【モバマス×餓狼伝説】ビリー・カーン「はァ?アイドル?プロデューサー?」 2

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541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 23:06:07.51 ID:WAJBdBpY0
ほしゅ
そろそろ戻ってこれないかな
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/08(金) 01:11:35.98 ID:6t9fGz5Y0
最近続きがあるのを知った、楽しみにしてます
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/02(木) 19:20:06.65 ID:MMtDSYeC0
保守
544 : ◆z4l4K/HkZ2 [sage]:2019/05/03(金) 20:08:42.76 ID:FlBKl4TP0
めちゃくちゃ更新止まっててほんとすみません……
GWの連勤終わればやっと一息つけるので更新再開できる見通しです……
保守してくれてる方たちほんとありがとうございます
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/08(水) 13:34:30.03 ID:i3U2joCho
OK!
待ってた!
546 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:00:25.83 ID:OG0U9wl50




ビリー「……じゃあ、そろそろ話してもらおうじゃねぇか」


テリー「……」


テリー「……ビリー、話す前にひとつだけ良いか?」

ビリー「……なんだよ?」

テリー「俺は今まで誰にもこれからする話をしたことはない」

テリー「だが……俺がこの目で見た事実だ」

ビリー「……」

テリー「信じるかどうかは聞いてからお前が判断してくれ」
547 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:07:03.43 ID:OG0U9wl50
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

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ーーーー





「レイィジング……」

「パワァァァ……」

タイミングはアイツの方が少し早かったと思う。
548 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:13:41.39 ID:OG0U9wl50
俺は、しまった……と思ってイチかバチかでゲイザーを撃つんだが、内心では終わったと思った。

だが、アイツはレイジングストームを撃ってこなかった。
その理由は今でもわからない。

もしかしたらダメージが蓄積していて撃てなかったのかもしれないし、敢えて撃たなかったのかもしれない。



「ゲイザァァァァァァ!!」

「ウワアアアアアアアアア」



そのまま止めることは出来ずに放たれたゲイザーが、ヤツの身体を吹き飛ばす。

549 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:18:45.25 ID:OG0U9wl50
そのままギースの身体は柵を突き破った。


その瞬間、否でも応でも思い出す。


その5年前、息を荒げて立ち尽くすアイツを蹴り飛ばして、タワーから叩き落したあの時のことを。


あの時の俺は、父さんの復讐の事しか考えてなかった。

明確な殺意を持ってあいつを落としたんだ。




悲鳴を上げて落ちていくアイツを見下し一人でタワーの上で立ち尽くしてた。
550 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:26:40.33 ID:OG0U9wl50
スカッとした?

恨みが晴れた?

仇を取った?



そんな気持ちじゃなかった。

いつまでもいつまでも、アイツを蹴り落した感覚ばかりが記憶に残ってる。

『人一人をこの手に掛けた』という事実だけが、気色の悪い感覚とともに俺の中に残った。



その4年後、アイツが実は生きているとわかるまで、俺は悪夢を見ない夜はなかった。
551 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:35:06.48 ID:OG0U9wl50


あんなに憎んでいたのに、アイツは俺とアンディの父さんを殺した張本人なのに。

それでも俺は、アイツが生きてたと聞いて……内心、ホッとしてたんだ。

そんなこと、アンディにも、ジョーにも言えやしない。

そのせいもあったのかな。

だから、アイツとの最後の闘いの時……俺は、あんなに憎んでいたはずのギースと闘っていた時……楽しい、と感じてたのかもしれない。



ギースは、強かった。
552 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:42:15.95 ID:OG0U9wl50
初めて闘った時だって、最初は打ちのめされた。

アイツが復活して、秦の秘伝書を狙っていたときに闘った時も、俺は何も出来ずにやられた。

最後の時も、そうだ。


アイツは常に俺たちよりも高い所に立っていて、俺たちを見下ろしている。



どうしてヤツがこんなに強いのか、考えたことがある。


才能と言えば、そうだろう。

ヤツは紛れもなく天才だった。

鍛錬の結果と言えば、それもそうだろう。

ヤツは長年、血の滲むような研鑽を積んで、あの境地に達した。



けど、それだけじゃない。
553 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:46:26.74 ID:OG0U9wl50
アイツは確かに悪人で、その強さを盾に好き放題やってきた。

何人もの人がアイツの手に掛かった。

だけど、それだけじゃない。

上手く言葉には言い表せないが……

復讐心だけで強くなった俺が、復讐心を超えた先にもう一つ先に行けたように……

恐らくギースも何か『悪』と断ずることは出来ない何かを乗り越えたような強さを、俺はアイツから感じたんだ。
554 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/28(火) 23:53:15.43 ID:OG0U9wl50
それは、尊敬の念だったのかもしれない。

