このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【艦これ】提督「墓場島鎮守府?」如月「その2よ!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

548 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/04/21(日) 17:55:34.65 ID:03VeN8f5o

提督「え……お前自覚ないのかよ。滅茶苦茶落ち込んで泣きそうだっ」

大淀「そんなことありませんっ!!」ツーン!

提督「いや、おま」

大淀「だいたい! 提督はご自身を軽んじすぎておられます!」クワッ!

大淀「少しはご自身の立場というものをご理解ください! いいですね!?」ズイッ

提督「……わかった。わかったよ」ハァ

大淀「また同じようなことがあったらお説教ですからね! まったくもうっ!」プンスカ

提督「散々だな今日は……まあ、大淀の言うことも尤もだ」

提督「妖精たちもその辺で聞き耳立ててるし、迂闊なこと言って心配させねえほうがいいか」

大淀「……!?」

島の妖精たち「」コソコソッ

大淀「」

提督「まあ、自嘲はできるだけ言わないようにするが……人間への文句は言いたくなる時があるから、そっちは勘弁してくれ」

大淀「……」カオマッカ

提督「どうした?」

大淀「なんでもありませんっ!!」プイッ

提督「……なんなんだ、いったい」
549 : ◆EyREdFoqVQ :2019/04/21(日) 17:56:31.22 ID:03VeN8f5o
>538-539は書き込みミスのため無視をお願いします。
なんで連投になっちゃったんだろう……。

今回はここまで。
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 14:14:49.94 ID:+uRgqd9OO
乙です、提督自分からめんどくさい奴オーラ出していたせいで
ぼっちになった可能性がある?
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/25(木) 01:39:05.51 ID:5joR2FSqo
ハーレムまだー?
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/11(土) 23:42:08.41 ID:K4wJA/Ja0
ほしゅ
553 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:38:41.59 ID:tgIYhLP7o
お待たせしました、続きです。

今回はその、ぼっちになった理由をば。
554 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:40:09.93 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

古鷹「そうですか、二人とも仲良くなれたんですね!」

雲龍「ええ」ニコニコ

龍驤「まあ……うちが大人になれへんかっただけや。いらん気ぃ遣わせてごめんなあ」ペコリ

明石「いえいえ、身体的なコンプレックスはなかなか根深いですから、仕方がないですよ」

古鷹「本当に良かったです!」ニコニコー

長門「……」

如月「……」

陸奥「それにしても……」

龍驤「うん?」

雲龍「なぁに?」

陸奥「ちょっとくっつきすぎじゃない?」

(雲龍の膝の上にちょこんと座る龍驤)

龍驤「そう?」クビカシゲ

雲龍「私は構わないわ」
555 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:41:08.02 ID:tgIYhLP7o

如月(雲龍さんの胸が枕みたいになってるわ)

長門(潮にもしてあげたら喜ぶだろうか)ウーム

陸奥「……まあ、二人がいいならいいんだけど」

古鷹「良いことばかりだと思います!」パァッ

古鷹「陸奥さんも仰ってましたよね、龍驤さんは前の鎮守府でも練度の高い航空母艦として、みんなから信頼されていたって!」

古鷹「そんな良い先生がすぐそばにいれば、雲龍さんもすぐに強くなれそうですね!」ニコニコー

雲龍「そうなりたいわ」ニコ

龍驤「先生なんて、そんなたいしたことあらへんて」テレテレ

長門「いや、たいしたことはあるぞ。何といっても、この鎮守府の航空戦力はお前たちだけだ」

明石「この鎮守府、空母が長らく不在だったせいで、艦載機の妖精さんたちは暇を持て余してましたからねえ」

島妖精A(流星改)「まったくだ」ウンウン

島妖精C(彗星)「やっと私たちが腕を振るえる日がきたねえ」ウンウン
556 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:42:35.18 ID:tgIYhLP7o

長門「これから頼りにさせてもらうぞ?」

如月「私たちも頑張って護衛するわね」

龍驤「おおきにな、うちも頑張るわ」ホロリ

雲龍「私も頑張るわ」

龍驤「ところで……」チラリ

妖精「……」ションボリ

龍驤「なんでキミはそんな風にしょげてるん?」

妖精「提督がね……」ハァ

明石「まーたなにか碌でもないこと言い出したんですか」

島妖精A「人間は一度滅ぶべきだ、と言っていた」

古鷹「!?」ギョッ
557 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:43:42.92 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

朧「大淀さんが珍しく怒ってると思ったら」

由良「そんな滅多なこと、口にするべきじゃないわ」

大淀「ですよね!」

提督「わけわかんねえ。どうしてお前らが人間を擁護するんだよ」

朧「気に入らないことは確かですけど、それをアタシたちが口にしたらダメだと思います」

由良「そうよ。仮にも私たちは国民を守るため、国を守るために働いた軍艦の生まれ変わりよ?」

由良「かつて私たちに乗っていた人たちだって、親しい人たちと一緒に生きたくて、生きて帰りたくて戦ったのよ」

朧「戦争に負けたらどうなるかわからない。みんな必死だったんです」

提督「それで死んだ先人たちの無念を知る艦娘を、生き残った人間どもはどんな風に扱ってるんだ?」

提督「お前らこそ悔しくねえのかよ、俺は呆れてるくらいだ。そうでなくても、俺はあいつらを信用できねえ」

由良「良い人だっているじゃない。どうしてそこまで人間を敵視するの?」
558 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:44:23.06 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

妖精「わたしのせいで提督は、提督の両親と険悪になっちゃったんだ」

陸奥「どういうこと?」

妖精「提督は、小さいころからわたしの姿が見えてたんだ。それを両親に話したらとんでもないことになっちゃって……」

龍驤「そんな長い付き合いなんか。キミたちもそうなん?」

島妖精A「残念だが、わたしたちは提督の幼少のころの話は知らないぞ」

島妖精C「こっちの子は提督が島に来る前から一緒だったけど、わたしたちは提督とはこの島で初めて出会ったからね」

妖精「わたしが提督と出会ったとき、提督は4つか5つだったと思う。素直でいい子だったんだ」

明石「素直……」

長門「いい子……?」

龍驤「いやいや、さすがにそんな歳から歪んどったら可哀想やろ」ビシッ
559 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:45:09.00 ID:tgIYhLP7o

古鷹「でも、そこまで話を遡るってことは、そのころから問題があったんですね?」

妖精「うん。提督の両親……っていうか、お父さんはオカルトが大嫌いでね」

妖精「提督がわたしを見つけて、その話を提督のお父さんに話したの。そうしたら、すごい剣幕で提督を詰りだして……」

妖精「話を合わせるわけでもなく、優しく諭すわけでもなく、いきなり怒鳴り始めたんだ」

長門「子供相手にか……!?」

妖精「うん、まるで関係なかったみたい。そこまで毛嫌いするのかって、わたしもびっくりしたよ」

妖精「提督も見えたことは事実だから、嘘じゃないって主張するんだけど、そうすると火に油を注いでるような感じで」

妖精「わたしの存在を否定するだけじゃなく、提督のことまで非難し始めて……そのうち暴力も振るわれて」

如月「……!」

妖精「それからかな。提督の言うことを、周囲の人に信じてもらえなくなったのは……」

妖精「提督の前に姿を見せた、わたしが悪かったの……」ションボリ

島妖精たち「……」

艦娘たち「……」
560 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:46:08.09 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

提督「悪いのは聞く耳も持たずに俺の話を全否定した父親だ。妖精に罪はねえよ」

朧「お母さんとか、信じてくれる人がいなかったんですか」

提督「いなかった。なまじ父親が社会的に権力を持ってたせいでな」

提督「外面も良かったし、そんな父親だから母親も妄信してた」

由良「……信じられない。幼稚園児くらいだったんでしょ?」

提督「俺だって信じられなかったさ。確かに今思えば我ながらメルヒェンな寝言をほざいてたとは思うが……」

大淀「ですが子供の言うことですよ? せめて、見間違えじゃないか、くらいの言葉をかけられても良いはずです」

提督「……お前らは優しいな」

提督「そういう言葉をかけてくれるやつが一人でもいたんなら、妖精にもつらい思いをさせずに済んだはずなんだがな」

朧「提督と一緒にこの島に来たっていう、あの妖精さんですか」

提督「ああ。俺に見つかりさえしなきゃ、こんな島に来ることはなかったのによ。あいつには迷惑かけっぱなしだ」
561 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:47:16.89 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

妖精「提督はわたしに迷惑をかけたって言うけれど、わたしは迷惑だなんて思ってないよ」

龍驤「キミもえらいお人好しやなあ。この島に来る前に、提督と別れることだってできたやんか」

妖精「さっきも言ったけど、見られないと思って姿を見せちゃったわたしが悪いんだ」

妖精「単純に心配だ、ってところも多いけどね。提督は人付き合いっていうか、他人が苦手だし」

長門「まあ……そうだな」

妖精「提督と小さいころから過ごしてきて、土壇場でわたしは行かない、なんて言ったら不義理じゃないか」

妖精「提督はわたしを信頼してくれてるし。離れ離れになったら、提督が心配でわたしが大丈夫じゃないよ」

陸奥「それで一緒にここに来たのね」

妖精「本当はすごく優しい人なんだ。以前はわたしたち妖精にもにこにこ笑ってくれてたんだよ」

妖精「でも、何もないところを向いて微笑んでいるところを、何も知らない人たちが見たらどう思うか、わかるよね」

妖精「提督が小さい頃……学生になってからもかな。それで提督はずっと後ろ指を指されていたんだ」

如月「司令官……」

妖精「提督が普段殆ど笑わないのも、そのせいなんだと思う」
562 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:48:12.71 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

提督「妖精に向かって何を喋っても、馬鹿にしてくるクソどもがいねえってのは本当に快適だぜ」

提督「海軍の内部ですら、ひそひそしてくる奴がいたからな」

大淀「……提督。妖精さんが見えると言う話、警察やお医者さんには話さなかったんですか?」

提督「うん? そう言やあ、話した記憶はねえな。つっても、村中で噂になってたから、知らない奴はいなかった気がするが」

朧「村……ですか?」

提督「おう。俺の生まれは山奥のど田舎だ。海とは無縁の農村だよ」

大淀「私が知る限り、警察やお医者様には、妖精さんが見える人がいたら海軍へ連絡するように連絡が行っているはずなんです」

提督「そうなのか?」

由良「……ねえ、大淀。もしかしてその話って、提督が小さいころは広まってなかったんじゃない?」

大淀「提督の話を聞くと、そうかもしれませんね……」

大淀「それと、妖精さんの目撃情報が海沿いに集中していましたから、内陸部にはその連絡が広まっていなかったのかも」ウーン

提督「かもな。実際、山奥の妖精は珍しいぞ」

朧「そうなんですか?」

提督「小学校のときは田舎の分校だったが、中学からは学校も町中になって、それ相応に妖精も増えてたな」

提督「そもそもあの妖精も、気まぐれで俺の村に来たとか言ってたし」

由良「それなら、提督さん以外にも妖精さんが見える人がいてもおかしくないわよね。ね?」

提督「いや、生憎と俺以外で妖精が見える奴には、お目にかかれなかったな」
563 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:49:11.46 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

