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【艦これ】提督「鎮守府が罠だらけ?」ニコ「その2だよ」【×影牢】

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79 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/04/13(金) 00:46:55.43 ID:lRo1KpAIo

陸奥「魔法石って?」

オリヴィア「これだ」ゴソゴソ

武蔵「おい今どこから取り出した」

オリヴィア「細かいことはいいじゃないか。この石はその名の通り魔法の力を蓄えた石なんだ」

レイラ「そう、私たちが体力を回復するためにみんなが持っているこの石を集めて、ニコちゃんに使うのよ」

電「その話、本当なのですか?」タタタッ

カトリーナ「ああ、アタイたちメディウムは、魔法石がありゃあ体力も魔力も回復できるからな。今なら電も使えると思うぜ」

長門「いや待て、そうするとお前たちが怪我をしたら治せなくなるのか!?」

レイラ「ニコちゃんを失えば魔神様の制御もままならないわ。そうなれば私たちも共倒れよ」

カトリーナ「心配すんなって! 転送の指輪も全員持ってるし、やばくなったら逃げて隠れてりゃいいんだ!」

レイラ「それより早く魔法石を! ニコちゃんが捕獲牢に閉じ込められていた時間が長すぎて、魔力が枯渇しているわ!」

カトリーナ「お、おう、そんじゃあアタイのも使ってくれ!」ゴソゴソ

武蔵「だから今どこから取り出したんだ」タラリ

ルイゼット「では私はみなさんから集めてまいりましょう」
80 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/04/13(金) 00:47:55.31 ID:lRo1KpAIo

電「私のも使ってほしいのです!」ゴソゴソ

ルミナ「待ちたまえ。電君の魔法石は取っておいて欲しいんだ」

電「え……!?」

カトリーナ「ルミナ!? なんでだ!?」

ルミナ「電君は元艦娘のメディウムだ。私たちと、艦娘たちと、そして魔神君を繋ぐ架け橋のような存在だ」

ルミナ「こう言っては非科学的だが、その稀有な存在が持った魔法石が、何かを起こしてくれないか、という希望的観測もある」

那智「おい、それよりも急いでくれ!」

ニーナ「魔神様が……!」


魔神「GOOOAAAAAAAA!!」メキメキメキ

 バサァッ

島風「羽が生えた!?」

白露「飛んで逃げるなんてずるい!!」

イブキ「言ってる場合かよ!?」

魔神「GWOOOOOO!!」

 イビルスタンプ<ズドガァァン

白露「踏みつけぇぇぇ!?」フットビ

島風「意外とシンプルーー!!」フットビ

リンダ「ええからはよ逃げーや!」ダッ

金剛「ブッキーは確保オーケーデース! 全員、一時退避ネー!」ダッ
81 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/04/13(金) 00:49:01.76 ID:lRo1KpAIo

摩耶「……ちくしょう、これ以上好きにさせてやるかよ!」ガシャッ

鳥海「摩耶!?」

摩耶「あんなの、ブチ落としちまえばいいんだろ!?」

魔神「WRRR……!!」ギロリ

摩耶「!」ビクッ

魔神「GAAAAAA!!」カッ

 魔神ヘルレーザー<ズバーーーー

摩耶「うわああああ!?」

 バジュンッ

鳥海「摩耶!!」

摩耶「っく……あ、あれ? なんともねえ」

??「……」

鳥海「あ、あれは……!?」

??→フォージド兵「……」シュゥゥゥ…

摩耶「あ、あたしが載せてた、ブラッディシザーのフォージド兵じゃねえか!?」

フォージド兵「……」

摩耶「わ、悪い、助かったぜ……」

 パキン
82 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/04/13(金) 00:49:28.85 ID:lRo1KpAIo

鳥海「金色の鎧が……」

 パキパキッ バラバラバラッ

フォージド兵→Fオボロ「……」

摩耶「お、オボロと同じだって……!?」

オボロ「かの者はフォージド兵。それがしの偽物にござる」

摩耶「偽物……!」

Fオボロ「……」ボソボソ

オボロ「……うむ。あいわかった」

摩耶「お、おい、何か言ったのか!?」

オボロ「それがしはここまで。御屋形様を頼む、と」

摩耶「!」

Fオボロ「……」ニコ

 パシュウウウ…!

鳥海「……消え、た……?」

摩耶「あたしのせいで……っ!」ギリッ

オボロ「摩耶殿」

摩耶「ああ、わかってるよ……頭を冷やさなきゃな。くそっ!」
83 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/04/13(金) 00:49:56.65 ID:lRo1KpAIo
今回はここまで。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 22:34:49.84 ID:oIHtb6Lo0
更新来てたの気付かなかった
更新乙です、いつも続きを待ってますよ!
85 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/05/27(日) 17:36:26.00 ID:k78zpKgxo
保守

こちらはなかなか筆が進まなくて申し訳ない
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/06(水) 23:08:06.84 ID:WlWY2f9eo
こんなスレを見かけるとは
フウリちゃんは俺の待受
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 01:07:51.93 ID:1UoewQt4o
わたし待ーつーわー
88 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 22:54:02.62 ID:+CGbpl6vo
大変お待たせしました。
少しだけですが、続きです。
89 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 22:55:22.94 ID:+CGbpl6vo

ニコ「……ここ、は……」

ナンシー「ニコちゃん!」

長門「目を覚ましたか!」

大和「良かった……!」

ニコ「……なにが、あったの……ぼくは……痛っ」ズキッ

ノイルース「ニコさん、あなたが捕獲牢に閉じ込められてから、魔神様が不完全な形で復活しました」

ニコ「!」

ノイルース「人間どもの思念が魔力槽の液体に残留したためです。奴らは魔神様を取り込み、魔神像を模倣した姿で暴れています」

ナンシー「大変だったんだから! ケイティーやイーファも死んじゃうところだったし!」

ニコ「魔神様が……ぼくたちを、攻撃してるって……?」

ノイルース「はい。提督としての部下だった艦娘もメディウムも見境なく」チラッ



千歳「みんな、艦載機の援護をお願い!」

伊勢「え、援護って言われても……!」

魔神(飛行中)「GOAAA!!」バサバサッ

 ブワァァァ!

五十鈴「きゃっ!? な、なによこの突風!!」
90 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 22:56:23.00 ID:+CGbpl6vo

伊勢「翼で風を起こすことまで覚えたの?!」

日向「くそ、これでは瑞雲も飛ばせないぞ」

朝雲「山雲、後ろに回り込むわよ!」

 魔神ヘルレーザー<コォォ…

筑摩「! 待って! 二人とも下がって!!」

山雲「朝雲姉!!」バッ

朝雲「きゃあ!?」ガシッ ゴロゴロゴロ

 魔神ヘルレーザー<ズバーーーー

朝雲「ひ、ひえええ!?」

五十鈴「砲撃で援護するから、早く避難して!」ドンッ

伊勢「二人とも、はやくこっちに!!」ドンッ

日向「……だんだん戦い方が賢くなってきているぞ」

山雲「ど、どうしようかしら〜……」



ニコ「……」

武蔵「くそ、このままでは状況は悪くなるばかりだな……!」
91 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 22:58:33.56 ID:+CGbpl6vo

陸奥「明石、負傷した子の修理をお願い。私たちもまた出るわ!」

鳥海「ちょっと待ってください。体勢を立て直すためにも、一旦引き返すことはできませんか?」

摩耶「鳥海!? お前、半分深海化してんだぞ!? そんな体で戻ったら何をされるかわかんないだろ!」

ルミナ「ああ、やめておいたほうがいいね。この施設で見つけた切り刻まれた深海棲艦の標本を見ているだろう?」

摩耶「……まさか、鳥海だけここに残るつもりじゃないだろうな!?」

鳥海「……」

ニコ「とにかく、その案はやめておいたほうがいいね。それに、時間が経ちすぎると魔神様も危ない……!」

陸奥「え!?」

摩耶「どういうことだ!?」

ニコ「魔神様を包んでいるあの水は、人間どもの悪意を濃縮したようなもの」

ニコ「そんなものに長時間触れていたら、魔神様にとって相当な苦痛になってるはず……!」

如月「そんな……!」

武蔵「一度引き上げるのも手だと思ったが、そんな猶予はないと言うことか」

摩耶「この場で決着をつけるのは賛成だぜ。でも、どうやって提督を助け出す?」

ニコ「そうだね……」

エレノア「それなんだけど、ちょっといい? 霧島が何か気付いたみたいなのよ」

ルミナ「? なにかあったのかい?」
92 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 22:59:44.88 ID:+CGbpl6vo

霧島「魔神との戦いを観察していたのですが、司令と思しき影が、魔神の中を移動しているようなんです」

ルイゼット「わたくしも見ていました。あれに取り込まれた魔神様が怪我をなさらないか心配で、ずっと目で追っていたんですが……」

ルイゼット「前から攻撃が来れば背中側に、脚部に攻撃を受ければ頭のほうにと、頻りに移動しておりました」

霧島「司令は私たちにとっても守るべき対象ですが、あの魔神像にとっても守るべき存在。司令こそが急所、と見るべきかと」

ニコ「……多分、あの人間の思念は、憑代がないと一つにまとまれない、ってことかな?」

長門「ならば、あのスライムと提督を分離させることができれば、提督を助け出せるということか」

金剛「Okay, わかりやすい目標ができたネー!」

ナンシー「で、でも、どうやってマスターをあの中から助けるの?」

霧島「そうですね……ヨーコさんは今どちらに?」

ナンシー「ヨーコなら今こっちに向かってる最中よ? 上のフロアが好きみたいだから」

霧島「でしたら、まず……」ゴニョゴニョ

ルミナ「なるほど、では……」ヒソヒソ

朧「手伝えることはありますか!」

由良「私たちにも手伝わせて!」

ル級「ホラ、泊地棲姫、私タチモ出ルワヨ」

泊地棲姫「シ、仕方ナイナ……」

長門「艦娘、深海、メディウムの共同戦線か……」

ヴァージニア「胸が熱いな」フンゾリ

長門「おいっ!?」

陸奥「はいはい、遊んでないで早く作戦立てるわよ!」
93 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 23:00:43.42 ID:+CGbpl6vo

 * *

霧島「よし。では、この作戦でまいりましょう」

摩耶「最初の一撃が肝心だ! あたしたちが追い込んで、絶対に成功させるぜ!」

ルミナ「それにしても、どうしてヨーコに白羽の矢を立てたんだい?」

霧島「攻撃のスピードがあって、かつ浮いてる相手に当てることができるからですね」メガネクイッ

ニコ「よく見てるね……」

霧島「ええ。こちらにいる間、良くしていただきましたから」ニコッ

摩耶「……そっか。じゃあそのお礼に、あたしたちも気張らなきゃあな!」

ニコ「……ぼくたちも行くよ」フラッ

那智「お、おい、無理はするな!」

ニコ「そうはいかないよ。あの忌々しい人間どもを滅ぼせるのはぼくだけなんだから……!」

ニコ「それに、ぼくは魔神様のお姉ちゃんなんだ……ぼくが、行かなきゃ……!」

ナンシー「ニコちゃん……!」

足柄「無理そうだったらすぐ退くわよ?」

陸奥「それより、ヨーコって子は見つかったの?」

 < くらえええええ!!

