ロールシャッハ「嵐を呼ぶ、救いのヒーローたち」

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197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 18:31:28.58 ID:e8929ruk0
>>196なんかすごいこと言っていただきありがとうございます。
前スレが落ちたときに「まあ完結したらでいいや」と思ってそのまま熱が冷めていました。
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 18:58:16.51 ID:e8929ruk0


ロールシャッハ「――それで、出口はどこだ」

よね「あんたが知ってるんじゃないの? あんたを捜してここまで来たのよ!」

ロールシャッハ「俺は知らん」

よね「あああ、クソ! ったくどいつもこいつも」


ハイウェイを突っ走る車。


ロールシャッハ(ここは文字どおりの悪夢だ)

        (ニューヨークの街並みは俺……)

        (カスカベの街並みはシンノスケ……)

        (珍奇な城と人形の怪物は、そこに踏み入る侵略者か)

        (いつか記憶を覗かれた、あれを何千倍にもしたようなものだろうか)


よね「ああもうクソ! スゲーナスゴイデス、スゲーナスゴイデス!
    もしもーし! トッペマー! 聞こえるー!?」


ロールシャッハ(……グロリアは狂ったのか?)

        (無理もない。俺ですら狂いかねん)

        (……グロリア……)

        (……あの女に似ている)

        (今度こそはきっと)

        (……そうだ。シンノスケもそうだ)

        (“必ず無事に連れ戻す”)


ロールシャッハ(シンノスケは……)


ロールシャッハ(他の誰にも似ていない)

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 19:55:42.34 ID:e8929ruk0

摩天楼がヘンダー城につぶされ始め、倒壊していく。
あとに残るのは底のない暗闇と、廃墟のようなヘンダー城。


ボロボロの車で走りながら、それらを眺める三人。

よね「あっちはもうダメね。カスカベ側に引き返すしかなさそうだけど……」


窓に手をついて、外を見るしんのすけ。

しんのすけ(フーちゃん……)

しんのすけ「…………」

しんのすけ「お?」

しんのすけ「……ヘクソンだゾ!」

よね「なにィッ!」キキッ


しんのすけの指さす先、暗闇に浮かぶ尖塔にヘクソンが立っている。

宙に浮く尖塔を飛び越えながら、こちらへ接近している。


ロールシャッハ「……俺が行こう。お前たちは先に行け」

よね「なんで!? せっかく逢えたのに! あんたを連れ戻すのに……」

ロールシャッハ「すぐに戻る。約束する。三……」

ロールシャッハ「……いや、四人で、必ず帰還する」


ドアを蹴破り、飛び出すロールシャッハ。
フック銃を抜いた。

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:28:15.53 ID:e8929ruk0



――尖塔の上で対峙するヘクソンとロールシャッハ。


ヘクソン「お前の心を初めて読んだときにわかった」

ヘクソン「お前は一度、終末を味わっているな」

ロールシャッハ「…………それがどうした」

ヘクソン、答えを返さずに周囲を見る。

ヘクソン「……これがそれを経たお前の心象風景というわけだ」

     「……まるで、」
    
     「まるで廃墟の街ではないか」


ロールシャッハ「…………」


ヘクソン「……一部始終、見させてもらった」

ロールシャッハ「どうだ。感想のほどは」

ヘクソン「…………」


ヘクソンが拳を作り、ゆっくりと構える。

ヘクソン「これがそうだ」

ヘクソン「安心しろ。今この空間で、互いの能力に意味はない」

ヘクソン「どの道、使えたとて変わりないがな」


ロールシャッハ「…………HURM.」

ロールシャッハ「…………いいだろう」


にらみ合うロールシャッハとヘクソン。

周囲では、ヘンダー城と摩天楼が音を立てて崩れている。

砕けて、その下の暗闇に消えていく。



201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:29:04.38 ID:e8929ruk0


ロールシャッハ「…………」

ヘクソン「…………」

ヘクソン「…………」

ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「…………」ヘクソン「…………」

ヘクソン「…………」ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「……………………」ヘクソン「……………………」

ヘクソン「……………………」ロールシャッハ「……………………」

ロールシャッハ「…………………………………………」ヘクソン


202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:31:43.24 ID:e8929ruk0


『!』

刹那、同時に突きだされる拳。
互いの拳が互いの胸を突き、そのどちらもが手首までをめり込ませている。

ヘクソンの唇から血が流れる。
ロールシャッハのマスクの下、痣のように血がにじんでいく。


ロールシャッハ「……MMMM…………」

        「UK,UU…………AAK」


拳を引き抜くロールシャッハ。
手袋は血に染まっている。


ロールシャッハ「KUFF,KUFF」


ロールシャッハ、膝をつく。
マスクから漏れたおびただしい血が首筋へ流れる。

ヘクソン「……それが、俺とお前との差だ。ウォルター……」

    「いや、ロールシャッハ」

ロールシャッハを見下ろすヘクソン。

ヘクソン「やはり、拳ひとつでは足りなかったか」


「俺たちは互いに絶望した。自らの立つ世界に」

「崖へ飛び込んだのだ。俺は抵抗しなかった。深淵へ向かって」

「お前は飛んだが、しかし落ちなかった。
 切り立った岩に刻まれながら、しがみついていた」

「その傷では登ることはできない。だがお前は落ちることもしない」


ヘクソン「ただじっと、俺の居場所をにらみつけている」


ヘクソンの胸には、風穴が開いている。


203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:33:10.21 ID:e8929ruk0
ヘクソン「……お前の姿を再び見たときからわかっていた。俺は、お前には勝てぬと」

ヘクソン「その鋼鉄の心を、俺は壊したかった」

ヘクソン「……いや違うな。確かめたかったと言おう」


ロールシャッハ「……なにが言いたい」


ヘクソン「それがすべてだ」

ヘクソン「俺は一足先に離脱するとしよう」


縁に足をかけるヘクソン。
二人の立つ尖塔はすでに崩壊が進み、大きく揺れ動いている。

ロールシャッハ「待て、どこへ……」

ヘクソン「俺はこの先、ただお前の行く末を見るにとどまる。
      野望がついえるのは初めてでもない」

ロールシャッハ「待て、ヘクソン……UUMMM」

ロールシャッハ「出口はどこだ? どうしたら現実に戻れる?」


ヘクソン「俺は答えではない」

ヘクソンの足元、縁にヒビが入る。

ヘクソン「この崩壊はお前の精神が引き起こしている」

ヘクソン「お前は世界を変えようとするが……
      いずれせよ世界は救えないのだと思っている」

ヘクソン「だから崩れる」

足場が崩れ、ヘクソンは落ちて行く。

ヘクソン「お前がまだ、崖へしがみつくならば早く行け」

ヘクソン「出口が崩れてしまわぬうちに」


ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「HOO…………HURM……」

204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:37:53.27 ID:e8929ruk0


よね「――ちょっとなんか、どんどん壊れてってない?」

よね「やばいやばいやばい、走れるとこほとんどないって!」

ガタン!
ボンネットに着地するロールシャッハ。
車へ乗り込む。


よね「!」

しんのすけ「おじさん!」

ロールシャッハ「待たせた」

よね「って早! ほんとにすぐ来たのね!」

ロールシャッハ「カタはついた」

よね「それはいいけど、どんどん周りが壊れてくんだけど」

よね「あの城がにょろにょろ伸びたら……なんだか腐ったみたいに、ぼろぼろー、って」

しんのすけ「後ろの方、もう道がなくなっちゃったゾ」

よね「げえっ!」

ロールシャッハ(俺の出口……)

ロールシャッハ(ニューヨークの街へは引き返せん)

205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:39:26.39 ID:e8929ruk0


しんのすけ「あーっ! オラんち!」

倒壊した野原家の前を通る。

しんのすけ「父ちゃーん! 母ちゃーん! ひまわりーっ! シローっ!」

ロールシャッハ「無駄だ。このカスカベもお前の精神の表れでしかない」


しんのすけ「じゃあなんで壊れてくの?
       オラ、カスカベにこんな風になってほしいなんて少しも思ってないゾ!」

しんのすけ「おじさん! おじさんってば!」


ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「……シンノスケ」

ロールシャッハ「……俺が原因のようだ」

よね「はあ!?」

ロールシャッハ「ヘクソンが去り際に言った……俺が引き起こしたと」


ロールシャッハ(記憶のせいだ)

(ニューヨークの、300万の亡者の記憶)

(その廃墟にしがみつけと?)

(……ダメだ。今、救うべき世界があるのに)

(…………日誌か?)

