魔王「もう、やめんか勇者よ……」

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29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/10(土) 22:59:05.28 ID:/OayQcdY0
>>28
マジかよ。でも投稿しちゃったし、一応最後まで書くことにする。
忠告ありがとう
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 01:35:54.90 ID:DeIid54ho
おつ
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 05:03:36.78 ID:FC7BTfsRo
キャラ名あると叩かれるってマジ?
聞いたことないぞ遭遇しないだけか
続き期待おつおつ
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/11/11(日) 06:57:30.14 ID:mLJb4F3P0

キャラ名あると少々覚えにくいってのはあるけど(一部の基地外を除いて)叩かれる事は基本無いぞ

それにしても例えがゴブリンwwwwww
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 08:36:20.57 ID:mk9u+C2P0
大丈夫そうでよかった。少しだけ続き書いてく。
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:36:56.68 ID:mk9u+C2P0
勇者「赤髪でも大丈夫ってことだな?」

ルー「ええ、勇者殿なら問題ないでしょう。逆に人気になると思いますよ」

勇者「よかった、よかった」

ルー「むっ、時間ですね。では、最後に……」

勇者の身体が三回、淡く点滅する。

勇者「ん、なんだこれ魔法か?」

ルー「言語翻訳の魔法です。まだ勇者殿は日本語が話せませんからね」

勇者「アホで悪かったな」

ルー「自覚があるだけマシですよ」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:38:01.91 ID:mk9u+C2P0
6

勇者(おぉ、これが友英高校か)

モブ「何あの子、外国人かな?」

モブ「なあ、アイツ。今日来るっていう転校生じゃね? 話しかけて来いよ」

モブ「いやいや無理無理! お前が行けって」

モブ「外国人に話す勇気はねーな」

勇者(うぇ、やっぱ俺の容姿って目立つんだな……早いとこ職員室に行くか)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:39:12.03 ID:mk9u+C2P0
少女「どうかなさいました?」

勇者「あ、えと……今日、転校したんですけど」

少女「あらあら〜転校生さんですか」

勇者「あーはい。あの職員室ってどこにありますか?」

少女「私も先生に用事かありますので、一緒に行きましょうか」

勇者「助かります」

勇者(なんだこの人!! 姫様より姫様じゃねーか)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:40:12.80 ID:mk9u+C2P0
少女「ここが職員室です。先生を呼んで来ますので、しばらくお待ちください」

勇者「は、はい!」

少女「ふふ、今からそんなに緊張していたら、最後までもちませんよ」

少女が教師を呼んでくる。

担任「あー君が転校生ね。ロシア人とのハーフだっけ?」

勇者「はい。父が日本人で……あれ、父がロシア人だっけ」

少女「ふふ、ユーモア溢れる方ですね。お名前を伺ってもよろしいですか?」

勇者「真尾野ユーシャです」

少女「ユーシャ君ですね。私は友英高校生徒会長の具源(ぐげん)と言います。よろしくお願いしますね」

以下、少女=具源
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:40:59.72 ID:mk9u+C2P0
勇者「こちらこそ、よろしくお願いします」

チャイムがなる。

担任「あ、予鈴だ。ユーシャ君、早速だけど教室に行こうか」

勇者「は、はい」

具源「自己紹介、頑張ってくださいね。応援しています」

具源が勇者の背中を押す。

勇者(えと、真尾野ユーシャです。ロシア人の父と日本人の母の間に生まれました。日本にはまだ慣れてませんがよろしくお願いします。よし覚えてるな)

担任が教室から勇者を手招きする。
勇者が緊張した様子で教室に入る。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:41:40.68 ID:mk9u+C2P0
モブ「○○×▽×○△×」

モブ「▽○□○×△?」

勇者(やべぇ……緊張で周りが何を言ってるのか分かんねー。とりあえず、これに名前を書くんだよな)

勇者がミミズのような字で黒板に真尾野ユーシャと書く。

勇者「えと……えと、真尾野ユーシャです。……ロシア人の父と日本人の母の間に生まれました! 日本にはまだ慣れてませんがよろしくお願いします!!」

モブ「?」

モブ「??」

担任「○×○×△△」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:42:38.86 ID:mk9u+C2P0
勇者「え、何て言いました?」

担任「○×○△!」

勇者(あれれ……これってもしや――翻訳魔法切れてる?)

モブ「○○××?」

担任「△××○○」

騒がしくなる教室。
勇者は周りが何を言っているのか分からず、顔面蒼白。

勇者(これって、インキャってやつ……?)

女子「……ッ」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:43:28.36 ID:mk9u+C2P0
7

勇者「おいおいおいおい!! どういうことだよ!」

ルー「帰ってきたと思ったら、いきなりうるさいですね」

勇者「翻訳魔法が途中で切れたぞ!」

ルー「そんなわけないでしょう。あれは永続的に効果が持続します」

勇者「本当だって!」

ルー「おかしいですね。確かに魔法が解除されています」

勇者「だから言ってんだろ」

ルー「無意識に魔法を解いたんじゃないんですか?」

勇者「今の俺は聖力が枯渇してるから無理だな」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/11(日) 08:45:27.33 ID:mk9u+C2P0
ルー「む……とりあえず掛け直しますか」

ルートネスが勇者に言語翻訳の魔法をかける。

勇者「これで大丈夫なんだよな?」

ルー「ええ、おそらくは」

勇者「はぁ……」

ルー「その様子だと散々だったようですね」

勇者「最初はクラスメイトが周りに集まって話しかけて来たけど、何言ってんのか分からないからな。笑顔を返してたら誰も話しかけてこなくなった」

ルー「うわぁ……陰キャですね」

勇者「やっぱり!?」

ルー「はい、笑顔で返すのは陰キャです。そこは、言葉が分からずとも身体を動かしたりしてノリの良さをアピールしなくては」

勇者「その手があったか」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:46:06.54 ID:mk9u+C2P0
ルー「でも、初日ですし大丈夫でしょう。昨日は緊張しちゃってなどと嘘をついて誤魔化してください」

勇者「明日が本番ってことだな……」

ルー「そうですね。ただし、翻訳魔法を解除しないでくださいよ」

勇者「それは俺のせいじゃないッ」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:47:00.75 ID:mk9u+C2P0
8

翌日。
友英高校――昼休み。
勇者は教室で自分の席に座りながら頭を抱えている。

勇者(やべー、昨日が昨日だけにクラスの輪に溶け込めねーよ。あんなに仲良く話してる奴らの間に割って入るとか、もう魔族の四天王倒すレベルで困難だぞ……ええ?)

少女「ねぇ、アンタさ」

勇者(いや、でもインキャになるのは問題だし……あーどうしたら良いんだ!!)