妖精「ほかの子たちにも聞くと、提督以外にもわたしたちの姿が見えていそうな人はいたみたいなんだ」

妖精「でも、提督が妖精と話ができる、という話が『良くない噂』として知れ渡っていたせいで……」

妖精「見えることを秘密にしちゃう人ばかりだったんだよね」

長門「なるほど、もし誰かが妖精さんを視認できていたとしても、とても言い出せない環境だったわけか」

如月「ちょっと待って、それじゃ司令官は、その学校にいる間ずっと『良くない噂』で何かされてたってことなの!?」

妖精「うん……たとえば、からかわれたり、無視されたり……いじめに近いと言えばそうだったね」

龍驤「今のいじめって陰湿なのが多いからなあ……」

陸奥「でも、提督が子供のころだと、そこまで陰湿ないじめってなかったんじゃ……?」

妖精「最初はからかわれるほうが多かったよ。でも、それを提督が無視して、無視し返されて……」

妖精「そのうち喧嘩になったんだけど、提督が全部返り討ちにしてね。それからは腫物扱いされてたよ」

雲龍「提督って強いの?」

明石「間違いなく強いはずですよ。計ったことはありませんが、握力がとんでもないですから」

如月「アイアンクローもすごいけど、でこぴんもすっごく痛いの」

古鷹「そういえば、吹雪さんをでこぴん一発で気絶させたこともありましたね……」

妖精「あったね、そんなこと……」ハァ
564 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:50:17.01 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

提督「最初は腕力を鍛えてたさ。けど、あの父親のげんこつはそれじゃ止められなかった」

朧「それで握力を鍛えてたんですか」

提督「とにかく向こうの攻撃を防ぎたかったからな。殴れないように腕を抑えればいい、って考えたのがきっかけだった」

由良「それにしたって、小学生相手に暴力をふるう父親ってどうなの!?」プンスカ

提督「俺が折れないせいで頭に来たんだろ。俺も俺で妖精が見えることを嘘だと言いたくなかったからな」

朧「でもそれで提督は怪我してるわけですよね。周りの大人が提督を庇ったりしなかったんですか」

提督「あー……あいつ、一応は県議だったからな。村の連中にしてみれば超エリート、村の英雄みたいなもんだ」

大淀「権力でもみ消したんですか?」

由良「スキャンダルになるんじゃないの!?」

提督「国会議員になる話もあったからな。議員と話をする機会もあって、お巡りも町医者も委縮してやがった」ケッ

提督「誰に言っても無駄だとわかってからは、誰に頼らずにも済む方法を模索し始めたのは確かだ」

提督「出来のいい弟のおかげで、俺のことはなかったことにしようとしてたくらいだからな」

由良「提督さん、弟がいたんですか」

提督「あいつらの英才教育のおかげで、そりゃあお利口さんに育ったぜ」

朧「絶対に皮肉ですよね、それ」

提督「おうよ」
565 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:51:08.05 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

妖精「最初は提督も弟さんのことは可愛がってたよ。それこそ小っちゃいころの話だけど」

妖精「でも、提督がわたしたちの姿を見えると言った途端、提督に近づけちゃいけない、って完全に隔離されちゃってね」

長門「理解のない親だったとは言え、そこまでするのか……!」

妖精「あのお父さん、潔癖なくらいわたしたちの存在を否定してたからね」

妖精「その甲斐もあって、弟さんはお父さんと同じエリートコースに乗ってるみたい」

妖精「兄である提督に対する態度は、お父さんよりひどいものがあるけど」

明石「なにそれむかつく! 当然、因果応報があったんですよね!?」

妖精「むしろ逆かなあ……」

陸奥「逆?」

妖精「提督が海軍に入って提督業に就いたことが、提督の家族にとってはプラスに働いたみたい。エリート家族の箔がついたって」

明石「うわ、そうくるの!?」

古鷹「で、でも、そうなったら、お父さんたちも提督に感謝して……」

妖精「あの人たちは、提督に対して感謝はしないと思うなあ」

古鷹「ど、どうしてですか!?」
566 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:52:12.93 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

提督「俺がこの島に来る前に、中佐が父親たちに金を渡したって言ってきたんだ」

由良「ど、どうして!?」

提督「俺の身に何があっても口出しするな、ってことだろうさ」

朧「……!」

提督「随分と神妙に受け取ったらしいが、あいつらのことだ。体よくごみを処分できたと喜んでるだろうよ」

由良「そ、そこまで言い切るの!?」

提督「妖精が見えるなんて血迷ったことを言う問題児。表に出れば問題行動を起こして迷惑をかける大馬鹿者」

提督「一族の面汚し、ってのが俺の評価だろうな。それを破格の値段で売っ払ったんだぜ? 笑ってないわけがねえ」

朧「笑えませんよ……!」

提督「そういうわけなんで、俺は奴らを家族だなんて思っちゃいねえ」

提督「その俺を見捨てないで、根気よく相手してくれたのは妖精だけなんだ」

提督「人間からは……誰からも救いの手を差し伸べられなかった。いくら妖精がいると訴えても、信じてもらえなかったんだからな」

提督「だから俺も人間は信じてねえし、信じられねえ」
567 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:53:07.71 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

妖精「……でもね。あの時は嬉しかったかなあ」

明石「あの時?」

妖精「N中佐に啖呵を切ったときのあの言葉だよ」

妖精「俺にとって大事なのは、この鎮守府にいる艦娘たちだ、って」

明石長門「「!」」

如月「そうね……すごく嬉しかったわ、あの時は」ニコ

妖精「あ、そうか、如月はあの時あの場所にいて、一緒に聞いてたんだよね」

如月「だからこそ、その後、自分の命を粗末にするようなことを言うのが許せなかったけど」ザワッ

明石長門((怖っ!?))ビクッ

龍驤「お、落ち着きや! なあ!?」

如月「あ、ごめんなさい。うふふっ」ニコ

陸奥「……信頼されてるのね、ここの提督は」

龍驤「陸奥?」
568 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:54:19.81 ID:tgIYhLP7o

陸奥「あの鎮守府にいたときは、以中佐に怒りを覚えることはあっても、以中佐のために怒るようなこと、絶対になかったもの」

長門「陸奥……」

陸奥「私、少しだけ頑張っちゃおうかしら」

龍驤「まあ、無理せんでええよ。徐々に慣らしてき」

明石「それにしても……提督の昔話は、聞けば聞くほどひどくなってません?」

如月「まだ話してない過去もありそうね……」

妖精「そうだね……いじめの話もいろいろあって。だいたいはわたしたちが提督に告げ口するから、すぐ解決するんだけど」

龍驤「例えばどんなん?」

妖精「嫌がらせで物を隠されても、妖精ネットワークですぐに犯人も探し物も見つかるし……」

妖精「大勢での待ち伏せやだまし討ちなんかも、わたしたちが見つけて事前に対策できちゃうんだよね」

龍驤「あー……偵察機飛ばすのに似てるなあ」

如月「妖精さんたちとは、いい関係が築けてたのね」

妖精「提督が、危険を知らせてくれたお礼に、って、お菓子やアイスをわたしたちに買ってくれたのも大きかったかなー」

妖精「スーパーに並んでるお菓子を勝手にとっていくのは、さすがにわたしたち的にもアウトだからね」

龍驤「お金はどうしてたん?」

妖精「結構落ちてるよ? 自販機の裏とかに」

龍驤「そういうことかいな!」
569 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:55:13.62 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

提督「妖精に助けてもらってばかりいたが、図書館以外でゆっくりできた場所がなかった気がするな」

提督「親は親で、育児放棄を疑われたくないから飯だけは出してくれたが、会話なんてなかったぜ」

朧「それで提督は、家族なんかいない、と仰るわけですか」

提督「ああ。あいつらは中佐に俺を金で売ったんだ。そうでなくても、俺は中学で父親に勘当されてる」

朧「勘当したくせにお金は受け取るんですか」ムスッ

提督「不服そうだな?」ニヤリ

朧「当然ですよ。そんなの家族なんて呼べません」

提督「ああ、俺もそう思う。けどな、忌々しいことに俺はそいつらの血を引いちまってるんだよな」

朧「!」ハッ

提督「そんなばつの悪そうな顔すんな。むしろ俺と同じ不満を口にしてくれたんだから、これでも嬉しいんだぜ?」

朧「提督……」

大淀「大和さんたちからの求愛を拒んだのも、そういうことですか」

提督「こういう血筋だからな。とっとと途絶えちまえ、って思ってる。結婚なんてもってのほかだ」

由良「それに加えて提督さん……その、えっちなのも、嫌いなんでしょ?」ポ

提督「確かにそれもあるな」アタマガリガリ

朧「あー……吐いてましたね、そういえば」
570 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:56:56.48 ID:tgIYhLP7o

 * 工廠 *

如月「司令官は、このまま独身を貫くつもりなのかしら……」

龍驤「……もしかして、ここの提督って童貞なん?」

妖精「うん、そういうことになるね」

龍驤「そういうのって、タガが外れた時の反動とか怖ないんかな?」

明石「そういうお話はよくありますけど、あの提督の性欲のなさは本当に異常ですよ」

明石「大和さんが隣で寝てようが、恥ずかしがるだけで絶対に手を出してこないそうですから」

長門「提督のほうが抱き枕にされてるくらいだと聞いてるな」

雲龍「その調子だと、生涯不犯でいる気なのかしら」

古鷹「ふぼん、ってなんですか?」

雲龍「僧侶の戒律ね。異性との交わりを断って禁欲することよ」

古鷹「そこまでするなんて……」

如月「有り得るわ……それに、男性向けの大人の雑誌を見て、拒否反応を起こして気分を悪くしたくらいだもの」

如月「もしかしたら司令官、そういうこと自体受け付けないっていうか、できないんじゃないかしら……」

長門「明石。確か、近々提督に健康診断を受けさせる話があったな?」

明石「はい、大淀から本営に申請したって聞きましたよ」

長門「提督には、一度カウンセリングにかかってもらったほうが良いと思うんだが、どうだろうか」

明石「うーん、今からじゃ、ちょーっと遅いと思いますよ」
571 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:57:54.58 ID:tgIYhLP7o

