もこっち「モテないし、ヴレインズ」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

246 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:04:53.46 ID:z4K+Hx+YO



荻野「みんな! 今日もおはよう!」ガラッ



あっ、おはよーー!



ネモ「………………」

もこっち(………どうにかなんねーかな、この教師は)


荻野「前にも話したと思うけどーーー今日は転校生を紹介するわ!」



「うおーー、待ってました!」

「どんな人だろー?」

「美人来い美人来い美人来い………!」

「せんせー、この変質者は転校させた方が良いんじゃない?」

「そりゃねえだろ!」



あははははは!



247 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:06:53.36 ID:z4K+Hx+YO



もこっち(………私たちやネモたち以外は、すっかりいつも通りのノリに戻ったな。まあ、1週間も経てば、そうもなるのかもしれねーが………)

ゆり「………………」



荻野「はいはい、みんなその辺りでストップストップ! 今は転校生を紹介する時間よ?」



はーい!



荻野「そういうわけだから、もう入ってきて大丈夫よ! みんな注目ーーー!」



葵「………………」スタスタ



おおおおお!



248 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:08:00.74 ID:z4K+Hx+YO



もこっち(………ふーん、割と美人じゃねーか。だがーーー)



荻野「転校生の財前葵さんよ! みんな、拍手の用意!」スッ

葵「………よろしく、お願いします」



よろしくー!



パチパチパチパチパチパチ



葵「………」ペコッ



もこっち(ーーー明らかな陰キャだな)パチパチ

ネモ「………………?」パチパチ



249 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:09:16.01 ID:z4K+Hx+YO



もこっち(おいおい、割と美人で陰キャって、あいつとキャラ被ってんじゃねえか)

ゆり「………………」


もこっち(でも、まあ、あいつと違ってーーー)



葵「」ペターン



もこっち(胸ねーな、コイツ………)

もこっち(やっぱ女は胸デカい方が………)チョコン

もこっち(いや、あの貧乳は美人だし、乳が貧しくてもステータスになりうるか? そうなると、やっぱ私じゃーーー)



250 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:11:05.63 ID:z4K+Hx+YO



荻野「………財前ーー!!」

葵「」ビクッ



もこっち(うおおっ、!?)ビクビクッ



荻野「ダメよ、もっと大きな声で言わないと! でなきゃ、財前の、みんなと仲良くなりたい気持ち、伝わんないわよ!」

葵「えっ、あーーー」


荻野「そういうわけで、もう一度! はい!」

葵「あっ、………よっ、よろしくーーお願いしますっ、………」



………よろしくー!



パチパチパチパチパチパチ………



荻野「うーん、もうちょっと大きな方が伝わりやすいかしら?」

葵「………………………」



ネモ「………………………」

もこっち(………マジで、どうにかなんねえかな、この教師………)



251 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:12:31.76 ID:z4K+Hx+YO



荻野「でも今はいいわ。今日は時間も押してるし、質問コーナーとかも後回しよ。まずは、藤木の隣に座ってちょうだい」

葵「藤木………?」

荻野「ああ、あの空いた二つの席の右側が藤木の席。財前はその隣よ」

葵「あ、はい………わかりました」

荻野「藤木は、ここしばらく休んでいるけど、明日には登校できるみたいだから、仲良くしてやってあげて!」

葵「え、あ、その………」

荻野「返事は?」

葵「ーーーはい………」


荻野「ありがと! ああ、島も後で藤木のこと財前に教えてあげて!」



252 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:14:25.22 ID:z4K+Hx+YO



島「………えっ、俺ですか?」キョトン



荻野「他に誰がいるの? 藤木と島は、同じ時期に転入してきた仲間でしょ?」



島「いや、まあ、そうですけどーーー」



荻野「それに島が藤木を気にかけてるの、先生は知ってるわ! 自信持って教えてあげて!」



島「は、はあ、わかりました」(少し話した程度で、そんなに詳しいわけじゃねーんだけどな………わかることだけ話しとくか)



荻野「ありがと! それじゃーー、財前は席に座ったら授業を受けてーーーそうしたらーーーーーー」

葵「………………」



もこっち(あーあ、この教師のクラスに入れられるとか………あの貧乳もツイてねーな)

ネモ(………あの子の声、どこかでーーーーーー気のせい、かな?)



253 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:15:48.10 ID:z4K+Hx+YO



ーー 放課後 『 通学路 』 ーー



もこっち(あれから、放課後ーーーいま私は、 胸のある方の陰キャ………こいつと一緒に下校している)スタスタ

ゆり「………………」スタスタ


もこっち(それにしても………あの貧乳は本当災難だったな………)

もこっち(一時限目終わってから、クラス中から質問攻めにされて………、そんで困っている貧乳に、加藤さんが助け舟を出して………)


もこっち(それから別クラスの奴がやってきて………あの貧乳の兄貴について話題にされまくったときた)



254 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:17:40.74 ID:z4K+Hx+YO



もこっち(あの貧乳………驚いたことに、兄貴がSOLの元セキュリティ部長だったらしい)

もこっち(そう、例の大規模スキャンを実行に移して左遷されたと言われている、あの部長が、だ)


もこっち(それで興味本位で近寄ってくる奴や騒ぎ立てる奴が出てきて………加藤さんでも全部対処しきれなくて………)

もこっち(デコとヤンキーとガチレズさんまで加藤さんに加勢する事態になった)


もこっち(そんで、どうにか事態が鎮静化したもののーーそれでも貧乳はどこか落ち込んだ状態のままだったらしい)

もこっち(どうにかしようと加藤さん達はアプローチをかけたみたいだがーーそれは、あの貧乳自身が拒絶した)


もこっち(さっき、自分たちを含むクラスの何人かと一緒に下校することも提案していたが、それも拒絶して、そそくさとどっかに行っちまった………)


もこっち(………その後はみんな、あの貧乳のことで、少し落ち込んだ)


もこっち(それから、デコと加藤さんは、今まで通り、ネモのフォローに戻って一緒に下校して………)

もこっち(ヤンキーは、ヤンキー仲間と下校して、ガチレズさんは途中まで私たちと一緒に下校した………)


もこっち(そんで私とこいつはこうして二人で下校しているわけだが………)チラッ

ゆり「………?」



255 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:19:04.21 ID:z4K+Hx+YO



ゆり(黒木さん、いま私の方をーーー)

もこっち(………なんかここ最近、立て続けに問題が起きている気がする………何がどうなってやがんだ………)ズーン


ゆり(………でもすぐ下の方を見て………やっぱり根元さんや今日のことーーー)


ゆり(………あっ、そろそろ駅にーーー)シュン

もこっち(………ああー、くっそ、こういう時はアレだ。くだらないサイトでも見てーーー)スッ



256 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:20:46.46 ID:z4K+Hx+YO



ピピピッ



もこっち(ん? メール? 誰からだーーーって!?)

ゆり「………黒木さん、もうすぐ駅だけどーーー」


もこっち「………っ、お、おう! また明日だな!」(やべえ! 早く帰らねえと!)

