【SW】姫「私を弟子にしなさいな!」ジェダイ「ええっ!?」【オリキャラ】

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133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:30:05.96 ID:NisYkdRk0

シンノ「!」


 目に入った光景が彼を心象風景の中から引き戻した。
ジェットパックを背負った二つの人影が司令部施設のあたりから現れ、飛び去ったのだ。


シンノ「――司令部に何かあったんだ。行くぞリズマ!」

リズマ「は、はい……!」


 二人は何とか戦意を奮い起こし基地に駆け戻る。
すっかり発進準備を整えた艦隊の横を走り抜け、司令部施設の入口へ。


シンノ「――ッ」

リズマ「――ああ……」

ユスカ「……」


 そして、反乱軍兵士たちの人ごみの中にユスカを見つけた。
彼女はしゃがみこんで、T字スリットのヘルメットに額を触れ合わせていた――そこに残された何かを感じ取ろうとするように。
ヘルメットから下は――シカーグ将軍の首なし死体は、その横に伏せっていた。


シンノ「……ユスカ。将軍は……」

ユスカ「……タクージン……タクージン・シカーグと決闘して……」

反乱軍兵士A「……しかし、将軍は最後の最後まで我々を助けてくれた」

反乱軍兵士B「ああ、将軍が窓越しにマンダロア兵を三人倒してくれたから、我々はその残りと総督を追い払うことができた……決闘に負けはしたが、彼は――」

ユスカ「負けてなんてない!」


 ユスカはヘルメットを置いてヒステリックに叫んだ。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:30:40.49 ID:NisYkdRk0

ユスカ「私には見えた!あのときジェットパックが壊れなければ将軍は勝ってた!」

ユスカ「整備不良?違う!私は弟子だから知ってる、将軍は武器の手入れを欠かしたことなんて無かった!」

ユスカ「誰かが、誰かがジェットパックに細工を――」

バヤット「ユスカ、やめないか!」


 モン・カラマリの将校が進み出てそれを叱りつける。


バヤット「今は仲間割れをしている場合じゃない、それに……」


 ついで、シンノのほうを横目に睨みつけた。


バヤット「……真に責任を問われるべき者は、別にいる……!」

シンノ「ッ……」


 シンノはその眼光に胸を深く抉られる錯覚を覚えた。


ユスカ「あんたが一番仲間割れしてんじゃんっ!」

リズマ「ちょっと、そんな言い方……!」

シンノ「やめろっ!……やめてくれ」


 かばおうとする姉妹を自ら制し、うつむいたまま、絞り出すように続ける。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:31:18.58 ID:NisYkdRk0

シンノ「全ては、イシュメールを連れ込んだ俺の責任だ……許されるなどと思ってはいないが……」

シンノ「……本当に、すまなかった……」


 シンノは反乱軍兵士たちに向けて深々と頭を下げた。


ユスカ「……違う、違うよそんなの……将軍、何とか言ってよ……将軍!」

リズマ「……マスター……」

バヤット「……」

反乱軍兵士たち「「「……」」」


 周囲の反応は悲嘆、困惑、失望、あるいは憤怒や憎悪か。
シンノは、積み上げた信頼とともに、自分の胸の中にあった輝かしい何かが不可逆的に崩れ落ちていくように感じた。


バヤット「……とにかく、船に戻れ。リフレクターはすでに破壊された。帝国軍の包囲が狭まる前に脱出する」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:32:39.96 ID:NisYkdRk0

 反乱軍艦隊の脱出はあっけないほど簡単に完了した。
帝国軍艦隊が地上にいるタクージンやナインス・ブラザーへの誤爆を恐れ、それを背にした反乱軍艦隊への砲撃を控えたこともある。
しかしターボレーザー・ジャマー等有事への備えを欠かさなかったシカーグ将軍の努力が大きいことに疑いの余地はない。

 艦隊は数日間欺瞞航路を取った後、カグマシャ星系の惑星ヤクシムに身を潜めた。
事前に隠れ家として目をつけていた、荒野の広がる無人の惑星である。


シンノ「……」


 シンノは一人、艦隊が身を隠している谷間を出て、荒野に突き出た巨岩の上に座り込んでいた。
惑星ヤクシムは自転と公転の周期の関係でつねに黄昏の世界である。
何時間、何日眺めても、オレンジ色の太陽は地平線上でうろうろしている。


