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ドラえもん「ダンガンロンパ?」

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630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/05(土) 20:07:27.63 ID:4YFcMVgq0
まあ慌てるとどこでもドアの存在すら忘れるような子だしドラえもん
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/11(金) 00:42:35.34 ID:kgYmDTg60
無敵砲台でもいい
632 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:22:39.47 ID:6RCAVTre0


  第26話 よみがえる友情パワー!!!


ピカアアアアアアアアアアアアアッ!


「?!」

舞園「苗木君?!」

山田「な、苗木誠殿から後光が差してるー?!」

ジェノ「やっべーわ。まこちんの溢れる主人公力で光が見えるわ……」

十神「そんな非科学的なことがあるか! 説明しろ、苗木!」

苗木「僕に言われても……?!」

朝日奈「なんなの?! どういうこと?!」

セレス「もしや背中に何かついているのでは……?!」

ドラえもん「あっ! もしかして、さっきのチビモノクマじゃないか?!」

のび太「たいへん! ばくはつしちゃう!」

苗木「え?! えぇっ?! と、取って今すぐ!」


苗木は背中を向けるが、そこには何も付いていない。


石丸「苗木君のお尻が光っているぞ!」

苗木「お、お尻?! どういうこと?!」

霧切「違うわ! 今すぐポケットの物を出しなさい!」

633 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:26:34.57 ID:6RCAVTre0


ゴソゴソ!


苗木「これは、さっき拾った……」


苗木がズボンのポケットから取り出したものに、ドラえもんとのび太は見覚えがあった。

そう、それは過去に何度も彼等の危機を救ってくれたお馴染みの道具。


その名は――


ドラえもん「まさか!」

のび太「もしかして!」

ドラえもん・のび太「親友テレカだ!!」



ピッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!



親友テレカから一筋の強烈な光が放たれる!

部屋が狭いため開けっ放しになっていた情報処理室の入口を抜けると、
そのまま光は廊下に空いた穴から空へ飛び出す。

――そして、光は六つに別れて空の彼方へ飛び立った。


十神「なんだ、今のは?!」

霧切「親友テレカ?」

634 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:28:41.14 ID:6RCAVTre0

山田「未来にまだテレカがあったとは……」

のび太「違うよ! テレホンカードじゃなくてテレパシーカードのことなんだ!」

ドラえもん「きっと、苗木君の強い希望に反応したんだね」

のび太「それだけじゃないよ。だって、彼らはいつだって
     ドラえもんのピンチに駆け付けてきてくれたじゃない!」

ドラえもん「うん、うん、そうだね!」

大和田「さっぱりわからねえんだが……」

舞園「あの、彼等って……?」

ドラえもん「このカードはとある惑星の古代神殿でぼくたちが昔手に入れた物で、
       不滅の友情を誓った仲間達にしか使いこなせないんだ」

石丸「仲間……つまり彼等とは……」

のび太「そう、ドラえもんのロボット学校時代の同級生で大親友――」


「――ドラえもんズ」


六つに別れた光は光速で宙を飛び、次元を超え時間を超え宇宙の彼方まで突き進んだ!


  ― 惑星ウエスタン ―


白馬ロボのエドに乗ってパトロールをしていたドラ・ザ・キッドに光が直撃し、その勢いで転げ落ちる。


キッド「な、なんだ?! 敵襲か?!」

エド「あんさん、カードカード! 光ってるで!」

635 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:32:03.18 ID:6RCAVTre0


キッド「これは……!」


キッドは衝撃で地面に落とした親友テレカを拾い上げる。テレカは激しく輝いていた。
カードの表面には彼等ドラえもんズメンバー七人のイラストが描かれているが、
その中心……ドラえもんのイラストが特にチカッチカッと光っている。


キッド「ドラえもんがピンチなんだな……今助けに行くぜ! 行くぞ、エド!」

エド「全速前進や!」


  ― スペイン ドラセロナ ―


焼肉カルミンでアルバイトをしているエルマタドーラは皿洗いをしていた。

ビカッ!


マタドーラ「うおっ」ガシャーン!

カルミン「どうしたの?!」

マタドーラ「緊急召集だ。ドラえもんがピンチみたいだな」

カルミン「行っていいわ。片付けは私がやっておくから!」

マタドーラ「すまねえな! 行ってくるぜ!」

636 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:34:31.93 ID:6RCAVTre0


  ― 中国 五老峰 ―


王ドラ「この盧山の大瀑布を逆流させることが出来ればわたしも盧山昇龍波が……!」ドキドキ


ビカッ!


王ドラ「わっ」コテン

王ドラ「……これはまさか! 急がなければ!」


  ― シベリア ―


ドラニコフ「…………」←犬ぞりに乗っている


ビカッ!


ドラニコフ「……!」

ドラニコフ「ガウガウ!」


  ― サウジアラビア 砂漠 ―


ドラメッド「ドラメーディア・タロットーリア・ウラナイーノ!」


ドラメッド三世はタロットカードを使って占いをしていた。

637 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:40:26.76 ID:6RCAVTre0


ドラメッド「ウーム。何度やってもこのタワーが出るであーる。何かが崩壊する兆しか。
       誰にも悪いことが起こらなければ良いのだが……」


ビカッ!


ドラメッド「ぬわっ。そう言ってたらいきなりカードが! やはりピンチの前触れであったか!」

ドラメッド「ドラえもーん! 今助けに行くであーる! マハラージャ!」


呪文を唱えると魔法の絨毯が現れる。ドラメッドはそれに乗ると一目散に飛び立った。


  ― ブラジル ―


ドラリーニョは相方のミニドライレブン達とサッカーをして遊んでいる。


ドラリーニョ「GO! GO! シュート! ヤッター!」


ビカッ! スッテンコロリン。


ドラリーニョ「わわっ! いきなりなに〜?」

ミニドラ「ドララー!」


転んだ表紙に落としたカードをミニドラが指し示す。

638 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:44:29.31 ID:6RCAVTre0

ドラリーニョ「え? テレカが光ってる? なんで?」

ミニドラ「ドラ、ドララー!」

ドラリーニョ「ドラえもんがピンチなの?! 大変だ〜! 今助けに行くからね〜!!」


               ◇     ◇     ◇


場面は再び希望ヶ峰学園に戻る。
ふと、廊下にいた桑田が壁に空いた穴の外を見て叫んだ。


桑田「見ろ! あそこ! なんかこっちに向かって来てるぞ!」

苗木「え? 見えないけど」

大神「我には見える。あれは……翼を生やした白い馬だな」

朝日奈「誰か乗ってる。もしかして、白馬の王子様?!」

苗木「あ、本当だ。見えてきた!」

セレス「わたくし達を助けに来てくれたのでしょうか……」

山田「そんなまさか……」


ビューン!


大和田「おいおい、突っ込む気か?!」

石丸「みんな、下がれ!」

「うわー!」

639 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:48:06.16 ID:6RCAVTre0


ズシャアアアッ!


「どうやらオレが一番乗りみたいだな」


ヒラッ、スタ!


ドラえもん「キッドー!」

キッド「ドラ・ザ・キッド参上! よ、久しぶりだぜドラえもん!」

ジェノ「ギャハハハ! なんかドラえもんの色違い来た!」

苗木「耳がある。本当に猫型ロボットだったんだ……」

霧切「また来たわ!」

ドラメッド「ドラえもん! 助けに来たであーる!」

のび太「ドラメッド三世!」

山田「外を見てください! 何かがモノクマの海を掻き分けて走って来ますよ!」


ダダダダダダダダダダダダダダダダ!


舞園「壁を走って登ってます?!」


ピョーン! クルクルクルスタッ!


ドラリーニョ「ドラえもーん!」

ドラえもん「ドラリーニョ! 来てくれたんだね!」

640 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:50:25.33 ID:6RCAVTre0

葉隠「ま、また何か走って来たべ?!」

マタドーラ「オレが先だ!」

王ドラ「わたしが先です!」


大ジャンプの末二人が同時に飛び込む。


ドラえもん「王ドラ!」

のび太「エルマタドーラ!」

マタドーラ「ヘッ、主役は遅れてやってくるってな!」

王ドラ「あなたのどこが主役ですか!」


ドガッシャーン!


ジェノ「あ、やべ。ホコリが……グシュッ!」

腐川「……お、終わった? って、なによこいつら?! な、なんなの?!」

朝日奈「ドラえもんの友達だって!」

腐川「ハァ?!」

マタドーラ「到着、と。ん? おおー! これはこれはお美しいセニョリータ方! わたくしスペインは
       ドラセロナから来た花形闘牛士エルマタドーラと申します。お見知りおきを……」

王ドラ「わー! お、女の人がいっぱい! ぼく、ぼく、女の人は苦手なんです〜」クネクネ

苗木「ず、随分個性的な友達だね」

キッド「……ドラニコフがまだ来てないな」

641 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:54:53.00 ID:6RCAVTre0


そこにどこでもドアが現れた。

ガチャッ。


ドラニコフ「ワウワウ!」

ドラえもん「ドラニコフ! これで全員揃ったね! 来てくれて嬉しいよ!!」

ドラメッド「一体何があったのであるか? タロットを見ていたら
       このカードばかり出るので心配していたのであーる」


プロの占い師である葉隠がドラメッドのカードを見て顔をしかめる。


葉隠「タワーか……当たってんな」

ドラえもん「実は、かくかく!」

のび太「しかじかなんだよ!」


ドラえもんズ『な、なんだってー?!』


キッド「一大事じゃねえか!」

ドラリーニョ「た、大変だー!」

王ドラ「つまり、一刻も早く玄関を塞がなければいけない。そういうことですね?」

マタドーラ「燃えるじゃねえか! よし、お前ら! オレ様たちも手を貸すぜ!」

苗木「い、いいの? だって、君達は関係ないんじゃ……」

キッド「関係ないだって? おいおい、冗談きついぜ!」

ドラメッド「我等ドラえもんズは不滅の友情を誓い合った仲間達」

ドラリーニョ「友達が困ってたら助けるのは当たり前だよ〜!」

642 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 02:59:56.69 ID:6RCAVTre0

