【ミリマスss】杏奈「罪と」百合子「罰」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:26:21.21 ID:M3EXzwGS0
・本編は次から

・完結済みなので、順に投稿していきます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1524914780
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:27:02.24 ID:M3EXzwGS0
杏奈「(百合子さんは、杏奈に隠しごとがある)」

百合子「?」

杏奈「(百合子さんは隠しているつもりでも、杏奈には分かる)」

百合子「杏奈ちゃん?」

杏奈「(だから、杏奈は待ってるよ?)」

百合子「そ、そんなにじっと見られたら、恥ずかしいよ///」

杏奈「百合子さん」

百合子「な、何?///」

杏奈「杏奈、百合子さんのこと……ずっと待ってるから」

百合子「?」

百合子「……」

百合子「ありがと、杏奈ちゃん」

杏奈「(今はこれが精いっぱいの気持ち)」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:27:52.99 ID:M3EXzwGS0
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百合子「(私が『呪い』を受けてから、もう何年が経ったのか)」

百合子「(思い出そうとしても、千年からなる記憶の地層は、地平線の彼方に漂う霞みたいに、ぼんやりとして判然としない)」

百合子「(朝、目が覚めると、一番に確認するのは、ここはどこで、私は誰なのか、ということ)」

百合子「(昨日が一年前のように感じたり、百年前のことがつい一時間前に起こったように思うのは、長い時の中で、私の自己同一性が失われつつあるからだろう)」

百合子「(もしかしたら、フィリップ・K・ディックも私と同じ『呪い』を受けていたのかもしれない)」

百合子「(私は、七尾百合子)」

百合子「(アイドルで、読書が好きな女の子)」

百合子「(忘れていなかった、ただそのことで、ほっと胸を撫でおろす)」

百合子「(どれだけ思い悩んでも、私が分からない時、思い出すのは、異端審問を受け、逃げた森で啜った泥水の味や、戦場で嗅いだ血と肉の臭い、果ては私が生きるために、その首筋へ噛み付いた幼い女の子の叫び声)」

百合子「(どうして生きているのだろう、という疑問が頭を離れない)

百合子「(どうして、あなたは生き延びているの?)」

百合子「(そんな糾弾の声さえ、頭の中にこだまする)」

百合子「(私は、吸血鬼)」

百合子「(人の血を口にしなければ生きていけない怪物)」

百合子「(フランケンシュタインの怪物が願ったように、私もまた、同胞を求めて、さまよっている)」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:28:23.50 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――

レッスン場

杏奈「百合子さん、隣いい……?」

百合子「うん、どうぞ」

百合子「……」

杏奈「何、読んでるの?」

百合子「……ドグラ・マグラ」

杏奈「?」

杏奈「(ホラーもの?)」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:29:02.54 ID:M3EXzwGS0
杏奈「……」

百合子「……」

杏奈「(百合子さん、最近、いつも一人でいる)」

杏奈「(何か、あったのかな?)」

杏奈「……」

百合子「杏奈ちゃん」

杏奈「!」

百合子「無理して、側にいなくてもいいよ?」

杏奈「……邪魔?」

百合子「ううん、そうじゃないけど……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:29:44.77 ID:M3EXzwGS0
百合子「……」

百合子「ううん、やっぱり違う。邪魔じゃないよ」

杏奈「……」

杏奈「(でも……そうじゃないけどって?)」

杏奈「杏奈、あっち行ってるね?」

百合子「え?」

杏奈「……」

百合子「あっ、うん。いってらっしゃい」

杏奈「(引きとめないんだ……)」

百合子「(何で? どうしてそんな悲しそうな顔するの?)」

百合子「……」

百合子「(ダメ。全然、頭に入ってこない)」

百合子「(杏奈ちゃん、亜美ちゃんたちと楽しそうに話してる)」

百合子「(どうして、私の所になんか来たの?)」

百合子「……」

百合子「(杏奈ちゃんが何考えてるのか、分からないよ)」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:30:20.59 ID:M3EXzwGS0
――――――――――――

トレーナー「全員そろってるね」

トレーナー「十分後にレッスン始めるよ。準備運動は済んでる?」

「「「「「はーーい」」」」」

百合子「はぁ」

杏奈「百合子さん、憂鬱?」

百合子「ダンスレッスンだもん」

杏奈「うん、杏奈も……」

百合子「(今度は、嬉しそうに笑ってる)」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:30:55.39 ID:M3EXzwGS0
杏奈「頑張ろう、ね?」

百合子「う、うん」

杏奈「?」

百合子「(つい、目を逸らしちゃう)」

百合子「!」

百合子「杏奈ちゃん、靴紐ほどけてるよ」

杏奈「あっ、ありがと……」

百合子「ねえ、そのトレーニングシューズ……」

杏奈「!」

杏奈「えへへ、百合子さんとおそろい」

杏奈「この前、百合子さんがおすすめ……してくれたから」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/28(土) 20:31:21.36 ID:M3EXzwGS0
百合子「っ!」

百合子「何で……?」

杏奈「?」

杏奈「百合子さん……?」

百合子「……」

百合子「(胸が苦しい)」

百合子「(杏奈ちゃんの笑顔が眩しい)」

百合子「(苦しいよ)」
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