少女「ねえってば!」

ドンッ!
少女が机を叩く。

勇者「え、な、何だよ?」

少女「何よ。あんた、日本語喋れるじゃない」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:48:54.31 ID:mk9u+C2P0
勇者「昨日は緊張しちゃって……」

少女「ふん、小心者ね」

勇者「悪かったな。で、誰だよお前」

少女「ク、クラスメイトの顔くらい覚えときなさいよ! ウレイよ雨零!」

以下、少女=雨零

勇者「ウレイだな。俺はトレニ……じゃなくてユーシャ」

雨零「知ってる。そんなことより、付き合いなさい」

勇者「え、良いのか!」

雨零「ひゃ!? 突然、立ち上がらないでよ」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:49:40.57 ID:mk9u+C2P0
勇者「悪い、悪い。で、何に付き合えば良いんだ?」

雨零「あたしに焼きそばパンを買って来なさい。焼きそばパンよ、良いわね?」

勇者「焼きそばパン……なんだそれ?」

雨零「はぁ? あんた、焼きそばパンも知らないの」

勇者「まだ、日本に慣れてなくてな」

雨零「焼きそばを挟んだパンのことよ。少し考えたら分かるでしょ」

勇者「焼きそばってなんだ?」

雨零「あぁ〰〰!! これ、これのこと!」

雨零がスマホで焼きそばパンの写真を勇者に見せる。

勇者「これが焼きそばパンか。で、どこに売ってるんだ?」

雨零「購買に決まってるでしょ……え、まさか」

勇者「購買って何だ?」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:50:38.74 ID:mk9u+C2P0
雨零「はぁ、ロシアには購買がないわけ? もう、一階に降りて、昇降口の隣にある売店が購買」

勇者「あーあれを購買って言うのか」

雨零「いい、そこで焼きそばパンを三つ買って来なさい」

勇者「なんで、俺が?」

雨零「そ、それが日本の常識なのよ」

勇者「そーなのか? よし分かった。買って――あぁ!」

雨零「な、何よ。いきなり叫んで」

勇者「ルートネスに金を無駄な物に使うなって言われてるんだった」

雨零「誰だか知らないけど、焼きそばパンは無駄じゃないわよ」

勇者「……本当にか?」

雨零「な、何よ。あたしが嘘を言ってると思うわけ!!」

勇者「俺はな、嘘を見抜くのが得意なんだ」

雨零「ふ、ふん。だから何よ」

勇者「だから分かる。お前は嘘をついてない。よし、早速買ってくる」

雨零「いったい何なのよ……み、三つだからね!」

勇者「おーけー」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:51:45.03 ID:mk9u+C2P0
購買に行く勇者。

ザワザワザワザワ

モブ「おばちゃん、メロンパン一つ!」

店員「あたしゃ、まだそんな歳じゃない!」

モブ「えぇ……」

勇者「すげー人溜まりだな。とりあえず、あのバーさんから焼きそばパンを三つ買えば良いのか」

モブ「お姉さん、唐揚げ弁当一つください」

店員「あんたみたいなブスにお姉さんなんて言われても嬉しくないわい!」

モブ「えぇ……」

勇者「そこのバーさん、焼きそばパン三つください」

店員「はぁ、あんたねぇ。一人一つまでだ――ッ」キュンキュン

勇者「ダメなんですか?」

店員「なーんて冗談です。うふふ」

店員が勇者に焼きそばパンを三つ渡す。

勇者「はい、これお金」

店員「こ、これ……オマケです」

店員が勇者にメロンパンと唐揚げ弁当を渡す。

勇者「おー、ありがとう!」

店員「ささ、あんた達は帰った帰った」

モブ「えぇ……」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 08:53:04.60 ID:mk9u+C2P0
つづく。少し休憩する
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 13:08:43.01 ID:9UgaiT9L0
あれ?これは勇者パシリにされてね?
このままいくとスクールカースト最下層にまっしぐらやね?
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/11/11(日) 14:56:37.61 ID:HF6n808lO
名前は登場人物が増えれば増えるほど誰だか分かんなくなって混乱することあるけど
なんでバカの一つ覚え見たいにキモオタって特有の変な名字にするんだろう
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:05:00.99 ID:mk9u+C2P0
勇者が教室に戻る。

勇者「はい、焼きそばパン三つ」

雨零「は……え?」

勇者「ん、これであってるだろ?」

雨零「そ、そうだけど。よく、あのオバサンから焼きそばパンを三つも買えたわね……」

勇者「オマケもくれたぞ」

雨零「えええッ!!」

勇者「またオレ何かやっちゃいました?」

雨零「そのノリ、なんかウザイから止めてくれない?」

勇者「言ってて俺もそう思った」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:06:04.75 ID:mk9u+C2P0
雨零「ま、まあ。良くやったわね」

勇者「よく分からないけど。それで焼きそばパンをどうするんだ?」

雨零「食べるに決まってるでしょ?」

勇者「まあ、そうだよな。はいよ」

雨零「ちょっと、何で二つだけなのよ」

勇者「一つは俺のだろ?」

雨零「あんたのはないわよ」

雨零が勇者の手から焼きそばパンを奪い取る。

勇者「なんで、俺のがないんだよ!!」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:07:09.81 ID:mk9u+C2P0
雨零「あ、あんたね……唐揚げ弁当とメロンパンもあるでしょ? そんなに食べたら太るわよ」

勇者「むー、それもそうか」

雨零「ま、まったく。こっちが気をつかって上げたら調子に乗るんだから」

勇者「ごめんごめん。それに、ルートネスの弁当もあるんだった。確かにそんなに食えねーな」

雨零「じゃ、ご苦労さま」

勇者「おう! って一緒に食べないのか?」

雨零「なんであたしがあんたと食べないといけないのよ!」

勇者「だ、だって……周りは机とか合わせて食べてるじゃん」

雨零「それはね、仲の良い者同士の特権なの」

勇者「俺たち、もう仲良くなったじゃん」

雨零「な、なってない! じゃーね、あんたは独りで食べなさい」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:09:09.43 ID:mk9u+C2P0
モブA「えー、ユーシャ君も一緒に食べても良いじゃん」

雨零「え、で、でも」

モブB「うんうん。二人のやり取り見てたらユーシャ君のこともっと知りたくなっちゃったしー」

勇者「一緒に食べても良いのか!!」

モブA「もちろん! 良いよねー、雨零? ね、ねね?」

雨零「もちろん、私はいいけど」

モブB「じゃー決まり。ささ、ユーシャ君。一緒に食べようじゃないか」

勇者「お言葉に甘えて」

勇者、雨零、モブABが机を合わせる。

モブA「勇者君さ、日本語上手なのに、昨日は何で変な言葉で話してたのー?」

勇者「いやー緊張しちゃって」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:11:08.28 ID:mk9u+C2P0
モブB「あれってさ、ロシア語だよね! 英語でもなかったしさ」

勇者「いや、あれは©©©語」

モブA「え、なんて?」

勇者「――じゃなくてロシア語だった」

モブA「もー、ユーシャ君って変なのー」

勇者「やっぱ、日本とは感性が違うのかもな」

モブB「しっかしま、この立派な赤髪は地毛なのかね?」

勇者「おん。勇者の一族はみんな赤髪なんだ」

モブA「へー、じゃあユーシャ君のお母さんもお爺ちゃんも赤髪なんだ」

勇者「まあ、俺が一番赤いけどな」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:12:17.83 ID:mk9u+C2P0
モブA「触ってもいい?」

勇者「別にいいけど、なんで?」

モブB「いやー地毛の赤髪なんて初めて見たからさ、記念にってね」

勇者「そういうことなら存分に触ってくれ」

モブA「じゃ、じゃー私もー」

さわさわ

勇者(こう言うのも悪くないな。もう、これでインキャにはならなくてすむだろ!)

