棟方愛海「交錯公演 めざせポケモンマスター」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:29:25.78 ID:FDaZik6E0
あたし、棟方愛海が自宅のソファーで寝転ぶ中、つけっぱなしにしていた昼過ぎのテレビからは有名トレーナーのインタビューが流れていた。

『強いポケモン、弱いポケモン。そんなの人の勝手。本当に強いトレーナーなら好きなポケモンで勝てるように頑張るべきゅ(噛んだ……)』

「好きなポケモンかあ」

独り言を呟きながら、読んでいる雑誌のページをめくる。

開いたページでは、おっきいお山を持つ女の子が、ふうせんポケモンのプリンをクッションのように抱きながら上目遣いをしていた。

揉んだらきっととても柔らかいに違いない。

「せっかくなら、プリンみたいに柔らかいポケモンが欲しいよね」

まだ知らない感触を夢見ながら、あたしはページに付箋を貼った。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1534123765
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:31:02.53 ID:FDaZik6E0
ポケットモンスター、縮めてポケモン。

この世界にはポケモンと呼ばれる生物がいたるところに住んでいて、人はポケモンをペットにしたり勝負に使ったりと様々なかたちで共生している。

「といっても、あたしはまだ自分のポケモン持ってないんだけど」

自分のポケモンを持つ年齢に決まりはなく、たいてい住んでいる地域や家庭の慣習で決まる。

なので生まれた時から親に自分のポケモンを貰っている人もいれば、生涯持たない人ももちろんいる。

とはいえ、大半の人は自分のポケモンを持っていて、雑誌に載っていたアンケートによると、10歳ぐらいで初めてポケモンを貰う人が多いらしい。

一部メディアではポケモン所持の低年齢化を危惧する声もあったり……、っとそんな話は置いておいて。

あたしの住むアマミタウンはむしろそんな世論の逆をいき、初めてのポケモンは14歳からという家が一般的だ。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:31:43.34 ID:FDaZik6E0
我が家も例に漏れず、まだ13歳なあたしは自分のポケモンを持てずにいる。

「はやくプリンやチルットみたいな柔らかポケモンと触れ合いたいよー」

心の叫びを声に出すも、両親が出掛けて不在な家に応える声はなかった。

こういう時にポケモンがいれば話し相手になってくれるのに。

「今週は快晴な日が続くでしょう」

唯一聞こえてくる人の声がバラエティー番組から天気予報のものへと変わったので、テレビをきって出掛けることにした。

ゴムで髪をまとめ身支度を整えて、お気に入りのポーチを持ったら準備完了。

「行ってきます」

さあ、冒険の始まりだ。なんてね。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:32:40.98 ID:FDaZik6E0
『ここはアマミタウン。はるかな空と海を見つめる町』

町の入り口にある掲示板に書かれているように、あたしの住むアマミタウンは海がそばにある。

大きな建物がないので空は広く、ついでに町を出たすぐに山もある。

「これを自然豊かと捉えるか、何もない田舎と捉えるかは人によるよね」

ちなみにあたしは後者。

山に行けばふわふわしたポケモンがいっぱいいて魅力的だけど、可愛い女の子とポケモンがたくさん見られる都会の方が、あたしは好きだ。

大人はともかく、子供はみんなそういうものでしょ。

あ、でも釣りが好きなあの子は、いつでも釣りができて嬉しいと言ってたっけ。

「おっと、噂をすれば」

家を出て数分、海が見えると同時に、見慣れた後ろ姿が見えてきた。

堤防で釣りをする青髪の少女に声をかける。

「やっほう、七海ちゃん。釣れてる?」

「おはよう愛海ちゃん。ぼちぼちれすね」

この子は浅利七海ちゃん。

あたしと同い年で、お魚や釣りが大好きな幼馴染だ。

海辺を歩いていれば、ほぼ毎日釣りをしている姿を見ることができる。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:33:57.27 ID:FDaZik6E0
「お出かけれすか?」

「うん。ちょっと山にね」

今日は天気がいいから、山で野生のポケモンと触れ合ってくる予定だ。

そんなあたしに七海ちゃんは悪戯な笑みを浮かべる。

「また怒られるれすよー」

まだ自分のポケモンを持っていない子供は、山に入ることを大人達から禁止されている。

野生のポケモンに襲われたら大変だから、という配慮らしい。

「大丈夫だよ。だいたい町を出てすぐにある、オタチやハネッコぐらいしかいない山が危ないわけないし」

あたしはそんなルールを破る常習犯で、野生のポケモンのもふもふを堪能するために何度となく山に入り、バレるたびに親に怒られている。

めげないけどね!

