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ドラえもん「ダンガンロンパ?」

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94 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 22:43:02.09 ID:Xatsirjn0

舞園「ちょうどいい所に来てくれました、大和田君」

大和田「あん? どうした、舞園?」

舞園「大和田君からも頼んでもらえませんか? のび太君達、野球がしたいって
    桑田君にお願いしてるんですけど、桑田君は嫌だって言うんです」

大和田「ああ? 野球? そんくらいやってやれよ。お前超高校級の野球選手だろうが」

桑田「だから……もう野球はやめたんだって。あんなダサいスポーツ元々好きじゃねーし」

大和田「ハァ? 別に試合するワケじゃあるめえし、少しガキどもに付き合うだけだろ?
     なんでそんな意地はってんだ。ちょっとくらいやってやりゃいいじゃねえか」

桑田「うるせぇな! やりたくねえっつってんだろッ! 俺は野球なんて大嫌いなんだよ!!」


ガタッバタバタバタ……


のび太「あ!」

ドラえもん「追いかけよう!」タッタッタッタッ

大和田「なんでぃ、変なヤツらだな」

舞園「……酷い人ですね。子供のお願いすら応えてあげないなんて……」


しかし、桑田の去った方向を見る舞園の目はとてつもなく暗くて冷たい。


大和田(なんだ……? 今こいつやべぇ目つきしてたぞ)ゾクッ


               ◇     ◇     ◇


のび太「どこいっちゃったんだろ」

ドラえもん「すぐに見つかるはずだよ。一階しか解放されてないんだから」

のび太「いってるそばから見つけた! お兄さ……」

95 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 22:50:27.28 ID:Xatsirjn0

ドラえもん「待って! なにか様子が変だ。トイレで透明マントをかぶって近付いてみよう」

のび太「でも、透明マントをかぶったらぼくたちもおたがいに見えなくなるよ」

ドラえもん「姿は見えなくても声は聞こえるし、はぐれないように手をつなげば大丈夫」

のび太「よし、じゃあ行こうか」


             ・

             ・

             ・


桑田「ああぁ、畜生……人の気も知らないで野球野球言いやがって……
    ガキどもがやりたいなんて言うから久しぶりにやりたくなっちまったじゃねえか」

桑田「いや! 違う! 俺は野球なんて嫌いだ。そうだ、大嫌いなんだ。夏は暑いし
    ユニフォームや部室はくっせえしボウズはダセエし監督はうるさいし」

桑田「野球なんて嫌いだ野球なんて嫌いだ野球なんて大大大嫌いだ」

桑田「……ボール、投げてぇなぁ。バット振りてえ……」

桑田「違う! 違う違う違う! こんなの本心じゃねえ。俺は野球に洗脳されてるだけだ!」

桑田「好きじゃない。好きなんかじゃない! あー! 畜生ー! ムシャクシャするー!」


ブツブツブツブツ……


のび太「……なにやってんの、あの人? さっきからずっとあんなかんじだけど」

ドラえもん「あぁ……そうだったのか。桑田くんは本当は野球が大好きだったんだね……」

のび太「え、まさか? きらいだっていってるじゃない?」

ドラえもん「悪いことをしちゃった。とりあえずトイレに戻ろう」

96 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 22:56:41.19 ID:Xatsirjn0

  ― 男子トイレ ―


のび太「好きだっていったりきらいだっていったり、ワケわかんないよ!」

ドラえもん「いや、本当は好きなんだよ! 理由はわからないけど、自分にウソを
       ついているんだ。嫌いだって言い聞かせているだけなんだよ」

のび太「なんのために?」

ドラえもん「……わからない。けど、きっとなにか深い事情があるんだろうね」

のび太「そっか。好きなことを好きっていえないんだ……なんだかかわいそう」

ドラえもん「うん。なんとかしてあげたいね」

のび太「でもどうすればいいんだろう……?」

ドラえもん「こればっかりはぼくにもわからないよ」

のび太「もう! かんじんなときに役に立たないんだから!」

ドラえもん「しょうがないだろ! どうせぼくは落ちこぼれのダメダメロボットだよ!」

のび太「べつにそこまでは言ってないけど……」


その時、二人の前に突然タイムホールが開く。


ドラえもん「な、なんだ?!」

のび太「なに?!」

「ちわーっす。未来デパートの者でーす。ドラえもんさんいらっしゃいますかー?
 ドラミさんからお中元の品のお届けでーす」

ドラえもん「あ、宅配の人か。ご苦労様です」

「じゃ、サインここにお願いします」

ドラえもん「はいはい」

97 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 23:05:53.77 ID:Xatsirjn0

のび太「なにがとどいたの?」

ドラえもん「わあ、ドラ焼きだ! あとで電話しないと」

のび太「……そうだ!」

ドラえもん「なに? どうしたの?」

のび太「おもいきってドラミちゃんに相談してみようよ!」

ドラえもん「ドラミに?」

のび太「そうだよ! ぼくたちにわかんないことでもあたまのいいドラミちゃんなら
     わかるだろうし、きっといい案をかんがえてくれるはずだ!」

ドラえもん「なるほど! じゃあ、久しぶりに会いに行ってみようか」

のび太「うん!」


  ― 未来 ―


ドラミ「お兄ちゃん! のび太さんも! 突然どうしたの?」

のび太「こんにちは、ドラミちゃん」

ドラえもん「やあドラミ。お中元届いたよ。ありがとう」

ドラミ「そんな、いいのに。わざわざお礼を言うために直接来てくれたの?」

ドラえもん「いや、それだけじゃないんだ」

のび太「実はね……」

ドラえもん「カクカクシカジカ、と言うわけなんだよ」

ドラミ「まあ。お兄ちゃん達ったら、また大冒険をしているのね!」

のび太「大冒険って言っても、今回はずっと学校の中にいるだけだけどね」

98 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 23:13:50.50 ID:Xatsirjn0

ドラミ「私そのゲーム知ってるわ」

のび太「え? 本当?」

ドラミ「ええ。レトロゲームって安いし良質な物が多いから、セワシさんもよくやるのよ」

ドラミ「それで私が、どうせゲームするなら推理物とか頭を使う物にしたら? って言って、
     今ちょうど裁判物にハマっているの。ダンガンロンパとか逆転裁判とか」

のび太「じゃあ、ドラミちゃんはぼくたちの知らないことも知っているんじゃ!」

ドラミ「あ、ごめんなさい。私はゲームを直接やった訳じゃないから深い内容までは
     知らないわ。セワシさんも出掛けているし……詳しく話してもらえないかしら?」

ドラえもん「わかった」


今までの状況をドラミに説明する。


ドラえもん「――ということなんだ」

ドラミ「……そうだったの。自分の好きなこと、それも世間から評価されている物を嫌いって
     言うなんてよっぽどよ。多分、野球関連で何か凄く嫌なことがあったんだわ」

のび太「いやなこと?」

99 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 23:24:16.67 ID:Xatsirjn0

ドラミ「ええ。それが何かはわからないけど、恐らく人間関係じゃないかしら? 高校生の
     悩み事なんて勉強、進路、あとは対人関係くらいしかないと思うし」

のび太「人間関係かぁ。……もしかして、チームのなかまとケンカしたとか?」

ドラえもん「ありうるね。ほら、さっき苗木くんが言ってたじゃない?
       天才は周りに理解されづらいみたいなこと」

のび太「じゃあ、げんいんはそれでいいとして……ぼくたちはどうすればいいの?」

ドラえもん「結局そこなんだよなぁ」

ドラミ「ムリにでもやらせてみたら?」

のび太「野球を?」

ドラミ「そう。仮に人間関係が原因だったとしてもそうでなかったにしても、少なくとも今の
     生活でまでウソをつく必要性はないでしょ? 好きだって気持ちを思い出させてあげれば
     案外素直になれるんじゃないかしら。そのきっかけを作ってあげたらいいと思うわ」

のび太「すごい! さすがドラミちゃんだ」

ドラえもん「いやぁ、優秀な妹を持ってぼくは幸せだよ」

ドラミ「どういたしまして! これで舞園さんも思いとどまってくれるといいわね」

のび太「…………」

ドラえもん「…………」

ドラミ「……どうしたの? 私、何かおかしなこと言った?」

100 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 23:33:10.34 ID:Xatsirjn0

のび太「いや、そうじゃなくてね……」

ドラえもん「桑田くんに気を取られていてすっかり忘れてたよ。そうだった。
       舞園さんをとめるのが元々の目的だった……」

ドラミ「……まあ、呆れた。まずは今晩起こる事件をなんとかしなくちゃダメじゃない」

ドラえもん「めんぼくない」

のび太「もう! ドラえもんはいつもかんじんな時にぬけてるんだから!」

ドラえもん「きみだって忘れてただろう! ぼくだけのせいにしないでよ!」

ドラミ「ケンカはやめて。お兄ちゃんとのび太さんにかかっているんだから頑張って! ね?」

ドラえもん・のび太「はーい」


 ― 現代・男子トイレ ―


ドラえもん「ドラミが気付いてくれて良かった。まずは今晩をなんとかしないとね。
       ちょっと反則だけど、今回だけソノウソホントで事件を防ごう」パパラパッパパー

ドラえもん「『今晩は誰も事件を起こさない』。よし、これで今日は大丈夫!」

のび太「もういっそこれで全部なんとかしたいけどね」

ドラえもん「それはダメだよ。前にも言ったけど生徒達が精神的な成長をなにもしてないじゃない」

のび太「わかってるって。……でもさあ、ムリヤリやらせるって言ってもどうやって?
     舞園さんはおろか、あのこわいお兄さんが言ってもきいてくれなかったんだよ?」

ドラえもん「うーん、ぼくに考えがあるんだけど……」

のび太「え?! なにか案があるの? おしえてよ!」

ドラえもん「今こそあの“うるさい人”に活躍してもらう時じゃないかな?」

101 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/13(土) 23:46:00.80 ID:Xatsirjn0

ここまで。2スレ同日更新はなかなか大変だ
次から別日にしよう…

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/13(土) 23:51:02.50 ID:MYcr4eBM0
ソノウソホントが最強じゃね
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 00:16:08.55 ID:WMfiCFsbO
ドラがチート感あるけど面白いな
待ってるから投下頑張ってくれ
104 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 19:06:36.36 ID:vQefG67b0

〜 NGシーン 〜


ドラえもん「ヤル気スイッチ〜!」パパラパッパパー

のび太「なにそれ?」

ドラえもん「この装置を相手に向けてプラスのボタンを押せばヤル気が出るし、
       マイナスのボタンを押せば相手のヤル気を下げることが出来るんだ!」

のび太「それで舞園さんのヤル気を下げるんだね!」

ドラえもん「そういうこと!」

のび太「ぼくにやらせて」サッ

ドラえもん「あっ、ちょっと!」

のび太「えい」ポチッ

舞園「うおおおおおおおお! 桑田ぶっ殺してやる!!」

のび太「まちがえた〜!」

ドラえもん「なにやってんだ?! 殺る気をだしてどうするんだ!!」

のび太「ごめんなさーい!」



〜 まもなく再開 〜

105 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 19:23:50.77 ID:vQefG67b0


  第五話 桑田くんのなやみ(後編)


翌日。朝食会にて。


石丸「静聴せよ!! 今日は諸君らに重大な知らせがある!」

葉隠「重大?」

山田「なんなんですかね?」

石丸「この朝食会終了後、本日は全員で野球を行うっ!」

桑田「ハアアア?! なんでっ?! 冗談じゃねえ!」

十神「俺は参加しないぞ。お前達で勝手にやっていろ」

石丸「ちなみに女子はどうしても嫌なら見学でも良いが男子は全員参加だ。
    特に桑田君! 超高校級の野球選手である君は絶対に絶対に参加とする!」

桑田「だから! なんでだよっ! ありえねーし!」

石丸「これは決定事項だっ!!」

山田「ムチャクチャですよ!」

大和田「おい石丸、別に俺は構わねーがせめて理由くらい言えや」

石丸「ム、失礼した。実はこれには深い理由がある!」

葉隠「なるべく短めに頼むべ」

石丸「実は他ならぬのび太君の頼みなのだっ!」

朝日奈「え、のび太の?」

106 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 19:34:50.70 ID:vQefG67b0

舞園「……そういえば、昨日も桑田君を野球に誘っていましたね」

石丸「のび太君は現在友達がキャプテンをしている地域の野球チームに所属しているのだが」

石丸「その友達というのはジャイアン君と言ってとんでもないガキ大将なのだ!
    そして事あるごとにのび太君をイジメるらしい!」

葉隠「ジャイアン? ジャイアント馬場か?」

山田「ガキ大将でジャイアン……子供向け漫画のキャラクターみたいな安直さですな」

朝日奈「アハハ、ジャイアンだって変な名前!」

苗木「いや、アダ名だと思うよ?」

石丸「のび太君は元々運動が苦手で、今もこんな所に閉じ込められますます野球が下手に
    なってしまうことを危惧している。このままでは帰ってからイジメられてしまうだろう!」

大神「成程。つまりはここに閉じ込められている間に特訓したいということか」

石丸「そうだ! のび太君がイジメられないように僕達は年長者として協力する義務がある!
    そしてのび太君は超高校級の野球選手である桑田君を指名したのだ。わかったか!」

石丸(昨日はのび太君達が困っていたのに僕は何の役にも立てなかった。みんなを
    まとめる風紀委員として、いや人生の先輩として余りにも不甲斐ない……)

石丸(これはチャンスなのだ! 今日ここで僕は名誉を挽回し汚名を返上するぞ!!)