ゆり「………? うん、そうだね………」















うっちー「………………………………………」



257 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:22:20.15 ID:z4K+Hx+YO



ーー 『 黒木宅 “ 黒木智子の部屋 ” 』 ーー



もこっち「はあ、はあ………っ!!」ガチャッ


Ai「おせーぞ、クロっち。もうちょい早く来れねーのかよ」


もこっち「………うるさい………時間内には来ただろーが………!」


Ai「知らねーのか? こういう時は、余裕をもってだなーーー」


もこっち「だいたい、なんだよ? いきなり呼び出して………!」


Ai「用があるからに決まってんだろ。それはーーー」


もこっち「つーか、お前いったい、いつまでウチにいるつもりだ! こんな旧式のPCにいるより、もっと良い場所があるだろ?」

もこっち「さっさとそのアバターから離れて、どっか行けよ!」


Ai「だから、それはできねーんだって。前にも説明したが、今の俺じゃ分離はできねーんだよ」



258 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:24:35.36 ID:z4K+Hx+YO



Ai「それに、他の電脳空間に行こうにも、今の俺は、本来違うデータを無理やり繋ぎ合わせたせいで、データの形がいびつになってるんだ」

Ai「そのおかげで特定の電脳空間以外には移動できねー。仮に移動したら俺が壊れる」


もこっち(知るかよ、そんなの………! いいから返せよ、そのアバター! それはネモから貰ったーーー)ギリッ


Ai「そんで新情報! 今の俺が行ける電脳空間は、クロっちのアバターを覚えている場所………言い換えれば、クロっちのアバターが存在していたことのある電脳空間だけだ」


もこっち「………ちょっとまて、それってーーー」


Ai「お前のPCとディスクとリンクヴレインズの中だけだな………」


Ai「ああ、『ネモっち』って奴の端末には移動できないから安心しとけ」



259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/03(日) 20:26:31.06 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「ーーーああ?」


Ai「どうも合体の際、クロっちの脳波の一部が、データとしてアバターに吸収されたみてーでな」

Ai「そのせいか、このアバターが脳波登録する以前に入った場所にまでは移動できねえ。面倒なこった」


もこっち(脳波が混じった………!? ひょっとして、あの時………!?)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「3つ………3つ考えるんだ」



ザザッ………



「クリンクリンク〜〜!」



ザザザザッ………



「ちゃらんぽらんが………」



ザザーザッ………



「消え去れ、サイバース!」



ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



もこっち(あの、頭がぶっ壊れそうな………わけわかんねー、映像が流れていたあのーーー)



260 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:28:09.70 ID:z4K+Hx+YO



Ai「ーーって、話が逸れてやがんな。こんなことを言うために呼んだんじゃねーや」ハアッ

Ai「とりま本題に戻すけどよ、クロっち、お前に頼みがある」


もこっち「………………頼みだと? お前が、私に?」


Ai「なあに、簡単な話だ。いっしょにリンクヴレインズに来てくれりゃあ、それで良い」


もこっち「はあ? 何でだよ?」


Ai「俺がハノイに狙われているのは知っているだろ?」


もこっち「………ああ、お前に聞かされたからな。それがどうした?」


Ai「第一段階、【デュエルに関する情報収集】がだいたい終わった」

Ai「だから次は、第二段階、【実戦での学習】を開始する時だ」


261 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:29:14.25 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「………?」


Ai「俺は、『デュエルを通して』『成長するように』『造られている』」

Ai「つまり、デュエルの実力が上がるほど、AIとして、できることが増えていくってわけだ」


Ai「そんで、どんどん成長していけば、いつかはデュエルプログラムを作成できるし、それでハノイを潰せるようになるだろうぜ」



262 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:30:36.74 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「デュエルで成長………? ハノイを潰す………?」


Ai「ああ、やっぱり俺としてはデュエルでハノイを潰したい」

Ai「つーか、そもそもハノイは今のところデュエルでしか無力化できないしな」

Ai「それを考えれば、実戦踏んで、デュエリストとして強くなるべきだろ」


もこっち「………どういうことだ」


Ai「どういうことも何も、ハノイは基本的に、デュエル以外じゃ突破できないプログラムで守られているんだよ」

Ai「もっとも、あのプログラムを貰ってる奴は、上から認められた少数だけみてーだがーーープログラムが必要な時は、その時限定だが必ず持たされている」


Ai「だからデュエリストとして強くなって進化して、俺もプログラムを作って、鍛え上げたそのデュエルで相手のプログラムを突破する。理論的だと思うけどな?」



263 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:32:56.82 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「………いや、意味わかんないんだがーーー」


Ai「あー、もー、とにかく、デュエル以外じゃ突破できないプログラムがあるんだよ」

Ai「逆に自分からデュエルをふっかけて勝利することで、どんなセキュリティも突破できる」


Ai「そう、デュエルさえ強けりゃ、無敵と呼ぶにふさわしいプログラムなんだ」

Ai「俺もそれを作って、同じプログラムを持ったハノイをデュエルで潰す」


Ai「そのためには、デュエリストレベル上げて、AIとしてもデュエリストとしても成長する必要がある」

Ai「それだけの話だ」



264 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:33:58.89 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「………いやいや、だから何でわざわざデュエルで突破できるようになんかするんだよ?」

もこっち「つーか、それ以前にデュエルで成長とかマジで意味わかんないんだがーーー」


Ai「個人用セキュリティやAIが進歩すると、自然とそうなるんだよ。これだから情弱は」ハアッー


もこっち「」イラッ



265 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:37:18.47 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「………ああっ? アンノウンのスペルやイグニスの意味も勘違いしていた奴が何言ってやがんだ?」


Ai「そ、それはーーそのーー、たまたま忘れてただけでーーー」アセアセ


もこっち「それ以外にも、この前話した時、人間には学校に行く文化があることすら忘れていたよな? それも、たまたま忘れただけだってのか?」


Ai「そ、それはーーほ、ほら、アレだ! お前は人間社会でいうところの引きこもりっぽかったし、それが人間のスタンダードなのかなーって思っただけだ!」


もこっち「そんなわけねーだろ! 私は毎日学校に通ってるし、そもそも学生全員引きこもってたら今ごろ世界が滅びてるわ、バカAIが!」


Ai「バカ!? お前またバカって言ったな!」


もこっち「バカにバカって言って、何が悪いんだよ! このバカバカAIが!」


Ai「だ〜から! バカって言った奴がバカなの!」プンプン



266 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:38:22.71 ID:z4K+Hx+YO



Ai「つーか、お前こそわかってんのか!? お前の人間関係は俺が握ってんだぞ! いいのか、悪戯メール拡散してもよお!?」


もこっち「なっ、お前ーーー!」


Ai「嫌だったら、大人しく言うこと聞いてろ、バカバカバーカ!」


もこっち(こ、この、クソバカAIが………!)



267 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:39:39.70 ID:z4K+Hx+YO



Ai「………とにかく、いっしょにリンクヴレインズに来いや。それで全部解決すんだよ」ハアッー


もこっち「〜〜〜〜っ、………何で私までついていく必要があんだよ。リンクヴレインズに行きたきゃ、お前一人で行けばいいだろ………!」


Ai「そういうわけにもいかねえんだよ。あそこに再び入り浸るにはお前の脳波が必要になる」


もこっち「脳波だ?」


Ai「ああ、リンクヴレインズには、入った際に各アバターから脳波を受信して、それが正常な状態にあるか確かめる機能がある」

Ai「健康に問題は無いか、登録時と同じ人間の脳波が使われているか、ってな」


Ai「そんな中で、ちゃんとした脳波の無いアバターが入ってみろ。すぐに異常を検知されて運営に追い回されるのがオチだ」


もこっち「………」



268 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:43:03.24 ID:z4K+Hx+YO



Ai「そーいうわけで、リンクヴレインズに来い。でなきゃ、バラまくぞ? ん?」


もこっち「………ちっ、わかったよ。行けばいーんだろ、行けば………」


Ai「おしっ、そうこなくっちゃな!」


もこっち「………だけど、以前お前が言っていた話によれば、ハノイにはお前を探知する手段があるんだろ? その辺の対策はできてんだろーな?」


Ai「おうっ、心配ないぜ! 今の俺は以前の俺と構造に違いがあるからな! ハノイにもSOLにも嗅ぎつけられる心配はねーよ!」


もこっち「………そうなのか? でもーーー」


Ai「しつけー奴だな。脳波のあるアバターで行動するんだから、疑われる心配はまずねーよ」


Ai「それに、さっきも言った通り、以前の俺とは構造に違いがあるから、対イグニス用の“網”にかかる心配もねえ。つーか、そうでなきゃ、ここに俺はいねーー」

Ai「しかも、SOLは1週間前の件でかなりバッシングされてるから、もう通告無しに大規模スキャンもやらねーだろうよ」


Ai「つまり、前みたいにハノイが襲撃して、ログアウト不可になることもねーってわけだ」


もこっち「………………」


Ai「わかったら、さっさとリンクヴレインズに行けっての。時間は有限なんだぞ?」



269 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:44:26.22 ID:z4K+Hx+YO



もこっち「………ちっ」スタスタ

もこっち「………はいよ、これで良いんだろ? さっさとやんな………!」ガチャッ



ヴォーンッ………!