もちろん俺はアイツのした事を許せないし、アイツも俺の事は邪魔だっただろう。

だが、確かにあの瞬間。

俺だけではなく、恐らくギースも。

お互いを復讐の相手ではなく、憎しみの対象じゃなく。

一匹の餓狼として、認め合っていたんだと思う。

そこには、憎しみも復讐もない。


ただ、負けられないから闘っていたんだ。
555 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:01:15.20 ID:Hghw7zE90
「ギィィィィスゥゥゥゥ!」


タワーから落下しそうなアイツの腕を、俺は掴んでいた。

無意識だった。

何も考えちゃいなかった。

頭で判断する前に、身体がそうしたんだ。

そうしなくちゃならない、と身体が動いたんだ。
556 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:10:26.57 ID:Hghw7zE90

ギースは、腕を掴む俺の顔を忌々しそうに睨み付けると、

「good-by」

そう一言言い残して、腕を振り払った。

俺たちが良く知る、あの全てを見下すような邪悪な笑みを浮かべながら。

「ハッハッハッハッハ……」

アイツの高笑いが響いて、やがて途絶えた。

それがヤツの最期だった。


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ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

557 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:18:06.99 ID:Hghw7zE90

ビリー「……」


テリー「もちろん、ギースが死んだのは俺のせいじゃない……なんて言うつもりはない。俺はアイツと闘って……そして俺の手にかかって死んだ。それは事実だ」


ビリー「そんなバカな……ギース様……どうして……」

テリー「どうしてヤツは腕を振り払ったのか?」

テリー「プライドが許さなかったのかもしれない。もう死にたいと考えていたのかもしれない」

テリー「なんで最期にアイツは笑っていたのか?」

テリー「俺を最後に出し抜けたからかもしれない。最早この世に思い残すことはなかったのかもしれない」
558 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:24:48.90 ID:Hghw7zE90

テリー「アイツが死の間際……一体何を考えてたのか?」



テリー「……わからない」

テリー「結局……何一つわからず終いだ」

テリー「聞こうにもその答えを唯一知る人間は……もう死んじまった」


ビリー「……」
559 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:33:46.71 ID:Hghw7zE90
ビリー「……どうして、黙ってやがった……」

テリー「……お前を、守るためだった……」

ビリー「……なに?」

テリー「ギースが死んだとなれば……お前は絶望するだろう。その上こんな何もわからない死に方なら猶更だ」

テリー「だったら……それを伏せる事によって、例え俺に対する憎しみでも復讐心でも……お前が生きる理由になるんだったら、それでいいと思ったんだ。……かつての俺と同じようにな……」

テリー「俺はお前に命を狙われ続けながら、憎しみを受ける……それがギースの、お前の恩人の命を奪っちまった俺の唯一できる罪滅ぼしだってな」
560 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:37:27.91 ID:Hghw7zE90
ビリー「……」

テリー「……だが、それは言い訳だったんだ」

ビリー「……!」


テリー「そんなのは、俺が俺自身を守るための方便に過ぎない……こないだの、LIVE後のお前を見て、やっと気づいたんだ。……いや、本当は最初から気づいていたのに目を背けていたのかもな」

ビリー「……どういうこった」


テリー「自分にとってかけがえのない人の、死の真相が知らされないことが良いことなんて、あるわけがない」

テリー「自分の事も顧みず、周りの事も顧みず……ただひたすらに死に急ぐような生き方が良いわけがない」
561 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:43:32.81 ID:Hghw7zE90
テリー「俺がお前にギースの最期を伝えず、お前は俺への憎しみに生き、俺はそれを受け続ける……それは俺自身の自己満足だったんだ。俺の気が楽になるだけで、お前のことなんて、お前が抱え続ける苦しみなんて、ちっとも考えちゃいなかった」

テリー「だから、これが最後だと思ったんだ。お前のあの最後の攻撃……あれを受けて、お前に真相を話そうと思ったんだ」

テリー「俺自身の罪……その罰であるお前……それから目を背けるのはもう終わりにしようと思ったんだ」

ビリー「……」
562 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:49:53.81 ID:Hghw7zE90
テリー「だが、こうしていても結局アイツの考えていた事はわからない……」

テリー「逆に、どうだ?ビリー……お前にはギースの最期の真相……あいつが何を考えていたか、わかるか?」

ビリー「……」

テリー「……」

ビリー「……わかるわきゃねェだろ」

テリー「……」
563 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 00:56:19.56 ID:Hghw7zE90
ビリー「俺ァあの方の右腕として、凶器としてあの日まで生きてきた」

