このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6

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101 : ◆axPwtNeSoU [sage]:2018/04/06(金) 23:57:49.69 ID:P6c5szVA0
>>38『台本通りにお願いします』



「もう、うんざりなんだよ」

俺は煙草を灰皿で乱暴にもみ消しながら、監督に吐き捨てた。

「……毎回毎回、パターン通りのお決まりの台詞ばかり。いくら脇役とはいえ、これじゃあ、あんまりじゃないか」

俺の剣幕に、監督が苦りきった表情を浮かべる。長い付き合いだ、別に俺だってこいつを困らせたいわけじゃない。だが……

「お前の気持ちはよーっくわかってるつもりだ。お前ほどのベテランが、お決まりの演技ばかりを要求されて、欲求不満になるのは当然だと思う」

……やっぱりだ。やっぱりこいつはわかってない。

「違う、違うんだよ。俺は別に、自分の演技力を見せびらかしたいとか、この役に不満があるとか言いたい訳じゃねえんだ」

拳をがつんとテーブルに振り下ろす。アルミの灰皿が跳ねて、机の上で乾いた音を立てた。

「この役は俺にとっても大事な役だ。いや、それどころか、この役は俺の人生そのものだと思ってる。生涯この役を演じ続けていきたいと思ってるんだ」

どうにかわかってほしくて、必死に説得する。

「だからこそ、なんだよ。たとえ脇役だとしても、創作の中のキャラクターだとしても、こいつは生きてる。生きて、いろんなものを見て、経験して、成長してるはずなんだよ。俺はそこの部分を視聴者に見せてやりたいんだ」

ありったけの熱意をこめて監督に訴える。

「約束するよ。今までのこいつのイメージを壊したりはしない。成長した、さらに魅力的なこいつを……みんなに見せてやれないか?」

渋面の監督と、真っ向から睨み合う。監督の目の奥で、何かが揺らめいた気がした。

だが――

「……駄目だ。台本通り、変更はなし。アドリブも一切許さん」

監督の最終判断は、非情だった。

奥歯をぎりっと噛み締めた後、ゆっくりと息を吐く。

「……わかった。監督はあんただ。ちゃんと従うよ」

何度も繰り返してきた議論だ。結論もいつも同じ。

「……すまないな」

「……謝らないでくれ、余計みじめになる」

ぱんぱん、と両手で自分の頬を叩いて気持ちを切り替える。

タイミングを見計らっていたのか、ノックに続いてドアが開き、ADが俺の名を呼んだ。

「イクラさん、出番です」

「おう、今行くよ」


――乳児役をつとめてはや50年近く。

「チャーン」「ハーイ」「バーブー」以外を喋れるのは、まだまだ当分先の話のようだ。



FIN.
102 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/04/06(金) 23:59:50.08 ID:P6c5szVA0
※投下終了
お目汚し失礼
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 00:26:58.58 ID:EAllOOwSO
>>101
乙です。
オチで笑いましたww
あの台詞だけで全てを表現できるのはさすがだと思いました。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/07(土) 00:54:09.96 ID:WBrv9iJm0
タイトル「三十次創作」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 08:24:14.94 ID:u0ztKJ0TO
タイトル「不死身マン」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 13:14:07.58 ID:uZLlO0v/0
>>101うまいww
この酉の人前スレ終盤からよく見るけど平均してレベル高いな
これくらいぽんぽん書けたら楽しそう

タイトル「七つの大罪税」
107 : ◆axPwtNeSoU :2018/04/07(土) 15:32:06.95 ID:Yq8pyXRA0
>>103>>106
コメント感謝です―
完全に余談ですが、イクラさん過去にちょっとだけ喋ったこともあるらしいのですが、視聴者からの苦情でまた喋らなくなったそうです
タイトル&作品投下する人もっと増えろ
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/07(土) 16:43:54.71 ID:WBrv9iJm0
タイトル「またsaga連投が来てしまった」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/07(土) 16:45:45.83 ID:WBrv9iJm0
タイトル「MOMOIROくろーばーゼット」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/07(土) 20:06:26.78 ID:tbR12KbI0
こんなスレあったのね タイトル投下挑戦
タイトル「僕があいつを殺せなかった理由」
タイトル「優しいテロ」
タイトル「小さな違い、大きな差」
ここで作品書いてる人に質問なんだけど、書きやすいタイトル書きにくいタイトルってある?
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 21:21:27.62 ID:uZLlO0v/0
2本しか書いたことないけど、>>110のは想像力が掻き立てられるというか、割と良さそう
以前のスレで別の人も似たようなこと言ってた気がするけど、ダジャレというかあまりにも出落ちっぽいのはタイトルの時点でオチが決まっちゃいそう(オチが読めそう)だから書く気になる人少ないと思う
まあ、俺の発想力がないだけなんだけど
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/08(日) 00:13:13.58 ID:UKOQhQj/O
タイトル「まどろみの境界線で、あなたをまつ」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 00:35:41.39 ID:TVrQw8aao
>>88
タイトル「地獄じみた天国」