七海ちゃんもそんなあたしをよく知っているので、本気で止めたりしない。

「それに初めてのポケモンをどの子にするか、しっかり揉み比べておかないと」

「愛海ちゃんの誕生日まで、あと一週間れすもんね。羨ましいれす」

「えへへ」

そう、一週間後の8月1日はあたしの14歳の誕生日だ。

自分のポケモンを持ってよくなることを意味する。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:35:11.25 ID:FDaZik6E0
誕生日にはお母さんがあたしと一緒に山に登って、あたしが初めてポケモンをゲットするのを手伝ってくれることになっている。

だから今のうちにどのポケモンがいいか、しっかり考えておかないと。

「七海の誕生日は10月だからまだ遠いのよねー」

「まあまあ、七海ちゃんもあたしのポケモンを撫でたりしていいから」

「ありがとうれす」

「代わりに七海ちゃんのお山を登らせてもらえると嬉しいんだけど」

「なら遠慮するれす」

「じ、冗談だって」

七海ちゃんは幼馴染なのにガードが固い。

幼馴染だかられすよ、とため息まじりに言った後、七海ちゃんは真面目な顔をしてあたしを見た。

「愛海ちゃんは、自分のポケモンを貰ったら旅に出るれすか?」

唐突な質問にあたしは疑問符を浮かべる。

「旅って、忍ちゃんみたいに?」

忍ちゃん。本名は工藤忍。

あたし達より年上の幼馴染で、夢はポケモンリーグのチャンピオンになること。

自分のポケモンを手に入れたら、夢を叶えるためにジム巡りの旅にでるんだとよく言っていた。

でも両親からは猛反対されて、なかなか自分のポケモンを貰えず、最終的にどこからかポケモンを手に入れて家出のようにして旅に出てしまった。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:36:51.79 ID:FDaZik6E0
七海ちゃんは、そんな忍ちゃんのようにあたしが旅立つと思っているのだろうか。

あたしは別にポケモンリーグなんて興味ないんだけど。

もしかして、忍ちゃんのようにあたしがいなくなって七海ちゃん一人取り残されるのを恐れているのかもしれない。

七海ちゃんは普段はクールだけど、たまにとても可愛いことをする幼馴染なのだ。

「大丈夫。あたしは旅に出たりしない。七海ちゃんを置いてどこかに行ったりしないよ」

そう言って、幼馴染の寂しさを紛らわすためにお山へと伸ばした手は、残念ながらペシリと払われてしまった。

今のは触れ合いのタイミングだと思ったのに。

不満の視線を向けた先、七海ちゃんはあたしから海へと視線を向けて、口を開いた。

「七海は旅に出たいれす」

それは予想外の言葉だった。

七海ちゃんはなんとなく、ポケモンを持ってもこれまでと変わらず堤防で釣りをしているような気でいた。

変わることなく、この町にいてくれると思っていた。

「七海は旅に出て、もっと色んな場所で釣りをしたいのれす。それこそ、世界中のありとあらゆる場所で」

それは初めて聞く七海ちゃんの願いだった。

「七海は世界一の釣り人になりたいのれす」

初めて夢を語る七海ちゃんの目は、忍ちゃんがポケモンリーグの話をする時と同じ輝きがあった。

輝きを持った瞳が再びこちらに向く。

「愛海ちゃんはポケモンを手に入れて、何をしたいれすか?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:38:28.95 ID:FDaZik6E0
七海ちゃんと別れたあたしは、アマミタウンを出てすぐにある山に入った。

特に名前はない。たぶん正式名称はあるんだろうけど、みんな山としか呼ばないので知らない。

山の中は木々が生い茂りうっそうとしているが、ところどころに木が生えておらず日当たりのいい草むらになっている場所がある。

天気のいい日は野生のポケモンがよく日向ぼっこをしているスポットで、そこにブルーシートを敷いてポケモン達と触れ合うのがあたしの小さい頃からの楽しみだ。

初めは警戒されていたけど、ポケモン用のお菓子を持ってきたり近付いてきた子をマッサージしたりした結果、今ではポケモン達の方から寄ってきてくれるぐらいになった。

シッポのブラッシングをお願いしてくるオタチは可愛いし、置いてあるお菓子をついばみにくるポッポは見ていて和む。

七海ちゃんにとって海辺があるべき場所なら、あたしはここだ。

あたしが家の次に多くの時間を過ごしてきた場所。

あたしの至福の時間が流れる居場所だ。

「あたしはこのままで十分満足なんだけどなあ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:39:21.90 ID:FDaZik6E0
寝ているオタチを両腕で抱き締めながら、あたしは七海ちゃんの言葉を思い返していた。

