千歌「決めた…!私、この転校を機にヤンキー辞めて、真面目に生きる!!」

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547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:21:57.60 ID:8rfPf4vL0
穂乃果「………」トコトコ…

千歌「えっと…たしかこっちの方に……」タッタッ…

穂乃果「…!!?」ピタッ…!

ことり「…!!?」

ことり「ち…千歌ちゃん……!!?」

千歌「え…?」クルッ…

千歌「…!!??」

千歌「ええええええええええええっっっ!!??こ…ことりちゃんと穂乃果ちゃん…!!??」
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:23:03.34 ID:8rfPf4vL0
穂乃果「千歌…ちゃん……」

穂乃果「………」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

一年前 都内某所−


ツバサ「東京都…千代田区…外神田○丁目……○-○○……」

穂乃果「…!?」

ツバサ「それと……東京都…千代田区…外神田○丁目……○○-○……」

穂乃果「そ…それって……」

ツバサ「そう……」ピラッ…

ことりと海未の家の写真 ドンッ!!

穂乃果「…!!」
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:23:48.21 ID:8rfPf4vL0
ツバサ「無論、これだけじゃなく、あなたの友達の住所は全て把握してあるわ…中学時代のものも含めてね…?」

穂乃果「…!!!」

ツバサ「約束を守れなかったら………」

ツバサ「分かるわね……?」

穂乃果「………っ」

穂乃果「は…はい……」


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

穂乃果「高海…千歌……」メラァッ…

千歌「え…ちょ……ほ…穂乃果ちゃん…?」
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:24:25.47 ID:8rfPf4vL0
ことり「…!」

ことり「千歌ちゃん、逃げて…!!!」

千歌「え…?」

穂乃果の鞄 ドサッ…

穂乃果「……」ダッ…!!!

千歌「え…!えぇ…!?」

千歌「ほ…穂乃果ちゃん…!!おおおお落ち着いて…!!話し合えば…」

穂乃果「……」ザッ…!

千歌「いっ…!」

穂乃果「……」ブンッ!!!

千歌「あぶっ…!?」スカッ…!!

穂乃果「……」ギュルンッ…!

千歌「え…?」

穂乃果「あぁっ!!!」ブゥンッッ!!!

千歌「…!?」

千歌「っ…!」カスッ…!

千歌(う…後ろ回し蹴りって……!喧嘩で使う人、曜ちゃん以外に初めて見た…!!)

千歌(格闘技経験者…!?)
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:26:14.57 ID:8rfPf4vL0
穂乃果「……」ダッ…!!!

千歌「うっ…」

千歌(ま…まだ来る…!!)

ことり「千歌ちゃん…!!」

千歌「う…うん…!!これは逃げた方が良さそうだ…!!」ダッ…!!!

穂乃果「くっ……待てっ…!!」タッタッタッ!!!

千歌「いや、待つのは穂乃果ちゃんの方だよ…!!一旦、話し合おうって…!!!」タッタッタッ!!!

ことり「逃げて…!!遠くまで…!!!絶対、闘っちゃダメだから…!!!」

千歌「わ…分かってるよ…!!!」タッタッタッ!!!

穂乃果「……」タッタッタッ!!!
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:27:02.96 ID:8rfPf4vL0
ことり「………」

ことり「穂乃果ちゃん……」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

穂乃果「昔みたいに戻れるって言ったけど、やっぱり無理かもしれないや……私、もう知っちゃったから……嫌な事も含めていろいろ……」トコトコ…

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ことり「………」ウルウル…

ことり「…っ」

ことり「ダメだ……今は感傷的になってる場合じゃない……穂乃果ちゃんを止めなきゃ……」

ことり「できる……やれる……そう穂乃果ちゃんに教えて貰ったから……」

穂乃果の鞄 ズズズ…

ことり(穂乃果ちゃんの鞄……ここに置いてくわけにもいかないよね……)
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:28:11.64 ID:8rfPf4vL0
ことり「よっと……」グイッ…

ことり「ん…?重い……」

ことり「何が…」

拳銃 ポロッ…

ことり「…!!??」

拳銃 ガンッ…ゴロゴロ……

ことり「こ…これって………」













−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:37:33.95 ID:5YIaQvJu0

凛、花陽サイド−


花陽「………」ゴクリッ…

海未「……」ズリッ…

凛「…!」

凛(来る……行かなきゃ…!)

凛(後手に回れば、凛に勝ち目は無い…!)

凛(先手を取って、速さで圧倒する…!!)
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:38:13.34 ID:5YIaQvJu0
海未「……」ズ…

凛(今にゃ…!!)

凛「にゃあああっ!!!」ダッ!!!

海未「……」ユラリ…

凛「…!」

凛(隙あり…!!チャンス…!!!)

海未「……」

凛(ここだぁっっ!!!) ゴォッッ!!!


ガンッッッ!!!!


花陽「あっ…!」

凛「…がはっ……!」フワリッ…

海未「………」

凛(い…今……何が……)

花陽「カ…カウンター……!!」
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:38:50.69 ID:5YIaQvJu0
海未「若いですね……私が、そう簡単に隙を見せるとでも…?」

凛「…!」

凛(そ…そうだった……) クラッ…

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

千歌「例えばだけど、不用意に前に出たり、わざとガードに隙を作って狙わせたり……相手の次の攻撃を誘導するの!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


凛(なにも……)

凛(なにも身につけてなんかいなかった……)

凛(ダメだ……もう…頭が…回らない……)

凛(ごめん……ごめん…千歌先輩…曜先輩……) フラフラ…

花陽「り…凛ちゃん…!!!」
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:39:38.10 ID:5YIaQvJu0
海未「眠りなさい……」

凛(凛の……) フラッ…

海未「……」

花陽「そんなっ…!」ウルッ…

凛「……」フラァ…

凛(凛の……負…

??「おっと…」ポスッ…

海未「…!!?」

花陽「あ…あぁ……!」

凛「うっ…な…なんにゃ……?」

??「星空…凛さんだったかしら…?ありがとうね、それと、遅くなってごめんなさい…病院抜け出すのは大変で……」

凛「え…?」

海未「っ……」

海未「あ…あなたは……!!」

絵里「さぁーて……ウチの可愛い後輩を傷つけた罪は重いわよ……?園田さん……」

海未「絢瀬…絵里……!!!」

花陽「え…絵里先輩っっ…!!!」ウルッ…!
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:40:59.92 ID:5YIaQvJu0
凛「絵里…先輩………」

絵里「喋らなくていいわ…ゆっくり休みなさい……後は、私がやるから……」

凛「…!!」

凛「絵里先輩……」ウルッ…

凛「凛……凛…ダメだったにゃ……凛…なにもできなかったにゃ……うぅ……」ポロポロ…

絵里「泣かないのよ…可愛い顔が台無しだわ」ニコッ

絵里「小泉さん…」

花陽「は…はいっ…!!」

絵里「星空さんをお願いできるかしら……あなたといる方が、星空さんも休まるだろうから」

花陽「…!!」

花陽「はいっ…!!」

花陽「り…凛ちゃん…!!」ダッ!