マタドーラ「友達の友達はまた友達ってな。アミーゴ!」

ドラニコフ「ガウ! ガウガウ!」

王ドラ「それに、友達云々がなくても困っている人を見捨てるなんてわたしには出来ません!」

マタドーラ「セニョリータを悲しませるようなヤツはオレが許さねえ!」

王ドラ「早速作戦会議と行きましょう!」

十神「一階はもうモノクマで一杯だ。必然的に特攻する形となる。
    だが、特攻しても玄関まで辿り着けるかどうか……」

マタドーラ「バカ言ってんじゃねえぜ。オレ達は無敵のドラえもんズだぜ?」

王ドラ「リーダーさんがやったようにこちらも戦力を分散しましょう」

キッド「オレは先発隊と一緒に行く」

マタドーラ「オレも行くぜ。ジッとしてるのは性に合わねえ」

ドラニコフ「ガウ!」←ぼくも行くと言っている

王ドラ「わたしも行きましょう。ドラメッドとドラリーニョはドラえもんと共に四階をお願いします」

ドラリーニョ「わかった〜! ここを守ればいいんだね!」

ドラメッド「守りは任せるであーる!」

十神「よし! 一気に四人増えたな。人数的にはギリギリか」

朝日奈「じゃあ今度こそ行ってくるね。……必ず帰ってくるよ、さくらちゃん」

大神「朝日奈……」


武器を持ったメンバーを見てキッドが止める。

643 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:02:43.09 ID:6RCAVTre0

キッド「ちょっと待った。まさかと思うが、女を行かせるつもりじゃないだろうな?」

大和田「俺達だって本当は行かせたくねえ……ただ、戦力がな」

ドラリーニョ「ええ〜、危ないよ!」

ドラメッド「危険であーる!」

キッド「全く、なんのためにはるばるオレ様達がやって来たっていうんだよ!」

マタドーラ「甘く見て貰っちゃ困るぜ?」

王ドラ「わたし達だけで彼女達十人分以上の戦力はあります! 連れて行くのはやめてください!」

ドラニコフ「ワウワウ、ガウ!」

ドラえもん「大勢で行っても廊下はそこまで広くないし、かえって危ないって言ってるよ」

十神「確かに人数が多いとフレンドリーファイアの可能性はあるが……」

のび太「ドラえもんズはそれぞれみんな特技があってすごく強いんだ! 信じて!」

ドラえもん「キッドは早撃ちの達人だし、王ドラはカンフーマスター、マタドーラは
       怪力の闘牛士、ドラニコフは丸い物を見ると狼に変身するんだ!」

山田「狼? 猫型ロボットじゃ……」

のび太「こまかいことは言いっこなしだよ!」

十神「フム、期待出来そうだな。……わかった。朝日奈と舞園は残れ。それでいいな?」

ドラメッド「それならいいであーる」

ドラリーニョ「よかった〜」

舞園「あ……」ヘナヘナ

苗木「舞園さん?!」

644 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:05:48.98 ID:6RCAVTre0

舞園「ごめんなさい。ちょっと気が抜けてしまって。まだ何も終わっていないのに……」

大神「カンフーの達人なのか。これが終わったら是非手合わせ願いたいものだ」

王ドラ「喜んで!」

マタドーラ「おお、麗しいマドモアゼル。全て終わった暁には、
       是非私と一緒に情熱的なフラメンコでも……ベイビー」

セレス「それは構いませんが、あなたその体格で踊れるんですの?」

キッド「ナンパしてる場合じゃないぞ!」

エド「皆はん、もう時間がないんやで!」

のび太「ドラえもん!」

ドラえもん「じゃあ行くよ。念のために寄宿舎のホールに繋げるね。どこでもドア〜!」

石丸「突っ込め!!」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


ダダダダダダダダ!


ドラリーニョ「いってらっしゃ〜い! 気をつけて〜!」

不二咲「……みんな、無事に帰ってきてね」カタカタカタ…

645 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:07:24.59 ID:6RCAVTre0


               ◇     ◇     ◇


十神「くっ、先程よりはマシだが多いな」

王ドラ「ホアチョー! ハチョッハチョッ! アター!」

マタドーラ「ヒラリ、ヒラリ!」

ドラニコフ「…………」←自分の丸い手を見る

ドラニコフ「……グガアアア!」

キッド「ドカーン! ドカーン!」

桑田「すげえ、あいつら……」

苗木「……僕達、いらないんじゃないかな」

石丸「僕らも負けてられない! 行くぞっ!」

大和田「オラアアアア!」

のび太「行けー!」


モノクマを蹴散らしながら廊下を突き進み、あっという間に玄関ホールの前に到着した。


十神「クッ、見渡す限りのモノクマだ……」

ドラニコフ「ガウウ!」

王ドラ「皆さん! ドラニコフに策があるようです。ここは彼に任せてください!」


両手にタバスコを持ったドラニコフがずいと前に出る。

646 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:09:56.47 ID:6RCAVTre0

桑田「タバスコ? んなもんなにに……」

ドラニコフ「ガフッガフッ! ゲフッ!」ゴクゴクゴク!

苗木「の、飲んでる?!」

のび太「みんな、さがって!」

ドラニコフ「ガルルルルル……」


顔が真っ赤になり頭から湯気を出すドラニコフ。


ドラニコフ「グオオオオオオオオオオオオ!!」


次の瞬間、口から炎を吐き出した!


桑田「火炎放射ああああ?!」

大和田「なんだそりゃあああ?!」

十神「……もはやなんでもありだな」

苗木「本当に強いね、みんな……」

石丸「見たまえ! 活路が開けたぞ!」


ドラニコフの猛攻により、みっちりモノクマが詰まっていた玄関ホールの中心部に空間が出来る。

647 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:14:49.18 ID:6RCAVTre0

キッド「このまま一気に押し出すぜ!」

王ドラ「その間にリーダーさん、扉をお願いします!」

マタドーラ「後ろは頼んだぞ!」

石丸「任された!!」

大和田「うおりゃあああ!!」

十神「よし! スイッチを押す!」


十神が脱出スイッチを押し、扉が閉まり始める。何とか中に入ろうと突っ込んで来た
ボールモノクマやビーストモノクマを王ドラとマタドーラが弾き返し、キッドが援護する。
その周りで円陣を組むように陣取り、大和田達が残ったモノクマを倒していく。

プシュー。


苗木「やった。閉まったぞ!」

桑田「ハア、まったくヒヤヒヤしたぜ……」

十神「気を抜くな! 校舎内にはまだモノクマが残っている。四階に向かいながら殲滅するぞ!」

「了解!!」

648 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/01/21(月) 03:18:08.58 ID:6RCAVTre0

ここまで。

このSSを一年連載していたことに気付いて戦慄している。
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 03:30:51.52 ID:KTcwIwmfo
長期連載おつ
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/21(月) 17:02:28.48 ID:3PSEQd770
[たぬき]ズとは懐かしいな
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/01/21(月) 17:03:28.24 ID:3PSEQd770
ドラえもんズとは懐かしいな、もう一年やってたのか
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/19(火) 19:58:21.22 ID:DfsEFonW0
653 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:05:45.21 ID:uNeTXwXQ0


  第27話 希望ヶ峰学園のひかりとかげ


カムクラ「……玄関が閉じられたようですね」

腐川「な、なんでわかるのよ……!」

カムクラ「振動で」

「…………」

ドラメッド「そういえば彼だけ縛られているが、何者なのであるか?」

ドラえもん「敵の仲間だよ。……でもぼくもよくわからないんだ。突然現れていきなり投降したし」

ドラメッド「フム。一つ占ってみよう。ドラメーディア・タロット―リア・ウラナイーノ!」


パシッ。


ドラメッド「皇帝のカード……ム、裏に“愚者”のカードがくっついているであーる。
       こんなことは初めてなのである。これが意味することとは一体……」

霧切「皇帝と愚者。正反対のカードね」

カムクラ「興味深いですね。あなたはロボットなのに魔法が使えるのですか?」

ドラメッド「そうである。昔中世の大魔法使いの元で修行したぞよ」

朝日奈「すごーい! 修行したら私も魔法使いになれるかな?!」

セレス「彼はロボットで我々と常識が違いますから当てにしない方がよろしいかと……」

ドラリーニョ「ねえねえ、グシャってなに?」

カムクラ「愚か者という意味です」

ドラリーニョ「ふ〜ん。オロカって?」

大神「バカ者ということだ」

654 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:08:49.30 ID:uNeTXwXQ0

ドラリーニョ「じゃあ勉強苦手なんだ〜。大丈夫、ボクも苦手だから! でもサッカーは得意なんだ!」

朝日奈「あはは、かわいい〜! 私は本業は水泳部だけど、サッカー部にも入ってるんだよ!」

ドラリーニョ「そうなの? じゃあこれが終わったらみんなでサッカーしようよ! 人数もちょうどいいし」

朝日奈「うん、やろうやろう! えっと、私は朝日奈葵。名前は?」

ドラリーニョ「ボク、ドラリーニョ! アオイちゃんだね! ボクちょっと
        忘れっぽいから、忘れないようにしないと」

朝日奈「あ、私も忘れっぽいんだー! 気が合うね!」

舞園「ふふ」

大神「……フッ」


話しているうちに、校内のモノクマを壊滅させた先発隊が戻ってきた。


ドラえもん「のび太くーん!」

のび太「ただいま!」

エド「あんさん、おかえり!」

キッド「戻ったぜ!」

舞園「皆さん、良かった!」

十神「やっと一段落ついたな……」

苗木「あとは不二咲君に任せるしかないね」

桑田「あー、疲れた」

655 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:11:04.29 ID:uNeTXwXQ0

マタドーラ「一仕事すると眠くなるな。ちょいと失礼。シエスタシエスタ、と」スカ-

霧切「見た目からスペイン出身に見えるけど、この状況でもシエスタはするのね」

キッド「マタドーラはマイペースだからな。……あー腹減った。ドラえもん、
     グルメテーブルかけ貸してくれよ」

ドラえもん「はい。どうぞ」

キッド「山盛りのハンバーガーにポテトを頼む!」


ドーン。


朝日奈「すごーい!」

石丸「か、科学とはなんだ……?」

キッド「ヒュー、上手そう。いっただっきまーす! ハムハムハム!」

大和田「よく飯なんて食ってられるな……」

桑田「あー、でもいい匂いだ。俺ももーらいっと」

朝日奈「私も貰っちゃおうかな」

山田「流石の僕ですら今はそんな気分ではないというのに……」

苗木「僕からしたらみんな十分マイペースだと思うよ……」

十神「まだ解決してないのによく呑気にしていられるな。俺はやるべきことをする」

のび太「やるべきことって?」

十神「カムクライズルとか言ったな。貴様の持っている情報を全て吐いてもらうぞ」

ドラリーニョ「ボク、カムクラのことちょっと知ってるよ!」

石丸「知り合いなのか?!」

656 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:14:01.44 ID:uNeTXwXQ0

腐川「そんな訳ないでしょ!」

ドラリーニョ「カムクラはね、ボクと一緒で勉強が苦手なんだって!」

十神「……は?」

舞園「あの、実はさっき占いで……」


先程のやりとりを説明する。


王ドラ「皇帝と愚者のカードですか。相反する二つのカード……」

のび太「王ドラ、なにかわかる?」

王ドラ「流石の私もこの世界のことはまだ何も知りませんからね。ちょっとわからないです」

霧切「……ねえ、前にあなたは自分を作られた存在と言っていたけど、それはどういう意味?」

カムクラ「言葉のままですよ。希望ヶ峰学園は才能こそ人類の希望と崇め、
      才能ある生徒を集めてはその才能を研究していた。その研究成果が僕です」

カムクラ「希望ヶ峰の研究者達からは全ての才能を持つ存在、即ち“超高校級の希望”と呼ばれました」

ドラリーニョ「ちょーこーこーきゅう?」

セレス「高校生でありながら既にその道のプロになっている者をそう呼称するのです」

ドラメッド「要は凄い優秀な高校生のことぞよ」

王ドラ「ここが希望ヶ峰学園で、あなた方はその生徒ということでいいんですね?」

ドラリーニョ「じゃあここにいる人達はみんな天才なんだ。すごーい」

石丸「みんながみんな天才ではない! 僕のように努力で登り詰めた者や、抽選で
    選ばれた苗木君のような人間もいる……だが基本的にはそういう理解で構わない」

王ドラ「話を戻します。あなたは作られた存在。つまり人造人間ということですか?」

657 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:24:58.08 ID:uNeTXwXQ0

カムクラ「一から作った訳ではありませんよ。ある人間を実験体にして脳や肉体を改造したのです。
      その結果、元の人格は消え僕が生まれた。つまり、体は元々あるのです」

十神「それが日向創とかいう人間か。そいつはどうやって調達して来たんだ?」

カムクラ「あなた方本科の人間は知らないかもしれませんが、
      希望ヶ峰学園には予備学科というものがあります」

桑田「予備学科? なんだそりゃ?」モグモグ

大和田「聞いたことねーぞ?」

霧切「数年前に出来たばかりの新設の学科よ」

不二咲「新聞やニュースで一時期よく取り上げられていたね」

腐川「新聞を読まないから知らないんでしょ」

朝日奈「ご、ごめん。あんまり興味なくて……」

舞園「その予備学科って一体なんですか?」

カムクラ「希望ヶ峰は度重なる研究で常に資金が不足していました。そのため、スカウト制でのみ生徒を
      入学させるという制度を取りやめ、一般に門戸を解放したのですよ。それが予備学科です」