モブA「ふー堪能した。あ、雨零! 焼きそばパンちょうだい」

モブB「そうだ、忘れてた。あたしゃお腹が空いたよー」

雨零「はい、これ」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:13:44.16 ID:mk9u+C2P0
モブA「ありがとー、ユーシャ君!」

モブB「がとねー、ユーシャ君」

勇者「それって、美味しいのか?」

モブB「そりゃまーね。いつもすぐに売り切れになるくらい」

勇者「へー、そんなに人気なのか」

モブA「人気すぎて、店員のオバサンが売るのを渋るくらいね」

モブB「なに、なにー。食べたいの?」

勇者「まあ、気になるって言うか」

モブA「関節キスしちゃう? ユーシャ君みたいなイケメンなら良いよ」

勇者「関節キスって何だ?」

モブA「へ、えと……それは」

モブB「なにテレてんのさ。関節キスってのはねー、他人が食べたとこを、食べることだよー」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:15:31.99 ID:mk9u+C2P0
勇者「なんだ、それを関節キスって言うのか」

モブA「あれ、慣れてるの?」

勇者「よく、仲間と一緒にしてたよ」

勇者(みんな死んだけど)

モブA「へ、へー大人なんだね」

勇者「まだ十七歳だから子供だ」

モブB「そりゃ、まーね」

モブA「で、どうする。私と関節キスしちゃう?」

勇者「いや、悪いしいいよ」

モブA「でも、ユーシャ君が買ってきたんだし。ユーシャ君には食べる権利があるよね?」

モブB「うんうん、そうそう」

モブA「どうする?」

雨零「あ、あたしのあげる」

勇者「ん、良いのか? じゃあ、いただく」

雨零「あ……ちょっと! どこ食べてんのよ」

モブA「ひゃー、関節キスじゃん!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:16:42.02 ID:mk9u+C2P0
モブB「はは、雨零、顔真っ赤じゃん」

雨零「も、もう!」

勇者「確かに美味いな。やっぱり日本食は美味しい」

雨零「少しはテレなさいよ!」

勇者「何をテレることがあるんだ?」

モブA「そうそう、お似合いよお二人さん」

モブB「もう付き合っちゃえば?」

雨零「い、嫌よ!」

勇者「?」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 15:17:32.68 ID:mk9u+C2P0
9

自宅。
勇者とルートネスがリビングでくつろいでいる。

ルー「なるほど、それで関節キスをしたら騒がれたと」

勇者「回し食いって、日本じゃそんなに珍しいことなのか?」

ルー「まあ、異性の間での回し食いは問題行為ですね」

勇者「え、なんで」

ルー「異性との間接キスは求婚を意味しているのです」

勇者「きゅ、求婚!?」

ルー「はい、この女子高生の間で流行っている雑誌によりますとそう言うことらしいです」

勇者「じゃ、じゃあ……俺は雨零に――」

ルー「結婚を申し込んだようですね」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 15:18:26.74 ID:mk9u+C2P0
つづく。休憩する
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2018/11/11(日) 21:04:58.14 ID:mLJb4F3P0


意図してるのかはわからんが関節キスじゃなくて間接キスジャマイカ?
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 21:53:43.80 ID:mk9u+C2P0
>>63
普通に誤字っちゃった。
少しだけ書く
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:54:24.69 ID:mk9u+C2P0
勇者「まずくね……?」

ルー「はい。そして、それ以上にまずいのは……」

勇者「まずいのは?」

ルー「日本では結婚後、男が女の尻に敷かれるのが常となっているようです」

勇者「それなら、姫様を守ってたのと同じ感じだろ?」

ルー「い、いえ……ここでは奴隷と同格ですね」

勇者「そ、そんな!! じゃあ俺は」

ルー「その雨零と言う方の性処理道具になってしまいます」

勇者「そんなことになったら……もう、元の世界に戻るなんて――」

ルー「絶望的ですね」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:55:27.03 ID:mk9u+C2P0
勇者「やばいやばいやばいやばい!!」

ルー「安心してください。まだ、求婚の段階です。相手方が了承しない限り問題ありません」

勇者「じゃあ、俺は雨零に嫌われれば良いのか!」

ルー「そうです。とことん嫌われてしまえば大丈夫でしょう」

勇者「ほっ……良かった良かった」

ルー「まったく、気をつけてくださいね。今日からこの雑誌を呼んで勉強してください。これには、日本人の問題行動が尽く記されておりますので、タメになるかと思います」

勇者「週刊文春か。分かった、サンキュー」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:56:20.97 ID:mk9u+C2P0
9

友英高校。
昼休み。

勇者(あれ……どうやって話しかければ良いんだ。魔族と戦うか、貴族に呼ばれるかばかりで一回も自分から話しかけたことがないから分かんねー!!)

雨零「メロンパン二つ買って来なさい」

勇者「――っお! ってお前か……」

雨零「露骨にウンザリしないでよ!」

勇者(嫌われないと……どうやったら良いんだ?)

雨零「ちょっと、聞いてんの?」

勇者(とりあえず怒鳴っとくか)

勇者「うるせー!」

雨零「っひ!? な、なによ!」

勇者「お、お前なんか嫌いだ。お、俺に話しかけるな!」

勇者(理不尽に怒鳴ってたら嫌われるだろ)

雨零「バ、バカ!! もういいわよ」

勇者から離れていく雨零。

勇者(ホッ……良かった。これで嫌われただろ)
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:57:18.72 ID:mk9u+C2P0
モブA「ユーシャ君! 今日もあたし達と食べない?」

勇者「い、良いのか!! あ、でも」

モブB「どしたの。お弁当忘れた?」

勇者「い、いや。雨零とはあんまり関わりたくなくて」

モブA「えーなんで? あ、間接キスのせいでしょ」

勇者「ま、まーな」

モブB「気にしなくて良いって。あんなの意識するだけ無駄無駄」

勇者「で、でもなー」

勇者(奴隷になるのだけは何としても避けたい)

モブA「んーじゃあ、あたしらだけで食べる?」

モブB「うんうん、それなら問題ないない。屋上行こー」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:58:12.17 ID:mk9u+C2P0
勇者「え、でも良いのか?」

モブA「何が?」

勇者「雨零を独りにして」

モブB「連絡しとくから問題ないって。ほら行こ!」

勇者「それならいいか」

教室を離れる一同。

モブA「屋上はね、ほんとは鍵がかかってて行けないんだ。でもでも〜」

モブB「ここに、鍵が落ちてるから行けるのです! ずっと前に警備員のお爺さんが落としたままなんだよね」

勇者「不用心だな……」

モブA「めったに屋上なんて使わないから。誰も鍵がないってことに気づかないみたい」

勇者「おお、涼しい」

モブA「ひゃー、今日は一段と風強いね」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:58:54.04 ID:mk9u+C2P0
モブB「ぱんつ見ちゃダメだよ!」

勇者「なんでだ?」

モブA「な、なんでって……ロシアでは下着見られても平気だったの?」

勇者「下着くらいは問題ないだろ? 別に裸を見られるわけじゃないし」

モブA「だ、だから……ロシア人ってあんなにエッチな格好してるんだ」

勇者(あ、なんか変な誤解されたかも。まーいいか)