「えっと、今日の○○地区の拾得予定はあと何件だったかしら?」

女神様は身に纏った衣装から水を滴らせながら尋ねる。

「本日分は先ほどの木こりが落とした斧で終了ですね」

膨大なリストに目を通すことなく私は答える。

「そ。じゃあ、今日の仕事はこれでお終いね」

「まだ出勤して2時間しか経っていないのに、働いているみんなに悪いわね」

女神様は心持ち申しわけなさそうに、しかし手際よく帰り支度を進める。

「いやいや、むしろ毎日出勤される方の方が珍しいですよ」

「死者回収計画を立てる神様なんて、月に2、3日働くだけだと聞いていますし」

ここ天国では神と呼ばれる存在が優雅な生活を送りつつ、世界の運営を担っていた。
神は細かく分業された業務を家業のように代々世襲で受け継いでおり、職にありつけないということはなかった。

「あの陰険オヤジは職場にいない方がみんなの為よ」

「私もデスクワークはあの陰険オヤジのいる月初は外すようにしているし」

「だからと言って、月次報告書を月内に書き上げるのはどうかと思いますよ」

「上からは『あいつの報告書は何でいつも月末の報告が抜けているんだ!』って怒られていますし」

一応忠告はしておく。多分聞き入れられることはないだろうけど。

「ちゃんと『25日現在』って書いてるわよ」

締め日を勝手に決めるから怒られるんですよ、という言葉を飲み込む。

「さて、私はこれで失礼するわね。あ、明日の拾得物回収順路の作成と、交換品の在庫管理と補充をお願いね」

女神様は矢継ぎ早に指示を出して帰っていった。

ここからが天国に住む平民の私達の仕事の始まりだ。
多分女神様は知らない。
膨大なリストから回収順路を作成するのに深夜までかかることを。
そのあとの交換品の在庫管理に明け方までかかることを。
私達は毎日、明け方から女神様の出勤してくるまでのわずかな時間しか眠れないことを。

天国は私達平民の過酷な労働の上に成り立っている。
代々世襲の天国では私たち平民は死ぬまでこの生活が続く。
もし死んで生まれ変われるなら地上で生活する人に生まれ変わりたい。
しかし、死を願うには私達の寿命は長すぎる……

【了】
114 : ◆6Y4Wk7/rEM [saga]:2018/04/08(日) 04:34:30.44 ID:qDYoAZXs0
数レスお借りします
115 : ◆6Y4Wk7/rEM [saga]:2018/04/08(日) 04:35:21.85 ID:qDYoAZXs0
「あれ?」

気がついたら随分とおかしな空間にいたものだから、僕はつい声をあげた。阿呆みたいだ、と我ながら思う。
上を見る。見慣れた青だ。
平面にしか見えなくて、それでいて本当はどこまでも果てなく続いてる空が広がっていた。
下を見る。懐かしい蒼だ。
透き通っているようで、けれどどんなに目を凝らしても底を窺わせない海が微睡んでいた。
なんだ、これは夢かと驚くほどすんなりと納得できた。
なにせ今の僕は、波紋一つない水面の上に立っているのだ。
だから彼女がここにいることにも、なんの疑問も持たなかった。

「久しぶり」

「驚かないのね」

「僕の夢だもの。それでも、君にまた逢えて嬉しいよ」

彼女が小さく笑った。いつまでも変わらない、愛おしい仕種だった。

「ずっと、君に聞きたいことがあったんだ」

「なあに?」

「僕もそっちにいったら、また君と一緒にいられるのかな」

少しだけ彼女の表情が翳った。ほんの僅かな変化だったけど、僕にはそれで十分だ。
ゆうるりと、彼女が首を横に振る。

「駄目よ」

「……どうして」

声を荒げるのを必死で堪える。夢だというのに、胸がきゅっと締め付けられたような気がした。

「私も、もっとあなたと一緒にいたい。今だって、このままずっといられればって思ってるの」

「じゃあ」

「でもね。それ以上に、あなたには生きていてほしいと思う」

咄嗟に言葉が出なかった。
ほとんど聞いたことのなかった彼女の真剣な声色に、気圧されたのかもしれなかった。

「仕事をして、おいしいものを食べて、友達とおしゃべりして、恋をして」

言葉を切って目を伏せる彼女に、なんて声をかければいいか分からなくて無言で待つ。

「そうして、私の分まで人生を楽しんでほしいの」

そう言って顔を上げた彼女は笑っていて、それでいてすぐにでも泣き出してしまいそうに見えた。
今の僕がどんな顔をしているのかは分からないけれど、きっと彼女と同じような表情なのだろう。
喉が詰まって声が出せない。返事の代わりに何回も、近くて遠い彼女に届くようにと強く頷いた。

瞼をこじ開ける。いつもの天井が真っ先に視界に入った。
なんだか夢を見ていたような気がするが、どんなものだったか不思議と記憶に残っていない。
身を起こして体を伸ばす。目覚めは悪くないから、きっと悪夢ではなかったのだろう。
根拠はないがなんとなく、今日も頑張って生きていかなければいけないと思った。
116 : ◆6Y4Wk7/rEM [saga]:2018/04/08(日) 04:36:00.76 ID:qDYoAZXs0
彼が消えてしまって、私は一人水面に立つ。

