。やっぱ地獄はこうじゃねえとなあ!」ゴギャッ

牛頭「今度からはああいう特別ゲストは招かないほうがいいな。他の亡者も裸の女にいろめきだってたし、なあ!」グシャッ

馬頭「そうだな、変に希望を持たせるような対応は良くねえな」ドシュッ

牛頭「地獄だもんな、ここ!」

牛頭馬頭「ぎゃははははは!!」
439 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 23:02:31.36 ID:r0JdSGTYo

 * 花畑 *

時雨「随分長い間、話し込んでたと思ったら、そんなことがあったんだ……」

提督「まあな。あとはあそこの利根たちが、まともな鎮守府に行ければいいんだが」

提督「そこの獄卒が言うには、目的地まで花が道を開けてくれて、俺達が行きたい場所に案内してくれるらしい」

時雨「そうなの?」

提督「ああ、試してみようか」スクッ

提督「現世に戻る道はどっちだ……?」スッ

 花<ザワッ

 花<ザザザザァ…ッ

提督「おお……すげえ」

時雨「道が開けた……本当に花が避けてくれてる」

提督「よし、そうと決まりゃあ、行くとするか。時雨もいいか?」

時雨「うん!」
440 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/06/25(土) 23:04:28.77 ID:r0JdSGTYo
というわけで、今回はここまで。

書き始めた頃はこんな設定がなく、書いてる間に二転三転してましたが、
この形がしっくりきたので提督の正体はこんな感じです。
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/06/26(日) 00:13:54.49 ID:dCCTzD4vo
おつおつ。めざせハッピーエンド
442 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:54:16.35 ID:aL/lLQ8Vo
今回もフラグ回収編です。

続きです。
443 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:55:17.44 ID:aL/lLQ8Vo

 * *

提督「行けども行けども同じ景色だな」

時雨「道ができてるとはいえ、進んでいるのかもわからないくらいまっすぐだね」

提督「ったく、どこまで行けば……ん?」

時雨「……女の子の声、かな?」

提督「……」

時雨「なんだか泣き叫んでる感じがするね」

提督「聞き覚えのあるような声じゃねえが……ちょっと行ってみるか」

時雨「あっ、提督待って!」タッ

 * *

「やーだーーー! いっしょにいるのーー!!」ビエェェェン

スキンヘッドの壮年男性「これはどうしたものか……」

小太りの中年男性「このまま見過ごすわけにはいかんでしょう」

壮年「……しかし、これはどう手を付けたらいいか、わからんぞ」

中年「あの抱きかかえた艦娘をどうにかせねばなりませんな……」
444 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:56:01.80 ID:aL/lLQ8Vo

時雨「なんだろう、誰かいるね?」

提督「行って見てみるか?」

時雨「うん、そう……待って。提督はここにいて」

提督「なんでだよ」

時雨「提督、自分の見た目が深海棲艦なの、忘れてる?」

時雨「その姿で人前に出てきたら、女の子が逃げると思うんだけど」

提督「……わかったけどよ……任せていいのか?」

時雨「うん。僕に任せてよ」

 スタスタ

時雨「ん?」

時雨「んんん??」タラリ

大きな女の子「うわぁぁぁぁんん!!」

 (身の丈4メートルあろうかという5歳児くらいの巨大な少女が人形?を抱えて座っている)

時雨(……遠近感が無茶苦茶だよ……こんなに大きいだなんて思わなかったじゃないか)タラリ
445 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:57:03.20 ID:aL/lLQ8Vo

壮年「ん? お前は……」

中年「あれは……見覚えがありますな。ああ、君! もしかして、君は艦娘じゃないか?」

時雨「え? あ、はい、そうだけど……この熊より大きいサイズの女の子は……?」

中年「申し訳ないが我々も良く知らないんだ。泣き声につられてきてみれば、我々の話を聞かずに泣きっぱなしでね……」

壮年「否、話はしたのだ。だが、この娘は聞く耳を持たん」

中年「言い方が悪いのですよ! このくらいの子にはもう少し優しく声をかけてあげないと!」

時雨「……僕が、話してみようか?」

中年「お願いできるかい?」

壮年「……気を付けてくれ」

時雨「……」コクン

 ジリ…ッ

時雨「やあ、こんにちは」

女の子「ぐす……なあに? あなたも、このこをとりあげにきたの?」

時雨「この子? 君の持ってる、そのにんぎょ……う!? ま、待って! その人形、良く見せて……」

女の子「……あなたも」

時雨「……っ」ゾク
446 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:57:46.92 ID:aL/lLQ8Vo

