神「異能力者七人のバトルロワイヤルが見たいな・・・」 2【安価】

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163 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/28(水) 23:40:40.45 ID:3qEjZ9fN0
住宅街



星児(『宝石の再配置』……!なるべく近くに飛んできて欲しいが……いざとなったら『加速』で無理矢理拾いに行く!)パカッ

星児「うわあっ!?」ドヒューンッ

星児(何か飛んできた!敵襲!?いや、この反応は……)

星児「宝石か!」

星児(ドンピシャじゃねぇか……あいつらから距離取っといて良かった。俺にもようやくツキが回って来たかな)ヒョイッ

星児(さぁ……本当の戦いはこっからだ……守り切るぞ、この一個を)
164 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/28(水) 23:41:18.19 ID:3qEjZ9fN0
路地裏



アッシュ「おおお……おっ?」

アッシュ「うわあっ!?」ドヒューンッ

アッシュ(と、飛んでったは飛んでったけど、すぐ近くに落ちたぞ?)

ラムダ「これは……宝石が戻ってきた?」

ラムダ(『どこかに飛んでいく』……それがランダムなら、同じ場所に戻ってくることもあり得るのか)

心「……けど、一個だけかー。もう一個はどこ行った?取り返しに行こうぜ」

アッシュ「……あっ」レーダーパカッ

アッシュ(『田中星児』の反応と被ってる……!?)

ラムダ「……その反応は、先程言っていた『田中星児』ですか?」

アッシュ「あ、ああ……そうだが?」

ラムダ(この人間も0ポイント……ならば、別に田中星児が宝石をこのまま獲得するのは問題ない)

ラムダ(……だが、まぁ一人が持っているより、僕を含めたチームで持っている方が安全でしょう)

心「よし!じゃあそこ行って取り返そうぜ!」

ラムダ「ええ……そうですね。そこの宝石を拾い直してから」
165 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/28(水) 23:41:48.51 ID:3qEjZ9fN0
路地裏・物陰



七音(どうする!?宝石が一つ奴らの手から離れた今なら、出し抜いて私が先に拾うことができる……!)

七音(チャンスは今しかない!こっちから奪いに行くのではなく、あっちから奪いに来るのを撃退するなら!私の能力でも分がある!)

七音(大丈夫、策はあるんだ。『光と音の爆弾』は他の二人の能力を阻害する。自動防御の『インク腕』で撃退は容易だ)

七音(『演奏を聞いている人間の自由を奪う能力』も無効化する術がある)

七音(そして少女の『吹き飛ばす銃』……あれも、私の思い通りにことが進めば無効化できる……)

七音(だが……本当に、それでいいのか?そんなに上手くことが運ぶだろうか?)

七音(いや……ここで弱気になってどうする!私はいつもそうだ。過剰に心配する臆病者。そのせいで何の軌道にも乗れない、低空飛行の人生を続けて来た)

七音(私の願いは『人生をやり直すこと』……でも、それだけじゃ意味がない。今の私のままでは、もう一度同じ人生を繰り返すだけだ!)

七音(このバトルロワイヤルで変わるんだ!勝負に出れる人間にならなければ!)

七音(…………いや、でも…………)モンモン



加賀七音が取った行動は『下1』だった!

1.いけるはず!宝石を拾いに飛び出す!
2.いや無理無理無理!同じ場所でじっとしてる!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 23:44:24.96 ID:rqQssz5P0
2
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 23:51:37.24 ID:nHNEOw/3O
メタ能力持ちが2人いる時点で詰んでるんだよなぁ…可哀想(小並感)
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/11/29(木) 22:39:29.01 ID:3dLFRkccO
169 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:46:44.54 ID:SqpAJNmf0
路地裏



ラムダ「……」ジーッ

心「よっと。よし、じゃあ行こうぜ」ヒョイッ

アッシュ「おう」

ラムダ(……他の参加者は現れなかった……僕の考えすぎか、それとも余程用心深い性格の人間なのか……)

ラムダ(感知系の能力者でも居れば便利だったんですけどね)

ラムダ「……そうですね。行きましょう」
170 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:47:24.98 ID:SqpAJNmf0
路地裏・物陰



七音(結局、チャンスを見逃してしまった……)

七音(いや、しかしこれでいい。今の私の作戦には不確定要素がありすぎた。これは臆病などではない。戦略的沈黙だ)

七音(昨日だってそうだった。待つ。待つんだ……今からあいつらはもう一つの宝石の移動先へ行く。そこで私以外の参加者との衝突があるはず)

七音(それに乗じて横から……それができなくても、あいつらが消耗するのを待つ!)

七音(差し当たってはバレないように尾行を続ける!)コソコソ
171 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:47:53.50 ID:SqpAJNmf0
ビル街・ビル屋上



蝶「『宝石が空を飛び、どこかに飛んでいく 』……ねぇ……」パカッ

蝶(一つはほぼ同じ場所に、もう一つは住宅街の方に……両方とも私の居ない所に飛んでっちゃったわね……)

蝶(まぁ、近くに来られても困るしね……まだ二時過ぎ、勝負をかけるには早い)

蝶(バラバラになって、他の参加者同士の接触が促進されたのはちょっと得かしら……それにしても、私にはあんまり関係ないイベントだったわね)

蝶「さぁ、引き続き勝負所までここで待機してましょう」

蝶(MPが残ってればもっと殺しに動いたんだけど……もどかしいわねぇ……)
172 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:49:22.75 ID:SqpAJNmf0
住宅街・付近



アッシュ「さぁ……『田中星児』の反応はこの先なんだが……」

アッシュ(さっきから位置がほとんど動いてない……あいつも俺達の接近が分かっているはずなのに、だ)

アッシュ(何か罠でも仕掛けてあるのか……?いや、そんなことができるタイプの能力じゃないはず……)

心「おいアッシュ。どうしたんだよ、早く行こうぜ」

アッシュ「いや、待て。あいつが動かずに待ってるということはあいつにも勝算があるってことで、それが分からないうちに行動するのは危険……」

心「あー?」ジロッ

ラムダ「……そういうことなら、私が先に行って様子を見てきましょうか」

アッシュ「……お、おう!そうしてくれたまえ!」

ラムダ「それでは、脇のマンションに入って、そこから様子を報告します。レーダーを通話状態にしておきますので、何か動きがあれば連絡を」

アッシュ(助かるぅ〜)

心「……」
173 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:49:59.13 ID:SqpAJNmf0
ラムダ「はっ」パリンッ

ラムダ(バレないように扉を開けて……見えた。あれが『田中星児』……)チラッ

ラムダ(特に周りに罠らしき物は見えないが……腹部を怪我している?)

ラムダ(腹部の怪我……そしてこの住宅街という場所。リカさんの反応が消失した地点と一致する)

ラムダ(もしかして、こいつがリカさんを……?)

ラムダ(……いや、感情抜きで物事を考えろと言ったのは私だ。忘れよう)

アッシュ『おい、様子はどうだ?』

ラムダ「腹部に怪我を負っています。それ以外に変わったことは確認できません」

アッシュ『そうか、じゃあ……』

ラムダ「では、どうぞ」
174 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:50:41.91 ID:SqpAJNmf0
アッシュ「え?」

ラムダ『……?最低限の安全は確認できました。お二人で攻撃をどうぞ』

アッシュ「いや……お前は手伝ってくれないの?」

ラムダ『……一度、僕の立場を再確認しましょうか』

ラムダ『確かに、あなた達の協力をするとは言いましたが、それはバトルロワイヤルを終わらせないという目的の下です』

ラムダ『田中星児も、現時点では0ポイント。あなた達と変わらず、一個までなら獲得されても僕は構わない。僕が積極的に攻撃する理由はありません』

ラムダ『更に言うなら、明日もバトルロワイヤルが続くのだから、僕はできるだけMPを温存したい』

ラムダ『ですので、僕はここで待機しています。もしあなた達がピンチになればその時は僕も加勢しますので、あなた達で解決できることはあなた達でどうぞ』

アッシュ「くっ、この〜!」

心「まぁ、仕方ないだろ。その代わりに俺らが宝石を独占するんだ。あんまり強いこと言えねぇよ」

心「ほら、行こうぜ」ザッ

アッシュ(……小学生に諭された……)
175 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:51:08.02 ID:SqpAJNmf0
心「『衝動のピストル』!……ほい、渡しとく。今度はなくすなよ」ズギャンッ

アッシュ「おう……今日は予め具現化してないんだな」

心「昨日はそのせいであの女に盗られちまったからな……。今日は使う時に具現化する」

アッシュ「ふーん?でもお前、今日最初からピストル持ってなかったか?」

心「ああ、これは昨日出したやつだ」

アッシュ「それは奪われなかったのか?」

心「うん。空から落ちる前に飲み込んだからな」

アッシュ「えっ」

心「『持ち物』としてカウントされて、今日の初めには腰に戻ってた」

アッシュ「死ぬ直前によくそんな気持ち悪い事思いつくな……」

心「へへ。どうせ生き返るし、死ぬのなんて怖くねぇしな……まぁいいや。銃も渡したし、早く行こうぜ」

アッシュ「ん?お前も付いてくるのか?」

心「また昨日みたいに一人になった所狙われたらやだもん」

アッシュ(……やっぱ怖かったんじゃないのか?)
176 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:51:56.71 ID:SqpAJNmf0
アッシュ「……」ザッ

心「……」ザッ

星児「……来たな」

アッシュ(……あいつの報告通りだ。腹の所に血が滲んでる)

アッシュ「……だ、大丈夫なのか?」

星児「ああ?」

アッシュ「あ、いや……」

アッシュ(あいつが心臓病だってこと知ってるからか……つい、心配するようなことを……)