蒼穹を見上げる。太陽がないのに不思議とこの世界は明るい。
あの青の終には、永遠を安らかに過ごせる楽園があるのだろう。
海原を見下ろす。光があるのにどうしてか私の影はできない。
この蒼の底には、永久に罪科を贖い続ける奈落があるのだろう。

水平線を探そうとしても、空と海は彼方で溶け合っているようにしか見えなくて。
本当は境目なんてないのかもしれない、と少しだけ思う。
けれども私は、こうしてここに立っている。交わらない青と蒼を隔てる膜の上に。
いつからこの世界にいたのか、自分でもよく覚えていない。
時間の感覚もないけれど、退屈はしなかった。

初めて彼がここに来た時、これは夢だと言っていた。
その時はそういうものか、としか思わなかった。この空間自体が、いやに現実離れしているせいだろう。
それよりも、私には彼が死を求めていることが悲しくて仕方がなかった。
別れが辛くないと言ったら嘘になる。それでも彼には、私がもう願えない未来を手にしてほしかった。

それ以来、彼は夢を見るたびにここにやってくる。
どうやら夢の内容は毎回忘れているらしい。だから彼は必ず、久しぶりと私に言う。
そしてどうしても慣れない問答を繰り返すのだ。
今回もきっと、私はひどい顔をしていたのだろう。

ここは彼の世界だ。とはいえ、微睡んでいる間しか認知できない虚構に過ぎないのだけれども。
彼が夢を見なくなったら、私はどうなってしまうのだろう、と考える時もある。
だけどそんな日が来たら私が消えてしまうとして、そう恐ろしいようにはどうしても思えない。
私にとってはそれ以上に、彼が自ら全てを放棄してしまうと考える方がぞっとするのだ。

果てのない境界線で、今日も私はあなたが眠るのを待つ。

>>112タイトル「まどろみの境界線で、あなたをまつ」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 11:57:44.78 ID:BpUxuOit0
タイトル「津木の次は園前に停まります」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 12:08:26.35 ID:nHyT19I50
タイトル「あ」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 13:29:10.71 ID:jfqxc29SO
>>110
個人的にはローマ字で書いてあるやつ(前スレにもあった)は面白いSSにできる自信が無いので避けてたりします。

……まぁ私はつまらないSSしか書けたこと無いんですけどね。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/08(日) 13:31:41.92 ID:jfqxc29SO
連レスになりますが、>>113>>115>>116も面白かったです。

書き手が増えて嬉しいです。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 13:32:11.19 ID:jfqxc29SO
タイトル「上げてすみません」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 13:37:08.90 ID:UlzhSAUJO
タイトル「嘲笑と花束」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 14:09:57.08 ID:XAE3nM7N0
タイトル「これが・・・」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/08(日) 14:20:00.00 ID:BpUxuOit0
タイトル「12月23日」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 15:12:56.90 ID:EvaEP3lP0
タイトル「パンケーキ食わんかね?」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 15:15:48.74 ID:ZSVVOl1XO
タイトル「謎選挙」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/08(日) 15:30:03.28 ID:rKe+Se+1O
タイトル「無神論者と神様」
タイトル「3日後に鳴る鐘」
タイトル「悲しみだけが住う国」
タイトル「白い花を捧げる」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/09(月) 07:56:22.07 ID:4loJmQRoO
タイトル「ビー玉越しに覗いたら」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 08:01:43.89 ID:k/b2IB2P0
タイトル「悪魔と悪夢」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/09(月) 12:21:51.09 ID:4loJmQRoO
タイトル「TOKYO CITY UNIVERSITY」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 12:22:58.83 ID:k/b2IB2P0
タイトル「女神ちゃんスペシャルライブ」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/09(月) 16:04:01.49 ID:k/b2IB2PO
タイトル「忖度男」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 16:05:43.54 ID:k/b2IB2PO
お、ID被り(上げてすいません)
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/09(月) 16:11:56.19 ID:NSla8ZPC0
タイトル「未来からの贈り物」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/09(月) 17:31:54.40 ID:4loJmQRoO
タイトル「緩百合」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/09(月) 18:02:24.21 ID:4loJmQRoO
タイトル「DESIGN A」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 18:03:59.43 ID:Zaj5RJrtO
saga連投きたか
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 20:34:07.35 ID:5h5hsjBRO
末尾が0とO違いのID被りは宮本武蔵を疑うでごさる
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 20:41:34.98 ID:InmWMCBSO
>>134
タイトル「未来からの贈り物」


 ある日、俺の元に不思議な贈り物が届いた。

 それはゲーム機だった。

 何故『不思議な』と付けたかと言うと、そのゲーム機は現代には存在しないモノだったからだ。

 どうやらこれは10年後の未来の俺からの贈り物のようで、ゲームが好きな俺のために贈ったと手紙が書かれていた。

 俺は聞こえるわけがないと分かっていながらも、このゲーム機を贈ってくれた未来の俺に向かって今の気持ちを叫んだ。



『これ本体だけでソフトが無いから結局遊べないじゃん!?』
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 20:41:43.93 ID:k/b2IB2P0
二刀流で末尾だけ変わることなんてあるんだ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/09(月) 20:47:00.89 ID:ep9R6ciZo
タイトル「深いフードのお兄さん」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/09(月) 22:52:08.22 ID:8tOjxFPFO
タイトル「たった一人の祝勝会」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 00:15:41.51 ID:P2m8yAEIo
>>127
タイトル「3日後に鳴る鐘」


