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男「僕の生徒は亜人だらけ」ロウェナ「おねーさんを称える三回目!」

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755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 20:50:31.41 ID:mkKnnNUt0
ヒヅキ
756 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 21:04:58.02 ID:8atcIGKl0
ルーティ「そーっ」

ピチョンッ

ルーティ「ひぃっ」

男「あ、いたいた、ルーティさん」

ルーティ「!?」

ルーティさんはなぜか海にそーっとつま先をつけようとしていた。

人間の姿では泳ぎにくいのだろうか。

ルーティ「あ、せ、先生じゃーんっ!」

僕を見るなり笑顔を“作る”ルーティさん。

………いや、笑顔を浮かべるルーティさん。

なんだろう。今変なこと。

ルーティ「どうしたの? あっ、まさか私の水着姿見たくてきたの? やーん、エッチィ」

男「ルーティさんと一緒に遊びたくてね」

ルーティ「駄目だよ」

男「え?」

ルーティ「! じゃなくて皆で遊ばなきゃだめだよ先生! ねっ」

ルーティさんが含まれていればどう遊んでもいいのだろうか。

そこらへん詳しいことは聞いてなかったけれど。

男「そういえばルーティさん」

1.水着、一緒に買いに行ったやつじゃないんだね

2.飲み物余ったんだけどいる?

3.その水着、よく似合ってるよ

>>757
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:07:46.05 ID:odlxIPxKo
1
758 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 21:24:06.66 ID:8atcIGKl0
ルーティ「え?」

男「いや別になんでもないけど、一緒に買いに行った水着じゃないんだなぁって」

ルーティ「先生は、そんなことまで覚えてるんだね」

ルーティさんが俯いて首にかかった水着の紐を引っ張る。

ま、また僕はやってしまったのだろうか。

ルーティ「そんなことまで覚えられてていいなぁ、ルーティさんは」

男「一緒に買いに行ったことだから覚えてるよ。えっと、だって凄い似合ってたし?」

それは本心だ。だけど下心はない。

悪気はないとアピールをすればするほどルーティさんの顔が曇っていく。

男「えっと、ルーティさん?」

ルーティ「先生!! 先生はなんでも覚えてるの!? なんでも覚えてくれるの!?」

いきなり僕のもとへずいと寄りそう尋ねるルーティさん。その表情はとても真剣で、

男「お、覚えてるよ。だって―――」

マナ「ほんとに?」

―――――――

>>761 【コンマ10以下】
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/01/15(火) 21:25:57.49 ID:crRQruOPo
無理かな
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:26:44.32 ID:eI6aRHVDO
はい
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:27:17.84 ID:mkKnnNUt0
奇跡起きるか
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:27:23.29 ID:vipJL2BAO
奇跡は起こらず
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 21:35:41.37 ID:4nmFIcF7O
難しすぎる…
764 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 21:44:47.94 ID:8atcIGKl0
―――

――



ルーティ「ほらっ! 先生パース!」

男「うぐぅっ」

ぼーっとしているとビーチボールが僕の体にぶち当たった。

痛くはないんだけれど驚いてしまう。

ルーティ「へっへーん。ぼーっとしてるんじゃないよ先生!」

男「ごめんごめん」

ルーティ「ほら、次いくよ!」

ルーティさんがボールを天高く放り投げる。

目で追っていると太陽がまぶしくて僕は目を閉じてしまった。
765 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 22:03:28.49 ID:8atcIGKl0
ベル「あーつかれたー」

ミレイア「あんたはしゃいでたものね」

ベル「あれあれ? ミレイアちゃんも結構はしゃいでたとおもうけどなぁ?」

ミレイア「ばっ、このミレイア様が海水浴ごときで興奮するわけないじゃない!!」

海は終わり。疲れ果てた僕たちは家へと戻ってきた。

塩水でべたついた肌を洗い流せるのは本当にありがたい。

シャワーを浴びて体を綺麗にすると両肩に重い疲れがのしかかる。

これを心地よいと感じるかが若いかどうかの違いだろう。

ちなみに僕は感じない。おそらく基礎体力が足りないからだろう。

けっして加齢のせいではないと信じたい。

ロウェナ「それで、これからの予定は?」

ミレイア「特にないわよ。ノープラン」

ベル「はいはい! 私やりたいことがあります!!」

ベルスタシアさんが大きく両手をあげてアピールをする。

いったいなにが始まるのだろうかと全員の視線が集まった中、ベルスタシアさんはこう主張した。

ベル「夏で旅行といえば肝試しでしょう!」

ミレイア「秋だけどね」

肝試し。

あまり、というかかなりしたくない。

だけど多数決に訴えたとしても結果は見えている。

ロウェナ「肝試しかー。いいね!」

1人肝を試す側がいるけれど、乗り気みたいだ。

生徒の主張はできるだけ受け入れたいところだけど、うーん。

クゥゥ

可愛らしい腹の虫が鳴いた。

ジェラ「す、すいません///」

ジェラルド君が顔を真っ赤にして照れていた。

男「とりあえずはご飯を作ろうよ」

ヒヅキ「賛成だ」

問題は後回しにしよう。

きっとご飯を食べ終わるまでに他の良いイベントを誰かが思いつくさ。
766 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 22:15:15.91 ID:8atcIGKl0
ベル「御馳走様! それじゃあ肝試しだ!」

思いつかなかった。

夕飯の献立は大人数でも安心、カレーライス。

珍しくヒヅキさんが参加して作ったカレーライスは僕の知ってるものと違いドロドロとしていた。

でもこれはこれで美味しい。

ミレイア「ノープランで肝試しして楽しいの?」

ベル「楽しいよ、きっと」

外はもう暗い。

人が少ないおかげで灯りは全然なく、一寸先すら見えないほどの暗闇だ。

昼はあれだけ綺麗だと感じた海も今はどこか不気味に感じる。

潮騒が低く唸る化け物のように感じて僕は首を竦めた。

ロウェナ「あれあれ〜、先生怖いの?」

男「怖いよ。幽霊とか苦手なんだ。ロウェナさん以外はね」

ロウェナさんは慣れた。今でもびっくりすることはあるけれどおおむね慣れた。

ロウェナさんは嬉しそうに空中で宙返りするとにやりと笑った。

ロウェナ「じゃあおねーさんと一緒に肝試しをするかい?」

サレム「ままま、待ってください。私も一緒に」

僕以上に怯えている人がいた。そうかサレム君も怖いの苦手同盟だったな。

その様子を見て少し落ち着くけれど、それでも怖いものは怖い。

いやだなぁ、いやだなぁと思っていると

ヒヅキ「…怖いなら、守ってやろうか」

ヒヅキさんが刀に手をかけていた。どうやら守ってくれるつもりらしい。

が、幽霊ははたして斬れるのだろうか。

先生「皆で回れば」

ベル「だめ! 二人ペアが肝試しの基本!!」

男「11人いるのに?」

ベル「メイドちゃんは頼もしそうなところに入るから大丈夫」

僕もそこに入れてほしい。

ベル「はいはい、くじ引きはじまるよー!」

ベルスタシアさんが用意良く瓶に入った人数分の棒をもってきた。どうやら先端に番号が書いてあるらしい。

ベル「ささ、年長の方からどうぞ」

そういって押し付けてくる。渋々僕から引く。

4番。なんというか不穏な数字だ。

メイドちゃん以外引き終わり、一体相方は誰なのだろうかと尋ねたところ

>>769
767 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/15(火) 22:16:27.68 ID:8atcIGKl0
今日はここまで

