もこっち「モテないし、ヴレインズ」

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102 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:35:15.05 ID:MWSENwYRO



ネモっち「ちょっと待って。《おジャマ・キング》の効果じゃEXモンスターゾーンは封鎖できないよ」



クロっち「………えっ!? なんで!?」キョトン



ネモっち「EXモンスターゾーンは正確には、誰のモンスターゾーンでも無いんだよ」

ネモっち「だから、相手モンスターゾーンを封鎖する《おジャマ・キング》の効果じゃ、EXモンスターゾーンを封鎖できないんだよ」



103 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:36:42.44 ID:MWSENwYRO



クロっち「………はあ? エクストラモンスターゾーンは、お互いに一箇所しか使えないんだろ?」

クロっち「だったら、自分が一箇所使っちまえば、残りは相手のモンスターゾーンになるじゃねーか」



ネモっち「『基本的に』って言ったでしょ。このデュエルじゃ起こらないだろうけど、一人のプレイヤーが二つのEXモンスターゾーンを使う方法はあるんだよ」



クロっち「えっ、そうなん?」



ネモっち「そう、だから厳密には誰のモンスターゾーンでもない扱いなんだーーまあその辺りはまたの機会に説明してあげるから、ここは納得してくれると嬉しいかな」



クロっち(ええー、マジかよ。せっかく、《おジャマ・キング》の効果を活かせると思ったってのに………)

クロっち(ーーーでも、まあいいか。これから取る手順に、《おジャマ・キング》の効果は関係ないし)


クロっち「ーーーなら、ネモっちの残りモンスターゾーンを全て封鎖する!」



キング『オジャッオジャッ』ポンポンポンッ



104 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:38:15.92 ID:MWSENwYRO



クロっち「そして、魔法カード発動、《融合回収》」

クロっち「その効果で墓地から融合素材となった《おジャマ・ブラック》及び《融合》を手札に加える」



ネモっち「《相乗り》の効果、相手がデッキまたは墓地からカードを手札に加えるたびにドローする」

ネモっち「《融合回収》の融合素材及び《融合》を回収する処理は、それぞれ別個に行われる。だから2枚ドローするね」



クロっち「そうか、なら、もう1枚くれてやる! 私はドローし直した《サンダー・ドラゴン》を捨てて、その効果発動!」

クロっち「デッキから2体の《サンダー・ドラゴン》を手札に加える!」



ネモっち「《相乗り》の効果で1枚ドロー、手札こんなにプレゼントしてくれてありがとね、クロっち」



クロっち「言ってろ! 2枚目の《打ち出の小槌》を発動! 手札を5枚戻して5枚ドロー!」


クロっち「そして、手札の《シャッフル・リボーン》を捨てることで、魔法カード発動、《ブラック・コア》!」



105 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:40:08.92 ID:MWSENwYRO



ネモ「!」



クロっち「その効果で、場のモンスターを1体選択して除外する!」

クロっち「私は《デストーイ・シザー・タイガー》を選択して除外!」



ズオーンッ………



タイガー『ガオオオッ!?』



ビュウンッ………!



『ガオー!?』



ウルフ『ガルルー!?』ATK2600→2000



106 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:41:18.30 ID:MWSENwYRO



ネモっち「タイガーが………!」



クロっち「お次はこれだ! 魔法カード、《強制転移》!」



ネモっち「!」



クロっち「その効果で、お互いに自分の場のモンスターを1体選び、それらのモンスターのコントロールを入れ替える!」


クロっち「もちろん私は、《おジャマ・ブルー》を選ぶ!」



ネモっち「………クロっちってば、イジワルだねー。私はウルフしか選べないじゃん」



クロっち「その通り! そういうわけでネモ! お前のウルフは頂いていく!」



ウルフ『ガルルッ?』ズルズルズル

ブルー『アーレー………』ズルズルズル



107 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:42:36.17 ID:MWSENwYRO



ネモっち「ウルフ………元気でね?」



ウルフ『………ガル!』フリフリ


ブルー『………』ショボーン



クロっち「そして、メインフェイズを終了し、バトルフェイズにーー」



ネモっち「待って、メインフェイズ終了時に手札の《エフェクト・ヴェーラー》を捨てて、その効果を発動! 《おジャマ・キング》の効果を無効にする!」



ヴェーラー『………!』ピピーッ

キング『オジャ?』キョトン



クロっち(あ? 何考えてんだネモのやつ、いまの状況、無効にすんなら、ウルフ一択じゃーーー)



ネモっち「メインフェイズ終了時に私がプレイしたことによって、クロっちはメインフェイズを続けるか続けないか選ぶことができる。どうする、クロっち?」



108 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:45:55.10 ID:MWSENwYRO



クロっち(ーーーまあいい、やることをやるだけだ)


クロっち「普通にメインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行!」

クロっち「バトル! 《デストーイ・シザー・ウルフ》で《おジャマ・ブルー》を攻撃!」



ネモっち「罠カード発動、《マジカル・シルクハット》!」



クロっち「!」



ネモっち「デッキから魔法・罠を2枚選び、攻守0の通常モンスター扱いとして、自分のメインモンスターゾーンのモンスターと合わせてシャッフルし、裏側守備表示でセットする!



クロっち(………なるほど、これの発動のために《おジャマ・キング》の効果を無効にして、モンスターゾーンの封鎖を解いたってわけだ)



ネモっち「私はデッキの中の《ギャラクシー・サイクロン》と《ブレイクスルー・スキル》を選び、《おジャマ・ブルー》と合わせてシャッフル!」



サッサッサッ



ブルー『ヘア?』スポーン



シュルシュルシュル……….………!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


109 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:48:16.78 ID:MWSENwYRO



シルクハット『………』
シルクハット『………』
シルクハット『………』



ネモっち「そして、シルクハット(裏側守備表示)で正体を隠す!」

ネモっち「さあ、どのシルクハットに《おジャマ・ブルー》が潜んでいるか当てられるかな?」



クロっち「だったら全部攻撃するまでだ! 3回攻撃できる《デストーイ・シザー・ウルフ》で3体のシルクハットに攻撃!」



ウルフ『ガルルルルッ!』ATK2000



ガブガブガブウッ!!



『ギャーッ!?』



ドガーンッ!



110 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:49:25.12 ID:MWSENwYRO



ネモっち「あはは、クロっちってば、ミもフタもないことするねーー」



クロっち「やかましいわ! とにかく、これでシルクハットは全滅!」


クロっち「そして、この戦闘によって破壊された《おジャマ・ブルー》の効果発動!」

クロっち「デッキから《おジャマ改造》と2枚目の《おジャマ・カントリー》を手札に加える!」



ネモっち「《相乗り》の効果で1枚ドロー!」



111 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:51:18.00 ID:MWSENwYRO



クロっち「続いて、《おジャマ・キング》でダイレクトアタック! おジャマ・フライングボディ・アタック!」



キング『オッジャアーーッ!』ATK3000



ババッ!



ネモっち「この瞬間、手札から《バトル・フェーダー》の効果発動!」



クロっち「!」



ネモっち「相手がダイレクトアタックしてきた場合、自身を特殊召喚する!」


ネモっち「来て、《バトル・フェーダー》!」



シュバッ!



フェーダー『………』DEF0



ネモっち「その後、バトルフェイズを終了する!」



ガキーンッ!



キング『オジャ!?』ドテッ



112 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:55:20.60 ID:MWSENwYRO



クロっち(………ちっ、あのままダイレクトアタックに成功していれば、今ごろ向こうのライフは1000………)

クロっち(そうなりゃ、《エクトプラズマー》を逆利用して、ウルフをリリースして1000の効果ダメージ与えて、勝てたってのに………)


クロっち(でも流石に仕方ねーか。このターン、あれだけドローしてるんだ。そりゃあ《バトル・フェーダー》も手札にーーー)

クロっち(ーーーいや、ネモの終始余裕そうな態度から見るに、最初から握っていたと見るべきか?)