熱い決意と共に石丸の真っ赤な瞳が狂気的に爛々と輝く。


桑田「冗談じゃねえよ! 俺の意思は無視か?!」

石丸「無視に決まっているだろう! 子供の希望を優先する!!」

桑田「やめてくれよ……俺は本当に野球が嫌いなんだって……!」

107 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 19:46:27.75 ID:vQefG67b0

石丸「いいや、駄目だ! 僕が羽交い締めにしてでも君を参加させるぞ!」

桑田「勘弁してくれってマジで……」

のび太「すごい……あのお兄さんほんとうに強い! 頼んで正解だったね」ボソ

ドラえもん「なんという押しの強さ……さすが超高校級の風紀委員だ」ボソ

ドラえもん(自分が正しいと思ったら周りの目を一切気にしない石丸くんのKYさがプラスに
       働いたね。でも桑田くんも相当頑固だからなぁ。すんなり行くといいけど)

桑田「イヤだっつってんだろ! 力ずくでってんならやってみろよ! ああ?!」バン!

石丸「君も往生際が悪いな! 良かろう、そこまで言うならみんなの意見を聞いてみようではないか!」

桑田「え」

石丸「民主主義の法理に則り、多数決で決めれば文句はないな! 僕の意見が正しい、
    のび太君のために桑田君は協力すべきと思う人は挙手してくれたまえ!」

セレス「あら、単独では厳しいと判断してこっちを巻き込む策に出ましたわね」

苗木「流石、石丸君。政治家を目指してるだけあるなぁ……」

不二咲「でも、確かにのび太君達の手助けはしてあげたいよね。……僕は役に立たないかもしれないけど」

江ノ島「どーでもいいし。つか桑田をさっさと協力させて終わらせない?」

大和田「だな。なーにくだらねぇ意地はってんだか」


桑田以外全員挙手。


桑田「な……な……」

石丸「どうだね? これが民意だ! さあ、潔く協力したまえ!!」

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 19:58:21.79 ID:HXt3ivPuO
待ってた
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 20:02:01.54 ID:DNE4i4AW0
見方によっては一種のいじめになるけど、桑田の場合はここまでしないと意地張ったままだからなぁ
110 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:10:50.60 ID:vQefG67b0

桑田「くっそぉ……つかなんで十神までちゃっかり参加してんだよ?!
    普段はこういうこと一切参加しねえくせによー!」

十神「決まっている。奴の馬鹿でかい声は俺にとって最も堪えがたい騒音なのだ。
    それを黙らせることが出来るなら手の一つや二つくらい、いくらでも挙げてやる」ノ

腐川「アンタのせいで白夜様が精神に大ダメージ受けてんのよ! いい加減諦めなさいよ」ノ

桑田「う、ぐ……」

朝日奈「ねー、なんでそんなに嫌なの? ちょっと付き合うだけでいいからさ!」ノ

舞園「……私からもお願いします。のび太君のためだと思って」ノ

大和田「おい、昨日は見逃してやったが二度もガキの頼みをムゲにしやがったら
     俺がテメェをブッ転がしてやるからな。どうする、桑田? アア?!」ノ

桑田「クソ……クソ……」

霧切「ねえ、桑田君。さっきからずっと聞いていたけど、あなた何か野球をしたくない
    特別な理由があるんじゃないかしら。そこまで嫌がるなんて尋常じゃないわ」ノ

桑田「……別に。野球なんて泥くさくてダセースポーツはイケてる俺には合わねーってだけだし」

石丸「成程! そんなつまらない理由しかないなら君が拒否する権利はないな!!」

桑田「…………わかったよ。ほんとうに少しだけだからな」

のび太「お兄さん、ほんとう? ヤッター! ひさしぶりに野球ができるよ!」

ドラえもん「よかったね、のび太くーん!」

苗木「おめでとう! じゃあこれから頑張ろうね」

石丸「ウム! 努力はおしなべて美しい。僕は努力する者全員を応援するぞ!」

桑田「…………」

111 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:17:47.39 ID:vQefG67b0

  ― 体育館 ―


ワーワー!


のび太「うわーん!><」スカッ

大和田「おいおい……今のはスローボールってレベルじゃねえんだが」

江ノ島「さっきからカスリもしないじゃん。男ならちょっとは根性見せなよ」


人数が足りないので、試合形式ではなくバッティング練習を行っている。ピッチャーは大和田だ。


朝日奈「腰が入ってないよ! それにもっと早く振らなきゃ!」

大神「何事も基礎からしっかり修めるのが肝要だ」

石丸「フーム、まず筋トレからと行きたい所だが筋肉は一日二日では出来ないからな。
    ここは少しでも正しいフォームを体に覚えさせるべきだ。桑田君、出番だぞ!」

桑田「……あ? なにすりゃいいんだよ」

苗木「その、のび太君にお手本を見せてほしいな」

朝日奈「うん! フォームの勉強は基本だしね。あんたのを見せれば参考になるはず」

不二咲「ぼ、僕も参考にしよう」ボソボソ

桑田「……しょーがねー。やるか」スクッ

桑田(ボールにバット……久しぶりだな……)

ドラえもん「じゃあぼくたちはしばらく見学してるね!」

石丸「ウム、しっかり見ていたまえ。見て学ぶと書いて見学だからな!」

112 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:25:49.38 ID:vQefG67b0

大和田「よし! 桑田ほどじゃねえが俺だってそこそこ肩には自信があるんだ。行くぜ!」


シュッ、カキーン! ドカッ!


山田「あらら。瞬殺されちゃいましたね」

苗木「開幕いきなりで天井直撃ホームラン……」

大和田「…………」

大神「次は我が投げてみるか」


ドシュッ、カキーン!


朝日奈「すごい! さくらちゃんの剛速球を打ち返しちゃった!」

葉隠「オーガの球を打ち返すなんて、あの体のどこにそんなパワーがあるんだ」

セレス「そこまで大柄でもありませんし、さほど筋肉質には見えませんのにね」

霧切「テクニックよ。彼の動きには全く無駄がないもの」

桑田「……どーしたよ。なんなら次は俺が投げるか?」

石丸「よし、僕が打ってみせる!」

大神「あやつの球を捕れるのは我くらいだろう。全力で投げても良いぞ」

桑田「なら、遠慮しないぜ。うらっ!」


バシンッ!


石丸「……う。全く見えなかった」

113 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:31:31.10 ID:vQefG67b0

朝日奈「あたしもやるやる! 打ち返すのはムリでもバントくらいならなんとか……」


ドギュンッ!


大神「ぬおっ?! 今のは変化球と言う奴か。危うく捕り損ねる所だった……」

朝日奈「あっれー? カスリもしなかった。一応野球部も兼部してるんだけどなー。あちゃー」

大和田「リベンジだ! 今度こそ……」


バシンッ!


大和田「くっそ。マジで見えねぇ……」

葉隠「じゃあ、次は俺が……」


シュンッ! スカッ。


葉隠「無理だったべー」

江ノ島「そりゃそうでしょ」

桑田「オラオラー! どんどん行くぞぉっ! ハハハハハッ!」

苗木「凄いね、流石超高校級の野球選手って感じ。ねえ、舞園さん」

舞園「……そうですね」

山田「練習ゼロでこの実力とかもはや周囲を馬鹿にしてるレベルですな」

腐川「そのうえあの態度だものね……まあ、あたしは人のこと言えた義理じゃないでしょうけど」

霧切「…………」

114 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:44:29.43 ID:vQefG67b0

舞園(これほど恵まれた才能を持ちながら何故……何故、野球を軽んじるんですか?
    どんなに努力したってあなたのようになれない人はたくさんいるんですよ?)

舞園(そのうえ軽々しく芸能界を目指すとか、私の努力を馬鹿にしているんですか?
    野球で、才能で得た知名度を使って私が今まで死ぬほど苦労して手に入れた物と
    同じ物をあっさり手に入れるつもりなんですか?)

舞園(……そんなの、絶対に許せませんよ)

石丸「ハァハァ、彼は本当に何の努力もせずあの実力なのか? 全く天才と言う存在は
    本当に憎たらしいものだな……。さてのび太君、どうだね? 参考になったかな?」

のび太「……ごい」

苗木「のび太君?」

のび太「すごい! ほんとうにかっこいい!」

桑田「……え?」


のび太は桑田に駆け寄る。


のび太「すごいよ、桑田お兄さん!」

ドラえもん「うん、とってもかっこいいよ!」

桑田「……お、おう」

のび太「そんなにすごいのに、どうして野球がきらいなの?」

桑田「!」

のび太「野球をやってる時のお兄さんのかお、すごく楽しそうだったよ?」

ドラえもん「そうだよ! 本当は野球のこと好きなんでしょ? どうして嫌いなんて言うのさ」

桑田「ち、違う……俺は……」

115 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 20:54:40.80 ID:vQefG67b0

苗木「桑田君?」

桑田「お、俺は野球なんて好きじゃねええええええッ!!」

大和田「ハァ?」

江ノ島「なに言ってんの。さっきまでノリノリだったくせに」

桑田「うるせー! あー、もうヤメだヤメ! ったく、せっかく付き合ってやったってのによ!」

朝日奈「ちょっと」

葉隠「おい、桑田っち」

不二咲「ど、どうしたのぉ……?」


桑田の突然の豹変に周りはついていけないが、去り行く背中に向かってのび太は叫ぶ。


のび太「桑田お兄さんのうそつきっ!!」

一同「?!」

のび太「お兄さんは大うそつきだ! ぼくたちほんとうは知ってるんだよ! 前にろうかで
     ひとりごと言ってるのきいたんだから! ほんとうは野球がしたいんでしょ!」

桑田「な……!」

舞園「?!」

葉隠「え、ちょ、どんな流れなんだべ今?」

十神「全く愚民はよくわからんな」

セレス「あら、いたんですか? 運動に自信がなくて逃げ出したのかと」

十神「馬鹿を言うな。フン、それであいつらは何をするつもりだ?」

116 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:04:25.48 ID:vQefG67b0

山田「一体なにが始まるんです?」

大神「静かにするのだ! のび太は今大事な話をしようとしている」

ドラえもん「ごめんね、桑田くん。盗み聞きをするつもりはなかったんだけど、
       どうしても気になってしまって。何故きみは自分にウソをつくんだい?」

桑田「ち、違う! 俺は嘘なんか……」

のび太「じゃあなんで野球がしたいなんて言ってたの! だれもいないところで
     言ってたってことは、それがお兄さんのホンネなんでしょ!」

桑田「お、俺は……俺は……」

石丸「えーい! 男ならハッキリしたまえっ!! 嘘なのか本当なのか、どっちだ?!」

桑田「…………」


ゴクリと、誰かのノドが鳴った。


桑田「……だよ」

石丸「ん? 何だ? もっと大きな声で話したまえ」

桑田「……きだよ。好きだよ。……そーだよ! 俺は本当は野球が大好きだよ! 文句あるかあああっ!!」

苗木「いや、野球選手が野球好きで文句言う人なんていないと思うけど……」

大和田「アイツさっきからなんであんなにわーわー騒いでんだ?」

葉隠「まったくワケわからんべ」

セレス「それをこれから話すのではなくて? わたくしは興味ありませんけど」

桑田「うるせー! お前らに俺の気持ちなんてわかるかっ!!」

117 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:15:48.55 ID:vQefG67b0

大神「落ち着け、桑田。好きなら何故その気持ちを隠していたのだ? お主は
    誰もが認める超高校級の実力を持つ選手……嘘をつく理由などあるまい」

桑田「それがあるんだなー、これが」

石丸「何なのかね、その理由とは?」

桑田「俺が『天才』だからだよ!」


シィーーーーーン。


一同「…………」

ドラえもん「えーとね、桑田君……」

のび太「お兄さん、いくらなんでもそれは……」

桑田「ほら! そういう反応するだろ! だから俺は言いたくなかったんだって!!」

江ノ島「あんたさっきから言ってることメチャクチャじゃない?」

霧切「……順を追って話してくれないかしら」

苗木「あれ、霧切さんいつからそこに?!」

霧切「ずっといたわよ? 野球に夢中になってて気付いていなかったみたいだけど」

苗木(霧切さんの視線が痛い。印象が悪くなったようだ)