ビリー「当然あの方が命じてくれりゃあなんでもやったし、あの方の命令に疑問なんか持ったことはねえ。あの方の判断に、いつだって間違いは無かったからだ」

ビリー「だから、俺ァあの方の考えてることなんてわからねェしわかる必要もなかった。いや、そもそも考えたこともなかった」

テリー「……」

ビリー「……この日本に来た時……あの事務所でアイツに、桐生に初めて会った時、こう言われた」


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『ただただアイツの命令聞くだけで、なんにもアイツから学ばなかったんだな』

『右腕だって?笑わせんなよ、飼い犬だろ?ただのさ』

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564 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:02:07.63 ID:Hghw7zE90
ビリー「……その場でブッ殺してやろうかってくらいムカついたが、今思えば図星だったな……いや、図星だったからムカついたんだろ」

ビリー「誰よりあの方のお傍にいながら、誰よりもあの方の心をわからなかった」

ビリー「だから……腸が煮えくり返りそうだが、あの方の考えってのは……テリー、てめェが一番理解してたんじゃねェかと思う」

テリー「……ビリー」

ビリー「そのてめェがわからなかったモンが……俺にわかるハズもねえ」

テリー「……そうか……」
565 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:06:49.16 ID:Hghw7zE90
テリー「……実は、俺がこっちでプロデューサーなんてものをやっているのも……その辺りを理解できないかと思ったからなんだ」

ビリー「……なに?」

テリー「ある人とサウスタウンで会って……日本に誘われたんだ」

テリー「で、たまたまこっちに来る用事が出来て、彼女に日本で再会して……プロデューサーに誘われた」

ビリー「……桐生か?」

テリー「いや、違う。……だが最初は断ったんだ。俺みたいな根無し草に務まる仕事じゃないってな」

ビリー「……まぁそりゃそうだな」
566 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:12:37.39 ID:Hghw7zE90
テリー「すると、彼女が言うんだ。アイツも、ギースもかつて日本でプロデューサーをやっていたと」

ビリー「……!」

テリー「俄かには信じられなかったが……彼女自身がギースのプロデュースを受けていたと言うんだ」

テリー「その時点では彼女に会うのは2回目だったが……不思議とウソをついてるとは全く思わなかった」

テリー「まさかギースとは全く関係ないと思っていたこの日本で……アイツの足跡を見つけるとは思わなかったが、これも何かの縁だと思って、仮ではあるがプロデューサーをやることになった」
567 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:20:40.33 ID:Hghw7zE90
ビリー(……恐らく桐生以外の昔のメンバーの誰かだろうが……それよりも……)

テリー「……だが、まさかお前とここで会うとは思わなかった。恐らくお前はコネクション絡みで動いてたんだと思うが……」

ビリー「……てめェにゃ関係ねェよ」

テリー「……そうだな」

テリー「だが……俺はもう少しプロデューサーを続けようと思う。アイドルたちと……あいつらと一緒に過ごすことで、何かが見えてきそうだからな……」
568 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:25:51.11 ID:Hghw7zE90
ビリー「……だが、あの事務所はもう死に体じゃねえのか」

テリー「……そうか、お前は留置場にいたから知らないのか……」

テリー「俺たちの……アイドルグループ『Hot shot!』は芸能事務所RUNWAYから切り離された」

ビリー「……なんだと?」

テリー「俺たちだけじゃない……桐生社長は、独立させた事務所を次々本体から完全に切り離してる……」


ビリー「……」

ビリー(……あの女)
569 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2019/05/29(水) 01:27:11.90 ID:Hghw7zE90
今日はここまで
最低週1回は更新できるように頑張ります
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/29(水) 01:53:43.92 ID:IttUU2yd0


テリーとギースの最後のあの打ち合い、ジェフに付けられた古傷が急に
開いたからとか聞いたけど本当なんだろうか
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/29(水) 04:29:44.38 ID:urU6+UYco
乙です
山崎の乗っ取りに自分一人だけで対峙する気か
死も覚悟の上かな
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/30(日) 15:06:38.35 ID:GB/xnOq90
ナイトメアギース出るかな
つかさ辺りはどんな反応するか気になる
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/15(木) 15:24:39.80 ID:QrB9r6Ff0
作者死んだの?
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/05(木) 17:18:40.98 ID:zNlD80LN0
テリーが大乱闘へ出稼ぎに行っちゃったかー
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/17(日) 09:47:46.62 ID:lv39xXaV0
大乱闘の背景にビリーいる?
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/17(日) 15:04:21.55 ID:c+h0ve+P0
ビリーもギースもロックもいるぞ
なお不知火舞さんは良い子のゲームには出禁
577 : ◆z4l4K/HkZ2 [sage]:2020/01/11(土) 11:05:09.60 ID:iJn4lCj20
昨年はリアルでちょっと色々あり、長らく更新出来ておらず、誠に申し訳ございません。
現状問題が起きなければ2月中には更新再開出来ると思います……もし更新待って下さっている方がいましたら本当にすみません。
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 11:37:18.58 ID:IYwbqnVAO
待ってるよー!
無理せず更新してくれたら嬉しい
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 15:48:45.93 ID:7QS0DbUTo
お、お疲れ様です
まだまだ待ってますのでムリしないように頑張ってください!
580 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:19:55.34 ID:mo2eQFZj0
都内
喫茶店