クロっち(つーか、《バトル・フェーダー》が無くとも《マジカルシルクハット》で《光の護封霊剣》を落とせばーーー)


クロっち(………まあ、何にせよ、さっきと同じでやることは変わらん。あんま待たせてもアレだし、さっさとプレイ続けるか)



113 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:57:34.90 ID:MWSENwYRO



クロっち「メインフェイズ2に移行。さらに、墓地の魔法カード、《ギャラクシー・サイクロン》を除外し、その効果を発動」

クロっち「フィールド上に存在する表側表示の魔法・罠カードを1枚選択して破壊する」


クロっち「私は《エクトプラズマー》を選択して破壊する」



ピュウウ………バリーンッ!



ネモっち「………あちゃー、破壊されちゃった」



クロっち「そして、《おジャマ・キング》をリリースして速攻魔法、《神秘の中華なべ》を発動」



キング『オジャーッ!?』ヒューン



クロっち「その効果で、《おジャマ・キング》の攻撃力、つまり3000ポイントのライフを回復する」LP100→3100


クロっち「さらに、エクストラデッキの《ABCードラゴン・バスター》を見せ、墓地の《おジャマ・イエロー》《おジャマ・グリーン》《おジャマ・ブルー》の3体を除外することで、魔法カード、《おジャマ改造》を発動!」


クロっち「さっき見せた《ABCードラゴン・バスター》に記されている融合素材モンスターを、さっき除外した『おジャマ』の数だけデッキから特殊召喚する!」

クロっち「私は《ABCードラゴン・バスター》の融合素材、《Aーアサルト・コア》《Bーバスター・ドレイク》《Cークラッシュ・ワイバーン》の3体をデッキから特殊召喚する!」


クロっち「出て来い、合体(マグネット)モンスター達!」



114 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 14:59:58.67 ID:MWSENwYRO



A・コア『………』DEF200
B・ドレイク『………』DEF1800
C・ワイバーン『………』DEF2000



ネモっち「《増殖するG》の効果で1枚ドロー」



クロっち「さらに、墓地の魔法カード、《シャッフル・リボーン》を除外し、その効果を発動!」

クロっち「私の場のカード1枚、《おジャマ・カントリー》をデッキに戻すことで、1枚ドローする!」


クロっち「まだまだぁ! 墓地の魔法カード、《おジャマ改造》を除外し、除外された3体の『おジャマ』をデッキに戻すことで、その効果を発動!」

クロっち「デッキからカードを1枚ドローする!」


クロっち「そして、場に存在するA・B・Cの合体(マグネット)モンスター達を除外することで、エクストラデッキから《ABCードラコン・バスター》を特殊召喚する!」



A・コア『………』ビュウンッ
B・ドレイク『………』ゴオオッ
C・ワイバーン『………』ガキーンッ



クロっち「合体召喚! 来い、《ABCードラコン・バスター》!」


115 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 15:01:54.49 ID:MWSENwYRO



ガキッゴキッガギッ………ガッキーン!



ドラゴン・バスター『………………』ATK3000



ネモっち「《増殖するG》の効果で1枚ドロー」



クロっち「3枚目の《おジャマジック》を捨てることで、《ABCードラコン・バスター》の効果発動! 相手の場のカードを1枚除外する!」

クロっち「私は《バトル・フェーダー》を除外!」



ドラゴン・バスター『………………』ピュウン

フェーダー『………?!?!』ドゴッ



ドガーンッ!



クロっち「そして、手札から墓地に捨てられた《おジャマジック》の効果発動! デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」



ネモっち「《相乗り》の効果で1枚ドロー」



116 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 15:03:39.98 ID:MWSENwYRO



クロっち「そして、カードを3枚セットしーーー」

クロっち「フィールド魔法、《サモンブレーカー》を発動!」



ネモっち「!」



バチバチバチ………………



クロっち「場にこのカードが存在する限り、ターンプレイヤーがそのターンのメインフェイズ1で、3回目の召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、強制的にエンドフェイズへと移行する!」



ネモっち「…………………………」



クロっち「そして、エンドフェイズに入る!」

クロっち「このエンドフェイズ時に、《シャッフル・リボーン》のデメリット効果が適用される! 手札の《おジャマ・デルタハリケーン!》を除外! 」


クロっち「これでターンエンドだ!」



117 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 15:08:16.27 ID:MWSENwYRO
今はここまで
118 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:12:22.51 ID:+LznRmzKO



ネモっち「………私のターン、ドロー」


ネモっち「メインフェイズ、墓地の魔法カード、《ギャラクシー・サイクロン》と罠カード、《ブレイクスルー・スキル》を除外し、その効果を発動」

ネモっち「それぞれの効果で、相手の場の表側表示の魔法・罠カードを1枚破壊し、相手モンスター1体の効果を無効にする」

ネモっち「私はクロっちの場のフィールド魔法、《サモンブレーカー》を破壊し、《ABCードラコン・バスター》の効果を無効にする。何か発動する効果はある?」



クロっち「………何も無い。全て通す」



ピュウウ………………バリーンッ!

ミワワー………………………



ドラゴン・バスター『………』シュウウ〜〜



ネモっち(ふーん、《ドラコン・バスター》を分離しないかーーーやっぱり破壊から守る手段ーーー2枚目以降の《スキル・プリズナー》を伏せてると見て良さそうだね)


ネモっち(だったらーーー)



119 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:13:55.44 ID:+LznRmzKO



ネモっち「………墓地の《エッジインプ・シザー》の効果発動! 手札を1枚デッキトップに戻すことで、自身を特殊召喚する!」


ネモっち「来て、《エッジインプ・シザー》!」



シザー『………』DEF800



ネモっち「さらに、2体目の《クリッター》を通常召喚!」



クリッター『ケケケッ』ATK1000



ネモっち「出てきて、手と手を合わせるサーキット! 召喚条件は悪魔族モンスター2体!」

ネモっち「私は悪魔族の《エッジインプ・シザー》と同じく悪魔族の《クリッター》をもう一つのリンクマーカーにセッティング!」


ネモっち「リンク召喚! リンク2、《パーペチュアル・キング・デーモン》!」



120 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:15:42.90 ID:+LznRmzKO



パーペチュアル『グオオッ!』ATK2000



ネモっち「リンク召喚成功時、墓地に送られた《クリッター》の効果発動!」



クロっち「それにチェーンして、永続罠、《リビングデッドの呼び声》を発動!」



ネモっち「!」



クロっち「その効果で、墓地から《おジャマ・キング》を復活させる!」


クロっち「出でよ、《おジャマ・キング》!」



キング『オジャッ!』ATK0



クロっち「この瞬間、《おジャマ・キング》の効果適用! 《パーペチュアル・キング・デーモン》の後ろ3マスを封鎖する!」



キング『オジャオジャ』ポンポンポンッ



ネモっち「………墓地に送られた《クリッター》の効果、デッキから攻撃力1200の《ファーニマル・ベア》を手札に加える」



クロっち「だが、これでリンクマーカーは封鎖された! もう、お前は融合モンスターを出すことはできない!」



121 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:17:11.68 ID:+LznRmzKO



ネモっち(なるほどね。墓地に《ギャラクシー・サイクロン》があるのをわかっていながら、《サモンブレーカー》を発動したのはーーー)

ネモっち(ーーーそれを囮に《リビングデッドの呼び声》を守り、《おジャマ・キング》の破壊を防ぐためだったんだね)


ネモっち(そうして、《おジャマ・キング》を維持してリンクマーカーを封鎖………悪くない手だと思うよ)


ネモっち「でも二歩先を行かせて貰うね! 速攻魔法、《禁じられた聖杯》発動!」



クロっち「げっ!?」



ネモっち「その効果で《おジャマ・キング》の攻撃力を400アップさせ、効果を無効にする!」



ピシャッ



キング『オジャジャ?』ATK0→400



ネモっち「これで、再びリンクマーカーが使用可能に! そして、3枚目の《融合》を発動!」



122 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:18:39.77 ID:+LznRmzKO



ネモっち「手札の《ファーニマル・ベア》2体と《エッジインプ・シザー》を融合!」


ネモっち「融合召喚! 現れ出ちゃえ、3体目の《デストーイ・シザー・タイガー》!」



タイガー『ガオオッ!』ATK1900→2200



ネモっち「そして、融合召喚成功時、《ABCードラゴン・バスター》と真ん中の伏せカードを対象に、タイガーの効果発動!」

ネモっち「自身の融合素材にした数、つまり2枚のカードを対象に破壊する!」



クロっち「だったら、その効果にチェーンして、罠発動! 《蠱惑の落とし穴》!」



ネモっち「!」



クロっち「特殊召喚された《デストーイ・シザー・タイガー》の効果の発動を無効にして破壊する!」



ズルズル………ゴポッ



タイガー『ガオオッ?!』



ドガーンッ!