石丸「普通に試験で入れるということだろう? 日頃の努力が評価される、良い制度に思えるぞ。
    僕もスカウトを受ける前は受けようかと思っていたが、入学金が高くてな……」

カムクラ「実態は真逆です。要は予備学科で入学する人間はあなた方本科の生徒と違い才能も実績もない
      単なる凡人。彼等は本科と徹底的に区別され、同じ敷地で学ぶことすら出来ませんでした」

のび太「ええっ?! せっかく希望ヶ峰学園に入ったのにいっしょに授業うけられないの?!」

カムクラ「また本科の生徒が学費免除なのに対し、予備学科は通常の高校よりもずっと高い
      入学金や学費を求められる。授業も設備も他の高校と何一つ変わらないのにです」

大和田「詐欺じゃねえか!」

658 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:28:44.46 ID:uNeTXwXQ0

セレス「天下の希望ヶ峰も堕ちたものですわね」

葉隠「…………」←人のことを言えないので黙っている

カムクラ「そう、要は本科の生徒とその研究のための金づる。――それが予備学科なのですよ」

ドラえもん「ひどい話だ。最初は憧れの希望ヶ峰に入れるってみんなワクワクしてたろうに……」

十神「フン、選ばれた人間しか入れない学校に金で入ろうとするからだ。自業自得だな」

苗木「でも、みんな知らなかったの? 設立一年目はともかく、
    二年目からはネットとかで噂になりそうだけど」

カムクラ「それでも構わなかったんですよ。それだけ希望ヶ峰学園卒業者というネームバリューは
      大きいし、形ばかりですが一応本科に編入するシステムも存在しました」

カムクラ「他の凡人共は駄目でも、自分だけは秘めた才能があってそれを見出だしてもらえる。そして
      いつか本科に編入出来る。そんな浅はかな自惚れを持った人間が全国から大勢集まったのです」

キッド「浅はかって……そんな言い方することないだろ!」

王ドラ「夢を持つくらい別にいいじゃないですか!」

カムクラ「そうですね。夢を持つのは自由です。ですが最初から無理な希望を持ったくせに、
      それを裏切られたからと勝手に絶望するのは『愚か』ですよ」

ドラメッド「愚か……何か引っ掛かるワードであるな」

王ドラ「!」

王ドラ「あなたの正体がわかりました! つまり、あなたは予備学科の生徒だったのですね!」

カムクラ「正解です。予備学科の人間は才能を渇望していた。それ故、学園側の人体実験に
      自ら志願する者が後を絶たなかったのですよ。――全ては才能を手にするために」

石丸「何故……諦めてしまったんだ! 努力すれば大概の夢は叶う! 君達は努力すべきだった!」

カムクラ「努力と一言で言いますが、出来ないんですよ。普通の人には」

石丸「何を言うか! 僕は凡人だぞ!」

659 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:35:33.57 ID:uNeTXwXQ0

カムクラ「でもあなたの経歴は普通ではないでしょう、石丸清多夏。総理大臣であり尊敬する祖父の裏切りと
      失脚、それによって生じた天才に対する嫌悪、現在進行形で実家を苦しめる多額の借金――」

『えっ?!』

石丸「…………」


突然暴露された石丸の過去に一同はギョッとした。


カムクラ「真面目なあなたが勉強をサボることはないでしょうが、もしこれらの
      重いきっかけやトラウマがなければ、あなたは今ほど自分を追い詰めましたか?」

カムクラ「せいぜいどの学校にも一人はいるような、平凡な優等生止まりだったのではないですか?」

石丸「そ、それは……」

カムクラ「あなたは、環境がどこまで人格と能力に影響を与えるのか
      研究するためのサンプルとしてスカウトされたのですよ」

石丸「サン、プル……?」

カムクラ「あなたがスカウトされたのはあなたの努力が認められたのではなく、
      あなたの実績と過去の経歴の関係がたまたま研究者達の目に留まっただけです」

カムクラ「全国模試で一位を取る人間など毎年います。別にあなたが特別だったからではない」

石丸「…………」

ドラえもん「そんな! まるで実験動物扱いじゃないか!」

のび太「ひどすぎるよ!」

カムクラ「彼だけではないですよ。本科の人間はみんな研究者達の研究対象に過ぎません。
      ……石丸さんに少し近いパターンでは十神白夜がいますね」

十神「……!! 貴様、知っているのか、我が一族のしきたりを……!」

660 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:38:18.75 ID:uNeTXwXQ0

カムクラ「大富豪の十神家に生まれればそれだけで勝ち組。あなた方はそう思っていませんか?」

のび太「え、ちがうの?」

カムクラ「とんでもない。世界中に母親の違う後継者候補がいて、一つしかない後継者の
      椅子を巡って争い合い、勝ち残った一人だけが十神家正当後継者になれるのです」

ドラえもん(セワシくんの言っていた十神くんの過去がそれか!)

苗木「それって血の繋がった実の兄弟達と争うってこと?!」

山田「バトルロワイアルするということですか?!」

十神「殺しはしないが似たようなものだ。負けた人間は一族追放だからな。……みんな必死だ」

桑田「追放?! おかしいだろ、そんなの!」

十神「おかしかろうが何だろうが俺達子供に拒否権はない。俺は末子で一番不利だったが、血へどを
    吐くくらい学び鍛え、兄姉達を蹴落としていった……そして今の地位を手に入れたのだ」

カムクラ「もしこのような経緯がなければ彼は単なる七光りでしかなく、スカウトはなかったかも
      しれません。いや、資金のためのコネ枠はありますからコネとして入り、研究対象には
      ならなかったか。彼もまた環境が与えた影響を見るためのサンプルだったのでしょう」

十神「…………」ギリッ!

石丸「十神君、幼い時からそんなに苦労を……」

朝日奈「ずっと偉そうで嫌なヤツって思ってたけど……私、あなたのこと誤解してたよ。ごめん」

十神「……チッ」

マタドーラ「サンプルサンプルって、人をなんだと思ってやがる……!」

のび太「マタドーラ! 起きたの?」

マタドーラ「まったく、おめーらの声が大きいから起きちまったぜ。大体の流れは
       わかったが、この学校がおかしなことと今の状況はどう関係してるんだ?」

661 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:45:04.22 ID:uNeTXwXQ0

カムクラ「研究のための金づるとして設立された予備学科ですが、彼等はこの事実を知らず
      本科の生徒は変わらず憧れの対象でした。すぐ側にいるのに手が届かない。
      この事実は彼等のコンプレックスを大いに刺激したのです」

セレス「詐欺同然の学費もあって、不満は凄かったでしょうね」

カムクラ「元々炎上する下地は出来ていたのです。そこに火種を持ち込み掻き回したのが……」

霧切「――江ノ島盾子だったのね」

カムクラ「彼女はその天才的頭脳とカリスマで瞬く間に予備学科を掌握し騒ぎを起こした。
      そして、その騒ぎにより不安になった本科の生徒達を次々と洗脳していったのです」

王ドラ「洗脳?!」

ドラメッド「なんと恐ろしい……」

カムクラ「超高校級の生徒は様々な業界に強い影響力を持っている。洗脳した彼等を使って
      大勢の人間を洗脳しまた別の人間へ洗脳を繰り返す。そして今の状況になったのです」

苗木「それが、人類史上最大最悪の絶望的事件の真相だったのか……!」

舞園「……まだ終わってなんかいません。今も世界は危機に陥っているんですから」

葉隠「例えるなら最後っ屁だな」

腐川「汚い例え方するんじゃないわよ!」

ドラえもん「……それにしても、希望ヶ峰学園がそんなにひどい学校だったなんて夢にも
       思わなかったよ。アニメではただ江ノ島さん一人が問題なんだと思っていたし」

石丸「才能が希望だなんて、そんな考えは間違いに決まっているッ!!」

十神「今回ばかりは石丸に同感だな。超高校級の希望だか何だか知らんが、結局は
    貴様も絶望し江ノ島と行動した。それが全てだ。貴様なんぞ希望でも何でもない」

霧切「希望と言うのは才能や能力ではなく、どんな時も曲がらない正しく強い意志を
    言うのではないかしら? 苗木君やのび太君達は普通の人かもしれないけど、
    どんな絶望的状況でも諦めずに私達を励ましてくれた」

霧切「全ての才能を持つあなたよりも、苗木君達こそ超高校級の希望と呼ぶのに相応しいわ」

662 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:46:28.07 ID:uNeTXwXQ0

のび太「なんだかはずかしいなぁ」エヘヘ

苗木「超高校級の希望なんて言い過ぎだよ。ここにいる僕達一人一人が希望なんだからさ!」

大和田「いいこと言うじゃねえか!」

大神「ウム! 力を合わせて苦境に立ち向かう我等一人一人が希望だな!」


ガンバロー! オオー!


葉隠(なんか居づらいべ……)

山田「…………」


ドドーン!!


「?!」

のび太「わ、なにー?!」

カムクラ「第二波が来たようですね」

十神「なんだと?!」

カムクラ「簡単なことです。入り口が塞がれてしまったので建物ごと攻撃しているのですよ」


彼等は情報処理室から飛び出すと、廊下の穴から外を見る。


桑田「爆弾持ったモノクマがめっちゃいるぞ?!」

663 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:48:38.94 ID:uNeTXwXQ0

霧切「これは不味いわね……」

石丸「止めなければ!」

十神「またモノクマの群れの中に飛び込むことになる。しかも、
    今度は閉める扉もない。お前達はそれでも行くか?」

苗木「行くよ! 僕達が止めないと!」

キッド「水臭いぜ!」

マタドーラ「フワ〜ア、さっきのじゃ暴れ足りないところだったんだ」

ドラニコフ「ガウッガウッ!」

ドラリーニョ「あれー? みんな、あそこ見て!」

セレス「どうかされましたか?」


ブロオオオオン!

倒壊した付近の建物から、大型のバイクが飛び出してモノクマを蹂躙していく。


石丸「何か書かれているな。暮威慈畏大亜紋土……兄弟、あれは?!」

大和田「兄貴ッ!!」

大亜「オラアアアアアアアアアア!!」


ゴシャゴシャッ、メキャッ!

664 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:56:07.31 ID:uNeTXwXQ0

雪丸「大亜さんに続け!」

大和田「兄貴! 雪丸に他の奴らも! みんな来てくれたのか!」

朝日奈「! ねえ、あっちにもいる!」

ケンイチロウ「我が拳を見よ! アタタタタタタッ!」


ドスッドゴッ! ボガボゴドコッ!


大神父「さくらあああ! 外は我等に任せろおおお!」

道場の門下生「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

大神「ケンイチロウ! 父上! 道場の者達! なんと心強い増援か……!」

キッド「俺達も行くぜ!」

マタドーラ「よおおし!」

王ドラ「行ってきます!」

ドラニコフ「ガウッ」


キッド達四人は穴から直接飛び降りた。


十神「今なら行ける! ドラえもん、どこでもドアだ!」

ドラえもん「どこでもドア!」

のび太「行ってくるよ!」


地上はまさしく合戦のような光景になっていた。

665 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 00:58:10.26 ID:uNeTXwXQ0

大亜(モノクマ共が一斉に学園を目指し始めたから嫌な予感がしたが、こんなことになってるとはな……)

ビーストモノクマ「ウオオッ!」

大亜「ッ! 速い……!」


ドンッ!!