 * 執務室 *

 扉<コンコン

不知火「失礼します」チャッ

提督「不知火か」

不知火「ご報告いたします。司令の健康診断の日程が決まりました。詳細はこちらの書類に」スッ

不知火「この島へ向かっている医療船もすでに出港しております。診察前日の夜から飲食は控えるようにとのことでした」

提督「そうかい。はー……面倒臭えなあ」

不知火「面倒がらずに準備をお願いいたします。何もなければ面倒もなくすぐに済む話ですから」

提督「ああ、わかったわかった」

朧「不知火も結構世話焼きだね」

不知火「司令はご自身のことに頓着しませんから」

提督「……世間じゃあ、こういうのと母親みたいだって言うんだろうな」

大淀「提督……」

提督「気にすんな、ちょっと思うところがあっただけだ。ガキのころなら嫉妬してたがな」
572 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:58:45.92 ID:tgIYhLP7o

提督「それに、お前たちこそ『親』とかいねえじゃねえか。今の発言、無神経なのは俺のほうだろ」

由良「言われてみれば不思議よね。提督さんが言うまで、親がいないことを何とも思わなかったわ」

朧「……アタシも、鳳翔さんがいたから……」

提督「……いろいろ、おかしいよな」

不知火「……司令」スッ

提督「ん?」

不知火「不知火は、司令とは家族のようなものだと考えております」

提督「……」

不知火「司令はこれまで、不知火や如月、そしてこの鎮守府に流れ着いた艦娘たちを、救ってくださいました」

不知火「血縁でもないのに、体を張って、私たちを守ってくださいました」

不知火「それはさながら、親や兄弟のためであるかのように」

提督「……」
573 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/19(日) 22:59:33.71 ID:tgIYhLP7o

不知火「いえ、今のお話を伺うに、親や兄弟以上の……」

提督「そのくらいにしとけ」スクッ

不知火「!」

提督「……冗談じゃねえ」スタスタスタ

 扉<パタン

朧「行っちゃった……」

由良「提督さんったら、何を考えているの!?」

大淀「……し、不知火さん」ハラハラ

不知火「……」




 * 埠頭 *

提督「……」

提督「不知火に本音を言うのは間違いだったかな」

提督「……」ハァ

提督「ったく、やめてくれよ。俺に優しくしないでくれ」

提督「……離れられなくなるじゃねえか」ウツムキ
574 : ◆EyREdFoqVQ :2019/05/19(日) 23:01:08.38 ID:tgIYhLP7o
というわけで、今回はここまで。
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/20(月) 22:05:33.50 ID:i6eOxzN3o
早く艦娘に堕ちれば良いのにw
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/21(火) 00:11:43.38 ID:mOAtKXzqo
>>575
その未来はもう一個のシリーズでワンチャンないかどうかくらいだから……
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/23(木) 13:43:59.32 ID:wmPrf4H2o
>>576
まじかー悲しみ
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/24(金) 01:37:45.22 ID:+rW4bLYEo
>>577
罠だらけシリーズの方読んでくるとよかよ
579 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:35:04.16 ID:WB2fCxgbo
あちらの方はなかなか筆が進まずすみません。
というか、こっちを書き進んでいるといろいろ辻褄が合わなくなることが多すぎて困ります。

本当は、今回の二人の出番はもっと後だったのですが。


というわけで、続きです。
580 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:36:08.41 ID:WB2fCxgbo

 * 太平洋上某所 航行中の護衛船の一室 *

女性提督(以下「波大尉」)「……」ムスッ

士官1「大尉、機嫌を直してくださいよ」

士官2「そうですよ。大尉にもいい人が見つかりますよ」

波大尉「そーゆー台詞を聞き続けて何年経ってると思ってんのよ!!」ウガーッ

波大尉「だいたい! どうしてこのタイミングで私がブルネイまで出張しなきゃいけないの!? いつかは行きたいって言ったけど!」

士官1「そ、そう言われましても」

波大尉「ほかに行ける人いっぱいいるでしょ!? おかげでまた出会いの機会を逃がしちゃうし!!」

士官2(また隠れて合コン行くつもりだったんだ)

士官1「いいじゃないですか、波大尉もこの仕事を頑張っておられるんですから、そのご褒美のバカンスだと思えば」

波大尉「バカンスに独りで行ったってしょうがないでしょーーー!!」

士官1「……す、すみません」

波大尉「っていうかさぁ、そう思うんなら、あんた、あたしに付き合いなさいよ」

士官1「え? そりゃ駄目ですよ。俺、妻がいますんで、未婚の女性とそういう行動をとるのは既婚者としてどうかと」
581 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:37:22.07 ID:WB2fCxgbo

波大尉「はあ!? じゃああんたは!」

士官2「結婚はまだですけど、そういう約束なら……」テレテレ

波大尉「」

士官1「え、マジ? お前、あの子とそこまで行ったのか!?」

士官2「いやー、ちょっと顔見せ程度だったんだけど、彼女の両親に会わせてもらって……」テレテレ

士官2「ほんっと緊張したぜー、強面の親父さんだったしなあ。でも、俺の職業聞いたら歓迎されちゃってな!」テレテレ

士官1「えっ、普通逆じゃね? 俺、めっちゃ反対されたぜ」

士官2「親父さん、警察官なんだよ。それで同情されたっていうか」

士官1「あー、なるほどなー、あっちも命懸けの仕事だもんな。苦労がわかるってかー」

士官2「だもんだから、娘をさびしくさせるなよ、ってしみじみ言われちゃって……あれはちょっとホロリときたぜ」

士官1「でも、理解ありそうで良かったじゃねーか」ハハハ

士官2「そーだな! なんだかんだで一大イベントもいい感じで行けたし、俺もそろそろ……なあ!」ハハハ

士官1「そろそろかもなあ!」ハハハ

波大尉「それはそれは……良かったわねえ」ズゴゴゴゴゴ

士官1「」

士官2「」
582 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:38:16.56 ID:WB2fCxgbo

波大尉「なぁに? 目の前に独り身の女性がいるってのに、のろけ話!?」

士官2「そ、そんなつもりは」

波大尉「あーーはいはい御馳走様!! お腹いっぱいで吐きそうだわ!」

士官2「も、申し訳ありません!」バッ

千歳「ちょっと、申し訳なくなんかないでしょ」スッ

士官1「千歳……さん」

千歳「こればっかりはおめでたい話なんだから。ほら、士官2君も顔をあげて。頭を下げるのは向こうのお父さんに、でしょ」

士官2「は、はい!」

千歳「提督、八つ当たりはよくありませんよ、一歩間違えばパワハラです。愚痴でしたら私がお付き合いしますから」

波大尉「……」ムスーッ

千歳「二人とも、この場は私に任せて。持ち場へ戻って頂戴」ニコッ

士官1「はっ!」ビシッ

士官2「了解いたしました! 失礼いたします!」ビシッ

 ガチャ パタン

士官1「千歳さんが来てくれて助かった……」

士官2「大尉の前では迂闊なことが言えないな……」

 スタスタ…
583 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:39:08.28 ID:WB2fCxgbo

 * 一方の室内 *

波大尉「……」ムッスーッ

千歳「ほら、提督、いつまでもむくれてないで。お仕事中なんですから」

波大尉「……敵影は」

千歳「今のところありません。先行している護衛艦隊からも、私たちが飛ばしている艦載機からも、今のところは異常ありません」

波大尉「……艦隊の疲労度は? 休憩はちゃんとしてる?」

千歳「現時点で体調不良や疲労を訴えている艦娘もいませんし、欠員も出ていません」

波大尉「××島の駆逐艦隊の様子はどう? コミュニケーションはちゃんと取れてる?」

千歳「こちらも問題ありません。深海棲艦の艦隊の迎撃をお願いしていますが、今のところ出番なしです」

千歳「連絡もこまめに来ていますし、雑談もできるくらいには馴染んでいますね」

波大尉「……とにかく、順調なのね?」

千歳「はい。順調です」

波大尉「……」

千歳「……」

波大尉「だったらあたしがいなくたって良かったじゃない……」ゲンナリ

千歳「提督!?」
584 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:40:08.31 ID:WB2fCxgbo

波大尉「こんなのただの遠征任務じゃない! 別にあたしがいなくたって回る任務なんじゃないの!?」

千歳「今回の任務は医療船の引き渡しです。提督が代表として引き渡しを行わないといけないんですから、駄目ですよ」

波大尉「そんなの誰かやってよぉ、なんであたしなのよぉぉ……」

千歳「提督が物資の管理を担当しているからじゃないですか、これはれっきとした提督のお仕事ですよ」

千歳「それに、一人に全部任せたら大変だからって、幌筵やショートランドには他の提督が向かうことになったじゃありませんか」

波大尉「ううう……せめて、1日くらいずらせなかったの……!?」

千歳「戦時中ですよ。戦況は毎日変化するんですから、1日順延して明日になったら襲撃されて時すでに、なんてことがあってはいけません」

波大尉「そうですよねー……国民の命ですもんねー……」イジイジ

波大尉「それに比べたら、あたし一人の幸せなんかちっぽけなもんですよねー……」

千歳「……もしかして、また合コンに行こうとしていたんですか?」

波大尉「……」プイ

千歳「提督。こっち見てください……提督?」

波大尉「なによう。あたしだって好きで不貞腐れてるわけじゃないわよ」グス

波大尉「やっと都合つけたのに。やぁぁっと、私の旦那様が見つかるかと思ったのにぃ……!」グズグズ

千歳「提督……!」
585 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:41:08.50 ID:WB2fCxgbo

波大尉「わかってるわよ……今のお仕事は立派なお仕事で、誰に対しても誇れる仕事だって」

波大尉「でも実際にはあたしはデスクワークしてるだけで、立派なのは現場で戦ってるちーちゃんたちじゃない」

波大尉「あたし、はんこ捺すだけだもん……みんなを励まして見送るだけだもん」

千歳「提督、そんなことありませんよ」

波大尉「作戦立てるのも、あいつらに攻撃するのも、みーんな艦娘がやってくれるし、普通にみんなのほうが優秀だもん」

波大尉「どこにでもいるよーな元OLが、いきなり海軍に誘われて入ったって、やることなーんにもないんだもん……」イジイジ

千歳「提督……」

波大尉「そんで気が付いたらあたしもいい齢で、そろそろ結婚しなきゃーってときに、気付いたらあたしだけ独り身で……」

波大尉「年賀状にドレス姿とか赤ちゃんの写真とか、地味にくるのよねー……話題にもついていけなくなっちゃってさあ」ハイライトオフ

波大尉「いいとこ勤めてるんでしょー? いい男ばっかりでしょー? って言われるけど」

波大尉「そんな男が売れ残ってるわけねーじゃん!!」クワッ!

