【艦これ】ex.彼女

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753 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:27:59.47 ID:4MF7Q746O


「…………。」ニコニコ

「…………。」ズ-ン

リョウちゃんはお昼食べに、1度院外へ。
お姉ちゃんは先に食べてたみたいで、結局1人で行ったんだ。

……一瞬お姉ちゃんを誘いそうな目ぇした事は、しっかり覚えといてやる。

でも今はそんな事より、目の前のお姉ちゃんが問題…。
姉妹だから分かるんだ、この笑顔はめちゃくちゃ怒ってる顔だって…あぁ、多分お姉ちゃんがキレてるのは、事故った事より…。

「ふふ…ミズキ、その様子だと“まだ”みたいね?」

「う"っ…!」

胃の中が鉄になる。

ああ…そうなのよ。前にリョウちゃんの事、思いっ切りお姉ちゃんに話したの。
その時かなーり厳しいお説教を喰らって…はは…そ、そこから実際問題進展してないんだよねー…。

「リョウくんが異動して離れた時、相当落ち込んでたわよね?
あれから私も同じ所行けるんだ!って随分はしゃいでいたと思うのだけど……どういう事かしら?」ギラリ

「〜〜〜〜〜…!!」

「ふふ…相変わらず酔っ払っては甘えて、そんな関係が心地よすぎて何も進展無し。
でもたびたび女を捨てた酔い方をしては、同い年なのに妹分みたいに見られていく一方。

今回も甲斐甲斐しくお世話してくれてるみたいだけれど…だんだん保護者じみてきた感あるわよね?彼。
艦娘たるもの、いざと言う時は勇ましく…これはあくまで艦娘の先輩として教えた事だけれど、恋に於いても同じだと思うの。」

「あ…あはは…。」

「そう、勇ましく、美しく…あなたは今、私の甲板チューブトップにそっくりなものを付けている。そして和服にも似た入院着。」

「う、うん……サポーター、だね。」

「そうよね……だからリョウくんが帰ってきたら…。


脱ぎましょ?」


出たよ脱ぎ魔。


754 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:29:41.34 ID:4MF7Q746O

そう…お姉ちゃんはちょっと露出狂入ってる。
全裸じゃないけど、何かやろうとすると何かと肩出したがる。

戦闘で本気出す時も脱ぐ。
何なら今までの彼氏の前でも、何でかヤクザ映画みたいに男前に脱いでる。洋服なのに。て言うか一回それで振られてる。

はは…そんなんで落とせるんならもうやってるわよ…何ならキャミにパンイチな変態仮面見られてんのよ。
そもそもね、ガッツリ血が繋がってるのにこの体格差は何なのよ。
お父さんもお母さんも普通体型…なのに私だけおばあちゃんから隔世遺伝。
私にマジックでシワ描いたらそのままおばあちゃんよ。おじいちゃん多分ロリコン。

て言うかね、そもそもね。

755 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:31:19.97 ID:4MF7Q746O


「………無理!ここ病院!」

「ふふ、まぁそうよね。冗談よ。
でもね…そんな無理しなくても…。」

「…むぎゅっ!?」

「……あなたはこんなに可愛いじゃない?ほーら、ほっぺむにむにしたくなっちゃう。」

「やめへよー、わらひ今年にじゅうにらよ?
むっ……はぁ、でもあいつの好みじゃないもん。ちんちくりんだし。」

「……前言ってた元カノさんと比べてる?写真見せてくれた。」

「…………うん。私と真逆だもん。」

「……この後は来るのかしら?」

「来たがってるけど、今日は多分無理だよ。仕事詰まってたはずだもん。」

「そう…。」ジ-…

「……お姉ちゃん。」

「何?」カチッ…ガチャガチャ…

「何でアーチェリー組み立ててるの?」

「それは勿論、可愛い妹の恋敵をぶっ飛ばす為よ?」


やめんかこの姉は。

756 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:33:18.45 ID:4MF7Q746O

「ふふ、所詮正規と軽空の差なんて艦娘モードでの話…ただの人同士の今なら、正規空母にだって負けないわ。」

「お姉ちゃん、それただの傷害って言うんだよ。」

「ふふ、冗談よ。」

「なら目を開けて笑って。ねえ。」

「ちぇっ、しょうがないわね。

…まあそれはそれとして、なんで私がこんなに必死か分かる?
リョウくんは、あなたを任せたいって思うぐらいの人だって事よ。」

「…お姉ちゃん。」

「そうね…いきなりしっかり進展は無理でも、今回はもうちょっと女の子だって意識させてみよっか?
まずは怪我の功名狙お?今ならチャンスでしょ?
あんまりうかうかしてると…私がもらっちゃってもいいかも。」

「ダメ!絶対ダメなんだから!」

「ふふ、その意気よ。それだけ嫌なんでしょ?じゃあもっと勇気出さなきゃ。」

「あ……うー、お姉ちゃんには勝てないなぁ。」

「だってお姉ちゃんだもの。
じゃあそろそろ行かなきゃ、お大事にね。」

「うん、ありがとう。お父さんとお母さんにもよろしくね。」

「うん、伝えておくわね。」


757 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:34:50.43 ID:4MF7Q746O

そしてカーテンの閉まる音と共に、今日の嵐は去って行った。

そんな静かな病室の中、私は一人考えていた。
勇気…そうだ、私にはもう失うものなど何も無い。何を怖がることがあるんだって。


「戻ったぜ。あれ?祥鳳さんは?」

「もう帰ったよ?ちょっと遠くから来てくれてたしね。」

「何だ残念だなー、もうちょい話したかったのに。
あーあ、さっき連絡先聞きゃ良かった…美人だよなぁ、祥鳳さん。」

「うん、私の憧れだもん!マジ姉妹だけど。」

「あー、確かにづほと似てねえもんな。サイズ感とか。」



………あぁん?




758 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:39:23.54 ID:4MF7Q746O

言ってくれるわね……これでも小学生の頃は、体大きい方だったのに。中1で成長止まったけど。

ふつふつと沸く怒りは、ヘタレな私をどこかへ遠ざけた。

そう…失うものなど何も無い。
事故った時、ある状態異常で、ある目的地に向かっていた…その300m前でカマ掘られたの。
確か3日ぐらいご無沙汰で、運転中に急に来た…それで目に付いた青いコンビニ、天国の門に見えたわ。

こんなんでも成人女子、毎月の税金に頭悩ませたり、飲み過ぎでやらかしたりする大人の女…。
ふふ…そんな中、事故った弾みでね…。


かっっったいう〇こ、漏らしたから。今年22なのに。


事故った時は半分気絶してた。
そんな中でよーく覚えてるのは、どう見てもダメそうな愛車内の様子と…パンツの中のダイヤモンドな感触と…

救急隊の人達が連呼する、脱〇だ!って慌てた声よ。

人間って、本当に危ないと色々緩むって言うね…。
多分そう思ったから焦って連呼したんだと思うけど、めちゃくちゃ周りに聞こえてたと思うんだ…はは。


「……リョウちゃん。」

「どうした…!?」


リョウちゃんはベッドの横に立っていた。
だから胸倉掴んで、思いっ切り体重掛けて引っ張った。

もう無理矢理キスしてやる。
女以前に大人としての尊厳を失った私は不退転。
そのままリョウちゃんの体は、目を閉じた私の方目掛け…。

759 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:42:15.50 ID:4MF7Q746O




『どすっ!!』






……どす?