星児「……ちっ。俺ぁ言ったよな?そういう目は飽き飽きだってよ」

心「ちょっと待った!」バッ

星児「ああ?」

アッシュ「え?」

心「今あんた……自分のこと『俺』って呼んだか?」

星児「……んだよ。オンナノコに『俺』は似合わねぇってか?」

心「一緒だ……」プルプル

星児「……?」

心「俺と一緒だ!」

星児「!?」

心「初めて見た!俺以外に自分のこと『俺』って呼ぶ女子!なぁ、このバトルロワイヤルが終わったらまたどっかで会おうぜ!友達になれるぜ俺達!」キラキラ

星児「……おい、これは何の作戦だ?」

アッシュ「俺が聞きたい」
177 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:52:35.10 ID:SqpAJNmf0
心「しかもあんた名前『星児』なんだろ!?いいなー!名前も男みたいでカッコイイじゃん!」

星児「……ああ?」

心「俺は『心』でさー……いかにも女の子って感じでダセーじゃん!だからさ、このバトルロワイヤルで優勝して、名前を『ケルベロス』に変えてもらうんだ!」

星児(ダサッ)

心「そんで性別も変えてもらって、本物の男子になる!もう『女の子らしくしなさい』って言われない人生にするんだ!」

星児「……っはぁー……残念だけど、俺はお前と友達になれる気がしないぜ。心ちゃん」

心「……下の名前で呼ぶな。あとちゃん付けするな」ムッ

星児「お前『女の子らしく』って言われるのが嫌いなんだな。まぁ、俺も嫌いだけどよ……だからって、男になるって言っちまったらよぉ、それはもう認めてるようなもんじゃねぇか」

星児「女の子は、男の子らしくしちゃいけないって」

心「……いや、俺は……」

星児「それから、お前もう一つ思い違いしてるよ。名前の意味っていうのはな、字面で決まるんじゃねぇ。誰かに呼ばれる時に決まるんだ」

星児「お前がやるべき努力は名前を変えようと躍起になることじゃねぇ。お前の名前を呼ぶ時、誰もがカッコイイなって尊敬の念を込める。お前自身がそんな人間に成長することだ」

星児「お前が『心』って名前の意味を変えてやるんだ!そっちの方がカッコイイだろ!違うか!」

星児(あと『ケルベロス』って名前は普通にダセぇ)

心「……!」

アッシュ「おい、何か言い返せよ」
178 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:53:12.14 ID:SqpAJNmf0
星児「……あと、お前もだアッシュ。昨日『けろ』とか言ってたよな。お前絶対純日本人だろ。アッシュってのは偽名か何かだな?」

アッシュ(灰島太郎)「ぎくっ」

心「……そうなのか?」

アッシュ「い、今は関係ないだろう!」

星児「……ついでだ。アッシュ、お前の願い事も聞いてやるよ」

アッシュ「……っはぁ!?お前、状況分かってるのか!?今、俺達は敵同士なんだぞ!?」

星児「先に無駄話始めたのはそっちのガキだろが……いいから言ってみろよ」

アッシュ「……俺の願い事は、有名になることだ。有名になって、俺達のバンドを世界一にする!」

星児「はぁーん。お前の願い事はもっとダセぇな。そんな裏技で集めた客で武道館か。それになんの意味があるんだよ」

アッシュ「……お前には分かんねぇだろうさ!夢を追い続ける苦しさも!報われない辛さも!」

星児「はっ、俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ!」
179 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:53:45.44 ID:SqpAJNmf0
星児「……ったく、どいつもこいつもふざけた願い事しやがって……ムカつくぜ」

星児「お前らみたいな奴には、絶対負けてやらねぇ」ザッ

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

アッシュ(……来た!ここは昨日と同じように……最初は音量MAXでかき鳴らす!)ギュイーンッ

アッシュ「『サウンドスケープ』!」ジャカジャンッ

星児(……耳を……っ!)グッ

アッシュ(耳を塞いだ所で効果などあるものか!この距離の音量MAXだぞ!いくら上手に塞いでも、必ず音は鼓膜まで伝わる!)ジャンジャカジャーンッ

星児「ぐっ……!」ドサッ

心「悲じい〜」ポロポロ

アッシュ(よし……ちゃんと作用した。後はこのままあいつに近付いて……)スタスタ

アッシュ(間近で音量を小さくして犬木心が動けるように……)

星児「……」

アッシュ(……いや、ちょっと待て。なんでこいつ、涙を流していないんだ?)

星児「……聞こえねぇなぁ。お前のダセぇギターなんてよぉ……!」タラァ

アッシュ(耳から血が!こいつ、さっき自分で鼓膜を……!?)

アッシュ(まずい、ここから離れ……っ)

星児「……遅ぇ」ザスッ

アッシュ「かはっ……!」ブシュッ
180 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/11/30(金) 00:54:27.71 ID:SqpAJNmf0
星児「さぁ……後は」

心「アッシュ……!?」ガバッ

星児「来いよ……犬木心」

心「っ、あああっ!」ドンッ


ラムダ(……!犬木さんが『衝動のピストル』を撃った!けど、おそらく『高速移動』相手には当たらないはず!)

ラムダ(僕は……どうする!?)



ディーヴァ・ラムダが取った行動は『下1』だった!

1.『スタンボム』で目眩ましだ!
2.『空間湾曲』で田中星児の所へワープだ!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/30(金) 00:55:29.58 ID:CQrdykLDO
182 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:07:53.30 ID:KBC/wvsi0
ラムダ(このままでは『田中星児』が宝石を二個獲得する!それは避けねば!)

ラムダ「……『空間湾曲・10m』!」グニャアッ


星児(来たな……『ワープ使い』!)

ラムダ(僕と銃弾の挟み撃ち!銃弾を避ける隙に、僕の『空間湾曲』で上空へワープさせて落下死させる!)

ラムダ(さぁ、避け……)


ドフッ


ラムダ「……避けない!?」ザッ

ラムダ(着弾し、彼女の体が8m真上に吹き飛んだ!)

星児(これでいい……これが俺の逃走経路……!)

ラムダ「……犬木さん!もう一発弾丸を!」

心「おう!」ドンッ

ラムダ(彼女の能力は『高速移動』!空中では身動きが取れないはず!この弾丸も当たる!二発合計で16m!即死の高さ!)

星児「……『時間操作・停止』!」ピタッ

心「!?」

ラムダ「何……っ」

ラムダ(空中で体が停止した!?落下しないで、銃弾が外れた!……何だあれは、何かの上に乗っている?)

星児(『光と音の爆弾』の女の手を切り取って、空中で停止させた!これを足場にして……!)

星児「だぁぁっ!」バッ

ラムダ(隣のマンションに飛び移った!)
183 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:08:31.57 ID:KBC/wvsi0
星児「がっ、あぁっ……はぁっ、はぁっ……『加速終了』『停止終了』」シュウウ

星児(よし……無事マンションまで逃げ切れた……俺が『住宅街』で待ち受けていた理由がここにある)


ラムダ(……駄目だ!私が偵察していた階と田中星児が逃げた階は違う!地形を正確に把握しなければ『空間湾曲』は使えない!)

ラムダ(いや、だけどまだだ!敵が宝石を持っている以上、レーダーの反応を頼りに追跡が可能!『高速移動』も無限に使えるわけではないはず!)パカッ

ラムダ「なぁ……っ!?」

ラムダ(どういうことだ……!?アッシュの宝石が奪われていない!)


星児(俺が『住宅街』で待ち受けていた理由がもう一つある……)

星児(あの『どこでもドア』の女は、俺と会った二回ともビル屋上に逃げた)

星児(何故わざわざビル屋上なのか?行き先を宣言しなければいけないというデメリットがある以上、絞られやすい場所には行かないべきのはず……)

星児(俺は、一つの仮設を立てた。あのドアは『視界の範囲内』にしか出現させられないんじゃないか?)

星児(そしてここ『住宅街』から『ビル屋上』へ移動できたということは)

星児(また同じように『ビル屋上』から『住宅街』も……)

星児「見えてんだろ……!?おばさん……!」
184 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:09:27.40 ID:KBC/wvsi0
ボワンッ


心「うおっ、おおおっ!?」ドフッ

ラムダ「っ犬木さん!?」バッ

心(体が真上に吹き飛んだ!この能力、俺の『衝動のピストル』!俺以外にピストルを持ってる奴!そしてこの不意打ち感!)

心「またあんたか!おばさん!」

心(くそっ……このままじゃ落ちる!自分で自分に撃って、別の場所に移動するしかねぇ!)ドンッドンッ

蝶「あら、流石チーム。逃げ方まで一緒なのね」

ラムダ(……リカさんが言っていた『どこでもドア』の人!リーチ候補の一人!)

蝶「ふふ。宝石と銃の追加ゲットぉー……」ヒョイッ

ラムダ(しまった!アッシュさんの持ち物を拾われた!)

蝶「いやー。果報は寝て待てって本当ね。待ってるだけでこんなチャンスが巡ってくるなんて」

ラムダ(彼女はリーチ候補!このまま宝石を獲得させるわけにはいかない!)ザッ

蝶「あら……向かってくるの?やめといた方がいいと思うわよ。私、あなたの弱点が分かっちゃったから」

ラムダ「弱点……?」ピクッ

蝶「あなたの能力は『ワープ』……でも、見たところ単純なテレポートじゃない。私みたいな区切られたゲートがあるわけでもない」

蝶「『空間を歪ませて移動してる』……曲がったガラスに映る虚像みたいにね」

蝶「そしてそれなら破るのは簡単なのよ。このピストルを使えばね。何故なら銃弾も一緒に歪んだ空間を動くから。あなたがどこに逃げようと、同じ動きで銃弾は追っていく」

蝶「あなたの弱点は『銃弾』などの『飛び道具』……でしょう!?」ドンッ

ラムダ「……残念。『飛び道具』こそ、僕が最も得意とする相手です……『空間湾曲・10m』!」グニャアッ
185 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:10:01.14 ID:KBC/wvsi0
蝶「がっ……!?」ドフッ

蝶(この男……自分の体ではなく『銃弾』を私へワープさせた!?)

蝶(まずい!私の体が、自らあの男の方に吹き飛んでいく!)

ラムダ「『空間湾曲・上空50m』!」グニャアッ

蝶「……っ!」グニャアッ

ラムダ「20mや30mでは、犬木さんと同じようにマンションに逃げられてしまう……少し多めに50mにしてみましたが、どうでしょう」

蝶(私の持ってるピストルの残弾数は全部で12発!移動できる距離は96m!)ヒュオオオッ

蝶(駄目……っ!移動できる範囲内に、高度50m以上の建物が……ない!)