Ai「よーし、それじゃあ、さっそくーーー」



イントゥ ザ ヴレインズ!



270 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 20:45:11.86 ID:z4K+Hx+YO
今はここまで
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 21:21:37.38 ID:btH9726t0
乙ー
272 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:01:44.66 ID:z4K+Hx+YO



ーー リンクヴレインズ 『 公園エリア 』 ーー



クロっち(………………これで2回目か………)


クロっち(………この姿、無事に到着したみたいだな)クルクルッ

クロっち(………って、ちょっと待て。私がこの姿ってことは、あのAIはーーー)


クロっち(Ai)(当然! お前の中よ!)


クロっち(うおっ、何だこの声!? どこからーーー)

クロっち(Ai)(そりゃ、もちろん俺の心の声よ! へっへーん!)


クロっち(こ、心の声だあ!? てゆーか、私喋って無いよな!? これってつまりーーー)

クロっち(Ai)(そう、今の俺はお前のアバターを身体にしている! そこにお前の意識データが入れば、脳内会話ぐらい楽勝なんだよ!)



273 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:03:19.86 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(マジかよ………)

クロっち(Ai)(言っとくが、できるのはこれだけじゃないぜーーーそい!)ヒュンッ


クロっち(ぬおっ、!?)ポンッ

クロっち(な、何だ? いま一瞬、身体の感覚が………)


クロっち(Ai)「………………」フリフリ

クロっち(えっ、)

クロっち(い、いま、身体が勝手にーーー)


クロっち(Ai)「あ〜〜〜〜、本日は晴天なり、本日は晴天なり♪」

クロっち(なっ、し、喋ってないのに、喋った!? これってまさかーーー)



274 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:05:30.96 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(Ai)(そのとーり! このアバターは俺の思い通りに動かせまーす!)クネックネッ

クロっち(………ふ、ふざけんな! 今すぐ、そのふざけた動きをやめさせーーー)


クロっち(ーーってアレ? 何だ、身体が言うことを聞かーーーーーー)

クロっち(Ai)(そりゃ俺の思い通りに動かせるんだから、お前には動かせないようになってるにきまってるじゃん。そんくらい想像働かせろよなーー)クネックネックニョン

クロっち(な、何だと!?)

クロっち(Ai)(俺がアバターの主導権渡せば、お前が動かせるけど、そんなつもりないしーーー)


クロっち(Ai)(つーわけでリンクヴレインズでは俺の思い通りに動きます! そこんとこ、シクヨローー)グニョーン



275 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:06:40.49 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(くっ、お、お前ーー!?)

クロっち(Ai)(少しくらい良いだろ? 現実世界に戻れば元に戻るしーー、それにお前は先週充分にリンクヴレインズ楽しんだみてーじゃねーか)

クロっち(Ai)(逃亡生活続けてた俺にも少しくらい自由を分けてくれよ)


クロっち(知らねーよ、そんなこと! お前いい加減にーーー)

クロっち(Ai)(さーて、それよりもデュエル相手をーーって、アラ?)


クロっち(おい! いいから、私のアバターをーーー)

クロっち(Ai)(人………いなくね?)


クロっち(ああっ!?)



276 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:08:07.20 ID:z4K+Hx+YO



ガラーン………



クロっち(Ai)(いや、ホント、マジで人いない)キョロキョロ

クロっち(………………ああ、確かにいないな。それがどうしたよ?)

クロっち(Ai)(いや、普段のリンクヴレインズの状態考えれば、この時間帯でこんな風に閑散してるなんてありえないんだがーーー)

クロっち(ああ? 1週間前にハノイの襲撃があったばかりだぞ? だったら入らなくなるのは当然だろ?)


クロっち(Ai)(いやいや、お前が帰ってくる前にネットで情報収集してたけど、今日も利用者数はそこそこ維持されていたはずだぞ?)


クロっち(Ai)(もちろん、1週間前よりは、かなり減ってはいるが、それでも利用者数はそこそこ維持されていたんだ)

クロっち(Ai)(その数を考えれば、学校や仕事終わりのこの時間帯に人がいねーはずがねー)



277 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:12:47.43 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(マジかよ………ハマるにしたって限度があるだろ)

クロっち(Ai)(だが、そういう人間が少なくないのは確かだ)


クロっち(Ai)(そして、そういう人間だらけの世界で、この時間帯に人がいねーはずがない)

クロっち(Ai)(よしっ、ちょっと情報検索してーーー)ピピピッ


クロっち(Ai)(………ああ、なるほど、そういうことか)

クロっち(あ? なんだよ、どういうことなんだ?)


クロっち(Ai)(どうにも、いまプレイメーカーがGO鬼塚って奴とデュエルしているみてーだな)

クロっち(Ai)(そんで皆、そのデュエルの場か、それが見れるモニター前に集まってるらしいぜ)



278 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:15:00.65 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………プレイメーカー? また偽者じゃねーのか?)

クロっち(Ai)(いや、実況によれば、サイバース族………ああ、プレイメーカーが持っているカードのことな。それを使っているし、間違いなく本物だ)

クロっち(Ai)(………なるほどねーー、どおりでこの辺から人がいなくなるわけだ)


クロっち(………サイバースって、確かお前が前にいた場所の名前だよな? なんか関係があるのか?)

クロっち(Ai)(………さあねえ、俺はプレイメーカーがどうやってカードを収集してんのかまでは知らねーし、なんとも言えねえな)


クロっち(ふーん………まあ別になんでもいいけどな)



279 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:16:41.95 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(つーか、プレイメーカーのデュエル見るためにこんなに人がいなくなってるのか………いまさらだが、すげー人気だな)

クロっち(Ai)(そりゃー、誰よりもハノイを倒しまくった男だからな! にしし、俺としても鼻が高いぜーー!)

クロっち(ああ? 何でお前の鼻が高くなるんだよ?)

クロっち(Ai)(えっ、あーー、いや何でもない。気にすんな)


クロっち(んだよそりゃ………? 意味わかんねーー………)

クロっち(Ai)(それはそうと、デュエル相手がいなきゃ話にならねえ。えーと、この場で最も近い位置にいるデュエリストはーーー)ピピピッ

クロっち(Ai)(ーーーおおっ、いたいた!)


クロっち(Ai)(………しかも、良い感じに孤立してやがるみたいだな。よーし、待ってろ!)タタタッ

クロっち(なっ、ちょ、勝手に走んなーーー)タタタッ



280 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:18:11.04 ID:z4K+Hx+YO



ーー リンクヴレインズ 『 コンサートエリア 』 ーー



クロっち(Ai)(おーし、ここだな、反応があるのは)

クロっち(………ここはーーって、あそこにいるのは………!)