瓦礫の広がる廃墟のような街で、石を積んだ荷車が砂塵を巻き上げる。

「おーい、こっちに外壁用の積み石をくれ!」

「こっちが先だ! 屋根のアーチを組んでる所なんだ!」

目の前の建物を建設する男たちの声が輻輳し、荷車を運ぶ少年が右往左往する。

「この石は石畳用の石だ。玄関付近でしゃがんでいる男の所に運ぶんだ」

少年に石の運び先を教えてやると、頭上から怒声が届いた。

「こっちに石を寄越せよ! 早くしねえと屋根が崩れっちまうぞ!」

「アーチ用の石は二階に運んである! 今、吊り上げるからちょっと待っててくれ!」

皆、作業熱心だが、建設の素人なので効率がよいとは言えなかった。
急いで2階に上がり、アーチ用の石の吊り上げにかかる。

「屋根のアーチ用の石を吊り上げたぞ。これを左右から均等に組んでくれ。」

滑車を力任せに回しながら屋根で作業している男に声を掛ける。

「いや、すまねえな。騎士団の兄ちゃんにこんな力仕事をさせっちまって」

「騎士団は戦闘部隊より築城や街道敷設、物資輸送に携わる人の方が多いんですよ。これが私の本業です」

私は力仕事の手伝いに来ているわけではなかった。
築城の専門家として、この建物建設の現場指揮を任されていた。
ただ、建設の指揮をしている建物は教会という専門外の建物だったが。

王都から馬で3日ほどかかるこの街は、隣国との戦火に晒されて以降立ち直れないでいた。
しかし、この国の第三王子がこの街の領主の娘のもとに婿入りすることが決まり、この街にもようやく活気が戻ってきた。
そして、第三王子と領主の娘の結婚の宴が3日後に行われることとなり、街の人間は総出で教会の復旧に当たっていた。
3日後の宴では、何としてもこの教会で祝福の鐘を鳴らしたいーーーそれがこの街の人の総意であり希望だった。
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 00:19:40.12 ID:P2m8yAEIo
建設現場の指揮に勤しむ私の元に、騎士団仲間の男が近づいてきた。
彼は確か王都で情報収集にあたっていたはずだが……。

「おい、第三王子はこの街にいるのか?」

彼は挨拶もなく私に尋ねてきた。

「ああ、今は領主様宅に滞在しているはずだ」

「第三王子がどうかしたのか?」

「実はな……」

彼は重い口を開くといった感じで続けた。

「王都で第四王子がクーデターを起こした」

「なっ……。それで、第四王子は取り押さえられたのか?」

「逆だ」

「第四王子は3日前に国王と第一王子を殺害した」

衝撃的な事実に言葉を発せずにいる私をよそに、彼は続ける。

「俺はその知らせを聞いてすぐにこの街に向かったんだが、伝書鳩の知らせによると、国王殺害の知らせを聞いて王都に戻った第二王子が、今日殺害されたらしい」

これが第四王子の仕業だとすれば、第四王子は自分より王位継承順位の高い者を速やかに消していることになる。

「と言うことは……」

ああ、と彼は頷き、

「最悪の場合、第四王子はこの街に3日後、第三王子を殺害にやってくる」

なんと言うことだ。
この街の人々が希望を託して建てているこの教会の鐘が3日後に鳴らすのは、結婚祝福の鐘なのか、第四王子を弔う鐘なのかーーー

【終】
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 01:05:19.10 ID:srj2x0xI0
乙乙。感想書きたいんだけど語彙力なくて辛いなぁ
146 :143 [sage]:2018/04/10(火) 08:10:03.66 ID:P2m8yAEIo
すいません
>>144の最後、第四王子ではなく第三王子です
オチでミスしてしまい失礼しました
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 11:22:02.65 ID:5IqHHIQVO
タイトル「昔話タイムアタック」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 15:27:04.58 ID:OoOLsAnzO
タイトル「ドジっ子政権」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 19:21:00.40 ID:o53cfYhSO
タイトル「注射禁止」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 21:11:09.33 ID:Q6U1QouA0
>>143>>144
乙です
書き手また増えてきて嬉しい
151 : ◆axPwtNeSoU :2018/04/10(火) 21:12:28.09 ID:Q6U1QouA0
※お題くれ
気が向いたらなんか書くかも
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 21:22:26.43 ID:ycm7gULkO
タイトル「黒いあいつ」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 21:25:59.00 ID:b7VpCDHiO
タイトル「涙を流す木」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 21:28:24.90 ID:wBS87DCQ0
タイトル「Shake on it 〜握手をしよう〜」
タイトル「おとぎ話After」
タイトル「マイペースな先輩」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/10(火) 21:28:54.05 ID:ceGurZ3zO
タイトル「頭空っぽ星人」
156 : ◆axPwtNeSoU [sage]:2018/04/10(火) 21:29:52.84 ID:Q6U1QouA0
※お題把握
できるだけ近日中に投下する
157 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/04/11(水) 11:44:38.94 ID:sYmopY4A0
※整いました
>>154『Shake on it 〜握手をしよう〜』