ベシャアッ
186 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:10:38.94 ID:KBC/wvsi0
心「おーい!大丈夫だったか!?」タタッ

ラムダ「ええ……なんとか……」

心「俺のピストル!」バッ

ラムダ「……そっちですか」

心「ああ!良かった!やっと奪い返せた!……でも結構使われてるな……俺みたいに飲み込んで隠し持ってないかな」ゴソゴソ

ラムダ「……宝石も回収しておいてくださいね」

ラムダ(……ん?女の死体の横に何か……田中星児が空中で足場にしてた物か?)

ラムダ「これは……人間の手……!?」

ラムダ(しかもこの感触は覚えがある……これは、リカさんの……)

ラムダ「やはり、あいつがリカさんを……!」ガバッ

心「待てよ」クイッ

ラムダ「……犬木さん?」

心「感情抜きで物事を考えろっつったのはお前だろ……アッシュは死んだ。もう一つの宝石はここにあるし、俺もお前もこれ以上宝石は要らない」

心「あいつも一つしか獲得しないなら俺達が積極的に攻撃する理由はない……だろ?あいつも多分、こうなるのを見越してアッシュの宝石を奪わなかったんじゃねぇかな」

心「それに、空中で『停止』したあいつのもう一つの能力……それが何か分からん内は、あいつに無暗に近付くのは危険だろ」

ラムダ「……そう、ですね……」
187 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:11:30.80 ID:KBC/wvsi0
住宅街・物陰



七音(……『ギター使い』と『どこでもドア』が死んだ……いや、それより)

七音(あの金髪ロング……あっちが『ワープ使い』だったのか!……爆弾はあいつが投げていただけで、隣の女の子の能力だったということか……)

七音(くっ……なら、私があいつらに勝てる方法はない……私の能力『虹色インク』は空間干渉に弱い……)

七音(ここまで待ったが……今日は宝石を手にすることすらできなさそうだな)

七音(しかし、この状況からでもできることはある。今尽くせる全てを!最後に私が勝つために!)ザッ


ラムダ「参加者はまだ残っているはず……もう一人のリーチ候補者。残り時間でそいつに……」ザッ

七音「それは……私のことかな」スッ

ラムダ「!」バッ

ラムダ(私が見たことのない能力者……!こいつが七人目!)

七音「……行くぞっ!」ダッ

ラムダ(突っ込んで来た!ならば、あの女と同じように上空へワープさせる!)

ラムダ「『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

七音「……っ!」グニャアッ

七音(空中では能力が使えない……。私はこのまま落ちて死ぬだろう)

七音(だがそれでいい。奴に能力を、MPを使わせたことに価値がある!)

七音(私が勝つにはこいつとあの女のMPを切れさせるしかない!これはそのための布石!明日への楔!)


ベシャアッ



加賀七音:死亡
188 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:11:56.86 ID:KBC/wvsi0
心「……あたしのピストルの出番はなかったな……なんだったんだ?こいつ」

ラムダ「……分かりません」

ラムダ(これで残りの参加者は僕と犬木さんと田中星児の三人。このまま二日目は終了。明日までバトルロワイヤルを終わらせないという当初の目的は、無事に達成できるでしょう)

ラムダ(だが、結局この男の能力は分からなかった。どの程度の情報を有しているかも……)

ラムダ(明日も、気を引き締めて行きましょう)

心「なぁ……ラムダさん」

ラムダ(……初めて名前で呼ばれましたね)

ラムダ「何ですか?」

心「あんたの願い事って……なんだ?」

ラムダ「『平和に過ごすこと』……です」

心「ふーん……まぁ、言いたくないならいいけどさ」

ラムダ「……え?」

心「だて、それ嘘だろ?」

ラムダ「いえ……そんなことは」

心「でも『平和に過ごしたい』なんて人が、誰かのために怒ったりするかなぁ」

ラムダ「……!……それは……」
189 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:12:28.22 ID:KBC/wvsi0
心「……よく分かんないけどさ。もっと自分に正直に生きた方がいいと思うぜ。リカって奴のために戦うあんた、ヒーローみたいでちょっとカッコよかった」

ラムダ(……『ヒーロー』……昨日も聞いた言葉だ。僕は……)

心「田中星児の願い事は……何だったのかな」

ラムダ「……確か、あなた達と言い合っていた時に『俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ』……と言っていましたね」

心「……うん。俺も聞こえた」

ラムダ「おそらく、それに関係することだと思われます」

心(余命……)

心(…………)
190 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:12:58.07 ID:KBC/wvsi0
天界・休憩室



シュンッ


星児「うおっ」ボフッ

星児(急に知らない部屋に……レーダーは午後四時。一日が終わっても生存してた奴はここに来るってことか?)

天使「二日目お疲れ様。今日は生き残れて良かったな。明日までここで休むといい」

星児「あ、ああ……ん?何で耳が聞こえるんだ?」

星児(アッシュの『サウンドスケープ』を無効化するために、鼓膜は破ったはず……)

天使「一日ごとに参加者の傷も修復される。じゃなきゃ殺さずダルマにするのが強すぎるからな。うちの神様はそんなつまらない展開は望んじゃいないんだ」

星児「ふーん……じゃあこの心臓病が治らねえのはなんでだ?これに参加する前より酷くなってるんだが」

星児(今日の終わりの方なんか、体力を消費し過ぎて一歩も動けなかった)

天使「その傷は能力の一部みたいなもんだからな……修復はできん。恨むならそんな能力を引いた自分を恨むんだな」

星児「……ちっ。そうかよ」



『犬木心』『田中星児』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!二日目が終了した!
191 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:13:31.90 ID:KBC/wvsi0
二日目終了・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:10
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:75
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:60
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:25
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×3(弾丸2+3+3発)



5.田中星児

ポイント:0
M  P:30
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:50
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:120
登  録:なし
持 ち 物:なし
192 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:14:01.63 ID:KBC/wvsi0
天界・振り返り



神様「『犬木心』『田中星児』が二日目の獲得者か……これでリーチが五人。番号にすれば丁度12345だね」

天使「神様の予想は外れましたね」

神様「やっぱり合流前に『リカ』と『田中星児』が当たったのがねー。痛かったね」

天使「『リカ』も健闘しましたが……『星児』の方が一枚上手でしたね」

神様「ああいう性格の子は殺し合いに向いてないよね」

天使「文句を言うならこれからは参加者を自分でお選びください」

神様「やだ。めんどくさいもん」

天使「はぁー」



天使「今日は全ての戦闘が住宅街で行われましたね」

神様「やっぱり殺傷能力のない異能ばっかりだから、チームプレイや膠着状態になりやすいのかな」

天使「文句を言うならこれからは異能力を自分でお考えください」

神様「やだ。めんどくさいもん」

天使「はぁー」
193 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 02:14:34.36 ID:KBC/wvsi0
天使「明日は誰が勝つと思いますか?」

神様「うーん。やっぱ明日も『ラムダ・リカチーム』が強いんじゃない?今日の敗因は合流できなかったことだと思うしね」

神様「というかラムダくん強いよね。え強くない?」

天使「戦闘、逃走、サポート……なんでもござれって感じですよね」

天使「でもサポートなら他人にも渡せる『衝動のピストル』も強いですし、逃走ならより範囲の広い『どこでもドア』も強いですよ」

神様「なんで移動系の異能が三つもあるの?」

天使「さて、そろそろ転送の時間ですよ」

神様「三日目開始!転送!」

天使「・・・って神様。『下1』と『下2』の初期位置がもろ被りじゃないですか」

神様「我々はランダムな点描と言えば満遍なく広がった模様を思い浮かべるが『満遍なく』という状態こそ一種の偏りであり、真のランダムな点描ならばむしろ(以下略)」



1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰の位置が被った!?1〜7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、誰も出会わなかった事にするよ!)
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/01(土) 02:37:58.31 ID:iekWhmxVO
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 03:06:34.78 ID:JpnUuQ0Go
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 03:12:13.00 ID:31hY9P/zO
いくらなんでも7番さんが可哀想だろ!
197 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 16:26:07.34 ID:KBC/wvsi0
路地裏



七音「……っ」シュンッ

七音(昨日の初めと同じ感覚……また『生き返った』のか。二回目ともなれば、慣れた物だな)

七音(さて……昨日と同じく、宝石配りの時間までどこかに隠れるとするか……)

ラムダ「あっ」バッタリ

七音「あっ」バッタリ

ラムダ(この男……昨日の最後に突っ込んで来た奴!)ザッ

七音(この男……『ワープ使い』!私の能力が通用しない相手!)

七音(今日はリーチの参加者が五人も居る!おそらくバトルロワイヤルは今日で終了する!昨日のような明日のために特攻という作戦は取れない!)

七音(応戦は不可!ならばどうする!?ここから逃げるか!)

七音(いや、だがここで私が逃げたら相手はどう思うだろうか。昨日の特攻を含めて『自分には勝てない能力である』という確信を持つんじゃないか!?)

七音(そうなれば終わり!『ワープ使い』が相手では逃げ切れない!)

七音(応戦も逃走も不可!……ならば!)

七音「……っ『七色の魔法(セブンス・ギフト)』!」

ラムダ(! 相手の足元に虹色の水溜りが!そこから無数の腕が生えている……これがあの男の能力!)

ラムダ(おそらくあの腕で敵を攻撃する能力……それだけなら、昨日と同じように上空へワープさせれば……)

ラムダ「『空間湾……」

七音「何っ!?くっ、6番目の能力が発動してしまったか!」

ラムダ「……?」

ラムダ(何だ?『6番目の能力』?)
198 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 16:27:08.41 ID:KBC/wvsi0
七音「あっ、ああ!今私を攻撃しては駄目だ!これは君のための忠告でもある!今君が攻撃すると、お互いにとって良くないことが起こる!」

ラムダ「……?」

七音(よし!動きが止まった!やっぱりこいつは私の能力を知らないんだ!この調子で、こいつを騙す!応戦も逃走もできないなら、ハッタリで押し通す!)