ネモっち「………」




123 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/05/31(木) 20:19:55.30 ID:+LznRmzKO
今はここまで
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/31(木) 20:51:53.76 ID:IUi6JTxjo
ガチやん……
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/31(木) 21:14:55.79 ID:b2NSewmso

最近は主人公の初デュエルでも後攻ワンキル仕掛けたり3T決着だったりで時代の流れを感じる、その分1Tの密度が凄いが
126 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:07:02.82 ID:3E6QcclyO
遅くなったけど投下します
127 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:08:54.44 ID:3E6QcclyO



クロっち「これで、お前はタイガーを3枚全部使い切った! もう融合召喚することはできない!」



ネモっち「それはどうかな?」



クロっち「っ、そのセリフはーーー」



ネモっち「悪魔族モンスターが墓地に送られたことで、《パーペチュアル・キング・デーモン》のモンスター効果発動!」

ネモっち「墓地に送られた悪魔族モンスターのうち1体を対象に、サイコロを振る。そして、出た目の数値によって、適用する効果を決める!」



クロっち「………ここに来てギャンブルに走るつもりか?」



ネモっち「いや、そうでも無いよ? 1の目が出たら対象モンスターを手札に加えて、2から5の目が出たら対象モンスターをデッキに戻して、6の目が出たら対象モンスターを特殊召喚できるからねーー」



クロっち「………えっ、それって………」



ネモっち「うん。普通に6分の5の確率で、タイガーをエクストラに戻せるってことだよ」



クロっち「なっ…………!?」



ネモっち「そういうわけでダイスロール!」



コロコロコロコロ………



128 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:10:46.90 ID:3E6QcclyO



[1]



ネモっち「出た目は1! よって、タイガーをエクストラデッキに戻す!」



クロっち「くっ………」



ネモっち「さらに、魔法カード、《魔玩具融合》を発動!」

ネモっち「墓地に存在する融合素材モンスターを除外し、『デストーイ』融合モンスターを融合召喚する!」

ネモっち「私は墓地のベア2体と《エッジインプ・シザー》を除外して融合!」


ネモっち「融合召喚! 現れ出ちゃえ、4度目の《デストーイ・シザー・タイガー》!」



129 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:12:26.14 ID:3E6QcclyO



タイガー『ガオオッ!』ATK1900→2200



ネモっち「そして、融合召喚成功時、タイガーの効果発動! 3枚のカードを破壊する!」

ネモっち「私は《ABCードラゴン・バスター》と2枚の伏せカードを選択して破壊する!」



タイガー『ガオオ!』ジャキーンッ



クロっち「ならば、チェーンして、セットされた《スキル・プリズナー》を発動!」



ネモっち(やっぱりね)



クロっち「このターン、《ABCードラゴン・バスター》を対象に発動したモンスター効果は無効となる! よって、タイガーの効果は無効だ!」



ピカーッガキンッ!



タイガー『ガオッ!?』



130 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:15:18.37 ID:3E6QcclyO



ネモっち(………これでクロの残りの伏せカードは1枚だけ。そしてそれはクロの先攻1ターン目で伏せられたカード)


ネモっち(クロの言葉によれば、あれは通常罠。また、《封魔の矢》にチェーン発動しようとしたことから見て、フリーチェーンと見て間違いない)


ネモっち(しかも、クロは、攻撃力400の《おジャマ・キング》を攻撃表示で立たせているのに、戦闘ダメージを心配する素振りが全く無い)


ネモっち(もちろん、クロの場には《光の護封霊剣》が残っているから、それで防ぐことはできる)

ネモっち(だけど、また私が《封魔の矢》を使ってくる可能性があることを考えればーーそのくらいで守りを固めたつもりになっているとも思えない)

ネモっち(少なくとも、バトルフェイズに入る前から、守りを固めることのできるカードが無ければ、ああも安心はできないはず)



131 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:17:18.65 ID:3E6QcclyO



ネモっち(実は《封魔の矢》の影響を受けない、手札誘発系モンスターを持っていてーーーなんて可能性も無い)

ネモっち(なぜなら、クロの手札は、おジャマ三兄弟とカントリー………手札誘発が無いことは、もう割れているんだから)


ネモっち(しかも、クロは《ABCードラゴン・バスター》をわざわざ攻撃表示で合体召喚した………)

ネモっち(壁にするなら、戦闘ダメージを受けない守備表示で特殊召喚した方が良いのにーーー)


ネモっち(ここから推察するに、クロのあの伏せカードはーーー)



ネモっち(………試してみるかな)




132 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:20:21.12 ID:3E6QcclyO



ネモっち「………私はメインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行ーーー」



クロっち「待った! メインフェイズ終了時、罠発動《重力解除》!」



ネモっち「!」



クロっち「その効果で、お互いのモンスターの表示形式を入れ替える!」



グワンッ………



キング『オジャッ?』ATK0→DEF3000
ウルフ『ガルッ?』ATK2000→DEF2000
ドラゴン・バスター『………』ATK3000→DEF2800

タイガー『ガオッ?』ATK2200→DEF1200



クロっち「これで、お互いの場のモンスターは全て守備表示! 守りは万全ーーー」



ネモっち「それはどうかな?」



クロっち「なっ、またそのセリフーーー!」



ネモっち(読み通りだよ、クロ!)ニヤリ



クロっち「お前、何を狙ってーーー」


クロっち「!?」



133 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:22:25.84 ID:3E6QcclyO



パーペチュアル『………』ATK2000



クロっち「攻撃表示のまま………だと!?」



ネモっち「あはは、それはそうだよ。リンクモンスターに守備表示なんて概念は無いからね」



クロっち「………えっ? えっ?」キョトン



ネモっち「リンクモンスターには守備力が無いんだ。守備力0とかじゃなくて、本当に『無い』」

ネモっち「だから守備表示になるという概念自体が無い」



クロっち「………はあ!? マジかよ、それ?!」



ネモっち「マジなんだよねー、これが。だから、《重力解除》みたいな表示形式変更系カードはもちろんのこと、《おジャマ・カントリー》の攻守入れ替え効果もリンクモンスターに通用しないんだ」


ネモっち「エクシーズモンスターにレベル系カードが使用できないのと同じようなものだと思えば、わかりやすいんじゃないかな?」



クロっち「………ああー、そういうことか」



ネモっち「納得した?」



134 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:24:25.59 ID:3E6QcclyO



クロっち(………攻守の部分もテキスト欄の一部だからな。モザイクかかっててわかんなかったわ………)


クロっち(………それに、まあ、ちょっと驚きはしたが、《パーペチュアル・キング・デーモン》の攻撃力は2000だ)

クロっち(その程度の攻撃力のモンスターが1体だけ攻撃できたところで大した問題は無い)


クロっち(しかも、まだ《光の護封霊剣》による守りが残っているーーーというか、そもそも攻撃力2000じゃ、《おジャマ・キング》たちを突破できないしな)


クロっち(そうだ、落ち着け、大丈夫だ、うん)