(……ここにあるのが、ニューヨークに置いてきた日誌ならば……)

(そこになにか手がかりが……)


ロールシャッハ(2000年6月……違う。ダメか。ここにあるのも、新しい日誌だ)

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:42:15.78 ID:e8929ruk0


よね「あーん、もうこうなったら!」

よね「しんのすけ! あんたが頼りよ!」

よね「なんかこう、こう、楽しいこととか想像してみて!」

しんのすけ「それでどうにかなるの?」

よね「知らねーよ! でも、やるだけやって! お願い!」


しんのすけ「んー……んー……」

(こういうとき、救いのヒーローが現れてくれるんだゾ)

(アクション仮面……カンタムロボ……ぶりぶりざえもん……)


しんのすけ(…………)

しんのすけ(……フーちゃん)

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:44:35.35 ID:e8929ruk0



――しんちゃん、しんちゃん、聞こえる?

しんのすけ(……え、だれ?)


――あたしよ、つばき。もしかして忘れちゃった?

しんのすけ(……つばき……ちゃん?)

しんのすけ(……忘れるわけないゾ!)

しんのすけ(どこ!? どこにいるの?)



――……いい、しんちゃん、よく聞いて。
  ここはあの映画の中とおんなじ、お話の中だよ。
  しんちゃんの街と、お友達の街のお話。
  でも、ハッピーエンドじゃないみたい。


――しんちゃん、そんなところにいちゃダメ。
  お友達と一緒に、早くお家に帰らなくちゃ。
  パパとママも、みんなみんな、お外で大変なことになってるよ。
  
  早く、急いで。
  本当の世界のハッピーエンドに間に合わないよ。


しんのすけ「……わかったゾ、つばきちゃん!」

しんのすけ「カスカベ座! そこだゾ、きっと!」

ロールシャッハ「!」


よね「カスカベ座ってあのわかんないとこの……もう崩れてるんじゃ……」

しんのすけ「そんなことないゾ、このおバカ!」

ロールシャッハ「……他に向かえる先はないな」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:45:34.48 ID:e8929ruk0


――瓦礫の中のカスカベ座



よね「――残ってる! しかもこれだけしっかりくっきり……」

よね「でもまあ……確かに元から異次元にあるような建物ってゆーか」


ロールシャッハ(謎の多い建物だったが)

ロールシャッハ(なるほどな。おそらくここにも、誰かの念が込められていたのだろう……)

ロールシャッハ(きっとなにか、強い愛の念が)



スクリーンへ向かう三人。

しんのすけ「こっちこっち!」


古ぼけたスクリーンへ向けて、映写機が光を当てている。
スクリーンには真っ白な光の他、なにも映っていない。

よね「……上映してる?」

ロールシャッハ「!」

        (……光が……はね返って……)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 20:57:36.42 ID:e8929ruk0
――――――


ロールシャッハ「なんだ……なにもない……空間……?」

つばき「――こっち、こっちでーす」

しんのすけ「……!」

よね「……ええと」

ロールシャッハ「……HURM.」

しんのすけ「……つばきちゃーん!」

つばき「しんちゃーん!」

よね「なに、知り合い? どうなってんの?」

しんのすけ「わかってないなー。愛の奇跡、って奴」

よね「たかが五歳児がなに言ってんだか……」



しんのすけ「つばきちゃん、また逢えたね」

つばき「しんちゃんが、あたしのこと覚えていてくれたおかげだよ」

しんのすけ「やだなー。忘れるわけないゾ。つばきちゃんのこと!」

しんのすけ「いやーそれにしてもピンチのときに助けてくれるなんて、
       つばきちゃん、男心わかってるうー」

つばき「あはは。ありがとう。ずうっとここから見てたんだよ。
     でも、なかなか声が届かなかったの」


ロールシャッハ「……ここはなんだ? 本当に、あの幻覚の出口なのか?」

つばき「ええと、あたしも……詳しくはわからないんですが、
     多分それで合ってると思います。じきに、元の世界へ帰れるはずですよ」


しんのすけ「……オラ帰りたくない、ずっとここにいたーい」

つばき「ダメだよ。しんちゃんはちゃんと、しんちゃんの世界を生きなくちゃ」


ロールシャッハ「そうだ。いつまでもここにいるわけにはいかん」

210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:00:32.93 ID:e8929ruk0

しんのすけ「……つばきちゃん、さみしくない?」

つばき「……う、うん、さみしくはないよ、オケガワさんや……
     クリスさんたちもいるし……そう、たまにこうやって、
     カスカベ座のことを覚えていてくれる人が来てくれるもの」

しんのすけ「」ポワーン

つばき「……でも! しんちゃんがいないのは、ちょっとさみしいな!」

しんのすけ「そ、そーでしょそーでしょ、うん!」

しんのすけ「…………つばきちゃん、また逢える?」

つばき「……逢えるよ、きっと」


しんのすけ「あれ、でもそーいえばおじさんが四人で帰るって……そうだ、フーちゃん!」

しんのすけ「つばきちゃんつばきちゃん、もう一度向こうに戻して! 友達待たせてるんだゾ」


つばき「友達? 友達って――もしかして、赤い髪の男の子?」

しんのすけ「うん。おじさんは家に帰ったって言ってたけど、
       でもホントは急にいなくなっちゃったんだよ」

つばき「…………」

ロールシャッハ「…………」

よね「?……どうしたの、二人とも」

つばき「いえ、なんでもありません」

211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:01:39.37 ID:e8929ruk0

しんのすけ「もしかして……つばきちゃんみたいに……」

つばき「ううん、その子はね」

しんのすけ「あーっ、でもダメ! つばきちゃんにはオラの方が似合ってるゾ!」

頭を抱えるしんのすけを見て、ほほ笑むつばき。


つばき「安心して。その子はちゃんと、お家に帰れたから」

つばき「おじさんの言ったことは本当だよ。だから大丈夫」


しんのすけ「じゃ、また逢えるの?」

つばき「もちろん! あたしとしんちゃんだって、こうやって逢えたじゃない」

しんのすけ「じゃあ、アクション仮面に頼んで、カスカベ座でもっかい映画やってもらおーっと。
       約束したんだ。フーちゃんと一緒にアクション仮面の映画観るって」

つばき「…………ありがとう。それじゃ、ここで待ってるよ」

212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:03:27.79 ID:e8929ruk0


つばき「……」

つばき「あの……」

ロールシャッハ「なんだ」

つばき「お願いがあるんです……難しいかも知れませんが……
     しんちゃんに、あなたのことを教えてあげてくれませんか」

つばき「無理にとは言いません。
     でも、あたしはしんちゃんのところへは行けないから……」


ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ「…………約束しよう」


ロールシャッハ「俺から最後に、もうひとつ聞きたい」

ロールシャッハ、日誌から栞に使っていた写真を見せる。

ロールシャッハ「この少女……よく似ているが、お前か?」

つばき「わあ、嬉しい……そうです。まだ、残っていたんですね!」

ロールシャッハ「そうか……なら、こいつはお前に渡そう」


つばき「いいえ、大切にしていただいてるみたいで、とても嬉しいです」

つばき「それはあなたが持っていてください」

    「あたしがここに……いえ、しんちゃんやあなたたちと逢えたのは、
    そのカードが呼んだ奇跡かも知れませんから」


ロールシャッハ「………………」

ロールシャッハ「…………ああ」


栞をはさむロールシャッハ。

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:04:44.06 ID:e8929ruk0


つばき「……そろそろ、お時間のようです」

よね「うわ、またなんか光が……」

ロールシャッハ「……出口の光のようだな」

しんのすけ「よーし」

しんのすけ「ふん! ふん!」

自らの頬を張るしんのすけ。

しんのすけ「オラのカスカベを、お助けに行くゾ!」


振り返り、手を振るしんのすけ。三人の姿が消えていく。


しんのすけ「じゃあねー! つばきちゃん! きっとまた来るからね!」

つばき「……うん、また逢おうね!」



つばき「……がんばってね、しんちゃん」



214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:11:46.20 ID:e8929ruk0


ヘンダーランド 見張り塔


ロールシャッハの身体が震え、光とともにしんのすけとよねが飛び出してくる。

アクション仮面に受け止められるしんのすけ。

アクション仮面「しんのすけ君!」

トッペマ「しんちゃん!」

よね、飛び出したまま壁にぶち当たる。

よね「いってえ!」

ひろし「うまくいったのか!?」

よね「……ヘクソンは!?」

アクション仮面「キミたちより先に、飛び出していった光があった。
         おそらくそれだろう」


マサオ「おじさん……」

ロールシャッハ「…………UMM……」

ロールシャッハ「KUFF,KUFF」


ロールシャッハ、周囲を見渡す。

ロールシャッハ「HURM.まだ異次元とはな……」

よね「ああいや、なんていうかそうじゃなくて――」

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:16:19.68 ID:e8929ruk0

――日付不明 ロールシャッハ記


詳細な経緯を書き留めておく余裕はない。
事態が収束するまで、おそらくこれが最後の手記となるだろう。
更新されるかどうか、今の俺にはわからない。

俺たちは、あの混沌の世界を抜け出すことに成功した。

あの少女はそれを奇跡と呼んだ。


いいや。違う。

空の上に神はいない。
あの少女は天使なんかじゃないし、奇跡など起きようはずもない。
あれは奇跡ではない。
俺たちの残したなにもかもが、集束して生まれた在るべき結果だ。