モブB「ほらほら、二人とも早く食べよー。あたしゃもう腹がペコペコだ」

勇者「そうだな、食べよう」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 21:59:40.89 ID:mk9u+C2P0
モブA「……昨日も思ったんだけどさ」

勇者「ん?」

モブA「ユーシャ君のお弁当って冷凍食品しかないよね。お米は違うかもだけど」

モブB「それって自分で作ってるの?」

勇者「いや、ルートネスっていうやつが作ってる。なかなか、上手いんだ。これで店が開けると思う」

モブA「い、いや……それは作ってるとは言わないんじゃないかな?」

勇者「朝に温めたりして作ってるけど」

モブB「ま、まあ冷凍食品だからね」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:00:20.86 ID:mk9u+C2P0
勇者「よく分からないけど、美味しいからいいや。そういや二人も今日は弁当なんだな」

モブA「いつも、お弁当だよ。昨日は例外」

モブB「ね、まさか本当に焼きそばパンを買ってくるなんて思わなかったから」

勇者「そんなに買うの難しいもんなのか?」

モブB「店員のオバサンがきついからねー。ブサイクな男にはなかなか売らないし、可愛い子には余り物しか売らないんだもん」

モブA「あの店員、ほんとブスだよね。性格も、見た目もブスとか終わってる」

モブB「ほんとほんと。そんな店員がオマケまでくれたのはユーシャ君がイケメンだからだよ、きっと」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:01:17.88 ID:mk9u+C2P0
勇者「まあ、勇者一族は全員、美男美女だからな」

モブA「うわー、自分で言っちゃう! まあ、イケメンだけど」

モブB「ねー勇者は誰かと付き合いたいとか思わないの?」

勇者「ど、奴隷になるのは嫌だからな!」

モブA「ぷっ奴隷って。そんな大袈裟なー」

勇者「でも、日本じゃ男は結婚すると女の奴隷になるのが常識なんだろ?」

モブA「まー、そんなところもあるけど。だいたいは普通だよ」

勇者「え? 女の性処理をしないといけないんじゃ?」

モブB「ユーシャ君は日本を誤解しすぎ! そんなことないない」

勇者「なーんだ、誤解か。良かった」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:02:02.66 ID:mk9u+C2P0
モブA「ほんと、ユーシャ君って面白いね。最初に見たときは変な奴って思ったけど」

勇者「や、やっぱり?」

モブB「そりゃね。内股になって、モジモジとしながら、唇を突きだして、目を泳がせてる上に、何を言ってるのか分からないんだもん。正直、あれはキモかった」

モブA「あは、言いすぎ。まあ確かにキモかった」

勇者「……マジか」

モブA「ま、今は違うよ。普通に日本語も話せるし、ノリも良くて、顔もめちゃイケメン。世間知らずなところを除けば理想の男子って感じ」

勇者「じゃ、じゃあ……俺はインキャじゃない?」

モブB「インキャって。あんな、汚物にはまず話しかけないかけない」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:02:51.48 ID:mk9u+C2P0
モブA「今日見た? オタクのやつ、ラノベに流行りの文学小説のカバーつけて読んでたよ」

モブB「うわ……キモオタが何をしてんのかね。あの容姿で文学読んでてもモテるわけないじゃん。堂々としてる方がマシマシ」

モブA「まあ……」

モブA・B「どっちにしろキモイけど! あはははは」

勇者(ラノベとか純文学とか言っている意味がよく分からんねーけど、とりあえず笑っとくか)

勇者「あはは」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:03:34.31 ID:mk9u+C2P0
10

勇者「ふふんッ」

ルー「今日は一段とキモイですね」

勇者「何とでも言いたまえ。俺はインキャにならずにすんだのだ!」

ルー「ほう、それは良かったですね。雨零殿の方はどうですか?」

勇者「あー! そうそう、嘘ついただろ」

ルー「私がですか?」

勇者「そうだ。結婚したら男は女の奴隷になるとか」

ルー「その通りです」
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:04:24.09 ID:mk9u+C2P0
勇者「違うんだって。クラスの女子に聞いたんだけど、普通に温かい家庭らしいぞ」

ルー「いけませんね。こっちでの倫理観ではの話でしょうに」

勇者「いや、違う違う。そう思ったから、どんな感じなのか聞いたらさ。本当に普通の家庭だったんだ」

ルー「そんなはずはありません。この雑誌には男は女の尻に敷かれると明記されています」

勇者「はは、甘いなルートネス」

ルー「な、何がです」

勇者「それはなファッション誌って言うやつなんだ」

ルー「ええ、知っていますが」

勇者「その雑誌に書かれていることはな、だいたいデマだ!」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:05:19.34 ID:mk9u+C2P0
ルー「さすがにそれでは商売にならないでしょう」

勇者「これがなるんだ。この雑誌には女にとって有利なことしか書いてないからな、女性は嘘と分かっててもついつい買ってしまうらしい」

ルー(確かに……私も気づけば習慣になっていました)

勇者「ファッション誌に書いてある情報はデマなんだ! つまり、雨零に嫌われる必要はない!!」

ルー「まあ、解決したったことですね」

勇者「うん。そう言うこと。ていうか、そのファッション誌なんて読むの止めろよ」

ルー「面白いんで良いんです」

勇者「読んでみても良いか?」

ルー「ええ、どうぞ」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:06:16.90 ID:mk9u+C2P0
勇者「厚化粧な女が色んな服を着てるだけじゃん。こんなのが面白いのか?」

ルー「面白いのではなく、タメになると言った感じですかね」

勇者「お、記事もあるのか。なになに、他校の文化祭で彼氏をつくる方法?」

ルー「男の心理が詳細に書かれた名記事です」

勇者「文化祭とかよく分かんねーけど内容が支離滅裂じゃねーか!」

ルー「違うのですか?」

勇者「俺はこんなので他人を好きにならないな」

ルー「勇者殿は簡単に惚れそうですけどね」

勇者「俺はハニートラップにかからないように鍛錬を重ねているから大丈夫だ」

ルー「高校に気になる女性などはいないのですか?」

勇者「い、いないな」

ルー「その反応……いますね」

勇者「まあ、凄い美女がいただけだ。生徒会長の具源さんって言うんだけど恋愛感情は抱いてない」

ルー「そうだと良いですけどね。勇者殿が好意を抱いて良いのは魔王様だけですから」
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:07:36.76 ID:mk9u+C2P0
勇者「魔王か……」

ルー「魔王様を忘れない。それが貴方にできる償いです」

勇者「まーそうだよな」

ルー「辛気臭くなって来たところで、ご飯にしましょう」

勇者「最悪のタイミングじゃねーか」

ルー「勇者殿の好きなハンバーグです」

勇者「冷凍食品か?」

ルー「――!? どこで、その言葉を」

勇者「俺の弁当を見てな、冷凍食品ばっかりだねって言われた」

ルー(余計なことを……)
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:08:22.00 ID:mk9u+C2P0
勇者「なんか、冷凍食品だけだと栄養が偏るらしいな」

