周子「総選挙やね、プロデューサーさん」

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1 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/15(日) 23:59:27.25 ID:CS+tPRVL0
周子の総選挙を応援せねばと書きました。

作者の妄想炸裂してます。公式との大きな乖離等ありましたらご指摘頂戴したいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1523804366
2 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:01:00.59 ID:wXMMdwi10
「おー、そういやそんな時期だ」


プロデューサーさんは、たった今思い出したというような顔をして振り返った。

今日のあたしは、久方ぶりの1日オフ。

とはいえ、オフは未だに少し苦手だ。

こっちに出てきたばかりのころと比べると交友も遊び場所も随分と増えたけれど、それでもやっぱり、お仕事をしていない日は手持ち無沙汰に過ごしてしまうことの方が多い。
3 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:01:57.80 ID:wXMMdwi10
いつも通りの時間に起きて、寮の食堂で朝食を済ませ、部屋に戻る。

昨夜寝る前に、明日の時間潰しにとわざと少し散らかしたベッド周りの掃除に取り掛かったけれど、1時間も経たずに終えてしまった。

特にやりたいこともないし、何かと声を掛けてくる子らも仕事でいない。

遊び相手でもいないかと事務所までふらふら歩いていったら、プロデューサーさんが1人寂しく机に積み上げられた書類の山と戯れていた。
4 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:02:42.27 ID:wXMMdwi10
応援もなしにお仕事はおつらいでしょうと、シューコちゃんがせっせと愛嬌を振りまいてあげていたんだけれど、事務所の中はびっくりするくらい時間が経つのが遅い。

あたしがここに来たのが10時前で……。

驚き。

まだ30分ほどしか経っていない。

もしかして、2人きりだから? なんて。
5 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:03:15.23 ID:wXMMdwi10
「ふーん、意外」


「なにが?」


「なんか、余裕やね」


ちひろさんの椅子をがたがた揺らしながら、あたしは思ったままのことを口にする。
6 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:03:49.55 ID:wXMMdwi10
「もっとこう、選挙だー! やばいー! みたいな感じだと思ってた」


「いやー、なんだかんだ言っても7回目だしなあ。手慣れたもんよ。それに」


「それに?」


何の仕事をしているんだろう。

キーボードの上で踊っていた指をいったん止めて、プロデューサーさんはぐうっと身体を伸ばしながらこっちを見た。
7 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:04:37.73 ID:wXMMdwi10
「なんてったって、目の前にシンデレラがいるからなあ」


あたしのおかげかー。

言葉に出さなかったけれど、あたしの目は口ほどに物を言っていたらしい。

プロデューサーさんもにやりと笑って応えてくれる。


「言い方はよくないかもしれないけど、ゆとりがあるというか。未央ちゃんとこのプロデューサーは気合いすごいぞ。前回2位だし余計になあ」
8 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:05:24.07 ID:wXMMdwi10
「んー、そっか」


少し気のないあたしの返事をどう思ったのだろうか。

プロデューサーさんは「と言っても」と打ち消すように右手を振った。


「仕事の手は抜かないから安心しろな? 周子のためなら、例え火の中水の中、だ」


それきり、プロデューサーさんの視線はパソコンの方に戻ってしまう。

その横顔を見つめながら、あたしはというとふくれっ面だ。
9 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:05:56.64 ID:wXMMdwi10
「なー、プロデューサーさん」


「なんだ? 昼飯か?」


「ちゃうよー。もー、すーぐそうやってシューコに美味しいもん食べさせようとするー」
10 : ◆vOwUmN9Rng [saga]:2018/04/16(月) 00:07:09.72 ID:wXMMdwi10
かすかに聞こえたのは、多分笑い声になり損ねた鼻息だろう。

プロデューサーさんは相変わらずあたしに横顔を向けたまま。

右手は電卓の上でカタカタ、左手は積み上げられた書類の山から引っ張り出したファイルを忙しそうにめくっている。


「なーにが旨いもんだ。それこそせっかくのオフなんだから、もっといいもん皆と食いに行けばいいのに。言っとくけどな、俺しかいない事務所での昼飯は漏れなく龍鳳の出前だぞ」


「りゅうほう?」


「4丁目のあたりにある中華屋。最近お気に入りなんだ」


へえ。

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