760 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:44:09.78 ID:4MF7Q746O

目を開けると、リョウちゃんの体はバランスを崩し、ある場所に着地していた。

そう…脇にあるベッドガード。
そいつが綺麗に、お尻の割れ目に直撃する形で。
リョウちゃんはそれをケツに挟んだまま、白目を剥いていた。

とさ…と人が倒れる虚しい音を見届け、私はベッドの上に仁王立ちになった。

ナースコールの、カチリと言う音。
それ以降はもう、この病室は静寂以外は存在しなかった。


門長(かどなが)リョウスケ、21歳。職業・憲兵。

私の手により、痔、再発す。

761 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:49:11.26 ID:4MF7Q746O


なけなしの勇気を振り絞った告白作戦も台無し。
怪我の功名はならず、状況は変わらないまま。
結局この事故と入院で、私は損ばかりしたのでした。

そしてこの後、甘えてばかりで踏み出さなかった自分を、またしても悔いる事となるのです。

…あと、リョウちゃんはやっぱり、『そういう星』の元に生まれてるのだと。
翔鶴さんを始め、何かしらアレな人と縁があるって言うか、引き寄せるっていうか…。


星のピアスの女だけにね。


…あ、それ言ったら私もアレな人に入っちゃう。

762 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/01(土) 01:52:47.86 ID:4MF7Q746O
今回はこれにて。
瑞鳳提督の皆様、本当すいません…。

次回、かつてのオリ〇ピック開催地。



763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 08:12:40.20 ID:d115Ow1zO
おつ!
いずれは報われて欲しいとこ
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 09:25:49.29 ID:Mn6kU1lS0
人は便意には勝てない
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/03(月) 01:45:35.74 ID:eFzQHlTeo
おつおつ

早々にアトランタ編かぁ
楽しみ
766 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:13:34.72 ID:PPFDzITdO

「海外艦?またですか?」


「ああ。まぁ色々あってな、うちで引き取る事になった。」

「…またゴトランドみたいな厄介じゃないですよね?」

「残念ながら、彼女以上の厄介だ。
ゴトランドの件は本当に偶然だったが、今回はコウヘイも一枚噛んでいるし…何よりクソ野郎も関わっている。」

「クソ野郎?ああ、本部長殿ですか。あんたほんとあの人嫌いですね。
でも何でまた、海軍の人事にうちが噛んでるんです?」

「正確には、海軍が泣きついてきたんだよ。
異動先がうちになったのは、異例の基準で決まったのさ。」

「え?まさか…。」

「最後はどんな鎮守府かでは無く、どんな憲兵隊がいるかを基準に決まった……つまり、我々をご指名と言う事だ。」


767 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:14:22.37 ID:PPFDzITdO








第34話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-1-







768 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:16:16.98 ID:PPFDzITdO

その件から2週間、遂にこの日が来てしまった。

詳しい話は眼鏡から聞いてる。
NY育ちで、それもだいぶアレな地区の出身だと。

何でも札付きって奴らしく、艦娘になるまでは相当ヤンチャで、『オレンジのツナギ着てた』時期もあったらしい。
艦娘になって足は洗ったらしいが、気性は変わらず。向こうの提督のクソさにキレて半殺しにしたんだとか。

実際その提督は相当クソ野郎だったみてえで、クビ飛んだのはそいつの方だったようだ。
だが上官への暴行、無処分って訳にも行かず。
結局痛み分けって事で、今日来る奴の方は事実上の左遷ってのが事の顛末だと。
アメリカ側が、引き取ってくれる国を探してたらしい。

不良ねぇ…天龍とか摩耶、元気してっかな。
まぁ上官半殺しも理由がある。今は足洗ったってんなら、可愛いもんであって欲しいけど…。

「もうじきここにも挨拶に来る。さて、実際はどんなものだろうな。」

「大した事なきゃいいですけどね。」

「ああ、“しっかり頼むぞ”?」

この時眼鏡の言葉の意味を、しっかり掴んでおくべきだった。
そうだ、上の意図は俺達に任せたって言うよりも…。




『こん…こん……』




……来たか。

さて、どんな厄介か。

769 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:18:59.01 ID:PPFDzITdO

「How is everything?
あたしはAtlanta級防空巡洋艦、Atlanta。Blooklyn生まれ。
あなた達、憲兵さん?よろしくね。」

「Nice to meet you.そうだ、我々がここの憲兵だ。
私が憲兵長の磯村キョウ、こちらが部下の門長だ。よろしく。」

「Nice to meet you.
門長リョウスケです、よろしくお願いします。」


率直な感想を言うと、肩透かしを食らった。

気だるい喋り方に、どことなくぼーっとした顔。
所謂本物って聞いて、凶暴な性格を想像してたからな。


「phew……Japanも暑いね。」


アトランタの制服は長袖シャツ、おまけに手袋にインだ。
そりゃ暑いよな…アトランタが少しだけ袖を捲ると…。



『tattooーん……』



………おめーの腕がブルックリンの壁だ。


770 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:20:49.02 ID:PPFDzITdO

…いや、俺『ある事情』でタトゥー自体は見慣れてんだよ。何なら全身入ってる人も知ってる。
でも俺の知ってる人らは、ファッションや願掛けで入れてる人。実際そこまで邪悪な印象は持った事ない…こいつを除いては。

例えるならヤーさんの和彫りみてえな、妙な気合い。
ぶっ飛んだ絵柄でもねえのに、何故かチラ見えしたこいつのタトゥーからはそれを感じ取っていた。

ゆ、油断しねえ方がいいな…。
ん?どうした?俺の顔まじまじと見て…




「………cupcake.」





………あ"?




771 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:23:50.52 ID:PPFDzITdO

「…Who the hell are you calling a “cupcake”?you son of a bitch.」(誰が女みてえな奴だって?こんにゃろう。)

「What the fxxk...you can speak english.」(げ…あんた英語喋れるんだ。)

『おーおーこれでも得意分野だよ。日本人ならスラング分かんねえってナメてたろ?』

『随分流暢…て言うか、口が悪いんだね。ブルックリンのストリートならぶっ飛ばされるよ?』

『そのまま返すぜ。
生憎日本語も、お前んとこのFワードみてえなスラングはクソほどあるんでな。英語でもニュアンスで何の意図か分かんだよ。
初対面でナメた口利いてくれんじゃねえか。』

『率直な感想。』

『…警戒してたけど、頭来たぜ。』

「You pickin 'a fight?fxxk'n cupcake.」(やんの?オカマ野郎)ナカユビタテ-

「C'mon,fxxk'n bitch.」(かかってこいやクソアマ)オヤユビサゲ-

「Stop it,fxxk'n stupids.」(やめんかバカども)

「「Ow!?」」((痛!?))


眼鏡に頭同士をぶつけられた俺らは、その場にへたりこんじまった。
首にも来てるぜ…無理矢理この女んとこまで下げやがって…!

772 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:26:39.43 ID:PPFDzITdO


『リョウほどでは無いが、私も英語は出来るぞ?
貴様がここに送られたのは、私達がいる前提でだ。
これから“こいつとは長い付き合い”になる、そう目くじらを立てるな。』

『……へぇ、こいつが“例の”?こんなオカマ野郎に?』

『オイ、まだ言うかコラ。』

『リョウ、お前もだ。
アトランタの言動にキレるのも分かるが、スラングにスラングで返すな。
アトランタ、今日はもう大丈夫だ。下がっていいぞ。』

『そう?じゃあ今日は戻るね。』

そのままアトランタは出て行こうと扉に向かうが、去り際、くるりと俺に向かいこう言った。


「Ryo,fxxk you.」


ほー……あのやる気ねえツラ眉一つ動かさねえで舌出して、声のトーンも変えず中指立てやがりますか。
随分煽り力の高ぇお嬢ちゃんだ事で…!


773 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:32:41.23 ID:PPFDzITdO

「……憲兵長。今回の件、提督と本部も噛んでるって言いましたね?」

「ああ、条件に合う憲兵を探す過程でな。
アメリカ側も、資料を見て任せられそうだ!と喜んでいたと聞いたよ。」

「…それは『俺ら』ですか?それとも『俺』ですか?」

「…勿論、貴様個人をご指名だ。『担当監察員』としてな。
リョウ、言い逃れは出来んぞ…昔2年程アメリカにいただろう?」

「中一中二と、親の仕事の都合でいましたね…。」

「当時通っていたのは邦人学校…だが、空手はどこでやっていた?」

「…現地の空手道場。
後々総合に進むような、陽気で気性の荒いアメリカ人がいっぱいいました。」

「…英語は?」

「……そんな環境だったんで、スラングから覚えましたね。fxxkやshitは挨拶代わり。」

「つまり、アトランタと歳が近く、スラング含め英語も堪能、荒れくれ者と渡り合って来た経験もある…。
ほーら、君しかいないじゃなーい♪」

「…ざっけんなコラァ!!誰だ!?誰がトドメ刺しやがった!?」

「コウヘイだ。彼なら余裕ですよー、うちで引き取りますよー、と二つ返事したらしいぞ。」

「……今から提督殺りに行ってもいいですか?」

「……誰を殺るって?」

「アイエエエ!!時雨!?時雨何で!?床から!?
待って!そのマチェットしまってぇぇえええ!!!???」


第一印象は最悪。
正直次会った瞬間、あのやる気ねぇツラ引っ張ってやりたかった。

…しかしどう言う訳だか、マーフィーの法則。
関わりたくねえ奴とこそ、関わり深くなっちまう事も人生にはある。


ああ、考えたくねー…。


774 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:34:26.12 ID:PPFDzITdO





「うわー…何言ってるか分かんないけど、ボロクソなのだけ分かるわね…。
あれだけ険悪ムードだったら、大丈夫じゃない?」

「…………いえ、あの子は危険ね。」

「そう?」

「ああ言うタイプの子、リョウは何だかんだで放っとかないわ。」

「…………翔鶴さんが言うなら、そうなのかもね。」





775 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/03(月) 22:37:07.70 ID:PPFDzITdO
今回はこれにて。
アトランタ編だけで、何回放送禁止用語出す事になるのやら…。
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/04(火) 01:42:46.42 ID:Mn+Yjsj4o
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/04(火) 13:20:43.22 ID:cEfoeIibo
乙です
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/05(水) 04:28:31.24 ID:UUxPSz0iO
乙です
喧嘩するほどなんとやら
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/05(水) 06:32:39.73 ID:1SrvIYX90
最悪の第一印象とかいうラブコメの王道導入
780 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 00:54:23.85 ID:731E/n28O