「何をしたい、ねえ」

忍ちゃんはポケモンリーグのチャンピオンになりたい。

七海ちゃんは一番の釣り人になりたい。

みんな何かの一番を目指そうと思っている。

でも、あたしにはなりたい一番なんてないし。

可愛くて柔らかいポケモンと、思う存分撫でたり揉んだりして触れ合いたい。

それだけじゃダメなのかな。

もやもやとした悩みを抱きながら、目を閉じた。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:40:36.47 ID:FDaZik6E0
「……やばい」

目が覚めたら夜だった。

難しいことを考えながら日向ぼっこをしたせいか、すっかり寝過ごしてしまった。

一緒に寝ていたはずのポケモンたちはみんなどこか行ってしまっている。

なんで起こしてくれなかったの、なんて、門限の概念がない野生のポケモンに言っても仕方ない。

「こってり叱られるやつだよこれ」

山に関して大人達が子供に言っているルールは2つ。

『自分のポケモンを持たずに山に入らないこと』そして『夜の山に入らないこと』だ。

昼でも山に入っちゃいけないあたしにとって二つ目はあってないようなものだけど、でも親からの説教は二倍になることだろう。

憂鬱な気持ちでブルーシートをポーチに畳んで入れてから、ライトを取り出して山を降りる道を進む。

しかし慣れない夜の山を少し歩いたところで。

「がう!」

突然、前方から獣のような鳴き声が聞こえた。

なんだろう、と思っていると。

「がう!」「がうがう!」

連鎖して別の雄叫びが続いて、あたしの目の前に黒い影が三つ現れた。

灰色の体毛、大きな口、もふもふしたシッポ。

テレビなどで見たことがある、この子はたしかかみつきポケモンの。

「ポチエナ!この山にもいたの!?」

数えきれないほど山にきたことはあれど、ポチエナは初めて見る。

夜だけこのあたりにまで出てくる子なのだろうか。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:41:41.20 ID:FDaZik6E0
これはぜひともモフらせてもらわなきゃ、と一歩近付いた次の瞬間。

逆にポチエナたちがあたしに向かって口を開けて飛びかかってきた。

「え!?な、何!?」

咄嗟にかわすも、ポチエナたちはあたしに飛びかかるのをやめようとしない。

「と、とにかく逃げなきゃ」

ポチエナに噛みつかれたらただではすまない。

しかも相手は3匹だ。

ポチエナたちに背を向けて走り出す。

山を降りる道とは方向が違うことなんて、今は二の次。

追いかけてくるポチエナたちから、なんとかして逃げなくては。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:43:16.65 ID:FDaZik6E0
草の上を走り、木々の間を抜けて、あたしは山の中を逃げ回る。

しかしポチエナたちはしつこく追いかけ回してきて、諦める様子はない。

「どうしてあたしがこんな目に!……あ」

嘆いたと同時に、答えに気付く。

あたしのポーチには、まだポケモン用のお菓子が残っている。

ポチエナたちはそれを狙っているに違いない。

「だったら、こうだ!」

あたしは急いでポーチから残っていたお菓子を取り出し、後ろから追うポチエナたちを越えた後方に向かって投げた。

結果、予想通りにポチエナは三匹とも向きを変えて、あたしの投げたお菓子の方へと走っていった。

「よかった。……はあ、もうヘトヘトだよ」

体力の限界が近かったから、その前にお菓子の存在に気付いて本当によかった。

もし追いつかれていたらどうなっていただろう。

たぶん、いや絶対に無傷ではすまなかった。

目に見える脅威が去ったことに安堵の息をもらし、同時に別の問題が発生していることを理解する。

「……けっこう奥まできちゃった」

山の中を必死に逃げ回ったせいで、今まで入ったことがないくらい深いところまできてしまった。

家に帰るのはかなり遅くなりそうだ。

怒るお母さんを想像すると今から気が重くなる。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:44:26.64 ID:FDaZik6E0
とはいえ、ここに留まっていても仕方がない。