波大尉「しかも今の海軍、艦娘がいっぱいいて、その部下の艦娘といい雰囲気になってる人ばっかりなのよね!!」

波大尉「見た目も能力も並以下のあたしが、美女美少女揃いの艦娘と比較されて勝てるわけねーじゃんよー……」ブツブツ

千歳「提督……そんなこと考えてらしたんですか」
586 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:42:11.04 ID:WB2fCxgbo

波大尉「そーよー? 今更言いたくないけどさー……ちーちゃんっていい奥さんになれそうだよねえ」ジトォ

千歳「……っ」タジッ

波大尉「聞き上手だし、あたしのこと立ててくれるし、弱音吐いたら慰めてくれるし、お肌ぴちぴちだし、おっぱい大きいし」

千歳「ちょっ」

波大尉「あたしが男だったら絶対飛びついてる。お嫁さんがあーちゃんかちーちゃんなら、絶対幸せになれるって確信してる」

波大尉「だからこそ……今のあたしが、みじめすぎて……うああああ……」

千歳「て、提督! しっかりしてください!」

波大尉「もうしっかりなんかしたくないよう……ちーちゃん養ってぇ」

千歳「もう、提督ったら、いくらなんでも崩れすぎですよ!」

波大尉「ふぇぇ……」

 コンコン

足柄「提督ー、入るわよー」

波大尉「!」

足柄「お邪魔するわね。霞ちゃん、入って」

霞「……失礼するわ」スッ
587 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:43:08.17 ID:WB2fCxgbo

波大尉「あら、いらっしゃい。なにかあった?」シャキッ

千歳「……」

霞「いいえ、何かあったわけではないんだけど、お礼を言いそびれてたから」

波大尉「お礼?」

霞「ええ。ここへ来た時に緊張でがっちがちに凝り固まってた朝潮姉さんに、冗談で緊張を解いてくれたことと……」

霞「すっ転んだ五月雨に絆創膏貼ってくれたこと。ちゃんとお礼を言いたくて」

波大尉「いいのよそんなこと! あたしがやりたくてやったんだから」

波大尉「あたしはあなたたちと違って戦えない。あなたたちが全力でお仕事してるんだもの、あたしだって全力で持て成してあげないと、ね」

霞「……いい司令官ね」

足柄「うふふ、ありがと」ニコ

霞「うちのクズも、もう少し愛想良ければいいんだけど」フゥ

霞「それじゃ、休憩に入らせてもらうわね。ありがと、大尉さん」

波大尉「ええ、どういたしまして。ゆっくり休んでね」

 パタン
588 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:44:15.84 ID:WB2fCxgbo

波大尉「……いい子だったわねえ……」

千歳「……ほんと、借りてきた猫みたいでしたね」

足柄「今まで出会ってきた霞ちゃんの中でも、トップクラスに素直な霞ちゃんだわ」ウンウン

波大尉「そうね……誰彼かまわずクズ連呼する、ギザギザハートな子もいたから。あれはショックだったわ」

足柄「ギザギザ……?」

波大尉「え!? 知らないの!? すっごいショックなんだけど!」

千歳「私は提督の変わり身のほうがショックでしたけれど」

波大尉「いくらあたしでも駆逐艦娘みたいな小さい子にみっともない姿は見せられないわよ……ましてや手伝ってもらってる立場なのに」

足柄「なぁに? また腐ってたの?」

波大尉「そうよ……ああ、思い出したら嫌になってきちゃった」ズーン

足柄「ほら、しっかりしてよ。提督でしょ?」

波大尉「……あーちゃんもちーちゃんも立派すぎだよ……もうしっかりしたくなーい」グテー

足柄「これはいつになく重症ねえ……」

千歳「ちょっと、甘やかしすぎたかしら……」
589 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:45:08.39 ID:WB2fCxgbo

足柄「提督、とりあえず××島にはそろそろ到着しますから。身なりは整えておいてくださいね」

波大尉「……うあーーい……」ダレー

千歳「駄目みたいねえ……」

足柄「ほら、××島で霞ちゃんたちとはお別れなんだから。びしっとする!」

波大尉「そんなこと言ってもさあ……」

千歳「そんなもこんなもありませんよ」

波大尉「そうじゃなくて。××島って、ほぼ無人島みたいなとこでしょ?」

波大尉「それに、その島の責任者、っていうか、司令官の階級が准尉でしょ? 士官に毛の生えた下っ端じゃない……」

波大尉「その辺でスカウトされて提督になったあたしより階級が下って、普通いないわよね? 何か問題ある人なんじゃないの?」

足柄「そうかしら。あの霞ちゃんがあんなに素直なんだもの、いい提督さんだと思うわよ?」

波大尉「そうかなあ……その鎮守府、憲兵とかがいないって話でしょ? ドの付く外道だったりしないわよね?」

千歳「そんなことはないと思いますけど……」ペラリ

波大尉「? ちーちゃん、何を見てんの?」

千歳「提督准尉の履歴書です。家族構成とかも書いてありますが、特に問題がありそうな感じではありませんよ」テワタシ

波大尉「ふーん……」ウケトリ
590 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:46:21.60 ID:WB2fCxgbo

足柄「問題があるんだったら、私たちがとっちめてあげないとねえ」

千歳「ちょっと、あまり問題起こしちゃ駄目よ。××島の後にパラオ泊地とブルネイ泊地へ医療船を届けなきゃいけないんだから」

足柄「ところで、どうして××島に寄り道することになったの?」

千歳「聞いてないの? ××島の提督准尉の健康診断のためよ? 離島勤務だからって、体調管理を疎かにさせられてたみたいで……」

千歳「それで今回医療船を輸送するついでに、提督准尉の健康診断をしましょうって話になってたの」

足柄「ごめん、初耳なんだけど……」

千歳「……そうね、あなた護衛の話しか聞いてなかったものね……」ハァ

波大尉「……この人……!」

千歳「提督? どうかしました?」

波大尉「なんか……提督准尉のお父さんの名前、聞いたことあるかも」

足柄「……誰?」

波大尉「スマホで検索かけて……あった。ほら、野党シンミン党の若手のホープだって」

足柄「地方遊説で大人気……予算委で歯切れの悪い与党幹部を圧倒……」

千歳「与党議員の醜聞に鋭く切り込み……政権交代のキーマン……」

波大尉「へー、期待されてるんだ……准尉、弟さんもいるんだね。何やってんのかな……検索検索っと」
591 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/05/26(日) 23:47:43.53 ID:WB2fCxgbo

足柄「なにこれ? ブログ?」

波大尉「フェー○ブックだねー。自分がどんな活動をしてるか、名刺代わりになるページって言えばいいかな」

千歳「○○省勤務ですって。官僚じゃないですか」

足柄「すごいわね、エリート一家じゃない」

波大尉「……あれ?」

足柄「提督?」

波大尉「もしかして、これってものすごいチャンス……?」

千歳「提督?」

波大尉「官僚とか、議員二世とか、有名人候補じゃない! もしかしてお金持ちの家系!?」

足柄&千歳「!?」

波大尉「っていうか、提督准尉の顔写真、そんなに悪くないじゃない! 年齢も……うん、いける!」

足柄&千歳「」

波大尉「狙ってみる価値はありそうね……! よおし、待ってなさい!」ジュルリ

波大尉「あ、ちょっとお化粧直してくるから。二人は引き続き任務をお願いね」ニコッ

波大尉「よーし、ちょっと気合い入れますかあ!」ギラリンッ!

足柄「……」カオヲ

千歳「……」ミアワセ

足柄&千歳「はぁ……」アタマカカエ
592 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2019/05/26(日) 23:49:24.47 ID:WB2fCxgbo
今回はここまで。

というわけで、前スレ444に出てきた女性提督が波大尉として登場です。
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 00:49:03.56 ID:mY630Gmro
乙乙。やべーぞ逆レ○プだ!
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 06:52:33.22 ID:hbnjEaUL0
全身ダイナマイト巻き付けて地雷原にダイブして行くスタイルかな?
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 17:16:43.93 ID:rsjdXEz70
爆発物満載の火薬庫に火種が投下されるのか……

花火の予感っ!!
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/05/27(月) 22:02:23.97 ID:kHPNRMu+O
大和のアイアンクローで空中ブラブラしてる姿が…
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/28(火) 05:35:26.18 ID:gbR9vuDjO
オイオイオイ
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/29(水) 03:44:16.34 ID:wBJ7vANJo
おつおつ
この提督は、良さを感じ取れるのかな。たのしみ
>>578
さんきゅー。読んでみる。
599 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:20:25.35 ID:7gLvN1Axo
それでは続きです。
600 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:21:23.84 ID:7gLvN1Axo

 * 一方その頃 墓場島 執務室 *

提督「っくしゅん! くちゅん!」

吹雪「! 司令官、大丈夫ですか?」

提督「……なんかしらんがゾワッときた。風邪じゃねえと思うんだけどな」

伊8「熱はないですか?」

提督「大丈夫だって、そこまで大袈裟じゃねえ」

大淀「折角ですから健康診断で一緒に診ていただきましょう」

提督「しかし、波大尉だっけか? そこの鎮守府にうちの遠征部隊が突撃かまして大丈夫だったのかよ」

大淀「殴り込みみたいな言い方しないでください。ちゃんと事前に連絡してから向かわせました」

朧「……」ジー

大淀「? 朧さん? どうかしました?」

朧「あの、提督。どうして提督は、そんな風に小さくくしゃみするんですか?」

大淀「そういえばそうですね……?」

提督「……これもきっかけは父親のせいだな。くしゃみがうるせえって八つ当たりされたせいだ」チッ
601 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:22:19.33 ID:7gLvN1Axo

吹雪「ええ!? なんですかそれ! そんなことでも暴力振るわれてたんですか!?」

提督「……なんで吹雪が父親の暴力のこと知ってんだ」

吹雪「みんな知ってますよ? 明石さんと由良さんから聞きました!」

提督「……」アタマカカエ

朧「朧は、潮と長門さんにしか話してないですよ」

提督「十分だよ」ハァ

伊8(大淀さんも結構いろんな人に話してた気がするけど)チラッ

大淀(秘密ですよ?)シー

吹雪「あ、それから大淀さんに聞いたんですけれど」

大淀「」ガクッ

伊8「」ズルッ

朧「?」

吹雪「提督のお父さん、国会議員になってるみたいですよ」

提督「なに? どういうことだ」
602 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:23:10.32 ID:7gLvN1Axo

大淀「こほん。それに関しては気になる記事がありまして」

提督「記事?」

大淀「国会の予算委員会で、防衛費……その中でも、主に艦娘に関する予算ですね、それを見直せと言う声が野党から上がったんです」

大淀「私たちが言うのも本末転倒ではありますが、艦娘が何者なのか、深海棲艦同様まだまだわからない部分が多く……」

大淀「そのため国民には説明できないので、私たちの存在に関して公表できないというのが与党の現状です」

提督「……まあ、確かになあ。二の句に困るなら下手に喋らねえほうがマシか」

大淀「そのため野党からは、深海棲艦とは何者なのか、目的は何かを調べろ。そして戦争回避のための努力をしろ、という無茶振りと……」

大淀「国を守るためという名目で、得体の知れないものに金を突っ込むな、という、ある意味真っ当な意見で責められています」

大淀「それを切り出したのが……」」

提督「俺の父親だ、ってことか?」ジロッ

大淀「はい……!」コクッ

提督「……あの野郎。縁を切ったっつうのに、まだ俺の邪魔をしやがんのか……!」ギリギリッ

吹雪「司令官……」
603 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:24:22.87 ID:7gLvN1Axo