ネモっち「………………」ボーッ



クロっち(ネモ!? 何でまたリンクヴレインズに………!?)

クロっち(Ai)(おー、あいつは確か、『ネモっち』って奴じゃねーか。確かお前の知り合いだったな)

クロっち(あ、ああ………)

クロっち(Ai)(そして、デュエルディスク装備しているところを見るに間違いなくデュエリスト、こいつは良い!)


クロっち(!? おい、まさかお前ーーー)

クロっち(Ai)(おうともよ! あいつとデュエルするぜ!)


クロっち(ま、待て! 今のネモはーーー!)



281 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:19:17.62 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(Ai)「おーい、ネモっち!」タッタッタッ

ネモっち「!」

クロっち(っ、お前、また勝手にーーー!?)


ネモっち「クロ…っち………?」

クロっち(Ai)「こんなとこで会うなんて奇遇だな。さっそくだけど、お…私とデュエーーー」



ネモっち「………………あなた誰?」



282 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:20:54.97 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(Ai)「!?」

クロっち(ネ、ネモ………?)


クロっち(Ai)「な、なに言ってんだ? お…私は正真正銘、クロっちーーー」

ネモっち「クロっちは今そういう話し方しないし、いきなりデュエルを挑んだりはーー少なくとも今の今では、絶対にしないよ」


クロっち(Ai)(………そ、そうなのか?)

クロっち(あー、いやまあ、そのつもりではいたけど………)


ネモっち「それに何? そのアホ毛についた目玉みたいな何かは? クロっちのアバターにはそんなものついてないはずだよ」

クロっち(Ai)(あっ、………………)タラリ


ネモっち「………もう一度聞くよ? あなた誰?」



283 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:22:03.15 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(Ai)「あ、えー、あ、そのーーー 」ダラダラ


ネモっち「」ジーッ


クロっち(お、おい! お前どうするつもりーーー)

クロっち(Ai)(あ、後は任せた! 頼んだぞ、クロっち!)


クロっち(はあ!? ちょ、お前ーーー)

クロっち(Ai)(チェーンジ!)ヒュンッ


クロっち「!?」ポンッ



284 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:23:02.37 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(オイこれ………! あ、アバター、私が動かせるようになってる………!?)ギュッ

クロっち(あ、あのAI………! 私に押し付けやがった………!)


ネモっち「」ジーッ


クロっち(ま、まずい………このままだと下手したら通報されて、絶対面倒なことになる!)

クロっち(何より今のネモに迷惑をかけることになるしーーーど、どうすれば?)



285 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:24:16.84 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(お、落ち着けーー私!)

クロっち(いま必要なのは私が黒木智子であると証明すること。そのためには、私とネモだけが覚えているようなことを言えば良い!)


クロっち(だが、何があるーーーネモと私しか知り得ない何かーーーそれはいったいーーー)


ネモっち「………」スッ


クロっち「!?」


ネモっち「………」つ


クロっち(あ、あの手の構えは………多分、デュエルディスクで通報をーーー)タラリ

クロっち(な、何か無いか! なんでも良い! ネモと私しか知り得ない、何かをーーー)ダラダラ


クロっち(うおおおおおおおおおおおお!!!)



286 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:25:17.98 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち(………いかにも通報する、って感じでディスク構えてみたけど………何もなさそうだね)つ

ネモっち(ならこのままログアウトしてクロ本人に確認をーーー)つ


クロっち「…え………、…っ…ね………」ボソッ


ネモっち(? いまなんてーーー)つ

クロっち「………うえーーい やったね」つ



コツンッ



ネモっち「!!?」つ



287 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:26:14.86 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち「ーーーーーーーーーーーーーー」


クロっち(………………やっちまったあああああああああ!!)

クロっち(バカだ私………つーか、なんでこのネタをチョイスしたし………ネモに嫌いなアニメ言われたりとか他にも色々あったのに………)


クロっち(………いや、ホント、なんでこのネタだったんだ? さっきは何となくこのネタやらなきゃいけない気がしたんだが………あれはいったいーーー)


ネモっち「………ぷっ、ははは………」



288 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:27:27.61 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………えっ、?」キョトン

ネモっち「うん、クロ…っちだ。間違いないや」


クロっち「えっ、あっ、えっーーー」

ネモっち「うぇーい!」つ


クロっち「!?」つ



コツンッ




289 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:28:25.71 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち「ふふふ………!」

クロっち(えっ、何でネモの奴、こんなに嬉しそうなの? 何かのツボに入ったのか?)


ネモっち「疑ってごめんーーていうかなに? そのこと、覚えていたの?」

クロっち「お、おう? そ、そりゃまあ、あの時のお前の眼凄かったし………」

ネモっち「………ひょっとして、伊藤さんと話してた時のこと言ってる?」

クロっち「あ、ああ、普通にそうだけど………」


ネモっち「………………………なーーんだ、そっかーー、ふーん………まあ別にいいけどーーーーーー」



290 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:30:07.90 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(何か急に不機嫌になったな………生理か?)

ネモっち「………ていうか、クロっち、さっきはどうしたの? いつものノリと違ったけど?」


クロっち「………あー、いや、そのーーー」

クロっち「………ほら、アニメや漫画なんかで元気無い時はデュエルで解決するだろ? あんなノリで元気出たら良いなーー、って思ってさ。中学生っぽいノリに戻ってみたんだ」

ネモっち「………………………そっか、ここでも心配してくれてたんだ」


クロっち「………あー、まあ、そうだな。学校でも調子悪いままだったみたいだし」

クロっち「そのあと、何となくリンクヴレインズに来てたら、たまたまお前を見つけて、今に至るってわけだ」


ネモっち「………そのアバターは?」

クロっち「………あー、いや、何もかもネモにデザインして貰っちゃ悪いと思って………自分なりにアレンジしてみたら、こんな感じにーーー」


ネモっち「ふーーーーーーーーーーーーーーん」

クロっち「えっ、あっーーー」


ネモっち「センスないねーーーーーーーーーーーーーー!!」



291 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:31:44.76 ID:z4K+Hx+YO



Ai(目玉)「…………………………………………」


クロっち「………あー、そう思うか?」(同感だけどさ………)

ネモっち「………………でも、」


クロっち「? どうした、ネモっーーー」

ネモっち「………ありがとね、クロっち」


クロっち「!」


ネモっち「その、心配してくれて………」


クロっち「………お、おう」(良かった、誤魔化せた)

ネモっち「………ふふっ、 」



292 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:33:05.36 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………なあ、ネモ…っち」

ネモっち「………なあに、クロっち?」


クロっち「話は変わるんだが………………お前が元気無いのって、ひょっとして、ブルーエンジェルと何か関係があるのか?」


ネモっち「!」


クロっち「………いや、だって、今お前がいるのって確か、ブルーエンジェルのコンサート会場だろ?」(ネットニュースにあったところで間違いないよな、うん)

クロっち「それも、1週間前、その………あんなことがあったってのに………その上で、リンクヴレインズのそこに来ているんだ」


クロっち「しかも、今は誰もがプレイメーカーとGO鬼塚のデュエルに夢中なのに、一人だけブルーエンジェルのコンサート会場にいる」


クロっち「それって、つまり………そういうこと、だよな?」



293 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:34:23.87 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち(………これは、誤魔化せそうにない、かな………)


クロっち「なあ、ネモっち、お前はーーー」

ネモっち「………そうだよ、クロっちの推理通りかな」


クロっち「!」


クロっち「じゃあ、やっぱりーーー」

ネモっち「………うん、実は私………………1週間前のあの日、助けられたんだ、ブルーエンジェルに」



294 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:35:33.64 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………えっ、そうだったのか?」