凛「うぅ……かよちん……」ポロポロ…

花陽「凛ちゃん…!かっこよかったよ…!!勝てはしなかったけど、恥じる事なんてないよ…!!凛ちゃんは、最高にかっこよかったよ…!!!」

凛「かよちん……」

凛「うぅ……ありがとう……ありがとう…かよちん……やっぱり、かよちんは最高の親友だにゃ……」
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:42:04.89 ID:5YIaQvJu0
海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「さて……私の仕事はこっちね……」

海未「………」

海未「…あなたの退院は、たしか明日だったはずです……何故、ここに……」

絵里「ふふっ…知らせてくれたのよ……私の学校の生徒が……」

海未「くっ…余計な事を……」

絵里「水見色の愛すべき生徒が血を流してる……そしたら私が出ないわけには、いかないでしょ?水見色は私の学校なんだから…」

海未「ずいぶんと母校に思い入れがあるようですね……絢瀬絵里……」

絵里「…さっきからフルネームで呼ぶの辞めて貰えないかしら……一応、年上よ…?」

海未「敵に敬語を使う人間はいません……」

絵里「使ってるじゃない……」

海未「っ…ず…ずいぶん余裕ですね……勝てると思ってるのですか…?私に……」

絵里「勝てるわね」

海未「…舐められたものですね……」
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:42:50.24 ID:5YIaQvJu0
絵里「私が強すぎるからね、あなたが弱いわけじゃないわよ?」

海未「戯言を……」ズリッ…

凛「…!」

凛(あ…あれは…!!)

凛「絵里先輩!気をつけて!!来ます!!」

絵里「教えてくれてありがとう、星空さん。おかげでカウンターが狙えそうだわ」ニッ

凛「え…!?」

海未「…!!」

海未「敵に次の攻撃を教えるとは……愚かな行動を取りましたね…絢瀬絵里…!」ズリッ…

絵里「あなたじゃ、分かってても防げないからね」

海未「っ…!」

絵里「試してみなさいよ」クイクイ…

海未「なっ…」

絵里「ふふっ…」

海未「怒りましたよ……」ゴゴゴゴゴゴ…

花陽(な…なんで、あんなに相手を挑発するようなマネを……)
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:43:31.20 ID:5YIaQvJu0
海未「望み通り、試してあげますよ…!!」ダッ!!

絵里「……」

海未「……」ザッ…!!

凛「…!!」

絵里「……!」キッ…!

海未「はあぁっ…!!」ゴオッッ!!!


スカッ!!


海未「…!!?」

絵里「若いわね……」

海未「はっ…!」


ドカッッッ!!!!


海未「ぐあっ……!」

花陽「き…決まった…!カウンター…!!」
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:44:23.84 ID:5YIaQvJu0
海未「くっ……」

花陽「す…すごい……なんて見切りの能力……」

凛「いや…違うにゃ……」

花陽「え…?」

凛「今の海未先輩の攻撃……いつもの海未先輩より、少し大振りで隙があったにゃ……」

花陽「そ…そうなの…!?」

凛「うん……それで、それをさせたのが……」

花陽「あっ…!」

花陽「あ…あの挑発……」

凛「うん……あそこから絵里先輩の攻撃は始まっていたんだにゃ……」
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:45:55.78 ID:5YIaQvJu0
絵里「ふふふっ……あなた、格闘技は相当やるみたいだけど、路上はやらないタイプでしょ」

海未「…!」

海未「な…何故それを……」

絵里「そういう所よ、今のがハッタリだったら、相手に喧嘩経験が無い事をバラす事になるわよ?」

海未「…!!」

絵里「路上での喧嘩はね、格闘技とは違うの……単純な暴力の勝負だと思ったら大間違いよ」

海未「くっ……」

花陽「す…すごい……絵里先輩…海未先輩を圧倒してる……」
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:48:02.65 ID:5YIaQvJu0
海未「……」タラリッ…

絵里「どうしたの……?来ないなら、こっちから行くわよ?」

海未「っ……」

海未(くっ…まさかアキバ四天王の一人、絢瀬絵里が出てくるとは……迂闊でした……そうと分かっていれば……)

海未(そうと分かっていれば……っ)


ヤンキー「へっへっ…水見色の奴ら、ビビって逃げて行きやがったぜ!」ザッザッ…

ヤンキー「お前が、木刀なんか持ってるからだよ!どっから持ってきたんだよ!」ザッザッ…

海未「…!?」クルッ…!

海未「あっ…!」
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:48:39.11 ID:5YIaQvJu0
ヤンキー「あー?剣道部の部室から借りてきたんだよ、いいだろ?」

絵里「……」

絵里(あれは……焔ヶ丘の……)

花陽「う…嘘……敵が……」

凛「ま…まずいにゃ……」

海未「あなた達…!!」

ヤンキー「え…?」

ヤンキー「あっ…!う…海未さん…!!」

ヤンキー「お…お疲れ様です…!!!」バッ!

絵里「くっ……面倒な事になりそうね……」
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:50:00.63 ID:5YIaQvJu0
海未「………」

ヤンキー「あっ…!あれ…!?海未さんが闘ってるのって……」

ヤンキー「あ…絢瀬絵里…!?」

ヤンキー「四天王の一人じゃないですか!!加勢しますよ!!」

花陽「…!!」

凛「くっ…こ…こうなったら、凛も……」

花陽「凛ちゃん…!それは……!」

凛「でも…!このままじゃ、絵里先輩が危ないにゃ…!!凛が行かないと……」

海未「…いえ……加勢は必要ありません……」

凛「え…」

絵里「……?」ピクッ…

ヤンキー「え…!?な…なんでですか…!?相手は四天王ですよ!!流石の海未先輩でも……」

海未「大丈夫です……ただし、その木刀……貸していただいてもよろしいでしょうか…?」

ヤンキー「え…?ぼ…木刀を……?」

凛「あっ…!!」

絵里(木刀……)

凛「そ…そうだったにゃ……」

花陽「え…?ど…どうしたの…?凛ちゃん……」
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:52:23.76 ID:5YIaQvJu0
凛「う…海未先輩は……」

ヤンキー「ど…どうぞ……」スッ…

海未「………」

海未「…赤樫ですが……良いですね……」ブンッ…ブンッ…

ヤンキー「あ…あかがし……?」

海未「木刀の種類ですよ、まあ、この赤樫は本赤樫では無いようですが……」

ヤンキー「…??」

絵里(今の素振り……そして、木刀への知識……)

絵里(この子……まさか……)

凛「う…海未先輩は……」

花陽「う…海未先輩は……?」ゴクリッ…

凛「け…剣道の…有段者なんだにゃ……!!」

花陽「えぇ…!!?」
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:53:00.17 ID:5YIaQvJu0
絵里「くっ……」

絵里(やっぱり……)

海未「さ、あなた達はもう行きなさい……ここは私、一人で十分です」

ヤンキー「…!は…はいっ…!!失礼します…!!」ダッ!!

海未「ふぅ……さて……」

海未「……」ピタッ……

花陽「…!」

花陽(き…綺麗……構えただけなのに……)

絵里「っ……」

海未「行きますよ……?」

凛「や…やばいにゃ……」

絵里「………」










−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:53:50.48 ID:5YIaQvJu0

曜、梨子サイド−


善子「行くわよ…!!」

花丸「ずら!!」

曜「くっ…」

梨子「曜ちゃん…!!逃げて…!!」

善子「堕天究極奥義!!」

曜(来る…!!)

善子「堕天龍堕天DATTEN!!!」バッ!!

袖口 キラッ…

曜「ん…?」

善子「発射…!!」

袖口 ブシャッ!!!

曜「…!!」

曜「むがっ…!?」バシャッッ!!

梨子(曜ちゃんの顔に謎の液体が…!?)
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:54:26.82 ID:5YIaQvJu0
曜「………っ!!」

曜「かっ…」

梨子「え…?」

善子「ふっ…」ニヤリッ…

曜「かっ…辛ああああああああああいっっ!!!辛い!!辛い!!辛い!!辛いいいいっっ!!!」

曜「み…水…!!水!!!り…梨子ちゃ……水を……あっ…あああっ…!!」

梨子「え…!?ええ…!?そ…そんな事言われたって、私、動けないわよ…!?」

善子「今よ!ずら丸!!今度こそ、楽にしてやりなさい!!」

花丸「言われなくても行くずら!!」ダッ!!

曜「ぐ…ぐぅ……痛い……顔全部痛い……梨子ちゃ……助けて……」

梨子「そ…そんな事言ってる場合じゃ無いわよ!!攻撃が来てるわ!!避けて!曜ちゃん!!」

花丸「逃がさないずらああ!!!」ダッダッ!!