朧「……んー?」クビカシゲ

伊8「どうしたの?」

朧「ええっと……提督が海軍に入った時、中佐が提督のお父さんにお金を渡したんでしたよね?」

朧「提督のことに口を出させないために……」

提督「ん? ああ、そうだが」

朧「中佐も艦娘を部下に持つ『提督』なのに、どうして艦娘運用の予算を削ろうとする人にお金を渡すのかな、って」

提督「……そういやそうだな……?」

全員「……」

吹雪「これって、賄賂……ですよね?」

朧「……どう、なのかな。なんて言うんだろう、こういうお金」

伊8「でも、そのお金って政治には関係なくて、単に提督をどうするってお金でしょ?」

朧「頭に来るけど、そういうことだよね」

吹雪「政治的には敵対するけど、提督に対しては利害が一致してる感じ?」

提督「……」イライライラ

伊8(提督の顔が般若みたいに……)タラリ
604 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:25:32.30 ID:7gLvN1Axo

大淀「……もしかしたら、ですが……」

提督「なんだ?」

大淀「中佐は、艦娘の存在を公表したがっているのかもしれません」

朧「どういう意味ですか?」

大淀「国会での野党は、艦娘と深海棲艦について説明ができない与党を攻めて、政権の奪取を狙っています」

大淀「ですが今、艦娘を海から撤退させようものなら、深海棲艦による被害が拡大し、それこそ国家転覆に繋がります」

大淀「与党としては艦娘についての情報を公表するしかないのですが、そうなると……」

提督「今度は艦娘の人権がどうの、って話になんのか?」

大淀「それもありますが、なにはともあれ単純に、海軍そのものに注目が集まります。おそらくそこが問題なんです」

大淀「海軍本営では、艦娘の情報公開について賛成派と反対派が綺麗に分かれていまして」

大淀「賛成派は、艦娘の活躍をもっと前面に出して、海軍の活動の支持者を増やしたい意図があります」

大淀「一方の反対派は、提督が懸念した人権問題や、女性差別などの問題に発展するのを恐れている人たちと……」

大淀「艦娘という得体の知れない存在に、日本の未来を託しているという不安極まりない現状への批判を恐れる人たち……」

大淀「女性を前面に出して媚を売るのが好かない! という、昔ながらのお堅い人たちですね、そういう人たちが難色を示しています」
605 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:26:39.99 ID:7gLvN1Axo

大淀「おそらく中佐は賛成派でしょう。国会で野党が情報開示を求めるのは好都合……」

提督「そうか……野党の連中をけしかけて、藪をつついて蛇を出させるわけか」

吹雪「??」

大淀「深海棲艦に対する抑止力は、艦娘しかいません。それが公にも認められれば、海軍が今いかに重要な組織かを宣伝できます」

提督「そうなりゃあ、国家予算を海軍につぎ込むことが悪いと言えなくなる」

朧「そっか……予算を削るつもりが、逆に出さなきゃ、って雰囲気に持っていかされるんだ……」

大淀「違法ですが、資産家が個人的に出資する可能性もありますね」

提督「中佐にしてみりゃあ、それこそが一番の狙いなんだろう。個人的なコネやパトロンを増やすためのいい宣伝だ」

大淀「与党議員が艦娘について公表しない一因には、海軍が力をつけすぎるのを恐れているところもありますね」

大淀「海軍の反対派にも、軍事政権が誕生してしまいかねない状況になっていることを危惧している方もいらっしゃいます」

吹雪「真面目に考えてる人もいるんですね……」

朧「いなかったら困るよ……」
606 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:27:38.07 ID:7gLvN1Axo

提督「ったく、狸爺どもの化かし合いだな、巻き込まれるほうはいい迷惑だ。考えてたら胃がむかむかしてきたぜ」

不知火「司令。健康診断では胃カメラを撮る予定ですので、できるだけ平常心でお願いします」ヌイッ

提督「うお!?」ビクッ

吹雪「いつからいたの!?」ドキドキ

不知火「海軍の国家予算がどうのこうのという辺りからです」

朧「全然気付けなかった……」

不知火「本営にいると、耳を澄ませば良くない話があちこちから聞こえてきますので、そのための護身術です」

伊8「どんな環境なの……」

提督「そういうのは護身術って言わねえだろ……」

大淀「永田町には鵺が住む、と言いますが、本営もそんな感じなのでしょうか……」
607 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:28:52.20 ID:7gLvN1Axo

 * 後日 太平洋上 護衛船内 *

士官1「えー……提督准尉と会うんですか?」

士官2「悪いことは言いませんから、やめておいたほうがいいですよ……」

波大尉「え、なにその反応」

士官2「あ、でも、会うだけならまあ……」

士官1「そうだな……あの島に近づかないなら、いいか?」

波大尉「?? あの島に行くのがそんなに駄目なの?」

士官1「大尉は御存知ないんですか。あの島、墓場島って呼ばれてるんですよ」

波大尉「なにそのいかにも何かありそーな名前」

士官2「いやまあ、そのまんまなんですけどね。この辺の海域、潮の流れがちょっと変わってまして」

士官2「このあたりで艦娘が轟沈すると、あの島の海岸に打ち上げられるくらい潮が強いんですよ」

士官2「で、あの島に住んでる准尉が、その砂浜に流れ着いた艦娘を、みんな埋葬してるそうなんです」

波大尉「えっ、准尉ってばいい人じゃない」
608 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:30:06.00 ID:7gLvN1Axo

士官2「それだけならいいんですが、提督准尉は島に生きて流れ着いた艦娘を、そのまま運用してまして……」

波大尉「え……!?」

士官2「それがどれだけやばいことか、大尉も知ってますよね?」

波大尉「うん……轟沈した子は、そのうち深海棲艦になる、って話だったよね? もしかして霞ちゃんたちもそうなの!?」

士官2「いや、それはわかりませんけど……俺だってあの子たちが深海棲艦になるとか、思いたくないですよ」

士官1「でも、ああいう性格になったのが轟沈を経験したからだとしたら、そういう可能性が高いのは否定できないですよね」

波大尉「そんなあ……」

士官1「まあまあ、まだそうと決まったわけじゃ。轟沈した艦娘が流れてくるところを見てるからああなったって可能性もあります」

士官2「とにかく、島への上陸はやめたほうがいいですよ。実際、立ち寄った提督はみんな災難に遭ってるらしいですから」

波大尉「災難って、例えば?」

士官2「降格させられたり、僻地に左遷させられたり……あの島のもと管理者だった中佐ですら大怪我してたりしてますね」

波大尉「中佐、ってあの中佐? あの気持ち悪い奴」ヒソッ

士官1「ええ、そうです。大尉が嫌いなそいつです」ヒソッ
609 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:31:14.52 ID:7gLvN1Axo

波大尉「元の持ち主なのに大怪我したって、どういうことなのよ……」

士官1「わかりません。大和が関わってるって言いますけど、あんな島に大和がいるなんて思えませんし……」

波大尉「大和!? 大和ってあの戦艦大和!?」

士官2「そうです。その大和です。信じられないですよね」

波大尉「うん、横須賀でもまだ2、3人くらいしかいないのに、さすがにちょっとねえ……」

士官2「それから他にも、あの島じゃ幽霊騒ぎも起きてるらしいですよ」

波大尉「幽霊!?」

士官2「だって轟沈した艦娘が流れ着いてる島ですよ、その手の話の一つや二つ、あってもおかしくありません」

士官2「……もしかして、中佐が大怪我したのって大和の幽霊の仕業だったりして」ウラメシヤー

波大尉「ちょっとやめてよ!!」バシッ

士官2「いてっ! じょ、冗談ですよ!」

波大尉「なんでそんな問題ありありの不吉な島に私が行くことになったのよぉ……知ってたら断ってたのにぃ」

士官1「しょうがないですよ。我々だって、××島って聞いてすぐあの墓場島だって思い至らなかったんですから」

士官2「その××島からの依頼の話も、今回の遠方の鎮守府への医療船配備の予定がたまたま重なったから行くことになったわけですし」

士官2「こればっかりは間が悪かったとしか言いようがないですよ」
610 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:32:25.53 ID:7gLvN1Axo

士官1「そういうわけですから、今回の提督准尉の健康診断も、××島には寄港せず、出向いてもらって洋上で診察することにしています」

波大尉「あ、そうなんだ……じゃあ、大丈夫なのかな」

士官1「……大尉?」

波大尉「提督准尉とさ、いい人ならちょっと会ってみようかなーって思ってたんだけど」

士官1「いえ、提督准尉と面会はしませんよ。波大尉が准尉とお会いする機会は用意していません」

波大尉「ええええ!?」

士官1「いやいやいやいや、当然じゃないですか。今までの話、聞いてたんですか!?」

波大尉「聞いてたけどさ、島に立ち寄るのは駄目なんでしょ? こっちに出向いてこっちの船に乗るわけよね?」

波大尉「あの駆逐艦娘たちがこぞって評価してるような人だもん。准尉が不幸をばらまいてるとは思えないんだけど」

士官1「うーん……」

士官2「正直に言うと、俺はお近づきになりたくないですけどね。不気味じゃないですか」

士官2「ただでさえ人が寄り付かないような島で、平然と生活してるんですよ。提督准尉って何者なんだ、って考えません?」

波大尉「でも、経歴見ると提督准尉って国会議員の息子よ?」

士官1「そうかもしれませんが、そうだとしてもなんであの島に、って話ですよ」
611 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:34:16.77 ID:7gLvN1Axo

士官1「もし提督准尉が有能なら、もっと別の鎮守府で戦果を挙げてると思いませんか?」

波大尉「……」

士官2「提督准尉は海軍に籍を置いてからずっとあの島で働いてて、怪我の治療で2〜3日しか帰国したことがないって話です」

士官2「もしかしたら、ご両親とも何かあって、日本から離れているのでは?」

士官1「もしくは、日本に居づらい理由があるとか。問題を起こしているとしか思えませんよ」

波大尉「……」

士官1「とにかく、大尉は提督准尉のお相手はしなくて大丈夫です」

士官2「大尉のお仕事の範囲外なんですから、医療班に丸投げしましょうよ」

波大尉「……うん」



波大尉「提督准尉、お父さんたちと離れ離れで、寂しくないのかな……」

波大尉「霞ちゃんたちもあんなに素直でいい子なんだもの、悪い人じゃないと思うんだけど」

波大尉「第一、問題を起こしてたら、いくら離島でも憲兵不在の鎮守府を任されるとは思えないし」

波大尉「うーん……」

波大尉「うん、やっぱり会ってみよう。ちゃんと顔を見て話をしないと、善いも悪いもわかんないわ」
612 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/01(土) 21:35:07.15 ID:7gLvN1Axo
今回はここまで。
613 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 16:56:55.66 ID:KEmq5Np6o
それでは続きです。
614 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 16:57:28.90 ID:KEmq5Np6o