七音「私の能力は『七色の魔法』と言ってね。七つある能力の内、一つがランダムに発動するという能力なんだ」

七音「今発動したのは6番目の『道連れ』。誰かが攻撃して来たらそれに反応して、沼に沈めて殺す。ここに居る私ごとね」

七音「終盤に発動すれば牽制として使える能力だが……お願いだ。攻撃するのはやめてくれ。君もこんな序盤に脱落するのは嫌だろう?」

ラムダ「……何故そこから動かないんです?」

七音「6番目の能力は発動中、そこから動けなくなるという縛りがあるからだ」

ラムダ「……解除すればいいでしょう」

七音「三時間経たなきゃ解除できないんだ」

ラムダ(……三時間……今から三時間後にはもうイベントの時間。そこまでここに留まることは悪手だ。リカさんとの合流を優先させた方が良い)

ラムダ(だがそれは、この男が真実を語っていたらの話……!)

七音(怪しんでいる……それはそうだ。少し都合が良すぎる。でも……)

ラムダ「証……」

七音「証拠が欲しいなら、私の能力の紙を一部見せよう」

ラムダ「!」

七音(先に証拠を見せる意思を見せる……!実際はそんな証拠などないのだが、この姿勢が大事!『そこまで言うなら確認する必要はないだろう』と思わせるのだ!)

七音(とはいえ、あくまでこれはハッタリ!相手が『ならば言う通り見せてもらおう』と言えばその時点で瓦解!メッキが剥がれる!)

七音(お願いだ!騙されてくれ……っ!)

ラムダ(……ここは……)



『ディーヴァ・ラムダ』が取った行動は『下1』だった!

1.『加賀七音』を信じる!ここは退いてリカさんと合流だ!
2.『加賀七音』を信じない!ここは念のため証拠を見せてもらおう!

どっちだった!?1、2番のどっちか答えてね!下1だよ!
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 16:32:25.91 ID:mJ1t/ZTZ0
1
200 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:17:47.80 ID:KBC/wvsi0
ラムダ(ここは一度退いて、リカさんとの合流を優先しましょう)

ラムダ「……分かりました。それでは」タッ

七音(離れて行った……)

七音「っはぁー……」ホッ

七音(MPを30消費してしまったのは痛いが、何とか切り抜けられた……)

七音(よし、このまま宝石配りまで待機だ。今日こそ、私が勝利してみせる……!)
201 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:18:22.08 ID:KBC/wvsi0
路地裏・付近



ラムダ「……僕です。リカさん」プルルル

リカ『す、すいません!昨日私、すぐ死んじゃって……本当にすいません!』ペコペコ

ラムダ「いえ、気になさらなくて大丈夫です。今日頑張りましょう……それから、僕の下に向かうのはやめて、そこから右斜めに移動してくれますか」

リカ『え?どうしてですか?』

ラムダ「その方向には別の参加者の反応があります。合流する前にぶつかる可能性があるので、そこから離れた場所を合流地点にしましょう」

リカ『は、はい!了解しました!』

ラムダ(今度こそ……彼女を死なせたりしない……!)
202 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:18:53.29 ID:KBC/wvsi0
商店街



心『そこ動くなよ!』

アッシュ「はいっ!」

アッシュ(犬木心の位置は……ちょっと遠いな。合流まで少し時間がかかるか……?)

アッシュ(ラムダさんの位置は、俺達を避けるように動いてる。偶然か、それともわざとか……とにかく、合流前にぶつかることはなさそうだ)

アッシュ(田中星児も……動く気配はない。このまま無事に合流できそうだな)
203 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:19:26.98 ID:KBC/wvsi0
公園



星児「三日目が始まったか……」シュンッ

星児(さて、どうするかな)

星児(レーダーで位置の分かるアッシュを狙いに行くか?……いや、結構遠いな。俺が着く前に犬木心と合流するな)パカッ

星児(あの弾丸を避けるのは容易いが……あれを逃げの手段とされるとちょっときつい。俺の短くなった『加速』とあいつの『弾丸』。どっちが先に切れるか……)

星児(まぁ、アッシュの方は耳潰すだけでいつでも勝てるんだ。精々他の奴らと潰し合ってもらうか)

星児(でもそうなると、他の奴らの居場所は分かんねぇし、下手に動くのは危険だ。もし『ワープ』『爆弾』が揃ってる所に出くわしたら……)

星児(……今日は宝石配りまで、ここでおとなしくしてるか)
204 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:20:01.03 ID:KBC/wvsi0
ビル街



リカ「あれは……ラムダさん!良かったぁ……今日はちゃんと合流できた」

ラムダ「はい。良かったです……」

ラムダ(アッシュさんと心さんは……あっちも合流できたみたいですね)パカッ

ラムダ(そして動かない……宝石配りまで待機するつもりでしょうか。ならばこちらから襲う必要性も、有効性もなさそうですね)

ラムダ「リカさん。宝石配りまでここで待機していましょう」

リカ「はい。了解です!」
205 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:20:27.55 ID:KBC/wvsi0
商店街



心「おーい!」ブンブン

アッシュ「……ふっ、来たか……」

心「田中星児は今どこだ?」

アッシュ「ん?結構離れた所で……動いてないな。おそらく宝石配りまで待機しているつもりだろう」

心「ラムダさんは……俺らとは関係ない所に向かってってるな。その方向に相方が居るのか」

心(俺らが合流する暇があったってことは、向こうももうすぐに合流するはず。あのチームが揃った状態で戦ったら……勝てるかどうか分かんねぇな)

アッシュ「ふむ。ここは宝石配りまで待機するのが無難だろう」

心「……まぁ、たまにはお前の言う通りでもいっか」
206 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:21:01.70 ID:KBC/wvsi0
駅前



蝶「MPは……60」

蝶(『どこでもドア』を使えるのは後3回。しかもピストルも奪われて手元にない)

蝶(こんなことならあそこで横槍入れるんじゃなかったわね……もしかしてあの女の子、こうなることまで予想してたのかしら?)

蝶(とりあえず、他の誰かと戦える余力はない。かといって私以外にリーチが四人。明日に期待ってのは無理よね)

蝶(宝石配りで私が当たるのを祈って、そこから逃げに徹するのが一番かしら)

蝶(そうと決まれば、宝石配りまでここで待機するとしましょう)
207 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 18:21:38.86 ID:KBC/wvsi0
三日目開始・現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:60
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:125
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:110
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:75
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×3(弾丸2+3+3発)



5.田中星児

ポイント:0
M  P:80
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸6発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:140
登  録:なし
持 ち 物:なし



そんなこんなでついに午後零時!『宝石配り』の時間に!宝石を受け取ったのは『下1』と『下2』だった!

1.くたびれ三十代『番井蝶』
2.中性金髪ロング『ディーヴァ・ラムダ』
3.臆病女子中学生『リカ』
4.男勝女子小学生『犬木心』
5.余命三年心臓病『田中星児』
6.ボーカル中二病『アッシュ』
7.くたびれ三十代『加賀七音』

誰と誰だった!?1〜7番から選んでね!下1と下2の二人に安価を取るよ!
(安価が被った場合、一人が二つの宝石を受け取った事にするよ!)
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 18:22:12.12 ID:y4x5zSUy0
3
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/01(土) 18:22:38.72 ID:sLSFTamDO
7
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/01(土) 18:22:46.94 ID:iekWhmxVO
よん
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/01(土) 18:26:50.53 ID:iekWhmxVO
田中星児はポイントなし?宝石とったんじゃ
212 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:52:43.06 ID:KBC/wvsi0
>>211

またミスです……すいません。田中星児のポイントは現在『1』です。脳内補完お願いします。

↓から本編を再開します。
213 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:53:18.86 ID:KBC/wvsi0
ビル街



天使「ほい。またお前だ」ポイッ

リカ「わわっ、ありがとうございます!」パシッ

ラムダ「これで三度目……運良いですね」

リカ「えへへ……」

ラムダ(もう一つは……路地裏。『七色の魔法』の男が居た所ですね。あの男が言うには後二時間は『道連れ』が発動しているはず)

リカ「ってことは、奪いに行っても無駄ですね」

ラムダ「そうですね……イベント前に行動を起こすのも危険ですし、しばらくはここで宝石を奪われないように注意しながら待機です」

リカ「はい!」
214 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:53:44.89 ID:KBC/wvsi0
駅前



蝶「ねぇねぇ天使さん」

天使「ハズレだよ」

蝶「はぁー……一日目から全部で七個も宝石が配られたのに、ついに一回も当たんなかったわね……」

蝶(誰かから奪うのは難しいし、奪えたとしても逃げるためのMPがなくなる……)

蝶「うーん……やっぱり都合のいいイベントを待つしかないかしら……それまではここで待機ね……」
215 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:54:19.63 ID:KBC/wvsi0
商店街



アッシュ「おい天使!俺への宝石は!」

天使「ないよ。今日はハズレだ」

アッシュ「くっ……一日目も二日目も当たった」

心「それで運が尽きたんじゃねーの?まぁ、運がないなら無理矢理盗ろうぜ。二つあるけど、どっちにする?」

アッシュ「近いのはビル街の方だが……あっちにはおそらくラムダさんチームが居る」

アッシュ「そしてラムダさんの反応には今のところ動きがない。おそらく今は防衛に徹するつもりだろう」

心「そうなると崩すのはちょっと難しいな……じゃあ路地裏の方にするか」

アッシュ「おう。賛成だ。今日はラムダさんチームから宝石を奪う必要はないからな。俺達が欲しいのは宝石一個だけ。そして一個さえ持っていれば、チームの二人は上がれない」

心「……ああ、そうだな……」
216 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:54:54.04 ID:KBC/wvsi0
公園



星児「アッシュの反応が路地裏の方に動いた……あそこからならビル街の宝石の方が近いのに」

星児(ってことは、ビル街の方は『ワープ』『爆弾』チームの方か。宝石が動いてないところを見ると、ありゃ合流も済ませてるな)

星児(となると、路地裏の方は『どこでもドア』か『インク腕』か……どっちも俺の能力じゃ倒せねぇ。ならここはアッシュ達に任せるか)

星児(あっちにも俺の場所がバレてる。変に動くと警戒させちまうかもしれねーし、ここで待機を続けるか……)

星児(これからのためにも、心臓をちょっとでも休ませねーとな)
217 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:55:26.39 ID:KBC/wvsi0
路地裏



天使「ほい。今日はお前だ」ポイッ

七音「えっ……」パシッ

七音(わ、私か。私が当たる可能性を考慮していなかった……しかし、これで……)

七音(いや待て。これってまずいんじゃないのか?)