曜「む…むぐぅ……梨子ちゃんが全然、心配してくれない……本当に痛いのにぃ……」
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:56:30.93 ID:5YIaQvJu0
善子「な…なんで当たるのよ!!まさか、もう眼が見えるように!?」

曜「見えないよ!!痛すぎて開けられるわけないじゃん!!」

花丸「じゃ…じゃあ、なんで……」

曜「あんな大声出して、突っ込んできたら、見えなくても位置ぐらい分かるよ!!」

花丸「はっ…!」

善子「そ…そんな……」

梨子「そ…そう言われればそうね……」

花丸「まさか、そこを突かれるなんて……」

善子「なかなかのキレ者のようね……」

曜「いや、普通に分かるよ!!バカなの!?」

梨子「曜ちゃん……顔が痛すぎるのか何だか知らないけど、口が悪くなってるわよ……」
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:57:31.82 ID:5YIaQvJu0
善子「バ…バカ……?今、私達の事をバカだと言ったわね……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

花丸「許さないずら……もう、大声出して突っ込むのは辞めるずら……」ゴゴゴゴゴゴゴ…

曜「ぬぐぅ……まだ痛い……なんなのこれ……」

梨子「曜ちゃん、気をつけて!!相手二人とも、怒ってるわよ!!」

曜「私も怒ってるよ…!!」

曜「ぜぇ〜ったい許さない!!眼なんか見えなくても、関係ない!!全力でぶっ飛ばす!!!」ザンッ!!

善子「くっくっくっ……眼が見えないのに、どうやって攻撃を当てるつもり…?行きなさい、ずら丸…今度は静かにね……」

花丸「…分かったずら……」コソッ…

梨子「曜ちゃん!来てるわよ!!」

曜「分かってる…!!」
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:58:08.71 ID:5YIaQvJu0
曜「ふぅっーー……」

曜「………」

花丸「………」ソロォ〜……

曜「………」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

曜、幼少期−

空手道場−


師匠「違うぞ…曜よ……見るのではない……感じるのじゃ……」

曜「……?」

曜「全然意味が分かんないであります!!ししょー!」
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:58:36.50 ID:5YIaQvJu0
師匠「視覚だけに頼っていては、ダメじゃという事じゃ……聴覚、嗅覚、触覚……全ての感覚を用いれば、見えぬ物などないのじゃ……」

曜「………」

曜「わ…分かったであります!!ししょー!」

曜(………)

曜(ぜ…全然意味分かんない……)


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

曜(…今なら、ちょっとだけ言ってる事分かるよ……師匠……)
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 20:59:17.23 ID:5YIaQvJu0
曜(………)

曜(心を落ち着かせて……)

曜(全神経を鋭く集中させる……)

風 サァー……

鳥 チュンチュン…

手錠 カチャ…

花丸 ゴクリッ…

曜(……いた……左側……まだ遠い……)

花丸 スッ…

曜(少しずつ近づいてる……おそらく一歩で詰めれる距離に来て、右ストレートを狙ってる……)
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:02:02.11 ID:5YIaQvJu0
花丸 スッ…

梨子「よ…曜ちゃん……」

梨子(な…何なの……この言い知れぬ雰囲気は……)

善子「……」

汗 タラリッ…

善子「くっ……」

善子(眼が見えないっていうのに、何故ここまでの迫力を……)

花丸「……」スッ…

曜「………」

花丸(行ける……この距離なら一歩で……)

曜「………」

花丸(でも……)

曜「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

花丸(な…なんなんずら……この予感は……)

花丸(近づいちゃダメだって言うこの予感は……!)
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:02:47.55 ID:5YIaQvJu0
曜「………」

花丸「ぐっ…」タジッ…

曜「…!」

曜(今の気配……引いた…!?チャンス…!!)

曜「…」ギュルンッ…!

花丸「…!」

曜「ハアァッ…!!」ブンッ!!


バシィィンッッ!!!


花丸「いっ……!?」

花丸「ぐ…ぐあああっっ…!!」

善子「ず…ずら丸…!!」
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:03:29.00 ID:5YIaQvJu0
花丸「う…ぐ……くぅ……」

花丸(ロ…ローキック……足の感覚が……)

曜「見つけたよ……ずら丸ちゃん……」

花丸「…!」

曜「正確な位置は分からなかったからね……ローで足、止めさせて貰ったよ…動けないでしょ…?」

花丸「っぐ……」

善子「ずら丸…!!何やってるのよ!!早く逃げなさい…!!」

花丸「わ…分かってるずら……!!」

花丸(分かってる…分かってるけど……!)

花丸(足が、まだシビれてるずら…!今は立ってるのがやっとで……)
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:04:08.24 ID:5YIaQvJu0
曜「位置さえ分かれば、後はこっちのもの……」

曜「行くよ……」スッ…

花丸「っ…!」

花丸(どうせ、動けないなら……)

花丸(こっちから攻撃に出てやるずら……!!)バッ!!

梨子「…!曜ちゃん、危ない…!!」

曜「……」


スカッ…!


花丸「…!?」

花丸(な…なんで……見えてないのに……)
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:04:44.10 ID:5YIaQvJu0
曜「……」バッ…!

善子「…!ずら丸!前!!」

花丸「え…


ガンッッッ!!!


花丸「…!!」グラッ…

花丸(こ…こめかみに……見えてないのに……)

曜「……」ザッ…!


ズンッッッ!!!


花丸「〜〜っ!!」

花丸(み…みぞおち……!?)

曜「はっ…!!」


ガツンッッッ!!!!


花丸「ぶはっ…!?」

梨子「…!?」

善子「あ…顎を……蹴り上げた……」
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:07:04.17 ID:5YIaQvJu0
花丸「うぅ……」フラッ…

花丸「……」ドサッ…!!!

曜「セイッ!!!」


スカッ!!!


曜「あ…あれ…!?」

花丸「う…うぅ………」ゴロンッ…

善子「ずら丸…!!」ダッ…!!

曜「え…?」

善子「ずら丸…!!ちょっと!!しっかりしなさい…!!ずら丸…!!ずら丸!!!」ユサユサ…!!

花丸「う…う〜ん……」ユサユサ…!!

曜「あ…あぁ……倒れたのか……」

梨子「…!?」

梨子「よ…曜ちゃん、まだ目開けられてなかったの…!?」
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:07:40.44 ID:5YIaQvJu0
曜「え…?う…うん……顔すごい痛いし……」

梨子「う…嘘……じゃあ、さっきの攻撃は……」

曜「あー…あれは……何というか…その…なんとなく気配でローキック打ったら、当たって……それで…位置が分かってからは、まあ練習通りに……」

善子「…!」

善子「な…なによ!それ!!意味分からないわよ!!そんな理由で、ずら丸がやられたって言うの!?本当は眼開いてたんでしょ!!」

曜「いやいや…違うって、実際、熟練の人なら気配を読むような人もいるし…その後は、私が何千何万と繰り返してきた動きだもん……眼が見えなくても、関係ないよ」

善子「…!!」

善子「な…何千何万……」

善子(今まで、空手やってた不良なんて沢山いた……でも、たいてい喧嘩目的だし、不良だから長続きしなかったような奴ばっかりで、大して強くも無かった……)

善子(だけど、この人は違う……本物だ……本物の空手家だ……)
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:08:22.61 ID:5YIaQvJu0
曜「………」ス…スゥ……

曜「いたっ…!」ギュッ…!!

曜「う…うぅ……やっぱりダメだ……痛すぎて開けられない……」

善子「……」

曜(まだ、後一人倒さないといけないっていうのに……!!)

善子「………」ゴソゴソ…

曜「…!」

曜(バックを探る音…!何か来る…!!) ザッ…!
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:08:53.31 ID:5YIaQvJu0
善子「………」ゴソゴソ…

善子「……」

善子「……」バッ…!