女の子「あなたも、しょうかくをとりあげようとするの!?」

時雨「そ、それは」

女の子「こないでえええ!!」ブンッ

時雨「うわっ!?」バッ

女の子「しょうかくは、わたしのものなの! こないでよおおお!!」ブゥンッ

時雨「……やばっ……!!」

提督「時雨危ねえ!!」バッ

 ドガッ

提督「ぐお!?」ブットバサレ

時雨「い、いたた……提督!?」

提督「うぐ……」ゴロゴロ…ドサッ

時雨「提督、大丈夫かい!? 僕を庇って……!」

提督「くそ……痛くはねえが、頭がグラグラしやがる……時雨は大丈夫か」

時雨「う、うん、大丈夫……!」

提督「なあ、あいつが抱えてる人形、艦娘じゃねえのか? 『しょうかく』とか呼んでなかったか?」

時雨「……そうだね。あれは、翔鶴型航空母艦の一番艦、翔鶴さんだ……!」
447 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:58:32.05 ID:aL/lLQ8Vo

中年「な、なんだ!? 深海棲艦が艦娘を庇っただと!?」

壮年「軍服を着ているぞ……何者だ」


女の子「だれにも……だれにも、しょうかくは、わたさない……!!」

翔鶴「……ぐぅ……!」ギリギリッ


提督「……ったく、どういうことだよ」ジロッ

女の子「……なあに? まだ、わたしたちをいじめるの?」グスッ

時雨「提督、睨んじゃ駄目だよ!」

提督「ちっ、やべえな、警戒されてら……こっちからは手ぇ出してねえだろうがよ、くそが」

時雨「……その提督の言葉遣いが一番良くないと思うんだけど?」

??「あら? もしかして……司令官?」

提督「あん?」フリムキ

??→暁「ひいっ!? し……深海棲艦っ!?」

提督「暁!? なんでお前がこんなところに!?」

暁「……え!? あ、あなた、私を知ってるの!? もしかして本当に、墓場島の、提督少尉なの!?」

提督「……参ったな、マジでうちの暁かよ……」
448 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 21:59:16.82 ID:aL/lLQ8Vo

暁「参ったのは私の方よ!? 司令官が深海棲艦になっちゃうなんて……!!」プルプル

提督「それは俺も知らなかったんだから我慢しろ。そんなことよりここから離れろ、危ないぞ」

暁「え?」


女の子「……」テイトクニラミ


提督「くそ、あの図体で暴れられちゃたまったもんじゃねえ。隙見て逃げなきゃ……」

暁「あれは……あの子は」

提督「!? おい、暁!? 近付くな!」

時雨「暁!!」

暁「私、あの女の子、知ってるわ……」

提督「はあ!?」

時雨「どういうこと!?」

暁「……私、どうして忘れてたのかしら」
449 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:00:02.16 ID:aL/lLQ8Vo

女の子「……」

暁「……ねえ、あなた、I提督でしょう?」

提督「!!」


中年「て、提督!?」

壮年「I提督……だと!?」


女の子「……」

暁「私、思い出したの。あなたのこと」

暁「だって、私にいろんなことを教えてくれた、最初の司令官だもの。忘れちゃったりしたらいけないわよね」

暁「だから……忘れてて、ごめんなさい」ペコリ

女の子「……え……?」

暁「ねえ、I提督……ううん、司令官!」

女の子「……!」ビクン

暁「司令官は、私のこと……暁のこと、覚えてる?」

女の子「……あ、か……」
450 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:00:46.93 ID:aL/lLQ8Vo