あー…本当ムカつくわあの女。
休憩時刻になってもイライラが収まらなかった俺は、久々に喫煙所へと向かっていた。

前は部屋にタバコ置いてたが、今はすぐ吸えるよう詰所のデスクん中。
相変わらず頻度はたまに嗜む程度だが、この置き場の差が現職場でのストレスを物語る。

喫煙所の扉と左の壁はガラスなんだが、右は普通の壁。
だからだろうな…いざ中に入るまでは、先客に気付いてなかった。


「朝以来だね。」


……呪われてんなぁ、今日。


781 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 00:55:43.97 ID:731E/n28O








第35話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-2-







782 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 00:58:17.97 ID:731E/n28O


「…………。」シュボ


無視無視。何で一服すんのにこいつのツラ見なきゃなんねえんだ。
ふー……あーあ、横に気配があるだけで味落ちてる気がすんぜ。


「…………。」ジ-


何じっと見てんだよ。
またオカマ野郎とか抜かす気か?…ん?

アトランタの手には、火のついてないタバコ。
…ああ、そういう事ね。

「…………。」ポイッ

「……thanx.」パシッ

『へぇ、礼ぐらいは言えんだな。』

『人の事なんだと思ってんの。』

『初対面で人の事オカマ野郎って言う女。』

『女みたいな顔してるあんたが悪い。そのくせデカいし。』

『うるせえ。もう点けたろ?ライター返しな。』

『タバコに関しちゃ日本はいいね。安いから。』ポイッ

『あー、ブルックリンじゃ州法ですげえ高かったっけか?』パシッ

『そう、NYだから。たまの良い嗜好品だから、日頃はVAPEで誤魔化すしかなくてね。』

『ふーん…。』

それ以上会話は特に無し。
別に話す気もなかったからだけどな。

ゴトランドの件の反省もあって、今回は資料のパーソナルな所まで目は通した。
こいつは20歳だからタバコについて言う事も無いし、俺も知ってる以上、歳について話す事もねえって訳さ。

…10代からだってのは、察したけどな。

783 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:02:37.20 ID:731E/n28O

『…担当監察員って、何するの?』

『…お前がやらかさねえか、一定期間監察するだけ。前科者の自分を呪いな。』

『何もしないよ。この国じゃ悪さのしようも無いしね。』

『それだけじゃねえよ。お前の他者への言動・行動も込みだからな?』

一応釘だけ刺しておく。
ちょくちょく話し掛けてくんな…どうせこれからしばらく、積極的にそのムカつくツラ見なきゃならねえ。
朝の件からイラっと来てんだ、今ぐらい無視させてくれよ。

『……憲兵って、要は軍内の警察でしょ?あたし警察嫌いなんだよね。』

『奇遇だな、俺はお前みてえなタイプの女が嫌いだ。』

『だったらわざわざ英語使わないで、日本語で通せば?左遷決まって叩き込まれたから喋れるけど?』

『お前のスラングにカウンター返す為にわざわざ英語使ってんだよ。ダイレクトにムカつくようにな。』

『……やな奴。』

『お互い様だ。』

人間には相性がある。
どうやら俺とこいつは最っ高にウマが合わねえようだ。

ま、憲兵やってりゃこんな事もあるかね。割り切るしかねえか。
馬合わねえ女っちゃあ、曙の奴はどうしてるやら。

……ん?ガラスに何か張り付いてんな…



『べちょーーん…』


「うおおおおっ!?」

「yikes!?」


スライムみてえにべっちょり顔面張り付けてたのは、づほ。
心臓に悪いわ…最近顔芸マスターになってねえか?

784 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:05:08.28 ID:731E/n28O

「ふっふー、新人さん見ないなあって思ったら、こんな所でおしゃべりしてたんだ。
ないすとぅーみーちゅー。私は瑞鳳。
アトランタちゃんでいいんだよね?よろしく。」

「よろしく。あなた、空母?」

「うん!軽空母だよ!」

「へぇ……。

演習する時、楽しみだね。よろしく。」

この時初めて、ダウナーなこいつがニヤリと笑うのを見た。
ああ、不良上がりの防空巡洋艦…なるほど、食ってみたくなったって訳か。

づほも察したのか、笑顔がこわばった。
やべえのが来るって話は前からしてたから、目配せして出るよう促したんだ。
演習以外じゃ、あんまり好戦的なムードにはさせたくねえからな。


785 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:07:14.50 ID:731E/n28O

『……あの子、本当に軽空母?駆逐艦じゃなくて?』

『あれでも俺と同い年、お前より年上だぜ。
俺の大事な親友だ、いじめんなよ?』

『あんたいくつだっけ?』

『21。今年22だ。お前より2つ上だ、少しは敬いな。』

『じょーだん。憲兵のクセに喧嘩好きは敬えないわ。
その拳…あんた、かなりやってるクチでしょ?』

『空手を長年な。アメリカいた頃、道場の先輩に英語と拳を散々叩き込まれたよ。』

『アメリカでストリートファイトは?』

『人助けから発展しちまった事は何度か。』

『本音は?』

『ボクサーやマーシャルアーツ相手は燃えた。』

『うわ…悪い奴。』

『14の時だ、若気の至りだよ。俺は出るぜ、くれぐれもはしゃぐなよ?』

『やんないよ。』

『どうだか。』

そのまま喫煙所を出ると、角の所にちっこい影が隠れてた。
ああ、あの後も見てたのか。

「リョウちゃん、大丈夫?何か雰囲気悪いけど…。」

「ああ、大した事ねえよ。単に俺とウマが合わねえってだけさ。
お前らは仲良くしてやってくれよ?」

「うう…さっきちょっと怖かったかも。
長門さんとこの秋月ちゃんいるよね?演習中のあの子みたいな目えしたからさ…。」

「そりゃお前が空母だからだ。」

786 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:08:57.41 ID:731E/n28O






「Nice to meet you.あなたが新任の子かしら?」

「うん、あたしはアトランタ。あなたは?」

「私はね…。」





787 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:12:15.26 ID:731E/n28O

さて、時間か…またアレの顔見に行かなきゃ行けねえ。

正直クソみてえな任務だけど、仕事な以上やる。
実際問題、やらかされても困るからな。


『……いるか?様子見の時間だ。』

『ああ、もうそんな時間?いいよ。』

『失礼するぜ。』


定期的な動向把握、並びに日に一度の部屋への訪問。監察の基本内容はこれ。
で、初日真っ只中な訳だが…昼間暑いって言ってた割に、アトランタの部屋着はロンTだった。


『ちょっと寒くねえ?エアコン強えよ。』

『日本はジメついてるからキツいよ…。』

『ロンTなんか着てるからだよ。部屋ん中ぐらい隠すもんでもねえだろ?』

『……スケベ。』

『タトゥーの話だバカ。』

『…………見せびらかすもんじゃないからね。』


……妙だな。

アメリカだったらタトゥーは珍しいもんじゃねえ。
余程失敗されたとかでもない限り、隠したがる奴の方が珍しい。仕上がりもちゃんとしてた。
そもそも両前腕にびっしり入ってたしな。