曜「…!」

梨子「…!?」


バシャッッ…!


曜「わ…ぶっ…!?」

梨子「え…!?な…なに…!?」

善子「水よ……顔洗いなさい」

曜「え…!?あ…あぁ……本当だ……」

梨子「水…!?なんで!?どういう事!?」

善子「私達の負けって事よ……鍵も置いておくわ……」ポイッ…

鍵 カランッカラン…

梨子「あ…!」
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:09:35.13 ID:5YIaQvJu0
曜「………」ゴシゴシ…

善子「ほら、行くわよ…ずら丸……」グイッ…

曜「………」スゥ……

梨子「あ…!曜ちゃん!!目、開けられたのね!!」

曜「………」

善子「………」

梨子「え…」

曜「………」

善子「ふっ……なに?その顔は……勝って嬉しくないの…?」

曜「………」
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:11:26.85 ID:5YIaQvJu0
善子「こんな形だから不満…?言っとくけど、もう無理よ、私達は二人で一人……片方がやられたんなら、それで終わりよ……それに……」

善子「あなたみたいな本物に出会えた……私も不良だからね…ただ純粋に、あなたのその強さを尊敬しちゃったの……その時点で、もう私の負けだわ……」

曜「………」

梨子「………」

梨子(こ…この子……バカな子だと思ってたけど……意外なところあるのね……)

善子「それじゃあ、私はずら丸を病院に連れてくわね……会えて良かったわよ、渡辺曜……」クルッ…

曜「……」

曜「……」ガシッ…

善子「え…?」クルッ…

曜「なにいい感じに帰ろうとしてんの?私は、あんたにムカついてんだけど…?」ニコニコ

善子「へ…?」

梨子「え…」
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:12:05.48 ID:5YIaQvJu0
曜「千歌ちゃんに何度もナメた口聞いた罪…償って貰わないとね…?」ニコッ!

善子「う…嘘……」

梨子「いや…千歌ちゃんって……」

曜「せー…のっ…!」

善子「い…いやいやいやいや…!!ちょっと待って!?え!?ええ!?今、いい感じに帰れる流れじゃなかっ…

曜「ごちゃごちゃうるさいよ」ニコッ!

善子「え…


ゴンッッッ!!!


梨子「あぁ……もう……」

善子「あ…あひゅー……」バタンッ…!

花丸「うっ……」バタンッ…!

曜「はー!スッキリした…!!大満足!!」ニッコリ!
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:12:41.99 ID:5YIaQvJu0
曜「これで、千歌ちゃんの威厳は守ったぞー!!私、最強ー!!!」

梨子「あ…あぁ……」

梨子(や…やっぱりダメだ……この人……千歌ちゃん以上にバカかも……)

曜「さーて…!じゃあ、囚われの梨子ちゃんを解放してあげようかな!」タッタッ…!

梨子「はぁ……私の手錠解いたら、そこの二人連れて病院行くのよ…?」

曜「えぇ…!?なんで私が……」

梨子「やったの曜ちゃんでしょ……責任持ちなさい」

曜「えー……面倒くさい……」

梨子「ダメよ、行くの…!ことりちゃんとの約束破ったんだから、これぐらい我慢しなさい…!」

曜「ぶー……分かったよー……」スッ…

梨子「当たり前よ……」
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:13:45.14 ID:5YIaQvJu0
曜「もー…梨子ちゃん、真面目すぎ……」カチャカチャ…

手錠 カチャッ…!

曜「お…開いた……」

梨子「ん…んん〜…!!」ノビィー……

梨子「やっと、解放された…!!もう、手が痛いわ……」

曜「あはは……結構長い間、手錠されてたもんね……」

梨子「そうね……曜ちゃんが、喧嘩しだすから」

曜「え…!?いやいやいや、私が喧嘩しなきゃ、ずっと手錠されてたよ!梨子ちゃん!!」

梨子「話し合えば、すぐ渡してくれたかもしれないわ」

曜「い…いや……だから、不良に話し合いとか通じないって……」

梨子「不良である前に人間よ…?言葉が通じるなら、やりようがあるはずだわ、すぐに暴力に訴えるのは良くないわよ」

曜「う…うーむ……」

曜「そ…それは……そうかもしれないけど……」
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:14:32.74 ID:5YIaQvJu0
善子「う…うーん……」ゴロンッ…

曜「あれ…?起きた…?」

善子「ん…」パチッ…

善子「あ……あれ…?空……?」

曜「おーい」ヌッ…

善子「…!?」

善子「ぎゃ…ぎゃあああっ!!あ…悪魔!!や…やめて!!来ないで!!!」ズザザザザッッ!!

曜「あはは…もう、何もしないって……」

善子「え……ほ…本当に……?」

曜「ほんと、ほんと、後ろから私より怖い人に睨まれてるから」

梨子「………」ジィーーー…

善子「え…」

善子(嘘…!あの人、そんなに強かったの!?)
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:16:38.19 ID:5YIaQvJu0
花丸「う…うぅ……」

曜「あ、ずら丸ちゃんも起きた?」

花丸「う…こ…ここは……」ムクリッ

善子「なに寝ぼけてんのよ……やられたのよ、私達二人とも……この渡辺曜に……」

花丸「あっ……」

花丸「そっか……」ゴロンッ…

花丸「まる達、負けたずらか……」

善子「そうね……完敗だったわ……」

曜「いやいや、結構苦戦したよ?私だって、ずら丸ちゃんのタックルで相当ダメージあるし……」

善子「………」

花丸「…花丸ずら……」

曜「え…?」
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:17:30.66 ID:5YIaQvJu0
花丸「花丸ずら…!!ずら丸は、善子ちゃんが勝手に呼んでるだけずら!!本名じゃないずら!!!」

善子「あはは…ずら丸、ごめん……」

花丸「…!!」

花丸「ずら丸って呼ぶなずら!!」ポカッ…

善子「いてっ…!」

花丸「まるには、花丸っていう、ちゃんとした名前があるずら…!善子ちゃんにも、そう呼んで欲しいずら……!」

善子「え〜……でも、今更だし……それに、あんただって、私の事ヨハネって呼んでくれないわけだし……」

花丸「ヨハネは本名じゃないずら…!」

善子「…!?」

善子「ほ…本名よ…!!」
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:18:03.27 ID:5YIaQvJu0
花丸「なに言ってるずら…!!じゃあ、なんでクラスの名簿に津島善子って書いてあるずら!?津島ヨハネだって、先生に言いに行けばいいずら!」

善子「うぐっ……そ…それは……その…善子は仮の名前で……その…ヨハネは……知られてはいけない名前というか……下界では善子として活動しているというか……」

梨子「はいはい……何言ってんのか分かんないけど、くだらない事で言い争っちゃダメよ…?二人とも……」

善子「…!」

花丸「なっ…!く…くだらない事じゃな…もがっ…!?」

善子「ず…ずら丸…!!」グググッ…

花丸(よ…善子ちゃん…!?く…苦しいずら…!!)