全員「「「……あ」」」
94 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 23:02:34.59 ID:+CGbpl6vo

武蔵「いたぞ!」

那智「なんでいきなり魔神の真ん前でポーズ決めてるんだあいつは!」

足柄「メディウムなんだから不意打ちしてなんぼでしょーが!!」

ニーナ「足柄さん、私たちよりよく理解しておいでで……」タラリ

由良「勝つためには手段を選ばないから……」

伊8「戦術です。戦術」

ルミナ「物は言い様だね。全面的に賛同するけど」



ヨーコ「司令……司令がまさか私たちを襲うだなんて……!」

ヨーコ「……いいや、違う。そんなことはない! 司令は操られてるだけだ……そうだね!?」キッ!

魔神「WOOOOO……!!」バサバサッ

ヨーコ「目を覚まさせてあげるよ司令……!」ググッ

ヨーコ「この! あたしたちの! 正義のちか」

 魔神ヘルレーザー< カッ

川内「危ない!!」バッ

ヨーコ「ら……うわあ!?」ガシッ ゴロゴロッ

 魔神ヘルレーザー< ズバーーー

ヨーコ「な、なにすんのさニンジャ! 前口上の途中だよ!」

川内「そんなことしてる場合じゃないでしょ!? そもそも気付かれてなかったんだから、後ろからさくっとやれば良かったのに!」
95 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/22(日) 23:03:56.15 ID:+CGbpl6vo

魔神「GAAAA!!」バサバサッ

 イビルハイヒール< ズオッ!

川内「げっ!?」

ヨーコ「やばっ……!」

 イビルハイヒール< ズシィンン!

神通「姉さん!!」

ナンシー「ヨーコ!?」

ニコ「……っ!」


川内とヨーコを抱きかかえた人影「……大丈夫!!」


不知火「あの声は……」

山城「……那珂、ちゃん……!?」

扶桑「あれが、那珂ちゃん、なの……!?」


人影→那珂(深海棲艦化)「ソノ通リ! 艦隊ノアイドルゥ! 那珂チャンダヨーー!!」


敷波「な、那珂ちゃんが、完全に深海棲艦になっちゃってるーー!?」

榛名「」フラッ

比叡「は、榛名!? しっかりして!」
96 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2018/07/22(日) 23:05:00.50 ID:+CGbpl6vo
今回はここまで。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/22(日) 23:25:04.23 ID:mrbs6gGA0
乙ですの

那珂(深海ver.)……って、軽巡棲鬼だコレ!!
98 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:08:35.46 ID:CC2XuYRUo
>>97
阿賀野の要素が抜けた感じでイメージをお願いします。

続きです。
99 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:09:15.86 ID:CC2XuYRUo

ヨーコ「ふいい……助かったぁ」

那珂「川内チャン、大丈夫?」ストン

川内「……な、那珂、あなたこそ大丈夫なの!?」

那珂「ウーン、芸風ハ変エタクナカッタンダケド……仕方ナイカナー」

ヨーコ「確かに肌も衣装も真っ白になっちゃったけど、これはこれで可愛いよ?」

那珂「ホント!? アリガトーー!!」ダキツキー

川内「ちょっと! じゃれあってる場合じゃないってば!」

魔神「GRRRRUUOOO……!!」バサッ

川内「ほら!」

山城「てぇぇ!!」ドガン!

魔神「!!?」ドゴォン

那珂「山城チャン!」

山城「那珂ちゃんをやらせるもんですか……!」ギリッ

神通「私も行きます!」ドンッ

扶桑「散開して夾撃よ、援護をお願い!」ダッ

不知火「援護します」チャッ

 ドドドーン

川内「みんな……!」
100 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:10:21.25 ID:CC2XuYRUo

朧「川内さん! ヨーコさん!」タッ

川内「朧!」

那珂「朧チャンハ那珂チャンノ心配シテクレナイノ?」

朧「い、いえ、そういうわけじゃないですけど! 那珂ちゃんさんも大丈夫ですね?」

那珂「那珂チャン、デ、イイッテバー! マジメナンダカラ〜」ケラケラ

ゼシール「笑ってる場合じゃないぞ。ヨーコ、手を貸してくれ、仕事の時間だ」

ヨーコ「おおっと、任務だね!」

朧「提督を、あの魔神の偽物から救い出します! 方法は……」

川内「ふむふむ……」

ゼシール「……という感じで行くぞ」

那珂「オッケー!」

ヨーコ「よおし! 今度こそこのメディウム戦隊メディ・ピンクの出番だね!」

川内「……」
101 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:11:31.82 ID:CC2XuYRUo

朧「川内さん、どうしました?」

川内「それじゃあ、私はヤセン・レッド、かな」

ヨーコ「そ、それじゃ那珂ちゃんは……アイドル・ホワイト!?」

那珂「!?」

川内「アサシン・ブラック!」ゼシールユビサシ

ヨーコ「ミスティ・イエローだね! やったあ、五人揃ったあ!」オボロユビサシ

ゼシール「おいちょっと待て」

朧「そんな場合じゃないと思います」

那珂「那珂チャン、ホワイトダト、センタージャナイヨー」

川内「白とピンクはヒロイン枠だから我慢して」

那珂「ハ〜イ。ソレジャ、メディウム艦隊ナカチャンファイブ、出ッ撃−−−!」

ヨーコ「ちょっ!?」

ゼシール「名前くらいいいだろう、譲ってやれ」

朧「いいから配置についてください」

ヨーコ「な、なんでなんだよぉぉ!!」

川内「ご愁傷様」ニシシ

102 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:12:32.64 ID:CC2XuYRUo

長門「よし、準備できたぞ! 総員、配置に着け!」

全員「「おーー!」」

朧「朧、行きます!!」バッ

 ブワァァ…

敷波「……なんか、もやっていうか、霧が出てきた?」

吹雪「あれは、メディウムになった朧ちゃんの能力だよ」

金剛「ブッキー!? 起きて大丈夫なんデスカ!?」

吹雪「あ、はい。さっき、魔法石で回復してもらいましたから」

金剛「Oh, そういうことなら安心デス」

霞「ともかく、名前通りの能力がついたってわけね」

吹雪「霞ちゃんでも同じ能力がついてたかもね」フフッ

 ブワァァ…

長門「霧が部屋にいきわたったようだな。よし、いいぞ!」

加古「オッケー!」ガシャン

 フッ

朝雲「きゃっ!? いきなり真っ暗に!?」

山雲「あ、朝雲姉、いきなり抱き着かないで〜!?」

陸奥(山雲、なんだか嬉しそうね……)

龍驤「うひゃあ!? う、雲龍どこ触っとん!?」

雲龍「ごめんなさい、怖いからつい」

陸奥(こっちはわざとね)
103 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:13:17.77 ID:CC2XuYRUo

 探照灯<カッ!

伊勢「あ、あの光は……神通!?」

千歳「いつの間に上のフロアに!?」

日向「なにをしているんだ……」

那珂「ミンナ、今日ハアリガトーー! 那珂チャン、オン・ステージ! イックヨーーー!」

五十鈴「……なにこれ」

筑摩「もやのスモークをたいて探照灯のスポットライト……」

伊勢「まるで本当にアイドルのライブだね」

日向「茶番か」

武蔵「ああ、魔神の目を引くためのな」

日向「なに?」

魔神「GRRRR……!」バサバサッ

那珂「ハーイ、ミンナ注目ー! ワーン、ツー!」

魔神「WOOOAAAAAA!」グワッ!

那珂「スリーーー!」
104 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:16:18.98 ID:CC2XuYRUo

 ライジングフロア<ズバーン!

朝雲「なに!? どうしたの!?」

山雲「あれは……那珂ちゃんが飛んでる〜!?」

クリスティーナ「さあ、那珂ちゃんの見せ場よ……!」

那珂「伸身宙返リカラノ……全砲門開放! 行ックヨォォ!!」ガジャッ!

 ドガドガドガドガン!

魔神「WOOOO……!」グラッ

扶桑「すごい……魔神がひるんでるわ……!」

那珂「今ダヨ、ヨーコチャン!」

ヨーコ「よおし! 今こそ! 必殺!!」

那珂&ヨーコ「「メガヨーヨー!!」」

 メガヨーヨー< ギュワァァァ!!

魔神「!!?」ドガァァ

ヨーコ「決まったよ! 見事なアッパーカット!」


ルミナ「クリスティーナ? わざわざ那珂君をライジングフロアで飛ばす理由はあったのかい?」

クリスティーナ「それはもちろん、目立つからよ? 当てやすいってのもあるけど」

ルミナ「やれやれ……彼女が深海棲艦になってなければ、彼女の体が危なかったかもね」
105 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:17:01.27 ID:CC2XuYRUo

川内「魔神がひるんでる! いくよ、ソニア!」

ソニア「まっかせて!」

 スプリングフロア<ズバーン!