「探したぞよ」

シンノ「……ネーアか」


 シンノは声のほうを見ることもせず、掠れた声で答えた。


ネーア「こんなところで黄昏おって……気持ちはわかるがな、ジェダイなんじゃし、もう少し気概をじゃな……」

シンノ「……無理だ」

ネーア「は?」

シンノ「俺にはジェダイなんて、はじめから荷が重かったんだ」

ネーア「そ、そなた何を……ラグナロクではあれほど熱っぽい決意表明を……」

シンノ「夢を見てたんだよ、身分不相応な夢を。この前ようやく目が覚めた……」


 シンノは無感動な目で夕日を見やった。


シンノ「俺は明日か明後日には、ここを出ていく」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:33:31.34 ID:NisYkdRk0

ネーア「な……!?何を言うんじゃシンノ!?塞ぎこんで閉じこもってるユスカはどうするんじゃ!?」

シンノ「リズマがいるだろう」

ネーア「リズマだって冬眠し損ねた熊みたいにうろうろ歩き回ってばっかりぞよ!?」

シンノ「バヤットがいるだろう」

ネーア「あの危なっかしい若造に何ができる!シカーグ将軍の仲間たちを見捨てていくつもりか、シンノ!?」

シンノ「危なっかしくたって若くたって俺よりマシだ、俺は役に立つどころか災難を呼び込む最低のクズなんだからな!さあ、こんな出来損ないは放っておいて船に戻れよ!」

「だまらっしゃい!」


 思いがけない第三者の声に、シンノは少し驚いて岩の下を見下ろした。
ネーアについてきたのか、その後ろにミコア姫がいた。
こちらを涙目で睨みつけ、肩をわなわなと震わせている。


シンノ「ミコア姫……」

ミコア「私を助けてくれたフォースの力は!私の憧れていた仲間の絆は!あなたにとってはそんなに簡単に捨てられるものなのですか!?」

シンノ「そうは言っても、シカーグ将軍が死んだのは……!」

ミコア「シカーグ将軍が望んだとでもいうのですか?あなたがここを出ていくことを!?」

シンノ「しかし、バヤットたちは……」

ミコア「悪いと思うなら働いて罪を雪ぎなさい!こんなところで日向ぼっこするのがあなたの償いですか!?」

シンノ「……俺は……俺には、できない……」


 どれほど言い負かされても、シンノはそう言って首を振るしかなかった。
ミコアは涙を拭い、ネーアを押しのけて進み出て、強い意志の光をたたえる目でそちらを見上げた。
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:34:07.81 ID:NisYkdRk0

ミコア「……では私がなんとかします」ゴソゴソ

シンノ「……?」


 彼女が胸元から取り出したのは、緑色の三角錐型ホロクロン。


ネーア「!?ミ、ミコア!それは!」

ミコア「ヤマタイトに伝わるダークサイドのホロクロンです。ヤマタイトは元々シスの分流なのです!」

ネーア「ぎょええ!?」

ミコア「シンノ、私にフォースの扱いを教えなさい……弟子にしなさいな!」

シンノ「ええっ!?しかし、俺はダークサイドの力の扱いを教えることは……」

ミコア「そこまでは必要ありません。遠い末裔とはいえ私もヤマタイトの一族、きっとこのホロクロンを使いこなしてみせます。そしてその暁にはシカーグ将軍でも誰でも、黄泉の国から呼び戻してみせましょう!」

シンノ・ネーア「「!?」」


 ジェダイとシスは揃って戦慄した。
その行いが明らかに禁忌に触れていることは素人にもわかりそうなものだが、ミコア姫の目は本気だ!


シンノ「ちょ、ちょっと待て……わかった!とりあえず反乱軍を抜けるのは保留にするから……」

ネーア「……そんななまっちょろいこと言っててよいのか?そなたが教えなければ妾が教えるぞ」

シンノ「便乗して脅してくるんじゃない!……まあ、しかし、改めて考えれば将軍を失って辛いのはみんなも同じだ……」


 シンノは堂々巡りの自虐思考から脱し、少し考え込むような様子を見せた。
ミコア姫の爆弾発言が彼の鬱を一時的に吹き飛ばしたのかもしれなかった。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:34:43.18 ID:NisYkdRk0