価値はある。そうだ、この世界には――
救うというだけの、途方もない価値が。


216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:25:43.06 ID:e8929ruk0



ロールシャッハ「あんたがアクション仮面か……ショーにいた奴だな?」


アクション仮面「ん? あ、ああ、そうだとも」

スッ

アクション仮面(ん? 手? 握手か?)
ギュッ

ロールシャッハ「……」

アクション仮面「……そろそろ放してくれないか?」

ロールシャッハ「ああ」

アクション仮面(……なんだ今のは……)



217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:28:21.32 ID:e8929ruk0

21世紀博 ホール

避難しているカスカベ市民。外ではまだ人形の歩く音がする。
ホールの中は、予備電源によってかろうじて灯りが保たれている。

停電は復旧しない。
電波も届かない。
不安だけが蔓延している。


「ねえ、どうなってるの?」
「警察は? 自衛隊は?」
「そういや俺、なんか外国の軍隊みたいなの見たぞ」
「あ、あたしもあたしも」
「怖いよう怖いよう」「お母さん」


むさえ「いやー、あちーね。冷房行きわたってないよねこれ絶対」

むさえ「ちょっと、筋肉の人もっと向こう行ってよー」

ルル「あなた、ずいぶん能天気ですね」

むさえ「だって心配してもしょうがないじゃん?」

スンノケシ「しんちゃんたちのことも、ですか?」

むさえ「んー、心配してないと言ったら、別にそんなことないよ?」

    「でもさ、しんのすけっていつも、なんだかんだどうにかしちゃうっていうか」

    「変な話、かえって安心してんだよね」

    「だって、そんな気がしない?」

ローズ「……そうね、しんちゃんなら」

ラベンダー「ジャークを復活させたときはどうなるかと思ったけど」

レモン「あれも結局、笑って終わったしねー」

サタケ(ひまわりちゃん、大丈夫かな……)


むさえ「ね? 信じて待つって、そういうことじゃない?」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:39:41.70 ID:e8929ruk0


「あのロールなんとかいう犯罪者、どうなったんだ?」
「ここに紛れ込んでるんじゃない?」
「バーカ、あいつがやったに決まってんだろ」
「なにをだよ?」
「全部だよ、これ全部。決まってんじゃねえか」


ふと、子供がひとり泣き出す。

「おいうるせえぞ、黙らせろよ!」

サタケ「子供に黙れとはなんだこの野郎!」

さらにたくさんの子供が泣き出す。

ローズ「あーあ。悪化させちゃった」
サタケ「ぐぬぬ」

「もうイヤ! 早くおうちに帰して!」
「そうだ! ここにいても仕方ないだろ!」
「みんなで出ようぜ!」
「おい待てよ、開けたら入ってくるだろ!」


徐々にざわめきが広まっていく。

スンノケシ「……サタケさん、お願いがあります」

サタケ「ん……?」

ルル「王子……?」

219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:54:26.50 ID:e8929ruk0


サタケの肩に乗り、ステージの上に上がるスンノケシ。


「ああん?」
「なんだなんだ?」
「あらあの人いい筋肉ねえん、ステキだわあ」


スンノケシ「皆さん、よく聞いてください!」

スンノケシ「今ここで僕たちにできることはありません!」

「なんだあ、あのガキ……」


スンノケシ「でも考えてみてください、外の人形は、まだここへは入ってきません」
      「なにか目的があるのかもしれません!」
      「なにかはわかりませんが、すぐに襲ってこないことは確かです!」


さらにざわめく市民。
「だからなんだ!」

サタケ「おお、黙って聞けえいッ!」

スンノケシ「今、僕たちのために闘ってくれている人たちがいます!」

スンノケシ「今は、彼らを信じましょう! ここで騒ぎを起こせば、きっと敵の思うツボです!」

「誰が、」
「誰が闘ってるんだよ!?」
「そうだ! それを言え!」

スンノケシ「皆さんに凶悪犯と誤解されている、ロールシャッハさんという―-」

「はあ? 何言ってんだよ?」
「お前もあいつの仲間じゃないのか!?」

サタケ「おい、黙ってろっつったぞ!」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:55:52.59 ID:e8929ruk0


園長「――あれ? しんのすけ君じゃーないですか!」

立ち上がる園長。

スンノケシ(……全然知らない人だ……)
      (……でも、合わせておこう)

スンノケシ「ほ、ほっほほーい!」


園長「皆さん! あのコは私の幼稚園の園児ですよ!」
   「幼稚園児がこんな立派なことを言ってるんです!」
   「我々大人がしっかりしなくてどうするんですか?」

よしなが「しんちゃん……なんていい子に……」グス

まつざか「あれほんとにしんのすけ君?」

上尾「いいですねっ、あの、王族みたいな服!」


ローズ「いいわよーしんちゃん!」

ラベンダー「おにいたま、あの子は――」

レモン「いいのよ、今はしんちゃんで!」


チータ「うわマジだ、しんのすけ!」

北本「あらやだほんと!」

ロベルト「オー、ナンカわからんが、すごいぞチンノスケ!」

竜子・お銀・マリー(知り合いからすると衝撃の方がつええな……)

あい「真面目なしん様……素敵ッ……」クラッ

黒磯「お嬢様、お気を確かに!」


徐々に徐々に、しんのすけの名前を呼ぶ声で埋まっていく。

スンノケシ(……すごいな、しんちゃん)

スンノケシ(こんなにたくさんの友達がいるんだ……!)

221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 21:56:56.53 ID:e8929ruk0


ルル「王子……」ホロリ

サタケ「あんたのとこの王子、子供なのに手がかからなそうだな」

サタケ「それはそれで、さみしくねえか?」

ルル「いいえ、ちっとも」

ルル「私たちの、自慢の王子ですよ」


222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:01:19.84 ID:e8929ruk0


ヘンダーランド 見張り塔


ロールシャッハ(トッペマという人形から経緯を聞いた)

ロールシャッハ(敵はまだ城内にいる)

ロールシャッハ(俺たちが来るのを待ち構えているのだろう)


ロールシャッハ(そして、スゲーナ・スゴイデスというカード)

        (これが切り札となる)

        (戦力から見て、他に方法はない)


ロールシャッハ「残りが三枚か……」

ロールシャッハ「城内でこの三枚を使ったとしても―-」

トッペマ「ただ使うだけではまったく意味がないでしょう」


トッペマ「ゼロ距離で、カードの力すべてをオカマ魔女たちに叩き込む」

トッペマ「おそらく、それしかありません」

ロールシャッハ「HURM……」


風間「あの、僕たちにもできることありませんか?」

ネネ「ネネも闘う!ここまで来たんだもん!」

マサオ「き、気を散らすくらいできるよねっ」

ボー「隙を、つくる!」


アクション仮面「子供たちも含めて大丈夫か?」

よね「カードを持たせておけばいい。きっと大人よりうまく使えるよ」

トッペマ「私の魔法は弱いけど、みなさんを守るくらいはできます」

ひろし「あーもう、やりゃいいんだろやりゃあ!」

みさえ「そうよ、それしかないんだから!」

ひまわり「た!」

シロ「アン!」

しんのすけ「みんなで行くゾ、おじさん!」

ロールシャッハ「……HURM……」


223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:03:05.33 ID:e8929ruk0


ヘンダー城 城門前


夜霧の線路の上に、一直線に並ぶ一同。

しんのすけ、ロールシャッハ、アクション仮面、よね、
ひろし、みさえ、風間、ネネ、マサオ、ボー、ひまわりを乗せたシロ。

しんのすけの前方、宙を舞うトッペマ。

空は群青色。わずかに明るくなりつつある。


224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:06:08.29 ID:e8929ruk0

トッペマ「――いい? いくわよ」

トッペマ「トッペマ・マペット!」


城門が開き、線路へつながる。


しんのすけ「カスカベ防衛隊……………………ファイヤー!!!」


一同「「「ファイヤアアアアアアアアアアアアアアア!!!」」」





一同(劇画)「「「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」」」


225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:07:24.69 ID:e8929ruk0

ヘンダー城 広間


ジョマ「来たわね」
マカオ「ほーんと待ちくたびれちゃったわ」

ジョマ「何の考えもなく特攻かしら?」
マカオ「悪あがきするのも素敵ね」



ジョマ「……ぶりぶりざえもん?」

ぶりぶりざえもん「……フン」



226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:11:31.91 ID:e8929ruk0



21世紀博 ホール


突然、ステージ上のスクリーンに映像が映る。
だけでなく、各所のモニター、市民たちの携帯電話にも同じ映像。


マカオ「聞こえるかしらー? カスカベ市民のみなさん?」
ジョマ「あたしたちがその人形の主人よ、よろしくね」

すると、人形たちがホールの窓にまで押し寄せてくる。
窓に張り付く無数の人形。

マカオ「さーて今こちらではァん、」
ジョマ「あなた方愚民どものために戦ってくれてる救いのヒーローたちがいるわ」

走り抜けるしんのすけたちが映る。


一同(劇画) 「「「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」」」


「あれ……あの、ロールシャッハとかいうの!」


227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:12:27.22 ID:e8929ruk0

組長「? しんのすけくんが二人!? こっちにいるのは……?」
よしなが「風間くんたちも!」
まつざか「あそこ、ヘンダーランドじゃない?」
上尾(……行きたかったなー、ヘンダーランド)