善子「ダメよ……逆らっちゃ……さっき知ったけど、この人は、渡辺曜より強いのよ…!!逆らったら、なにされるか……」コソコソ…

花丸「…!?」

花丸「こ…この人が……?」

梨子「…?」

花丸(ぜ…全然強そうに見えないのに……)

花丸(まさに、能ある鷹は爪を隠すずらね……)

花丸「…敵わないずら……」ガックシ…

梨子「え…?」
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:18:33.44 ID:5YIaQvJu0
善子「今はまだね……」スクッ…

花丸「そうずらね……」スクッ…

曜「あ…あれ……?二人とも、もう行くの?」

善子「いつまでも、敵と仲良く話してるのも、おかしいでしょ?私達は帰るわ」クルッ…

花丸「次会った時は覚えとくずらよ!!絶対、二人ともやっつけてやるずら!!」ザッ…

梨子「え…!?わ…私も…!?」

曜「あはは…なんでだろ……ドンマイ、梨子ちゃん」

梨子「ド…ドンマイじゃないわよ……私なにもしてないのに……」
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:19:15.00 ID:5YIaQvJu0
曜「あはは…あ、いてて…」ズキッ…

梨子「…!」

梨子「曜ちゃん!大丈夫!?」

曜「う…うーん……ちょっとマズイかも……梨子ちゃん、助けて…」

梨子「えぇ…!?マズイの!?じゃ…じゃあ、病院…!病院行かないと…!!」

曜「運んで〜」

梨子「は…運ぶの…!?できるかしら……」

曜「できる、できる、人間一人くらい訳ないって」

梨子「そ…そう…?じゃあ……」

梨子「ふぬぬ……」グググッ…

曜「………」

梨子「ぬぬ〜……っ!」グググッ…!

曜「………」

梨子「っはぁ……!む…無理……曜ちゃん、重すぎ……」ハァ…ハァ…

曜「いや、梨子ちゃんが力無いんだよ……私、別に太ってないし……」
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:21:16.29 ID:5YIaQvJu0
曜「はぁ……仕方ない…歩くか……」スクッ…

梨子「ごめんなさい……力無くて……」

車 ブーン…

曜「あ、すごい車だ…!乗せてもらおうかな?」

梨子「はぁ…?な…なに言って……」

曜「すいませーん!病院までー!!」ブンッ!ブンッ!

梨子「ちょ…」


車 ブオオオオンッッッ!!!


曜「…!?」
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:21:42.62 ID:5YIaQvJu0
梨子「あぁ……通り過ぎちゃった……」

曜「………」

梨子「…内浦じゃどうだったか知らないけど、東京じゃ、知らない人を車に乗せてくれる人なんていないわよ…?」

曜「い…今の……」

梨子「…?」

梨子「曜ちゃん……?」

曜「……綺羅…ツバサ………」

梨子「え…?」

曜「綺羅ツバサだった……今、車に乗ってたの……」

梨子「えぇ…!?き…綺羅ツバサ…!?」

梨子「それって、たしか…A-RISEの……」

曜「う…うん……」
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:22:14.14 ID:5YIaQvJu0
曜「………っ」

曜「あいつ……本当にいたんだ……ここに……っ」

梨子「よ…曜ちゃ……」

曜「ぐっ……」

拳 グググッ…

梨子「…!」

梨子「…………」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

曜「でも、私の口からは言えないよ、千歌ちゃんの問題だから…」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

梨子「っ……」

梨子「よ…曜ちゃん…!!」
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:23:02.89 ID:5YIaQvJu0
梨子「そ…その……!やっぱり、教えてもらえないかしら…!千歌ちゃんと曜ちゃんが昔、何があったのか…!!」

曜「………」

梨子「もう前とは違って、私は二人が不良だって事知ってるし……それに、なにより…私だけ、仲間外れは嫌よ…!!」

梨子「二人が何か悩んでるなら、助けになりたい……!何もできないかもしれないけど……それでも、何もしないでいるなんて、できない…!!」

曜「……梨子ちゃん………」

梨子「友達だから……大切な……」

曜「………」

梨子「………」ジッ…

曜「…はぁ……」

梨子「曜ちゃん……」

曜「後で、千歌ちゃんに怒られても知らないからね……?」

梨子「…!」

梨子「う…うん…!」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:24:33.38 ID:5YIaQvJu0
曜「………」

曜「先に言っとくけど、聞いてて気持ちがいい話じゃないからね……私も、できれば思い出したくないし……」

梨子「わ…分かったわ……ごめんなさいね……」

曜「いいよ……思い出したくないけど、私も梨子ちゃんには知ってて貰いたい……」

梨子「…曜ちゃん……」

曜「……あれは…」

曜「…私達が、ここに転校して来る前の八月…夏休み……」

梨子「………」ゴクリッ…










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601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:26:59.10 ID:5YIaQvJu0

千歌、穂乃果サイド−


千歌「ひっ…ひぃっ……」タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「ちょ……ほ…穂乃果ちゃ…ストップ……!一旦止まって…!!」タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「うぐ……」タッタッタッ…!

千歌(ぜ…全然聞いてくれない……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌(道分かんないから、どこ走ってんのか全然分かんないし……穂乃果ちゃん、止まってくれそうにないし……) タッタッタッ…!

千歌「こ…これ…どうすれば………」タッタッタッ…!
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:27:42.65 ID:5YIaQvJu0
千歌「…!」

千歌(ま…前……階段……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌(この距離なら……) タッタッタッ…!

千歌 ダッ!!

千歌(階段上がった所で、振り切れる…!!) タッタッタッ…!

穂乃果「…!」

穂乃果(あの階段……) タッタッタッ…!

穂乃果「………」タッタッタッ…!

穂乃果 ダッ!!
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:28:53.11 ID:5YIaQvJu0
千歌「はぁっ…はぁっ……」タッタッタッ…!

千歌(か…階段キツ……結構長いし……) タッタッタッ…!

千歌(あと…少し……!) タッタッタッ…!

千歌「っはぁ……」タンッ!!

千歌「え……」

千歌(こ…ここって……)

千歌「…じ…神社……?」
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:31:28.15 ID:5YIaQvJu0
穂乃果「………」タッタッタッ…!

千歌「…!」

千歌(き…来てる…!!)

千歌(とりあえず右に…!!) ダッ!!

千歌「…!!」

千歌「い…行き止まり…!?」

千歌(ど…どっかに他の入り口……!) クルッ…!

穂乃果「……」ザッ…!

千歌「あっ…!!」

穂乃果「はぁ……はぁ……」

穂乃果「やっと……止まったね……高海千歌……」ハァ…ハァ…

千歌「うぐっ……」

千歌「穂乃果ちゃん……」


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605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:32:13.11 ID:5YIaQvJu0
ことり「はぁ…はぁ……」ツカツカ…!

ことり(たしか……二人とも、こっちに……) ツカツカ…!

ことり「…!」

ことり(わ…分かれ道……)

ことり「はぁ…はぁ……」クルッ…クルッ…

ことり(左右の道には、いない……)

ことり「じゃ…じゃあ……」

ことり「………」

ことり(こ…この階段………)
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 21:33:05.36 ID:5YIaQvJu0
ことり(ここは……)

ことり「………」

ことり(穂乃果ちゃん……)

ことり「………」

ことり ダッ…!











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607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 23:16:06.80 ID:DJs+yUrUo
>>543-546
トコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカトコトコツカツカ
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 09:29:07.11 ID:NAsXLmVvO
絵里先輩かっこよすぎてこの後が心配だけど……頑張れ!
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/10(土) 20:29:34.92 ID:hwG2NJq20

凛、花陽、絵里サイド−


海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「……っ」


花陽「…剣道経験者で、それも有段者が、木刀を使うなんて……ずるいよ……そんなの勝ち目が……」

凛「いや……ずるいなんて事は無いにゃ……」

花陽「えっ…!?で…でも……」

凛「そもそも、これは喧嘩にゃ……ルールなんてどこにも無いにゃ……」

花陽「そ…そんな……じゃあ、絵里先輩は……」

凛「………」

凛「…残念だけど、普通に考えて、今の海未先輩に勝つのは不可能だにゃ……」

花陽「…!!」

凛「多分、絵里先輩も分かってる……なんとか隙を作って、逃げる事を考えてると思うにゃ……」

花陽「に…逃げる……」

凛「うん……だから、かよちん……凛達も逃げる準備を……」

花陽「…!う…うん……!」

凛「………」

凛「絵里先輩……」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:30:01.39 ID:hwG2NJq20
海未「………」

海未「……」ヒュンッ…

絵里「…!」ピクッ…

海未「………」

絵里「くっ……」

絵里(切っ先を細かく動かしてフェイントをかけてる……)

絵里(私が、突っ込むのを待ってるんだわ……)

海未「………」ヒュンッ…

絵里「…!」ピクッ…

絵里(……落ち着くのよ……私……絶対に釣られてはダメ……)

絵里(この距離をキープ……この距離なら、避けられる……)
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:30:37.69 ID:hwG2NJq20
海未「………」ズリッ…

凛「…!」

凛「絵里先輩…!!逃げて…!!!」

絵里「…!?」

海未 ダッ!!!!