ネモっち「クロっちーー? どうかした?」



クロっち「ーーーいや、もう大丈夫だ。問題ない、続けてくれ」



ネモっち「そう? なら私はメインフェイズを続行してーーー」


ネモっち「速攻魔法発動、《エネミー・コントローラー》!」



クロっち「!?」



135 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:26:35.85 ID:3E6QcclyO



ネモっち「このカードはコマンド入力することで、相手モンスターを操ることができる!」


ネモっち「上・左・下・右・A!」



ピコピコピコ………ポチポチッ



ネモっち「このコマンドにより、《おジャマ・キング》を攻撃表示に変更する!」



キング『オ、オジャッ?』DEF3000→ATK400



クロっち(ふん、ネモの奴、 《おジャマ・キング》の攻撃力がいま400なのをいいことに、狙い打ちして大ダメージを与える気か)


クロっち(だが、まだ大丈夫だ。私にはまだ《光の護封霊剣》がーーー)



ネモっち「さらに、もう一枚、《エネミー・コントローラー》!」



クロっち「なっ!?」



136 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:28:03.87 ID:3E6QcclyO



ネモっち「コマンド入力! モンスターをリリースし、左・右・A・B!」



タイガー『ガオ!』ヒューン



ピコピコ………ポチポチッ



ネモっち「このコマンドにより、ウルフのコントロールを得る!」


ネモっち「戻ってきて、ウルフ!」


ウルフ『ガルーッ♪』ピョオーンッ


ネモっち「よしよし、良い子にしてたー?」

ウルフ『ガルルンッ!』フンス



137 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:29:34.83 ID:3E6QcclyO



クロっち「ぐっ………!」



ネモっち「ーーーそして、タイガーがリリースされ墓地に送られたことで、《パーペチュアル・キング・デーモン》のモンスター効果発動!」



ネモっち「ダイスロール!」



コロコロコロコロ………



[2]



ネモっち「出た目は2! よって、再びエクストラデッキに戻る!」



クロっち(ま、まだだ………それでも、まだ防ぎきれーーー)



ネモっち「ウルフを攻撃表示に変更し、装備魔法、《団結の力》を発動!」



138 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:32:08.87 ID:3E6QcclyO



クロっち「あっーーー」



ネモっち「ウルフに装備! そして、攻撃力を私の場のモンスターの数×800ポイントアップする!」

ネモっち「私の場のモンスターは2体! よって、1600ポイントアップ!」


ネモっち「《パーペチュアル・キング・デーモン》! ウルフに手を貸してあげて!」



パーペチュアル『………………』つ

ウルフ『ガゥーウ! ガッルル!』つ



コツンッ



パーペチュアル『………………』

ウルフ『ガゥーウ!!』ATK2000→3600



クロっち「こ、攻撃力3600!?」



ネモっち「メインフェイズを終了し、バトルフェイズに移行!」


ネモっち「バトル! 《デストーイ・シザー・ウルフ》で《おジャマ・キング》に攻撃!」



ウルフ『ガーールーーウッッ!!』ATK3600



ダッダッダッ………!



キング『………オジャジャッ!?』ATK400



139 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:34:35.95 ID:3E6QcclyO



ネモっち「2体の攻撃力の差は3200! クロっちのライフは3100!」

ネモっち「どうする、クロっち?」



クロっち「ーーーこ、攻撃宣言時、永続罠《光の護封霊剣》の効果発動!」

クロっち「ライフを1000ポイント支払うことで、相手モンスターの攻撃を無効にする!」LP3100→2100



ガキーンッ!



ウルフ『ガーールウッ?!』ズザザッ



ネモっち「だったら、もう2回攻撃だよ!」



ウルフ『ガーーーー』



クロっち「2回目と3回目の攻撃宣言時、《光の護封霊剣》の効果発動!」

クロっち「それぞれの攻撃宣言時、ライフを1000ポイントずつ支払うことで、無効にする!」LP2100→1100→100



ガキーンッガキーンッ!!



140 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:36:21.43 ID:3E6QcclyO



ウルフ『………ガーールッルッルッルッ!!』



ネモっち「これでライフは100! もう攻撃を防ぐことはできない!」



クロっち「ぐうっ!?」LP100



ネモっち「トドメだよ! 《パーペチュアル・キング・デーモン》で《おジャマ・キング》に攻撃!」


ネモっち「パーペチュアル・シュート!」



パーペチュアル『グオオ………ガアッ!』ATK2000



ゴゴゴオオッ!!



クロっち「う、うおおおおおおおおおおおお!??」LP100→0



ピィーッ!



winner:【ネモっち】!



141 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 03:37:45.81 ID:3E6QcclyO
今夜はここまで
142 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:00:19.91 ID:75NfiOGOO
投下します
143 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:02:16.69 ID:75NfiOGOO



ネモっち「………うん、私の勝ちだねーー、クロっち!」LP4000


クロっち(ま、負けた………しかも、ネモは無傷、これじゃ私の完敗ーーー)LP0


ネモっち「………でもまあ、クロっちのデュエル、普通に凄かったと思うよ?」スタスタ

クロっち「………ああっ? 何言ってんだ、勝ったのはお前じゃねーか。しかも無傷だし………」

ネモっち「………いや、だって、そのデッキって普通に無改造の初期デッキでしょ? エクシーズもしなかったし」



144 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:03:51.51 ID:75NfiOGOO



クロっち「あっ、いや、まあそうだけど………」

ネモっち「それに加えて、クロっちは再開したばかりのプレイヤー。それがあそこまで戦えることの方が凄いと思うよ?」

クロっち「えっ、そ、そうかなーーー」

ネモっち「うん、もっと自分に自信を持って良いと思う」


クロっち「………………お、おう」カアッ

ネモっち「………あれれー、どうしたの? ひょっとして照れてる?」


クロっち「なっ、べ、別に照れてなんかーーー」

ネモっち「実はそのアバター、照れると、おちょぼ口になるんだよねーー」


クロっち(えっ、ちょっ、マジで!?)ババッ

ネモっち「………なーんてね。そんなわけないじゃん」



145 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:07:29.68 ID:75NfiOGOO



クロっち「なっーーー」カアアッ

ネモっち「なのに自分で口塞いじゃうなんてーー照れてるクロっち、おっもしろーい!」ニヤニヤ


クロっち「〜〜〜〜っ、ネモ! お前、いい加減にーーー!!」

ネモっち「でも、自分に自信を持っても良いっていうのは本当だよ? それと、ここではネモっちだよーー」


クロっち「〜〜〜〜っ、………………はあっ、お前と話してるとホント疲れるわ………」

ネモっち「………………ふーん、じゃあ、疲れない相手って誰?」


クロっち「ああっ、そんなのーーー」

ネモっち「そんなのーー誰かな?」

クロっち「えっ、あっ、」

ネモっち「」ジーッ


クロっち(………えっ、いや、なんで、そんなガン見してくんの!? 怖いんだが)

ネモっち「………正直に言うまで、この目やめないよ?」ジーッ


クロっち「………………」タラリ



146 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:09:01.21 ID:75NfiOGOO



ーー リンクヴレインズ 『 ビル屋上 』 ーー



???(………くそっ、どこもかしこも追っ手ばっか………)

???(リンクヴレインズから抜け出そうにも、“網”が張られてるから、出た途端に捕まっちまうしな………)


???(………やっぱココに来た当初の目的通り、アレやるしかないか? だけど、どいつもこいつも適合率低過ぎんだよな………)


???(あんなんじゃ、せいぜいーーー)


???(ーーーそれでも、やんなきゃ多分ずっとこのまんま………ハノイが変わらず活動しているところを見るに、あいつらまだ動けねーみてーだしな………)


???(………どうすっかな、いやマジで)



???(………ん? あれはーーーーーー)



147 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:11:26.18 ID:75NfiOGOO



ネモっち(………田村さんかーー、そっかーー………………)


ネモっち「最初からそう言ってよねーー」

クロっち「お、おう………」(お前がガン見してくるから言いづらかったんだろ!!)