つかさ「……よし。あとはここに印を押せば手続きは完了だ」

男性「……」

つかさ「……どうした?」

男性「……社長、やっぱり私にはできません……」
581 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:24:28.28 ID:mo2eQFZj0

つかさ「……何言ってんだ、これからは正真正銘お前が運営していく事務所なんだ、そんな調子だと困るんだよ」

男性「桐生社長……それでも私は……こんな、RUNWAYを見捨てて逃げるような……」

つかさ「言うな。今の本社のこの状況なら……お前たちは独立さえすれば生き残れる。沈んでいく泥船に付き合うことはない」

男性「……確かに、独立は私の目標でもありました……けど、こんな形でなんて……!」
582 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:28:56.05 ID:mo2eQFZj0

つかさ「……お前たちには申し訳ないと思ってる。こんな大事な話をするのにも隠れてこそこそとしなきゃならない……」


つかさ「だが、お前たちはこうなる前からもう独立してもやっていけるとアタシが判断した奴らだ。はじめは苦労するかもしれないが……絶対に大丈夫だ」

つかさ「元々は競争心を煽るための疑似的な独立制度だったが……お前たちは想定以上に成長した。本当に、一個の芸能事務所としてやっていけるほどにな」


男性「……桐生社長……!ですが!」
583 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:34:05.77 ID:mo2eQFZj0
つかさ「いい加減シャキッとしろ!これからはお前が自分のアイドルの人生を背負ってかなきゃいけねぇんだよ」

男性「……!」

つかさ「新しくも田舎から上京してきて入ったあの子……彼女もこれからだろ。だったら……もうお前はこっちを気にしてる余裕なんてないハズだ。お前は彼女たちを幸せにする義務があんだよ」

男性「……はい」
584 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:34:54.46 ID:mo2eQFZj0
つかさ「彼女たちを……頼んだからな」

男性「……」
スッ

男性「……桐生社長、今まで本当に、お世話になりました」

つかさ「……こっちこそ、本当にすまなかったな」
585 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:39:21.74 ID:mo2eQFZj0


つかさ「……よし、これで独立組全員と話はついたな……」

つかさ「あと残るは……」

プルルルル

ピッ
つかさ「……もしもし」

『……もしもし、新田です』
586 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:42:57.00 ID:mo2eQFZj0

つかさ「美波か、どうした?」

美波『うん……大丈夫かなって……何か私に手伝えることない?』

つかさ「なに言ってんだよ。ただでさえ迷惑かけまくったのにこれ以上手を借りられるかよ」

美波『そんな、迷惑だなんて……』
587 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:46:48.70 ID:mo2eQFZj0
つかさ「……隠すなよ。最近美波んトコにもマスコミが寄ってきてるだろ。ウチと何か関わりがあったんじゃないかって……」

美波『……けど、ウチは大丈夫だよ。極限流も、事務所の方だって社長さんが上手くやってるし……』

つかさ「それでも、この件のカタはアタシがつける。それが社長としてのアタシの責任だからな」




美波『……つかさちゃん、プロダクションを畳む気なの?』
588 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:51:31.66 ID:mo2eQFZj0
かさ「……アイツに……山崎にこのプロダクションは絶対に渡さない。それだけだ」

美波『……つかさちゃん』

つかさ「もう、切るぞ。ごめんな」


美波「……」

美波(何か、出来ることは……)
589 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:54:39.88 ID:mo2eQFZj0
都内
某所

心「……」
コソコソ
キョロキョロ

心「……」
スッ

心(……はぁ。あの騒動以来、まともに顔出して表も歩けなくなっちゃったな……事務所近くには近づけもしないし)
590 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 16:58:01.10 ID:mo2eQFZj0
心(社長は社長で連日マスコミの対応と傘下の事務所を完全に独立させる手続きで忙しすぎてまともに話もできないし……)

心(他のメンバーの子たちも……直接話は出来てない……みんなメッセージは返してくれるけど、多分塞ぎこんじゃってる……特に智絵里ちゃんは)

心(社長からは待機って言われてるけど、正直今後の見通しは全く立たないし……ホントにどうなっちゃうんだろう)

心「……」


心(それに、ビリーさんも……)
591 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:01:26.08 ID:mo2eQFZj0

心「……」


心(……けど、ずっとこのままじゃ絶対ダメだし……いくら先行きは見えなくても、はぁとははぁとのやれることをやらなきゃダメだろ)

心(そもそもほんの1年前まではもっと先行きの見えない人生送ってたんだし……何があっても諦めらんないし)