七音(宝石で位置がバレる……『ワープ』は騙したからしばらくは来ないだろうにしても『どこでもドア』に来られたら、それでおしまいだ)

七音(駄目だ!その危険性がある限り、宝石を保持し続けていることはできない!)

七音(くっ……宝石はここに捨てよう。そして物陰に隠れて、誰が拾うか見守る!)
218 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:55:56.98 ID:KBC/wvsi0
アッシュ「この先に宝石が……あれ?」

心「人が居ない……?」

心(……宝石だけが路地の真ん中にポツンと置いてある)

心「なんだアレ?」

アッシュ「……怪しいな。罠かもしれん。近付いた瞬間に横から襲うとか」

心「それなら俺のピストルで……宝石をこっちに吹き飛ばす!」ドンッドンッドンッ

心「よし。無事ゲットだ」ヒョイッ

アッシュ「……ふっ、やるな」


七音(拾ったのは『ギター使い』か……これは悪くないぞ)

七音(私の勝ち筋は『ワープ』と『どこでもドア』が死ぬこと。両方倒せるのは『ギター使い』のこいつだけだ)

七音(是非とも宝石を拾って、あの二人と潰し合ってもらいたい)
219 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:56:36.47 ID:KBC/wvsi0
アッシュ「よし。では宝石をこっちに」

心「……」

アッシュ「……おい、どうした。お前は既にポイントを得ているだろう。今日は俺に……」

心「あのさ、そのことなんだけど……この宝石は、田中星児にあげないか?」

アッシュ「なっ……!?」

七音(……!?)

心「俺、思ったんだよ……あいつの言う通りなんじゃないかって。名前を変えるよりも、俺がもっと努力すべきなんじゃないかって」

心「それに、あいつ余命がどうこう言ってた!やけにフラフラしてた気がするし……あいつ多分、何かの病気なんだよ!」

心「何か……そんな奴の願い事より、俺の願い事を優先してもいいのかって……思って……」

アッシュ「……お前……」

心「だからさ!この宝石はあいつに渡そうぜ!」

アッシュ「……駄目だ。俺にも俺の願い事がある」

心「……『バンドを有名にする』ってやつか!?あいつも言ってたじゃんか!そんな裏技に人気になったって、何も意味ないって!」

アッシュ「これはもう俺だけの願い事じゃないんだよ!バンドの仲間、そいつらの家族、そして今応援してくれているファンの皆……そいつらのためにも、俺は……!」

心「その人達だって、きっとこんなこと望んでない!」

アッシュ「……黙れ!お前に何が分かる!」
220 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:57:11.96 ID:KBC/wvsi0
心「……っ、それなら……」

七音「……『虹色インク』」ズァッ

心「!?」

アッシュ(他の参加者!何だあいつ、足元に虹色の……水溜り?)

七音「『増大×8』!」ズズズッ

アッシュ(水溜りが広がって俺達の足元まで!)

心「ぐあっ……」

心(水溜りから腕が!俺を絞めて……!)ググッ

アッシュ(身動きが取れない!『サウンドスケープ』が使えない!)

心「くっ……ああっ、あっ……がっ……」カクッ

アッシュ(……え?)

アッシュ「お、おい!犬木!犬木心!」

心「…………」

アッシュ(へ、返事がない……死んだ……のか?)

七音「いやぁ……果報は寝て待て。というのは本当ですね。機を待ち続けて、ようやく私にもチャンスがやって来た」ザザザ

アッシュ(俺と犬木の体からピストルが……あのおっさんの方へ流れていく)

七音「私はラッキーだ。あなたの次のパートナーになれる」

アッシュ「は……?」
221 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:57:43.83 ID:KBC/wvsi0
七音「少女は殺しました。あなたと揉めていたようでしたので」

アッシュ「なっ……」

七音「ですが、構わないでしょう?あなたが相方に求めているのはこの『ピストル』だ」

七音「さらに言えば、私達は丁度0ポイント同士。チームにピッタリでしょう?」

アッシュ(な、なんだ?こいついきなり現れて何を言っている!?)

七音「協力しましょう!アッシュさん。私達はいいチームになれる」

アッシュ「……っ」

七音「……拒否などしませんよね。あなたは一人では宝石を獲得できないし、あの少女が居なくなった現在。あなたとチームを組めるのは私だけだ」

七音「それとも……勝負しますか?私と」

アッシュ(……駄目だ!俺の能力じゃ、引き分けにはできても、勝利することはできない!)

アッシュ(いや、そもそも)

アッシュ「……いいだろう。今からお前がパートナーだ」

七音「……はい。よろしくお願いします」

アッシュ(断る理由がない。あの調子じゃ、どうせ犬木とは別れていた)

アッシュ(俺は俺の願いを優先する!それが当り前だろう!?)

アッシュ(だからこれでいい……これでいいはずだ……)



犬木心:死亡
222 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:58:16.39 ID:KBC/wvsi0
アッシュ「なぁ、加賀さん。協力を誓ったんだから、俺にもピストルを分けてくれよ。いざという時、必要になるかもしれない」

七音「……はい。どうぞ」スッ

アッシュ(……弾が二発しかない。たしか犬木が持っていた中で最も残弾数が少ない一丁だ)

七音「彼女が死んだ以上、弾の補充はもうできないんです。それで我慢してください」

アッシュ(こいつ……)

七音「ここで、イベントの時間まで待ってますか」
223 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:58:42.77 ID:KBC/wvsi0
公園



星児(アッシュと宝石の反応が重なって止まった……無事に敵を倒せたってことかな)

星児(あっちが止まってるなら……無理にこっちから行く必要はない。ここはMP温存だ。バトルロワイヤルはおそらく今日で最後)

星児(勝負をかけるのは最後の最後。確実に宝石を獲得する……!)
224 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:59:13.54 ID:KBC/wvsi0
ビル街



ラムダ(……!?犬木さんの反応が消えた……!?)

ラムダ(アッシュさんの反応はそのまま……おそらく『道連れ』発動したのだろう。それで犬木さんもろとも……)

ラムダ(ということは、アッシュさんは宝石を手に入れはしたが、今は一人ということか……)

ラムダ(今なら楽に倒せるだろうが……位置が少し離れすぎていて、行くまでに時間がかかる。このままでは戦闘中にイベント発生。という展開になりかねない。それはあまりにリスクが高い)

ラムダ「このままイベントまで待ちましょう」

リカ「はい!」
225 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/01(土) 23:59:47.89 ID:KBC/wvsi0
現状



1.番井蝶

ポイント:1
M  P:60
登  録:なし
持 ち 物:なし



2.ディーヴァ・ラムダ

ポイント:1
M  P:125
登  録:『リカ』『犬木心』『アッシュ』
持 ち 物:スタンボム、ナイフ



3.リカ

ポイント:1
M  P:110
登  録:『ラムダ』
持 ち 物:なし



4.犬木心

ポイント:1
M  P:75
登  録:『ラムダ』『アッシュ』
持 ち 物:なし

死亡。



5.田中星児

ポイント:1
M  P:80
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:ナイフ



6.アッシュ

ポイント:0
M  P:100
登  録:『ラムダ』『犬木心』『田中星児』『加賀七音』
持 ち 物:衝動のピストル(弾丸2発)



7.加賀七音

ポイント:0
M  P:70
登  録:『アッシュ』
持 ち 物:衝動のピストル×2(弾丸3+6発)



そんなこんなでついに午後二時!『イベント』の時間に!『下1〜3』のどれかが起こった!
(起こるイベントを自由に考えてね!出揃ったらその内のどれが起こるかあらためてコンマで決めるよ!)
(描写が困難な物、ゲームに関係がない物、ゲームバランスを著しく崩壊させる物であれば、>>1の判断で再安価とさせていただきます。ご了承ください)
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 00:03:31.11 ID:PXh2/dBr0
空から不定期にビームの狙撃(宝石持ちを優先)
直撃するとMPを吸われる
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 00:04:32.05 ID:c4xWd120O
宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる

能力は一に任せる
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 03:13:00.59 ID:xd5q/Yz5O
>>149
229 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 15:06:40.52 ID:8TSt72OJ0
天界・ルーレット



神様「もう二時か。天使くん。ルーレットとダーツを」

天使「はいはい」ガラガラガラ

天使「ほっ」ギュルンッ

神様「行くぞ〜」



次のレスのコンマが

01~33で『空から不定期にビームの狙撃』
34~66で『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』
67~99で『レーダーで位置が解る宝箱が出現』
00はもっかい
230 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 15:07:14.50 ID:8TSt72OJ0
神様「てぇいっ!」トスッ
231 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:47:00.27 ID:8TSt72OJ0
神様「決まったね……『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』か……じゃあ作って」

天使「うっわ一番めんどくさいの当たった……」

神様「ほらはよはよ」

天使「はぁ……えっと素材は……こいつでいっか」ヒョイッ

男「うわっどこだここ」シュンッ

天使「『知能操作・低下』『催眠・行動指定〜宝石の奪取』『能力付与・宝石感知』『能力付与・体力強化』『能力付与・皮膚硬質化』『能力付与・爪肥大化』」キィィィィ

男「うわあああ」

怪物「グルルル……」

天使「名前のない怪物の一丁上がり……こんなもんでいいですかね?」

神様「いいんじゃない?」

天使「じゃあ落としますよ。おらっ」ドカッ

怪物「ゴアッ!?」ヒュオオオッ
232 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:47:44.94 ID:8TSt72OJ0
ビル街



天使「ぴんぽんぱんぽーん。ということで、イベントの時間だ」

ラムダ(来た……!)