ローズ「あら、あのコ頑張ってるじゃない!」
ラベンダー「あれでも一応刑事だもの」
レモン「ガッツは人一倍あるものね」

サタケ「ひまわりちゃーん、気をつけて―!!」

むさえ「あれ、ねーちゃんと義兄さんまで……」


「あ、アクション仮面だ!」
「郷さん? 本人?」
「がんばれえええええアクション仮面!!」
「郷さんあたしファンなんです!」


スンノケシ「しんちゃん……!! がんばれ……!」

228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:15:19.36 ID:e8929ruk0
――ヘンダー城


ジョマ「――なかなか反応がいいわね」
マカオ「――その期待をぶち壊しちゃうのが楽しみだわ」



パラダイスキング「おいお前ら、アクション仮面は俺の獲物だからな」

ハブ「……ヘクソンはどうした?」

マホ「いねーってことはやられたんだろうよ」

ハブ「……ならば楽しめるか」

アナコンダ「グフフフ。久々に魔人の力が使える……」


229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:17:30.59 ID:e8929ruk0


トッペマ「トッペマ・マペット!」

城の扉が開く。

人形の群れが押し寄せる。

走りながら突き飛ばすロールシャッハたち、子供たちは足の隙間を潜り抜けていく。


ハブ、ガントレットの爪を伸ばしてロールシャッハへ飛び掛かる。

フック銃を抜いて防ぐロールシャッハ。


ハブ「……ヘクソンを倒したのはお前だな」

ロールシャッハ「……だったらどうした」

ハブ「光栄に思え。お前は俺が殺してやる」


パラダイスキング「ようアクション仮面! 俺の相手はお前しかいないぜ」

パラダイスキング「またオーディエンスの中で散ってくれよ」

アクション仮面「ジャングルでは、散ったのは自分の方だと忘れたか?」

パラダイスキング「……ほざけェッ!!」

230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:19:18.27 ID:e8929ruk0


マホ「なんだい、あたしの相手は雑魚刑事さんか」

よね「負けたときの言い訳、考えときなよ!」

よね、引き金を引く。

マホ「オメーの弾なんか当たるわけねえだろクソ雑魚がッ!」

トッペマ「トッペマ・マペット!」

マホ(なにっ……軌道を変えた!?)

リボンで弾丸を落とすマホ。

マホ「ッちィ……ふざけやがってェエ!」


231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:20:34.41 ID:e8929ruk0


みさえ「おらおら邪魔だ邪魔だ!」
ひろし「人間凶器のひろちゃんを舐めんなよ!」

勢いだけで人形と渡り合う野原夫妻。



風間「マサオくん、パス!」

マサオ「うわあっと、とと、ボーちゃん、パス!」

ボー「ボー、ネネちゃん!」

ネネ「しんちゃん、パス!」

しんのすけ「ほい!」

しんのすけ「ひまとシロ、パス!」

ひまわり「たい!」
シロ「アン!」

一枚のカードをパスしながら、足元を駆け抜けていく六人と一匹。

232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:23:51.62 ID:e8929ruk0


アナコンダ「……ふむ」

ジョマ「あらなに、あなたまで参戦しちゃうの?」
マカオ「すぐに終わっちゃうんじゃなーい?」

アナコンダ「仲間外れはさみしくてね……フフフ」


しんのすけ「お!?」

姿を変えていくアナコンダ。
ヘビと一体化し、天井にまで届きそうな魔人の姿になる。


よね「ッ! おいおい、あんなのがいるのかよ……!」

トッペマ「よそ見しないで!」

トッペマ「くっ……」

よね「トッペマ!」

マホ「おらおらおらおらっ!」

ひろし「あ、ありゃ勝てんぜ……うっわ、なんか急に勢いが冷めたッ!」

みさえ「あなた、もっと眉間にしわ寄せて! 顔怖くすれば勢いが出るわッ!」

233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:26:50.85 ID:e8929ruk0

魔人アナコンダ「ンフフフ、フフフ」

一同を襲う魔人の腕。逃げ遅れた人形たちを巻き込んで、握りつぶしていく。


腕のヘビに追われるしんのすけ。

しんのすけ「おわっと、おわあっと!」


視線の先に、ぶりぶりざえもんを乗せた人形。


しんのすけ「ぶりぶりざえもん!」

しんのすけ「助けて、ぶりぶりざえもん!」

ぶりぶりざえもん「…………」


アナコンダの指がしんのすけをつかむ。

魔人アナコンダ「捕まえたぞボクうううう」

ひろし「しんのすけ!」
みさえ「しんちゃん!」

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:27:52.42 ID:e8929ruk0


ハブ「……アナコンダ様が出てきた時点でお前たちの負けだ」

ロールシャッハ(ダメだ……間に合わない!)


アクション仮面「しんのすけくん!」

パラダイスキング「こっち見ろォッ!!」ボッ

アクション仮面「ぐっ!」


235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:29:11.71 ID:e8929ruk0


しんのすけ「放せ放せこのおバカー!」

ぶりぶりざえもん「……お助け料ひゃくおくまんえん、ローンも可」

しんのすけ「!」

そのとき、ぶりぶりざえもんを乗せた人形のまわりに、
ほかの人形がぞろぞろと集まっていく。

人形の塊はやがて魔人とほぼ同じサイズとなり、
そのシルエットは大きく変わっていく。

しんのすけ「……カンタムロボ!!」

しんのすけ「すごいゾぶりぶりざえもん!」

ぶりぶりざえもん「フン。このくらい朝メシ前だ」

236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:30:43.83 ID:e8929ruk0


ジョマ「ちょっとあんたあ?」
マカオ「なにしてるのかしら、いけない子ね」


ぶりぶりざえもん「言っただろう。フェアな闘いだと」


「お前たちへのサービスは充分してやった」

「そんでこいつらは私の力を借りずにここまで来たのだ」

「このくらいのお助けのサービスをしてやるのが人情ってもんだろうが!!」

237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:31:51.35 ID:e8929ruk0

人形から生み出されたカンタムロボ、魔人へ拳を叩き込む。
しかし、アナコンダは倒れない。



魔人アナコンダ「グフフフ。少し驚いたよ」
        「だが、馬力が足りんのではないかね?」

ぶりぶりざえもん「ぬおっ……」


マカオ「いーわよアナコンダ。そのデカいのもいっしょに粉にしてあげなさい」

魔人アナコンダ「お安い御用だ……」


ぶりぶりざえもん「バカ! この、やめないかこのおバカ!」

しんのすけ「んんんっ、ぬぬぬぬっ!」

238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 22:34:49.36 ID:e8929ruk0


ネネ「マサオくん、パス!」
マサオ「はいッ!」

スゲーナスゴイデスのトランプを手にしたマサオ。
玉座の前に来る。

ジョマ「あらかわいらしいオニギリ坊やね」

マカオ「そのトランプの力であたしたちを倒そうというの? そんなハートの強い子には見えないけど?」

ジョマ「そうね、ヒーローって顔じゃないわ」


ジョマ「そのカードこっちに渡しなさい」
マカオ「そしたら君だけは許してあげるわ」


マサオ「…………」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:31:17.82 ID:e8929ruk0



マサオ「……そうだよ、僕はハートなんか強くない」


マサオ「ヒーローになれなくても、」

マサオ「でも手助けならできるんだッ!」

手を伸ばすジョマ。

が、マサオの背後をシロが駆け抜け――

ひまわり「た!」

ひまわりの手にカードが渡る。

風間「ひまわりちゃん!」

さらに、風間が受け取る。

風間(そうだ。僕も同じだ)