心(っていっても、目立つことはできないしアパートの壁は薄いし、今日もカラオケボックスで歌の練習しよ……)
コソコソ
ウィーン
592 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:07:42.46 ID:mo2eQFZj0


店員「いらっしゃいませー、お一人様でしょうか?(うわっ、この人マスクとサングラスつけてて超怪しい……有名人?)」

心「あ、はい……フリータイムで……」

店員「では、こちらのお部屋になりまーす、ごゆっくりどうぞー」



心「……ふぅ。ここなら歌っても踊っても大丈夫だよね……よーっし!スウィーティーに自己レッスン始めるぞ☆」
593 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:11:37.41 ID:mo2eQFZj0
〜♪

心「ふっ、ふっ……」
タンタン

心「……っはぁー!疲れたー!」
ボスッ

心「あ〜……」

心「……」
594 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:14:39.04 ID:mo2eQFZj0
心(一体いつまでこんな状況なんだろ……このまま待ってれば沈静化するのかな?事が収まった時、事務所はまだあるのかな?……はぁとは……アイドルでいられてるのかな?)

心(……あ〜、考えれば考えるほど暗くなって……)

心「……」

………………
595 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:18:32.28 ID:mo2eQFZj0
………………


心「……はっ」

心「あれ……?もしかしてはぁと、寝ちゃってた……?」
スッ

心「……ウッソ!?もうこんな時間!?寝すぎだろ!」
ガバッ

心「ヤバイヤバイ、帰って洗濯物畳まなきゃ!」
ダッ
596 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:20:50.74 ID:mo2eQFZj0
街中

心「ハァ……ハァ……」
タッタッタッタ

心(すっかり遅くなっちゃった……しかもほとんど寝てたし……自分が思ってるより疲れ溜まってんのかなこれ……)

心(……とにかく早く帰ろ……こっちの事務所の近くを通れば少し近道になるけど……でも社長からは事務所には近づくなって言われてるし……)

心「……」
597 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:24:48.25 ID:mo2eQFZj0
心「ううん、やっぱやめとこ……急がば回れって言うし……」
スッ

記者「……おい、アレ、『RUNWAY』に所属してるアイドルじゃないか?」

心「……!?」

記者2「ん……?あ、マジだ!前あの『ととヒガ』に出てた……佐藤とかいう!」

心(ほああああああ!?こ、こんな所にはぐれ記者の人があああああ!?)
598 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:29:11.00 ID:mo2eQFZj0
記者「ラッキーだぜ……!ちょっとちょっと!君RUNWAYのアイドルだよね!?ちょっとお話いいかなぁ!」
ダッダッダッダ

心「ひっ!」

心(あばばばばばばば!ヤバイ!ヤバイ!逃げなきゃ!)
ダッ

記者2「あっ、逃げたぞ!」

記者「チッ、こっちもこんな時間まで毎日毎日こんな時間まで張らされてんだ!手ぶらで帰れるか!追え、追え!」
ダッ
599 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:32:57.94 ID:mo2eQFZj0
心(ぎゃー!追ってきたああ!)
ダッダッダッダ

心(ヤバイ!ヤバイ!自宅待機の指示でてるのに街でマスコミに捕まるとかマジでヤバイ!逃げ切らないと……!)
ダッダッダッダ

記者「待てえええええ!!」
ダダダダダ

記者2「逃げ切れると思うなよおおおお!」
ダダダダダ

心(あああああああ!記者さん速い!絶対なんか運動やってる!)
600 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:36:52.94 ID:mo2eQFZj0
心(ああ、追いつかれる……!)
ヨタヨタ

心(ごめん、みんな―――――)

???「こっちよ」
グイッ

心「うへぇ!?」
ガクッ

心(な、なんか知らない人に路地裏に引っ張りこまれた!?)
601 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:41:38.30 ID:mo2eQFZj0
クソ!ドッチイッタ!?
サガセ!チカクニイルハズダ!

バタバタバタ


???「とりあえずは、大丈夫そうか……」

心「あ、あの〜……あなたは……」

???「……」
ジロジロ
602 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:46:19.76 ID:mo2eQFZj0
心(な、なにこの人……?ヘルメット被って顔隠して……怪しすぎる……!)

心(……はっ!?もじかしてこれって襲われる直前なの!?人気のない路地裏にヘルメット被った不審者に連れ込まれるとか……完全にそういうシチュじゃん!?)