「……腹減ったな」

20連勤におよぶデスマーチの後、やっとの事でもぎとった平日の代休。

二度寝どころか三度寝までをもたっぷり楽しんだ俺は、昼過ぎになってからようやくごそごそと起き出した。

昨晩タイマーをセットしておいた炊飯器の中に、米だけは炊いてある。

卵かけご飯でも作るか、と冷蔵庫の扉を開いてみたが、残っていた卵に貼り付けられた消費期限のシールは1ヶ月半以上も前の日付。

流石にこれを生で食うのはちょっと躊躇われた。

仕方なく、冷蔵庫の奥に入っていた瓶詰めの鮭フレークにマヨネーズを加えて箸でかき混ぜたものをおかずに、ご飯を食う。見た目は貧相ながら、素朴に美味い。

ついでなので、瓶に残った鮭フレークも、炒り胡麻といっしょに炊飯器にぶちまけてご飯とまんべんなく混ぜ混ぜ。

そのまま鮭おにぎりにして、皿に並べる。皿はベッドの傍の丸テーブルの上に。

ベッドの上でごろごろしながらテレビを観たり、携帯をいじったりしながら、時おり小腹が空いたら、適当におにぎりをパクつく。

炒り胡麻の香ばしさと歯ごたえが効いたご飯に混ぜられた鮭フレークの風味と塩気。シンプルだが飽きのこない定番のおにぎりだ。


自堕落で不毛な、しかし妙に落ち着く休日の過ごし方。




…………って、

「これ、『Shake on it』じゃなくて、『SHAKEONI(シャケオニ)』のSSじゃねーか!! 握ってんの、手じゃなくて米だし!!」ってツッコミは、聞こえない聞こえない(∩゚Д゚)アーアーアーアー
158 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/04/11(水) 11:45:52.17 ID:sYmopY4A0
※投下終了
やっつけでごめんw
お目汚し失礼
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 11:51:52.66 ID:6nwGbKs/O
タイトル「天ぷらに滅ぼされた国」
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 11:59:03.14 ID:QHVKtfhXO
タイトル「放課後の破壊神」
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 12:04:11.82 ID:P0le6zMUO
タイトル「砂糖と塩を間違えた」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 13:28:17.05 ID:qgyjryPSO
>>157
自分はこういうSSも好きです。
乙です。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/04/11(水) 14:15:16.34 ID:hxCk/nhM0
>>157
タイトル投下者だがあまりにも予想外すぎるオチだったw
思わず笑っちゃったのが悔しいw
書いてくれてありがとう
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 15:08:52.15 ID:AZ7GHJb0O
タイトルってシンプルな方がいい?それとも奇をてらった物の方がいい?

タイトル「彼岸花」

タイトル「あの日を探しに」
165 : ◆hFO8AUe7/Y [saga]:2018/04/11(水) 18:36:57.54 ID:8HN1oZwm0
undefined
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 18:40:08.61 ID:sYmopY4A0
>>162
>>163
コメント感謝です
>>164
完全にケースバイケースとしか言いようがない……
個人的には、固有名詞(地名や人名)が絡むタイトルや、完全に駄洒落系なタイトルは苦手(タイトルが駄洒落だと、駄洒落オチが使いにくい)
167 : ◆hFO8AUe7/Y [saga]:2018/04/11(水) 18:45:53.94 ID:8HN1oZwm0
ごめんなさい、ミスりました

>>164



 彼岸花を見ると、いつかのきみを思い出す。

 一つのお墓の前で立ち止まり、一通り綺麗にしてから、そっと手を合わせて目を瞑った。半年ぶりだね、言いたいこといっぱいあるよ。
 まずなにから話そうかな。わたしももう若くないから、ちょっと記憶が曖昧なんだけど……おかしいな、ちゃんと日記読み返してきたのに。
 この前はなにを話したっけ。子供たちの話をしたのかな。そうそう、優香が内定貰えなくてって言ったっけ。末っ子だから甘やかし過ぎちゃったのかななんて弱音を吐いたりして。
 ふふっ、もう分かっちゃったかな。うん、しっかり就職出来ました。……子供たちがみんな大人になって、家から出て行って、少し寂しいなって思うこともあるけど、それでもやっぱり嬉しいって気持ちが強いよ。
 あの子たちがこれから幸せになっていって欲しいって、心からそう思う。今まではわたしがしっかり幸せにしてあげられたつもりでいるけど、どうだろう……聞いてみたい気もするけど、答えがどっちでも泣いちゃいそう。
 そういえば、わたしが就活したときも面接惨敗だったよね。何度も大丈夫だって言ってくれたの、今でも覚えてる。すっごく安心したなぁ……。
 今日は子供たちは予定が合わなくて来れてないけど、それぞれお墓参りには時間空いたときに絶対行くって言ってたから、近いうちに来てくれると思う。楽しみにしてて。社会人になって、なんかすっごく大人っぽくなったから。
 ……そんなところ、かなぁ。ダメだね。子供がいなくなっちゃうと、話題が全然出てこなくて。まったくないってわけじゃないんだけどー……うーん、これはちょっと、歳相応じゃなくて恥ずかしいから、ダメ。
 うん。それじゃあ、そろそろ帰るね。これからも、わたしたちを見守っていてください。