風間(たとえ魔法が使えても、世界を救えはしないだろう)

風間(でも魔法が使えなくても、)

風間(世界を救う手助けはできる)

風間「しんのすけ!」

魔人アナコンダ「フフフ、握りつぶしてくれる……」


風間「スゲーナ・スゴイデス!」

放たれた光が、しんのすけを突き刺す。



240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:35:07.98 ID:e8929ruk0

直後、アナコンダの指が切り落とされる。

魔人アナコンダ「なにッ……!?」



ひろし「しんのすけ……なのか!?」
みさえ「やだ、なにあの格好!」


紫と青の頭巾。赤の褌。その体躯は大人のもの。
その手には刀。


しんのすけ「ほほーいっ」

しんのすけ「大人しんちゃん、参上ッ!」



※雲黒斎の野望参照
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:44:29.69 ID:e8929ruk0

トッペマ「しんちゃん!」


しんのすけ「オラ負けないゾ!」

しんのすけ「今のオラはすんんんんんごく、強い!」

しんのすけ「絶対に!」


しんのすけ、すさまじい速さでマホへと迫り、リボンを切り裂く。

マホ「くッ!」

よね「相手はこっちだろ!」

よね、警棒で締め上げる。


ついで、パラダイスキングへ迫るしんのすけ。

しんのすけ「アクション仮面!」

パラダイスキング「邪魔すんじゃねえ!」


アクション仮面「ありがとうしんのすけくん、助かった!」

しんのすけ「アクション仮面、オラに任せて!」

しんのすけ「お前はオラが倒す!」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:46:01.32 ID:e8929ruk0


ぶりぶりざえもん「おいコラアクション仮面ヒマになったならこっち手伝えっての!」

アクション仮面「おう!」

アクション仮面、カンタムロボの身体を駆け上がり、魔人の顔面を殴る蹴る。

アクション仮面「このっこのっ、このこのこの!」

魔人アナコンダ「こざかしい!」


しんのすけ、パラダイスキングへ切りかかる。
ブーツで刀と応戦するパラダイスキング。

パラダイスキング「すっこんでろ、このクソガキ!」

しんのすけ「ガキじゃないぞ、オラ野原しんのすけだ!」

刀が一閃、パラダイスキングのアフロを切り裂く。

パラダイスキング「!」

パラダイスキング「あ、ああああー! お前これお前!」

パラダイスキング「くっそおおお、もう許さねえ!」

トッペマ「トッペマ・マペット!!」

パラダイスキング「邪魔すんな!」


ネネ「しんちゃん、危ない!」

ボー「ボ――――!」

ハブの爪がしんのすけを狙う。
しんのすけ、刀でガード。

ハブ「……あまり調子に乗るなよ」

しんのすけ「お前もな!」

しんのすけ「おじさん!」


ロールシャッハ「KUFF,KUFF」

ロールシャッハ、マスクの端から血を流して立ち上がる。



ロールシャッハ(シンノスケには助けられたが……)


ロールシャッハ(……このままでは玉座に近づけない……)
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:47:29.42 ID:e8929ruk0


ぶりぶりざえもん「……早くなんとかしろアクション仮面。
          このカンタムはもうそれほど持たん!」

アクション仮面「なんとかしろと言っても……!」

ぶりぶりざえもん「このままではあいつらがオカマどもを倒せんぞ!」


アクション仮面(トランプは残り二枚だ……!)

アクション仮面(私が、本当にこのカードの力を引き出せなければ……)


ぶりぶりざえもん「おいなにをさぼっている! 所詮お前は特撮番組の絵空事か!?」


アクション仮面(違う。あのときパラダイスキングの前で、
        しんのすけくんの声援を受けて立ち上がったとき)

アクション仮面(私は本当にヒーローだった)


アクション仮面(ロールシャッハ君とも、きっと同じように)


アクション仮面(そうだ。もう一度……)

アクション仮面(……もう一度、本物のヒーローになろう)

244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:48:50.17 ID:e8929ruk0


アクション仮面「……ぶりぶりざえもん! 少し離れろ!」

ぶりぶりざえもん「あ、ハイ」ビクッ

アクション仮面「……スゲーナ・スゴイデス……」


アクション仮面の拳が、強く輝きはじめる。



アクション仮面「アクション…………」

魔人アナコンダ「!?」


アクション仮面「……ビィイイイ―――――-ムッッッ!!!!!」


アナコンダが顔面を焼かれ、膝をつく。


魔人アナコンダ「……クソオオオオオオオ子供だましの分際でええええ!!!」


ハブ「アナコンダ様!」

気を取られたハブの顔面に、ロールシャッハの渾身の蹴りが炸裂する。

ハブ「ぬぐっ……」

しんのすけ「やったゾ!」
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:50:51.67 ID:e8929ruk0


トッペマ「アクション仮面、加勢するわ!」
     「トッペマ・マペット!!」

トッペマの魔法が、アクションビームを増幅していく。

魔人アナコンダ「ぐ、くうううう……」


ぶりぶりざえもん「あの、ちょっとえーと」


アクション仮面「アクションビィーム!!」
トッペマ「トッペマ・マペット、トッペマ・マペット!!」


ぶりぶりざえもん「…………」

ぶりぶりざえもん「……ええい私のも喰らえ!」


ボロボロになったカンタムロボが、右ストレートを叩き込む。
同時に限界を超えて、砕けていくその右腕。
壁を突き破り、倒れるアナコンダ。


トッペマ「――今よ!」



一直線にがら空きになった玉座へ向けて、フック銃を放つロールシャッハ。



ロールシャッハ「――行くぞ、シンノスケ」

しんのすけ「おう!」


ワイヤーが一瞬で距離を詰める。

246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:52:04.95 ID:e8929ruk0

ジョマ「……あらあらまさか」
マカオ「私たちが出ることになるとはねェ」


オカマ魔女、立ち上がり、すさまじい速度の蹴りを放つ。


しんのすけ「うっ……」
ロールシャッハ「AAK!」


吹き飛ばされるロールシャッハ。
しんのすけはカードの効果が切れ、子供の姿に戻る。
失神したしんのすけの襟首をつまみ、持ち上げるマカオ。


マカオ「ハーイ、ざーんねん」
ジョマ「なかなかうまくはいかないものね……」


ロールシャッハ「…………UUMMM」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:53:04.68 ID:e8929ruk0


アクションビームの効果も切れる。
トッペマも力尽き、床に落ちる。
対岸でアナコンダが立ち上がる。

アナコンダに叩き落されるトッペマ、アクション仮面、ぶりぶりざえもん。


魔人アナコンダ「ゲームオーバーのようだな……」

パラダイスキング「ったくどうすんだこのアフロ!」

マホ「さっきの調子はどこいったんだよ? え?」

よね「……ロール……シャッハ……」

よねを締め上げるマホ。


ハブ「……お前たちはよくやった。それは誉めてやろう」

鼻血を拭い、ひろしとみさえに爪を向けるハブ。


残った人形たちに捕まったカスカベ防衛隊、ひまわりとシロ。


248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:54:47.70 ID:e8929ruk0

ジョマ「聞こえるかしら? カスカベのみなさん?」
マカオ「面白かったでしょう? ヒーローが勝てないというのもたまにはね」


城内のモニターに映る、21世紀博の避難所。
絶望の声が聞こえる。


スンノケシ「……しんちゃん!」


広間に声が響く。


スンノケシ「僕だよ、覚えてる!?」

      「また逢おうって約束したよね!」

      「ボク逢いに来たんだよ!」

スンノケシ「だから起きて、しんちゃん!」


その声は再び、しんのすけを呼ぶ声を広げていく。


ひろし「そうだぞしんのすけ、目を覚ませ!」
みさえ「もういくら寝坊してもいいから、今だけは起きて!」


トッペマ「しんちゃん!」
よね「しんのすけ!」
風間「しんのすけ!」
マサオ「しんちゃん!」
ネネ「しんちゃんってば!」
ボー「しん、ちゃん!」
ひまわり「たやー!」
シロ「アン!」
アクション仮面「しんのすけくん!」
ぶりぶりざえもん「おいしんのすけ!!」