暁「私、司令官を一目見て、素敵な女性だと思ったの。司令官は、暁が見習わなくちゃいけない、理想なレディーだって」

暁「思った通り、司令官とのお話は、本当に楽しかったわ。いろんなことを教えてもらったし」

暁「レディーになるための普段の振る舞いとか、心がけとか……私の悩み事とかも! たくさんたくさん、聞いてもらったわ!」

女の子「……」

暁「それなのに、忘れちゃってて……本当にごめんなさい」

暁「なんで忘れてたかっていうと……怖かったんだと思う。司令官と一緒にいるのが楽しかったから、余計に思い出したくなかったんだと思うの」

提督「……」

暁「司令官は覚えてるかわかんないけど、あの時、私は……司令官が怖くて逃げだしたの」

暁「たくさんの深海棲艦に囲まれて、鎮守府もたくさん攻撃されて」

暁「それで、司令官がずっと悩んでたの、私、覚えてるわ。資材がなくなって、補給もままならなくなって」

女の子「……う、あ……」

暁「それでも翔鶴さんが無理を押して出撃して、翔鶴さんが大破してぼろぼろになって……司令官が、ちょっと、おかしくなっちゃって」

暁「そのあと……私、見ちゃったの。司令官が、翔鶴さんを……翔鶴さんのからだを、切り裂くところを」

提督「……!」

暁「ねえ、どうしてなの!? そんなに翔鶴さんを大事にしてたのに! 今だって、大事に翔鶴さんを抱きしめてるのに……!」

女の子「……ア、カ、ツキ……! う、ううう……!」
451 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:01:32.02 ID:aL/lLQ8Vo

暁「どうして、あんなことをしたの!? 司令官……暁に教えて」

暁「司令官は、暁のお話をちゃんときいてくれたわ! 暁も、司令官が困っていたら、お話を聞いてあげたいの!」

女の子「……」

暁「お願い、I提督……司令官!!」

女の子「……ママの……」

暁「……」

女の子「……ママの、おかおが、なくなっちゃったの……」

暁「……!?」

女の子「けーさつのひとがね、ママのおかおを……だれかが、もっていっちゃった、っていうの……」プルプル

暁「……!!」

壮年「……っ!」

女の子「ママにあえなくて、さびしくて、かなしくて……」

女の子「すきなひとのおかおが、なくなっちゃうのは、いやなの……!」

女の子「しょうかくは、すき……すきなひと。わたしの、たいせつなひと……」

女の子「だから、どこにも、いかないように……だれにも、とられないように……!!」ギュ…

提督「……だから、翔鶴の首を……!」
452 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:02:16.83 ID:aL/lLQ8Vo

暁「……駄目よ……そんなことしちゃ、駄目よ」ウルッ

女の子「……」

暁「司令官は、人の心を思いやれるひとになりなさいって、教えてくれたじゃない」

暁「司令官は、人の痛みがわかるひとになりなさいって、教えてくれたじゃない……!」ヒシッ

女の子「……あ……」

暁「そんなふうに、きつく抱きしめたら、翔鶴さんが痛いって、いつもの司令官ならわかるはずよ……!」グスッ

暁「お願い! 翔鶴さんを……翔鶴さんを助けてあげて!」

女の子「あああ……!!」

暁「司令官……! 思い出して! 司令官っ!!」ギュウ

女の子「あ、あああ、ああああああ!!」

 ゴォッ!

中年「突風が……!」

提督「……な、なんだ……?」

時雨「見て、女の子が……!」
453 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:03:01.78 ID:aL/lLQ8Vo

女の子「し、しょうかくぅ……!」チンマリ

翔鶴「う……」フラッ

暁「翔鶴さん大丈夫!?」ガシ

翔鶴「え、ええ……ありがとう、暁ちゃん」

提督「元のサイズに戻った……のか?」

時雨「みたいだね……」

女の子「ごめん、なさい……ごめんなさい、しょうかく……」グスグス

翔鶴「……I提督」

女の子「いやだったの……しょうかくが、どこかにいっちゃうのが、いやだったの……」グスッ

女の子「うみのそこにしずんだら、あえなくなっちゃう……それが、いやだったの……!」

女の子「はなればなれに、なりたくなくて……ごめんなさい……ごめんなさい!!」ボロボロボロ

翔鶴「I提督……私こそ、申し訳ありませんでした」

翔鶴「あなたの言う通りにしていれば、私も大破しなかったかもしれなかったのですから……」ダキヨセ
454 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:03:47.05 ID:aL/lLQ8Vo