ネモっち「………うん、言ってなかったけど、実はそうだったんだ………」


ネモっち「あの人は、ハノイから逃げ回ることしかできなかった私の前に現れて………ずっと近くで、デュエルで私を守ってくれた」

ネモっち「しかも、ハノイの違法プログラムで、デュエル中の衝撃が危険域にまで増幅していたはずなのに………それでも変わらず守ってくれた」


ネモっち「だけど私、あの時は本当に怖くて………無我夢中で縮こまって………お礼を言うこともできなかった」



295 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:36:40.28 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………」


ネモっち「それから、ブルーエンジェルが気になるようになって、そのデュエル動画やライブ映像を見るようになって………あっという間にファンになっちゃった」


ネモっち「でも、1週間前のあの日から、ブルーエンジェルはリンクヴレインズから姿を消したみたいで………」

ネモっち「今日この時間も本当ならライブする予定だったみたいだけど、この通り来てないんだ」


ネモっち「………最後にあの人を見た時は、普通に元気そうだったし、より多くハノイと戦って大ダメージだったGO鬼塚も退院しているから、無事だとは思う………」

ネモっち「でもそれでも諦めきれなくて………こうしてここにいるんだ………」



ネモっち「お礼も………まだ言えてないままだし」



296 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:37:54.74 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………………お礼、言えないままか………)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



着ぐるみ(今江)「………………」ギュウッ

もこっち「いや? え?」



スッ………クルッ



着ぐるみ(今江)「………………」ペタペタスタスタ


もこっち「………なんなんだ?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



297 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:39:11.83 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(今江、先輩………………………)


ネモっち「………それでも、何かできることないかなって、頭の中そのことばかりでーーー」

クロっち「………だったら、もっと楽しくすりゃ良いんじゃねーの?」


ネモっち「………えっ、?」キョトン

クロっち「その人は身を呈して、お前を助けてくれたんだろ? それって、お前には不幸になって欲しく無かったってことだろ」

クロっち「だったら………今という時間を思うままに楽しめば良いだろ」

クロっち「………少なくとも、いつまでもウジウジして、周りに心配かけてる方がよっぽど、その人に失礼だと思うけどな」


ネモっち「………………!!」



298 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:41:00.27 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………なあに、知った風なクチ聞いてんだ、私は。人のこと言えた立場かっつーの………)

クロっち(それに、ネモにはネモの事情ってもんがあるだろうに、それを、こんないかにも知った風なーーー)


ネモっち「………ありがとう、クロっち」

クロっち「!」


ネモっち「クロっちの言う通りだよ。お礼伝えることばっかり考えて、それ以外のことをおざなりにするなんて、どうかしてた………」

クロっち「………………」


ネモっち(こんな当たり前のこと、言われるまで気づかなかったなんて………バカだなーー、私………………)



299 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:42:30.09 ID:z4K+Hx+YO



〜〜 2年前 『 原幕高校 “試験会場” 』 〜〜



もこっち(中3)「うえーーい やったね」

根元「えっ!?」

もこっち「拳合わせて、拳」つ

根元「あっ、はぁ………」つ



コツンッ



もこっち「うえーーい」

根元「………」ポカーン



300 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:43:54.03 ID:z4K+Hx+YO



ーー 現在 リンクヴレインズ 『 コンサートエリア 』 ーー



ネモっち(あれから、結構変わったつもりでいたけど………いつの間にか戻ってた、ははっ、)


ネモっち(………また、変わらなきゃ)グッ


ネモっち(………変わり続けることは大切なこと。だから、そうしようと思えるし、楽しくなれる)

ネモっち(その当たり前に、気づかせてくれたのは、いつもーーー)


クロっち(何だ? また黙って………やっぱりさっきの発言はマズかったのか………?)



301 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:45:01.14 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………あー、その、さっきは知った風なクチ聞いちまって、本当にーーー」


ネモっち「………叱ってくれて、本当にありがとう、クロっち」

クロっち「えっ!? ………あ、いや、別に、私が言えたようなことでも無かったし………」カァッ

ネモっち「………ふふ、そうかもね」

クロっち「うっ、………」(なんだよ、言って良かったのか悪かったのかハッキリしろよ………これだからネモは)


ネモっち「………だから、やっぱり私、もっと楽しみたいなーー」



302 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:46:10.08 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………えっ、?」

ネモっち「さっき、思うがままに楽しんた方が良いって言ったでしょ?」

クロっち「あ、ああ………」

ネモっち「私もそう思う。だから、そうしたい」


クロっち「………そうか、なら良かっーーー」

ネモっち「でもそれは私だけじゃなくて、クロっちと、みんなと、一緒になって楽しみたい」

クロっち「!」

ネモっち「その方がきっと面白いと思うから………そうでしょ?」ニコッ


クロっち「っ、ああ、そうだな………」



クロっち(敵わなねーな、ネモには………)



303 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:47:21.34 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………まあ、それはそれとして、ブルーエンジェルのこと、何でもっと早く言わなかったんだ?」

ネモっち「!」


クロっち「ぶっちゃけ、お前のグループにまで、言わなかった理由がよくわからん。言ってりゃ、もっと早く………」


ネモっち(………言えるわけないよ)チラッ


クロっち「………?」


ネモっち(それってクロに、私が他に気になってる人がいるって、バレるかもしれないってことでしょ?)

ネモっち(それが嫌で、すぐに言えなかった………)

ネモっち(………そういう理由で、すぐに話せなかったなんて、言えっこないよ………)



304 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:48:21.33 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………まあ別に、言いたくなきゃ、言わなくても良いとは思うけどな」

ネモっち(………えっ、?)キョトン


クロっち「いや、別に親しい関係なら、何もかも話さなきゃいけないなんて決まりは無いだろ?」

クロっち「誰だって、知られたくないことくらい、割とあるもんだろうし………私にだってあるからな………」



305 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:49:32.42 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち「クロ…っち………」

クロっち(まあ私の場合、知られたくないことは、星の数あるがな。バカAIやクィーンのこともそうだが、それ以外も知られたくないことのデパートだよチクショーめ)


ネモっち「………………」

クロっち「………まあ、いろいろ詮索した私が言えたことじゃないかもしれねーが………さっきも無理やり話させるようなことしたし」


ネモっち「………ううん、クロっちは悪くないよ。誰だって知りたいことは知りたいと思うし、私だってそうだもん」

クロっち「ネモ…っち………」(うん、私もゆうちゃんの性事情は知りたいしな)



306 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:50:45.39 ID:z4K+Hx+YO



ネモっち(そうだよ、誰にだって放っておけないことがある………)

ネモっち(それはクロだって同じーーーーーー)


ネモっち「ーーーでも言えないことは、やっぱり言えないかな………」

クロっち「………ああ、言いたくなきゃ別にーーー」

ネモっち「だから………この際、言えることは全部言っちゃうね」

クロっち「言えること? それってーーー」


ネモっち「ゴメンね」

クロっち「!」


ネモっち「今まで心配かけちゃったよね。だから、ゴメンなさい」ペコッ

クロっち「………………」


ネモっち「………今言えることはここまで。ゴメンね、少なくて」



307 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:51:45.14 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………いや、十分だ。ありがとな」

ネモっち「………それはこっちのセリフ。ちゃんと言えてスッキリしたし、言うことで、これから向き合わなきゃいけないこともわかったからーーー」

クロっち「………そうか? ならーーー」

ネモっち「うん、みんなにもキチンと全部言わないとね………」


クロっち「………それが良いな。お前の友達はもちろん、私の友達だって、お前のこと心配してんだかんな」

ネモっち「うん、そうだね。まずはスマホで伝えられる人から、伝えてみるよ。後は教室で、またね」



308 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:52:51.00 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………頼んだぞ、ホント」