絵里「なっ…!?」

絵里(きょ…距離が一気に……)

海未 ザッ!

絵里「…!」

絵里(小手狙い…!?)

海未 ブンッッッ!!!

絵里(手を引け…!!!) バッッ!!


スカッ!!!


絵里「…!!」

絵里(ま…間に合った……)
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:31:35.18 ID:hwG2NJq20
海未「……」ザッ!!

絵里「あっ…!」

絵里(ま…まずい……!!頭が……!!)

絵里(がら空…


ガンッッッ!!!!


絵里「〜っっ…!!?」

凛「…!!」

凛「こ…小手…!!」
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:32:40.09 ID:hwG2NJq20
海未「………」

絵里「ぐっ……ああっ……くっ…」ドサッ…

海未「……折れましたね……手首……」

絵里「っ……!」

花陽「そ…そんな……手首が……」

海未「それでは、もう勝負にならないでしょう……私の勝ち……いや、焔ヶ丘の勝利という事で、よろしいですか……?」

絵里「くっ………」

海未「………」

凛「え…絵里先輩……」

海未「反論しないと言う事は、了承したと受け取ってよろしいですね…?」

凛「っ…!!」

凛「ま…まだにゃ…!!!」スクッ…!!

花陽「凛ちゃん…!?」
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:33:22.50 ID:hwG2NJq20
海未「…凛……」

凛「り…凛が相手にゃ…!!!こ…このまま焔ヶ丘の好きになんかさせないにゃ…!!!」

海未「………」

海未「足……震えていますよ……?」

凛「…!!」

足 ガクガクガク…

海未「怖いのでしょう……?素手ですら勝てなかったあなたが、木刀を持った私に勝てるわけがありませんものね……」

凛「っ……!!」

凛「そ…そんなの……!!」

絵里「星空さん…!!!」

凛「…!」

凛「え…絵里先輩……?」

絵里「ありがとね……私の事…心配してくれたんでしょ……?」

凛「……」

絵里「でも、大丈夫よ……私に任せて……?勝てるから……」

凛「…!?」

凛「か…勝てる……!?」
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:33:55.85 ID:hwG2NJq20
海未「………」

海未「見苦しいですね……絢瀬絵里……嘘までついて、後輩に良い所を見せたいのですか…?」

絵里「嘘じゃないわよ……本当に勝てるの……見つけたのよ……あなたの弱点………」

海未「…?」ピクッ…

凛「じゃ…弱点……?海未先輩に……?」

海未「戯言を……」

絵里「ふふっ……戯言か、どうかはやってみれば分かるわ……」

海未「っ…」

海未「…大人しく降参していれば良かったものを……」

海未「骨折どころでは済まなくなりますよ……?」ゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「ふふっ……どうかしらね……」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:34:47.38 ID:hwG2NJq20
海未「………」ゴゴゴゴゴゴゴ…

絵里「………」

海未「………」ズリッ…

絵里(来る…!!)

海未 ダッ!!!!

絵里「…!!」

絵里(やっぱり速い…!!これが剣道の踏み込み…!!)

絵里(でも……)

海未 ガバッッ!!!

絵里(これならどう…!?) バッッ!!

海未「…!?」

凛「え…!?」

凛(手…手を後ろに……!?)

海未「っ……」ピタッ…

凛「う…海未先輩の動きが……!!」

絵里(今…!!)キッ…!

絵里 ザッッ!!!

海未「…!」


ドカッッッ!!!!


海未「〜っ!?!?」

凛(当たった……!!)
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:36:34.69 ID:hwG2NJq20
海未「ぐっ……あぁ……っ」

海未(な…なんて重い蹴り……) ガクッ…

絵里 ザッ…

海未「え…


ガツンッッッ!!!!


海未「ぶっ…!?」

凛「…!?」

花陽「ひ…ひどい……顔を……」

絵里 ザッ…

海未「ぐ……あぐ……ぐ…」ポタポタ…

凛「…!!」

凛「え…絵里先輩…!!」ダッ!!

絵里「………」バッ…!

海未「ぐっ……」ポタポタ…

海未(血…血が……)

凛「ス…ストップッッ……!!」ガバッッ!!!

絵里「わっ…と……」

花陽「凛ちゃん…!!」
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:37:07.07 ID:hwG2NJq20
絵里「………星空さん……」

海未(り…凛……) ポタポタ…

凛「もう終わりにゃ…!!もう勝負ついたにゃ……!!!これ以上やったら、海未先輩が死んじゃうにゃ……!!!」

絵里「………」

海未「………」ポタポタ…

絵里「…星空さん……これは、勝負じゃないのよ……?喧嘩……分かる…?」

凛「…!!」

海未(け…喧嘩……)

絵里「園田さんもよ…?あなた……小手以外打つ気無かったでしょう……?」

海未「…!!!」

海未「そ…そんな事は…!!」

絵里「あるわよね…?最初の攻撃の時、がら空きだった面じゃなく、わざわざ後ろに引いてあった手を狙った……」

海未「…!」
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:37:48.13 ID:hwG2NJq20
絵里「怖かったんでしょう……?面を打つのは……」

海未「っ……!」

海未「だ…だから……!そんな事は……

絵里「骨折どころでは済まなくなる……」

海未「…!」

絵里「あなた、そう言ったわよね…?分かってるんでしょう……?頭や胴や突きを打つのは、命を奪ってしまうかもしれないって」

海未「…!!!」

凛「海未先輩……」

絵里「星空さん……離して貰っていいかしら……?もう、殴らないから」

凛「え……」

絵里「いい…?」

凛「…!」ゾッ…!

凛「は…はい……」スッ……

絵里「ありがとう……」

花陽(凛ちゃん……)
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:38:26.26 ID:hwG2NJq20
絵里「さて……園田さん……」ザッ…

海未「…!」

絵里「一つ聞いていい……?あなた……なぜ喧嘩なんかしてるの……?」

海未「…!?」

海未「そ…それは……」

絵里「おかしいわよね……あなたは、こっち側の人間じゃないわ……人を傷つけるなんて、本当は出来ないはずよ……?」

海未「っ……」

絵里「………」

凛「海未先輩……」

海未「わ…私は……」

海未「………」

花陽「ほ…穂乃果先輩のためですか……?」

海未「…!?」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:39:22.50 ID:hwG2NJq20
絵里「高坂さんの……?」

海未「っ……」

凛「だ…だとしたら、それは間違ってるにゃ…!!こんな事しても、穂乃果先輩のためになんか、ならないにゃ…!!!」

海未「………」

海未「…また、それですか……凛………」

海未「じゃあ、なんですか……?ことりのやっている事が正しい事だとでも言うのですか……?」

絵里「…?」

絵里(なんの話……?)

凛「そ…そうにゃ……!!穂乃果先輩が暴走族に苦しめられてるなら、支えるんじゃなくて、そこから、助けてあげないとダメなんだにゃ…!!!」

絵里(暴走族……?)