翔鶴「I提督……これからはずっとお傍にいますから、安心してください」ナデナデ

女の子「しょうかく……しょうかくうう!!」ウワーン

提督「いいのかよ、安易にそんなこと言って」

翔鶴「……私は、I提督から愛情にも似た信頼を寄せられていたことを、日々感じていました」

翔鶴「この人を全力で守りたい。そう思ったからこそ、あの日私は、I提督の制止を振り切り、深海棲艦と戦ったんです」

翔鶴「結果的に大破して、このようなことになってしまいましたが……これはI提督の命に背いた私への罰ですから」

提督「……ったく、このお人好しめ」ハァ

暁「翔鶴さん……」ウルッ


壮年「I提督は30歳近いはずだったが……」

時雨「あなたは、I提督を御存知なんですか?」

壮年「私は直接の面識はないが、私の姉が彼女を知っている。一時期、姉が彼女の面倒を見ていたからな」

中年「そ、そうなのですか!?」

壮年「姉とその息子が警察官なのだが……姉経由で、甥がストーカー殺人の捜査に参加することになったことを聞いたのだ」

壮年「犯人が被害者の首から上を持ち去るという猟奇的な犯行でな。その被害者の第一発見者が、被害者の娘だったそうだ」
455 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:04:47.86 ID:aL/lLQ8Vo

暁「……それが、I提督なの……?」

壮年「そうだ。事件の捜査中、彼女を預かってくれる親戚筋が見つかるまでの間、私の姉が彼女の面倒を見たのだ」

壮年「その子が海軍で艦隊の指揮を執ると聞いたとき、不思議な縁を覚えたものだった。それが……あのようなことになろうとは」

中年「子供の姿になっていたのは何故なのでしょう……」

提督「ショックで幼児退行でも起こしてた、とかじゃねえか? それか、その齢まで巻き戻ってやり直したかった、とかな」

中年「……なるほど……」

提督「そういや、父親はどうしたんだ? 母親が死んだときに引き取らなかったのか」

壮年「父親も事件の数年前に事故死している。その事故も犯人が仕組んだものではないかと言われていたが、証拠はない」

壮年「事件当時はストーカーという言葉もなく、好きな人間を殺そうとする心理がわからず犯人と見られていなかったのも災いした」

提督「……そういう話かよ」

壮年「犯人は、被害者の首と一緒に焼身自殺を図ったが、その前に捕まった。終身刑が言い渡され、今も存命のはずだ」

提督「あぁ? 刑務所で遊ばせてんのか? とっとと殺しゃあいいものを」

壮年「私はそれで良かったと思うぞ。奴は、死んで被害者と同じところに行こうとしていたのだ」

壮年「わざわざ殺してやって、それで犯人が望み通りになって喜ぶほうが私は面白くない」フンッ

提督「ああ、なるほど……そりゃ確かに」
456 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:05:31.81 ID:aL/lLQ8Vo

壮年「それに……誰かが裁いて殺して終わりというのも、それはそれで味気ないものだ」

中年「それは……お察しいたします」

提督「……?」

壮年「まあ良い。この場を収めてくれたことには礼を言おう。だが、それよりも」ジロリ

壮年「貴様だ。墓場島の、提督少尉と言ったな?」

提督「……ん? あ、ああ」

壮年「貴様、未だに少尉なのか。あれからどのくらい経ったと思っている? なんの手柄も立てておらんのか」

提督「は?」

中年「そちらですか!? せめて外見を指摘なさるべきでは!?」

壮年「馬鹿者、どうせこの姿もこの男の心根の表れだろう! 些末なことだ!」

中年「些末じゃありませんよ! 深海棲艦ですよ!? いたずらに刺激しないでくださいよ!」

時雨「ねえ提督? このふたり、もしかして、提督のことを知ってるんじゃない……?」

提督「そうっぽいな……俺に関わりある時点でろくでもねえ話なんだろうけどな」

中年「ろくでもないとは何事だ!!」クワッ

提督「うおっ」
457 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:06:31.72 ID:aL/lLQ8Vo

中年「私がどんな思いでお前に五月雨を託したか! 貴様に何がわかる! やはり所詮は深海棲艦か!」ウオオオ!

時雨「今、いたずらに刺激するなって言ってたよね」

壮年「言っていたな」ウム

中年「中将殿!?」

提督「……五月雨? 中将? お前らもしかして……五月雨送って来たP少将と、金剛送ってきたQ中将か?」

壮年→Q中将「! ああ、その通りだ」

中年→P少将「我々のことを知っていたか……面識はないよな?」

提督「あぁ!? 忘れてられっかよ! あんな面倒臭え形で五月雨押し付けやがって! ちゃんと憲兵隊長から引き継ぎしたんだぞ!」クワッ!