シンノ「俺が原因とはいえ、それを放り出すのは無責任、なのか……?」

ミコア「そもそも私は、イシュメールが反乱軍基地を通報したとは考えていません」


 ミコアは鼻を鳴らして、地平線の太陽を睨んだ。


ミコア「彼はたしかにちゃらんぽらんでしたが、それほど不義理なことをする人間には見えませんでした。きっと別のところから情報が漏れたのです」

シンノ「……」


 それはあまりにも優しすぎる推論だった。
シンノはその可能性が限りなく低いとは知りながらも、わずかに慰められて、ふっと笑った。


シンノ「……そうだな。どっちにしろ、不貞腐れていても始まらない。とりあえずユスカとリズマに一声かけてくるか」


 その言葉にネーアとミコアは表情を明るくした。
三人は黄昏の荒野を連れ立って歩き、艦隊が停泊する谷間に戻ろうと――

 突如谷間に閃光が走り、ついで爆炎と轟音が噴出した。


シンノ「な……!?」

ネーア「何事じゃ!?」


 響き渡る警報アラーム、ブラスター発砲音、そしてライトセーバーが金属を焼き切る音。
また爆発……黄昏の空を紅蓮の炎が炙る。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:35:29.33 ID:NisYkdRk0

シンノ「!バカな……これは……!」タタッ


 谷間に駆け戻った三人を待っていたのは、圧倒的な殺戮の光景だった。
宇宙船の一隻が炎上し、薄暗い谷底に転がるいくつもの死体を不気味に照らし出している。
反乱軍兵士たちの死体だ。


ミコア「ひ、ひどい……!誰がこんな!」

ネーア「!シンノ、あっちじゃ!」


 炎上艦の向こう、駐機されたXウィングの近くの薄暗闇にライトセーバーの光があった。
青い光と……赤い光!


リズマ「はあ、はあ、はあ……」

テイティス「……」


 息の荒いリズマと相対しているのは――ダース・テイティス!
フードの陰では仮面の奥の黄色い瞳が光り、その手には赤いライトセーバーが輝く!


ネーア「あやつ、ハナン・シティの!どうしてここを!?」

シンノ「貴様ーッ!」


 シンノは目をかっと見開き、自らのライトセーバーを鞘走らせた。


リズマ「!マスター!」

テイティス「!」

シンノ「貴様の仕業か、これは!」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:36:09.27 ID:NisYkdRk0


 テイティスはリズマにライトセーバーを突きつけつつ、横目にシンノとミコアを見やった。


テイティス「……そうだ……何人殺せばホロクロンを差し出してくるかと思ってな……」


 フードの陰、仮面の奥で黄色い瞳が光る。


ミコア「……!」ギュッ


 ミコアは胸元のホロクロンを握りしめ、その眼光に押しやられたかのように後ずさった。


リズマ「みんなに手は出させない!」ブオンッ


 テイティスの意識が逸れたのを隙とみて、リズマが斬りかかる!


テイティス「こいつでは」グッ

リズマ「うぐっ!?」グイッ


 しかしテイティスはそちらを見もせず手をかざし、たちまちのうちにフォースでリズマを吊り上げた。


テイティス「相手にならん」ブンッ

リズマ「ぐあっ!」ドタッ


 そしてそのままXウィングの機体側面に叩きつける。
すでに相当やりあった後だったらしいリズマはそのまま意識を失い、ずるずるとずり落ちて倒れた。
シンノの頭の中で何かが切れた。
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:36:47.41 ID:NisYkdRk0

シンノ「ウオオオオーーーッ!」ダッ


 ライトセーバーを閃かせ、突撃!


シンノ「殺す!殺してやるーーーッ!」ブウンッ


 落ち着き払って向き直るテイティスめがけ、袈裟懸けに斬りつける。
その速さ、鋭さは暗黒面のパワーを孕んでいたが――


テイティス「ふん……」チュインッ


 テイティスはあまりにもたやすくその一撃を弾き、反らした。


シンノ「!?このッ!」ブオンッ

テイティス「やはり素質はあるようだが……」チュインッ

シンノ「どうしてッ!」ブウンッ

テイティス「何分粗削りだな」チュインッ

シンノ「くそーッ!」ブウンッ

テイティス「ライトサイドの枷も、取り切れていない」チュインッ ブンッ

シンノ「ぐうっ!」ドタッ


 続けざまの攻撃もことごとくいなされ、足払いを受けて倒される。
テイティスは無様に倒れ伏すジェダイの背中を踏みつけ、踏みにじった。
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:37:44.71 ID:NisYkdRk0

シンノ「ぐああっ……バカな!貴様、クイナワでは……!」

テイティス「まさか、あれが私の本気だとでも思っていたのか……おめでたい奴め」グリグリ

ネーア「シンノーッ!」ブオンッ


 ネーアが赤いライトセーバーを抜き、テイティスに襲いかかる!


テイティス「フンッ!」ブンッ

ネーア「ぐあっ!」ドタッ


 たやすく蹴り飛ばすテイティス!