桑田「……俺はよ、ガキの時はとにかく野球一筋でさ、毎日朝から晩まで馬鹿みたいに
    グラウンド走り回ってたワケよ。いくら俺が天才っつったって、ガキの時からなんでも
    出来るワケじゃないだろ? だから上手くなりたくてひたすら練習してたんだよ」

石丸「そんなまっとうな少年が、何故今はこんな変わり果てた姿になってしまったのだ?」

桑田「かわり果てたって言うな! ……そうさ、俺もガキの時は他のヤツらとなんら
    変わらねぇ普通の球児だった。ただ違ったのは……俺は天才だったんだよ」

118 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:23:51.26 ID:vQefG67b0

舞園「…………」

江ノ島「自分で自分のこと天才天才言うのって恥ずかしくない?」

腐川「ほんと、恥ずかしい男ね!」

ドラえもん「ま、まあまあ!」

のび太「それで! なにがあったの?」

桑田「他のヤツらがさ、何年もやらなきゃ出来ないこと……下手したら一生かけても
    出来ないことを俺はスラスラ出来ちまったんだよ。そうしたらもうダメさ」

桑田「あんだけ楽しかった練習が苦痛にしか感じなくなっちまったんだ。だってそうだろ?
    俺は全部出来ちまうんだから! 他のヤツらが出来ない横で俺だけ出来るんだよ!」

石丸「し、しかし……基礎をしっかり修めるのは何事も重要ではないかね?」

桑田「じゃあ努力努力うるさいお前に聞くけどよ、石丸! お前、高校生なのにいつまで
    経っても小学生の問題やらされて納得出来んの? 文句言わずにやれるか?!」

石丸「それは……」

桑田「朝日奈! お前一週間バタ足だけやれって言われたらどうする?!」

朝日奈「え、それはさすがにイヤかも……」

桑田「俺にとっちゃそういうことなんだよ! だから俺は練習が嫌いなの!」

大神「ならば自分のレベルに合った練習方法を探せば良いのではないか?」

桑田「……そこがチームスポーツの難しい所なんだよ。個人スポーツなら練習内容とか
    ある程度融通きくけどさ、チームで一人だけ毎回別行動するワケいかねえだろ」

桑田「実際にさ、監督が俺だけ特別メニュー組んだこともあったけど、チームの目が厳しいんだよ。
    ああ、またアイツだけ特別扱いか。そうか、アイツは天才だもんなって陰で言われてさ……
    逆にムリして周りに合わせようとすると今度は手を抜いてるって叩かれたりするし」

葉隠「まあ、よくある話だな」ウンウン

苗木「桑田君……」

119 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:35:00.98 ID:vQefG67b0

桑田「だから! 俺は考えたの。野球嫌いなことにして先生や監督に頼まれて嫌々試合に
    出てるって形にすれば、練習は最低限で済む。陰口も聞かなくて済む!」

桑田「俺が練習は嫌いだからしないって言うとみんなお前らみたいな、ああこれだから
    天才はって顔するけど、野球が嫌いならそれも仕方ないって思ってもらえるだろ!」

舞園「…………」

霧切「もしかして、ミュージシャンを目指しているというのもそれに関係があるのかしら?」

桑田「ああ。音楽は昔から好きだし、野球ほど才能ないだろ? だから、すぐに上手くなったりは
    しないけどそのぶんいくら練習しても飽きねえし、上手すぎて陰口叩かれることもないしな」

苗木「……え?! ちょっと待ってよ! ミュージシャンを目指してるのは、
    美容院のお姉さんと付き合いたいからって前に言ってなかったっけ?!」

桑田「ああ、その話は半分本当で半分ウソだ。お姉さんとお付き合いしたいってのは本当。
    でもそのためにミュージシャン目指したってのはウソ。だってさ、いくらお付き合い
    したいからって、俳優だのミュージシャンだのそうコロコロなれるワケねーだろ」

苗木「えー、うっそーん……(信じてたのに)」ガーン

桑田「それに、ほら! 俺に努力とかなんか似合わないじゃん! 練習してなくてもいつのまにか
    出来てるって方が俺のキャラに合ってるし。だからマジで目指してたのは秘密だったんだよ!」

江ノ島「あんたねぇ……」

セレス「まあ桑田君ですから」

石丸「では君は……自分が才能があり尚且つ大好きなものを
    諦めようとしていたというのか。そんな……」

石丸(天才というものは皆等しく才能に胡座をかいている……その代表例かと思っていた桑田君が、
    こんな悲しい選択をして陰で努力をしていたなんて。一体僕は彼の何を見ていたのだ!)

ドラえもん「……そっか、そんないやなことがあったんだね」

桑田「そうさ。だから俺は野球が嫌いになったんだ。嫌いだって何度も自分に言い聞かせてたら
    本当に嫌いになった気がして……今は野球なんて嫌いで嫌いで仕方ねえんだよッ!!」

120 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:45:23.98 ID:vQefG67b0

ドラえもん「でも、本当は好きなんだろう? 好きなものをむりやり嫌いになるなんて
       そんな悲しいことはないよ。もうやめにしよう」

桑田「仕方ねえだろ! 他にどうすりゃいいって言うんだよ!!」

のび太「……ごめんなさい」

苗木「のび太君?」

桑田「なんだよ、突然……」

のび太「ぼくね、すごくうんどうオンチでしょ? だから、天才のお兄さんがうらやましくて
     しかたなかったんだ。練習しなくてもうまいなんてずるいってずっと思ってた」

桑田「…………」

のび太「でも、才能がありすぎるっていうのもとてもツライことなんだね」

のび太「ぼくのクラスにも、すごく出来の良い天才みたいな子がいるんだ。あたまが良くて
     野球やサッカーもとくいで、おまけに顔も性格もいいし。でも、ぼくたちはいつも
     その子をあそびにさそわないんだ。……たぶん、シットしてるからだとおもう」

桑田「…………」

のび太「ぼくたち、お兄さんのチームメイトの人たちとおんなじことをしてたんだね……
     いやな思いをさせてごめんなさい。こんどからはその子もさそってみるよ」

桑田「……そうしてやれよ。きっと、そいつも喜ぶぜ」


シーーーン……


葉隠(おーおー、どいつもこいつも若いったらねえな!)グスッ

山田(まさかリアルで青春アニメみたいな展開を見るとは……子供恐るべし!)グスン

十神「フン……」

121 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 21:56:13.99 ID:vQefG67b0

大神(のび太……)ジーン

大和田(チッ、あークソッ。ちょっと、涙腺にきちまったじゃねえか。あーヤベェ。上見よ、上)

ドラえもん(桑田くんだけじゃない……今回のことで、きみも成長したねのび太くん!)グスグス

腐川「何よ……ちょっといい空気じゃない……」グスッ

不二咲「いい話だねぇ」グスグス

舞園(…………)

石丸「う、ひぐっ、グスッ。ううう……」ボロボロ

苗木(なんか凄いしんみりしちゃったな。桑田君はただのうぬぼれてる嫌な人じゃなくて、
    ちゃんと理由があってああいう発言をしてたんだね……まあ元の性格もありそうだけど)

霧切(まだ終わりじゃないわ。桑田君の野球嫌いを完全に直してはいない。
    ここからが正念場よ。のび太君、あなたの手腕見させてもらうわ)

のび太「ねぇ、桑田お兄さん」

桑田「なんだよ……」

のび太「野球をおしえてくれないかな」

桑田「それは構わねえが……」

のび太「ぼくだけじゃない。みんなにもおしえてあげるのはどう?」

桑田「!」

122 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 22:12:52.28 ID:vQefG67b0

のび太「自分ができることをえんえんとやらされるから練習がきらいなんでしょ?」

のび太「なら、練習するんじゃなくてみんなにおしえてあげるのはどうだろう? 超高校級の
     野球選手がおしえてくれたら、きっとみんな今よりうまくなれると思うんだけどなぁ」

桑田「……教える、か。そうだな。それなら、練習ほど嫌じゃないかもな……思えば、
    みんな真剣にやってるのに俺だけ身が入ってないから嫌われたのもあるし」

桑田「とりあえず、のび太。お前には、その……ここにいる間は俺がお前の専属コーチに
    なってやるよ。なんつったっけ? ジャイアンツ? そいつにイジメられないように
    これからこの俺が徹底的にしごいてやるから、覚悟しやがれ!」

のび太「……ほんと? ヤッター! 超高校級の野球選手がぼくのせんぞくコーチだって!」

ドラえもん「よかったね、のび太くん!」

苗木「おめでとう、のび太君。折角だし、僕も一緒に教わろうかな?」

朝日奈「私も私もー!」

不二咲「ぼ……私も教わっていいのかな?」

葉隠「俺にも教えてくれ! そんでそれを本にまとめて今度売らせてくれ!」

石丸「素晴らしい! 友情とはなんと美しいのか! 今ここに世代を超えた友情が
    生まれた! その立ち会いが出来て僕は本当に光栄だ!」


わーわー!


舞園「…………」

舞園(もし私がこの中から誰かを殺すのなら、桑田君……ずっとそう思っていましたが……
    桑田君はやめにしましょう。別に、桑田君のためじゃないですよ?)

舞園(のび太君から野球のコーチを奪ってしまえば、またのび太君が
    イジメられてしまう……のび太君のためです。本当にそれだけです)

123 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 22:27:46.79 ID:vQefG67b0

江ノ島「あー、なんかよくわかんないけど一見落着、みたいな?」

山田「そう思うとなんだからお腹が減りましたな!」

セレス「紅茶のお代わりが欲しいですわ」

朝日奈「あ、じゃあみんなでドーナツ食べようよ!」

山田「いいですねぇ、行きますか」

桑田「おら、のび太! 構え方が違う! こうだ!」

のび太「こう?」

桑田「違う! もっと背筋を伸ばしてだな」

のび太「こうかな?」

桑田「そうだ! それで、下半身に力を入れて…」

大和田「おお、さっそくそれっぽいことやってんじゃねえか」

ドラえもん「頑張るんだよ、のび太くん!」

石丸「僕も付き合うぞ!」

苗木「僕も。ここを出る頃にはみんな野球が上手くなってたりして。フフ」

大和田「違えねえな! ワッハッハッ!」

桑田「よし、行けっのび太!」

のび太「そんなきゅうにはムリだよ〜」


ワハハハハハ!!

124 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/14(日) 22:36:09.84 ID:vQefG67b0

ここまで。


次回予告(あの曲でhttp://www.youtube.com/watch?v=nXRaS_vGUpg


ドラえもん「いやあ、無事に解決して何より!」

のび太「舞園さんも桑田さんのことを見直したみたいだしもう大丈夫だね!」

ドラえもん「よーし、念のためにタイムテレビで確認を……」

のび太「えっ?! 事件?! 被害者は……」

ドラえもん・のび太「腐川さん?!」


次回もお楽しみに!
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 22:51:51.47 ID:BCuiQkAE0
乙です
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/14(日) 23:00:01.18 ID:Cld8wG7U0
127 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:07:39.65 ID:tukZbStW0


  第六話 舞園さんのゆめ


のび太「はぁー、疲れた」

ドラえもん「でも思いきり運動すると気持ちがいいだろう」

のび太「そうだね。早くぜんぶかいけつして、こんどは外でやりたいな」

ドラえもん「うん。とりあえず、桑田くんはやっと素直になれたし、みんなの桑田くんに
       対する見方も変わった。これで舞園さんも思い直してくれればいいけど」

のび太「ひるねしたいところだけど、まずはタイムテレビでかくにんしようか」


  ― 男子トイレ ―


のび太「もうすっかりここでタイムテレビを見るのがおなじみになっちゃったね」

ドラえもん「しかたないさ。それが一番効率がいいんだから。さて……」

のび太「あ、部屋の交換してない! やったよ! やっとふせげた!」

ドラえもん「待って! 次の日の様子も一応見ておかないと」

のび太「なにもおこってないといいけど」

ドラえもん「……静かだね」

のび太「あれ、どこにもだれもいないよ?」

ドラえもん「こ、これはまさか?! 地下を映してみよう!」


バーン!