提督「死にたがってたあいつを落ち着かせて納得させるのに、どんだけ回りくどいことしたと思ってんだ、くそが!」

P少将「お、おお!? それはすまん……」

提督「中将も中将だ! あの金剛を一方的にこっちに送り付けやがって……あいつに落ち度はなかっただろうがよ!」

Q中将「……そうかもしれん。だが、あの金剛は、私とはあわん」

提督「ああ?」

Q中将「あの金剛は、私には毒だ。すぐ抱き着くわ、Loveだなんだと喚くわ、時間と場所というものを理解しておらん」

Q中将「既婚者にああいった態度はよせと、私は何度も説教している」

提督「あいつ、弁まえてたとか言ってやがったのに、全然そんなことなかったんじゃねえか!」アタマカカエ
458 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:07:17.05 ID:aL/lLQ8Vo

Q中将「妻が食堂で働いていることも知っていた。それをそれとなく会わせられるように画策したり……」

Q中将「息子の死以来、私と妻がぎこちないからその仲を取り持とうとしていたんだろう。そんな余計なことなど、しなくて良かったのだ」

提督「……やれやれ、半分はあってんのか」

Q中将「それで、金剛とはどうなんだ」

提督「どうって、何が?」

Q中将「金剛と契りを結んだのかと訊いている」

提督「してねえよ。ただでさえ資材不足の島なのに、戦艦をほいほいとリミッターまで訓練できるわけねえだろ」

Q中将「カッコカリの話ではない! あの器量良しの金剛を受け入れられんというのか!?」

提督「何言ってんのかわかんねえ」

Q中将「まったく、ここまで甲斐性なしの根性なしだったとは……!」

提督「だから意味がわかんねえっつうの。根性は関係ねえだろ」

暁「……ねえ、Q中将さんは、金剛さんを提督のお嫁さんにしてあげようとしてたってことなの?」

Q中将「そうだ」

提督「」ピシッ

時雨(提督の顔にひびが……)
459 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:08:16.85 ID:aL/lLQ8Vo

Q中将「貴様の噂は何度か耳にしていたからな。轟沈を経験した艦娘と暮らすとあっては、命がいくつあっても足りんだろう」

Q中将「おまけに建造した大和が問題児だと聞いている。貴様の身を守り、世話を焼くものが一人くらいいたほうが良いと思って金剛を送ったのだ」

Q中将「正直なところ、あの金剛は、息子が存命であれば引き逢わせてやりたいと思ったほどだ。そこまで言わんとわからんのか貴様は」ジロリ

提督「おいおい……余計なお世話すぎるぞ、このジジイ」ウヘァ

時雨「この人もなんだかんだ言ってお節介焼きだね」ヒソヒソ

提督「ま、いいけどよ。あの時は金剛がいてくれたおかげで五月雨が大人しくなってくれたんだから、感謝してねえわけじゃねえ」

P少将「五月雨が!?」

提督「ああ。あいつが俺んとこに来た時は、憲兵に噛み付いたせいで猿轡までさせられて来たからな。くっそ凶暴だったんだぞ」

提督「おまけに、島の艦娘借りてレ級退治に行かせろって、あんたと同じこと言ってたんだ。落ち着かせるのに苦労したんだからな?」

暁「そういえば五月雨、金剛さんにあやされてたわね……」

P少将「なんと……こんなところでまで中将閣下にお世話になっていたとは」

提督「あいつに頭撫でられると、なぜか歯向かう気がなくなるからな……今思っても、あの時いてくれて良かったと思うぞ」

P少将「五月雨……」

提督「五月雨には、あんたの手紙を渡しといた。あんたは自分を憎むよう仕向けてたようだが、そうはなってないから、安心しろ」

提督「それから、憲兵の隊長にも感謝しとけよ。五月雨の身柄を引き継ぐ俺のために、手の込んだ資料作って持ってきたんだからな」

P少将「そうか……すまない。本当にありがとう、恩に着る」フカブカ
460 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:09:01.67 ID:aL/lLQ8Vo