つり橋効果はどちらかというと先生のほうが対象みたいです。
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:18:23.43 ID:odlxIPxKo
ヒヅキ
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:18:28.90 ID:e6cLjisfO
ロウェナ
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:18:31.42 ID:mkKnnNUt0
ヒヅキ
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:19:53.12 ID:WUISBKxTO

安価下
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:22:19.53 ID:odlxIPxKo
乙乙
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:23:35.23 ID:eI6aRHVDO
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 22:34:15.50 ID:4nmFIcF7O

ルーティ回りもなかなかうまくいかんものやね
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/15(火) 23:29:04.79 ID:bOlnFZqMO
乙ー
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/15(火) 23:32:26.13 ID:MM4pV4zcO
安価取るのが1人じゃないから主人公の行動が一貫してないし、>>1もルーティを贔屓する気はないんだろうからまぁ仕方ないよね
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 09:20:48.63 ID:xYrpBE/Bo
ルーティーのコンマの厳しさは回数重ねるにつれ下がっていってたけど、今回はマナの深遠に足踏み込む形になったしな
>>1は読めば分かるヒントは出しても、直接救済するかはコンマ次第ってのは過去作含めて筋通してると思う
778 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 19:56:51.96 ID:PgjaTk+U0
肝を試す側じゃないか。

ロウェナ「先生。手をつなぐ?」

そういって差し出してきた手を握る。

ロウェナさんには触れない。肉体がないから当たり前だ。

こうやって手を握ることができるのはロウェナさんが僕に触ろうとしているから。あくまで一方的な関係。

正確にいうと触ってすらない。念動力の応用でしかない。

なのにロウェナさんは嬉し気に

ロウェナ「あったかいね。先生の手」

と言ったんだ。

ロウェナさんの手の感触は少しふわふわとした空気の感触。

夜に冷やされた空気の温度。

ロウェナ「うへへ。僕と一緒だなんておねーさん興奮するな」

男「僕は肝が冷えますよ」

幽霊に手を引かれて進む暗闇。

ロウェナ『死んでほしいって思ってる』

男「!」

ロウェナ「先生、どうしたの?」

過去の言葉が頭をよぎる。

二人きり。

考えたくはないけど、暗闇が最悪の事態を想定させる。

海に落ちてしまえばたぶん僕は助からないだろう。

それ以外でもロウェナさんは僕の事を殺すことなんて簡単だろう。

殺さないとは言っていたけれどその保証は―――駄目だ。

なに考えてるんだ僕。先生だろ、生徒の事は信じなきゃ。

ロウェナ「ほら、先生。いこうよ」

ロウェナ「こわくないから、きっと楽しいよ?」

ロウェナさんが僕の手を引っ張る。

見た目よりもずっと強い力で。

男「ど、どこにいくんですか?」

ロウェナ「どこって………んふふ♪」

誤魔化される。

いったい僕は

どうすれば

1.ロウェナさんを信じる

2.ロウェナさんを信じない

>>779
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 19:59:40.87 ID:N5P6iXM30
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 20:02:13.22 ID:ZGjzM8rDO
1
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 20:04:58.13 ID:ySfihPkD0
ID:N5P6iXM30
こいつしょっちゅう変な改行して変な安価出すマジキチじゃねーか
782 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 21:23:45.29 ID:PgjaTk+U0
男「ごめん、ロウェナさん」

ロウェナ「え?」

ロウェナさんの手を振り払う。

どうしてもロウェナさんの事が信じられなかったから。

ロウェナ「なんで、先生」

ロウェナさんの悲しそうな顔。

若干後悔する。

でもそれ以上にロウェナさんの後ろの暗闇が恐ろしかった。

ロウェナ「置いてかないで、おいてかないでよ、先生」

ロウェナさんの手が伸ばされる。

僕はそれを

1.掴む

2.振り払う

>>783
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/01/16(水) 21:26:26.92 ID:4FKv37lBO
1!
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 21:26:30.50 ID:OeY29MZKO
1
785 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 21:31:21.30 ID:PgjaTk+U0
ロウェナさんの手を掴む。

落ち着け、落ち着け僕。

あの優しいロウェナさんがそんなことするわけないじゃないか。

きっとこないだのことだって冗談のはず。

男「ごめん、ロウェナさん。怖くて手汗がでちゃってさ。恥ずかしくて」

ロウェナ「なんだ、そんなことでよかったよ、てっきり私」

ロウェナ「またおいてかれるのかとおもった」

男「おいてく?」

あぁそうか。いつもはロウェナさんは学園にいる。

帰宅する生徒を見送りながら。

それはロウェナさんにとって置いて行かれるも同然―――

ロウェナ「ずっと一緒にいないと、やだよ」

男「っ!」

引っ張られる。踏み出した足は何も踏みつけることはなくて。

くるりと上下が逆転する。

ロウェナ「もう、置いていかないで」

月明かりに照らされたロウェナさんの顔は

歪んでいて見えなかった。

バシャンッ
786 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 21:54:51.27 ID:PgjaTk+U0
「―――い、――せい」

