美希「エンジェルのAは愛してるのA、なの」

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1 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:48:14.68 ID:NSDqj0DG0
※ミリオンライブシアターデイズの二次創作
※地の文あり
※呼称に不安あり
※エンジェル限定
※わりとキャラ崩壊
※誰が何言ってるかわからないかも
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528642126/の続き

以上全然問題ないという方はどうぞ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1529124494
2 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:49:12.90 ID:NSDqj0DG0
 週末。花金。飲み会。
 実に心躍る予定はあらかじめご破算になっていた。
 それもしょうがない。こんな仕事を初めてしまったのがいけないのだ。
3 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:49:46.22 ID:NSDqj0DG0
 次の日がラジオ収録ということでお流れになった恒例の飲み会の代わりに、馬場このみは帰る前に彼女の同僚に声をかけようとしていた。
 何も変な思いつきでもない。単に挨拶をするだけ。
 向かうのは飲み会が流れた代わりに、春香や琴葉や主に美奈子が食事をふるまっている最中の男性用仮眠室。
 実は少しご相伴に預かれないかな、などという下心もある。

 だって春香ちゃんのお菓子おいしいし。

 そんなこんなで仮眠室まで歩いていく途中に、控えめに言って頭のおかしい光景に出会った。
 件の同僚―――プロデューサーの劇場でのテリトリーの一つ、彼専用のデスクの前で出会ったのは篠宮可憐。
 765の雌犬、完璧超人二号、出待ちの達人の呼び声高い彼女は、プロデューサーが外出しているとき以外はいつも椅子にかけてある上着に思いっきり顔をこすりつけていた。
4 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:50:17.09 ID:NSDqj0DG0
「……ふっ……んっ……はぁっ……あ、このみさん……お疲れ様です……」

 あれか。週末の夜、デスクに上着。テンションMAXでしょうとでもいうつもりか。
 さすがにない。それはない。
 しかも明らかにこっちの存在に気付いているのになぜ彼の上着の匂いをかぐのをやめないのか。
 劇場の外でやたらと怯える人見知りの姿勢はどこにいったのか―――。

 呆れて物も言えないが、とりあえず一分ほど茫然とした後。見て見ぬふりをして仮眠室に向かったはいいものの、なぜか可憐はついてきた。
 ちなみに驚くべきことに、ちゃんと上着は椅子に戻していた。
 曰く。

「その……プロデューサーさんの匂いが薄くなった気がするんです……」

 そりゃあんだけ吸えばそうなるでしょう、と言いかけたがやめた。
 とりあえずお前は何を言っているのか。
 上着じゃ満足できないから直接吸う気か。
 お前舞台にあがる度にご褒美と称して抱きしめられてあんなスハスハしてまだ足りないのか。特別扱いにも程がある。
 これがスカウト組筆頭、たとえアイドルにならなくても口説かれたであろう女の実力なのか。つーかプロデューサーはいつか〆る。
 胸と尻ばっか視姦してんじゃねえ。可憐ちゃんは可憐ちゃんでまんざらじゃなさそうだし。
 近くに千早ちゃんや静香ちゃんがいると気温は下がるし。

「何か、プロデューサーさんの身に起こったんじゃないかと……ごめんなさい」

 ああ、そういうこと、とやっと合点がいった。
 要は上着についた匂いの話ではなかったのだ。
 おそらく、彼女は上着の匂いとは別に、劇場内にいるプロデューサーの匂いを感じ取っていたのだ。
 それが薄くなったから、彼の身に何か起こったと心配してると。なるほど。

 いい加減頭おかしくなりそう。

 とはいえ、そこまで深刻なことはないんじゃない、とこのみは後輩に言ったのだ。
 何せ、「あの」天海春香と田中琴葉が今ちょうど彼と一緒の部屋にいるはずなのだ。
 何かあったら大騒ぎになっているはず。

「そうだと、いいんですけど……」

 いつものようにおどおどしていて安心すると言ったら流石に可哀そうかな、と思いつつ。
 いややっぱそんなことないか、と鼻を今もひくひくと動かしている可憐を半眼で見たりもしつつ、また通路を行く。
 そしてまたおかしな光景に遭遇した。
5 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:50:46.43 ID:NSDqj0DG0
「………ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!?」

 そう、叫び声が近づいている。
 どっから聞こえてくるのか、と察する間もなく。

「はい、とうちゃーくっ!」
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああふぎゃっ」

 換気用に開いていた窓。そこから。何の脈絡もなく二人の女性が飛び込んできた。
 何がすさまじいかというと、結構な勢いで飛び込んできたのに、足音が軽い。

 ここ一階じゃないんだけど。
 もうやだ、ほんと頭おかしくなりそう。

「あ、おはようございます、ことみさん!」
「……うん、おはようじゃないからもう。あと小脇に抱えてる茜ちゃんは放してあげてね?」

 やってきたのは空飛ぶ天使、北上麗花。
 なんで空を飛んできたかとか、小脇に野々原茜を抱えてきたのかなどということは聞いても意味がないだろう。
 そんなことは、天海春香になんで転ぶのかと聞くのと同じぐらい意味がない。

「はい!プロデューサーさんが心配ですから飛んできました!」

 何言ってんのこの子こわい。
6 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:51:14.54 ID:NSDqj0DG0
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 天使。
 そう呼ばれるアイドルがいる。

