【ラブライブ!】魔法少女 ほのか☆マギカ

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168 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/21(日) 00:41:30.92 ID:6YRfdPZh0
復活してたのでまた更新していきます。

とりあえず>>165のsaga入れ忘れの修正↓



QB「お疲れ様」

薄暗い路地裏。街灯はちらほらあるが、光は弱く頼りない。キュゥべえは魔法少女の足下に擦り寄った。

QB「海未とことりは出かけてしまっているし、助かったよ」

「そう」

魔法少女はそっけなくキュゥべえを足で払った。振り払われた白い獣は連れないなあと言いたげにその場離れ、少し離れた電柱の陰に転がった。

QB「それにしても、君は容赦が無いんだね。魔女の結界が壊れた後も攻撃を続ける魔法少女なんて初めて見たよ」

「興味無いわ。魔女は――私がすべて殺す。いつかは貴方も」

おお、怖い、とキュゥべえは立ち上がった。

QB「僕は行くところがあるから」

そう言って場を離れるキュゥべえ。魔法少女は薄暗い路地裏に取り残された。
169 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/21(日) 00:48:59.04 ID:6YRfdPZh0
◆Twirling Miracle.


凛「あの衣装可愛いかったな……」

ファッションショーのライブ前夜。凛は自室のベッドに寝転がってため息をついた。脳裏に焼きついたあの衣装は消えない。

あのウエディングドレスのような可愛い衣装に腕を通したら、髪飾りをつけたら――考えたところで首を振った。

凛「きっとかよちんの方が似合うよ。これでよかったんだよ。凛なんて……」

『うわ、星空がスカート履いてるぞ!』
『お前男みたいなんだからそんなの似合ってねーぞ!』

小学生の時にクラスメイトの男子から言われた言葉はスクールアイドルになった今でも忘れることはなかった。自分にはこんな可愛い衣装は似合わないけど、みんなも着てるから同じ衣装を着ないといけない。そんな正当化の中で活動をしてきた。

だが、今回の件は違う。一人だけウエディングドレスをモチーフにしたワンピース。残りのメンバーはタキシード。みんながドレスを着るなら凛も着れたはずだ。しかし自分一人では無理だ。せっかくほかのメンバーがリーダーに推薦してくれたのに。

そんな感情が頭の中で混沌と渦巻いているその中で小さく光る、衣装を見た瞬間から消えなかった思いがある。
170 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/21(日) 00:51:47.10 ID:6YRfdPZh0
凛「でも、ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから……」

QB「着てみたかったかい?」

突然凛の顔を覗き込んできた白い生物。キュゥべぇだ。

凛「にゃ!?」

心臓が強く鼓動し、腹筋を使って起き上がる。キュゥべぇはさっと凛の額をかわして膝下に移動した。

そんなに驚かなくても……、とキュゥべぇ呟くが、驚かないわけがない。突然閉め切った部屋に侵入してきた挙句、心を読まれたのだ。

キュゥべぇの言った通り、あの衣装を着たいという思いが抜けなかった。ずっと、目の裏に白と薄ピンク色の綺麗な布で作られたウエディングドレスがある。

凛「ど、どうしてこんなところにいるの!?ここは凛の部屋だよ!」

心を読まれた驚きはどうにか飲み込み、キュゥべぇに顔を近づけた。

QB「悩んでるみたいだったからね。僕で良ければ相談に乗るよ。海未やことりは遠くに出かけていて魔女討伐ができないから」
171 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/21(日) 00:55:06.31 ID:6YRfdPZh0
凛「え……暇つぶし……?」

少しだけ苛立ちながらも、考えは変わっていく。キュゥべぇは魔法少女と共に悪い魔女と戦っている正義の味方だ。それに、海未とことりの願いを叶え、穂乃果を救った張本人でもある。その力のせいで、希は死んでしまったけれど。

凛「キュゥべえなら話せるかも」

頷くと、ゆっくりと、浮かんだ思いを口にしていった。

凛「えっとね、凛、こんなに髪も短いし、女の子っぽくないんだけど、かよちんとか、μ'sのみんなみたいに普段から女の子っぽい服が着たいの」

焼付く女の子の憧れ、ウエディングドレス。でも自分には不釣り合いだ。

凛「でも、凛には向いてないから……スカートは似合わないし、髪も短いし……」

思い出される心無い言葉。泣きそうになりながらも、凛は思いを言葉にしていく。

凛「それに、せっかくアイドルっぽくなれるきっかけになったかもしれないのに、センター、かよちんに押し付けちゃった」

もしかしたらこれを機会にもっと可愛い服を着て歩けたのかもしれない。そう思ったのはほんの一瞬のことで、センターは花陽と決まった後だった。

凛「ごめんね、何言ってるかわからないよね」
172 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/21(日) 00:58:11.35 ID:6YRfdPZh0
ダメだよ、言いたいことがありすぎて、まとまらない。いつの間にか溢れていた涙を拭った。