海の水は冷たくて、苦しくて、それよりも何も見えないのが怖くて―――ロウェナさんの顔すら見えなくて

「せんせいっ!」

男「!」

濡れてなかった。落ちてもなかった。明るい電気の光。

ミレイア「なに、今さら怖気づいたっての? 後つかえてるんだからさっさといきなさいよ」

ロウェナ「どうしたのさー。いきなりぼーっとしちゃって」

ロウェナ「せっかくおねーさんとデートなんだからぼーっとしちゃノーなんだからねっ」

男「ごめん、ぼーっとしてた」

どうやらさっきまでのは全て幻だったらしい。

怖がりだとは思っていたけど幻覚を見るまでとは思ってなかった。

ミレイア「ほら、さっさいった、いった」

ミレイアさんに背中を押される。

ロウェナ「ほらいこっ」

ロウェナさんの差し出した手を僕はすぐに握ることができなかった。

ロウェナ「? もしかして照れてるのかい、ぼく」

男「い、いえ。ありがとうございます」

ロウェナさんの手を握る。

ロウェナさんは僕の手を強く引き―――

なんてことはなく嬉しそうにふわふわと浮き上がっていた。

ロウェナの好感度【60】
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 21:57:14.14 ID:P/5gShxpo
好感度下がってもうた
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 21:57:50.22 ID:mm/ZSWzPO
ロウェナさんは突き放した方が良いのかな…
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 22:01:27.89 ID:2icbwpdc0
>>782で2が選ばれていたら修復不可能なほど下がっていた可能性も
790 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 22:09:00.59 ID:PgjaTk+U0
ロウェナ「らんらんらーん」

男「暗くて見えないね」

携帯用のライト程度じゃ少ししか照らせない。

ロウェナ「おねーさんは見えるぜい?」

男「見えるんですか?」

ロウェナ「まぁねー」

自慢げな顔しているロウェナさんが光に照らされている。

幽霊であればこの暗闇を見通すことができるらしい。

幽霊はなぜ暗いところで出るのかと不思議だったが単純に灯りをつける必要がないだけのようだ。

男「それじゃあエスコート頼めますか?」

ロウェナ「おねーさんにおっまかせー!」

僕の手を引く力が強くなる。

ロウェナさんは見えるんだろうけど見えない僕にとっては怖い。

ロウェナさんを信頼していればどうってことはないんだろうけどさっきの妄想のせいで怖い。

ロウェナ「ん? あれはー」

と思っていたらロウェナさんがぴたりと止まった。

僕は勢い余ってロウェナさんより一歩前に出てしまう。

ロウェナさんが見ている方。そこには

男「………光?」

ロウェナ「あれ、あの人だよ、えっと」

男「ロウェナさんの知ってる人?」

ロウェナ「うん。オカルト研究部の」

あの二人か。

一体こんな夜に二人で何をしているのだろうか。

オカルト研究部の活動かな?

ロウェナ「おーい」

ロウェナさんが二人に呼びかける。

ロウェナさんの声が聞こえたらしくその光は方向を変えてこっちへと進んできた。
791 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 22:18:07.26 ID:PgjaTk+U0
ロザリア「こんばんはぁ」

エン「こんな遅くにほっつき歩いてると危ないわよ」

男「それはそっちもでしょ。特に君たちは女の子二人なんだから」

そういうとエンプーサさんがじーっとこっちを睨んできた。眼力でお前よりは強いと訴えかけてくる。

そりゃあそうだけどさぁ。女の子が歩いているってだけで危険度は違うわけだし。

男「それでなにやってたの?」

エン「ちょっと廃墟を探索してたのよ」

ロザリア「何も出なかったね〜」

廃墟探索?

また不気味なことを。

ロウェナ「探索? わ〜、おもしろそう〜」

冗談じゃない。

ロウェナ「ねぇねぇ、私達も行こうよ!」

ロザリア「でも、なにもないわよぉ?」

ロウェナ「この胸のわくわくはあるから!」

ロザリア「素敵〜」

僕の胸にわくわくはないのだけど。この胸の高鳴りは恐怖のドキドキだ。

ロウェナ「いこうよ先生! お願い〜」

両手を合わせてお願いされても………

1.廃墟に行く

2.予定通り進む

>>793
792 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/16(水) 22:18:56.29 ID:PgjaTk+U0
今日はここまで

“ロウェナさん”の手は絶対に離さないであげてください。
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 22:19:39.18 ID:P/5gShxpo
1
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 22:21:16.01 ID:hVDHOJQwO
乙乙
離さんきゃいいのか
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 22:31:05.85 ID:Qq+plc2oo
おつー
“ロウェナさん”の方はね……
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/16(水) 22:39:36.08 ID:vfLBnksAO

モノホンの幽霊と一緒に廃墟探索ってよくよく考えてみるとシュールだな
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/16(水) 22:52:41.32 ID:DERuFXzJO
乙ー
798 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 19:03:06.10 ID:FbqSFH5/0
エンプーサさん達と別れ、教えてもらった通りの道を行く。

ただでさえ暗い道が木々に遮られもっと暗くなっていく。

不気味な潮騒は木々のざわめきへと置き換わり、より恐怖を煽る。

そんな中でロウェナさんは楽しそうに、嬉しそうに鼻歌を口ずさんでいた。

男「楽しそうですね。ロウェナさん」

ロウェナ「んー、楽しいよー。君といればおねーさんはいつだってハッピーハッピーなのさ」

普通なら赤面してしまうようなセリフをロウェナさんはさらりとはく。いくらからかうためとはいえそんなこと言えるような心根の強さは正直な話ちょっとうらやましかったりする。

ロウェナ「ちょっとー、なにかいってよー」

僕が何も返さなかったことに不満を覚えたらしいロウェナさんは長い黒髪を弄びながら唇を尖らせた。

男「すいません。ちょっと怖くて」

ロウェナ「なにぉう! ロウェナさんとのデートが怖いと申すか!」

さっきのこともありロウェナさん自身も若干だが怖い。

だがそれよりロウェナさん以外の幽霊がでるかもしれないということの方がなお恐ろしかった。

ロウェナ「むー、しかたないなー。ロウェナさんの手を握ることを許して進ぜよう。末代までの誉れとするがよい! なんちて、おねーさんが末代かもしれないのにねぇ。あははは」

とんだ幽霊ジョークだ。正直笑えない。

僕はロウェナさんの手を

1.握る

2.握らない

>>799
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 19:03:31.86 ID:jDoeAT8N0
800 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 19:12:11.05 ID:FbqSFH5/0
差し出されたロウェナさんの手を握る。

思えばロウェナさんにいつも無理やり連れまわされている。

幽霊と思えない様なアグレッシブさで毎日を楽しそうに、そして毎日を楽しくしてくれるロウェナさんは学校の悪霊ながらも皆に親しまれているのではないだろうか。

ミレイアさんも疎ましいと口で言いながらも無碍にしたりはあんまりしない。

ロウェナさんもこのゼミに、いや学園になくてはならない存在だなぁ。

きっとロウェナさんのこういうところを初代学園長は見抜いていたんだろう。

ロウェナ「また黙っちゃって。もしかしておねーさんのこと考えてるなぁ?」

男「えぇ、まぁ」

ロウェナ「! うへ、うへへへへ」

ロウェナさんのことは考えてたけども。

照れたように右手で顔を覆うロウェナさん。

どうやら責められるのは苦手のようだ。
801 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 19:32:35.99 ID:FbqSFH5/0
ロウェナ「お! あれだ!」