朧「クレアさん、お願いします!」

クレア「オーケー!」

 スマッシュフロア<ズバーン!

日向「こ、今度は川内と……誰だ!?」

吹雪「朧ちゃんですよ」

千歳「ええ!? って、あなたは誰!?」

吹雪「あ、吹雪です!」

伊勢「ほ、本当に育っちゃってたんだ……」

日向「おい、飛びすぎだぞ! あの二人、魔神を飛び越えそうだ!」

吹雪「大丈夫です、見ていてください!」


川内「朧、行くよ!」

朧「はいっ!!」
106 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:17:39.37 ID:CC2XuYRUo

 サーキュラーソー×2<ギュワァァァァア!

朧「これで翼を……」

川内「切り落としてあげる!」

 ズバババババーーッ

魔神「GRRRRGAAAAA!?」

千歳「なにあれ、ゼシールって分身できたの!?」

大和「違いますよ、私が載せていたサーキュラーソーのフォージド兵を、朧さんに預けたんです」

千歳「だから同時に同じ罠を……!」

五十鈴「見て! あいつ、翼を切られてバランス崩してる!」

魔神「GWOOORRRR!」ズシィン…!

武蔵「地に足を付けたな……泊地棲姫!」

泊地棲姫「アア……二度ト空ヘハ逃ゲサセヌ!」

ヒサメ「わらわたちの出番じゃな……!」

Fヒサメ「……」ニヤリ

龍驤「頼むでぇ! うちの分まで気張ったってや!」

泊地棲姫「言ワレナクテモ……!」

 ピキパキ…!
107 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:18:16.04 ID:CC2XuYRUo

イブキ「すっげえ、氷が瓦礫を覆っちまってる……部屋の半分、まるっと氷漬けだ!」

ル級「泊地棲姫ノチカラナラ、当然ネ」

ルミナ「ヒサメ君と龍讓君が連れてきたフォージド兵のヒサメ……ブースターが倍いるから、展開範囲が段違いだ!」

 巨大スリップフロア<パキーーーーン!

魔神「!!」ヨロロッ

川内「うわっ!?」ツルッ ステーン

朧「は、範囲が広すぎです!」ツルッ ステーン

リンダ「なんや、偽物の魔神の奴、持ち堪えよったで!?」

イブキ「畜生、往生際が悪ぃな!」

龍驤「せやけど、今ならちょっかい出し放題やな?」バッ

雲龍「ええ」ジャラッ

最上「僕たちは川内たちを助けるよ!」

三隈「はいっ!」

 艦載機たち<ブルーーン!

魔神「!」
108 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:19:18.04 ID:CC2XuYRUo

 艦載機の機銃<ババババッ!

魔神「GAAAAA!!」バチュンバチュン

最上「よし、魔神がひるんでる隙に!」

三隈「川内さん! 朧さん! 私たちが飛ばした瑞雲にくっつけた、吊革につかまってください!」

 瑞雲<バゥーン!

川内「これね!」ガシッ

朧「そういうことですか!」ガシッ

川内「あはは、これ、水上スキーみたい!」ツルツルツルー

朧「こ、これ、結構バランスとるの難しいんですけど!?」ヨロヨロツルツルー

ゼシール「おい、那珂は避難していないのか?」

ル級「那珂チャンモ滑ッテナイデ、戻ッテキナサイ」

那珂「エー? モウ少シ滑ッテイタカッタケド……ショウガナイナー」トリプルルッツー

クリスティーナ「なんでスケート靴を用意してるのよあの子……」

不知火「というか、何気なく難易度の高い技を滑っていませんか」タラリ

扶桑「深海棲艦になったせいか、全然物怖じしなくなったわねえ」

山城「のんきにしてないで那珂ちゃん早く戻ってきてぇぇ!」
109 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:20:52.24 ID:CC2XuYRUo

龍驤「よーし、みんな氷からおらんようなったな?」ニヤ

雲龍「ええ」ニコ

龍驤「よーっし! それじゃあミルファ! 行ってみよう!」

ミルファ「オーケー! 行きまーす!」

 メガロック<ヒュウウウ…

魔神「!?」ズガシーーーッ!

龍驤「なんや!? あいつメガロック受け止めよった!」

リンダ(うちと同じリアクションしとる……)

ミルファ「滑る足場で良くそんなことを!」

霧島「ですが、これで両手が塞がりました」ニヤリ

カオリ「一斉射撃よ!」

ミリーエル「参ります!」

 アローシューター<バシュッ

 ボールスパイカー<バシュバシュバシュッ

魔神「GAAAAA!!」ヨロッ

霧島「もう一息です……!」

ヴァージニア「よくやった。奴が地べたを這うさまは、この私が見せてやろう」

 クイーンハイヒール<グワッ!

ヴァージニア「跪け!」

魔神「GWOOOOOOOO!!」グシャアッ グリグリグリッ
110 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/07/29(日) 18:21:22.24 ID:CC2XuYRUo
今回はここまで。

反撃開始!
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/29(日) 23:58:03.32 ID:xWa0I3pW0
あれ、アイスショー……
毎回更新楽しみにしてますよー
次回も待っています!
112 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:05:16.28 ID:Q82r3i52o
続きです。
113 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:05:52.51 ID:Q82r3i52o

ヴァージニア「フ、姿が違えど所詮は人間。この私の足蹴にされるのが、お似合いというものだ……!」

電「後始末は電たちに任せて欲しいのです!」

ヴァージニア「良かろう。務めを果たせ」

電「なのです!!」

ルミナ(……電ちゃんはヴァージニアのあしらい方が上手いよねえ)

如月「行くわよ、初春ちゃん、吹雪ちゃん!」

初春「うむ!」

吹雪「任せてください!」

 ビュォォオオオオオ…

山雲「こ、今度はなあに〜!?」

電「如月ちゃんと初春ちゃんが気温を下げているのです」

長門「そして吹雪が、文字通り吹雪を起こしていると言うわけか……!」

ルミナ「魔神も寒さで動きが弱まってる。畳み掛けるよ!」

魔神「GRRRR……!!」ムク…
114 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:06:42.26 ID:Q82r3i52o

陸奥「せっかく転ばせたのに、起き上がったりしないでよ……コールドアロー、もう一回行くわ!」ジャコン

Fディニエイル「……!」

ディニエイル「加勢しますよ、ミス陸奥。ミス霧島、よろしくお願いします」

霧島(コールドアロー搭載)「ええ、このまま畳み掛けるわよ!」ジャコン

陸奥「……ええ、お願いね! 一斉射!!」

 ズドォン!

 無数の砲弾→コールドアロー<ビュオオオオオ!

魔神「GOAAA!?」パキパキパキィィ!

長門「いいぞ、奴の手足が凍りついた!」

カトリーナ「それじゃあ、その左腕! ぶち壊させてもらうぜ!」

 スイングハンマー<ブォォォン!

魔神「!?」ガシャァァァン

シルヴィア「右腕は私がいただくわ!」

リンメイ「左脚、私がもらたよ!」

リサーナ「それじゃ、私は右脚をご指名かなっ!」

 シャークブレード<キシャァァァン!
 メガバズソー<ガランガランガラン!
 キラーバズソー<シュバーーーーッ!

魔神「!?」ガシャガシャガシャァン
115 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:07:30.47 ID:Q82r3i52o

アマラ「切り取ったパーツがくっついて復活できないように、お部屋をお掃除致しましょう!」

パメラ「部屋の隅に集めちゃうわね!」

 バキュームフロア<ビュォォォオオオオ!
 スローターファン<ギュアァァァァアア!

朝雲「凍らせた魔神の手足や、切り落とした翼を吸い寄せて集めてるのね……!」

山雲「魔神が4分の1くらいの大きさになったわ〜!」

ルミナ「ここまで小さく切り分けられれば、あとは魔神君を救い出すだけだ!」

霧島「さあ、とどめよ!」

陸奥「待って、様子がおかしいわ……!?」

魔神「GGGGG……」グニュグニュグニュ…

武蔵「なんだ!? 魔神の形が変わっていくぞ!」

オリヴィア「もとがスライムだから、どうにでも化けられるってのかい!」

魔神→スライム「GGWWWWOOOO……!」

イブキ「なんだありゃ? 出来損ないの泥人形みたいになっちまった」

ルミナ「……手足を作ろうとしているということは、まだ抵抗すると見えるね」
116 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:08:27.95 ID:Q82r3i52o

電「そうはさせないのです!」

 パチッ

陸奥「きゃっ!?」

五月雨「な、なんですか!? 静電気!?」

電「なのです……!」バッ

 バチバチバチッ!!

敷波「うえっ!? 電が放電した!?」

鳥海「し、司令官さんは大丈夫なんですか!?」

ルミナ「か、加減はしているんだろうね!?」

電「加減はしてるのです。しすぎてあまり効果がないみたいなのです……」

グローディス「だったらあたしたちに任せときな! 神通!」

神通「はいっ!」

摩耶「え、神通ってさっき探照灯持って上のフロアにいたよな?」ミアゲ

 タンッ

伊勢「と、跳んだ!?」

足柄「いくら上の階って言ったって、ここ天井高いから10メートルはあるわよ!?」
117 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:09:10.68 ID:Q82r3i52o

神通(落下中)「……この一撃で」ヒュウウ

グローディス「ああ、決めてやれ!」

神通「やあぁぁああ!!」ブンッ

 サンダージャベリン<ゴォォ!

スライム「VVLLLLLOOO!!」バリバリバリ

神通「追い打ちです……!」グッ

ルミナ「! みんな、神通君から離れるんだ! 彼女はもう一人メディウムを乗せている!」

武蔵「なに!?」

シェリル「デュエットなんてガラじゃないけどね……響かせてやるぜ!」

 ヘルジャッジメント<ズガシャァァァン!