ケンイチロウ「…………」

大亜「サンキュー。あんた、確か大神さくらの……」

ケンイチロウ「そういうお主は大和田紋土の身内だな?」

大亜「…………」

ケンイチロウ「…………」

大亜「…………」ニッ

ケンイチロウ「…………」フッ

大亜(そっちは任せるぜ)

ケンイチロウ(任せよ。背後を頼む!)


『おおおおおおおおおっ!!』


二人は少し目を交わしただけですぐに走り出した。

彼等に言葉はいらない。何故なら彼等は真の漢だからである。


キッド「ドカーン!」


ドカンッ!

666 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 01:01:37.85 ID:uNeTXwXQ0

ケンイチロウ「なんだ……?!」

キッド「増援の増援だぜ!」

マタドーラ「大船に乗ったつもりで行きな!」

王ドラ「ホアチョー! またもや使い手発見。この戦いが終わったら手合わせしましょう!」

ドラニコフ「ガルル!」

大亜「! ドラえもんの仲間か! オメエら、増援だぞ!」

雪丸「それは良かったっす。正直キリがないんで」

大和田「兄貴ィィィ!」

大亜「紋土! よく来た!」

石丸「初めまして、お兄さん! でも今は挨拶してる暇は……」

大亜「大体のことはわかってるが、このモノクマ共の狙いだけ教えてくれ!
    ドラえもんがいれば学園から脱出することは出来たはずだ!」

苗木「モノクマは学園の中にあるメインコンピューターを狙ってるんです!」

桑田「それが壊されたら世界中に格ミサイルが降ってくんだとよ!」

『なにぃっ?!!』『核ミサイルだとぉっ?!』『バカなっ?!』

十神「あと1時間コンピューターを守り、不二咲がプログラムを解除すれば俺達の勝ちだ!」

ケンイチロウ「フム、勝利条件は把握した!」

大神父「なんとしてもこの1時間守り切るのだ!!」

「押忍ッ!!」


ドカッ! バキッ! ドゴッ! グシャッ!


激闘はなおも続く――!

667 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/02/28(木) 01:04:43.84 ID:uNeTXwXQ0

ここまで。最近一次でも創作してたりちょっと鬱っぽかったりで遅れて申し訳ない

遅くても必ず完結はさせますのでもう少々お付き合いください。

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/28(木) 13:59:39.16 ID:SJLAy9KlO
乙!
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/12(火) 12:19:29.02 ID:TbuIVpNzO

面白いよ
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/04/20(土) 21:31:08.17 ID:GaVnhnBm0
671 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:35:06.62 ID:GIEAlWj20


  第28話 みんなのゆめ


ドラリーニョ「ねえ、ボク達は行かなくていいの?」

ドラメッド「もしものためにメンバーを温存する必要があるからまだダメである」

大神「…………」ソワソワ

腐川「…………」ソワソワ

セレス「行ったら如何です?」

腐川「な?! ななな、なによ突然?!」

大神「我は何も言っていないが……」

セレス「お二人とも、愛する人が心配なのでしょう?」

大神「バ、馬鹿なことを言うな! ケンイチロウは良き友人であって……」

霧切「もう残り1時間よ。ドラメッドとドラリーニョもいるし、行きたいなら私は止めないわ」

大神「……すまん。ぬおおっ!」


大神は穴から外に飛び出して行った。


朝日奈「行ってらっしゃーい」

腐川「…………」

舞園「腐川さん」

腐川「……行ってくるわ。クシュン」

ジェノ「へーい、今どんな感じ〜? あ、なんか外がすっげーことになってる。ゲラゲラゲラ!」

672 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:39:25.98 ID:GIEAlWj20

ドラメッド「急にテンションが上がったであるな」

ドラえもん「彼女は多重人格者でくしゃみをすると人格が入れ替わるんだ」

ドラリーニョ「わー、すごーい」

霧切「ドラえもんの仲間達の協力で玄関は無事塞がったわ。でも今度は建物ごと
    破壊しようとしているから、応援に来た人達と一緒に外で戦っているの」

ジェノ「ダーリンもそこにいるって訳ね。りょーかい。んじゃ、ちょっと一暴れしてくっか!」


言うやいなや、ジェノサイダーも高く跳躍し穴から飛び出す。


セレス「この学園の方達の運動能力はどうなっているのでしょうか……」

舞園「そうですね……」

朝日奈「私も鍛えたら出来るかな?」


  ― 職員室 ―


葉隠「…………」ブルブル

葉隠(死にたくねえ! 死にたくねえ! 誰かなんとかしてくれ!!)


ガチャ。


葉隠「ヒッ!」

ドラメッド「何人か足りないと思ったらこんなところにいたであるか」

葉隠「な、なんだ。おめーさんか」

673 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:42:40.43 ID:GIEAlWj20

ドラメッド「仲間が戦っているのに見ていることしか出来ないのは辛いであるな」

葉隠「……は?」

ドラメッド「居残りが辛いからここで一人悩んでいたのであろう?」

葉隠「……違うべ。俺は死ぬのが怖くてたまらねえんだ」

ドラメッド「フム、なるほど。みんな頑張っているからきっと大丈夫である! 元気を出すぞよ」

葉隠「おめーさんは強そうに見えないけど、戦えるのか?」

ドラメッド「争いは苦手である。出来ることなら話し合いで解決したいが、そう上手く
       行かないことも多い。そういう時はワガハイも戦うである」

葉隠「どいつもこいつも勇敢なこって。逃げちゃいけないのか? 戦わないのが
    そんなに悪いことか? みんなゴミクズみたいな目で俺を見る!」

ドラメッド「怖いのは仕方ないである。ワガハイだって怖いである。えっと名前は……」

葉隠「葉隠康比呂だ」

ドラメッド「時に葉隠殿、葉隠殿には家族や親しい友人はいないであるか?」

葉隠「……母ちゃんがいる。俺は友達はいねえけど母ちゃんがいればそれでいいんだ」

ドラメッド「今戦わなければ、母上殿も危ないのでは?」

葉隠「おめーさんは知らないかもしれねえが、この世界は荒廃してて世紀末状態なんだべ。
    ……考えたくねえけど、母ちゃんが生きてるかどうかわからねえ」

葉隠「それに! 母ちゃんなら自分はいいから俺に生きて欲しいって、そう言ってくれるはずだ!」

ドラメッド「そうであろうな。母親とはそういうものである……」

葉隠「なあ、俺をおめーらの世界に連れてってくれ! 一人くらいなんとかなんだろ?! 一緒に逃げるべ!」

ドラメッド「それは構わないであるが、一緒に逃げるのは出来ないである」

674 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:51:09.04 ID:GIEAlWj20

葉隠「あん? どうして?」

ドラメッド「ワガハイ達は最後の瞬間まで戦って、この星の行く末を見届けるからである」

葉隠「――えっ?」


予想外過ぎる言葉に、葉隠は静止した。


葉隠「な、なんで……なんでそこまでするんだべ! おめーら部外者だろ?!
    直前まで頑張ってそれで無理なら逃げればいいじゃねえか!」

ドラメッド「それは出来ない相談であるな」

葉隠「なんでだ!」

ドラメッド「一つは仲間を置いて逃げられないこと。ドラえもん達は最後まで諦めないはずである。
       二つは……ワガハイ達はロボット。人間を助けるために生まれた」

ドラメッド「たとえこの身が壊れようとも、それが誰かのためになるのなら構わないのである」

葉隠「…………」

葉隠「ヘッ。そうだよな。いくらリアルに出来てたって、
    所詮ロボットに人間様の気持ちなんてわかんないよな!」

ドラメッド「…………。そうかもしれないである。でもワガハイ達ロボットにも
       一人ずつ違う個性があるし、ワガハイにも夢があるぞよ」

葉隠「夢?」

ドラメッド「ワガハイは砂漠に住んでいるのであるが、砂漠で水はとても貴重。だから砂漠に
       住む子供達のために、ウォーターランドを建設したいのである」

ドラメッド「飲み水に困らないだけでなく、子供達が楽しく水遊びが出来る。
       そんな砂漠の楽園を作るのが昔からの夢なのであーる」

葉隠「…………」

675 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:55:01.39 ID:GIEAlWj20

ドラメッド「葉隠殿にこれを貸すである」

葉隠「なんだそれ? 電話か?」

ドラメッド「これはもしも電話。ワガハイやドラえもん達の世界はこの世界に似ているが違う、
       いわゆるパラレルワールドであるが、この道具を使えば自由に行き来出来るのである」

葉隠「! それって、逃げてもいいってことか?!」

ドラメッド「ワガハイも嫌がる人間を無理やり戦場で戦わせるような真似はしたくないであるからな」

葉隠「早速使わせて……」

ドラメッド「ただし!」


スカッ!


葉隠「うわっ」

ドラメッド「これを使うならワガハイとある約束をしてほしいのである」

葉隠「約束? なんだべ?」

ドラメッド「ワガハイの代わりにワガハイの夢を叶えてくれぬか?」

葉隠「夢って、砂漠にウォーターランドを作れってことか?」

ドラメッド「そう。ワガハイだけではない。ここで戦っているみんなに、それぞれワガハイのような
       夢や目標があるはず。葉隠殿にはそれを代わりにやって貰いたいのである」

葉隠「!」

676 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 01:56:17.77 ID:GIEAlWj20

ドラメッド「みんな……みんな! 自分や大切な人のために命を懸けて戦っている!
       中にはのび太君のようなこの世界と無関係の子供までが!!」

ドラメッド「お主は仲間もその家族も、自分の母親すら見捨てて一人逃げるのである。
       ならば、それくらい背負うのが筋というものであろう?」

葉隠「あ……」

葉隠(いつもの調子でわかったって言えばいい。適当なことを言うのは得意だ。
    どうせ口約束なんだべ。わかりゃしねえ……けど、だけど)


しかし、葉隠の意志に反して言葉は出て来なかった。



  ― 音楽室 ―


ミニドラ「ドララ! ドララ!」

ドラリーニョ「変なものを見つけた?」


相棒のミニドラ軍団に連れられドラリーニョは音楽室に入った。
そこには机の下に潜り込み震える山田の姿があった。


山田「…………」ブルブル

ドラリーニョ「なんだろう、これ?」

ドラリーニョ「わかった、オシリだー! かくれんぼしてるんだね? みーっけ!」

山田「わっ?! ……なんだ、あなたでしたか。驚かさないでくださいよ!」

ドラリーニョ「ごめんごめん! なんで一人でかくれてたの?」

677 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:02:48.68 ID:GIEAlWj20

山田「……あの場にいるのが辛かったからですよ」

ドラリーニョ「つらいってどうして?」

山田「僕は……みんなみたいに戦えない。臆病だしデブだし弱いし」

ドラリーニョ「そっかぁ……。でも気にすることないよ! 得意なこともあるでしょ?」

山田「……絵が得意で、二次創作ですが漫画を描けます」

ドラリーニョ「すごいすごい! ぼくマンガ大好き! 今度ぼくも描いてよ!」

山田「…………ハァ」

ドラリーニョ「あれー?」


山田の溜め息にドラリーニョは首をかしげる。


山田「絵が上手くて漫画が描ける……でも、それがなんだって言うんです。結局自分の理想や
    妄想を紙の上に披露出来るだけであって、世界の危機に何もすることが出来ない」