ルー「元の世界で粗末な食事しかとってなかったでしょう?」

勇者「うん。美味けりゃ良いんだよ。勇者の身体は一ヶ月は飲み食いなしでも大丈夫だ」

ルー「いいことを聞きました。では、明日からの食事はなしと言うことで」

勇者「そんな……」

ルー「嫌なら謝ってください」

勇者「え、何を?」

ルー「私は決して料理が出来ない訳じゃないんです。冷凍食品は楽だから利用しているのです。勘違いしないでください」

勇者「何言ってんだ、お前。いつも、こうして冷凍食品で飯を作ってるじゃねーか」

ルー「は?」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:08:52.26 ID:mk9u+C2P0
勇者「ん?」

ルー「コホンッ、取り乱してしまいました。忘れてください」

勇者「おう、それより早く食おう。美味そうなハンバーグだ!」

ルー(料理教室とやらに通ってみますかね)
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:09:38.54 ID:mk9u+C2P0
11


友英高校。
勇者の教室。

モブB「ちょちょいと借りるよ〜♪」

オタク「うぁ、モ、モブBさん」

モブBがオタクから本を奪い取る。

モブB「うわ、ホントじゃん」

モブA「ねね! 言ったでしょ。純文学のカバーでラノベ隠してたでしょ!」

モブB「陰キャでも恋がしたいだって〜」

モブA「うわ、見てよこのイラストの女の子。ボインボインじゃん」
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:10:24.30 ID:mk9u+C2P0
モブB「ねね、こんな子と付き合いたいの?」

オタク「ち、違うよ。ぼ、ぼくは、ぼくを愛してくれる、人なら、大切、に、したい」

モブB「いやいやカッコつけなくて良いから」

勇者が登校してくる。

勇者「おはよ。ん、何してんだ?」

モブB「これこれ、これがラノベって言うやつ」

勇者「これが、噂のラノベか。意外と小さいんだな」

モブB「見てよこのイラスト。女の子を性的消費の道具としか見てないよね」

モブA「だいいち、なんなのこの胸。気持ち悪すぎ。こんなの見てハァハァしてるとかヤバくない?」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:11:22.42 ID:mk9u+C2P0
オタク「違うよ。決して女性を性的消費の道具として見てるんじゃないんだよ! 中身を読んでから言ってよ。この女の子はねリジェンダって言ってね」

モブA「饒舌にならないでよーキモイから」

モブB「内容とかともかくさ、キモイキモイ。オタクは女の子を何だと思ってんのかねー」

勇者「このイラストがダメなのか?」

モブA「ダメじゃないけどさーキモくない? ほら見てよ、この無駄に誇張された胸とか」

勇者「このくらいならいっぱいいるじゃん」

モブB「女の子の性的部分で釣ろうとしてるのがキモイんだよね」

勇者「でも、この前さ。俺なら良いよとか言って、胸とか唇で誘ってたくね?」

モブA「あ、あれはノリじゃん。これは気持ち悪いって」

モブB「そうそう、なになに? ユーシャ君ってまさかのオタク系?」

勇者「オタクってなんだ?」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:12:22.62 ID:mk9u+C2P0
モブB「はぁ……」

モブA「なんか、疲れたー。ともかく、ユーシャ君はイケメンなんだからラノベとかに関わったらダメだよ!」

勇者「お、そうなのか。分かった」

モブB「二度と学校で読まないでねーオタクくん」

オタク「う、うん……」

勇者「なあなあ、なんでラノベを学校で読んだらダメなんだ?」

オタク「え、ぼ、ぼくに聞いてるの?」

勇者「おん」

オタク「そ、それは……き、気持ち悪いから、だ、と思う」

勇者「なんで、そんな気持ち悪いもの読んでるんだ?」

オタク「それは……」

勇者「??」

モブA「ユーシャ君、こっち来てー」

勇者「あ、悪い。あとで教えてくれ」

オタク「う、うん」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:13:20.38 ID:mk9u+C2P0
モブA「だめだよー、ユーシャ君はあいつと会話したらダメ!」

勇者「えー、何でだよ」

モブA「いい? 学校にはねランクがあるの。あいつは最底辺。そんなやつと仲良さそうに絡んでたら勘違いされるの」

勇者「平民と貴族みたいなもんか」

モブB「ま、まーそう言うこと」

勇者「でも、二人はあいつと仲良さそうに話してたじゃん」

モブB「どこが!? やめてよー、冗談にもならないって」

モブA「あれは、ペット感覚。言ったら奴隷みたいなもん」

勇者「ど、奴隷……」

勇者(二人はあいつに性処理させてんのか……)

勇者「な、なるほどー」

勇者(デリケートな話だし、深く追求はしないでおくか)
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:14:21.27 ID:mk9u+C2P0
雨零が登校して来る。

モブA「また、遅刻ギリギリで登校してくるんだから」

雨零「朝に弱くて」

モブB「ぷぷ、髪の毛ボサボサじゃん」

モブA「ちゃんと寝てるのー? 隈も酷いよ」

雨零「もうすぐ試験だから、遅くまで勉強してて」

モブA「げ……忘れてた」

勇者「試験ってなんのだ?」

モブA「中間試験だよ、その様子じゃユーシャ君も勉強してないね?」

勇者「中間試験?」

モブB「うっそ、知らないの!」

勇者「おん、なんのことだ?」

モブA「授業で習ったところの、総復習的な意味でテストを受けるの。成績が悪いと休みがなくなる……」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:14:53.28 ID:mk9u+C2P0
勇者「へぇー」

モブB「お、余裕じゃん」

モブA「そうだ! 良いこと考えたー。今度の中間試験で一番成績が悪かった人がオタクと二人カラオケね」

モブB「うげ……それはキツイ。猛勉強するしかないか」

勇者「よく分からねーけど了解」

モブA「じゃあ決まりね! もし負けても逃げるなよー」

モブB「盛り上がってキタね〜」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:15:58.82 ID:mk9u+C2P0
12

友英高校、女子トイレ。
小休憩時間。

モブB「ねね、雨零!」

雨零「な、なに?」

モブB「雨零さ、頭良いから手加減してよ」

モブA「そうじゃないと、面白くないしさ」

雨零「良いけど、どれくらい?」

モブA「うーん、まあユーシャ君より点が下になるくらいかなー」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:16:46.23 ID:mk9u+C2P0
雨零「え、それって」

モブB「んん? どうしたのさ」

雨零「あいつ、授業中はいつも寝てるし。ていうか、日本語自体がまだ読めてないというか」

モブA「だから?」

雨零「だ、だから。無理って言うか」

モブA「なんで?」

雨零「なんでって……そんなの」

モブB「簡単だって、ほとんど空白にして提出するだけじゃん、ね?」

雨零「で、でも」

モブB「分かった。もしかして雨零、オタクと二人きりになるのが嫌なんでしょ?」

モブA「気持ちは分かるけど、そこまで露骨だと可哀想だよー」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/11(日) 22:17:27.53 ID:mk9u+C2P0
雨零「そ、そんなことは」

モブA「じゃあ、なんでダメなの?」

モブB「楓っちみたいに、また裏切るの?」

雨零「――ッ」

モブA「楓も可哀想だよねー。雨零のせいで」

雨零「わ、分かった。あいつより点数低くとる」

モブA「ありがとー!」

モブB「絶対だよ! 絶対だからね。もう、裏切らないでね」

雨零「……うん」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 22:18:09.28 ID:mk9u+C2P0
今日はここまでー。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/11(日) 22:33:53.49 ID:QVYDTzvlO