キュゥべぇはしっかりと凛の思いを聞いていた。

QB「わかるさ。つまり、女の子らしくなりたいんだろう?」

凛「……うん」

QR「一つ、方法がある」

凛「ほ、本当に?」

突然の提示だった。方法?そんなことがあるのだろうか?見つめたキュゥべぇの目は赤く、無機質だった。

QB「僕と契約するんだ」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 05:24:32.88 ID:7zF7xiJ60
再開乙
また楽しみにしてる
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/21(日) 08:44:04.38 ID:xSmRyd230
続き楽しみ
175 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/24(水) 07:20:53.35 ID:mBe/gTmo0
凛「契約……って、魔法少女になるってこと?」

凛の表情が強ばった。ぞく、と背中が冷たくなる。

QB「そうさ。魔法少女になれば一つだけ願いが叶う。あの衣装を着ることもできる……新しい自分になれるんだ」

凛「新しい……自分?」

でも。でも。あのウエディングドレスとは別に、凛の脳裏から消えない光景がある。

凛「いや、いいよ……怖いもん。魔法少女になったら魔女と戦わないといけないし……希ちゃんも死んじゃった」
176 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/24(水) 07:26:03.99 ID:mBe/gTmo0
ぽろぽろと涙が落ちた。姉のように、母親のようにμ’sを支えてくれた人。μ’sの名前をつけてくれた人。lily whiteの活動では突っ走る海未とはしゃぐ自分をうまくまとめてくれていた。

そんな希は、つい先日。絵里を庇って魔女の使い魔に殺された。ぎゅっと親友を抱きしめて。すべての弾丸を受け止めて。真っ赤な血に染まって。連日夢に見るくらい頭から離れない。学校にいる間はとにかく練習に打ち込んでそのことを考えないようにしていたけど。ライブの事を考えて気を紛らわそうとしてはいるけれど。どうしてもあの真っ赤な希ばかりが思い出される。思い出すなら楽しいことがいいのに。

QB「希の遺志を継ごうとは思わないのかい?」

凛「できるわけないよ!」

QB「最近、この街には他と比べて魔女が多くなっている。原因は分からないけど。だから、この前のようなことが起きないとも限らない」

凛「で、でも、海未ちゃんとことりちゃんが、また守ってくれるし……」

QB「本当にそれでいいのかい? この前の魔女との戦いで、最初に二人に戦いを任せることに異議を唱えたのは君だったじゃないか」

たしかにそうだった。あの時は二対八で使い魔に圧倒される二人を見て、助けたくて仕方が無かった。それに、ちょっとだけ魔法少女になってみたかった。でも、魔法少女は簡単に死ぬ。それを見たら簡単に魔法少女になればなんて思えるわけがない。
177 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/24(水) 07:30:59.77 ID:mBe/gTmo0
QB「それに、魔法少女がいないときに魔女に襲われる時もある。そうしたらどうする? もし、花陽が襲われたら?」

凛「かよ、ちん……?」

QB「そうさ。なぜか魔女が集結しているこの音ノ木ではいつ誰が魔女に襲われて殺されてもおかしくない。もちろん、花陽だって。たとえば、帰り道で分かれて、そのまま二度と会えない、なんてこともあり得る。結界の中から干渉するタイプならともかく、結界の中に引き込んでしまう魔女だったら、死体も見れない。この前希を殺したあの魔女もどこへ逃げたかわからないしね」

ずっと傍にいた幼なじみ。アイドルとごはんが大好きで、さらさらとした髪は少しだけ毛先に癖があって、ほっぺたは柔らかくて、いつも柔らかく笑っていた。そんな花陽が傍にいなくなったらと思うだけで――

凛「凛が、かよちんを……守れる?」

QB「ああ、そうさ。君が花陽を守るんだ」

凛「でも、怖いよ」

QB「ことりだって最初は震えていたさ。力を持てば変わる。凛もきっといい魔法少女になるよ」

かよちんがいなくなったら、凛、生きていけないよ。だから。

凛「凛、魔法少女、やってみようかな」
178 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/24(水) 07:33:46.33 ID:mBe/gTmo0
いつの間にか、決意はできていた。恐怖はあるけれど、花陽のためならどんな魔女よりも強くなれる気がした。それに、小さなころアニメで見たような、魔法少女への憧れは心の片隅に残っている。女の子らしくて、可愛くて、強くて、誰かを守れる存在。

QB「じゃあ、どんな願いで契約するんだい?」

凛「凛、かよちんを守りたい!」

QB「……別に構わないけど、魔法少女になるだけで、魔女と戦う力は手に入るんだよ?」

そっか。じゃあ、ああ、そうだ、さっきキュゥべえに言われたあの願い。皆を守れて、夢が叶うなら、魔女と戦う勇気も手に入るよね? 穂乃果ちゃんを助けてくれた、あのキュゥべえがそう言ってくれるなら、大丈夫だよね?