「とにかく山を降りないと」

下山すれば、とりあえず町は見えてくる。

少し休んで動けるようになったら、行動しよう。

そう覚悟を決めたあたしの耳に、またアレが聞こえた。

「がう!」「がうがう!」

ポチエナたちの鳴き声が離れた場所からして、一緒にざざっと森を走る音も届いた。

さっきの3匹がお菓子を食べ終えて、こちらに向かってきているらしい。

「そんなあ!もうお菓子は持ってないのに!」

さっき投げたぶんでお菓子は全部なのに、もしかしてまだお菓子が貰えると思われたのだろうか。

もう同じ手は使えない。

しかもさっきまで走っていたせいで足はガクガクしていて、もう逃げられない。

「でもそんなこと言ってられない……!」

何か手はないか、あたりを見渡して、少し進んだ先に洞窟の入口にみえる穴を見つけた。

「あそこに隠れてやりすごそう」

あたしは足を引きずるようにして洞窟に入っていく。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:47:24.86 ID:FDaZik6E0
そこは不思議な洞窟だった。

入り口からまっすぐ掘り進んだような穴の先に、ぽっかりと広い空洞が広がっていた。

途中の道は真っ暗だったのに、道を進んだ先の空洞はむしろ逆で、ライトがいらないほどの明るさに満ちている。

高い天井に大きな穴が空いていて、木々に遮られずに月明かりが射し込んでいるのがこの明るさの理由だろうか。

洞窟の中央には大きな岩が鎮座していて、まるでこの洞窟がその大岩を祀るための祭壇なのでないかと思えるくらい神秘的な光景だった。

「綺麗……」

あたしは体の疲れも忘れて、目に映る美しさに見とれてしまう。

「がう!」

だが直後に洞窟の外から聞こえた鳴き声で現実に引き戻され、動きを止めて息をひそめる。

どうか、この洞窟に気づかずどこかへ行って。

心の中で強く念じるが、残念ながらあたしの思いは届かなかった。

「がう!」

洞窟の入口に黒い影が現れた。ポチエナだ。

慌ててあたしは本能的にポチエナたちとは逆方向、洞窟の奥に向かって残る体力で逃げようとして。

「痛っ!」

中央の大岩のそばにきたあたりで、足がもつれて転んでしまった。

体ごと振り向いて見えたものは、待っていたとばかりに大きく口を開けて飛びかかるポチエナたち。

あたしは、せめてあまり痛くないことを願いながら、きつく目を閉じた。
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:50:41.65 ID:FDaZik6E0
……。

…………あれ?

身構えていた痛みが、一向に訪れる気配がない。

いったいどうしたんだろうと、おそるおそる目を開くと。

「……へ?」

目の前に岩の壁があった。

正確に言えば、あたしの背後にあったはずの大岩が、何故か目の前にそびえ立っている。

一瞬、目を閉じている間にあたしがサイキッカーのようにテレポートをしたのかと思ったが、しかし実際に移動したのはあたしではなく大岩の方だった。

「ざ……ざざ……」

混乱するあたしの耳に、大岩から鳴き声が聞こえる。

「まさか、ポケモンなの……?」

あたしは目の前の大岩がポケモンだったのだと理解する。

その姿はよく見ると、大きな一つの岩にいくつもの岩でできた手足がくっついた形をしていた。

岩タイプのポケモンなのは確かだけど、でもテレビや雑誌で一度も見たことがない、知らないポケモンだ。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:51:41.99 ID:FDaZik6E0
「がう!」「きゃうん!」

岩ポケモンを挟んで向こう、ポチエナたちの鳴き声が伝わってくる。

まだ襲撃は続いているらしい。

なぜ助けてくれたのかわからないけど、今はこの岩ポケモンだけが頼みの綱だ。

なんとか勝ってほしい、そう願うあたしが見たものは驚くべき光景だった。

ポチエナが岩ポケモンに噛みつく。

ポチエナが岩ポケモンにたいあたりをする。

ポチエナが岩ポケモンに砂をかける。

しかし岩ポケモンは何もしない。

何もしていないのに、噛みついたポチエナは歯が立たず、たいあたりをしたポチエナは逆に痛がり、砂をかけたポチエナは岩ポケモンの動じなさに諦める。

圧倒的な実力差。どちらが上かは誰が見ても明らかだった。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/13(月) 10:52:36.04 ID:FDaZik6E0
「きゃん!」

結果、一吠えしてからポチエナたちは岩ポケモンに怯えながら逃げていった。

助かった、という実感に全身の力が抜けそうになる。

だが、まだ安心はできない。

目の前の岩ポケモンが、あたしを見逃してくれるかわからない。

ただ単に、この子はポチエナたちからあたしという獲物を奪っただけかもしれないのだ。

緊張の糸を切らしてはいけない。

あたしが見つめる中、岩ポケモンはゆっくりとこちらに振り返る。

その前面、おそらく顔があるべき場所には目や口はなく、代わりに点字のような模様がついていた。

そして岩ポケモンはあたしに向かって右腕を伸ばした。

……。
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