Q中将「解せんな。そこまで気遣いできる男が、あの金剛を受け入れんとは」

提督「面倒臭えから嫌なんだよ、そういうの」

Q中将「」

P准将「」

時雨「……」

暁「司令官!! そういうところよ!? そんなことまで面倒臭がらないの!!」プンスカ

提督「面倒臭がって何が悪いんだ。俺は、俺抜きであいつらに幸せになって欲しいんだよ。艦娘が、人間なしでも暮らせるようになって欲しいんだ」

提督「人間嫌いが人間社会にいたって、そのうちろくでもない事態になることくらいわかるだろ?」

提督「俺が現世に戻ろうとしてるのも、その道筋をしっかりつけるためだ。俺のけじめをつけるためだ……!」

提督「魂も半分深海棲艦なんだぞ? 艦娘に迷惑かけたくねえってだけなんだよ!」

Q中将「だったらまっとうに生きればいいだろうに。艦娘に好かれていると理解しているのなら寄り添えというのだ」

提督「俺に結婚願望はねえよ。両親が最悪のくそなんで、遺伝子を残したくねえ。俺の家系なんぞ死に絶えちまえと思ってる」

提督「ついでに言えば性行為も無理だ。そういう漫画見ただけでゲロ吐くような男が、女と幸せな家庭なんてできるわけねえ」

Q中将「……」

P少将「……」
461 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:09:46.87 ID:aL/lLQ8Vo

時雨「でも、EDは治ったよね?」

提督「……」

時雨「それが治ったのは艦娘と一緒にいたからじゃないの?」

提督「……」

時雨「それから、肉体も人間じゃなくなったから、遺伝子も全部変わったんじゃない?」

提督「……かもしんねえけどよ」

Q中将「それはどういうことだ!?」

P少将「体も深海棲艦になったのか!?」

提督「深海化はしてないが……ただの人間じゃなくなってはいるな。メディウムとか説明してもわかんねえだろ」

P少将「……めでぃ……?」カオヲ

Q中将「……確かによくわからんな」ミアワセ

翔鶴「あの、少しよろしいでしょうか」

女の子「えっと……」(←翔鶴に抱きかかえられ中)

P少将「お、おお、どうしたね」

Q中将「だいぶ落ち着いたようだな」
462 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:10:32.25 ID:aL/lLQ8Vo

暁「翔鶴さん、大丈夫?」

翔鶴「ええ。暁さんに、I提督が聞きたいことがあるんだそうです」ニコ

暁「司令官が?」

女の子「……あかつきちゃん……このひと、こわく……ない?」

暁「!」

女の子「あかつきちゃんは、このひとに、こわいおもいを、していない?」

暁「……全然! 怖くなんかないわ!」ニコッ

暁「私たちが悪いことをすれば怖いけど、そうじゃなければお話も聞いてくれるし、暁たちのいいところも褒めてくれるわ!」

暁「私が鎮守府に来た時はずーっと怖い顔をしてたけど、このごろはそうでもなくなったし……」

暁「自分のことをすごく悪く言うところだけは嫌いだけど、そこ以外は、とってもいい司令官よ!」ニパッ

Q中将「……」

P少将「……」

提督「……」アタマガリガリ

女の子「あかつきちゃん……」

翔鶴「良かったですね、I提督」
463 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:12:02.53 ID:aL/lLQ8Vo

女の子「そうね……それなら、おわかれしてもだいじょうぶね」ニコ

暁「……え?」

 ザワザワザワッ!

(足元の花が一斉に動いて道を作る)

(Q中将とP少将、I提督を抱えた翔鶴の道が一方へ伸びて)

(提督と時雨、暁の道は別の方向へ伸びていく)

暁「あ……!」

女の子「あかつきちゃん」ストッ

女の子「あかつきちゃんは、まだいきてるの」テクテク

女の子「だから、わたしとはここでおわかれ」

暁「しれい、かん……」ポロポロッ

女の子「おもいだしてくれて、ありがとう」ダキツキ

女の子「わたしは、あなたのしあわせをねがっているわ。さようなら、マイ・フェア・レディ……!」ギュ…

暁「司令官……ありが、とう……!!」ボロボロボロ
464 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:13:01.86 ID:aL/lLQ8Vo

Q中将「……我々も、征かねばならんか」

P少将「そのようですね……」

提督「……」

Q中将「貴様に丸投げするようで悪いが、金剛のことは頼むぞ。それから、少し貴様自身のことも考え直せ」

P少将「五月雨のことも、よろしく頼む……私の無念は背負わなくていい。無事でいて欲しいと、伝えてくれ……!」

提督「俺のことはともかく……あいつらは悪いようにはしない。あいつらにとって、一番良いようにするつもりだ」ケイレイ

Q中将「……」ケイレイ

P少将「……」ケイレイ

提督「ふー……さて、俺たちも行くか」クルッ

時雨「うん」

翔鶴「少尉さん」

提督「ん?」

翔鶴「暁ちゃんのこと、よろしくお願いします。川内さんや響さんたち、かつての鎮守府の皆さんにも……もし出会うことがあれば、どうぞよしなに」

提督「……ああ、わかった」

女の子「あかつきちゃん、ばいばい……!」フリフリ

暁「……っ! ば、ばいばい……!!」ブンブン
465 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:13:47.90 ID:aL/lLQ8Vo