アレ見た時は妙な雰囲気を感じたもんだが…何かあるな。

……いや、気にしてどうすんだ。俺のやる事はまた別だ。

788 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:14:42.72 ID:731E/n28O

『そう言えば、さっきショーカクって子に会ったよ。あの子は正規空母ね。』

『……あいつかぁ。』

『何か腹に一物ありそうだね。彼女?』

『…高校の元カノだよ。ここにいたのは偶然だけどな。』

『…EX(元カノ)か。ああ言うのが好きなんだ?』

『系統だけで言えばな。色々あって別れたけど。
逆にお前みたいなタイプは好みじゃない。』

『奇遇だね、あたしも女顔は嫌いだよ。
……もう夕方か、夜が来るね。』

『波乱の一日の終わりだ。恵みの夜だぜ。』

『恵みね…あんた、夜はどうなの?』

『夜は夜で、嫌いじゃねえな。』

『そう。あたしは苦手。』

『……札付きなのにか?』

『……札付きだったからだよ。アトランタの適正出てから、余計苦手。』

『そんなもんかね。じゃあ戻るわ。』

『もう来なくていいよ。』

『そう出来りゃラッキーだ。じゃあな。』


部屋から出て廊下を見れば、夕暮れで真っ赤になってた。
夜が苦手…か。ちょっとあいつを頼ってみるかな。

789 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:17:12.48 ID:731E/n28O

「…て訳なんだが、あきつ丸、夜中にあいつの部屋を覗けるか?」

“出歯亀でありますか。趣味が悪いでありますなぁ。”

「治安維持の一環だっての。」

「おや、昼間は揉めていた割に、アキまで引っ張り出して随分やる気だな?」

「げ…幽霊見えない聞こえないな割に、会話の流れは分かるんすね。」

「直近でアキを頼るような場面など、一つしかないからな。
…実際どうだった?一日監察した限りでは。」

「基本的な態度は変わらず、俺との相性は最悪です。
ただ、気になる点はあるんですよね。悪意あるってより、テンパって何かやらかしそうな。」

「動転して?」

「あれだけ派手なタトゥーを見せたがらないのと、夜が苦手って発言の2つ。
その後実艦のアトランタについて調べましたけど、確かに記憶の断片だけ貰ってもキツそうな史実ですね。
……ただ、妙に引っかかるんですよ。」

「何か気になるのか?」

「艦娘適正出て、『余計』夜が苦手になったって言ってたんですよね。
完全に勘ですけど、夜のあいつは注意した方がいいかもしれません。」

「…少しは成長したな。
憲兵と言う職務に於いて、洞察は重要だ。トラブルを未然に防ぐと言う意味ではな。」

「えぇ…夜こそ気が立って、何かしでかす可能性も考慮すべきかと。
あきつ丸、皆が寝静まった頃に頼む。」

“了解であります。”

790 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:19:16.22 ID:731E/n28O

翌日あきつ丸に結果を聞くと、やはり気になる点がいくつかあった。

一つ、ナイトランプを最大にしたまま眠っていた事。

もう一つ、寝言で何人かの名前を口に出していた事。
アメリカの人名だが、男女が混ざっていたらしい。

………今夜は俺の夜警か。
あいつの部屋の前通る時、ちょっと気にしてみるか。


『リョウ、おはよう。相変わらずオカマ野郎だね。』

『あ?朝っぱらからFワード付けんなよ。』


日中はそのまま、昨日通りの毒の吐き合いで過ぎた。
それでいざ夜警ってなった時…予想通り、異変は起こった。悪い意味でな。

791 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:20:30.81 ID:731E/n28O


“電気が点いてる…アトランタか?”


深夜24時、廊下に入ると煌々と明かりが。
トイレに起きる奴用に、普段ある程度照明は残してある。
だが今は、それ以上に全開になっていた。

その時…ふ、と突然照明が落ちた。


「no……nooooooooo!!!!!」


悲鳴!?
これは…アトランタの声か!!

懐中電灯片手に廊下中を探す。
それである程度進んだ時…ようやくへたり込むアトランタを見付けた。

「大丈夫か!?」

懐中電灯を向け、アトランタはこっちを見た。
するとアトランタは俺に飛び付いて…。


弱々しい声で、こう言った。


792 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:21:42.07 ID:731E/n28O






「stop it…farther……
stop it…Jesus…please don't killing homies…」

(やめて…お父さん…。
やめて神様…みんなを殺さないで…)






793 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:24:26.92 ID:731E/n28O



きっとアトランタの目には、俺が俺としては映っていなかったのだと思う。

この時俺は…ただ必死に縋り付く彼女を抱き締める事しか出来なかった。



794 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/09(日) 01:26:22.00 ID:731E/n28O
今回はこれにて。
アトランタ編はシリアスとボケがごちゃごちゃな、ちょっと長めのお話になる予定。
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/09(日) 07:33:24.04 ID:99oKMQsKO
おつおつ。それにしても現地事情詳しいっすね
796 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:28:31.27 ID:95/Cik0zO








第36話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-3-







797 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:30:27.34 ID:95/Cik0zO


『………落ち着いたか?』

『………。』

荒かった呼吸も、しばらく抱き寄せてる内に収まってきた。

アトランタは何も言わないが、今こうなった理由を問い詰める事はしない。
大体察しはついた、だからこそだ。

『………ごめん。』

『人間ああなったら仕方ねえよ。こっちこそ触っちまってすまねえ。』

『…ありがと。』

『部屋まで送るわ。』

アトランタを部屋まで連れていくが、ベッドに座るあいつの肩は、まだ少し震えていた。

…一人にしといてやった方がいいな。

「I'll return to the my room,sleep tight.」(俺は戻るぜ。しっかり寝とけ。)

「Are you going to playing “Netflix and jill”now?」(これから『いいこと』して寝るの?)

「If so.I'd have to girls who are different from a person like you.」(もしそうなら、『お前みたいな奴以外の女の子』でだな)

「Fxxk'n pervert.」(ばーか)

「Shut the fxxk up.You'll sleep well after NO2 please,lady?good night.」(うるせえ。クソしてお眠りやがり下さいませ、お嬢様?おやすみ。)

「hehe……Ryo,thanx.」


ふー…何とか笑っちゃくれたか。
あんな唐突な下ネタ、気ぃ紛らわせてえ以外の何だっての。返す俺の身にもなれ。

…そういや、あいつが普通に笑ったの今日で初めてだな。

798 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:31:29.15 ID:95/Cik0zO

あいつの部屋から出て、俺は懐中電灯も点けずに廊下を歩いていた。

ただ苦手な夜が来るだけでああなったなら、艦娘以前に日常生活すら送れねえ。
悲鳴上げたのは停電にビビったからで説明付くが、あの言葉。あれは多分、俺の…。


…どうも、ダメ押ししちまったらしいな。


日常を守るとは、心を守る事。
ムカつく事に眼鏡と知り合ってから持った、俺なりの憲兵としてのポリシー。

アトランタの事は気に食わねえ、どうにもああ言う女は苦手だ。


ただ……それが目の前で泣いてる奴を放っておく理由には、ならねえよな…!

799 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:33:05.07 ID:95/Cik0zO

「リョウくん、また珍しいね。」

「提督…夜分遅くにすみません。」

「…アトランタの様子はどうだい?どうにも僕の前じゃ気を遣ってる風でね。」

「提督…アトランタの資料はありますか?」

「…君の所にもあるはずだ。」

「ちげえよ……出生、半生、具体的な犯罪歴。
あいつが『オレンジ着てた』ってんなら、あんたにそっちの方も来てるはずだ。向こうの警察の調書がな。

出せよ。今すぐだ。」

「………。

かなわないな、君には…いいよ、用意しよう。
すまないね、重い役目を押し付けてしまって。」

「…ありがとうございます。」

「………もう察しはついてるかもしれないけど、うちは『そう言う鎮守府』でもあるのさ。
ここは普通に育ってきた子も多いが、何かしら訳ありな子も、うちは積極的に引き取るようにしている。僕の方針でね。

だが僕は提督…柱は所詮柱。それ以上にも以下にもなれない。
一人一人と時間を掛けて向き合いたいが…僕が本当にそれをしてしまえば、戦いに支障が出てしまう。
まず皆が勝ち、そして生きて帰れるよう運営する。それが僕の1番やるべき事。
僕が出来るのは、ここのみんなの居場所を作る事だけだ。

キョウに憲兵への転身を勧めたのは僕だが、あいつがここへ来たのは、キョウ自身の意思だ。僕の方針を理解してね。
“枝を守るのは任せろ、お前は何より太い幹でいろ。”って言ってくれた。
お淀だって、アレでもその気持ちは同じくさ。

だが、彼らだけでは負担が大きい。
今までのキョウの部下達もいい奴らだったけど、正直その面では頼りなかった。

……リョウくん。改めてアトランタの事を…そして、キョウやみんなを頼んでいいかい?」

「……任せてくださいよ。俺はあのクソ眼鏡の一番弟子ですから。
一人より二人。枝支えんなら、多い方が良いでしょう?
頼みますよ大将!あんたはぶっとい柱でいて下さい。」