のび太「が、学級裁判だー!」

128 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:14:55.33 ID:tukZbStW0

ドラえもん「そんな……」

のび太「し、しんだのはだれ? まさか桑田さん?」

ドラえもん「いや、桑田くんはいる。いないのは……」

のび太「腐川さんだ!」


腐川の席には赤い×印がついた腐川の遺影が置かれている。


ドラえもん「そんな、腐川さんが死んでいるなんて……原作と違うぞ!」

のび太「犯人はだれ?!」

ドラえもん「飛ばすね。もしかしたらと思うけど……」


苗木『犯人は舞園さん……君しかいないんだ』


ドラえもん・のび太「やっぱり舞園さんだー!!」

のび太「なに? なに? どういうこと? あきらめたんじゃなかったの?」

ドラえもん「……つまりこういうことだ! 舞園さんは桑田君をターゲットにするのはやめたけど、
       外に出ること自体はあきらめていないんだ! だから別の人を殺したんだよ!」


苗木『舞園さん……どうして腐川さんを殺したの……?』

舞園『……誰でも良かったんです。ただ、外に出たかった。いえ、出なければいけないんです!』

舞園『私にはこんな所にいる余裕なんてない! 私達アイドルは、いつも誰かに飽きられてしまう
    恐怖を抱いて働いている。……私がここにいる間も、私達は忘れられてしまうんです!』

129 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:24:58.65 ID:tukZbStW0

ドラえもん「なるほど。桑田くんだけが問題じゃない。舞園さんの外に出たいという気持ち……
       これをなんとかしない限り舞園さんによる殺人が必ず起こってしまうんだ!」

のび太「そんなぁ。どうすればいいのさ! 外に出たってなにもないよって
     つたえるいがいにあきらめてもらう方法なんてあるの?」

ドラえもん「これは……難関だな。外のことを教えるのが一番簡単だけど、もし今
       教えてしまえば舞園さんはおかしくなってしまうかもしれない……」

のび太「そんな……いったいどうすればいいんだろう……」


タイムテレビで舞園の自供を聞きながらドラえもんはふとあることに気がついた。


ドラえもん「うーん……ん?」

のび太「どうかしたの?」

ドラえもん「ちょっと気になることがあって……巻き戻すね」


舞園『私達アイドルは……アイドルというものは……アイドル……』


ドラえもん「舞園さん、やたらとアイドルって言葉を使ってるね」

のび太「そりゃそーだよ。なにせ超高校級のアイドルだもん」

ドラえもん「それにしても、なんだかこだわりかたが普通じゃないというか……
       なんていえばいいんだろう。うーん」

のび太「気になるならたしかめに行けば?」

ドラえもん「確かめるってどうやって……ハッ、そうか」



のび太「そう、タイムマシンさ!」

130 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:31:43.22 ID:tukZbStW0

  ― 八年前・根黒六中 ―


二人は苗木に出身中学を聞き、過去の根黒六中にやってきていた。


ドラえもん「舞園さんは高校二年生の時にスカウトされて二年間希望ヶ峰に
       通っていた。つまり本当の年齢は19歳。ここは八年前だから…」

のび太「ぼくとおなじ小学五年生のはずだね。苗木さんもいるのかな?」

ドラえもん「同じ中学に通ってたということは家が近いはずだから、探せば
       苗木くんもいるだろうね。でも今は舞園さんを探すのが先だよ」

のび太「どうやって探すの?」

ドラえもん「そりゃもちろん、たずねびとステッキ〜!」パパラパッパパー

のび太「それ、あんまり当たらないんじゃなかったっけ?」

ドラえもん「的中率は70%だね」

のび太「うーん。葉隠さんの占いよりはマシか。でもなー」

ドラえもん「しょうがないだろ! おおまかな方向だけでもわかればめっけものだよ」


スッ、パタン。


ドラえもん「こっちだ!」

のび太「大丈夫かなぁ…?」


1時間後。がむしゃらに探しまわった二人は、とうとう買い物帰りの舞園を見つける。


ドラえもん「い、いた! あの子じゃない?!」

131 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:38:00.29 ID:tukZbStW0

のび太「ホントだ! 間違いないよ。うわぁ、かわいいな〜」デレデレ

ドラえもん「スゴイ美少女だねぇ。うふふふ……ってこうしている場合じゃないや。
       舞園さんを追いかけるために、スパイ衛星〜。ゴー!」

のび太「よし、あとはのんびり見ていればいいね。ぼくちょっとねてるからあとはまかせるよ」

ドラえもん「もう! しかたないなぁ。……まあ、今日はよく頑張ったからゆるしてあげるか」


二時間後。


のび太「ふぁ〜あ、よく寝た。なにかうごきあった?」

ドラえもん「いや、なにもないよ。宿題をしたり、あとは歌や踊りの練習をしてたくらいかな」

のび太「はたからみたらぼくたちストーカーみたいだね……」

ドラえもん「……それは言わないでよ。ぼくも悪いなって思いながら見てるんだから」

のび太「それにしても、あれ……まだお母さんは帰ってきてないの?」

ドラえもん「最初はお買い物かと思ってたけど、よくよく考えたらお買い物は
       舞園さんが自分で行っていたし、共働きなんじゃないかな?」

のび太「あれ、なんかごはんのシタクしてない?」

ドラえもん「おうちのお手伝いをよくやっているんだ。えらいね」


その後、日が暮れても舞園の両親は帰って来なかった。


のび太「い、いくらなんでも遅すぎじゃない?! もうこんな時間だよ!」

ドラえもん「もしかして……舞園さん、お母さんがいないんじゃないかな?」

のび太「えっ?」

132 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:44:21.39 ID:tukZbStW0

ドラえもん「変だと思ったんだ。さっき舞園さんが取り込んでた洗濯物、舞園さんのを除いたら
       男の人の物しかなかったし。家事は全部舞園さんがやってるみたいなんだ」

のび太「そんな……じゃあ、お父さんがかえってくるまで毎日おそくまでひとりぼっちなの?」

ドラえもん「だろうね……あ、テレビを見てる。これは……」

のび太「歌番組だ。あ、アイドルが出てる!」

ドラえもん「食い入るように見てるね」

のび太「いっしょにうたいだした。このころからうたは上手だったんだね」


さやか『みんなかわいいな〜。さやかもこんなキレイなお洋服を着て、にぎやかな舞台に立てば
     もう寂しくないのかな。さやかも寂しい子を勇気づけてあげられるのかな……』


ドラえもん・のび太「…………」


さやか『今日も頑張る! いつか絶対さやかもあそこに立って見せるんだから!』

さやか『……お父さん、まだかな。遅いな……』


のび太「うわぁ……」

ドラえもん「そうか、舞園さんは寂しい気持ちをアイドルへの憧れに変えて今まで
       ずっと一人で頑張ってきたんだ。だから、それが奪われそうになって
       パニックを起こしてしまった。それが殺人の本当の動機なんだ!」

のび太「じゃあ、もうさびしくなんかないよっておしえてあげればいいのかな?」

ドラえもん「うーん、それは違うと思うな。だって、舞園さんはもうアイドルになって
       しまったんだから、アイドルという存在自体に執着してると思う」

のび太「じゃあ、アイドルかんれんじゃなきゃとめられないってこと?」

133 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:50:48.08 ID:tukZbStW0

ドラえもん「そうだねぇ。でも、アイドルっていうのは支えてくれるファンあっての
       ものだから、あの密閉された空間で説得するのはかなり難しいぞ」

のび太「それでも、やるしかないよ。だって、ぼく舞園さんにひとごろしなんてして
     ほしくないもん。あんなさびしそうなかおしてる女の子、ほっとけないや」

ドラえもん「時間はあまりないけど、頑張ろう!」


  ― 現代・男子トイレ ―


のび太「とりあえず、時間はどのくらいあるの?」

ドラえもん「犯行をタイムテレビで見てみよう」

のび太「場所は倉庫か。時間は夜中の1時くらい……」

ドラえもん「犯行場所と相手が変わっただけで、手口は桑田くんの時と
       ほとんど変わってないね。メモで呼び出して包丁でグサリ」

のび太「こんなたんじゅんな手口じゃすぐ霧切さんたちにみやぶられちゃうのに……」

ドラえもん「マズイな……あと半日しかないぞ。まったく策が浮かばない」

のび太「よしっ、もう一回苗木お兄さんに相談に行こう!」

ドラえもん「ちょっと待って。ま、まさか苗木くんに舞園さんが
       殺人を企んでるなんて言うつもりじゃないだろうね?!」

のび太「うん、それがいちばんじゃない? 苗木さんならきっととめてくれるよ!」

ドラえもん「ダメだよ! ムチャだ!」

のび太「どうして!」

ドラえもん「多分だけど、苗木くんは舞園さんのことが好きなんだよ?! それなのに
       そんなこと伝えたら、頭が真っ白になってすぐに止めに行くよ!」

のび太「それでいいじゃない。それのなにがいけないのさ?」

134 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 22:56:44.59 ID:tukZbStW0

ドラえもん「いいかい? 誰にも知られていないはずの殺人計画を、よりによって一番
       知られたくない人に知られて、舞園さんはきっとパニックを起こすだろう?」

ドラえもん「舞園さんが素直にあきらめてくれればいいよ? でもパニックを起こして、
       万が一口封じに苗木くんに襲い掛かりでもしたら……」

のび太「あ、そうか……舞園さんはさいしょの時点で苗木さんをだましてるんだし
     ゼッタイないとはいいきれないか……」

ドラえもん「今の段階だと学級裁判の存在は知らされてないけど、どの道苗木くんを見捨てて
       一人で脱出するつもりだったんだからね。そのくらいアイドルが大事なのさ」

のび太「でもぼくたちだけで話してたってなにもいいかんがえがうかばないのはたしかだよ」

ドラえもん「そうだねぇ……じゃあ、舞園さんの件は秘密にして相談してみるか」

のび太「うん、なにもしないよりはマシだろうし……」


  ― 苗木の部屋 ―


苗木「やあ、いらっしゃい」

ドラえもん・のび太「おじゃまします……」

苗木「どうしたの? 憧れの桑田君から野球を教われて、さっきはあんなに
    楽しそうにしてたのに。……何かあったの? 僕で良ければ相談に乗るよ」

のび太「苗木お兄さんはやさしいなぁ」ジーン

ドラえもん「ちょっとその、また質問したいことがあって……」

135 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 23:02:25.01 ID:tukZbStW0

苗木「コロシアイを防ぐための案かな? いいよ、何でも聞いて。役に立てるかわからないけど」

のび太「えーっと……」チラッ

のび太(ぼくがはなすとよけいなことをいいそうだし、ドラえもんがはなしてよ)

ドラえもん(わかった、任せて)

ドラえもん「あくまで例えば、の話だよ? もし、もしも何か凄い大切なものがあって、
       そのために人を殺してもいいくらい思い詰めている人がいるとしたら、
       どうすればその人を止められると思う?」

苗木「うわ、また難問だなぁ。というか、君達随分難しいこと考えてるんだね……
    僕でもそんなこと考えたことないよ。ちょっと待ってね。今考えるから」


そう言うと、うんうん唸りながら苗木は考え始める。


苗木「……うーん、ありきたりかもしれないけど『どんな理由があったって、人を殺して
    叶えようとするなんて間違ってる』って言うかな。それが大事なものであればあるほど、
    そんな手段で守ろうとするなんて僕は間違ってると思うんだ」

のび太「なるほど」

ドラえもん「その好きなものに対しての冒涜だって説得するんだね」

苗木「うん。本当にそれが好きであればあるほど、人殺しの無意味さとか
    残酷さで説得しようとしても意味がないんじゃないかって思ったんだ」

ドラえもん(確かに。もう人を殺そうと決意してしまっている人に、単に
       人殺しはダメだなんて言っても通じないだろうしね……)

136 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 23:10:32.07 ID:tukZbStW0

のび太「サンコウになったんじゃないかな?」

ドラえもん「ありがとう、苗木くん」

苗木「いやいや、あんまり悩まないでね。僕達も事件が起こらないように頑張るから」


苗木の部屋を出る。


のび太「よし! あとはいつ話に行くかだね!」

霧切「誰に何を話すのかしら?」

ドラえもん・のび太「うわああああっ!」

ドラえもん「き、霧切さん……」

霧切「凄い驚きようね。何か人に聞かれてはまずいことでも話していたの?」

のび太「そ、そんなことないよ!」

のび太(あちゃー、まずい人につかまっちゃったよ……)

霧切「ここ……苗木君の部屋ね。何を話していたのかしら?」

ドラえもん「ちょっと、ね」

のび太「そ、そうだんを少し」

霧切「相談?」

137 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 23:19:51.73 ID:tukZbStW0

ドラえもん「の、のび太くん!」

のび太「あ……(しまった!)」

ドラえもん(くっ、ここで変にごまかしたら恐らく霧切さんにマークされてしまう。
       しかたない。正直に話してしまおう。今なら話してもまだ問題ないはず)

ドラえもん「今後のことを考えて、もし目の前で事件が起こりそうになったら、どうやって
       犯人を説得すればいいかって話してたんだよ。霧切さんならどう説得する?」

霧切「私? 私なら、そうね……間違った手段で何かを手に入れても結局そんな物は幻だということ。
    それどころか、自分が今まで手に入れた物全てを失う、ということを実話を交えて話すわ」

のび太「じつわをまじえて……」

ドラえもん(さすが霧切さんだ……)

ドラえもん「あ、ありがとう! でもそんな日が来ないのが一番だけどね!」

霧切「そうね。私も出来る限りそう動くわ。何か困ったことがあったら言ってちょうだい」

ドラえもん(あれ? なんか協力的? アニメだと終盤までずっとクールなのに)

のび太「じゃ、じゃあさよなら〜」スタコラサッサ

霧切「…………」

霧切(庇ってもらった時のお礼を言うつもりだったのに、また言いそびれてしまったわね……)

霧切(あなた達は一体何者なの?)