???「……あなた、アイドル事務所RUNWAYに所属している……佐藤心さんに間違いないわね?」

心「……え?」



心(この声……女の人?っていうか、なんではぁとの事知って……はっ!?)
603 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:51:58.85 ID:mo2eQFZj0
心「あ、あんたも記者の人だな!?ち、違いますぅー!はぁとは佐藤心じゃありませんんんん!!」

???「……はぁと?ちょっと何言ってるかよくわからないけど……隠れていたいならあまり大きな声を出さない方が良いわよ」

心「……へ?いやいや!なんかそんなこと言ってはぁとの事を騙そうと……!」


???「……はぁ」
604 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 17:55:57.20 ID:mo2eQFZj0

オイ!コッチダ!
アッチノロジウラカ!

ドタドタドタ

???「……ほらね」

心「あ、ああ……!」

???「……しょうがないわね。ちょっとそこの陰に隠れてなさい」

心「え、でも……!」

???「……」
スタスタ

心「あ……!」
605 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:00:41.06 ID:mo2eQFZj0


記者「……さっきの通行人の話じゃこっちに金髪の女が入ってったのを見てる」
ザッザッ

記者2「こんなところに……チョロチョロしやがって……ん」



???「……」

記者2「すみません、そこの……こっちに金髪の女性が来ませんでしたか?」

記者「いや、来たはずだ……!」
606 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:05:41.77 ID:mo2eQFZj0
???「……金髪の、女性?」

記者2「(女か……?)そうです、背丈はちょうどあなたと同じくらいの……」

???「……」
スッ

記者(ヘルメットを……あ!)

女性「……ふぅ」
フッ

記者2「あ……き、金髪……」
607 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:08:49.64 ID:mo2eQFZj0
女性「……何か、私に用かしら?」

記者2「い、いや……」

記者「そ、その……あなたの他にここに金髪の女性が……」

女性「……」
ジロリ

記者2(うっ……な、なんだこの迫力……!?)

女性「……あなたたち、何の仕事をしてるの?探偵か何か?」
608 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:11:52.60 ID:mo2eQFZj0

記者「あ……自分たちはその、報道関係者で……」

女性「報道関係者?この国の報道関係者は男2人がかりでこんな路地裏まで女性を追いかけまわすのね」

記者2「う……あ、あの、佐藤なんとかっていうアイドルを探してるんだけど……」

女性「アイドル?よく知らないけど、その子はよっぽど悪いことをしたんでしょうね。そうじゃなきゃこんな事倫理的に許されないもの」
609 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:14:07.48 ID:mo2eQFZj0

記者「……おい、もう行くぞ」

記者2「あ、ああ……しかし……」

記者「金髪の女はこいつの事だったんだろう……他を当たろう……」

記者2「そ、そうだな……」

女性「……」
610 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:18:28.61 ID:mo2eQFZj0



女性「……行ったわよ」

心「あああああ!あ、ありがとうございますぅ!そして何かさっきは色々失礼な事言っちゃってごめんなさいっ!」

女性「気にしてないわ」


心(あああ、良かったぁー!なんとか助かったぁー!)

心(それにしても……この人……外国の人だよね……ブロンドの髪に……革ジャン着てるからわかり辛かったけどナイスなプロポーション……いかにもデキる女の匂い……)
611 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:21:09.17 ID:mo2eQFZj0
心「あ、あの……日本語上手なんですね☆」

女性「そう?ありがとう、私も祖父が日本人だったから……って言っても別に祖父と話した記憶なんてないんだけど」

心「あ、そうなんですか……とにかく、助けてもらってほんとなんてお礼を言えばいいか……」

女性「あら、あなた本当に助かったかどうかはまだわからないわよ」

心「へ?」
612 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:26:04.05 ID:mo2eQFZj0

女性「話を戻すわ。あなた……佐藤心さんに違いないわね」

心「……え?あ、あの……」

女性「もう分かってるから隠さなくていいわよ。さっきの男たちもあなたを探していたと言ってたし」

心「うぐ……」

女性「……ああ、失礼。自己紹介が遅れたわね」
613 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:30:15.39 ID:mo2eQFZj0

マリー「私はマリー。あなたの知ってることを聞かせてもらえるかしら?」

心「し、知ってる事……?」

マリー「ええ。あなたの所属している事務所と……ビリー・カーン。彼についてね」


心「……ビリーさんの……!?」
614 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/02/16(日) 18:31:18.10 ID:mo2eQFZj0
今日はここまで
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/16(日) 19:02:15.46 ID:zaPogjgMO
再開きたー!待ってました!
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/16(日) 21:34:16.60 ID:Qt25ATLM0
祝再開!待ってました!
そしてブルーマリー登場か
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/17(月) 23:45:51.70 ID:xwFIW8mI0
腹筋が見事な女性エージェントが来た
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/18(火) 07:44:21.64 ID:i1LUgzNDO
公式でキャラが安定しないことに定評のあるマリーライアンさん
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 03:21:31.49 ID:lNLDsiQw0
ビーフカップ一筋三百年〜
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/18(土) 17:59:01.17 ID:oOwDxM1uO
コロナが大変でアイドル達もライブどころじゃないな
621 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 22:44:07.56 ID:d2BdRMho0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