「…ありがとう。印刷出来たよ、これだ。」

「…提督、ありがとうございます。」

「すまないね、今度何か奢るよ。」

「だったらここらで一番美味いラーメン食わせてください。それでチャラです。」

「ああ、一番好きな店に連れて行くよ。」

800 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:36:28.58 ID:95/Cik0zO

部屋に戻って、改めて隅から隅まで資料を見る。
捕まるまでの家庭環境、生活…それに、逮捕された時の罪状。

なるほどね…大方はクソな意味で予想通り。
だが、本人の口から聞かなきゃ分かんねえ事はまだ多い。

担当観察員…その役目とは、性質に問題のある者を、艦隊の秩序を乱さぬよう正す事。
だがそんなもんは俺にとっちゃ建前だ。要は…安心して戦い、そして暮らせるようにする事。やらかす必要が無いようにな。

少し時間は掛かるな…俺は俺なりのやり方で、全うさせてもらうぜ。


そうだな、まずは今度…。


801 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:40:23.65 ID:95/Cik0zO



“……コン…コン…。”


『ん……誰?』

『俺だ。』

『げ…もうそんな時間?仕事明けなんだからゆっくりさせてよ、せっかく早く終わったんだよ…。』

『私服に着替えろ。それでゲートん所集合。』

『え?』

『…お前酒は好きか?いい所に連れてってやる。』


802 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:42:55.66 ID:95/Cik0zO

『…で、ここ何?』

『居酒屋っつーんだよ。』

『イザカヤ?』

『要は日本のパブだ。』

来てから数日の様子見る限り、どうもこいつはコミュニケーション自体は不得手な方だ。
鎮守府の連中は話早えから、その辺込みでコミュニケーションは取れる…だが、こいつ自身が安心出来るにゃ、ちょっと時間食うだろう。

そういう事なら、英語出来る俺が最初の窓口になりゃいい。
で…手っ取り早くそうするには…。


『あんた、メシであたしの機嫌釣る気だね。』モグモグ

『もう食ってんじゃねえか。』

『ん、これおいし。甘みあって。』

『Japanese rolled omelette.卵焼きっつーんだよ。』

『タマゴヤキ?ああ、タマゴがeggで、焼きがfriedって事か。』

『名前そのまんまだろ?
瑞鳳いるだろ?あいつも焼くの上手いんだよ。』

『ズイホー…あいつ強いね。この前の訓練、大分やられた。』

『あれでも前の所から、狙いの名人って言われてたからな。』

『…ぷはー。どうりでね。日本のビールは結構濃いね。』

『そうか?濃けりゃハイネやバドぐらいならこっちのスーパーで買えるぜ。』

それとなーく他の奴の話題を振る。
他をどう思ってるか探る意図もあったが、何人かの話題出した限り、こいつからの悪印象はそんなに無さそうだ。


『ショーカクだっけ?あんたの元カノとはまだやり合ってないね。』


…そう思って話してたら、今度は俺が地雷を踏まれる番になっちまった。

803 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:44:44.00 ID:95/Cik0zO

『…あいつこそうちのエースだよ。
何でも俺が来るってなった時、訓練しまくったって…。』

『仕返し?何かひどい振り方でもしたの?』

「No.she is “bunny boiler”...」

「wow...is she “bunny boiler”?i see.」

『俺春からこっち来たんだけど、おかげで大変だったんだぞ…』

『そうは見えなかったけどね。』

『お前はまだあいつの恐ろしさを知らない。キレさせるとやべえから気を付けろよ?』

『そう、気を付けるね。』ニヤ

『待って、何する気。』

『何もしないよ。
これ頼んでもいい?日本酒飲んでみたかったんだ。』

『いいけど回んぞ?暴れんなよな。』

804 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:48:02.77 ID:95/Cik0zO

…………で、案の定。

『なーにー?あたしの酒が飲めないってのー?』

『もう店の外だよバカタレ。重っ!?暴れんなコラ!』

アメリカ人に日本酒はキツかったか…無理矢理アトランタを背負い、俺は夜道を歩いていた。暴れるから。
笑い上戸と絡み酒を同時に発症したこいつは、店ん中でもシャレになんねえスラング連発…CとかDとか。
ここがアメリカだったら、どっからともなく発砲事件になってたぜ。

しかし酔っ払っての本音聞いてた限り、こいつもストレス溜まってたんだなぁ…。

どうも向こうの艦隊じゃいまいち馴染めなかったらしく、オマケに前の提督の件。
相当なパワハラ野郎だったようで、駆逐艦殴ろうとした所に花瓶ぶつけて頭カチ割ったんだとか。
流れでそれまで積んでた悪事もバレて、その提督もクビ飛んだって所らしい。


『だーかーらー、ムカついたから花瓶当ててやったんだよー。あのファ〇キンデ〇ックにさー。』

『その話、もう5回目ー。
…ま、やり方はともかく、嫌いじゃないぜ?そう言うの。その子を守ろうとしたんだろ?』

『………そんなんじゃない。』

『はいはい。』


……やっぱり、根っからのワルって訳じゃなさげだな。

こいつに対する監察は、俺、眼鏡、提督の許可があって解ける。
監察員の任を降りれる時が、イコールでこいつはもう大丈夫って証明になるんだ。

様子は見なきゃなんねえが、こいつがこの鎮守府に安心出来れば…やべえ、ちょっと限界だ。
805 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:51:04.81 ID:95/Cik0zO

『重てえよお前…そこのコンビニで休ませろ。』

『いいよ。タバコ吸いたいし。』

コンビニ脇の喫煙所の所で、ようやく一息をつく。
もう7月も後半か…さすがに人担いで歩くにゃ堪えんぜ。

『…日本食、おいしかったなぁ。
空港でこっちのハンバーガー見た時、どうなるもんかと思ったけど。』

『確かに向こうのに比べりゃ小せえな。でもありゃアジア系の俺からすりゃデカすぎだ。』

『でかいのがいいんだよ。今度アトランタバ
ーガー食わせてあげるよ。』

『それ商品名?それともお前オリジナルって事?』

『あたしオリジナル。なかなかいけるよ?』

『胃薬用意して待っとくぜ。でも今日は夜平気なんだな?』

『…外いて気付いたけど、日本のは向こうの夜ほど怖くないんだよね。』

『…まぁ、確かに雰囲気は別だな。俺はこっちの方が落ち着く。』

『……昔はさ、そこまで嫌じゃなかった。
こんな風に外でタバコ吸ってると、ブルックリンが懐かしくなるね。』

『いくつからだ?不良娘。』

『あんたに言うとめんどいからパス。さてと…』

「…ぐえっ!?」

『ヘイタクシー、乗っけてってくれんでしょ?運賃は出世払いで頼むよ。』

『てめえ、立ち上がんのマジでキツいんだぞ…!』

『はい出発ー。』

『…後で覚えとけよ。』

無理矢理アトランタをおぶって、俺は帰路を急いだ。
あぁ、づほなら軽くて済むんだけどなぁ…二度とこいつにゃ飲ませねえ。


806 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:52:31.45 ID:95/Cik0zO














「………へー…………そこ、私のポジションなんだけどなー…。」













807 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/11(火) 21:54:09.08 ID:95/Cik0zO
今回はこれにて。
シリアス風が続いてますが、その内どうせいつもの頭の悪さに戻るのでご安心ください。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/11(火) 22:16:40.63 ID:N6+947b+o
おつ
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/11(火) 22:28:02.69 ID:A2SD8YCiO
おつおつ
スラング詳しいなぁ
810 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:47:02.67 ID:eqSmsJhmO


『被告人 ____・ジェンキンズ
xx年4月22日生 18歳
血液型 AB型

罪状 傷害並びに公務執行妨害
判決 懲役6ヶ月

ブルックリン区内にて出生。北欧系アメリカ人。
幼少期から実父より母親と共にDVを受けており、10歳の頃、耐えかねた母親が父親を殺害。母親は逮捕され服役するも、翌年獄中死。

その後同ブルックリン区内在住の祖父と生活するも、14歳の頃に祖父が死去。
以降は祖父のアパートにて一人で生活し、ギャングコミュニティでの目撃情報あり。
自供、並びに証拠は得られていないが、逮捕までの生活費は、祖父の遺産と犯罪行為で得たものを基としていたものと思われる。

仲間を狙撃した警官を襲撃、頭部裂傷を負わせ上記の罪状により逮捕。
負傷した警官は、被告の仲間への不当な発砲を働いており、これも考慮し上記の判決と処す。』


811 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:48:25.52 ID:eqSmsJhmO



「____、晴れてあなたも模範囚ね。きっと半年より早く出られるわ。出所後はどうするの?」

「…ホームレス以外無いでしょ。アパートもファミリーももう無い。
また『運送屋』でもやるか…それか、もう『街に立ちんぼ』するぐらいしかないもね。神様助けてってさ。」