山田「……僕は無力なんです」

ドラリーニョ「元気出しなよ。好きなことがあるってとても楽しいことだよ。ぼくサッカー大好き!」


そう言うとドラリーニョは華麗なリフティングを披露する。


山田「励ましてくれるのは有り難いですけど、あなたみたいな人気者には僕の気持ちは
    わからないですよ。僕みたいなクラスカースト最下位の人間なんて……」

ドラリーニョ「カースト?」

678 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:07:36.42 ID:GIEAlWj20

山田「ロボットとはいえ学校に行ってたんならわかるでしょ? 勉強が出来たり運動が出来たり
    単に格好良かったり。そういう人気者がクラスの中心になって、僕みたいな嫌われ者の
    オタクはクラスの隅でひっそり生きなきゃいけないんですよ」

ドラリーニョ「どうして?」

山田「どうしてって、取り柄のない人間が分を弁えずに前に出てもイタいだけだし」

ドラリーニョ「イタくなんてないよ。それに漫画が描けるんでしょ?」

山田「所詮漫画はオタクでマイナーなんですよ。世界で認められているサッカーとは違うんです」

ドラリーニョ「…………」


頭を抱え、ドラリーニョはうんうんと唸り出した。


ドラリーニョ「うーん、ぼくね、テストはいつも0点でね! サッカーしか出来ないダメロボットとか
        落ちこぼれとか……他にもいろいろ言われてたけど、忘れちゃった!
        すぐ忘れるんだ! ぼく忘れっぽいから!」

ドラリーニョ「でもいいんだ。サッカーしてたら楽しいし友達もいるから気にならないよ!
        きみにもたくさん友達いるじゃない! だから大丈夫!」

山田「友達……」

山田(失われた二年間では、僕達は仲良しクラスだったらしい。写真の中の僕は確かに
    楽しそうだった。その記憶があれば、僕も平気だったかもしれない……)

山田「でも、ダメなんです……同じような悩みを持つオタクの中でも僕は恵まれてる。
    頭ではわかっているけど認められないというか……僕はヒーローになりたいんです」

ドラリーニョ「うーん、漫画が描けるなんてボクにとってはヒーローだけどなぁ。それじゃダメ?」

山田「ダメです」

ドラリーニョ「うーんうーん…………」

679 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:14:19.66 ID:GIEAlWj20

ミニドラ「ドララ〜?」

ミニドラ「ドラー?」


ドラリーニョとミニドラは頭を抱える。彼等に山田の深すぎるコンプレックスは難しすぎたようだ。


ドラリーニョ「ヒーローになりたいんだよね…………わかった! じゃあ今からなろうよ!」

山田「は?」

ドラリーニョ「キミ、名前は?」

山田「山田一二三ですが……」

ドラリーニョ「ヒフミくん、行こう!」

山田「ちょ、ちょっとドラリーニョ殿?!」


ドラリーニョは山田の手を掴むとぐいぐい引っ張る。


山田「ムリ! ムリですって! 僕みたいなデブは集中放火されちゃいますよ!」

ドラリーニョ「平気平気!」

山田「怖い! やっぱり僕にはムリなんです!」


無理やり手を振り払って山田は壁に取り縋る。


ドラリーニョ「でも行かないとヒーローになれないんでしょ?」

山田「だから! 僕はそれが出来ないからヒーローにはなれないって悩んでるんですよ!」

680 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:16:27.88 ID:GIEAlWj20

ドラリーニョ「悩んでてもなにも変わらないよ! 行動しなきゃ!」

山田「それが出来ないんです! もうほっといてください! 善意の押し付けなんて迷惑なだけですよ!!」

ドラリーニョ「…………」


黙り込むドラリーニョ。

相手は完全な善意なのに流石に言い過ぎたか。
そもそも自分が意気地無しなのが全ての原因なのに……と山田はまた落ち込む。


山田(……わかってますよ。僕より小さくてただ抽選で選ばれただけの苗木誠殿や、子供ののび太殿でさえ
    戦場にいる。僕が情けないのがいけないのに、相手のせいにしてさぞかし呆れたでしょう……)

ドラリーニョ「……怖いの?」

山田「怖いです」

ドラリーニョ「怖くなければ、平気?」

山田「そりゃ怖くなかったらとっくのとうに行ってますよ」

ドラリーニョ「じゃあ、ボクがキミを守ってあげるよ!」

山田「……え?」

ドラリーニョ「それだったら平気でしょ? 一人じゃできないことも二人なら大丈夫!」

山田「まだそんな……」

ドラリーニョ「ボクを信じて!!」ジッ

山田「……!」


ドラリーニョの顔は真剣だった。山田が目を逸らせないほどに。

681 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:18:04.24 ID:GIEAlWj20

山田「僕は……」


ドシーンドシーン!!


「わっ?!」


               ◇     ◇     ◇



葉隠「なんだこの地響き?!」

ドラメッド「外の様子を見るである!」


全員が廊下の穴に向かい、それを見た。


朝日奈「なに、あれ……」

舞園「……嘘ですよね?」

霧切「大きいわね……」

ビッグモノクマ「…………」


地平線には七体もの巨大なモノクマが隊列を成して歩いてくる。その大きさは横のビルと
比較すれば一目瞭然だ。彼等にはまるで世界の終わりを知らせる巨神兵の群れに見えた。


ドラえもん「ま、まずい! あんなの相手に出来ない!」

ドラメッド「……ワガハイが相手になるである」

セレス「あなた、何か手が?」

682 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:22:56.25 ID:GIEAlWj20

ドラメッド「もう我慢の限界である! 葉隠殿、これを!」


ドラメッドはもしも電話と共に、愛用のタロットカードを渡す。


葉隠「これは、おめーさんの……」

ドラメッド「師匠に貰った大事な品である。預かってくれぬか?」

葉隠「…………」

ドラメッド「では行ってくるである。マハラージャ!」

葉隠「あ、おい!」


ドラメッドは魔法の絨毯に乗って、一人巨大モノクマの群れに向かって行った。


ドラメッド「モノクマと言ったか。ただでさえ多勢に無勢だと言うのに
       ここまでやるとは! もうワガハイ怒ったのであーる!!」


そう叫ぶとドラメッドは巨大化した。普段は温厚なことで知られるドラメッドだが、
怒ると巨大化して暴れるのである。足元のモノクマ軍団を踏み潰しながら、巨大モノクマに迫る。


ドラメッド「うおおおおっ!」


元々大きい手を更に巨大化させハンマーのように相手を殴りつけた!


大神「ドラメッド殿か。助かる!」

マタドーラ「やっちまえー、ドラメッド!」

のび太「頑張れ!」

683 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:28:35.36 ID:GIEAlWj20

ケンイチロウ「まさか双方にこれほどの切り札があるとはな……」

ジェノ「ヒュー! やるじゃないの!」

雪丸「頼むぜ、でっかいダンナー!」


ドゴッドゴッとドラメッドはモノクマを薙ぎ倒していく。だが!


ビックモノクマ「…………」


カシュッ。


ドラメッド「ム!」


カシュッカシュッカシュッ!


王ドラ「いけない、あれは!」

大亜「食らったらヤバいぞ!」

キッド「ミサイルだ! 避けろ、ドラメッドー!!」

ドラニコフ「ワウー!!」


ドドドドドドドドドドドド!!!

ドカンドカンドカン! ドカンドカンドカン! ドカンドカンドカン!


ドラメッド「ぬおおっ?!! グハァッ……」


バタアアアアン!!

ドラメッドはミサイルの集中砲火を受け、地面に倒れ込んだ。

684 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:38:52.01 ID:GIEAlWj20

「ドラメッドオオオオオオッ!!」


大和田「おいおい、嘘だろ……」

桑田「やべーって……」

大亜「馬鹿野郎! 手を止めるな! まだ敵はいるんだぞ!」

石丸「そうだ! まだ諦めてはいけない!」

十神「くそっ、考えろ! 考えるんだ! 何かあるはずだ!」

苗木「諦めちゃダメだ!」

セレス「……何ということでしょうか」

舞園「そんな、ドラメッドさんまで……」

ドラリーニョ「ボク、行かなきゃ!」

葉隠・山田「!」

朝日奈「! ダメ! 殺されちゃうよ!」

ドラリーニョ「でもこのままほっておくワケにはいかない! ドラメッドを助けないと!」

霧切「死にに行くようなものよ!」

ドラリーニョ「それでもいいよ! だってボクたち友だちだもん!」

ドラえもん「ドラリーニョ……」


朝日奈の手を振り払い、ドラリーニョは飛び出した。


葉隠「……おめーは行かないのか?」

ドラえもん「ぼくが行っても足手まといになるから……代わりに、ぼくはぼくのやるべきことをする!」

685 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:53:13.61 ID:GIEAlWj20

ポケットに手を突っ込み、ドラえもんはあーでもないこーでもないと思案する。


葉隠「自分のやるべきこと……」

葉隠(……そ、そうだ。さっさと逃げねえと)


見つかってはまずいとその場を離れ、葉隠は電話を掲げる。しかし……


『これを使うならワガハイとある約束をしてほしいのである』


葉隠(約束……)


『ワガハイの代わりにワガハイの夢を叶えてくれぬか?』


葉隠(……知らねえ。他人の夢なんて知ったこっちゃねえ!)


『ワガハイだけではない。ここで戦っているみんなに、それぞれワガハイのような夢や目標があるはず』


葉隠(クズって言われようがなんだろうが、俺は自分が一番大事なんだ。それで何がいけないんだ!)


『みんな……みんな! 自分や大切な人のために命を懸けて戦っている!
 中にはのび太君のようなこの世界と無関係の子供までが!!』


葉隠(……どうした。どうしたんだ、俺?! これで逃げられるんだべ! 安全な所に行けるんだ)


手が汗ばんでいる。額にも汗が浮かんでいるのを感じた。


『お主は仲間もその家族も自分の母親すら見捨てて一人逃げるのである。
 ならば、これくらい背負うのが筋というものであろう?』


葉隠(罪悪感なんて感じてる場合じゃないだろ! 命が掛かってるんだべ!)

686 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 02:55:20.65 ID:GIEAlWj20


しかし、電話を持つ手は震えるばかり。ふと蘇るのは母・浩子の姿だ。


葉隠(そういや母ちゃん、今はどこでなにしてんだろうな……)


もしここに浩子がいたらどんなことを言うだろうか。


浩子『母ちゃんわかってるよ』


浩子『康比呂はちょっと自分に甘くてやんちゃな所があるけど、根は優しくて
    最後はちゃんと決めてくれる子だって。あんたは格好いいもんね』


浩子『――母ちゃんはいつでもどんな時でも、絶対にあんたの味方だからね』


葉隠(母ちゃん、ちょっと親バカっていうか俺を美化してる所あるからな。今も俺がヒーローみたいに
    助けに来るってバカみたいに信じてて、どこかで待っているかもしれねえ……)

葉隠(でもそれは俺の母ちゃんだけじゃなくて、みんなの家族だってきっとそうだ……)

葉隠「…………」

葉隠「…………」








葉隠「……………………ダメだ」


へなへなと、葉隠はその場に座り込んだのだった。

687 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/04/21(日) 03:07:27.80 ID:GIEAlWj20

ここまで。

ドラリーニョは天使だと思う

688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 11:33:12.50 ID:RvrXtL7XO
乙!
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 16:56:05.70 ID:FSEVnX4m0
乙追い付いた
主さんのダンロンキャラの心理描写ほんと好き
それにしてもドラメッドはやっぱ頼りになるなあ
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/23(火) 22:39:32.04 ID:7CRCa27d0
乙であります
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/12(日) 17:48:40.43 ID:l678n/Z50
[たぬき]ズはそういう意味では超高校生級の子たちの鏡みたいな立ち位置のキャラクターだよね
本来のネコ型ロボットにはありえない能力を持つ突然変異じみた落ちこぼれ集団で規格外品
(それ込みでも学園一の秀才である王ドラを除いてだけど)
お互い思うところもありそう
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/13(月) 00:59:21.49 ID:L1oWz9HB0
エピローグまで書き終わってるんだよね?それならもっと投下してほしいな
693 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:27:15.32 ID:kI/AMyHm0


  第29話 たちあがれ、おくびょう者!