天使「今日のイベントはこれに決まった。『宝石を持ったものを襲うお邪魔する怪物が現れる』」

リカ「怪物……?」

天使「詳しいパラメータはこんな感じだな」


【怪物】

・頭が悪い(動物レベル)
・宝石を奪おうとしている
・宝石がどこにあるか分かる
・体力がすごい
・皮膚が硬い
・爪が大きい


天使「元はお前らと同じ人間をベースにしてるから、殺そうと思えば殺せるだろうが……それなりの策がないと返り討ちだぞ」

ラムダ「……その怪物は、レーダーには映らないんですか?」

天使「ん?ああ、映るようにしても良かったかな……まぁいいか、めんどくさいし。怪物はレーダーに映らない!これは決定事項だ」

リカ(な、何か適当……)

天使「それに……映っても映らなくてもお前らには一緒だろ」

リカ「? それって……」

怪物「グルルルァッ!」ダッ

ラムダ「!?」

ラムダ(もうすぐ側まで来ていたのか!)

リカ「きゃっ、きゃあああっ!」ダッ

リカ(で、でっかい爪!捕まったら死んじゃう!)
233 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:48:32.26 ID:8TSt72OJ0
怪物「ガオーッ!」ダッ

ラムダ(怪物のスピードは人間並!今すぐ捕まるということはないだろう……しかし、天使からの情報では体力が僕らとは桁違い!)

ラムダ(あの怪物がこの全力疾走を何時間でも維持できるんだとしたら、捕まるのは時間の問題!)

ラムダ「……リカさん!手を!ビルの屋上へ逃げます!『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

リカ「はっはい!」グニャアッ

怪物「ガッ……グルルッ」ダッ

リカ「あああ……まっすぐこのビル登ってきますよ……?」

ラムダ「いえ……いいんです。これで」

怪物「ガオーッ!」ガチャッ

リカ「うわあああ来ちゃった!」

ラムダ「行きますよ……っ!『空間湾曲・10m』!」グニャアッ

ラムダ(別の屋上へ瞬間移動した……あの怪物が私が思うほど頭の悪い生物なら……!)

怪物「グルァッ!」バッ

ラムダ(やはり!無謀にも跳んだ!そのまま落ちれば……)

怪物「ガウッ」ダンッ

リカ「着地……しましたね。ダンッて」

ラムダ(『皮膚が硬い』……あれ程とは。落下死させるのは難しそうですね)

ラムダ「……リカさん。これから能力を使いながら、長距離を逃走します。しっかり付いて来てくださいね」ザッ

リカ「はい……でも、逃走ってどこにですか?」

ラムダ「……もう一つの宝石保持者の所へ。あの怪物のターゲットを変更させます」
234 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:49:02.96 ID:8TSt72OJ0
路地裏



アッシュ「ラムダさんがこっちに向かってる……」

アッシュ(時々、反応が飛び飛びになる。多分『ワープ』を使ってるのだろう)

七音「普通なら、怪物の様子を見るためにも、他の宝石持ちには近づかないはず……となると、あちらが怪物に追われている可能性が高いですね」

七音「大方、私達になすりつけるか、乱戦に持ち込むつもりなのでしょう」

七音「私達もここから移動しましょう。少しでも多く彼に『ワープ』を使わせてMPを消費させるのです」

アッシュ「……はい」
235 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:49:38.45 ID:8TSt72OJ0
住宅街



リカ「はぁっ、はぁっ」タッタッ

ラムダ「よし……ここです!『空間湾曲・20m』!」グニャアッ

リカ「わっ、ここ……マンションですか?」

ラムダ(昨日偵察に出ておいて良かった……事前にここの地形を把握することができた)

ラムダ(そして!これで距離的にターゲットはそこに居るアッシュさんに切り替わったはず!)

ラムダ「彼には怪物を倒す力も逃げる術もない。『サウンドスケープ』で無力化するしかないはず」

ラムダ「そうなればここら一帯は安全地帯になる。そのままタイムアップまで待てばあなたが二点目を獲得。あなたの勝利です」

リカ「やったぁ……あれ?でもそれだとラムダさんは……」

ラムダ「僕は……いいんです」

ラムダ「やっと気が付きました。僕の本当の願い事は、ヒーローになることだ。あなたのような人を、守れるヒーロー」

ラムダ「あなたみたいな人にヒーローと呼んでもらえるなら、この先どんなことに巻き込まれたって構わない。……そう、思うんです」

リカ「ラムダさん……」
236 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:50:21.54 ID:8TSt72OJ0
ラムダ(……おかしい。外からあの演奏が聞こえてこない……まさか!)バッ


怪物「グルルルッ」

アッシュ「……来たぞ!加賀さん!」

七音「……ええ、分かってます」


ラムダ「!?」

ラムダ(あの人は……!?そんな!『道連れ』は?それが発動しなかったんだとしても、何故犬木さんは?何故アッシュさんとチームを……)

ラムダ(……あれは、ハッタリだったのか……!?)

ラムダ(くそっ、油断し過ぎた!もっと用心深く立ち回るべきだった!リカさんに偉そうに言っておきながら……情けない!)

ラムダ「……すいません、リカさん。もしかすると、まだ勝ちは確定していないかもしれません」

リカ「え……?」
237 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:50:55.30 ID:8TSt72OJ0
アッシュ「どうする!?加賀さん!俺の『サウンドスケープ』を使うか!?」

七音「いえ、その必要はありません……」

七音(私は今までの二日間で全員の能力を把握している。断言するが、この怪物を倒せるのは私だけだ)

七音(そしてだからこそ、今こいつを倒してはいけない!この怪物には、他の参加者を殺しまわってもらう!)

七音(その後私がこいつを殺す!これで完璧だ!そのためにはまず……)

七音「宝石をこいつに渡してしまえばいい!」ヒュッ

蝶「ありがとう」ボワンッ

七音「えっ?」

蝶「ずっとこの時を待ってたのよね……誰かが自分から宝石を手放す瞬間を」パシッ

七音(女が突然目の前に現れて、私が投げた宝石を掴み取る。いや違う。突然現れたのはドアだ。女はドアの向こうに居る)

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(怪物がドアに回り込もうとするが、それより先にドアが消えてしまう。女と共に)

蝶「さようなら〜」ボワンッ

怪物「ガウッ!?」スカッ

怪物「……」

怪物「ガオーッ!」バッ

七音(……少しイレギュラーがあったが、問題ない!ターゲットは再び入れ替わった!)
238 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:51:31.36 ID:8TSt72OJ0
ラムダ(怪物が再びこっちに!)

ラムダ(倒す方法は元からない!逃げるにもMPを消費し過ぎた!)

ラムダ(……取れる選択は一つ!意地でも彼らと怪物を食い合わせる!)

ラムダ「宝石を投げてターゲットを変更します!リカさん!」

リカ「は、はい!」スッ

ラムダ「はっ!」


アッシュ(あっちも宝石を投げた!……それと……あれは『スタンボム』!)


ゴオッ


アッシュ(……何も見えない!聞こえない!俺の『サウンドスケープ』は使えない!)

ラムダ(それで怪物は宝石を能力で感知できる!正確に二人を襲うはず!)

七音(多分、宝石は私の周りに投げられた!しかし、この閃光では正確な位置は分からない!)

七音(くっ……怪物をここで倒すしかないか!)

七音「『虹色インク』!」ズアッ
239 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:52:04.88 ID:8TSt72OJ0
アッシュ「……!」

アッシュ(『スタンボム』の光がなくなった後、加賀さんの方を見ると、あの虹色の腕が怪物を押さえ込んでいた)

七音「やはり……強化されているのは体力のみ、腕力は人並みのようですね」スッ

七音「そしていくら皮膚が硬かろうと『炎』には関係ない」ポイッ

アッシュ(加賀さんが水溜りから離れ、火の点いたマッチ棒を投げ入れた。するとその火は水溜まりの全てを一瞬で炎に変え)

アッシュ(怪物を灰にした)

怪物「ガ……ガ、グゥ……」シュウウ

七音「……アッシュさん!今ので私のMPは尽きました!警戒を!」

アッシュ「お、おう!」


星児「ふーん……MP切れねぇ……」


アッシュ「!」

星児「『時間操作・加速』!」ビュンッ

アッシュ(あの人影は……田中星児!まずい!)

星児「怪物はもう居ない!ラムダもMPを消費してもう追いかけっこはできない!後はお前から宝石を奪い取って、逃げまくって勝つ!」バッ

アッシュ「加賀さ……」

七音「『虹色インク』!」ズアッ

星児「なっ……!?」ガシッ

七音「MPが切れたというのはあなたをおびき寄せるための嘘ですよ……焦りましたね」

アッシュ(そ、そうだったのか)
240 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:52:51.22 ID:8TSt72OJ0
星児「ぐっ……ああっ……」グググ

星児(くそっ……)チラッ

アッシュ「!?」

アッシュ(ど、どうしてここでこっち見るんだよ……)

アッシュ(俺はお前を助けない!助けないぞ!俺は俺の願い事を優先するんだ!俺は、俺の……!)


『そんな裏技で集めた客で武道館か。それになんの意味があるんだよ』

『そんな裏技で人気になったって、何も意味ない』


アッシュ(そんなの……俺だって……俺だって……!)

アッシュ「……っ!」ジャカジャンッ

七音「!?」ガクッ

七音(これは……アッシュさんの『サウンドスケープ』……!?何故……!?)