しんのすけ「…………お……?」

しんのすけ「…………眠いゾ……」


ロールシャッハ「……シンノスケ」


しんのすけ「……はっ!」
      「シャッハのおじさん!」


ロールシャッハ「ああ」
        「……家に帰ろう」



249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:55:53.91 ID:e8929ruk0

ジョマ「感動のお目覚めね」
マカオ「なんの意味もないんだけどねえ」


ジョマ「……あなた、まだトランプを隠し持ってるわね」
マカオ「……渡さないと、罪なき市民が犠牲になるわよ」


ロールシャッハ、日誌を開く。


しんのすけ「ダメだゾ! 最後の一枚――!」


ジョマ「子供は正直ね」
マカオ「残酷なほどね」

250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/24(土) 23:58:10.25 ID:e8929ruk0



ロールシャッハ「……HEH.」

         「こんな紙切れ」

         「……欲しけりゃくれてやる」



ピン、と指でカードを弾くロールシャッハ。

そいつは天井に届きそうなほどに宙を駆け上り――――



一同「「「「「「「「「「「「 !!! 」」」」」」」」」」」」



そして降りてくる――


ジョマ「これであなたたちは、」
マカオ「本当に詰みよ」





カードの絵柄は――――古い映画の写真――





マカオ・ジョマ「――――!」







そこに写る少女が――




――――つばきが、ウィンクする。



251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:00:29.39 ID:LP5lnj2b0




ロールシャッハ、いちばん新しいページを開く/
そしてそこから、本当のトランプを取り出す/
マカオとジョマの手が、トランプに伸びる/
しんのすけが束縛を振りほどき飛び出す/



カードを差し出すロールシャッハ/その端に触れるしんのすけの指。




ロールシャッハ「 スゲーナ / スゴイデス !」しんのすけ




とてつもない光があふれ――すべてをつらぬく。




252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:01:50.00 ID:LP5lnj2b0

――21世紀博


「……どうなったんだ……?」



真っ白な画面となった、21世紀博のスクリーン。


やや時間があって、ぶりぶりざえもんの絵と、一枚のロゴが出る。



『 嵐を呼ぶ! 救いのヒーローたち
   〜しかし、誰が世界を救うのか〜 』

        『終』




「……なんだ? 映画だったのか?」
「大規模なドッキリだったんじゃない?」
「いや、でも……」



カスカベ市内の人形が、次々と崩れていく。
そのあとに、取り込まれた人々の姿が。


ヨシリン「ミッチいいいい!」
ミッチー「ヨシリいいいン!」




ジャーク「……あ、あら……??」


253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:02:33.12 ID:LP5lnj2b0



サタケ「……やったのか?」

ローズ「あんたいったいなに見てたのよ!」

ラベンダー「完全勝利に決まってるでしょおバカじゃないの!」

レモン「おのんきに映画見てたわけじゃないのよ!」

サタケ「うう、うるせー!」

むさえ「ほーらね? だから言ったっしょ?」



254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:03:25.72 ID:LP5lnj2b0


園長「いやあしかし本当にしんのすけくんに似てますねえ」ナデリナデリ

スンノケシ「あの、ちょっと!」

ルル「王子に触らないでください!」


よしなが「このいい子さをしんちゃんにも少し分けてあげてほしいわ……」グス

まつざか「あら頑張ってたじゃない、本物のしんのすけくんも」

上尾「よしなが先生、号泣でしたよねあのとき」

よしなが「いいじゃないの、でもほんとに良かったあああああーん!」


あい「あの、しん様とはどういうご関係ですの?」

スンノケシ「ええと、友達だけど、顔が似ていることは別に……」

ルル「お嬢さん。我が国の王子に色目を使うのはやめていただけますか?」

黒磯「色目とはなんだ! お嬢様、こちらへ!」


ルル「……」黒磯「……」

ルル・黒磯「フンッ」


255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:03:56.35 ID:LP5lnj2b0



北本「災難だったねえロベルト」
ロベルト「でも、チンノスケのカッコいいトコロが見れたヨ!」



竜子「よーしお前ら、朝メシでも喰ってくか!」
お銀「お、リーダーのオゴリ?」
マリー「この状況で営業してんのー?」



スンノケシ「でも、ルル、」

スンノケシ「みんな、ちゃんと戻ってこれたかな?」

ルル「そうですね……やはり、あの場所に行ってみるのがよろしいかと」




256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:04:58.90 ID:LP5lnj2b0



――光の中の、ヘンダーランド




ロールシャッハ(光が……俺たちを粉々に吹き飛ばす)



トッペマ(こんな……すごい力だなんて……)

トッペマ(……笑っちゃうくらいね……)

しんのすけ「ほっほおおおおお!」

ぶりぶりざえもん「おい精密機器に強い光を当てるな!」

ひろし「しんのすけ! みさえ!」
みさえ「ひまわり! シロ!」
ひろし「風間くん、ネネちゃん」
みさえ「マサオくん、ボーちゃん!」
アクション仮面「みんなつかまれ!固まるんだ!」

よね「……ロールシャッハ!……」


声をかき消すような光の嵐。



257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:06:11.98 ID:LP5lnj2b0

しんのすけ「――トッペマ!」

トッペマ「大丈夫、もうすぐおさまるわ」

しんのすけ「……やりすぎた?」

トッペマ「んー、ちょっとね!」


トッペマ「でも、ありがとう」


風間「トッペマ……!」

トッペマ「風間くんたちもありがとう」


トッペマ「……みんな、みんな、とてもカッコよかったわ」


メモリ・ミモリ「……救いのヒーローたち……」


トッペマ、メモリ・ミモリの姿となり、やがて消えていく。


258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:07:55.66 ID:LP5lnj2b0



ロールシャッハ(――この感覚を、俺は知っている)


(Dr.マンハッタンに、南極で消されたときだ)


(俺はあのとき、この顔を脱ぎ捨てた)


(ウォルター・ジョセフ・コバックスとして死に――)


(奴に、ロールシャッハを殺させないために)



(あの幻の中で、俺は、俺の知らぬ故郷の姿を見た)


(そして確信した)


(白と黒の対称形は、あの地にまだ生きている)


ロールシャッハ(――ほんのわずかな一滴でも)



      「いや、その……」
      「すまない、忘れてくれ」
      「いいんだ」



ロールシャッハ(……ダニエル)

ロールシャッハ(……本当に、別れるべきときが来たようだ)


259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:10:51.46 ID:LP5lnj2b0


――カスカベ座 シアター内



目を覚ます一行。

しんのすけ「……お?」

みさえ「ここは……」

ひろし「…………帰ってきたんだ!」

ひろし・みさえ「やーったやったやった!」

風間「よかったー!」

マサオ「ふうう、ホントに死ぬかと思ったー……」

ネネ「でも、私も魔法使ってみたかったなー」

ボー「けれどぼくたち、すごい冒険、した!」

260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:11:54.28 ID:LP5lnj2b0

風間「……トッペマ……」

しんのすけ「どーしたの風間くん。トッペマとお別れしたのがさみしいの?」

風間「そんなんじゃない!」

風間「お前だって、前にここに来たときにはおんなじ感じだったじゃないか!」


しんのすけ「つばきちゃんにはまた逢えたもーん」

風間「え、どうやって!?」


しんのすけ「ナ・イ・ショ!」

しんのすけ「だからトッペマにもまたすぐ逢えるゾ!」

風間「根拠のないこと言うなよー!」



みさえ「なーんか、」

ひろし「やっと日常に戻ったって感じだな!」

ひまわり「た!」
シロ「アン!」

261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:12:47.69 ID:LP5lnj2b0


ロールシャッハ「……UU……MMM」

よね「……起きた?」


ロールシャッハ「ここは……」

よね「どこって、カスカベ座に決まってんじゃない!」


ロールシャッハ「HURM.」

ロールシャッハ「……また死んだのかと思った」

よね「はあ?」











ロールシャッハ「……ぶりぶりざえもんはどうした?」





よね「あ――――――――――!!!!」


一同「「「!!!!!!!!!!!!!」」」


ロールシャッハ(NO!)