面白い
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/11/12(月) 10:41:08.64 ID:/RILr+hQO
訳のわかんない名字のおかげで
少し時間がたつと読み方がわかんなくなってきた
内山とか鈴木とかでいのに
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 12:23:45.57 ID:Iuy342R6o
おつおつ
名前有りのSSもたまにあるから名前があること自体は気にしなくて大丈夫
わかりにくい名前だと叩かれやすいだけ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/12(月) 15:36:22.44 ID:EoEJLcZAO
>>95 >>96 せっかく読んでくれてるのに本当にごめん。次からは気をつける。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:41:54.04 ID:EoEJLcZAO
100に近いので分かりにくい名前のキャラ達。

雨零(うれい):モブAとモブBにいじめられてるやつ。名前の由来→憂いをしめじ変換。

具源(ぐげん):生徒会長。名前の由来→具現化から

ルートネス:魔族の幼女。勇者の世話係。名前の由来→特にない
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:42:25.78 ID:EoEJLcZAO
13

友英高校、廊下。
小休憩中。

勇者「え、なんすか」

生活指導「だから何だ。これは……」

勇者「髪ですけど」

生活指導「それは分かっている」

勇者(なんで俺……睨まれんの?)

生活指導「明日までに黒髪に染めて来い」

勇者「どう言うことですか……」

生活指導「生徒手帳も読んでないのか。友英高校は染髪を禁止しているはずだ」

勇者「これ地毛です」

生活指導「お前がハーフなのは知っている。だが、ここまでの赤髪は染めなければ無理だ」

勇者「いや、地毛なんですって!」
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:43:07.91 ID:EoEJLcZAO
生活指導「――地毛だろうと、ともかく! お前のような派手な髪をしている者がいると学園の風紀を乱すことになる。明日までに黒髪に染めて来い。分かったな?」

勇者(なんでコイツ、ここまでムキになってんだ。自分がハゲだから妬んでんのか?)

生活指導「なんだ、その顔は。不満があるなら言いなさい」

具源「では、言わせていただきますね」

勇者「あ、具源さん」

具源が勇者に小さく手を振る。

生徒指導「なんだ具源?」

具源「お言葉ですが先生。それは横暴です」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:43:51.62 ID:EoEJLcZAO
生活指導「多少横暴であろうと、俺は生徒を正しい道へと歩ませなければならんのだ」

具源「ユーシャ君の赤髪は確かに目立ちます。しかし、本当に風紀を乱すのですか?」

生徒指導「当たり前だ。アイツが許されて、などとと訴える生徒も出てくる」

具源「それは、染めていたらの場合の話ではありませんか?」

生活指導「いや、違うな」

具源「日本人は決まって黒髪と言うわけではありません。地毛が茶髪の方も多くいます」

生活指導「赤髪とは話が別だ」

具源「もし、ユーシャ君の容姿が日本人でしたら、そうなのかもしれません。しかし、ユーシャ君の顔立ちは日本人とは異なりますよね」

生活指導「言いたいことは分かる。しかしだ、彼の髪色が風紀を乱すことには変わりない」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:45:06.67 ID:EoEJLcZAO
具源「分かりました。では、先生はユーシャ君に髪を黒く染めさせてどうしたいのですか?」

生活指導「ここまで目立つ色だ。他校の荒れた生徒に目をつけられる可能性もある。そうなれば、この高校の評判が悪くなるだろう」

具源「ふふふ」

生徒指導「何がおかしいんだ」

具源「先生は髪を染めたことがないのですか?」

生活指導「俺は規則をしっかり守っていたからな」

具源「髪を染めても、時間が経てば生え際が元の色になるのです」

生活指導「髪が伸びるのには時間がかかる」

具源「あらあら、先生はもう髪の伸びるペースもお忘れなんですね」

生活指導「なんだと!」
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:46:19.98 ID:EoEJLcZAO
具源「ユーシャ君の地毛は赤髪ですよ。黒髪だと、生え際と言え目立つことは間違いありません」

生活指導「しかしだな……」

具源「そして、髪を何度も染めれば痛みます。髪は一生物です。それは先生が一番理解していることだと思いますよ」

モブ「クスクス」

生活指導「分かった。もういい、行け!」

具源「では、さようなら。いきましょうユーシャ君」

勇者「ありがとうございます。助かりました」

具源「いえいえ、生徒会長として当たり前のことをしたまでですよ」

勇者(やっぱ、この人は天使だ)

具源「アレはもう切りますか……」

勇者「え、何か言いました?」

具源「ふふ、何も言ってませんよ」
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/12(月) 15:47:09.88 ID:EoEJLcZAO
モブB「あれあれ、何の騒ぎ?」

モブA「ユーシャ君、何かあったの?」

勇者「変なオッサンに絡まれてな、具源さんに助けてもらったんだ」

モブA「え、具源会長? うわ、ホントだ!」

具源「ふふ、こんにちは」

モブA「あ、こ……こんにちは」

具源「あら? 体調がよろしくないようですが大丈夫ですか?」

雨零「はぇ、あ、だ、大丈夫です」

具源「それなら良いのですが。もし、何かありましたら気軽に生徒会室にいらしてくださいね」

雨零「は、はい。ありがとうございます」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:47:58.10 ID:EoEJLcZAO
具源「それでは、失礼します」

モブB「ひゃー、やっぱ美人」

モブA「奇跡的なレベルだよねー」

勇者「お前らどこに行ってたんだ?」

モブA「もー、お花を摘みにだよ」

勇者「生け花でもするのか?」

モブB「あはは、トイレトイレ。もー言わせないでよ」

勇者「ん? なんで、トイレがお花をつむと――」

キンコンカンコン

モブA「あ、予鈴だ。急いで戻らないと!」

勇者「なーなんでトイレが――あ、待ってくれよ」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/12(月) 15:49:12.01 ID:EoEJLcZAO
14

雨零宅、夜。

カリカリカリカリ

雨零(なんで、あたし勉強してるんだろ。どうせ意味ないのに)

ブーブーブーブー

雨零(電話? あ、楓ちゃんからだ)

雨零「も、もしもし」

楓『あ、おひさー雨零! 元気してた?』

雨零「う、うん。……元気」

楓『嘘でしょ? 何歳の時から雨零のこと知ってると思ってるのさ。声で分かるよ』

雨零「もうすぐ中間試験で、疲れてるだけだよ」

楓『あ、そっか。友英高校はテストが早いんだよね』
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:49:56.36 ID:EoEJLcZAO
雨零「ご、ごめん」

楓『なぁに謝ってんのさ。気にしてないって何度も言ってるでしょ』

雨零「で、でも」

楓『雨零……怒るよ。私が受験に失敗したのは自分のせい。雨零のせいじゃないの!』

雨零「ううん違うよ。あたしのせいだもん」

楓『雨零ッ!!』

雨零「――っ」

楓『何回も言わせないで。確かに私は雨零達と同じ高校に通えなかったよ。でもさ、同じ高校じゃなくても、こうして話せるし遊べるじゃん』

雨零「うん、ごめん楓ちゃん」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 15:50:45.25 ID:EoEJLcZAO
楓『なぁんで謝ってんのさ。あ、そうそう用事があったんだった。もう、雨零のせいで忘れるところだった』