ネモっち「アハハー………」(まあ、その辺りは『まだ』しょうがないかな? うん、『まだ』ね………)

クロっち「………でもまあ、ありがとな」


ネモっち「!」


クロっち「今のルール教えてくれて………それに、このアバターも………その、悪く無かったし」



148 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:12:58.99 ID:75NfiOGOO



ネモっち「………………そう、なら良かったーー、何日もかけて作った甲斐あったかな?」

クロっち「えっ、お前そんなにかけて………」


ネモっち「………本当、大変だったんだからねー? クロっちがクロっち自身にも可愛く見れるように作るのって」

クロっち「………ああ? そりゃどういう意味だ?」

ネモっち「さあ、どういう意味かなーー、ああ、そういえばこのあと時間大丈夫?」

クロっち「あ? そんなこと聞いてどうすんだ?」


ネモっち「いや、ちょうどこれからブルーエンジェルとGO鬼塚っていうカリスマデュエリスト同士のデュエルが始まるんだよね」

クロっち「ん、そうなのか?」


ネモっち「うん、だからもし良かったら、一緒に見ない?」


ネモっち「下にモニターあるし、二人で、ね」



149 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:14:34.62 ID:75NfiOGOO



クロっち「ああ、そういうことか………」

ネモっち「で、どうするの?」


クロっち「別に予定も無いし、一緒にーーー」ピピピッ

クロっち「ん、なんだ、メールかーー?………あっ!?」

ネモっち「………どうしたの?」


クロっち「………悪い、いまウチの母親からメール来た」バッ



150 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:16:02.57 ID:75NfiOGOO



〔ごめん智子。今日は×時からお客さんが来ることになったから、暫くリビングが使えなくなるの。だから、早めに晩御飯にするね。今すぐゲームやめてリビングに来て〕


クロっち「だとさ………」

ネモっち「………あー、そっかー、それじゃ、しょうがないかーー、ごめんね。その辺気にかけるの忘れてた」


クロっち「あー、まあ、気にすんな」(割と楽しかったし………)



151 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:17:26.36 ID:75NfiOGOO



クロっち「それより、ネモ…っちは、晩飯いいのか?」

ネモっち「うん、私はもっと後で食べる予定かな」


クロっち(………まあ、それが普通だよな。はあ………)

ネモっち「………それじゃあ、私はしばらくリンクヴレインズにいるから、また後でねーーー」

クロっち「ああ、ちょっと待て」

ネモっち「ん、なに?」


クロっち「………いや、そのブルーなんとかと鬼なんとかって、ここじゃ多分有名な連中だろ?」



152 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:18:30.96 ID:75NfiOGOO



ネモっち「………うん、そうだけど? それがどうかした?」

クロっち「いや、有名な連中同士のデュエルなら録画ぐらいされてんじゃないかなって、私らは後でそれ見れば良いんじゃないか?」


ネモっち「………へえ、それいいね、クロっち」キラーン

クロっち「そ、そうか? 割と普通のこと言っただけなんだがーーー」

ネモっち「ははは、じゃあ、晩御飯終わったら連絡してね。忘れちゃヤダよ?」

クロっち「わかってる、わかってる」


ネモっち「そういうわけで、今からそのデュエル見てくるねーー」



153 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:20:45.75 ID:75NfiOGOO



クロっち「あ? なんでだよ、後で一緒にーーー」

ネモっち「うん、後で一緒に見るときネタバラシするから! 楽しみにしててね!」

クロっち「!? おい、ちょっと待て! まさか、それが目的でーーー」

ネモっち「あはは、ネタバラシの部分は嘘だから安心して! すーぐ引っかかっちゃって、クロっちってばもーー」


クロっち「!? ………はあ、いいから行って来いよ。グズグズしてると始まっちまうぞ?」

ネモっち「うん、既に内容のわかってるデュエルを見た時のクロっちの反応、今から楽しみにしてるねーー、それじゃーー」ピュン


クロっち「………はあ、本当にやりづらいな、あいつは………」



154 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:22:58.34 ID:75NfiOGOO



???(………計測終了。どっちも適合率5パーセント以下、平均よりやや下とか………無駄骨だったか)ハア

???(しゃーねー、また別のアバター見つけてーーー)



ファンファンファン!



???(やべっ、見つかる! くそっ、リンクワープ!)ピュン



サクッ



???(………ふう〜、ちょうど死角にできる物(アバター)があって良かったーーってアレ?)


クロっち「………ん?」ピョン


???(んーっ、! んんーっ!)ピョンピョン


クロっち(………いまアホ毛が揺れて………?)



155 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:24:44.27 ID:75NfiOGOO



???(う、動けねえ!? ひょっとして、刺さった!?)ピョンピョン

クロっち(………風でも吹いてんのか? 電脳空間だってのにーーいや、それだけリアルってことか?)


???(おいおい、なんつー無駄に長いアホ毛だ! 規制しろよ、運営! あぶねーだろうが!)

クロっち「」ピョンピョン


???(………くそっ、さっきから何故かワープもできねえし………まさか刺さったことで、データが破損しやがったか!?)


クロっち「………まあいい、そろそろ帰るか」


???(えっ、帰るかって………まさか、ログアウトする気か!?)


クロっち「えーと、ログアウト画面は………」


???(ま、まずい………いまログアウトされたら俺も引きづられてーーー間違いなく“網”にかかる!)


???(そうなったらーーー)タラリ


クロっち「ああ、あった、これだ。ならさっさとログアウトすっか」ピピッ



ピュウンッ………………



156 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:25:42.87 ID:75NfiOGOO



???(ーーく、くそっ、こうなったら、一か八かーーー)

クロっち「………時間かかってんな。やっぱ人とデッキじゃデータの重さがーーー」

???(フュージョン!)ギュイーン

クロっち「………………!?!?」



???(?っ、!?)

クロっち(がっ、!?)



『『うわああああああああああああああああ!??!?』』



………………………ヒュンッ



157 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:27:05.68 ID:75NfiOGOO



ーー 現実世界 『 カフェ・ナギ 』 ーー



遊作「ーーーーっ、!?」

草薙「急げ、SOLテクノロジー社のスキャンがーーー」

遊作「………が………えた?」

草薙「ーーーどうした、遊作?」


遊作「AIが………消えた?」

草薙「………何だと!? どこでだ!?」



158 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:28:21.64 ID:75NfiOGOO



遊作「わからない………」

草薙「なっ、お前ならわかるんじゃなかったのか!?」

遊作「さっきの状態でわかるのは、繋げているネットワークに例のAIが潜んでいるか否かまでだ………具体的な位置までは特定できない」

遊作「そして、今のリンクヴレインズからは、例のAIの気配を全く感じない………」

草薙「………なんだそりゃ、何がどうなっているんだ」


遊作「いや、俺にも、まったく………!?」

草薙「!? このプログラムは、ハノイの騎士!?」



159 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:29:59.67 ID:75NfiOGOO



ーー リンクヴレインズ 『 広域エリア 』 ーー



ハノイA(暴れろ、《クラッキング・ドラゴン》!)



クラッキング『グラアアアッ!!』



ボオオオオオオオオオオオオオオッ!!



「きゃああーー!?」

「た、助けてくれーー!!」

「う、うわああーー!?」



ハノイA(………さあ、イグニスよ! 貴様も我らハノイに恐怖し、その鼓動を昂ぶらせよ!)

ハノイA(それが貴様の居所をつきとめるための、良き狼煙となる!)



160 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:31:00.91 ID:75NfiOGOO



ーー 現実世界 『 カフェ・ナギ 』 ーー



草薙「ハノイの攻撃が始まったぞ………!」

遊作「………!」ザッ

草薙「っ、待て遊作、どこに行く気だ!?」ガシッ

遊作「リンクヴレインズだ! あのハノイと戦う!」バッ


草薙「何だと!?」

遊作「探していたAIはもうリンクヴレインズにはいない! 俺たちは捕獲に失敗した!」

遊作「ならば当初の予定通り、ハノイのデータ収集に移るまでだ!」


草薙「無茶だ! セキュリティレベルの低下した今、奴らがお前のデュエルに応じるとは限らーーあっ!」



161 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:32:48.46 ID:75NfiOGOO



遊作「………!」タッタッタッ



バタンッガーッ

ガーッガチャッ



草薙「なっ、遊作! お前、まさか南京錠で………!?」ガタンガタンッ



遊作「デッキ、セット!」



草薙「やめろ、よすんだ! くそっ、電源をーーー」



イントゥ ザ ヴレインズ!