三隈「神通さんの右手から雷光が!」

最上「投げたジャベリンを避雷針に見立てたんだね……!」

川内「なにあれ自雷也の術!? 印まで組んじゃって超格好いい!」キラキラキラッ

那智「言ってる場合か! 神通を助けないと地面に激突するぞ!」
118 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:09:50.73 ID:Q82r3i52o

 ズダンッ!

神通「……ふぅ」チャクチセイコウ

那珂「神通チャン、大丈夫?」

神通「ええ、那珂ちゃんありがとう」ニコ

那智「いや、あの高さから落ちて無傷ってのはどうなんだ」

神通「無傷ではありません、さすがに足が痺れましたが……」

五月雨「そ、それだけなんですか?」

神通「はい」

武蔵「……マジか」

利根「さすがは川内型じゃの」

足柄「その一言で片づけるのもどうなのよ……」

ウーナ「それより! 出番! 出番っ!!」

武蔵「うお!? なんだ!?」

ノイルース「最終段階です。私とフォージド兵の私、そしてウーナの力で、あのスライムを焼きます」

不知火「こちらは準備完了です」

Fノイルース「……」コクリ
119 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:10:36.69 ID:Q82r3i52o

ルミナ「あのスライムから魔神君を引き剥がすのが先決だ。そのためにあのスライムに火球をぶち当てて、体積を減らす」

ルミナ「魔神君を覆うスライムが薄くなったら、如月君と大和君をカタパルトで飛ばして、魔神君の身柄を確保する」

ユリア「カタパルトの準備はできてるわ!」

如月「私たちも、いつでもいけるわよ?」

大和「提督は私たちが取り返します!」

金剛「そして私が載せているWペッタンアローで、保護する作戦デース!」

キュプレ「私たちの愛の力の見せ所ね!」

Fキュプレ「……!」ウインクー

スライム「ZZ.RR.Z...」

ミリーエル「電撃が効いてグズグズになってるわ」

ノイルース「今が好機……私たちが、燃やします」メラッ

Fノイルース「……」メラッ

 Wファイアーボール<ゴォッ!

スライム「MYUGYYYYYYY!」メラメラッ
120 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:11:19.69 ID:Q82r3i52o

ウーナ「不知火! スライム、燃えて縮んでる! 今だ!」

不知火「了解です……!」ジャキッ ドォン

 砲弾→ヘルファイアー<ボワァァァ!!

全員「「うわあああ!?」」

潮「す、す、すごい火柱なんですけど!?」

フウリ「ウ、ウーナちゃん大丈夫なの!?」

ウーナ「ダイジョブ! あれ見ろ!」

スライム「MIIIYYYYAAAAAAA!!」プルプル

古鷹「スライムが殆ど吹き飛んでます!」

加古「提督の姿がばっちり見えるよ!」

如月「今だわ! 大和さん!」

大和「ええ、ユリアさんお願いします!」

ユリア「さあ、かっとばすわよ! いっちにーの、」

ユリア「さぁぁん!」

 カタパルト<ズバァァン!

如月「!」バヒューン

大和「!」バヒューン
121 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:12:29.32 ID:Q82r3i52o

那智「いいぞ、まっすぐ提督に向かっている!」

敷波「……あ、だめっ!」

スライム「MIIIIGGYYYYYYYYYYY!!」

 ズオァ!

吹雪「!? スライムの壁が!?」

如月「きゃあっ!?」ズボォ

大和「いやああ!」ドブッ

長門「おい、まずいぞ! 二人がスライムの壁に取り込まれた!」

オリヴィア「……こっちが罠にかけられたってことかい!?」

ルミナ「やってくれるね……くそっ!」

摩耶「ど、どうすんだよ!」

泊地棲姫「ソレダケジャナイ。切リ離シタ奴ノ手足ヲ見テミロ!」

スライム群「UZZZZOOOOOOO...!」ズルズルズルッ

グローディス「げっ! 氷が解けて手足の分が集まってきてやがる!」

コーネリア「やらせるか!!」
122 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:13:22.25 ID:Q82r3i52o

 ギルティランス<ガシャッ!

スライム群「DRDRDRDR...」ドロッ

コーネリア「くっそ、液状なせいで全然ダメージが通らねえ……!」

カトリーナ「ならあたしのハンマーならどうだ!」

 スイングハンマー<ブオンッ!

スライム群「BRRRRRR...」ベチャベチャッ

コーネリア「飛び散るだけで時間稼ぎにしかならねえぞ……」

カトリーナ「ど、どうすりゃいいんだよ……!」

加古「んじゃ、これならどうだ!」

Fフローラ「……」ジャコッ

 チュウシャキ<ポイーン

スライム「!」ブスッ

スライム「BRRROOOONN!」ブルブル ポイッ

 チュウシャキ<カランカランッ

加古「く、薬でもだめかあ」

古鷹「全身に行き渡らせないと、効果は薄いみたい……」
123 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/08/25(土) 17:13:59.16 ID:Q82r3i52o

長門「くっ……それならこれでどうだ!」ドォン!

 ドカァン

陸奥「飛び散るだけでダメージにならないわ……!」

敷波「も、もう一回凍らせられないの!?」

ディニエイル「そ、それが……」

 コールドアロー<バシュッ

スライム「」ピキパキッ

スライム「」ヴヴヴヴヴッ

ディニエイル「耐性がついたのか知恵がついたのか、凍らせても細かく振動して、凍結しないようになってしまったんです」

敷波「……ど、どうすりゃいいの?」

スライム→魔神「GRRRRAAAAAAAAAAAAAAA!!」ズシーン

利根「大和と如月を取り込んだまま、元に戻ったと言うのか……!」

ルミナ「最悪だ……!」

武蔵「大和はどうなるんだ!!」

ナンシー「如月ちゃん……!!」

摩耶「あの二人が中にいたんじゃ、攻撃できねえぞ!?」

ニーナ「どうにかして、あのお二人を助けないと……!」


魔神「GAAAAAAAAA!」
124 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2018/08/25(土) 17:14:48.32 ID:Q82r3i52o
今回はここまで!
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/26(日) 19:21:01.20 ID:9Wk/KOxqO
おつ
126 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:30:47.43 ID:r32lG1imo
続きです。
127 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:31:33.76 ID:r32lG1imo

魔神「GAAAAAAAAA!」ブンッ

 瓦礫<ゴシャアァァ

「「きゃああああ!」」

タチアナ「こちらから攻撃すれば、あの二人がどうなるかわかりません……!」

マルヤッタ「で、でも、このまま攻撃しないわけにはいかないじょ!?」

霧島「……いったい、どうしたら」

鳥海「司令官さん……!」


 ゴポゴポ…

大和(なんて苦しい……! 早く、抜け出さないと……!)

大和(いえ、それよりも、提督を……!)グッ

大和(くっ、スライムとはいえ、なんて頑丈な……)

――ちくしょう……許せねえ……!

大和(!?)

――なんで、私たちが死ななきゃならないの?

――どうして海軍は、俺たちを守ってくれないんだ!

大和(この声は……まさか、メディウムに殺された人たち!?)
128 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:32:24.03 ID:r32lG1imo

――お前は、艦娘か……!?

――どうして艦娘がこいつを助けようとするんだ!

――こいつは俺たちを殺した原因だぞ!

――艦娘だったら、私たちを助けるのが役目のはずよ!

――艦娘のくせに、人間を裏切るのか!?

大和(なっ……そんなつもりはありません!)

――じゃあどうして人間じゃないこいつを助けようとする!

大和(それは……!)

――裏切り者!

――お前が大和だと!? 人間の味方じゃない奴が、大和なんて名乗るな!

――お前なんか大和じゃない! 偽物!

大和(……っっ!!)

――偽物! 偽物め!!

――俺たちを見殺しにしやがって!

――ここにいる奴らは、全員敵なんだろう!?

――私たちの恨みを思い知れ!!
129 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:33:32.08 ID:r32lG1imo


 ガシャァン!

ヨーコ「うわああ!?」

ヴェロニカ「ちょっと、見境なしに暴れ始めたわよ!?」

五月雨「い、一旦避難しましょう! 早くこっちに!」

 ブゥン!

霞「やばっ……!」

朝潮「霞!!」

Fジェニー「!」バッ

霞「えっ……!?」ダンッ

 ゴシャァ!

ジェニー「ふ、フォージド兵の私が……」

霞「私を庇って……!?」

ジェニー「偽物だけど……よくも私を……っ!」

フォージド兵たち「「!」」ババッ

長門「!? ど、どうしたんだ!? フォージド兵たちが、魔神の前に並んで身構えてるぞ!?」

リンダ「な、なあ、これ……」

ナンシー「私たちの偽物が、私たちを庇ってる……!?」
130 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:34:28.80 ID:r32lG1imo

初春「こ、これ! しっかりせぬか!?」

武蔵「今度はなんだ!?」

ヒサメ「わ、わらわの偽物が……」

Fヒサメ「……」コックリ コックリ

筑摩「か、体が透けて見えませんか!?」

ルミナ「フォージド兵はね、不完全な模倣体なんだ」

ルミナ「彼女たちは私たちと同じように作られるが、殆どは作られて間もなく消えてしまう運命だ」

泊地棲姫「力ヲ使イスギタト……私ノセイ、カ?」

Fヒサメ「……」フルフル

泊地棲姫「違ウ……ノカ!?」

ヒサメ「泊地棲姫よ、このわらわはこう言うておる」

ヒサメ「力になれず、すまなかった、と……」

Fヒサメ「……」ニコリ

 スゥ…

初春「……消えてしもうた」

泊地棲姫「……」

長門「彼女たちは自分の最期の時を理解しているというのか……?」

ニーナ「ならば、彼女たちのためにも、なおのことあの偽物の魔神を止めないと!」

131 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:36:41.11 ID:r32lG1imo

霧島「……!」

鳥海「霧島さん、どうしました?」

霧島「あれを見て。大和さんが……」

武蔵「ど、どうしたんだ!? 大和のあの顔……!」


大和(やめて! やめて!!)