葉隠(……重すぎる。俺に全員の夢を背負うなんてムリだべ……)


今まで逃げること、楽をすることしか考えていなかった葉隠だが、
それに伴う責任の重さを知り、初めて迷いを感じたのだった。


葉隠(俺はビビリだしお世辞にも運動神経がいいとはいえねえ。戦いに行ったって
    役に立つとは思えねえ。クズでダメな俺に出来ることってなんだ?)


ドラえもん『ぼくがすべきことをするんだ!』


葉隠(すべきこと……)


手からタロットカードが落ちる。


葉隠「そういや、ドラメッちのタロットはかなりの的中率だったな」


精度は葉隠のインスピレーション占いに劣るものの、カムクラの正体を暴いたりもしていた。


葉隠(このタロットと俺の占いを組み合わせれば……未来がわかる?)

葉隠「教えてくれ! 俺はどうすりゃいい? どうすればこの局面を乗り越えられんだ!」


タロットについてもそれなりに知識を持つ葉隠は、シャッフルして一枚引く。


葉隠「魔術師(マジシャン)……」

694 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:32:04.55 ID:kI/AMyHm0

葉隠(魔術師のカードは名前の印象とは逆に新たな一歩や希望を表す。ただ単に新しい
    展開なら星のカードでもいい。魔術師なら独創的な発想とか少し捻りが入る――)

葉隠「独創的な発想……それが何かわかればこの局面を切り抜けられるかもしれねえ。
    ……そうだ。独創的な発想の内容を俺のインスピレーション占いで占えば……?」


目を閉じて、葉隠は集中した。今までお金のためか保身のためにしか
占ったことなどない葉隠が、人生で最も心を込めて占った。


葉隠「――見えたべ!」


今までは占った映像が実現するまでは、それが当たりか外れか葉隠にはわからなかった。
だが、今は強い確信を持って言える。これは“当たり”だと。


葉隠「山田っち!」

山田「ヒィ! なんですか?!」


いつも飄々として、それでいて何かあったら周りを盾にして
すぐ逃げる葉隠の――普段とは違う鬼気迫る顔に山田は気圧された。


葉隠「山田っちが鍵だべ!」

山田「なにがですか?! もうダメなんですよ! みんな殺されて核ミサイルも降ってくるんです!
    世界は核で包まれてリアル世紀末が訪れるんですよおおお! ひでぶっ!!」

葉隠「落ち着け、山田っち! それを止める鍵がお前さんなんだって!」

山田「僕? 僕に何か出来るわけないじゃないですか。僕はただのしがないキモオタですよ?!
    あんなに凄い人達が束になってかかってもどうにもならないのに!!」

葉隠「出来る! クズの俺にだって出来た! だから山田っちだって出来る!
    周りなんて関係ねえ! 大切なのは一歩を踏み出す勇気なんだって!!」

695 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:34:30.06 ID:kI/AMyHm0

山田「突然どうしたんですか? ガラにもない……」

セレス「落ち着きなさい、山田君」

山田「セレス殿……」

セレス「いつもなら真っ先に逃げることを考える沈没船のネズミのような葉隠君が
     珍しく必死に説得しているのですよ? 話だけでも聞いてみては?」

葉隠「……酷い例えだべ」


苦笑するが反論は出来ない。現につい先程まで葉隠は自分一人だけでも助かろうとしていた。


霧切「何か勝算があるのね?」

葉隠「見えたんだべ! 山田っちが巨大なロボットに乗って戦う姿が!」

山田「ハァ?! ガンダムじゃあるまいし。一体どこにロボットがあるっていうんですか?!」

ドラえもん「ザンダクロス……」

「え?」


ドラえもんの呟きに、全員が振り返った。


ドラえもん「そうだ。絶対絶命のあの時だって、ザンダクロスがいてくれたから僕達は戦えたんだ!」

霧切「そのザンダクロスは今どこに?」

ドラえもん「……もういない。歴史が変わったから。どこかの宇宙にはいるかもしれないけど」

山田「結局無意味じゃなかったですか! 無駄な希望なんて持たせないでくださいよ!
    そんなのただ絶望するより残酷だ! 現実は漫画じゃないんですよ!」

696 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:37:52.68 ID:kI/AMyHm0

山田「作者が紙に描けばどんなピンチだってなんとかなる漫画の世界じゃない!!」

「…………」

ドラえもん「そうだね。余計なこと言ってゴメン……現実はそんな甘いものじゃないよね……」

舞園「……諦めちゃ、ダメですよ」

ドラえもん「舞園さん……」

舞園「だって、ドラえもんさん達は! 絶望した私を救ってくれたじゃないですか!」

舞園「私だけじゃない……。桑田君や腐川さんだって、
    のび太君とドラえもんさんがいてくれたから救われたんですよ!」

舞園「それは無意味だったんですか? そんなことはないはずです! いいえ、私はそう思いたくない!」

ドラえもん「舞園さん……」

舞園「まだ希望があるかもしれません! 他の道具を見て見ましょうよ!」

葉隠「そうだべ! そのサンタクロースを召喚できる道具もあるかもしれねえし!」

ドラえもん「そうだよね! ボクには思いつかないだけで、
       みんななら使いこなせる道具もあるかもしれない!」


ドラえもんはポケットから次々と道具を取り出すが、
出てくるものは扇風機、冷蔵庫、ラジコン、クレヨンなどのガラクタばかりである。


ドラえもん「ハァー! ハァー! もうこうなったらこの地球破壊爆弾で……!!」

セレス「馬鹿ですか?! こっちまで死ぬわ!!」

霧切「これは何かしら?」

ドラえもん「それは携帯扇風機で……」

697 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:38:45.00 ID:kI/AMyHm0

朝日奈「こっちは?!」

ドラえもん「えーと、瞬間圧縮機……」

葉隠「これはオーパーツだべ! 俺の占いは三割当たる!」

ドラえもん「それは単なるおもちゃだね」

山田「…………」


山田は彼等がガラクタを手に持ちあれやこれやと騒ぐのを手持ち無沙汰に眺めていた。
何故彼等が諦めないのか不思議だった。


山田(どうせ、ムダなんですよ……家族はみんな死んでいるし帰る所もないし……
    僕達だってどうせもうすぐ死んじゃうんだ……)


だったら、最後くらい好きにしよう。好きなことをして時間を潰そう。
そう思って山田は自分が何をしたいか考えた。


山田(絵でも描こうかな……集中すれば周りも気にならなくなるし)


その時、山田の目に映ったのは落ちていたクレヨンだ。


山田(これも未来の道具ならなにか効果があるのかな……)


現実逃避とほんの少しの好奇心で、山田はそのクレヨンを手に取った。
リュックからノートを取り出し、最も描き慣れているぶ〜子を描いてみた。


山田「……なんだ。ただのクレヨンか」



ポンッ!

698 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:40:39.77 ID:kI/AMyHm0


山田の呟きと同時に紙からぶ〜子が飛び出てきた。


山田「ぶ、ぶ〜子?!」

ぶ〜子「…………」


山田は知る由もなかったが、彼が手にしたクレヨンは描いたものを実体化させる立体クレヨンである。
あくまで子供用のおもちゃであり、紙から出てきたものは本物より大幅に劣化して現れる。

しかし山田の類い稀なる画力とぶ〜子に対する熱意が、ほとんど本物に近い完璧なぶ〜子を生み出した。


霧切「どうしたの?!」

山田「そ、そこに落ちていたこのクレヨンで絵を描いたらぶ〜子が……」

ドラえもん「それは立体クレヨンだね。描いた物が立体となって紙から飛び出てくるんだ」

セレス「では、そのクレヨンで武器を描けば……!」

ドラえもん「ムリだよ。所詮は絵だもん。張りぼてなら出せるけど本物は出せないんだ」

葉隠「なんだ……ガッカリだべ……」

山田「偽物……」

ぶ〜子「…………」


ぶ〜子はフワフワと辺りを漂っている。

その姿は二次元と三次元の違いはあれど、山田がずっと脳内で思い描いていたそれだ。
このぶ〜子は山田自身が生み出した正真正銘本物のぶ〜子なのだ。

699 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:42:13.44 ID:kI/AMyHm0


山田「ぶ〜子……」

ぶ〜子「…………」




二人の目が合う。


700 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:44:37.00 ID:kI/AMyHm0

ぶ〜子「…………」ニコッ!

山田「!!」


心のない張りぼてのはずのぶ〜子が、確かに山田に微笑みかけた。


山田「偽物、なんかじゃない……」

舞園「山田君?」

山田「ぶ〜子はここにいるんだ……!」

朝日奈「どうしたの?」

山田「聞こえる……! 聞こえるぞッ!! ぶ〜子の声がッ!!」

ぶ〜子「…………」


―出来るよ。

―山田君なら

―きっと出来る。

―だから……


山田「僕にはぶ〜子の声が聞こえるッ!!」


―みんなを助けてあげて!


「?!」


実際には山田の妄想なのかもしれない。だが、山田には確かにぶ〜子の声が聞こえていたのだ!

701 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:49:56.88 ID:kI/AMyHm0

山田「他の人がダメでも、僕の画力なら限りなく本物が出来る! 
    この状況を打開する漫画を描いてみせる!!」


そう叫ぶと山田は画用紙にロボットの絵を描きはじめた。
正面図だけではなく、側面背面やコックピットも含めた設計図並みに詳細な絵だ。

美少女アニメが好きでロボットアニメは有名作品だけ見ていたような彼だが、
超高校級とまで呼ばれる山田の記憶力と画力は確かだった。


ドラえもん「す、凄い……!」

山田「行け! 僕のロボット――ジャスティスロボ!!」


パァァッ!

ズッシャアアアアアン!


朝日奈「ロボットだ! ロボットだよ!」

霧切「張りぼてなんかではないわ。ちゃんと鉄で出来ている!」コンコン

山田「いえ、僕の作り出したヒフミウム合金です。鉄より軽く遥かに丈夫なのです!」

ドラえもん「そんな! 初めて見たよ! これならイケるかも!」

セレス「ですが、いくらロボットでもこの大きさでは……」

不二咲「ビッグライトで大きくすればいいんじゃない?」

ドラえもん「ああ! ビッグライトは……」

舞園「さっき壊れて……」


その場にいた者達は一様に青ざめる。

702 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:54:21.31 ID:kI/AMyHm0

セレス「予備はないのですか?!」

ドラえもん「ゴメン……」

山田「そんな……」


彼等の様子を見ていたミニドライレブンはお互いの顔を合わせる。


ミニドラ「ドラ! ドラ!」

ミニドラ「ドララー!」

朝日奈「なに? どうしたの?」

ミニドラ「ドラー!」


ミニドラ達はそれぞれのポケットからライトを取り出した。


ドラえもん「それは、ビッグライト!!」

「ええっ?!」

葉隠「じゃあそれでいけるじゃねえか!」

山田「そうですよ! 早く使いましょう」

ドラえもん「ただ、一つ問題が……」

霧切「問題?」

ドラえもん「ミニドラの道具は見ての通り小さくて出力が弱いんだ。これで大きく出来るかな?」

ミニドラ「ドラ?」

ミニドラ「ドララー……」

703 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 00:58:46.56 ID:kI/AMyHm0


耳を落としてガッカリするミニドラ達を尻目に、霧切が思案する。


霧切「小さいビッグライトを他のライトで大きくして、それで使えば或いは……」

ドラえもん「それだ!」

ミニドラ「ドララー!」


言われた通り、ミニドラはビッグライトを大きくしてドラえもんに渡した。


ドラえもん「ビッグライト!」


ピカー!