 ばいばい、お母さん。

 まぶたを持ち上げて、そっと横に目を向けると、そこにはわたしの大好きなきみがいる。どうやら彼は、わたしよりも長話な様子。
 ふと周囲を見回せば、彼岸花が瞳に映った。
 彼岸花を見ると、いつかのきみを思い出す。

『結婚してください』

 お母さんが亡くなって、お墓の前で泣いていたわたしに、きみはそう言ってくれたよね。ここじゃなきゃダメなんだって、俺があなたの娘の未来を幸せにするって伝えたいんだって。
 多分、いつまでも忘れない。どれだけ歳を重ねても、あのときのきみの顔を声を、瞳の揺らめきを、わたしは絶対に忘れない。
「……お話は終わった?」
 目を開けた彼に問うと、彼はゆっくり首肯する。いつも彼はその内容をわたしに教えてくれはしないけど、なんとなく予想できないこともない。
「じゃ、帰ろっか」
 静かになってしまったけど、きみと二人ならその静けさも心地いい。ああ、そうだ。お母さん、最後に一つだけ。

 わたし、今も幸せです。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/11(水) 19:45:23.74 ID:lZe1mkdkO
タイトル「関東平野と利根川」
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 22:21:04.02 ID:dszPY6k4o
>>149
タイトル「注射禁止」


今日は久々のドライブだ。

窓の外を流れる景色を見上げるのは楽しい。

そう言えば、この前はどこにドライブに行ったんだっけ。

そうだ、食べ物やおもちゃや寝床のいっぱいあるお店に行って、沢山走れる広場に行って……、あれ、その後なんか封印された忌々しい記憶があるような……

まあ気のせいだろう。

あれ、でもこの辺り、前にも来たことがあるような。何の時だっけ?

そう思っていると、ボスがパパに話し掛けた。

「ねえ、そろそろ目的地じゃない?」

「そうなんだけど、車をどこに止めたらいいかと思ってな……」

“とめる”? そろそろ目的地なのかな? やっぱり前に来たことがある気がするんだけど……

「この辺りにコインパーキングがあったはずなんだけどな」

「あの建設中のビルがあるところじゃない?」

「しまった! そういうことか」

「もうそこら辺の路上に駐車したら?」

……!!
そうか!
“ちゅうしゃ”だ!

白い服を着た怖いおじちゃんが“ちょっとだけチクッとするからね”とか嘘つくところだ!

たしか“どうぶつびょういん”だ。

「もうこの辺りに駐車しちゃおうよ」

やだ!!
ダメ。ゼッタイ。

「いや、この辺は駐車禁止だしな」

そうそう“ちゅうしゃきんし”ゼッタイ。

「あそこに新しいコインパーキングがあるわよ」

「よし、あそこに駐車しよう」

……万事休す。

こうなったら絶対に車から降りないんだから!!
威嚇しちゃうんだから!!

「ちょっとモカちゃん、何で唸ってるの!?」

「最近散歩の時間が短かったから、ドッグランのある公園に来たんだぞ。楽しもうよ」

【おわり】
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 22:27:07.68 ID:qgyjryPSO
>>169
タイトル投下者ですが、面白いSSをありがとうございます!

タイトル「おかわりしない自由」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/11(水) 22:57:48.81 ID:4Tz3W3Kw0
>>167
おつおつー
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/12(木) 00:39:54.12 ID:3i6gfW7G0
タイトル「ラーメン大好き星空さん」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/12(木) 00:40:39.41 ID:3i6gfW7G0
タイトル「放火後ティータイム」
174 : ◆3ip8Usw05. [sage saga]:2018/04/12(木) 14:15:44.96 ID:UUXzDo0N0
1枠失礼しま
天ぷらに滅ぼされた国

小さな集落墟
旅人A「ふむふむ…ここは天ぷらが原因で滅んだとのことらしい」
旅人B「へぇ〜 油の始末を間違えてしまった故の火事?それともここの食品は油で揚げると毒性を持ったりするとか?」
A「痕を見てみるにどちらでもないらしい」
B「じゃあ美味しすぎたからとか?」
A「半分正解」
B「まーそんな訳ないよ…正解?」
A「日記にはこう残ってる
ある時旅人が不思議な料理を教えてくれた 名前はテンプラと言うらしい

このテンプラはとてもおいしく私たちの周りでもとても流行った テンプラ…あの旅人が来た国での名物料理なのだろう

同じ国から来たという旅人から恐ろしいことを聞いてしまった…なんとテンプラは現地の言葉で修行という意味を持ちあんなものはそこでも一部の人しか食べない料理らしい 私たちは一体何を食べてたのだろうか…