凛「変わるきっかけがほしい。新しい自分になりたい!」

QB「もちろんなれるさ。それじゃあ、始めよう」

キュゥべえの赤い瞳。全身を駆け巡る痛みと黄色い光。それでもそんな光の中に、願い続けた夢が見えた気がした。


 ◆ ◆ ◆

穂乃果「花陽ちゃん?こんな時間にどうしたの?」

花陽『あのね、相談があるんだけど――』

 ◆ ◆ ◆
179 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:09:08.41 ID:KfDOYE640
本当に機会は巡ってきた。きっかけが欲しいと願ったものの、特に何事もなくライブを行うファッションショーの会場へ着いた。


ライブに向けて、楽屋で準備を始めた時だった。可愛い服を着たモデルやアイドルを見て、より機会を待つ気持ちが高まっていた時、それは起こった。


自分の衣装はそこだと言われ、カーテンを開くと――あのドレスがあった。花陽が着るはずの衣装。つるつるとしたきれいな布。伸びた腰ひもは天使のようだ。


花陽「凛ちゃんは可愛いよ!抱きしめちゃいたいくらい可愛いよ!」
180 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:10:04.98 ID:KfDOYE640
そして、大好きな幼馴染と、大好きな友人と、背中を押され、憧れを手の中に収めた。


その日みた景色は夢のようで、ずっと見たかったものだった。小さなステージとたくさんのギャラリー。テレビや雑誌の取材も来てるんだって。すべてのものがキラキラと輝いて見えた。


凛「いっちばん可愛い私たちを――見ていってください!」


凛、かわいくなれたかな。変じゃないかな。最初浮かんだ疑問はすぐに消し飛んでしまった。かよちんがそう言ってくれるなら。きっとそうに決まってる! だから、なりたい自分になっていいんだって。そう思えた。
181 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:13:17.23 ID:KfDOYE640
翌日。

凛「うん、うん。じゃあ、いつもの公園で。えへへ、ありがとね、かよちん!」


凛は笑いながら電話を切った。ファッションショーの翌日。凛は花陽と街に出かける約束をしていた。今日の目的は、普段のボーイッシュなものとは違った、かわいい練習着を買うこと! それから、雑貨屋さんに行って、可愛いパフェを食べに行って……やりたいことがたくさんある!


箪笥に押し込んだピンクのワンピースを取り出した。どうにか勇気を出して買ってみたものの、結局着ることはできなかった。何度か部屋の中でこっそりと体に合わせてみたが、どうしても自分には合わないとすぐに片づけていた。


でも、それは昨日まで。今日からは、堂々とこのかわいい服を着て歩くんだ。
182 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:14:43.51 ID:KfDOYE640
昨日、花陽と真姫、絵里とにこが励ましてくれた言葉がたくさん。たくさん。だから、たまに不安になっても大丈夫。四人の言葉の中でも、花陽の言葉は暖かくて、それさえあればずっと大丈夫だと思えたほどだ。


ワンピースに袖を通す。これを買ったときは、少しでもシンプルなものと思って選んだが、今改めて見ると少し物足りない気もした。


小さな鞄に財布と携帯と他に必要なものを詰め込むと、家を出た。




公園に付くと、花陽はすでに凛を待っていた。いつもの小さいベンチで、スマートフォンを触っている。かよちん、びっくりするかな、なんて思いながら。


凛「かーよちん!」
183 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:16:28.49 ID:KfDOYE640
顔を上げた花陽はすぐに表情を綻ばせた。凛に駆け寄るとぎゅっと抱きしめる。暖かい。いい匂いがする。ほんのり花陽の頬がピンク色になった。


花陽「はぁ〜! 凛ちゃんすっごくかわいいよ! そのお洋服どうしたの?」


凛「ありがとにゃ……! このお洋服はねー。結構前に買ったんだけど、なかなか着れなくて」


花陽「そっか……でも大丈夫だよ、凛ちゃん。すごく似合ってる。すごく可愛い」


きゅうっと凛の顔が赤くなる。紅潮したほほを見られないよう、顔を背けて「いこっ」と花陽の手を引いた。
184 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/10/29(月) 03:17:58.10 ID:KfDOYE640
風に揺れるスカートも、きれいに整えた髪の毛も、暖かい花陽の手も、全部嬉しくて。未来のことを考えると、期待が高まって、胸が熱くなっていく。


凛「ねえ、かよちん」


花陽「どうしたの?」


凛「大好きにゃ!」


どうしても大好きだって言いたくなっちゃった!