七音(まずい……!能力を維持できない……!)シュウウ

星児「……お前、これ……」

アッシュ「……ツイッターに上げろ」

星児「は?」

アッシュ「俺のおかげで心臓病が治りましたってツイッターに上げろ!そんでバズれ!俺のバンドのイメージアップに貢献しろ!」

アッシュ「勘違いするなよ!俺は有名になれるならどっちでもいいんだ!ただ、ついでにお前を助けてやった方が夢見もいいかなと!そう思っただけだ!」

星児「……はっ、そうかよ」
241 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:53:25.33 ID:8TSt72OJ0
七音「くっ……」ズッ

アッシュ「……っていうわけだ。悪いな加賀さん……やり直したいと思える過去があるだけ、恵まれてると思ってくれ」

七音「まだだっ!私はやり直すんだ!もっと良い高校を卒業して……」

星児「俺はこのままじゃ高校を卒業すらできない。はい論破」ドスッ

七音「ぐふっ……」

アッシュ「お前……容赦ないな」

七音「あ?自分の願いを優先すんのは当り前だろ?」ヒョイッ

アッシュ「ああ……うん……」
242 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:54:04.87 ID:8TSt72OJ0
ラムダ「僕も、その通りだと思います」ドスッ

アッシュ「……っ!がはっ……」

星児「……アッシュ!」

星児(しまった……!まだこいつらが残ってた!)

ラムダ「さぁ……宝石を返してもらいましょうか……」

星児「誰が返すかよ……」

星児(どうする……!?MPは残ってるが、この三日間で、心臓が、もう……)

星児(まだタイムアップまで一時間強の時間がある……さっきまでの参加者が多く残ってた時点ではまだしも、その間、逃げ切れるか……!?)

星児(なら殺すか……!いや、あいつもMPを消費してると言っても、俺一人殺す分くらいは残してあるだろうし……)

星児「おい!お前らの願い事はなんだよ……」

星児(……ここは時間稼ぎだ!残り三十分くらいになるまで粘れば、俺にも逃げ切りの目が出てくる!アッシュが作ってくれたチャンスだ!絶対に俺が勝つ!)

リカ「え?願い事、ですか?」

ラムダ「僕は……もう、特にないです」

リカ「私はその……病気の妹が居て……」
243 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:55:04.28 ID:8TSt72OJ0
星児「…………病気の……?それは、重いのか?」

リカ「は、はい!もう現代の医療技術じゃ不可能だって言われて……そのためにも、私は!」

星児「……その子の歳と、余命は。その子は、何歳まで生きれるんだ?」

リカ「歳は13歳で、余命は長くて三年だって言われました……だから、16歳までしか……」

星児「……ははっ、それじゃあ。俺の方がちょうど一年多く生きれるわけだ……」

星児「……ほら、やるよ」ポイッ

リカ「えっ、ええっ!?」パシッ

リカ「どうして……」

星児「……今まで散々『俺より年上のくせに』って言ってきた……」


『俺に不幸自慢するなら余命二年になってからにしやがれ』

『このままじゃ高校を卒業すらできない』


星児「じゃあ……『年下』で死んじまう奴には、優しくしてやらねぇとな。病気が治ったら、こいつのおかげだって言ってやってくれ」スッ

リカ「え……」

リカ(この言い方……もしかして、この人の願い事も……)
244 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/02(日) 19:55:37.54 ID:8TSt72OJ0
ラムダ「リカさん!……迷ってはいけません」

リカ「ラムダさん……でも……」

リカ「あ、明日二人で頑張るっていうのはどうですか!そうすれば、同時に二人で願い事を……」

ラムダ「今日、既に『どこでもドア』の女が二個目の宝石を獲得しています。彼女の能力、僕の残りMP、制限時間……奪い返すのは不可能です」

ラムダ「あの女は、今日勝者になることが確定している。即ちバトルロワイヤルの終了も、既に決定事項なんです」

ラムダ「今ここにある宝石は一つだけ……願いを叶えられるのは、あなただけです」

リカ「うう……」

リカ(でも、そうしたら、この人が……)

ラムダ「リカさん!他の人間のことを考えないでください!気に病むことはない!あの人は元から死ぬ運命だった!」

ラムダ「あなたは自分を優先していいんだ!ただ、妹さんを救う事だけを考えてください……!」

星児「…………」

リカ(あの人に宝石を渡せば、あの人は助かる)

リカ(でも渡してしまうと……妹は……)

リカ「わ、私は……私は……!」



『リカ』が取った行動は『下1〜5』だった。

1.宝石を渡さない。
2.宝石を渡す。

1、2番のどちらかで答えてください。下1〜5の中で多かった選択の方で物語を進行します。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:16:28.63 ID:CI0Q2me40
2
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 20:40:28.81 ID:c4xWd120O
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/02(日) 20:55:07.66 ID:9TjK/gkDO
2
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 21:02:03.37 ID:aVV9IrsFO
2
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/12/02(日) 22:07:10.50 ID:j2LP1U8CO
決まりだな
250 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:40:49.57 ID:aLumUYHJ0
まだ五つ安価を取れていませんが、何か決まっちゃったので2番で進行します。

↓から本編を再開します。
251 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:41:43.86 ID:aLumUYHJ0
星児「……」

星児(さぁ……どうすっかな……一か八かあの『どこでもドア』の女の所に行って見るか?)

星児(いや……無駄だろうな。あいつのMPがどんだけ残ってんのか分からねーけど、多分俺から逃げ切る分は残してるはず)

星児(今日も昨日も一昨日も、いっぱい走って疲れたし……このままのんびりするか)

リカ「…………」


星児(レーダーの時刻は『15:59:22』……終了まであと一分を切った)

星児(カウントダウン……38、37、36……)

星児(……俺が死ぬ時も、こんな感じなのかなぁ)

リカ「……っ!あ、あのっ!」

星児「ん……?」

リカ「こ、これ!」ブンッ

星児「おわっ……おまっ、これ……!」パシッ

ラムダ(宝石……!)

ラムダ「リ、リカさん!どうして!」

リカ「だって、目の前であんな、なのに、私に譲ってくれるくらい良い人で、でも、私の妹も、でも……」

リカ「わ、私にもよぐ分かんないでず……」ポロポロ

ラムダ「……っ」

星児「お、おい、待っ……」



『番井蝶』『田中星児』が1ポイントずつ獲得!

異能力者七人のバトルロワイヤル!三日目が終了した!

そして同時に、2ポイント獲得した者がいるため、ゲームセット!

その後、参加者は参加前の現実世界へと戻って行く!

異能力者七人のバトルロワイヤル!これにて終了となる!
252 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:42:33.32 ID:aLumUYHJ0
天界



蝶「きゃっ」シュンッ

星児「うおっ」シュンッ

星児(なんだここ……何か、目がチカチカする……)

神様「いやぁ〜おめでとう。君達が今回の優勝者だね。いいバトルロワイヤルをどうもありがとう」

蝶「……あなた誰?」

神様「神様」

星児「……神様!?」

神様「『勝者は願い事を一つ叶えられる』……紙に書いてあっただろう?そして神は嘘をつかない。これより、君達の願い事を叶えてあげよう」

神様「よし、番号の早い順にしようか。『1.番井蝶』。なんでも言いたまえ」

星児(そんな名前だったのかこのおばさん)

蝶「お金と時間をちょうだい」

神様「ダメ」

蝶「……どうして?」

神様「叶えてあげる願い事は一つだけだよ。同じ文でも二つのことを願ってはダメだ。お金か時間かどっちかにしなさい」

蝶「うーん……」

蝶(時間……若返った所で、同じ人生を繰り返すだけだろうし……)

蝶「お金!」

神様「OK。どのくらい欲しい?」

蝶「困らないくらい!」

神様「よし分かった。君の口座にどーんと振り込んでおこう。『奪われない』『怪しまれない』のサービスも付けておくよ」

蝶「気が利くわね」
253 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:43:11.02 ID:aLumUYHJ0
天使「それじゃ、現世でも達者でな」

蝶「さようなら〜」シュンッ

神様「……さぁ、次は君だ。『5.田中星児』」

星児「……違うだろ。俺が宝石をゲットしたのは、最後にあいつが血迷って、俺に投げたから……あんた、見てたんだろ!?ここに居るべきは、俺じゃなくて……」

神様「関係ないよ。午後4時になった時点で宝石を手にしていたのは君だった。それ以外に考慮すべきものはない」

星児「……じゃあ!」

神様「ちなみに、さっき言った通り叶える願い事は一つだ。たとえば『君とリカの妹の病気を治す』なんて願いは無効だからね」

星児「……!なら……!」

星児(これが最後のチャンスだ。俺だって生きたい!けど……)

星児「あの女子の妹の病気を治してやってくれ……」

神様「ふーん。そうやってあの子の想いを無駄にするんだねぇ。君は」

星児「は……?」

神様「リカは君に助かって欲しくて宝石を渡したのに……」

星児「なんだよ!じゃあ、俺を治してくれって言えばいいのかよ!」

神様「おや、結局は自分の身が可愛いんだな君は」

星児「……なんなんだよ!」
254 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:43:39.84 ID:aLumUYHJ0
星児(なんだ、こいつ……何でこんなことを言う?俺を今更迷わせるようなことを……)

神様「ああ……迷っているねぇ。もちろん、私は二人共を治す能力を持っているが、約束は約束だからなー。いやー、僕も治してあげたいとは思うんだけどなー」

星児(白々しい奴だな……本当に、なんでこんなこと……)

星児「……あっ」

神様「お?」

星児「ああ……そうか!その手があったか!……おい神様!決まったぜ!願い事!」

星児(……もしかして、これを俺に気付かせるために、こいつ……)

神様「……なんだい。言ってごらん」

星児「『俺に……」



天使「……最後、甘くなかったですか?」

神様「んー?可愛い子には優しくすべきだろう?」

天使「可愛く生まれさせたのはあなたでは……?」
255 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:44:22.40 ID:aLumUYHJ0
職場



部長「おい、加賀。次の会議の資料は?」

七音「えっ……?いや、あれは同僚の仕事じゃ……」

同僚「はぁ?俺ちゃんと言ったよな?代わりにやっといてくれって」

七音「え……?」

部長「はぁ……お前な。できないならちゃんとできないって言えよ。そうやってポンポン安請け合いされる方が困るんだよなー……」

七音「いや、私はそんなこと聞いてな……」

同僚「おまっ、じゃあ忘れてたのかよ!無責任だな……」

部長「……とにかく。この資料は明日までに絶対必要だから。残業でもなんでもして今日中に完成させろよ。あ、手当は出ないぞ。お前のミスなんだから」

七音「……はい」

同僚「お先失礼しまーす」



七音「あぁ……今日も終電ギリギリか……」ガタンゴトン

七音(……あのバトルロワイヤルで勝てていれば……こんな生活を続けることはなかったのに……)

七音(一応、何もできなかったわけじゃないんだ。ハッタリを二度も成功させて……)

七音(多分、昔にそういう本を読んでたからだな……『嘘を見抜く』って本。要はあれの逆をすれば良かった……実際、それで二人騙した。俺には嘘をつく才能があるんだ)

七音(でも……その後裏切られて……あれが敗因だ。じゃあ、その逆をやればよかったのか)

七音(そうだ……先に裏切った方が強いんだ。今度は、私が裏切る側になれば……)

七音(嘘をついて……裏切る……!)