 * 翌朝 鎮守府埠頭 *

 (外海に見える三隻分の船影)

那珂「提督! あれ! 船が見えるよ!」

提督「……あれが医療船か?」

大淀「はい、後ろ二隻がそうです。一番前の小さい船は護衛艦ですね」

提督「随分小せえな。あんな小さくて護衛できんのかよ」

大淀「今の護衛艦には、最低限の装備しか積んでいませんから」

提督「あ? なんだそりゃ」

大淀「そもそも、現代兵器による攻撃が深海棲艦には効果的じゃないんです。深海棲艦程ではありませんが、艦娘もそうなんですが、」

提督「……全然効かない、ってわけじゃないんだな?」

大淀「はい、ですが、深海棲艦にはせいぜい足止め程度にしかなりません。大がかりな主砲を積んでも当てるのが難しいですし」

大淀「なので、最近の護衛艦は小型の砲や機銃を積む位にとどめて、あとは速度重視ですね。艦娘の応急ドックを積んでいる艦も開発されています」

提督「逃げるのを優先してるわけか」

如月「でも、医療船が二隻で来たのはどうしてなの?」

大淀「あれはそれぞれ、パラオとブルネイに配備予定の船なんです」
615 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 16:58:11.37 ID:KEmq5Np6o

大淀「あの護衛艦も、艦娘用のドックと新型レーダーを備えた最新型で、女性提督である波大尉が、泊地への配備任務を任されています」

大淀「そこに提督の健康診断を本営に依頼したところ、この二隻の輸送の途中で寄り道してもらうことになりました」

那珂「ね、ねえ……それ、結構どころじゃなく、重要任務だよね……?」

大淀「はい。ですがこの機を逃すと次がいつになるかわかりませんし……」

大淀「この周辺海域で深海勢力と遭遇することが少なくなったのも、依頼が通った一因だと思います」

如月「一応、鎮守府として面目を保ててるってことかしら」

提督「それにしても……」チラッ

如月「?」

那珂「?」

大和「?」

伊8「?」

龍驤「どうかしたん?」

提督「人数多いな。お前らもついてくるのか?」

龍驤「うちはお空の監視役や」

那珂「那珂ちゃんも今回は提督の護衛役だよー!」
616 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 16:59:30.89 ID:KEmq5Np6o

大淀「伊8さんは島の医療班代表です」

提督「明石じゃねえのか?」

伊8「はっちゃん、今回やってくるお医者さんに、聞きたいことがあるの」

提督「ふぅん……で、大和と如月は?」

如月「司令官に何かあったら心配だもの」

大和「大和も御一緒させていただきます!」

提督「野次馬かよ」

大淀「これでも金剛さんと榛名さんを説得するのに頑張ったんですよ」ハァ

那珂「あっ、提督! 駆逐艦のみんなが戻ってきたよ!」

 ザザァ…

朝潮「司令官! 艦隊、遠征より只今帰還致しました!」ビシッ

提督「おう、ご苦労さん。今回は荷物多くて大変だったろ」

霞「そうでもなかったわ。荷物自体は波大尉の船で運んでもらったし、私たちはその護衛をするだけだったんだから、どうってことないわよ」

暁「そのお礼に、私たちが運んだ資材の一部を波大尉に渡したんだけど、良かったわよね?」

提督「ああ。波大尉には俺からも礼を言っておく」

朝雲「それで、司令の健康診断の話なんだけど……」
617 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:00:16.13 ID:KEmq5Np6o

 * 洋上 *

 ザザァ…

大和の背中に乗せられた提督「……」

大和「提督、乗り心地はいかがですか?」ニコニコ

提督「……神輿に乗せられてるみたいで恥ずかしいな」

如月「お姫様抱っこされるよりはいいんでしょう?」

提督「そりゃあそうだけどよ……」

如月「せっかく如月が司令官を連れてってあげるって言ったのに」プー

提督「勘弁してくれ。俺だって恥じらいくらいある」ハァ

龍驤「ちゅうか、せめてお迎えくらいあってもええやん。それを『医療船まで来い』とか、上から目線もええとこやわ」

朝雲「鎮守府埠頭の潮の流れが不安定だから島に近づけないってのも、一応納得できる理由ではあるけどね」

那珂「そういえば、提督さんって泳げないんだっけ?」

提督「おう。さすがに水は掴めねえからなあ……」

龍驤(脳筋や……)

朝雲(司令って、こういうところは意外と力押しなのね……)
618 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:01:24.15 ID:KEmq5Np6o

霞「言われる今の今まで何とも思ってなかったけど、救命用のゴムボートすらなかったのよね、あの鎮守府」

龍驤「島で万が一のことがあったらどないすんねんな」

如月「それもこれも全部中佐が悪いのよ、司令官が島を出る手段を全部処分しちゃったんだから……!」ギリッ

大和「中佐……!」グラッ

提督「うお!? おい大和、大丈夫か?」

大和「も、申し訳ありません! ちょっと気分を悪くしただけです、今は大丈夫ですから!」

提督「無理すんなよ!?」

那珂「如月ちゃんも大丈夫? すっごい顔してたけど」

如月「……ごめんなさい、私ももう大丈夫」

那珂「……あんまり大丈夫じゃない顔してるよ? 本当に大丈夫?」

提督「まあ、いろいろ因縁の相手なんだ。龍驤にとっての以中佐と同じようなもんで、俺もあれにゃあ不快な思いしかねえからな……」

龍驤「じゅーぶんおおごとやんか。そんなんが提督の直の上官って、やっていけてるん?」

提督「直接かかわってこねえから、今のところはな。連絡するにしても、秘書艦の赤城が応対してくれてる」

提督「それに、困ったことがありゃあ不知火を通して中将に連絡できる。そこまで不自由はしてねえさ」
619 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:02:12.39 ID:KEmq5Np6o

龍驤「ちょい待ち、なんで不知火にそんな権限あんねん」

那珂「不知火ちゃん、提督さんの部下じゃなくて中将の部下なんだってー」

龍驤「は?」

那珂「不知火ちゃんってもともと中佐の部下だったんだけど、提督さんのおかげで中将の部下になったんだって聞いたよ?」

那珂「それで、如月ちゃんもこの鎮守府に配属になったんだよね?」

如月「そう……そうなの。この人に……司令官に出会ってから、私は、やっと『如月』になれたの……!」

龍驤「なんか、みんないろいろあったんやなあ」

霞「みんなそれぞれに事情があるから、余所から来たばかりの人には説明が大変なのよ。どこまで話をしていいかで悩むのよね」

提督「言ってて思い出したが、那珂。神通も中佐には嫌な思いさせられてるから、それなりに気を付けとけよ」

那珂「じ、神通ちゃんもなの……!?」

龍驤「うちを受け入れてくれるっちゅうのも、それなりに理由があってのことなんやな……」
620 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:03:11.54 ID:KEmq5Np6o

 * 医療船 甲板上 *

提督「乗船させてもらったはいいが、どこへ行きゃあいいんだ?」

朝雲「確か、案内がいるって言ってたわよね」

霞「明石さんが来るって聞いてるわ」

大和「明石さんが?」

 扉<ガチャッ

明石(スーツ+白衣)「ああ、来た来た。ようこそ! あなたが提督准尉ですね」

提督「明石?」

明石「はい、工作艦明石です。私が准尉の診察を担当しますので、よろしくお願いしますね」

提督「明石がか? 人間も治療できるのか」

足柄「こっちの明石は人間の医学にも精通してるの。あなたのところの明石はどうだかわかんないけどね」スッ

提督「!」

足柄「初めまして、提督准尉。私は波大尉の秘書艦、重巡洋艦の足柄よ。よろしくね」

提督「波大尉の……うちの駆逐艦たちを送ってくれたと聞いている。礼を言わせてくれ」ペコリ

足柄「私たちこそ、この島までの道中の護衛を手伝ってもらったからお互い様よ。協力に感謝するわ」ニコ
621 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:03:53.01 ID:KEmq5Np6o

足柄「それにしても……」ジロジロ

提督「?」

足柄「うーん、見た感じ普通よね。霞ちゃんたちもあなたのことを悪く言ってなかったし、なんであんな島に一人で住まわされてるのかしら」

霞「ちょっ、足柄さん!?」カオマッカ

足柄「ああ、ごめんね霞ちゃん。でも、別に隠す必要ないでしょ?」

霞「〜〜〜っ!!」

提督「何の話だ?」

霞「なんでもないったら!! 早くとっとと診察されてきなさいよ! このクズ!!」

提督「……わけがわかんねえ。まあいいや、さっさと終わらせてくるか」

伊8「あ、ちょっと待ってください」

明石「? どうしました?」

伊8「提督の検査で、追加で調べて欲しいことがあるんです。そのための資料を持ってきました」

那珂「! もしかして、出発する時に那珂ちゃんに渡したこれ?」フウトウトリダシ

伊8「そう」コクリ
622 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:05:04.00 ID:KEmq5Np6o

明石「調べて欲しいこと、ですか……わかりました。書類、お預かりしますね」

明石「それじゃ提督准尉、行きましょうか」

提督「ああ」

 スタスタ…

足柄「うーん、准尉ってあんまり愛想のいい人じゃないのね。緊張してるのかしら」

霞「ちょっと、足柄さん!? さっきの話はいったいなんなの!?」

足柄「そんなに怒らないの。あなたが彼を悪く言ってなかった、って言っただけで、深い意味はどこにもないんだから」

霞「〜〜〜っ!」プイッ

大和「それにしても驚きました。明石さんは人間を診察することもできるんですね」

足柄「それはちょっと違うわ。彼女は人間に助けてもらったことがあるの」

足柄「ただ、それが原因でその人が怪我をしちゃって。それで彼女が人間のための医学を学ぼう、ってことになったのよ」

龍驤「ふーん……人間にもええやつがおるんやなあ」

足柄「そんなに珍しくもないでしょ?」

大和「……私も、提督のために勉強してみようかしら」

伊8「……」ムー
623 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:06:05.74 ID:KEmq5Np6o

朝雲「うーん、大和さんはそれよりも、練度を上げることに集中したほうがいいと思うけど」

大和「そ、そうでしょうか」

朝雲「長門さんも言ってたけど、大和さんの主砲の威力はすごいわけだし。一緒に出撃できれば、私たちとしても心強いわ」

朝雲「それに大和さん、厨房のお仕事もしてるでしょ? もしそこから勉強もするとなると、ちょっと時間が足りなくない?」

大和「た、確かに、厨房にも立っていると、少し時間が足りませんね……」

朝雲「逆にハチさんは練度こそ高いけど、着任当初からあまり出撃したくない感じだったし、食糧調達も島の周辺ですぐ戻れるし」

朝雲「何事も、無理に手を広げてもあんまりいいことないと思うし。ね?」

大和「一理ありますね……」ウーン

那珂「ふえぇ……朝雲ちゃん、よく見てるんだね〜! えらいえらい!」ナデギュー

朝雲「あ、ありがと……っていうか、那珂さんに褒められるとちょっと照れるわ」

足柄「しっかりした子ねえ……」

龍驤「ほんまや。朝雲、ほんまに駆逐艦かいな」

霞「まあ、あの古鷹さんとずっと一緒だったから……」トオイメ

如月「そうね、気配りの人だものね……」トオイメ

足柄「あー、古鷹と一緒にいたなら、あの気遣いも納得ね」ウンウン

伊8(絶対、意味を取り違えてると思う……)
624 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:06:46.38 ID:KEmq5Np6o