「…フリートガールって知ってるかしら?」

「フリートガール?何か変なカッコしてバケモノと戦ってる奴らでしょ?」

「そう。見た目は派手だけど、立派な軍人よ。
適性がいるから、誰でもなれる訳じゃないけど…____、まだ人生を投げるには早いわ。
あなたは本当はいい子よ、神様もきっと見ててくれる。だから賭けてみない?」


812 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:49:52.77 ID:eqSmsJhmO








第37話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-4-









813 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:52:19.87 ID:eqSmsJhmO


「むー…昨日私も暇してたんだけどなー。」

「そうね、私も暇だったわ。」

「あー…ま、まあ悪かったよ。」

翌日、俺はづほと元カノコンビに詰められていた。
せっかくなら私達もアトランタと飲みたかった!って事らしい。

まぁ親交深めたがってるくれてるなら何よりだが、俺も警戒しすぎたかなー…確かに連れてきゃ良かった。
こいつらなら、多分『アレ』も見てるだろうしな…あ、そうだ。

「なぁお前ら、風呂とかでアトランタって見た?」

「…リョウ、やっぱり大きい方好きでいてくれたのね…!」

「……ほっほー、やっぱりああいう乳が良いんだ?」

「ちげーよ、タトゥーの話だ。俺は腕のチラ見えしただけだからな。」

「あー、私この前被ったよ?二の腕ぐらいまで入ってたね。
あと湯気でちゃんと見えなかったけど、背中にもあったかな。」

「私も見たわ。綺麗な絵柄だったわね。」

こいつらはそう言うので偏見持たないから、訊くには早い。
アレも多分意味がある。全体像見た奴の印象を知りたかったんだ。

814 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:53:58.25 ID:eqSmsJhmO

「鷹や太陽、ひまわり…あとマリアね。私が覚えてるのは。」

「おじいちゃんも入ってたよね?キリスト風の奴。」

「…ふーん。背中は?」

「ちゃんと見てないけど、何か黒いのだったよ?派手には見えなかったかな。」

「なるほどな…ありがとな、二人とも。」

「いえいえ…リョウ、でも頑張りすぎないでね。
接した感じ、そんなに悪い子には見えなかったもの。きっとすぐに監察を解けるわ。」

「そうだね、クールだけど話も出来るし。
リョウちゃんちょっと顔疲れてるよ、アトランタちゃんにもプレッシャーになっちゃうよ?」

「…ああ、気をつけるよ。」

キリスト風の老人…ぶん取った調書見た限り、そういう事だろう。
ただ、でかいデザインじゃなく、小さいのをいくつも入れて二の腕まで…ね。

アトランタも最初はビビられてたけど、外面は上手くやってくれてるらしい。
1週間近く経った今、みんなはそこまで悪くは思ってなさそうだ。

……このまま放っておけば、監察自体は解けるかもな。
でも俺は、あいつが何か抱えてるのを見ちまった。

提督や眼鏡は、そこ込みで俺にこの件任せたんだと思う。
ここが本当に安心出来る場所になってくれりゃ、それがベストだ。

さて…部屋への訪問の時間か。
ただ、生きてんのかあいつ?

815 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:55:11.09 ID:eqSmsJhmO


『入るぜ。』

『………死ぬ。今日はマジで帰って。』


二日酔い・オブ・二日酔い。
昨日はアトランタが今日休みって知ってたから連れてったんだが、見事に休日を寝潰していたらしい。
下ろした髪は大爆発、声のトーンは更に低くなっていた。


『…まぁ、だと思ったよ。実際覚えてるか?』

『コンビニでタバコ吸ってからの記憶が無い。あたしどんなもんだった?』

『ここに寝かせた瞬間、俺の顔面に蹴りが来たよ。マーチン履いたままのな。』

『げ……ごめん。』

ギリギリ受け止めたけどな、本当は。ただ、ちょっとは反省してもらわねえとだ。
へへへ…さすがにしおらしいツラしてやがるぜ。

『うう……リョウ、そこにコーヒーメーカーあるから沸かしてくんない?』

『その前におめーはこれだ。』

『……スポドリ?』

『どうせ二度寝三度寝とキメてたんだろ?まず水分取っとけよ。』

『……ありがと……あー、生き返る…。』

『本当にキツそうだな…今日は戻るぜ、監察以前の問題だ。』

話すだけで頭痛拗らせそうなツラだ、俺もとっとと消えてやろう。
……とか考えてると、手を掴まれた。

816 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:56:39.59 ID:eqSmsJhmO


『………何だよ?』

『LINE。』

『は?』

『日本にLINEってアプリあるよね?あんたの教えて。基本的なのは習ったから。』

『あー、いいけどよ。何でまた?』

『これでまた潰れたらタクシー呼べる。いや、お馬さんかな。』

『…一つ、日本の都市伝説を教えてやる。』

『何それ?』

『イエローキャブならぬイエローアンビュランス。
てめえみてえな頭おかしい奴をぶち込む救急車だ。』

『大丈夫、あたしの専用車両はカーキのタクシーだから。』

『行先は地獄オンリー、運賃はお前の命な。
…ったく、しょうがねえな。スマホ出しな、登録してやる。』

それで登録して、とっとと部屋を出た。
ん?早速か…。


『Ryo,Fxxk you&thnx.』


……はは、どっちだよ。

817 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:57:34.96 ID:eqSmsJhmO

その後ポーラがひと暴れしてくれたお陰で、俺が仕事を終えられたのは22時近く。
例の如く眼鏡は着替える羽目になり、俺は一人で部屋にポーラをぶち込んだ。

“一応様子見とくか。”

何も無いのはわかっちゃいるが、念の為にアトランタの部屋の前も通る事に。
よし…特に物音も無いな。


『…人の部屋の前で何してんの?』

『…出てたのかよ。ポーラぶち込んだついでに様子見にな。』

『あのすぐ脱ぐ子?』

『あのすぐ脱ぐ子。』

『…スケベ。』

『アレのどこに興奮しろと。』

『そう…屋上に行かない?お風呂入ったら少しのぼせちゃった。』

色々とアレなもん見た後で、正直俺も気分が悪かった時だ。
願ったり叶ったり、アトランタに促されるまま屋上に付き合ったんだが、そこでふと気付く。

……夜、怖くねえのか?

818 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 22:59:09.22 ID:eqSmsJhmO

『いい月明かりだね。こうして石段に座ってると、ブルックリンの夜を思い出すよ。』

『……夜、怖いんじゃなかったっけ?』

『………正確には深いのが…かな。
あたしが住んでたアパートには屋上があって、よくこうして月を見てた。』

するとアトランタは、ダボついたロンTの袖を捲った。
顕になったのは、両手の二の腕まで達したいくつものタトゥー。


それをかざしながら、あいつはこう呟いた。

819 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 23:00:13.34 ID:eqSmsJhmO







『…“みんな”、こっちも月が綺麗だよ。』







820 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 23:02:00.08 ID:eqSmsJhmO

………。

…やっぱり、そういう事か。

何となく思い描いてたタトゥーの意味に、確信を持てた。
だから今は、あえて触れない事にした。

『……腕の事、何も訊かないんだね。』

『大体分かったよ。アトランタ、お前が話したくなってからでいい。』

「………no.」(違うよ。)

「………why?」(何がだ?)