――俺たちがどんな惨たらしい殺され方をしたか、知ってるのか!?

――私たちがどんな屈辱的な死に方をしたのかわからないから、あいつらとつるんでるんでしょう!?

――人間を守れない役立たずのくせに!

大和(勝手なことを!)

――お前は俺たちを守るのが役目じゃないのか!?

――俺たちを守れない奴が、どうして生きていられるんだ!?

――役立たず! 役立たず!

――死ね! お前だけじゃない! みんな、死んでしまえ!

――そうよ! 私たちだけが死ぬなんて、不公平よ!

――死んじゃえ!!

大和(……っ!)ギリッ


武蔵「……」ゾク

利根「……武蔵よ」

武蔵「……どうしたらいいんだ」ポロ…

武蔵「大和が、苦しんでいる……誰か、大和を助けてくれ」ポロポロ…

利根「……」
132 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:37:42.64 ID:r32lG1imo


 ゴポゴポ…

如月(……こんな罵詈雑言を、司令官は一人で受け続けていたなんて……!)

――可哀想とでも言うつもりか!

――一人だけ安全なところに逃げやがって!

如月(……)

――お前はこいつの部下か!

――艦娘のくせに、俺たちを殺したやつらに協力したやつだ!

如月(……)

――こいつらも敵だ!

――殺せ!

――殺せ!

――全員、ぶち殺せ!!


 ドズゥウウン!

ミーシャ「きゃああ!?」

白露「だめだめ! こっちはだめ! 早く逃げるよ!」ウデグイッ

島風「あなたも早く!」

アーニャ「う、うん!」

133 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:39:15.98 ID:r32lG1imo

 ガシャアン

千歳「手当たり次第ね……!」

ヴィクトリカ「見てる場合じゃねーって! ずらかるぞ!」

霧島「比叡お姉様、どこへ行くんです!?」

比叡「暁ちゃんが、隣の部屋に! まだ空っぽになった魔力槽のなかにいるんです!」

由良「私も行きます!」

イサラ「あ、その、イーファの様子、見てくるッス!」

カサンドラ「わ、わたしも!」

タチアナ「休んでるキャロラインたちにも連絡を!」

ヨーコ「外で見張ってるシャルロッテたちはどうするんだ!?」

ルミナ「ここより上のフロアで待機させてくれ! 最悪、総力戦になる……シルヴィア、呼んできて!」

シルヴィア「わ、わかったわ!」

武蔵「……大和ぉ……!」グスッ

魔神「GWOOOOOOO!!」ゴォッ!

オリヴィア「武蔵!?」

コーネリア「ぼけっとしてんじゃねええ!!」
134 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:40:20.14 ID:r32lG1imo

 ドガァン!

全員「「!?」」

龍驤「な、なんや今の爆発!」

リンダ「見てみい! 魔神の腹が裂けとるで!!」

川内「あれじゃない! あの砲塔!」

武蔵「……大和!」


魔神の腹から見え隠れする大和(大破)「……」プスプス…


潮「ま、魔神のおなかの中で砲撃したんですか!?」

榛名「そんなことをしたら暴発することくらい理解っているはずです!」

武蔵「……大和の顔が、鬼のようだった」

敷波「!」

武蔵「あいつは……あの魔神は、大和の逆鱗に触れたんだ」


若葉「……」

若葉「ふむ、試してみる価値はあるな」

利根「む?」
135 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:41:26.29 ID:r32lG1imo

若葉「フォージド兵のオリヴィア、すまないが一緒に来てくれるか?」

Fオリヴィア「?」

若葉「フォージド兵のクレアも手を貸してくれ」

Fクレア「?」

若葉「若葉を、あの魔神の右足めがけて吹き飛ばして欲しい」

Fクレア「……」コク

利根「お、おい若葉、おぬしいったい何をす」

 スマッシュフロア<ズバーーン!

若葉「おおお!?」ビューン!

利根「る気じゃあああ!?」

若葉「これでいボブッ!」ズボッ!


初春「若葉の上半身が魔神の右足に突っ込んでおる……」

ルミナ「若葉君はいったいなにをしているんだ!?」
136 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:42:14.96 ID:r32lG1imo

若葉(……よし、ここだ。フォージドオリヴィア、頼む)

Fオリヴィア(!)

――裏切り者の艦娘め! 何をする!!

若葉(……メディウムに殺された人間の声か。しれたことだ、お前たちを供養しに来た)

Fオリヴィア(!)ニヤリ

 クエイクボム<ズズゥン!


 ゴチャァ!

利根「ぬおお!?」

ルミナ「魔神の右足が……!?」

川内「破裂した!?」

オリヴィア「あれは……あの脚の内側からクエイクボムを炸裂させたんだね!」

リンダ「んなムチャクチャな……!」


魔神「GGAAAAAAAAAAA!」ヨロッ

若葉「ぷはっ!」ピョンッ スタッ

Fオリヴィア「……!」サムズアップ

若葉「ああ。いい仕事をした、協力感謝する」

Fオリヴィア「……」スゥゥ…

若葉「……」ケイレイ
137 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:43:01.82 ID:r32lG1imo

如月(大和さん……! なんだかわからないけど、魔神の動きが遅くなったわ!)

如月(いまのうちに司令官を!)ザバザバッ


霧島「……如月さんが提督に向かって泳いでいます!」

朝潮「本当ですか!?」

ナンシー「如月ちゃん……お願い、無事でいて!」

グローディス「魔神様……!」


――やらせるか!

――俺たちだって、復讐するんだ!

――邪魔をしないで!

如月(!)ジュゥ…

如月(服が……溶けてく!?)

如月(ふ、服だけじゃないわ!? 体が……焼かれてる!)ジュゥ…!


古鷹「如月さんの様子が変です!」

ノイルース「もしや、あの周辺のスライム、メルトスライムでは!?」

グローディス「げっ! あの遺物か!?」
138 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:43:56.49 ID:r32lG1imo

朧「遺物……って、なんですか、そのあからさまにやばそうなのは」

ディニエイル「掻い摘んで言えば、対象の衣服などを溶かしてしまうスライムです」

ミリーエル「メディウムとして目覚めていないので、ただのスライムなのですが……」

カトリーナ「なんたって昔のやつだぞ!? 制御できるかだって怪しいんだ!」

ニーナ「魔神の力を無理矢理引き出しているようですね……!」

ナンシー「如月ちゃん……!!」


如月(くう……! か、髪が傷んじゃう!)ジュゥ…

――溶けろ!

――そのまま俺たちの一部になれ!

如月(そ、そんなのお断りよ! あなたたちと同じになんかなりたくないわ!)

――誰のせいでこんなことになったと思ってるんだ!

――そうよ! 責任を取りなさいよ!

如月(責任!? 笑わせないで! 無理矢理取らせたところで、どうせ元に戻せだの、無理難題を押し付けるんでしょう!?)

如月(それなら、司令官がこんなことになった責任は誰がとってくれるのよ!)

――それは俺たちのせいじゃない!

――そんなのは海軍の勝手だ!

――お前らのせいだ!!
139 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:44:58.13 ID:r32lG1imo

如月(他人のせいにするしかないの!? ふざけないで!)

如月(人の不幸を望む存在でしかないのなら、あなたたちのほうがよっぽど悪魔じゃない!)

――違う! 俺は人間だ!

――そうよ! 私は人よ!! 艦娘もやめたあなたに言われたくない!

如月(なにが人よ! あんたたちの姿を見なさいよ! 魔神にすらなり損ねた、醜い異形じゃない!)

如月(それで人を名乗ろうだなんて、笑わせないで! この、ひとでなし!)

――……っ!!


魔神「UUUUWWWWGGGGGGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


――俺は人間だ! 正しい人間だ!!

――俺は間違ってない! 正しいんだ!

――ひとでなしなんかじゃない!

如月(流れが止まった……今だわ!?)

如月「司令官!!」ザババッ

提督「……」

140 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:46:13.08 ID:r32lG1imo

霧島「如月さんが……今、提督を捕まえました!」

金剛「で、でも、彼女たちはまだ魔神の inside デス!」

キュプレ「私たちじゃ引っ張り出せないわ!」

ニコ「別にいいよ」

比叡「ニコちゃん!? どういう意味!?」

ニコ「魔神様が、如月の呼びかけに応えてくれれば、それでいいんだ」


如月「司令官! 司令官っ!」ギュッ

提督「……」

如月「司令官っ!!」ギュウゥッ

提督「……この手のぬくもり……誰だ」

如月「司令官……! 私よ!」

提督「如月、か?」

如月「そうよ!」ブワッ

如月「ずっと……ずっと、会いたかった! お話がしたかったの!!」

如月「見て! みんないるわ! メディウムのみんなも! 艦隊のみんなも! 大和さんも!!」

提督「大和……ぼろぼろじゃねえか。大丈夫か……」スッ

大和「! あ、あああ……提督……提督!!」ボロボロボロ…

141 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/09/01(土) 21:47:33.16 ID:r32lG1imo

魔神「GOOOOWAAAAAAAAAAAAAAA!!!」ゴボゴボゴボッ


ウーナ「な、なんだなんだ!? また、魔神、暴れ始めた!」

武蔵「3人はどうなるんだ!?」

ニコ「もう、大丈夫だよ」ニコッ

 魔神の足元に展開される魔方陣<パァ…

ニコ「人間どもが夢を見る時間は、もう終わり」バッ

 魔方陣<カッ!

魔方陣からの光に包まれる魔神「!!!」

 ゴォォォォ!!

 魔方陣<ピカーーーッ!

「「きゃあああ!?」」

「ま、眩し……!」


 ドドドドドド…

長門「くぅ……なんだ、この音」

 ザバーーーーーー!!