◆ ◆ ◆


そして、奇跡はくるりんと簡単に、無情にも転覆した。
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/29(月) 06:14:53.45 ID:xpe7GpZsO
希居なくなったのに普通にライブしてんのか
全員サイコパスだな
186 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/11/08(木) 00:25:26.43 ID:dgZfX2OD0
ハロウィンライブの案がなかなか決まらず、練習が少し早めに終わった日の事。凛と花陽は近所の公園へ向けて歩いていた。

本当は真姫も一緒の予定だったのだが、どうしても次の模試に向けて先生に質問をしたいらしい。ここ最近成績が落ちてきているんだとか。無理もない……と思う。地区予選の帰りから本当にいろんなことがあったから、勉強が手につかなくても仕方ないよね。


少し長くなるかもしれないとのことで、二人は先に公園に向かうことにした。今日はもう練習がないので少し公園でジュースでも買って駄弁ってから帰るという約束だ。しばらく一緒にいれば、真姫ちゃんも落ち着くかな?



二人が公園に着くと、人気は少なく、サッカーで遊んでいる近所の公立高校の制服を着た男子生徒が三人いるだけだった。


遊んでいた男子達はボールを手に取ると、こちらを見ながら小声で話を始めた。少し変な空気だった。それこそ悪い予感というべきか。
187 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/11/08(木) 00:30:14.49 ID:dgZfX2OD0
男子A「おい、やっぱり星空じゃねえか」


嫌な記憶がじわりと膨れる。振り向いちゃだめだという根拠のない警鐘。でもそれは正しかった。ここで振り向かずに走り出していたら、何か変わったのだろうか。


凛「ひ、久しぶりだにゃ……」


逃げ出したい気持ちと、少しの勇気を胸に男子生徒を見上げた。三人の男子高校生は小学生の頃、いつも凛を男みたいだとからかっていたグループだ。彼らとは学区の関係で中学校に入るまでの付き合いだった。それでも、言葉によって傷つけられた心はもとには戻ってはいない。


制服のスカートをはくことにだってなかなか慣れなかった。私服のスカートは全部捨てた。彼らと会うことがなくなって三年たっても、その心はつい最近まで残っていた。


男子A「それにしても……お前がスクールアイドルねえ」
188 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/11/08(木) 00:35:48.89 ID:dgZfX2OD0
凛「し、知ってたんだ……?」


男子生徒はしみじみと呟く。少しだけ期待しながら彼らを見た。凛だって変われたんだ。もうあの時の凛じゃない。だから、もうバカにされないかな? 女の子らしかったって言ってくれるかな?


そんな期待は打ち砕かれて。


男子A「いやいやいや、冗談にもほどがあるわ!」

男子B「お前笑うなよ。この前ファッションショーにも出てただろ」

げらげらと笑う声に急に首の後ろが冷たくなった。奥歯がかた、と小さく鳴った。笑いすぎて涙すら溢した男子生徒の声が何度も凛の心を殴りつけた。

凛「え、あ……なんで」


男子C「あ? ああ、この前のイベント、テレビで中継されてただろ? お前がスクールアイドルやってるとかいう噂聞いたから、みんなで見てたんだよ」


違う。そうじゃない。イベントの事なんてどうでもいいよ。なんで、笑うの? 凛だって……!
189 : ◆PqgbKM/Cuk [saga]:2018/11/08(木) 00:38:42.71 ID:dgZfX2OD0
男子B「そしたらまあ……いっぱしに女の振りしちゃってさ」

男子C「ホント面白すぎたわー。小泉とか、他のメンバーならともかく星空が『一番かわいい私たちを見て行ってください!』だもんな」


心臓どころか全身がぎゅうっと握りつぶされる感じがした。ああ、そっか。やっぱり凛には無理だったんだ。あんなにきらきら光って見えた世界が急に暗くなっていくのがわかる。あんなに暖かかった胸が完全に冷え切っていた。


花陽「凛ちゃん……」


花陽は何か言いたげだった。でも、もういいや。大丈夫、わかってるよ。胸はこんなに冷たいのに目の奥が熱い。泣いちゃダメだ。ダメなんだ。


花陽「凛ちゃん!」


花陽の声を背に駆けだしていた。凛は大丈夫。全部わかってるから。女の子らしくなりたいなんて、所詮は夢だったんだ。それも魔法少女になる契約をして、本来ならなかったはずのきっかけをもらって叶えた夢。だからほんの少しだけでも自信が持てただけで幸せなんだ。でも、目から熱いものがたくさん零れて、視界は揺らいで、曇って、世界が白黒に見えた。
190 : ◆PqgbKM/Cuk [sage]:2018/12/03(月) 01:26:11.76 ID:VB0mqiUFO
近いうちにまた書きます
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/03(月) 21:12:56.25 ID:1pgu9iGB0
待ってるよ
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/28(金) 21:18:03.33 ID:YxYVtr2z0
まだかな
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