「……please call me Shelly.it's my real name.」(シェリーって呼んで。あたしの本当の名前。)

資料に載ってた以上、それはもう俺も知ってる名前だ。
だけど実際にそう請われた時…俺は何か、切実な物を感じたんだ。

821 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 23:03:13.49 ID:eqSmsJhmO

『……ああ、仕事じゃなけりゃ呼んでやるよ。シェリー。』

『……ふーん、仕事中じゃなきゃいいんだ?
ねぇ、リョウ。今から部屋に来ない?見せたいものがあるんだ。』


今度は部屋に招かれて、俺は椅子に座らさせられた。
何か出てくんのかと思った時、アトランタに声をかけられた。


『……リョウ、こっち見てくれる?』

『へ……な!おま、馬鹿野郎!?』


ロンTを脱ぎ捨てたかと思えば、突然下着まで外しやがった。
俺が慌てて目を隠すと、見ろと言わんばかりに手を掴まれる。

『タトゥーの意味、教えてあげる。だから手をどかして?』

『……タトゥーの意味?』

『……分かった、じゃあ背中向けたら声掛けるから。それならいいよね?』

それで声が掛かり、恐る恐る手をどかした。
その時俺が目にしたのは…


「…………っ!!」



そこにあったのは、白い肌に刻まれた黒い影。
アトランタの背中にあったタトゥーは…


天を仰ぐように両手を広げた、死神の後ろ姿だった。


822 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/17(月) 23:05:41.47 ID:eqSmsJhmO
今回はこれにて。
アトランタに設定されてる本名も、他の子同様ちょっとした小ネタが入ってます。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 07:40:50.28 ID:ok1xBGeP0
乙です
824 : ◆xu2VpOlD.6 [22564]:2020/02/18(火) 21:07:42.25 ID:e6yselZzO






第38話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-5-






825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/02/18(火) 21:08:20.65 ID:e6yselZzO
酉間違えました。
826 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:10:46.66 ID:e6yselZzO
酉は変わりますが気を取り直して
827 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:11:57.99 ID:e6yselZzO






第38.話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-5-





828 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:14:34.59 ID:e6yselZzO

『…………。』

俺が背中のタトゥーをしっかり見たのを確かめると、アトランタはタンスから服を取り出した。
タンクトップに着替えたあいつは、俺に近付くと…まず、鷹のタトゥーを指差した。


『……この鷹はジェイムズ。15歳の時の最初のボーイフレンド。
こっちのヒマワリはニーナ、私の親友。この蝶は…。』

一つ一つの絵に対して、出てくるのは一人一人の名前。
それを語るあいつの顔は、どこか優しげな微笑みを浮かべていた。

『………監察員なら、あたしの調書も持ってるよね?』

『……ああ。』

『…いいよ、ちゃんと話してあげる。

あたしの親父は典型的なクズでね、酒に酔っちゃあたしや母親に暴力振るう奴だった。
思えばその頃から、暗い夜が苦手だったかな。またあいつが帰ってくるって…。』

『…………。』

『…10歳の時、とうとう母親が殺っちゃったんだ。
あたしがいつもみたいに殴られてたら、後ろから頭をガツって。

……その時大丈夫?って抱きしめてくれたママは、返り血まみれだった。
笑顔の母親なんて、本当に小さい頃以来に見たよ…それが最後だった。』
829 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:16:00.75 ID:e6yselZzO

『……その後は、じいさんの所にいたんだよな?』

『……この老いたキリストの絵。これがじいちゃん。

あいつらと血が繋がってるなんて思えないぐらい、本当に優しい人なの。
でも歳でさ、あたしが14の時に死んじゃった。人生で最初に尊敬出来た人だった。』

『……そうか。』

あの夜警の時、俺は懐中電灯振り回しながら廊下を探してた。

暗闇に浮かぶ人影…それも何かを振り回しながら。
あの時こいつが錯乱したのは、やっぱりそこに父親の影を見ちまったからか。

アトランタの両腕を見る限り、両親をモチーフにしたタトゥーは無い。
強くは言わなかったが、母親にも良い感情は持てなかったのだと思う。

……最初に尊敬出来る人間が出来たのは、10歳にしてやっと。
その言葉の意味を噛み締めるように、俺の拳は軋みを上げていた。

830 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:18:52.82 ID:e6yselZzO

『………それからは、どう生きてきた?』

『流れるようにストリートギャングの道へ…ってね。
食ってかなきゃいけなかったからね。でもその頃のあたしじゃ、他に生きてく術も無かった。

…今時のギャングコミュニティだと、あたしみたいな人種の奴は少ないんだ。力関係なら、ギャングの中のナードって言ってもいい。
あたしのいた所は少ないながら、あたしと似たような人種が集まってチームになってた。

だから手っ取り早い仕事はありつけなくてね…あたしのチームは、“運送屋”のバイトしてたよ。』

『……“運送屋”ね、そりゃまた大変な仕事だ。』

『…確かに、何度も危ない橋は渡ったね。
でも、あたしにとってはファミリーだった。

仕事が上手く行った時は、皆でパーティーをやっててさ。
あたしの作ったハンバーガーやフライドベーコン、皆好きでいてくれた。

……でも、一人、また一人と減ってったね。

さっき言った、最初のボーイフレンドのジェイムズ。
鷹が好きな人だった……初めて“そう言う事”した次の日、ポリに撃たれて死んじゃったよ。
別のやらかした奴と間違えられて、誤射でね。

ニーナは…どんな人生にも光はあるって、口癖みたいに言ってた。お守りだって、胸にヒマワリを入れてた子。
……どっかのイカレ野郎にヤられちゃってね、朝ゴミ捨て場で死んでたよ。
あたしのヒマワリのタトゥーは、あの子と同じ彫り師に頼んだ。

…独りで過ごす夜が、だんだん怖くなってた。
明日の朝、もう会えない奴が出るかもしれない。今度はあたしかもしれない。
そう思うと、暗闇が怖くて…よくこいつを抱いてたよ。』

そうアトランタが見せてくれたのは、くたびれたぬいぐるみ。
少し前の映画に出てた、クマのものだった。

元はじいちゃんに買ってもらったものだと、こいつは寂しげに笑う。

その後も、次々とタトゥーの意味を語ってくれた。
一つの絵に対して、誰か一人の人生と死が。
それをまた一つ聞く度、俺の中に、顔も知らない誰かの最期が描かれていく。

その会話の中で…アトランタはチームの最期を語ってくれた。

831 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:21:48.32 ID:e6yselZzO

『…あたしが逮捕された日が、チームの最期の日。

ポカしてでかいとこに狙われちゃってね…リーダーは、女と若い奴を秘密の場所に隠したんだ。
明け方手前に、少し遠くの方から銃声がして…それもすぐ止んだ。

夜明けまで絶対に出るなって言われてた。
それで朝、その場所に行ったら…あったのは、チームのみんなの死体だけ。

…リーダーの彼女が、死体に駆け寄ったの。
そしたら……その子は頭撃たれて、その場で脳ミソぶちまけた。

警官がいたんだ。
抗争中のギャングの残りを撃ったって体に出来ると思ったんだろうけど……そいつさ、笑ってやがった。

あたしの事には気付いてなかった…だから、落ちてたブロック持って…。』

『……それで逮捕されて、収監されてたって事か。』

『…………うん。』

…アトランタの目からは、一筋こぼれるものがあった。
だが、話はここで終わるわけじゃ無さそうだ。
制止しようかとも思ったが…俺は、最後までその話を聞くことにした。

832 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:24:47.89 ID:e6yselZzO

『…そうやって、一人誰かいなくなる度にタトゥーが増えてった。
あたしの中で生きてって、そう思ってね…。』

『……そのマリアは?』

『……実の母親じゃないよ。背中のとこれは、艦娘になった時に入れたやつ。

これはね…ムショの監察員のおばさん。
みんなからババアって慕われてた、うざったい人だよ。

出所してもアテが無かったあたしに、艦娘を勧めてくれた人。
色々うるさかったけど…あたしにとっては、初めてちゃんと向き合ってくれた大人の女だった。本当のママみたいにね。』

『………その人は、どうなった?』

『……あたしが出所した夜、新しく来たヤク中女にフォークで刺された。

あたしが出所前に適性検査を受けれたのは、その人のおかげ。
模範囚にしてくれたし、あちこち駆け回って口利きしてくれた…合格した時さ、二人で抱き合って泣いたよ。

出所する時も、思いっきりハグしてくれた……また休暇取って会いに行くって約束して。
でもそれが最後……あの人の匂いとぬくもりは、本当のママより覚えてる。

…報せが来たのは、埋葬も終わった後だった。
休みの日にこっそり制服持ち出して、あの人のお墓の前で敬礼したよ。

………一度くらい、見せてあげたかったからさ。』

『じゃあ…背中の死神は…。』

『…あたしの自画像。
自ら鎌を振るでも無く、ただ深入りした者の死を見るだけの人生…ってね。
ほら、こうして腕広げれば、みんなを見てるみたいになるでしょ?』

そう誇らしげにタトゥーを見せるアトランタの笑みは、その実、俺の目には痛々しく映った。
その直後…


アトランタは、全身を預けるように俺に抱きついてきた。


833 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/18(火) 21:27:03.27 ID:e6yselZzO

『………。』

すすり泣く声だけが、部屋に響く。
強く体を締め付ける腕は、怯えた子供のように加減を知らない。

「………fxxk you.」

「………。」

「Ryo.My heart hurts when I remember…please don't kind to me……fxxk you……fxxk you!!」(リョウ、思い出してつらいんだ……優しくしないで……クソ野郎…クソ野郎!!)