龍驤「な、な、なんやああああ!?」ザバー

リンダ「ビッグウェーブやあああ!?」ザバー

 ダパーーーーーン!
142 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2018/09/01(土) 21:48:14.47 ID:r32lG1imo
今回はここまで。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 12:13:18.00 ID:CDBtPIPeO
乙だ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/25(木) 23:45:47.96 ID:ZDsHqziA0
復旧してホント良かった…もう続きも過去分も読めないままかと思ってたよ……
145 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 17:55:22.63 ID:dU/gqv+wo
お待たせしました、こちらもだいぶまとまったので続きです。
146 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 17:56:05.53 ID:dU/gqv+wo

 * *

ニーナ「……」ビッショリ

ナンシー「やーん、もう髪がびしょびしょー」

長門「とんでもない鉄砲水だったな……」

シエラ「ひ、ひどい目にあったデスゥ……」ゼーゼー

黒潮「ほんまやぁ……うう、服が引っ付いて気持ち悪ぅ」

ル級「アレハ、アノ魔神ヲ構成シテイタ水カ?」

雲龍「……そうみたい。でも、あの邪悪な気配も感じなくなったわ」

不知火「ニコさんだけ長門さんの背中に避難していて無事ですか」

長門「いつの間に……」

ニコ「この本を濡らすわけにはいかないからね。一度乗せてもらったし、要領は掴んでたから」

ノイルース「私の火も危うく消えそうだったのですが」

ウーナ「ウーナも、ずぶ濡れだぁ……」

ディニエイル「私の氷も解ける寸前です……」

吹雪「メアリーアンさんの服が水を吸って動けなくなってます!」

メアリーアン「た、たすけてけろ〜〜!」ズッシリ

ミリーエル「雪玉も水を吸うと重くなりますからね……」
147 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 17:56:46.18 ID:dU/gqv+wo

グローディス「なあ、あたしの隣にいた神通が電撃で痺れて気を失ってんだけど」

敷波「何やってんの!? 神通さんしっかり!」ユッサユッサ

神通「……う、うーん」クラクラ

イブキ「シェリルやカサンドラは大丈夫だったのか?」

シェリル「私はグローディスみたいにしょっちゅう放電してないし」

オリヴィア「カサンドラならイサラと一緒に向こうの部屋に引き籠……避難してたよ」

初雪「なにそれ……羨ましい」

金剛「それよりテートクはどうなったんですか!?」

ナンシー「そうよ、如月ちゃんは!?」

武蔵「大和もだ!」


「全員生きてるよ。一応な」


金剛「その声は」

吹雪「司令官……!」

艦娘たち「「提督!!」」「「司令官!」」キャー!

メディウムたち「「魔神様ー!!」」キャー!
148 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 17:58:33.82 ID:dU/gqv+wo

提督「おう、お前らも大丈夫か」

(両脇に大和と如月を抱えて現れる提督、ただし全裸)

全員「「「……」」」

提督「……」

全員「「「キャアアアァァァーーーーー!」」」

提督(うるせえ)


雲龍「大変。陸奥さんが顔から火を噴いて倒れたわ」

龍驤「おい陸奥!? しっかりせえ!」ペチペチ

潮「ふ、フウリちゃんも倒れちゃってます!!」カオマッカ

ジェニー「潮はなんとか大丈夫なんだ……ほらー、シエラも目をさましなよー」ペチペチ

扶桑「山城? 大丈夫? 提督よ?」

エレノア「この子、立ったまま気絶してない?」

那珂「那珂チャン、提督ニ汚サレチャッタ……」タハー

川内「その割には嬉しそうな顔してない? ねえ神通?」

神通「」プルプル

川内(耳まで真っ赤にして涙目になって固まってる……)

那珂(神通チャン、乙女ダァ……)
149 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 17:59:46.27 ID:dU/gqv+wo

クロエ「ほかにも何人か恥ずかしさで倒れてる方がいますねえ。みなさん大丈夫ですか?」

榛名「はい、榛名は大丈夫です!」ハナヂドバーー

オボロ「それがしも……問題なく……」ハナヂダラダラ

朧「二人とも駄目じゃないですか」カオマッカ

吹雪「でもまあしょうがないよ!」ハナヂポタポタ

鳥海「……そう、ですね」ハナヂポタポタ

大淀(むっつり系の人が鼻血出してますね)ハナヂポタポタ

明石「大淀、はい、ティッシュ。鼻血出てるよ」

大淀「え!? わたしがむっつりだとでも言いたいんですか!?」

明石(自覚なかったんだ……)

泊地棲姫「意外ダナ……ココマデ慕ワレテイルノナラ、裸クライ見慣レテイルモノダト思ッタガ」

朝潮「司令官! 朝潮は興味があるので、もう少しよく見せてほしいです!」キョシュ

若葉「若葉にも見せてくれ」

霞「……」ズツウ

初春「……」ズツウ

摩耶(駆逐艦の連中はいいなあ、自分に正直で……)モジモジ

黒潮「ええなあ、うちもこの流れにどさくさに紛れて乗っかりたいわ……」ウズウズ

不知火「黒潮。口に出ていますよ」

黒潮「!?」カオマッカ
150 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:01:10.55 ID:dU/gqv+wo

ルイゼット「魔神様の裸体に欲情するなんて、みなさん精神修行が足りませんね」

電「みんながルイゼットさんのように悟りを開いてるわけじゃないのです!」カオマッカ

初雪「なんでもいいから、司令官は早く前を隠して欲しい」ポ

伊8「提督、はっちゃんの水着、着る?」ヌギッ

マルヤッタ「やめとくじょ!」ガシッ

オリヴィア「しょうがないねえ、それじゃあアタイがひと肌脱ごうじゃないか」ヌギッ

武蔵「おいやめろ」ガシッ

オリヴィア「冗談だよ」

伊8「二人とも裸リボンみたいな恰好してるのに常識的なのね」ボソッ

武蔵&マルヤッタ「「!?」」

提督「……相変わらず騒がしいな」

如月「う、うーん……」

大和「……ううっ」

提督「ん、如月も大和も気が付いたか?」

如月「し、しれいか」ピタッ

大和「ていと」ピタッ

提督「?」

如月「……」カァァァ…

大和「……」ボシューーー

如月「き、如月はいつでも大丈夫ですわ!?」

大和「や、大和も大丈夫です!?」

提督「何言ってんだお前ら」
151 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:02:45.06 ID:dU/gqv+wo

金剛「時間と場所は弁えるべきデース!!」カオマッカ

提督「お前も何言ってんだ」

Fノイルース「……」スタスタ バサッ

提督「ん? ノイルース……少し雰囲気違うな。このマントを俺にくれるのか?」

Fノイルース「……」ニコ

提督「体を隠せってか。ありがとな、あとで洗って返す」

Fノイルース「……」フルフル

Fノイルース「……」スゥ…

提督「!」

ノイルース「やれやれ。これは偽物においしいところを持っていかれましたか」

提督「おい、今のは……」

ルミナ「フォージド兵。偽メディウムと言えばいいかな?」

グローディス「私たちの世界で、魔神様に対抗するために作り出された人造メディウムさ」

提督「……どうして消えてしまったんだ?」

ミリーエル「私たちメディウムを作り出すためには、専用の炉と、素材を使います」

リンダ「その炉を使わんと、メディウムが不完全な形で生まれるって話らしいんよ」

提督「だから Forged(偽造)兵ってか」

ルミナ「そのおかげで短命でね。時間が経って魔力が尽きると雲散してしまうんだよ」
152 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:03:41.35 ID:dU/gqv+wo

ヨーコ「それはそうとさ、今まで出会ったフォージド兵って、みんな私たちに敵対してたよね?」

アーニャ「うん! 昔、ミーシャの偽物と戦った時も、全然話を聞いてくれなかった!」

カトリーナ「そうそう。やけにあたしたちに協力的っつうのが……なんでだ?」

タチアナ「今もこうして魔神様の前に傅いているというのが信じられません」

ル級「長門。アナタ、ナニカ知ッテルンジャナイノ?」

長門「……確信はないが」

シェリル「心当たりがあるのか」

長門「このフォージド兵たちは、妖精たちに頼んで建造ドックで作ってもらったんだ」

長門「かつて大和たちを建造した時に、妖精たちの意識……提督への好意が大和に反映されていただろう?」

長門「その時と同じように、ドックで作られた彼女たちには、提督を救いたいという意思が込められていたのかもしれないな」

ニーナ「人間が魔神様を討伐するために作った偽物とは、存在意義そのものが違うということですか」

提督「好きに生きればいいのによ。俺のために尽くすなんてな……ったく」

長門「提督……」

提督「安心しろ、ここまでしてもらって、俺なんか死ねばいいなんて言い出したりはしねえよ」

金剛「Oh, 良い意味で生まれ変わったみたいデスネー」

如月「良かった……!」ウルッ

大和「ええ、本当に……!」
153 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:05:06.23 ID:dU/gqv+wo

武蔵「とりあえずそのマントは腰に巻いておいてくれ。目の毒だ」ポ

提督「おう」マキマキ

明石「……お風呂上りみたい」ボソッ

大淀「!」ハナヂドパァ

明石「えっ!? なんでそこで鼻血!?」ビクッ

如月(ああ……)カオマッカ

大和(シチュエーションだけ考えればそうですよね……)マッカッカ

ルミナ「えーと、それでニコ君? あの偽魔神がただの水になったようだけど、いったい何をしたんだい?」

ニコ「あの水に宿っていた人間どもの魂を、魔力に変換したんだ」

ソニア「えええ!? ちょっとぉ、最初からそれやってよぉ!」

ニコ「簡単に言わないでよ。ぼくだけでやろうとしたら、床にちゃんと魔方陣を書いたり、いろいろ準備しなきゃいけないんだ」

ニコ「魔神様の力を借りないと、あんな芸当簡単にはできないんだから」

ナンシー「ってことは、さっきまではマスターの力を借りられなかったの?」

ニコ「あの人間どもの魂のせいで、魔神様が意識と魔力を外へ出さないようにさせられてたんだよ」

提督「つうと、あれか。俺が精神的に引き籠ったせいで、お前らに迷惑かけてたのか」

ニーナ「いえ、それだけではありません。魔力を変換できるニコさんが、捕獲牢に閉じ込められたのも事態が悪化した一因ですね」
154 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:06:11.90 ID:dU/gqv+wo