雨零「ご、ごめん」

楓『今度の日曜日って……あ、試験勉強で忙しいかな? 久しぶりに一緒に買い物しようと思ったんだけど』

雨零(どうせ意味ないし……)

雨零「ううん大丈夫。遊ぼ」

楓『やった。じゃあ日曜日午前九時に私の家に集合ね!』

雨零「うん分かった」

楓『へへー久しぶりに雨零と遊べる。それじゃ日曜日に。ばいばい』

雨零「ばいばい」

ピッ

雨零「はぁ……」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:51:25.00 ID:EoEJLcZAO
15

勇者「なー、ルートネス。やばい」

ルー「そうですか」

勇者「何がですかとか聞いてくれよ」

ルー「残念ながら全く興味がないです。あと、テレビを見てるので邪魔しないでください」

勇者「それ、録画してるやつだろ?」

ルー「……」

勇者「無視すんなよー。なあルートネス!」

ゆさゆさ

ルー「あー! うざいです!! もう、何なんですか」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:52:04.84 ID:EoEJLcZAO
勇者「あのな、中間試験が来週に実施されるらしいんだ」

ルー「だからどうしました」

勇者「それがな。問題が分からねーんだ」

ルー「言語翻訳の魔法で、文字は翻訳されませんからね」

勇者「そうなんだよな。教科書ってのも何が書いてるのかさっぱりなんだ」

ルー「選択問題が数問あるでしょうし、大丈夫ですよ」

勇者「それで、俺はオタクとカラオケって言うやつに行かなくて済むんだな?」

ルー「よく分かりませんが、自分の名前と数字を覚えていれば、大丈夫なんじゃないですか」

勇者「本当だな? 俺は男とはヤリたくないんだ。本当だよな!」

ルー「知りませんよ。そんなに心配なら必勝法でも使えばどうです」
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:52:47.09 ID:EoEJLcZAO
勇者「な、なんだ。教えてくれ!」

ルー「その必勝法とはカンニングです」

勇者「カンニング?」

ルー「誰かの答案を写す方法です。見つかれば問答無用で罰されますけど」

勇者「どうやって写せば良い? 聖力が枯渇してるから千里眼は使えないぞ」

ルー「そんな大層なもの必要ありません。それとなく隣の生徒の答案を覗けば良いのです」

勇者「なるほどな。その手があったか」

ルー「念のためにもう一度言っておきますが。見つかれば問答無用で罰されますからね」

勇者「まあ、大丈夫だろ。よし、勉強は止めてカンニングの練習でもするか!」

ルー(本当、勇者の一族は阿呆しか生まれないのでしょうかね……)
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:53:28.41 ID:EoEJLcZAO
16

友英高校、下校時間。
勇者の教室。

モブA「ユーシャ君、今日も寝てばっかりで余裕そうじゃん?」

モブB「デデン。力学的エネルギーとは何か簡潔に答えよ」

勇者「何だ、力学的エネルギーって」

モブA「全然ダメじゃーん。大丈夫なのー?」

勇者「必勝法があるからな」

モブB「え、なになに?」

勇者「教えて欲しいか。よし、教えてやるよ」

モブA「うんうん!」

勇者「その必勝法とは――カンニングだ」
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:54:36.22 ID:EoEJLcZAO
雨零「……っ」

モブA「わ、わー。そりゃ最高の必勝法だねー」

モブB「ほんとほんと。ねー雨零」

雨零「え、あ、う……うん」

勇者「だろ。だから俺はカンニングの練習をするだけで良いんだ」

モブA「それなら、最高の教師がいるよー」

勇者「まじか! 教えてくれ」

モブB「目の前にいる子がそうだよ」

勇者「目の前……雨零のことか?」

モブB「そうそう。この子ね、カンニングのスペシャリストだから」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:55:21.11 ID:EoEJLcZAO
勇者「本当か!!」

雨零「うっ……ご、ごめん。あたし、ちょっと」

雨零が教室を逃げるように飛び出ていく。

勇者「なんだあいつ?」

モブA「ここだけの話しねー、あの子のせいで楓って子が受験に落ちてるの」

勇者「バレたのか?」

モブA「そゆことー。酷い話でしょー」

勇者「でも、おかしくないか? カンニングをした雨零は合格したんだろ」

モブB「違う違う。カンニングしたのは楓っち。雨零が楓っちに答案を見せたの」

モブA「アイツがテンパらなかったら、今ごろ楓もオナ高だったのにー。ほんとムカつく」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:55:52.74 ID:EoEJLcZAO
勇者「テンパった?」

モブB「緊張したのか分からないけどさ、後ろに試験監督がいるのに答案を見せようとしたのさ」

モブA「でね、それを止めようとした楓が監督に怪しまれて、カンニングをしてるってバレたの」

勇者「へ、へぇ……危険なんだなカンニングって」

モブA「まー、雨零が失敗しただけだしね。普通はカンニングなんて中々バレないよ」

勇者「まあ、気は抜けないな。もっと練習しとかないと」

モブ「カンニングなんてしなくても、ユーシャ君は罰ゲームを受けないとおもうけどねー」

モブB「うんうん、くすくす」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/12(月) 15:56:39.34 ID:EoEJLcZAO
ここらで一旦、休憩する
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:47:08.41 ID:Y/T4qpNB0
17

友英高校、下校時間。
生徒会室前。

雨零(……つい、来ちゃった)

具源「あら、生徒会に何か用ですか?」

雨零「――具源先輩! い、いえ、何でもないです」

具源「嘘はいけませんよ。悩みがあるのですね。今日は誰もいませんので入ってください。私で良ければ相談にのりましょう」

雨零「……ありがとうございます」

雨零と具源が生徒会室で向き合って座る

雨零「その……あの」

具源「落ち着いてからで大丈夫ですよ。雨零さんのタイミングで話してください」

雨零「は、はい」

五分後

雨零「あ、あたし……」

具源「はい」

雨零「学校が辛くて」

具源「何があったのか、お聞きしてもよろしいですか」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:47:41.41 ID:Y/T4qpNB0
雨零「はい。あたし……」

具源「はい」

二分後

雨零「イ……イジメられてます」

具源「――ッ具体的に何をされたのか教えてくれますか?」

雨零「そ、それは……」

具源「雨零さん」

雨零「は、はい……」

具源「嘘はいけません」

雨零「――え?」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:48:23.22 ID:Y/T4qpNB0
具源「友英高校にイジメはありませんよ」

雨零「で、でも。あたし、パシリにされたり……」

具源「雨零さんはお昼を購買で買っていますよね」

雨零「そう、ですけど……」

具源「ついでに買ってきてもらうことなんてよくあることだと思いますよ?」

雨零「で、でも。友英高校の購買は同じものを三つ買えません」

具源「そんな決まりはありません」

雨零「でも、あたしはモブAさんとモブBさんに」

具源「雨零さんも、ユーシャ君に焼きそばパンを三つ買いに行かせましたよね?」

雨零「――ッ」

具源「ユーシャ君はお弁当を持参していました。そんな彼に購買に買いに行かせることこそパシリだと思いますよ?」

雨零「……すみません」

具源「謝らないでください。私は怒っているわけではありません。ただ、雨零さんの誤解を解きたいだけなんです」

雨零「……あ、あたしのご……誤解でした」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:48:54.12 ID:Y/T4qpNB0
具源「分かっていただけて嬉しいです。それでは、さようなら」

雨零「さ、さようなら」

雨零(誤解。全部、あたしの誤解。あたしはイジメられてない。友英高校にイジメはない。あたしがあいつをパシリにした……)

雨零が生徒会室を出ていく。

具源「ごちそうさまでした」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:49:47.98 ID:Y/T4qpNB0
18

日曜日、早朝。
雨零宅。

雨零(楓ちゃんに弱いところは見せない。うん、大丈夫!)