葉隠「よしきた!」

山田「コックピットには、僕が乗ります!」

ドラえもん「このサイコントローラーを使って。握って心に思うだけで脳波を送信して操縦出来るから」



               ◇     ◇     ◇



一方外では、巨大モノクマの登場によって絶望軍団が勢いづいていた。


大和田「クソッ、このままじゃジリ貧だ!」

704 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 01:01:03.26 ID:kI/AMyHm0

大亜「諦めてんじゃねえ、紋土! たとえ勝てなくても最後まで戦い抜く!
    それが暮威慈畏大亜紋土流だろうが!」

石丸「お、お兄さん……」

大神「活路を開く! 我の命を使ってでも……!」

ケンイチロウ「さくら、力が入り過ぎだ。もっと流れるように動け!」

大神父「さくらよ! お前は我等大神道場の希望だ! 心を明鏡止水にして挑むのだ!」

大神「ムゥ……我としたことが、己を見失っていたか……」

桑田「そりゃそーだろ! 流石の俺も、キツイ……」

マタドーラ「頑張れ、兄ちゃん。おめーさんにも夢があるんだろ?」


支え合い、助け合いながら戦うがそれでも徐々に追い詰められていく。


苗木「僕は……能天気だったのかな。こんな状況でも、まだなんとかなるかもしれないって
    希望を捨てられなくて……他人頼みだよね。情けないな……」

大亜「いいじゃねえか」

ケンイチロウ「うむ」

苗木「大亜さん、ケンイチロウさん……」

大亜「自分一人じゃどうにもならないことなんて世の中いくらでもあるだろ。
    そんな時、周りに少し手伝って貰って何がわりぃんだ」

ケンイチロウ「深刻になるより、なるようになれとドンと構えた方がいいかもしれんぞ。
        そうしたら案外――思わぬ所から助け舟があったりな」

705 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 01:09:55.15 ID:kI/AMyHm0

石丸「大人は格好良いな……僕はあなた達のようになりたい」

苗木「……そうだね。なんとか生き延びて、子供に格好いいって言われる大人になりたいな」

キッド「じゃあ諦めないで前に進もうぜ! ドガンドカーン!!」ドーン!

のび太「みんな今だってすごくかっこいいよ!」バンバン!

ドラニコフ「ワオ! ワオワオ! ……アオ?」

ジェノ「あん、急にどしたワン公? いや、ニャン公? なんか見つけたか?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


桑田「な、なんだ?!」

大亜「どうやらおでましみたいだぜ。希望って名前の助け舟(グッドラック)がな!」


気絶していたドラメッドは振動で目を覚ます。


ドラメッド(クッ……ここまでか、無念……)


力尽き倒れ、死を覚悟したドラメッドの目にそれは映った。

正義を司る希望の救世主――ジャスティスロボが!


ドラメッド(敵か味方か。いや……!)


占いが得意なドラメッドは直感で感じ取っていた。

706 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 01:12:40.68 ID:kI/AMyHm0

ドラメッド(そうか……来てくれたのであるな!)

葉隠『ドラメッち! 助けに来たべー!』


桑田「な、なんだありゃあ?! なんで葉隠の声が……」

十神「巨大ロボだと……?!」


サイコントローラーがあるのだから実際に操縦桿を握る必要はないのだが、
山田はしっかりとハンドルを握りしめていた。まるで、ロボットアニメの主人公のようだ。


山田(人生で一度言ってみたかったこの台詞。まさか言う時が来るなんて……)


モニターの端にはボロボロになりながら必死に戦うドラリーニョの姿が映る。


山田(ドラリーニョ殿の言った通り……行動しないと何も始まらない)

山田(他の人間なんて関係なかったんだ! 誰がなんて言おうと、
    僕の物語はいつだって僕が主人公でヒーローなんだから!!)

山田(だから、今こそ――)


戦場に向けて力一杯、憧れの台詞を山田は叫んだ。



山田『待たせたな!!』


――ジャスティスロボ、降臨!!


707 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/05/27(月) 01:27:07.09 ID:kI/AMyHm0

ここまで。次回決着!


>>692
申し訳ないです。エピローグまだ書けてないのですよ…

下書きから投下の段階で大幅に推敲があって、裁判シーンとか
最終決戦も本来の三倍の長さになってましてその度に加筆加筆の嵐……

708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/04(火) 19:22:02.08 ID:jg7TUJMl0
乙。山田の活躍に全俺達が滾る
変更があっても長くなっても真摯に投下してくれて有り難う。無理ないペースで体を大切にしてください
ドラメっちって愛称いいね(真宮っちみたいな)
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 19:45:01.60 ID:ekT+Fbur0
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/23(日) 23:16:27.86 ID:NKy5lk3A0
おつ
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/23(日) 23:17:04.01 ID:NKy5lk3A0
a
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/29(土) 15:59:04.55 ID:bsGcXh3B0
このスレまだ残っていたのか
というかまだ完結していなかったんだな
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/07/02(火) 00:59:59.43 ID:p0qfYB4z0
714 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 01:45:09.88 ID:as45WpGo0


  第30話 希望はすすむ。ぼくたちがつくる未来へ――



苗木「え、もしかして山田君と葉隠君?!」

大和田「山田?! それに葉隠だぁ?!」

石丸「おお! 彼等も来てくれたのだな!」

大亜「ハハッ! 強い味方がおいでなすったようだぜ!」

ジェノ「見直したぜぇ! 萌えねえ男子からあんまり萌えない男子に上げといてあげるわん!」


山田『山田一二三、行きまーす!!』


学校から出てきたその巨大ロボットのコックピットには山田が乗っている。
飛び出た贅肉で少し狭いが文句は言っていられない。仲間達が沸き立つ一方、
ジャスティスロボのコックピットの中では葉隠が絶叫している。


葉隠「ヒ、ヒエエエ! やっぱり来るんじゃなかった!」

山田「今更なに言ってやがる! 僕達が乗った列車は途中下車出来ないんだ!」


コックピットの座席は山田が占領しているため、葉隠はその後ろに立って
両腕で壁を突っ張って体を支えている。そのため揺れがすごく、不安になるらしい。


葉隠「わかってるけどよォ!」


そもそも乗ると言い出したのは葉隠本人だ。

715 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 01:46:27.40 ID:as45WpGo0

葉隠『俺の占いだとロボットには山田っちだけじゃなくて俺も乗ってた。
    きっと運動系じゃない山田っちだけじゃダメなんだべ!』

セレス『ですが、葉隠君が乗ったところで何が出来ますか?』

舞園『葉隠君は占いが得意ですから、それを使って先読みしたりとか……』

セレス『七割の確率で失敗しますわね』

葉隠『くそ……今だけでも全部当たってくれりゃあな……』

セレス『そんな都合の良い話がある訳……』

霧切『……あるわ。ねえ、そうでしょう、ドラえもん!』

ドラえもん『これだー!』パパラパッパパー!

ドラえもん『才能伸ばし薬。飲んだ人間は1時間だけ潜在能力を百パーセント上げられる。
       本来は自分にどんな才能があるかを調べるために使うけど、これなら……』

葉隠『貸すべ!』


ドリンク状の薬を葉隠は一気に飲み干す。


葉隠『き、来た来た来たー!』

山田『何が来たんですか?!』

葉隠『今の俺は……』



葉隠『―― 十割当たる!!』

716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/07/08(月) 01:46:53.28 ID:JCO9iklF0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
717 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 01:48:14.52 ID:as45WpGo0

山田「さっきの勢いはどうしたんです?! ほら、早く覚醒したニュータイプ能力でピキーンしてください

!」

葉隠「なんだべそれ?! って、ああ?!」


ピキーン!


葉隠「見えた! 右から来るぞ!」

山田「了解! うおおおおお!」


葉隠のアシストが効を奏し、山田はビッグモノクマの攻撃を防いだ。そのまま競り合いになる。


葉隠「武器はなんかあるのか?!」

山田「あります! ジャスティスハンマーです!」

葉隠「武器がハンマーって地味じゃねえか?」

山田「鈍器ナメんなし! 戦場ではスコップがヤバイ凶器になること知らないんですか?!」

葉隠「でも山田っちならてっきりカッコイイ剣とかにするかと」

山田「……僕は学んだんです! 見てくれより中身が大事なんだってことを!
    セレス殿が! みんなが! 僕に大切なことを教えてくれた!!」

ビッグモノクマ『……!』


グググググ……

徐々にジャスティスロボがビッグモノクマを押して行く。
しかし、他のビッグモノクマがジャスティスロボを囲み始める。

718 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 01:50:46.14 ID:as45WpGo0


葉隠「まずい……。このままだと囲まれちまう! 来い! インスピレーション来い!」


ピキーン!


葉隠「見えた! 山田っち、足を狙ってバランスを崩してやるんだ! 大外刈りって奴だべ!」

山田「ぬううううううん!」


正確には大内刈りなのだが、素人の二人はそんなことは知らない。見よう見まねで足を攻撃した。
見事ジャスティスロボの足技が決まり、元々バランスの悪いビッグモノクマが転ぶ。


山田「よーし! 正義の鉄槌今ここに! 喰らえ! ジャスティスハンマーアタック!!」


山田は必殺技を叫ぶと、ロボの背中からジャスティスハンマーを取り出し
ビッグモノクマに振り下ろした。

メキャアッ!


重量の乗った打撃により、モノクマの頭部がグシャグシャに砕けた。


葉隠「Fooooooo!!」

山田「まずは一体!」

葉隠「! まずい! 後ろだ!」

山田「えっ?!」


後ろに回り込んだビッグモノクマがジャスティスロボを羽交い締めにする。


山田・葉隠「あわわわわわ?!」

719 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 01:52:46.23 ID:as45WpGo0


正面にいたビッグモノクマが攻撃しようと振りかぶった瞬間、ピカッとまばゆい光が灯る。
ライトだ。ライトの先にいたのは……


ドラミ『させないわ!』

セワシ『行っけー! ドラミちゃーん!!』


チューリップ型のドラミ専用タイムマシンが突如現れ、ビッグモノクマに体当たりをした!


キッド「なっ?! ドラミ?!」

ドラミ「私達も来たわよ!」

セワシ「おじいちゃん達ばっかり活躍させないよ!」


更に突撃して、ジャスティスロボを解放する。


マタドーラ「ヒュウッ! やるじゃねえか!」

王ドラ「ボク達も負けていられません!」

ドラニコフ「ガウ!」

ドラリーニョ「みんなー!!」

キッド「ドラリーニョ!」

ドラリーニョ「ぼくに力を貸してー!!」


そう言ってドラリーニョは高々とボールを蹴り上げる。


キッド「行け! 友情テレカ!」


「友情テレカー!!」

720 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:00:53.99 ID:as45WpGo0


ピカーン!

七人の友情テレカから光が放たれ、ドラリーニョのボールに当たる。
すると、ボールは巨大化しまばゆい黄金の光を放った。


マタドーラ「おーし! 合体だ!」

王ドラ「了解です!」

ドラニコフ「ワオー!!」


マタドーラの上に王ドラが乗り、王ドラの上にキッド、その上にドラニコフが飛び乗る。
そうして出来たドラえもんズタワーの側面をドラリーニョが駆け上がって行く。

勢いのまま宙に飛び出したドラリーニョはそのまま高速回転し、
輝くボールを思い切りオーバーヘッドシュートした。


ドラリーニョ「シュート!!!」


ゴオッ!!