162 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 15:34:04.99 ID:75NfiOGOO
今はここまで
163 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:23:19.35 ID:aSoCDnd2O



〜〜 ??? 〜〜



もこっち(う、うわあああああああああ!??!)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「3つ………3つ考えるんだ」



ザザッ………



「クリンクリンク〜〜!」



ザザザザッ………



「ちゃらんぽらんが………」



ザザーザッ………



「消え去れ、サイバース!」



ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



もこっち(あ、頭がわ、割れ、れれ、れーーーーーーーーー!!??)



164 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:25:08.82 ID:aSoCDnd2O



ーー 現実世界 『 黒木宅 “ 黒木智子の部屋 ” 』 ーー



もこっち「………………はっ、!?」ガバッ


もこっち(ここは………私の部屋………っ、っ、まだ、頭がっ、………!?)ズキズキ


もこっち(………………くっ、なんだったんだ、さっきのは?)

もこっち(急に頭が痛くなって、わけわかんない映像流れて………装置の故障か?)ガチャッ


もこっち(………なんにせよ、ここは一度病院にーーー)トテトテ


???「………あー、くそっ、壊れるかと思った………」


もこっち「………えっ?」クルッ


ぴょこんっ



165 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:26:36.65 ID:aSoCDnd2O



???「………だがまあ、特に問題はねーみたいだな。やっちまって正解だったか?」


もこっち「………!?!?」


???「まあ結局、想定通り、このザマだったわけだけどよ………」

???「でも、このディスクやPCん中見る限り、ぜってー、ハノイやSOLじゃねえし………ギリセフギリセフ」


もこっち「………っ、!? ………っ、!?」パクパク


???「………ん?」


もこっち「あっ、あ、ああ、う………あっ、………!?」パクパク


???(ああ、そういう………)

???(………ちょーっと、からかってやるか)ニヤリ



166 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:27:42.11 ID:aSoCDnd2O



???「………なんだお前? こっちの方見てよ。なんか気になることでもあんのか?」ニヤニヤ


もこっち「わ、わ、たたたしし、あ、あば、ばばたたたた………!?」


???「あー、なんだって? そんな、どもってちゃわかんねえっつの。もっと、わかりやすく大声で言ってくれよ」ニヤーリ


もこっち「わ、私の、ア、アバターが………………」

もこっち「しゃべってる!??」



167 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:29:27.00 ID:aSoCDnd2O



クロっち(?)「あー、やっぱそー反応するよな、フツー」ニヤニヤ


もこっち(しかも、アホ毛の先になんかついてるし………?)


クロっち(?)「」ピョンピョン


もこっち(あれは眼か………? いや、そんなことよりもーーー)

もこっち「お、お前、い、いった、いいいい………………!?!」


クロっち(?)「なんかのバグか? コンピュータウィルスか? ただのドッキリか? 知りたいのは、そんなとこか?」


もこっち「………っ、っ、!?」


クロっち(?)「でも残念! そんなチンケなもんじゃありませーん! 俺はもっとスゲー存在、超超高性能のAIなのだ!」エッヘン


もこっち「えっ、えええっ、AIだあ!?」


クロっち(?)「超超高性能、な。そこらのAIと一緒にしてもらっちゃあ、困るぜ?」チッチッ



168 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:30:29.16 ID:aSoCDnd2O



もこっち(な、なんだよそりゃ!? 意味わかんねーよ!)

もこっち「うっ、ううう………」


クロっち(?)「あー、なんだ? 言いたいことあんなら、唸ってないでちゃんと言ってくれよ」ニヤニヤ


もこっち「………っ、………なっ、な、ななな………」


クロっち(?)「んー? なんだってー? キコエナーイ!」


もこっち「………なんなんっ、だよ、お前は?!?」



169 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:32:07.02 ID:aSoCDnd2O



クロっち(?)「またお前って………あー、そーか、まだ名乗ってなかったか………うーん、そうさなあーーーーーー」ニヤニヤ


もこっち(そういうこと言ってんじゃ………! つーか、さっきからその顔でニヤつきやがって………!! 腹立つ………!!)


クロっち(?)「ーーーよし、決めた! 今はこう名乗るってやるぜ!」


もこっち「………!?」


クロっち(?)「俺は謎の生命体ーーー『アンノウン・イグニス』、略して『A・I』)


Ai「まあ、親しみを込めて、『Ai』とでも呼んでくれや」ニンマリ



170 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:34:03.15 ID:aSoCDnd2O



もこっち「………………」


Ai(へっへーん、どうだ! このネーミングセンス! カッコよくてたまんねーだろ!)


もこっち「………アンノウンのスペルは、頭文字Uで、Aじゃねーぞ」


Ai「………えっ、」


もこっち「つーか、イグニスに『生命体』なんて意味ねーし………何なら調べてみるか?」


Ai「あっ、えっ、ちょっと待って、いま検索して………あっ」


もこっち「………………」


Ai「………………」


もこっち「………………」


Ai「………………マジだったわ、うん」


もこっち「お前バカだろ?」


Ai「ば、バカ!?? お、俺がバカだとお!?」


もこっち「いや、実際バカだろ」


Ai「うぉい! バカって言う奴がバカなんだぞ! それに、バカは禁止用語………って、うああああああ!?!」



171 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:36:11.77 ID:aSoCDnd2O



(………正直、この時の私はわからないことだらけだったがーーー、ただ一つ、このAIについて確信できたことがある)

(それはーーーーーー)









もこっち(やっぱりコイツはバーーー)


黒木母「ちょっと! いつまでやってるの!? さっさと、下に来て、ご飯食べちゃいなさい!!!」


もこっち&Ai「「ゴ、ゴメンなさい………!!」」












(ーーー結論、このAI、ビビリである)

(オマエモナー)


172 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/01(金) 19:37:47.75 ID:aSoCDnd2O
今日はここまで

そしてこれで喪1が終了
次回は喪2からスタートです
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/01(金) 20:46:39.10 ID:Q+qHZrZq0
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 05:26:35.57 ID:YnLkWjO7O

ゆりもこにも期待
ネモクロはもういいっす
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/02(土) 15:33:27.90 ID:HDh3Wl/r0
面白いけどクロっちって名前が卑猥で笑える
176 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:11:44.94 ID:Q7lXZUDJO
投下します
177 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:12:39.95 ID:Q7lXZUDJO