ロウェナさんが暗闇を指す。そちらのほうに灯りを向けると古びた木造の一軒家があった。

古びたというより朽ちかけていると言ったほうがいいかもしれない。十年ちょっと人が住まなかっただけでここまで朽ち果てはしないだろう。

正直な話入りたくはない。

だけど

ロウェナ「おねーさんがいっちばーん!」

ロウェナさんがぐんっと飛び込んでいったからついて行かざるを得ない。

置いてかれないように小走りで僕も中へと入る。

扉を横に滑らせると、少しつっかえながらも扉は問題なく開いた。

鍵なんかはないようだ。

ロウェナ「わー、時代を感じるねぇ」

内装も外と同じく古びていた。煤けた棚の上には欠けた写真立てが倒れている。

同じく煤けたタンスから一つ引出が抜かれ床へと落ちていた。

男「怖いですよ、やっぱり」

ロウェナ「うーん、おねーさんもちょっぴり怖いよう」

ロウェナ「でも進む。それがおねーさんイズムである」

なんて訳の分からないことをいいながらロウェナさんによる探索が進んでいく。

ロウェナ「ん! おぉ!」

男「なにかありま―――」

ロウェナさんが消えた。
802 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 19:49:41.85 ID:FbqSFH5/0
男「ロウェナさん!? ロウェナさん!?」

ロウェナさんがいきなり消えた。

灯りがあるとはいえ一人ぼっち。でもいくら恐ろしくてもロウェナさんを置いて逃げるなんてありえない。

恐怖心と戦いながら辺りを見回していると。

「おーい。地下があったよー!」

と下から声がした。どうやら地下にある部屋へ行ったらしい。

いくら幽霊だからといってそんな無差別に動かないでほしい。

「先生もおいでよー」

冗談じゃない。と言いたかったがロウェナさんは僕についてくるような人じゃない。なので僕も地下へ続く道を探すことにする。

埃だらけの床を十分注意して探すこと数分。

床の継ぎ目と、手をかけることができそうなくぼみを見つけた。

くぼみに手をかけ上へと力を込める。

ぎぎ、ぎぎぎぎ、ぎぎぃ

錆びた鉄が開けられまいと抵抗して、叫び声をあげる。

僕だって男だと、なんとか踏ん張って扉を開けると埃がもうもうと中から舞い溢れて、僕の器官を襲った。

男「けほっ、けほけほ」

口を手で覆って埃を吸い込まないようにする。

埃が収まってきてから灯りを下へ向けると階段が下まで続いていた。

男「ロウェナさん? ロウェナさーん」

ロウェナさんの名前を呼びながら下へと降りていく。

今にも階段を踏み抜くのではないかと冷や冷やしたが、どうやらつくりが丈夫だったらしく、問題なく下まで降りることができた。

地下室は木ではなく石で床が作られていた。おかげで寒い。

ここの地域は暖かいとはいえ、夜でしかもこんな場所なら僕たちの学園とそうは変わらない。

こんなところにずっといたら風邪をひいてしまう。

はやくロウェナさんを連れ出さなきゃ

男「ロウェナさーん」

暗闇に灯りを向ける

男「!」

ロウェナ「見つけてくれたね」

ロウェナさんがいた。

早くロウェナさんを連れて帰ろうと思い近づくと、僕たちの間に何かがあることに気付く。

木でできた牢。その中にロウェナさんはいた。

檻の中には人がかろうじて生活できるような家具が置いてある。ここは牢屋だったのだろうか。

ロウェナ「誰が、ここにいたんだろうね」

ロウェナさんがくるりと牢の中で両手を広げて一回転する。白い髪がくるりと広がって、そしてロウェナさんの体に巻きついた。

ロウェナ「もし、先生は私がこうなったら助けてくれる?」

ロウェナさんが牢の中から手を伸ばす。

扉は開いているんだ。いくらでもでることはできる。というか幽霊に牢なんて関係ないだろうに。

でもロウェナさんは僕をじっと見て、答えを待っていた。

僕はその手を

1.掴む

2.掴まない

>>805
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 19:50:59.39 ID:7FAkS62l0
1
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 19:51:23.61 ID:0pZBKV00o
白髪は悪い子
2
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 19:51:48.79 ID:yp5TNF80O
2
806 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 20:10:47.82 ID:FbqSFH5/0
掴まなかった。

なんでだろうか。なにか嫌な予感がしたんだ。

ロウェナさんは僕がその手を掴まないと言うことがわかると

ロウェナ「そう」

手を下して、俯いた。

ひょっとしてロウェナさんを傷つけてしまっただろうか、と不安になっていると

ロウェナ「あなたも私を見捨てるんだね」

ばっとロウェナさんが顔をあげる。

その両眼はがらんどうで首から下が赤黒く染まっていた。

ロウェナ「やっぱりあなたも」

ロウェナさんが一歩進む。

男「ひっ」

僕はひるんで一歩下がった。

怖くなってロウェナさんに灯りを強くむけると

男「!!」

つなぎ目が見えた。

ロウェナさんの首に一本の線が入っている。そこからぬるりぬるりと赤黒い血が溢れ、床にぼとりぼとりと落ちていた。

ロウェナさんは悪戯が好きだ。

でもこんなこと―――

男「う、うわぁああっ!!」

踵を返して階段へ向かう。

後ろからぼとりぼとりと音が近づいてくる

ロウェナ「先生、先生、置いてかないでよ」

ロウェナ「私と一緒に、いようよぉう」

振り返らずに階段を駆け上る。

ロウェナ「待ってよう。ねぇ、待って」

懇願する声が聞こえるが知ったことではない。

階段を上りきると僕は扉を叩きつけるようにしてしめた。

男「はぁ、はぁ」

荒い呼吸を首を絞めて抑える。

なんだ、いったいあれはなんだ

「先生?」

807 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 20:11:26.78 ID:FbqSFH5/0
男「!」

ロウェナさんの声が真正面からした。

眼球を向けるとロウェナさんがいた。

男「―――っ」

ロウェナ「わっ、凄い顔してるよ先生。どうしたのさ」

ロウェナさんがびっくりして両目を大きく見開いていた。

―――目がある。首のつなぎ目もない。

なんだったんださっきのは。

僕が見た………幻覚?