プルルルル

雨零「も、もしもし楓ちゃん?」

楓『おっはー。えへへ、今日だからね。遅刻したらダメだよ!』

雨零「うん。九時だよね」

楓『そう。待ってるから!』

雨零「じゃ、九時に」

楓『ばいばーい』

ピッ

雨零(よし、大丈夫。今日は色んなことを忘れて存分に楽しんでやる!)
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:50:28.44 ID:Y/T4qpNB0
午前8時50分。楓宅玄関前。
ピンポーン

楓『あ、雨零! 待ってて』

ガチャ

楓「久しぶり〜!」

ギューッ

雨零「く、苦しいよ楓ちゃん」

楓「いいじゃんか久しぶりなんだし!」

雨零「恥ずかしいよ」

楓「う〜ん……」

雨零「どうしたの?」

楓「なんか、雨零変わったね」

雨零「え、そうかな……」

楓「うん。お淑やかになったっていうか」

雨零「そんなことないよ!」

楓「中学生の頃の雨零はもっとガサツだったよ」

雨零「そ、そう言う楓ちゃんだって変わった」

楓「ボンキュッボンになったでしょ〜♪」

雨零「ぷっ」

楓「あー、笑ったー! 雨零なんてまな板のくせに!!」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:51:02.73 ID:Y/T4qpNB0
雨零「そう言う楓ちゃんだって!!」

楓「雨零はブラも必要ないじゃん」

雨零「ひ、必要だし!」

楓「どれどれ〜?」

モミモミ

楓「ぴぴぴ、結果――AAAカップ」

雨零「な、何を〰〰〰!?」

楓「へへ、やっと調子を取り戻してきたね」

雨零「え、あ!!」

雨零(そう言えば、気分が楽になってる)
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:51:40.64 ID:Y/T4qpNB0
楓「でも、もっとガサツな方が雨零には似合ってるよ!!」

雨零「そ、そんなことないもん!」

モブA「……ちょっと」

雨零「――っえ?」

楓「あ、モブAとモブB!! これで皆、揃ったね」

モブB「楓っち〜聞いてないよ〜」

楓「何が?」

モブA「どうして雨零がいるのさ」

雨零「――あ、あたし行くね。ば、ばいばい楓ちゃん」

楓「待って、帰らないで! 前みたいに四人で遊ぼ」

雨零「で、でも……」

モブA「聞いてないよー。私はてっきり三人で遊ぶと思ってたのにー」

モブB「ほんとほんと」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:52:26.34 ID:Y/T4qpNB0
楓「な、なんでそんなこと言うの?」

モブB「そりゃ……」

モブA「ねー?」

楓「小中って、いつも一緒だったじゃん!」

モブA「だってさー。雨零のせいで楓は友英高校落ちたじゃん」

楓「違うよ。私の学力じゃ元々合格なんて絶望的だったもん」

モブB「でも、カンニング作戦は雨零の提案だよね」

楓「そ、そうだけど。だからって雨零のせいにするのは間違ってるよ」

モブA「楓さー、なんでそこまで雨零のこと庇うの?」

モブB「なんか、つまんない。私達は楓のことを思ってあげてるのに」

楓「そんなの全然……違うよ。二人なんて大嫌い!!」

モブA「こ、こっちのセリフ。もう帰ろ」

モブB「はぁ……そだね。ウチらの関係も、もう終わりにしよ」

モブAとモブBが帰っていく。

楓「ごめんね、雨零。余計なことしたよね」

雨零(言葉が出てこない。なんて言えばいいの!! 分かんない!!)

楓「雨零……ごめん。今日は帰って」

雨零「うん。ば、ばいばい」

楓「ごめんね」

雨零(あたしは……もう)
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:53:19.97 ID:Y/T4qpNB0
19

中間試験。テスト返却後。
放課後、教室。

モブA「ユーシャ君の平均何点だった?」

勇者「平均ってどうやって求めるんだ?」

モブB「ありゃりゃ、大丈夫かね。どれどれ……うぇ?」

モブA「うそぉぉ、平均84点!?」

勇者「それは凄いのか?」

モブA「凄すぎるよ。なんで!!」

勇者「カンニングを極めただけだ」

モブA「確か、ユーシャ君の隣は……ああ、委員長かー」

モブB「高得点になるわけだ。マジメに勉強した私しゃが馬鹿みたい」

勇者「二人は何点だ?」

モブA「私は71点で、モブBが75点」

勇者「俺の点数が良い方なら、二人も悪くねーじゃん」

モブA「まね、私ら頭良い方だし。でも、驚きだねー」

モブB「ほんとほんと」

勇者「何が?」

モブA「全国統一模試で毎度三桁の雨零がこんな点数をとるなんてね」

モブB「えと、何点だっけ?」

雨零「じゅ、十二点……」

モブB「わは、ヤバくない? どうしたのさ、前日に風邪でもひいたの?」

雨零「う、ううん。こ、今回は苦手分野で」

モブA「うぁー災難だったね。なんせ、今回は罰ゲームがあるし」

モブA「そうそう、オタクとカラオケってね!」

モブB「そんな露骨に嫌がることないじゃん。オタクが咽び泣いちゃうよ」

雨零「うん……」
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:53:51.13 ID:Y/T4qpNB0
モブA「ね、オタク!」

オタク「う、うわぁ! モ、モブAさ、さん」

モブA「あんた、土曜日ひま?」

オタク「え、ひ、暇だけど……な、なにか、よよ用かな?」

モブA「実はね〜、雨零がオタクとカラオケに行きたいんだって」

オタク「う、雨零さんが!?」

モブA「ねー、雨零」

雨零「……えへへ」

モブA「オタクさーこの前、自分を愛してくれる人は大切に〜とか言ってたじゃん? もちろん行くよね?」

オタク「も、ももももちろんだよ」

モブA「襲っちゃっても問題ないと思うよ。だって雨零、オタクのこと大好きだもん」コソコソ

オタク「ブフッ!!」

モブA「はは、じゃあー楽しんでねー」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/14(水) 17:54:23.40 ID:Y/T4qpNB0
20

翌日、土曜日。
午前10時、駅前。

オタク「お、おは、おはよう」

雨零「おはよう」

オタク「う、雨零さん。ど、どどこか行きたい、と、ところある?」

雨零「カラオケ行くんじゃないの?」

オタク「あ、早速、か、カラオケに、い、行くんだ」

雨零「だめ?」

オタク「い、いや。う、雨零さんが、カラオケに行きたいなら、い、行こう!」

雨零(あたしを見る目が気持ち悪い……)
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