テイティス「クネー。今だ、回収しろ」クンッ

クネー「いいだろう……」ヌッ


 さらにテイティスが顎をしゃくると、物陰から斬馬刀を差した女賞金稼ぎが姿を現した。
クネーは速足で一人きりのミコア姫のほうへ近づく。


ミコア「あ、あなたはザインの……連れ戻すつもりですか、クイナワに」

クネー「いや、今の雇い主はあそこのシス……テイティス卿だ。お前とお前の持つホロクロンを頂戴する。フンッ!」ブンッ

ミコア「ぐうっ……!」ドタッ


 そして手際よく気絶させ、担ぎ上げた。
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:38:18.31 ID:NisYkdRk0

テイティス「先に行け。私の船を使っていい」

クネー「そうか……なら先に失礼する」


 クネーは少女を担いで姿を消した。
残されたジェダイとシスはむなしくそれを見送るしかなかった。


シンノ「ミ、ミコア姫ッ……!」ジタバタ

ネーア「テイティスと言うのか……あのホロクロンをどうするつもりじゃ」ヨロヨロ

テイティス「知れたこと。あれの中にはシスの失われた技の多くが遺されている……それをもって帝国を倒し私が正統のシスとなるまで」ゲシッ

シンノ「ぐうっ!」ゴロゴロッ

ネーア「シンノ!大丈夫か!?」


 テイティスはシンノをネーアのほうへ蹴り飛ばした。
その背後、谷の上から銀色の宇宙船が飛び立っていくのが見えた。
クネーがミコア姫を捕らえ、引き上げていくのだ。


シンノ(ミコア姫……!励ましてくれたばかりだというのに、俺は……!)
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:38:56.94 ID:NisYkdRk0

テイティス「だが、その前に」スッ


 テイティスは左手を高く掲げる。
その上に青白い炎の塊が生じたかと思うと、たちまち大玉めいた大きさに膨張した。


ネーア「フォース・ファイアー……!まさかこれほどの!」

シンノ「く、くそっ……!」

テイティス「貴様らに、真のダークサイドの力を見せてやろう!」ブンッ


 彼が左手が振り下ろすと、巨大火球はシンノとネーアのもとへ隕石のごとく落下する!


シンノ「くそーーーッ!」


 絶叫……爆発……奪われ、飛び去るXウィング。
すべてが黄昏の空の中に霞んで、消えていく……
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:39:37.00 ID:NisYkdRk0

クネー(フフフ、ボロい仕事だった……)


 テイティス所有の宇宙船「クラウソラス号」はハイパースペース・ジャンプ中であった。
女賞金稼ぎはコックピットでほくそ笑みつつ、助手席に縛り付けた少女――気絶したままのミコア姫を見やる。


クネー(テイティスからの報酬自体も悪くはないし、こいつを帝国軍に届ければ、ザインの城での不振を補って余りあるほどの賞金が手に入る……)

クネー(しかし不思議なのは、テイティス自身もおそろしく強かったことだな。私なんか雇わなくてもよかったんじゃないか?)

クネー(自分で帝国軍に届けるのが嫌だったのか……あいつもあいつでお尋ね者とか?しかしそれならそれで、賞金のうちいくらかを分け前に要求してきそうなものだが……!?)


 唐突な警告音と振動がクネーを思索の中から引きずり戻す。
コントロールパネルには、ジャンプへの深刻な障害が発生したことを告げる表示!


クネー(何だ!?ハイパードライブの故障……まさか、出発する前に私が自分の目で一通り点検したはず……!?)


 異常発生の表示はどんどん増え、揺れは増し、窓の外が不気味にちらつき始める。
やがてクネーの体をガクガクと揺すぶるまでになった振動の中、ハイパースペースの景色が薄れ、暗闇とそこに瞬く星々が見えてくる……!


クネー(ハイパースペースから……引きずり出される……!?)


 その直後、振動がぱたりと止んだ。
クラウソラスはハイパースペースを完全に脱していた。
否、無理矢理引きずり出されたのだ……
目の前の巨大な宇宙戦艦によって!


クネー(こ、この船はたしかサブジュゲーター級……分離主義者の船だ!)

クネー(何故分離主義者の残党がここに!?何故私たちを待ち構えていられた!?)