ルミナ「そういう魔神君は、体は大丈夫なのかい?」

提督「だるさが残るが、それほどじゃねえな。あとは少し頭が痛いくらいか」

如月「確かに、あれはひどかったわ。あの中に取り込まれたとき、人の怨嗟の声があちこちから聞こえてくるんだもの」

提督「人の意識に入り込んできて、やれ償えだの、やれ生き返らせろだの、ぎゃあぎゃあがなりたてやがって」

提督「ああ言えばこう言うで主張が一貫してねえ。数百人と口喧嘩してるみたいで、かなり分が悪かったぜ」

ニコ「とにかく、助け出せたのは如月と大和のおかげだよ」

ニコ「二人が取り込まれて魔神様に触れたことで、魔神様の意識と力が初めて外を向いたんだ」

ニコ「そのタイミングで魔神様の肉体を媒介にして、魔力変換を試みたんだ」

イブキ「まー、それもこれも、あいつが引き起こしたんだけど……」チラッ

軽巡棲姫「Zzz……」

吹雪「のんきに寝てるんだ……油性マジックで顔に落書きでもしてあげよっか」

龍驤「いや、そんな程度で許す気なんかい」タラリ

五月雨「吹雪ちゃん、変わってないみたいで安心しますね!」ニコー

リンダ「せやなあ、吹雪はちょっとお子ちゃまやしなあ!」ニマー

吹雪「お子様じゃないですーー!」プンスカ!
155 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/10/27(土) 18:06:54.04 ID:dU/gqv+wo
とりあえずここまで。

ぼちぼちエンディングに向けて投下していきます。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/27(土) 18:51:03.75 ID:P/dsKppao
乙乙。とりあえずよかったよかった…後始末大変そう(棒
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/10/28(日) 22:31:56.28 ID:5/V8ogSh0
http://stardustorbt.web.fc2.com
158 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:24:45.20 ID:RfN4sFNMo
お待たせしました、続きです。
159 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:26:34.17 ID:RfN4sFNMo

 ドタドタドタ

シルヴィア「ちょっと、今の魔力の放出は何!?」

ロゼッタ「あー! 魔神様が起きてる!!」

エミル「ほら、さっきのはやっぱり魔神様復活の波動だったんだよ!」

ミュゼ「外でお掃除してる場合じゃなかったんですね……」

ブリジット「内装が滅茶苦茶でありますよ!?」

シャルロッテ「それに、なんか水浸しになってなーい?」

マーガレット「おかげで滑って転んで大変だったんですよー!」プンスカ

カオリ「あなたはいつも何もないところでコケてるじゃない……」

カトリーナ「お、見張組が戻ってきたか」

ロゼッタ「っていうかヨーコ! 勝手に持ち場を離れないでよー!」

ヨーコ「そうはいかないよ、こっちで悪の波動を感じたんだ!」

カオリ「単に退屈だからこっちに来たんじゃないの?」

ヨーコ「違うってば!」

ニコ「……ヨーコの独断というか、暇を持て余したからぼくたちが助かったっていうのは複雑だね」
160 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:27:25.44 ID:RfN4sFNMo

ティリエ「中間のフロアを守ってた私たちにも、労いを寄越せー!」

ジュリア「……わたくしたち、退屈でしたわ」ハァ

フローラ「ゲンスイさんという方のところに、誰も来なかったのは意外でした〜」

千歳「フローラが元帥のところにいたの?」

フローラ「ええ、一応看護師のようなものですから〜」

ティリエ「新しいお薬の実験台が来なくて一番退屈してたぞ!」

フローラ「そんなことはありませんよ!?」

黒潮「ジュリアがツッコミ入れへんあたり、ホンマぽいなあ」

フローラ「そんな!?」

 扉<ガチャバーン!!

キャロライン「ダーーーリーーーーーーーン!!」ダッシュ!

ケイティー「旦那様ああああああ!!」ダッシュ!

シルヴィア「なに!? 今度はなによ!」

コーネリア「こっちは休憩組かい」
161 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:28:27.67 ID:RfN4sFNMo

メリンダ「すみません、こっそりと様子をうかがっていました」

ツバキ「うちのカビンも入らへんやろしなあ、て、控えておりんした」

マリッサ「私は違う意味で拘束されてたわぁ〜」

パメラ「あなたはわざわざ若葉ちゃんを呼んで、縛ってもらってたんじゃないの」

初春「……」アタマカカエ

リンメイ「またくもて意味不明ね。なんで縛られたいか?」

スズカ「そんなん、理解できんほうがええに決まっとるけぇの」

キャロライン「ダーーーリーーーン! 生き返ったノ!? もとに戻ったノーー!?」ダキツキー!

ケイティー「旦那様あああ!! 私は信じておりましたああああ!!」ダキツキー!

提督「うお!?」ヨロッ

大和「ふ、二人とも、提督は目覚めたばかりですし、あまり体に負担を……」

キャロライン「ウワーーン! 良かったヨーーー!」スリスリ

如月「感激しすぎて聞こえてないみたいね」

ケイティー「うふふふふ……旦那様、ここに式場を建てましょう? なんならこの場で私と甘い夜を」サワサワ

 ゴッ

ケイティー「」ガクッ

金剛「調子に乗ってる子には当て身デース」

ニコ「……助かるよ、金剛」ハァ
162 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:29:42.17 ID:RfN4sFNMo

ニーナ「ほら、キャロラインもそろそろ離れて」

キャロライン「ウン、でも、本当に良かったヨー……!」グスングスン

イサラ「騒ぎは終わったッスか……」

イーファ「ご主人様、大丈夫?」

朝潮「イーファさん! 無事だったんですね!」パァ

イーファ「うん!」

カトリーナ「ケイティーも同じように潰されてたんだけど……」

チェルシー「そこは日頃の行いってやつでしょ」

長門「なにはともあれだ。全員、無事だな?」

ニコ「……そうだね。みんなのおかげで、魔神様復活の本懐を遂げることができた」

ニコ「ありがとう……!」

全員「……」ウンウン

長門「提督。あなたも一言何か言ってくれ」

提督「何かって……別にいいだろ。面倒くせえな」アタマガリガリ

「「「……」」」

不知火「あなたという人は……」
163 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:31:11.56 ID:RfN4sFNMo

如月「くすっ……」

吹雪「あはは……『面倒くさい』だって!」

朧「全然変わってないですね」

初春「まったく、相変わらずすぎてあきれるのう」

電「なのです!」

不知火(照れると頭を乱暴にかく癖もそのままですか……)フフッ

 ハハハハ…

提督「まあ、和やかなのは結構だが、お前らこれからどうするんだ?」

千歳「それは私たちこそ訊きたいわ。提督こそこれからの身のふりを考えないと」

提督「それだったら、俺は海軍に戻る気はさらさらねえぞ」

日向「海軍を離れる気か」

提督「どうせもう除籍されてんだろ。今の俺はメディウムたちを取りまとめる、魔神さ」

提督「だから、俺はこいつらと一緒に向こうの世界に帰ることにした」

伊勢「向こうの世界?」

キャロライン「ということは……!」パァッ

ニコ「ぼくたちと一緒に、神殿に帰るんだね?」

エミル「やったぁ!」

シエラ「これでやっと落ち着けるデス……」
164 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:32:28.83 ID:RfN4sFNMo

チェルシー「あー、でも、また海のない生活に戻っちゃうのかー」

シルヴィア「そうねえ……」

提督「まあ、そういうわけでだ、俺はこっちの世界からはおさらばさせてもらう」

榛名「そんな……!」

霧島「いえ、それは無理もないことです、榛名お姉様。今、司令が海軍にお戻りになられたとしても、おそらく歓迎されないでしょう」

長門「そうだな。海軍陸軍がこの施設奪還に投入した人員、この施設の近隣の住人、その被害だけでも数千人に及んでいる」

長門「提督が戻ったとしても、この騒動の原因を追究されて、責任を押し付けられる可能性のほうが高い」

提督「第一、戻りたいと思える場所がねえ。どこへどう転んでも面倒にしかなんねーよ」

提督「だから、俺を悪役にしておけ。人外の魔神が、深海棲艦を呼び寄せて暴れた、ってな」

提督「魔神はお前らが倒したことにして、悪者の俺たちはこのままドロン、のほうがいい」

武蔵「……むう……不本意だが、そうするしかないのか」

提督「あとは泊地棲姫たちがどうしたいか、だが……」

泊地棲姫「……ニコ。オ前タチノ故郷カラ、海ハ遠イノネ?」

ニコ「うん。そうだね」

泊地棲姫「ソレナラ、私ハ元ノ場所ニ帰ルワ。私タチト海ハ切ッテモ切レナイ関係ダ」

鳥海「あの……私も泊地棲姫さんと一緒に行っても良いでしょうか?」

摩耶「鳥海!?」

加古「なんでだよ!?」
165 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:33:39.98 ID:RfN4sFNMo

鳥海「なんでって、見ての通りよ。私の体は、もう7割くらい深海棲艦化してきてる」

鳥海「私が那珂ちゃんみたいになるのも、時間の問題だと思うわ。自分の体のことだから、わかるの」

摩耶「鳥海……」

鳥海「司令官さんが無事だったこともわかったし……いい機会だから、少しみんなから離れて、これからを考える時間が欲しいの」

鳥海「私が今の『鳥海』でいられる時間がどれくらいあるか、わからないから」

摩耶「そっか……あ、軽巡棲姫とル級はどうすんだ?」

泊地棲姫「彼女ハ私ガ預カロウ。提督、貴様ノ忘レ形見ダ。私ノ手ノ下ニ置クコトヲ許シテホシイ」

提督「何言ってんだ。俺たちが勝手に押し付けた軽巡棲姫を見ててくれたんだ、許す許さねえなんて話になるわけねえ」

提督「艦娘の敵だってのに、面倒かけさせた。ありがとうな」

泊地棲姫「……フフ。ナラバ、コレクライハ許シテモラエルノダロウナ?」ズイ

提督「!」チュ

全員「「!!」」

泊地棲姫「フフ……私ハコレデ引キ下ガロウカ」

オリヴィア「大人の女の余裕ってやつかねえ」

カオリ「ケイティーが気絶してて良かったわ……」

キュプレ「ああいう人こそ、くっつけてあげたくなっちゃうわ!」
166 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:35:09.39 ID:RfN4sFNMo