ボールは光り輝く尾を引いて水星のようになり、ビッグモノクマを貫いた。


石丸「やった! 友情の勝利だ!」

のび太「さすがドラえもんズ!」

ドラメッド「ふ、ふふ。負けておられんでおじゃるな! くらえーっ!」


なんとか立ち上がったドラメッドの拳がビッグモノクマの頭を吹き飛ばす。


キッド「最後は今回一番頑張ったヤツに華を持たせてやるか。エド!」

エド「ガッテン!」

721 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:03:46.02 ID:as45WpGo0


キッドはエドの背中を踏み台にして希望ヶ峰学園に飛び込む。


ドラえもん「キッド! どうしたの?」

キッド「ほら。俺特注のハイパー空気砲だ。貸してやるよ」

ドラえもん「え……?」

霧切「あなたに、と言っているのよ」

セレス「ドラえもんさんが、今回の幕を下ろすのに一番相応しいかもしれませんわね」

ドラえもん「で、でも……ぼくはそんなにすごいことはしてないよ。ただ道具を使っただけで……」

ドラえもん「のび太くんが言い出さなかったらぼくは来ていなかったし、
       今だってドラえもんズのみんなの方が活躍してるし……」

舞園「そんなことありません。ずっと影でみんなのことを支えてくれたじゃないですか」

朝日奈「いくらスゴい道具があっても、のび太だけじゃきっと出来なかったと思うよ? ヌケてるし」

不二咲「そうだよ、ドラえもん。ドラえもんがいたから、みんな助かったんだ!」

ドラえもん「みんな……」


ダンガンロンパの世界に来るにあたって、ドラえもんが全て根回しをしていたのだ。
のび太が寝こけている間に、見張りをしたりサウナで友情を築いたりもした。


のび太「ドラえもーん!」


穴から下を見ると、のび太や他の生徒達も手を振っている。


のび太「はやくー!」

桑田「今度ミサイル撃たれたら吹っ飛んじまうぞ!」

大和田「頼んだぞー!」

722 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:05:34.95 ID:as45WpGo0

石丸「頑張れ、ドラえもん君!」

大亜「ドラえもん! 決めちまえ!」

ケンイチロウ「任せた、ドラえもん殿!!」

ドラえもん「みんな……」

キッド「ああ言ってるぜ? なあ、リーダー!」

ドラメッド「ドラえもんが一番相応しいでおじゃる」

ドラリーニョ「ドラえもーん!」

王ドラ「リーダーが決めないと!」

マタドーラ「へっ、仕方ねえ。ドラえもんなら譲ってやるぜ!」

ドラニコフ「ガウガウー!」

ドラえもん「……わかった」


意を決し、ドラえもんはハイパー空気砲を受け取る。


キッド「へへっ、そうこなくちゃな!」

ドラえもん「みんな! 行くよー!!」


ドラえもんの掛け声と共にドラえもんズが友情テレカを天に掲げる。

723 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:12:34.02 ID:as45WpGo0


ドラえもん「我等!!」


「ドラえもんズ!」


「そして――」

「世界中の希望を捨てない人々よ!!」

「みんなで力を合わせて、ぼく達の未来を――」

「創るんだッ!!!」



今まで座り込んでいたカムクラが立ち上がり、友情の光を見る。

――なんと眩しく輝いているのだろう。



カムクラ「“希望”を諦めない人間が“未来”を創り、絶望を“終結”させる――」

カムクラ「そうか。きっと僕が見たかったものは――」

のび太「あれ?! ぼくたちまでなんだか光ってるよ?!」

石丸「ひ、光がドラえもん君の所に!」

マタドーラ「よくわからねえが友情テレカの力だろ!」

王ドラ「恐らく、ぼく達ドラえもんズだけではなく皆さんの友情パワーも吸収しているんです」

724 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:17:53.48 ID:as45WpGo0

大亜「ま、友情も希望も似たようなもんだからな」

ドラニコフ「ガウガウ!」ウンウン

ケンイチロウ「プラスの力が引き合っているのか!」

大神父「我々まで光っているとは……」

大神「才能がある者もない者も等しく輝いている。希望に才能など関係ないということだな」

十神「フン。認めてやる。確かに仲間だの友情だのは時として強い力を持つようだ」

ジェノ「デレまくってる白夜様頂いたわん! やっべー、なんか殺りたく……くしゅん!」

腐川「な、なに?! 光が広がって行くわ……!」


ドラえもん「ドカアアアアアンッッ!!!」


友情の光を受けてハイパー空気砲は巨大化し、ドラえもんの掛け声で収束した光のビームが放たれた。
それはビッグモノクマを貫くだけにとどまらず、散開して雨のように降り注ぎ周囲一体の
モノクマを殲滅する。余った光は世界中に飛んで行き、まるで流星群のようだった――。

725 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:26:55.60 ID:as45WpGo0


  ― 未来機関 本部 ―


逆蔵「おい、なんだありゃあ?」

宗方「もう少しで希望ヶ峰学園付近の映像が解析出来る。待っててくれ」カタカタカタ

雪染「今じゃないとダメ! ほら、宗助も!」グイッ

宗方「おい、雪染。ム、これは……」


窓から見上げると、そこには空から地上に降り注ぐまばゆい光が見えた。


宗方「昼間だと言うのに流星群か? 珍しいこともあるものだ」

逆蔵「世界はこんな状況だって言うのにな……」

雪染「でも、綺麗……」ツー

宗方「雪染? 泣いているのか?」

雪染「あ、あれ? なんでかな?でも、この光を見てると心が浄化されるような
    なんだか凄く幸せな気持ちになるの。何でだろうね、宗方君……」

逆蔵「まあ、そうだな……なんか変な感じだ。たまにはこういうのもいいかもな……」

宗方「これは何かの兆しかもしれない。よく観測しておこう」


               ◇     ◇     ◇


安藤「ちょっと! こっち来ないでよ!」

忌村「それはこちらの台詞。ルルカが私の後をついて来てるんでしょ」

安藤「ハァ? 冗談やめてよね! どちゃくそ気分悪いんだけど」

726 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:29:57.59 ID:as45WpGo0

忌村「ルルカはいつもそう。なんでも人のせいにして……」

十六夜「?! なんだ、あれは!」

安藤「え、どうしたのヨイちゃん? ってなにあれ?!」

忌村「……流星群? まだ昼間なのに?」

『…………』


しばらく三人はその光景に見とれる。


安藤「……ねぇ、覚えてる? 昔みんなでキャンプしたよね?」

十六夜「ああ。あの時は満天の星空だったな」

忌村「……流れ星があった。今みたいに」

安藤・忌村・十六夜「…………」

安藤「もう戻れないのかな、ルルカ達……」

十六夜「ルルカ……」

忌村「…………」

安藤「本当はわかってるんだよ。ルルカが全部悪かったって。でも意地を張っちゃって……
    ルルカは静子ちゃんみたいに頭も良くないし凄くないから」

忌村「ルルカ……私こそ、ごめん。友達ならダメなことはダメってはっきり言うべきだった。
    何でも言いなりになって我慢して、それが友情だと勘違いしてた……」

十六夜「ルルカは自信を持つべきだ。お前は凄いヤツなのだから。今だって自分から謝れたじゃないか。
     人を救うのは薬だけじゃない。ルルカのおいちいお菓子は色んな人間を幸せにすることが出来る」

安藤「ヨイちゃん、ありがとう……。流れ星、綺麗だね……」

忌村「……うん。綺麗」

727 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:32:48.13 ID:as45WpGo0


そんな三人の様子を離れた所から黄桜公一が眺めていた。


黄桜「青春だねぇ……」

黄桜(トラブルの気配を感じて様子を見に来たが、とんだ邪推だったようだ)

黄桜(おっさんは若者の邪魔にならないように去りますよ、と)スタスタ



               ◇     ◇     ◇


御手洗「…………」ツー

天願「……どうしたんじゃ、御手洗君? 急に泣き出したりして」

御手洗「えっ? ……あっ」


御手洗は顔に触れると、自分が泣いていたことに気が付いた。


月光ヶ原「…………」カタカタカタ

ウサミ『大変でちゅ! 何か困ったことがあったら言ってくだちゃい! 力になりまちゅよ?』

御手洗「あ、いや、そんなんじゃなくて……!」

ゴズ「わかります。こんな神秘的な景色は見たことありませんからね。
    御手洗君は感受性が強いから、感動したのでしょう」

万代「トマトに勝る赤はないって言うからね。自然が一番だよ」

御手洗「感動? ……そうか。僕は感動していたのか。これが本物の感動……」ボロボロ

天願「……御手洗君?」

御手洗「僕は……僕はやっぱり間違えていた……」

728 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:42:19.33 ID:as45WpGo0

御手洗「感動って、小手先の技術で無理にさせるものじゃない。何もなくても自然に
     湧き出てくるものなんだ。僕はそれがわかってなかったから江ノ島に利用された……」

御手洗「認めたくないけど、どんな名作にだって無関心な人間やアンチはいる。でも、それが
     当たり前なんだ。僕はクリエイターとしてそれを受け入れなくちゃいけなかったんだ……」


バッと振り返り、決意を抱いた御手洗は叫んだ。


御手洗「アニメを……アニメを作らないと! 希望でもない、絶望でもない、誰もがありのまま
     自然になれる、そんな作品を作らないと! 今きっと必要とされる作品はそれなんだ!」

御手洗「誰かに強制された感情なんて間違ってる!!」

天願「それが君の出した結論かね?」

御手洗「お願いです、会長! こんな時に何を言っているのかと思われるかもしれないけど
     僕は今これをしなくちゃいけないんだと思います! そのために僕の才能があります!」

天願「……わしは止めんよ。君のやりたいようにすればいい」

ゴズ「絵は描けませんが、色塗りなら手伝えますよ? アニメは一人で作る物じゃねえだろ、御手洗ィ!!」バシッ

万代「豆は沢山あれば大根に勝るってね。みんなで作れば早いんじゃないかな?」

月光ヶ原「…………」カタカタカタ

ウサミ『美彩もCGや自動彩色なら力になれるって言ってるでちゅ!』

御手洗「ゴズさん、万代さん、月光ヶ原さん……」

黄桜「……おっと、こっちも青春か。いいねぇいいねぇ、若者は」スタスタ

天願「儂に比べたら君も若いだろうに」

黄桜「ハハハッ、そうですな!」

729 : ◆takaJZRsBc [saga]:2019/07/08(月) 02:44:16.48 ID:as45WpGo0


 ― 希望ヶ峰学園、情報処理室 ―


不二咲「…………」


一心不乱にキーボードを打ち込む不二咲を生徒達は見守っていた。
サブコンピューターを繋ぎ、王ドラとドラミも応援している。

ちなみに、王ドラはロボット学校一の秀才だったがその記録を塗り替え歴代一位に輝いたのがドラミだ。


のび太「あとどのくらい?」

ドラえもん「10分ちょっとかな……」

ドラリーニョ「ねえ! あの子鼻血出してるよ?! 大丈夫?」

王ドラ「それくらい集中してるのだと思います」


不二咲は鼻血を出しながらキーボードを打っていた。しかし、今度は目からも血が出てくる。


石丸「ふ、不二咲君?!」

大和田「おい、どうしたんだ?!」

不二咲「大丈夫だから!」


しかし、不二咲の様子は明らかに尋常ではない。


ドラえもん「まさか……」

キッド「どうした?」

ドラえもん「やっぱり! さっき出した才能伸ばし薬が足りない! 不二咲くんが飲んだんだね?!」

霧切「クイックもいつのまにか全てなくなっている……」

ドラニコフ「ワオン?!」

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