【偽三次創作】どこかの誰かの話 その2【のんびり、まったり】

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26 :俯瞰者 ◆e/6HR7WSTU [sage saga]:2018/08/12(日) 20:45:10.63 ID:wCxRYpft0
そこからは何事もなく、如南へと到着。まぁ、如南近郊まで来ていたし大体いかにもな一行が堂々と街道を通っていれば賊も警戒して手出ししない。
だが、如南城門をくぐった後でそれは始まった。
「お、横着様でございますかな?我々は如南官吏でありますが、只今城中は大変取り込んでおりまして、はい。袁の方々も我々も右往左往している状況でして、はい。
そんな状態で袁の主たる方々に御面会は難しいかと、はい。出来ますれば日を改めまして使者なぞ遣わせて頂けましたらその、こちらも相応にですな、はい」
脂汗をしきりにぬぐいながらひたすら城内の事で言い訳しつつ、平身低頭でありながら暗に『帰れ』と催促される。
が、
「なら、助太刀しましょう。なに当主を譲ったとはいえ能力まで譲ったわけではないですからな、お力になれる事は何かとございましょう」
ぬけぬけとそう言い切ってひたすら如南城まで馬を進めていく。

……おい、ちょっと待て。

如南城奥へと通ずる門前、そこに佇むは張勲、本人であった。


「横着さんではないですかぁ、当主を子息に譲られて隠居されているはずがなぜか陳留でご活躍とか。そうそう、洛陽にもお呼びがかかって近々行かねばならないとか。
それなのにこんな所で油売っていていいんですかねぇ」
表情は笑顔、口調も物腰も柔らか。なのに発せられる言葉の中には猛毒とそれを存分にまぶした特大の棘、さらに南皮逃亡からの私の動静が把握されているわ本人が知らされるまで知らなかった官職の件まで把握している。なるほど張家侮るべからず、だな。
だが、こっちも引くわけには行かない。
「末席の、しかも隠居した先代の御仁を覚えていてくださるとは光栄で御座いますな」
「ご謙遜を。袁家とは古い古い昔から深ーいお付き合いですものね。袁逢様と共にあの伝説の戦を戦われたとか、さすがは名家ですねぇ」
「いやいや、私自身はただがむしゃらに敵をぶん殴っていただけで。それが証拠に我が家は戦後もとりたてて扱いは変わっておりませぬが」
「おやおやー『英雄の守人』は伊達だったのですかぁ?それともぉ?」
……ほう、そこを攻撃するか。別に構わんし、あの戦の真実は豊(田豊)や義(麹義)が知っている。俺はあの人と共にあのくそ忌々しい災厄に終わりをもたらしただけだ。それで十分。
それより、だ。
「こちらで何やら騒動があったようですな」
「ええ」
「そういえば、袁胤様はご健勝で?」
「そう問われれば、『是』と」
「では生きておられると」
「それも『是』とだけ」
ここで、声を潜めると意味ありげに、
「袁逢様が自らの後を示しておけばこんな騒ぎも起きなかったのですがね」
と囁く。
「という事は袁逢様が誰かにそれを託したと?」
……おや?
「それくらいの事、張家はとうに把握していると思っていましたが?」
「何を言いたいのでしょう?」
「いや、張家でも知らないことがあるものだなと」
ここで張勲殿がやっと気づいたようで、
「何が目的ですか?」
おやおや、口調まで変わってますよ。それでは、
「横家と袁家の繋がり、そして便利屋として忠臣として誠実に勤め信を得た当主。彼だけが知っている袁逢様の本心。価値はともかく、話を聞いてみるには値すると思いますが?」
「ならー聞くだけですよーどこまで真実か不明ですしー」

……やれやれ、何とか席には引っ張り出せたか。というか聞いて損は絶対ないがねぇ、張勲殿。
 
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