ロウェナ「ごめんね先生。無理やりこんなところ連れてきちゃって」

男「い、いえ」

ロウェナ「もう皆帰ってくるだろうし、私達も帰ろうか」

男「………はい」

幻覚ということにしておこう。

あまりにもリアルだったことからは目を逸らして。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:12:16.88 ID:WiWWpdp7o
………本体?
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:27:25.19 ID:v2MadmP2O
>>792が意味深なんだよなぁ
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:30:10.06 ID:0pZBKV00o
白い髪もロウェナさんということか?
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:32:20.73 ID:ItTGzV3fO
前スレで白ロウェナさんを受け入れようとしたらあんまり良くなかった気がするしこれで良かったのでは
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 20:37:04.75 ID:Qri1OF/J0
黒髪ロウェナさんの時は手を離さない
白髪ロウェナさんの時は手を離す
という感じか
813 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 21:30:45.64 ID:FbqSFH5/0
男「ただいまー」

ロウェナ「うへへぇ。デートしてました!」

男「いや、違うから」

戻ると他の皆はもう戻っていた。

寄り道をしていたのだからそりゃそうだろう。

ミレイア「いちゃついてんじゃないわよ」

男「イチャついてないから」

イチャついてないから

ベル「えへへぇ、先生が帰ってくる前に準備をしたんだよっ」

男「準備って―――」

なにをと聞こうとした。

パシュッ

男「わっ」

眩しい。

それに熱い。

ベル「みてほら! みて!」

見せつけられている。

ベルスタシアさんが吹きだす花火を僕に向けていた。

危ない。

ダメ、絶対。
814 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 21:37:25.25 ID:FbqSFH5/0
どうやらベルスタシアさんは花火を用意していたらしい。

サレム「あぁ、この光を見ていると肝試しで傷ついた心が癒されていきます」

ミレイア「飛び込まないでよ?」

サレム「飛び込みません!」

そうは言うが光に向かってふらふらと近寄っているから心配だ。

やはり虫種族は光が好きなのだろうか。

ベル「はい、しっかり握っててね」

メイド「は、はい」

メイドちゃんが両手で噴き出す花火を握っている。

その面持は強張っており、緊張しているようだ。

打ち上げ花火はともかく、手持ち花火はやったことないからなぁ。

パシュッ

メイド「ひゃっ」

火が噴きだすとメイドちゃんは驚いて尻もちをついた。

その火がメイドちゃんに向かないようにベルスタシアさんが花火を手で押さえている。熱くないのだろうか。

メイド「すっ、すみませんベルスタシア様!」

ベル「あはは、ほら見て、綺麗でしょ」

花火の光がキラキラとベルスタシアさんの体に映り輝く。

メイドちゃんはその光景を見て大きく口を開けていた。

ベル「メイドちゃんかわいーっ」

メイドちゃんの様子はもちろん可愛いが、花火を着飾ったベルスタシアさんは本当に綺麗だった。
815 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 22:47:54.47 ID:FbqSFH5/0
サレム「これが火傷しちゃうひと夏のアバンチュールというものなのでしょうか」

プライヤ「なにいってんだぁ?」

男「僕も良くわからない」

サレム君は両手で手持ち花火を持ちながら感慨深そうにその火を見ていた。

火傷しちゃうひと夏のアバンチュール、ねぇ。

僕の学生時代でも縁の遠い言葉だ。大人になった今それは猶更遠い。

ロウェナ「わーっはっはー! バーニングロウェナさんだー!」フワフワ

ミレイア「花火もったまま抱き着こうとすんなぁ、いやぁああああっ」ダダダダダッ

本当に火傷しそうな人はいるけど。

ヒヅキ「………」

着火用の蝋燭で瞑想してる人もいるかと思えば

リリ「………」

蛇花火をずっと見続けている人もいる。

このメンバーではひと夏のアバンチュールはほど遠いことだろう。

男「さて、余っちゃったな」

花火は嫌いじゃないが、進んで楽しもうと思える歳ではない。

貰った花火の半分以上がまだ残っていた。もったいないから誰かと楽しもうと思うけど

>>816
816 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/21(月) 22:48:48.94 ID:FbqSFH5/0
今日はここまで

ベルスタシアさんは火耐性を持ったパーフェクトボディです

安価下
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 22:49:08.09 ID:0pZBKV00o
リリ
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 22:51:32.58 ID:4Sg7nu+PO
乙乙
ベルスタシアは設定からして無敵だしね
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 22:55:55.20 ID:WKXP3EzV0

肝試しからルーティが一切喋ってないのが気になる
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/21(月) 23:00:04.63 ID:fPeVHGluO
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/22(火) 00:49:39.10 ID:RVOFEpjNO
おつ
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/22(火) 01:16:49.89 ID:H29e+LtWO
乙ー
823 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 20:17:17.42 ID:uv7Ne1m+0
リリ「………」

しゃがみこんでじっと蛇花火がうねうねと生えてくるのを見ているリリさん。僕はその横に一緒になってしゃがみこんだ。

リリ「どうされました。貴方様」

男「蛇花火、楽しい?」

リリ「楽しい……多分、そうなのでしょう」

あやふやな返答をしながら視線を一瞬たりともこちらへ向けないリリさん。

僕はなにが面白いのかはわからないけれど、リリさんが楽しんでくれているのならなによりだ。

男「よかったら、僕の奴もする?」

リリ「いいのですか?」

花火は嫌いではないが自分でやるような歳ではない。

だったら楽しんでくれる人にあげたほうがいい。

リリ「こんなに。よろしいのですか?」

男「花火だって楽しんでくれる人にやってもらう方が嬉しいはずさ」

リリ「………花火に意思はない、はずですが」

男「あぁうんまぁ」

リリさんが受け取った花火の中から蛇花火を見つけ出して火をつける。

蛇花火は煙をあげるとじんわりと赤く発光しながらうねりはじめた。

もこもことあふれ出るその姿は蛇にはあまり見えない。

ただの化学反応で苦しみ悶える意思なき有機物。他の花火が一瞬の輝きに全てをかける中でこれだけはうち悶えるように地面を這うだけ。

リリ「まるで、私のようです」

男「リリさんが? 全然似てないよ」

リリ「いえ、私のようです」

蛇花火はうねるのを辞めた。じっと冷たい地面に横たわっているだけ。

リリさんはその蛇花火を手のひらで潰すと周囲の砂ごと握りしめた。

男「熱くないの?」

リリ「私はこの程度では苦しまないように設計されていますから」
824 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 20:34:52.52 ID:uv7Ne1m+0
くしゃりと潰された燃えカスは煤となって風に乗りどこかへ飛んで行った。