ーーーー


数日前
都内


ポツ
ポツ
サー

男「(……雨?)」

男2「(クソ、今日は降るとは聞いてなかったのに……)」

男「(ボス、すぐに車を手配させます、どこかで雨宿りを……)」

山崎「……」
622 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 22:47:34.57 ID:d2BdRMho0

山崎「(てめぇら、先に戻っておけ。俺は後で戻る)」

男「(は?ですが……)」

山崎「(ちと用事が出来た……二度言わすんじゃねえ)」

男「(は、はい。車はどうしますか?)」

山崎「(いらねえ。とにかく早く消えろ。……ああ、ただ今日はアジトに帰るんじゃねえぞ。どっかで適当に一晩過ごせ)」

男2「(……?わ、わかりました)」
623 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 22:51:13.11 ID:d2BdRMho0


山崎「……」

ザー
スタスタ


山崎「……」
スタスタ

スッ

山崎「……おい。コソコソさっきから尾けてまわってんのは、どこのどいつだ?」

スッ
???「……」
624 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 22:56:00.00 ID:d2BdRMho0
山崎「……おいおい、名乗ってくれなきゃわからんぜ。生憎身に覚えがありすぎてなぁ」

???「……日本に来ているという情報は得ていたけど、ようやく姿を現したわね。手下と一緒に悪巧みといったところかしら?」

山崎(女……?)

山崎「おいおい、なんのこった?悪巧みも何も……ただ知り合いと街をブラブラとしてただけじゃねえかぁ」

???「そう?この日本でそんな悠長な事をしていられる余裕があったとは知らなかったわ、山崎竜二」
ファサ
625 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:01:20.13 ID:d2BdRMho0
山崎「……ああ、てめぇは……以前サウスタウンで俺の事を嗅ぎ回ってた女か」

マリー「……あなた、何が目的で日本にいるの?」

山崎「アァ?俺ぁ元々日本の生まれだぜ、里帰りもしちゃいけねぇのかい?ククク……」

マリー「日本中の裏社会の人間に命を狙われてるあなたが、しかも大勢の手下を引き連れて里帰り、ね。さぞかし家族もご友人も喜ぶでしょうね」
626 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:06:04.48 ID:d2BdRMho0
山崎「ああ、残念ながら家族も仲間もこの世にゃいねえ……だが久々に生まれた国の様子でも見たくなってなぁ?郷愁ってやつだ」

マリー「……とぼけないで。先日の都内であったビリー・カーンの傷害事件……あれはあなたが仕組んだことでしょう?」

山崎「へえ?そんな事件があったのか……ってか、あの狂犬もこっちに来てたのかよ、初耳だぜ」
ニヤニヤ

マリー「……もう一度聞くわ。あなた、何を企んでいるの?ビリー・カーンが潜伏してた事務所に、いったい何があるっていうの?」
627 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:10:55.45 ID:d2BdRMho0
山崎「クク……それこそそれはあの狂犬に聞いたらいいんじゃねえか。最も、あいつはもうブタ箱行きだがなぁ……ヒヒヒヒ……」

マリー「……話しなさい」
スチャ

山崎「……おぉ〜っとォ〜……拳銃なんてそんな物騒なモン出して……ヒヒヒ、ダーティハリーでも気取ろうってのかい」

マリー「私は刑事では無いのよ。その気になれば……」
ガチッ
628 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:15:31.92 ID:d2BdRMho0
山崎「ヒヒヒ、そいつは無理だな……どこの誰かに雇われたか、個人的に動いてるかは知らねえが……何か確証も無く街中でンなモンぶっ放せば、お前がどんだけお偉いエージェント様でもお咎めなしとはいかねえだろ?」

マリー「……!それは、どうかしらね……試してみる……?」
ガチ

山崎「ククク……ヒ、ヒヒヒヒ……」
ズイ

マリー(この男……!自分から額を銃口に……!)

山崎「Go ahead…… Make my day……と、こりゃお前(ハリー)のセリフだったかァ?」
ニヤニヤ
629 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:19:33.58 ID:d2BdRMho0
マリー「くっ……」

マリー(全く怯んでないどころか……挑発をしてくる……!この状況で……!)

マリー(いえ……この状況でも……もし私が引き金を引こうとも逆に私を潰せると確信している……!)

マリー「……」
スッ

山崎「……なんだァ?結局撃たねえのか?ククク……」
630 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:26:02.98 ID:d2BdRMho0
マリー「……あなたは危険よ。必ず尻尾を掴んで……あなたも刑務所に送ってあげるわ」

山崎「やってみなぁ……ヒーヒッヒッヒ!」
ザッザッザッザ

マリー「……」

マリー(問題は山崎だけじゃない……)

マリー(山崎竜二……ビリー・カーン……この危険な男たちが集まる芸能事務所……その裏には……あの男に関係のある何かがある……?)

〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
631 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:31:54.78 ID:d2BdRMho0
現在
都内某所


マリー(……という訳で、事務所内の関係者から直接事情を聞き出そうと思ったけど……)


心「……だぁ〜から〜!ホントに知らないの!ビリーさんが本当は何しに事務所に来てたのかとか言われても……こっちはスカウトされただけだっての!」

マリー(……これだものね)
632 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:36:56.20 ID:d2BdRMho0
マリー「……じゃあ本当にビリー・カーンはあなた達をプロデュースしてただけだって言うの?実は裏で色々動いてたんじゃないの?」

心「そんな事言われたってはぁとは知らないっての!けど、少なくともはぁと達といる時は普通の……いや、普通とは言い難いか……いっつもプリプリしてる、凶暴な……」

マリー「凶暴な?」

心「……けど、なんだかんだ言って面倒見は悪くないっていうか……根っからワルという訳ではないというか……いや、チンピラだけど……」
633 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:40:05.52 ID:d2BdRMho0
マリー「……根っからワルじゃない、ね……あなた、そもそもあの男がどういう人間か知ってるのかしら」

心「まぁハッキリ言って素性は全然知らないけど……でも、チャンピオンもなんかそんな感じの事言ってたけど……本人には聞きそびれたから何も知らない」

心「せいぜい三十路にもなって妹離れ出来ないシスコンのすぐ切れる危ない男としか……」

マリー「結構無茶苦茶言うわね……けど、貴女も現場を見たんでしょう?この前の『事件』を」

心「……」
634 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:43:45.86 ID:d2BdRMho0
マリー「ごめんなさい、思い出したくない光景でしょうけど……でもあの事件、恐らく貴女が把握している以上に複雑な裏がありそうなの」

心「……え?あれって、ビリーさんが街で大ゲンカして止めに入ったテリーさんにも大怪我させたって事でしょ?はぁと達はそう聞いてるけど……」

マリー「そうね。少なくとも世間ではそういう事になってる……もちろんそれも完全な偽りではないけど」

マリー「……あなた、この男を見たことはある?」
スッ
635 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:48:43.75 ID:d2BdRMho0
心「写真?……うわっ、人相わるっ……絶対関わりたくない……っていうか近寄りたくない……ヤの付く自由業の方?」

マリー「……会ったことはないのね?」

心「ないないないない!絶対!こんなの正面立たれたら泣いて命乞いするわ☆」

マリー「……実は、この前の事件は、この男が仕組んでいたという疑いがあるの」
636 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:51:10.46 ID:d2BdRMho0
心「……ええ!?仕組んでたって……何を!?ていうか何で!?っつーかこれ誰!?」

マリー「ちょっと落ち着いて……」

マリー「この男の事を話す前に……まずはビリー・カーン……あの男について話をする必要があるわね」

心「……!」
637 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:55:44.58 ID:d2BdRMho0
都内
某所



つかさ「……」
スッ

つかさ(……よし、まだここのホテルはマスコミにはバレてないみたいだな……)

つかさ(どうせ自宅近くにはずっとマスコミが張ってるだろうし、ここがバレた時の為にもう二、三候補を探しとかねぇと……)
スッ

「……おい」
638 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/06(水) 23:58:48.08 ID:d2BdRMho0
つかさ「……ッ!」

つかさ(……まさか……もう嗅ぎつけられて……!)

「……」

つかさ「……!お前は……」

つかさ「……ビリー・カーン、か……」

ビリー「……」
639 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/07(木) 00:03:21.78 ID:B7CxciAl0
都内
ホテルの一室

つかさ「ふう……それにしても……なんでこのホテルだとわかった?」
トス

ビリー「……別にピンポイントでこのホテルを当てた訳じゃねぇ」

ビリー「以前お前が仕事で手配した事があるホテルをピックアップして……その内の一件ずつに張ってたらお前が来ただけだ」

つかさ「なるほどな……確かに幾つかのホテルを切り替えながら生活をしてるが……何にせよ、お前にすぐ行きつかれるようじゃもう替え時かもな」

ビリー「……」
640 : ◆z4l4K/HkZ2 [saga]:2020/05/07(木) 00:06:48.08 ID:B7CxciAl0
つかさ「……いや、本来のお前の仕事はこういう事の方が多かったのか?」

ビリー「……」

つかさ「ビリー・カーン……本当に釈放されてたんだな」

ビリー「……その口ぶりじゃ……もう誰かに聞いてたのか?」

つかさ「ああ……お前の本来の会社の……ハワード・コネクションの男から一応報告しとくっつてな」

ビリー(リッパーか、ホッパーのどっちかか)
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