海未「だから、それは無理だと……

スマホ ピロリンッ♪

花陽「あっ…」

絵里「ちょ……花陽さん……こんな時に……」

花陽「す…すみません……誰かからLINEが…」

花陽「あっ…!」

凛「…?」

花陽「こ…ことり先輩からです……」

海未「…!?」

海未「こ…ことりから……!?」
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:41:13.48 ID:hwG2NJq20
花陽「はい……今すぐ、神田明神に来てくれって……」

凛「神田明神……?なんで……」

花陽「分かんない……でも、急いでるみたいだし、たぶん……穂乃果先輩の事だと……」

海未「…!!」

海未 スクッ…

凛「え…?う…海未先輩……?」

海未「私も神田明神に向かいます……」

絵里「は…?」

絵里「ちょっと……まだ話は…

海未 ダッ!!!

絵里「あっ…!!」

凛「い…行っちゃったにゃ……」
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:41:52.59 ID:hwG2NJq20
絵里「はぁ……全く……」

凛「お…追わないんですか……?」

絵里「………」

絵里「…やめとくわ……そろそろ看護師さん達が、血相変えて私の事探してる頃だろうしね……私は病院に戻るわ」

凛「そう…ですか……」

絵里「あなた達は、どうするの……?行くの…?神田明神……何か私の知らない事情があるようだけど……」

花陽「……い…行きます……!」

花陽「だよね…凛ちゃん…!」

凛「う…うん……!全部、終わったら、絵里先輩にも説明するにゃ…焔ヶ丘の変の真相について……」

絵里「…焔ヶ丘の変……真相……?」

絵里「………」

凛「そうにゃ……今は説明してる時間は無いけど、焔ヶ丘と水見色は争っちゃダメなんだにゃ……悪いのは全部A-RISEなんだにゃ……!!」

絵里「A-RISE…?」

絵里「なんで、A-RISEが……」
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:42:25.82 ID:hwG2NJq20
花陽「すみません…!後で、全部説明します…!!とりあえず、今は急がないとなので……」

絵里「………」

絵里「…そう……分かったわ……それじゃあ、二人とも気をつけてね」

凛「はい…!ありがとうございました…!!絵里先輩…!!!」

凛「行こう!かよちん!!」

花陽「うん…!」

凛、花陽 ダッ!!!


625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:43:14.24 ID:hwG2NJq20
絵里「………」

絵里(…焔ヶ丘の変……A-RISE……)

絵里(………)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

一年前−

??「大丈夫!ウチに任せて!エリチは無理する事ないから!!」

絵里「で…でも……松浦さんと小原さんは……」

??「大丈夫やって!心配性やな〜、エリチは!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

絵里(………)

絵里「希………」













−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:44:39.61 ID:hwG2NJq20

曜、梨子サイド−


曜「…私達が、ここに転校して来る前の八月…夏休み……」

梨子「……」

梨子「夏休み……」

曜「うん。内浦も一応、観光地だからさ、毎年、この時期には観光客も来て結構賑わうんだよ」

梨子「そ…そうなの…?」

曜「伊豆も近いしね、水族館とかあるから」

梨子「そうなんだ……」

スマホ ピロリンッ♪

梨子「あっ…」

曜「ちょ……梨子ちゃん……」
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:45:47.96 ID:hwG2NJq20
梨子「あはは…ごめんごめん……なんかLINE来たみたい……えっと……」

梨子「え…!?」

曜「…?」

曜「どうかしたの…?梨子ちゃん」

梨子「こ…ことりちゃんから……」

曜「ことりちゃんから…?」

梨子「これ……」スッ…

曜「え…?なに……?」

曜「…!?」

曜「こ…これって……」
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:46:27.93 ID:hwG2NJq20
梨子「うん……この急ぎ様……穂乃果ちゃんに何かあったのかも……」

曜「…!」

曜「じゃ…じゃあ…!早く神田明神って所に行かないと…!!」

梨子「えぇ…!話は走りながらお願いできる…?」

曜「うん…!とりあえず、急ごう!!」ダッ!!

梨子「えぇ…!」ダッ!

梨子「…って、えぇ…!?」タッタッタッ…

曜 ピューンッ!!

梨子「足速っ…!!?」タッタッタッ…

曜「え…?」クルッ…

曜「えぇ…!?梨子ちゃん、遅っ…!?」

梨子「い…いや……曜ちゃんが速いのよ……もうちょっと遅く走っ…」カツッ…!

梨子「え…」グラッ…

足首 グキィッ…!

梨子「…っ!!?」

曜「え…」
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:47:02.30 ID:hwG2NJq20
梨子「いたああああああっっ!!!??」

曜「ちょ…梨子ちゃん……」

梨子「いったぁ……痛い……痛すぎる……うぐぅ……」

曜「………」

梨子「あ…歩けない……助けて、曜ちゃん……」

曜「嘘でしょ……」













−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:49:03.55 ID:hwG2NJq20

神田明神−


スマホ スッ…スッ…

ことり(よし……)

ことり(これで、梨子ちゃん達が来てくれる……)

ことり(後は……)

穂乃果「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「うぐ……」

ことり(私が、なんとか時間を稼がないと……!)
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:50:51.60 ID:hwG2NJq20
ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

千歌「ことりちゃん……」

ことり「一旦落ち着こう…!?千歌ちゃんとは、友達なんでしょう…?一緒に曲も作るんじゃなかったの…!?」

穂乃果「………」

千歌「そ…そうだよ…!!穂乃果ちゃん…!!あの日、一緒に遊んだ仲じゃん…!!私、穂乃果ちゃんと闘いたくないよ…!!」

穂乃果「………」

千歌「大丈夫だよ…!A-RISEなんて、怖くないよ!!私達も協力するし…!!」

穂乃果「…!?」

穂乃果「あ…A-RISE……?なんで、千歌ちゃんが、それを………」

千歌「え…」
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:51:35.08 ID:hwG2NJq20
ことり「………」

穂乃果「…!」

穂乃果「…ことり……ちゃん……まさか……」

ことり「………」

ことり「う…うん……」コクリッ…

穂乃果「…!!!」

ことり「で…でもね…!!これは、穂乃果ちゃ…

穂乃果「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!」

ことり「…っ」

千歌「…!?」
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:52:04.84 ID:hwG2NJq20
穂乃果「なんで……どうして………言っちゃダメなのに……そう言われてたのに……」

穂乃果「どうしよう……みんなが……みんなが…!私の大切な物が全部………」ブルブルブルブル…

千歌「…!」

千歌(ふ…震えてる……)

千歌(こんなに怯えるなんて……)

千歌「くっ……」ギリィッ…

千歌(綺羅ツバサ………一体何を……)
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:52:54.34 ID:hwG2NJq20
ことり「穂乃果ちゃん…!」ダッ!!

穂乃果「う…うぅ……どうすれば……どうすれば……」

ことり「大丈夫だよ…!穂乃果ちゃん…!!みんなで、なんとかしよう…!?きっと、なんとかなるよ…!!私達だけじゃない…!梨子ちゃんや、千歌ちゃん達もいるから…!!!みんなで頑張ろう…?」

穂乃果「うぅ……無理だよ……何も変えられないよ……無理なんだよ……」

千歌「穂乃果ちゃん……」

千歌「………」

穂乃果「どうすれば……どうすれば……」

千歌「ほ…穂乃果ちゃん…!」

穂乃果「…!」

穂乃果「千歌……ちゃん……」

千歌「だ…大丈夫だよ!!私も含め水見色のみんなにも協力するから!みんなで頑張れば、きっと、できないことなんて、なんにも無いよ…!!」

穂乃果「高海……千歌……」ザワッ…

千歌「え…」

穂乃果「……」スクッ…

ことり「ほ…穂乃果ちゃん……?」

千歌(様子が……)
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:54:18.04 ID:hwG2NJq20
穂乃果「…そうだ………悪い事したら、良い事して打ち消しちゃえばいいんだ……」フラリ…

千歌「…!?」

千歌(近づいてくる…)

穂乃果「そうすれば、大丈夫……ふふふっ……良かった……私は、また守れたんだ……」ピタッ…

千歌「…!」

ことり「え…?」

ことり(ち…千歌ちゃんの前で……)

穂乃果「ありがとう…高海千歌……」ニコリ…

千歌「…!!」


ガツンッッッ!!!!