 * *

暁「……ぐすっ、うっ……」ボロボロ

提督「暁、大丈夫か? 泣いててまともに歩けないなら背負ってくぞ?」

暁「っ、い、いいわ……だいじょ……ふぐっ、うううっ」グズグズ

提督「思いっきり泣いてすっきりしたほうが良くねえか?」

暁「……だい、じょぶだ、って……泣いてなんか、いられ、ないわ! ぐずっ、I提督が、心配しちゃうでしょ!?」

提督「……そうか。それもそうだな」

時雨「ねえ、提督こそ、少し急ぎすぎなんじゃないかな?」

提督「かもしれねえけどよ……あんなの見せられちゃあ急ぎたくもなる」

暁「? どういうこと?」

提督「今の俺たちは幽霊と同じで、体から魂が離れてる。魂が抜けた体ってのは死んでんのと同じだろ?」

提督「俺たちがここに長居すればするほど、あいつらを心配させてるってことになるなら、急いだほうがいいよな」

暁「それは、そうね……」

時雨「……」

提督「それはいいとして、暁はなんでここに来たんだ? お前も死にかけたのか?」

暁「なんで……うーん……確か、島の鎮守府が、燃えているのを見たとき……だったと思う」
466 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:14:32.22 ID:aL/lLQ8Vo

暁「I提督の鎮守府も、深海棲艦の攻撃で燃やされたの。それを思い出したときに、頭が割れそうなくらい痛くなって」

暁「それで、気付いたら、ここにいたのよね……なんでか、わからないけど」

提督「……もしかしたら、だが」

暁「うん……」

提督「お前がI提督の鎮守府で起きたことを忘れたいと思うほどのときと、同じくらいひどいことが起きて……お前自身が耐えられなくなったのかもな」

提督「それか、I提督が、あるいは翔鶴が、無意識にお前を呼んだのかもしれねえ。一緒に来ないか、って」

提督「お前も、I提督の鎮守府のことを思い出したからこそ、その呼びかけに応えて、ここにきた……って話は、どうだ」

暁「……」コクン

提督「ま、どっちが正解かはどうでもいいか……良かったな暁、あの二人に会えて」

暁「……っ!」

提督「あの二人も、お前の様子を見て笑ってたもんな」フフッ

暁「んぐ……うっ」ブワッ

時雨「……提督。女の子を泣かすのは感心しないよ?」

提督「別に泣かせたくて言ったわけじゃねえよ。思い出させたのは悪かったけどよ……」

提督「でもまあ、そうか。好きな相手を、見送ったんだもんな。そう、なるか……」
467 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:15:36.64 ID:aL/lLQ8Vo

時雨「提督? そこで僕の顔を見て、何を思ったの?」ムー

提督「……」

時雨「提督!?」

提督「なんでもねえよ。お前が聞いた質問に、死にたいと答えなくて良かったって、ちょっと思っただけだ」

提督「俺が死んで、あいつらがどんな顔するか考えると、ちょっとバツが悪ぃな、ってよ……」

提督「お前のときの扶桑や山城も、そうだったしな……」

時雨「……!」ジワッ

提督「いや、悪ぃ。泣かせるつもりは……」

 ――……れ……さま

時雨「!」

 ――しぐ……さ……

時雨「エフェメラ!?」

提督「どうした、しぐ……」

 ――しぐれさま……!

提督「うお、なんか聞こえてきた……なんだこの声」

暁「司令官も? 時雨のこと、呼んでるわよね?」

時雨「え!? ふたりにも聞こえるの!?」

提督「お、おお……もしかしてこいつがエフェメラって奴か?」

 ――聞こえるのですね……? そのまま……お進みください……

時雨「行こう、声の方へ!」

提督「そうだな、暁も行けるか?」

暁「大丈夫よ!」
468 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2022/07/16(土) 22:18:04.26 ID:aL/lLQ8Vo
というわけで今回はここまで。

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