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:14:14.26 ID:LP5lnj2b0




アクション仮面「――それなら、ここにいるよ」


コスチュームのポケットから、ディスクを取り出すアクション仮面。


しんのすけ「アクション仮面! スッテキー!」

アクション仮面「ははは、私を助けてくれたときの君は、もっと素敵だったぞ」

しんのすけ「いやあそれほどでもお!」


よね「あー、マジでよかったァー……」


ぶりぶりざえもん「私を差し置いて盛り上がるなコラ!」

みさえ「やーだ、最近のオモチャはこんな高性能なのね」

ぶりぶりざえもん「オモチャじゃない!
           お前いったい今までなに見てたんだ!」


アクション仮面「……これで、君の期待には応えられたかな?」


ロールシャッハ「……ああ」

         「感謝する、アクション仮面」

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:15:30.28 ID:LP5lnj2b0



スンノケシ「しんちゃ――ん!!」

しんのすけ「スンちゃ――ん!!」

風間「へえ、本当にしんのすけとそっくりだな!」

ネネ「でもしんちゃんよりかっこよくない?」

マサオ「兄弟みたいだよね」

ボー「兄弟というより、分身!」



ひろし「ん、んっ」(咳払い
ひろし「やあルルさん、相変わらずお美しい」

ポカァン!
みさえ「ごめんなさいねえうちのが……ホホホ」

ルル「ハハハ……野原さんたちもお変わりないようで。ご無事でなによりです」



ローズ「あんた観てたわよーやるじゃないのもう!」グリグリ
ラベンダー「銃の腕前は相変わらずだけどッ」グリグリ
レモン「結構戦力になってたじゃない!」グリグリ

よね「ちょ、ちょっと、いてえよ!……ハハッ!」



サタケ「ひ〜まわりちゃ〜ん!」

ひまわり「た! たあい!」

サタケ「こわかったでちゅね〜でもがんばりまちたね〜エライエライ!」

ジャーク「はあ〜、見ちゃいらんないわ……」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:18:08.67 ID:LP5lnj2b0


ロールシャッハ「……ルル……」

ルル「わかっています。壺のことですね」

ロールシャッハ「そうだ。あれは戻っていない」

ルル「また、彼らやあのような者たちが現れると思いますか?」

ロールシャッハ「ああ」

ロールシャッハ「何度もな。だが、何度でも叩き潰す」

ルル「……我々も同じです」



ひろし「おー、そうだ、あんた!」

ロールシャッハ「……?」

ひろし「あんたのこと、俺は完全に許したわけじゃないからな!」

みさえ「あなた、ちょっと! しんのすけが帰ってきたんだから、それでいいじゃない!」

ひろし「俺の家族を危険な目に合わせたんだ、だから俺はあんたを絶対に許さん」


ロールシャッハ「……」


ひろし「だが、しんのすけを連れ戻すって約束を果たしたことには感謝する!」

ひろし「……ありがとう!」

頭を深く下げるひろし。

みさえ「あのー、ごめんなさいね? うちの人こういうとこ素直じゃなくて」


ロールシャッハ「……」

ロールシャッハ「……深く、受け止めておく」


265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:19:44.78 ID:LP5lnj2b0



ミミ子「お帰りなさい、アクション仮面!」

メケメケZ「これでおあずけになっていた勝負の続きができるな」

ミミ子「もう、今はショーでも撮影でもないんだから!」

アクション仮面「いやあ、もうホントに大変でした」


しんのすけ「大丈夫だゾ、正義は勝つ!」


しんのすけ「ワーッハッハッハ!」
アクション仮面「ワーッハッハッハ!」

男の子一同+ミミ子「「「ワーハッハッハ!」」」

ルル「……なにかの宗教でしょうか?」




よね「あんた、やんなくていいの?」


ロールシャッハ「HEH.」






ロールシャッハ「……WAH……ハハハ……」





















むさえ「みんなー、写真撮るよー!――――」


266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:21:04.16 ID:LP5lnj2b0



市内 どこかのビルの屋上



ヘクソン「……なんの用だ」


パラダイスキング「――あんたは帰って来れたんだな?」

パラダイスキング「どうだ? 最後に一戦、俺とやらねえか?」


ヘクソン「……くだらん」

ヘクソン「お前はおそらく、永遠に郷剛太郎にも勝てんだろう」


ヘクソン、ビルを飛び越えて消えていく。


パラダイスキング「あー、逃げやがったなあいつ」

マホ「で、あんたどーすんだい、これから。お互い、追われる身だろ」


パラダイスキング「そーさなあ……とりあえずこの髪の毛をどうにかする。それからもっかい南でも行くかァ」

マホ「お前あのアフロ似合うって本気で思ってたのかよ? 今の方がまだいいぜ」

パラダイスキング「どーせオンナにゃわかんねェーよ!!」


267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:25:36.10 ID:LP5lnj2b0


カスカベ市内 某レンタルビデオ屋



マイク水野「いらっしゃいませェー」

マイク水野「……!」


ロールシャッハ「あんたはカスカベ随一のシネフィルと聞いた」

ロールシャッハ「この映画がなにか、わかるか?」


ロールシャッハ、日誌の栞を取り出す。


マイク水野「……これは……!」

       「……これは、完成しなかった映画なんですよ」

       「間近でお蔵入りになっちゃったらしくてね、未完成のフィルムはあるみたいですが」

       「これは宣材のスチール写真でしょう」

マイク水野「いやー残念ながら、この映画を観ることはできないんです」


ロールシャッハ「……結末はどうなる?」

ロールシャッハ「知っているのだろう?」


マイク水野「……そりゃあなた、
       ハッピーエンドで終わるんですよ。
       そうとも、そうでなきゃね」


ロールシャッハ「……そうか」

ロールシャッハ「邪魔したな」
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:28:01.94 ID:LP5lnj2b0

マイク水野「あのー、お客さん」

ロールシャッハ「?」


マイク水野「あなた、こないだ21世紀博のスクリーンに出てた人でしょう?
       ああやっぱりそうだ」

マイク水野「最近来る人来る人、あの映画はないか、って聞いてくるんですよ。
       映画じゃないのにね。“嵐を呼ぶ! 救いのヒーローたち”っていうアレ」


ロールシャッハ(そうか……あのブタが気を利かせたな)


マイク水野「古い映画にもいいのはたーくさんあるんですがねえ、
       若い人は全然です」

マイク水野「その映画を知ってるってのはなかなかですよ」


ロールシャッハ「……もういいか」

マイク水野「あ、あのー、サイン……って、もらえます?」


ロールシャッハ、差し出されたノートに書き記し、店を去る。


マイク水野「ありがとうございましたー!」



水野、ノートを見る。


“.┓┏. ”


マイク水野「……?」

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:29:40.98 ID:LP5lnj2b0


市内 大袋博士の秘密(違法)研究所



ロールシャッハ(Dr.オオブクロの行方がわかった)


(助手とともにブリブリ王国を渡航中、痴漢で捕まり拘留されていたという)

(そのような男の肩に世界が乗っていたかと思うと吐き気がする)

(ただし、件の報復装置が破壊できることは間違いない)


(協会へはなにも報告していない)

(使用許可などない)

(無論、そんなものなくとも俺はやる)


ロールシャッハ(……ぶりぶりざえもん)


(こいつが味方でなければ勝てなかった)

(それはまた、シンノスケがいなくては成り立たなかったのだ)


ロールシャッハ(HEH……救いのヒーロー、か……)


270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:31:50.28 ID:LP5lnj2b0



コンピュータの前に座る大袋博士。隣にアンジェラ青梅。


それを囲むロールシャッハ、よね、ルル、スンノケシとしんのすけ。


大袋「ええと、マジでやっちゃってええかの?」

ロールシャッハ「構わん。どうせ俺にこの手の機械は使いこなせんからな」


大袋「ひとつ注意しておくと、こいつは複製もできなれば操作もできんよ。
    呼んでも戻らん。そこんところ、わかっとるね?」

ロールシャッハ「ああ」


しんのすけ「でもなんでまたぶりぶりざえもん作ったの?」

アンジェラ「もーったいなかったのよう、だってあんなにすごい電子生命体なのよ」

アンジェラ「もちろんSMLにはナ・イ・ショ」


よね「でもこれ、実際はサイバーテロだよな……」

アンジェラ「バレてもわかってくれるわよんきっと!」


大袋「またというより復活させたといった方が正しいのう」

大袋「しんのすけくん。キミのこともちゃあんと覚えとったじゃろ?」

しんのすけ「ほうほう」

271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:33:29.66 ID:LP5lnj2b0


ルル「……なぜここに保管していたのですか?」

大袋「怖かったんじゃようわしひとりでアップロードするの」

大袋「あんたらみたいなのが来るのを待っとったんじゃ」

よね「……そんな理由で……なんかアホらし……」


大袋「もうひとつ、理由はあるぞ」

大袋「最後は、しんのすけくんに送り出してもらわんとな」


スンノケシ「しんちゃん。キミが世界を変えるんだね!」

しんのすけ「いやあ照れますなあー」


大袋「ぶりぶりざえもんはこのコンピュータから
    この国のネットワークに侵入し、
    各国の回線や電子機器を勝手に経由して進んでいく。
    時間は正確にはわからんよ。
    そのほーふく装置の作動には間に合わんかもしれん」