七音「……もしもし。あ、いや、仕事の電話じゃないんだ。お前から受けた仕事はちゃんと終わらせたよ……」

七音「お前、確かもうすぐ結婚式だろ?友達にウェディング系の仕事やってる奴が居てさ。格安で……いや『詐欺じゃない』よ」

七音(そうだ……こっちの方が強い)
256 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:45:42.02 ID:aLumUYHJ0
銀行



蝶(さて、一体いくら振り込まれたのかしら……?)スッ

蝶「……!?」

蝶(……いや、国の経済おかしくなるでしょ。この額は。その辺も神様がどうにかしてくれてるのかしら……?)

蝶(このお金全部私の物……っ!やった!やった!)

蝶(ん……電話……)プルルル

蝶「……あ、もしもし?うん。そうね。もう出勤の時間ね。私が居なくてあなたも施設のおじいちゃんも困ってるでしょうね」

蝶「…………死ねっ!」パリーンッ

蝶「はー、すっきりした。この後どうしようかしら。新しいスマホ買って、その後は……豪邸ってどこで買うのかしら?」
257 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:46:23.69 ID:aLumUYHJ0
とある国の住宅街



少女「はぁっ、はぁっ」タッタッ

少女(くっ……追手の数が多過ぎるわ!一旦、どこかの家に隠れなきゃ!)ガチャッ

ラムダ「おや……。こんな時間に来客ですか。しかしおかしいですね。鍵はかけ直したはずなんですが……」

少女「うるさいわね!黙って私を匿いなさい!逆らったり、誰かを呼んだりしたら……」チャッ

少年「呼んだりしたら、なんだよ?」ズアッ

少女「……!?」ピタァッ

少女(何これ……動けない……超能力……!?)

ラムダ「……こら。離してやりなさい」

少年「……ったく、お人好しだよなぁ。また騒がしくなるぜ」スッ

幼女「ま、また誰か来たんですか……?」ヒョコッ

おっさん「あ、あいつらの手先じゃねえよなっ!?」ブルブル

少女「な、何?何人居るのこの家には!」

ラムダ「ついさっきまで私一人だったのですが……皆様、それぞれの事情で私の家に」

ラムダ「彼は自分を実験台にしていた研究室から逃げてきた超能力者です」

少年「ここで匿ってもらうことにした」

ラムダ「彼女は祖父の遺産を狙われてここに」

幼女「ここで匿ってもらうことになりました……」

ラムダ「そしてこちらは墜落していたUFOから出てきた宇宙人です」

おっさん「ここで匿ってもらうことにしたんだ」

少女「……巻き込まれすぎでしょあんた!」

少年「何言ってんだよ。お前も今まさに巻き込もうとしてんだろ?何かの事件によ」

少女「うぐっ……」

ラムダ「いいでしょう。きっとあなたの事件も解決してみせます。何故なら私は『ヒーロー』なんですから」
258 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:46:57.38 ID:aLumUYHJ0
楽屋



アッシュ「あー……疲れたぁー……」

ベース「お疲れ。今日も良い歌声だったぜ」

アッシュ「ああ……ちょっとずつライブのお客も増えてきたし……このまま目指せメジャーデビューだ!」

ドラム「おーい、太郎。何かお客さんだぞー」

アッシュ「太郎って呼ぶな……お客さん?誰だ……?」

ドラム「何かちっちゃい女の子。名前は……心ちゃんって言ってたかな」

アッシュ「……犬木心……!」


心「よっ!久しぶりだな」

アッシュ「おお……久しぶり……!」

心「観てたぜ、ライブ。結構マシになってたじゃんか」

アッシュ「マシにって……」

心「ははっ。でもまだこんな小さいハコってことは、あの後願い事は叶えられなかったんだな……」

アッシュ「……いや、それはもういいんだ。俺の夢は、俺と、皆の力で叶える」

心「……ああ。そっちの方がいい。カッコイイ!」
259 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:47:31.29 ID:aLumUYHJ0
心「それじゃ……あの後田中星児は願いを叶えられたのか?」

アッシュ「いや、決着が着く前に俺も死んだから、分からない……けど、あれから連絡がないってことは多分……」

心「……俺さ!ギター始めようかなって思うんだ!」

アッシュ「え?」

心「星児も言ってたじゃんか!もっと俺自身がカッコよくなれってさ!そんで、ギター弾くアッシュがカッコよかったから……」

心「そしたら俺もアッシュのバンドに入って、もっとこのバンドを有名にしてやるよ!」

心「それで知らない奴が居ないくらいのバンドになったらさ、きっと星児も気付くよ……きっと……そしたら、会えるだろ?」

アッシュ「ああ……そうだな」

ベース「……ふっ。『闇の囁き(話)』は聞かせてもらったぞ!」シュバッ

アッシュ「ベース!」

ドラム「……ふっ。『紅一点(レッド・ワンポイント)』のギターか……悪くない」シュバッ

アッシュ「ドラム!」

アッシュ「……ふっ。お前の『漆黒の導き(ギターの腕)』が上がり、我が『詩紡ぎが交わる特異点(バンド)』に『加入(デスティニー・ゲート・オーバー)』するのを待っているぞ!犬木心!」シュバッ

アッシュ「……ふっ、ふふふっ、ふははははは!」シュバババババ

心(やっぱやめとこうかな)
260 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:48:19.61 ID:aLumUYHJ0
病院



妹「お姉ちゃん……今日は天気がいいね」

リカ「うん……そうだね」

リカ(妹が、白いベッドの上から空を見上げる)

リカ(バトルロワイヤルが終わった後、私の妹の病気は治っていなかった)

リカ(当り前……きっと、あの人は自分の病気を治すように願ったんだろうな)

リカ(本当に……これで良かったのかな……)

リカ「……ねぇ」

妹「どうしたの、お姉ちゃん」

リカ「もし……あなたの病気を治すお薬があって、私はそれを持っていたとして……私が他の誰かにその薬をあげちゃったら、怒る?」

妹「怒んないよ」

リカ「……どうして?そのせいで、あなたは今も……」

妹「だって、きっとその人も病気で苦しんでいたんでしょう?」

妹「だったら、仕方ないよ。目の前に苦しんでる人が居たら助けちゃう。それがお姉ちゃんだもん」

妹「あたし、そんなお姉ちゃんが好きだよ」

リカ「……うん。私も、あなたのことが大好き……!」ギュッ
261 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:48:50.45 ID:aLumUYHJ0
妹「あ……もうすぐ新しい先生が来る時間だ……」

リカ「……うん!そうだね!」

リカ(まだ希望を捨てちゃダメ……!もしかしたら、次の先生なら、妹の病気を治してくれるかも……!)


ガラッ


リカ(来た!)

星児「どうもー。医者の田中星児です」

リカ「……んっ!?」

星児「……よう。久しぶりだな」

リカ「せ、星児さん!?」

星児「なんだよ?白衣なんざ似合わねーってか?まぁ、俺もそう思うけどよ……これ着なきゃ駄目だってうるせーんだこいつが」

先生「バッ……そもそも君が正式な医師免許をこの短期間で取得したこと自体、君の能力に免じた特例であって……!」プンスカ

星児「あーもー、わーかってるって」

妹「お姉ちゃんのお友達なの?」

リカ「うん……元気そう……良かった。ちゃんと自分のことを願ったんですね」

星児「会うなり俺の心配かよ。お前らしいな。けど残念……俺の願い事は『俺の心臓病を治すこと』じゃない」

リカ「えっ?じゃあなんて……」

星児「へへっ……こう願ったのさ」ナデナデ

妹「んむっ……あれ……?何か体が……」

星児「『俺に病気を治す異能力をください』……ってな」

妹「か、体が軽いっ!」ピョーンッ

リカ「そっ!そっか!そう願えば一つのお願いで、どっちも……」

先生「終わったか!?終わったな!さぁ早速他の病院に行くぞ!世界中に君の能力を必要としている人間がいるんだ!」ガシッ

星児「おーおー、人遣いが荒いねぇ。ったく、ちゃんとスケジュール管理してんだろうな?あいつのライブに間に合わなかったら承知しねぇぞ?」

リカ「あいつのライブ……って、もしかして」

星児「ああ。あんたも一緒に行くかい?俺でも治せない、中二病を見にさ」



    =終=
262 : ◆R39XEzWXr6 [saga]:2018/12/03(月) 01:49:27.40 ID:aLumUYHJ0
以上になります。

まずは、ここまで読んでくれてありがとうございました。

書いていてとても楽しかったです。読んでくれた皆様も、同じくらい楽しんでいただけていたなら幸いです。

もしよろしければ、ここが良かった、もしくは駄目だったという感想をください。次回への参考、励みになります。
というか私のダメだった所を全部治した安価異能力バトルロワイヤルを書いてください。
ハンタが休載、ワートリが月間に異動した今、バトルロワイヤル物の需要は高い。流行れ安価異能力バトルロワイヤル。



別シリーズ

アルティメット寿司じゃんけん【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492523010/

アルティメット寿司じゃんけん 2【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512467358/

アルティメット寿司じゃんけん 3【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531324990/


↑こちらは同作者の別シリーズになります。ふざけた名前ですがどうかこちらもよろしくお願いいたします。

>>62でも書きましたが、こっちもあっちもどちらのシリーズもまたやりたいと思っています。(いつやるかは未定ですが……)
また見かけたら気軽に安価していってくださいね。

最後にもう一度、ここまで読んでくれてありがとうございました。
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