涙声のまま、アトランタはようやく感情の全部を俺にぶつけてきた。
そうか……観察員として向き合えば向き合うだけ、傷に塩塗ってるようなもんだったかもな。だが……



そうは問屋が卸すわきゃねえだろ、馬鹿野郎。



834 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:28:48.40 ID:e6yselZzO


「…………ow!?」


スコーンと1発、アトランタの脳天にチョップをかましてやった。
へへへ、さっきとは別の意味で涙目だ。ざまあみろ。


……ったく、世話あ焼ける奴だぜ。


835 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:31:26.76 ID:e6yselZzO

「Shut the fxxk up,fxxk'n biddie.」(…うっせーな、ワガママ娘が。)

「Oh shit…」(何すんの…)

『……理由はどうあれ、てめえは過去は犯罪者だった。
お前の運んだモンで、人生閉じちまった奴もいるかもしれねえ。それを忘れるな。』

『………っ!
…それ、ババアにも言われたね。』

『……だが、1度はブタ箱に入ってたろ?それも模範囚としてだ。
てめえのやった事は消えねえ。で、てめえを蝕んできた過去も消えねえだろう。

艦娘勧められた時、断らなかったんだよな?
お前は自分の意志で這い上がろうとしたって事だ。どれだけ否定しようがな。

…だったらよ、“どう生きて来たか”じゃねえ、“これからどう生きるか”じゃねえのか?
それがてめえの過去に対する復讐であり、贖罪だ。違うか?

…少なくとも死んでった人らは、お前の不幸を願う奴はいないと思うぜ。
せいぜい、例のクソ親父ぐらいなもんじゃねえか?

俺に腹の底ぶちまけた、それが答えだ。
ずっと、誰かに聞いて欲しかったんだろ?』

『………!!』

836 : ◆FlW2v5zETA [saga]:2020/02/18(火) 21:33:26.52 ID:e6yselZzO

『……生憎そのババアみてえなのは、ここじゃ俺だけじゃねえぞ?

提督は、お前みてえなワケありも積極的に引き取ってる。居場所を作る為にな。
あの眼鏡は俺の師匠だ、俺より強引にお前を引きずり上げようとするだろう。

ここの艦娘連中だってそうだ…誰かしらあの手この手でお節介焼いちゃ、お前をほっときゃしねえ。
お前と飲み行った後、づほと翔鶴に怒られちまったぜ…何でお前と飲ませてくれなかったんだってな。

……おい問題児、逃げられると思うな。

ここに来ちまったのが運の尽き。
ここは“俺含め”、頭のおかしいキxガイどもの溜まり場だ。』


………あーあ、認めちまったよ俺。
ここは本当にクソッタレで、最高な鎮守府だってよ。
憲兵冥利に尽きも尽きる、大好きな場所になっちまったさ。


だからアトランタには、こう言ってやったのさ。

837 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:35:00.01 ID:e6yselZzO







「Atlanta…not.Shelly.This place is your home.」(アトランタ…いや、シェリー。ここがお前の家だ。)






838 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:36:34.73 ID:e6yselZzO


「Ryo………fxxk you.」

最初詰所から出てく時、俺に吐き捨てたFワード。
だが今は、その意味は180度違った。

俺に抱き着いて泣きじゃくるアトランタを見て、そんな事を思ったもんだった。

『………落ち着いたか?』

『………うん。』

『……ただ、抱き着くのは勘弁な。
日本じゃハグは恋愛的な意味が強えから、色々めんどくせえんだよ。元カノとかに見られるとやべえ。』

『……ショーカク?』

『あー…現在進行形で俺のストーカーなんだわ…。』

『…なるほどね、そりゃあんたの事よく知ってるよ。
最初会った時、こう言われたんだ…』

そうしてアトランタが、話してくれた事は……。

839 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:38:08.73 ID:e6yselZzO



?“Nice to meet you.あなたが新任の子かしら?”

??“うん、あたしはアトランタ。あなたは?”??

“私はね…翔鶴。正規空母よ、よろしくね。”

“うん、よろしく。”

“言いづらい事かもしれないけど…リョウが監察員に付く子って、あなたのこと?

“うん。昔色々やらかしちゃってね。
感じ悪いね、あいつ。”

“そうね、確かに口が悪い所はあるけど…でも、とってもいい人よ。
アトランタちゃん、困った事があったらあの人を頼って。あの人なら、きっとあなたの力になってくれるわ。


…誰よりも、暖かくて優しい人よ。”??


840 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:39:58.53 ID:e6yselZzO


『…………。』

『……複雑そうだね、何か。もしかして未練タラタラ?』

『……んな訳ねえだろ、俺が振ったんだからよ。
未だにあいつが一番のトラブルメーカーだ。』


……あいつ、今でもそんな風に。散々冷たくしたってのによ。


『……さて、俺も帰るかな。』

『…ショーカクオカズにして寝る?あ、それともショーカクと…。』

『生憎フリーなんでな。画面の中の手が届かねえまともそうなお姉様に癒してもらう。疲れちまったぜ。』

『ばーか。おやすみ。』

『ああ、おやすみ。』


………ふう。どうなるもんかと思ったぜ。

まぁこの調子なら、後は何事も無けりゃ監察も解けるだろ。
それでお役御免になれば、晴れてまたいつもの日常に集中するだけだ。

あー、ねっむ…抜く気も起きねえや。


841 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:40:51.36 ID:e6yselZzO









へえ、ならフリーか。

……ショーカク、ごめんね。









842 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:42:15.47 ID:e6yselZzO


あれから半月、監察もすっかりルーティンと化した。

また後で行かねえとな…まぁ、世間話だ。
食堂でコーヒー飲みつつ、そんな感じでこれからの予定を考えていた。

午後のひとときなせいか、周りの席もちらほら埋まってる。
で、一緒のテーブルにいるのは俺と眼鏡、それに元カノとづほ。たまーに隼鷹もいる。
最近休憩時間に食堂来ると、大体このメンツで喋ってる。

……まぁ、あんまり元カノとは話さねえけど。

お、アトランタだ。

843 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:44:22.44 ID:e6yselZzO

「あ、リョウ。ちょっと見せたいものがあるんだ。」

「どうしたよ?」

ポーカーフェイスなこいつが、珍しく機嫌が良さそうだ。
その理由は、どうも背中にあるらしい。


「この前タトゥー入れてきたの。人生最後のやつ。
アフターケアも落ち着いたからさ。」


襟を伸ばして見せてくれのは、丁度死神の上の辺り。
そこには一つ、星のタトゥーが刻まれていた。


『あたしはそれでも、光を追って生きる』


楽しげなアトランタの顔は、言葉はなくともそう語ってるようだった。








と こ ろ が だ 。









844 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:45:38.19 ID:e6yselZzO

「…ねえ、リョウ。」

「………ん?」








『…………ちゅっ…。』








…………は?




845 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:47:20.93 ID:e6yselZzO

がっしり頭掴まれたかと思えば、気付くと思いっきりキスされてましたとさ。

気が動転してる俺をスルーして、アトランタはご丁寧に日本語で、周りに分かるようにこうぬかしやがった。


「リョウ……ギャングに狙われたら、逃げられないんだよ?もうあんたはあたしのもの。


…あんたに拒否権、無 い か ら 。」


変わらぬポーカーフェイス。
だが、桁違いのゴゴゴ…と言う擬音がアトランタの目からは見えていた。



そして……


846 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:49:15.15 ID:e6yselZzO


「………ねえ。」


絶対零度のオーラが、背後から俺を襲う。

ぎぎぎ…と、機械の様に首を回す。

そこには…。




「演習場に行きましょ?久々にキレちゃったわ…。

アトランタちゃん………愉快なオブジェに変わりたいようねぇ…!?」




同じ白髪でも、何かベクトルとか操れそうな方みたいな顔になった元カノ様がいらっしゃいました…。


……お母さん、先立つ不孝をお許しください。


847 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/02/18(火) 21:50:50.81 ID:e6yselZzO
今回はこれにて。
綺麗に終わらせる訳ないでしょう。いつもの感じにギヤを上げていきます。
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 01:47:28.23 ID:FIOiA8Sp0
ヒェッッ...
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/21(金) 09:57:53.90 ID:aXP62vxb0
まあそうなるな…
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/05(日) 18:22:28.99 ID:PyoUQ81Do
まーつーわ
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/07(火) 13:44:25.09 ID:5HisyGtR0
いつまでもまーつーわ
852 : ◆2CwLAofVjc [saga]:2020/04/21(火) 19:44:01.00 ID:77LxSYSIO







第39話・深刻なモザイク不足な奴ら、伏字も特盛-6-






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