ネモっち「もちろん、ちゃんと伝えて………って、あっ………!」ピーッピーッ

クロっち「ん、どうかしたか?」

ネモっち「………ごめん、親にリンクヴレインズやってることがバレちゃったみたい。今すぐログアウトしないと」


クロっち「!」

クロっち(………ああ、そうか。ハノイの襲撃に巻き込まれたんだもんな。だったら普通禁止にするよな、家族だったら)


クロっち(なら、仕方ないかーーー)



309 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:54:15.34 ID:z4K+Hx+YO



クロっち「………じゃあ、今度は現実世界で、だな」

ネモっち「うん、クロっちもしばらくリンクヴレインズはやめた方が良いよ? 危ないし」ピピッ



ピュウンッ………………



クロっち「………ああ、それじゃあな」

ネモっち「都合ついたら、またデュエルしよ? 今度は現実でさ」

クロっち「おう………!」

ネモっち「約束だよーーー!」ニコッ



………………ヒュンッ















〔アカウント名:【ネモっち】がログアウトしました〕



310 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:55:28.63 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………ふう、これで一安心………か?)

Ai(………………あー、あー、仲睦まじいこって。日常アニメの主人公とヒロインかっつーの!)


クロっち(………何だよお前、急にどうした?)

Ai(別にーー? 単に、クロっちみてーな奴でも、お仲間と上手くやってるんだなーー、って思っただけだしーー?)

クロっち(ああ? そりゃどういう意味だよ)

Ai(さあねーー? つーか、そんなことよりも、これからお前がちゃんとデュエルできるかどうかの方が心配だけどな)


クロっち(私がデュエル? 何言ってんだ、デュエルするのはお前だろ?)

Ai(いや、確かにその予定だったけどよーーー)


クロっち(けど? なんだ?)



311 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:57:07.64 ID:z4K+Hx+YO



Ai(………俺が表に出続けると、そのあまりのカッコよさに、ハノイやSOLが鼻を効かせる可能性があるって気づいてな)

Ai(だから今回、アバターの主導権はお前に譲ることにした)

クロっち「………………」


Ai(いや、俺としても、不本意だけどな? だけどハノイやSOLが寄ってくるよりはマシだし?)

Ai(それに、直接デュエルしなくとも、お前の脳波データが混じった今の俺なら、お前のそこそこのデュエルを見て、それを後から追体験する形で学習できて、俺も強くなれるはずでーーー)


クロっち(………なるほど、要するに、自分の演技力に自信がなくて、普通にしてるだけで目立ってハノイやSOLに嗅ぎつけられる可能性が高いから、代わりに私にデュエルさせるってことか)



312 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:58:26.69 ID:z4K+Hx+YO



Ai(うぐっ、!?)

クロっち(図星みてーだな。まあ、ネモに勘付かれたんだから、組織全体が相手じゃ、100パー、嗅ぎつけられるわな、うん)

Ai(う、うっさいわ! さっきからクロっちの癖に生意気だぞ!)

クロっち(さっきから、って………そういや、コイツさっき仲間と上手くやれてるのが、どうとかーーー)


クロっち(………ん? まさか、ひょっとして………)


クロっち(………………………………………)



313 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 22:59:28.30 ID:z4K+Hx+YO



Ai(………………何だ? 頭ん中で会話すんなら、もっと大声出す気で言葉思い浮かべてくれ。でないと聞き取りづらーーー)

クロっち(お前、ぼっちか?)


Ai(ーーーーーーーーーーーーーーーーー)


クロっち(………もう一度言うぞ、お前、ぼっちーーー)

Ai(ぼ、ぼ、ぼ、ぼっち!? 今お前、俺を『ぼっち』っつったか!?)


クロっち(ああ、やっぱり、ぼっちなのか………………)



314 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:00:28.63 ID:z4K+Hx+YO



Ai(ち、ちげーし! お、俺には、リンクリボーがいるし〜〜)アセアセ

クロっち(………リンクリボーだあ? 《クリボー》の亜種が何かか?)

Ai(お、おうよ! 確かにあいつはモンスターだが、俺の子分兼友達よ!)

クロっち(カードが友達って………そういうのが通じるのはアニメや漫画の世界だけだぞ? そんな痛いこと言ってるから、ぼっちに………)


Ai(いや、あいつには俺たちと一緒でれっきとした意思があるから! 痛くないから! 中二病とかじゃないから!)

クロっち(はあ? カードに意思って、そんなのーーー)



315 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:01:41.75 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………いや、このAIの存在が有りなら、カードの精霊も有りか?)

クロっち(………だが実際見てみねーと、なんとも言えねーな)

Ai(いやいやホントだから! あいつ今はサイバース世界にいて、そこに行けばわかるから!)


クロっち(………だったら、そのサイバース世界とやらに連れてってくれんのか?)

Ai(えっ、あっ、いや、今は無理ーーー)


クロっち(じゃあ証明しようがねえな)ハアッー

Ai(ぐ、ぐぐっ………!)



316 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:02:41.46 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………つーか、それが本当だったとしても、他の奴からは割と厄介者扱いされてたんじゃねーか?)

Ai(ぎ、ぎくうっ、!?)

クロっち(ああ、やっぱそうか。そりゃお前みたいな性格じゃな………)

Ai(ち、ちげーし! 俺は割と孤高なだけだから! 未来永劫働かないで生きていきたかっただから! それで、一目置かれていただけだから! 別に嫌われてなんかないんだからな!)


クロっち(ああ、こりゃ嫌われるわ………)



317 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:03:41.64 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(つーか、生涯の目標【ニート】って何だよ? そんなこと、思っても周りに吹聴するもんじゃないだろ………)

Ai(うるせーし! 将来の夢が武器商人だった奴に言われたくねーし!)

クロっち(な、な、ななな、なんでそれを!?)カァッ

Ai(お前、中学ん時の進路カード、カッコつけてPC使って記入したろ? そん時のログが残ってたんだよ、バーカ!)

クロっち(お、お前! 人のPCん中、勝手に………! って、ちょっと待て、まさか他にもーーー)

Ai(モッチのロンよ! お前が普段どんなサイト閲覧してんのか、どんなアニメや動画見てんのか、全部まるわかりだっつーの!)



318 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:04:52.96 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(なっ、な、な、な、………………!?)パクパク

Ai(………お前の趣味嗜好や性癖はどうなってんだ? ヤンデレ男子だの、妊娠だの、[ピーッ]だの何だの………ありゃあドン引きだわ)ハアッー


クロっち(………………っ、)


Ai(いや、人間にはそういう生理的欲求があることは知ってるけどよーー)

Ai(………それにしたって、あの量と内容、恥ずかしいったらありゃしねえ。そうは思わねえか? 喪女さんよ?)ニヤリ

クロっち(………………っ、………………っ、)


Ai(………ああーん? 何だよ、さっきも言ったが、言いたいことあんなら、もっとハッキリーーー)ニヤニヤ



319 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:06:48.73 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………………)ジワ

Ai(………………えっ、?)