 彼女はまったくもって気づいていなかったのだ。
クラウソラスの天井の外側に一体の通訳ドロイドが張り付き、位置情報を発信していようとは!
間もなく宇宙戦艦からトラクター・ビームが発射され、軽武装のクラウソラス号はなすすべなく牽引されていく……
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:40:29.13 ID:NisYkdRk0

スターバル将軍「ウワハ、ウワハハハ!キャプチャーいたしました、セレノーラント公!」


 ブリッジからその光景を見ていたスターバル将軍は、大はしゃぎで背後を振り返った。
そこには白いマントに身を包んだ、眉目秀麗な若い男が立っている。


「ドロイドからの情報によれば……乗っているのは賞金稼ぎとヤマタイトのミコア姫だったな」

スターバル将軍「はい、奴らを捕らえることで我々はついにシスを出し抜いたのです!あなたの伯父上の無念を晴らす戦いの第一歩ですぞ!」


 然り、この若い男はかつての独立星系連合のリーダー、ドゥークー伯爵の甥……
QC星系分離主義勢力残党の首領、マクシャリス・セレノーラント・ドゥークーである!


マクシャリス「まあそう焦るな、スターバル。目の前のことから一つ一つだ……まずは姫君を歓迎するとしようじゃないか」


 マクシャリスはドロイドたちが詰めるブリッジを悠然と歩き、スターバルの横をすり抜けて、ビューポートから外を眺めた。
銀色の宇宙船はゆっくりと彼らの乗艦のドッキングベイへ吸い込まれていく。
この船はかつて分離主義勢力が建造したサブジュゲーター級重クルーザーの三番艦、「ヴェンジェンス」……
QC星系の残党の旗艦であり、敵をハイパースペースから引きずり出す「重力井戸発生装置」を搭載した一種のインターディクター・クルーザーである。


マクシャリス「ヤマタイト公国大執政官、ミコア・ルマ・ヤマタイト殿……ようこそ、独立星系連合へ!」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:41:16.57 ID:NisYkdRk0

 数日後、反乱軍艦隊は暗礁宙域に身を潜めていた。
テイティスの襲撃があった以上惑星ヤクシムも安全ではないからだ。
イシュメールがいなくとも情報が漏れていたことについて指摘する者もいたが、再び流浪の旅が始まる慌ただしさの中で霞んでしまった。


シンノ「……」


 シンノは反乱軍艦隊のうちの一隻、その艦内の自室で座禅を組んでいた。
痛々しい全身の包帯やギプスは、喫した敗北の無残さを物語っていた。


シンノ(リズマもネーアも重傷だ……テイティスは圧倒的だ。俺はまた、仲間を守れなかった……)


 何度目かもわからない悔恨に打ちひしがれ、うなだれる。


シンノ(ミコア姫のことは心配だ……しかし俺がどうしようと、状況を悪くするだけに違いない。この傷が治ったら今度こそ、反乱軍を離れて……)


(((……シンノ……)))


シンノ「……?」


 シンノはどこからともなく響く声を聞いたように感じて、顔を上げた。


(((……シンノ・カノス……迷えるジェダイ・ナイトよ……)))
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:42:16.58 ID:NisYkdRk0

シンノ「!」


 気のせいではない。
フォースを通して声が聞こえてくる!


シンノ「あなたは……あなたは一体!」


(((……私は、クワイ=ガン・ジン……かつてはジェダイ・マスター。今はフォースと共にある者……)))


シンノ(惑星ナブーで戦死したというジェダイ……!こんなことがあるだなんて!)


 シンノは驚愕と歓喜の中で絶望さえも忘れ、必死に呼び掛けた。


シンノ「マスター・クワイ=ガン・ジン!私は……私は、どうすればよいのですか!?」


(((……私は唯一の答えを教えることはできない……フォースの真実は存在さえ不確かだ……)))


(((しかしそれを探求し続けたいと願うなら……惑星ダゴバへ行くがよい)))


シンノ「惑星……ダゴバ……!?」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [ saga]:2018/10/20(土) 22:48:29.22 ID:NisYkdRk0
以上で「EP3.5 ヤマタイトの姫君」完結となります
お読みいただきありがとうございました
感想レスは一つ一つ嬉しく読ませていただいております

かなり間が空くと思いますが、次回「EP3.6 運命の向こうに」でシリーズ完結となります
また似たようなタイトルで建てますので、見かけたら覗いていただけると嬉しいです
ハン・ソロは見損ねました

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/20(土) 22:52:22.50 ID:Shu0v9MoO
クワイガンキター
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/20(土) 23:00:45.77 ID:Zyr1tn9c0
そうか、こういう終わり方か
帝国の逆襲を彷彿とするな・・・
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 02:16:34.47 ID:yPJ6405k0
もう次で終わっちゃうんか
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