喪2:モテないし、Aiを知る



ーー 夜中 『 草薙宅 “ 寝室 ” 』 ーー



遊作「すまない、草薙さん………家に泊めて貰って」

草薙「気にするな、お前と俺の仲だろ。それよりも身体の調子はどうだ?」

遊作「ああ、このくらい問題ーーっ!?」ズキッ

草薙「全然大丈夫じゃないみたいだな………まったく、ハノイと連戦なんてするからそうなるんだ」


遊作「………すまない」



178 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:14:19.82 ID:Q7lXZUDJO



草薙「………あの状況で飛び込めば、お前だってハノイと連戦になることくらいわかっていたはずだ」

草薙「ハノイは、セキュリティが回復するギリギリまで暴れまわるつもりだったらしいからな」

草薙「邪魔をされても、新しいハノイが派遣され、暴れるだけの話だ。そのハノイとも戦おうとすれば、連戦にもなる」

遊作「………………」


草薙「派遣されたハノイたちには、GO鬼塚とブルーエンジェル………あともう一人も対処してくれたが、ハノイという組織の規模を考えれば焼け石に水」

草薙「もちろん、遊作たちのおかげで、より多くのハノイを観測し、データを得ることができたのは確かだ」

草薙「………仮にデータが得られなかったとしても、遊作たちの近くにいることで、結果的に守られた人間もいた」

草薙「ならば、無意味であるはずがない。それは事実」


草薙「………だが結局、SOLがスキャンを停止させてセキュリティを回復させるまでの間、ハノイの派遣も破壊活動も止まることは無かった」

草薙「それで、遊作は最後までハノイと戦い続けることになった。それもまた事実なんだ」



179 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:16:11.61 ID:Q7lXZUDJO



遊作「………………」


草薙「何より、ハノイの攻撃は、奴らのプログラムによって衝撃が増幅し、現実の肉体にフィードバックする」

草薙「今回のように、デュエルを重ね、カードによる攻撃を受け続ければ………アバターは無事でも現実の肉体がもたない」

遊作「………………………」


草薙「遊作がその程度のダメージで済んだのは、それ以上を食らう前にセキュリティが回復し、ハノイが撤退したことが大きい」

草薙「だけど、そうじゃなかったら今頃どうなっていたことか………」



180 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:18:24.38 ID:Q7lXZUDJO



遊作「………………」


草薙「それだけじゃない。そもそも俺たちのデュエルプログラムは、ハノイのそれと違って不完全なんだ」

草薙「ハノイのデュエルプログラムは、それが機能している間、持ち主に攻撃が受け付けられることは基本的に無い」

草薙「例外は、同じプログラムを持った者同士のデュエルで発生する衝撃とフィードバックくらいだ」

草薙「だが、俺たちの不完全なプログラムでは、そうはいかない」


草薙「俺たちの不完全なプログラムでは、カードを媒介とした攻撃ならば、デュエル時以外でもその攻撃を受け付けてしまう」

草薙「そして、現実の肉体にフィードバックされてしまうんだ」

草薙「しかも、その攻撃には、『ルール』という枷が無いため、アバターが破壊される」

草薙「それに加えて、ハノイのプログラムでは、デュエルで倒した相手のセキュリティを機能停止させ、好き放題できるがーーー俺たちのプログラムでは、機能停止にまでは至らない」


草薙「もし、ハノイ全員が、デュエルやその結果を無視して、破壊行為を続けていれば、遊作のアバターは壊され、たやすく排除されていた………」

遊作「………………」



181 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:20:17.21 ID:Q7lXZUDJO



草薙「………とにかく、デュエルプログラムが完成するまでの間、ハノイとのデュエルは、以前のようにセキュリティレベルの安定した状態の時に絞って行うべきだ」

草薙「今回のようにセキュリティレベルの低下した状態では、ハノイはデュエル以外でもカードによる破壊行為ができてしまう」

草薙「その攻撃を受けていたら、一般の被害者同様、何のリターンも無く時間を無駄にする羽目になっていただろう………」

遊作「………………………」



草薙「………すまないな、遊作。病院にも送ってやらない癖に、こんなこと言って………」

草薙「いや、それ以前に俺が電源を落としていればーーー」

遊作「………草薙さん、俺にはあんたに言うべきことが3つある」



182 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:21:44.94 ID:Q7lXZUDJO



草薙「………?」


遊作「一つ、病院に送らないのは当然だ」

遊作「俺が今回受けたダメージは、一般の被害者よりも大きい。それほどのダメージを受けているとなれば、不審に思った医者が警察に通報するだろう」

遊作「そうなれば、俺たちの目的を果たすことが難しくなる」




183 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:23:38.13 ID:Q7lXZUDJO



草薙「いや、それはそうだが………」


遊作「二つ、俺たちのVRダイバーは、市販品よりも遥かにハイスピードで電脳空間へと繋がる。それより前に電源を落とすのは困難だ」

遊作「無論、繋がったまま電源を落とすわけにもいかなかった」

遊作「それは、リンクヴレインズ全体の安全装置がハノイのクラッキングで機能しなくなっていたことを考えれば、自殺行為に他ならない」

遊作「そんな状態で電源を落とし強制ログアウトを試みれば何が起こるかわからない」


遊作「ーーー最悪、植物状態になる可能性だってあった。ならば、どのみち電源を落とすなど、できるはずがない」


草薙「………………」


184 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:24:57.11 ID:Q7lXZUDJO



遊作「そして、三つ………このダメージは俺の完全な自業自得だ」

草薙「遊作、お前ーーー」


遊作「草薙さんの言う通り、敵が都合よく動いてくれることに期待して、無防備を晒すなど正気の沙汰じゃない」

遊作「だから、草薙さんが気に病むことなんて、何一つとしてーーー」

草薙「………なら、今回と同じようなことが次に起きたら、遊作はどうするんだ?」



185 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:26:11.73 ID:Q7lXZUDJO



遊作「………………」

草薙「………まあ、デュエルプログラムに関しては、また改良を試みてみる。今回の件でハノイのデータも増えたわけだからな」

草薙「だから、しばらく休んでろ、遊作」

遊作「っ、それはーーー」


草薙「今のお前は休むべきだ。そんな身体で無理したら、目的を果たすことすらできなくなる。違うか?」

遊作「………………っ、」


草薙「荻野先生には俺からも伝えておく。うまく誤魔化してやるから、しっかり休め」

遊作「………本当にすまない」

草薙「気にするなって言っただろ? それより欲しい物があったら言ってくれ。PCとデュエルディスク以外なら渡してやるからさ」

遊作「………………」



186 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:27:30.44 ID:Q7lXZUDJO



ーー 『 SOLテクノロジー本社 “ 特別室 ” 』 ーー




「財前、これはどういうことだ?」



晃「申し訳ありません! 全ては、私の責任です!」



「ふざけるなよ、財前!」

「大規模スキャンを行わせてやったにも関わらず、イグニスを捕獲できなかっただと?」

「貴様は居眠りでもしていたのか?」



晃「そのようなことは、決して!」



「つまり正常な状態にありながら、イグニスをハノイに横取りされたというわけか」

「こんな無能な男を部長職に就かせていたとはな………」

「………観ろ、これを!」



187 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:29:15.51 ID:Q7lXZUDJO



ブウンッ



『やあ、SOLテクノロジー社の諸君。我々は見ての通り、ハノイの騎士だ』

『此度のセキュリティレベルの低下には感謝してもしきれない。おかげでイグニスを手に入れることができた』

『ああ、これでイグニスからサイバース世界の在り処を聞き出すことができる』

『尋問が終了次第、我々はサイバース世界に侵攻し、全てを滅ぼす!』

『サイバース世界が滅んだその時こそ、イグニスに依存することの無い、かつての世界が再誕する!』

『そうして貴様らは、イグニスに依存し続けてきたことがいかに愚かな行いだったか、身をもって知ることになるだろう!』

『我々ハノイの忠告を今まで散々無視してきた罰だ! 恨むなら、自らの強欲を恨むことだな! 金の亡者ども!』



『『『『『『『はははははははははははははは!!!』』』』』』』



188 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:31:04.41 ID:Q7lXZUDJO



プツンッ



晃「………………………」



「これは、我が社に届いた、ハノイからのメッセージのコピーだ! まったくもって、ふざけている!」

「これを観た時の我々の気持ちが君にわかるか?」

「何か言い訳はあるか? 財前!」



晃「………イグニスを捕獲できなかったことに関しては、弁解のしようも御座いません。いかなる処分も受ける覚悟です」



189 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:32:45.48 ID:Q7lXZUDJO



「………………」



晃「ただーーー発言してもよろしいでしょうか?」



「………一応聞いてやろう。発言を許可する」



晃「はっ、ありがとうございます! それではーーーおそらく、ハノイはイグニスを捕獲できておりません」



「………何?」



晃「イグニスは、ハノイから逃げ延びたのだと思われます」



「………何を言っているのだ。だったらさっきの映像でハノイ共が言っていたことは何だ?」



晃「あの発言は嘘でしょう」



「なぜ、そうだと言い切れる?」



晃「はい、イグニスがハノイの手に渡っているのであれば、その声明を出すはずが無いからです」



190 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:34:33.61 ID:Q7lXZUDJO



「………どういうことだ」



晃「まず、本当にハノイが我が社よりも先にイグニスを捕獲した場合、その後の我が社が取れる行動は一つに絞られます」

晃「それは、ハノイがサイバース世界に再び侵攻した後に、こちらもサイバース世界に侵入し、そこのイグニスを懐柔して我が社で管理することです」



「………………」



晃「サイバース世界消失当時の我が社は、常識外のイグニスに配慮し、サイバース世界への深入りは行わず、表面を監視するに留めておりましたがーーー現在はそれが許される状況にありません」