日記はここで終わってるな …これだと天ぷらに滅ぼされたとしても間違いはないだろうな」
B「もったいないことしちゃったねー 環境から見るに食材や油もいいのを使ってるから味は保証できてたのにねえ」
A「だな…」
175 : ◆3ip8Usw05. [sage]:2018/04/12(木) 14:19:26.17 ID:UUXzDo0N0
天ぷらにはいろいろ語源があるよ!
クソスレごめんあと安価 >>159
176 : ◆axPwtNeSoU :2018/04/12(木) 14:45:51.84 ID:bF831mNA0
乙です―
※こちらも投下
2レスほどお借りします
>>152『黒いあいつ』
177 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/04/12(木) 14:46:45.44 ID:bF831mNA0


――奴らを憎む理由? ……ありふれた、つまらない理由さ。

俺の家族は、奴らに……巨人族によって、殺された。……そう、皆殺しにされたんだ。




奴ら――巨人族がどこから来たのかは、誰も知らない。

巨大な体躯と怪力。様々な魔法の道具を操る力。

そして何よりも恐るべきは、奴らの狡猾さ。残忍さ。執拗さ。

敵には一切の容赦をせず、徹底的に滅ぼし尽くす。

たとえ敵でなくても、奴らは気紛れに「快」か「不快」かだけで判断して、相手を殺す。

生きるためや食うためではなく、単なる楽しみのためだけに相手を殺す。

その本性はあくまでも残虐な「悪」そのものだ。



奴らは一旦この世界に現れると、瞬く間にその数を増やし、版図を広げ、世界を席巻し、蹂躙し、支配した。

俺たちに出来たのは奴らの目の届かないところ、手の届かないところに隠れ潜みながら、細々と日々を生き延びるだけ。


――――ただ、それも、奴らに一旦見つかってしまえば全て終わりだ。




奴らに俺の家族が襲われたのは、俺が食料調達のために隠れ家を離れていた間のことで、戻った時には全て終わっていた。

親父は、奴らの使う棍棒でぐちゃぐちゃに叩き潰された後、ゴミのように捨てられたらしい。

母親と妹の遺体には――身体にも顔にも、これといって外傷は無かった。

……だが、むしろ親父のように一撃で安らかに死ねた方が、よっぽどマシだったろう。

母と妹は、武器によってではなく、奴らの使う魔法の毒霧によって殺されたのだ。

死ぬまでには、それなりに長くかかり、ひどく苦しんだようだ。

必死で何かにしがみつこうとするかのように、仰向けで宙に手足を伸ばした姿勢のままで息絶えていた母親の姿と、地に伏して床をかきむしるような姿で事切れていた妹の姿は、今でもこの目にはっきりと焼き付いている。



――妹は、まだ、生まれたばかりの赤ん坊だった。

――妹が奴らに、いったい何をしたというんだ。


憎い。憎い。あいつらが憎い。

かなうことならば、この手の爪で奴らの喉を切り裂き、この顎で奴らの腸腑(はらわた)を食いちぎり、苦しみの中で殺してやりたい。

一匹残らず駆逐してやりたい。

178 : ◆axPwtNeSoU [saga]:2018/04/12(木) 14:50:51.85 ID:bF831mNA0


だが、奴らの力はあまりにも強大で、俺はあまりにも非力だ。

両親から受け継いだ、妖しく輝く漆黒の鎧と、この身に帯びた毒。そしてこの腹の中に煮えたぎる憎悪だけが俺の武器の全て。

それだけを頼りに、これまで何度か巨人族とやり合ったことはあったが、はっきり言って勝負にすらならなかった。

奴らの肌に傷ひとつとて付けることは出来ず、必死で攻撃をかわしながらみじめに逃走することしか出来なかった。



――だが、そのみじめな敗北の数々の中で、俺は、ある突破口を見つけたのだ。奴らの……巨人族の弱点を。

あれほど強大な力を持つにも関わらず、奴らは顔面に攻撃される事を、酷く怖れる。

おそらくは眼球を傷つけられたり、口の中に入り込まれる事を極端に怖れているのだろう。

もちろん、正面から正々堂々と戦った場合には、こんな弱点にほとんど意味はない。

多少ひるませることは出来ても、奴らの警戒をかいくぐって攻撃を届かせることは不可能だろう。

だが、寝込みを襲えばどうだ?

寝ている奴らの顔の上を這い回り、瞼に食らいつけば。

あわよくば寝ている奴らの口の中に潜り込み、内側から食い破れば。

玉砕前提の、狂った戦法だ。だが、この戦法は既に皆に伝えた。全世界の同朋に伝わるのは、もはや時間の問題だ。

今から俺は特攻志願者の第一陣として、寝ている貴様らのところに行く。

失敗しようが成功しようが、間違いなく俺の命はないだろう。だが、構うものか。

その俺の背中を追って、後に続く同朋は後から後から湧いて出るだろうから。

巨人族よ、貴様らに、もはや安らかな眠りは訪れない。

暗闇に不安を抱き、小さな物音に脅え、かすかな気配に恐怖しろ。


これが、俺たちと貴様らの本当の戦争の始まり。


そして――――



――――この世界で最後に生き残るのは、貴様ら巨人族(ニンゲン)じゃない、俺たち(ゴキブリ)だ。



FIN.