138 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/17(水) 23:31:09.36 ID:tukZbStW0

ここまで。投下不定期でごめんなさい

ツイッターで投下予告してるんで良かったらご利用ください。
http://twitter.com/doctor_ronpa_K
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 11:55:58.92 ID:EOVEMttO0
思うネタなんですけど・・・
別にゲームの世界やから、過去変えても問題ないのでは?
後、結局は出木杉くんは映画ではハブられるから意味ないような気が・・・
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 14:12:03.75 ID:6TnfUDLBO
>>139
>>1からもっかい見返したほうがいい
もしもボックス使ってるし後半はそれ言うと二次創作が全て死ぬ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/18(木) 16:51:13.53 ID:AZH3iFKj0
出木杉は頭いいから連れてくとピンチにならなくなる、もしくはすぐに解決しちゃうからダメ、例えばこんな感じで

一同「タケコプターが壊れたぁ」
出来杉「バードキャップじゃダメなのかい?」

一同「どこでもドアが壊れたぁ」
出来杉「どこでも窓で代用しよう」

一同「タイムマシンがなくなったぁ」
出来杉「タイムベルトってあったよね?」

一同「ドラえもんが壊れたぁ」
出来杉「ポケットがあればいらないよ」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 16:59:00.88 ID:4Iqv/4JP0
>>141
最後ひでぇww
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 17:57:55.41 ID:u/hYtgXn0
出来杉とスネ吉兄さんはF先生のアバターと言ってもいいので
この2人が活躍するときはF先生の趣味ないし価値観に基づく話が多い
映画の撮影やラジコン、プラモ、自然環境問題関係はその最たるもの
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 18:25:13.80 ID:0QD8HcPSo
出木杉は仕方ないよね…有能過ぎるし。大冒険には連れていけないけど、CG映画では
同窓会にちゃんと呼ばれてたし一応友達扱いなのが救い

>>139
舞園から執念取ったら普通のアイドルにはなれても超高校級じゃなくなっちゃうんじゃない?
あと、次からメール欄に半角でsageって入れて欲しい。時々騒ぐ人がいるから
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/18(木) 18:47:24.46 ID:u/hYtgXn0
>>144
未来では家族ぐるみで付き合うほど関係は深い
ジャイアン、スネオと比べても[たぬき]に次ぐ親友になってる
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/18(木) 22:28:24.92 ID:AZH3iFKj0
ドラ「タイムマシンが壊れて空間移動ができない」
ドラ「タケコプターは時速80kmで八時間連続運転すると電池が上がっちゃう」
ドラ「アメリカから日本まで何千kmもあるから無理」
スネ「一日4時間飛んで電池を休ませながら進もう」
ドラ「そういえばこの時代はアメリカと日本は陸続きだった、なんとかして帰ろう」
〜ここまで原作〜

出木杉「スモールライト」
ドラ「え」
出木杉「スモールライトでピー助同様皆を小さくして運ぼう」
出木杉「飛ぶ人が一人なら今の本数のタケコプターで海を渡れる」
ドラ「お、おう」
出木杉「タイム風呂敷」
ドラ「!?」
出木杉「タイム風呂敷でタケコプターの電池がきれる前に戻せば無限に飛べる」
出木杉「そもそもタイム風呂敷でタイムマシンを直せばすぐ帰れる」
ドラ「」
武「やろう、せっかくの冒険気分を台無しにしやがって」ポカー
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 00:24:35.39 ID:WEz41vR8o
ドラミも相当優秀だよな
というか、ドラミの助言なかったら事件起こってたし
148 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 20:18:57.04 ID:KqIBAhZ20


  第七話 アイドルにえがおを!


  ― 男子トイレ ―


のび太「あー、ビックリした。いきなり現れるんだもん」

ドラえもん「探偵だからね。なんとか上手くごまかせて良かったけど」

のび太「まあ、せっとくの方法はこんなかんじでいいんじゃないかな。
     もんだいはいつ舞園さんにいうかだよ!」

ドラえもん「事件前がいいんじゃないかな。犯行に向かう直前がいいと思う」

のび太「……そのときって包丁もってるよね……ぼくたち、さされないかな?」

ドラえもん「さすがに子供を刺すことはないと信じたいけど……
       念のために、何か秘密道具を使おうか」

のび太「そうして。やっぱり、こわいしさ……」

ドラえもん「じゃあ夜ごはんまでまだ時間があるし、いったん部屋に戻ろうか。
       そうだ! 昨日ドラミからもらったドラ焼きを一緒に食べよう」

のび太「いいね! 今日はたくさん運動したし、ぼくおなかへっちゃった!」

ドラえもん「いつも同じ部屋でお世話になってる大和田くん達にも分けてあげようね」



  ― 大和田の部屋 ―


大和田「お、なんだ。ドラ焼きか。俺にくれるのか?」

ドラえもん「うん、大和田くんにはいつもお世話になってるからね」

149 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 20:24:35.70 ID:KqIBAhZ20

大和田「おう、サンキューな!」

のび太「あ、ぜんぶ食べちゃダメだよ。あとで石丸さんにも持っていかないとダメだから」

大和田「……おー、そっかそっか。のび太はあいつと相部屋だったっけな。どうだ?
     あいつうるせえんじゃねえか? なんならお前も俺んトコにきていいんだぜ」

のび太「うーん、さいしょはうるさいと思ってたんだけど、もうなれちゃった。
     言ってることはうちのママとあんまりかわらないし。今のままでいいかな」

のび太(それにこのお兄さん、ジャイアンほどおうぼうじゃないけど
     ときどきすごくこわいからやっぱりあの人のままでいい……)

大和田「お袋に似てる、か。ハハハ、確かにいちいち口うるさいのは一緒だな!」


ドラ焼きとお茶を飲みながら世間話をする三人。


のび太「そういえば、ぼく大和田お兄さんのことあんまり知らないや。
     えっと、ボウソウゾクのお兄さんがいたんだっけ?」

ドラえもん「のび太くん!」

のび太「あっ……」

大和田「ああ? 前にその話したっけか? ……まあ、いいか。そうさ。俺には兄貴がいたんだ」

のび太(よかった。気がつかれなかった……)

大和田「強くて、男らしくて、弟の俺から見ても本当にかっけえ男だったよ」

ドラえもん「……だった?」

大和田「ああ、死んだんだ。事故でな」

ドラえもん・のび太「…………」

150 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 20:39:02.09 ID:KqIBAhZ20

大和田「この話はシメっぽくなっちまうからヤメだ。そうだ。代わりに俺と兄貴の武勇伝なら
     いくらでも聞かせてやるぜ! 二人で散々暴れて荒らしまくったからよぉ!」


その後、大和田による武勇伝が延々と続く。


大和田「どうだ? すげーだろ? のび太、オメェももう少し大きくなったらうちに来るか?」

ドラえもん「のび太くんにはムリだよ。怖がりで根性なしだもん」

のび太「ひどい! ……まあ、じぶんでもムリだとおもうけどさ」

大和田「じゃあ、ここから出たら俺の後ろに乗せてやるよ!」

のび太「わあー、ほんとう?!」

ドラえもん「いいなぁ!」

大和田「ドラえもんもだ。順番に乗せてやるよ。『男の約束』だ」

のび太「男のやくそく……」

大和田「あ、どうした?」

のび太「ねえ、お兄さん……もし、もしもだよ? その男のやくそくのために、じぶんの
     大切なもののためにだれかをころさなきゃいけなくなったらどうする?」

大和田「!! のび太、おめぇ……!」

ドラえもん「のび太くん! あ、ごめんね。ぼくたち、その……コロシアイを止めるには
       どうすればいいかってさっきからずっと話してて! 別に大和田くんが
       人を殺しそうとかそんなこと思ってるわけじゃないから! 本当に!」

大和田「…………」


しばらく大和田は腕を組んで考え込んでいた。

151 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 20:47:31.27 ID:KqIBAhZ20

大和田「……いや、いいんだ。確かに、このメンバーで一番殺りそうなヤツは
     間違いなく俺だろうしな。……ガキの前で言いたくはねぇが、正直今もブルってる」

ドラえもん「大和田くん……」

のび太「もしお兄さんがまちがえそうになったら、ぼくたちはなんていえばいい?
     なんて言えば、お兄さんはとまってくれる?」

大和田「あァ、そうだなぁ……そんな真似して、本当に兄貴が喜ぶと思ってんのか!
     目を覚ませ、大バカ野郎! とでも言ってくれや……そんな日が来ねえといいがな」

のび太「うん、ありがとう……へんなこときいちゃってごめんね」

大和田「……いや、いいんだ。気にすんな」


  ― 廊下 ―


ドラえもん「のび太くん、どうして突然あんなことを言い出したの?」

のび太「……ほら、あの人と大和田さんてにてるんじゃないかなって思って」

ドラえもん「似てる?」

ドラえもん「うん、だってほら……二人ともどうしても守りたいものがあるでしょ? そのために、
       さつじ……アレをしてしまうわけでしょ? だから、にてるんじゃないかなって」

ドラえもん「なるほど。まあ、一番参考になったかもしれないね」

のび太「あとは、時間まで待つだけだ…」

152 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 20:55:18.48 ID:KqIBAhZ20

 ― 倉庫 00:40 ―


ドラえもん「バレなかった?」

のび太「うん、石丸さんはときどきおそくまでべんきょうしてるけど、キホン的に
     12時前にはぜったいねる人だから。ドラえもんこそだいじょうぶだった?」

ドラえもん「うん、大和田くんは最初のうちは夜更かし型だったけど、
       毎日早起きするようになって今は割りと早く寝てるからね」

のび太「あとはぼくたちのセットクがつうじるか、だね」

ドラえもん「うん」


舞園が腐川の部屋の扉の下に入れたメモは読まれる前に取り寄せバックを使って外に押し出し、
偶然を装ってのび太が発見した。今は二人で舞園を説得しようとしているという体裁を取っている。


ドラえもん「……来た!」


二人は倉庫の影に隠れる。


舞園「…………」

のび太「舞園さん」

舞園「っ! の、のび太くん……?!」

ドラえもん「ぼくもいるよ」

舞園「ドラえもんさんまで……こんな時間に二人共どうしたんですか?
    夜時間に出歩くのは禁止されていますよ。ただでさえ危ないのに」

のび太「あぶなくなんてないよ。だれもさつじんなんてしないもん」

舞園「……そんなの、わからないじゃないですか」ソワソワ

153 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 21:07:34.21 ID:KqIBAhZ20

ドラえもん「誰か待ってるの?」

舞園「(ビクッ)い、いえ、そういう訳じゃ……」

のび太「腐川さんならこないよ」

舞園「?!!」

ドラえもん「このメモ……見覚えあるよね?」

のび太「ぼく、たまたま舞園さんが腐川さんのへやにこのメモをいれるの見ちゃったんだ。
     それで、わるいとおもったんだけど、ついきになって見ちゃった」


メモの内容は『私はあなたの秘密を知っています。話があるので今夜1時に一人で倉庫に
来てください』だ。舞園は別に腐川の秘密を知っている訳ではないが、適当に書いたことが
たまたま腐川にとって致命的な内容で、もしこのメモを読んだら無視出来なかったろう。


ドラえもん「どうして、こんな時間にこんな人気のない場所に腐川さんを呼び出したの?」

舞園「それは……二人っきりで話したいことがあったからですよ。
    女性同士でないと話せないことってあるじゃないですか」

のび太「それなら、ひるまにじぶんのへやで話せばいいじゃない」

舞園「こんな状況ですから、部屋に人を入れたりするのは抵抗があるんですよ。
    腐川さんも同じだと思います。だから外に呼び出したんです」

ドラえもん・のび太「…………」

のび太(あくまでシラをきるきだ!)