晃「また、ハノイがサイバース世界に侵攻するためには、ネットワークの構造上、サイバース世界を観測可能な状態に戻し、人の出入りを可能にする必要があります」

晃「つまりその時、我が社がサイバース世界を観測し、侵入するチャンスがあるということになります」

晃「逆に言えば、そのチャンスを逃したが最後、ハノイは本当にサイバース世界を滅ぼしてしまうでしょう」


晃「以上のことから、ハノイがイグニスを捕獲した場合、我が社がサイバース世界に侵入してイグニスを管理する方針にシフトしない理由はありません」

晃「そのことはハノイも理解しているはずです」



191 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:36:42.04 ID:Q7lXZUDJO



晃「ならば、ハノイとしては、自分たちがイグニスを捕獲したことを我が社に伝える理由はありません」

晃「そんなことをすれば、我が社の方針が、『サイバース世界への侵入、イグニスの懐柔及び管理』に絞られ、それに我が社のリソースが集中し、ハノイにとって不都合な事態を実現される恐れがあるからです」


晃「しかし、なぜかハノイは、イグニスを捕獲したという声明を出しました」

晃「それはつまり、未だハノイはイグニスを捕獲できておらず、捜索を邪魔されたくはなかった」

晃「そのため、我が社の方針からイグニス捜索が除外されるよう、誘導するために声明を出したーーー」



晃「ーーーそれが真相であると、私は考えております」


192 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:38:35.91 ID:Q7lXZUDJO



「ーーーふむ、言われてみれば確かに、あの声明は不自然極まりない………」

「冷静に考えてーーー、財前の推論が事実である可能性は高いか………」

「無論、その推論は、『我々SOLテクノロジー社が、イグニスを捕獲できていない』『その事実をハノイが知っている』という2つの前提条件の元で成り立つものではありますがーーー」



「我々がイグニス捕獲に失敗したことなど、ハノイは気づいていることだろう」

「ああ、我々がイグニスを捕獲したのであれば、迷うことなく別ネットワークの“檻”に閉じ込める」

「そして、万が一にも奪われることの無いよう、そこのセキュリティを強固なものとするでしょう」



「当然、全利用者をログアウトさせた後は、リンクヴレインズのサーバーの電源を落とし、その分の電力をセキュリティに回すことになる」



193 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:40:49.29 ID:Q7lXZUDJO



「だが、我々はそれをしなかった」

「その通り。警察の調査が終わるまで、リンクヴレインズの電源を切ることは無かった。警察など、我々ならいくらでも圧力をかけられるにも関わらずだ」

「それは、我々SOLテクノロジー社が、イグニスを捕獲できていないと証明しているようなもの。ハノイに気づかれていない方が不自然と考えるべきでしょう」



晃「………………………………………………………」



194 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:41:59.18 ID:Q7lXZUDJO



「………だが、財前。我々が先ほどの声明を信じ続けていた場合、結局はイグニスの懐柔及び管理に我が社のリソースを集中させ、そのための時間まで与えてしまう結果を招いていたはずだ。それについては、どう考える?」



晃「………イグニスを先に捕獲した者は、誰よりも先にイグニスに関する情報を得ることができます」

晃「つまり、そうでない側に対し、常に先手を打つことが可能となるのです」

晃「そして、そのタイミングは自らの思いのままに決めることができるーーーそれだけのメリットを得られるのならば、準備時間を与える程度のデメリットは、ハノイとしても必要経費かと」



195 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:44:52.90 ID:Q7lXZUDJO



「なるほどな………理解も納得もできる話だ」

「だが、そうなると、イグニスはーーー」

「………既にリンクヴレインズから逃亡したと考えるのが妥当でしょう………」



「………一応、イグニスが外部のネットワークに脱出した場合は、展開した“網”で捕獲できる手筈だったがーーー」

「あの“網”は、長時間広範囲に展開できるような代物では無いからな………時間がくれば“網”を消さざるを得ない」

「あの“網”は、その維持のために消費する電力が桁外れです。長時間展開し続ければ、消費限界電力をオーバーしてしまいますから」



「だからこそ、早急に大規模スキャンを行わせたわけだがーーー」

「それも、ハノイのせいで完全に実行することはできなかった………」

「結局、9割スキャンした時点でサーバーに限界が近づき、オーバーヒート回避のため、終了せざるを得ませんでした………」



「その直後、イグニスがハノイから逃亡できるよう、我々で“網”を消した。もはやリンクヴレインズにイグニスはいないと見るべきだろう………」



晃「………………………………」



196 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:46:55.90 ID:Q7lXZUDJO



「………イグニスを見失ったことにより、また振り出しに戻ってしまった。これからどうするべきかーーー」



晃「………発言してもよろしいでしょうか?」



「………許可する。話したまえ」



晃「はっ、それではイグニス捜索の件についてですがーーーここは発想を転換し、サイバース世界を発見することにシフトしてはいかがでしょうか?」



197 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:48:58.12 ID:Q7lXZUDJO



「………財前、それは正気で言っているのか?」

「電脳ウイルスによる精神汚染を、疑わざるを得ない発言だな」

「サイバース世界の在り処は、イグニスが隠して以降、一向に不明のままだ。だからこそ、つきとめるために、こうしてイグニスを探し出しているのではないか」



晃「おっしゃる通りです。ですが、サイバース世界を発見する方法は逃走したイグニスを探し出すだけに限った話ではありません」



「何?」



晃「我々は現在、サイバース世界探知システムの改良を試みております」

晃「その作業が完了すれば、必ずやサイバース世界の在り処をつきとめることができるでしょう」



198 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:50:48.95 ID:Q7lXZUDJO



「………ああ、そういえばそんなものもあったな」

「サイバース世界は、イグニスの気分次第で別のネットワークにワープするからな………当時の我が社には欠かせないシステムだった」

「財前の言う通り、それの改良に成功した場合、隠されたサイバース世界の在り処をつきとめることも可能となるでしょう」



「そして、座標さえ特定できれば、サイバース世界を覆ったプログラムを解析し、解除することも検討できる………」

「そうして、出入り可能な状態に戻せば、侵入しイグニスの懐柔及び管理を行うことも夢ではない………」

「………しかし財前、探知システムの改良は、未だ滞っていると聞いていたが?」



晃「いえ、既に作業完了の目処は立っております」



199 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:52:23.02 ID:Q7lXZUDJO



「何!?」



晃「今回、プレイメーカーと名乗る謎のハッカーのデュエルを通し、サイバース族に関する更なるデータを観測することができました」

晃「それにより、サイバースに関するデータが増え、装置改良の更なる糸口となったのです」

晃「その後、我が社のスーパーコンピュータにシュミレーションを繰り返させた結果、先ほど作業完了の目処が立つに至りました」



200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/02(土) 21:54:37.47 ID:Q7lXZUDJO



「なんと! それを早く言わんか!」



晃「申し訳ありません! また、その資料については、早急に作成し、後ほど提出いたします」



「………まあいい、それで改良には、どのくらいかかるのだ?」



晃「現時点の計画では、最低3年はかかるかと」



「遅すぎる!」

「………3年も経過すれば、我が社のデータマテリアルは完全に底をついてしまう」

「その後の我が社の運命は火を見るよりも明らか………そんな状態でサイバース世界に侵入し、イグニスを管理する余裕などあるはずがない」



晃「お待ちください! 3年という時間は、あくまでも現時点での結論です!」

晃「1週間………いえ3日の猶予を頂きたい! その間に期間短縮の方法を………!」



201 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/02(土) 21:55:56.20 ID:Q7lXZUDJO



「もういい、財前。貴様は下がれ」

「貴様のような無能な男に期待したこと自体が間違いだった」

「貴様は予定通り島流しだ………準備だけは前からさせてあったはずだ。先ほど言った資料とやらを早急にまとめ、次の役員会議の後、荷物を抱え本社から出て行け!」



晃「………大変申し訳ありませんでした。失礼いたします………」


タッタッタッ………


ガーッ………ガーッ………



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