クロっち(………あっ、………うっ、ううっ………………っ、………っ)ポロポロ

Ai(えっ、ちょ、おま、まさか泣いてーーー)


クロっち(………うっさい、話しかけんな………! クソバカAI………………!!)ヒッグヒッグ

Ai(あっ、またバカってーーー)


クロっち(ううっ………あうっ………………っ、)ヒッググスッ

Ai(あっ、あーーーーー)


Ai(………そうだった、こいつ、人間でいうところの『オンナノコ』だった)

クロっち(………………っ、)グスッグスッ


Ai(………………)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



クロっち「誰だって、知られたくないことくらい、割とあるもんだろうし………私にだってあるからな………」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



320 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:08:05.28 ID:z4K+Hx+YO



Ai(………………デリカシー、無さすぎたな、俺ーーー)シュン

クロっち(………………………っ、)グスッグスッ


Ai(………あー、その、アレだ。俺が悪かった。すまん)

クロっち(………うるせえ、話しかけんなって言っただろ………!)グスッグスッ

Ai(………あー、いやー、そのー………)

クロっち(うるさい、うるさい! お前なんか死んじまえ、この変態! 鬼畜! バカAI !!)


Ai(ううっーーどうすればーー、あ、そうだ!)ピコーン



321 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:08:59.47 ID:z4K+Hx+YO



Ai(な、なあ、クロっち、ここはデュエルでもして元気出そうぜ! デュエルの楽しさならそんな気持ちも吹っ飛ぶぜ! なっ、?)


クロっち(ーーーーーーーーーーーーーーー)


Ai(だ、だから、そう落ちこーーー)

クロっち(………………わかったよ)

Ai(へっ?)

クロっち(やりゃあ良いんだろ、やりゃあ………最初からお前はそれが目的だったもんな)


Ai(えっ、あっ、いや、そんなつもりじゃーーー)

クロっち(いいよもう、どうせお前は好き勝手、私を利用するだけなんだろ。だったらおとなしく言うこと聞いてやるよ)

Ai(あっ、えっ、あっ、うーーー)

クロっち(どうしたよ? さっさとやりたいことやっちまえよ)


Ai(う、ううっ………………どうしよ?)



322 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:10:17.95 ID:z4K+Hx+YO



タッタッタッ………



ハノイ(別アバター)「はあ、はあ………っ………くっ!」


ハノイ(くそっ、今日はいつも以上に相手がいない………!)

ハノイ(………ようやくデッキ調整が終わり、電脳ジャングルでのドロー修行も終わったというのに………!)


ハノイ(………どいつもこいつも、プレイメーカーのデュエルに夢中! これでは試し斬りができんではないか!?)


ハノイ(おのれ、プレイメーカー! デュエルする機会まで奪うとは………!)ググッ

ハノイ(………だが、どうする? 一度出直すか………?)


ハノイ(………否! ここで出直すなど、プレイメーカーに屈服したも同然! 何としてでもデュエルせねば………!)タッタッタッ

ハノイ(そうだ………また、逃げるなど、あってはならん………)タッタッタッ


ハノイ(何としても、相手を見つけねばーーー)タッタッタッ



ハノイ(………………ん? あれはーーー)



323 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:11:40.52 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(どうしたよ? さっさとやりたいことやっちまえよ)


Ai(う、ううっ………………どうしよ?)



ハノイ「ーーーーーーーー見つけたぞ」ニヤリ



クロっち(ーーーとりあえず、ここを去る。また別の場所の奴をーーー)



ガバァッ!!



ハノイ「俺とデュエルしろオオオオオオオオオオオオ!!」


「「!?」」



324 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:13:05.27 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………えっ、………えっ、?)

Ai(な、なんだこいつ?)


ハノイ「おい、そこの貴様! 俺とデュエルしろ!」ザッ


クロっち「………っ、!??」

Ai(で、デュエルだあ? クロっちに言っててんのか?)


ハノイ「………!」


Ai(い、いやそれよりも………何だよこいつのアバターは?)

クロっち「………っ、! ………っ、!」パクパク


Ai(まんまテ◯フォーマーズの火星ゴ◯ブリじゃねえか………)


Ai(しかも、顔面はガ◯ダムシリーズのライバルキャラみてーな仮面男………一瞬コラ祭りかと思ったぞ………)

Ai(どういうセンスしてんだこいつは………?)



325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/03(日) 23:14:35.71 ID:z4K+Hx+YO



ハノイ「おい、無視するな! 聞こえているのだろう! さっさと俺とーーー」


クロっち「………………わかった。やろう」

Ai「!?」


ハノイ「よしっ、決まりだな! ならば、ディスク構えーーい!」


クロっち「………」スッ

Ai(お、おい、クロっち! あんなおかしな奴のデュエルを受けるつもりか?)


クロっち(………外見は関係ねえだろ。猥褻物ぶら下げてるわけでもねえし)

Ai(いやまあ、それはそうだがーーー)チラッ


ハノイ(ようやくだ………! ここからようやく俺の再起が始まる………!)



…………………………………………………………………………。



Ai(………外見抜きにしても、あいつからは何だか妙な空気が漂ってる気がしてならねー。ここはやめといた方がーーー)



326 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:15:47.46 ID:z4K+Hx+YO



クロっち(………何言ってんだ? あいつはこんな状況でもデュエルしてくれるってんだ。だったら、お前にとっちゃ、受けない理由は無いだろ)

Ai(いやまあ、それはそうだけどよーーでもーーー)

クロっち(何でも良い、私はさっさとお前に利用されてやる。それだけだ)

Ai(く、クロっち………………)


ハノイ「ふはははは! 生まれ変わった俺のデュエルを見せてくれるわ!」


クロっち「………………」


「「デュエル!」」



327 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/03(日) 23:16:31.62 ID:z4K+Hx+YO
今日はここまで
次回はデュエルパートから
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 23:29:42.10 ID:XQd7v0jdo

ゆりちゃん普通だと思ってたから胸のある方のって言われるとこそばゆいなww
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 05:49:49.03 ID:eZ7Dezn20
乙乙
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/04(月) 12:38:58.10 ID:/P/u7q6tO

ゆりちゃんがあるというよりか葵がなさすぎるだけなんじゃ
331 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:03:04.21 ID:wnv4SaN1O
投下します
332 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:04:16.81 ID:wnv4SaN1O



ハノイ「俺のターン!」



クロっち「………………」

Ai(ううっ、始まっちまったか………どうにも不安なんだが………大丈夫か?)



ハノイ(………ふむ、まずは実戦での運試しと行くか)ニヤリ

ハノイ「メインフェイズに移行し、魔法カード、《カップ・オブ・エース》を発動!」バンッ



333 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:05:38.67 ID:wnv4SaN1O



Ai(………………ん?)



ハノイ「その効果で俺はコイントスを行う。表が出れば俺が2枚ドローし、裏が出れば貴様が2枚ドローする!」



クロっち(一か八かのギャンブルカード………こいつ、リアルじゃ遊び人か? いや、どうでもいいけど………)



ハノイ「くくくっ、生まれ変わった俺のドローを見るがいい!」

ハノイ「いくぞ、コイントス!」ピーン



チャリーンッ



334 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:06:47.34 ID:wnv4SaN1O



(表)



ハノイ「出たのは表! よって、俺が2枚ドローする!」ババッ



クロっち(当てやがった………運良いなこいつ)

Ai(………………………………)



ハノイ「はははっ、見たか! 1週間かけて鍛え上げた俺のドローは! 今の俺は、最初のターンのドローだけは絶対に外さん!」



クロっち(………いや、ドローを鍛えるって何だよ。普通に運の問題だろ。つーか、最初のターンだけって、なんかセコイな)

Ai(………まさか)



ハノイ「《インヴェルズの先鋭》を召喚!」バンッ



335 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:08:01.23 ID:wnv4SaN1O



先鋭『ケヒヒッ』ATK1850



シュウウ〜〜〜………………



Ai(!?)

クロっち(ん? なんだこのにおい………)クンクン

Ai(おいおい、こりゃあ………!?)

クロっち(………間違いない。においの元は、あのモンスターだ。だけど、なんでモンスターから、においなんか………?)