ドラえもん(しょうがない……この段階で諦めてもらえたら一番良かったんだけど……)

ドラえもん「じゃあ、その手に持ってる包丁はなんだ?!」

ドラえもん(本当はぼくたちの位置からは包丁は見えない。でも舞園さんは
       今すごく混乱してるから簡単に引っかかるはず……)

舞園「! これ、は……」

154 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 21:19:33.30 ID:KqIBAhZ20

のび太「もういいのがれできないよ! ほんとうは腐川さんをころそうとしたんでしょう!」

舞園「わた、し……」


カラン……


のび太「さつじんなんて、そんなバカなまねはやめてよ!」

ドラえもん「そうだよ! 舞園さんが人殺しになんてなったらぼくたちは悲しい!」

舞園「……じゃあ、どうすればいいんですか? 私は……諦められないんですよ……」

舞園「ずっと! ずっと頑張ってきたんです! 夢を見続けるためには、昼でも寝ていない
    時でも夢を見続けないといけない! そうしないと夢は消えてしまうんです!」

舞園「消えるのは夢だけじゃない……私も、私達も消えてしまう! 忘れさられて
    しまうんです! その気持ちが、恐怖があなた達にわかるんですか?!」

のび太「わかんないよ! ぼくたちアイドルじゃないもん!」

ドラえもん「いくら夢が大事でも、そのために人の命を奪っていいのか?!
       その人の夢はいったいどうなるんだ!」

舞園「……わかって、るんですよ……そんなこと、頭ではわかってるんです!」


ガッ!


ドラえもん(包丁を拾いなおした! いけない、ヤケを起こしてるぞ!!)

舞園「そうですよね……見られてしまったんです。子供だからって命は平等ですよね……」

のび太「舞園さん、ダメだよ!」

155 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 21:31:58.08 ID:KqIBAhZ20

ドラえもん「君にとって、アイドルはその程度の存在なの?!」

舞園「その程度? その程度ってどういうことですか?! 私は人殺しまで決意したのに?!」

ドラえもん「好きなものを人殺しで汚せるなんて、所詮その程度の存在なんだ!
       本当に好きだったら、そのために殺人なんて出来ないよ!」

舞園「……!」

のび太(効いてるぞ! 苗木さんにアドバイスを聞いておいてせいかいだった!)

のび太「そうだよ! アイドルが好きで、そのためにずっとがんばってきたんでしょ?
     なのにいまの舞園さんは、アイドルをいいわけにして外にでたがってるだけだよ!」

舞園「違う! 違う違う違う! 私は……!」

のび太「いいかげん目をさましてよ! そんな方法でかえってきて、ファンの人たちが
     ほんとうによろこぶと思ってるの?! 舞園お姉さんの大バカッ!!」

舞園「ファン……」

ドラえもん「ファンだけじゃない! ご家族とか友達とか、応援してくれた人がたくさん
       いたでしょ? これはその人たち全員に対する裏切り行為だよ!」

のび太「大好きな舞園お姉さんがひとごろしになるなんて、ぼくそんなのイヤだ!!」

舞園「みんな……お父さん……」


舞園の脳裏に様々な記憶が蘇る。


さやか『お父さんお父さん! さやか、オーディションに受かったよ!』

舞園父『凄いじゃないか! 流石お父さんの子だ!』

さやか『いつか日本一のアイドルになってみせるからね! ファンクラブの会員1号はお父さんだよ!』

舞園父『ハハハッ、それは嬉しいな。期待してるよ、さやか!』

156 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 21:40:22.89 ID:KqIBAhZ20


希望ヶ峰スカウト時。


舞園『私一人だけ行くなんて出来ません……私達は全員で一つのグループです。
    なのに、私だけスカウトなんて……』

メンバー『なに言ってんのよ! さやかの歌あっての私達なんだよ!』

メンバー『さやちゃんのおかげで私達はここまで来れた。本当に感謝してる!』

メンバー『遠慮なんかしないで行ってきなよ! おめでとう、さやか!』

舞園『みんな、ありがとう……』


舞園「う、うう……」ポロポロ


舞園の手が震える。涙が溢れる。


舞園「でもっでも、私はっ! 戻らないと、帰らないと……!!」

のび太「人殺しになんてなったら、もうみんなのもとへは帰れないよ!!」

ドラえもん「みんなでここから出よう! みんなで帰るんだ!!」

のび太「お姉さんっ!!」

ドラえもん「舞園さんっ!!」

のび太「ぼくたちを信じて!!!」

157 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 21:51:11.59 ID:KqIBAhZ20



舞園父『お前は父さんの誇りだ、さやか。ただでさえ仕事が忙しいのに寮生活になると寂しいが、
     さやかのためならお父さんは平気だ。行ってきなさい。無理だけはするんじゃないぞ』

舞園父『……体だけは、本当に本当に大事にしてくれ。行ってらっしゃい――』



舞園「うわあああああああああああああああああんっ!!」ボロボロボロ…


カランカラン……


舞園「ごめんなさい……ごめんなさい……」

ドラえもん「じゃあ、舞園さん。もう人殺しなんて馬鹿な真似はやめてくれるね?」

舞園「……はい。私が馬鹿でした……私、みんなのことを忘れて……危うく裏切ってしまう所でした……」

のび太「……ある人がいってたよ。まちがった方法でてにいれたものは、しょせんまぼろし
     なんだって。しかも、今までもっていたものまでぜんぶなくしてしまうんだ」

舞園「私も、なくしてしまう所でした。いえ、もうなくしたんです!
    人を殺そうとした私には、もうアイドルの資格なんてないんだから……」

ドラえもん「…………」

舞園「……明日の朝、全部みなさんに報告します」

のび太「そんなことしたらただじゃすまないよ! だまっていればいいじゃない!
     ぼくたちもこのことはヒミツにするからさ!」

舞園「ダメなんです。私達のやりとり……全てモノクマに見られています。
    下手に隠し立てすれば、きっと最悪の形で暴露してくるはずです」

のび太「そんな……」

158 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 22:01:18.90 ID:KqIBAhZ20

舞園「ありがとう。のび太くん、ドラえもんさん。あなた達のおかげで、
    私は取り返しのつかないことをしないで済みました……」

舞園「失ってしまったものは大きいかもしれないけど……でも、これで良かったんです……」

ドラえもん「舞園さん……」

ドラえもん(仕方なかったんだ……犯行前に説得するのは不可能だったし。
       事件は食い止められたんだから、それでよしと思わなくちゃ……)

のび太「…………」

舞園「…………」

のび太「……舞園さん、わらってよ」

ドラえもん「のび太くん?」

舞園「笑う? どうして……」

のび太「ぼくもお姉さんのファンだからわかるけど、ファンは舞園さんのえがおが見たいんだよ。
     たしかに、こんなことがあったらファンのなんにんかはいなくなっちゃうかもしれない……」

のび太「でも、ぼくたちはこれからもずっと舞園さんのファンだから」

のび太「だから――わらってよ!!」

舞園「うう……うううう……」


ボタボタと涙を流しながらも、舞園は微笑んだ。

159 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 22:11:32.19 ID:KqIBAhZ20

舞園「…………はい」ニコッ

ドラえもん「うん、キレイだよ」

のび太「やっぱり、舞園お姉さんはえがおがいちばんかわいいや!」

舞園「ありがとう、ございます……」

舞園(私はバカだった……舞台になんて立たなくても、スポットライトがなくても、
    私の笑顔で喜ぶ人がいるなら、私はその人達のアイドルになれるんだから……)

舞園「あなた達に会えて本当に良かった……」

ドラえもん「なにか言った?」

舞園「いえ! なんでもないです」

のび太「ふぁ〜、きがぬけたらねむくなっちゃった……」

ドラえもん「もう夜も遅いからねぇ。あ、ここで寝たらダメだよ! ほら、頑張って」

舞園「ふふ、私がお部屋まで連れて行ってあげます」

のび太「むにゃむにゃ、ねむいよ〜」




  ― ??? ―


「ねぇ、どうするの?」

「なにが?」

「せっかく事件が起こりそうだったのに防がれちゃったよ。そろそろ彼女を使う?」

「姉さんは本当に残念ですね。私様はただ人が死ねば良いのではないのです。通常なら到底
 殺人など起こさない人間が葛藤の末に自主的に人を殺し絶望する。その姿が見たいのです」

「人質を取られて泣く泣く殺すとかそういうお涙頂戴は最終手段なんだよ!
 幸い、舞園が動いたってことは他の奴らもだいぶ精神的に来てるはず」

「多分、もう一つ動機を落とせば事件が起こるんじゃないかな〜。うぷぷ。うぷぷ。うぷぷぷぷ!!」

160 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/20(土) 22:21:51.78 ID:KqIBAhZ20

ここまで。

風邪で咳が止まらない。ゴホゴホ

161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 22:23:57.35 ID:7SLiFDAA0

お大事に
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 23:45:39.11 ID:qWDXPAOfO
乙です
お大事に!
163 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 20:40:13.18 ID:ZA+kMaR80


  第七話 お兄さんとのやくそく(前編)


  ― 食堂 ―


苗木「舞園さん……今の話、本当……?」

舞園「全て、本当の話です」

山田「ひえええええ! とうとう事件が起こってしまうとは……!」

石丸「な、何故だ! 何故そんな馬鹿なことを……!」

舞園「私、実はあのDVDを見てしまったんです。それで、ここから出なきゃ……
    帰らなきゃって、強く思って……馬鹿なことを考えました」

桑田「え、う、ウソだろ……よりによって舞園ちゃんがさぁ……」

十神「他ならぬ本人が認めているのに嘘も何もないだろう。それで、何故犯行をやめた?」

舞園「見られていたんです。私が腐川さんの部屋に呼び出しのメモを挟んだのを」

腐川「あ、あ、あたしぃっ?! あんた……あ、あたしを殺すつもりだったの?!
    こ、これだから美人は信用出来ないのよ! この鬼、悪魔、アバズレ!」

桑田「お、おい! 一応殺すのやめたんだし、そういう言い方は……」

舞園「いいんです」

桑田「でもよ……」

舞園「私、桑田君に庇ってもらう資格なんてないんです。だって……
    私が最初に殺そうと思った相手はあなたなんですよ?」

桑田「えっ?!!」

164 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 20:54:43.47 ID:ZA+kMaR80

舞園「桑田君の野球に対する複雑な気持ちを知るまで、私はあなたのことが
    大嫌いだったんです。思い上がりも甚だしい、嫌な人だと思ってました」

桑田「…………」

舞園「勿論今は本心を知っているのでそんなことは思っていませんが、
    私が桑田君に庇ってもらう資格なんてありません」

セレス「腐川さんを狙ったのは何故ですの?」

舞園「特に理由はありません。あまり親しくないのと、一番殺せそうだから。それだけです」

腐川「そ、そんな理由で人を殺そうとした訳?! グギギギ!」

十神「で、この女はどうする? 無罪放免とはいくまい」

葉隠「殺人犯をほっとくわけにはいかねえよなぁ」

苗木「……しばらく部屋に謹慎、でどうかな。鍵は僕らで預かって交代で監視すればいいでしょ?」

腐川「それだけじゃ甘いわよ! 椅子に縛りつけないと!」

江ノ島「そうだよ! また誰かを殺そうとするかもしれないじゃん!」

のび太「ひどいことはしないで!」

ドラえもん「舞園さんは改心したんだ! もう人殺しなんてしないよ!」

朝日奈「謹慎でいいんじゃない? 正直に言ってくれたんだし、あんまり厳しいのはちょっと……」

不二咲「そうだよ。舞園さんを信じてあげたいな」

大神「我が見張ろう。ならば文句はあるまい」

霧切「交代で見張ればいいと思うわ」


腐川はまだ何か言いたそうであったが、舞園はしばらく謹慎という処遇になった。

165 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 21:10:49.83 ID:ZA+kMaR80