加古「えーっと、ごめん、ちょっといいかなあ……泊地棲姫! あたしも途中までついて行っていいかな!?」

古鷹「え、ええ!? 加古、どうしたの!?」

加古「あたしもさ、ちょっとだけ海軍から離れたくなっちゃってさぁ……」

加古「どうにも居づらいんだよねぇ、あたしも鳥海も轟沈経験艦だから。だから、泊地棲姫を送るついでに暇をもらおうかなって」

泊地棲姫「……オ前ハ、一緒ニ来ナイノカ?」

加古「居候がいきなり増えちゃあ迷惑だよ。あたしはまだ艦娘だし、気兼ねしたくないよね、お互いに」

鳥海「で、でも!」

加古「いいからいいから! これからのことは、どっかの島にでも停泊して寝ながら考えるって!」

古鷹「加古……」

那智「ところで泊地棲姫。貴様はここから地上に出るのか?」

泊地棲姫「イヤ、コノ施設ノ隠シ水路ヲ使ッテ外海ニ出ル」

那智「そうか……提督」

提督「なんだ?」

那智「私は外で待機している本営の艦隊に、戦闘が終了したことを報告しに行く」

那智「そこで、泊地棲姫とその艦隊にこれ以上の継戦の意思がないことを伝え、彼女たちが外洋に抜けるまで突入を待つように進言する」
167 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:36:12.92 ID:RfN4sFNMo

泊地棲姫「私ニ恩ヲ売ル気カ」

那智「恩ならすでに我々が受け取っている。提督を助けるために、共闘したのは紛れもない事実だ」

那智「今度は我々がそれに応える番だろう?」

泊地棲姫「……フン」

千歳「というか、地上に戻れるのかしら?」

足柄「この上のフロアの床も突き抜けてるんだけど……」

エミル「それなら大丈夫だよ? 階段はちゃんと残ってるから!」

ミュゼ「でないと、私たちもここに戻れませんでしたからねー」

日向「那智、私たちも外へ出るために、泊地棲姫の言う隠し水路を通ってはいけないのか?」

那智「我々が帯同しては、泊地棲姫たちの居場所を明確に教えてしまう。狙われないように、我々と別ルートを通ったほうがいいでしょう」

伊勢「そっか……じゃあ、鳥海と加古とはここでお別れね」

那智「……提督。貴様とも、だな」

提督「ああ。俺たちは地上に出る気はねえ。そのまま向こうの世界に行く」

千歳「……提督。今まで本当にお世話になりました」ペコリ

足柄「いきなり押し付けられて、迷惑だったと思うけど……」

提督「そんなことねえよ。むしろそんなやつしかいねえからな、うちは」

足柄「……ふふ、そうね」
168 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:37:06.30 ID:RfN4sFNMo

那智「心残りは貴様と一献、呑めなかったことくらいか」

提督「馬ぁ鹿、俺は下戸だ。そもそもお前、禁酒してたんじゃねえのかよ」

那智「ああ。あの島が燃えたあの日から、また禁酒を始めたが……そうだな、今夜ばかりは呑ませてもらう」

那智「貴様の顔を見ることができた祝いと、これからの貴様の無事を祈って、な」

提督「……そうかい」

那智「ではな、提督! 貴様の武運を祈る」ケイレイ

千歳「私たちも行きますね。もし、また会えたときは、一杯おつきあいしていただきますよ?」

足柄「そのときまで、どっかの誰かに負けたりしちゃダメよ?」

提督「ああ」フフッ

泊地棲姫「……私タチモ行クゾ。サラバダ、提督」スッ

鳥海「摩耶、司令官さん……みなさん、お元気で」ペコリ

加古「提督なら大丈夫っしょ。古鷹も! じゃーねー!」

伊勢「……日向。私たちも那智たちと一緒に行こっか」

日向「そうだな……提督」

提督「ん?」
169 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:37:48.50 ID:RfN4sFNMo

日向「深海棲艦はどこから来たのか? 艦娘とは何者なのか」

日向「メディウムとは? そして、君自身の存在する理由はなんなのか……君となら有意義な話ができただろうな」

日向「じっくりと、話してみたかった。それだけが心残りだ」クルリ

伊勢「……また逢えたら、話してあげてよ。それじゃ!」タッ

金剛「みなサン、行動力が早すぎデス。せっかくなら記念撮影の一枚くらい、あって良いと思いマース」

朝雲「記念撮影……あ、あれ!? ねえ、青葉さん見てない!?」

山雲「……あら〜〜?」

五十鈴「そういえば、いつの間にか姿を見てないわ! どこへ行ったの!?」

 瓦礫<ガラン ガシャンガシャン

イサラ「ヒィッ!?」

 扉<ガコン! ガコガコッ!

三隈「瓦礫の裏に扉が……」

マルヤッタ「反対側から誰かが叩いてるじょ」

最上「歪んで開かないのかな?」
170 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:38:39.17 ID:RfN4sFNMo

 扉<ガシャバン!

青葉「ども! ご心配おかけしました、青葉ですぅ!」ニカッ

ベリアナ「もう、ひどい目にあったわ〜」

霧島「何をしてたんですか、この非常時に!」

ニーナ「ベリアナもどこに消えていたんですか!?」

青葉「実はちょっとこういったものを撮影してまして」

霧島「!」

朝雲「なに? 何を撮ったの?」

霧島「見てはいけません」

青葉「ええ、見ないほうが賢明ですよ〜」

伊8「……もしかして」

青葉「はい! 伊8さんもよーく御存知の、この施設の裏側を撮影してきました!」

青葉「メディウムのみなさんがこの施設を支配してることはわかってましたから、こっちから攻撃さえしなければ協力を得られると思いまして!」

ベリアナ「あたしもそっちのほうが面白そうだったし」

ミルファ「もしかして、ベリアナはずっと青葉さんと一緒だったの?」

青葉「はい! 施設の道案内をお願いしてました! いいものをたくさん撮ってきてますよ〜!」
171 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:39:32.27 ID:RfN4sFNMo

霧島「もしかして、それを使ってお上を脅迫する気ですか?」

青葉「いえいえ、脅迫だなんてとんでもない! 青葉たちの身の安全の保証書として利用させてもらうだけです!」ニマー

提督「本営がお前らに責任転嫁しようとしたときにさす釘、ってところだな」

青葉「はい! いやあ、すごいですよ!? 一世一代の大スクープですよね、これは!」ニマー

霧島「……」アタマオサエ

提督「おう、じゃあその画像、お前ごと消されないように、くれぐれも気を付けて帰れよ」

青葉「いやあ、司令官が言うとシャレになりませんねえ……」

提督「あいつら、くそつまんねーことで命狙ってくるからな。お前も経験者だろ?」

青葉「ええ、重々承知の上ですね。そういうことですので、こういう重要な情報は、ぱぱっと遠地に通信しちゃいましょう!」

通信機『ピピー……』

青葉「そうそう、この通信機ですけどね?」

通信機『ザー……あー、あー、テストテストー。どう? 聞こえるー?』

ヴィクトリカ「その声は……」

提督「隼鷹か?」

通信機『おぉ〜、ご名答! さっすがだねえ提督! まさかほんとに生きてたなんて! 今夜は祝杯だよぉ!』

青葉「隼鷹さんは今ショートランド泊地にいるんです!」
172 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:40:25.05 ID:RfN4sFNMo

通信機『残念ながら、今のあたしはここから動けなくてさあ。それで青葉に頼まれて、データの仲介役を受けたんだよ〜』

青葉「場所が場所ですので、本営が動く前にいろいろできますからね」

通信機『それより青葉、カメラを提督に向けてくれよ〜。みんな無事〜!?』

通信機『おぉ〜、もしかして吹雪!? あんた育ってんじゃん! 電も朧も……うわー、みんないるねえ!』

エレノア「あら、映像見られるの?」

通信機『おぉ! 元気だったかいエレノア! ヴィクトリカやユリアもいるんだろ!?』

ヴィクトリカ「おう! なんだ隼鷹、あんたこっちに来なかったのか!」

ユリア「一緒に飲みたかったけど、また今度の機会になるわね」

提督「ま、今度があるかどうかわかんねえけどな」

通信機『ありゃま。なんだい、もうお別れかい?』

青葉「残念ですけど、司令官がこちらの世界で提督業を続けていくのは難しいかと」

通信機『そっかあ。ま、ちゃんと顔を見てお別れできるだけ、踏ん切りがつくかねえ』

通信機『おっと、あんまり長話してるとまずいんだっけ?』

青葉「あー、まあ、そうですね。とりあえず画像データの転送も終わりましたし、この辺で青葉もおいとましようかと!」

通信機『青葉、あんたはちゃんとあとでショートランドに来るんだよ? 酒の肴に土産話を期待してるんだからね!』

青葉「了解、了解ですよー! では、青葉もこれで失礼します! 司令官!」

提督「ん」

青葉「今までお疲れ様でした!」ビシッ

通信機『じゃあね、元気でやりなよ!』

提督「……ああ、ありがとな」

青葉「では!」タタッ
173 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2018/11/11(日) 11:42:01.06 ID:RfN4sFNMo
今回はここまで。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 20:31:09.91 ID:A06JrV2uo
保守
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/16(土) 05:02:12.11 ID:/9mBACFr0
ほしゅ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/04(月) 04:59:15.65 ID:QU/JCdqc0
保守
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 21:30:40.49 ID:tMpbaq4j0
ほっしゅん
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/24(水) 08:02:30.16 ID:CenTU2Ij0
保守
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