 * 診察室 *

明石「それじゃ、最初は身長体重から測りましょう。准尉、こちらに着替えてから、お部屋にお入りください」

 *

明石「レントゲン撮りますねー。はい、息を吸ってー、はい、息を止めてそのまま!」

 *

明石「視力聴力は問題なし……血液検査も問題なし……ふむふむ」カリカリ

 *

明石「准尉、こちらへどうぞ。こちらでまた診察をさせていただきます」

提督「診察? さっきやったんじゃねえのか?」

明石「はい、それとは別の診察です。触診しますので、上着を脱いでください」

提督「……」ヌギ

明石「背中から触りますよー」スッ

提督「……」
625 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:07:48.10 ID:KEmq5Np6o

明石「……」サワサワ

明石「……」スリスリ

提督「……」

明石「……」サワサワ

提督「……おい、明石?」

明石「あ、動かないでくださいね。うーん……」

提督「……おい」

明石「ちょっとばんざいしてください。はい、そのまま……」サワサワ

提督「……」

提督(どこ触ってんだこいつ……)

明石「はい、手をおろしてください。楽にしてていいですよー」

明石「それじゃあ、ちょっとこっちを見ててくださいね」シュル

提督「おい……?」
626 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:08:42.94 ID:KEmq5Np6o

明石「……」スルスル ヌギヌギ

提督「明石!? 何をしてんだ!?」

明石(下着姿)「何って……」パサッ

提督「……いいから服を着ろ。何考えてんだ」セキメン

明石「ちゃんとこっちを見てください。聴診器当てますから」

提督「……っ」

明石「はい、そのまま息を吸ってー」

提督(なんなんだいったい……)

 * *

明石「はい、お疲れ様でした!」

提督「……」ハァ

明石「さすがに男性の前で下着姿になるのは恥ずかしかったですねえ……」

提督「俺だって恥ずかしいぞ……なんのための診察なんだ」

明石「それはこれからご説明します。いくらか質問もさせていただきますね」

提督「……まだ続くのかよ」ハァァ

 * *

 *
627 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:10:07.84 ID:KEmq5Np6o

 * 医療船内 休憩室 *

龍驤「はー……立派な設備やなあ。船の中やってこと、忘れてしまいそうになるわ」キョロキョロ

如月「技術の進歩って、すごいわね」

霞「クーラーも完備で自販機もおいてあるなんて、陸の上にある普通の鎮守府と変わらないわね」

大和「これを世界各地の泊地に配備すると思うと、安心できますね」

伊8「これ、ほかのみんなも連れてきて、見せてあげれば良かったかも」

朝雲「明石さんあたりは目を輝かせそうね」

那珂「でも、医療船だからねー。大勢で押しかけて騒がしくするのは良くないよ?」

龍驤「せやなあ、その辺はしゃあないか。それにしても……提督、ちょっと遅ない?」

如月「ちょっと時間がかかってるわね……大丈夫かしら」

大和「念入りに調べてもらっているのかもしれません。ハチさんも気になるところがあって、あの封筒を渡したんですよね?」

伊8「そう」コク

朝雲「いったい何を調べて欲しかったの?」

伊8「それは秘密。不安を煽りたくないし、思い過ごしならいいなと思って」
628 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:10:56.64 ID:KEmq5Np6o

那珂「何か深刻な病気なの?」

伊8「命にかかわるような病気じゃないと思う」

如月「……司令官、大丈夫かしら」

 扉<チャッ

明石「お待たせしました!」

提督「よう」ヌッ

如月「司令官!」

大和「提督!」

如月「大丈夫でした? 痛いところとかあります?」

大和「大変だったでしょう!? さ、こちらへどうぞ!」

提督「……検査から戻ってきただけだぞ」

霞「二人とも心配しすぎよ」ハァ

龍驤「えらい時間かかったなあ? 何しとったん?」

提督「まあ、いろいろだよ、いろいろ。心電図とか採血とか、胃カメラも飲まされた。全部初体験だ」
629 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:11:28.64 ID:KEmq5Np6o

朝雲「明石さん、診断結果はどうだったんですか?」

明石「おおむね良好。普通の生活を送るにあたっての問題はないわ」

明石「ただ、伊8さんからもらった封書の内容については、残念ながら……危惧している通りね」

伊8「……そうですか」

如月「え!?」

大和「な、なにがあったんですか!?」

明石「それはこちらの診断書に。提督准尉の名誉にもかかわるお話ですので……うん?」

龍驤「? なんやこの音?」

那珂「なんだか、騒々しくない?」

「ちょっとだけ! ちょっと会うだけだから!」

「待ちなさいってば!」

 扉<ガチャバーン!

波大尉「提督准尉、いる!?」

全員「!?」
630 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:12:38.70 ID:KEmq5Np6o

千歳「提督、控えてください!!」ダッ

足柄「恥ずかしいからやめなさいよ!」ダッ

全員「……」ポカーン

明石「あの、波大尉? どうかなさったんですか?」

波大尉「何って、提督准尉を見に来たんじゃない! 診察終わったんでしょ!?」

龍驤「見に来た……て」

提督「俺は見世物か」

波大尉「あー!! あなたね!!」シュバッ!

提督「!?」タジロギ

波大尉「初めまして、私は波大尉! あなたが提督准尉ね!?」

提督「あ、ああ……」

足柄「ご、ごめんなさいね! この子、提督准尉に会いたいって言ってきかなくて……!」ガシッ

千歳「早く戻りますよ!?」ガシッ

波大尉「診察も終わったみたいだしぃ、いろいろお話を聞かせてもらおうと思って〜」ニジニジニジ

千歳「ちょっ、なにこの馬鹿力!?」ズルズルズル
631 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:13:20.01 ID:KEmq5Np6o

波大尉「休憩も兼ねて、ちょっと二人でお茶でも飲みながら、お話しさせてもらいたいんだけど〜!」ウデツカミ

提督「……」ウデヲツカマレ

千歳「そうやっていきなり迫って嫌われるのがいつものパターンでしょう!?」

朝雲「あー……あの顔は『面倒臭い』って思ってる顔だわ」アタマオサエ

霞「……波大尉ってあんなに落ち着きのない人だったかしら」アタマオサエ

足柄「みっともないところ見せちゃってごめんね霞ちゃん。うちの提督、結婚に焦ってるもんだから……」

 ゴォッ

龍驤「!?」ゾクッ

千歳「!?」ビクッ

如月「……結婚……?」ゴゴゴゴゴゴ

足柄「えっ、なにこの迫力!?」

大和「もしや、提督と、ですか……?」ゴゴゴゴゴゴ

那珂「ちょっ、如月ちゃん!? 大和ちゃん!? ここ、医療船だからね? 病院と同じだからね!?」アセアセ

伊8「……一発までなら誤射ですよ?」ボソ

那珂「誤射しちゃ駄目ぇぇぇぇぇ!!」ヒィィ!
632 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:14:58.69 ID:KEmq5Np6o

千歳「ほら、波提督! 早く准尉から離れてください!」グイー

波大尉「こんな程度のプレッシャーで離れてたら合コンで勝ち残れないわよ!」

足柄「ここは合コンの会場じゃないわよ!」グイー

提督「……? 『ごうこん』てなんだ? 金剛の親戚か?」クビカシゲ

波大尉「えっ」

龍驤「金剛とは関係ないんちゃう? うちもよくわからへんけど」

朝雲「勝ち残るとか言ってたから、スポーツかなにかかしら?」

千歳「えっ」

提督「ゴーゴンだったらわかるんだがなあ……」

如月「メデューサのことね?」

霞「私もよく知らないわ。ねえ足柄さん、ゴーコンってどういう意味なの?」

足柄「……ねえ波大尉、私、この子たちの純真さに涙が出そうになってるんだけど。説明していいの?」

伊8「今調べたけど、合コンって、恋人探しパーティみたいなものみたい」ペラリペラリ

足柄「あ」
633 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:15:49.71 ID:KEmq5Np6o

伊8「複数人の男女が参加して、お相手を探してあわよくば、ってことみたいだけど?」

龍驤「……あー……」アキレ

霞「そういうことなの……」ジトォ…

足柄(霞ちゃんからの視線が痛すぎるわ……)

朝雲「ま、まあ、そういうのもあるわよね! うん!」アセアセ

明石「フォローしたほうが痛々しいからやめてあげて!」

大和「ということは、波大尉は提督とお付き合いしようとしているわけですか」ギンッ

如月「司令官をどこに連れて行く気?」ギンッ

波大尉「ひっ! な、なによ! すごまれたって退くわけにはいかないんだから!」

提督「退くも進むもねえよ。そういう話なら俺は結婚不適合者だから諦めろ」

如月「そんなことありません!」

大和「勝手に決めつけないでください!」

波大尉「そうよ! それはこっちが決めることよ!!」

伊8「なんで敵同士で意見が合致してるんでしょうねえ……」ボソ
634 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:16:51.81 ID:KEmq5Np6o

提督「そもそも俺は誰かと結婚なんてする気はこれっぽっちもねえぞ」

波大尉「どうしてよ!? それであなたは幸せなの!?」

提督「ああ。むしろ、うちの艦娘たちが今の生活に満足してくれてりゃそれでいいと思ってるが」

如月「も、もう……そんなことなら、如月はずーっと提督のお傍においてもらえるだけで幸せよ……?」モジモジ

大和「大和も、提督の隣にいられるのなら、これ以上の幸せはありません……!」モジモジ

波大尉「フン……そんなの嘘よ!!」ズビシッ

如月「そんなことはないわ!」

大和「何を根拠にそんなことを言うのですか!」

波大尉「あなたたち……家庭が欲しくないの!?」クワッ

如月「!?」

波大尉「愛する人との子供が欲しくないの!?」ビシィッ

大和「!?」

波大尉「あなた〜、おかえりなさい! お仕事お疲れ様でした!」

波大尉「ご飯にする? お風呂にする? それとも……わ・た・し? とか、やってみたいと思わないの!?」

如月「そ、そんなの……やってみたいに決まってるじゃない!!」

大和「如月さんっ!?」
635 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:18:27.32 ID:KEmq5Np6o