千歌「あぐぁっ…!!」フラッ…

ことり「…!!?」
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:55:41.14 ID:hwG2NJq20
ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!?」

穂乃果「倒れろっ!!!」ギュルンッッ!!

千歌「…!!」


メキィッ!!!!


千歌「…!!?」グラッ…

千歌「いっ…」ドサッッ…!!

千歌(う…後ろ回し蹴り……頭を……)
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:56:09.79 ID:hwG2NJq20
ことり「…!!」

ことり「千歌ちゃん!逃げて…!!」

穂乃果 ドサッッ!!

千歌「うぐっ…!?」

千歌(や…やば……上に乗られ…


ゴンッッッ!!!


千歌「ぶはっ…!?」

ことり「…!」


ガンッッッ!!!


千歌「あぐ…」

ことり「…!!」


ドカッッッ!!!


千歌「あ…」

穂乃果「………」スッ…

ことり「や……」

千歌「うぐぅ……」

千歌(い…意識が……)

ことり「やめてえええええええええええええっっっ!!!」


バキィッッッ!!!


千歌「あぅ……」ゴロンッ…

穂乃果「………」

ことり「…!!」

ことり「そ…そんな……千歌ちゃん……」
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:58:28.60 ID:hwG2NJq20
千歌「………」

穂乃果「………」

穂乃果「……」スッ…

穂乃果「………」

穂乃果「……」クルッ…

ことり「…!!」

ことり「穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「うぅっ……!」

ことり「ち…千歌ちゃん…!!」ダッ!!

千歌「………」

ことり「千歌ちゃん…!!千歌ちゃん、しっかり…!!!目開けて…!!千歌ちゃん…!!」ユサユサ…!

千歌「………」ユサユサ…!

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「あぁ……そんな……そんな……」

ことり「なんで……なんで、こんな事に……」ポロポロ…
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 20:59:08.59 ID:hwG2NJq20
穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「ほ…穂乃果ちゃん…!!」

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり「うぅ…穂乃果ちゃん……」

千歌「………」

ことり(ダメだ……こんな状態の千歌ちゃんを放って、穂乃果ちゃんを追うなんて、できない……)

ことり(どうすれば……)

穂乃果「………」スタスタスタ…

ことり(誰か……誰か、穂乃果ちゃんを……)


海未「…!」ザッ…!!

ことり「…!!?」

穂乃果「……!」

ことり「う…海未ちゃん…!!?」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:01:03.71 ID:hwG2NJq20
海未「穂乃果…!!ことり…!!」

穂乃果「…海未ちゃん……」

海未「穂乃果………こ…これは……」

穂乃果「………」

穂乃果「見た通りだよ…私がやったの……言ったでしょ?高海千歌は、私がやるって」

海未「…!」

穂乃果「海未ちゃんは?凛ちゃん、倒したんだよね?」

海未「…!そ…それは……」

凛「えっ…!?」ザッ…!!

穂乃果「…!?」

海未「り…凛…!!」クルッ…!

凛「こ…これは……」
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:01:33.41 ID:hwG2NJq20
ことり「凛ちゃん……!千歌ちゃんが…!千歌ちゃんが……!!」ポロポロ…

千歌「………」

凛「…!!?」

凛「ち…千歌先輩…!?」ダッ…!!

穂乃果「………」

海未「………」

穂乃果「海未ちゃん……なんで、凛ちゃんが、ここにいるの……?」

海未「…!!」

海未「ち…違うんです…!!あれは、絢瀬絵里が…

穂乃果「言い訳は聞きたくないよ……」

海未「っ…」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:02:05.80 ID:hwG2NJq20
花陽「はぁ…はぁ……凛ちゃん速いよ……」タッ…

穂乃果「…!!」

穂乃果「花陽ちゃんまで……」

花陽「え…?こ…これ……何が……」

凛「かよちん…!!」

花陽「え…?」

千歌「………」

花陽「…!!?」

花陽「千歌先輩…!?」

花陽「だ…大丈夫ですか…!!?」ダッ…!!

穂乃果「………」

海未「……っ」

穂乃果「…どうする?海未ちゃん…あっちは手負いの凛ちゃん一人……私達は二人……やるなら今だよね……?」

海未「…!」

海未「ほ…穂乃果…!あなた…!!」
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:02:44.59 ID:hwG2NJq20
穂乃果「しょうがないじゃん…海未ちゃんが、しくじるから、いけないんだよ…?やんなきゃダメなんだよ……そう言われたんだから」

海未「…!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

凛「何が、どうにもならない…だ……!そんな事あるか……!ことり先輩は…!ことり先輩は、諦めてなかったにゃ…!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

海未「……っ」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

凛「そ…そうにゃ……!!穂乃果先輩が暴走族に苦しめられてるなら、支えるんじゃなくて、そこから、助けてあげないとダメなんだにゃ…!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

海未「………」

穂乃果「海未ちゃん……?」

海未「くっ…」

海未(私は……)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

絵里「一つ聞いていい……?あなた……なぜ喧嘩なんかしてるの……?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

海未(私は…穂乃果のために……)

穂乃果「……?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

凛「だ…だとしたら、それは間違ってるにゃ…!!こんな事しても、穂乃果先輩のためになんか、ならないにゃ…!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

海未「……っ」
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:03:21.58 ID:hwG2NJq20
穂乃果「どうしたの……?早くしないと、逃げられちゃうよ…?」

海未「…ほ……穂乃果………」

穂乃果「…?なに…?海未ちゃん」

海未「私は……」

穂乃果「…?」

海未「私は……間違っていたんじゃないでしょうか……」

穂乃果「え…?」

凛「海未…先輩……?」

ことり「………」

穂乃果「間違いって、どういう事?何が?どうしたの?海未ちゃん」

海未「た…闘いましょう……!!穂乃果…!!」

穂乃果「え…?あぁ……うん…そうだね…早く…

海未「違います…!!A-RISEとです…!!取り戻すんです…!!私達で…!!」

穂乃果「………」

凛「…!!」

ことり「海未ちゃん……」
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:03:55.50 ID:hwG2NJq20
海未「もう少しで、松浦果南と小原鞠莉が出所してくるのは分かってます……でも、私は、それで終わる気がしないんです……A-RISEは、そういう人達じゃないですか…!だから、断ち切らないといけないんです…!私達自身の力で……」

穂乃果「………」

海未「すみません……急にこんな事言い出して……今まで言ってきた事と全然違いますよね……混乱させてしまっているのは分かります……でも…」

海未「でも、気づいたんです……!今まで考えようともしなかった事…!そうさせた自分の弱さ…!!だから、考えました……それで、思ったんです……このままじゃいけないって……」

ことり「…!!」

ことり「そ…そうだよ…!!穂乃果ちゃん…!!このままでいいはず無いよ…!!動かなきゃ…!!じゃなきゃ、何も変えられないよ…!!!」

穂乃果「………」

凛「ことり先輩……」
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 21:04:23.16 ID:hwG2NJq20
千歌「………」

花陽「…!」

花陽「ち…千歌先輩……」

花陽「意識が……」

千歌「………」

海未「ことり……」

ことり「海未ちゃん…ありがとう…!一緒に頑張ろう…!!」

海未「…!」

海未「そんな……悪いのは私なのに……ことり…あなたという人は……」

ことり「ううん…海未ちゃんも穂乃果ちゃんも悪くないよ……?ただ、ちょっと道に迷っちゃってただけ……そうでしょ…?だから、大丈夫…!少しの勇気があれば、いつだって、道は変えられるよ…!!」

海未「ことり……」

海未「うぅ…ありがとうございます……あなたには感謝してもしきれませんね……」ウルッ…
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