  ― 男子トイレ ―


ドラえもん「では、例によっていつもの」

のび太「さくせんタイムだね!」

ドラえもん「一つ目の事件は無事防げたわけだけど、これによって未来が変わったからね。
       次はアニメ通りにいかないかもしれないよ。気をつけよう」

のび太「とりあえずアニメだと次はどうなってたっけ。えーっと……そうだ。大和田さんだ!」

ドラえもん「ハァ、今から胃が痛いよ」

のび太「そっか。ドラえもんはおなじへやだもんね……」

ドラえもん「確かにさぁ、ちょっと短気なところはあるし横暴なところもあるけど
       いいところもたくさんあるんだよ」

のび太「おうぼうっていってもジャイアンにくらべたらぜんぜんいい人だしね」

ドラえもん「……まあ、ジャイアンに比べたら大体の人はいい人だけど」


この二人はジャイアンのおかげでだいぶ感覚が狂っている。


のび太「それに不二咲さんを助けないと! あんなしにかたは二人ともかわいそうすぎる……」

ドラえもん「うん、絶対に止めないと。さて、タイムテレビ〜」

のび太「まず動機だよね」

ドラえもん「そう。……あ、あと今思い出したけどもう一つ気をつけることがあった」

のび太「なに?」

ドラえもん「大神さんだよ」

166 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 21:19:47.61 ID:ZA+kMaR80

のび太「え、なんで? すごくいい人じゃない?」

ドラえもん「も〜う、忘れちゃったの? 大神さんは内通者だったじゃない!」

のび太「あ、そうだった」

ドラえもん「アニメでは事件が起こったから大神さんが誰かを殺すことはなかったけど、ここでは
       ぼくらが事件を食い止めちゃったから、大神さんが動く可能性があるんだよ」

のび太「そっか……気をつけないと……」

ドラえもん「黒幕がどうするかだよなぁ。向こうの動きを知れたらいいんだけど……」

のび太「ねぇ」

ドラえもん「なんだい?」

のび太「タイムテレビで見てみればいいんじゃないの?」

ドラえもん「」

のび太「……ドラえもん?」

ドラえもん「あ」

のび太「…………」

ドラえもん「……それもそうだね」

のび太「もう! ドラえもんってへんなところでヌケてるんだから!」

ドラえもん「よし! じゃあぼくらが事件を食い止めたあたりを見てみよう」


<タイムテレビ視聴中>


ドラえもん「今回は内通者を使わないみたいだね」

のび太「でも、そのつぎはたぶん大神さんみたいだよ……どうすればいいかな?」

167 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 21:30:00.90 ID:ZA+kMaR80

ドラえもん「それはその時考えればいいよ。とにかく、今は大和田くんをなんとかしないと!」

のび太「やっぱり殺しちゃうのかな……」

ドラえもん「見てみよう」


不二咲『大和田君は本当に強い人だもんね!』

大和田『……俺が強い? そいつは皮肉かよ?』

大和田『そうさ……お、俺は強い。強い強い強い強い強い強い! 誰よりも!!』

不二咲『大和田、君?』

大和田『お前よりも! 兄貴よりもだああああああああああッ!!!!!』


ドラえもん「見ちゃダメだ!」

のび太「消して!」


ゴシュッ! ……ピッ。


ドラえもん「消したからもう大丈夫だよ」

のび太「……ハァ。きっとすごくいたかっただろうなぁ。きぶんがわるい……」

ドラえもん「ぼくもだよ……あんまり過ぎる」

のび太「でもさぁ、今回のジケンはかんたんにふせげるんじゃないかな?」

ドラえもん「大和田くんのお兄さんが亡くなったっていう例の事故だね」

のび太「うん。あのジコをぼくらがとめてお兄さんのお兄さんをたすけちゃえばいいんだよ!」

ドラえもん「そうだね。じゃあ、思い立ったら即実行というわけで、行きますか」

のび太「タイムマシンだ!」

168 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 21:43:00.05 ID:ZA+kMaR80

  ― 三年前 ―


ドラえもん「さて、準備をしないとね。タケコプター」

のび太「タケコプターと透明マントだけでいいかな」

ドラえもん「いいかい? 大和田君が反対車線に飛び出したらきみは右側から思いっきり
       引っ張って道路から出す。ぼくはお兄さんが飛び出ないように押さえる」

のび太「うまくいくかな……」

ドラえもん「心配ならクイックを飲んで動きを早くしておこう。大丈夫、きっと上手くいくよ」


真夜中、とある道路の上空。


のび太「いた! あれじゃない?!」

ドラえもん「急ごう!」


             ・

             ・

             ・


ブオオオブロロロロロロ……


大亜(……紋土のヤツ、焦ってるのかいつもより走りが荒いな。無茶しねぇといいが)

大和田(クソッ! 俺はまた兄貴に勝てねぇのか! 俺は結局兄貴の金魚のフンかよ。畜生……)

大和田(こうなったら……!)

169 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 21:53:43.91 ID:ZA+kMaR80

バッ!


大亜「! 馬鹿ッ!」

のび太「今だ!」

ドラえもん「それっ!」


グイィッ!


大和田「うおっ!」

大亜「なんだッ?!(何かが俺を掴んで……?!)」


プップー! ドッシャアアアッ!


大亜「紋土ォオオオオッ!」


ブロロロロロ……キィィ! ガシャン! ダダダダダッ!

大亜は急転換すると道路脇に突っ込んだ大和田の側にバイクを乗り捨て慌てて駆け寄る。


大亜「大丈夫か?! 怪我はねぇなッ?!」

大和田「あ、ああ。大丈夫だ……」

大亜「馬鹿野郎ッ! 勝ちを焦って対向車線に飛び出す馬鹿があるかッ!」

大和田「(ビクッ)すまねぇ、兄貴……」

大亜「……まあ、無事で何よりだ」

大和田「勝負は……」

170 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:02:58.93 ID:ZA+kMaR80

大亜「こんな状態で勝負もねえだろ。今日は終いだ」

大和田「でも……」

大亜「帰るぞ」

大和田「…………」


二人が去ってから透明マントを脱いで姿を現す二人。


ドラえもん「なんとか上手くいったみたいだね」

のび太「あー良かった。じゃあ、さっさと戻ろうか」

ドラえもん「うん」


             ・

             ・

             ・


のび太「これからどうしようか?」

ドラえもん「そうだ。舞園さんに会いに行ってみようよ」


舞園の部屋の前には苗木と大神が立っていた。


大神「ム、ドラえもんとのび太か」

苗木「どうしたの、二人共?」

171 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:11:35.23 ID:ZA+kMaR80

ドラえもん「ちょっと、舞園さんの様子が気になって」

のび太「はなしてもいい?」

苗木「いいよ」

ドラえもん「苗木くんも一緒にどう?」

苗木「えっと、ぼくは……」チラ

大神「構わぬぞ。元々見張りは我一人で十分だろうしな」

苗木「ありがとう、大神さん」スッ、カチャ

のび太「おじゃましまーす」

舞園「あ、のび太君にドラえもんさん、苗木君も。何かあったんですか?」

のび太「ううん、そういうわけじゃないんだけど」

ドラえもん「様子を見に来たんだ。大丈夫?」

舞園「心配して来てくれたんですね。ありがとうございます!」

苗木「ずっと部屋に篭りっきりだと気も滅入るでしょ? 僕達が話相手になるよ」

舞園「私のせいなのに……気を遣わせてしまってすみません……」

苗木「舞園さんのせいじゃないよ! 全部モノクマが悪いんだ。舞園さんは思いとどまったんだから」

舞園「……いいえ。自分でやめたんじゃなくて、そこのお二人のおかげです。
    もしのび太君達がいなかったら、私は取り返しのつかないことをしていました……」

苗木「舞園さん……」

舞園「そうだ! お礼をさせてもらってもいいですか?」

のび太「え、なになに??」

ドラえもん「こら、のび太くん! お礼なんていらないよ。好きでやったことなんだし」

172 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:19:57.66 ID:ZA+kMaR80

舞園「でもそれでは私の気が済まないので……そもそもこんなものがお礼になるのか
    わからないですけど、どうかお二人のために歌わせてくれませんか?」

のび太「え?! ぼくたちのためにトップアイドルの舞園さんがうたってくれるの?!」

舞園「はい。お二人のためだけの、舞園さやかファイナルステージです」

苗木「あ、僕ジャマかな?」アハハ

舞園「苗木君はいいんです。いつもお世話になってるので」

ドラえもん「でも舞園さん、ファイナルって……」

舞園「……アイドルとして歌うのはこれが最後です」

のび太「舞園お姉さん……」

苗木「本当にいいの、舞園さん? アイドルは舞園さんの子供の頃からの夢じゃ……」

舞園「そうです、人生を懸けてきた大切な大切な夢です……でも、だからといって
    人殺しをしてまで守るのは間違ってます。二人はそれを気付かせてくれました」

舞園「だから、アイドルとして歌うのはこれが最後……でも、舞園さやかとして
    歌うのはこれからも変わらないので、みなさん聞いてくれませんか?」

のび太「うん、ききたい!」

苗木「舞園さん……」

ドラえもん(切ないなぁ……まあ、脱出しても結局アイドルは諦めざるを得ないから
        早めに覚悟できたのは良かったのかもしれないけど。悲しいね……)

舞園「それでは歌います」


三人の拍手の中、舞園は力の限りパフォーマンスをした。
その最高の舞台が終わると同時に、校内放送が流れる。

173 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:27:31.49 ID:ZA+kMaR80


モノクマ『校内放送、校内放送! 生徒諸君はただちに体育館に集合して下さい。
      エマージェンシーエマージェンシー……』


苗木「ま、まただ!」

舞園「……そんな、まさかまた恐ろしい何かを配る気なんですか?」

ドラえもん・のび太「…………」←わかっているので冷静


ガチャッ。


大神「今の放送、聞こえたか?」

苗木「あ、大神さん。舞園さんは……」

のび太「たぶんぼくたちみんなをよんでるから、つれていったほうがいいよ」

大神「我も同感だ」

苗木「そうか……じゃあ、行こう。みんな」


  ― 体育館 ―


腐川「こ、今度は一体なんだって言うの?!」

山田「まさかまたなにか妙なことが起きるのでは?!」

石丸「ふ、腐川君に山田君! ここここんな時は落ち着いてだな!」

桑田「おめーがまず落ち着けよ」

のび太「どうせまたあたらしいドウキじゃないの?」

ドラえもん「ぼくもそう思うよ」

大和田「ガキの方が落ち着いてやがる……」

葉隠「きっと最近の子供はゲーム脳なんだべ」

174 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:40:15.99 ID:ZA+kMaR80

十神「さて、今度はどんな動機を持ってくるのやら」フッ

モノクマ「はいはーい。みなさんお待たせー!」

苗木「待ってなんていない! 僕達を呼び出して一体なんの用だ!」

モノクマ「もーお、苗木君たら短気なんだから。じゃあ行っちゃう? 行っちゃう?」

モノクマ「昨晩いよいよ事件が起こりかけたようですね? その時は邪魔が入ったようだけど、
      オマエラの中には外に出たい気持ちが見え見え隠れ、見え隠れ。むしろ丸見えな訳だ」

モノクマ「なので、僕はその気持ちを後押ししてあげようと思います!」スッ

霧切「今度こそコロシアイを起こすために、もう一度動機を配るということね」

山田「今回は封筒ですか」

朝日奈「また私達の名前が書いてあるよ!」

モノクマ「あ、そーれ」バサッ


宙にバラまかれるそれぞれの封筒。


モノクマ「今回のテーマは恥ずかしい過去や誰にも知られたくない秘密です。
      今から24時間以内に事件が起こらなければ、この秘密を世間に大公開ー!」


ナ、ナンデコレガー?!
キャーウソデショー?!
アリエネー!