ロールシャッハ「……最大限、急いでくれ」

ぶりぶりざえもん、モニターから飛び出す。

ぶりぶりざえもん「いいだろう。だがお助け料ひゃくおくまんえん」

ロールシャッハ「ローンも可だろう」

ぶりぶりざえもん「先に言うな!」


272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:34:43.29 ID:LP5lnj2b0

しんのすけ「ぶりぶりざえもん、」

しんのすけ「怖くない?」


ぶりぶりざえもん「……少しな」

ぶりぶりざえもん「だが案ずるな。こないだもこの街を救ったのだ」


しんのすけ「オラたち、また逢えるよね?」

ぶりぶりざえもん「……どうかな」

スンノケシ「逢えるよ! ボクたちだってそうじゃないか!」

ぶりぶりざえもん「……ものすごくヒマになったら、お前の家のテレビから出てきてやる」

しんのすけ「なんかホラーだゾ……」

ぶりぶりざえもん「おいせっかくいいこと言ったのにぶち壊すな!」


273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:35:35.55 ID:LP5lnj2b0


ロールシャッハ「ぶりぶりざえもん」

ロールシャッハ「装置を止められるのはお前だけだ」

ロールシャッハ「全部、お前に託すからな」


ぶりぶりざえもん「……わかってるっつーのッ! 子供扱いするな!」


大袋「さあ、しんのすけくん」

大袋「準備は整った。このキーを押してくれ」


しんのすけ「ほい!」


ぶりぶりざえもん「……じゃあな。元気でやれよ」

しんのすけ「……お前もな!」




しんのすけ、小さな指でキーを押す。


274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:41:09.61 ID:LP5lnj2b0



日誌 ロールシャッハ記


2000年7月1日


電子生命体“ぶりぶりざえもん”の奪還と、その送信は終わった。
これで、東ゴルドーの報復装置は破壊できる――まだ核は落ちていない。


カスカベの混乱は去った。
俺が来たときのように、すでに奇妙な住人たちが活気づいている……
俺のことすらも忘れているかのように。


つくづく奇妙なのは、この街はやはりあの映画館と同様に、
時間の流れから取り残されていると思えることだ。
八秒後も、八世紀後も同じく動いているかもしれない。
ほんの子供がその一瞬に、なんども世界を救うように。

Dr.マンハッタンがこの街を見たら、なんと言うのだろうか。
しかし、ここが終末に最も遠い街であることは間違いない……


カスカベはもはや俺を必要としていない。
――――ここを発とう。


終末は核だけによりもたらされるわけではない。
蟻どもは依然として健在だ。無論、それだけでもない。


この身が砕け散るまで、

…………俺が、俺の救えなかったニューヨークの魂と同じく、
廃墟の街の一部となるまで、俺には闘い続ける義務がある。


275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:42:47.45 ID:LP5lnj2b0




カスカベのどこか――――




ロールシャッハ、土手を歩いている。
よねとしんのすけがそのあとをついてくる。



しんのすけ「ねーねー、シャッハのおじさん、フーちゃんどこに行ったの?」


ロールシャッハ「……」


しんのすけ「おうち知ってるんじゃないの?」


ロールシャッハ「……」


しんのすけ「アクション仮面の映画観るって約束したんだゾ」


ロールシャッハ「……」


しんのすけ「……無視ですか」


276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:44:49.13 ID:LP5lnj2b0


よね「さてと、私は逃げてった奴ら追っかけなくっちゃなあ……」

   「これが最後になるかな……」

   「あんた、これからどうすんの?」


ロールシャッハ「……この国を出る」

よね「もう、二度と来ないの?」

ロールシャッハ「……今度のようなことでもなければな」

よね「……あっそ!」


ロールシャッハ「グロリア」

        「次に逢うことがあれば……」

        「……願わくばそのときは、
         もう少し役に立つようになっていてほしいものだ」


よね「……あんたも、その口の悪さ直しとけよな」

よね「……じゃあなっ」

ロールシャッハ「……HEH.」


しんのすけ「……行っちゃったゾ」

しんのすけ「いいのー? ほっといて?」

ロールシャッハ「……俺になんの関係がある……」

しんのすけ「……んー……さみしくない?」

ロールシャッハ「…………」

ロールシャッハ、振り返る。
彼女の姿はもう見えない。


277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:45:42.22 ID:LP5lnj2b0


ロールシャッハ「……シンノスケ」


ロールシャッハ「俺の顔がなんに見える?」


ロールシャッハの顔は、もう一度少年の絵になる。


しんのすけ「んーと、んーと、んー……」


ロールシャッハ「……見えたものを言ってみろ」


しんのすけ「アクション仮面!」


ロールシャッハ「……」


しんのすけ「とカンタムロボと、ぶりぶりざえもん!」



ロールシャッハ(!……)

ロールシャッハ「……HURM.」

278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:47:42.11 ID:LP5lnj2b0


しんのすけ「まだあるゾ!」


「オラの父ちゃんと母ちゃんにも見えるし、ひまわりとシロにも見えるゾ」

「じいちゃんとばあちゃんたちも、カスカベ防衛隊も、幼稚園のみんなも!」

「まわりの白いとこは師匠たちに見えるし、」

「ななこおねいさんにも見えるし、すごくキレイなチョウチョにも見えるゾ」


「フーちゃんにも、」

「おじさんにも見えるゾ!」


「たくさんいろんなものがあって、」

「オラ、ひとつに決められない」


しんのすけ「ああもう、また形が変わったゾ!……今度はねえ、……」


ロールシャッハ「……もう、充分だ」


しんのすけ「お?」


ロールシャッハ、帽子を脱ぎ、マスクを取り去る。


ロールシャッハ「……この顔は、どう見える?」


しんのすけ「?……」


しんのすけ「……!」

279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:51:32.45 ID:LP5lnj2b0




日誌 ロールシャッハ記


2000年7月1日 

追記



必ずまた逢える。
子供たちはそう繰り返していた。

だが俺には必要な言葉じゃない。
ただ彼らの記憶に、俺は浅からぬ爪跡をつけただろう。
それだけで、この俺には充分だ。


鏡を見る。


俺の顔が無限に変わっていく。
幾多の白と黒の対称形がそこにある。

その中に、俺は罰すべき幾多の者と、救うべき幾多の者を見る……
そしてまた、二度と現れない姿も。






――――今夜、この世界から終末がひとつ遠ざかる。





赤毛の少年は死んだ。
ウォルター・ジョセフ・コバックスは死んだ。



ロールシャッハは、まだここに生きている。



.┓┏.



280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 00:53:00.47 ID:LP5lnj2b0



ふたば幼稚園――



よしなが「しんちゃん、その絵はなに?」

しんのすけ「やれやれ、そんなこともわからないのかみどり」

よしなが「よしなが先生、でしょ!」


ネネ「ウサギ?」

マサオ「怪獣?」

ボー「……石……?」


風間「違うよ、みんな!」


風間「えー……っと、……この絵は、なんだろう?」



しんのすけ「やだなーみんな、決まってるでしょー」



しんのすけ「嵐を呼ぶ、救いのヒーローたちだゾ!」







281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/25(日) 01:18:44.62 ID:LP5lnj2b0

4年越しに完結しました。自分でも驚く長さになりました。
本当はもっと出したいキャラクターがいたのですが(特に堂ヶ島少佐とか)
また完結しなくなりそうなので止めました。

お待たせした分、楽しんでいただけるものになっていたらいいなと思います。
ただこんな変則的なクロスでしたので、
これを楽しめる方は相当限られるのではないかとも思います。

ロールシャッハですが、最近DCコミックスで二代目(?)が登場したり、
ウォッチメンのテレビシリーズが始まるそうだったりで、まだまだ人気は衰えないようです。
テレビシリーズでは、私がウォッチメンで二番目に好きなキャラクターである
マルコム・ロングの扱いを映画よりもよくしてほしいなと期待しています。

補足ですが、>>187-190の「」内の台詞はウォッチメンの原作から、
個人的に好きなものや印象的なものを抜粋しています。
本書をお持ちの方は探してみるのも一興かと。
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/25(日) 08:23:46.44 ID:Qv1GWig4O
くれしんのssは書き切ってあればとても面白いのが多いから
完結させたよって始まりにはとても期待したよ
期待して損なかったよ
とても良かった 乙
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/25(日) 18:02:14.35 ID:4e+xanpY0
所々のセリフが本物の劇場版並みに心に突き刺さる名作SSだった。
ロールシャッハの原作は読んだことないけれど、こういう良二次創作を見ると原作から読んでみたくなる。
お疲れ様でした。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 04:39:36.37 ID:vI16C1ti0
完結乙!
まさか完結してくれるなんて!
ロールシャッハとクレしんがここまでベストマッチするなんて……
また前々作からとWATCHMENを読み直そうかな
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/09/01(火) 02:48:08.16 ID:XV+LJK570
作者様のロールシャッハの新作SSが待ち遠しいです
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