それを見送るリリさんに表情はなく、何を思っているのかもわからない。

遠くからはベルスタシアさんがプライヤ君を追いかける声が聞こえる。あちらは楽しそうだ。

こちらの静寂はその対比でより寂しく感じて僕は線香花火に火をつけた。

男「リリさんもやろうよ」

リリ「貴方様がそう望むのであれば」

リリさんに線香花火を手渡す。

リリさんはそれに火をつけるとぱちぱち弾ける線香花火を瞬きをしながら見ていた。

紫水晶のような瞳が線香花火に光でかすかに輝いている。

どこか芸術品のような美しさが今のリリさんにはあった。

男「線香花火、最後まで落ちなかったら願いが叶うんだってさ」

どこかで聞いた話。たしか聞いたのは………

ぽとり

僕の線香花火は風にあおられすぐに地面へと落ちた。

望む願いもなかったがすぐに落ちるのはなんか悔しい。

でもそれが実に僕らしい。

リリ「………」

ぱち、ぱち

火花が徐々に少なくなる。

そしてリリさんの線香花火はついに落ちることなく消えた。

男「リリさんは何を願ったの?」

リリ「………私に願いができますように。テケはそう祈りました」

火の消えた線香花火。

リリさんの願いを持って行ってくれたのだろうか。

神様は困るだろうな。そんな前代未聞の願いなんて

リリの好感度【30】
825 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 20:50:18.57 ID:uv7Ne1m+0
ベル「後始末よーし!」

ミレイア「火の始末よし」

サレム「片付けできましたよ」

楽しい楽しい花火の時間も終わり。僕たちは片付けを終えて家の中へ戻った。

今日一日数年ぶりレベルで体を動かしたなぁ。

ミレイア「女の子は先にお風呂にするから男共はそこで相撲でもとってなさい」

どういうことだろうか。

家主であるミレイアさんの言葉は絶対。といっても相撲を取る気はない。ルールとか知らないし。ここに東洋生まれはいないからわからないだろうし。

なので男4人で椅子に座って外を眺める。

ジェラ「肝試し、どうでした?」

サレム「ルーティさんが散々私を脅かすのです………」

プライヤ「おいらは自作のライト持って行ったから怖くはなかったぞぉ。ただ話が弾まなくて独り言にしかならなかった方が肝が冷えたぞぉ」

男「ジェラルド君はヒヅキさんとメイドちゃんだっけ?」

ジェラ「ずっと刀に手をかけてるヒヅキさんが怖かったですけど、なにもありませんでした」

ジェラ「メイドちゃんは凄いですね。夜道でも怖がらずに歩いていくんですから」

まぁ、もともと灯りと縁のない暮らしをしていた人ではあるし。

それにヒヅキさんがいれば物理的に対処できる事案は安心だろう。

ジェラ「そういえば先生達は遅かったですけど、なにかあったんですか?」

男「あー、えっと………」

さっき経験したこと。それはきっと気のせいのはず。緊張感が産んだ幻覚だ。

男「何もなかったよ。道に迷っただけ」

プライヤ「一本道だったぞぉ?」

男「ロウェナさんがずんずん寄り道しちゃうから」

プライヤ「あぁ、なるほどなぁ」

826 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 21:03:28.46 ID:uv7Ne1m+0
サレム「そういえば男だけで集まることは珍しいですね」

そういえばそうだ。

誰かと誰かならともかく、男全員が集まることはそうそうない。

プライヤ「こんな時は、そう! 恋愛トークだぞぉ!」

なんでだ。

もっと建設的な話はないんだろうか。こういう機会だし。

…なにが建設的な話なのかは分からないけども。

プライヤ「サレムはどんな子がタイプなんだぁ?」

サレム「私は」

ガサガサッ

男「! 今、二階から音がしたような」

サレム「ひぃ! やめてくださいっ」

ジェラ「いえ、本当に物音がしたような」

プライヤ「きっとなんか動物がいたんだぞぉ、それでだれなんだぁ?」

サレム「そうですね、私は新聞部のモマさんで」ガッタンッ

男「………」

サレム「動物、ですよね?」ビクビク

動物じゃなかったら誰なんだろう。

怖い話はやめてほしい。

プライヤ「そういえばよく小さな女の子と一緒にいるけど」

ジェラ「さすがにあんな小さい子は駄目でしょう」

サレム「中学生に手をだしてる人がいますね」

プライヤ「………」

男「その話はやめよう」
827 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 21:29:20.68 ID:uv7Ne1m+0
プライヤ「そういえばそういう話題がまったくないジェラルド君はどうなんだぁ?」

ジェラ「え? ぼ、僕ですか?」

いきなり話が振られて驚いているジェラルド君。

そういう話が欠片もないジェラルド君だから、僕もちょっと気になる。

恋愛話を振られたジェラルド君は

ジェラ「え、えっと、えぇっと」

ジェラ「えへへぇ///」

可愛かった。

笑ってごまかしてるけど、ということはジェラルド君も好きな人がいるのか。

気になるけど無理に聞くことじゃない。

気になるけど

プライヤ「じゃあ、最後に、先生。お願いします」

男「やっぱくるよね」

三人の視線がいっきに僕に注がれる。

誤魔化しはもう許さないぞとその視線が物語っている。

困ったな。とくに好きな人はいないんだけど、そういっても信じてもらえそうにない。

だったら恋愛的じゃない好きと言う意味で

男「>>829
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:31:56.46 ID:C2YcdDuW0
誰だってみんな大事な生徒です
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:32:04.24 ID:G2A46+EqO
ロウェナさん
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:33:00.23 ID:7ZD+XiwjO
kskst
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:37:50.53 ID:b2///UV+0
ルーティ
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 21:48:19.58 ID:kPxuEbDp0
ロウェナルート突入か?
833 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 22:04:48.87 ID:uv7Ne1m+0
男「ロウェナさん、かな」

普段から色々とお世話したり、なったり。

おそらくゼミ内で一番親交が深いといったらロウェナさんだ。

サレム「なるほど、黒髪好きですか」

男「違うよ!」

綺麗だから嫌いじゃないけどさ。

僕のくすんだ赤毛よりはよっぽど綺麗だ。

ロウェナ「どんなところが好きなの?」

男「好き、というよりほっとけないところですかね」

男「だけどたまに頼りになるというか優しいところが」

プライヤ「ほほぅ、ギャップ萌えというやつだなぁ?」

ジェラ「先生とロウェナさん。お似合いですよ。あ、でも幽霊とお似合いってどうなんでしょうか」

ロウェナ「いいんじゃない?」

ジェラ「ですよね」

男「まったくもう、茶化さないでよね。でも皆でこういう話をできるのは旅行の醍醐味だよね」

「「「「「あははははは」」」」」

「「「「ん?」」」」」

ロウェナ「照れるなぁ、ぬへへぇ」

「「「「でたーっ!!」」」」」

いつの間にかロウェナさんが話の中に入っていた。一番聞かれてはいけない人に聞かれたようだ。

ロウェナさんはくねくねと体をくねらせながらにへらにへらと笑っている。

ロウェナ「先生。私も先生のこと、好きだよ。きゃーっ!」

なんて青春感漂わせたロウェナさん(X歳)はひゅーどろろと天井をすり抜けながら消えて行った。

サレム「えぇっと、よかったですね。先生」

男「色んな誤解が生まれたような気がするよ。少なくとも生徒に手を出す教師にはならないと誓ったのになぁ」

ロウェナの好感度【65】
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:09:52.70 ID:BbCw5p8h0
ルーティと好感度並んだか
コンマが悪かったのもあるけどルーティのイベントが中々進行しないのが辛い
835 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 22:20:14.62 ID:uv7Ne1m+0
ミレイア「あがったわよ。あんたたちも早く入りなさい」