波大尉「大好きな人のために、お料理作って! 綺麗なベッドを準備して! 仕事から疲れて帰ってきた旦那様を迎えて!」

波大尉「一緒にお風呂に入って! 一緒のベッドでイチャイチャしながら眠る生活に、憧れたりしないって言うの!?」

大和「う、ぐううううう!!」

伊8「ダメージ受けてる……」

龍驤「なんちゅうか、結構古風やなあ……」

明石「あ、やっぱりそう思います? 良くも悪くもちょっと昭和的なんですよね、波提督の感性って」

霞「ええ、古風ね……わかるけど」ボソ

千歳「無理もないのよ。波大尉のご両親も、妹さんのご夫婦も、絵にかいたようなおしどり夫婦だから」ハァ

千歳「どっちの夫婦も仲が良くて、いつもにこにこしてて、旦那様を立てて、奥さんも可愛がられて、っていう……」

千歳「なんていうか見てるだけでお腹いっぱいなご家庭なのよ」

霞「それじゃ無理もないわ……」タラリ

千歳「ご両親や妹さんたちからは別にせっつかれてるわけじゃないんだけど、波大尉はそれが逆に煽られてるように感じてるの」

那珂「成功者が近くにいると焦るよねー……」

波大尉「妹のところの双子も、小学校に入ったわ。可愛かった……甥ちゃんも姪ちゃんも、すっごい可愛かった!!」

波大尉「あたしだって……あたしだって、同じように子育てして、ママって呼ばれたいのよおおおお!!」

提督「……」

朝雲(うわー、司令ったら完全に興味なさそうな顔してる……)
636 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:19:21.52 ID:KEmq5Np6o

波大尉「提督准尉! あなただって、そういう温かい家庭に憧れるでしょう!?」

提督「うんや、別に。どうでもいいな」

波大尉「!?」

大和「!?」

如月「正直、そう言うんじゃないかと思ったけど……」ハァ

波大尉「提督准尉! 真面目に答えて!」

提督「あぁ? 真面目にどうでもいいっつってんだよ、いちいち面倒臭えな」

波大尉「」

大和「」

龍驤「」

那珂「」

足柄「」

千歳「」

伊8「うん。だいたいみんなそういう反応になるよね」

霞「あ、足柄さん!? しっかりして!」
637 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:21:00.54 ID:KEmq5Np6o

千歳「じ、准尉、あなたは本当にそれでいいんですか」

提督「うるせえな、俺は結婚する気はねえってさっきから言ってんだろが。まともな親を知らねえ俺が、まともな親になんかなれるかよ」

千歳「……! 准尉、それはどういう……」

波大尉「何を言ってるの!? 仮にもご両親は健在なんでしょう!?」

千歳「波提督!? 待ってください、提督准尉は……!」

波大尉「これまで育ててもらったご両親に対して、家族としてそんなことを言っちゃ駄目よ! わかるでしょう!?」


提督「あぁ……?」ピキ

波大尉「!」

提督「何が駄目だって?」ギロリ


如月「し、司令官……!」

龍驤「こらあかん……あかんこと言うたで、波大尉……!」

大和「て、提督……!?」ビクッ

足柄「ちょっ、ど、どうして准尉がここまで怒ってるのよ!?」
638 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:21:57.82 ID:KEmq5Np6o

霞「ちょっと!? いったいなにがあったのよ!?」

如月「司令官は、両親と縁を切ってるの……」

朝雲「えぇ……!?」

霞「縁を切るって、いったい何やってんのよ、あんた……!」

提督「何って、当然の流れだよ。あいつらと俺は、家族なんかじゃねえ……家族なんかやってられっかよ、くそが!」

霞「……!」ゾク

那珂「提督さん……!」

龍驤「霞や朝雲はともかく、なんで大和たちまで驚いてんねん。提督の昔話、誰かから聞いたんやろ」

伊8「き、聞いてたけど、提督の怒り方が、今まで見たことなかったくらいだから……」

大和「これほどだったなんて……提督、なんておいたわしい……!」ウルッ

如月「司令官、落ち着いて! もう帰りましょ!? 用は済んだんだもの!!」

提督「……ああ」

波大尉「ちょっと待ちなさい!」

千歳「波提督!?」
639 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:22:48.93 ID:KEmq5Np6o

波大尉「さっきから何を言ってるの!? 家族じゃないとか、やってられないとか!」

波大尉「そんな悲しいこと言わないで。そんなんじゃ、誰も幸せになれないわ……!」

千歳「波提督! 何を言ってるんですか!」

波大尉「だって! 両親と不仲だなんて、可哀想じゃない!」

足柄「ちょっ……それは家庭の事情が」

波大尉「事情があるなら、話し合って仲直りすればいいでしょ!?」

提督「……仲直り、だと……?」

如月「落ち着いて! 司令官!! 相手にしないで!!」ガシッ

波大尉「如月ちゃん、私は彼のためを思って言ってるのよ!? 肉親と憎み合うなんて、馬鹿なことをしてると思わないの!?」

提督「……」ギリ

如月「駄目よ!! 司令官、抑えて!!」

波大尉「如月ちゃんだってわかるでしょ!? そんなに彼を慕ってるなら、家族がどれくらい大事かって!」

波大尉「喧嘩したら仲直りしなきゃ……人は一人で生きていけないのよ!?」

如月「……いい加減にして!!」キッ

波大尉「っ!」
640 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:23:41.41 ID:KEmq5Np6o

如月「あなたの家族観は、司令官を傷付けるだけだわ! これ以上喋らないで!!」

大和「如月さん……!?」

波大尉「はぁ……私、何か間違ったことを言ってる? 幸せっていうのは……」

如月「っ……これを、見なさいよ!!」バサッ

那珂「如月ちゃん!? なんで上着を脱……っ!」

龍驤「……なんや、あの体」

明石「体中、傷だらけじゃないですか……!」

波大尉「きさ……如月、ちゃん……どうしたの、その傷は!!」

提督「おい如月、やめろ。すぐに服を」

如月「いいの。司令官、これだけは言わせて」フルフル

提督「……」

如月「この、私の体の傷は、私が生まれた鎮守府でつけられたものよ」

波大尉「え……」
641 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:25:08.20 ID:KEmq5Np6o

足柄「虐待されてたってこと……!?」

如月「ううん、兵器の実験台にされてたの」

波大尉「……っ!!」

如月「命からがら逃げてきて、あの島に流れ着いて……私は、提督に助けてもらったの」

如月「司令官は、私を助けるために、命懸けになってくれたわ。今、私がここにいるのは、司令官のおかげ……!」

如月「あなたは、親を大事にしろと言うけれど、私にも同じことを言えるの?」

如月「私の親にあたる人……私の体をこんな風にした人と、私は仲直りしないといけないの?」

波大尉「そ……それは」

如月「司令官のお父さんは、肉親なのに司令官を一方的に苦しめてきた人なのよ? 私と同じことが言えるの?」

波大尉「で、でも、准尉のお父さんは政治家で……」

提督「職業なんか関係ねえよ。俺が海軍に入った時、中佐があいつらに金を渡して、あいつらは金を受け取った」

霞「はぁ!?」

提督「これがどういう意味かわかるよな?」

波大尉「……」

提督「あいつらは、俺の身柄を海軍に売ったんだ。俺がどうなっても構わない、ってな」

朝雲「……司令」
642 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:27:31.77 ID:KEmq5Np6o

 スッ パサッ

如月「司令官……」ウワギカケラレ

提督「如月、悪かったな」

波大尉「……」

提督「それからな。俺はEDってやつらしい」

大和「イー、ディー……?」

伊8「……やっぱり」ハァ

千歳「もしかして、それ……」

明石「男性器の勃起障害です。提督准尉は、過去のトラウマのせいで、性的興奮に強い抵抗と拒絶反応を返しています」

明石「彼が女性と性交渉を行うことは、現状のままでは不可能だと思われます」

明石「ですから、彼と結婚したとしても、子供はおろか、セックスレスになる確率が高いでしょうね」

大和「そんな……!」ガーン

波大尉「なに、それ……!」

提督「だから言ったんだ。俺は結婚不適合者だ、ってな」

如月「司令官……!」

提督「そんな悲しそうな顔すんな。俺はもとより、子孫なんか残したくなかったんだからな」
643 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:28:50.40 ID:KEmq5Np6o

波大尉「……そんなの……うそよ。現実から目を逸らしてるだけよ! 病院へ行って治療すれば……!」

提督「いい加減にしろ」

波大尉「!」ビク

提督「あんたの幸せの定義はわかった。俺はそれに賛同する気は微塵もねえし、それを押し売りすんじゃねえ」

提督「ついでに、俺を可哀想だなんて思うのも大間違いだ。俺は、こいつらと……今の『家族』と一緒にいられれば、それでいいんだ」

如月「司令官……っ!!」ブワッ

波大尉「……」

提督「帰るぞ」

龍驤「お、おぉ……」

大和「如月さん、服を……!」

明石「提督准尉、診断書をお持ちください」スッ

提督「ああ。那珂、お前が鎮守府に持って行ってくれ」

那珂「は、はいっ!」ウケトリ
644 : ◆EyREdFoqVQ [sage saga]:2019/06/16(日) 17:29:47.89 ID:KEmq5Np6o

霞「司令官。島に帰ったら、さっきの話がどういうことか、話してもらうわよ」

提督「そいつは適当に誰かに聞け。もうほとんどの奴が知ってるみたいだからな」ハァ

提督「ついでに診断書の中身の話も適当にして欲しいもんだが……」

伊8「それは、はっちゃんがみんなに報告します」

提督「頼む」

大和「さ、島に帰りましょう……!」

 ゾロゾロ…

波大尉「……」

千歳「波提督! 何を考えてるんですか!」

千歳「准尉がいくら不遜な態度とはいえ、いくらなんでもあの説教はないわ!」

足柄「やめなさいよ、准尉にあんな事情があったなんて、波提督に想像できないわよ」

千歳「でも、話の途中でいくらでも気付くことはできたでしょう!?」

波大尉「……そう、ね」フラ

千歳「……」

 扉<ガチャ パタン

足柄「……波提督」

千歳「まったくもう……あの子、世間知らずなのよ。自分の理想が正しいって、信じて疑わないんだから」

明石「ですが、その曲がらない信念があったからこそ、ここまで頑張ってらしたんですよ」

千歳「そうね。でも、今回ばかりはね……」

足柄「理想を面と向かって拒む人と出会ったことがなかったから……波提督、立ち直れるかしら」
645 : ◆EyREdFoqVQ [saga]:2019/06/16(日) 17:33:24.60 ID:KEmq5Np6o
以上、今回はここまで。


動くむつきさ改二、よいぞ……!
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 20:35:44.91 ID:ImGrr7q20

想像していたより「フミコメ☆地雷GEN♪」だった
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 23:19:38.57 ID:HvWyse+No
幸福な生き方しか知らないとねぇ
逆も又しかりなんだけど
767.00 KB Speed:0.4   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)