 天使。
 そう呼ばれるに値するアイドルがいる。

 天使。
 天真爛漫を絵に描いたようなアイドルがいる。

 天使。
 人ならぬ御業をなしえるアイドルがいる。

 天使。
 純朴なアイドルがいる。

 天使。
 空を飛ぶアイドルがいる。

 天使。
 天真爛漫なアイドルがいる。

 天使。
 歌声が最早人とは思えぬアイドルがいる。

 天使。
 アイドルのくせにプロデューサーをハニーとか言い出すアイドルがいる。

 天使。
 アイドルのくせに運命の人を探しているアイドルがいる。

 天使。
 アイドルのくせに親を含めて思い人の逃げ場をなくそうとしているアイドルがいる。

 天使。
 アイドルのくせに思い人の匂いでテンションマックスとかいきなり言い出すアイドルがいる。

 天使。
 アイドルのくせに勝手に調教されてどっかの誰かの恋人面し始めてるアイドルがいる。

 天使?堕天使じゃないのそれ?

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7 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:51:52.35 ID:NSDqj0DG0
「はいというわけで復活しました茜ちゃん!
 撫でてくれてもいいよ、プロちゃん!ここにいないけどね!
 だから撫でてもらうためにプロちゃんに会いに行きます!」
「流石茜ちゃん!まだ足りないんだね!」
「おうやめろや」

 エンジェルスターズ。
 そう呼ばれる者たちがいる。
 彼女らは、765プロシアターの一角をなす戦力である。
 勢力ではない。

「あらあら〜みんな楽しそうですね〜」
「え、どっからきたのよあずさちゃん。さっきまでいなかったしそもそもここ来る予定ないわよね?」
「はい、ちょっと家から♪」
「違うそうじゃない」

 勢力というにはあまりに個人個人が独立しすぎている。
 もちろん活動するにあたってグループになることはあるが、それでも決して衆をなし目的を達する者たちではない。

「というか、なんで急に皆集まってるのよ……。
 もう夜よ、こんな時間になんで劇場に来てるの」
「だって、プロデューサーが心配だったんだべさ」
「ひなたちゃんまで……というか皆して心配心配って、プロデューサーくんに何がおこったのよ」

 彼女らの個性はまとめる、というにはあまりに突出しすぎていた。
  
「そうですよ歌織さん。明日も仕事があるんですから、プロデューサーの迷惑にならないよう早く帰ったほうがいいと思います。
 また寝坊するとも限らないんですし」
「風花ちゃんこそ。また衣装のサイズ直さなきゃってぼやいてたじゃない。
 夜更かしは体型の天敵よ?」
「だからあんたらそういうのは子供の見えないとこでやんなさいよ」

 別に仲が悪いわけではない。
 よくも悪くも単独行。それがエンジェルの心意気なのだ。

「ふっ……やよいっちとたまきちは置いてきた。もう夜も遅いし」
「流石だね亜美!兄ちゃんのことは私たちに任せろー!」
「プロデューサーが危ないって本当!?どこ情報!?」
「ばかめ、兄ちゃんは死んだわ」
「……宇宙的恐怖……そんな……!」

 しかして、不思議と行動は噛み合ったりもする。
 どこの集団とは言わないが、暴走して破綻するようなことはめったにない。
 あくまに滅多に、ではあるが。
 実際、双海姉妹と望月杏奈などは趣味もあうからか、行動を共にしていることも多い。
8 : ◆a/VLka4bp3Eo :2018/06/16(土) 13:52:53.25 ID:NSDqj0DG0
「ちょっと人多すぎよさすがに。
 いや皆がプロデューサーに用事あるのはいつものことだけど」
「はい〜。靴ひもが切れて、黒猫が目の前を横切ったので〜」
「意味がわからない」

 そんな個性あふれる集団の中では、どうしても年長者である馬場このみの苦労はアホみたいに積み重なっていくのであった。
 こんな集団に毎日押しかけられる765プロプロデューサーも大概大変なのだろうと理解はしているが、それでも愚痴ぐらい言いたい。
 だってこの場にいるのは私だけなのだし。

「そうなの、このみちゃん。
 占いでも、プロデューサーさんの身に何かが起こるって」
「いやなんでタロット占いでそこまでわかるの」
「あれ、今気付いたけどこのみんいるし茜ちゃん突っ込みする必要ない?」
「えっ必要ないなんて茜ちゃんはごみ屑だったんですか?」
「そういうのやめてよ本当傷つく」

 何はともあれ、目的地へと大挙して天使たちは進む。

「だから私がプロデューサーさんのことは見てきますから。風花ちゃんが行く必要はないのよ?」
「歌織さんこそ、明日に備えて喉の調子整えないといけないんじゃないんですか?」
「それとも何か今日中にプロデューサーさんに会わなきゃいけない理由があるの?」
「担当プロデューサーに会いに行くのに理由が必要ですか?」
「あんたら本当は仲いいでしょ」

 プロデューサーの部屋の前についても尚牽制しあっている年長組をしり目に、ドアノブに手をかけたのは伊吹翼。
 自由気ままさに定評があることでは北上麗花に一歩劣るものの、行動力は折り紙つきの彼女。
 天才肌と呼ばれる彼女が

「プロデューサー、入るよ〜」
「入りますよ〜」
「プロデューサー、大丈夫だべか?」

 他の天使たちと仮眠室に入ると、そこには。

「え?美希先輩?」

 プロデューサーと金髪の毛虫が寝ていた。
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