ベル「湯上り姿だよー、ひゅーひゅー」

男「まったく興奮しないから」

ミレイア「なんかムカつくわね」

僕は生徒に手を出さないと誓っているんだ。だから生徒にときめくことはない。

ミレイア「ふわぁ。眠いわね」

ルーティ「今から吸血鬼の時間じゃないの?」

ミレイア「早寝早起きがモットーなの」

健康的な吸血鬼だけど、そのせいで目の下には深いくまが出来ている。

学園がもっと種族に応じて時間を合わせればいいんだけど、人員的な問題で大多数の種族の生活時間である昼にあわせられてあるからなぁ。

ミレイア「ふわぁ、ミレイアちゃんはもう寝るけど、寝顔みて欲情するの禁止だから」

男「しないって」

なぜか信用がない。

そういう行動は一切とってないのに。

サレム「さて、私達もお風呂に入りましょうか」

男「そうだね」

―――

――



特に語ることはない。

お風呂から出た僕たちは温まった体が冷める前に部屋に戻ることにした。

学生の旅行ならここで誰かの部屋に遊びにいくんだろうけど僕は教師だ。

大人しく過ごそう。と思っていたんだけどあっちからくるとは思ってなくて………

>>837 【男の所を訪れた人】

 
836 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/24(木) 22:21:23.33 ID:uv7Ne1m+0
今日はここまで

【安価】男「俺のプロダクションは亜人だらけ」【コンマ】

もよかったらよろしくおねがいします
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:21:26.81 ID:YzXrYJIDo
ミレイア
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:22:07.47 ID:BbCw5p8h0
ヒヅキ
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:22:11.12 ID:7+Bypi+DO
ルーティ
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:23:57.60 ID:7ZD+XiwjO
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:24:00.90 ID:PNrCaAv1O
乙乙
地味に判明する男は赤毛という情報
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:24:40.87 ID:G2A46+EqO
おつ
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:27:20.33 ID:INchNfU1O
正しくはロウェナさん(XXX歳)だな
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:28:03.36 ID:7+Bypi+DO
安価取れなかったか
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/24(木) 22:34:47.40 ID:vFvx7LhEO
乙ロウェナさんかわいいは100歳越えてるのだろうか
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/01/25(金) 02:45:06.31 ID:zNFb4vKEO
乙ー
847 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/28(月) 21:54:46.08 ID:DIHVqgyT0
僕に与えられたのは寝ることができる程度の場所だけ。だから僕はすることなく布団に寝転がっていた。

普段はベッドだから気にならないけど床の冷気が顔に当たるなぁ。

寝ようか、寝まいか。

その間を天井を見ながらうつろうつろとしていると

ミレイア「ねぇ」

始めはミレイアさんが誰に話しかけているかわからなかった。

普通に考えればこの部屋には二人だけ。僕に話しかけるしかないんだけれどまさかミレイアさんが話しかけてくるとは思ってなかったんだ。

ミレイア「ねぇってば」

男「え、なに?」

ミレイアさんの方を見るとベッドに座って本を読んでいるミレイアさんが眉間にしわを寄せながら僕を呼んでいた。

ミレイアさんが見ている本には遺伝生物学の文字。大学生向けの本ではあるけれどあまり主流の学問ではない。

そんな学問をやっているのが僕だけれど。

ミレイア「ちょっと、これ教えなさいよ」

そういってこちらに本の内容を向けてくる。

だけどちょっと遠くて良く見えない。

良く見ようと思ってミレイアさんが定めた境界を超えると

ミレイア「ちょっと! こっちに入ってこないでよ!」

なんて無茶を言う。

じーっと目を凝らすとどうやら異種間遺伝の分野らしい。それこそ僕の専攻だ。

ただ、非常に説明しづらい分野ではある。

男「なにが知りたいのさ」

ミレイア「そもそもだけど、なんで異種族なのに子供が作れるのよ」

男「あー、えっと染色体の数が一緒だから、ってのが理由で」

なんで一緒なのかはわからない。動物とは違うのに亜人とは染色体の数は同じ。だから子供が作れる。

ミレイア「じゃあなんでその子供はどちらかの種族になるのよ。遺伝子学的には両親の遺伝子を受け継ぐんでしょ?」

男「個々の種族の持つ形質はその遺伝子事で強度が決まってて、基本的には強度が強い形質が優先して発現するのが基本だね」

男「基本異種間で子供ができることはあまりないことだからデータが少なすぎてわかってないことはあるけれど、基本的な形質はどちらかしか発現しないことがほとんどだよ」

だからケンタロスとスキュラの間に子供が出来ても8本足のケンタロスができるわけじゃない。若干スキュラの形質を継ぐことはあっても、完全に混ざり合って新しい種族になるなんてそうそうない。

ミレイア「ほとんど?」

そう。ほとんど。まだ明らかになってないことが多いからなぜなのかはわからないけれど、両親の遺伝子が組み替えられて両方の特徴を持つ子供が生まれることがある。まぁ、遺伝的強度が低いから一世代限りのものなんだけど。

男「身近でいうとベルスタシアさんがそうだよ。スライムは遺伝子の組み換えが起きやすいから他種族と比べて突然変異しやすいんだ」

スライム系列だけど、なんらかの遺伝子の影響で体が液体金属化してるベルスタシアさん。

ミレイア「ふーん、それじゃあ人間と他種族でも子供ってできるのねぇ」

そういってほっと息をつくミレイアさん。

ん? 人間と他種族?