ハノイ「カードを5枚セットしてターンエンドだ!」



336 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:09:18.04 ID:wnv4SaN1O



クロっち「………私のターン、ドロー」


クロっち(………においは気になるが、そこまで気にすることもねーか。なら、さっさとデュエルをーーー)

Ai(ーーーなあ、クロっち、話がある)


クロっち(………………なんだよ? 今度はいったい何をーーーーーー)















Ai(あの仮面男、ハノイの騎士だ)



337 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:10:41.29 ID:wnv4SaN1O



クロっち「………はあっ!?」



ハノイ「………どうした、急に? 何かあったのか?」



クロっち「えっ!? あああ、はい、だ、大丈夫………です!」オドオド



ハノイ「………そうか? 若干、声が裏返っているように聞こえるが………」



クロっち「えっ、えーと、それは、そのーーー」


クロっち(お、お、落ち着け私!? ここはひとまずーーー)

クロっち「………実は、その、ちょっと凄いコンボ思いついて、自分にビックリしただけなんで」



ハノイ「………ほう、それは楽しみだな」ニヤリ



クロっち「あ、いや、まだ、できるかどうか考え中なんですけど………私、再開したばかりの素人なんで………ははっ」

クロっち「でも、しばらくすれば、考えもまとまると思うんで、できれば少し時間いいですか………?」



338 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:12:05.32 ID:wnv4SaN1O



ハノイ(………………正直なことを言えば、あまり時間をかけて欲しくはない)

ハノイ(だが、こいつは俺とのデュエルに、しかも今の状況で応じてくれた貴重な相手だ。多少は融通をきかせてやるべきか?)



クロっち「ううっ………………」ブルブル



ハノイ(………そうだ、それにこいつは、どうせ俺に負けて、その後ーーー)

ハノイ(それを考えれば………このくらいの我儘は見逃してやるのが筋か)ウンウン


ハノイ「………構わん。納得いくまで考えるといい」



クロっち「………あ、はい! ありがとうございます! それでは、お言葉に甘えてーーーーーー」



339 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:13:45.40 ID:wnv4SaN1O



クロっち(…………………は、はああ〜〜〜〜、なんとか、誤魔化せた………………!!)

Ai(落ち着いたか?)

クロっち(『落ち着いたか?』じゃねえよ!? いきなり変なこと言うなよ! ビックリしただろうが!)

Ai(わ、悪い………)

クロっち(つーか、何? あの仮面男が、ハノイの? 騎士だって?)

Ai(ああ、そうだ)

もこっち(いや、何で急にそんなことになるんだよ? 意味わかんねーんだけど)


Ai(それは、単純に同じだったからだな)

クロっち(同じだ?)


Ai(ああ、あの仮面男、ハノイの騎士との共通点があるんだよ)



340 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:15:17.35 ID:wnv4SaN1O



クロっち「………………」


Ai(共通点は主に3つ)

Ai(一つ、デュエル中の仕草だ。俺は1週間の情報収集の中、実況動画でプレイメーカーとハノイのデュエルをいくらか見た)

Ai(そして、その中の一人とあの仮面男の仕草が全く同じなんだ。カードを発動したところとか、ドローしたところとか)


Ai(二つ、あの動画のハノイは【インヴェルズ】使いだった。そして、あの仮面男も『インヴェルズ』のモンスターを使っている)



クロっち(………そんなの、ただの偶然じゃねーのか?)















Ai(そして三つ、あの仮面男のモンスターからはハノイの痕跡がある)



341 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:16:23.03 ID:wnv4SaN1O



クロっち(痕跡?)

Ai(ああ、ハノイはデュエルプログラムを持たされるって話したろ?)


クロっち(………ああ、確かデュエル強けりゃ無敵がどうのって話か?)

Ai(そう、それだ)


クロっち(それがどうしたってんだ?)


Ai(そのプログラムを利用してクラッキングを行う場合、持ち主のデッキのモンスターを媒介にする必要があるんだ)

Ai(そのため、プログラムの一部がデッキのモンスターに内蔵された状態になっているわけだがーーーここまで言えば、もうわかんだろ?)


クロっち(………まさかーーー)

Ai(そう、俺にはその痕跡がわかるのさ)

Ai(………あの《インヴェルズの先鋭》には間違いなく、そのプログラムの一部が内蔵されている)



342 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:17:22.35 ID:wnv4SaN1O



先鋭『ケヒヒッ!』



クロっち(なにぃ……!?)

Ai(ああ、間違いない、その痕跡は人間で言うところの『におい』に近いが、それがプンプンしてやがる。お前も既に嗅いでるんじゃないか?)


クロっち「!」(まさか、このにおいはーーー)

Ai(そう、ハノイのデュエルプログラムの『におい』だ)



343 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:18:36.53 ID:wnv4SaN1O



クロっち(なん……だと……!?)

Ai(………あの仮面男は、ハノイの『におい』が出るカードを堂々と使っている)

Ai(その時点で、あの仮面男は自分がハノイの騎士って自白したようなもんなんだよ)

Ai(以上が、あの仮面男がハノイだとする根拠だ。納得したか?)



クロっち(………私をからかってるんじゃないのか? このにおいがハノイの騎士のそれとは限らねーだろ)

クロっち(だいたい、ここは電脳世界なんだから、『におい』の出るカードがあったっておかしくはーーー)

Ai(あのモンスターがそういうカードなら、今頃デュエル中断だな)


クロっち(中…断………?)

Ai(どんな形であれ、デュエルモンスターズのカードにマーキングなんてすれば、それは不正カードとして扱われる)

Ai(そして、不正カードを使った場合、即座にリンクヴレインズのシステムに検知され、いまやってるデュエルは中断されることになる)


Ai(たぶん、リンクヴレインズの利用規約にも同じことが書いてあったと思うぞ?)



344 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:20:30.99 ID:wnv4SaN1O



クロっち(………!)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



〔利用規約〕

〔これらのデッキデータを利用した不正行為は絶対にしないでください〕

〔事例:カードに対するマーキング〕

〔マーキングされたカードは、不正カードとして扱われます。使用した場合、自動的にデュエルが中断され、運営まで通報されることになります〕

〔不正カードの使用に対し、運営は然るべき対処をさせて頂きます〕


〔これらのデッキデータを利用した不正行為は絶対にしないでください〕



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



クロっち(ーーー!)

Ai(カードに対する着臭は、お前が読んでたデュエルモンスターズの原作漫画にもあったイカサマだ)

Ai(しかも、『におい』の種類や嗅ぐ人間によっては、嗅がせ続けることで、集中力を削ぐことも可能だ)

Ai(そして、そんな有名で効果的なイカサマを、運営が対策していないと思うか?)


クロっち(………………思わねえ)

Ai(だろ? だったら、カードの着臭が確認できた時点で、不正カード扱いされる。規約通り、デュエル中断、まったなし、だ)



345 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2018/06/04(月) 20:22:03.03 ID:wnv4SaN1O



Ai(だが、この通り、デュエルは中断されていない。つまり、あのモンスターは、あれだけ『におい』をプンプンさせておきながら、システム的には不正カード扱いされていないってことになる)

Ai(なら、不正カードでないと判断された理由は何か? それは、リンクヴレインズのシステムじゃ、あのモンスターの『におい』を検知できないからだ)

クロっち「……………」


Ai(一定量以上の『におい』が発生していない限りは、リンクヴレインズのシステムに検知されることはない)

Ai(なぜなら、一定量以下の『におい』程度じゃ、人間にはもちろんのこと、機械にだって検知することができないからだ)

Ai(そんな、極々わずかの『におい』を検知できる存在は限られている)

Ai(それができるとすればーーーーーー)



426.06 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)