のび太「ぼくたちのぶんはないの?」

モノクマ「君達は元々の生徒じゃないからね。まあラッキーだと思えば?」

ドラえもん「そもそものび太くんは知られて困る秘密なんて元々ないじゃないか。テストで
        いつも0点なのも運動がびりっけつなのも周知の事実だし、趣味が昼寝、
        特技があやとりで女の子みたいだとかも別に隠してないだろう?」

175 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 22:48:41.24 ID:ZA+kMaR80

のび太「そ、そうだけどさぁ……」

モノクマ「……君さぁ、若いんだからもうちょっと頑張れば? なんかもう色々と酷すぎて……」

のび太「モノクマに心配されたー!」ガーン

山田「まあ、その……ガンバ!」

セレス「あなたも人のことは言えませんが」

ドラえもん(そういえば死んでた組の動機は知らないんだった。あの二人なら
       大丈夫だと思うけど、念のために確認しておこうかな)チラ

ドラえもん「ん?」

大和田「…………」ワナワナ

ドラえもん「あれ……?」

石丸「み、みんな聞いてくれ! こんなものがあるからコロシアイなど起きるのだ!
    ならば今ここで先に言ってしまおうと思うのだが……」

苗木「いいね、そうしようよ!」

朝日奈「私も賛成。恥ずかしいけど仕方ないし」

桑田「え〜マジかよ?」

大神「やむを得んだろう」

石丸「では、言い出しっぺである僕から……」

モノクマ「…………」スッ

江ノ島「(あ、合図だ!) もう耐えられない! アタシ、もうこんな生活イヤなんだけど!!」

苗木「江ノ島さん?」

大神「急にどうしたのだ、江ノ島?」

176 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:00:28.74 ID:ZA+kMaR80

江ノ島「モノクマだか学園長だか知らないけど、いい加減にしてくんない?」

江ノ島「アタシはもうイヤだから! もう呼び出しとかかけられても来ないし
     コロシアイとかなんとかはあんた達だけで勝手にやってよ!」

モノクマ「そんな勝手は許さないぞ! どうしてもと言うなら僕を倒して行け!」

のび太「あれ?(この流れどこかで見たような……)」

ドラえもん(た、大変だ! 予定が変わったんだ! ニセの江ノ島さんが殺されちゃう!)

ドラえもん「ま、まあまあ落ち着いてよ!」

のび太「そ、そうだよ! さからったらころされちゃうよ!」

江ノ島「ハ? なによ、あんた達……邪魔なんだけど! どきなさいよ!」

のび太「そういうわけには」ガシッ

ドラえもん「いきませんよ」ガシッ

江ノ島「ちょ……なにやってんの?! アタシはあのウザいヤツに一発くらわせなきゃ……」

のび太「お、大神さん! たすけて〜!」

大神「ム! 江ノ島お主、モノクマに攻撃するつもりだったのか?!」

江ノ島「え? だって一発くらい平気っしょ? こっちだって不満が溜まってるんだし」

霧切「賢明な行動とは言えないわね。初日の爆発を見ているでしょう?
    モノクマにとって私達を殺すのは容易いことなのよ?」

江ノ島「……とにかく! それじゃアタシの気がすまないっての!」バッ

ドラえもん・のび太「ああっ!」

舞園「! 江ノ島さん、いけません!」

苗木「危ないっ!」

177 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:07:39.87 ID:ZA+kMaR80


全員の制止の声も聞かずにモノクマを踏み付ける江ノ島。


モノクマ「ムギュッ!」

江ノ島「フン、ほらたいしたことないじゃない。いい気味だわ!」

モノクマ「学園長に対する暴力は校則違反だよ! 助けて〜グングニルの槍〜!!」


カシャッ。


江ノ島「え」

大神「いかんっ!」


バッ! バシュバシュバシュバシュッ!


複数の槍が一瞬前まで江ノ島のいた所を貫く。


江ノ島「う、うそ……なによこれ……」

朝日奈「さくらちゃん! 江ノ島ちゃん!」

苗木「江ノ島さん! 大神さん! 怪我は?!」

のび太「だいじょうぶ?!」

大神「我は掠っただけだ。江ノ島よ、お主は無事か?」

江ノ島「…………」パクパク

霧切「大丈夫、ショックで放心しているけど怪我はないわ」

178 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:14:04.78 ID:ZA+kMaR80

葉隠「ひ、ひぃぃぃ! もしオーガが助けてなきゃ、江ノ島っちは今頃串刺しに……」

腐川「なんなのよ……なんなのよぉぉぉ?!」

モノクマ(あー、邪魔な残姉消すの失敗しちゃったなー。まあでもみせしめって
      意味なら成功してるからいいか。あいつら超ビビってるみたいだし)

モノクマ「今回は運が良かったね! でも次はないから。オマエラも気をつけるように!」

桑田「マジかよ……」

苗木「……とりあえず二人が無事で良かった」

石丸「向こうはどうやら本気のようだな……やはり秘密を告白してここは事件防止をした方が……」

大和田「待てよ!! どうせ明日には言うんだろ? なら、今言う必要はねえじゃねーか」

不二咲「う、うん。石丸君には悪いけど、ちょっと心の準備がほしいかな……」

腐川「そ、そうよそうよ! あんたにはデリカシーってもんがないの?!」

石丸「しかし、コロシアイを防ぐためには……!」

十神「まだわからんのか? 無理やりやらせても今度はそれが火種になるだけということに」

霧切「あなたは公開しても問題ない秘密なのかもしれない。でも他の人がそうだとは限らないのよ」

石丸「ヌゥゥ! ……わかった。それもそうだな。では明日言おう。とりあえず解散だ」


ゾロゾロ……


ドラえもん「のび太くん」

のび太「どうしたの、ドラえもん?」

ドラえもん「ちょっと……」

179 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:22:43.07 ID:ZA+kMaR80


  ― 男子トイレ ―


のび太「大和田さんのお兄さんもたすけたし、江ノ島さんもたすけた。なにかもんだいあるの?」

ドラえもん「いや、ね。胸騒ぎがするんだ。念のためにタイムテレビで今後を見ておこうよ」

のび太「きにしすぎじゃない?」


二人はタイムテレビで今日の深夜を見てみる。そこには……


大和田『俺は強い強い強い……兄貴よりもだー!!』グシャッ!


不二咲を襲う大和田の姿があった。


ドラえもん・のび太「えええええええええええっ?!」

180 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:30:00.21 ID:ZA+kMaR80

ここまで。

このSS三大チートアイテムはタイムマシン、タイムテレビ、透明マント
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/27(土) 23:31:35.80 ID:j/0KD5B+0
ソノウソホントじゃね
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 23:35:56.56 ID:l3JpUoy80
乙です
183 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/01/27(土) 23:36:32.82 ID:ZA+kMaR80
>>181
ソノウソホント強力だけど、使ってる回数が断然透明マントの方が上なので
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/28(日) 21:26:14.77 ID:MJCq1Bmu0
過去改変は重罪だぞ![たぬき]!!
(鉄人兵団を隠しながら)
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/28(日) 22:26:26.66 ID:MJ+0LQQF0
それタイムマシンの存在を否定してるよな
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/30(火) 20:03:47.81 ID:CXH1D6Xa0
結局兄貴は死んだのかな
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/03(土) 21:15:07.52 ID:WfIu4jOt0
まだかな
188 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 21:51:52.31 ID:YHYwPjoO0

ごめんね。家事をしてたらすっかり忘れてた

再開
189 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 21:53:21.72 ID:YHYwPjoO0


  第八話 お兄さんとのやくそく(後編)


ドラえもん「ああ、やっぱり……大和田くんの顔色が悪かったからこんなことじゃないかと思ったよ……」

のび太「そんな……どうして?! お兄さんはたしかにたすけたよね?!」

ドラえもん「大和田くんには悪いけど秘密を見せてもらおう」


二人はタイムテレビを操作して大和田の秘密を盗み見ることにした。

カチッカチッ……パッ。


のび太「えっと、なになに?」

ドラえもん「『本当は勝負に負けたのに勝ったと騙している』。……ああ! そういうことか」

のび太「どういうこと? まけたのに勝ったってウソをついたの?」

ドラえもん「いや、二人の性格から考えてきっとお兄さんも大和田くんもあの勝負の
       結果をみんなに言わなかったんだよ。それでいつのまにか色々と噂が流れて、
       それを否定しなかったから結果的にみんなを騙してしまったことに……」

のび太「ああ、なるほどね」

ドラえもん「どうしよう……お兄さんを助ければ全部解決すると思ったのに……」

のび太「かんたんじゃない。今度はちゃんと大和田さんを勝たせればいいんだよ!」

ドラえもん「大和田くんてああ見えてけっこう繊細だからなぁ……それで済むといいけど」

のび太「すむよ! だってまけたのにリーダーをやってるからはずかしいんでしょ?
     だったら勝ってどうどうとリーダーをやればいいじゃない!」

ドラえもん「それもそうだね。じゃあ次は大和田くんを勝たせてみようか」


タイムマシンで再びあの夜に戻ってくる。

190 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 22:05:15.39 ID:YHYwPjoO0

のび太「で、どうやって勝たせるの?」

ドラえもん「そのための道具は色々あるけどね。まあ今回はお手軽にソノウソホントでいくか」

ドラえもん「『大和田くんはすごい速さでお兄さんを追い抜いて勝負に勝った』」

大和田(クソッ! 俺はまた兄貴に勝てねえのか……ん?)


ビュオン!


大和田「な、なんだぁ?!」


ビュオオオオオオオオオオッ!


大亜(どうした、紋土のヤツ? ここで抜いてくるとは……そもそもあの速さはなんだ……?)


勝負後。


大亜「フッ、言い訳はしねえ。俺の完敗だ。人が変わったみたいにいい走りだったぜ」

大和田「お、おう……」

大亜「これなら暮威慈畏大亜紋土も安泰だな。俺も安心して引退出来るってもんだ。……頑張れよ」

大和田「……あぁ」


二人は並んで走り去って行く。

191 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 22:12:46.10 ID:YHYwPjoO0

のび太「これで大丈夫じゃない?」

ドラえもん「よし。早速タイムテレビで見てみよう」


大和田『俺は強い〜兄貴よりもだー!』グシャ


ドラえもん・のび太「…………」

のび太「ちょっと……」チラリ

ドラえもん「動機を見てみようか。……『マグレで勝ったのを黙っている』」

のび太「マグレって……まあたしかにマグレだけど。むしろズルだけどさぁ……」

ドラえもん「本当は実力で負けてるのに道具で無理に勝たせちゃったからね。
       ちゃんと納得出来る勝たせ方をしなくちゃダメなんだ」

のび太「メンドくさい人だなぁ。勝ったんだからそれでいいじゃない」

ドラえもん「大和田くんは男気があるんだよ。誰かさんみたいにすぐ道具に頼ったりしないの」

のび太「どうせぼくはなき虫で根性なしですよーだ」

ドラえもん「さて、次はどうするかな」


更に一ヶ月ほど過去へ行く。


ドラえもん「実力で勝つには勝負の前に大和田くんを鍛えなくちゃいけない」

のび太「きたえる道具はたしかいろいろもってるよね」

ドラえもん「持ってることは持ってるけど、本人にバレないようにしなくちゃいけないからね。
       うーん、これなんかいいんじゃないかな。夢ふうりん〜」パパラパッパパー

のび太「えっと、どんな道具だっけ?」

ドラえもん「眠っている人間を呼び出して操れるんだ。寝ている間に鍛えれば
       見つからないし、ちゃんと特訓してるから本人も納得出来るでしょ?」

のび太「なるほど、じゃあさっそくやろうよ!」

192 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 22:19:53.27 ID:YHYwPjoO0


チリーン。


大和田「ぐがー」

のび太「でてきたよ」

ドラえもん「よし! 真夜中の秘密特訓だ!」


ブロロロロロロロ……


のび太「それにしてもさぁ、ドラえもん」

ドラえもん「なんだい?」

のび太「これってまさしく『いねむりうんてん』だよね?」

ドラえもん「……細かいことは気にしちゃいけないよ」


勝負当日。


ドラえもん「さあ! 特訓の成果は出たかな?」

のび太「がんばれー!」

大和田(最近なんか知らねえが、どんどん実力が伸びてる気がする。今なら俺も……)

大亜(紋土の野郎、ちょっと見ねえうちに実力つけやがって……フッ、いい勝負が出来そうだ)


ブロロロロロロロ……!

193 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/02/03(土) 22:34:34.22 ID:YHYwPjoO0


             ・

             ・

             ・


勝負の結果、僅差で大和田が勝利した。


のび太「やった! ギリギリだけど勝った! こんどはちゃんとじぶんの力で勝ったよ!」

ドラえもん「よし! 今度こそ!」ピッ


大和田『』グシャ


ドラえもん・のび太「えええええええええええええええっ?!!」

のび太「なにこれっ?! どういうこと?!」

ドラえもん「わからないよ! ぼくもなにがなんだか……!」

のび太「そうだ! どうきは?!」

ドラえもん「ええと、『兄を超えられないことを気にしている』……えっ」

のび太「こえられないって………しょうぶにはちゃんと勝ったじゃない!」

ドラえもん「わからない……ただ言えるのは、勝負の結果だけが問題じゃないんだ。
       大和田くんのお兄さんへのコンプレックスはもっと根深い所にあるんだよ」

のび太「ああもう……手のかかる人だなぁ……」

ドラえもん「こうなったら大和田くんをよく観察して、徹底的に可能性を潰していくしかない!」

のび太「はぁ、なんとかなるといいけど……」

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