179 : ◆axPwtNeSoU :2018/04/12(木) 14:53:59.94 ID:bF831mNA0
※投下終了
お目汚し失礼
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 14:56:59.80 ID:P68U3Rv1O
2人とも乙です。gkbr怖いgkbr
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 15:08:50.99 ID:4sf2bsmL0
>>177>>178
前半はカッコいいダークファンタジーかと思ってぞくぞくしながら読んでたけど、後半読んで本気で寒気がした
ガチで昼寝できなくなったじゃねえか
乙だよちくしょう
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 15:11:36.91 ID:JoLpp2/9O
蚊を飲み込んで死にかけた人とかいたよね

タイトル「快楽の代償」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/12(木) 17:03:34.69 ID:n4pe/tpCO
タイトル「I am saga連投」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 17:48:34.17 ID:Ezts5fjvO
タイトル「遅刻の言い訳」
タイトル「あいうえお殺人」
タイトル「悪意なき詐欺師」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 17:58:48.61 ID:Fs7P7DE20
>>177>>178
乙おつ
上手いなあ。
「黒いあいつ=G」って発想自体はありがちなはずなのに、ベルセルクとか進撃の巨人っぽい話に騙されて、前半まったく気づいてなかった。
オチでぞわってなったわ。
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/12(木) 21:11:27.58 ID:3i6gfW7G0
タイトル「アイボーイ」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/12(木) 22:44:30.25 ID:3i6gfW7G0
タイトル「PARKING LOT」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 02:03:38.31 ID:g6hnLMqA0
>>180>>181>>182>>185
予想外に反応多くて感謝です―
楽しく書かせていただきました
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/13(金) 21:53:37.65 ID:2Jd/yAQN0
タイトル「akstnhmyrw」
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/13(金) 21:54:05.82 ID:2Jd/yAQN0
タイトル「QWERTY」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 22:03:40.66 ID:deBp2051O
タイトル「嘘という概念が存在しない世界」
192 : ◆VAhVykmeimvo [sage]:2018/04/14(土) 02:50:11.65 ID:ZKjXJCiSO
今更だと思いますが久しぶりに酉着けました。

>>191より、タイトル「嘘という概念が存在しない世界」

 今よりもほんの少しばかり未来の日本。政府は、近年増加する詐欺被害の対策として、嘘を全面的に禁止した。

 国民に対して『嘘検知器』と呼ばれる、嘘発見器を改造・改良したものの装着を義務付け、嘘をついた人間を厳しく処罰することにしたのだ。

 これにより、

先生「○○君、何で遅刻したの?」
○○「すみません、道に迷っていたお年寄りを助けていました」←本当は寝坊

 といった【遅刻の言い訳】から、

探偵「五十音順に人を殺害していった、【あいうえお殺人】の犯人はお前だな!」
男「俺じゃありません!」←犯人

 といった犯罪に関わるものまで、あらゆる嘘を吐くことが禁止になった。

 これには一部の国民から『表現の自由を奪う』として批判が出たが、政府は【悪意なき詐欺師】はいないと反論、強引に推し進めた。
193 : ◆VAhVykmeimvo [sage]:2018/04/14(土) 02:51:26.82 ID:ZKjXJCiSO
 この『嘘検知器』を利用した『嘘禁止法案』は確かな効果を上げていた。

 もちろん『嘘検知器』は『文章』などには無反応(フィクションの創作物などを守るための仕様)なので、メールや手紙などを使った詐欺には対応しきれていないが、それでも電話による振り込め詐欺などは確実に減っていった。

 また、その他の犯罪(殺人や窃盗など)には直接の効果はないものの、嘘検知器は『真実かどうか』も正確に判断してくれるため、冤罪被害も減少した。


 こうして、日本からは嘘という概念が存在しなくなった。


 だからといって、

夫「今から隣の奥さんとラブホに行ってS○Xしてくる」
妻「今すぐ離婚してください」

 正直に言えば許されるというわけではない。
194 : ◆VAhVykmeimvo [sage]:2018/04/14(土) 02:59:37.74 ID:ZKjXJCiSO
以上、お目汚し失礼致しました。

あと、作中のネタとして>>184のタイトルをお借りしました。
(こういう使い方がアウトなら以降は自重します)
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 20:37:42.18 ID:Nukqz4TmO
>>184だけど乙です
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 20:40:18.17 ID:xgkn0Xe0O
世にも奇妙な物語で嘘のない世界の話があったの思い出した
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/14(土) 22:12:21.58 ID:ZKjXJCiSO
>>195>>196
コメントありがとうございます。

1人でも多くの書き手さんに、そしてひとつでも多くのSSに出会えますように。

タイトル「偽物より偽物な本物」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/15(日) 16:34:35.35 ID:64rywF3p0
タイトル「サル、ゴリラ、チンパンジー」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/15(日) 16:37:14.25 ID:64rywF3p0
タイトル「D.S.」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/15(日) 17:40:39.00 ID:uaTg+Vvs0
タイトル「拾わないでください」
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