ミレイアさんの身近にいる人間と言えば………

ミレイア「ちょっとなに見てるのよ」

男「ミレイアさん。さすがに弟君に手を出すのはどうかと思うよ。いや、養子だから血は繋がってないんだけども」

ミレイア「ちょっと! 勘違いしないでよこの、変態っ!!」

ボフッ

まくらが僕に向かって投げつけられた。

まくらだしもっとふんわり飛んでくるかと思えば流石吸血鬼。その威力に思いきりのけぞって倒れてしまった。
848 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/28(月) 22:21:27.19 ID:DIHVqgyT0
ミレイア「私じゃないわよ。少年ってば最近いろんな女の子に囲まれてるから」

確かに少年君は顔が広い。

人間は数もあまり多くない。だったら異種族と結婚できたほうがいいんだけれど。

ミレイア「将来的にどうするのか心配だっただけ」

男「なんだかお姉さんってより、お母さんみたいだね」

ミレイア「っらぁっ!」

次は布団が飛んできた。

ミレイア「そういえばあんたも人間なのよね。人間と結婚するの?」

男「ははは。僕はモテないからね。考えたことないよ」

ミレイア「そうは思えないけどね」ボソッ

嘘だ。考えたことはある。

だけど結局の話、いくら考えてもそういう未来に至ることが現実的ではなかった。

社交的でもないし、外見が良い訳でもない。社会的にも完全に自立できてるわけじゃないし。

もし運命的に誰かと出会えるのかもしれないけれど、それを期待してる歳じゃない。

ミレイア「例えばだけどゼミ生とかどうなのよ。あ、私はあり得ないけど」

男「いや、生徒はそういう相手として見れないよ」

ミレイア「立派なことね。だけど失礼でもあるわ」

男「? なんでさ」

ミレイア「もしあんたのこと好きな人がいて、生徒だからって理由で断ってみなさいよ。凄い傷つくわよ」

………すでに覚えがある。

だけどあれは過去の思い出からくる幻覚みたいなもので。

男「だけど、そういう教師にならないって決めたんだ」

ミレイア「あんたのその脅迫的な教師像ってなんなのよ」

男「…まぁ、色々あったんだよ」

つまらない過去だけど

ミレイア「ま、その子の事生徒じゃなくて、一人の女性として見て答えを出しなさいってことよ」

男「ご教授ありがとうございます」

ミレイア「遺伝子学って思ったよりわけわかんないわね。種族が多すぎるのが悪いのよ」

でも、だからこそ面白かったりするんだよ。

ミレイア「あーあ、旅行来てまでやることじゃないわ。もう寝るから枕と布団返してよ」

ミレイアさんは本をぽいっと放り投げると自分が投げた布団と枕を回収しろとわがままを言う。

慣れたものだから文句は言わずにミレイアさんのもとへ持っていく。

境界は越えたのだけれどミレイアさんは文句を言わずに大きなあくびをしていた。

これで文句をいわれたらたまらないけど。

ミレイア「ミレイアちゃんはもう寝るから。おやすみ〜」

布団と枕を受け取るとミレイアさんはくるまって寝る体制に入った。

僕ももう寝よう。

しかし人間と同じ時間に寝る吸血鬼ってなんか、凄いなぁ。

ミレイアの好感度【37】
849 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/28(月) 22:27:14.31 ID:DIHVqgyT0
電気は消された。だから僕ができることと言えば寝ることだけ。

どこかでサレム君の悲鳴が聞こえたような気がしたけれど、きっと怖い夢でもみたのだろう。

思えば誰かと旅行をするなんて初めてかもしれない。

いや、集団組織としての旅行はもちろんある。

ただそれはどちらかというと行事的なものであって個人の意思として行ったわけじゃない。

そして楽しかったわけじゃない。

だから思えばこれは僕としての初めての旅行なんだろう。

すでに小さな寝息をあげているミレイアさんに感謝する。

僕ももう寝よう。きっと明日も忙しいから

きっとこれが終わればまた、いつも通りの変わらない生活になるだろうから

―――

――



>>850【コンマ】
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 22:28:07.35 ID:jBz8kuPDO
はい
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 22:28:30.54 ID:qRL8AUPGO
サレム追悼のコンマ
852 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/28(月) 22:41:01.51 ID:DIHVqgyT0
水の中だった。

水面がどんどんどんどんと遠ざかって行く。

なんでだろうか。なぜ僕はこんなところにいるんだろうか。

もがこうとおもっても指一本動きはしない。ただ体の中に潜り込んでくる海水の不愉快さにじっと耐えるだけ。

海水が入った分、僕が出ていく。

口から泡となった僕がどんどんどんどん、出ていく。

そんな僕を押しのけて海水がどんどんどんどん、入ってくる。

水面は遠く、遠ざかっていく。

僕の後ろにはいったいなにがあるんだろうか。

どこまで僕は沈めばいいのだろうか

僕は―――







男「!」

夢だ。当り前だ。いくらなんでも骨董無形すぎる。

しかし悪い夢だった。楽しくもない、ただひたすらに不愉快なだけの夢。

気分が悪い。しばらくは寝付けそうにないなぁ。

目を開けても暗さにあまり変わりはない。

まだまだ夜が明けるまで時間があるらしい。

僕はミレイアさんを起こさないようにそっと廊下へと出た。
853 :亜人好き ◆HQmKQahCZs [saga]:2019/01/28(月) 22:58:47.11 ID:DIHVqgyT0
暖かい地域といっても夜はもう寒い。

申し訳ないがなにか暖かいものを貰おう。

男「?」

一階へ降りようと廊下を歩いているとサレム君の部屋から物音が聞こえた。

どうやらサレム君は寝相が良くないらしい。

布団を蹴飛ばして明日風邪をひいてないといいけど。

暗い階段を手すりを伝って慎重に降りる。

かなり頑丈に作られているらしい階段は僕が一人降りたくらいじゃ軋みもしない。

やっぱりお金持ちって良い家に住んでるもんなんだなぁ。

そうして一階へと降りると

ロウェナ「あれ。先生」

ロウェナさんがいた。窓辺に座って外を眺めていたらしい。

男「どうしたんですか?」

ロウェナ「おねーさんは幽霊だから寝れないんだよね。だからこうやって月を見てたの」

ロウェナさんが月に向かって手を伸ばす。その手は窓をすり抜けて向こう側に届いていた。

ロウェナ「みて、先生」

ロウェナさんがもう片方の手を月に向かって伸ばす。ロウェナさんが両手で月を包み込むように手を添えた。

ロウェナ「綺麗だよね。月はいつも」

明るい月の光がロウェナさんを照らしている。

その光はロウェナさんの体を通って抜けており、ロウェナさんの体も微かに輝いて見えた。

目を凝らすとロウェナさんを通して満月が見える。その透き通った体がロウェナさんが幽霊であるということを強く認識させた。

僕はその姿が

1.美しいと思った

2.怖いと思った

>>854
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/28(月) 22:59:51.38 ID:1JDkrv+70
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